説明

ポリウレタンウレアに基づく水性分散体の製造方法

【課題】
本発明は、ポリウレタンウレアに基づく水性分散体の製造方法および被覆剤におけるこれらの分散体の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタンウレアに基づく水性分散体の製造方法および被覆剤におけるこれらの分散体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
DE−A19653585には、20〜100℃にて物理乾燥後に、一方では十分に接着し、他方では容易に剥離することができる、紫外線、温度(−30〜80℃)および沈着(有機性または無機性)への耐性を有する高光沢透明ラッカーを与えるポリウレア分散体を記載する。該ラッカー層の引裂強度および伸張は、例えばDE−A19653585に記載の通りかなり高い。しかしながら、生成物のフィルム形成性特性は、不十分であり、場合によっては溶媒の添加により調節しなければならない。
【0003】
DE−A10311420は、ポリエーテル系可剥性ラッカーを記載するが、これは所要の耐光性を有さない。
【0004】
EP−B1072652およびEP−A1132413は、異なったガラス転移温度の2つのポリウレタン分散体を混合するか、またはモノマーをポリウレタン分散体上へ付加的にグラフト化するポリウレタン分散体の費用のかかる製造方法を記載する。
【0005】
特許出願EP−A1338634およびDE−A10311420は、モノアミンの使用を記載するが、この成分を分散体へ組み込む方法も得られる効果も記載しない。被覆物は、溶媒を用いずに室温未満において最適にフィルムを形成することができない。
【0006】
このようなラッカーの使用では、ラッカーにおける使用後に、従来知られている有利な特性、例えば耐光性および耐酸性に加えて、向上した耐水性および剥離性を示す被覆物が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許出願公開第19653585号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第10311420号明細書
【特許文献3】欧州特許第1072652号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第1132413号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第1338634号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第10311420号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、用いた場合、向上した剥離性および耐水性を示すラッカーおよび被覆物を与える新規なポリウレタンアニオン水性分散体の製造方法を提供することであった。
【0009】
従って、本発明の他の目的は、用いた場合、向上した可剥性および耐水性を、他の有利な特性、例えば耐光性、高透明性、高い温度耐性および高い沈着(有機性および無機性)耐性等を損なうことなく示すラッカーおよび被覆物を与える新規なポリウレタンアニオン水性分散体の製造方法を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
意外にも、所望の工業用途特性は、ジアミンおよび単官能性アミンを、ポリウレタン分散体の製造において連続的に添加する場合に得られることを見出した。
【発明を実施するための形態】
【0011】
耐光性被覆剤のための適当な分散体は、固形物が少なくとも部分的に塩形態で反応生成物を含有し、
a)i)20〜60重量%の少なくとも1つのジイソシアネート、
ii)20〜80重量%の、500〜10,000の数平均分子量を有する少なくとも1つのマクロジオール、
iii)2〜12重量%の、少なくとも1つの2,2−ビス(ヒドロキシメチル)アルカンモノカルボン酸、
iv)0〜15重量%の、62〜499の数平均分子量を有する少なくとも1つの短鎖ジオール、および
v)0〜10重量%の、32〜3500の数平均分子量を有する少なくとも1つの一価アルコール
を含む少なくとも1つのNCOプレポリマー、
b)0.1〜15重量%の、60〜300の数平均分子量を有する少なくとも1つのジアミン、
c)0.1〜5重量%の少なくとも1つの単官能性アミン、および
d)0.1〜10重量%の少なくとも1つの中和剤
を含み、成分a)、b)、c)およびd)の量は合計100%となり、成分c)の全量は、成分b)の全量前に添加することを特徴とする、共溶媒をほとんど含まないまたは共溶媒を含まないポリウレタンポリウレアのアニオン水性分散体に基づく。
【0012】
成分c)の全量の添加および成分b)の全量の添加は、好ましくは0〜10時間、特に好ましくは0〜3時間、極めて特に好ましくは0〜1時間の間隔により分ける。
【0013】
プレポリマー段階a)においては、NCO含有量は、好ましくは65〜85%、特に好ましくは70%〜80%の計算値へ調節する。
【0014】
プレポリマーの酸値は、好ましくは5〜35mgKOH/gの範囲、特に好ましくは8〜25mgKOH/gの範囲である。
【0015】
本発明により調製されるポリウレタン分散体は、共溶媒をほとんど含まない。これらは、ポリウレタン分散体の全量を基準として好ましくは0.0〜0.9重量%、特に好ましくは0.0〜0.5重量%、極めて特に好ましくは0.0〜0.4重量%の共溶媒を含有する。
【0016】
本発明による被覆剤は、共溶媒をほとんど含まない。これらは、被覆剤の全量を基準として好ましくは0.0〜0.9重量%、特に好ましくは0.0〜0.5重量%、極めて特に好ましくは0.0〜0.4重量%の共溶媒を含有する。
【0017】
本発明では、共溶媒は、極性有機溶媒、好ましくは7.2〜16.0(cal/cm0.5の範囲のハンセンパラメーターを有する有機溶媒、例えば「Polymers Handbooks」、編集Brandrup,J.、Immergut,E.H.、Grulke,E.A.、第4版、John Wiley、ニューヨーク、1999年、第VII巻/第675頁〜第711頁において公開されている有機溶媒等である。
【0018】
本発明では、好ましい共溶媒は、アセトン、メチルエチルケトン、ブチルジグリコール、ジメチルスルホキシド、N−エチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ブチレングリコールおよびジプロピレングリコールジメチルエーテルを含む群から選択される極性有機溶媒である。
【0019】
成分a)i)として好ましく用いるジイソシアネートは、脂肪族および/または脂環式ジイソシアネート、例えばイソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1−メチル−2,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1−メチル−2,6−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートおよび1,3−シクロヘキサンジイソシアネートを含む群から選択されるジイソシアネートである。成分a)i)は、全ての成分a)、b)、c)およびd)の合計を基準として好ましくは20〜60重量%、特に好ましくは20〜50重量%の量で用いる。
【0020】
芳香族ジイソシアネート、例えば2,4−および2,6−トルエンジイソシアネートまたは2,4’−および4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの少ない割合の併用も可能である。芳香族ジイソシアネートは、成分a)i)の全量を基準として好ましくは0〜10重量%の量で用いる。
【0021】
成分a)ii)として用いるマクロジオールは、500〜10,000の分子量を有するマクロジオールである。これは、好ましくは、ジカルボン酸またはその無水物とジオール、必要に応じて従来使用されるエステル化触媒を用いて、好ましくは溶融縮合または共沸縮合の原理に従って、140〜240℃の温度にて反応させることにより得られるポリエステルジオールである。成分a)ii)は、全ての成分a)、b)、c)およびd)の合計を基準として好ましくは20〜80重量%、特に好ましくは30〜70重量%の量で用いる。
【0022】
適当なジカルボン酸またはその無水物の例は、アジピン酸、コハク酸(無水物)、マレイン酸(無水物)、セバシン酸、アゼライン酸、ダイマー脂肪酸(水素および非水素化形態)、フタル酸(無水物)、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸(無水物)、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸およびヘキサヒドロフタル酸(無水物)である。用いるジオールは、工業的に利用可能なジオール、例えばエチレングリコール、1,2−および1,3−プロパンジオール、1,3−および1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコールまたはこのようなジオールの混合物である。成分a)ii)として好ましいポリエステルジオールは、アジピン酸、ヘキサンジオールおよびネオペンチルグリコールのポリエステルジオールである。
【0023】
成分a)ii)として適当な他の化合物は、ポリカーボネートジオール、ポリカプロラクトンジオール、ヒドロキシポリテトラヒドロフランまたはプロピレンオキシドに基づくヒドロキシポリエーテルである。
【0024】
適当なポリカーボネートジオールは、例えば、カルボン酸誘導体、例えばジフェニルカーボネートまたはホスゲン等とアルコール、好ましくは前記種類のジオールとを反応させることにより得られる。
【0025】
成分a)ii)の平均分子量は、500および10,000の間、好ましくは700および4000の間であり、特に好ましいマクロジオールは、1000および2500g/モルの間の分子量を有するマクロジオールである。
【0026】
出発成分a)iii)は、好ましくは5〜8個の炭素原子を有する2,2−ビス(ヒドロキシメチル)アルカンモノカルボン酸、すなわち一般式(I):
【0027】
【化1】

〔式中、Rは、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基である〕
で示される化合物である。
【0028】
Rは、好ましくは1〜4個の炭素原子を有する非置換アルキル基である。
【0029】
極めて特に好ましくは、成分a)iii)は、2,2−ジメチロールプロピオン酸である。
【0030】
成分a)iii)は、全ての成分a)、b)、c)およびd)の合計を基準として好ましくは2〜12重量%、特に好ましくは2〜8重量%の量で用いる。
【0031】
可能性のある出発成分a)iv)は、62〜499の範囲の分子量を有する短鎖ジオールである。成分a)iv)として特に好ましいのは、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび1,6−ヘキサンジオールを含む群から選択される化合物である。成分a)iv)は、全ての成分a)、b)、c)およびd)の合計を基準に好ましくは0〜15重量%、特に好ましくは0〜10重量%の量で用いる。
【0032】
可能性のある出発成分a)v)は、32〜3500の範囲の分子量を有するアルコールである。メタノール、エタノール、ブタノール、ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、オクタノールおよびドデカノールを含む群から選択されるアルコールを用いることは好ましい。 単官能性ポリエチレングリコールを用いることも好ましい。成分a)v)は、全ての成分a)、b)、c)およびd)の合計を基準として好ましくは0〜15重量%、特に好ましくは0〜10重量%の量で用いる。
【0033】
成分b)として、少なくとも2つのイソシアネート反応性アミノ基を有し、60〜300の範囲の分子量を有する任意の脂肪族および/または脂環式化合物を用いることが可能である。特に好ましくは、成分b)は、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジン、p−キシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンおよび4.4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタンを含む群から選択される。極めて特に好ましくは、成分b)は、エチレンジアミン、イソホロンジアミンおよび4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンを含む群から選択される。成分b)は、全ての成分a)、b)、c)およびd)の合計を基準として好ましくは0.1〜15重量%、特に好ましくは0.5〜10重量%、極めて特に好ましくは0.5〜5重量%の量で用いる。
【0034】
可能性のある成分c)は、単官能性アミン、例えばメチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、n−オクチルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、イソプロピルアミンおよびシクロヘキシルアミンを含む群から選択される第1級アミン、およびジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミンおよびピペラジンを含む群から選択される第2級アミン等である。ジブチルアミンのような第2級アミンを用いることは特に好ましい。当然のことながら、これらの混合物を用いてもよい。成分c)は、全成分a)、b)、c)およびd)の合計を基準として好ましくは0.1〜5重量%、特に好ましくは0.2〜3重量の量で用いる。
【0035】
適当な中和剤d)の例は、アンモニア、N−メチルモルホリン、ジメチルイソプロパノールアミン、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−エチルジイソプロピルアミンおよびこれらの混合物である。成分d)は、好ましくは、全成分a)、b)、c)およびd)の合計を基準として0.1〜10重量%の量で用いる。
【0036】
ある好ましい実施態様では、成分a)i)、ii)およびiii)を、反応器に入れ、無水条件下で、50〜150℃、好ましくは50〜110℃の温度範囲で、5分〜10時間、好ましくは30分〜2時間反応させ、次いでバッチを冷却し、工業等級アセトン、および必要に応じて短鎖ジオール(iv)を添加し、該混合物をNCO含有量が65〜85%の計算値へ低下するまで加熱する。NCOプレポリマーをこのようにして形成する。次いでバッチをより多いアセトンで希釈し、成分b)およびc)の計算量を連続して添加し、添加した第1成分を水に溶解する。次いで混合物を、10分〜10時間、好ましくは30分〜2時間、30℃〜80℃の範囲、好ましくは40℃〜80℃の範囲の温度にて撹拌する。次いで成分e)との反応、水中における分散および減圧下でのアセトンの除去を行う。
【0037】
ポリマー合成反応、すなわち、プレポリマーa)の製造は、好ましくは、触媒を用いずに行うが、イソシアネート化学において既知の触媒(例えばトリエチルアミンのような第3級アミン、錫(II)オクタノエートおよびジブチル錫ジラウレートのような錫化合物、および他の従来使用される触媒)を用いることも可能である。
【0038】
NCOが、例えばIRによる適切な監視後に、もはや検出されなくなった場合には、中和剤、好ましくはアンモニア溶液の計算量を、存在するカルボキシル基の50〜100%を中和剤またはアンモニアにより中和するようにバッチへ添加する。
【0039】
固形分濃度は、水を添加し、次いで用いたアセトンを留去することにより所望の値へ調節する。本発明により得られたポリウレタンポリウレア分散体の固形分は、水中で好ましくは20〜60重量%の範囲、特に好ましくは30〜40重量%の範囲である。
【0040】
本発明により製造されたポリウレタン分散体は、ISO13320−1による動的光散乱法により測定された、好ましくは20〜1000nmの範囲、特に好ましくは50〜500nmの範囲の平均粒径を有する粒子を有する。
【0041】
本発明により製造された貯蔵安定性白色ポリウレタンポリウレア分散体のpH値は、6〜9の範囲である。
【0042】
本発明により製造された分散体は、他のアニオン性または非イオン性分散体、例えばポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリレートおよびコポリマーのプラスチック分散体と配合することができる。
【0043】
混合物のpHの任意の所望の適合は、有機塩基または無機塩基、例えばアンモニア、アルカリ金属カーボネート、アミンまたはアミノアルコール、有機塩基により行うことができるが、有機塩基が好ましい。2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールは極めて特に好ましい。
【0044】
本発明はまた、溶媒を含まない耐光性耐水性高光沢ラッカーおよび被覆物を製造するための被覆剤における、本発明により製造されたポリウレタンポリウレアの使用を提供する。これらのラッカーおよび被覆物は、自動車、鋼、アルミニウムおよび金属製の様々な種類の物品、ガラスおよびプラスチック製の様々な種類の物品、鉱物基材、および煉瓦細工および天然石を保護するために、船舶、橋、飛行機および鉄道線路を腐食から保護するために、および木材および天然物質からできた物品および任意の他の基材を保護するために用いる。被覆剤は、浸漬、ドクター刃被覆、注入、散布、ブラシまたは噴霧により塗布し、次いで120〜150℃にて乾燥する。
【0045】
本発明はまた、再生可能な可剥性ラッカーを製造するための被覆剤における、本発明により製造されたポリウレタンポリウレアの使用を提供する。これらの可剥性ラッカーは、自動車、鉄道線路、船舶、家具、金属物品、鉱物物品、ガラスおよびプラスチック物品および任意の他の基材の一時的な保護のために用いる。被覆剤は、これらの目的のために、浸漬、ドクター刃被覆、注入、散布、噴霧またはブラシにより塗布し、次いで20〜100℃、好ましくは20〜80℃において、熱または赤外光、マイクロ波放射または超音波により乾燥することにより適用する。
【0046】
本発明による被覆物は、一方では基材へ接着するが、他方では容易に剥離することができる、水、引裂、紫外線、温度および沈着(有機性または無機性)に耐性を有する必要に応じて着色された透明被覆物である。
【0047】
ラッカーの処方物は、ラッカー化学に従来使用される補助物質、例えば顔料、光安定剤、沈降防止剤、増粘剤、表面活性化合物、消泡剤等を含んでよい。
【0048】
ラッカーは、ラッカー技術の従来法により、すなわち、浸漬、ドクター刃被覆、注入、散布、噴霧、ブラシまたはロールにより塗布することができる。これらは、自動車、鋼およびアルミニウムプロファイルおよびガラスおよびプラスチックシートまたは物品の一時的な保護のための可剥性ラッカーとして使用する。塗布後、ラッカー部品は、室温において、または100℃までの高温において乾燥する。
【0049】
本発明により製造されたポリウレタンウレア分散体は、30分までの間に、140〜150℃において乾燥させて、基材へ十分に接着する被覆物を形成する。当然のことながら150℃を越える乾燥温度も可能であるが、このような高温の使用は一般に非経済的である。
【実施例】
【0050】
実施例1
1700g/モルの平均分子量および2%のOH含有量を有するアジピン酸、1,6−ヘキサンジオールおよびネオペンチルグリコールのポリエステル170g(0.1モル)を、反応容器中で30分間、120℃および10ミリバールにて撹拌しながら脱水する。ジメチロールプロピオン酸13.4g(0.1モル)およびイソホロンジイソシアネート111g(0.5モル)を、窒素下で導入する。110℃において1時間の反応時間後、バッチを、60℃に冷却し、100gのアセトン中に溶解する。1,4−ブタンジオール18g(0.2モル)を添加し、次いで撹拌を22時間50℃にて継続する。NCO含有量は、1.60%(計算:2.04%)である。500gのアセトンでの希釈後、10.6g(0.062モル)のイソホロンジアミン、1.07g(0.016モル)の25%アンモニア溶液および60gの水の混合物を、NCOプレポリマーへ50℃にて添加する。次いで撹拌を5時間50℃にて継続する。バッチを3.4g(0.05モル)の25%アンモニア溶液で中和し、450gの水で分散する。アセトンを、50℃および150ミリバールまで除去して39.2%の固形分および263nmの平均粒度を有する白色分散体を与える。
中和度は50%である。
【0051】
実施例2
1700g/モルの平均分子量および2%のOH含有量を有するアジピン酸、1,6−ヘキサンジオールおよびネオペンチルグリコールのポリエステル170g(0.1モル)を、反応容器中で30分間、120℃および10ミリバールにて撹拌しながら脱水する。ジメチロールプロピオン酸13.4g(0.1モル)およびイソホロンジイソシアネート111g(0.5モル)を、窒素下で導入する。110℃において1時間の反応時間後、バッチを、60℃に冷却し、100gのアセトン中に溶解する。1,4−ブタンジオール18g(0.2モル)を添加し、次いで撹拌を22時間50℃にて継続する。NCO含有量は、1.60%(計算:2.04%)である。500gのアセトンでの希釈後、まず60gの水中における10.6g(0.062モル)のイソホロンジアミン、次いで2.1g(0.016モル)のジブチルアミンを、NCOプレポリマーへ50℃にて添加する。次いで撹拌を5時間50℃にて継続する。バッチを7.2g(0.063モル)の15%アンモニア溶液で中和し、450gの水で分散する。アセトンを、50℃および150ミリバールまで除去して39%の固形分および185nmの平均粒度を有する白色分散体を与える。
中和度は63%である。
【0052】
実施例3
1700g/モルの平均分子量および2%のOH含有量を有するアジピン酸、1,6−ヘキサンジオールおよびネオペンチルグリコールのポリエステル170g(0.1モル)を、反応容器中で30分間、120℃および10ミリバールにて撹拌しながら脱水する。ジメチロールプロピオン酸10.5g(0.078モル)およびイソホロンジイソシアネート111g(0.5モル)を、窒素下で導入する。110℃において1時間の反応時間後、バッチを、60℃に冷却し、100gのアセトン中に溶解する。1,4−ブタンジオール19.8g(0.22モル)を添加し、次いで撹拌を22時間50℃にて継続する。NCO含有量は、1.60%(計算:2.06%)である。600gのアセトンでの希釈後、まず60gの水中における9.5g(0.056モル)のイソホロンジアミン、次いで2.22g(0.017モル)のジブチルアミンを、NCOプレポリマーへ50℃にて添加する。次いで撹拌を5時間50℃にて継続する。バッチを7.2g(0.063モル)の15%アンモニア溶液で中和し、463gの水で分散する。アセトンを、50℃および150ミリバールまで除去して38%の固形分および218nmの平均粒度を有する白色分散体を与える。
中和度は81%である。
【0053】
実施例4
1700g/モルの平均分子量および2%のOH含有量を有するアジピン酸、1,6−ヘキサンジオールおよびネオペンチルグリコールのポリエステル170g(0.1モル)を、反応容器中で30分間、120℃および10ミリバールにて撹拌しながら脱水する。ジメチロールプロピオン酸10.5g(0.078モル)およびイソホロンジイソシアネート111g(0.5モル)を、窒素下で導入する。110℃において1時間の反応時間後、バッチを、60℃に冷却し、100gのアセトン中に溶解する。1,4−ブタンジオール19.8g(0.22モル)を添加し、次いで撹拌を22時間50℃にて継続する。NCO含有量は、1.60%(計算:2.06%)である。600gのアセトンでの希釈後、2.22g(0.017モル)のジブチルアミンおよび9.5g(0.056モル)のイソホロンジアミンの混合物、および最後に60gの水を、NCOプレポリマーへ50℃にて添加する。次いで撹拌を5時間50℃にて継続する。バッチを7.2g(0.063モル)の15%アンモニア溶液で中和し、463gの水で分散する。アセトンを、50℃および150ミリバールまで除去して貯蔵について安定性ではない白色分散体を与える。粒度は、>3000nmである。
中和度は81%である。
【0054】
フィルムの耐水性の試験
チャンバードクター刃(150μm)を用いて、フィルムを、共溶媒を用いずにいずれの分散体からも延展し、水浴中で24時間貯蔵した。次いで定性的評価は、可剥性およびフィルムのヘイズから構成した。
【0055】
【表1】

【0056】
比較例1は、容易に剥離することができるポリウレタン分散体を記載するが、フィルムは基材からあまりに容易に分離する。これは、例えば車両を雨の中で輸送し、フィルムが車両から気流により除去される場合、望ましくない。
【0057】
一方、本発明による実施例2および3は、容易に剥離することができ、所望通り、水処理後でさえ基材からこすり取ることができないフィルムを記載する。
【0058】
比較例4は、塗布することができないポリウレタン分散体を記載する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタンウレアを含有する水性分散体の製造方法であって、該ポリウレタンウレアは、
a)i)20〜60重量%の少なくとも1つのジイソシアネート、
ii)20〜80重量%の、500〜10,000の数平均分子量を有する少なくとも1つのマクロジオール、
iii)2〜12重量%の、少なくとも1つの2,2−ビス(ヒドロキシメチル)アルカンモノカルボン酸、
iv)0〜15重量%の、62〜499の数平均分子量を有する少なくとも1つの短鎖ジオール、および
v)0〜10重量%の、32〜3500の数平均分子量を有する少なくとも1つの一価アルコール
を含む、少なくとも1つのNCOプレポリマー、
b)0.1〜15重量%の、60〜300の数平均分子量を有する少なくとも1つのジアミン、
c)0.1〜5重量%の少なくとも1つの単官能性アミン、および
d)0.1〜10重量%の少なくとも1つの中和剤
を含み、成分a)、b)、c)およびd)の量は合計100%となり、成分c)の全量は、成分b)の全量前に添加することを特徴とする、方法。
【請求項2】
成分c)の全量の添加および成分b)の全量の添加を、0〜10時間の間隔により分ける、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
成分c)は、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミンおよびピペラジンを含む群から選択される第2級アミンである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
成分b)は、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジン、p−キシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンおよび4.4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタンを含む群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の方法により得られる水性分散体。
【請求項6】
請求項5に記載の水性分散体を含有する、または請求項1〜4のいずれかに記載の方法により得られる被覆剤。
【請求項7】
請求項6に記載の被覆剤の、ラッカーおよび被覆物としての使用。
【請求項8】
請求項7に記載の被覆剤の、自動車、鋼、アルミニウムおよび金属製の様々な種類の物品、ガラスおよびプラスチック製の様々な種類の物品、鉱物基材および煉瓦または天然石を保護するために、船舶、橋、飛行機および鉄道線路を腐食から保護するために、および木材および天然物質からできた物品を保護するための使用。

【公表番号】特表2013−518136(P2013−518136A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549345(P2012−549345)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【国際出願番号】PCT/EP2011/050684
【国際公開番号】WO2011/089153
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(512137348)バイエル・インテレクチュアル・プロパティ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (91)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Intellectual Property GmbH
【Fターム(参考)】