説明

ポリイソブチレンおよび生分解性ポリマーセグメントを持つコポリマー

【課題】本発明は、1種またはそれ以上のポリイソブチレンセグメントおよび1種またはそれ以上の生分解性ポリマーセグメントを含むコポリマー、このようなコポリマーの製造方法、このようなコポリマーを含む医療用物品、およびこのような医療用物品の製造方法に関するものである。
【解決手段】本発明の幾つかの局面によれば、コポリマーが提供され、該コポリマーは、複数のポリイソブチレンセグメントおよび複数の生分解性ポリマーセグメントを含む。本発明の幾つかの局面によれば、コポリマーが提供され、該コポリマーは、ウレタン結合、ウレア結合、アミド結合、エステル結合、無水物結合、カーボネート結合、通常「クリック」化学結合として記載される結合、およびこれら結合の2またはそれ以上の型の組合せを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、ポリイソブチレンおよび生分解性ポリマーセグメントを持つコポリマー、このようなコポリマーの製造方法、このようなコポリマーを含む医療用物品、およびこのような医療物品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コポリマーは、重要な一群のポリマーであり、多くの工業的な用途を持つ。その独特の性質は、広範囲に渡る医療用製品におけるその利用へと導いた。(多くの他の例の内の)一例として、薬物溶出ステントは公知であり、これは該ステントを覆うポリマー被膜を有しており、ステント内再狭窄の効果を打消すように作用する。薬物溶出性冠動脈ステントの特殊な例は、ボストンサイエンティフィック社(Boston Scientific Corp.)(テキサス、プロマス(TAXUS, PROMUS))、ジョンソン&ジョンソン(Johnson & Johnson)(サイファー(CYPHER))、およびその他の会社から入手できるステントを含む。様々な型のポリマー材料が、このようなポリマー被膜において使用されており、その例は、例えばポリ(n-ブチルメタクリレート)およびポリ(d,l-乳酸)等のホモポリマーおよびポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(エチレン-co-酢酸ビニル)、ポリ(ビニリデンフルオライド-co-ヘキサフルオロプロピレン)、およびポリ(イソブチレン-co-スチレン)等のコポリマーを包含する。ポリ(スチレン-b-イソブチレン-b-スチレン)トリブロックコポリマー(SIBS)は、例えばPinchuk等の米国特許第6,545,097号に記載されている。同様に、S.V. Ranade等, Acta Biomater., 2005(1月);1(1):137-44をも参照のこと。SIBSトリブロックコポリマーは、軟質エラストマー型の低ガラス転移点(Tg)を持つポリイソブチレン中央ブロックおよび硬質の高いTgを持つポリスチレン端部ブロックを持つ。結局、SIBSコポリマーは、熱可塑性エラストマー、換言すれば弾性(即ち、可逆的に変形し得る)ポリマーであり、該弾性ポリマーは、例えば該ポリマーの溶融により、これをそのガラス転移点以上に加熱することにより、あるいは該ポリマーを適当な溶媒中に溶解することによって、逆転させることのできる物理的な架橋を形成する。SIBSは、また高度に生体適合性でもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、1種またはそれ以上のポリイソブチレン(PIB)セグメントおよび1種またはそれ以上の生分解性ポリマーセグメントを持つコポリマー、このようなコポリマーの製造方法、このようなコポリマーを含有する医療用物品、およびこのような医療用物品の製造方法に関連する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の幾つかの局面によれば、コポリマーが提供され、該コポリマーは、複数のポリイソブチレンセグメントおよび複数の生分解性ポリマーセグメントを含む。
【0005】
本発明の幾つかの局面によれば、1種またはそれ以上の、ウレタン結合、ウレア結合、アミド結合、エステル結合、無水物結合、カーボネート結合、通常「クリック(click)」化学結合として記載される結合、およびこのような結合の2またはそれ以上の型の組合せを含むコポリマーが提供される。
【0006】
本発明のこれらおよびその他の局面および態様並びに本発明の様々な利点は、以下の詳細な説明および添付したあらゆる請求項を精査することにより、当業者には容易に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明のより完全な理解は、本発明の多数の局面および態様に関する、以下の詳細な説明を参照することにより、達成することができる。以下の本発明に関する詳細な説明は、本発明を例示するものであり、本発明を限定するものではない。
【0008】
周知の如く、「ポリマー」は、通常はモノマーと称される、1種またはそれ以上の構成単位の多数のコピー(例えば、2〜5〜10〜25〜50〜100〜250〜500〜1,000またはそれ以上のコピー)を含む分子である。ここで使用する様な用語「モノマー」とは、遊離のモノマーおよびポリマー内に組込まれているモノマーを意味することができ、これらの区別は、該用語の使用されている前後関係、文脈から明白である。
【0009】
ポリマーは、幾つかの形状をとることができ、該形状は、とりわけ直鎖、環状および分岐鎖形状を含む。分岐鎖形状は、星-型形状(例えば、一つのハブ領域から3またはそれ以上の鎖が放射状に広がっている形状)、櫛型形状(例えば、主鎖と複数の側鎖とを持つ形状で、「グラフト」形状とも呼ばれる)、デンドライト形状(例えば、樹枝状および超分岐ポリマー)等々を包含する。
【0010】
ここで使用する用語「ホモポリマー」とは、単一の構成単位(即ち、モノマー)の多数のコピーを含むポリマーであり、これに対して「コポリマー」とは、少なくとも2種の非-類似の構成単位の多数のコピーを含むポリマーである。
【0011】
ここで使用する「ポリマーセグメント」または「セグメント」とは、一ポリマーの一部である。
【0012】
本発明によるコポリマーは、例えば以下のようなセグメントを含む:特に、ポリイソブチレンセグメント、生分解性ポリマーセグメント、および随意の連鎖延長剤セグメント。セグメントは、分岐していても分岐していなくてもよい。セグメントは、単一の型の構成単位(ここでは「ホモポリマーセグメント」ともいう)または多数の型の構成単位(ここでは「コポリマーセグメント」とも呼ぶ)を含むことができ、該セグメントは、例えば特にランダム、統計的、グラジエント、周期的(例えば、交互)分布状態で存在し得る。
【0013】
ここで使用するような軟質セグメントとは、体温以下の、より典型的には35℃〜20℃〜0℃〜-25℃〜-50℃またはそれ以下のガラス転移温度(Tg)および/または融点(Tm)を示すセグメントである。硬質セグメントとは、体温を越える、より典型的には40℃〜50℃〜75℃〜100℃またはそれ以上のTgおよび/またはTmを示すセグメントである。TgおよびTmは、示差走査型熱量計(DSC)、動的機械的分析(DMA)、または熱力学的分析(TMA)によって測定することができる。
【0014】
様々な態様において、本発明のコポリマーは、完全に生物学的に崩壊性である。これらの態様において、該ポリイソブチレンセグメントの分子量は、インビボでの該コポリマーの終局的な崩壊を可能とするのに十分に小さなものとして選択される。この分子量は、該ポリマーのインビボでの位置に依存して変動するものであり、また当業者により決定され得るものである。
【0015】
本発明によるコポリマーは、少なくとも一つの軟質ポリイソブチレンセグメントを含み、また場合により1種またはそれ以上の追加の軟質セグメント(例えば、特に、1種またはそれ以上の軟質生分解性ポリマーセグメントおよび/または1種またはそれ以上の軟質連鎖延長剤残基)を含むこともできる。本発明によるコポリマーは、またゼロ、1またはそれ以上の硬質セグメント(例えば、特に、1種またはそれ以上の硬質生分解性セグメントおよび/または1種またはそれ以上の硬質連鎖延長剤残基、例えば硬質ジイソシアネート残基)を含むこともできる。
【0016】
典型的には、本発明によるコポリマーは、1〜99質量%なる範囲のポリイソブチレンセグメント(例えば、1〜2〜5〜10〜25〜50〜75〜90〜95〜98〜99質量%のポリイソブチレンセグメント)および1〜99質量%なる範囲の生分解性セグメント(例えば、1〜2〜5〜10〜25〜50〜75〜90〜95〜98〜99質量%の生分解性セグメント)を含む。
【0017】
幾つかの態様においては、硬質生分解性セグメント(例えば、ポリラクチド等)が使用され、その場合、該コポリマーは、割れを生じることなしに、該コポリマーを曲げもしくは膨張させるのに十分な量のポリイソブチレンを含むことができる。このようなコポリマーを使用し得る、医療用物品の一例は、血管ステントである。該コポリマー中に十分な量の該ポリイソブチレンを含めることによって、該ステントは、割れを生じることなく膨張させることができる。
ポリウレタンは、次式のウレタン結合を含む一群のコポリマーである:
【化1】

【0018】
これらは、(a) 性質上モノマーまたはポリマーであり得る、単-および多-官能性イソシアネートおよび(b) 性質上モノマーまたはポリマーであり得る、単-および多-官能性アルコールから合成することができる。
【0019】
単官能性および多官能性モノマー型のイソシアネートの具体的な例は、脂肪族および芳香族ジイソシアネート、例えば多数存在する中でも以下に列挙するものを含む。単官能性および多官能性ポリマー型のイソシアネートの具体的な例は、(a) 少なくとも一つのポリイソブチレンセグメントを持つ単-、2-および3-官能性イソシアネート、(b) 少なくとも一つの生分解性ポリマーセグメント(例えば、特に、生分解性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオルトエステル、ポリ酸無水物、ポリアミノ酸および/またはポリホスファジンセグメント)を持つ単-、2-および3-官能性イソシアネート、および(c) 少なくとも一つのポリイソブチレンセグメントと少なくとも一つの生分解性ポリマーセグメントとを持つ単-、2-および3-官能性イソシアネートを含む。
【0020】
単官能性および多官能性モノマー型アルコールの具体的な例は、脂肪族および芳香族ポリオール、例えば多数存在する中でも以下に列挙するジオールを含む。単官能性および多官能性ポリマー型アルコールの具体的な例は、(a) 少なくとも一つのポリイソブチレンセグメントを持つ単-、2-および3-官能性アルコール、(b) 少なくとも一つの生分解性ポリマーセグメント(例えば、特に、生分解性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオルトエステル、ポリ酸無水物、ポリアミノ酸および/またはポリホスファジンセグメント)を含む単-、2-および3-官能性アルコール、および(c) 少なくとも一つのポリイソブチレンセグメントと少なくとも一つの生分解性ポリマーセグメントとを持つ単-、2-および3-官能性アルコールを包含する。通常使用されるポリマー型のアルコールは、マクログリコール、例えば(a) ポリイソブチレンジオール、(b) 生分解性ポリマージオール(例えば、生分解性ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリオルトエステルジオール、ポリホスファジンジオール、ポリ酸無水物ジオール、ポリアミノ酸ジオール等)、および(c) 少なくとも一つのポリイソブチレンセグメントと少なくとも一つの生分解性ポリマーセグメントとを持つ、ブロックコポリマージオールを包含する。
【0021】
幾つかの態様において、ポリウレタンの製造においては、以下のもの、即ち(a) ポリマー型のジオールおよび(b) 脂肪族または芳香族モノマー型のジイソシアネートを使用することができる。場合によって、モノマー型の脂肪族または芳香族ジオールまたはジアミンを、本発明のコポリマーにおける連鎖延長剤として使用して、例えば該ポリウレタンに改善された物性を付与することができる。ジアミンを連鎖延長剤として使用する場合、ウレア結合が生成され、また得られるポリマーは、ポリウレタン/ポリウレアと呼ぶことができる。
ポリウレアは、以下の式で表されるウレア結合を持つ一群のコポリマーである:
【化2】

【0022】
これらは、(a) 特性上モノマーまたはポリマーであり得る、単-官能性および多-官能性イソシアネートおよび(b) 特性上モノマーまたはポリマーであり得る、単-官能性および多-官能性アミンから合成できる。
【0023】
単-官能性および多-官能性イソシアネートの具体例は、ポリウレタンに関連して上で論じられたものである。
【0024】
単-官能性および多-官能性モノマー型アミンの具体例は、脂肪族および芳香族アミン、例えば特に以下に列挙されるジアミンから選択される。単-官能性および多-官能性ポリマー型アミンの具体例は、(a) 少なくとも一つのポリイソブチレンセグメントを持つ単-、2-および3-官能性アミン、(b) 少なくとも一つの生分解性ポリマーセグメント(例えば、特に、生分解性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオルトエステル、ポリ酸無水物、ポリアミノ酸および/またはポリホスファジンセグメント)を持つ単-、2-および3-官能性アミン、および(c) 少なくとも一つのポリイソブチレンセグメントと少なくとも一つの生分解性ポリマーセグメントとを持つ単-、2-および3-官能性アミンを含む。
【0025】
本発明との関連で使用される、通常用いられるポリマー型のポリアミンは、ポリマー型のジアミン、例えば(a) ポリイソブチレンジアミン、(b) 生分解性ポリマージアミン(例えば、生分解性ポリエステルジアミン、ポリカーボネートジアミン、ポリオルトエステルジアミン、ポリホスファジンジアミン、ポリ酸無水物ジアミン、ポリアミノ酸ジアミン等)、および(c) 少なくとも一つのポリイソブチレンセグメントと少なくとも一つの生分解性ポリマーセグメントとを持つ、ブロックコポリマージアミンを包含する。
【0026】
幾つかの特殊な態様においては、以下のものを、ポリウレアの製造において使用することができる:(a) ポリマー型のジアミン(例えば、ポリイソブチレンモノ-アミンおよびジ-アミンを製造するのに適した手順は、U. Ojha等, Macromolecules, 2008, 41, 3832-3841に記載されている)および(b) 脂肪族または芳香族モノマー型ジイソシアネート。場合により、モノマー型の脂肪族または芳香族ジオールまたはジアミンは、連鎖延長剤として使用することができる。
ポリアミド(即ち、以下の式で表されるアミド結合:
【化3】

を含むポリマー)は、(a) 単官能性または多官能性アミン(これは、特性上モノマーまたはポリマーであり得る)または単官能性または多官能性イソシアネート(これは、特性上モノマーまたはポリマーであり得る)、および(b) 単官能性または多官能性カルボン酸または酸クロリド(これは、特性上モノマーまたはポリマーであり得る)から合成することができる。(イソシアネートがカルボン酸と反応する場合、CO2が、この化学反応中に生成される可能性がある)。
【0027】
単官能性および多官能性モノマー型およびポリマー型アミン並びに単官能性および多官能性モノマー型およびポリマー型イソシアネートの具体例は、ポリウレタンおよびポリウレアとの関連で、上で論じたものである。
【0028】
ポリマー型の単官能性および多官能性カルボン酸および酸クロリドの具体例は、(a) 少なくとも一つのポリイソブチレンセグメントを持つ、単-、2-および3-官能性カルボン酸および酸クロリド、(b) 少なくとも一つの生分解性ポリマーセグメント(例えば、特に、生分解性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオルトエステル、ポリ酸無水物、ポリアミノ酸および/またはポリホスファジンセグメント)を含む単-、2-および3-官能性カルボン酸および酸クロリド、および(c) 少なくとも一つのポリイソブチレンセグメントと少なくとも一つの生分解性ポリマーセグメントとを持つ、単-、2-および3-官能性カルボン酸および酸クロリドを包含する。例えば、ポリイソブチレンモノ-およびジ-カルボン酸を製造するのに適した手順は、U. Ojha等, Macromolecules, 2008, 41, 3832-3841に記載されている。
【0029】
モノマー型の酸および酸クロリドの具体例は、単-、2-および3-官能性カルボン酸および酸クロリドを含み、これらの具体例は、以下において示されるジカルボン酸および該ジカルボン酸の酸クロリドを含む。
【0030】
特定の一態様においては、以下に列挙するものを、ポリアミドの製造において使用することができる:(a) ポリマー型のジアミンまたはジイソシアネート(例えば、少なくとも一つのポリイソブチレンセグメントおよび少なくとも一つの生分解性ポリマーセグメントを含むもの)、(b) モノマー型のジカルボン酸またはジ-酸クロリドおよび(c) 随意の連鎖延長剤、例えばモノマー型のジアミンまたはジイソシアネート。もう一つの特定の態様においては、以下に列挙するものを、ポリアミドの製造において使用することができる:(a) モノマー型のジアミンまたはジイソシアネート、(b) ポリマー型のジカルボン酸またはジ-酸クロリド(例えば、少なくとも一つのポリイソブチレンセグメントおよび少なくとも一つの生分解性ポリマーセグメントを含むもの)、および(c) 随意の連鎖延長剤、例えばモノマー型のジカルボン酸またはジ-酸クロリド。更に別の特定の一態様においては、以下に列挙するものを、ポリアミドの製造において使用することができる:(a) ポリマー型のジアミンまたはジイソシアネート(例えば、少なくとも一つのポリイソブチレンセグメントを含むもの)、(b) ポリマー型のジカルボン酸またはジ-酸クロリド(例えば、少なくとも一つの生分解性ポリマーセグメントを含むもの)および(c) 随意の連鎖延長剤、例えばモノマー型のジアミン、ジイソシアネート、ジカルボン酸および/またはジ-酸クロリド。更に別の特定の態様においては、以下に列挙するものを、ポリアミドの製造において使用することができる:(a) ポリマー型のジアミンまたはジイソシアネート(例えば、少なくとも一つの生分解性ポリマーセグメントを含むもの)、(b) ポリマー型のジカルボン酸またはジ-酸クロリド(例えば、少なくとも一つのポリイソブチレンセグメントを含むもの)および(c) 随意の連鎖延長剤、例えばモノマー型のジアミン、ジイソシアネート、ジカルボン酸および/またはジ-酸クロリド。
【0031】
ポリエステル(即ち、エステル結合を含むポリマー)は、(a) 単官能性または多官能性アルコール(これらは特性上モノマーまたはポリマーであり得る)および(b) 単官能性または多官能性カルボン酸(これらは特性上モノマーまたはポリマーであり得る)または単官能性または多官能性酸塩化物(これらは特性上モノマーまたはポリマーであり得る)から合成することができる。単官能性および多官能性のモノマー型およびポリマー型アルコールの具体例は、ポリウレタンに関連して上で論じたものである。単官能性および多官能性のモノマー型およびポリマー型カルボン酸および酸クロリドの具体例は、ポリアミドに関連して上で論じたものである。
【0032】
特定の一態様においては、ポリエステルの製造において、以下に列挙するものを使用することができる:(a) ポリマー型のジオール(例えば、少なくとも一つのポリイソブチレンセグメントおよび少なくとも一つの生分解性ポリマーセグメントを含むジオール)、(b) モノマー型のジカルボン酸またはジ-酸クロリドおよび(c) 随意の連鎖延長剤、例えばモノマー型のジオール。もう一つの特定の態様においては、ポリエステルの製造において、以下に列挙するものを使用することができる:(a) モノマー型のジオール、(b) ポリマー型のジカルボン酸またはジ-酸クロリド(例えば、少なくとも一つのポリイソブチレンセグメントおよび少なくとも一つの生分解性ポリマーセグメントを含むもの)および(c) 随意の連鎖延長剤、例えばモノマー型のジカルボン酸またはジ-酸クロリド。更に別の特定の態様においては、ポリエステルの製造において、以下に列挙するものを使用することができる:(a) ポリマー型のジオール(例えば、少なくとも一つのポリイソブチレンセグメントを含むジオール)、(b) ポリマー型のジカルボン酸またはジ-酸クロリド(例えば、少なくとも一つの生分解性ポリマーセグメントを含むもの)および(c) 随意の連鎖延長剤、例えばモノマー型のジオール、ジカルボン酸および/またはジ-酸クロリド。更に別の特定の態様においては、ポリエステルの製造において、以下に列挙するものを使用することができる:(a) ポリマー型のジオール(例えば、少なくとも一つの生分解性ポリマーセグメントを含むジオール)、(b) ポリマー型のジカルボン酸またはジ-酸クロリド(例えば、少なくとも一つのポリイソブチレンセグメントを含むもの)および(c) 随意の連鎖延長剤、例えばモノマー型のジオール、ジカルボン酸および/またはジ-酸クロリド。
【0033】
ポリカーボネート(即ち、カーボネート結合を含むポリマー)は、(a) ホスゲンおよび(b) 単官能性または多官能性アルコール(これらは特性上モノマーまたはポリマーであり得る)から合成することができる。単官能性および多官能性のモノマー型およびポリマー型のアルコールの具体例は、ポリウレタンに関連して上で論じたものである。
【0034】
特定の一態様においては、以下に列挙するものを、ポリカーボネートの製造において使用できる:(a) ホスゲン、(b) 少なくとも一つのポリイソブチレンセグメントおよび少なくとも一つの生分解性ポリマーセグメントを含むポリマー型のジオール、および(c) 随意の連鎖延長剤、例えばモノマー型のジオール。もう一つの特定の態様においては、ポリカーボネートの製造において、以下に列挙するものを使用することができる:(a) ホスゲン、(b) 少なくとも一つのポリイソブチレンセグメントを含むポリマー型ジオール、(c) 少なくとも一つの生分解性ポリマーセグメントを含むポリマー型のジオール、および(d) 随意の連鎖延長剤、例えばモノマー型のジオール。
【0035】
ポリ酸無水物(即ち、無水物結合を含むポリマー)は、単官能性または多官能性カルボン酸(これらは特性上モノマーまたはポリマーであり得る)から合成することができる。単官能性および多官能性のモノマー型およびポリマー型カルボン酸の具体例は、ポリアミドに関連して上で論じたものである。
【0036】
特定の一態様においては、以下に列挙するものを、ポリ酸無水物の製造において使用することができる:(a) 少なくとも一つのポリイソブチレンセグメントおよび少なくとも一つの生分解性ポリマーセグメントを含む、ポリマー型ジカルボン酸および(b) 随意の連鎖延長剤、例えばモノマー型のジカルボン酸。もう一つの特定の態様においては、ポリ酸無水物の製造において、以下に列挙するものを使用することができる:(a) 少なくとも一つのポリイソブチレンセグメントを含むポリマー型のジカルボン酸、(b) 少なくとも一つの生分解性ポリマーセグメントを含むポリマー型のジカルボン酸、および(c) 随意の連鎖延長剤、例えばモノマー型のジカルボン酸。
【0037】
通常「クリック」化学結合として記載される結合を含むポリマーも、本発明に従って製造することができる。例えば、1,2,3-トリアゾール部分を含む結合は、(a) 単官能性または多官能性アジド(これらは特性上モノマーまたはポリマーであり得る)と(b) 単官能性または多官能性アルキン(これらは特性上モノマーまたはポリマーであり得る)との間の付加環化反応によって製造し得る。
【0038】
単官能性および多官能性のポリマー型アルキンの具体例は、(a) 少なくとも一つのポリイソブチレンセグメントを持つ単-、2-および3-官能性アルキン、(b) 少なくとも一つの生分解性ポリマーセグメント(例えば、特に、生分解性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオルトエステル、ポリ酸無水物、ポリアミノ酸および/またはポリホスファジンセグメント)を持つ単-、2-および3-官能性アルキン、および(c) 少なくとも一つのポリイソブチレンセグメントおよび少なくとも一つの生分解性ポリマーセグメントを持つ単-、2-および3-官能性アルキンを含む。例えば、ポリイソブチレンモノ-およびジ-アルキンを製造するのに適した手順は、U. Ojha等, Macromolecules, 2008, 41, 3832-3841に記載されている。
【0039】
単官能性および多官能性のポリマー型アジドの具体例は、(a) 少なくとも一つのポリイソブチレンセグメントを持つ単-、2-および3-官能性アジド、(b) 少なくとも一つの生分解性ポリマーセグメント(例えば、特に、生分解性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオルトエステル、ポリ酸無水物、ポリアミノ酸および/またはポリホスファジンセグメント)を持つ単-、2-および3-官能性アジド、および(c) 少なくとも一つのポリイソブチレンセグメントおよび少なくとも一つの生分解性ポリマーセグメントを持つ単-、2-および3-官能性アジドを含む。例えば、ポリイソブチレンモノ-およびジ-アジドを製造するのに適した手順は、U. Ojha等, Macromolecules, 2008, 41, 3832-3841に記載されている。
【0040】
特定の一態様においては、以下に列挙するものを、1,2,3-トリアゾール結合を持つポリマーの製造において使用することができる:(a) ポリマー型ジアジド(例えば、少なくとも一つのポリイソブチレンセグメントおよび少なくとも一つの生分解性ポリマーセグメントを含むもの)、(b) モノマー型ジアルキンおよび(c) 随意の連鎖延長剤、例えばモノマー型のジアジド。もう一つの特定の態様においては、以下に列挙するものを、1,2,3-トリアゾール結合を持つポリマーの製造において使用することができる:(a) モノマー型ジアジド、(b) ポリマー型ジアルキン(例えば、少なくとも一つのポリイソブチレンセグメントおよび少なくとも一つの生分解性ポリマーセグメントを含むジアルキン)および(c) 随意の連鎖延長剤、例えばモノマー型のジアルキン。更に別の特定の態様においては、以下に列挙するものを、1,2,3-トリアゾール結合を持つポリマーの製造において使用することができる:(a) ポリマー型ジアジド(例えば、少なくとも一つのポリイソブチレンセグメントを含むジアジド)、(b) ポリマー型ジアルキン(例えば、少なくとも一つの生分解性ポリマーセグメントを含むジアルキン)および(c) 随意の連鎖延長剤、例えばモノマー型のジアジドおよび/またはジアルキン。更に別の特定の態様においては、以下に列挙するものを、1,2,3-トリアゾール結合を持つポリマーの製造において使用することができる:(a) ポリマー型ジアジド(例えば、少なくとも一つの生分解性ポリマーセグメントを含むジアジド)、(b) ポリマー型ジアルキン(例えば、少なくとも一つのポリイソブチレンセグメントを含むジアルキン)および(c) 随意の連鎖延長剤、例えばモノマー型のジアジドまたはジアルキン。
【0041】
上記のおよびその他の方法を利用して、他にも多くの可能性がある中で、(a) 単-官能性のポリイソブチレン(PIB)は、単-官能性生分解性ポリマー(PDeg)とカップリングして、PIB-PDegジブロックコポリマーを製造することができ、(b) 単-官能性のポリイソブチレンは、2-官能性生分解性ポリマーとカップリングして、PIB-PDeg-PIBトリブロックコポリマーを製造することができ、(c) 2-官能性ポリイソブチレンは、単-官能性の生分解性ポリマーとカップリングして、PDeg-PIB-PDegトリブロックコポリマーを製造することができ、(d) 2-官能性ポリイソブチレンは、2-官能性生分解性ポリマーとカップリングして、マルチブロック-PIB-PDeg-PIB-PDeg-コポリマーを製造することができ、(e) 単-官能性のポリイソブチレンは、3-官能性(またはそれ以上)の生分解性ポリマーとカップリングして、星-型のコポリマーを製造することができ、または(f) 3-官能性(またはそれ以上)のポリイソブチレンは、単-官能性生分解性ポリマーとカップリングして、星-型のコポリマーを製造することができる。当業者には容易に理解されるであろうように、上記カテゴリー(a)、(b)、(c)、(e)および(f)におけるものと類似するジブロック、トリブロックおよび星-型のコポリマー構造は、また重合反応を適当な単-官能性、2-官能性、3-官能性(またはそれ以上)の巨大開始剤の存在下で行う方法により製造することができる。(具体例として、以下の実施例1を参照のこと)。以下のポリウレタンに関する議論から理解されるように、連鎖延長剤の使用は、一般的にマルチブロックコポリマーの生成をもたらす。
【0042】
前に述べた如く、本発明の幾つかの局面によれば、コポリマーが与えられ、該コポリマーは、他にも可能性がある中で、(a) 1、2、3、4またはそれ以上のポリイソブチレンセグメント、(b) 1、2、3、4またはそれ以上の生分解性ポリマーセグメント、および(c) 0、1、2、3、4またはそれ以上の随意のセグメント、例えば1種またはそれ以上の連鎖延長剤の残基を含むセグメントを含む。
【0043】
該ポリイソブチレンセグメントは、その分子量において、広範囲に渡り変えることができ、例えば500〜20,000なる範囲、例えば500〜750〜1,000〜1,500〜2,000〜2,500〜5,000〜7,500〜10,000〜15,000〜20,000なる範囲の数平均分子量(Mn)を持つことができる。
【0044】
本発明において使用するための生分解性ポリマーセグメントの例は、特に以下に列挙する適当な構成員から選択することができる:(a) ヒドロキシ酸、例えばグリコライド、D-ラクチド、L-ラクチド、β-ヒドロキシブチレート、β-ヒドロキシバレレート、β-リンゴ酸、D-グルコネート、L-グルコネート等、およびラクトン、例えばε-カプロラクトンおよびδ-バレロラクトン等、p-ジオキサノン(ポリエーテルエステルの生成を結果する)等から選択される1種またはそれ以上のモノマーを含むホモポリマーおよびコポリマーセグメントを包含する、生分解性ポリエステルセグメント、例えば特に以下に列挙するセグメントから選択される生分解性ポリエステルセグメント:ポリグリコライド、ポリ-L-ラクチド(PLLA)、ポリ-D-ラクチド、ポリ-D,L-ラクチド、ポリ(β-ヒドロキシブチレート)、ポリ-D-グルコネート、ポリ-L-グルコネート、ポリ-D,L-グルコネート、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリ(δ-バレロラクトン)、ポリ(p-ジオキサノン)、ポリ(ラクチド-co-グリコライド)(PLGA)、ポリ(ラクチド-co-δ-バレロラクトン)、ポリ(ラクチド-co-ε-カプロラクトン)、ポリ(ラクチド-co-β-リンゴ酸)、およびポリ(β-ヒドロキシブチレート-co-β-ヒドロキシバレレート);(b) トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、2,2-ジメチルトリメチレンカーボネート等から選択される、1種またはそれ以上のカーボネートモノマーを含むホモポリマーおよびコポリマーセグメントを包含する、生分解性ポリカーボネートセグメント、例えば特に以下に列挙するセグメントから選択される生分解性ポリカーボネートセグメント:ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(テトラメチレンカーボネート)、ポリ(2,2-ジメチルトリメチレンカーボネート)、ポリ(ラクチド-co-トリメチレンカーボネート)、およびポリ(グリコライド-co-トリメチレンカーボネート);(c) ジオールとジエトキシテトラヒドロフランとの間のエステル交換により形成されるポリオルトエステルセグメント、例えばジオール、例えばtrans-シクロヘキサンジメタノール(tCDM)、1,6-ヘキサンジオール(1,6-HD)、1,12-ドデカンジオール(1,12-DL)等と、ジケテンアセタール、例えば3,9-ビス(エチリデン-2,4,8,10-テトラオキサスピロ「5,5」ウンデカン)(DETOSU)との反応により生成されるセグメント、およびトリオールとオルトエステルとの重合により得られるセグメント;(d) ポリ酸無水物セグメント、例えばマロン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸(SA)、マレイン酸、イソフタル酸(ISO)、ヘキサデカンジオン酸(HAD)、フマール酸(FA)、テレフタル酸(TA)、アジピン酸(AA)、ドデカンジオン酸(DD)、エルカ酸ダイマー(EAD)、およびビス(p-カルボキシフェノキシ)アルカン、例えばビス(p-カルボキシフェノキシ)メタン、ビス(p-カルボキシフェノキシ)プロパン(CPP)、およびビス(p-カルボキシフェノキシ)ヘキサンから選択される1種またはそれ以上のモノマーを含むホモポリマーおよびコポリマーセグメント、例えば特に以下に列挙するものから選択されるポリ酸無水物セグメント:ポリ(アジピン酸無水物)、ポリ(スベリン酸無水物)、ポリ(セバシン酸無水物)、ポリ(ドデカンジオン酸無水物)、ポリ(マレイン酸無水物)、ポリ(セバシン酸-co-フマール酸無水物)、ポリ[ビス(p-カルボキシフェノキシ)メタン無水物]、ポリ[1,3-ビス(p-カルボキシフェノキシ)プロパン無水物]、ポリ[1,6-ビス(p-カルボキシフェノキシ)ヘキサン無水物]およびポリ[1,3-ビス(p-カルボキシフェノキシ)プロパン-co-セバシン無水物];(e) ポリ(ホスファジン)セグメント;および(f) 天然産のアミノ酸、例えばアラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシンおよびバリン、並びに典型的でないアミノ酸、例えばランチオニン、2-アミノイソ酪酸、デヒドロアラニンおよびγ-アミノ酪酸、並びに合成アミノ酸配列、例えばアミノ酸誘導体、例えばγ-ベンジル-L-グルタメートおよびε-カルボベンゾキシ-L-リジンを含むホモポリマーおよびコポリマーセグメントを包含するポリ(アミノ酸)セグメント、例えばポリ(γ-ベンジル-L-グルタメート)(PBLG)セグメントまたはポリ(ε-カルボベンゾキシ-L-リジン)セグメント、脱アミノ化ヒドロキシルアミノ酸およびヒドロキシルアミノ酸のアルキルまたは芳香族エステル、特に脱アミノチロシル-チロシンアルキルまたは芳香族エステル(DTRとして略記され、ここでRは使用した特定のアルキルまたは芳香族エステルを表す)、例えば脱アミノチロシル-チロシンエーテルエステル(DTE)、脱アミノチロシル-チロシンブチルエステル(DTB)、脱アミノチロシル-チロシンヘキシルエステル(DTH)、脱アミノチロシル-チロシンオクチルエステル(DTO)、脱アミノチロシル-チロシンドデシルエステル(DTD)および脱アミノチロシル-チロシンベンジルエステル(DTD)を基本とするダイマーを含むセグメント、例えばチロシンを基本とするポリカーボネートセグメント(例えば、特に、ホスゲンと、例えば脱アミノチロシル-チロシンのエチル、ブチル、ヘキシル、オクチル、ドデシルおよびベンジルエステルから選択されるジフェノールとの重縮合により形成されるコポリマー)、チロシンを基本とするポリアリレートセグメント(例えば、エステル結合により結合されたジフェノールと二塩基酸とのコポリマー、ここでジフェノールは、特に例えば脱アミノチロシル-チロシンのエチル、ブチル、ヘキシル、オクチル、ドデシルおよびベンジルエステルから選択され、また二塩基酸は、特にコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、およびセバシン酸から選択される)およびチロシン-、ロイシン-、およびリジン-を基本とするポリエステル-アミドセグメント、例えば特に、脱アミノチロシル-チロシンアルキルまたは芳香族エステル、脱アミノチロシル-チロシン、および様々な二塩基酸、例えばコハク酸およびアジピン酸の組合せを含むポリエステル-アミドセグメント。
【0045】
本発明のコポリマー内の該生分解性ポリマーセグメントは、硬質セグメントまたは軟質セグメントであり得る。報告されたTg値を持つ生分解性ポリマーセグメントの幾つかの例は、以下の通りである:(a) ポリエステルセグメント、例えばポリ(l-ラクチド)(Tg:60-65℃)、ポリ(d,l-ラクチド)(Tg:55-60℃)、ポリ(d,l-ラクチド-co-グリコライド)(Tg:45-55℃)、ポリ(ε-カプロラクトン)(Tg:-62℃)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)(Tg:1℃)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシブチレート)(Tg:約0℃)、ポリ(p-ジオキサノン)(Tg:-10〜0℃)、ポリ(エチレンカーボネート)(Tg:10〜30℃)、およびポリ(トリメチレンカーボネート)(Tg:-15℃、(b) ポリ酸無水物セグメント、例えばポリ(CPP-ISO)(20:80)(Tg:110℃)、ポリ(CPP-ISO)(50:50)(Tg:100℃)、ポリ(CPP-ISO)(75:25)(Tg:230℃)、ポリ(CPP-ISO-SA)(15:58:27)(Tg:46℃)、ポリ(CPP-ISO-SA)(17:66:16)(Tg:83℃)、ポリ(CPP-ISO-TA)(50:40:10)(Tg:111.6℃)、ポリ(CPP-ISO-TA)(25:60:15)(Tg:105℃)、ポリ(EAD)(Tg:<0℃)、ポリ(CPP-SA)(46:54)(Tg:1.6℃)、ポリ(EAD-SA)(22:78)(Tg:<10℃)およびポリ(EAD-SA)(8:92)(Tg:<10℃)、および(c) ポリオルトエステルセグメント、例えばポリ(DETOSU-tCDM)(Tg:120℃)、ポリ(DETOSU-1,6-HD)(Tg:約20℃)、およびポリ(DETOSU-1,12-DL)(Tg:約0℃)。
【0046】
Tgに関する情報源は、I. Engelberg等, Biomaterials, 12 (1991) 292-304;M. Zilberman等, Annu. Rev. Biomed. Eng., 8 (2006) 153-80;Dombに付与された米国特許第4,997,904号、ポリマーデータハンドブック(Polymer Data Handbook), James E. Mark編, オックスフォードユニバーシティープレス(Oxford University Press)刊, 1999, pp. 303-4および457-8;ハンドブックオブバイオデグレーダブルポリマーズ(Handbook of Biodegradable Polymers), Abraham J. Domb, Joseph Kost, David M. Wiseman編, CRCプレス(CRC Press)刊, 1997, 第6章;およびスカフォールディングインティッシュエンジニアリング(Scaffolding in Tissue Engineering), Peter X. MaおよびJennifer Elisseeff編, CRCプレス(CRC Press)刊, 2005, 第7章を含む。
【0047】
本発明のコポリマー中の前記生分解性ポリマーセグメントは、その分子量において広範囲に渡り変動し、特に、例えば200〜50,000なる範囲の、例えば200〜500〜1,000〜2,500〜5,000〜10,000〜25,000〜50,000なる範囲の数平均分子量を持つ。
【0048】
上に示したように、本明細書に記載された、特にポリイソブチレンセグメント、生分解性ポリマーセグメント、およびこれらの組合せを含む様々なポリマーセグメントは、これらを、単-官能性または多-官能性ポリマーアルコール、イソシアネート、アミン、カルボン酸、酸クロリド、アルキン、アジド等の形状で与えることにより、例えばこれらを、特にウレタン結合、ウレア結合、アミド結合、エステル結合、カーボネート結合、酸無水物結合、および1,2,3-トリアゾール部分を含む結合を含む形状で使用することによって、本発明の組成物中に配合することができる。
【0049】
従って、以下の議論の多くが、ウレタン結合を形成するための、単-官能性または多-官能性ポリマーアルコール(典型的にはポリマージオール)の使用に基いているが、これらの方法は、ポリマーアルコール以外の他の単-官能性または多-官能性ポリマー部分を用いて行うことも可能であることは明らかである。
【0050】
ポリイソブチレンポリオールの具体例は、直鎖ポリイソブチレンジオールおよび分岐(3-アーム)ポリイソブチレントリオールを含む。これについては、例えば、J.P. Kennedy等, 「カルボカチオン性巨大分子エンジニアリングにより設計されたポリマー:理論および実際(Designed Polymers by Carbocationic Macromolecular Engineering: Theory and Practice)」, ハンサーパブリッシャーズ(Hanser Publishers),1991, pp. 191-193;Joseph P. Kennedy, Journal of Elastomers and Plastics, 1985 17: 82-88;およびここに引用されている参考文献を参照のこと。更に、U. Ojha等, Macromolecules, 2008, 41, 3832-3841をも参照のこと。これら文献には、HO-アリル-ポリイソブチレン-アリル-OHジオールが報告されている。
【0051】
前に述べた如く、幾つかの態様においては、ブロックコポリマーポリオール(例えば、ジオール、トリオール等)が使用される。このようなブロックコポリマーポリオールの例は、1種またはそれ以上のポリイソブチレンセグメントおよび1種またはそれ以上の生分解性ポリマーセグメント(例えば、特に生分解性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオルトエステル、ポリ酸無水物、ポリホスファジンおよび/またはポリ(アミノ酸)セグメント)を含むブロックコポリマージオールを包含する。その具体例は、ジブロックジオール、例えば特に、ポリエステル-ポリイソブチレンジオール、ポリカーボネート-ポリイソブチレンジオール、ポリオルトエステル-ポリイソブチレンジオール、ポリ酸無水物-ポリイソブチレンジオール、ポリホスファジン-ポリイソブチレンジオール、およびポリ(アミノ酸)-ポリイソブチレンジオール;トリブロックジオール、例えば特に、ポリエステル-ポリイソブチレン-ポリエステルジオール、ポリカーボネート-ポリイソブチレン-ポリカーボネートジオール、ポリオルトエステル-ポリイソブチレン-ポリオルトエステルジオール、ポリ酸無水物-ポリイソブチレン-ポリ酸無水物ジオール、ポリホスファジン-ポリイソブチレン-ポリホスファジンジオール、およびポリ(アミノ酸)-ポリイソブチレン-ポリ(アミノ酸)ジオール、等を包含する。上記の如く、特にジイソシアネート、ジアミン、ジカルボン酸、ジ-酸クロリド、ジアジドおよびジアルキンの形状にある類似のブロックコポリマーが、本発明の実施に際して使用できることを理解すべきである。
【0052】
他にも多数存在する中で、ブロックコポリマーポリオールの具体的な一例として、U. Ojha等, Macromolecules, 2008, 41, 3832-3841において報告されているもの等の、HO-アリル-ポリイソブチレン-アリル-OHジオールは、L-ラクチドの開環重合における巨大開始剤として使用することができ、ポリ(L-ラクチド)-ポリイソブチレン-ポリ(L-ラクチド)トリブロックコポリマージオールの生成をもたらす。これについては、L. Sipos等, Macromol. Rapid Commun., 2003, 16, 935-940を参照のこと。
【0053】
本発明に従って、他のコポリマーの中でも特にポリウレタンを含む、コポリマーを製造するに際して使用するジイソシアネートは、芳香族および非-芳香族(例えば、脂肪族)系ジイソシアネートモノマーを含む。芳香族系ジイソシアネートは、特に、以下に列挙する適当な構成員から選択することができる:4,4'-メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、2,4-および/または2,6-トルエンジイソシアネート(TDI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、p-フェニレンジイソシアネート、3,3'-トリデン-4,4'-ジイソシアネートおよび3,3'-ジメチルジフェニルメタン-4,4'-ジイソシアネート。非-芳香族系ジイソシアネートは、特に、以下に列挙する適当な構成員から選択することができる:1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネートまたはIPDI)、シクロヘキシルジイソシアネート、および2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)。
【0054】
随意の連鎖延長剤は、典型的に、脂肪族または芳香族ジオール(この場合、ウレタン結合が、イソシアネート基との反応の際に形成される)または脂肪族または芳香族ジアミン(この場合、ウレア結合が、イソシアネート基との反応の際に形成される)である。連鎖延長剤は、特に以下に列挙する適当な構成員から選択することができる:α,ω-アルカンジオール、例えばエチレングリコール(1,2-エタンジオール)、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、および1,12-ドデカンジオール;環式アルカンジオール、例えば1,4-シクロヘキサンジメタノール;芳香族ジオール、例えばp-キシレングリコールおよび1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン;α,ω-アルカンジアミン、例えばエチレンジアミン、ジブチルアミン(1,4-ブタンジアミン)および1,6-ヘキサンジアミン、または4,4'-メチレンビス(2-クロロアニリン)。
【0055】
ポリウレタン技術において公知であるように、幾つかの例においては、連鎖延長剤は、硬質セグメントの含有率を高めるために使用でき(あるいは他の表現を用いれば、本発明のコポリマーにおける硬質セグメント材料と軟質セグメント材料との間の比を高めることができ)、これは結果としてより高いモジュラス、より低い破断点伸びおよび高い強度を持つポリマーをもたらし得る。
【0056】
前に示した如く、様々な合成法を使用して、本発明によるウレタンコポリマーを生成することができる。幾つかの態様において、これら方法は、以下のような成分の反応を含む:(a) 1種またはそれ以上のポリオール(一般的には、ポリマー型のジオール)種、(b) 連鎖延長剤としての、1種またはそれ以上のポリイソシアネート(一般的には、モノマー型のジイソシアネート)種、および(c) 1種またはそれ以上の随意の種、例えば必要とされる場合における、随意の更なる連鎖延長剤としての、モノマー型のジオールまたはモノマー型のジアミン種。
【0057】
本発明によるウレタンコポリマーは、例えばバルクで、または適当な溶媒(例えば、該重合反応に関与する様々な種を溶解することのできるもの)を用いて合成することができる。
【0058】
幾つかの態様において、一段階法を使用することができ、該方法においては、(a) 巨大ジオール(M)、上記したものの一つ等のジブロックジオール(例えば、ポリエステル-ポリイソブチレンジオール等)または上記したものの一つ等のトリブロックジオール(例えば、ポリエステル-ポリイソブチレン-ポリエステルジオール等)および(b) ジイソシアネート(DI)(例えば、MDI、TDI等)を、一段階で反応させる。この技術を利用して、交互に配列された巨大ジオールおよびジイソシアネート残基を持つポリウレタン、即ち-[DI-M-]n(ここで、nは整数である)を製造する。幾つかの態様において、異なる生分解性ブロックを持つトリブロックジオールの混合物(例えば、多くの他の可能性がある中でも、ポリラクチド-ポリイソブチレン-ポリラクチドジオールおよびポリカプロラクトン-ポリイソブチレン-ポリカプロラクトンジオールの混合物)を使用することができる。
【0059】
幾つかの態様において、ジオールまたはジアミン連鎖延長剤(CE)(例えば、1,2-エタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等)が、該反応混合物中に含められる。例えば、比M:CE:DIが1:1:2である場合、以下のような理想化された繰返し構造を持つポリウレタン:-[DI-M-DI-CE-]nが形成されるが、該MおよびCE残基は、示されたような完全な交互配列ではあり得ない。
【0060】
他の態様においては、二段階法を利用でき、この二段階法においては、該巨大ジオール(M)とジイソシアネート(DI)とを第一段階において反応させて、ジイソシアネートで末端キャップされた「プレポリマー」DI-M-DIを生成する。次いで、第二段階において、必要により追加のジイソシアネート共に、連鎖延長剤を添加する。例えば、DI-M-DI:CEの比が1:1である場合、以下のような繰返し構造を持つポリウレタン:-[DI-M-DI-CE-]nを形成することができる。高い反応制御性のために、この二段階法で生成されるポリウレタンは、上記一段階法で作成された対応するポリウレタンよりも、一層規則的な構造を持つことができる。
【0061】
幾つかの他の態様においては、一段階法を利用することができ、ここでは、第一の巨大ジオール(M1)(例えば、ポリイソブチレンジオール)、第二の巨大ジオール(M2)(例えば、生分解性ポリマージオール、例えば生分解性ポリエステルジオール、ポリオルトエステルジオール、ポリ酸無水物ジオール、ポリ(アミノ酸)ジオール等)およびジイソシアネート(DI)(例えば、MDI、TDI等)を単一の段階で反応させる。例えば、M1:M2の比が1:1である場合、以下のような理想化された繰返し構造を持つポリウレタン:-[DI-M1-DI-M2-]nを製造することができるが、該連鎖は、示されたような完全な交互配列ではあり得ない。幾つかの態様においては、連鎖延長剤(CE)を該反応混合物に添加することができる。例えば、M1:M2:CEの比が1:1:2である場合、以下のような理想化された繰返し構造を持つポリウレタン:-[DI-M1-DI-CE-DI-M2-DI-CE-]nを製造することができるが、得られる該連鎖は、示されたような完全な交互配列ではあり得ない。
【0062】
幾つかの態様においては、二段階法を使用するが、そこでは、第一および第二巨大ジオール(M1、M2)を、独立に第一段階でジイソシアネートと反応させて、イソシアネートでキャップされた第一および第二プレポリマー、例えばDI-M1-DIおよびDI-M2-DIを形成する。第二段階においては、これらのプレポリマーを、該プレポリマーのイソシアネート末端キャップと反応する、連鎖延長剤(CE)と反応させる。例えば、M1-DI:DI-M2-DI:CEの比が1:1:2である場合、以下のような理想化された繰返し構造を持つポリウレタン:-[DI-M1-DI-CE-DI-M2-DI-CE-]nを製造することができるが、得られる該連鎖は、示されたような完全な交互配列ではあり得ない。
【0063】
幾つかの態様においては、第一の巨大ジオールとジイソシアネートとを、第一段階において反応させて、第一のプレポリマーDI-M1-DIを生成する。この段階は、第二の段階を伴い、該第二の段階において、該第二の巨大ジオール(M2)は、該イソシアネートでキャップされた第一の巨大ジオールのイソシアネート末端キャップの一方または両者と反応する。DI-M1-DI対M2の相対的な比に依存して、この段階は、M2-DI-M1-DIおよびM2-DI-M1-DI-M2等の構造を作成するために利用することができる。
【0064】
従って、これらの構造を、追加のジイソシアネートと反応させて、連鎖の延長に導くことができる。例えば、巨大ジオールプレポリマー:M2-DI-M1-DI-M2を、ジイソシアネート(DI)と反応させて、以下のライン:-[M2-DI-M1-DI-M2-DI-]nに従う構造を生成することができる。
【0065】
幾つかの態様においては、巨大ジオールプレポリマー:M2-DI-M1-DI-M2を、化学量論的関係を維持するのに必要とされるように、連鎖延長剤(CE)としてのジイソシアネートと反応させる。例えば、連鎖延長工程は、以下のライン:-[DI-M2-DI-M1-DI-M2-DI-CE-]nに従う理想的な構造を生成するのに使用できるが、ここでも得られる該連鎖は、示されたような完全な交互配列にはなりそうもないことに注意すべきである。
【0066】
従って、特に上記のような技術を利用すれば、多くの可能性があり、それにより巨大ジオール(例えば、M、M1、M2等)、ジイソシアネート(DI)、および随意の連鎖延長剤(CE)を結合して、本発明によるコポリマーを製造することができる。
【0067】
前に示した如く、類似の構造は、ジオール以外のポリマー型実在物を用いて製造することができる。一例として、幾つかの態様においては、一段階法を利用し、そこで(a) 巨大ジアミン(M)、例えばジブロックジアミン(例えば、ポリ(アミノ酸)-ポリイソブチレンジアミン等)またはトリブロックジアミン(例えば、ポリ(アミノ酸)-ポリイソブチレン-ポリ(アミノ酸)ジアミン等)および(b) ジイソシアネート(DI)(例えば、MDI、TDI等)を、単一の段階で反応させる。この技術を利用して、交互配列された巨大ジアミンおよびジイソシアネート残基を持つポリウレア、即ち-[DI-M-]n(ここで、nは整数である)を製造する。
【0068】
その上、上記反応と類似する更なる反応をも使用することができる。例えば、幾つかの態様においては、ジオールまたはジアミン連鎖延長剤(CE)を、該反応混合物中に含めることができる。もう一つの例として、多くの他の可能性の中でも、ポリ(アミノ酸)巨大ジアミンとポリイソブチレン巨大ジアミンの組合せ(M1、M2)を使用することができる。
【0069】
様々な態様においては、移植可能なおよび挿入可能なデバイスが提供され、該デバイスは、本発明の様々な局面による、1種またはそれ以上のコポリマーを含有する、1またはそれ以上のポリマー領域を含む。ここで使用する表現「ポリマー領域」とは、例えば50質量%またはそれ以下〜75質量%〜90質量%〜95質量%〜97.5質量%〜99質量%なる範囲のポリマー、あるいはそれ以上のポリマーを含む、領域(例えば、デバイス全体、デバイスの構成部品、デバイスの被覆層等)である。
【0070】
本発明により提供することのできる医療デバイスの例は広範囲に渡り、身体に外側から適用するための医療用デバイス、例えば完全な皮膚および破壊された皮膚(創傷を含む)に対して治療薬を放出するためのパッチおよび移植可能なおよび挿入可能な医療デバイス、例えばステント(冠動脈血管用ステント、末梢血管用ステント、脳、尿道、尿管、胆管、気管、胃腸管および食道ステントを含む)、ステント被膜、ステント移植片、血管移植片、腹部大動脈瘤(AAA)デバイス(例えば、AAAステント、AAA移植片等)、血管アクセス口、透析口、カテーテル(例えば、泌尿器カテーテル、または血管カテーテル、例えばバルーンカテーテルおよび様々な中心静脈カテーテル)、ガイドワイヤー、バルーン、フィルタ(例えば、末端部保護用デバイスのメッシュフィルタおよび静脈腔フィルタ)、大脳動脈瘤フィラーコイル(ガグリエルミ(Guglielmi)着脱式コイルおよび金属コイルを含む)を包含する塞栓形成デバイス、抗-塞栓剤、組織拡大デバイス、隔壁欠損閉塞デバイス、該デバイスの遠位動脈部分の治療のために動脈に配置するのに適した薬物デポ剤、心筋プラグ、パッチ、ペースメーカーの誘導線、除細動誘導線およびコイルを含む誘導線、神経刺激誘導線、例えば脊髄刺激誘導線、深部脳刺激誘導線、末梢神経刺激誘導線、移植蝸牛刺激装置用誘導線および網膜インプラント用誘導線、パルス発生装置、左心室補助心臓およびポンプを含む心室補助装置、全人工心臓、シャント、心臓弁および血管弁を含む弁、吻合術用のクリップおよびリング、移植蝸牛刺激装置、鼓膜切開術用チューブ、胸部排液用チューブ、腎フィステル形成術用チューブ、および軟骨組織、骨、皮膚、神経(例えば、脊髄を含む神経通路再生用の)、およびその他のインビボ組織再生用の組織操作用骨格、縫合糸、縫合糸固定具、外科手術部位における組織ステープルおよび結サツクリップ、カニューレ、金属ワイヤー結サツ糸、尿道三角巾ヘルニア「メッシュ」、人工靭帯、靭帯接着およびメニスカス修復用の鋲、関節補綴、脊椎板および核、整形外科用補綴具、例えば移植骨片、骨プレート、フィンおよび融合デバイス、補綴固定デバイス、例えば踝、膝および手首領域の干渉スクリュー、骨折部固定用ロッド及びピン、頭蓋顎顔面修復用のスクリューおよびプレート、歯科用移植片、コンタクトレンズ、眼間レンズ、点(punctum)プラグ、緑内障シャント、または身体に移植されまたは挿入されるその他のデバイスを含む。
【0071】
幾つかの態様において、本発明のポリマー領域は、医療用デバイス全体に相当する。他の態様においては、該ポリマー領域は、医療用デバイスの1またはそれ以上の部分に相当する。例えば、該ポリマー領域は、医療用デバイスの部品の形状、医療デバイスに組込まれる1またはそれ以上の繊維の形状、下部支持体の全体または一部のみを覆うように形成される1またはそれ以上のポリマー層の形状等であり得る。医療デバイス用の下部支持体として使用するための材料は、セラミックス、金属およびポリマー支持体を含む。層は、様々な位置において、また様々な形状(例えば、一連の矩形、ストライプ、または任意の他の連続的なまたは不連続のパターンの形状)で、下方の支持体上に設けられる。ここで使用する与えられた材料の「層」とは、長さおよび幅両者と比較した場合に、より小さな厚みを持つ材料の領域である。ここにおいて使用するような層は、平坦である必要はなく、例えば下方の支持体の輪郭に沿うものであってよい。層は、不連続であり得る(例えば、パターン化されていてもよい)。
【0072】
1種またはそれ以上の本発明のコポリマーに加えて、該医療用デバイスにおいて使用するポリマー領域は、幾つかの態様においては、場合により1またはそれ以上の補助的な薬物を含むことができる。
【0073】
例えば、幾つかの態様においては、1種またはそれ以上の治療薬を、本発明によるポリマー領域の背後、その内部(例えば、該領域と混合)、またはこれに接着(例えば、これと共有結合的にまたは非-共有結合的に結合)することにより、該領域に含める。「治療薬」、「薬物」、「薬学的に活性な薬剤」、「薬学的に活性な物質」およびその他の関連する用語は、ここでは互換的に使用される。
【0074】
広範囲に渡る治療薬が、本発明との関連で使用でき、広範囲に及ぶ疾患および状態(即ち、疾患または状態の予防、疾患または状態と関連する症状の軽減または排除、または疾患または状態の実質的なまたは完全な排除)を治療するために使用されるものを含む。
【0075】
本発明との関連で使用するための治療薬の例は、以下に列挙するものを包含する:(a) 抗-血栓症薬、例えばヘパリン、ヘパリン誘導体、ウロキナーゼ、クロピドグレル、およびPパック(PPack)(デキストロフェニルアラニンプロリンアルギニンクロロメチルケトン);(b) 抗-炎症薬、例えばデキサメタゾン、プレドニソロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジン、およびメサラジン;(c) 抗-新生物/抗-増殖/細胞分裂阻止剤、例えばパクリタクセル、5-フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン(epothilones)、エンドスタチン、アンギオスタチン、アンギオペプチン、平滑筋細胞増殖を遮断することのできるモノクローナル抗体、およびチミジンキナーゼ阻害剤;(d) 麻酔薬、例えばリドカイン、ブピバカインおよびロピバカイン;(e) 抗-凝血薬、例えばD-Phe-Pro-Argクロロメチルケトン、RGDペプチド-含有化合物、ヘパリン、ヒルジン、抗-トロンビン化合物、血小板レセプタアンタゴニスト、抗-トロンビン抗体、抗-血小板レセプタ抗体、アスピリン、プロスタグランジン阻害剤、血小板阻害剤およびマダニ抗-血小板ペプチド;(f) 血管細胞成長促進剤、例えば成長因子、転写活性化剤、および翻訳プロモータ;(g) 血管細胞成長阻害剤、例えば成長因子阻害剤、成長因子レセプタアンタゴニスト、転写レセプタ、翻訳レセプタ、複製阻害剤、阻害性抗体、成長因子に抗する抗体、成長因子および細胞毒素からなる二官能性分子、抗体および細胞毒素からなる二官能性分子;(h) プロテインキナーゼおよびチロシンキナーゼ阻害剤(例えば、チルフォスチン、ゲニステイン、キノキサリン);(i) プロスタサイクリン類似体;(j) コレステロール低下薬;(k) アンギオポエチン;(l) 抗-微生物剤、例えばトリクロサン、セファロスポリン、アミノグリコシドおよびニトロフラントイン;(m) 細胞毒素剤、細胞増殖抑止剤および細胞増殖アフェクタ;(n) 血管拡張薬;(o) 内因性血管作用メカニズムを妨害する薬剤;(p) 白血球漸増阻害剤、例えばモノクローナル抗体;(q) サイトカイン;(r) ホルモン;(s) ゲルダナマイシンを包含する、HSP 90タンパク質(即ち、熱ショックタンパク質、これはシャペロンまたはハウスキーピングタンパク質であり、また細胞の成長および生存に応答し得る他のクライアントタンパク質/シグナル変換、伝達タンパク質の安定性および機能にとって必要とされる)阻害剤;(t) α-レセプタアンタゴニスト(例えば、ドキサゾシン、タムスロシン)およびβ-レセプタアゴニスト(例えば、ドブタミン、サルメテロール)、β-レセプタアンタゴニスト(例えば、アテノロール、メタプロロール、ブトキサミン)、アンギオテンシン-IIレセプタアンタゴニスト(例えば、ロサルタン、バルサルタン、イルベサルタン、カンデサルタンおよびテルミサルタン)、および鎮痙薬(例えば、オキシブチニンクロリド、フラボキサート、トルテロジン、ヒヨスチアミン硫酸塩、ジクロミン(diclomine));(u) bARKct阻害剤;(v) ホスホランバン阻害剤;(w) セルカ(Serca) 2遺伝子/タンパク質;(x) アミノキゾリン、例えばレシキモドおよびイミキモド等のイミダゾキノリンを包含する免疫応答調節剤;(y) ヒトアポリポタンパク質(例えば、AI、AII、AIII、AIV、AV等);(z) 選択的エストロゲンレセプタ調節剤(SERMs)、例えばラロキシフェン、ラソフォキシフェン(lasofoxifene)、アルゾキシフェン(arzoxifene)、ミプロキシフェン(miproxifene)、オスペミフェン(ospemifene)、PKS 3741、MF 101およびSR 16234;(aa) PPAR-α-、γ-およびδ-アゴニスト、例えばロシグリタゾン(rosiglitazone)、ピオグリタゾン、ネトグリタゾン(netoglitazone)、フェノフィブラート、ベクサオテン(bexaotene)、メタグリダセン(metaglidasen)、リボグリタゾン(rivoglitazone)およびテサグリタザール(tesaglitazar)を包含するPPARアゴニスト;(bb) PGE2アゴニスト、例えばアルプロスタジルまたはONO 8815Lyを含むプロスタグランジンEアゴニスト;(cc) トロンビンレセプタ活性化ペプチド(TRAP);(dd) ベナゼプリル、ホシシノプリル、リシノプリル、キナプリル、ラミプリル、イミダプリル、デラプリル、モエキシプリルおよびスピラプリルを包含するバソペプチダーゼ阻害剤;(ee) チモシンβ-4;(ff) ホスホリルコリン、ホスファチジルイノシトールおよびホスファチジルコリンを含むリン脂質;(gg) VLA-4アンタゴニストおよびVCAM-1アンタゴニスト;(hh) 非-付着性抗-タンパク質剤、例えばポリエチレングリコール;および(ii) プロヒーリング(prohealing)剤。
【0076】
多数の治療剤(必ずしも上記の治療剤に限定されない)は、脈管治療方式のための候補として、例えば再狭窄を標的とする薬剤(再狭窄防止剤)等として同定されている。このような薬剤は、本発明の実施にとって有用であり、また以下に列挙する1またはそれ以上を含む:(a) ベンゾチアザピン、例えばジルチアゼムおよびクレンチアゼム、ジヒドロピリジン、例えばニフェジピン、アムロジピンおよびニカルダピン、およびフェニルアルキルアミン、例えばベラパミルを包含するCa-チャンネル遮断剤;(b) 以下に挙げるものを含むセロトニン経路調節剤:5-HTアンタゴニスト、例えばケタンセリンおよびナフチドロフリル、並びに5-HT取込み阻害剤、例えばフルオキセチン;(c) ホスホジエステラーゼ阻害剤、例えばシロスタゾールおよびジピリダモール、アデニレート/グアニレートシクラーゼ刺激剤、例えばフォルスコリン、並びにアデノシン類似体を包含する、環状ヌクレオチド経路作用剤;(d) α-アンタゴニスト、例えばプラゾシンおよびブナゾシン、β-アンタゴニスト、例えばプロプラノロールおよびα/β-アンタゴニスト、例えばラベタロールおよびカルベジロールを含むカテコールアミン調節剤;(e) エンドテリンレセプタアンタゴニスト、例えばボセンタン、シタクセンタン(sitaxsentan)ナトリウム、アトラセンタン(atrasentan)、エンドネンタン(endonentan);(f) 有機ニトレート/ニトリット、例えばニトログリセリン、イソソルビドジニトレートおよびアミルニトリット、無機ニトロソ化合物、例えばナトリウムニトロ-プルシド、シドノニミン(sydnonimines)、例えばモルシドミンおよびリンシドミン、ノノエート、例えばジアゼニウムジオレートおよびアルカンジアミンのNO付加生成物、低分子量化合物(例えば、カプトプリル、グルタチオンおよびN-アセチルペニシラミンのS-ニトロソ誘導体)および高分子量化合物(例えば、タンパク質、ペプチド、オリゴ糖、多糖類、合成ポリマー/オリゴマーおよび天然ポリマー/オリゴマーのS-ニトロソ誘導体)を含むS-ニトロソ化合物、並びにC-ニトロソ化合物、O-ニトロソ化合物、N-ニトロソ化合物およびL-アルギニンを含む、一酸化窒素ドナー/放出分子;(g) アンギオテンシン転化酵素(ACE)阻害剤、例えばシラザプリル、ホシノプリルおよびエナラプリル;(h) ATII-レセプタアンタゴニスト、例えばサララシンおよびロサルチン(losartin);(i) 血小板接着阻害剤、例えばアルブミンおよびポリエチレンオキサイド;(j) シロスタゾール、アスピリンおよびチエノピリジン(チクロピジン、クロピドグレル)およびGP IIb/IIIa阻害剤、例えば、アブシキマブ(abciximab)、エピチフィバチド(epitifibatide)およびチロフィバン(tirofiban)を含む血小板凝集阻害剤;(k) ヘパリノイド、例えばヘパリン、低分子量ヘパリン、デキストランサルフェートおよびβ-シクロデキストリンテトラデカサルフェート、トロンビン阻害剤、例えばヒルジン、ヒルログ(hirulog)、PPACK(D-Phe-L-プロピル-L-Arg-クロロメチルケトン)およびアルガトロバン、FXa阻害剤、例えばアンチスタチン(antistatin)、およびTAP(マダニ抗-凝血ペプチド)、ビタミンK阻害剤、例えばワーファリン、並びに活性化タンパク質Cを含む血液凝固経路調節剤;(l) シクロオキシゲナーゼ経路阻害剤、例えばアスピリン、イブプロフェン、フルルビプロフェン、インドメタシンおよびスルフィンピラゾン;(m) 天然および合成コルチコステロイド、例えばデキサメタゾン、プレドニソロン、メスプレドニソロン(methprednisolone)およびヒドロコルチゾン;(n) リポキシゲナーゼ経路阻害剤、例えばノルジヒドログアイアレチン酸およびカフェイン酸;(o) ロイコトリエンレセプタアンタゴニスト;(p) E-およびP-セレクチンのアンタゴニスト;(q) VCAM-1とICAM-1との相互作用の阻害剤;(r) プロスタグランジン、例えばPGE1およびPGI2およびプロスタサイクリン類似体、例えばシプロステン、エポプロステノール、カルバサイクリン(carbacyclin)、イロプロストおよびベラプロストを包含するプロスタグランジンおよびその類似体;(s) ビスホスホネートを含むマクロファージ活性化阻害剤;(t) HMG-CoAレダクターゼ阻害剤、例えばロバスタチン、プラバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、シンバスタチンおよびセリバスタチン(cerivastatin);(u) 魚油およびω-3-脂肪酸;(v) 遊離基捕獲剤/酸化防止剤、例えばプロブコール、ビタミンCおよびE、エブセレン(ebselen)、trans-レチノイン酸SOD(オルゴテイン)およびSOD模擬体、ベルテポルフィン、ロスタポルフィン(rostaporfin)、AGI 1067、およびM40419;(w) FGF経路作用剤、例えばbFGF抗体およびキメラ融合タンパク質、PDGFレセプタアンタゴニスト、例えばトラピジル、IGF経路作用剤、例えばソマトスタチン類似体、例えばアンギオペプチンおよびオクレオチド(ocreotide)、TGF-β経路作用剤、例えばポリアニオン性薬剤(ヘパリン、フコイジン)、デコリン、およびTGF-β抗体、EGF経路作用剤、例えばEGF抗体、レセプタアンタゴニストおよびキメラ融合タンパク質、TNF-α経路作用剤、例えばサリドマイドおよびその類似体、トロンボキサンA2(TXA2)回路調節剤、例えばスロトロバン、バピプロスト、ダゾキシベン(dazoxiben)およびリドグレル(ridogrel)、並びにプロテインチロシンキナーゼ阻害剤、例えばチルホスチン、ゲニステインおよびキノキサリン誘導体を含む様々な成長因子に影響を与える薬剤;(x) マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)経路阻害剤、例えばマリマスタット(marimastat)、イロマスタット(ilomastat)、メタスタット(metastat)、バチマスタット(batimastat)、ペントサンポリサルフェート、レビマスタット(rebimastat)、インサイクリニド(incyclinide)、アプラタスタット(apratastat)、PG 116800、RO 1130830またはABT518;(y) 細胞運動性阻害剤、例えばサイトカラシンB;(z) 抗-増殖/抗-新生物薬剤、例えば代謝拮抗物質、例えばプリン類似体(例えば、6-メルカプトプリンまたはクラドリビン:これは、塩素化されたプリンヌクレオシド類似体である)、ピリミジン類似体(例えば、シタラビンおよび5-フルオロウラシル)およびメトトレキサート、クロルメチン、アルキルスルホネート、エチレンイミン、抗生物質(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン)、ニトロソウレァ、シスプラチン、微小管動力学に影響を与える薬剤(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、コルヒチン、エポD(Epo D)、パクリタクセルおよびエポチロン(epothilone))、カスパーゼ活性化剤、プロテアソーム阻害剤、脈管形成阻害剤(例えば、エンドスタチン(endostatin)、アンギオスタチンおよびスクアラミン)、オリマス(olimus)群の薬物(例えば、シロリムス(sirolimus)、エベロリムス、タクロリムス、ゾタロリムス(zotarolimus)等)、セリバスタチン(cerivastatin)、フラボピリドール(flavopiridol)およびスラミン;(aa) マトリックス沈着/組織化経路阻害剤、例えばハロフギノンまたは他のキナゾリノン誘導体、ピルフェニドンおよびトラニラスト;(bb) 内皮形成促進剤、例えばVEGFおよびRGDペプチド;(cc) 血液レオロジー調節剤、例えばペントキシフィリン;および(dd) グルコース架橋破壊剤、例えばアラゲブリウム(alagebrium)クロリド(ALT-711)。
【0077】
治療薬が存在する場合、ある範囲の薬物投入量を、本発明の医療用デバイスとも組合せで使用することができる。典型的な薬剤投入量の範囲は、例えば上記ポリマー領域を基準として、1質量%またはそれ未満〜2質量%〜5質量%〜10質量%〜25質量%またはそれ以上なる範囲にある。
【0078】
多くの技術が、本発明に従ってポリマー領域を形成するために利用できる。
【0079】
例えば、本発明のコポリマーが、熱可塑の特性を持つ場合、様々な熱可塑性加工技術を利用して、該コポリマーからポリマー領域を製造することができる。これらの技術を利用して、例えば(a) 先ずポリマーおよび任意の他の随意の薬剤、例えば治療薬を含有するメルトを調製し、および(b) 引続き該メルトを冷却することによって、ポリマー領域を製造することができる。熱可塑性加工技術の例は、圧縮成型、射出成型、吹込成形、噴霧、真空成型およびカレンダリング、シート、繊維、ロッド、チューブおよび様々な長さを持つ他の断面を持つ形材への押出し、並びにこれら工程の組合せを含む。これらのおよびその他の熱可塑性加工技術を用いて、デバイス全体またはその一部を作成することができる。
【0080】
溶媒の使用に基く技術を含む、熱可塑性加工技術以外の他の加工技術も、本発明によるポリマー領域を形成するために利用できる。これらの技術を用いて、例えば(a) 先ずポリマーおよび任意の随意の補足的な薬剤、例えば治療薬を含む溶液または分散液を調製し、および(b) 引続き該溶媒を除去することにより、ポリマー領域を生成することができる。最終的に選択される該溶媒は、1またはそれ以上の溶媒種を含み、これら溶媒種は、一般に該ポリマー領域を形成する該ポリマーを溶解する能力、およびその他のファクタ、例えば乾燥速度、表面張力等に基いて選択される。幾つかの態様において、該溶媒は、存在する場合には、該随意の薬剤を溶解または分散する能力に基いて選択される。即ち、随意の補足的薬剤、例えば治療薬は、該塗布溶液中に溶解または分散させることができる。好ましい溶媒の使用に基く技術は、溶媒被覆技術、スピン塗布技術、ウエブ塗布技術、噴霧塗布技術、浸漬塗布技術、空気による懸濁を含む機械的な懸濁を介する塗布を含む技術、インクジェット塗布技術、静電塗布技術、およびこれらの組合せ工程を含むが、これらに限定されない。
【0081】
本発明の幾つかの態様においては、ポリマー含有溶液(ここでは、溶媒を用いる方法を利用する)またはポリマー含有メルト(ここでは、熱可塑性化工法が利用される)を、支持体に適用して、ポリマー領域を形成する。例えば、該支持体は、移植可能なまたは挿入可能な医療デバイスの全体または一部に相当するものであり得、該支持体に対して、ポリマー被膜が、例えば噴霧、押出等の方法により適用される。該支持体は、また、例えば金型等の鋳型であり得、固化後に該鋳型から該ポリマー領域が取出される。他の態様においては、例えば押出しおよび同時押出し法により、1種またはそれ以上のポリマー領域が、支持体の助けを借りることなしに形成される。特定の例において、全医療デバイスが押し出される。もう一つの例においては、ポリマー被覆層が、下方の医療デバイス本体と共に、同時押出しされる。もう一つの例においては、ポリマー領域が押し出され、これは次に医療デバイスの支持体の上に適用される。
【実施例】
【0082】
本発明を実施するための具体的な態様の例を以下に与える。これらの実施例は単に例示の目的で与えられるものであり、本発明の範囲を何ら限定することを意図するものではない。
実施例1:PLLA-b-PIB-b-PLLAの合成
【0083】
6種のPLLA-b-PIB-b-PLLAトリブロックコポリマーを、120℃にて、触媒としてスズオクトエートを、またHO-アリル-PIB-アリル-OH巨大開始剤を使用し、例えばL-ラクチドの開環重合により、様々なPLLAおよびPIBセグメント長を持つように合成した。3,400(多分散性指数(PDI)=1.05)または6,700(PDI=1.04)なる数平均分子量(Mn)を持つPIBジオール巨大開始剤は、以前にU. Ojha等, Macromolecules, 2008, 41, 3832-3841において報告されたように、定量的官能基転化を伴う、ブロモアリルテレケリック(telechelic)PIBの加水分解により合成した。
【0084】
PLLA(350)-b-PIB(3400)-b-PLLA(350)に関する典型的な合成手順は、以下に記載する通りである。HO-アリル-PIB-アリル-OH(2.0g、0.59mM)を、還流冷却機を備えた、2-口丸底フラスコ中に入れた。この装備を、連続的な窒素パージ条件下に維持した。該ポリマーに10mLの無水トルエンを添加し、室温にて攪拌して、均一な混合物を生成した。次いで、該溶媒を減圧下で蒸発させた。該フラスコに、L-ラクチド(419mg、2.95mM)を添加し、得られる混合物を、50℃にて3時間に渡り真空下に維持した。該真空を、窒素ガス雰囲気下で解除し、10mLのガラスシリンジを用いて、この混合物に無水トルエン(4mL)を添加した。1mLの無水トルエンに第一スズオクトエート(20mg、1質量%)を溶解した溶液を、2mLのシリンジを用いて、該攪拌した溶液に添加し、得られる混合物を、窒素雰囲気下で120℃にて24時間加熱した。この溶液を、室温まで冷却し、蒸留メタノール(25mL)に注ぎ込み、3時間に渡り静置した。得られる上澄液を、デカンテーションし、生成した沈殿を分離した。該沈殿の更なる精製は、これを室温にてクロロホルム(5mL)に溶解し、得られた溶液をメタノール(30mL)に添加することにより行った。該ポリマーを沈降させた。該液相を取出し、該ポリマーを繰返し過剰量のメタノールで洗浄した。該ポリマーを、最終的に真空条件下で一夜乾燥して、揮発性の不純物を除去した。
異なる硬質ブロック:軟質ブロック(HB:SB)組成を持つ、得られた6種のトリブロックコポリマーを、以下の表1に記載する。
表1:PLLA-b-PIB-b-PLLAトリブロックコポリマーの合成
【0085】
【表1】

1: 該トリブロックコポリマー合成のために使用した、ヒドロキシアリルテレケリックPIBおよびL-ラクチドのモル当量;
2: この重量法による収率は、沈殿法を利用して該ポリマーを生成した後に計算した;
3: 与えられた数値は、様々なポリマーセグメントに関する数平均分子量を表す。
【0086】
表2から理解されるように、GPCおよび1H-NMR分析から得たMnの値は、理論値に近いものであり、またこれは定量的に重合が進んだことを示している。該プリカーサPIB巨大開始剤およびトリブロックコポリマーに関する、該PDIの値も、表2に与えられている。
表2:上記プリカーサおよびトリブロックコポリマーの分子量データ
【0087】
【表2】

1: GPCにより測定されたヒドロキシアリルテレケリックPIBの分子量;
2: MnPIB対MnPLLAの比を表す;3: PLLA-b-PIB-b-PLLAトリブロックコポリマーの設計された分子量を表す;4: 1H-NMR分光分析により測定した該トリブロックコポリマーのMn;
5: GPC分析により測定した該トリブロックコポリマーのMn。
【0088】
実施例2:PLLA-b-PIB-b-PLLAからのポリウレタンの生成
実施例1において製造したトリブロックコポリマージオールを、Sn(Oct)2の存在下で、トルエン中で、高温度下にて、MDIにより連鎖延長させて、対応するマルチブロックコポリマーを得た。
【0089】
PLLA(350)-b-PIB(3400)-b-PLLA(350)の典型的な連鎖延長は、以下の通りであった。PLLA(350)-b-PIB(3400)-b-PLLA(350)(1.45g、0.35mM)を、無水トルエンの共沸蒸留によって乾燥し、室温にて窒素雰囲気下に維持した。該ポリマーに、3mLの無水トルエンおよび第一スズオクトエート(1モル%)のトルエン溶液を添加した。温度を75℃に維持した。この攪拌した混合物に、メチル-ジフェニル-ジイソシアネート(MDI)(100mg、0.40mM)を添加し、攪拌を7時間に渡り継続した。該溶媒を、室温にて蒸発させた。この生成物を、ヘキサンで繰り返し洗浄し、減圧下で乾燥させた。
【0090】
様々なMDI当量を用いて得たMnの値を、以下の表3に列挙する。
表3:マルチブロックコポリマー(PLLA(1800)-b-PIB(6700)-b-PLLA(1800)=1eq.およびSn(Oct)2=トリブロックコポリマーの1モル%)の分子量およびPDI
【0091】
【表3】

1: GPCは、溶離液としてクロロホルムを用いて記録した;2: THFを移動相として使用した;3: 該GPC-RIトレースは、2-モード分子量分布を示した;4: 収率は重量法で測定。
【0092】
上記表3によれば、最大のMnは、1.15等量のMDIにより得られた。この当量を、以下の全ての連鎖延長において使用した。
該マルチブロックコポリマーの分子量および多分散性指数を、以下の表4に与える。該マルチブロックコポリマーのMnは、PDI=1.4-1.6に関して、43,400〜71,400なる範囲の値として得られた。
表4:連鎖延長されたPLLA-b-PIB-b-PLLAトリブロックコポリマーの分子量データ
【0093】
【表4】

1: トリブロックコポリマーは、MDIを用いて連鎖延長させた;2: サンプルは溶離液としてTHFを用いて記録した;3: 該ポリマーの重量法による収率を報告;4: SB=軟質セグメント、HB=硬質セグメント、MSB = MPIB, MHB = MPLLA + MMDI;5: マルチブロックコポリマーのPDIは、GPC-RIトレース由来のものである。
【0094】
全てのトリブロックおよびマルチブロックコポリマーは、室温にて、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルムおよびジクロロメタン(DCM)に対して溶解性であった。全てのトリブロックおよびマルチブロックコポリマー(M18.34を除く)は、室温にてトルエンに対して溶解性であった。
【0095】
溶液流延サンプルは、該ポリマーをクロロホルム中に溶解(5質量%)することにより調製した。この溶液を、8,000rpmにて10分間遠心分離処理に付し、テフロン(登録商標)(Teflon)製金型に流し込んだ。該溶媒を、室温にて徐々に蒸発させた。
【0096】
該ポリマーの圧縮成型を、115℃にて10分間、23.4MPa(3400psi)にて行った。
【0097】
該トリブロックおよびマルチブロックコポリマーのDSCサーモグラムは、殆どの場合において(T3.67および第一加熱時点におけるそのマルチブロックの片割れ以外)、2つのガラス転移点(Tg)を、約-60℃および約45℃に示した。このことは、微小相の分離を示す。該合成時点のマルチブロックコポリマーは、該第一加熱走査において約150℃なるTmを示した(表5参照)。より高いPLLA含有率を持つトリブロックコポリマーを基本とするマルチブロックコポリマー(T7.67、T18.67およびT18.34)は、第一および第二加熱走査両者においてTmを示したが、該第二加熱走査の際のメルト転移のエンタルピーは、該第一加熱走査と比較して減少した。
【0098】
【表5】



1: これらのサンプルは、特に述べない限り、10℃/分なる加熱並びに冷却速度にて記録された;2: Tg1は、PIBブロックのガラス転移点に相当し、またTg2は、PLLAブロックのガラス転移点に相当する;3: M/Tは、対応するマルチブロック/トリブロックコポリマーのTgおよびTmを表す;4: これは結晶化温度を表す;5: 合成ポリマー自体の第一および第二加熱走査を表す;6: クロロホルム-流延/圧縮成型マルチブロックコポリマーの第一加熱走査を表す。
【0099】
表6に、合成したままの、圧縮成形フィルムおよびクロロホルム-流延/圧縮成型フィルムの、ヤング率および極限歪および応力を与える。
【0100】
50質量%未満のPLLAを含むマルチブロックコポリマーの引張応力は、PIB3,400および6,700セグメントに対して8-11MPaなる範囲で変動する。51質量%のPLLAを含む該M18.34マルチブロックコポリマーは、高い強度(21MPa)を示す。該マルチブロックコポリマーに関する極限歪値は、100%〜400%なる範囲にある。
【0101】
34.6質量%および30質量%のPLLAを含有するM18.67およびM7.34マルチブロックコポリマーは、夫々25MPaおよび28MPaなるヤング率値を持つ。51質量%のPLLAを含む該M18.34マルチブロックコポリマーは、42MPaなるヤング率値を持つ。約17質量%のPLLAを含むポリマー(M7.67およびM3.34)は、より一層低いヤング率値(約4MPa)を持つ。9.4質量%なるPLLAを含むマルチブロックコポリマーは、約2MPaなるヤング率値を持つ。
【0102】
PLLA-PIBマルチブロックコポリマーの応力-歪測定は、PLLAの含有率の増大に伴う、強度およびヤング率における増大(応力-歪曲線の初期勾配)を示した。
【0103】
動的機械的分析(DMA)を、該マルチブロックコポリマーの様々な熱転移および機械的な安定性を決定するために使用した。そのガラス転移点(Tg)は、tanδ曲線のピーク極大から得た。テストされた様々なフィルムに関する貯蔵弾性率の値を、静的引張特性と共に、以下の表6に掲載する。全てのサンプルに関する貯蔵弾性率の一般的減衰傾向を、増大する温度に対して観測した。貯蔵弾性率における急速な低下が、約-30℃にて観測されたが、これは、該サンプルの軟質セグメント(PIB)のガラス転移に相当する。この貯蔵弾性率における急速な低下は、比較的高いPLLA含有率を持つサンプル(M7.34およびM18.34)関して、明確なゴムに見られるプラトー領域を伴っていた。これらは、更に約60℃にて、貯蔵弾性率における急速な低下をも示したが、これはその硬質セグメント(PLLA)のガラス転移に相当する。
【0104】
【表6】

1: 破断点における極限引張強さを表す;2: 破断点における最大の伸び率を表す;3: 室温における動的機械的分析により得られた貯蔵弾性率である;4: 該ポリマーの5%溶液を、溶媒-流延加工した;5: ポリマーを115℃にて10分間圧縮成型した;6: 該ヤング率は、各ポリマーの応力-歪曲線の初期勾配から導いた。
【0105】
これらマルチブロックコポリマーのAFM分析は、硬質および軟質セグメントの相偏析を示した。M18.67(SB/HB=63/37(質量%))の場合、そのスピン塗布されたフィルムは、7-10nmなる範囲の平均径を持つその硬質セグメントの不規則な相偏析を示す。M18.34(SB/HB=48/52(質量%))の、スピン塗布されかつアニール処理されたフィルムは、層状の形態を示し、またM3.67(SB/HB=87/13(質量%))は、5-9nmなる範囲の、その硬質セグメントドメインの径を持つ、球状の形態を示した。
【0106】
実施例3:PLLA-b-PIB-b-PLLA (PLLA ≧ 60質量%)の合成
HO-アリル-PIB-アリル-OH(Mn = 3300)を巨大開始剤として使用し、また実施例1に記載の手順を使用して、L-ラクチドの開環重合により、約60-90質量%のPLLAを含むトリブロックコポリマーを合成した。
該トリブロックコポリマーの命名法および組成を、以下の表7に記載する。
表7:トリブロックコポリマーのPIBおよびPLLA含有率(質量%)およびMnのデータ
【0107】
【表7】

【0108】
これらのGPCによるMnデータおよびNMRによるMnデータ(提示せず)は、上の表7に示すような理論値に近いのもであり、また該ポリマーは、定量的な転化により得られた。
【0109】
実施例4:PLLA-b-PIB-b-PLLA(PLLA ≧60質量%)の連鎖延長
上記実施例3のトリブロックコポリマーの連鎖延長を、実施例2に記載のようにして、75℃にてMDIを用いて実施した(結果を以下の表8に示す)。
表8:マルチブロックコポリマーの分子量データ
【0110】
【表8】

*: MDIの質量は、HBに加えた。**:該PDIは、GPC分析により決定した。
【0111】
該マルチブロックコポリマーのTgおよびTmのデータを、以下の表9に掲載する。全てのポリマーが、141-170℃なる範囲のTmを示した。溶融転移のエンタルピーは、PLLA含有率における増加に伴って増大した。該ポリマー全ては、該PLLAセグメントに対して、39-52℃なる範囲のTgを示した。
表9:PLLA-PIBマルチブロックコポリマーの融点およびガラス転移点
【0112】
【表9】

1: 第一走査(加熱サイクル);2: 第二走査(加熱サイクル)。
【0113】
該マルチブロックコポリマーのDMAデータを、以下の表10に記載する。これらポリマーに関する貯蔵弾性率は、2400-240MPaなる範囲にあった。M26.34(-32および52℃)およびM66.34(-54および63℃)各々は、2つのTg値を示した。
【0114】
【表10】

*: 25℃において測定した貯蔵弾性率。
【0115】
該マルチブロックコポリマーの引張特性を、以下の表11に示す。該マルチブロックコポリマーのヤング率は、2.5-0.75GPaなる範囲にあり、また破断点における極限伸び率は約2.5-18%なる範囲であった。
表11:PLA-PIBマルチブロックコポリマーの静的引張特性
【0116】
【表11】

【0117】
PLLA≧90質量%を含むマルチブロックコポリマーをも合成したが、これらは、極めて脆弱でありまたテスト検体を得ることができなかった。
【0118】
実施例5:ポリ(γ-ベンジル-L-グルタメート)(PBLG)-b-PIB-b-PBLGの合成
PBLG-b-PIB-b-PBLGトリブロックコポリマー(Mn=4,770、PDI=1.12)の合成は、NH2-アリル-PIB-アリル-NH2(PIBジアミン)巨大開始剤を使用して、γ-ベンジル-L-グルタメートN-カルボキシ無水物(Glu-NCA)の開環重合により行った。Mn=2,390およびPDI=1.09を持つPIBジアミン巨大開始剤は、U. Ojha等, Macromolecules, 2008, 41, 3832-3841において前に報告されたように、α,ω-クロロ-アリル官能性PIBとカリウムフタルイミドとの反応において得られる、α,ω-フタルイミド-官能性PIBの加ヒドラジン分解によって合成した。Glu-NCAの、従来のアミン重合(Biomacromolecules, 5(5), 1653, 2004)およびアンモニウム-媒介重合(Chem. Commun., 23, 2944, 2003)両者を実施した。以下において説明される、Glu-NCAのアンモニウム-媒介重合は、該従来のアミン重合と比較して、より良好な分子量の制御性およびより低いPDIを与えた。
【0119】
特に、ガラス装置内で、α,ω-アミノ官能性PIB(0.41g、0.176mM)を、アルゴン雰囲気下で無水THF(5mL)中に溶解し、次いで酢酸(0.10g、1.76mM)を添加した。室温にて10分間攪拌した後に、無水トルエン(30mL)を、該装置内に入れた。該混合溶媒を、高真空ラインで、過剰量の酢酸と共に留去した。無水トルエン(30mL)を再度添加し、共沸蒸留により痕跡量の水を除去した。生成するα,ω-アンモニウム-官能性PIBを、高真空条件下(10-6トール)で、一夜乾燥することにより得た。次いで、このポリマーを、無水THF(11.5mL)中に再度溶解した。この溶液に、Glu-NCA(0.51g、1.94mM)および無水DMF(5.0mL)を、高真空条件下で添加した。この重合系を、60℃にて4日間に渡り攪拌した。この溶液を、該装置から取出し、次いでTHFを減圧条件下で蒸発させた。この濃厚なDMF溶液を、低温メタノール(100mL)中に注込み、該ポリマーを沈殿させた。該ポリマーを濾過し、真空下で24時間に渡り乾燥して、白色固体を得た。収量:0.710g;収率85%。
【0120】
実施例6:PBLG-b-PIB-b-PBLGの連鎖延長
容量100mLの3つ口丸底フラスコ中で、無水PBLG-b-PIB-b-PBLG(0.18g、0.0.383mM)を、無水THF/DMF(4mL/1mL)中に、窒素雰囲気下で溶解した。この溶液を40℃に加熱し、MDI(9.6mg、0.0384mM)を添加した。FT-IRによる反応に引続き、該溶液を40℃にて24時間攪拌した。この溶液を減圧下で濃縮し、次いで冷メタノール(20mL)中に注込み、目的のポリマーを沈殿させた。該ポリマーを濾別し、真空条件下で24時間に渡り乾燥して、白色固体として目的とする(ABA)nマルチブロックコポリマー(Mn=28500、PDI=2.8)を得た。
【0121】
様々な態様を、ここに具体的に例示し、かつ説明したが、本発明の改良並びに変更は、上記教示により網羅されており、また本発明の精神および意図された範囲を逸脱することなしに、添付した特許請求の範囲内に入るものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
数平均分子量20,000またはそれ未満を持つ、複数のポリイソブチレンセグメントおよび複数の生分解性ポリマーセグメントを含む、ことを特徴とするコポリマー。
【請求項2】
2〜50個のポリイソブチレンセグメントを含む、請求項1記載のコポリマー。
【請求項3】
2〜50個の生分解性ポリマーセグメントを含む、請求項1記載のコポリマー。
【請求項4】
前記コポリマーが、ポリエステルセグメント、ポリカーボネートセグメント、ポリオルトエステルセグメント、ポリ酸無水物セグメント、およびポリホスファジンセグメントから選択される複数の生分解性ポリマーセグメントを含む、請求項1記載のコポリマー。
【請求項5】
前記コポリマーが、ポリ(アミノ酸)セグメントから選択される、複数の生分解性ポリマーセグメントを含む、請求項1記載のコポリマー。
【請求項6】
前記コポリマーが、ポリヒドロキシ酸セグメント、ポリカーボネートセグメントおよびポリラクトンセグメント、およびこれらの混合物から選択される、複数の生分解性ポリマーセグメントを含む、請求項1記載のコポリマー。
【請求項7】
前記コポリマーが、複数の硬質生分解性ポリマーセグメントを含む、請求項1記載のコポリマー。
【請求項8】
ポリエステル/ポリイソブチレン/ポリエステルトリブロック、ポリカーボネート/ポリイソブチレン/ポリカーボネートトリブロック、ポリオルトエステル/ポリイソブチレン/ポリオルトエステルトリブロック、ポリ酸無水物/ポリイソブチレン/ポリ酸無水物トリブロック、ポリホスファジン/ポリイソブチレン/ポリホスファジントリブロック、およびポリ(アミノ酸)/ポリイソブチレン/ポリ(アミノ酸)トリブロックから選択される、複数のトリブロックを含む、請求項1記載のコポリマー。
【請求項9】
ポリ(ヒドロキシ酸-b-イソブチレン-b-ヒドロキシ酸)トリブロック、ポリ(カーボネート-b-イソブチレン-b-カーボネート)トリブロック、ポリ(ラクトン-b-イソブチレン-b-ラクトン)トリブロック、およびこれらの組合せから選択される、複数のトリブロックを含む、請求項1記載のコポリマー。
【請求項10】
(a) 複数のジイソシアネート残基および(b) 複数のウレタン結合、複数のウレア結合、またはこれらの組合せを含む、請求項1記載のコポリマー。
【請求項11】
前記ジイソシアネート残基が、非-芳香族系のジイソシアネート残基を含む、請求項10記載のコポリマー。
【請求項12】
前記ジイソシアネート残基が、芳香族系のジイソシアネート残基を含む、請求項10記載のコポリマー。
【請求項13】
前記ジイソシアネート残基が、4,4'-メチレンジフェニルジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、3,3'-トリデン-4,4'-ジイソシアネート、3,3'-ジメチル-ジフェニルメタン-4,4'-ジイソシアネート、およびこれらの組合せから選択される芳香族ジイソシアネートの残基を含む、請求項12記載のコポリマー。
【請求項14】
更に、複数の連鎖延長剤残基をも含む、請求項10記載のコポリマー。
【請求項15】
前記連鎖延長剤残基が、脂肪族ジオール残基、芳香族ジオール残基、脂肪族ジアミン残基および芳香族ジアミン残基から選択される、請求項14記載のコポリマー。
【請求項16】
前記連鎖延長剤残基が、α,ω-C1-C10-アルカンジオール残基から選択される、請求項14記載のコポリマー。
【請求項17】
請求項1記載のコポリマーを含む、ポリマー領域を含有することを特徴とする、医療用物品。
【請求項18】
請求項1記載のコポリマーを含む、ポリマー領域を含有することを特徴とする、移植可能なまたは挿入可能な医療用デバイス。
【請求項19】
前記医療用デバイスが、ステントカテーテル、誘導線、整形外科用ネジ、縫合糸、静脈弁、心臓弁、移植片、動脈瘤コイル、接着防止被膜、骨盤メッシュ、ヘルニアメッシュ、および脊椎板代替品から選択される、請求項18記載の移植可能なまたは挿入可能な医療用デバイス。
【請求項20】
前記ポリマー領域が、更に治療薬をも含む、請求項18記載の移植可能なまたは挿入可能な医療用デバイス。
【請求項21】
前記医療用デバイスがステントであり、かつ前記治療薬が再狭窄防止剤である、請求項20記載の移植可能なまたは挿入可能な医療用デバイス。
【請求項22】
ウレタン結合、アミド結合、エステル結合、カーボネート結合、無水物結合、1,2,3-トリアゾール部分を含む結合、およびこれらの組合せから選択される複数の結合を含む、請求項1記載のコポリマー。
【請求項23】
前記ポリイソブチレンセグメントが、ウレタン結合、ウレア結合、アミド結合、エステル結合、カーボネート結合、無水物結合、1,2,3-トリアゾール部分を含む結合、およびこれらの組合せから選択される結合により、前記生分解性ポリマーセグメントに結合している、請求項1記載のコポリマー。

【公表番号】特表2012−514121(P2012−514121A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544609(P2011−544609)
【出願日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【国際出願番号】PCT/US2009/069855
【国際公開番号】WO2010/078451
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(506192652)ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド (172)
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
【Fターム(参考)】