説明

ポリウレタンおよびラテックスゴムのアロイブレンド

具体的には膨らませることができるスポーツ物品で使用されるとき、より具体的にはサッカーボールで使用されるとき、通り抜ける気体の透過性を制限するポリウレタンブレンドまたはアロイのバリア物品を本明細書に開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に膨らませることができる物品で使用される、空気などの気体の通過に抵抗するバリア材料に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの材料、特にサッカーボール、バレーボール、およびラグビーボールなどの膨らませるスポーツ物品で使用されるものは、高い空気透過性、低いレジリエンス、高いヒステリシス、および不十分な老化特性など望ましくない特性を示す。これらの望ましくない特性は、天然ゴム、合成エラストマー材料、またはそのブレンドのいずれから作製されようと、エンジニアリングゴム成分に関連していることが多い。例えば、これらの材料から作製されたサッカーボールは、このような物品の使用者、または商品担当者に問題を提起する恐れがある頻繁な再膨張を必要とすることがある。
【0003】
スポーツボールで使用される成分の高いヒステリシスも重要である。通常の使用中、スポーツボールは、競技者の足または競技用表面に衝突するたびにかなりの変形および再造形に耐えている。この影響は高速写真で観測されている。ボールが変形する場合、機械的エネルギーは、熱の形で放散し、それによってボールのゴムコア温度が上昇し、レジリエンスが低下する。この機械的蓄積エネルギーの損失は、スポーツボールのリターンスピードがより低くなる恐れもあり、サッカーボールの場合、これはより低い「フットスピード」となるはずである。
【0004】
2003年3月18日出願され、さらにデュポン(DuPont)に譲渡された係属中の米国特許公報(特許文献1)は、空気で膨らませることができるスポーツボール、特にテニスボールを、ロール練り用ポリウレタン(MPU)およびゴムの配合物から作製する方法を記述している。特定の理論に拘泥するものではないが、MPU/ゴムミックスが、優れた特性、特にバリア特性を提供するのに役立つ「アロイ」を形成すると仮定される。現在、ラテックスゴムは、比較的に安価であり、望ましい弾性特性を有するので、多くのスポーツボールに使用されている。しかし、これらは、通常は不十分なバリア特性を示し、使用の際に、ならびにそれから作製された物品の場合は貯蔵の際に空気の損失がより大きくなる。
【0005】
【特許文献1】米国特許仮出願第60/455674号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、望ましい目的は、低い透過性、および上記の仮出願の材料に見られる他の特性を有するスポーツボール用空気袋(空気袋)、自転車用チューブなどの物品を作製するためラテックスゴム(または他のラテックス組成物)の使用を可能にする方法を開発することである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
空気透過性を制限するために使用する材料におけるこれらの性能欠陥を最小限に抑えるために、好ましくはポリウレタンをベースとする非晶質エラストマー/ゴムアロイを含む特別な材料配合物が開発された。物品、例えばポリウレタンおよびゴムのこれらアロイで作製された、膨らませるスポーツボールは、驚くほど低い空気透過性、および改善されたレジリエンスを有する。これは、一例としてサッカーボールにおける性能特性の向上を可能にする。
【0008】
これらのボールは、従来型のラテックスゴム空気袋またはライナーを有するボールに比べて大幅に低減された空気透過性、およびレジリエンスの増大の可能性を示す。同様の改善は、アメリカンフットボール、ラグビーボール、バスケットボール、バレーボール、自転車用インナーチューブなど他の物品で、ならびにエンジニアリングゴム成分が通常は使用され、本発明の材料の予想される特性が望ましいはずである様々な他の用途において生じるものと予想される。
【0009】
本発明は、ラテックスゴムと混合されるポリウレタンおよび他の適切な材料の「アロイ形成」特性を利用している。しかし、ポリウレタンは、ラテックスゴムと組み合わせるのに必要とされるはずである水性分散物を容易に形成しない。したがって、適切に配合されたイオン性混合物を開発して、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、またはポリエステルをベースとするジオールをベースとした、ラテックスゴムと相溶であるはずのポリウレタンの水性分散物を提供することが必要であった。本明細書では、「ラテックスゴム」という用語は、完全形成されたものにせよ、または後に加硫化される可能性のあるオリゴマーにせよ、天然ゴムまたは合成ゴム/エラストマーの水性分散物を意味すると理解されたい。「ラテックス組成物」という用語は、ラテックスゴム、およびスチレン−ブタジエン、スチレン−イソプレン、ポリアクリレートなど適切なエラストマーポリマーの水性分散物を包含することができる。
【0010】
2つの分散物をよく混合し、水を蒸発させると、空気袋などをラテックスゴムから作製するために現在使用されている工業用薄膜蒸発方法で形成されるタイプのフィルムが得られることが判明した。先に指摘したように、純ラテックス分散物から作製された物品は、不十分なバリア特性を有するが、ポリウレタンおよびラテックスゴムの水性分散物の混合物から作製された物品は優れたバリア特性を有するものと予想される。
【0011】
本発明のためのポリウレタン分散物(PUD)は、まず伸長させたポリウレタンポリマーを提供し、次いで水に分散することによって調製する。従来型のPUDとは違って、本発明の材料は、不飽和の部位を提供する追加の基をポリマー中に含むことができる。例えば、PUDを作製する際に、分散に役立たないが加硫化中ゴムラテックスと反応して化学的に結合したアロイを生成するビニルおよび/またはアリル基を含むモノマーを、PTMEG、ポリプロピレンエーテルポリオール(PPG)およびポリエステル主鎖、ならびにイオノマーと組み合わせて使用する。PUDは、PTMEG、例えば米国デラウェア州ウィルミントン(Wilmington, DE)の本願特許出願人から入手可能なテラサン(Terathane)(登録商標)から作製されることが好ましい。アロイは、90〜10重量%のPUD(乾燥重量基準)および10〜90重量%のゴム(乾燥重量基準)、好ましくは60〜40重量%のPUD(乾燥重量基準)および40〜60重量%のゴム(乾燥重量基準)を含む。ラテックスゴムは、ポリイソプレンまたはポリブタジエンから作製することができ、通常は約60%の固形分を含有する。ポリイソプレンが好ましく、天然でも、合成でもよい。スチレン−ブタジエン、スチレン−イソプレン、ポリアクリレートなど他のラテックス組成物も使用することができる。
【0012】
ポリエステルポリオールをベースとする非晶質ポリウレタンは、PTMEGをベースとする材料より透過性および温度依存性をさらに多く低減するが、前者は弾性効率の利益を促さないことが判明した。同様な結果は、PPGをベースとするPUDから予想されることがある。したがって、PTMEGをベースとするPUDは、より協調された利益を提供し、本発明に使用するのに好ましい。しかし、ポリブタジエンまたは同様の弾性材料を含有する分散物はアロイに添加することができ、PUDに見られるポリエステルまたはPPGに基づく欠陥の一部を軽減する。
【0013】
さらに、実施例に従って、ポリエチレングリコール(PEG)ポリオール、PEGとPTMEGのコポリマー、またはPEGとPPGのコポリマー、さらにポリブチレンアジペート(PBA)をベースとするPUDを調製することが可能である。これらの系は、PTMEGの場合に必要とされるイオン性基を組み込む必要なしに、水に容易に分散可能であるという利点を有する。グリコールのタイプ、およびグリコールの分子量は、得られるポリウレタンまたはポリエステルをベースとする分散物の透過性に影響を及ぼすと留意されたい。通常は、グリコールの分子量が低くなると、透過性が低くなる。したがって、PTMEGをベースとするPUDが最高の透過性であり、続いてPEG−PTMEGをベースとするもの、およびアジペートグリコールをベースとするものが最低の透過性を有する。
【0014】
同様に、PUDの別の代替物は、ラテックスゴムと組み合わせる場合、EO/THF(エチレンオキシド/テトラヒドロフラン)コポリマーである。さらに上述したPUDの場合とは違って、イオノマー(DMPAなど)は、EO−THF主鎖の場合はオプションである。
【0015】
アロイは、ポリエステル分散物およびゴム分散物のブレンドで作製することもできる。ポリエステルは、ポリエーテルをベースとするジオール、またはポリエステルをベースとするジオールを(ポリウレタンを生成するはずのジイソシアナートの代わりに)二酸と組み合わせることによって作製することができる。特定の理論に拘泥するものではないが、「軟質」セグメント(ポリエーテルをベースとするジオールまたはポリエステルをベースとするジオール)は、エラストマーの透過性を決定する上で「硬質」セグメント(ジイソシアナートまたは二酸)より強い要因であると思われる。
【実施例】
【0016】
PTMEGをベースとするPUDを合成する、またはいくつかの供給源から市販品として得ることができる。天然ゴムは、通常は従来型のスポーツボールで使用されるイソプレン材料であり、含有する添加剤の一部においてわずかに異なる。
【0017】
ポリウレタン分散物を通常の方式で調製して、20〜60%の固形分を含有する水中ポリマー系を生成した。これらの系は、様々なタイプの分散基(アニオン性、カチオン性、および非イオン性)、ジイソシアナート(芳香族および脂肪族)、および連鎖延長剤(ジアミンおよび水)を含有することができる。上述したように、PEGポリオールおよびPEGコポリマーをベースとするPUDは、補足的な分散基を少ししかまたは全く必要としない。後続のステップでは、これらの材料をラテックスゴムと様々な比率で組み合わせ、処理して所望の組成物および特性のアロイを作製する。
【0018】
ラテックスゴムは、残留不飽和を含み、硫黄または過酸化物などいくつかの化学薬品を用いて硬化することができ、この反応は、触媒、促進剤、および当業者に知られている他の添加剤で促進される。ラテックス成分を水中で組み合わせる。得られた混合物を使用して、様々な浸漬被覆材料を作製することができ、その後加硫化と呼ばれる方法で加熱硬化する。あるいは、ラテックス成分を、浸漬または被覆ステップの前に組み合わせ、加硫化する。
【0019】
ラテックスゴムをPUDの存在下で加硫化することもできる。さらに、熱を慎重に加えることによってラテックスを部分硬化させた予備加硫化ゴムを、次の加熱および完全な硬化の前にPUDと組み合わせることができる。
【0020】
下記の実施例では、次の化合物略称を使用する。
【0021】
【表1】

【0022】
(実施例1:PTMEGをベースとするポリウレタン−ラテックスのアロイ)
(ポリウレタン水性分散物の調製):
ポリウレタン水性分散物(PUD)は、56.0gm(0.112当量)のT1000(PTMEG、MW=1000gm/mol)を、窒素下に50〜70℃で加熱された容器中で36.8gm(0.331当量)のIPDI、4.28gm(0.064当量)のジメチロールプロピオン酸(DMPA)、2.96gm(0.045当量)のグリセロールアリルエーテル(GAE)、および10gmの乾燥n−メチルピロリドン(NMP)と混合することによって調製した。成分を5〜10分間よく混合し、10mgのジラウリン酸ジブチルスズを添加して反応を開始させた。化合物を70〜90℃の温度で混合し、滴定して残留イソシアナート含有量を求めることによって反応の進行を監視した。残留イソシアナートをASTM D2572−91または等価法で測定することができる。残留イソシアナートが理論的終点の5%(相対値)以内に入ったとき、反応を停止した。一例として、理論的終点の3.4%の反応は、理論的NCOの相対パーセントが許容できる5であるはずである(例えば、目標=3.4%の場合、許容できる終点範囲は3.4%〜3.7%である)。温度が40℃未満に下がったとき、トリエチルアミン(TEA、3.23gm、0.032当量)を乾燥窒素中撹拌しながら添加した。感知できる発熱量は観察されなかった。別の容器で、エチレンジアミン(EDA、2.82.gm、0.935当量)を149gmの脱イオン水に添加し、5°〜10℃に冷却した。TEA−プリポリマー反応物を30分間撹拌し、冷却されたEDA−水溶液を、激しく撹拌しながら5分間かけて添加した。温度を<30℃に維持すること、およびEDA−水を一斉に添加して系に衝撃を与えないことが重要である。この添加によって、相変化が生じ、付随して撹拌機トルクの変更が効果的な撹拌を維持するのに必要であった。
【0023】
ポリウレタン分散物(PUD)は均質になり、プリポリマーを完全に混合および反応させるように、さらに1時間撹拌した。使用した配合物に応じて、分散物の外観は、無色透明から、曇った青色または乳白色まである。PUDを排出し、次の使用まで貯蔵した。この水性分散物は40%の固形分を含有し、2.0meq/gmの理論的不飽和レベルを含む場合「T1000−GAE」と呼ぶ。GAEを使用せずに、上記に記述したのと同じ方式で固形分40%のポリウレタン水性分散物を調製し、「T1000」と特定する。
【0024】
(ラテックス化合物の調製):
ラテックス化合物は、ファイヤーストーン・ラバー&ラテックス(Firestone Rubber & Latex Co.)から得られた天然ラテックス(ハーテックス(Hartex)101)を、硫黄硬化系および促進剤と混合することによって調製した。具体的には、下記の配合に従って化合物を調製した。
【0025】
【表2】

【0026】
成分を混合し、1〜2時間穏やかに撹拌し、混合物を、1日蓋をして放置した。得られた化合物は、予備加硫化ラテックス化合物と呼び、約60%の固形分を含有する。
【0027】
(ラテックス化合物とポリウレタン分散物の混合、およびフィルムの流延):
GAEを含む、または含まないT1000のポリウレタン分散物(PUD)を、様々な比のPUDとラテックス化合物を含む予備加硫化ラテックス化合物と混合した。得られた分散物を4時間穏やかに撹拌し、次いで終夜熟成させた。厚さ約0.7mmのフィルムを、平板上に流延し、約104℃で約40分間硬化し、100℃において水で抽出し、次いで60℃で乾燥した。フィルムの空気透過性を測定した。その結果を表1に示し、図1に図でも示した。
【0028】
(空気透過性の測定):
空気透過性は、室温(25℃)で下記のとおり測定する。
厚さが既知のフラットフィルムの試料を、既知のろ過面積を提供するフィルターホルダー装置にクランプで止める。ろ過面積は約9.6cmであった。装置の供給サイドを空気で所与の圧力設定に加圧し、一定に維持する。供給圧力設定の選択は、50psig(3.45×10Pa)であった。装置の出口サイドを大気圧に維持する。
【0029】
フィルムを通り抜けて透過する空気の体積流量は、感度の高い流量計を用いて測定する。
【0030】
空気透過性は、次式で算出する。
【0031】
【数1】

【0032】
式中、
空気透過性= 空気透過性(cm−cm/m−hr−Pa)
空気流量 = フィルム試料を通り抜けた体積流量(cc/hr)
厚さ = フィルム試料の厚さ(cm)
面積 = フィルム試料の透過面積(m
ΔP = フィルムの両側の圧力差(Pa)
【0033】
(データ):
【0034】
【表3】

【0035】
【表4】

【0036】
(考察):
データによって、GAEを含まないPTMEG T1000で、最高約15重量%のPUを有するアロイを作製した場合以外は、PU−ラテックスアロイ中のPU含有量が上がると、空気透過性が下がることが示されている。GAEを含まないPTMEG T1000から調製された、0〜15%のPUDを含むフィルムは、空気透過性が、純ラテックスで作製されたフィルムと等しい、またはそれより大きい。すべてのPUDレベルで、GAEを含むPUDを含有するアロイは、GAEを含まないアロイまたは純ラテックス組成物より低い透過性を有する。
【0037】
GAEを含まないラテックス−PTMEG T1000で作製したフィルムは、常に空気透過性が、純ラテックスで作製されたフィルムより高い。
【0038】
(実施例2:エーテルまたはエステルポリオールを使用したポリウレタン−ラテックスのアロイ)
(ポリウレタン水性分散物の調製):
ポリウレタン水性分散物(PUD)を、実施例1に記載する同様の方式で調製した。典型的なポリウレタンエラストマーは、不定形の非晶質セクション(「軟質ブロック」)および結晶質強化セグメント(硬質ブロック)からなる。硬質ブロックのタイプおよび濃度は、エラストマーの高温およびモジュラス特性に影響を与えるが、軟質ブロックは、ポリマーの低温および柔軟性の挙動を決定する。長鎖ポリオールおよび短鎖グリコール(GAEおよびDMPA)は、軟質ブロックの成分と見なされ、硬質ブロックは、イソシアナートを末端基とするポリオール−グリコール混合物の、EDAによる伸長から形成された尿素結合からなる。この実験設計の目的のために、長鎖ポリオールをPCL、PBA、PPG、またはPTMEGの1つから選択した。一貫した硬質ブロックレベルを維持するために、組成物を調整して残留イソシアナート含有量を4.2−4.5%にした。DMPAのレベルを変えて、酸価18〜20%を維持した。長鎖ポリオールの分子量を設計に示すように変えた。同様に、GAEレベルを変えることによって、不飽和レベルを調整した。不飽和レベルを試料1グラム当たりの二重結合の数(当量と呼ぶ)と定義する。この不飽和レベルは低いため、組成物を記述する際にミリ当量/gm(meq/gm)という単位を使用する。すべての組成物について、DMPAを1当量のトリエチルアミン(TEA)で中和し、イソシアナートを末端基とするプリポリマーを0.85当量のエチレンジアミン(EDA)で鎖伸長した。得られたPUDは、固形分40%であった。
【0039】
(ラテックス化合物の調製):
実施例1に記載するのと同じ方式で、ラテックス化合物を調製した。
【0040】
(ラテックス化合物とポリウレタン分散物の混合、およびフィルムの流延、ならびに空気透過性の測定):
実施例1に記載するように、混合物を調製し、14重量%のポリウレタン(乾燥重量基準)および残部としてラテックス化合物を含むアロイを得た。先に記載したように、フィルムを流延し、透過性を測定した。結果を表2に列挙する。
【0041】
(データ):
【0042】
【表5】

【0043】
【表6】

【0044】
【表7】

【0045】
(実施例3:PTMEGをベースとするポリウレタン−ラテックスのアロイ。ラテックス予備加硫化の効果)
実施例1に記載するように、ポリウレタン水性分散物(PUD)を調製した。これを「T1000−GAE」と呼ぶ。40重量%のこのPUDを含む2つのアロイも、実施例1で記載したようにラテックス化合物で調製した。一方の(A)の場合では、ラテックス化合物をPUDと混合する前に熟成させて、予備加硫化ラテックス化合物とした。他方の(B)の場合では、ラテックスを予備加硫化させず、即座にPUDと混合した。どちらの場合も、PUD−ラテックス混合物を4時間穏やかに撹拌し、次いで終夜熟成させた。厚さ約0.7mmのフィルムを平板上に流延し、約104℃で約40分間硬化し、100℃において水で抽出し、次いで60℃で乾燥した。実施例1に記載するように、フィルムの空気透過性を測定した。結果を表2に示す。
【0046】
(データ):
(40%T1000−GAEと予備加硫化ラテックスまたは非予備加硫化ラテックスとのアロイ)
【0047】
【表8】

【0048】
(考察):
データによって、ラテックス化合物をPUDと混合する前に予備加硫化する場合と予備加硫化しない場合とで、PUD−ラテックスアロイフィルムの空気透過性に影響がないことが示されている。
【0049】
(実施例4:EO−THFコポリマーをベースとするポリウレタン−ラテックスのアロイ)
PTMEGの代わりに、分子量が2000で、50モル%のポリエチレンオキシドおよび50モル%のポリテトラメチレンオキシドから構成されるポリエチレン−ポリテトラメチレングリコールのコポリマーを用いた点以外は実施例1に記載するように、ポリウレタン水性分散物(PUD)を調製した。このコポリマーを本明細書ではEO−THFと呼ぶ。実施例1に記載するように、上記のPUDと予備加硫化ラテックス化合物とで混合物を調製した。
【0050】
実施例1に記載するように、厚さ約0.7mmのフィルムを調製した。
【0051】
実施例1に記載するように、フィルムの空気透過性を測定した。結果を表4に示す。
【0052】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラテックス組成物とアロイさせたポリウレタン水性分散物を含む配合物であって、アロイしたというのは密接に混合したことを意味し、配合物から作製されたフィルムが25℃において3.5×10−5cmcm/m時間Pa以下の空気透過性を有し、前記空気透過性が
【数1】

で算出され、測定中、50psigの圧力差が維持されることを特徴とする配合物。
【請求項2】
前記ポリウレタン分散物がポリエーテルグリコールから誘導されることを特徴とする請求項1に記載の配合物。
【請求項3】
前記ポリウレタン分散物がポリエステルグリコールから誘導されることを特徴とする請求項1に記載の配合物。
【請求項4】
前記ポリエーテルグリコールが、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレン−ポリテトラメチレンコポリマーグリコール、ポリエチレン−ポリプロピレンコポリマーグリコールから誘導されることを特徴とする請求項2に記載の配合物。
【請求項5】
前記ポリエステルグリコールが、1つまたは複数の二官能性カルボン酸化合物および1つまたは複数の二官能性ヒドロキシル化合物から誘導されることを特徴とする請求項3に記載の配合物。
【請求項6】
前記ポリウレタン分散物がアニオン性基、カチオン性基、またはビニル基を含むことを特徴とする請求項1に記載の配合物。
【請求項7】
前記ラテックス組成物が、ポリイソプレン、ポリブタジエン、およびポリイソプレンとポリブタジエンのブレンドからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の配合物。
【請求項8】
前記ラテックス組成物がポリイソプレンであることを特徴とする請求項7に記載の配合物。
【請求項9】
前記ポリイソプレンが天然または合成であることを特徴とする請求項8に記載の配合物。
【請求項10】
少なくとも10重量%のポリウレタン(乾燥重量基準)を含むことを特徴とする請求項1に記載の配合物。
【請求項11】
少なくとも40重量%のポリウレタン(乾燥重量基準)を含むことを特徴とする請求項1に記載の配合物。
【請求項12】
前記ラテックス組成物がエラストマーポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の配合物。
【請求項13】
前記エラストマーポリマーが、スチレン−ブタジエン、スチレン−イソプレン、およびポリアクリレートからなる群から選択されることを特徴とする請求項12に記載の配合物。
【請求項14】
前記ポリウレタンがポリブチレンアジペートから誘導されることを特徴とする請求項1に記載の配合物。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の配合物から作製されたフィルムを含むことを特徴とする気体含有物品。
【請求項16】
請求項12に記載の配合物から作製されたフィルムを含む気体含有物品であって、この物品が、膨らませることができるボール、およびインナーチューブからなる群から選択されることを特徴とする気体含有物品。
【請求項17】
請求項13に記載の配合物から作製されたフィルムを含む気体含有物品であって、前記インナーチューブが自転車用インナーチューブであることを特徴とする気体含有物品。
【請求項18】
ゴムラテックスとアロイさせたポリウレタン分散物の配合物から作製されたフィルムを含む空気袋を含むサッカーボールであって、前記配合物が、25℃において3.5×10−5cm−cm/m−時間−Pa以下の空気透過性を有し、前記空気透過性が、請求項1に記載の方法に従って測定されることを特徴とするサッカーボール。
【請求項19】
請求項15に記載の配合物から作製されたフィルムを含むサッカーボールであって、ポリウレタン分散物がポリテトラメチレンエーテルグリコールから誘導されることを特徴とするサッカーボール。
【請求項20】
請求項15に記載の配合物から作製されたフィルムを含むサッカーボールであって、前記ポリウレタンが少なくとも10%(乾燥重量基準)の前記配合物を含むことを特徴とするサッカーボール。
【請求項21】
請求項15に記載の配合物から作製されたフィルムを含むサッカーボールであって、前記ポリウレタンが少なくとも40%(乾燥重量基準)の前記配合物を含むことを特徴とするサッカーボール。
【請求項22】
ラテックス組成物とアロイさせたエチレン/テトラヒドロフランコポリマーの水性分散物を含む配合物であって、前記配合物から作製されたフィルムが、25℃において3.5×10−5cm−cm/m−時間−Pa以下の空気透過性を有し、前記空気透過性が請求項1に記載の方法に従って測定されることを特徴とする配合物。
【請求項23】
請求項22に記載の配合物から作製されたフィルムを含むことを特徴とする気体含有物品。
【請求項24】
前記物品が、膨らませることができるボール、およびインナーチューブからなる群から選択されることを特徴とする請求項23に記載の気体含有物品。
【請求項25】
前記インナーチューブが自転車用インナーチューブであることを特徴とする請求項24に記載の気体含有物品。
【請求項26】
ゴムラテックスとアロイさせたエチレン/テトラヒドロフランコポリマーの水性分散物を含む配合物から作製されたフィルムから作製された空気袋を含むサッカーボールであって、前記フィルムが、25℃において3.5×10−5cm−cm/m−時間−Pa以下の空気透過性を有し、前記空気透過性が請求項1に記載の方法に従って測定されることを特徴とするサッカーボール。
【請求項27】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の配合物から作製されたフィルムを含む気体含有物品であって、前記フィルムが、撹拌された溶液に平板を浸漬し、続いて硬化フィルムを浸出し、オーブン中で乾燥させることによって作製されることを特徴とする気体含有物品。
【請求項28】
不飽和部位を含むポリウレタンポリマーを含むことを特徴とするポリウレタン水性分散物(PUD)の組成物。

【公表番号】特表2007−506848(P2007−506848A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−528210(P2006−528210)
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/031375
【国際公開番号】WO2005/030345
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(505245302)インヴィスタ テクノロジー エスアエルエル (81)
【氏名又は名称原語表記】INVISTA Technologies S.a.r.l.
【住所又は居所原語表記】Talstrasse 80,8001 Zurich,Switzerland
【Fターム(参考)】