説明

ポリアルキルメタクリラートポリマーの使用

【課題】向上した放気を有する機能液を所望の粘度グレードで提供する。
【解決手段】機能液の放気を向上するためのポリアルキルメタクリラートポリマーの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアルキルメタクリラートポリマーの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
潤滑剤は、可動部の摩擦摩耗を減少すべく通常の動作温度で十分な粘度を提供しなくてはならない。潤滑膜が、低粘度のために余りに薄すぎる場合には、部品は適切に保護されず、減少した動作寿命を被る可能性がある。最高動作温度での極端に低い粘度は、焼き付き/溶接のために、高い摩耗速度又は装置欠陥を引き起こす可能性がある。圧媒液は、内部ポンプ再循環又は漏れを最小限にするために動作温度で十分な粘度を提供しなくてはならない。圧媒液粘度が不所望な程度に減少する場合には、ポンプ効率は許容できない程度に減少するものである。少ないポンプ効率は、必要とされるよりもより高いエネルギー消費を導く。
【0003】
多くの適用において、最大液体粘度が、この液体又は潤滑剤の放気特性(air release property)により制限される。液体がこの系を通じて移動するにつれ、前記液体は、撹拌、スプラッシング又は圧力低下のために、特定の量の空気を典型的には連行するものである。系は典型的には、循環経路中で油溜めを備えて設計され、この結果液体は、連行空気及び/又は熱を放出すべく一定期間の間留まることができる。標準的な設計規則は、圧媒液タンクを、ポンプ流速の2.5倍に作成することである(Kokernak, R.P., Fluid Power Technology, 1999)。タンクを可能な限り大きく作成することが望ましいものの、これは多くの適用(移動装置又は限られた空間)において実際的でなく、かつまた必要とされる液体の容積及び全体的なコストを増加させる。改善された放気特性を有する液体により、系の設計者は、より小さなタンク及びオイルチャージを使用してコスト削減及び/又は性能向上させることが可能になる。連行空気の迅速な放出は、圧媒液及び金属工作液、また同様に潤滑剤にとって重要であり、これはエンジン、トラスミッション、タービン、コンプレッサー、ギアボックス及び転がり軸受において使用される。
【0004】
気泡が、薄い液(水又はライトな粘度グレードのオイル)からは迅速に、そして濃い液(ゲル又は高い粘度グレードのオイル)からはよりゆっくりと放出することは良く知られている。粘度グレードは典型的には、様々なカテゴリーの液体粘度を説明するために使用され、表1に要約してある。
【0005】
表1:ISO 3448により説明されるISO VG カテゴリーの粘度の限定
【表1】

【0006】
装置の製造者及び地域ごとの作業グループにより確立された種々の圧媒液の規格が、表2にまとめられている。より低粘稠のオイルが、より高粘稠のオイルよりも、より迅速に空気を放出することが理解される。
【0007】
表2:世界的及び地域的な放気規格
(ASTM D 3427又はDIN 51 381試験法により測定された空気放出時間(分))
【表2】

【0008】
放気性能は典型的にはASTM D 3427又はDIN 51 381試験法により測定される。この試験工程において、液体180mlを50℃で安定化させ、かつ当初の密度を測定する。油中空気分散体を、細管を通じて圧縮空気流を7分間導入することにより作成する。当初の密度の0.2%以内に液体が戻るために必要とされる時間を、空気放出時間として測定かつ記録する。
【0009】
液体又は潤滑剤の空気含有量が高すぎる場合には、液体は、不完全な油膜を接触区域に形成するか、又は系の圧力を維持することができなくなる可能性がある。高い程度の連行空気はまた、キャビテーション、エロージョン及び高いノイズレベルをも生じる。液体中での気泡の圧縮は、このバブル内の蒸気の発火を生じる可能性があり、これはマイクロディーゼル効果(micro-diesel effect)として知られている。これらの微小な爆発は、加速された液体劣化(1000℃を上回る温度に達する)及び金属部分の構造的ダメージを生じる。
【0010】
特定の液体及び潤滑剤添加剤が、放気性能に不利な効果を有する可能性があることも良く知られている。泡立ち傾向を制御するために使用される特定の添加剤は、放気時間を抑制することが示されている。文献US 5,766,513は、放気を損なうこと無しに、泡立ちを減少させるのに効果的なフルオロシリコーン消泡剤及びポリアクリラート消泡剤の組み合わせを開示する。しかしながら、放気における改善は、US 5,766,513による組み合わせを用いては達成することができない。
【0011】
大抵の液体又は潤滑剤添加剤が、放気特性にほとんど重要な不利な影響を示さない一方で、放気性能を向上するために公知な添加剤は存在しない。酸化又は汚染(水、夾雑物、摩耗くず、金属微細物、燃焼残留物)のために使用中に液体が損なわれるにつれ、放気特性が低化することも知られている。新規の液体の放気性能を向上するための唯一の公知法は、粘度を減少させることである。使用される液体は、その当初の状態に、濾過又は脱水技術により回復されることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】US 5,766,513
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Kokernak, R.P., Fluid Power Technology, 1999
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
公知技術を考慮すると、本発明の主題は、向上した放気を有する機能液を所望の粘度グレードで提供することである。更に、本発明の主題は、良好な低温特性を有する機能液を提供することである。更に、前記液体が、単純かつコストに有利な様式で製造することができることが望ましい。加えて、本発明の主題は、広い温度範囲にわたり適用可能である機能液を提供することである。更に、前記液体は、高圧適用のためにも適していることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0015】
これらの課題並びに明白には挙げられていないその他の課題は、しかしながら、導入部から容易に導き出せるか又は展開することができ、機能液の放気を向上するためのポリアルキルメタアクリラートポリマーの使用により解決される。本発明に応じた前記液体の適切な変更は、特許請求の範囲に説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、放気時間の測定のための装置を示す図である。
【図2】図2は、試験容器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
機能液の放気の向上のためのポリアルキルメタクリラートポリマーの使用は、向上された空気放出速度でもって、同じ所望の粘度グレートにある機能液を提供する。
【0018】
同時に、その他の数々の利点が、本発明に応じて機能液を通じて達成されることができる。これらのうち次のものが挙げられる:
本発明の機能液は、改善された低温性能及び広い温度操作ウィンドウを示す。
本発明の機能液は、コストに有利に製造されることができる。
本発明の機能液は、良好な酸化抵抗性を示し、かつ化学的に極めて安定である。
本発明の機能液の粘度は、広い範囲にわたり調節されることができる。
【0019】
更に、本発明の液体は、高圧適用のために適している。本発明の機能液は、良好な剪断安定性のために、粘度において最小の変化を示す。
【0020】
本発明の液体は、ポリアルキルメタクリラートポリマーを含有する。アルキルメタアクリラートモノマーを含有する組成物を重合させることにより得られるこれらのポリマーは、この分野で良く知られている。有利には、これらのポリアルキルメタクリラートポリマーは、メタクリラート繰返単位を少なくとも40質量%、有利には少なくとも50質量%、より有利には少なくとも60質量%、最も有利には少なくとも80質量%含有する。有利には、これらのポリアルキルメタクリラートポリマーは、C9〜C24メタクリラート繰返単位及びC1〜C8メタクリラート繰返単位を含有する。
【0021】
有利には、ポリアルキルメタクリラートポリマーが得られる組成物は、特に、相違するアルコール残基を有する(メタ)アクリラート、マレアート及びフマラートを含有する。用語(メタ)アクリラートとは、メタクリラート及びアクリラートまた同様にこれら2種の混合物も含む。これらのモノマーは、広範囲に知られている。これらのアルキル残基は、線状、環式であるか又は分枝していてよい。
【0022】
有利なポリアルキルメタクリラートポリマーを得るための混合物は、このモノマー混合物の全質量に対して0〜100質量%、有利には0.5〜90質量%、特に1〜80質量%、とりわけ1〜30質量%、更に有利には2〜20質量%の、式(I)
【化1】

[式中、Rは水素又はメチルであり、R1は1〜8個の炭素原子を有する線状の又は分枝したアルキル残基を意味し、R2及びR3は、独立して水素又は式−COOR′の基であり、その際R′は、水素又は1〜8個の炭素原子を有するアルキル基を意味する]
のエチレン性不飽和エステル化合物1種以上を含有する。
【0023】
成分(a)の例は、特に、飽和アルコールに由来する(メタ)アクリラート、フマラート及びマレアートであり、例えばメチル(メタ)アクリラート、エチル(メタ)アクリラート、n−プロピル(メタ)アクリラート、イソプロピル(メタ)アクリラート、n−ブチル(メタ)アクリラート、tert−ブチル(メタ)アクリラート、ペンチル(メタ)アクリラート、及びヘキシル(メタ)アクリラート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリラート、ヘプチル(メタ)アクリラート、オクチル(メタ)アクリラート、シクロアルキル(メタ)アクリラート、例えばシクロペンチル(メタ)アクリラート、3−ビニルシクロヘキシル(メタ)アクリラート、シクロヘキシル(メタ)アクリラートである。
【0024】
更に、本発明において使用できるポリアルキルメタクリラートポリマーを製造するためのモノマー組成物は、前記モノマー混合物の全質量に対して0〜100質量%、有利には10〜99質量%、特に20〜95質量%、とりわけ30〜85質量%の、式(II)
【化2】

[式中、Rは水素又はメチルであり、R4は9〜16個の炭素原子を有する線状の又は分枝したアルキル残基を意味し、R5及びR6は、独立して水素又は式−COOR″の基であり、その際R″は、水素又は9〜16個の炭素原子を有するアルキル基を意味する]
のエチレン性不飽和エステル化合物1種以上を含有する。
【0025】
特に、飽和アルコールに由来する(メタ)アクリラート、フマラート及びマレアートであり、例えば2−tert−ブチルヘプチル(メタ)アクリラート、3−イソプロピルヘプチル(メタ)アクリラート、ノニル(メタ)アクリラート、デシル(メタ)アクリラート、ウンデシル(メタ)アクリラート、5−メチルウンデシル(メタ)アクリラート、ドデシル(メタ)アクリラート、2−メチルドデシル(メタ)アクリラート、トリデシル(メタ)アクリラート、5−メチルトリデシル(メタ)アクリラート、テトラデシル(メタ)アクリラート、ペンタデシル(メタ)アクリラート、ヘキサデシル(メタ)アクリラート;シクロアルキル(メタ)アクリラート、例えばボルニル(メタ)アクリラート;及び相応するフマラート及びマレアートである。
【0026】
更に、本発明において使用できるポリアルキルメタクリラートポリマーを製造するためのモノマー組成物は、前記モノマー混合物の全質量に対して0〜80質量%、有利には0.5〜60質量%、特に1〜40質量%、とりわけ2〜30質量%の、式(III)
【化3】

[式中、Rは水素又はメチルであり、R7は17〜40個の炭素原子を有する線状の又は分枝したアルキル残基を意味し、R8及びR9は、独立して水素又は式−COOR″′の基であり、その際R″′は、水素又は17〜40個の炭素原子を有するアルキル基を意味する]のエチレン性不飽和エステル化合物1種以上を含有する。
【0027】
特に、飽和アルコールに由来する(メタ)アクリラート、フマラート及びマレアートであり、例えば2−メチルヘキサデシル(メタ)アクリラート、ヘプタデシル(メタ)アクリラート、5−イソプロピルヘプタデシル(メタ)アクリラート、4−tert−ブチルオクタデシル(メタ)アクリラート、5−エチルオクタデシル(メタ)アクリラート、3−イソプロピルオクタデシル(メタ)アクリラート、オクタデシル(メタ)アクリラート、ノナデシル(メタ)アクリラート、エイコシル(メタ)アクリラート、セチルエイコシル(メタ)アクリラート、ステアリルエイコシル(メタ)アクリラート、ドコシル(メタ)アクリラート、及び/又はエイコシルテトラトリアコンチル(メタ)アクリラート;シクロアルキル(メタ)アクリラート、例えば2,4,5−トリ−t−ブチル−3−ビニルシクロヘキシル(メタ)アクリラート、2,3,4,5−テトラ−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリラートである。
【0028】
長鎖アルコール残基を有するエステル化合物、特に成分(b)及び(c)は、例えば、(メタ)アクリラート、フマラート、マレアート及び/又相応する酸と長鎖の脂肪アルコールとを反応させることにより得られることができ、ここで一般的に、エステル混合物、例えば相違する長鎖のアルコール残基を有する(メタ)アクリラートを生じる。
【0029】
これらの脂肪アルコールは、特に、Oxo Alcohol(R) 7911及びOxo Alcohol(R) 7900, Oxo Alcohol(R) 1100; Alfol(R) 610及びAlfol(R) 810; Lial(R) 125及びNafol(R)-タイプ(Sasol Olefins & Surfactant GmbH); Alphanol(R) 79 (ICI);Epal(R) 610及びEpal(R) 810 (Ethyl Corporation); Linevol(R) 79, Linevol(R) 911及びNeodol(R) 25E (Shell AG); Dehydad(R)-, Hydrenol-,及びLorol(R)-タイプ(Cognis); Acropol(R) 35及びExxal(R) 10 (Exxon Chemicals GmbH); Kalcol(R) 2465 (Kao Chemicals)を含む。
【0030】
エチレン性不飽和エステル化合物のうち、(メタ)アクリラートが特に、マレアート及びフマラートに対して有利であり、即ち特に有利な態様において、式(I)、(II)及び(III)のR2、R3、R5、R6、R8及びR9は、水素を表す。
【0031】
成分(d)は、特に、式(I)、(II)及び/又は(III)のエチレン性不飽和エステル化合物と共重合できるエチレン性不飽和モノマーを含有する。
【0032】
次式に相当するコモノマーは、本発明に応じた重合に特に適する:
【化4】

[式中、R1*及びR2*は独立して次のものからなる群から選択される;水素、ハロゲン、CN、1〜20個、有利には1〜6個、特に有利には1〜4個の炭素原子を有する線状又は分枝したアルキル基(これは、1〜(2n+1)個のハロゲン原子で置換されていてよく、nはアルキル基の炭素原子数である)(例えばCF3)、2〜10個、有利には2〜6個、特に有利には2〜4個の炭素原子を有するα,β−不飽和線状又は分枝したアルケニル又はアルキニル基(これは、1〜(2n−1)個のハロゲン原子、有利には塩素で置換されていてよく、nはアルキル基の炭素原子数である)、例えばCH2=CCl−、3〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル基(これは、1〜(2n−1)個のハロゲン原子、有利には塩素で置換されていてよく、nはシクロアルキル基の炭素原子数である);C(=Y*)R5*、C(=Y*)NR6*7*、Y*C(=Y*)R5*、SOR5*、SO25*、OSO25*、NR8*SO25*、PR5*2、P(=Y*)R5*2、Y*PR5*2、Y*P(=Y)R52、NR8*2(これは、更なるR8*、アリール、又はヘテロ環基で四級化されていてよく、ここでY*はNR8*、S又はO、有利にはOであってよい);R5*は、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、1〜20個の炭素原子を有するアルキルチオ基、OR15(R15は水素又はアルカリ金属)、1〜20個の炭素原子を有するアルコキシ、アリールオキシ又はヘテロ環オキシである;R6*及びR7*は、独立して、水素又は1〜20個の炭素原子を有するアルキル基であり、又はR6*及びR7*は、一緒になって、2〜7個、有利には2〜5個の炭素原子を有するアルキレン基を形成してよく、ここでこれらは、3〜8員環、有利には3〜6員環を形成し、かつR8*は1〜20個の炭素原子を有する線状の又は分枝したアルキル又はアリール基である;
3*及びR4*は独立して次のものからなる群から選択される;水素、ハロゲン(有利にはフッ素又は塩素)、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基及びCOOR9*(R9*は、水素、アルカリ金属又は1〜40個の炭素原子を有するアルキル基である)、又はR1*及びR3*は、一緒になって、式(CH2n(これは、1−2n′のハロゲン原子又はC1〜C4アルキル基で置換されていてよい)の基を形成することができるか、又は、式C(=O)−Y*−C(=O)の基を形成することができ、ここでn′は、2〜6、有利には3又は4である;かつY*は上述の通り定義されている;かつ前記残基R1*、R2*、R3*及びR4*のうち少なくとも2個は水素又はハロゲンである];
これらは、特に、次のものを含む:ヒドロキシアルキル(メタ)アクリラート、例えば3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート、3,4−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリラート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリラート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート、2,5−ジメチル−1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリラート、1,10−デカンジオール(メタ)アクリラート;
アミノアルキル(メタ)アクリラート及びアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、例えばN−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、3−ジエチルアミノペンチル(メタ)アクリラート、3−ジブチルアミノヘキサデシル;(メタ)アクリラート
(メタ)アクリル酸のニトリル及びその他の窒素含有(メタ)アクリラート、例えばN−(メタクリロイルオキシエチル)ジイソブチルケチミン、N−(メタクリロイルオキシエチル)ジヘキサデシルケチミン、(メタ)アクリロイルアミドアセトニトリル、2−メタクリロイルオキシエチルメチルシアナミド、シアノメチル(メタ)アクリラート;
アリール(メタ)アクリラート、例えばベンジル(メタ)アクリラート又はフェニル(メタ)アクリラート、ここでアクリル残基はそのつど、非置換であるか又は4個まで置換されていることができる;
カルボニル含有(メタ)アクリラート、例えば2−カルボキシエチル(メタ)アクリラート、カルボキシメチル(メタ)アクリラート、オキサゾリニルエチル(メタ)アクリラート、N−メチアクリロイルオキシ)ホルムアミド、アセトニル(メタ)アクリラート、N−メタクリロイルモルホリン、N−メタクリロイル−2−ピロリジノン、N−(2−メタクリロイルオキシオキシエチル)−2−ピロリジノン、N−(3−メタクリロイルオキシルプロピル)−2−ピロリジノン、N−(2−メタクリロイルオキシペンタデシル(−2−ピロリジノン、N−(3−メタクリロイルオキシヘプタデシル−2−ピロリジノン);
エーテルアルコールの(メタ)アクリラート、例えばテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリラート、ビニルオキシエトキシエチル(メタ)アクリラート、メトキシエトキシエチル(メタ)アクリラート、1−ブトキシプロピル(メタ)アクリラート、1−メチル−(2−ビニルオキシ)エチル(メタ)アクリラート、シクロヘキシルオキシメチル(メタ)アクリラート、メトキシメトキシエチル(メタ)アクリラート、ベンジルオキシメチル(メタ)アクリラート、フルフリル(メタ)アクリラート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリラート、2−エトキシエトキシメチル(メタ)アクリラート、2−エトキシエチル(メタ)アクリラート、エトキシル化(メタ)アクリラート、アリルオキシメチル(メタ)アクリラート、1−エトキシブチル(メタ)アクリラート、メトキシメチル(メタ)アクリラート、1−エトキシエチル(メタ)アクリラート、エトキシメチル(メタ)アクリラート;
ハロゲン化アルコールの(メタ)アクリラート、例えば2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリラート、4−ブロモフェニル(メタ)アクリラート、1,3−ジクロロ−2−プロピル(メタ)アクリラート、2−ブロモエチル(メタ)アクリラート、2−ヨードエチル(メタ)アクリラート、クロロメチル(メタ)アクリラート;
オキシラニル(メタ)アクリラート、例えば2,3−エポキシブチル(メタ)アクリラート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリラート、10,11−エポキシウンデシル(メタ)アクリラート、2,3−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリラート、オキシラニル(メタ)アクリラート、例えば10,11−エポキシヘキサデシル(メタ)アクリラート、グリジシル(メタ)アクリラート;
リン−、ホウ素及び/又はケイ素含有(メタ)アクリラート、例えば2−(ジメチルホスファト)プロピル(メタ)アクリラート、2−(エチルホスフィト)プロピル(メタ)アクリラート、2−ジメチルホスフィノメチル(メタ)アクリラート、ジメチルホスホノエチル(メタ)アクリラート、ジエチルメタクリロイルホスホナート、ジプロピルメタクリロイルホスファート、2−(ジブチルホスホノ)エチル(メタ)アクリラート、2,3−ブチレンメタクリロイルエチルボラート、メチルジエトキシメタクリロイルエトキシシラン、ジエチルホスファトエチル(メタ)アクリラート;
硫黄含有(メタ)アクリラート、例えばエチルスルフィニルエチル(メタ)アクリラート、4−チオシアナトブチル(メタ)アクリラート、エチルスルホニルエチル(メタ)アクリラート、チオシアナトメチル(メタ)アクリラート、メチルスルフィニルメチル(メタ)アクリラート、ビス(メタクリロイルオキシエチル)スルフィド;
ヘテロ環(メタ)アクリラート、例えば2−(1−イミダゾリル)エチル(メタ)アクリラート、2−(4−モルホリニル)エチル(メタ)アクリラート、及び1−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−ピロリドン;
ビニルハロゲン化物、例えば塩化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン及びフッ化ビニリデン;
ビニルエステル、例えば酢酸ビニル;
芳香族基を含有するビニルモノマー、例えばスチレン、アルキル置換基で側鎖中で置換したスチレン、例えばα−メチルスチレン及びα−エチルスチレン、アルキル置換基で環上で置換したスチレン、例えばビニルトルエン及びp−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、例えばモノクロロスチレン、ジクロロスチレン、トリブロモスチレン及びテトラブロモスチレン;
ヘテロ環式ビニル化合物、例えば2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、3−エチル−4−ビニルピリジン、2,3−ジメチル−5−ビニルピリジン、ビニルピリミジン、ビニルピペリジン、9−ビニルカルバゾール、3−ビニルカルバゾール、4−ビニルカルバゾール、1−ビニルイミダゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリジン、3−ビニルピロリジン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルブチロラクタム、ビニルオキソラン、ビニルフラン、ビニルチオフェン、ビニルチオラン、ビニルチアゾール、及び水素化したビニルチアゾール、ビニルオキサゾール、及び水素化したビニルオキサゾール;
ビニル及びイソプレニルエーテル;
マレイン酸誘導体、例えば無水マレイン酸、メチルマレイン酸無水物、マレインイミド、メチルマレインイミド;
フマル酸及びフマル酸誘導体、例えば無水フマル酸、例えばフマル酸のモノ−及びジエステル。
【0033】
分散機能を有するモノマーは、コモノマーとして使用することもできる。これらのモノマーは当分野で良く知られていて、かつ通常はヘテロ原子、例えば酸素及び/又は窒素を含有する。例えば、前述のヒドロキシアルキル(メタ)アクリラート、アミノアルキル(メタ)アクリラート、及びアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、エーテルアルコールの(メタ)アクリラート、ヘテロ環式(メタ)アクリラート、及びヘテロ環式ビニル化合物は、分散性コモノマーとして考慮されることができる。
【0034】
特に有利な混合物は、メチルメタクリラート、ラウリルメタクリラート及び/又はステアリルメタクリラートを含有する。
【0035】
この成分は個々に又は混合物として使用されることができる。
【0036】
アルキル(メタ)アクリラートポリマーの分子量は重要でない。通常は、アルキル(メタ)アクリラートポリマーは、300〜1000000g/molの範囲の、有利には10000〜200000g/molの範囲の、特に有利には25000〜100000g/molの範囲の分子量を有するが、これによりいかなる限定も意図されない。これらの値は、多分散ポリマーの重量平均分子量を指す。
【0037】
いかなる限定をも意味するものではないが、アルキル(メタ)アクリラートポリマーは、多分散性を示し、これは重量平均分子量対数平均分子量の比Mw/Mnにより与えられ、1〜15、有利には1.1〜10、特に有利には1.2〜5の範囲にある。
【0038】
上述のモノマー混合物は、任意の公知の方法により重合されることができる。慣用のラジカル開始剤は、典型的なラジカル重合を実施するために使用されることができる。これらの開始剤はこの分野で良く知られている。これらのラジカル開始剤の例は、アゾ開始剤、例えば2,2′−アゾジイソブチロニトリル(AIBN);2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)及び1,1−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル;過酸化物化合物、例えばメチルエチルケトンペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、tert−ブチルペル2−エチルヘキサノアート、ケトンペルオキシド、メチルイソブチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルベンゾアート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボナート、2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、tert−ブチルペルオキシ2−エチルヘキサノアート、tert−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノアート、ジクメンペルオキシド、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、クメンヒドロペルオキシド及びtert−ブチルヒドロペルオキシドである。
【0039】
低分子量ポリ(メタ)アクリラートは、連鎖移動剤を用いて得ることができる。この技術は広範囲に知られており、かつポリマー産業において実施され、かつOdian, Principles of Polymerization, 1991において説明されている。連鎖移動剤の例は、硫黄含有化合物、例えばチオール、例えばn−及びt−ドデカンチオール、2−メルカプトエタノール及びメルカプトカルボン酸エステル、例えばメチル−3−メルカプトプロピオナートである。有利な連鎖移動剤は、20個まで、特に15個まで、そしてより有利には12個までの炭素原子を含有する。
【0040】
更に、連鎖移動剤は、少なくとも1個、特に少なくとも2個の酸素原子を含有することができる。
【0041】
更に、低分子量のポリ(メタ)アクリラートは、遷移金属錯体、例えば低スピンコバルト錯体を用いて得ることができる。これらの技術は良く知られていて、例えばUSSR特許公報940,487Aにおいて、Heuts, et al.,により、及びMacromolecules 1999, pp 2511-2519及び3907-3912において説明される。
【0042】
更に、新規の重合技術、例えばATRP(原子移動ラジカル重合)及び又はRAFT(可逆的付加開裂連鎖移動重合)が、使用できるポリ(メタ)アクリラートを得るために適用することができる。これらの方法は良く知られている。ATRP反応方法は、例えば、J-S. Wang, et al., J. Am. Chem. Soc, 117巻, 5614-5615頁 (1995)及びMatyjaszewski, Macromolecules, 28巻, 7901-7910頁 (1995)により説明されている。更に、特許出願WO 96/30421, WO 97/47661, WO 97/18247, WO 98/40415 及びWO 99/10387は、上述のATRPの変法を開示し、この開示の目的のためにこれらが特に参照される。RAFT法は、例えばWO 98/01478中に広範囲に提示され、この開示の目的のためにこれらが特に参照される。
【0043】
重合は、常圧、減圧又は加圧で実施されることができる。重合温度も重要でない。しかしながら、一般的に重合温度は、−20〜200℃、有利には0〜130℃、特に有利には60〜120℃の範囲にあるが、これによりいかなる限定も意図されない。
【0044】
重合は、溶媒有り又は無しで実施されることができる。溶媒との用語は、ここでは幅広く理解されるべきである。
【0045】
機能液は、機能液の全質量に対して、0.5〜50質量%、特に1〜30質量%、有利には5〜20質量%のポリアルキルメタクリラートポリマー1種以上を含有してよい。
【0046】
本発明の機能液は、ベースストックを含有してよい。これらのベースストックは、鉱油及び/又は合成油を含有してよい。
【0047】
鉱油は十分に知られていて、かつ市販されている。これらは一般的に、石油又は粗製油から、蒸留及び/又は精製及び場合により更なる清浄化及び処理方法により得られ、特に粗製油又は石油の高沸性分画は、鉱油の概念に当てはまる。一般的に、鉱油の沸点は、5000Paで200℃よりも高く、有利には300℃よりも高い。シェール油の低温蒸留、硬質炭のコークス化、空気の排除下でのリグナイトの蒸留、また同様に硬質炭又はリグナイトの水素化による調整も同様に可能である。少ない程度の鉱物性油はまた、植物由来(例えばホホバ、ナタネ(キャノーラ)、ヒマワリ又は大豆の油)又は動物由来(例えば獣脂又は牛脚油)の原料からも産生される。従って、鉱油は、芳香族、環式、分枝状及び線状の炭化水素の様々な量を、そのつど由来に応じて示す。
【0048】
一般的に、パラフィンベース、ナフテン系及び芳香族性の分画は、粗製油又は鉱油中で区別され、ここでパラフィンベース分画との用語はより長鎖の又は高度に分枝したイソアルカンを、そしてナフテン系分画は、シクロアルカンを表す。更に、鉱油はそれぞれの場合において、由来及び処理に応じて、様々な分画のn−アルカン、少ない程度の分枝を有するイソアルカン、いわゆるモノメチル分枝したパラフィン、及び、ヘテロ原子、特にO、N及び/又はSを有する化合物を示し、これは極性特性に寄与する。しかしながら、寄与は困難であり、というのも個々のアルカン分子は、分枝した長鎖及びシクロアルカン残基及び芳香族成分を両者共に含有する可能性があるからである。本発明の目的のために、DIN 51 378に応じて分類化が可能である。極性成分は、ASTM D 2007に応じて決定されることもできる。
【0049】
有利な鉱油中のn−アルカンの分画は、3質量%よりも少なく、かつO、N及び/又はS含有化合物の分画は、6質量%よりも少ない。芳香族化合物及びモノメチル分枝したパラフィンの分画は一般的に、それぞれの場合において0〜40質量%の範囲にある。興味深い一観点に一致して、鉱油は、主としてナフテン系及びパラフィンベースアルカンを含有し、これは一般的に13個より多い、有利には18個より多い、そして特に有利には20個より多い炭素原子を有する。これらの化合物の分画は一般的に少なくとも60質量%、有利には少なくとも80質量%であり、これによりいかなる限定も意図されない。
【0050】
有利な鉱油は、芳香族成分0.5〜30質量%、ナフテン系成分15〜40質量%、パラフィンベース成分35〜80質量%、n−アルカン3質量%まで、及び極性成分0.05〜5質量%を含有し、それぞれの場合において、鉱油の全質量に対する。
【0051】
特に有利な鉱油の分析は、これは典型的な方法、例えば尿素脱ロウ及びシリカゲルに対する液体クロマトグラフィにより実施されるが、例えば、次の成分を示し、ここでパーセンテージは、関連する鉱油の全質量に対する:
約18〜31個のC原子を有するn−アルカン:0.7〜1.0%、
18〜31個のC原子を有する低分枝アルカン:1.0〜8.0%、
14〜32個のC原子を有する芳香族化合物:0.4〜10.7%、
20〜32個のC原子を有するイソ−及びシクロアルカン:60.7〜82.4%、
極性化合物:0.1〜0.8質量%、
損失;6.9〜19.4%。
【0052】
鉱油の分析に関する価値のある助言また同様にその他の組成を有する鉱油の列記は、例えば、Ullmann's Encyclopaedia of Industrial Chemistry, 第5版(CD-ROM) 1997, 項目"lubricants and related products."に見出されることができる。
【0053】
有利には、機能液は、グループI、II又はIIIからの鉱油をベースとする。
【0054】
合成油は、その他の物質のうち特に次のものである;有機エステル、例えばカルボン酸エステル及びリン酸エステル;有機エーテル、例えばシリコーンオイル及びポリアルキレングリコール;及び合成炭化水素、特にポリオレフィン。これらは、大抵の部分に関して、幾分鉱油よりもより高価であり、しかしながらこれらは性能に関して利点を有する。説明のために、ベースオイルタイプの5つのAPIクラスを参照することが望ましい(API:American Petroleum Institute)。
【0055】
リンエステル液体、例えばアルキルアリールホスファートエステル;トリアルキルホスファート、例えばトリブチルホスファート、又はトリ−2−エチルヘキシルホスファート;トリアリールホスファート、例えば混合したイソプロピルフェニルホスファート、混合したt−ブチルフェニルホスファート、トリキシレニルホスファート、又はトリクレシルホスファート。有機リン化合物の更なるクラスは、ホスホナート及びホスフィナートであり、これらはアルキル及び/又はアリール置換基を含有することができる。ジアルキルホスホナート、例えばジ−2−エチルヘキシルホスホナート;アルキルホスフィナート、例えばジ−2−エチルヘキシルホスフィナートが可能である。アルキル基としてここでは、1〜10個の炭素原子からなる線状鎖又は分枝鎖のアルキルが有利である。アリール基としてここでは、アルキルによって置換されていてよい6〜10個の炭素原子からなるアリールが有利である。通常は、機能液は、有機リン化合物0〜60質量%、有利には5〜50質量%を含有する。
【0056】
カルボン酸エステルとして、アルコール、例えば多価アルコール、一価アルコール及び類似物と、脂肪酸、例えばモノカルボン酸、ポリカルボン酸及び類似物との反応生成物が使用されることができる。この種のカルボン酸エステルは、無論、部分エステルであることができる。
【0057】
カルボン酸エステルは、式R−COO−Rを有する1つのカルボン酸エステル基を有することが望ましく、ここでRは独立して、1〜40個の炭素原子を含有する基である。有利なエステル化合物は、少なくとも2個のエステル基を含有する。これらの化合物は、少なくとも2個の酸基を有するポリカルボン酸及び/又は少なくとも2個のヒドロキシル基を有するポリオールをベースとしてよい。
【0058】
ポリカルボン酸残基は通常は、2〜40個、有利には4〜24個、特に4〜12個の炭素原子を有する。使用できるポリカルボン酸エステルは、例えば、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸及び/又はドデカン酸のエステルである。ポリカルボン酸化合物のアルコール成分は有利には、1〜20個、特に2〜10個の炭素原子を含有する。
【0059】
使用できるアルコールの例は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール及びオクタノールである。更に、オキソアルコール、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、そしてデカメチレングリコールまでが使用されることができる。
【0060】
特に有利な化合物は、ポリカルボン酸と1つのヒドロキシル基を含有するアルコールとのエステルである。これらの化合物の例は、Ullmanns Encyclopaedie der Technischen Chemie, 第3版 15巻, 287 -292頁, Urban & Schwarzenber (1964))に記載されている。
【0061】
本発明のその他の観点によれば、機能液は、ポリアルファオレフィン(PAO)、カルボン酸エステル(ジエステル、又はポリオールエステル)、リン酸エステル(トリアルキル、トリアリール、又はアルキルアリールホスファート)及び/又はポリアルキレングリコール(PAG)を含有する合成ベースストックをベースとする。
【0062】
本発明の機能液は、この分野で良く知られている更なる助剤、例えば粘度インデックス向上剤、酸化防止剤、耐摩耗剤、腐食防止剤、洗浄剤、分散剤、EP助剤、脱泡剤、摩擦減少剤、流動点降下剤、染料、付臭剤及び/又は解乳化剤を含有してよい。これらの助剤は、慣用の量で使用される。通常は、機能液は、助剤0〜10質量%を含有する。
【0063】
消費者のニーズによれば、本発明の機能液の粘度は、幅広い範囲内で適合されることができる。ISO VG15、VG22、VG32、VG46、VG68、VG10O、VG150、VG1500及びVG3200液体グレードは、例えば達成されることができる。
【表3】

【0064】
上述の粘度グレードは、規定のISO粘度グレードとして考慮されることができる。有利には、ISO粘度グレードは、15〜3200、より有利には22〜150の範囲にある。
【0065】
本発明の更なる観点によれば、有利なISO粘度グレードは、150〜3200、より有利には1500〜3200の範囲にある。
【0066】
規定のISO粘度グレートを達成するために、有利には低粘度グレートを有するベースストックを、ポリアルキルメタクリラートポリマーと混合する。
【0067】
有利には、ASTM D 445による動粘性率40℃は、15mm2/s〜150mm2/s、有利には28mm2/s〜110mm2/sの範囲にある。本発明の機能液は、高い粘度インデックスを有する。有利には、ASTM D 2270による粘度インデックスは、少なくとも120、より有利には150、特に少なくとも180、より有利には少なくとも200である。
【0068】
機能液及び潤滑剤の脱泡性能は典型的には、試験方法ASTM D3427又はDIN 51 381により測定される。これらの方法は、ほぼ同一であり、かつ、主要な地域的な圧媒液品質標準、例えばASTM D 6158(北アメリカ)、DIN 51524(ヨーロッパ)及びJCMAS HK(日本)において使用される最も広く参照される試験方法である。これらの方法はまた、タービン潤滑剤及びギアオイルの放気特性を測定する場合に指定もされる。
【0069】
典型的な装置は、図1中に見出すことができる。方法のより詳細な説明は、実施例において言及される。
【0070】
図2に示されるように更なる特定のガラス試験容器が必要とされ、前記容器は、空気入口細管、じゃま板及び空気出口管を備えたジャケット付き試料管からなる。
【0071】
有利には、機能液の放気は、本特許出願の実施例において言及した方法により測定して、7分間よりも少なく、有利には6分間よりも少なく、有利には5分間よりも少ない。
【0072】
本発明の機能液は、良好な低温性能を有する。低温性能は、ASTM D 2983によるブルックフィールド粘度計により評価されることができる。
【0073】
本発明の機能液は、高圧適用のために使用されることができる。有利な態様は、圧力0〜700bar、特に70〜400barで使用されることができる。
【0074】
更に、本発明の有利な機能液は、低い流動点を有し、これは、例えば、ASTM D 97に従って決定されることができる。有利な液体は、−30℃以下、より有利には−40℃以下、特に−45℃以下の流動点を有する。
【0075】
本発明の機能液は、幅広い温度範囲にわたり使用されることができる。例えば、前記液体は、−40℃〜120℃の温度操作ウィンドウで使用されることができ、かつ最低及び最高粘度のための装置製造者の要求を満たす。主要な装置製造者の粘度指針の要約は、National Fluid Power Association推奨プラクティスT2.13.13-2002に見出すことができる。
【0076】
本発明の機能液は、例えば工業、自動車、採鉱、発電、海事及び軍事用の圧媒液適用において使用できる。移動装置適用は、建築、林業、配達車両、及び地方自治体車両(ゴミ収集、雪かき車その他)を含む。海事適用は、船舶デッキクレーンを含む。
【0077】
本発明の機能液は、発電油圧機器、例えば電気−油圧タービン制御系においても使用できる。
【0078】
更に、本発明の機能液は、変圧器液体又は冷却油として使用できる。
【実施例】
【0079】
本発明は、より詳細に以下に例及び比較例により、本発明をこれらの例に限定する意図無しに説明される。
【0080】
実施例1〜10及び比較例1〜3
実施例1〜10及び比較例A〜Cの液体組成を、グループIの鉱油ベースストック(70N鉱油=70SUS溶媒精製したグループ1パラフィン系鉱油;100N鉱油=100SUS溶媒精製したグループ1パラフィン系鉱油;150N鉱油=150SUS溶媒精製したグループ1パラフィン系鉱油;600BS鉱油=600SUSブライトストックグループ1鉱油の組み合わせ)を混合することにより調整した。この液体を、表3で言及した粘度データを達成するために混合した。使用したPAMAポリマーは、RohMax Oil Additivesから入手できるVISCOPLEX 8-219であった。わずかに異なる比のベースオイルが、PAMAポリマー有り及び無しで40℃及び50℃で同一の粘度を達成するために必要であった。これらの液体の放気時間を、ASTM D 3427により測定した。
【0081】
放気試験の詳細:
液体試料180mlを、清浄なガラス管中に移し、このオイルを所望の試験温度に平衡化させた。試験工程は、40℃で9〜90cStの粘度を有するオイルが50℃に高められることを要求し、この温度は、数々の種類の油圧機器のための典型的な油溜め温度である。この粘度範囲は、最も広く使用されるISO粘度グレード15、22、32、46、及び68を説明する。この液体を50℃で安定化する場合に、当初の密度を密度バランス(density balance)を用いて測定した。密度バランスを取り除き、オイル中に空気入口細管を挿入した。必要とされる試験装置配置は図1に見出すことができる。
【0082】
試験を、圧縮空気の流れが、20kPaのゲージ圧で出た場合に開始した。油中空気分散体を、細管を通じて油中に入る圧縮空気流により製造した。強力な泡立ちが、この空気混入期間の間に観察できる。7.0分間後に、空気流をスイッチを切り、細管をこの液体から取り除き、タイマーを開始した。密度バランスのおもりを液体中に浸漬し、密度を測定した。
【0083】
液体が、その当初の密度の0.2%以内に戻るために必要な時間を、空気放出時間として測定かつ記録した。
【0084】
この結果を表3に示した。
表3:ASTM D 3427による放気時間
【表4】

【0085】
この開発は、PAMAを含有する液体が、同一のISOグレード及び粘度特性の標準液体に比較して、より迅速な空気放出時間を示すことを示す。より高い粘度グレード液体が今や、標準的な非PAMA含有液体から予期される可能性のある損傷を冒すことなしに、改善した潤滑又はポンプ効率性能を達成するために使用できることも示された。表3はまた、PAMAを含有するより粘稠な液体グレードが、より低粘稠な標準的な液体よりも、より良好な空気放出を有することも示す。これに応じて、比較例1は、実施例5〜8よりも、よりゆっくりとした空気放出を有する。同様に、比較例2は、実施例9及び10よりも、よりゆっくりとした空気放出を有する。
【0086】
PAMA助剤を含有するこれらのISO68及びISO100液体が、今や、ISO VG46液体にとって期待される、世界的な放気規定の要求の全てを満たすことを観察することが重要である。この性能の有利性は、使用者及び系の設計者に顕著な利点を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能液の放気を向上するためのポリアルキルメタクリラートポリマーの使用。
【請求項2】
機能液が、規定のISO粘度グレードを有する、請求項1記載の使用。
【請求項3】
ISO粘度グレードが、15〜3200の範囲にある、請求項2記載の使用。
【請求項4】
ポリアルキルメタクリラートポリマーが、メタクリラート繰返単位少なくとも40質量%を含有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の使用。
【請求項5】
機能液が、粘度指数少なくとも120を有する、請求項1から4までのいずれか1項記載の使用。
【請求項6】
機能液が、ポリアルキルメタクリラートポリマー1〜30質量%を含有する、請求項1から5までのいずれか1項記載の使用。
【請求項7】
ポリアルキルメタクリラートポリマーが、10000〜200000g/mol、特に25000g/mol〜100000g/molの範囲の分子量を有する、請求項1から6までのいずれか1項記載の使用。
【請求項8】
ポリアルキルメタクリラートポリマーが、C9〜C24メタクリラート繰返単位及びC1〜C8メタクリラート繰返単位を含有する、請求項1から7までのいずれか1項記載の使用。
【請求項9】
ポリアルキルメタクリラートポリマーが、分散剤モノマー由来の繰返単位を含有する、請求項1から8までのいずれか1項記載の使用。
【請求項10】
ポリアルキルメタクリラートポリマーが、スチレン由来の繰返単位を含有する、請求項1から9までのいずれか1項記載の使用。
【請求項11】
ポリアルキルメタクリラートポリマーが、エトキシル化及び/又はヒドロキシル化メタクリラートモノマー由来の繰返単位を含有する、請求項1から10までのいずれか1項記載の使用。
【請求項12】
機能液が、酸化防止剤、腐食阻害剤及び/又は脱泡剤を含有する、請求項1から11までのいずれか1項記載の使用。
【請求項13】
機能液が、鉱油、有利にはAPI グループI、II又はIIIからの油をベースとする、請求項1から12までのいずれか1項記載の使用。
【請求項14】
機能液が、少なくとも1種の合成ベースストック、有利にはAPI グループIV及びVからのベースストックをベースとする、請求項1から13までのいずれか1項記載の使用。
【請求項15】
合成ベースストックが、ポリアルファオレフィン(PAO)、カルボン酸エステル(ジエステル、又はポリオールエステル)、リン酸エステル(トリアルキル、トリアリール、又はアルキルアリールホスファート)、及び/又はポリアルキレングリコール(PAG)を含有する、請求項1から14までのいずれか1項記載の使用。
【請求項16】
ポリアルキルメタクリラートポリマーが、次のものからなるオレフィン性不飽和モノマーの混合物を重合することにより得られる、請求項1から15までのいずれか1項記載の使用。
a)式(I)
【化1】

[式中、Rは水素又はメチルであり、R1は1〜8個の炭素原子を有する線状の又は分枝したアルキル残基を意味し、R2及びR3は、独立して水素又は式−COOR′の基であり、その際R′は、水素又は1〜8個の炭素原子を有するアルキル基を意味する]のエチレン性不飽和エステル化合物1種以上をエチレン性不飽和モノマーの全質量に対して0〜100質量%、
b)式(II)
【化2】

[式中、Rは水素又はメチルであり、R4は9〜16個の炭素原子を有する線状の又は分枝したアルキル残基を意味し、R5及びR6は、独立して水素又は式−COOR″の基であり、その際R″は、水素又は9〜16個の炭素原子を有するアルキル基を意味する]
のエチレン性不飽和エステル化合物1種以上をエチレン性不飽和モノマーの全質量に対して0〜100質量%、
c)式(III)
【化3】

[式中、Rは水素又はメチルであり、R7は17〜40個の炭素原子を有する線状の又は分枝したアルキル残基を意味し、R8及びR9は、独立して水素又は式−COOR″′の基であり、その際R″′は、水素又は17〜40個の炭素原子を有するアルキル基を意味する]のエチレン性不飽和エステル化合物1種以上をエチレン性不飽和モノマーの全質量に対して0〜80質量%、
d)コモノマーをエチレン性不飽和モノマーの全質量に対して0〜50質量%、
その際、エチレン性不飽和モノマーの全質量に対して少なくとも50質量%はメタクリラートである。
【請求項17】
オレフィン性不飽和モノマーの混合物が、成分b)を50〜95質量%含有する、請求項16記載の使用。
【請求項18】
オレフィン性不飽和モノマーの混合物が、成分a)を1〜30質量%含有する、請求項16又は17記載の使用。
【請求項19】
機能液が、圧媒液である、請求項1から18までのいずれか1項記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−18996(P2013−18996A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−237888(P2012−237888)
【出願日】平成24年10月29日(2012.10.29)
【分割の表示】特願2008−506935(P2008−506935)の分割
【原出願日】平成18年1月28日(2006.1.28)
【出願人】(399020957)エボニック ローマックス アディティヴス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (38)
【氏名又は名称原語表記】Evonik RohMax Additives GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee, D−64293 Darmstadt, Germany
【Fターム(参考)】