説明

ポリウレタンエラストマー組成物及び防振材

【課題】 本発明の目的は、MDI系NCO基末端ウレタンプレポリマーを用いたポリウレタンエラストマーにおける耐摩耗性と耐加水分解性をそのポリオールにより改善することにある。
【解決手段】 ポリイソシアネート(A−1)とポリオール(A−2)とから得られるイソシアネート基末端プレポリマー(A)と、活性水素含有化合物を含む硬化剤(B)とからなるポリウレタンエラストマー組成物において、前記ポリイソシアネート(A−1)が4、4’−ジフェニルメタンジイソシアネートであり、前記ポリオール(A−2)が二塩基酸成分中にセバシン酸を50モル%以上使用するポリエステルポリオール(A−2−1)を含有することを特徴とするポリウレタンエラストマー組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐摩耗性、耐加水分解性に優れた硬化物を得られるポリウレタンエラストマー組成物及びそれを用いた防振材に関する。
【背景技術】
【0002】
発泡ポリウレタンエラストマーは、その優れた屈曲疲労特性や機械的強度から自動車のサスペンション用防振材の補助スプリングや緩衝材、鉄道用レール軌道における防振パッド、さらには電気・電子用途のハードディスクの軸受け部防振材等に使用されている。
【0003】
この優れた性能を有する発泡ポリウレタンエラストマーにおいて、例えば1,5−ナフタレンジイソシアネート(以下NDIと略記)や3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート(以下TODIと略記)と、アジピン酸系ポリエステルポリオールを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマーと水、触媒及びシリコーン系整泡剤からなる発泡剤を混合し発泡・硬化させ製造されるものは、圧縮永久歪や高荷重を繰り返し受けた時のヘタリが小さく、充分な耐久性を有する等卓越した性能を持つため自動車のサスペンション用防振材の補助スプリングや緩衝材として多く使用されている。
【0004】
しかしながら、上記のNDIやTODIを用いたものは、プレポリマーのポットライフが短いこと、経時増粘が大きく貯蔵安定性が悪いため、その都度プレポリマーを調製しなければならないという欠点があり、さらに、NDIやTODIが非常に高価であるという欠点も実用化の際たえず問題として挙げられている。
【0005】
そこで、アジピン酸系ポリエステルポリオールに代えてトリオール化合物と平均官能基数2.1〜2.5の特定構造のポリエーテルエステルポリオールと、イソシアネートを安価な4、4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下MDIと略記)に代えたもの(特許文献1)が知られているが、貯蔵安定性に優れ、作業性の良いものが得られるものの、従来NDIやTODIを使用した時に比べ摺動部の耐摩耗性の点で劣り、耐加水分解性に劣るため使用環境中における水分による劣化が早いという欠点がある。
【0006】
そこで、MDIを使用した場合に生じるこの欠点を解消できる発泡ポリウレタンエラストマーを得るための研究が進められているが実用には至っていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−38432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、MDI系NCO基末端ウレタンプレポリマーを用いたポリウレタンエラストマーにおける耐摩耗性と耐加水分解性をそのポリオールにより改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、耐摩耗性と耐加水分解性の改善されたポリウレタンエラストマーを得るため、そのポリオールについて鋭意研究の結果、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、イソシアネート(A−1)とポリオール(A−2)とから得られるイソシアネート基末端プレポリマー(A)と、活性水素含有化合物を含む硬化剤(B)とからなるポリウレタンエラストマー組成物において、前記イソシアネート(A−1)が4、4’−ジフェニルメタンジイソシアネートであり、前記ポリオール(A−2)が二塩基酸成分としてセバシン酸を50モル%以上使用するポリエステルポリオール(A−2−1)を含有することを特徴とするポリウレタンエラストマー組成物、及びそれを用いた防振材を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、MDI系NCO基末端ウレタンプレポリマーを用いたポリウレタンエラストマーにおいて、ポリオール(A−2)として、二塩基酸成分としてセバシン酸を50モル%以上使用するポリエステルポリオール(A−2−1)を含有することにより耐摩耗性と耐加水分解性とに優れたポリウレタンエラストマーの得られる組成物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
前記ポリイソシアネート(A−1)は、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを使用するが、これ以外のジイソシアネートを本発明の効果を損なわない範囲、好ましくは50重量%未満併用してもよく、その例としては、芳香族、脂環族、脂肪族のいずれでもよいが、例えば、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートの混合物、キシレン−1,4−ジイソシアネート、キシレン−1,3−ジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添化トリレンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート等を挙げることができるが、これらに限るものではない。
【0013】
前記ポリオール(A−2)は、二塩基酸成分としてセバシン酸を50モル%以上使用するポリエステルポリオール(A−2−1)を含有するもので、好ましくは酸価2以下で、好ましくは水酸基価25〜75、より好ましくは45〜60のものである。
【0014】
前記ポリエステルポリオール(A−2−1)は、二塩基酸成分としてセバシン酸を50モル%以上、好ましくは50〜100モル%使用するものである。そのポリスチレン換算のGPCによる数平均分子量としては、好ましくは1500〜4000である。
【0015】
前記グリコールとは、好ましくは炭素数2〜18の脂肪族の短鎖ジオールであり、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、2−メチル1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等が挙げられ、これらの単独または2種以上で用いることができる。好ましくは側鎖含有ジオールをグリコール成分中20モル%以上含有するものである。側鎖含有ジオールとは、好ましくは1,2−プロピレングリコール、2−メチル1,3−プロパンジオール、3−メチル1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル1,8−オクタンジオールが挙げられる。
【0016】
前記二塩基酸としては、セバシン酸を50モル%以上、好ましくは50〜100モル%用いるが、50モル%未満併用できる二塩基酸としては、好ましくは脂肪族二塩基酸であり、例えば、コハク酸、グルタール酸、アジピン酸、ピメリン酸、シュベリン酸、アゼライン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸等が挙げられ、これらの単独または2種以上で用いることができる。
【0017】
前記ポリエステルポリオールの製造法としては、特に限定されるものではないが、例えば、セバシン酸を含む前記二塩基酸成分と前記グリコール成分とを通常用いられるエステル化触媒の存在下で脱水縮合反応して製造する方法等が好ましく挙げられる。
【0018】
前記ポリエステルポリオール(A−2−1)は、好ましくはポリオール成分(A−2)中に20〜100重量%、より好ましくは50〜100重量%含まれるものである。このポリエステルポリオール(A−2−1)が、20重量%未満では耐擦傷性、耐加水分解性が悪くなり、耐久性に劣るものとなる。
【0019】
前記ポリエステルポリオール(A−2−1)と併用できるその他のポリオールとしては、アジピン酸等の二塩基酸の酸成分と前記短鎖ポリオール成分とから構成される通常のポリエステルポリオールや、短鎖グリコールを反応開始剤としてラクトン類を開環重合させることによって得られるポリエステルポリオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテルポリオール等が挙げられる。もちろん、これらの併用するポリオールは平均官能基数が2.0を越えるものであっても差し支えなく、その効果を損なわない範囲で使用できる。
【0020】
前記ポリエステルポリオール(A−2−1)を含むポリオール(A−2)とポリイソシアネート(A−1)とから末端イソシアネート基末端プレポリマー(A)を得る手段としては、従来の公知の製造方法が使用できる。使用するポリイソシアネート(A−1)とポリエステルポリオール(A−2−1)との(A−1)/(A−2)の当量比率は、好ましくはNCO/OH=1.6〜5.0である。NCO/OHの比率が、1.6より小さくなると、イソシアネート基末端プレポリマー(A)の粘度が増大し、作業性が低下し、NCO/OHの比率が5.0を越えると、得られるポリウレタンエラストマーの弾性が損なわれ、実用性に耐えないものとなる。
【0021】
本発明では、必要によりプレポリマー化の際、反応性調整剤や酸化防止剤等の安定剤、添加剤を添加してもさしつかえない。
【0022】
前記イソシアネート基末端プレポリマー(A)のイソシアネート基と活性水素含有化合物を含む硬化剤(B)中の水酸基等活性水素との当量比は、好ましくはNCO/OH=1.0/0.9〜1.0/1.1の範囲に調製する必要がある。上記の範囲を逸脱すると、得られる発泡ポリウレタンエラストマーの物性及び耐久性が低下する。上記活性水素含有化合物を含む硬化剤(B)に含まれる水の量は特に限定されないが、イソシアネート基末端プレポリマー(A)と活性水素含有化合物を含む硬化剤(B)との使用割合が、好ましくは重量比で100:1〜50の範囲になるように調製して使用される。
【0023】
前記硬化剤(B)に含まれる活性水素含有化合物とは、好ましくは炭素数2〜18の脂肪族の短鎖ジオールであり、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、2−メチル1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等が挙げられる。硬化剤(B)には、必要により水、触媒、整泡剤を含むこともできる。使用される水とは、好ましくは純水、イオン交換水である。また、触媒とは、発泡・硬化を促進するものであれば公知の有機金属化合物、アミン類が使用でき、好ましくはアミン類である。これらには、例えばトリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の第三級アミン、モルホリン、N−メチルモルホリン等の窒素化合物、酢酸カリウム、ステアリン酸亜鉛等の金属塩、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド等の有機金属化合物等が具体的に挙げられる。更に、整泡剤とは、好ましくはシリコーン系界面活性剤であり、公知のもの、例えばSH−193、SF−2962(東レダウコーニングシリコーン社)等が使用できる。
【0024】
また、目的とする物性を得るため必要に応じ鎖延長剤をポリオール成分と同時にまたは段階的に、プレポリマー調整時もしくはエラストマー生成時に添加する事もできる。前記鎖延長剤としては、例えば1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、ジエタノールアミン等の脂肪族短鎖ジオール、ハイドロキノンビスヒドロキシエチルエーテル等の芳香族ジオール、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ジアミン、ビスフェノールA、ビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0025】
又、前記活性水素含有化合物を含む硬化剤(B)としては、市販されているようなリシノール酸等の脂肪酸を硫酸ソーダで変性したものを含む水溶液も使用することができる。このような発泡剤としては、アジティSV(住友バイエルウレタン株式会社製)等がある。
【0026】
前記活性水素含有化合物を含む硬化剤(B)は、水、整泡剤及び触媒の他に、必要に応じ助剤を添加することも可能である。このような助剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤及び難燃剤等が挙げられる。これら助剤は公知のものが使用できる。
【0027】
前記活性水素含有化合物を含む硬化剤(B)と前述のイソシアネート基末端プレポリマー(A)とを混合撹拌して金型内に注入成形する操作方法については、公知の技術で充分可能である。本発明のポリウレタンエラストマー組成物を用いる成形品の製造方法としては、(A)成分と(B)成分とを好ましくは50〜100℃で加温して混合し、好ましくは50〜100℃に加温された成形用型に注入、硬化、加温熟成することによって成形品とされる。
【0028】
本発明において発泡ポリウレタンエラストマーとするには、好ましくは得られる密度を0.3〜0.7g/cmとするものであり、ポリウレタンエラストマー中で独立気泡と連続気泡とを形成しているものを含むことを意味するものである。
【0029】
本発明の防振材とは、自動車、車両、土木建築物、電機電子製品、機械装置等の振動防止をするために使用される材料である。例えば、自動車のサスペンション用防振材、補助ゴムなどに使用される。
【実施例】
【0030】
次に、実施例及び比較例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例及び比較例の部は、特記しないかぎり重量部を表す。
【0031】
〔ポリエステルポリオール(PES1−6)の合成〕
〔合成例1〕PES1
5リットル4つ口フラスコに、1,4−ブタンジオール1290部、1,2−プロピレングリコール460部、セバシン酸3650部、テトラブチルチタネート0.06部を仕込み、窒素気流下、220℃で24時間反応させた。反応後、得られたポリエステルポリオール(PES1)は、酸価が0.18、水酸基価が56.3であった。
【0032】
〔合成例2〕PES2
5リットル4つ口フラスコに、エチレングリコール950部、1,2−プロピレングリコール500部、セバシン酸3950部、テトラブチルチタネート0.06部を仕込み、窒素気流下、220℃で24時間反応させた。反応後、得られたポリエステルポリオール(PES2)は、酸価が0.12、水酸基価が54.2であった。
【0033】
〔合成例3〕PES3
5リットル4つ口フラスコに、3−メチルペンタンジオール2200部、セバシン酸3200部、テトラブチルチタネート0.06部を仕込み、窒素気流下、220℃で24時間反応させた。反応後、得られたポリエステルポリオール(PES3)は、酸価が0.11、水酸基価が55.4であった。
【0034】
〔合成例4〕PES4
5リットル4つ口フラスコに、1,6−ヘキサンジオール1580部、1,2−プロピレングリコール440部、セバシン酸3380部、テトラブチルチタネート0.06部を仕込み、窒素気流下、220℃で24時間反応させた。反応後、得られたポリエステルポリオール(PES4)は、酸価が0.16、水酸基価が54.8であった。
〔合成例5〕PES5
5リットル4つ口フラスコに、エチレングリコール400部、1,2−プロピレングリコール1140部、セバシン酸3860部、テトラブチルチタネート0.06部を仕込み、窒素気流下、220℃で24時間反応させた。反応後、得られたポリエステルポリオール(PES5)は、酸価が0.56、水酸基価が52.8であった
〔合成例6〕PES6
5リットル4つ口フラスコに、1,6−ヘキサンジオール1630部、1,2−プロピレングリコール450部、アジピン酸510部、セバシン酸2810部、テトラブチルチタネート0.06部を仕込み、窒素気流下、220℃で24時間反応させた。反応後、得られたポリエステルポリオール(PES6)は、酸価が0.24、水酸基価が53.2であった
【0035】
<ポリウレタンプレポリマー(U1〜6)の合成>
〔合成例7〜12〕U1〜6
2リットル4つ口フラスコに合成例1〜4に示したポリエステルポリオールPES1〜4と4,4’―ジフェニルメタンジイソシアネートを最終NCO当量が550となるように合計300部仕込み、窒素気流下80℃で10時間反応させた。得られたポリウレタンプレポリマーをU1〜6とする。
【0036】
実施例1−6[ウレタンエラストマー成型物の成形]
合成例7で得たポリウレタンプレポリマーU1〜6を80℃に加温し、1,4−ブタンジオールを硬化剤としてNCO/OH=1.05となるように加えたものを攪拌混合・真空脱泡したのちに、110℃に保温した型に流し込み、110℃×1時間で1次硬化、110℃×14時間で2次硬化させ、ウレタンエラストマー成型物を得た。
【0037】
(評価方法)
1)耐磨耗性
得られたウレタンエラストマー成形物を荷重1kg、1000回転でテーパー磨耗試験装置(東洋精機製作所社製ロータリーアブレージョンテスタ)に掛け、磨耗量をmg単位の数値で示した。
2)耐加水分解性
70℃の温水に7日間浸漬試験を行い、硬度、抗張力、伸び、及び引っ張り強度をJIS K7312に従って、浸漬前と浸漬後で測定を行った。浸漬前の値を100として浸漬後の値を相対値で表した。
【0038】
【表1】

【0039】
【表2】

【0040】
〔ポリエステルポリオールの比較合成例〕
〔比較合成例1〕PES7
セバシン酸をアジピン酸に変えた以外は合成例1と同じモル比、条件で反応を行った。得られたポリエステルポリオール(PES7)は、酸価が0.15、水酸基価が53.8であった。
【0041】
〔比較合成例2〕PES8
セバシン酸をアジピン酸に代えた以外は合成例2と同じモル比、反応条件で行った。得られたポリエステルポリオール(PES8)は、酸価が0.23、水酸基価が55.4であった。
【0042】
〔ポリウレタンプレポリマーの合成〕
〔比較合成例3〜4〕U7〜8
2リットル4つ口フラスコに合成比較例1〜2のポリエステルポリオールPES7〜8と4,4’―ジフェニルメタンジイソシアネートを最終NCO当量が550となるように合計300部仕込み、窒素気流下80℃で10時間反応させた。得られたポリウレタンプレポリマーをU7〜8とする。
【0043】
比較例1−2[ウレタンエラストマー成型物の成形]
合成例5で得たU1〜6を80℃に加温し、1,4−ブタンジオールを硬化剤としてNCO/OH=1.05となるように加えたものを攪拌混合・真空脱泡したのちに、110℃に保温した型に流し込み、110℃×1時間で1次硬化、110℃×14時間で2次硬化させ、ウレタンエラストマー成型物を得た。
【0044】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイソシアネート(A−1)とポリオール(A−2)とから得られるイソシアネート基末端プレポリマー(A)と、活性水素含有化合物を含む硬化剤(B)とからなるポリウレタンエラストマー組成物において、前記ポリイソシアネート(A−1)が4、4’−ジフェニルメタンジイソシアネートであり、前記ポリオール(A−2)が二塩基酸成分中にセバシン酸を50モル%以上使用するポリエステルポリオール(A−2−1)を含有することを特徴とするポリウレタンエラストマー組成物。
【請求項2】
前記ポリオール(A−2)が、前記ポリエステルポリオール(A−2−1)を20〜100モル%含有することを特徴とする前記請求項1記載のポリウレタンエラストマー組成物。
【請求項3】
前記ポリエステルポリオール(A−2−1)を構成する二塩基酸成分が、セバシン酸50〜100モル%含むものであることを特徴とする前記請求項1記載のポリウレタンエラストマー組成物。
【請求項4】
前記ポリエステルポリオール(A−2−1)を構成するグリコール成分が、側鎖含有ポリオールを含むものであることを特徴とする請求項1記載のポリウレタンエラストマー組成物。
【請求項5】
前記ポリエステルポリオール(A−2−1)を構成するグリコール成分中の側鎖含有ポリオールが、20モル%以上であることを特徴とする請求項1記載のポリウレタンエラストマー組成物。
【請求項6】
前記プレポリマー(A)の(A−1)/(A−2)=NCO/OH(当量比)が、1.6/1〜5.0/1であることを特徴とする請求項1記載のポリウレタンエラストマー組成物。
【請求項7】
請求項1記載のポリウレタンエラストマー組成物を用いて得られることを特徴とする防振材。

【公開番号】特開2012−17435(P2012−17435A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−156692(P2010−156692)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】