説明

ポリウレタンゲル及び電極用パッド

【課題】改善された強度を有するポリウレタンゲルを提供することを課題とする。
【解決手段】親水性ポリウレタンプレポリマーと水を含む混合物をゲル化して得られるポリウレタンゲルであり、前記親水性ポリウレタンプレポリマーが、ポリイソシアネート成分とポリオール成分を含み、前記ポリオール成分が、オキシエチレン基を含むポリオキシアルキレン鎖を少なくとも1種類有し、前記オキシエチレン基が、前記ポリオキシアルキレン鎖の全分子量の50〜95重量%の割合を占め、前記ポリイソシアネート成分が、前記親水性ポリウレタンプレポリマー中に、前記ポリイソシアネート成分と前記ポリオール成分の合計量に対して、15〜25重量%含まれることを特徴とするポリウレタンゲルにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタンゲル及び電極用パッドに関する。更に詳しくは、本発明は、改善された強度を有するポリウレタンゲル及び電極用パッドに関する。本発明の電極用パッドは、心電計、脳波計、筋電計等の記録装置に人体表面からの電気信号を伝えたり、又は低周波電極のように装置から電気信号を人体表面に伝えたりする時に装置の金属電極面と人体皮膚面との間に介在させてそれらの間の機械的ならびに電気的接続状態を良好に保つための電極用パッド、特に吸引式電極に好適な電極用パッドに好適に使用できる。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電極用パッドにはゲル状のポリウレタン(ポリウレタンゲル)を使用する親水性ゲル成形品を使用するものが増えてきた。しかし、使用中、十分な強度を有し、水分の保持性が高く導電性を維持し、かつポリウレタンゲルの柔軟性を保持する親水性ゲル成形品が少なく、使用途中で取り替えねばならないという課題があった。
上記課題を解決しうる電極用パッドが特開2004−43577号公報(特許文献1)で報告されている。上記公報では、電極用パッドに特定の可塑剤を使用することによって、優れた性能の電極用パッドが得られると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−43577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記公報に記載の電極用パッドは、水分保持性が高く、導電性に優れ、ポリウレタンゲルの柔軟性も優れていた。しかし、繰り返し使用中の劣化や保管中の劣化による断裂を防ぐために、ポリウレタンゲル及び電極用パッドの更なる強度の向上が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かくして本発明によれば、親水性ポリウレタンプレポリマーと水を含む混合物をゲル化して得られるポリウレタンゲルであり、
前記親水性ポリウレタンプレポリマーが、ポリイソシアネート成分とポリオール成分を含み、
前記ポリオール成分が、オキシエチレン基を含むポリオキシアルキレン鎖を少なくとも1種類有し、
前記オキシエチレン基が、前記ポリオキシアルキレン鎖の全分子量の50〜95重量%の割合を占め、
前記ポリイソシアネート成分が、前記親水性ポリウレタンプレポリマー中に、前記ポリイソシアネート成分と前記ポリオール成分の合計量に対して、15〜25重量%含まれることを特徴とするポリウレタンゲルが提供される。
更に、本発明によれば、上記ポリウレタンゲルと、電解質水溶液とを含む電極用パッドが提供される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、水分保持性が高く、柔軟性に優れ、かつ強度が改善されたポリウレタンゲル、及びこのポリウレタンゲルを含む電極用パッドを提供できる。
また、混合物が、更に可塑剤を含み、
可塑剤が、ポリオキシプロピル化グリセリン、ポリオキシプロピル化ソルビトール、オキシエチレン基とオキシプロピレン基を含みそのうちオキシプロピレン基が全分子量の60〜90重量%を占めるポリアルキレングリコール、オキシエチレン基とオキシプロピレン基を含みそのうちオキシプロピレン基がポリオキシアルキレン鎖の全分子量の30〜90重量%を占めるポリアルキレングリコールのモノエーテル、及びグリコールジエーテル類からなる群から選択される場合、水分保持性が高く、かつ強度が改善され、更に柔軟性に優れたポリウレタンゲルを提供できる。
【0007】
更に、混合物が、界面活性剤として、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーを更に含有する場合、水分保持性がより高く、柔軟性に優れ、かつ強度が改善されたポリウレタンゲルを提供できる。
また、電極用パッドが、親水性ポリウレタンプレポリマーと電解質水溶液とを含む混合物をゲル化して得られる場合、水分保持性がより高く、導電性及び柔軟性に優れ、かつ強度が改善された電極パッドを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のポリウレタンゲルは、親水性ポリウレタンプレポリマーと水を含む混合物をゲル化することにより得られる。ここで、親水性ポリウレタンプレポリマーは、ポリイソシアネート成分とポリオール成分を含んでいる。ポリウレタンゲルは、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とがウレタン反応することにより形成できる。
(親水性ポリウレタンプレポリマー)
(1)ポリイソシアネート成分
ポリイソシアネート成分としては、公知のポリイソシアネートに由来する成分を用いることができる。ポリイソシアネートとしては、メチレンジフェニルジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。これらポリイソシアネートは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0009】
(2)ポリオール成分
ポリオール成分は、オキシエチレン基を含むポリオキシアルキレン鎖を少なくとも1種類有している。ポリオキシアルキレン鎖には、オキシエチレン基以外に、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等が含まれる。ポリオキシアルキレン鎖は、分子量500〜3000のものが好適に用いられる。ポリオキシアルキレン鎖は、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等の少なくとも1種以上の単量体を重合させて得ることができる。また、ポリオキシアルキレン鎖には、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール等の他のポリオールに由来する単位を一部含んでいてもよい。またポリオキシアルキレン鎖として共重合体を使用する場合、共重合体の構成はランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。
【0010】
ここで、オキシエチレン基は、ポリオキシアルキレン鎖の全分子量の50〜95重量%の割合を占めている。50重量%未満の場合は、水への分散性が悪くなり、成型されるゲルが離水することがある。95重量%より多い場合は、ゲルが柔らかくなり、強度が不充分となることがある。より好ましいオキシエチレン基の占有割合は、60〜80重量%である。
【0011】
(3)ポリイソシアネート成分とポリオール成分との割合
ポリイソシアネート成分は、親水性ポリウレタンプレポリマー中に、ポリイソシアネート成分と前記ポリオール成分の合計量に対して、15〜25重量%含まれている。ポリイソシアネート成分の含有量が15重量%未満の場合、ゲル化が不十分となり、ゲルの保形性が悪くなることで強度が低下することがある。25重量%より多い場合は、強度が低下すること(特に、経時により強度が低下すること)がある。ここで、ポリイソシアネート成分の含有量を増やすことにより、単純に強度が上がることはない。この理由は、含有量を増やすと、ポリイソシアネート成分とポリオール成分との架橋点間の分子量が減少し、その結果、強度が低下するからであると考えられる。より好ましいポリイソシアネート成分の含有量は、17〜23重量%である。
【0012】
(水)
水の含有量は、ポリウレタンゲルと水との合計に対して、20〜95重量%であることが好ましい。水の含有量が20重量%未満である場合、生成したゲルが硬くなりすぎ被着体に適合できないことがある。95重量%を超える場合、十分な強度を有するゲルが生成しないことがある。より好ましい含有量は、50〜80重量%である。
また、ポリイソシアネート成分と水とは、混合物中に、0.04:1〜0.08:1の割合で含まれていることが好ましい。この割合で水が含まれていることで、改善された外観のポリウレタンゲルが得られる。ポリイソシアネート成分の割合が0.04より少ない場合、強度が低下するだけでなく、ゲルが十分に固まらず成形が困難となることがある。0.08より多い場合、ゲル化時の発泡が激しく、ゲルの外観が悪くなることがある。より好ましい割合は0.05:1〜0.075:1である。
【0013】
(他の成分)
(i)混合物は、更に可塑剤を含んでいてもよい。
可塑剤は、親水性ポリウレタンプレポリマーと水との間の良好な親和性を保つ役割を有する。可塑剤を含むことで、ゲル形成時に水分が分離せず所望の形状を保ち、使用中の水分保持性がよく、乾燥した場合もゲルの柔軟性を確保できる。
【0014】
可塑剤としては、特に限定されないが、主骨格にポリオキシアルキレン鎖を有し、そのポリオキシアルキレン鎖は主にオキシエチレン、オキシプロピレンからなるポリアルキレングリコール型油剤で、トリオール、ジオール、モノオール、及び他のポリオール、並びに水酸基を含まないタイプが挙げられる。例えば、
・ポリオキシプロピル化グリセリン(平均分子量は200〜5000が好適)、
・ポリオキシプロピル化ソルビトール(平均分子量は300〜5000が好適)、
・2種以上のオキシアルキレン鎖を含有する可塑剤
(a)オキシエチレン基とオキシプロピレン基を含み、そのうちオキシプロピレン基が全分子量の60〜90重量%を占めるポリアルキレングリコール(平均分子量は200〜6000が好適)、
(b)オキシエチレン基とオキシプロピレン基を含み、そのうちオキシプロピレン基がポリオキシアルキレン鎖の全分子量の30〜90重量%を占めるポリアルキレングリコールのモノエーテル(平均分子量は200〜4000が好適)、及び
・グリコールジエーテル類が挙げられる。
【0015】
2種以上のオキシアルキレン鎖を含有する可塑剤は、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。可塑剤(b)に含まれるポリアルキレングリコールのモノエーテルの一方の水酸基は、例えば、アルキル基とエーテル結合している。
グリコールジエーテル類の具体例としては、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル等を挙げることができる。
【0016】
可塑剤の混合物中の含有量は5〜30重量%が好ましい。可塑剤の含有量が5重量%未満の場合は、乾燥時の柔軟性が小さく、ポリウレタンゲルの被着体に十分適合しないことがある。また、30重量%を超える場合は、ポリウレタンゲルが柔らかくなりすぎ、形状を保持できないことがある。より好ましい含有量は10〜20重量%である。
【0017】
(ii)混合物は、界面活性剤を更に含有していてもよい。界面活性剤には、ポリウレタンプレポリマーと水との相溶性を増大する作用を有し、ゲル化後の離水防止、電解質溶液の安定化、生成したゲルの自着防止等に効果がある。
界面活性剤の具体例として、オキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレン硬化ひまし油等を挙げることができるが、特に好適なものとしてポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(平均分子量は約1000〜8000が好適)が挙げられる。
【0018】
(iii)混合物は、鎖延長剤を更に含有していてもよい。鎖延長剤としては、公知の材料を用いることができる。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等のジオール類、エチレンジアミン、トルエンジアミン、イソホロンジアミン等のジアミン類が挙げられる。
(iv)混合物には、その他の添加剤としてウレタンプレポリマーの反応促進剤としてのトリエタノールアミン等のアミン類、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム等、p−トルエンスルホン酸のような酸性物質の反応抑制剤、アエロジルのようなゲル補強用充填材、アミカルのような防黴剤、着色剤等を添加できる。
【0019】
(5)ゲル化
親水性ポリウレタンプレポリマーを含む混合物は、ゲル化することでポリウレタンゲルとなる。
混合物中の親水性ポリウレタンプレポリマーの含有量は5〜30重量%であることが好ましい。親水性ポリウレタンプレポリマーの含有量が5重量%未満である場合は、十分な強度を有するゲルが生成しないことがある。また、30重量%を超える場合は、ゲルが硬くなりすぎ被着体に適合できないことがある。より好ましい含有量は10〜20重量%である。
【0020】
ゲル化は、親水性ポリウレタンプレポリマーと水、可塑剤、界面活性剤、電解質、反応促進剤等を含む混合液を、各配合物が均一に混じり合うように攪拌した後、金型容器等に注入し、適切な温度、湿度環境下に保持して反応(架橋)、熟成させることでゲル化させる。
反応温度は、20〜50℃が好ましい。反応湿度は、40〜70%RHが好ましい。反応時間は、成形物に合わせて適宜調整されるが、およそ3〜60分間とすることができる。ゲル化は必要に応じて加熱、冷却や、pH調整等の処理を加えて反応速度を調整してもよい。
ポリウレタンゲルは、ゲル化が終了する前の混合物に対して、例えば押出機やドクターブレード、ローラー等を用いて展延したり、所定の厚みをもった容器に充填したりすることで厚みを調整できる。
【0021】
(6)ポリウレタンゲル形状
ポリウレタンゲルの形状としては特に制限はないが、楕円形、円形、ハート形、半円形、半楕円形、正方形、長方形、台形、三角形、適用部位に沿った形状、又はこれら組み合わせ等が挙げられる。また、ゲルシートの中心部や周辺部に位置合わせ等の目的で凸部や凹部を設けたり、使用部位の形状に応じて切り込みやくり抜き部分等を設けると、ゲルシートの取り扱い性を向上できる。
【0022】
(電極用パッド)
電極用パッドは、ポリウレタンゲルと、電解質水溶液とを含んでいる。
(1)電解質水溶液
電解質水溶液は、水と電解質とを含んでいる。
電解質としては、通常用いられる塩化ナトリウム、塩化カリウム等が好適である。電解質の含有量は、ポリウレタンゲルと電解質水溶液との合計に対して、0.1〜5重量%であることが好ましい。電解質の含有量が0.1重量%未満の場合、所望の導電性が得られないことがある。5重量%より多い場合は、電解質成分がゲル表面に析出し、外観粗悪になることがある。より好ましい含有量は、0.2〜2重量%である。
水の含有量は、ポリウレタンゲルの欄に記載した含有量と同じである。
【0023】
(2)電極用パッドの形成法
電極用パッドの形成法は、ポリウレタンゲル形成用の混合物に電解質水溶液が含まれること以外は、ポリウレタンゲルの形成法と同一の方法を採用できる。特に、電極用パッドの形成法は、親水性ポリウレタンプレポリマーと電解質水溶液とを含む混合物をゲル化する方法が好ましい。この方法では、電極用パッドの水分保持性をより高めることができる。
【0024】
(3)電極用パッドの用途
電極用パッドは、例えば、心電計、脳波計、筋電計等の装置に人体表面からの電気信号を伝えたり、低周波治療器のように装置から電気信号を人体表面に伝えたりする際に、これら装置を構成する電極と人体表面との間に介在させて、電極と人体表面との機械的及び電気的接続状態を良好に保つ用途に好適に使用できる。
【実施例】
【0025】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例に記載した測定法を以下で説明する。
(引張強度)
外形22mm、内径10mm及び厚さ8mmのドーナツ形に成型したサンプルをテンシロン万能試験機(日本のオリエンテック社製)により、温度23℃、湿度54%、試験速度300mm/minの条件で引っ張り、ゲルが千切れる時の荷重を引張強度とする。
更に、上記サンプルを50℃の熱風乾燥機に入れ、240時間後に取り出し、23±2℃、湿度53±3%の部屋に24時間放置した後、上記と同様にして引張強度を測定する。なお、この測定条件は、劣化促進試験であり、25℃で保管した場合の約1年間の劣化時間に相当する。
上記熱処理後の強度と熱処理前の強度より、下記式を用いて強度の維持率を算出する。
式:維持率(%)=100×(熱処理後の強度)÷(熱処理前の強度)
【0026】
実施例1
水20g、ポリオキシプロピル化グリセリン(三洋化成工業社製サンニックスGP−400、平均分子量400)5.5g、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(第一工業製薬社製エパン450、平均分子量2400)0.17g、ヨートルDP−95(三井化学社製抗菌剤)0.0072g、塩化ナトリウム0.15gを加え撹拌溶解する。この水溶液とポリウレタンプレポリマー(青木油脂工業社製プレポリマー660、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI):エチレンオキサイド(EO):プロピレンオキサイド(PO)=23:62:15(重量%))6.7gを混合、すばやく撹拌し所定型に流す。型を温度25℃、湿度60%で3分間保持、反応及び固化させた後、型よりゲルを取り出し、更に温度30℃、湿度45%で5分間保持、反応及び熟成させた。得られたポリウレタンゲルをアルミラミネートフィルム袋内に密封した。
得られたポリウレタンゲルの引張強度を測定し、結果を表1に示す。
【0027】
実施例2
ポリウレタンプレポリマーをMDI:EO:PO=17:66:17(重量%)のもの(青木油脂工業社製プレポリマー460)に代えたこと以外は実施例1と同様にしてポリウレタンゲルを得た。得られたポリウレタンゲルの引張強度を測定し、結果を表1に示す。
実施例3
ポリウレタンプレポリマーの使用量を5.9gとしたこと以外は実施例1と同様にしてポリウレタンゲルを得た。得られたポリウレタンゲルの引張強度を測定し、結果を表1に示す。
実施例4
ポリウレタンプレポリマーの使用量を5.9gとしたこと以外は実施例2と同様にしてポリウレタンゲルを得た。得られたポリウレタンゲルの引張強度を測定し、結果を表1に示す。
【0028】
比較例1
ポリウレタンプレポリマーをMDI:EO:PO=29:53:18(重量%)のもの(東邦化学工業社製ハイセルDN−70)に代えたこと以外は実施例1と同様にしてポリウレタンゲルを得た。得られたポリウレタンゲルの引張強度を測定し、結果を表1に示す。
【0029】
【表1】

【0030】
表1から、ポリイソシアネート成分が、親水性ポリウレタンプレポリマー中に、ポリイソシアネート成分とポリオール成分の合計量に対して、15〜25重量%含まれるポリウレタンゲルは、引張強度の維持率が良好であることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親水性ポリウレタンプレポリマーと水を含む混合物をゲル化して得られるポリウレタンゲルであり、
前記親水性ポリウレタンプレポリマーが、ポリイソシアネート成分とポリオール成分を含み、
前記ポリオール成分が、オキシエチレン基を含むポリオキシアルキレン鎖を少なくとも1種類有し、
前記オキシエチレン基が、前記ポリオキシアルキレン鎖の全分子量の50〜95重量%の割合を占め、
前記ポリイソシアネート成分が、前記親水性ポリウレタンプレポリマー中に、前記ポリイソシアネート成分と前記ポリオール成分の合計量に対して、15〜25重量%含まれることを特徴とするポリウレタンゲル。
【請求項2】
前記混合物が、更に可塑剤を含み、
前記可塑剤が、ポリオキシプロピル化グリセリン、ポリオキシプロピル化ソルビトール、オキシエチレン基とオキシプロピレン基を含みそのうちオキシプロピレン基が全分子量の60〜90重量%を占めるポリアルキレングリコール、オキシエチレン基とオキシプロピレン基を含みそのうちオキシプロピレン基がポリオキシアルキレン鎖の全分子量の30〜90重量%を占めるポリアルキレングリコールのモノエーテル、及びグリコールジエーテル類からなる群から選択される請求項1に記載のポリウレタンゲル。
【請求項3】
前記混合物が、界面活性剤として、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーを更に含有する請求項1又は2に記載のポリウレタンゲル。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載のポリウレタンゲルと、電解質水溶液とを含む電極用パッド。
【請求項5】
前記電極用パッドが、前記親水性ポリウレタンプレポリマーと電解質水溶液とを含む混合物をゲル化して得られる請求項4に記載の電極用パッド。

【公開番号】特開2011−201954(P2011−201954A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68301(P2010−68301)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】