説明

ポリイミドフィルム

【課題】 本発明の課題は、滑り性、表面性が良好で、高密度配線板用途に適したポリイミドフィルムを得ることである。
【解決手段】 本発明は、平均粒子径が0.2〜0.7μmであり粒度分布が平均粒子径の±15%以内である球状シリカ粒子を樹脂重量当たり0.01〜0.08wt%含み、フィルム表面のシリカ粒子由来突起数が1cm2当り0.1〜1.5×106個であることを特徴とするポリイミドフィルムを用いることにより上記課題を解決しうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高精細化が要求されるFPC、COF、TAB等の高密度配線板用途に好適に使用できるポリイミドフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミドフィルムは、耐熱性、電気絶縁性、機械的強度に優れていることから、Flexible Printed Circuits(FPC)やChip On Film(COF)、Tape Automated Bonding(TAB)等の金属積層板用ベースフィルムとして利用されている。
【0003】
近年、電子機器の小型薄型化、軽量化に伴い、フレキシブル配線板の高密度化が進んでおり、フィルム表面性に対する要求が厳しくなっている。その為、フィルム表面に数um〜数十umの突起が存在すると、パターン形成後に配線の剥離や断線といった不具合が発生し、外観検査時にNGとなり収率を低下させる。
【0004】
一方、フィルムに滑剤として無機粒子を添加しているが、FPCの高密度化に適した表面性と十分な滑り性を両立させる必要がある。滑り性が十分でないと、ロール・ツー・ロールでのフィルム搬送時にシワや傷の発生や、フィルムロールでの巻ズレ加工不良が発生する。
【0005】
フィラーの平均粒子径を小さくすることで、高密度配線板用ベースフィルムとして好適なフィルムの表面性を得るという試みがなされている(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−217907号公報
【特許文献2】特開2007−90770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、シリカ粒子径及び分布密度をコントロールすることにより、表面性、滑り性の良好なポリイミドフィルムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の粒子径及び粒度分布を有する球状シリカ粒子を特定量含有し、かつ、フィルム表面のシリカ粒子由来の突起数が特定の範囲であるポリイミドフィルムは、表面性、滑り性、フィルム外観、フィルムロールの巻姿が良好であることを見出し、本発明をするに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、平均粒子径が0.2〜0.7μmであり粒度分布が平均粒子径の±15%以内である球状シリカ粒子を樹脂重量当たり0.01〜0.08wt%含み、フィルム表面のフィラー由来突起数が1cm2当り0.1〜1.5×106個であることを特徴とするポリイミドフィルムに関する。また、フィルムの平均面粗さ(Ra)が1〜5nm、自乗平均面粗さ(RMS)が1〜10nm、10点平均粗さ(Rz)が50〜300nmであることが好ましく、フィルム同士の静摩擦係数が0.5〜2.0、動摩擦係数が0.4〜1.0であることが好ましい。またフィルム厚みが5〜75μmであることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、滑り性、表面性が良好で、高密度配線板用途に適したポリイミドフィルムを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のポリイミドフィルムは、平均粒子径が0.2〜0.7μmであり粒度分布が平均粒子径の±15%以内である球状シリカ粒子を樹脂重量当たり0.01〜0.08wt%含み、フィルム表面のシリカ粒子由来突起数が1cm2当り0.1〜1.5×106個であることを特徴とするポリイミドフィルムである。
【0012】
本発明は、ポリイミドフィルムに添加するシリカ粒子が球形であり、平均粒子径が0.2〜0.7μm、粒度分布が平均粒子径の±15%以内である粒子を用い、樹脂重量当たりの添加量を0.01〜0.08wt%と規定することにより、得られるフィルムの静摩擦係数が0.5〜2.0、動摩擦係数が0.4〜1.0、平均面粗さ(Ra)が1〜5nmであるポリイミドフィルムが得られる。その結果、加工性が好適な高密度配線板用ポリイミドフィルムを得ることができる。
【0013】
本発明に用いるシリカ粒子の平均粒子径は、0.2〜0.7μm、好ましくは0.3〜0.5μmである。粒子径をこの範囲にすることにより、フィルム表面の突起径を1μm以下に抑えることができる。また、シリカを溶剤と混合した後の分散液での安定性、分散性・再分散性がよい。即ち、スラリー中でシリカ粒子が沈降しにくく、沈降したとしても容易に再分散が可能である。その結果、高密度配線板用途に好適なフィルム表面性を得ることができ、同時にシリカ粒子の取り扱いも容易にすることができる。その結果、生産工程においての搬送性、フィルムロールでの巻ズレが発生しない滑り性を得ることができる。前述の巻ズレとは、フィルムロールを巻き終えた後、ロールハンドリング時に最外層数周分のフィルムがずれることである。
【0014】
本発明に用いるシリカ粒子の粒度分布は、±15%以内、好ましくは±10%以内である。シリカ粒子の粒度分布をこの範囲にすることにより、単位重量当たりの粒子数のバラツキを最小限に抑えることができる。その結果、シリカ粒子由来突起数、突起高さ・分布密度等の表面特性を均一に再現することが可能である。また、巻ズレが発生せず、フィルムの搬送性が良好な滑り性が得られる。
【0015】
本発明におけるシリカ粒子の平均粒子径、粒度分布の算出方法は、シリカ粒子を電子顕微鏡で撮影し、撮影画像から粒子径を300個計測する。計測したシリカ粒子300個のうち、上下限10個は除外し、残りの280個の粒子径から、平均粒子径及び粒度分布を算出する。平均粒子径(Save)は個数平均とし、粒度分布は平均粒子径からの最大粒子径(Smax)、最小粒子径(Smin)との差を算出したものである。粒度分布の上限(Sdmax)および下限(Sdmin)は、次式により得られる。
【0016】
【数1】

【0017】
【数2】

【0018】
本発明に用いるシリカ粒子は、球状シリカであることを特徴とする。球状の粒子を使用することで、粒子のどこが突起としてフィルム表面に出ても、均一な突起を形成することができる。球状でない粉砕した粒子を用いると、フィルム表面に均一に突起を形成することが難しく、粒子添加量、滑り性のばらつきが大きくなる傾向にある。また、フィルム表面の突起高さ・突起径及び滑り性が不均一である為、フィルム表面に傷がつきやすい。
【0019】
本発明に用いるシリカ粒子の添加量はポリイミド樹脂もしくはポリアミド酸に対して、0.01〜0.80重量%、好ましくは、0.02〜0.60重量%である。シリカ粒子の添加量を前述の範囲内にするだけでは、目的の表面性、滑り性を得ることはできない。シリカの粒子径、粒度分布、粒子形状の全てを満足することで初めて、粒子同士の凝集なく、フィルムの表面に均一に突起を形成し、ロール・ツー・ロールでのフィルム搬送好適滑り性を持ったポリイミドフィルムを得ることができる。
【0020】
本発明のフィルム表面突起数は、1cm2当り0.1〜1.5×106個、好ましくは0.5〜1.2×106個である。突起数が前記範囲であることにより、シリカ粒子同士の凝集無く、平滑なフィルム表面性を得ることができ、高密度配線板用ベースフィルムとして好適に用いることができる。
【0021】
本発明に用いるシリカ粒子分散液の調製方法としては、重合に用いた溶媒中にシリカ粒子を分散し、シリカ粒子含有量が1〜25重量%、好ましくは5〜15重量%のシリカ粒子分散液を得る。分散には通常の攪拌機、超音波、ビーズミル等公知のいかなる方法を用いても良い。
【0022】
本発明のポリイミドフィルムはポリアミド酸を前駆体として用いて製造される。ポリアミド酸の重合方法としては、あらゆる公知の方法およびそれらを組み合わせた方法を用いることができ、最終的なポリイミドの諸物性を達成できるようにモノマーを選ぶことにより設計される。
【0023】
本発明においてポリアミド酸の重合にはいかなるモノマーの添加方法を用いても良く、モノマーとしては、好ましくは以下のモノマーを挙げることができる。
【0024】
酸二無水物成分として、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4'−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4'−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4'−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3',4,4'−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物または2,3',3,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を用いるのが好ましい。上記を1種のみ使用するだけではなく、複数種を混合して使用してもよい。
【0025】
ジアミン成分として、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−オキシジアニリン、3,3’−オキシジアニリン、3,4’−オキシジアニリン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルN−フェニルアミン、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、ビス{4−(3−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパンまたはパラフェニレンジアミンを用いるのが好ましい。上記を1種のみ使用するだけではなく、複数種を混合して使用してもよい。
【0026】
本発明において、ポリアミド酸溶液粘度は100ポイズ以下、好ましくは50ポイズ以下、特に好ましくは30ポイズ以下である。また、ポリアミド酸溶液中のポリアミド酸の固形分濃度は、5〜40wt%、好ましくは10〜30wt%であることが好ましく、さらには12〜25wt%であることが好ましい。
【0027】
前記プレポリマー溶液にシリカ粒子の分散液を加えた後、重合を完結させて1000〜6000ポイズ、好ましくは1500〜3500ポイズのポリアミド酸溶液とする。最終的な溶液粘度がこの範囲内にあるときに良好な製膜性と生産性を実現しやすくなる。
【0028】
本発明のポリイミドフィルム製膜方法としては、ポリアミック酸溶液をフィルム状にキャストし、熱的に閉環化脱溶媒させてポリイミドフィルムを得る方法、およびポリアミック酸溶液に環化触媒及び脱水剤を混合し化学的に閉環化させてゲルフィルムを作成し、これを加熱脱溶媒することによりポリイミドフィルムを得る方法が挙げられ、いずれの方法を用いてもよく、併用しても良い。
【0029】
化学的に閉環させる方法に用いられる脱水剤としては、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、ギ酸無水物、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、安息香酸無水物、無水ピコリン酸などが挙げられる。触媒としては、有機第三級アミンが多く用いられ、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルアニリン、ピリジン、β−ピコリン、イソキノリン、キノリンなどが挙げられる。
【0030】
本発明において、好ましくはフィルムの平均面粗さ(Ra)は1〜5nm、自乗平均面粗さ(RMS)は1〜10nm、10点平均粗さ(Rz)は50〜300nmであり、さらに好ましくは平均面粗さ(Ra)は1.5〜4.5nm、自乗平均面粗さ(RMS)は3〜8.5nm、10点平均粗さ(Rz)は150〜250nmである。平均面粗さ、自乗平均面粗さ、10点平均粗さを前記範囲にする為には、平均粒子径を0.2〜0.7μm、粒度分布を平均粒子径の±15%以内である球状シリカを樹脂重量当たり0.01〜0.08wt%添加することで、発現する。この範囲に調整することで、フィラー由来の突起を最小に抑えると共に、滑り性をフィルム加工時・搬送時にも適した状態にすることができる。
【0031】
本発明において、好ましくはフィルム同士の静摩擦係数は0.5〜2.0、動摩擦係数は0.4〜1.0、さらに好ましくは、静摩擦係数0.6〜1.5、動摩擦係数0.5〜0.6である。静摩擦係数、動摩擦係数を前記範囲にする為には、平均粒子径を0.2〜0.7μm、粒度分布を平均粒子径の±15%以内である球状シリカを樹脂重量当たり0.01〜0.08wt%添加することで達成できる。滑り性をこの範囲内に達成することで、ロール・ツー・ロールでの好適な搬送性を得ることができ、フィルムロールでの巻ズレ発生を抑制することができる。
【0032】
本発明におけるフィルム厚みは、好ましくは5〜75μm、さらに好ましくは30〜40μm、さらに好ましくは33〜37μmである。厚みを前記範囲内にすることで、ロール・ツー・ロールでフィルムを安定して搬送することができ、高密度配線板用ベースフィルム加工時に好適なフィルムの硬さ・こしを得ることができる。
【実施例】
【0033】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。ポリイミドフィルムの各特性は以下の手法により実施した。
【0034】
(平均粒子径・粒度分布)
シリカ粒子を電子顕微鏡で撮影し、撮影画像から粒子径を300個計測した。計測したシリカ粒子300個のうち、上下限10個は除外し、残りの280個の粒子径から、平均粒子径及び粒度分布を算出した。平均粒子径は個数平均とし、粒度分布は平均粒子径からの最大・最小粒子径との差を算出した。
【0035】
(摩擦係数の測定)
ASTMD1894に準じて測定した。
【0036】
(表面粗さの測定)
JIS規格(JISB0601−1982)に準拠し、走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製SPA−400)及びデータ解析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製NanoNaviステーション)を用いて表面粗さを測定した。測定モードはダイナミック・フォース・モード(DFM)とし、スキャナーはSPA400−PZTFS150N、カンチレバーはSI−DF40を用いた。測定サンプルは5×5mmに切り出し、両面テープで試料台に貼り付け固定する。測定面積は50×50μmとした。測定後、データ解析装置を用いて、平均面粗さ(Ra)、自乗平均面粗さ(RMS)、10点平均粗さ(Rz)を求め、N=3の平均値を測定値とした。
【0037】
平均面粗さ(Ra)、自乗平均面粗さ(RMS)、10点平均粗さ(Rz)は、下記のとおりに定義されるものである。
(X,Y)の範囲を(XL,YB)〜(XR,YT)とすると、測定面の表面積(S0)は次式で与えられ、
【0038】
【数3】

【0039】
測定面内の高さデータ(Z)の平均値をZ0とすると、
【0040】
【数4】

【0041】
で表される、XY平面と平行な面になる。Z0は次式で求められる。
【0042】
【数5】

【0043】
平均面粗さ(Ra)は、基準面から指定面までの偏差の絶対値を平均した値であり、次式で与えられる。
【0044】
【数6】

【0045】
自乗平均面粗さ(RMS)は、基準面から指定面までの偏差の自乗を平均した値の平方根であり、次式で与えられる。
【0046】
【数7】

【0047】
10点平均粗さ(Rz)は、測定面における最大から5番目までの山頂の高さデータの平均値と最小から5番目までの谷底の深さデータの平均値の差を表した値である。
【0048】
(シリカ粒子由来突起数)
前記データ解析装置を用いて、解析後のデータを三次元化し、50μm角のシリカ粒子由来の突起数を数え、N=3の平均値を1cm角に換算し、突起数とした。
【0049】
(合成例1)
10℃に冷却したN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に4,4‘−オキシジアニリン(ODA)を20mol当量、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン(BAPP)を30mol当量溶解した。ここに3,3‘,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)を20mol当量、ピロメリット酸二無水物(PMDA)25mol当量を添加し30分撹拌した。さらにパラフェニレンジアミン(PDA)を50mol当量溶解させた後、PMDAを51mol当量添加溶解してプレポリマーを得た。プレポリマー粘度は15ポイズであった。
このプレポリマー溶液に、別途調製したPMDAのDMF溶液(7重量%)を徐々に滴下し、粘度がおよそ2000ポイズになったところで添加をやめ、1時間均一攪拌を行った。最終的に得られた溶液は、23℃での粘度が2300ポイズ、固形分濃度が15重量%であった。
【0050】
(実施例1)
DMFに対して10重量%となるように球状シリカ粒子(平均粒径0.55μm、粒度分布−9.1〜+9.1%)を添加して超音波分散機を用いて90分間分散した。ここに合成例1で得たプレポリマー溶液に対して、フィルム中でのシリカ粒子含有量が0.02重量%となるように添加し、30分攪拌した。引き続き合成例1と同様にしてPMDA溶液を添加し、最終的に23℃での粘度が2300ポイズのポリアミド酸溶液を得た。
この溶液に、無水酢酸/イソキノリン/DMF(重量比20:10:80)からなる硬化剤をポリアミド酸溶液に対して重量比50%で連続的にミキサーにより攪拌し、Tダイから押出してダイの下25mmを10mm/分の速度で走行しているステンレス製のエンドレスベルト上に流延した。この樹脂膜を130℃×100秒、300℃×20秒、450℃×20秒、500℃×20秒で乾燥・イミド化させ35μmのポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムの特性を表1に示す。
【0051】
(実施例2)
球状シリカ粒子(平均粒径0.55μm、粒度分布−9.1〜+9.1%)をフィルム中でのシリカ粒子含有量が0.06重量%となるように添加した以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。このフィルムの特性を表1に示す。
【0052】
(実施例3)
球状シリカ粒子(平均粒径0.33μm、粒度分布−12.1〜+9.1%)をフィルム中でのシリカ粒子含有量が0.03重量%となるように添加した以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。このフィルムの特性を表1に示す。
【0053】
(比較例1)
球状シリカ粒子(平均粒径0.25μm、粒度分布−60〜+300%)をフィルム中でのシリカ粒子含有量が0.10重量%となるように添加した以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。このフィルムの特性を表1に示す。
【0054】
(比較例2)
球状シリカ粒子(平均粒径0.55μm、粒度分布−9.1〜+9.1%)をフィルム中でのシリカ粒子含有量が0.10重量%となるように添加した以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。このフィルムの特性を表1に示す。
【0055】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径が0.2〜0.7μmであり粒度分布が平均粒子径の±15%以内である球状シリカ粒子を樹脂重量当たり0.01〜0.08wt%含み、フィルム表面のシリカ粒子由来突起数が1cm2当り0.1〜1.5×106個であることを特徴とする、ポリイミドフィルム。
【請求項2】
フィルムの平均面粗さ(Ra)が1〜5nm、自乗平均面粗さ(RMS)が1〜10nm、10点平均粗さ(Rz)が50〜300nmであることを特徴とする、請求項1に記載のポリイミドフィルム。
【請求項3】
フィルム同士の静摩擦係数が0.5〜2.0、動摩擦係数が0.4〜1.0であることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリイミドフィルム。
【請求項4】
フィルム厚みが5〜75μmであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリイミドフィルム。

【公開番号】特開2010−270246(P2010−270246A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−124088(P2009−124088)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】