説明

ポリウレタン−ベースのプルトルージョン樹脂系

本発明は、(a)ジ−又はポリイソシアネート、(b)イソシアネートに対して反応性の少なくとも2つの基を有する化合物、(c)触媒、(d)官能性が2以上の多塩基酸、及び任意に、
(e)更なる補助剤、及び添加剤を含み、多塩基酸は沸点が、標準圧力で、少なくとも200℃であり、及びイソシアネートに対して反応性の少なくとも2つの基を有する化合物に溶解性であることを特徴とするプルトルージョン樹脂系に関する。本発明は更に、プルトルージョン物を製造するための方法、及びこのプルトルージョン物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、a)ジ−又はポリイソシアネート、b)イソシアネートに対して反応性の基を少なくとも2つ有する化合物、c)触媒、d)官能性が2以上の多塩基酸、及び任意に、e)更なる補助剤、及び添加剤を含み、多塩基酸は沸点が、標準圧力で、少なくとも200℃であり、及びイソシアネートに対して反応性の少なくとも2つの基を有する化合物に溶解性であることを特徴とするプルトルージョン樹脂系に関する。
【背景技術】
【0002】
プトルージョン法は、一定の断面を有するファーバー補強プロフィールを製造するための連続法である。プルトルージョン設備は、典型的には、含浸単位、及び加熱ダイ、及び(工程の連続性に必要とされる)取出システムから構成される。ファイバーの含浸は、開放されたバス内、又は閉鎖したインジェクションボックス内で行われる。ここで、補強材料、例えばガラスファイバーロービング、又はガラスファイバーマットが樹脂でぬらされる。この複合体は次に、加熱されたダイで成形され、そして硬化される。取り出しシステムは、ダイから仕上られたプロフィールを引き出し、そしてこれは最終的に所望の長さに切断される。プルトルージョン法の効率を最大限にするために、高い工程速度を使用し、同時に、プルトルージョン物(pultrudate)が、非常に良好な機械的特性、及び高い表面品質を有することが望ましい。
【0003】
Bayer,Huntsman,Milgard Manufacturing Incorporated,Resin Systems Inc.等は、プルトルージョン法のための2成分ポリウレタン系の使用を記載している。使用される材料は、主として官能性が3.0のポリエーテルポリオールで、これらは、イソシアネート、しばしばポリマー性MDIと、アミン、及びそれぞれ、触媒としての金属錯体、及び種々の添加剤の存在下に反応される。工程速度が増すに従い、表面の品質が劣化することがわかった。ポリウレタン、又はPU粉、反応の最終生成物が、プロフィール(輪郭)の表面にしばしば見出される。高い取り出し速度で観察される他の特徴は、「ぬれ」の品質が劣化し、及び対応するプルトルージョン物の機械的特性が悪くなることである。これらの現象は、工程の最大速度を制限するものである。
【0004】
特許文献1(WO2005/049301)では、Huntsmanが、2種の金属触媒を使用することによって、この問題に対向している。Bayerは、DMCポリオール(特許文献2;US2008/0090921)、又はグラフトポリオール(特許文献3;US2008/0087373)に基づく系を使用し、又は非混合性のPU系(特許文献4;US2008/0090996)を使用している。BayerとHuntsmanの両者は更に、アミン触媒の部分的な中和、すなわちブロッキングのために酸を使用する原理について記載している。特許文献5(WO2005038118)に記載された特定の例は、ギ酸、酢酸、2−エチルヘキサン酸、及びオレイン酸である。
【0005】
特許文献6(US2007/0113983)、特許文献7(US2007/0116941)、及び特許文献8(US2007/0117921)で、Milgard Manufacturing Incorporatedは、表面の特性を改良するために、ポリマー性添加剤をポリウレタン系に加えることができると記載している(ここで、これらの添加剤は、樹脂の収縮を低減する)。これらの加えられる「低プロフィール添加剤」の好ましい濃度は、全樹脂系に対して4〜10%である。ここで、ポリマー性添加剤は、ポリスチレン、スチレン−アクリレートコポリマー、メタクリレート樹脂、ポリビニルアセテート、及び保護ポリプロピレンオキシドである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2005/049301
【特許文献2】US2008/0090921
【特許文献3】US2008/0087373
【特許文献4】US2008/0090996
【特許文献5】WO2005038118
【特許文献6】US2007/0113983
【特許文献7】US2007/0116941
【特許文献8】US2007/0117921
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
何れの従来技術でも、プルトルージョン物を、高い引き出し速度(プルトルージョン速度:pultrusion speed)で、良好な表面品質で、特に比較的複雑なプロフィール幾何学形状について製造するための十分な解決手段は論じられていなかった。従って、本発明の目的は、1m/分を超える高いプルトルージョン速度で、(特に比較的複雑なプロフィール幾何学形状の)卓越した表面品質を有するプルトルージョン物を与えることができるプルトルージョン樹脂系を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚くべきことに、この目的は、a)ジ−又はポリイソシアネート、b)イソシアネートに対して反応性の基を少なくとも2つ有する化合物、c)触媒、d)官能性が2以上の多塩基酸、及び任意に、e)更なる補助剤、及び添加剤を含み、多塩基酸は沸点が、標準圧力で、少なくとも200℃であり、及びイソシアネートに対して反応性の少なくとも2つの基を有する化合物に溶解性であることを特徴とするプルトルージョン樹脂系によって達成されることがわかった。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の目的のために、プルトルージョン樹脂系は、(成分が一緒に混合された後)ファイバー材料(繊維材料)を使用してプルトルージョン物(引抜成形品)を形成するために適切な、種々の成分から成る系である。
【0010】
使用されるジ−又はポリイソシアネート(a)は、ポリウレタンを製造するために公知の、任意の脂肪族、脂環式、又は芳香族イソシアネートが可能である。例は、ジフェニルメタン2,2’−,2,4−、及び4,4’−ジイソシアネート、モノマー性ジフェニルメタンジイソシアネートの、及び環の数がより多い、ジフェニルメタンジイソシアネート同族体(ポリマー性MDI)の混合物、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、又はそのオリゴマー、トリレンジイソシアネート(TDI)、例えばトリレンジイソシアネート異性体、例えばトリレン2,4−又は2,6−ジイソシアネート、又はこれらの混合物、テトラメチレンジイソシアネート、又はそのオリゴマー、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、又はそのオリゴマー、ネフチレンジイソシアネート(NDI)、又はこれらの混合物である。
【0011】
使用されるジ−又はポリイソシアネート(a)は、好ましくは、(特にポリマー性MDIを含む)ジフェニレンジイソシアネートに基づくイソシアネートを含む。ジ−及びポリイソシアネート(a)の官能性は、好ましくは2.0〜2.9、特に好ましくは2.1〜2.8である。ここで、使用されるジ−又はポリイソシアネート(a)の、DIN53019−1〜3に従う、25℃での粘度は、好ましくは5〜600mPasであり、及び特に好ましくは10〜300mPasである。
【0012】
ジ−及びポリイソシアネート(a)は、ポリイソシアネートプレポリマーの状態で使用することもできる。これらのポリイソシアネートプレポリマーは、上述したポリイソシアネート(成分(a−1))の過剰量を、イソシアネートに対して反応性の基を少なくとも2個有する化合物(成分(a−2))と、例えば30〜100℃の温度、好ましくは約80℃で反応させること(これによりプレポリマーが得られる)によって得ることができる。本発明のポリイソシアネートプレポリマーのNCO含有量は、好ましくは20〜33質量%のNCO、特に好ましくは25〜32質量%のNCOである。
【0013】
イソシアネートに対して反応性の基を少なくとも2個有する化合物(a−2)は、この技術分野の当業者にとって公知であり、そして例えば“Kunststoffhanbuch,7,Polyurethane”[Plastics Handbook,7,Polyurethanes]Carl Hanser−Verlag,3rd edition,1993,chapter 3.1に記載されている。イソシアネートに対して反応性の基を少なくとも2個有する、使用可能な化合物の例は、従って、ポリエーテル−、又はポリエステルオール、例えば以下の(b)に記載されたものである。イソシアネートに対して反応性の基を少なくとも2個有する、使用される化合物(a−2)は、好ましくは第2級OH基を有する、ポリエーテル−又はポリエステルオール、例えばポリプロピレンオキシドである。これらのポリエーテル−又はポリエステルオールの官能性は、好ましくは2〜4、特に好ましくは2〜3である。
【0014】
ポリイソシアネートプレポリマーを使用しないことが特に好ましい。
【0015】
イソシアネートに対して反応性の基を少なくとも2個有する、使用される化合物(b)は、本発明の目的のために「ポリオール」とも称され、そしてイソシアネートに対して反応性の基、例えば、OH、SH、NH、NH、−COOH及びCH−酸性基を少なくとも2個有する、任意の化合物を含むことができる(ここで、イソシアネートに対して反応性の基の数に対する第2級OH基の割合は、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、特に好ましくは少なくとも70%、及び特に少なくとも80%である)。
【0016】
イソシアネートに対して反応性の水素原子を2〜8個有するポリエーテルオール、及び/又はポリエステルオールを使用することが有用であり、及び低分子量ポリオール、例えばグリセロール、ジプロピレングリコール、及び/又はトリプリピレングリコールを使用することが有利である。これらの化合物のOH価(OH数)は、通常、30〜2000mgKOH/gの範囲、好ましくは40〜1000mgKOH/gの範囲である。イソシアネートに対して反応性の基を少なくとも2個有する、ここで使用される全化合物(b)の平均のOH価は、100〜1000mgKOH/g、好ましくは300〜900mgKOH/gである。
【0017】
ポリエーテルオールは、公知の方法によって得ることができ、例えば2〜8個、好ましくは2〜6個、及び特に好ましくは2〜4個の反応性水素原子を含む、少なく富1種の出発分子(starter molecule)を、触媒の存在下に加え、アルキレンイキシドをアニオン性重合することによって得ることができる。使用する触媒は、アルカリ金属ヒドロキシド、例えばナトリウムヒドロキシド、又はカリウムヒドロキシド、又はアルカリ金属アルコレート、例えばナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、又はカリウムイソプロポキシドを含み、又、カチオン性重合の場合は、ルイス酸、例えばアンチモンペンタクロリド、ボロントリフルオリドエーテレート、又は漂白土を含む。使用可能な他の触媒は、DMC触媒として公知の二重金属シアニド化合物である。
【0018】
使用されるアルキレンオキシドは、好ましくはアルキレン部分に2〜4個の炭素原子を含む、1種以上の化合物、例えば、テトラヒドロフラン、エチレンオキシド、プロピレン、1,2−オキシド、ブチレン、1,2−オキシド、又はブチレン2,3−オキシド(各場合において、単独で、又は混合物の状態)を含み、及び好ましくはプロピレン1,2−オキシド及び/又はエチレンオキシド、特にプロピレン1,2−オキシドを含む。
【0019】
使用可能な出発分子の例は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリチリトール、シュガー誘導体、例えばスクロース、ヘキシトール誘導体、例えばソルビトール、メチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、ベンジルアミン、アニリン、トルイジン、トルエンジアミン、ナフチルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、4,4’−メチレンジアニリン、1,3−プロパンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、及び他の二−、又は多価アルコール、又は二−、又は多塩基アミンである。
【0020】
使用するポリエステルアルコールは、大半は、2〜12個の炭素原子を有する多価アルコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、トリメチレロールプロパン、グリセロール、又はペンタエリチリトールを、2〜12個の炭素原子を有する多塩基カルボン酸、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、及びナフタレンジカルボン酸の異性体、又はこれらの無水物で縮合することによって製造される。
【0021】
ポリエステルの製造で付随的に使用可能な他の出発分子は、疎水性物質である。疎水性物質は、非極性有機部分を含み、及びヒドロキシル、カルボン酸、カルボン酸エステル、又はこれらの混合物から選ばれる少なくとも1種の反応性基を有する、水に不溶解性の物質である。疎水性材料の当量は、好ましくは130〜1000g/molである。使用可能な材料の例は、脂肪酸、例えばステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、又はリノール酸、及び脂肪及びオイル、例えば、キャスターオイル、コーンオイル、サンフラワーオイル、大豆オイル、ココナッツオイル、オリーブオイル、又はトールオイルである。ポリエステルが疎水性物質を含む場合、疎水性物質の(ポリエステルアルコールの合計モノマー含有量に対する)割合は、好ましくは1〜30モル%、特に好ましくは4〜15モル%である。
【0022】
使用するポリエステルオールの官能性は、好ましくは1.5〜5、特に好ましくは1.8〜3.5である。
【0023】
特に好ましい一実施の形態では、イソシアネートに対して反応性の基を有する化合物(b)は、ポリエーテルオール、特に専らポリエーテルオールを含む。ポリエーテルオールの実際の平均官能性は、好ましくは2〜4、特に好ましくは2.5〜3.5、特に2.8〜3.2であり、及びそのOH価は、好ましくは300〜900mgKOH/gであり、及び第2級OH基(secondary OH group)の含有量は、好ましくは少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、特に好ましくは少なくとも70%、及び特に少なくとも80%である。ここで使用されるポリエーテルオールは、好ましくは、開始剤としてグリセロール及びプロピレン−1,2−オキシドに基づくポリエーテルオールを含む。
【0024】
使用される触媒(c)は、ポリウレタンの製造用では通常の任意の触媒を含むことができる。これらの触媒は、例えば“Kunststoffhandbuch,Band7,Polyurethane”[Plastics Handbook,volume7,Polyurethanes]Carl Hanser Verlag,3rd edition 1993,chapter3.4.1に記載されている。ここで使用可能なこれらの例は、有機金属化合物、例えばスズ、亜鉛、チタン、ジルコニウム、鉄、水銀、又はビスマスの錯体、好ましくは有機スズ化合物、例えば有機カルボン酸のスズ塩、例えばスズ塩アセテート、スズ塩オクトエート、スズ塩エチルヘキサノエート、及びスズ塩ラウレート、及びカルボン酸のジアルキルチン(IV)塩、例えばジブチルチンヒアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンマーレート、及びジブチルチンジアセテート、及びフェニルマーキュリーネオデカノエート、ビスマスカルボキシレート、例えばビスマス(III)ネオデカノエート、ビスマス2−エチルヘキサノエート、及びビスマスオクタノエート、又は混合物である。他の可能な触媒は、強塩基性アミン触媒である。これらの例は、アミジン、例えば2,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、第3級アミン、例えばトリエチルアミン、トリエチレンジアミン、トリブチルアミン、ジエチルベンジルアミン、N−メチル、N−エチル、N−シクロヘキシルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルブタンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルジアミノエチルエーテル、ビス(ジメチルアミノプロピル)ウレア、ジメチルピペラジン、1,2−ジメチルイミダゾール、1−アザビシクロ[3.3.0]オクタン、及び好ましくは1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−ウンデカン−7−エン、及びアルカノールアミン化合物、例えばトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−メチル−及びN−エチルジエタノールアミン、及びジメチルエタノールアミンである。触媒は、個々に、又は混合物の状態で使用することができる。金属触媒及び塩基性アミン触媒の混合物が任意に、触媒(c)として使用される。
【0025】
特定の一実施の形態では、これらの触媒は、ブロックされた触媒の状態で使用され、例は、プロトンドナーでブロックされた触媒である。使用することが好ましいプロトンドナーは、カルボン酸、又はフェノール、及び/又は他の芳香族アルコールである。使用することが特に好ましいプロトンドナーは、芳香族アルコールを含む。ここで、プロトンドナー中でプロトンドナーとして作用する基の、アミン触媒中のプロトン付与アミン基に対する割合は、好ましくは0.9:1.0〜1.1:1.0である。ここで使用されるブロックされたアミン触媒は、特に好ましくは、ブロックされた1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エンを含む。フェノール又はカルボン酸誘導体を、可能なブロック剤として使用することがき、例は、フェノール又はフタル酸である。
【0026】
ここで、触媒(c)の割合は、成分(b)〜(e)の合計質量に対して、好ましくは0.05〜10質量%、特に好ましくは0.l〜5質量%、及び特に0.1〜2.5質量%である。ここで、触媒を使用する態様は、本発明のプルトルージョン樹脂系のゲル時間が、成分(a)〜(e)を混合した後、好ましくは25℃で10分を超え、特に好ましくは12分を超え、そして60分未満であり、及び特に15分を超え、及び60分未満であるものである。触媒の選択は更に、本発明のプルトルージョン樹脂システムの完全な硬化が、成分(a)〜(e)を混合した後、220℃で60秒以内に起こり、特に好ましくは0〜45秒、及び特に5〜30秒以内に起こるものである。
【0027】
ここでゲル時間を決定するために、ポリウレタン反応混合物を製造するための成分が、室温でビーカー内に計量され、そして高速ミキサー内で、30秒にわたり、2000回転/分の速度で相互に混合される。100gの全系が次に別のビーカー内に計量され、そしてゲル時間が、木べらを使用して決定される。ゲル時間は、混合工程の開始と硬化、すなわち塊の初期形成の間の時間差に相当する。
【0028】
220℃で、完全な硬化を決定(測定)するために、ポリウレタン反応混合物を製造するための成分が室温でビーカー内に計量され、そして高速ミキサー内で30秒にわたり、2000回転/秒で相互に混合される。10mLの系が、パスツールピペットを使用して表面温度が220℃のプレート上に置かれる。プレートへの供給と完全な硬化の間の時間(秒)が、対応する温度での硬化時間を与える。サンプルがもはや木べらに接触しても付着することがなくなった時に、完全な硬化が達成される。
【0029】
多塩基酸(d)は、官能性が2以上で、沸点が標準圧で少なくとも200℃の酸である。本発明では、基本的に、酸がイソシアネートに対して反応性の基を少なくとも2個有する化合物(b)中に溶解性である。本発明の目的のために、ここで酸の、イソシアネートに対して反応性の基を少なくとも2個有する化合物(b)中への溶解度は、25℃で、少なくとも0.1質量%、好ましくは少なくとも1質量%、特に好ましくは少なくとも2質量%、及び特に少なくとも5質量%の酸が、成分(b)内で、(室温で1週間保管した後であっても、2相以上の巨視的に分離した層に分離しない)安定した系を与えることを意味する。ここで、巨視的に分離した相は、酸の濃度において相互に異なり、及び直径が少なくとも0.1mmの領域を含む相である。
【0030】
ここで酸は、pKa値が15未満、特に好ましくは7未満、特に4未満の任意の物質である。ここで、pKa値は、第1プロトンの分離に関る。多塩基酸(d)が、カルボン酸基、ホスホン酸基、リン酸基、及びスルホン酸基から選ばれる、少なくとも1種の酸性基を含むことが好ましい。多塩基酸(d)は、少なくとも2つの酸性基と一緒に、イソシナネートに対して反応性の基、例えばOH基、SH基、NH基、又はNH基を含んでも良い。多塩基酸の酸価は、好ましくは50〜1000mgKOH/g、特に好ましくは80〜900mgKOH/g、及び特に100〜800mgKOH/gである。多塩基酸がヘテロ原子、特に酸素を高割合で有することが好ましい。例えば、酸中の酸素の炭素に対する割合は、少なくとも1:5、特に好ましくは少なくとも1:4である。これらの酸(d)の例は、多塩基酸から、及び酸に対して反応性の基を有する化合物から誘導される縮合物である(これらの多塩基酸と化合物は、水を除外して反応し、縮合物を与える)。縮合物を製造するために使用することができる多塩基酸の例は、多塩基カルボン酸、例えば脂肪族多塩カルボン酸、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、又は芳香族多塩基カルボン酸、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、及びこれらの異性体、又は無機酸、例えばリン酸である。酸に対して反応性の基を有し、及び縮合物を製造するために使用される化合物の例は、イソシアネートに対して反応性の基を有する(b)について記載した化合物の任意のもので、好ましくは、アルキレンオキシドに基づくポリエーテルオール、ポリエステルオール、及び低分子量化合物、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリチリトール、シュガー誘導体、例えばスクロース、ヘキシトール誘導体、例えばソルビトール、メチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、ベンジルアミン、アニリン、トルイジン、トルエンジアミン、ナフチルアミン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、4,4’−メチレンジアニリン、1,3−プロパンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、及び他のジ−又は多塩基アルコール、又はアミンである。ここで、多塩基酸から、及び酸に対して反応性の基を有する化合物から誘導される縮合物中に、イソシアネートに対して反応性の基が残っているべき場合が意図される場合、縮合反応は、酸に対して反応性の基の一部、特にヒドロキシ基の一部が、(縮合物を与えるために)酸と反応することがないように行われる。
【0031】
使用される多塩基酸(d)は、アクリル酸、メタクリル酸、ポリリン酸、ポリホスホン酸、又はスルホン酸、例えばスチレンスルホン酸の単独−、又は共重合によって得ることができる生成物を含む。適切なコモノマーは、上述した酸と共重合可能な任意のモノマーである。
【0032】
イソシアネートに対して反応性の基を少なくとも2個有する化合物(b)の合計質量に対する、多塩基酸(d)の割合は、好ましくは0.1〜10質量%、特に好ましくは0.5〜5質量%、及び特に1〜3質量%である。
【0033】
使用される更なる補助剤及び添加剤(e)は、ポリウレタンを製造するために公知の任意の補助剤及び添加剤である。記載して良い例は、界面活性剤、離型剤、結合剤、充填剤、染料、顔料、難燃剤、加水分解安定化剤、粘性低下剤、除水剤、消泡剤、及び静真菌性の及び静菌性の作用を有する物質である。この種の物質は公知であり、そして例えば、“Kunstoffhandbuch,Band7,Polyurethane”[Plastics Handbook,volume7,Polyurethanes]Carl hanser Verlag,3rd edition1993、chapter3.4.4and3.4.6to3.4.11に記載されている。
【0034】
水吸着のために使用可能な添加剤の例は、従って、ナトリウムアルミノシリケート、カリウムアルミノシリケートの群から選ばれるアルミノシリケート、カルシウムシリケート、セシウムアルミノシリケート、バリウムアルミノシリケート、マグネシウムアルミノシリケート、ストロンチウムアルミノシリケート、ナトリウムアルミノフォスフェート、カリウムアルミノフォスフェート、カルシウムアルミノフォスフェート、及びこれらの混合物である。媒体としてキャスターオイル中の、ナトリウムアルミノシリケート、カリウムアルミノシリケート、及びカルシウムアルミノシリケートを使用することが特に好ましい。
【0035】
水吸着添加剤の数平均の粒子径は、好ましくは200μm以下、特に好ましくは150μm以下、及び特に100μm以下である。本発明の水吸着添加剤の孔径は、好ましくは2〜5オングストロームである。
【0036】
水吸着添加剤が加えられる場合、量は、成分(b)〜(e)の合計量に対して、好ましくは1質量部を超え、特に好ましくは0.5〜5質量%である。
使用可能な結合剤は、シラン、例えばイソシアネートシラン、エポキシシラン、又はアミノシランを含む。この種の物質は、例えばE.P.Plueddemann,Silane Coupling Agents,2nd ed.,Plenum Press,New York,1991 and in K.L.Mittal,ed.,Silanes and Other Coupling Agents,VSP,Utrecht,1992に記載されている。
【0037】
使用可能な内部解放剤(internal release agent)は、ポリウレタンの製造で使用される任意の通常の解放剤、例えば長鎖カルボン酸、特に脂肪酸、例えばステアリン酸、長鎖カルボン酸のアミン、例えばステアルアミド、脂肪酸エステル、長鎖カルボン酸の金属塩、例えば亜鉛ステアレート、又はシリコーンである。特に適切な材料は、プルトルージョン法のために(例えばAxel Plastics 又は Technick Productsから)特定的に得ることができる内部解放剤である。Technick Productsからの内部解放剤は、高い確実性で、リン酸、及び脂肪酸を含む。Axel Plasticsからの内部解放剤は、高い確実性で、脂肪酸を含む。
【0038】
使用可能な粘性低下剤は、γ−ブチロラクトン、プロピレンカーボネート、及び反応性希釈剤、例えばジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、及びトリプロピレングリコールである。
【0039】
本発明のプルトルージョン樹脂システムは、標準圧力での沸点が200℃未満の物質を、好ましくは2質量%未満、特に好ましくは1質量%未満含む。成分(a)〜(e)を混合した直後のプルトルージョン樹脂の、DIN53019−1〜3に従う、25℃での粘度は、好ましくは1500mPas未満、特に好ましくは1200mPas未満、及び特に1000mPas未満である。ここで、成分(a)〜(e)が混合される量的な割合は、イソシアネートインデックスが好ましくは90〜140、特に好ましくは100〜130、及び特に115〜125になるものである。本発明の目的のために、イソシアネートインデックスは、イソシアネート基の、イソシアネートに対して反応性の基に対する化学量論的割合を100倍したものである。ここで、イソシアネートに対して反応性の基は、反応混合物中に含まれる、イソシアネートに対して反応性の任意の基であるが、イソシアネート基そのものではない。
【0040】
本発明は、プルトルージョン物を製造する方法をも提供する。この方法では、本発明のプルトルージョン樹脂系が混合されて、ポリウレタン反応混合物が得られ、そして得られた反応混合物が、ファイバー材料をぬらすために使用される。ぬらされたファイバー材料は、次に成形され、そして反応混合物が硬化さえる。本発明の目的のために、成分(a)〜(e)の混合物は、反応における変換が、イソシアネート基について90%未満の場合、反応混合物と称される。
【0041】
ここで本発明のプルトルージョン樹脂系の成分の混合は、ポリウレタンベースの反応混合物を製造するための通常の手段、例えば高圧又は低圧法で行うことができる。
【0042】
使用されるファイバー材料は、連続的なフィメントファイバーの任意のタイプを含むことができる。ここで連続的なフィラメントファイバーは、その長さが少なくとも数メートルであるファイバー材料を意味する。これらの材料は、例えばロールから巻きが解れたものである。ここで使用されるファイバー材料は、ファイバーロービング、ブレイデッドファイバー、ファイバーマット、ファイバースクリム、及びウーブンファイバーとして公知の個々のファイバーを含むことができる。特に、ファイバー複合体、例えばブレイデッドファイバー、ツイステッドファイバー、ファイバースクリム、又はウーブンファイバーの場合、上述したファイバー構造体中に含められる個々のファイバー内に含まれる、個々の短いファイバーが存在し得るが、しかし、ファイバー複合体自体は、連続的なフィラメント材料の形態を取る必要がある。ファイバー材料が、ガラスファイバー、ガラスマット、カーボンファイバー、ポリエステルファイバー、天然ファイバー、アラミドファイバー、バーソルトファイバー、又はナイロンファイバーを含むか、又はこれらから成ることが好ましく、そしてカーボンアイバー又はガラスファイバーを使用することが特に好ましい。
【0043】
ここで、ファイバー材料のぬれは、開放されたダイ又は好ましくは閉じたダイ中で行うことができる。ファイバー材料をぬらす間の温度は、好ましくは100℃未満、好ましくは0〜75℃、特に好ましくは10〜50℃、及び特に15〜35℃である。ファイバー材料の割合は、仕上られたプルトルージョン物(pultrudate)に対して、好ましくは10〜90質量%、特に好ましくは30〜90質量%、特に60〜90質量%である。
【0044】
ぬらし工程の後、反応混合物でぬらされたファイバー材料は、好ましくはダイを通して引かれる。このダイは、(ぬらされたファイバー材料の引き出し方向に対して垂直方向に)任意の所望の断面形状を有するが、しかしこの形状は、可能な限り一定(例えばスロット形状、又は円形状、又はL−形状、又はT−形状、又は他により複雑な形状)であることが好ましい。このダイの温度は、好ましくは150〜250℃であり、及び従って、ポリウレタン反応混合物は、仕上られたポリウレタンに硬化する。
【0045】
プルトルージョン物が、1メートル/分を超える速度でダイから引き出されることが好ましい。引き出し速度は、特に好ましくは、1.5メートル/分を超え、及び特に2.0メートル/分を超える。得られるプルトルージョン物は通常、所望の長さにカットされる。
【0046】
本発明は、本発明の方法によって得ることができるプルトルージョン物をも提供する。このプルトルージョン物は、卓越した表面品質、及びぬれの品質を有している。プルトルージョン紋の機械的特性は、0.5m/分の引き出し速度と1.5m/分の引き出し速度について同じである。
【0047】
以下に実施例を使用して本発明を説明する:
以下の材料を使用した:
ポリオール
ポリオール1:グリセロール−出発トリオール、プロポキシル化、OHN:400mgKOH/g
ポリオール2:グリセロール−出発トリオール、プロポキシル化、OHN:800mgKOH/g
ポリオール3:ジオール、プロピレングリコール、プロポキシル化、OHN:250mgKOH/g
ポリオール4:グリセロール−出発トリオール、プロポキシル化、及びエトキシル化、OHN:42mgKOH/g、72.5質量%のエチレンオキシドの割合
【0048】
触媒:
触媒1:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン、及びジエチレングリコール中フェノールの混合物
触媒2:ジメチルチンカルボキシレート
触媒3:フェニルマーキュリーネオデカノエート
触媒4:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン
触媒5:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン、及びモノエチレングリコール中フタル酸の混合物
【0049】
離型剤:
Technick ProductsからのTL−550HB、又はAxel PlasticsからのINT−1947MCH、INT−1948MCH、これらの全ては、プルトルージョン法のための、市販された内部離型剤である。
【0050】
ポリマー酸
酸1:フタル酸とグリコールのエステルをベースにした酸。酸価=130mgKOH/g
酸2:フタル酸と、プロピレンオキシドと開始剤としてのグリセロールに基づくトリオールのエステルをベースにした酸で、OH価が400mgKOH/g、酸価=190mgKOH/g。
【0051】
イソシアネート:
2,4−及び4,4’−MDIに基づくモノマー性MDI
粘度が25℃で210mPasのポリマー性MDI
【0052】
方法:
使用したプルトルージョン設備は、閉じたインジェクションボックス、及び加熱可能なダイを含んでいた。ダイの平坦なプロフィールの内径は、3×50mmであった。これらの寸法を有するプルトルージョン物を対応して製造した。プルトルージョン法のために適切な標準ガラスファイバー(例えばPPG Fiber Glass Europe:Hybon 2001 Roving,2400 Tex)を使用し、そしてインジェクションボックス及びダイを通して引き出した。ガラスファイバーマット(例えば、PPG Fiber Glass Europe、ガラスファイバーロービングのガラスファイバーマットに対する割合が60:20質量%)も使用した。プルトルージョン物の合計質量に対する、補強材料の合計濃度は、約80質量%であった。本発明の実施例及び比較例に記載された出発材料を、静的ミキサーを使用して、低圧混合器内で、室温で混合した(イソシアネートインデックスは記載)。次に反応混合物をインジェクションボックス内に注入し、そしてガラスファイバーを反応混合物でぬらした。ぬらされたガラスファイバーを、取出システムを使用して、ダイを通して連続的に引き出し、そしてポリウレアン系を加熱されたダイ中で硬化させた。工程の最後に、プロフィールを所望の長さにカットした。
【0053】
実施例:
成分A及びBの割合を、質量部として以下に記載した。
【0054】
本発明の実施例1:
【0055】
【表1】

【0056】
インデックス:100
【0057】
系の特性:
室温でのゲル時間:17:00分
220℃での反応性:15秒
プルトルージョン試験の結果
プルトルージョン速度:1.5m/分
表面品質:非常に良い、粉無し
【0058】
比較例1:
【0059】
【表2】

【0060】
インデックス:100
【0061】
系の特性:
室温でのゲル時間:17:00分
220℃での反応性:22秒
プルトルージョン試験の結果
プルトルージョン速度:1.0m/分
表面品質:良い、粉無し
【0062】
本発明の実施例2:
【0063】
【表3】

【0064】
インデックス:110
【0065】
系の特性:
室温でのゲル時間:12:20分
220℃での硬化:30秒
プルトルージョン試験の結果
プルトルージョン速度:1.5m/分
表面品質:良い、粉ほとんど無し(少量の粉)
【0066】
比較例2:
【0067】
【表4】

【0068】
インデックス:110
【0069】
系の特性:
室温でのゲル時間:11:15分
220℃での硬化:31秒
プルトルージョン試験の結果
プルトルージョン速度:1.5m/分
表面品質:粗い、大量の粉
【0070】
本発明の実施例3:
【0071】
【表5】

【0072】
インデックス:120
【0073】
系の特性:
室温でのゲル時間:18:00分
220℃での硬化:20秒
プルトルージョン試験の結果
プルトルージョン速度:2.5m/分
表面品質:非常に良い、滑らかな表面、粉無し
【0074】
比較例3:
【0075】
【表6】

【0076】
インデックス:120
【0077】
系の特性:
室温でのゲル時間:12:00分
220℃での硬化:37秒
プルトルージョン試験の結果
プルトルージョン速度:1.5m/分
表面品質:非常に良い、滑らかな表面、粉無し
【0078】
本発明の実施例4:
【0079】
【表7】

【0080】
インデックス:100
【0081】
系の特性:
室温でのゲル時間:15:30分
220℃での硬化:15秒
プルトルージョン試験の結果
プルトルージョン速度:2.0m/分
表面品質:良い、粉ほとんど無し(少量の粉)
【0082】
比較例4:
【0083】
【表8】

【0084】
インデックス:100
【0085】
系の特性:
室温でのゲル時間:15:25分
220℃での硬化:28秒
プルトルージョン試験の結果
プルトルージョン速度:2.0m/分
表面品質:粗い、粉
【0086】
本発明の実施例5:
【0087】
【表9】

【0088】
インデックス:100
【0089】
系の特性:
室温でのゲル時間:18:45分
220℃での硬化:28秒
プルトルージョン試験の結果
プルトルージョン速度:2.0m/分
表面品質:粗い、粉
【0090】
比較例5:
【0091】
【表10】

【0092】
インデックス:100
【0093】
系の特性:
室温でのゲル時間:18:00分
220℃での硬化:37秒
プルトルージョン試験の結果
プルトルージョン速度:1.5m/分
表面品質:粗い、粉
【0094】
実施例は、他の条件が同一である場合には、多塩基酸の添加は得られたプルトルージョン物の表面を改良するか、又は多塩基酸の添加は、速い工程速度で一貫して良好な表面品質を達成することを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ジ−又はポリイソシアネート、
b)イソシアネートに対して反応性の基を少なくとも2つ有する化合物、
c)触媒、
d)官能性が2以上の多塩基酸、及び任意に、
e)更なる補助剤、及び添加剤
を含み、多塩基酸は沸点が、標準圧力で、少なくとも200℃であり、及びイソシアネートに対して反応性の基を少なくとも2つ有する化合物に溶解性であることを特徴とするプルトルージョン樹脂系。
【請求項2】
多塩基酸の酸価が、50〜1000mgKOH/gであることを特徴とする請求項1に記載のプルトルージョン樹脂系。
【請求項3】
多塩基酸(d)中の、ヘテロ原子の炭素原子に対するモル割合が少なくとも1:5であることを特徴とする請求項1又は2の何れかに記載のプルトルージョン樹脂系。
【請求項4】
多塩基酸(d)が、少なくとも二塩基酸から、及び酸に対して反応性の基を有する化合物から誘導される縮合物であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のプルトルージョン樹脂系。
【請求項5】
イソシアネートに対して反応性の基を少なくとも2つ有する化合物(b)及び多塩基酸(d)の合計質量に対する、多塩基酸(d)の割合が0.1〜10質量%であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のプルトルージョン樹脂系。
【請求項5】
多塩基酸(d)が、イソシアネートに対して官能性を有する、少なくとも1つの更なる基を有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のプルトルージョン樹脂系。
【請求項6】
使用するジ−及びポリイソシアネート(a)が、平均官能性が2.1〜2.8のポリマー性MDIを含むことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のプルトルージョン樹脂系。
【請求項7】
イソシアネートに対して反応性の基を少なくとも2つ有する化合物(b)は、平均官能性が2〜4で、及び第2級OH基の含有量が少なくとも50%である、ポリエーテルオールを含むことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のプルトルージョン樹脂系。
【請求項8】
イソシアネートに対して反応性の基を少なくとも2つ有する化合物(b)の平均OH価が、100〜1000mgKOH/gであることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のプルトルージョン樹脂系。
【請求項9】
成分(a)〜(e)を混合した直後の粘度が、25℃で1500mPas未満であることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載のプルトルージョン樹脂系。
【請求項10】
標準圧力で、沸点が200℃未満である物質を、2.0質量%未満の量で含むことを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載のプルトルージョン樹脂系。
【請求項11】
請求項1〜9の何れかに記載のプルトルージョン樹脂系を混合し、そしてファイバー材料がこの混合物でぬらされ、そして硬化されることを特徴とするプルトルージョン物を製造する方法。
【請求項12】
ぬらされたファイバー材料が、ダイを通して引き出され、そして硬化され、及びダイの温度が150℃〜250℃であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ぬらされたファイバー材料がダイを通して引き出される取出速度が、1m/分を超えることを特徴とする請求項11又は12の何れかに記載の方法。
【請求項14】
ファイバー材料の含有量が、30〜90質量%であることを特徴とする請求項11〜13の何れか1項に記載の方法。
【請求項15】
請求項11〜14の何れかに記載の方法によって製造することができるプルトルージョン物。

【公表番号】特表2013−512322(P2013−512322A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541461(P2012−541461)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068518
【国際公開番号】WO2011/067246
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】