説明

ポリアルキレングリコール親水化物、その製造方法及びその用途

【課題】種々の用途において好適であり、洗浄力等の点で高い性能を発揮することができるポリアルキレングリコール親水化物、その製造方法及び用途を提供するものである。
【解決手段】下記一般式(1)で表されることを特徴とするポリアルキレングリコール親水化物。[化1]


式中、X及びYは、互いに異なって、水素原子、−SOM、−S−CH−CH−SOM、−PO又は−S−(CH−COOMを表す。R〜Rは、水素原子又はアルキル基を表す。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、多価アルコール基等を表す。p、q、r及びsは、価数を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアルキレングリコール親水化物、その製造方法及びその用途に関する。より詳しくは、洗剤用ビルダー、洗剤、水処理剤、分散剤等に好適であり、例えば、洗剤用ビルダーとして活性剤と共に用いると、高い洗浄力を発揮するポリアルキレングリコール親水化物、その製造方法及び用途に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアルキレングリコール親水化物は、ポリアルキレンオキシドと親水基とを有する化合物であり、例えば、高分子系ビルダーとして作用することができるものである。このような重合体は、液体洗剤中に溶けるという性質を有することから、液体洗剤を構成する成分として欠かすことができないものとなっている。ポリアルキレングリコール親水化物を活性剤と共に洗剤中に含有させると、洗濯により取り除かれた汚れによる再汚染を防止して、高い洗浄力を発揮することになる。
【0003】
このようなポリアルキレングリコール親水化物として、アルコールのアルキレンオキシド付加物と無水マレイン酸を反応させて得られるマレイン酸モノエステルをスルホン化させて、スルホコハク酸モノエステルを製造する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、特定の高級第2級アルコールアルコキシレートのスルホコハク酸モノエステル塩を特定の割合で含む混合物であるスルホコハク酸モノ高級第2級アルコールアルコキシレートエステル塩が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。これらのポリアルキレングリコールスルホン化物は、ポリアルキレングリコール−マレイン酸エステルを合成し、マレイン酸の二重結合部分をスルホン化するものであり、分子内にエステル結合を持つものである。しかしながら、エステル結合は、例えば、洗剤として好適に用いられる中性から弱アルカリ性の条件下では加水分解しやすく、このような条件下で保存や使用する場合に、安定性に優れるものとする工夫の余地があった。
【0004】
またスルホン酸基を有していてもよいポリアルキレングリコールを有するアニオン性界面活性剤が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。しかし、実施例及び本文に記載の方法は全て硫酸化の方法であって、スルホン化の方法は明示されておらず、ポリアルキレングリコールスルホン化物を得るための工夫の余地があった。
【0005】
更にROCHCH(OZ)CHO(AO)(R:炭素数6〜22の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基、Z:カルボキシル基、硫酸エステル残基、プロピルスルホン酸基、リン酸エステル基等)で表されるアニオン性化合物又はその塩が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。この化合物は、アニオン性官能基が分子の中央に位置する構造となっていた。このようなアニオン性化合物及びアニオン性界面活性剤並びに洗浄剤組成物においては、製造の際に、スルホン化工程で、有機溶媒中での脱水が必要であること、カルボキシル基導入にハロゲン化カルボン酸を用いていることから、製造工程を簡略にし、ハロゲンが混入するおそれをなくすことが求められていた。また、種々の機能を向上し、様々な用途に好適に適用できるようにするために、その構造を工夫する余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−158768号公報(第2頁)
【特許文献2】特開平11−349556号公報(第2頁)
【特許文献3】特開2002−80888公報(第2、5、10頁)
【特許文献4】特開平9−227449号公報(第2、5頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、洗剤用ビルダー、洗剤、水処理剤、分散剤等の用途において好適であり、洗浄力等の点で高い基本性能を発揮することができるポリアルキレングリコール親水化物、その製造方法及び用途を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、ポリアルキレングリコール親水化物について種々検討したところ、分子内にエステル結合を有すると、特にアルカリ性条件下で加水分解しやすいことに着目し、ポリアルキレングリコール親水化物を、各種用途において基本性能を発揮するために必要な親水基を末端に有しながら、分子内にエステル結合を持たない構造とすることに想到した。また、末端に親水基を有することで、親水基が分子の中央に位置する構造よりも、例えば、分散性(ミセル形成等)、再汚染防止能をより向上させることができ、アルカリ領域でも保存等の安定性が高いだけでなく、特にカーボンブラックに対する再汚染防止能において、ポリアルキレングリコールより高い洗浄性能を示し、洗剤用ビルダー等としての効果が充分に発揮できることを見いだした。また、スルホン酸基の導入は、塩化チオニルや三ハロゲン化リン、ハロゲン化水素等のハロゲン化物を用いずに行うことができることを見出した。このような製造工程によると、脱塩酸過程や、特殊な材質の反応装置や排気装置が不要となるため製造工程や装置が簡略化され、残留塩素や強酸による腐食の可能性が低減し、製造装置として耐腐食性を有する高価な材質を使用する必要がないためコストパフォーマンスに優れ、更に、生成したポリアルキレングリコール親水化物の残留塩素が低減されることから、これを使用して洗濯した際に、衣服の傷みが減少することも見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到した。更に、洗剤用ビルダー、洗剤、水処理剤、分散剤等の様々な用途に好適に適用することができることも見いだし、本発明に到達したものである。
【0009】
また、通常のスルホン化剤ではポリアルキレングリコールの末端をスルホン化できず硫酸エステルが生成する。ポリアルキレングリコールをスルホン化する方法としては、ハロゲン化水素や塩化チオニル、三ハロゲン化リンと反応させてハロゲン化アルキルを作成し、亜硫酸ナトリウム等を反応させる方法などがある。しかし、塩化チオニルを使用する方法では、反応系及び生成物に塩素が残留するおそれがある。また、強酸であるハロゲン化水素や毒性の強い三ハロゲン化リンを使用する方法では特殊な製造装置を必要とするため、このようなハロゲン化物を含まない原料にて、目的のポリアルキレングリコールスルホン化物を得るための工夫の余地があった。
【0010】
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表されるポリアルキレングリコール親水化物である。
【0011】
【化1】

【0012】
式中、X及びYは、互いに異なって、水素原子、−SOM、−S−CH−CH−SOM、−PO又は−S−(CH−COOMを表す。Mは、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム基又は有機アンモニウム基を表す。R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。ただし、同時にメチル基を表さない。R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。ただし、同時にアルキル基を表さない。R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。ただし、同時にアルキル基を表さない。Rは、水素原子、炭素数1〜14のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数2〜8の多価アルコール基、下記一般式(2−1)で表されるZ、又は、下記一般式(2−2)で表されるZを表す。p、q、r及びsは、価数を表し、pは、0〜5、qは、0〜1、r及びsは、r+s=3〜100の整数である。
【0013】
【化2】

【0014】
式中、X及びYは、互いに異なって、水素原子、−SOM、−S−CH−CH−SOM、−PO又は−S−(CH−COOMを表す。Mは、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム基又は有機アンモニウム基を表す。R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。ただし、同時にメチル基を表さない。R10は、炭素数1〜15のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表す。
以下に本発明を詳述する。
【0015】
本発明は、上記一般式(1)で表されるポリアルキレングリコール親水化物である。上記ポリアルキレングリコール親水化物は、分子内にエステル結合を持たないため、アルカリ領域でも保存安定性が高いだけでなく、ポリアルキレングリコールより高い洗浄性能を有し、特にカーボンブラックに対して高い再汚染防止能を示す。上記ポリアルキレングリコール親水化物は、X又はY(及びX又はY)で表される親水基を有するものであるが、アニオン性基を有するものであればよく、アニオン性基を有する誘導体も含まれるものである。
上記式(1)において、X及びYは、互いに異なって、水素原子、−SOM、−S−CH−CH−SOM、−PO又は−S−(CH−COOMである。これらの中でも、X及びYは、互いに異なって、水素原子又は−SOMを表すことが好適である。X及びYは、互いに異なることになるが、一方が水素原子であり、他方が−SOMであることが好ましい。X及びYとしては、Xが、−SOMであり、Yが水素原子であることが好ましい。
上記Mにおけるアルカリ金属原子としては、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子等のアルカリ金属が好適であり、アルカリ土類金属原子としては、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属が好適である。また、有機アンモニウム基(有機アミン基)としては、エタノールアミン基、ジエタノールアミン基、トリエタノールアミン基等のアルカノールアミン基や、トリエチルアミン基が好適である。更に、アンモニウム基であってもよい。これらの中でも、ナトリウム原子が好ましい。
【0016】
及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。ただし、同時にメチル基を表さない。R及びRとしては、Rが、メチル基であり、Rが、水素原子である場合、R及びRが、共に水素原子である場合が好ましい。
【0017】
上記R〜Rは、同一若しくは異なって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。ただし、R及びRは、同時にアルキル基を表さない。また、R及びRも、同時にアルキル基を表さない。R〜Rにおける炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の直鎖:イソプロピル基、イソブチル基等の分岐状アルキル基が好適である。上記R〜Rとして好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基であり、より好ましくは、水素原子、メチル基であり、更に好ましくは、水素原子である。
【0018】
上記Rは、水素原子、炭素数1〜14のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数2〜8の多価アルコール基、上記一般式(2−1)で表されるZ、又は、上記一般式(2−2)で表されるZを表す。Rにおける炭素数1〜14のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等の直鎖;イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、下記式(5)で表される基等の分岐状アルキル基が好適である。
【0019】
【化3】

【0020】
式中、m及びnは、整数を表し、m+n=9〜11である。
上記炭素数1〜14のアルキル基としてより好ましくは、メチル基、エチル基、上記式(5)で表される基であり、更に好ましくは、メチル基、上記式(5)で表される基である。
上記炭素数6〜10のアリール基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が好適である。より好ましくは、フェニル基、ナフチル基であり、更に好ましくは、フェニル基である。
【0021】
上記多価アルコールとしては、ポリグリシドール、グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−ペンタトリオール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール等が好適である。また、糖類として、グルコース、フルクトース、マンノース、インドース、ソルボース、グロース、タロース、タガトース、ガラクトース、アロース、プシコース、アルトロース等のヘキソース類の糖類;アラビノース、リブロース、リボース、キシロース、キシルロース、リキソース等のペントース類の糖類;トレオース、エリトルロース、エリトロース等のテトロース類の糖類;ラムノース、セロビオース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、シュウクロース、ラフィノース、ゲンチアノース、メレジトース等のその他糖類;これらの糖アルコール、糖酸(糖類;グルコース、糖アルコール;グルシット、糖酸;グルコン酸)等も好ましい。
更に、これらの例示化合物の部分エーテル化合物や部分エステル化物等の誘導体も好適である。これらの中でも、ソルビトールがより好ましい。
【0022】
上記一般式(2−1)で表されるZとしては、X及びYは、互いに異なって、水素原子、−SOM、−S−CH−CH−SOM、−PO又は−S−(CH−COOMである。これらの中でも、X及びYは、互いに異なって、水素原子又は−SOMを表すことが好適である。X及びYは、互いに異なることになるが、一方が水素原子であり、他方が−SOMであることが好ましい。X及びYとしては、Xが、−SOMであり、Yが水素原子であることが好ましい。Mは、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム基又は有機アンモニウム基を表す。
及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。ただし、同時にメチル基を表さない。R及びRとしては、Rが、メチル基であり、Rが、水素原子である場合、R及びRが、共に水素原子である場合が好ましい。
上記pとしては、0〜5が好ましく、0〜1がより好ましい。
上記qとしては、0〜1が好ましい。
上記一般式(2−2)で表されるZとしては、R10は、炭素数1〜15のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表す。R10における炭素数1〜15のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等の直鎖;イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、上記式(5)で表される基等の分岐状アルキル基が好適である。
10における炭素数6〜10のアリール基としては、上述したRにおける炭素数6〜10のアリール基と同様であることが好ましい。
【0023】
上記r及びsは、オキシアルキレン基の平均付加モル数を示し、通常では、付加モル数が分布することになる。すなわちポリアルキレングリコール親水化物中の付加モル数は、r+s=3〜100である。上記オキシアルキレン基は、水中では、カーボンブラック等の汚染物質を吸着する効果を示し、親水基はポリアルキレングリコール親水化物に分散性を与える。r+sをこのような範囲とすることで、オキシアルキレン基と親水基の作用効果を充分に発揮することができる。平均付加モル数として好ましくは、4〜100である。より好ましくは、5〜80であり、更に好ましくは8〜60である。60以下とすることにより、取り扱いが容易なものとすることができる。平均付加モル数とは、ポリアルキレングリコール親水化物1モルあたりに付加しているオキシアルキレン基のモル数の平均値である。なお、個々の−O−CH(R)−CH(R)−の単位、−O−CH(R)−CH(R)−の単位の結合形態としては、ランダム、ブロック、交互結合のいずれの形態であってもよく、(−O−CH−CH(OH)−CH−)の次に結合する単位は、いずれであってもよい。また、rが2以上の場合、R、Rは、互いに異なっていてもよく、sが2以上の場合、R、Rは、互いに異なっていてもよい。
【0024】
上記ポリアルキレングリコール親水化物は、上記一般式(1)におけるX及びYが、互いに異なって、水素原子又は−SOMを表し、上記一般式(2−1)におけるX及びYが、互いに異なって、水素原子又は−SOMを表すポリアルキレングリコールスルホン化物であることが好ましい。このように、上記一般式(1)で表されるポリアルキレングリコールスルホン化物(ただし、上記一般式(1)におけるX及びYが、互いに異なって、水素原子又は−SOMを表す。上記一般式(2−1)におけるX及びYは、互いに異なって、水素原子又は−SOMを表す。)もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
【0025】
上記ポリアルキレングリコール親水化物は、(1)Rが、メチル基を表し、Rが、水素原子を表し、pは、1、qは、0である形態、(2)R及びRが、水素原子を表し、p及びqが、0である形態、(3)R及びRが、水素原子を表し、pが、0であり、qが、1である形態が好ましい。
上記形態としては、(1)がイソプレノール、(2)がアリルアルコール、(3)がアリルグリシジルエーテルに由来する骨格を有するものとすることができ、二重結合周辺の立体障害が少ないことによる親水化工程の容易さ、等の利点がある。
【0026】
上記(1)〜(3)の形態としては更に、(4)上記(1)又は(2)の形態において、sは0であり、R、R及びRが、水素原子を表す形態、(5)上記(3)の形態において、sは0であり、R及びRが、水素原子を表し、Rが、炭素数1〜14のアルキル基(直鎖又は分岐状アルキル基)又は炭素数2〜8の多価アルコール基を表す形態、(6)上記(1)又は(2)の形態において、sは0であり、R及びRが、水素原子を表し、Rが、Zを表す形態であることがより好ましい。
【0027】
上記(4)〜(6)の形態においては、R〜Rが、水素原子であり、アルキレングリコール鎖がポリエチレングリコールであるため、水溶性が高いという利点がある。
上記(4)〜(6)の形態において、r+sの好ましい範囲は上述のとおりであり、(4)の形態では、r+sが10、25、50であることが特に好ましく、(5)の形態では10、20、50であることが特に好ましい。
上述したように、本発明のポリアルキレングリコール親水化物は、スルホン酸(塩)基を有するポリアルキレングリコールスルホン化物であることが好ましい。また、ポリアルキレングリコールスルホン化物が、上記(1)〜(5)の形態であることがより好ましい。なお、スルホン酸(塩)基は、スルホン酸基が酸型であっても塩型であってもよいことを示す。上記ポリアルキレングリコールスルホン化物のスルホン酸基は、一部又は全部が塩の形態であってもよい。
【0028】
本発明のポリアルキレングリコール親水化物は、ポリアルキレンオキシドと親水基とを有することから、種々の機能を発揮するものであり、特に優れた再汚染防止能を有するものである。再汚染防止能は、用いる水溶液の硬度に依存し、(I)CaCO濃度が50ppmである水溶液(低硬度)での再汚染防止能が80%以上か、(II)CaCO濃度が200ppmである水溶液(高硬度)での再汚染防止能が40%以上であることが好ましい。高硬度においては、汎用の界面活性剤として用いられる直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)やアルキル硫酸塩(AS)等は、カルシウムイオンやマグネシウムイオン等の硬度成分と塩を形成・析出沈殿するため、高硬度条件では実質的な活性剤濃度の低下がおこる。これが、再汚染防止能が硬度条件で低くなる原因のひとつであると考えられる。
このように、上記ポリアルキレングリコール親水化物は、(I)CaCO濃度が50ppmである水溶液での再汚染防止能が80%以上である形態、(II)CaCO濃度が200ppmである水溶液での再汚染防止能が40%以上である形態もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
なお、再汚染防止能の評価方法は、後述する再汚染防止能評価試験を用いることができる。
(I)において、再汚染防止能が80%以上であると、評価対象である白布が充分に白くなり、洗剤用ビルダーとして充分である。低硬度条件における再汚染防止率の好ましい範囲は、83%以上であり、より好ましくは85%以上である。
(II)において、再汚染防止能が40%以上であると、評価対象である白布に汚染物質(後述する再汚染防止能評価試験では、カーボンブラック)が評価対象である白布にまだら模様に凝集物として付着し、再汚染防止能が充分ではない。高硬度条件における再汚染防止率の好ましい範囲は、45%以上であり、より好ましくは50%以上である。
【0029】
本発明はまた、ポリアルキレンオキシドとスルホン酸(塩)基とを有するポリアルキレングリコールスルホン化物であって、該ポリアルキレングリコールスルホン化物は、CaCO濃度が200ppmである水溶液での再汚染防止能が40%以上であり、エステル結合を含まないものであるポリアルキレングリコールスルホン化物でもある。このようなポリアルキレングリコールスルホン化物の再汚染防止能において、好ましい範囲としては、上述のとおりである。
上記ポリアルキレングリコールスルホン化物は、分子内にエステル結合を含まないものであることから、洗剤として好適に用いられる中性から弱アルカリ性の条件下でも加水分解しにくく、このような条件下で保存や使用する場合に、安定性に優れるものとなる。
【0030】
本発明は更に、二重結合を有するポリアルキレングリコールの二重結合を親水化する工程によりポリアルキレングリコール親水化物を製造する方法であって、上記親水化工程は、ハロゲン化物を実質的に含まない原料にて製造するポリアルキレングリコール親水化物の製造方法でもある。
【0031】
上記親水化工程としては、ハロゲン化物を実質的に含まない原料でポリアルキレングリコール親水化物を製造するものであれば特に限定されず、例えば、二重結合を有するポリアルキレングリコールと実質的にハロゲン化物を含まない親水化剤をそのまま、又は、ラジカル発生源もしくは酸素の存在下で反応させることができる。中でも、ラジカル発生源もしくは酸素の存在下で反応させることが好ましい。なお、ハロゲン化物を実質的に含まない原料とは、ハロゲン化物の含有量が1000ppm以下のものを意味する。ハロゲン化物の含有量としては、500ppm以下が好ましく、100ppm以下がより好ましい。
上記ハロゲン化物を実質的に含まない親水化剤としては、亜硫酸水素アンモニウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素ナトリウム等の亜硫酸水素塩;亜硫酸アンモニウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩;二亜硫酸カリウム、二亜硫酸ナトリウム等の二亜硫酸塩、メルカプトイセチオン酸、亜リン酸塩(アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩)、次亜リン酸塩(アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩)、メルカプトプロピオン酸、メルカプト酢酸等の1種又は2種以上が好ましい。これらの中でも、より好ましくは、亜硫酸水素アンモニウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素ナトリウム等の亜硫酸水素塩;亜硫酸アンモニウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩;二亜硫酸カリウム、二亜硫酸ナトリウム等の二亜硫酸塩等のスルホン化剤である。このように、ハロゲン化物を実質的に含まないスルホン化剤を用いてポリアルキレングリコールスルホン化物を製造することが好ましい。二重結合を有するポリアルキレングリコールの二重結合をスルホン化する工程によりポリアルキレングリコールスルホン化物を製造する方法であって、該スルホン化工程は、ハロゲン化物を実質的に含まない原料にて製造するこポリアルキレングリコールスルホン化物の製造方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。上記スルホン化剤としてより好ましくは、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウムであり、更に好ましくは、亜硫酸水素ナトリウムである。
なお、上記親水化剤は、ハロゲン化物を実質的に含まないものであればよく、例えば、500ppm以下、好ましくは、100ppm以下のハロゲン化物を不純物として含んでいてもよい。
上記親水化工程の好ましい形態としては、ラジカル発生源もしくは酸素の存在下、亜硫酸水素塩及び/又は亜硫酸塩と反応させるものである。
【0032】
上記親水化工程を行う反応条件は、反応に用いる化合物、目的とするポリアルキレングリコール親水化物の末端構造等に応じて適宜設定すればよく、例えば、反応温度としては、0〜200℃で行うことが好ましい。より好ましくは、5℃以上、150℃以下であり、更に好ましくは、10℃以上、120℃以下であり、特に好ましくは、15℃以上、100℃以下であり、最も好ましくは、20℃以上、80℃以下である。また、反応時間としては、1〜100時間が好ましい。より好ましくは、2時間以上、50時間以下であり、更に好ましくは、3時間以上、30時間以下であり、特に好ましくは、4時間以上、25時間以下である。
【0033】
上記親水化工程において、反応に用いるポリアルキレングリコールと、親水化剤とのモル比としては、(ポリアルキレングリコール)/(親水化剤)=1/1〜1/30であることが好ましい。上記モル比としては、より好ましくは、1/1〜1/20であり、更に好ましくは、1/1〜1/15であり、特に好ましくは、1/1〜1/10であり、最も好ましくは、1/1〜1/8である。
上記親水化工程は空気雰囲気下で行ってもよいし、不活性ガス雰囲気下で行ってもよいが、空気雰囲気下で行うことがより好ましい。
【0034】
上記親水化工程は、例えば、反応器にアルケニル基の末端構造を有するポリアルキレングリコールを仕込んでおいて、親水化剤を一括添加してもよいし、逐次添加してもよいが、逐次添加が好ましい。ラジカル発生源を用いる場合は、過硫酸塩をラジカル発生源として用いることが好ましい。親水化剤と、ラジカル発生剤とのモル比としては、(親水化剤)/(ラジカル発生剤)=1/0.01〜1/5が好ましく、より好ましくは1/0.1〜1/2であり、更に好ましくは、1/0.2〜1/1である。ラジカル発生剤は一括して添加してもよいし、逐次添加してもよいが、逐次添加が好ましい。酸素の存在下で反応させる場合は、空気又は酸素をバブリングしてもよいし、反応を空気雰囲気下で行うだけでもよい。溶媒は、水、アルコール、グリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等の水性溶媒が好ましく、特に好ましくは水である。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。反応溶液の25℃におけるpHは、6〜10が好ましく、より好ましくは7〜9である。pHが6未満では有毒な亜硫酸ガスが発生し、さらに有効に付加させることができないため好ましくない。また、pHが10を超えると安全性の観点から好ましくない。反応温度としては、10〜60℃が好ましく、より好ましくは20〜40℃である。反応溶液の濃度は20〜60質量%が好ましく、より好ましくは30〜50質量%であり、更に好ましくは35〜45質量%である。反応溶液の濃度が60質量%を超えると溶存酸素濃度が低下して反応に時間がかかるため好ましくない。また、濃度が20質量%未満では生産性の観点から好ましくない。
【0035】
本発明の二重結合を有するポリアルキレングリコール中にエステル結合を含む場合、少なくともポリアルキレングリコール側に二重結合を含む必要がある。カルボン酸側には特に限定されない。例えば、アルキルアルコールエチレンオキシド付加物の酢酸エステルやイソプレノールエチレンオキシド付加物のアクリル酸エステルなどは含まれるが、ポリエチレングリコールメトキシレートのアクリル酸エステルやポリエチレングリコールのマレイン酸エステルなどは含まれない。
【0036】
上記製造方法は、下記一般式(1)で表されるポリアルキレングリコール親水化物を製造するに際し、下記一般式(3)で表される二重結合を有するポリアルキレングリコールの二重結合を親水化させるポリアルキレングリコール親水化物の製造方法であることが好ましい。
【0037】
【化4】

【0038】
式中、X及びYは、互いに異なって、水素原子、−SOM、−S−CH−CH−SOM、−PO又は−S−(CH−COOMを表す。Mは、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム基又は有機アンモニウム基を表す。R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。ただし、同時にメチル基を表さない。R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。ただし、同時にアルキル基を表さない。R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。ただし、同時にアルキル基を表さない。Rは、水素原子、炭素数1〜14のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数2〜8の多価アルコール基、下記一般式(2−1)で表されるZ、又は、下記一般式(2−2)で表されるZを表す。p、q、r及びsは、価数を表し、pは、0〜5、qは、0〜1、r及びsは、r+s=3〜100の整数である。
【0039】
【化5】

【0040】
式中、X及びYは、互いに異なって、水素原子、−SOM、−S−CH−CH−SOM、−PO又は−S−(CH−COOMを表す。Mは、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム基又は有機アンモニウム基を表す。R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。ただし、同時にメチル基を表さない。R10は、炭素数1〜15のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表す。
【0041】
【化6】

【0042】
式中、R、R、R、R、R及びRは、上記式(1)におけるR、R、R、R、R及びRに同じ。R11は、水素原子、炭素数1〜14のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数2〜8の多価アルコール基、下記一般式(4)で表されるZ、又は、上記一般式(2−2)で表されるZを表す。p、q、r及びsは、上記式(1)におけるp、q、r及びsに同じ。
【0043】
【化7】

【0044】
式中、R及びRは、上記一般式(2−1)におけるR及びRに同じ。
上記製造方法においては、ポリアルキレングリコール親水化物は、上記一般式(1)におけるX及びYが、互いに異なって、水素原子又は−SOMを表し、上記一般式(2−1)におけるX及びYが、互いに異なって、水素原子又は−SOMを表すポリアルキレングリコールスルホン化物であることが好ましい。このように、上記製造方法は、上記一般式(1)で表されるポリアルキレングリコールスルホン化物を製造するに際し、上記一般式(3)で表される二重結合を有するポリアルキレングリコールの二重結合をスルホン化させるポリアルキレングリコールスルホン化物の製造方法(ただし、上記一般式(1)におけるX及びYが、互いに異なって、水素原子又は−SOMを表す。上記一般式(2−1)におけるX及びYは、互いに異なって、水素原子又は−SOMを表す。)もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
【0045】
上記親水化工程においては、上記一般式(3)で表されるように、二重結合を有するポリアルキレングリコールがアルケニル基の末端構造を有する場合に、親水化剤を用いて反応させることができる。アルケニル基の末端構造を有するポリアルキレングリコールとしては、イソプレノール、アリルアルコール又はアリルグリシジルエーテルに由来する骨格を有する下記一般式(6)〜(8)で表される化合物が好適である。
【0046】
【化8】

【0047】
【化9】

【0048】
【化10】

【0049】
上記式(6)〜(8)中、R、R、R11及びrは、上記式(3)におけるR、R、R11及びrに同じ。
【0050】
上記アルケニル基の末端構造を有するポリアルキレングリコールとしてより好ましくは、上記一般式(6)及び(7)において、R、R及びR11が水素原子である下記一般式(9)で表されるイソプレノール・エチレンオキシド付加物、下記一般式(10)で表されるアリルアルコール・エチレンオキシド付加物であり、上記一般式(8)において、R及びRが水素原子であり、R11が炭素数1〜14のアルキル基(直鎖又は分岐状アルキル基)又は炭素数2〜8の多価アルコールである下記一般式(11)で表される化合物である。
【0051】
【化11】

【0052】
【化12】

【0053】
【化13】

【0054】
上記アルケニル基の末端構造を有するポリアルキレングリコールとしては、また、上記式(3)において、R11が上記式(2−2)である下記式(12)で表される化合物も好ましい。なお、R10は上記式(2−2)におけるR10と同じである。
【0055】
【化14】

【0056】
上記一般式(9)で表されるイソプレノール・エチレンオキシド付加物としては、イソプレノール・エチレンオキシド10モル付加物、イソプレノール・エチレンオキシド50モル付加物等が好適である。これらの中でも、イソプレノール・エチレンオキシド10モル付加物、イソプレノール・エチレンオキシド50モル付加物が好ましく、イソプレノール・エチレンオキシド50モル付加物がより好ましい。
【0057】
上記一般式(10)で表されるアリルアルコール・エチレンオキシド付加物としては、アリルアルコール・エチレンオキシド5モル付加物、アリルアルコール・エチレンオキシド10モル付加物、アリルアルコール・エチレンオキシド15モル付加物、アリルアルコール・エチレンオキシド25モル付加物、アリルアルコール・エチレンオキシド35モル付加物、アリルアルコール・エチレンオキシド50モル付加物等が好適である。これらの中でも、アリルアルコール・エチレンオキシド5モル付加物、アリルアルコール・エチレンオキシド10モル付加物、アリルアルコール・エチレンオキシド25モル付加物が好ましい。
【0058】
上記一般式(11)で表される化合物は、例えば、下記反応式(1)で表されるように、ポリアルキレングリコールとアリルグリシジルエーテル(AGE)を反応させることにより得ることができる。このようにして上記一般式(11)で表される化合物のAGEに由来する二重結合を亜硫酸水素ナトリウム(SBS)等により親水化することにより、二重結合を持たないポリアルキレングリコールを親水化するための方法とすることができる。
【0059】
【化15】

【0060】
上記一般式(11)で表される化合物としては、R11がメチル基であるメトキシポリエチレングリコールとアリルグリシジルエーテルとの反応物、R11が上記一般式(5)で表される炭素数12〜14のアルキル基であるソフタノール(登録商標)とアリルグリシジルエーテルの反応物、R11がベンジル基であるフェノキシポリエチレングリコールとアリルグリシジルエーテルの反応物、R11のアルコール部分がソルビトールであるソルビトール・エチレンオキシド付加物とアリルグリシジルエーテルの反応物が好ましい。
【0061】
上記一般式(12)で表される化合物としては、下記式に示すように、アルキル(アリール)グリシジルエーテルに二重結合を持つPEG鎖を反応させて得ることが好ましい。
【0062】
【化16】

【0063】
【化17】

【0064】
上記製造方法によれば、ポリアルキレングリコールを親水化する際に、毒性の強い三ハロゲン化リン等のハロゲン化物を用いていないことから、特別な排気装置等を必要とせず、製造装置を単純なものとすることができる。塩化チオニル等の塩化物を用いていないことから、脱塩酸過程が不要であるため製造装置を単純なものとすることができる。また、塩化チオニル等の塩化物や強酸であるハロゲン化水素を用いていないことから、反応釜等の製造過程での腐食が生じるおそれがないため、製造装置の材質が、例えば、グラスライニングやテフロン(登録商標)等の高級材質に限定されず、SUS等を好適に用いることができ、更に、製造装置のメンテナンスが容易になる。また、得られたポリアルキレングリコール親水化物が、残留塩素を実質的に含まないことから、洗剤用途に用いた場合に洗濯の際の塩素による衣服の傷みが起こらない。したがって、上記製造方法によれば、得られるポリアルキレングリコール親水化物、及び、製造工程におけるハロゲン化物の濃度を充分に低減することができ、例えば、最終製品中及び/又は全製造工程における反応溶液中のハロゲン化物の濃度を10ppm以下とすることができる。
【0065】
このように、(1)ポリアルキレングリコール親水化物中のハロゲン化物の濃度が10ppm以下であるポリアルキレングリコール親水化物、(2)全製造工程における重合溶液中のハロゲン化物の濃度が10ppm以下であるポリアルキレングリコール親水化物の製造方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。なお、上記ハロゲン化物の濃度が10ppm以下であるポリアルキレングリコール親水化物の製造方法は、特に限定されず、上記製造方法でも、又は、その他の製造方法でもよい。
本発明のポリアルキレングリコール親水化物は、上述した製造方法により得ることもでき、上記製造方法により製造されたポリアルキレングリコール親水化物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
【0066】
本発明は更に、本発明のポリアルキレングリコール親水化物を必須成分とする洗浄用組成物、水処理剤又は分散剤でもある。上記ポリアルキレングリコール親水化物は、本発明の製造方法により製造されてなるポリアルキレングリコール親水化物でもよく、その他の製造方法により製造されてなるものでもよい。また、上記洗浄用組成物は、洗浄剤用添加剤、洗浄剤、洗剤用ビルダー(洗剤ビルダー)、洗剤を意味する。
上記洗剤用ビルダーは、洗浄中の衣類等に汚れが再付着するのを防止するための作用を発揮するものである。ポリアルキレングリコール親水化物が汚れの再付着を防止する場合、ポリアルキレンオキシド鎖の立体構造に起因する作用と共に、疎水性の末端構造を有するときには汚れとの親和性を低下させる作用、又は、親水性の末端構造を有するときには、汚れの分散作用が充分に発揮されるようにすることが好ましい。
【0067】
上記洗剤用ビルダーは、界面活性剤との相溶性に優れ、得られる洗剤が高濃縮の液体洗剤となる点から、液体洗剤用ビルダーとして好適に用いることができる。界面活性剤との相溶性に優れることにより、液体洗剤に用いた場合の透明性が良好となり、濁りが原因として起こる液体洗剤の分離の問題を防ぐことができる。また、相溶性が優れることにより、高濃縮の液体洗剤とすることができ、液体洗剤の洗浄能力を向上することができる。
上記洗剤ビルダーは、再汚染防止能に優れ、更に、長期間保存した場合の性能低下や低温で保持した場合の不純物析出等が生じにくい極めて高品質剤性能で安定性に優れた洗剤ビルダーとすることができる。
【0068】
上記洗剤ビルダーにおけるポリアルキレングリコール親水化物以外の他の組成成分や配合比率としては、通常の洗剤ビルダーに用いることができる各種成分、及び、その配合比率に基づき、本発明の作用効果を損なわない範囲で適宜用いることができる。
【0069】
上記洗剤は、粉末洗剤であってもよいし、液体洗剤であってもよいが、ポリアルキレングリコール親水化物が液体洗剤との溶解性に優れる点から、液体洗剤が好ましい。上記洗剤には、ポリアルキレングリコール親水化物以外に、通常、洗剤に用いられる添加剤を用いることができる。上記添加剤としては、例えば、界面活性剤、アルカリビルダー、キレートビルダー、ポリアクリレートやポリアクリレート/マレートコポリマー等のポリカルボキシレートやカルボキシメチルセルロースナトリウム等の汚染物質の再沈着を防止するための再付着防止剤、ベンゾトリアゾールやエチレン−チオ尿素等のよごれ抑制剤、ソイルリリース剤、色移り防止剤、柔軟剤、pH調節のためのアルカリ性物質、香料、可溶化剤、蛍光剤、着色剤、起泡剤、泡安定剤、つや出し剤、殺菌剤、漂白剤、漂白助剤、酵素、染料、溶媒等が好適である。また、粉末洗剤の場合にはゼオライトを配合することが好ましい。
上記洗剤に用いる場合、ポリアルキレングリコール親水化物は、洗剤100質量%に対して0.1〜20質量%添加することが好ましく、より好ましくは0.2〜10質量%であり、更に好ましくは0.3〜5質量%であり、特に好ましくは0.4〜4質量%である。0.1質量%未満であると、洗剤の洗浄力が不充分になるおそれがあり、20質量%を超えると、不経済になるおそれがある。
【0070】
上記洗剤におけるポリアルキレングリコール親水化物の配合形態は、液状、固形状等のいずれであってもよく、洗剤の販売時の形態(例えば、液状物又は固形物)に応じて決定することができる。重合後の水溶液の形態で配合してもよいし、水溶液の水分をある程度減少させて濃縮した状態で配合してもよいし、乾燥固化した状態で配合してもよい。
なお、上記洗剤は、家庭用洗剤の合成洗剤、繊維工業その他の工業用洗剤、硬質表面洗浄剤のほか、その成分の1つの働きを高めた漂白洗剤等の特定の用途にのみ用いられる洗剤も含む。
【0071】
上記界面活性剤は、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種であり、これらの界面活性剤は1種又は2種以上を使用することができる。2種以上使用する場合、アニオン系界面活性剤とノニオン系界面活性剤とを合わせた使用量は、全界面活性剤100質量%に対して50質量%以上が好ましい。より好ましくは、60質量%以上であり、更に好ましくは、70質量%以上であり、特に好ましくは、80質量%以上である。
【0072】
上記アニオン系界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸又はエステル塩、アルカンスルホン酸塩、飽和脂肪酸塩、不飽和脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルケニルエーテルカルボン酸塩、アミノ酸型界面活性剤、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、アルキルリン酸エステル又はその塩、アルケニルリン酸エステル又はその塩等が好適である。
上記アニオン系界面活性剤におけるアルキル基、アルケニル基は、メチル基等のアルキル基が分岐していてもよい。
【0073】
上記ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、高級脂肪酸アルカノールアミド又はそのアルキレンオキサイド付加物、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグリコキシド、脂肪酸グリセリンモノエステル、アルキルアミンオキサイド等が好適である。上記ノニオン系界面活性剤におけるアルキル基、アルケニル基は、メチル基等のアルキル基が分岐していてもよい。
上記カチオン系界面活性剤としては、第4アンモニウム塩等が好適である。
上記両性界面活性剤としては、カルボキシル型両性界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤等が好適である。
上記カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤におけるアルキル基、アルケニル基は、メチル基等のアルキル基が分岐していてもよい。
【0074】
上記界面活性剤の配合割合は、通常、液体洗剤100質量%に対して10〜60質量%であることが好ましい。より好ましくは、15質量%以上、50質量%以下であり、更に好ましくは、20質量%以上、45質量%以下であり、特に好ましくは、25質量%以上、40質量%以下である。界面活性剤の配合割合が10質量%未満であると、充分な洗浄力を発揮できなくなるおそれがあり、60質量%を超えると、経済性が低下するおそれがある。
【0075】
上記液体洗剤用ビルダーの配合割合は、通常、液体洗剤100質量%に対して0.1〜20質量%が好ましい。より好ましくは、0.2質量%以上、15質量%以下であり、より好ましくは、0.3質量%以上、10質量%以下であり、更に好ましくは、0.4質量%以上、8質量%以下であり、特に好ましくは、0.5質量%以上、5質量%以下である。液体洗剤用ビルダーの配合割合が0.1質量%未満であると、充分な洗剤性能を発揮できなくなるおそれがあり、20質量%を超えると、経済性が低下するおそれがある。
【0076】
上記液体洗剤に含まれる水分量は、通常、液体洗剤100質量%に対して0.1〜75質量%が好ましい。より好ましくは、0.2質量%以上、70質量%以下であり、更に好ましくは、0.5質量%以上、65質量%以下であり、特に好ましくは、0.7質量%以上、60質量%以下であり、より特に好ましくは、1質量%以上、55質量%以下であり、最も好ましくは、1.5質量%以上、50質量%以下である。
【0077】
上記液体洗剤は、カオリン濁度が200mg/L以下であることが好ましい。より好ましくは、150mg/L以下であり、更に好ましくは、120mg/L以下であり、特に好ましくは、100mg/L以下であり、最も好ましくは、50mg/L以下である。
また、本発明のポリアルキレングリコール親水化物を液体洗剤に添加する場合としない場合とでのカオリン濁度の変化(差)は、500mg/L以下が好ましい。より好ましくは、400mg/L以下であり、更に好ましくは、300mg/L以下であり、特に好ましくは、200mg/L以下であり、最も好ましくは、100mg/L以下である。カオリン濁度は、例えば、下記の方法により測定することができる。
(カオリン濁度の測定方法)
厚さ10mmの50mm角セルに均一に攪拌した試料(液体洗剤)を仕込み、気泡を除いた後、日本電色株式会社製NDH2000(商品名、濁度計)を用いて25℃でのTurbidity(カオリン濁度:mg/L)を測定する。
【0078】
本発明の洗剤に配合することができる酵素としては、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ等が好適である。中でも、アルカリ洗浄液中で活性が高いプロテアーゼ、アルカリリパーゼ及びアルカリセルラーゼが好ましい。
上記酵素の添加量は、洗剤100質量%に対して5質量%以下であることが好ましい。5質量%を超えると、洗浄力の向上が見られなくなり、経済性が低下するおそれがある。
【0079】
上記アルカリビルダーとしては、珪酸塩、炭酸塩、硫酸塩等が好適である。上記キレートビルダーとしては、ジグリコール酸、オキシカルボン酸塩、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、クエン酸等が好適である。水溶性ポリカルボン酸系ポリマーを用いてもよい。
上記洗剤は、分散能に優れ、更に、長期間保存した場合の性能低下や低温で保持した場合の不純物析出等が生じにくい極めて高品質剤性能で安定性に優れた洗剤とすることができる。
【0080】
上記水処理剤は、例えば、冷却水系、ボイラー水系等の水系に添加されることになる。この場合、ポリアルキレングリコール親水化物をそのまま添加してもよく、ポリアルキレングリコール親水化物以外のその他の成分を含むものを添加してもよい。
上記水処理剤におけるポリアルキレングリコール親水化物以外の他の組成成分や配合比率としては、通常の水処理剤に用いることができる各種成分、及び、その配合比率に基づき、本発明の作用効果を損なわない範囲で適宜用いることができる。
【0081】
上記分散剤は、水系の分散剤であればよく、例えば、顔料分散剤、セメント分散剤、炭酸カルシウムの分散剤、カオリンの分散剤等が好適である。
上記分散剤は、ポリアルキレングリコール親水化物が本来有する極めて優れた分散能を発現することができる。また、長期間保存しても性能低下や低温保持時の不純物析出なども生じることのない極めて高品質高性能で安定性に優れた分散剤とすることができる。
【0082】
上記分散剤におけるポリアルキレングリコール親水化物以外の他の組成成分や配合比率としては、通常の分散剤に用いることができる各種成分、及び、その配合比率に基づき、本発明の作用効果を損なわない範囲で適宜用いることができる。
本発明のポリアルキレングリコール親水化物は、このように、洗剤用ビルダー、洗剤、水処理剤又は分散剤の用途において好適なものであるが、その他の用途においても、ポリアルキレングリコール親水化物が用いられる用途において、該共重合体が発揮する各種の特性を向上して好適に用いることができるものである。
【0083】
本発明のポリアルキレングリコール親水化物は、上述のような優れた特性を有するものであり、例えば、下記方法により求めた再汚染防止能が、80%以上であることが好ましく、82%以上であることが更に好ましい。再汚染防止能がこのような範囲であることにより、洗浄用組成物として優れた性能を充分に発揮することができる。
【0084】
(再汚染防止能試験評価)
(1)Test fabric社より入手したポリエステルジャージー布を2cm×2cmに切断し、白布を作成した。この白布を予め日本電色工業社製の測色色差計SE2000型を用いて、白色度を反射率にて測定した。
(2)塩化カルシウム2水和物0.368gに純水を加えて5000gとし、硬水を調製した。上記硬水を25℃の恒温槽につけておいた。
(3)500mビーカーに、硬水500mlと洗濯科学協会より入手したカーボンブラック0.5gをビーカーに入れた。
【0085】
(4)5%炭酸ナトリウム水溶液3g、5%直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(以下LASと略す)水溶液3g、ゼオライト0.1g、固形分換算で1%のTL400水溶液2.5g、固形分換算で0.1%の重合体水溶液2.5gをビーカーに入れ、1分間攪拌した。
(5)白布2枚を入れ、10分間攪拌した。
(6)白布をピンセットで取り出し、25℃にした硬水500mLをビーカーに入れ、2分間攪拌した。これを2回行った。
(7)白布に当て布をして、アイロンでしわを伸ばしながら乾燥させた後、上記測色色差計にて再度白布の白度を反射率にて測定した。
(8)以上の測定結果から下式により再汚染防止率を求めた。
再汚染防止率(%)=(洗浄後の白色度)/(原白布の白色度)×100
【0086】
本発明のポリアルキレングリコール親水化物としては、下記条件における粘度低下率が5%以下であることが好ましく、3%以下であることが更に好ましい。このような条件下でも粘度低下率が低いことから、アルカリ条件下における保存安定性に優れており、洗浄用組成物、水処理剤や分散剤として好適に用いることができる。
(保存安定性試験)
(1)固形分換算で40%の重合体水溶液200gを、水酸化ナトリウム水溶液でpH10に調整した。
【0087】
(2)(1)を25℃の恒温槽に1時間保持し、DV−1+型粘度計(ブルックフィールド社製)にて粘度を測定した。
(3)(2)を40℃の恒温槽に入れ、24時間保持した。
(4)(3)を25℃の恒温槽に1時間保持し、DV−1+型粘度計にて粘度を測定した。
(5)以上の測定結果から下式により粘度低下率を求めた。
【0088】
【数1】

【0089】
上述したように、本発明のポリアルキレングリコール親水化物は、スルホン酸(塩)基を有するポリアルキレングリコールスルホン化物であることが好ましい。すなわち、上記ポリアルキレングリコールスルホン化物を必須成分とする洗浄用組成物、水処理剤又は分散剤もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
【発明の効果】
【0090】
本発明のポリアルキレングリコール親水化物は、上述の構成よりなり、洗剤用ビルダー、洗剤、水処理剤、分散剤等の用途において好適であり、洗浄力等の基本性能の高さを充分に発揮することができるポリアルキレングリコール親水化物、その製造方法及び用途である。
【発明を実施するための形態】
【0091】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
【0092】
実施例1
温度計、攪拌機を備えたガラス製の反応器にイソプレノール・エチレンオキシド50モル付加物を22.9g、純水を36.0g仕込み、攪拌しながら、亜硫酸水素ナトリウム1.1gを加えた。さらに、少量の48%水酸化ナトリウムを加え、pHを9程度に調製した。この重合体水溶液を攪拌下、反応器を密閉せずに開放した状態で、室温で8時間反応させ、水溶性重合体(1)を得た。水溶性重合体(1)の生成は以下のようにして確認した。
得られた水溶性重合体(1)について、適量の水を加えて、濃度30質量%の重合体水溶液を50g程度調製し、これを長さ40cmの透析膜中に20g入れ、密閉した。透析膜には、Spectra/Por Membrane MWCO:1000 分画分子量1000(SPECTRUM LABORATORIES INC社製)を用いた。(なお、本発明では、当該透析膜と同程度の分画分子量を有するものであればよい。)
【0093】
これを2リットルのビーカーに入った2000gの水に浸し、スターラーで攪拌した。3時間後、ビーカーから透析膜を取り出し、透析膜の外側を水でよく洗い流した後、透析膜の中身を取り出した。取り出した中身をエヴァポレータで濃縮した後、減圧にしたデシケータ内で12時間静置して、完全に乾燥させた。
また、比較として透析前の30質量%の重合体水溶液20gをエヴァポレータで濃縮した後、減圧にしたデシケータ内で12時間静置して乾燥させた。
仕込みの重合体の重量に対する透析後の重量減少は、未反応の亜硫酸水素ナトリウム、或いは、亜硫酸ナトリウムの総重量と考えられるので、この値から反応生成物の収率を計算したところ、96%であった。
【0094】
また、透析後の乾燥サンプルをDOに溶解させ、H−NMRスペクトルを測定したところ、イソプレノールの二重結合がスルホン化された構造由来のシグナルが、1.9〜2.0ppm付近と2.5〜2.9ppm付近に検出された。
また、透析前後のサンプルの硫黄分を誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma,ICP)発光分光分析法によって比較したところ、90%の硫黄分が透析後のサンプルに含まれていた。
以上の結果により、水溶性重合体(1)はイソプレノール・エチレンオキシド50モル付加物の二重結合にスルホン酸基が付加した構造であると確認された。
【0095】
実施例2
温度計、攪拌機を備えたガラス製の反応器にソルビトール・エチレンオキシド20モル付加物を54.6g、粉末状の水酸化カリウムを0.03g仕込み、80℃で1時間攪拌した。温度を60℃に下げた後、アリルグリシジルエーテルを6.8gゆっくりと加え、さらに36時間反応させ、水溶性重合体(2)を得た。水溶性重合体(2)の生成は以下のようにして確認した。
得られた水溶性重合体(2)について、適量の水を加えて、濃度30質量%の重合体水溶液を調製し、そのうち20gを長さ40cmの透析膜中に入れ、密閉した。透析膜には、Spectra/Por Membrane MWCO:1000 分画分子量1000(SPECTRUM LABORATORIES INC製)を用いた。(なお、本発明では、当該透析膜と同程度の分画分子量を有するものであればよい。)これを2リットルのビーカーに入った2000gの水に浸し、スターラーで攪拌した。3時間後、ビーカーから透析膜を取り出し、透析膜の外側を水でよく洗い流した後、透析膜の中身を取り出した。取り出した中身をエヴァポレータで濃縮した後、減圧にしたデシケータ内で12時間静置して、乾燥させた。
【0096】
また、比較として透析前の30質量%の重合体水溶液20gをエヴァポレータで濃縮した後、減圧にしたデシケータ内で12時間静置して、乾燥させた。
仕込みの重合体の重量に対する透析後の重量減少は、未反応のアリルグリシジルエーテルの重量と考えられるので、この値から反応生成物の収率を計算したところ、95%であった。
また、透析後の乾燥サンプルをDOに溶解させ、H−NMRスペクトルを測定したところ、エポキシ環で付加したアリルグリシジルエーテルの二重結合由来のシグナルが5.20ppm、5.80ppm付近に検出された。
以上の結果により、水溶性重合体(2)はソルビトール・エチレンオキシド20モル付加物にアリルグリシジルエーテルのエポキシ環が付加した重合体であると確認された。
【0097】
温度計、攪拌機を備えたガラス製の反応器に水溶性重合体(2)を61.5g、純水を102.5g仕込み、攪拌しながら、亜硫酸水素ナトリウム6.9gを加えた。さらに、少量の48%水酸化ナトリウムを加え、pHを9程度に調製した。この重合体水溶液を攪拌下、反応器を密閉せずに開放した状態で、室温で8時間反応させ、水溶性重合体(3)を得た。水溶性重合体(3)の生成は以下のようにして確認した。
得られた水溶性重合体(3)について、適量の水を加えて、濃度30質量%の重合体水溶液を調製し、これを長さ40cmの透析膜中に20g入れ、密閉した。透析膜には、Spectra/Por Membrane MWCO:1000 分画分子量1000(SPECTRUM LABORATORIES INC社製)を用いた。(なお、本発明では当該透析膜と同程度の分画分子量を有するものであればよい。)
これを2リットルのビーカーに入った2000gの水に浸し、スターラーで攪拌した。3時間後、ビーカーから透析膜を取り出し、透析膜の外側を水でよく洗い流した後、透析膜の中身を取り出した。取り出した中身をエヴァポレータで濃縮した後、減圧にしたデシケータ内で12時間静置して、完全に乾燥させた。
【0098】
また、比較として透析前の30質量%の重合体水溶液20gをエヴァポレータで濃縮した後、減圧にしたデシケータ内で12時間静置して乾燥させた。
仕込みの重合体の重量に対する透析後の重量減少は、未反応の亜硫酸水素ナトリウム、或いは、亜硫酸ナトリウムの総重量と考えられるので、この値から反応生成物の収率を計算したところ、96%であった。
【0099】
また、透析後の乾燥サンプルをDOに溶解させ、H−NMRスペクトルを測定したところ、アリルグリシジルエーテルの二重結合がスルホン化された構造由来のシグナルが1.8〜1.9ppm付近と2.7〜2.9ppm付近に検出された。
また、透析前後のサンプルの硫黄分を誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma,ICP)発光分光分析法によって比較したところ、90%の硫黄分が透析後のサンプルに含まれていた。
以上の結果により、水溶性重合体(3)はソルビトール・エチレンオキシド付加物とアリルグリシジルエーテル反応物の二重結合にスルホン酸基が付加した構造であると確認された。
【0100】
(再汚染防止能試験評価)
上述の方法により、水溶性重合体(1)及び水溶性重合体(3)の再汚染防止能を求めた。また、比較として、水溶性重合体(ポリマー)なし、及び、PEG4000(ポリエチレングリコール(数平均分子量3000))を水溶性重合体の代わりに添加した場合を測定した。結果を表1に示す。なお、この場合の硬度は、CaCO濃度が50ppm(低硬度条件)である。
【0101】
【表1】

【0102】
実施例3
ソルビトールエチレンオキシド10モル付加物のスルホン化物
温度計、攪拌機を備えたガラス製の反応器にソルビトールエチレンオキシド10モル付加物(SB600)を28.1g仕込み、60℃で維持した。ここに、アリルグリシジルエーテル6.8gをゆっくりと加え、均一になるまで攪拌した。さらに、攪拌しながら3ふっ化ほう素ジエチルエーテル錯体0.3mlを加え、36時間反応させ、水溶性重合体(4)を得た。水溶性重合体(4)の生成は以下のようにして確認した。
得られた水溶性重合体(4)について、適量の水を加えて、濃度30質量%の重合体水溶液を調製し、そのうち20gを長さ40cmの透析膜中に入れ、密閉した。透析膜には、Spectra/Por Membrane MWCO:1000 分画分子量1000(SPECTRUM LABORATORIES INC製)を用いた。(なお、本発明では、当該透析膜と同程度の分画分子量を有するものであればよい。)これを2リットルのビーカーに入った2000gの水に浸し、スターラーで攪拌した。3時間後、ビーカーから透析膜を取り出し、透析膜の外側を水でよく洗い流した後、透析膜の中身を取り出した。取り出した中身をエヴァポレータで濃縮した後、減圧にしたデシケータ内で12時間静置して、乾燥させた。
また、比較として透析前の30質量%の重合体水溶液20gをエヴァポレータで濃縮した後、減圧にしたデシケータ内で12時間静置して、乾燥させた。
仕込みの重合体の重量に対する透析後の重量減少は、未反応のアリルグリシジルエーテルの重量と考えられるので、この値から反応生成物の収率を計算したところ、95%であった。
また、透析後の乾燥サンプルをDOに溶解させ、H−NMRスペクトルを測定したところ、エポキシ環で付加したアリルグリシジルエーテルの二重結合由来のシグナルが5.20ppm、5.80ppm付近に検出された。
以上の結果より、水溶性重合体(4)はSB600にアリルグリシジルエーテルのエポキシ環が付加した重合体であると確認された。
次に、温度計、攪拌機を備えたガラス製の反応器に水溶性重合体(4)を17.5g、純水を48.1g仕込み、攪拌しながら、亜硫酸水素ナトリウム3.1gを加えた。さらに、少量の48%水酸化ナトリウムを加え、pHを9程度に調製した。この重合体水溶液を攪拌下、反応器を密閉せずに開放した状態で、室温で8時間反応させ、水溶性重合体(5)を得た。水溶性重合体(5)の生成は以下のようにして確認した。
得られた水溶性重合体(5)について、適量の水を加えて、濃度30質量%の重合体水溶液を調製し、これを長さ40cmの透析膜中に20g入れ、密閉した。透析膜には、Spectra/Por Membrane MWCO:1000 分画分子量1000(SPECTRUM LABORATORIES INC社製)を用いた。(なお、本発明では、当該透析膜と同程度の分画分子量を有するものであればよい。)
これを2リットルのビーカーに入った2000gの水に浸し、スターラーで攪拌した。3時間後、ビーカーから透析膜を取り出し、透析膜の外側を水でよく洗い流した後、透析膜の中身を取り出した。取り出した中身をエヴァポレータで濃縮した後、減圧にしたデシケータ内で12時間静置して、完全に乾燥させた。
また、比較として透析前の30質量%の重合体水溶液20gをエヴァポレータで濃縮した後、減圧にしたデシケータ内で12時間静置して乾燥させた。
仕込みの重合体の重量に対する透析後の重量減少は、未反応の亜硫酸水素ナトリウム、或いは、亜硫酸ナトリウムの総重量と考えられるので、この値から反応生成物の収率を計算したところ、95%であった。
また透析後の乾燥サンプルをDOに溶解させ、H−NMRスペクトルを測定したこところ、アリルグリシジルエーテルの二重結合がスルホン化された構造由来のシグナルが1.8ppm、2.8ppm付近に検出された。
また透析前後のサンプルの硫黄分を誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma, ICP)発光分光分析法によって比較したところ、90%の硫黄分が透析後のサンプルに含まれていた。
以上の結果により、水溶性重合体(5)は水溶性重合体(4)の二重結合にスルホン酸基が付加した構造であると確認された。
【0103】
実施例4
ソフタノールエチレンオキシド90モル付加物のスルホン化物
温度計、攪拌機を備えたガラス製の反応器にソフタノールエチレンオキシド90モル付加物(以降、SFT1000という。)を413.2g仕込み、60℃で維持した。ここに、アリルグリシジルエーテル11.4gをゆっくりと加え、均一になるまで攪拌した。さらに、攪拌しながら3ふっ化ほう素ジエチルエーテル錯体3.0mlを加え、36時間反応させ、水溶性重合体(6)を得た。水溶性重合体(6)の生成は以下のようにして確認した。
得られた水溶性重合体(6)について、適量の水を加えて、濃度30質量%の重合体水溶液を調製し、そのうち20gを長さ40cmの透析膜中に入れ、密閉した。透析膜には、Spectra/Por Membrane MWCO:1000 分画分子量1000(SPECTRUM LABORATORIES INC製)を用いた。(なお、本発明では、当該透析膜と同程度の分画分子量を有するものであればよい。)これを2リットルのビーカーに入った2000gの水に浸し、スターラーで攪拌した。3時間後、ビーカーから透析膜を取り出し、透析膜の外側を水でよく洗い流した後、透析膜の中身を取り出した。取り出した中身をエヴァポレータで濃縮した後、減圧にしたデシケータ内で12時間静置して、乾燥させた。
また比較として透析前の30質量%の重合体水溶液20gをエヴァポレータで濃縮した後、減圧にしたデシケータ内で12時間静置して、乾燥させた。
仕込みの重合体の重量に対する透析後の重量減少は、未反応のアリルグリシジルエーテルの重量と考えられるので、この値から反応生成物の収率を計算したところ、93%であった。
また透析後の乾燥サンプルをDOに溶解させ、H−NMRスペクトルを測定したところ、エポキシ環で付加したアリルグリシジルエーテルの二重結合由来のシグナルが5.20ppm、5.80ppm付近に検出された。
以上の結果より、水溶性重合体(6)はSFT1000にアリルグリシジルエーテルのエポキシ環が付加した重合体であると確認された。
次に、温度計、攪拌機を備えたガラス製の反応器に水溶性重合体(6)を21.2g、純水を87.0g仕込み、攪拌しながら、亜硫酸水素ナトリウム0.5gを加えた。さらに、少量の48%水酸化ナトリウムを加え、pHを9程度に調製した。この重合体水溶液を攪拌下、反応器を密閉せずに開放した状態で、室温で8時間反応させ、水溶性重合体(7)を得た。水溶性重合体(7)の生成は以下のようにして確認した。
得られた水溶性重合体(7)について、適量の水を加えて、濃度20質量%の重合体水溶液を調製し、これを長さ40cmの透析膜中に20g入れ、密閉した。透析膜には、Spectra/Por Membrane MWCO:1000 分画分子量1000(SPECTRUM LABORATORIES INC社製)を用いた。(なお、本発明では、当該透析膜と同程度の分画分子量を有するものであればよい。)
これを2リットルのビーカーに入った2000gの水に浸し、スターラーで攪拌した。3時間後、ビーカーから透析膜を取り出し、透析膜の外側を水でよく洗い流した後、透析膜の中身を取り出した。取り出した中身をエヴァポレータで濃縮した後、減圧にしたデシケータ内で12時間静置して、完全に乾燥させた。
また比較として透析前の20質量%の重合体水溶液20gをエヴァポレータで濃縮した後、減圧にしたデシケータ内で12時間静置して乾燥させた。
仕込みの重合体の重量に対する透析後の重量減少は、未反応の亜硫酸水素ナトリウム、或いは、亜硫酸ナトリウムの総重量と考えられるので、この値から反応生成物の収率を計算したところ、91%であった。
また透析後の乾燥サンプルをDOに溶解させ、H−NMRスペクトルを測定したこところ、アリルグリシジルエーテルの二重結合がスルホン化された構造由来のシグナルが1.8ppm、2.8ppm付近に検出された。
また透析前後のサンプルの硫黄分を誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma, ICP)発光分光分析法によって比較したところ、90%の硫黄分が透析後のサンプルに含まれていた。
以上の結果により、水溶性重合体(7)は水溶性重合体(6)の二重結合にスルホン酸基が付加した構造であると確認された。
【0104】
実施例5
ソフタノールエチレンオキシド60モル付加物のスルホン化物
温度計、攪拌機を備えたガラス製の反応器にソフタノールエチレンオキシド60モル付加物(SFT600)を263.6g仕込み、60℃で維持した。ここに、アリルグリシジルエーテル11.4gをゆっくりと加え、均一になるまで攪拌した。さらに、攪拌しながら3ふっ化ほう素ジエチルエーテル錯体3.0mlを加え、36時間反応させ、水溶性重合体(8)を得た。水溶性重合体(8)の生成は以下のようにして確認した。
得られた水溶性重合体(8)について、適量の水を加えて、濃度30質量%の重合体水溶液を調製し、そのうち20gを長さ40cmの透析膜中に入れ、密閉した。透析膜には、Spectra/Por Membrane MWCO:1000 分画分子量1000(SPECTRUM LABORATORIES INC製)を用いた。(なお、本発明では、当該透析膜と同程度の分画分子量を有するものであればよい。)これを2リットルのビーカーに入った2000gの水に浸し、スターラーで攪拌した。3時間後、ビーカーから透析膜を取り出し、透析膜の外側を水でよく洗い流した後、透析膜の中身を取り出した。取り出した中身をエヴァポレータで濃縮した後、減圧にしたデシケータ内で12時間静置して、乾燥させた。
また比較として透析前の30質量%の重合体水溶液20gをエヴァポレータで濃縮した後、減圧にしたデシケータ内で12時間静置して、乾燥させた。
仕込みの重合体の重量に対する透析後の重量減少は、未反応のアリルグリシジルエーテルの重量と考えられるので、この値から反応生成物の収率を計算したところ、94%であった。
また透析後の乾燥サンプルをDOに溶解させ、H−NMRスペクトルを測定したところ、エポキシ環で付加したアリルグリシジルエーテルの二重結合由来のシグナルが5.20ppm、5.80ppm付近に検出された。
以上の結果より、水溶性重合体(8)はSFT600にアリルグリシジルエーテルのエポキシ環が付加した重合体であると確認された。
次に、温度計、攪拌機を備えたガラス製の反応器に水溶性重合体(8)を13.8g、純水を57.1g仕込み、攪拌しながら、亜硫酸水素ナトリウム0.5gを加えた。さらに、少量の48%水酸化ナトリウムを加え、pHを9程度に調製した。この重合体水溶液を攪拌下、反応器を密閉せずに開放した状態で、室温で8時間反応させ、水溶性重合体(9)を得た。水溶性重合体(9)の生成は以下のようにして確認した。
得られた水溶性重合体(9)について、適量の水を加えて、濃度20質量%の重合体水溶液を調製し、これを長さ40cmの透析膜中に20g入れ、密閉した。透析膜には、Spectra/Por Membrane MWCO:1000 分画分子量1000(SPECTRUM LABORATORIES INC社製)を用いた。(なお、本発明では、当該透析膜と同程度の分画分子量を有するものであればよい。)
これを2リットルのビーカーに入った2000gの水に浸し、スターラーで攪拌した。3時間後、ビーカーから透析膜を取り出し、透析膜の外側を水でよく洗い流した後、透析膜の中身を取り出した。取り出した中身をエヴァポレータで濃縮した後、減圧にしたデシケータ内で12時間静置して、完全に乾燥させた。
また比較として透析前の20質量%の重合体水溶液20gをエヴァポレータで濃縮した後、減圧にしたデシケータ内で12時間静置して乾燥させた。
仕込みの重合体の重量に対する透析後の重量減少は、未反応の亜硫酸水素ナトリウム、或いは、亜硫酸ナトリウムの総重量と考えられるので、この値から反応生成物の収率を計算したところ、93%であった。
また透析後の乾燥サンプルをDOに溶解させ、H−NMRスペクトルを測定したこところ、アリルグリシジルエーテルの二重結合がスルホン化された構造由来のシグナルが1.8ppm、2.8ppm付近に検出された。
また透析前後のサンプルの硫黄分を誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma, ICP)発光分光分析法によって比較したところ、90%の硫黄分が透析後のサンプルに含まれていた。
以上の結果により、水溶性重合体(9)は水溶性重合体(8)の二重結合にスルホン酸基が付加した構造であると確認された。
【0105】
実施例6
温度計、攪拌機を備えたガラス製の反応器にソフタノール(SFT500)を238.4g仕込み、60℃で維持した。ここに、アリルグリシジルエーテル11.4gをゆっくりと加え、均一になるまで攪拌した。さらに、攪拌しながら3ふっ化ほう素ジエチルエーテル錯体1.0mlを加え、36時間反応させ、水溶性重合体(10)を得た。水溶性重合体(10)の生成は以下のようにして確認した。
得られた水溶性重合体(10)について、適量の水を加えて、濃度30質量%の重合体水溶液を調製し、そのうち20gを長さ40cmの透析膜中に入れ、密閉した。透析膜には、Spectra/Por Membrane MWCO:1000 分画分子量1000(SPECTRUM LABORATORIES INC製)を用いた。(なお、本発明では、当該透析膜と同程度の分画分子量を有するものであればよい。)これを2リットルのビーカーに入った2000gの水に浸し、スターラーで攪拌した。3時間後、ビーカーから透析膜を取り出し、透析膜の外側を水でよく洗い流した後、透析膜の中身を取り出した。取り出した中身をエヴァポレータで濃縮した後、減圧にしたデシケータ内で12時間静置して、乾燥させた。
また、比較として透析前の30質量%の重合体水溶液20gをエヴァポレータで濃縮した後、減圧にしたデシケータ内で12時間静置して、乾燥させた。
仕込みの重合体の重量に対する透析後の重量減少は、未反応のアリルグリシジルエーテルの重量と考えられるので、この値から反応生成物の収率を計算したところ、96%であった。
また透析後の乾燥サンプルをDOに溶解させ、H−NMRスペクトルを測定したところ、エポキシ環で付加したアリルグリシジルエーテルの二重結合由来のシグナルが5.20ppm、5.80ppm付近に検出された。
以上の結果より、水溶性重合体(10)はSFT200にアリルグリシジルエーテルのエポキシ環が付加した重合体であると確認された。
温度計、攪拌機を備えたガラス製の反応器に水溶性重合体(10)を7.5g、純水を31.0g仕込み、攪拌しながら、亜硫酸水素ナトリウム0.5gを加えた。さらに、少量の48%水酸化ナトリウムを加え、pHを9程度に調製した。この重合体水溶液を攪拌下、反応器を密閉せずに開放した状態で、室温で8時間反応させ、水溶性重合体(11)を得た。水溶性重合体(11)の生成は以下のようにして確認した。
得られた水溶性重合体(11)について、適量の水を加えて、濃度30質量%の重合体水溶液を調製し、これを長さ40cmの透析膜中に20g入れ、密閉した。透析膜には、Spectra/Por Membrane MWCO:1000 分画分子量1000(SPECTRUM LABORATORIES INC社製)を用いた。(なお、本発明では、当該透析膜と同程度の分画分子量を有するものであればよい。)
これを2リットルのビーカーに入った2000gの水に浸し、スターラーで攪拌した。3時間後、ビーカーから透析膜を取り出し、透析膜の外側を水でよく洗い流した後、透析膜の中身を取り出した。取り出した中身をエヴァポレータで濃縮した後、減圧にしたデシケータ内で12時間静置して、完全に乾燥させた。
また比較として透析前の30質量%の重合体水溶液20gをエヴァポレータで濃縮した後、減圧にしたデシケータ内で12時間静置して乾燥させた。
仕込みの重合体の重量に対する透析後の重量減少は、未反応の亜硫酸水素ナトリウム、或いは、亜硫酸ナトリウムの総重量と考えられるので、この値から反応生成物の収率を計算したところ、93%であった。
また透析後の乾燥サンプルをDOに溶解させ、H−NMRスペクトルを測定したこところ、アリルグリシジルエーテルの二重結合がスルホン化された構造由来のシグナルが1.8ppm、2.8ppm付近に検出された。
また透析前後のサンプルの硫黄分を誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma, ICP)発光分光分析法によって比較したところ、90%の硫黄分が透析後のサンプルに含まれていた。
以上の結果により、水溶性重合体(11)は水溶性重合体(10)の二重結合にスルホン酸基が付加した構造であると確認された。
【0106】
実施例7
ソフタノールエチレンオキシド50モル付加物のリン酸化物
冷却管、温度計、攪拌機を備えたガラス製の反応器に水溶性重合体(10)を12.5g、純水を52.8g仕込み、攪拌しながら、50%亜リン酸0.8g、および48%水酸化ナトリウム0.8gを加えた。さらに、加熱して沸点とした。ここに、15%過硫酸ナトリウム3.2gを2時間かけてゆっくりと添加した。さらに1時間沸点を維持した後、室温まで放冷した。こうして、水溶性重合体(12)を得た。水溶性重合体(12)の生成は以下のようにして確認した。
得られた水溶性重合体(12)について、適量の水を加えて、濃度20質量%の重合体水溶液を調製し、これを長さ40cmの透析膜中に20g入れ、密閉した。透析膜には、Spectra/Por Membrane MWCO:1000 分画分子量1000(SPECTRUM LABORATORIES INC社製)を用いた。(なお、本発明では、当該透析膜と同程度の分画分子量を有するものであればよい。)
これを2リットルのビーカーに入った2000gの水に浸し、スターラーで攪拌した。3時間後、ビーカーから透析膜を取り出し、透析膜の外側を水でよく洗い流した後、透析膜の中身を取り出した。取り出した中身をエヴァポレータで濃縮した後、減圧にしたデシケータ内で12時間静置して、完全に乾燥させた。
また比較として透析前の20質量%の重合体水溶液20gをエヴァポレータで濃縮した後、減圧にしたデシケータ内で12時間静置して乾燥させた。
仕込みの重合体の重量に対する透析後の重量減少は、未反応の亜リン酸、或いは、亜リン酸ナトリウムの総重量と考えられるので、この値から反応生成物の収率を計算したところ、76%であった。
また透析後の乾燥サンプルをDOに溶解させ、H−NMRスペクトルを測定したこところ、アリルグリシジルエーテルの二重結合がリン酸化された構造由来のシグナルが1.8ppm、2.8ppm付近に検出された。
また透析前後のサンプルのリン分を誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma, ICP)発光分光分析法によって比較したところ、72%のリン分が透析後のサンプルに含まれていた。
以上の結果により、水溶性重合体(12)は水溶性重合体(10)の二重結合にホスホノ基が付加した構造であると確認された。
【0107】
実施例8
ソフタノールスルホン化物合成例
温度計、攪拌機を備えたガラス製の反応器にSFT200を212.8g仕込み、60℃で維持した。ここに、アリルグリシジルエーテル22.8gをゆっくりと加え、均一になるまで攪拌した。さらに、攪拌しながら3ふっ化ほう素ジエチルエーテル錯体1.0mlを加え、36時間反応させ、水溶性重合体(13)を得た。水溶性重合体(13)の生成は以下のようにして確認した。
得られた水溶性重合体(13)について、適量の水を加えて、濃度30質量%の重合体水溶液を調製し、そのうち20gを長さ40cmの透析膜中に入れ、密閉した。透析膜には、Spectra/Por Membrane MWCO:1000 分画分子量1000(SPECTRUM LABORATORIES INC製)を用いた。(なお、本発明では、当該透析膜と同程度の分画分子量を有するものであればよい。)これを2リットルのビーカーに入った2000gの水に浸し、スターラーで攪拌した。3時間後、ビーカーから透析膜を取り出し、透析膜の外側を水でよく洗い流した後、透析膜の中身を取り出した。取り出した中身をエヴァポレータで濃縮した後、減圧にしたデシケータ内で12時間静置して、乾燥させた。
また比較として透析前の30質量%の重合体水溶液20gをエヴァポレータで濃縮した後、減圧にしたデシケータ内で12時間静置して、乾燥させた。
仕込みの重合体の重量に対する透析後の重量減少は、未反応のアリルグリシジルエーテルの重量と考えられるので、この値から反応生成物の収率を計算したところ、96%であった。
また透析後の乾燥サンプルをDOに溶解させ、H−NMRスペクトルを測定したところ、エポキシ環で付加したアリルグリシジルエーテルの二重結合由来のシグナルが5.20ppm、5.80ppm付近に検出された。
以上の結果より、水溶性重合体(13)はSFT200にアリルグリシジルエーテルのエポキシ環が付加した重合体であると確認された。
温度計、攪拌機を備えたガラス製の反応器に水溶性重合体(13)を11.8g、純水を51.3g仕込み、攪拌しながら、亜硫酸水素ナトリウム1.1gを加えた。さらに、少量の48%水酸化ナトリウムを加え、pHを9程度に調製した。この重合体水溶液を攪拌下、反応器を密閉せずに開放した状態で、室温で8時間反応させ、水溶性重合体(14)を得た。水溶性重合体(14)の生成は以下のようにして確認した。
得られた水溶性重合体(14)について、適量の水を加えて、濃度30質量%の重合体水溶液を調製し、これを長さ40cmの透析膜中に20g入れ、密閉した。透析膜には、Spectra/Por Membrane MWCO:1000 分画分子量1000(SPECTRUM LABORATORIES INC社製)を用いた。(なお、本発明では、当該透析膜と同程度の分画分子量を有するものであればよい。)
これを2リットルのビーカーに入った2000gの水に浸し、スターラーで攪拌した。3時間後、ビーカーから透析膜を取り出し、透析膜の外側を水でよく洗い流した後、透析膜の中身を取り出した。取り出した中身をエヴァポレータで濃縮した後、減圧にしたデシケータ内で12時間静置して、完全に乾燥させた。
また比較として透析前の30質量%の重合体水溶液20gをエヴァポレータで濃縮した後、減圧にしたデシケータ内で12時間静置して乾燥させた。
仕込みの重合体の重量に対する透析後の重量減少は、未反応の亜硫酸水素ナトリウム、或いは、亜硫酸ナトリウムの総重量と考えられるので、この値から反応生成物の収率を計算したところ、93%であった。
また透析後の乾燥サンプルをDOに溶解させ、H−NMRスペクトルを測定したこところ、アリルグリシジルエーテルの二重結合がスルホン化された構造由来のシグナルが1.8ppm、2.8ppm付近に検出された。
また、透析前後のサンプルの硫黄分を誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma, ICP)発光分光分析法によって比較したところ、90%の硫黄分が透析後のサンプルに含まれていた。
以上の結果により、水溶性重合体(14)は水溶性重合体(13)の二重結合にスルホン酸基が付加した構造であると確認された。
【0108】
実施例9
温度計、攪拌機を備えたガラス製の反応器にイソプレノールエチレンオキシド50モル付加物を45.7g仕込み、60℃で維持した。ここに、フェニルグリシジルエーテル3.0gをゆっくりと加え、均一になるまで攪拌した。さらに、攪拌しながら3ふっ化ほう素ジエチルエーテル錯体0.2mlを加え、36時間反応させ、水溶性重合体(15)を得た。水溶性重合体(15)の生成は、H−NMRスペクトルを測定したところ、フェニルグリシジルエーテルのエポキシ環由来のシグナルの減少により確認した。
次に、温度計、攪拌機を備えたガラス製の反応器に水溶性重合体(15)を14.0g、純水を56.0g仕込み、攪拌しながら、亜硫酸水素ナトリウム0.6gを加えた。さらに、少量の48%水酸化ナトリウムを加え、pHを9程度に調製した。この重合体水溶液を攪拌下、反応器を密閉せずに開放した状態で、室温で8時間反応させ、水溶性重合体(16)を得た。水溶性重合体(16)の生成は以下のようにして確認した。
得られた水溶性重合体(16)について、適量の水を加えて、濃度20質量%の重合体水溶液を調製し、これを長さ40cmの透析膜中に20g入れ、密閉した。透析膜には、Spectra/Por Membrane MWCO:1000 分画分子量1000(SPECTRUM LABORATORIES INC社製)を用いた。(なお、本発明では、当該透析膜と同程度の分画分子量を有するものであればよい。)
これを2リットルのビーカーに入った2000gの水に浸し、スターラーで攪拌した。3時間後、ビーカーから透析膜を取り出し、透析膜の外側を水でよく洗い流した後、透析膜の中身を取り出した。取り出した中身をエヴァポレータで濃縮した後、減圧にしたデシケータ内で12時間静置して、完全に乾燥させた。
また比較として透析前の20質量%の重合体水溶液20gをエヴァポレータで濃縮した後、減圧にしたデシケータ内で12時間静置して乾燥させた。
仕込みの重合体の重量に対する透析後の重量減少は、未反応の亜硫酸水素ナトリウム、或いは、亜硫酸ナトリウムの総重量と考えられるので、この値から反応生成物の収率を計算したところ、95%であった。
また透析後の乾燥サンプルをDOに溶解させ、H−NMRスペクトルを測定したこところ、アリルグリシジルエーテルの二重結合がスルホン化された構造由来のシグナルが1.8ppm、2.8ppm付近に検出された。
また透析前後のサンプルの硫黄分を誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma, ICP)発光分光分析法によって比較したところ、90%の硫黄分が透析後のサンプルに含まれていた。
以上の結果により、水溶性重合体(16)は水溶性重合体(15)の二重結合にスルホン酸基が付加した構造であると確認された。
【0109】
(高硬度条件の再汚染防止能試験)
塩化カルシウム2水和物0.368gを1.47gにする以外は上述の再汚染防止能試験評価と同様にして、水溶性重合体(11)及び水溶性重合体(14)の再汚染防止能を求めた。また、比較として、水溶性重合体(ポリマー)なし、PEG2000(ポリエチレングリコール(数平均分子量2000))、及び、PEG4000(ポリエチレングリコール(数平均分子量3000))を水溶性重合体の代わりに添加した場合を測定した。なお、この場合の硬度は、CaCO濃度が200ppm(高硬度条件)である。結果を表2に示す。
【0110】
【表2】

【0111】
上述した実施例及び比較例から、本発明の臨界的意義については、次のようにいえることがわかった。すなわち、ポリアルキレングリコール鎖と末端に親水基とを有することにより、本発明のポリアルキレングリコール親水化物は、高硬度、低硬度のいずれでも再汚染防止能において有利な効果を発揮し、それが顕著であることがわかった。
【0112】
なお、上述した実施例及び比較例では、親水基としてスルホン酸基を用いているが、ポリアルキレングリコール親水化物である限り、親水性を発揮することができるようなものであれば、再汚染防止能を発揮する機構は同様である。したがって、ポリアルキレングリコール親水化物において、末端に、−SOM、−S−CH−CH−SOM、−PO又は−S−(CH−COOMの親水基を有することで、本発明の有利な効果を発現することは確実であるといえる。少なくとも、親水基としてスルホン酸基を有する場合においては、上述した実施例及び比較例で充分に本発明の有利な効果が立証され、本発明の技術的意義が裏付けられている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されることを特徴とするポリアルキレングリコール親水化物。
【化1】

式中、X及びYは、互いに異なって、水素原子、−SOM、−S−CH−CH−SOM、−PO又は−S−(CH−COOMを表す。Mは、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム基又は有機アンモニウム基を表す。Rは、メチル基を表す。Rは、水素原子を表す。R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。ただし、同時にアルキル基を表さない。R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。ただし、同時にアルキル基を表さない。Rは、水素原子、炭素数1〜14のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数2〜8の多価アルコール基、下記一般式(2−1)で表されるZ、又は、下記一般式(2−2)で表されるZを表す。p、q、r及びsは、価数を表し、pは1、qは0、r及びsは、r+s=3〜100の整数である。
【化2】

式中、X及びYは、互いに異なって、水素原子、−SOM、−S−CH−CH−SOM、−PO又は−S−(CH−COOMを表す。Mは、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム基又は有機アンモニウム基を表す。R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。ただし、同時にメチル基を表さない。R10は、炭素数1〜15のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表す。
【請求項2】
前記ポリアルキレングリコール親水化物は、sは0であり、R、R及びRが、水素原子を表すことを特徴とする請求項1に記載のポリアルキレングリコール親水化物。
【請求項3】
前記ポリアルキレングリコール親水化物は、sは0であり、R及びRが、水素原子を表し、Rが、Zを表すことを特徴とする請求項1に記載のポリアルキレングリコール親水化物。
【請求項4】
前記ポリアルキレングリコール親水化物は、X及びYが、互いに異なって、水素原子又は−SOMを表すことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリアルキレングリコール親水化物。
【請求項5】
前記ポリアルキレングリコール親水化物は、CaCO濃度が50ppmである水溶液での再汚染防止能が80%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリアルキレングリコール親水化物。
【請求項6】
前記ポリアルキレングリコール親水化物は、CaCO濃度が200ppmである水溶液での再汚染防止能が40%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリアルキレングリコール親水化物。
【請求項7】
ポリアルキレンオキシドとスルホン酸(塩)基とを有するポリアルキレングリコールスルホン化物であって、
該ポリアルキレングリコールスルホン化物は、CaCO濃度が200ppmである水溶液での再汚染防止能が40%以上であり、エステル結合を含まないものであり、
該ポリアルキレングリコールスルホン化物は、下記一般式(1)で表されることを特徴とするポリアルキレングリコールスルホン化物。
【化3】

式中、X及びYは、互いに異なって、その一方が水素原子を表し、他方が−SOMを表す。Mは、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム基又は有機アンモニウム基を表す。Rは、メチル基を表す。Rは、水素原子を表す。R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。ただし、同時にアルキル基を表さない。R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。ただし、同時にアルキル基を表さない。Rは、水素原子、炭素数1〜14のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数2〜8の多価アルコール基、下記一般式(2−1)で表されるZ、又は、下記一般式(2−2)で表されるZを表す。p、q、r及びsは、価数を表し、pは1、qは0、r及びsは、r+s=3〜100の整数である。
【化4】

式中、X及びYは、互いに異なって、水素原子、−SOM、−S−CH−CH−SOM、−PO又は−S−(CH−COOMを表す。Mは、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム基又は有機アンモニウム基を表す。R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。ただし、同時にメチル基を表さない。R10は、炭素数1〜15のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表す。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のポリアルキレングリコール親水化物を製造する方法であって、
該製造方法は、二重結合を有するポリアルキレングリコールの二重結合を親水化する工程によりポリアルキレングリコール親水化物を製造する方法であり、
該親水化工程は、ハロゲン化物を実質的に含まない原料にて製造することを特徴とするポリアルキレングリコール親水化物の製造方法。
【請求項9】
前記製造方法は、下記一般式(1)で表されるポリアルキレングリコール親水化物を製造するに際し、
下記一般式(3)で表される二重結合を有するポリアルキレングリコールの二重結合を親水化させることを特徴とする請求項8に記載のポリアルキレングリコール親水化物の製造方法。
【化5】

式中、X及びYは、互いに異なって、水素原子、−SOM、−S−CH−CH−SOM、−PO又は−S−(CH−COOMを表す。Mは、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム基又は有機アンモニウム基を表す。Rは、メチル基を表す。Rは、水素原子を表す。R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。ただし、同時にアルキル基を表さない。R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。ただし、同時にアルキル基を表さない。Rは、水素原子、炭素数1〜14のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数2〜8の多価アルコール基、下記一般式(2−1)で表されるZ、又は、下記一般式(2−2)で表されるZを表す。p、q、r及びsは、価数を表し、pは1、qは0、r及びsは、r+s=3〜100の整数である。
【化6】

式中、X及びYは、互いに異なって、水素原子、−SOM、−S−CH−CH−SOM、−PO又は−S−(CH−COOMを表す。Mは、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム基又は有機アンモニウム基を表す。R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。ただし、同時にメチル基を表さない。R10は、炭素数1〜15のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表す。
【化7】

式中、R、R、R、R、R及びRは、上記式(1)におけるR、R、R、R、R及びRに同じ。R11は、水素原子、炭素数1〜14のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数2〜8の多価アルコール基、下記一般式(4)で表されるZ、又は、上記一般式(2−2)で表されるZを表す。p、q、r及びsは、上記式(1)におけるp、q、r及びsに同じ。
【化8】

式中、R及びRは、上記一般式(2−1)におけるR及びRに同じ。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれかに記載のポリアルキレングリコール親水化物、又は、請求項7に記載のポリアルキレングリコールスルホン化物を必須成分とすることを特徴とする洗浄用組成物、水処理剤又は分散剤。

【公開番号】特開2013−32523(P2013−32523A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−174015(P2012−174015)
【出願日】平成24年8月6日(2012.8.6)
【分割の表示】特願2006−552416(P2006−552416)の分割
【原出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】