説明

ポリイミドフィルムおよびその製造方法

【課題】
本発明は、走行性(易滑性)と接着性はもちろん、特に自動光学検査システム(AOI)における通過性に優れたポリイミドフィルムを提供せんとするものである。
【解決手段】
本発明のポリイミドフィルムは、フィルム中に、粒子径100〜250nmのポリイミド粒子が0.10〜3.0重量%の割合で分散・含有されてなり、かつ該フィルム表面には、該ポリイミド粒子に起因する微細な突起が形成されていることを特徴とするものである。
また、かかるポリイミドフィルムの製造方法は、粒子径100〜250nmのポリイミド粒子を0.10〜3.0重量%の割合で、ポリアミド酸溶液に添加した後、ポリイミド粒子分散・含有する該ポリアミド酸溶液を支持体上に膜状に流延した後、環化してイミド化することを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動光学検査システム(AOI)における通過性に優れたポリイミドフィルムおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミドフィルムは、耐熱性、耐寒性、耐薬品性、電気絶縁性および機械強度などにおいて優れた特性を有することが知られており、電線の電気絶縁材料、断熱材、フレキシブルプリント配線基板(FPC)のベースフィルム、ICのテープオートメイティッドボンディング(TAB)用のキャリアテープフィルム、およびICのリードフレーム固定用テープなどに広く利用されている。これらのうち、特にFPC、TAB用キャリアテープおよびリード固定用テープなどの用途においては、通常、種々の接着剤を介してポリイミドフィルムと銅箔とが接着されて用いられている。
【0003】
ポリイミドフィルムが、これらの用途に用いられる際に要求される重要な実用特性は、該フィルムの滑り性(易滑性)であるが、自動光学検査システム(AOI)において十分満足のいくものを提供することができていないのが、実状である。
【0004】
すなわち、従来から、様々なフィルム加工工程において、フィルム支持体(たとえばロール)とフィルムの易滑性、またフィルム同志の易滑性が確保されることにより、各工程における操作性、取り扱い性を向上させ、更にはフィルム上にシワ等の不良個所の発生が回避できることは知られており、また一方、ポリイミドの主用途であるフレキシブルプリント配線板用途においては、通常,種々の接着剤を介して銅箔と接着されていることも、またさらに、ポリイミドは、その化学構造及び耐薬品(溶剤)安定性により銅箔との接着性が不十分な場合が多く、ポリイミドに表面処理(アルカリ処理、コロナ処理、プラズマ処理、サンドブラスト処理等)を施した後、接着する等の技術が知られている。
【0005】
しかし、最近の電子部品のファインピッチ化において、特にFPCの検査において従来は目視による線幅、異物等の検査が主流であったが、自動光学検査システム(AOI)が導入される様になってからは、かかる従来技術方式による耐熱性フィルムでは、走行性に関しては十分満足したものが得られていても、AOIにおいては、無機粉体が大きすぎて最近のFPC等の狭ピッチ化のなかで、該無機粉体が異物と判断され、自動光学検査システムの大きな障害になっている。
【0006】
たとえば、具体的には、従来のポリイミドにおける易滑化技術としては、不活性無機化合物(例えばアルカリ土類金属のオルトリン酸塩、第2リン酸カルシウム無水物、ピロリン酸カルシウム、シリカ、タルク)をポリアミック酸に添加する方法(特許文献1参照)、更には、ポリイミド表層に平均粒子径が0.01〜100μmである無機質粒子が各粒子の一部をそれぞれ埋設させて保持されていて一部露出した前記無機質粒子からなる多数の突起が該フィルムの表面層に1×10〜5×10個/mm存在させる(特許文献2参照)ことが知られている。この方法は、積極的に表面に突起を露出させ、フィルム表面の摩擦係数を低減させることにより、易滑性効果を効果的に得るものであるが、この方法では、無機質粒子が一部露出しているためフィルム表面へのすり傷が発生し外観不良をきたす上に、自動光学検査システムには、粒子径が大きすぎて異物と判断されてしまう問題を有するし、このような無機質粒子を使用する技術では、レーザー等を用いた穴開けの際にフィラーが欠落し、加工精度の低下を招くという問題を有する。
【0007】
さらに、別の技術として、ポリイミド表面層1μm中に、ピロメリット酸とp−フェニレンジアミン成分とを80%以上含有するポリイミドからなるメジアン径が0.3〜0.8μmで、かつ最大径が2μm以下である全芳香族ポリイミド粒子を、該ポリイミド表面層のポリイミドに対して約0.5〜10質量%の割合で分散させたポリイミド表面層を有するポリイミドフィルム(特許文献3)も知られている。しかし、この技術も粒子径が、平均粒子径も、メジアン径も大きすぎて、自動光学検査システム(AOI)試験の際に異物と判断されてしまう問題が発生するし、また、ポリイミド粒子を表面層1μmのみに分散させると、粒子の凝集が起こる恐れもあるので好ましくない。
【特許文献1】特開昭62−68852号公報
【特許文献2】特開平5−25295号公報
【特許文献3】特開2005−126707号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、これらの市場要求に対して鋭意研究の結果、走行性(易滑性)と接着性はもちろん、特に自動光学検査システム(AOI)における通過性に優れたポリイミドフィルムを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、かかる課題を解決するために、次ぎのような手段を採用するものである。すなわち、本発明のポリイミドフィルムは、フィルム中に、粒子径100〜250nmのポリイミド粒子が0.10〜3.0重量%の割合で分散・含有されてなり、かつ該フィルム表面には、該ポリイミド粒子に起因する微細な突起が形成されていることを特徴とするものである。かかるポリイミドフィルムの好ましい態様は、前記ポリイミド粒子の平均粒子径が、200nm以下であることである。
【0010】
また、かかるポリイミドフィルムの製造方法は、粒子径100〜250nmのポリイミド粒子を0.10〜3.0重量%の割合で、ポリアミド酸溶液に添加した後、ポリイミド粒子分散・含有する該ポリアミド酸溶液を支持体上に膜状に流延した後、環化してイミド化することを特徴とするものである。かかるポリイミドフィルムの好ましい態様は、前記ポリイミド粒子が、極性溶媒に分散させたスラリーであり、かつ、該極性溶媒がポリイミドフィルム前駆体に使用される有機溶媒と同じ極性溶媒であることであり、さらに前記ポリイミド粒子の平均粒子径が、200nm以下であることである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、特に自動光学検査システム(AOI)における通過性に優れたポリイミドフィルムを提供することができ、もちろん銅箔との接着性が従来よりも著しく向上したものであり、易滑性、さらには機械物性にも優れたポリイミドフィルムを提供することができので、特にフレキシブルプリント基板、チップオンフィルム(COF)などの用途に好適に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、かかる課題、つまり自動光学検査システム(AOI)における通過性に優れたポリイミドフィルムについて、鋭意検討し、ポリイミド前駆体の段階で、特定な粒子径を有するポリイミド粒子を特定量、混合・分散してみたところ、意外にも前記課題を一挙に解決することを究明したものである。
【0013】
すなわち、本発明は、自動光学検査システム(AOI)における通過性において、異物と判定される事実について、鋭意検討し、従来の無機質粒子の分散・含有技術では、無機質粒子の露出や欠落などの欠点がある上に、特に異物判定について、さらに検討したところ、同一素材を粒子として採用し、かつ、特定な粒径に微小粒子化してみたところ、安定して前記通過性を達成することに成功したものである。すなわち、本発明のポリイミドフィルムは、同一素材からなるポリイミド粒子を使用するところに特徴を有するものである。
【0014】
しかし、単に微小粒子化しすぎてしまうと、走行性(易滑性)や接着性に劣る結果を招くこととなり、これらの優れた機能も同時に満たすには、特定な領域の粒子径に限定することが重要である。
【0015】
また、ポリイミドフィルムには、工業的に実用性を有することが重要であるが、かかる機械的特性を満たすためには、かかる粒子の含有量が関係するものであり、多すぎては機械的特性を欠落するものとなるので、その含有量には限度を設けることが要求される。
【0016】
すなわち、以上の理由から、本発明の技術思想は、次のような構成を採用するものである。
【0017】
すなわち、本発明のポリイミドフィルムは、フィルム中に、粒子径100〜250nmのポリイミド粒子が0.10〜3.0重量%の割合で分散・含有するものである。
【0018】
ここで、本発明のポリイミドとしては、例えば芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン、または、これら両者を主成分とするポリアミック酸と、無水酢酸を主成分とする脱水環化試剤とを混合した後、予備乾燥の上、高温加熱することにより、脱溶媒とイミド環閉環を同時に進行させる化学的転化することにより得ることができる。
【0019】
かかる酸二無水物としては、ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3’,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンジカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、ピリジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸およびこれらのアミド形成性誘導体などを使用することができる。
【0020】
また、前記ジアミンとしては、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ベンチジン、パラキシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3’−ジメトキシベンチジン、1,4−ビス(3−メチル−5アミノフェニル)ベンゼンおよびこれらのアミド形成性誘導体などを使用することができる。
【0021】
また、かかる酸二無水物成分とジアミン成分、または、前記ポリアミック酸からなるポリアミド酸溶液は、無水酢酸などの脱水環化試剤を混合した後、加熱する。
【0022】
かかる溶媒溶液は、予備乾燥の上、高温加熱して、脱溶媒とイミド環閉環を同時に進行して、化学的転化され、極性溶媒中で付加重合させることによってワニス状ポリアミック酸となした後、さらに加熱して得られたワニス状ポリイミド溶液は、このまま溶液の状態で維持される。しかし、もともと混合・分散されたポリイミド粒子は、かかる化学的反応に関与することなく、元の粒子の状態を維持することを究明し、このポリイミド溶液を、さらに加熱してフィルム化すると、該フィルム表面に、該ポリイミド粒子に起因して、微細な突起が形成することに成功したものである。
【0023】
つまり、該ポリイミド溶液を、支持体に流延させ、支持体上で、さらに高温加熱するし、さらに脱溶媒とイミド環閉環を進行させて化学的転化させることにより、ポリイミドフィルムを製造することができる。
【0024】
本発明で用いられるポリイミド粒子のイミド化率は特に限定されないが、イミド化率が50%以上が好ましく、さらに好ましくは70%以上が好ましい。
【0025】
その結果、前記効果、つまり、走行性(易滑性)と接着性はもちろん、特に自動光学検査システム(AOI)における通過性に優れたポリイミドフィルムを提供することができたものである。
【0026】
上記ポリアミド酸溶液は、脱水環化試剤と反応させ、ワニス状態を維持したまま、イミド環を完全または部分的に閉環させてワニス状ポリイミド溶液となし、さらに、そのまま高温加熱して、該支持体上で、脱溶媒とイミド環閉環させることにより、製膜化することができる。
【0027】
かかるポリイミドフィルムにおいて、添加・混合される前記ポリイミド粒子は、粒子径100〜250nmの範囲とすることが重要である。この粒子径が100nm未満であると、走行性(易滑性)や接着性に劣るものとなり、逆に250nmを超えると、自動光学検査システム(AOI)における通過性に劣るものとなる。かかる両方の機能を同時に好ましく満足させるには、該ポリイミド粒子の平均粒子径を、200nm以下に制御するのが好ましい。
【0028】
また、上記特定な粒子径を有するポリイミド粒子は、該ポリイミドフィルム中に、0.1〜3.0重量%の割合で混合・分散されて含有されていることが重要である。かかるポリイミド粒子の含有量が、0.1重量%未満の場合は、微細な突起が形成されにくく、逆に3.0重量%を超えて含有させた場合は、機械的特性に劣るものとなり、工業的実用性に劣るものとなるので好ましくない。
【0029】
次に、かかるポリイミドフィルムの製造方法について説明する。
【0030】
かかる製造方法のポイントは、前記ポリイミド粒子を、ポリイミドフィルムを製造する際のどの段階で、混合・含有させるかである。本発明は、前記したように、該ポリイミド粒子は、イミド環閉環や化学的転化などの化学的反応に関与することなく、つまり溶液中で安定し、かつ物理的に安定し、元の粒子の状態を維持することができるものであるから、ポリイミド前駆体、つまり、ポリアミド酸やポリアミック酸などの原料溶媒溶液の段階から、混合・含有させて分散させておくことができる。
【0031】
したがって、まず、粒子径100〜250nmのポリイミド粒子を0.10〜3.0重量%の割合で、ポリアミド酸溶液に添加するが、この場合、前記のように酸二無水物成分とジアミン成分、または、前記ポリアミック酸からなるポリアミド酸溶液と同じ極性溶媒を用いてポリイミド粒子を混合・分散させてスラリー状としたものを使用するのが好ましい。かかるシリカスラリーは凝集を防止するし、粒子径が非常に小さいため沈降速度が遅く安定している上に、たとえ沈降しても再攪拌する事で容易に再分散可能である利点を有する。
【0032】
かかるポリイミド粒子のスラリーは、該ポリアミド酸溶液を支持体上に膜状に流延した後、予備乾燥し、次いで高温加熱して、化学的に環化してイミド化するものである。もちろん、かかるポリイミド粒子は、その平均粒子径が、200nm以下であることが、機能効果の上から好ましいことは上記と同じである。つまり走行性(易滑性)や接着性に優れると同時に、自動光学検査システム(AOI)における通過性にも優れたポリイミドフィルムを製造する上から好ましい。
【0033】
前記ワニス状ポリアミド酸溶液や、これをさらに脱水環化試剤とを混合した後加熱して得られたワニス状ポリアミック酸溶液は、さらに予備乾燥したり、高温加熱することにより、化学的に環化してイミド化されてワニス状ポリイミド溶液となるが、前記ワニス状溶液の段階では、支持体に流延させることができ、この状態で乾燥・高温加熱することにより、さらに脱溶媒とイミド環閉環を同時に進行させる化学的転化して、イミド環をさらに完全に閉環させ膜化、フィルム化させることができる。
【0034】
このようにして得られたポリイミドフィルムは、混合・分散された上記特定なポリイミド粒子に起因する微細な突起を形成して有するところに特徴を有するものである。
【0035】
かかるポリイミドフィルムの厚さは、通常7.5μm〜125μmであるため、前記ポリイミド粒子が表面に露出することはない。
【実施例】
【0036】
以下、本発明を実施例を用いて説明する。
【0037】
本発明における測定方法について以下に説明する。
(a)静摩擦係数
JIS K7125 に準じて測定した。具体的には、フィルムの表面と裏面を重ねて摩擦して測定する。
【0038】
(b)接着性評価方法は具体的にはIPC−FC−241の方法に準じて測定した。具体的には、ポリイミドフィルムと銅箔とを市販の熱可塑性ポリイミド接着剤で接着し、硬板上にフィルムを固定し、測定することによって求めた値である。
【0039】
(c)自動光学検査(AOI)
オルボテック社製のSK−75を使用して、異物判定検査したものである。
【0040】
(d)粒度分布
島津製作所社製のSALD−2000Jを用い、極性溶媒に分散させたポリイミド粒子を試料として測定した。
【0041】
(e)表面粗さの測定
レーザテック社製レーザ−顕微鏡にて、試料フィルムの表面粗さを測定した。
【0042】
(f)フィルムの機械強度(抗張力、伸度)
ASTM D−882−68に準じて測定した。具体的には、オートグラフ装置を用いて測定した。
【0043】
実施例1
よく乾燥した300mlのセパラブルフラスコに24.03(120mmol)の4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以後4,4’−ODAという)を入れ、184.8gのジメチルアセトアミド(以後DMAcという)を加え、窒素気流下、ケミカルスターラーにて、ポリ(テトラフルオロエチレン)製の回転翼を用い、4,4’―ODAを溶解させた。
【0044】
その後、25.39g(4,4’−ODAに対して97mmol%)のピロメリット酸二無水物(以後PMDAという)を添加し、プレポリマーを得た。
【0045】
その後、FS(PMDAの6重量%DMAc溶液)を徐々に添加し、2000poiseを超えたところで重合反応を完結させ、20.3重量%のワニス状ポリアミド酸溶液からなるポリマー溶液を得た。
【0046】
粒子径100〜250nm以上が排除された平均径200nmのポリイミド粒子のN,N−ジメチルアセトアミドスラリーを前記ワニス状ポリアミド酸溶液に樹脂重量当たり0.1重量%添加し、十分攪拌、分散させた後、ワニス状ポリアミド酸溶液からなるポリマー溶液を連続製膜装置で、支持体に膜状に流延した後、支持体から剥離し、さらにイミドへの転化反応を完結すると共に、250〜450℃の乾燥熱処理ゾーンを通過させることにより乾燥・熱処理して、厚み25μmのポリイミドフィルムとしてロール上に巻き取った。
【0047】
実施例2
ポリイミド粒子添加量を0.5重量%に変更する以外は、実施例1と同様の方法で、厚さ25μmのポリイミドフィルムを得た。
【0048】
実施例3
ポリイミド粒子添加量を0.80重量%に変更する以外は、実施例1と同様の方法で、厚さ25μmのポリイミドフィルムを得た。
【0049】
比較例1
ポリイミド粒子を添加しない以外は実施例1と同様にして、25μm厚みのフィルムを得た。
【0050】
比較例2
比較例1と同一の方法により得られたワニス状ポリアミド酸溶液に、粒径において1000nm未満及び5000nm以上が排除された平均粒子径2.5μmの無水第2リン酸カルシウム(Ca2HPO4)を対フィルム樹脂重量当たり、0.15重量%添加し十分攪拌、分散させた後、比較例1と同一の方法にて、25μmのポリイミドフィルムを得た。
【0051】
比較例3
実施例1の方法でポリイミド粒子の添加量を0.08重量%添加し、比較例1と同一の方法にて25μmのポリイミドフィルムを得た。
【0052】
比較例4
実施例1の方法でポリイミド粒子の添加量を3.5重量%添加し、比較例1と同一の方法にて25μmのポリイミドフィルムを得た。
【0053】
比較例5
実施例1の方法で平均粒子径100nm、粒子径の範囲50nm〜150nmのポリイミド粒子を0.5重量%添加し、比較例1と同一の方法にて25μmのポリイミドフィルムを得た。
【0054】
比較例6
実施例1の方法で平均粒子径1000nm、粒子径の範囲800nm〜1200nmのポリイミド粒子を0.5重量%添加し、比較例1と同一の方法にて25μmのポリイミドフィルムを得た。
【0055】
実施例1〜3、比較例1〜4において、得られたポリイミドフィルムの機械的物性、静摩擦係数及び接着性並びに自動光学検査システムの評価結果を表1に示す。
【0056】
【表1】

【0057】
表1の結果から明らかなとおり、本発明に用いた粒径が100nmから250nmを主体としたポリイミド粒子スラリーを対フィルム樹脂当たり1.0から3.0重量%含む本発明ポリイミドフィルムは、優れた易滑性、接着性、AOI、機械物性を保持するフレキシブルプリント配線基板用途、チップオンフィルム(COF)等広い分野に好適なもので有った。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明によれば、特に自動光学検査システム(AOI)における通過性に優れたポリイミドフィルムを提供することができる上に、接着性も易滑性にも、さらには機械物性にも優れたポリイミドフィルムを提供することができので、特にフレキシブルプリント基板、チップオンフィルム(COF)などの用途に好適に使用することができるポリイミドフィルムを提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム中に、粒子径100〜250nmのポリイミド粒子が0.10〜3.0重量%の割合で分散・含有されてなり、かつ該フィルム表面には、該ポリイミド粒子に起因する微細な突起が形成されていることを特徴とするポリイミドフィルム。
【請求項2】
前記ポリイミド粒子の平均粒子径が、200nm以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリイミドフィルム。
【請求項3】
粒子径100〜250nmのポリイミド粒子を0.10〜3.0重量%の割合で、ポリアミド酸溶液に添加した後、該ポリイミド粒子を分散・含有する該ポリアミド酸溶液を支持体上に膜状に流延した後、環化してイミド化することを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
【請求項4】
前記ポリイミド粒子が、極性溶媒に分散させたスラリーであり、かつ、該極性溶媒がポリイミドフィルム前駆体に使用される有機溶媒と同じ極性溶媒であることを特徴とする請求項3に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
【請求項5】
前記ポリイミド粒子の平均粒子径が、200nm以下である請求項3または4に記載のポリイミドフィルムの製造方法。

【公開番号】特開2010−126634(P2010−126634A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−302480(P2008−302480)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(000219266)東レ・デュポン株式会社 (288)
【Fターム(参考)】