説明

ポリウレア樹脂組成物

【解決手段】可使時間が5分以上のポリウレア樹脂であって、充填剤としてクレー、タルク或いは水酸化アルミニウムいずれかを含むことを特徴とするポリウレア樹脂組成物、充填剤を45重量%配合したとき、硬化物の引張強度が無充填剤配合時降下物の引張強度に対して110%以上であること
【効果】可使時間5分以上のポリウレア樹脂は充填材として一般的な炭酸カルシウム粉等を配合すると硬化物の強度が無配合より、劣る結果となるが、上記組成物にすることにより、引張強度、引裂き強度が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填剤を含むポリウレア樹脂組成物の強度を維持する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ウレア樹脂組成物、ウレタンウレア樹脂組成物は反応性が高く、機械混合であり、或いは発泡を前提とする組成物であり、機械的強度は充填剤の種類等での影響を問題にされていない。
【0003】
トリレンジイソシアネートとポリオールとの反応によって得られるイソシアネート末端プレポリマーを主成分とする主剤と、ジエチルトルエンジアミンとポリアルキレンエーテルポリオールーpーアミノベンゾエートを主成分とする硬化剤からなる2液型常温硬化性塗膜防水材が年間(施工時の雰囲気の温度が変化しても)を通じて可使時間と硬化時間のバランスが良く、機械的物性に優れた常温硬化性塗膜防水材であることが開示されている。(特許文献1)
【0004】
前記、特許文献では充填剤は炭酸カルシウム粉を使用し、充填剤例としては記載されているもの充填剤の特異性については記載されていない。
【特許文献1】特開平9−278858号公報
【0005】
しかし、充填剤は揺変性と強度の最適化を達成できるものであり、強度低下を招かない充填剤が望まれていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は、可使時間が5分以上のポリウレア樹脂であって、硬化物の機械強度に優れるポリウレア樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、可使時間が5分以上のウレア樹脂であって、充填剤としてクレー、タルク或いは水酸化アルミニウムいずれかを含むことを特徴とするポリウレア樹脂組成物であり、充填剤の配合で機械強度が低下しない効果がある。
【0008】
請求項2の発明は、上記 ポリウレア樹脂組成物が樹脂成分に対して充填剤を45重量%配合したとき、硬化物の引張強度が無充填剤配合時降下物の引張強度に対して110%以上であることを特徴とする請求項1記載のポリウレア樹脂組成物であり、機械強度低下なく、揺変性等の作業性適性を上げる効果がある。
【発明の効果】
【0009】
本発明は充填剤を配合しても、機械強度は落ちることなく、また、様変性付与、作業性向上かできる効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、機械塗りができず、手塗りで施工するため、常態での可使時間を5分以上に設定するポリウレア樹脂に関するものであり、反応性が高く、機械塗りのポリウレア樹脂組成物や発泡ポリウレア樹脂組成物では、問題とならない機械強度が、可使時間5分以上の組成物では炭酸カルシウム粉等を配合した場合、組成物として硬化物の強度低下し、これについて鋭意検討の結果、クレー、タルク、あるいは水酸化アルミニウム粉のいずれかを含む充填剤を使用すれば、組成物としての強度をますことを見いだした。
【0011】
本発明で言うポリウレア樹脂組成物は下記、ウレア樹脂・ウレアウレタン樹脂を含む。
【0012】
ウレア樹脂:イソシアネート基を有する分子と、アミノ基を有する分子もしくは水分子等との反応により形成するウレア樹脂を言う。
【0013】
ウレアウレタン樹脂:上記のウレア樹脂骨格中にウレタン結合を含むものを言う。例えばアルコールとイソシアネートよりなる末端イソシアネートプレポリマーを原料とする場合、ウレアウレタン樹脂を形成することとなる。
【0014】
可使時間:混合物が初期粘度の2倍に増粘するまでの時間を可使時間とした。なお、ポリウレア樹脂の可使時間を長くするためには芳香族アミンを使用することが有用であり、特にポリアルキレンエーテルポリオールーpーアミノベンゾエート骨格を有する芳香族アミンを用いると、常温において5分以上の可使時間を確保することができる。
【0015】
充填剤等
本発明において用いる充填材はクレー、タルク、あるいは水酸化アルミニウムいずれからなる充填剤であり、ポリウレア樹脂に対して10重量%以上で強度差が現れる。50重量%を超えると伸びは小さくなるが、強度は増加する。使途により、限界はあり、適宜使い分ける。
さらに、一般に用いられているカップリング剤の配合により機械強度は向上し、特にエポキシシランを用いた場合では効果が顕著である。
【0016】
次に、実施例、比較例をあげ、結果を表1に記す。
【実施例1】
【0017】
P−1000(旭電化(株)、ポリエーテルポリオール)100重量部とミリオネートMT(日本ポリウレタン(株)、商品名、4,4’−MDI)80重量部より合成される末端イソシアネートプレポリマー180重量部と、エラストマー1000P(イハラケミカル工業(株)、商品名、芳香族アミン)216重量部、これにタルクSW(日本タルク(株)、タルク、D50:12μm)180重量部を加えて、これらを5分間撹拌し、2mmのシート状に成形し23℃で7日間静置させ、シート状の硬化物を得た。これをダンベル形状に打抜き実施例1の試験片とした。
【実施例2】
【0018】
実施例1のタルクSWをTOYOCLAY TC−600(東洋化成(株)、商品名、クレー、平均粒径:2.1μm)に代えた以外同じく行い実施例2とした。
【実施例3】
【0019】
実施例2のTC−600を90重量部に代えた以外同じく行い実施例3とした。
【実施例4】
【0020】
実施例2のTC−600を270重量部に代えた以外同じく行い実施例4とした。
【実施例5】
【0021】
実施例2のTC−600を360重量部に代えた以外同じく行い実施例5とした。
【実施例6】
【0022】
実施例1のタルクSWをバーゲス10(バーゲス・ピグメント社、商品名、クレー)に代えた以外同じく行い実施例6とした。
【実施例7】
【0023】
実施例1のタルクSWをハイジライトH−32(昭和電工(株)、商品名、水酸化アルミニウム、平均粒径:8μm)に代えた以外同じく行い実施例7とした。
【0024】
参考例1
実施例1のタルクSWを除いた以外同じく行い充填剤無配合として参考例1とした。
【0025】
比較例1
実施例1のタルクSWをライトンA(白石カルシウム(株)、商品名、重質炭酸カルシウム)に代えた以外同じく行い比較例1とした。
【0026】
比較例2
実施例1のタルクSWをカルファイン200M(丸尾カルシウム(株)、商品名、軽質炭酸カルシウム)に代えた以外同じく行い比較例2とした。
【0027】
比較例3
実施例1のタルクSWをBK−112(住友化学工業(株)、商品名、水硬性アルミナ)に代えた以外同じく行い比較例3とした。
【0028】
比較例4
実施例1のタルクSWをゼオスター(日本化学工業(株)、商品名、合成ゼオライト)に代えた以外同じく行い比較例4とした。
【0029】
比較例5
実施例1のタルクSWを生石灰(近江鉱業(株))に代えた以外同じく行い比較例5とした。
【0030】
比較例6
実施例1のタルクSWを7号ケイシャ(東北硅砂(株)、硅砂)に代えた以外同じく行い比較例6とした。
【0031】
【表1】

【0032】
機械物性特性
表中測定は万能物性試験機(インストロン社製インストロン試験機)を用いてJISK6251引張試験とJISK6252引裂き試験を実施した。一般的にウレア樹脂組成物、ウレアウレタン樹脂組成物は柔軟性、強靭性を有しているため、引張試験では2号ダンベル、引裂き試験では切込みなしアングル型の試験体を作製し試験を実施した。試験体は配合後、23℃7日静置後測定を行った。試験速度は引張試験、引裂き試験共に500mm/minで行った。引張試験では最大強度と最大伸びの測定を行い、引裂き試験では最大強度を測定した。なお、比強度は充填剤無配合を基準として 実施例・比較例の引張強度を次の計算で求めた。 比強度=引張強度/参考例1の引張強度×100 (%)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可使時間が5分以上のポリウレア樹脂であって、充填剤としてクレー、タルク或いは水酸化アルミニウムいずれかを含むことを特徴とするポリウレア樹脂組成物
【請求項2】
上記 ポリウレア樹脂組成物が樹脂成分に対して充填剤を45重量%配合したとき、硬化物の引張強度が無充填剤配合時硬化物の引張強度に対して110%以上であることを特徴とする請求項1記載のポリウレア樹脂組成物