説明

ポリイソシアネートの製造方法およびその使用

【課題】イソシアネート媒体中で、イソシナート変性(オリゴマー化、または重合)反応と比べて分解が遅い触媒、およびそれを用いたイソシナート変性方法の提供。
【解決手段】式Iのホスホニウム塩を使用する。


(式中、R1〜R4は、互いに独立して同一または異なって、必要に応じて分枝および/または置換された、C1−〜C20−アルキル基、C3−〜C20−シクロアルキル基、C7−〜C20−アラルキル基およびC6−〜C20−アリール基を表し、ただし、基R1〜R4の少なくとも1つは、必要に応じて分枝および/または置換されたC3−〜C20−シクロアルキル基を表し、およびシクロアルキル環の炭素原子は、リン原子に直接結合する)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イソシアネート変性(オリゴマー化または重合)のための触媒としての特定のホスホニウム塩の使用および対応する変性イソシアネートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イソシアネートのオリゴマー化または重合(本明細書では要約してイソシアネート変性として称する)は、長い間知られている。変性ポリイソシアネートが、必要に応じてブロッキング剤により一時的に不活性化されていてもよいフリーNCO基を含有する場合、該変性ポリイソシアネートは、非常に多くのポリウレタンプラスチックおよび被覆組成物の製造にとって非常に高品質な出発物質である。
【0003】
イソシアネート変性のために多くの工業的方法が確立されてきたが、通常、変性すべきイソシアネート、多くの場合、ジイソシアネートが触媒の添加により変換され、次いで変換すべきイソシアネートの所望の変換度が達成された場合、触媒は、適当な方法により不活性にされ(不活性化)、得られるポリイソシアネートは通常、未変換モノマーから分離される。先行技術のこれらの方法の編集物は、H.J.Laas等、J.Prakt.Chem.、1994年、第336巻、第185頁以降に見出される。
【0004】
イオン構造を有する化合物は、変性触媒として成功であることが証明されたが、これは、非常に少量で用いられ、所望の結果を極めて素早く生じさせることができるからである。
【0005】
イソシアネートに対して触媒活性を有するアニオンに対するカチオンとしてのテトラオルガニルホスホニウム、例えば水酸化物、アルカノエート、アルコキシレート等を用いる可能性は一般的に知られているが、概して、特に好ましいものであることは明示されていない(H.J.Laas等、J.Prakt.Chem.、1994年、第336巻、第185頁以降参照)。
【0006】
さらに、イソシアネート変性のための、必要に応じてホスホニウム塩の形態での(水素ポリ)フルオライドの使用は、とりわけEP−A962455、EP−A962454、EP−A896009、EP−A798299、EP−A447074、EP−A379914、EP−A339396、EP−A315692、EP−A295926およびEP−A235388から知られている。
【0007】
しかしながら、変性反応を行う場合、先行技術のテトラオルガニルホスホニウム(水素ポリ)フルオライドは、使用する際、触媒の連続計量添加によってのみ反応を維持することができ、すなわち、イソシアネート媒体中での触媒の分解が変性反応と比べて技術的時間において許容し難いほど急速に起こるという欠点を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願公開第962455号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第962454号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第896009号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第798299号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第447074号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第379914号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第339396号明細書
【特許文献8】欧州特許出願公開第315692号明細書
【特許文献9】欧州特許出願公開第295926号明細書
【特許文献10】欧州特許出願公開第235388号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】H.J.Laas等、J.Prakt.Chem.、1994年、第336巻、第185頁以降
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、上記欠点により妨げられない触媒としてのホスホニウム塩を用いる変性方法を開発することであった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、本発明の方法により可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、ホスホニウムカチオンのリン原子に直接結合した少なくとも1つのクロロアルキル置換基を有するホスホニウム塩のイソシアネート変性における使用を提供する。
【0013】
イソシアネート変性のための好ましいホスホニウム塩は、一般式I:
【化1】

(式中、R〜Rは、互いに独立して、同一または異なって、必要に応じて分枝および/または置換された、C−〜C20−アルキル基、C−〜C20−シクロアルキル基、C−〜C20−アラルキル基およびC−〜C20−アリール基を表し、
ただし、基R〜Rの少なくとも1つは、必要に応じて分枝および/または置換されたC−〜C20−シクロアルキル基を表し、およびシクロアルキル環の炭素原子は、リン原子に直接結合する)
で示されるホスホニウム塩のカチオンである。
【0014】
式Iで示される好ましいカチオンは、R〜Rが互いに独立して、基C−〜C20−アルキル、シクロペンチルおよびシクロへキシルからの同一または異なった有機基を表し、アルキル基は分枝状であってよく、シクロアルキル基は置換されてよく、ただし、基R〜Rの少なくとも2つは、必要に応じて置換されたシクロペンチル基および/またはシクロへキシル基を表し、これらはそれぞれリン原子に環状炭素原子により直接結合する。
【0015】
特に好ましいイソシアネート変性のためのホスホニウム塩は、以下の種類:
フルオライド(F)、二フッ化水素および/またはポリフッ化水素([Fx(HF)]、式中、mは、0.001〜20、好ましくは0.1〜20、特に好ましくは0.5〜20、さらに好ましくは0.5〜5の整数または少数を表す)
を、一般式(I)で示されるホスホニウムカチオンへのアニオンXとして用いる上記種類のホスホニウム塩である。
【0016】
触媒は、個々にまたは任意の互いの混合物として用いることができる。
【0017】
本発明は、
a)NCO官能価≧1を有する少なくとも1つの有機イソシアネート、
b)本発明に従って用いる少なくとも1つのホスホニウム塩を含有する触媒、
c)必要に応じて溶媒、および
d)必要に応じて添加剤
を反応させるイソシアネート変性法をさらに提供する。
【0018】
本発明の変性方法は、非常に一般的に、高い品質を有し、および従ってポリウレタン分野に非常に価値を有する広範囲のポリイソシアネートを、簡単な方法により生じさせる。用いる出発(ジ)イソシアネートに応じて、本発明の方法は、少ない割合のウレットジオン基(イソシアネートダイマー)を有する、いわゆるイソシアネートトリマー型のポリイソシアネートを生じさせる。方法生成物における後者の割合は、反応温度が上昇すると増加する。
【0019】
本発明の発明を行うために、先行技術のモノ−、ジ−またはポリイソシアネートは、原則として、個々にまたは任意の互いの混合物として用いることができる。
【0020】
その例としては、以下のものが挙げられる:ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート(MPDI)、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジイソシアネート、4−イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート、3(4)−イソシアナトメチル−1−メチルシクロへキシルイソシアネート(IMCI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,3−および1,4−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン(XDI)、1,3−および1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、2,4−および2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、ビス(4−イソシアナトフェニル)メタン(4,4’MDI)、4−イソシアナトフェニル−2−イソシアナトフェニルメタン(2,4’MDI)ならびにホルムアルデヒド−アニリン重縮合物および得られる(ポリ)アミンの対応する(ポリ)イソシアネート(ポリマーMDI)への引き続きの変換により得られる多核生成物。
【0021】
官能価≧2を有する脂肪族、脂環式または芳香脂肪族ジ−またはポリ−イソシアネートの使用が好ましい。
【0022】
脂肪族、脂環式または芳香脂肪族ジイソシアネートの使用が特に好ましい。
【0023】
ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジイソシアネート、4−イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート、3(4)−イソシアナトメチル−1−メチルシクロへキシルイソシアネート(IMCI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,3−および1,4−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン(XDI)、1,3−および1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI)がさらに特に好ましい。
【0024】
上記イソシアネートを生成する方法、すなわちホスゲンを使用するかどうかは重要ではない。
【0025】
本発明の方法に用いる触媒の量は、用いるイソシアネートおよび反応の所望の速度により主に制御され、用いるイソシアネートおよび触媒の量の合計を基準として0.001〜5モル%の範囲である。好ましくは0.002モル%〜2モル%の触媒を用いる。
【0026】
触媒は、不希釈または溶媒中に溶解させて本発明の方法に用いることができる。適当な溶媒は、触媒と反応せず、十分な程度に、例えば脂肪族または芳香族炭化水素、アルコール、ケトン、エステルならびにエーテルに触媒を溶解させることができる任意の化合物である。アルコールを好ましく用いる。
【0027】
本発明の方法は、0℃〜+250℃、好ましくは20〜180℃、特に好ましくは40〜150℃の範囲で行うことができ、任意の所望の変換度で終端化させることができ、好ましくは5〜80%、特に好ましくは10〜60%の用いるモノマージイソシアネートを変換させる。
【0028】
反応を終了させるための触媒を不活性化させるために、例えば化学両論量の酸または酸誘導体(例えば塩化ベンゾイル、リンまたは硫黄を含有する酸の酸エステル、それらの酸等であるが、HFではない)の添加、触媒の吸着結合および引き続きのろ過による分離のような前述の先行技術の方法の全てが、原則として可能である。
【0029】
触媒の不活性化の後、未変換モノマーおよび任意の用いる溶媒は付随して、任意の既知の分離技術、例えば、必要に応じて薄層蒸留の特定の形態での蒸留、抽出または結晶化/ろ過等により分離することができる。これらの技術の2以上の組み合わせを当然用いることもできる。
【0030】
本発明により調製したポリイソシアネートが、例えばNCOブロックト生成物にさらに加工するために重要である未変換遊離モノマーをなお含有する場合には、触媒の不活性化の後のモノマーの分離は、省略することができる。
【0031】
未変換モノマーは、好ましくは分離する。分離後、本発明の生成物は、残留モノマー含有量<0.5重量%、好ましくは<0.1重量%を好ましく有する。
【0032】
未変換モノマーは、好ましくは蒸留により分離する。
【0033】
アリール基および/または直鎖アルキル基をリン原子上に有する第4級ホスホニウム塩、例えばトリフェニル−ブチル−、テトラ−n−ブチル−またはテトラ−n−オクチル−ホスホニウム塩による触媒作用と比べて(比較例参照)、顕著に向上した触媒寿命(先行技術の上記化合物ほど鋭く減衰しない)は、本発明の方法において同一の反応条件下で認められ、これは、実施例および比較例において遷移周波数(TOF)により検証される。遷移周波数(TOF)は、以下の方程式:
TOF=A・(B・t)−1[モル・(モル・秒)−1
で示されるオリゴマー化により変換されるNCO基の量A、要求される触媒の量Bおよび反応時間tに基づいて定義される。
【0034】
本発明の方法の特定の連続的実施態様によれば、オリゴマー化は、管状反応器または多枝カスケード中で行うことができる。この場合、特に、先行技術の既知の触媒と比べて極めて低い本発明の触媒の傾向から、高濃縮溶液中でまたは純粋活性成分の形態で適用される場合でさえ生成物中にゲル粒子を自然に形成する優位性を得る。
【0035】
従って、生成物および本発明の方法により得られる生成物混合物は、発泡および未発泡プラスチックならびに表面被覆物、被覆組成物、接着剤および添加剤の製造のための多くの方法により用いることができる出発物質である。
【0036】
本発明の方法生成物は、純粋形態で、または他の先行技術のイソシアネート誘導体、例えばウレットジオン、ビウレット、アロファネート、イソシアヌレートおよび/またはウレタン基、必要に応じてブロック剤で不活性化されたNCO基を含有するポリイソシアネート等と共に用いることができる。
【0037】
以下の比較例および実施例は、本発明をより詳細に、限定することなく説明することを意図する。
【実施例】
【0038】
全てのパーセンテージは、特記のない限り重量パーセントによるものであると理解される。
【0039】
モル%は、NMR分光法により決定し、特記のない限り、常に、NCO二次性生物の合計を基準とする。測定は、BruckerからのDPX400およびDRX700装置を用いて、約5%(H−NMR)および約50%(13C−NMR)サンプルについて乾燥C中で400および700MHz(H−NMR)または100および176MHz(13C−NMR)の周波数で行った。ppmスケールのための参照として、少量のテトラメチルシランを、溶媒中で0ppmH−NMR化学シフト中で用いた。あるいは、溶媒中に含まれるCHの信号:7.15ppmH−NMR化学シフト、128.02ppmH−NMR化学シフトを参照した。当該化合物の化学シフトのためのデータは、文献からのものである(D.Wendisch、H.ReiffおよびD.Dieterich、Die Angewandte Makromolekulare Chemie 141、1986年、第173〜183頁、およびそこに記載の文献、ならびにEP−A96009参照)。
【0040】
動的粘度は、23℃でHaakeからのVT550粘度計を用いて決定した。異なったせん断速度での測定により、本発明の記載のポリイソシアネートの流動挙動ならびに比較生成物の流動挙動が理想ニュートン流体の流動挙動に対応することを確保した。従って、せん断速度の記載は省略することができる。
【0041】
残留モノマー含有量は、ガスクロマトグラフィーにより決定した。
【0042】
特記のない限り、全ての反応は、窒素雰囲気下で行った。
【0043】
用いたジイソシアネートは、Bayer MaterialScience AG、D−51368レーバークーゼンからの生成物であり、全ての他の市販の化学薬品は、Aldrich、D−82018タウフキルヒェンから入手した。
【0044】
触媒は、方式1に従う、文献において既知の方法により得られた。
【0045】
【化2】

方式1
文献1:K.Joedden、Methoden der Organischen Chemie(Houben Weyl)、第E1巻、第495頁以降およびそこに記載の文献において、文献2:S.DermeikおよびY.Sasson、J.Org.Chem.54 1989年、第4827〜4829頁およびそこに記載の文献
【0046】
実施例1a〜1d−比較例
1a)触媒:二フッ化水素トリフェニル−n−ブチルホスホニウム(R1−R3=Ph、R4=n−Bu、n=1)
1b)触媒:二フッ化水素テトラ−n−ブチルホスホニウム(R1−R4=n−Bu;n=1)
1c)触媒:三フッ化二水素テトラ−n−ブチルホスホニウム(R1−R4=n−Bu;n=2)
1d)触媒:二フッ化水素テトラ−n−オクチルホスホニウム(R1−R4=n−Oct;n=1)
【0047】
1000gのHDIを、外部回路により所望の出発温度に調節し、撹拌器、不活性ガス設備(窒素/真空)に接続した還流冷却器および温度計を有した二重壁平底容器中に設置し、溶解ガスを1時間真空で(0.1ミリバール)撹拌することにより放出した。窒素による通気後、表1に示した触媒(イソプロパノール中に70%溶液として)の量を、表1に示した最大温度を越えないような方法により計量投入した。1モルのNCO基を変換した後、触媒を、触媒に対して当量のp−トルエンスルホン酸(イソプロパノール中に40%溶液として)の添加により不活性化し、次いで撹拌をさらに30分間反応温度で行い、その後、仕上げを行った。 触媒の第1添加と不活性溶液の添加との間の時間を用いて、表1に示すTOF(遷移周波数、[モル変換NCO基/(モル触媒・秒での反応時間)])を計算した。
【0048】
仕上げは、薄層蒸発器、上流予備蒸発器(PE)を有する短経路蒸発器(SPE)型(蒸発データ:圧力:0.08+/−0.04ミリバール、PE温度:120℃、HV温度:140℃)中で真空蒸留により行い、未変換モノマーを蒸留物として、および低モノマーポリイソシアネート樹脂を底部生成物として分離した(出発流:実施例1−0)。ポリイソシアネート樹脂を分析し(結果は表2を参照)、蒸留物は、第1平底撹拌装置と同様に構成された第2平底撹拌装置中に集め、新たな脱気HDIでの出発量(1000g)まで製造した。次いで、触媒作用を再び行った後、始めに記載の手順を行った。この手順を数回繰り返し、反応温度を変化させた。結果は、表1に見出される。
【0049】
フェニル基により部分的に置換された触媒の場合、反応は、60℃より高い反応温度で行わなかったが、これは、触媒の分解が、60℃でさえ、反応を所望の変換(ここでは1モルのNCO基)に維持するのに許容できない多量の触媒を必要とするほど急速に起こるからである。しかしながら、専らアルキル基により置換されたホスホニウム塩の場合でも、より低いTOF値により認識することができる触媒活性の著しい減少は、より高い反応温度で顕著である。
【0050】
【表1】

【0051】
本発明の実施例2
触媒:二フッ化水素n−ブチル−トリシクロペンチルホスホニウム
イソプロパノール中に40%二フッ化水素n−ブチル−トリシクロペンチルホスホニウム溶液を触媒として用いたことを除いて始めに記載の手順を行った。結果は、表2に見出される。
【0052】
【表2】

【0053】
本発明の実施例3
触媒:三フッ化二水素n−ブチル−トリシクロペンチルホスホニウム
イソプロパノール中に45%三フッ化二水素n−ブチル−トリシクロペンチルホスホニウム溶液を触媒として用いたことを除いて始めに記載の手順を行った。結果は、表3に見出される。
【0054】
【表3】

【0055】
本発明の実施例4
触媒:二フッ化水素n−ブチル−トリシクロへキシルホスホニウム
イソプロパノール/ジエチレグリコールジメチルエーテル(1:3:3)中に20%二フッ化水素n−ブチル−トリシクロヘキシルホスホニウム溶液を触媒として用いたことを除いて比較例1に記載の手順を行った。結果は、表3に見出される。
【0056】
【表4】

【0057】
本発明の実施例5
触媒:二フッ化水素ジ−n−ブチル−ジシクロペンチルホスホニウム
イソプロパノール中に50%二フッ化水素ジ−n−ブチル−ジシクロペンチルホスホニウム溶液を触媒として用いたことを除いて比較例1に記載の手順を行った。結果は、表5に見出される。
【0058】
【表5】

【0059】
本発明の実施例6
触媒:二フッ化水素トリ−n−へキシル−シクロヘキシルホスホニウム
イソプロパノール中に90%二フッ化水素トリ−n−へキシル−シクロヘキシルホスホニウム溶液を触媒として用いたことを除いて比較例1に記載の手順を行った。結果は、表6に見出される。
【0060】
【表6】

【0061】
実施例7および8(比較例):
触媒:二フッ化水素テトラ−n−ブチルホスホニウム
および9および10(本発明による)
HDIの代わりにIPDIを用い、およびNCO基の変換を約2モルに調節したことを除いて、比較例1に記載の手順を行った。60℃の反応温度では(比較例7)、0.002〜0.005のTOFを得た。反応温度を100℃に上昇させた場合(比較例8)、触媒の連続添加にも拘らず、均一反応手順を得ることができなかった。1.26モルのNCO基を変換した後、TOFは0.0005であった。
【0062】
実施例2(単一添加)からの触媒を用いて比較例7および8と同様に行った反応では、以下のように得られた。
60℃(実施例9):0.02〜0.06からの範囲のTOF
100℃(実施例10):TOF約0.01

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスホニウムカチオンのリン原子に直接結合した少なくとも1つのシクロアルキル置換基を含有するホスホニウム塩の、イソシアネート変性における使用。
【請求項2】
カチオンが、一般式I:
【化1】

(式中、R〜Rは、互いに独立して同一または異なって、必要に応じて分枝および/または置換された、C−〜C20−アルキル基、C−〜C20−シクロアルキル基、C−〜C20−アラルキル基およびC−〜C20−アリール基を表し、
ただし、基R〜Rの少なくとも1つは、必要に応じて分枝および/または置換されたC−〜C20−シクロアルキル基を表し、およびシクロアルキル環の炭素原子は、リン原子に直接結合する)
で示されるホスホニウム塩を用いることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
式Iで示されるカチオンは、R〜Rが互いに独立して、基C−〜C20−アルキル、シクロペンチルおよびシクロへキシルからの同一または異なった有機基を表し、該アルキル基は分枝状であってよく、シクロアルキル基は置換されてよく、ただし、基R〜Rの少なくとも2つは、必要に応じて置換されたシクロペンチルおよび/またはシクロへキシル基を表し、これらの基は、それぞれリン原子へ環状炭素原子により直接結合することを特徴とする、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
一般式(I)で示されるホスホニウムカチオンに対する対イオンXは、フルオライド(F)または二フッ化水素若しくはポリフッ化水素([Fx(HF)]、式中、mは、0.001〜20の整数または少数を表す)であることを特徴とする、請求項2または3に記載の使用。
【請求項5】
官能価≧2を有する脂肪族、脂環式または芳香脂肪族ジ−またはポリ−イソシアネートを用いることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
【請求項6】
a)NCO官能価≧1を有する少なくとも1つの有機イソシアネート、
b)本発明に従って用いる少なくとも1つのホスホニウム塩を含有する触媒、
c)必要に応じて溶媒、および
d)必要に応じて添加剤
を反応させる、イソシアネート変性のための方法。
【請求項7】
官能価≧2を有する脂肪族、脂環式または芳香脂肪族ジ−またはポリ−イソシアネートを用いることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、0℃〜+250℃の温度範囲で行うことを特徴とする、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、用いるモノマージイソシアネートの5〜80%を変換させた場合に終了させることを特徴とする、請求項6〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
未変換モノマーは、反応混合物から分離することを特徴とする、請求項6〜9のいずれかに記載の方法。

【公開番号】特開2012−36186(P2012−36186A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−169204(P2011−169204)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】