説明

ポリウレタンコーティングを製造するためのスズ触媒の使用

本発明は、ポリイソシアネート重付加製品の製造、特にコーティング分野に関する特定の触媒の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイソシアネート重付加製品の製造、特にコーティング分野に関する特定の触媒の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンコーティングは長年に亘り既知であり、様々な分野において使用されている。それらは、施す直前に混合することによりポリイソシアネート成分とヒドロキシル成分から通常調製される(2K技術)。耐光性のコーティングを得るために、脂肪族ポリイソシアネートに基づくポリイソシアネート成分が一般に使用され、それは、芳香族的に結合したイソシアネート基を有する生成物と比べて顕著によりゆっくりとヒドロキシル成分と反応する。従って、多くの場合において、反応は触媒されなければならない。可能な場合、さらに反応を加速するために、加熱が付加的に行われる。有機スズ化合物、特にジブチルスズジラウレート(DBTL)は、触媒として適当であることが判明している。それらは、生態学的特徴に関して好ましくない、欠点を一般的に有しており、とりわけ、殺生物剤としてそれらが添加される船舶用塗料から有機スズ化合物の物質集合の完全な除去が行われている。
【0003】
2K技術の一般的な欠点は、室温でもNCO-OH反応が急激に始まり、触媒された場合には著しくより急速に反応が始まるといったことであり、その結果、極めて狭い時間ウインドウ(オープンタイム)においてのみ、2K系などの素早く配合された混合物を加工でき、該時間ウインドウは、触媒の存在によってさらに短くなる。
【0004】
したがって、2K混合物の調製において架橋反応を殆ど加速しないが、施した後に著しくそれを加速する、触媒を開発することを試みることは欠かせない(潜在的な触媒)。
【0005】
特にキャストエラストマー分野において使用される潜在性触媒の分類は、有機水銀化合物である。最も著名な代表例は、フェニル水銀ネオデカノエートである(商品名:Thorcat535、Cocure44)。しかしながら、とりわけ、水銀化合物の毒性に起因して、これらの触媒はコーティング技術において役割を果たせない。
【0006】
この分野における焦点は、例えば、(大気中の)水分および/または酸素(WO2007/075561,Organometallics 1994年(13)第1034頁〜第1038頁、DE69521682参照)により化学的に活性化できる系、および光化学的に活性化できる系(US4549945参照)に注目される傾向がある。
【0007】
先行技術の最後に記載された2つの系の欠点は、一方では、コーティング工程(架橋度、ガラス転移温度、溶媒含有量など)における(大気中の)水分または酸素の再現可能な移動を明確にすることは困難であり、および周囲環境の再現可能な変化を明確にことは困難である。また、一方では、特に有色系の場合、光潜在的触媒を活性化させるための線源の使用に制限がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際特許出願第2007/075561号明細書
【特許文献2】独国特許第69521682号明細書
【特許文献3】米国特許第4549945号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Organometallics 1994年(13)第1034頁〜第1038頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、(一般に室温にて行われる)2K混合物の調製において、オープンタイムが減少しないか、または無触媒系と比較してごく僅かに減少するに過ぎないオープンタイムを有し、しかしながら、基体へ施した後であっても、温度上昇の結果として硬化を促進し、およびポリウレタン系に関して既知である高レベルの品質を示すコーティングをもたらす、ポリイソシアネート重付加生成物に基づくコーティングを生成できる系を提供することである。系および触媒は、カドミウム、水銀、鉛および有機スズ化合物などの毒性重金属を付加的に有さず、定義によると、有機スズ化合物は、少なくとも1つのSn-C結合を有する種として理解される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
驚くべきことに、特定の無機のSn(IV)触媒を使用することにより、この目的を達成することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、以下のものから得ることが出来るポリイソシアネート重付加生成物を提供する:
a)少なくとも1種の脂肪族、脂環式、アラリファティック(araliphatic)および/または芳香族ポリイソシアネート、
b)少なくとも1種のNCO-反応性化合物、
c)少なくとも1種の熱潜在性(thermolatent)無機スズ含有触媒、
d)所望による更なる触媒および/またはc)以外の活性剤、
e)所望による充填剤、顔料、添加剤、増粘剤、消泡剤、および/または他の補助物質および添加剤、
ただし、成分a)の重量と成分c)からのスズの重量の割合は、成分a)が脂肪族ポリイソシアネートの場合3000ppm未満であり、成分a)が芳香族ポリイソシアネートの場合95ppm未満であり、式I、II、またはIIIの環状スズ化合物を熱潜在性触媒として使用することを特徴とする:
【0013】
【化1】

【0014】
【化2】

【0015】
【化3】

式中、
Dは、-O-、-S-または-N(R1)-を表わし、
式中、R1は、酸素、硫黄、窒素の群からのヘテロ原子を所望により含有できる、20個以下の炭素原子を有する、飽和または不飽和、直鎖または分岐、脂肪族または脂環式、あるいは所望により置換された、芳香族またはアラリファティック基を示すか、あるいは水素または以下の基を示し、あるいはR1およびL3は共に-Z-L5-を示し;
【0016】
【化4】

【0017】
D*は、-O-または-S-を示し;
X,YおよびZは、式-C(R2)(R3)-、-C(R2)(R3)-C-(R4)(R5)-または-C(R2)(R3)-C-(R4)(R5)-C(R6)(R7)-のアルキレン基、または以下の式のオルト-アリーレン基から選択される同一または異なる基であり:
【0018】
【化5】

式中、R2〜R11は、相互に独立して、酸素、硫黄、窒素の群からのヘテロ原子を所望により含有できる、20個以下の炭素原子を有する、飽和または不飽和、直鎖または分岐、脂肪族または脂環式、あるいは所望により置換された、芳香族またはアラリファティック基を示すか、あるいは水素を示す;
【0019】
L1、L2およびL5は、相互に独立して、-O-、-S-、-OC(=O)-、-OC(=S)、-SC(=O)-、-SC(=S)-、-OS(=O)2O-、-OS(=O)2-または-N(R12)-を示し、
式中、R12は、酸素、硫黄、窒素の群からのヘテロ原子を所望により含有できる、20個以下の炭素原子を有する、飽和または不飽和、直鎖または分岐、脂肪族または脂環式、あるいは所望により置換された、芳香族またはアラリファティック基を示すか、あるいは水素を示す;
【0020】
L3およびL4は、相互に独立して、-OH、-SH、-OR13-、Hal、-OC(=O)R14、-SR15、-OC(=S)R16、-OS(=O)2OR17、-OS(=O) 2R18、-またはNR19R20を示すか、あるいはL3およびL4は共に-L1-X-D-Y-L2-を示す:
式中、R13〜R20は、相互に独立して、酸素、硫黄、窒素の群からのヘテロ原子を所望により含有できる、20個以下の炭素原子を有する、飽和または不飽和、直鎖または分岐、脂肪族または脂環式、あるいは所望により置換された、芳香族またはアラリファティック基を示すか、あるいは水素を示す;
【0021】
Dは、好ましくは-N(R1)-であり、
R1は、好ましくは水素、または20個以下の炭素原子を有するアルキル、アラルキル、アルカリールまたはアリール基、あるいは以下の基、
【0022】
【化6】

【0023】
特に好ましくは、水素、または12個以下の炭素原子を有するアルキル、アラルキル、アルカリールまたはアリール基、あるいは以下の基であり
【0024】
【化7】

【0025】
最も特に好ましくは、水素、またはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシルまたはオクチル基(ただし、プロピル、ブチル、ヘキシルおよびオクチルは全ての異性体プロピル、ブチル、ヘキシルおよびオクチル基を示す)、Ph-、CHPh-あるいは以下の基である:
【0026】
【化8】

【0027】
D*は、好ましくは-O-である。
【0028】
X、YおよびZは、好ましくはアルキレン基-C(R2)(R3)-、-C(R2)(R3)-C-(R4)(R5)-または以下の式のオルト-アリーレン基である。
【0029】
【化9】

【0030】
R2〜R7は、好ましくは、水素、または20個以下の炭素原子を有するアルキル、アラルキル、アルカリール、またはアリール基であり、特に好ましくは、水素、または8個以下の炭素原子を有するアルキル、アラルキル、アルカリール、またはアリール基であり、最も好ましくは、水素、または8個以下の炭素原子を有するアルキル基であり、正により好ましくは、水素またはメチルである。
【0031】
R8〜R11は、好ましくは、水素、または8個以下の炭素原子を有するアルキル基であり、特に好ましくは、水素またはメチルである。
【0032】
L1、L2およびL5は、好ましくは、-NR12-、-S-、-SC(=S)-、-SC(=O)-、-OC(=S)、-O-または-OC(=O)-、特に好ましくは-O-または-OC(=O)-である。
【0033】
R12は、好ましくは、水素、または20個以下の炭素原子を有するアルキル、アラルキル、アルカリール、またはアリール基であり、特に好ましくは、水素、または12個以下の炭素原子を有するアルキル、アラルキル、アルカリールまたはアリール基、最も特に好ましくは、水素、またはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシルまたはオクチル基(ただし、プロピル、ブチル、ヘキシルおよびオクチルは全ての異性体プロピル、ブチル、ヘキシルおよびオクチル基を示す)である。
【0034】
L3およびL4は、好ましくは、-Hal、-OH、-SH、-OR13-、-OC(=O)R14(式中、基R13およびR14は、20個以下の炭素原子、好ましくは12個以下の炭素原子を有する)。L3およびL4は、特に好ましくは、Cl-、MeO-、EtO-、PrO-、BuO-、HexO-、OctO-、PhO-、ホルマート、アセテート、プロパノアート、ブタノアート、ペンタノアート、ヘキサノアート、オクタノアート、ラウラート、乳酸、またはベンゾエートであり(式中、Pr、Bu、HexおよびOctは、全ての異性体プロピル、ブチル、ヘキシルおよびオクチル基を示す)、正により好ましくは、Cl-、MeO-、EtO-、PrO-、BuO-、HexO-、OctO-、PhO-、ヘキサノアート、ラウラート、またはベンゾエートである(式中、Pr、Bu、HexおよびOctは、全ての異性体プロピル、ブチル、ヘキシルおよびオクチル基を示す)。
【0035】
R15〜R20は、好ましくは、水素、または20個以下の炭素原子を有するアルキル、アラルキル、アルカリール、またはアリール基であり、特に好ましくは、水素、または12個以下の炭素原子を有するアルキル、アラルキル、アルカリールまたはアリール基、最も特に好ましくは、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシルまたはオクチル基(ただし、プロピル、ブチル、ヘキシルおよびオクチルは全ての異性体プロピル、ブチル、ヘキシルおよびオクチル基を示す)である。
【0036】
ユニットL1-X、L2-YおよびL5-Zは、好ましくは、-CHCHO-、-CHCH(Me)O-、-CH(Me)CHO−、-CHC(Me)O-、-C(Me)CHO-または-CHC(=O)O-を示す。
【0037】
ユニットL1-X-D-Y-L2は、好ましくは以下のものを示す:HN[CH2CH2O-]2、 HN[CH2CH(Me)O-]2、 HN[CH2CH(Me)O-][CH(Me)CH2O-]、 HN[CH2C(Me)2O-]2、 HN[CH2C(Me)2O-][C(Me)2CH2O-]、 HN[CH2C(=O)O-]2、 MeN[CH2CH2O-]2、 MeN[CH2CH(Me)O-]2、 MeN[CH2CH(Me)O][CH(Me)CH2O-]、 MeN[CH2C(Me)2O-]2、 MeN[CH2C(Me)2O ][C(Me)2CH2O-]、 MeN[CH2C(=O)O-]2、 EtN[CH2CH2O-]2、 EtN[CH2CH(Me)O-]2、 EtN[CH2CH(Me)O-][CH(Me)CH2O-]、 EtN[CH2C(Me)2O-]2、 EtN[CH2C(Me)2O-][C(Me)2CH2O-]、 EtN[CH2C(=O)O-]2、 PrN[CH2CH2O-]2、 PrN[CH2CH(Me)O-]2、 PrN[CH2CH(Me)O-][CH(Me)CH2O-]、 PrN[CH2C(Me)2O-]2、 PrN[CH2C(Me)2O-][C(Me)2CH2O-]、 PrN[CH2C(=O)O-]2、 BuN[CH2CH2O-]2、 BuN[CH2CH(Me)O-]2、 BuN[CH2CH(Me)O-][CH(Me)CH2O-]、 BuN[CH2C(Me)2O-]2、 BuN[CH2C(Me)2O-][C(Me)2CH2O-]、 BuN[CH2C(=O)O-]2、 HexN[CH2CH2O-]2、 HexN[CH2CH(Me)O-]2、 HexN[CH2CH(Me)O-][CH(Me)CH2O-]、 HexN[CH2C(Me)2O-]2、 HexN[CH2C(Me)2O-][C(Me)2CH2O-]、 HexN[CH2C(=O)O-]2、 OctN[CH2CH2O-]2、 OctN[CH2CH(Me)O-]2、 OctN[CH2CH(Me)O-][CH(Me)CH2O-]、 OctN[CH2C(Me)2O-]2、 OctN[CH2C(Me)2O-][C(Me)2CH2O-]、 OctN[CH2C(=O)O-]2、(ただし、Pr、 Bu、 Hex および Octは、全ての異性体プロピル、ブチル、ヘキシルおよびオクチル基を示す)、PhN[CH2CH2O-]2、 PhN[CH2CH(Me)O-]2、 PhN[CH2CH(Me)O-][CH(Me)CH2O-]、 PhN[CH2C(Me)2O-]2、 PhN[CH2C(Me)2O ][C(Me)2CH2O-]、 PhN[CH2C(=O)O-]2、あるいは、以下のものを示すことができる:
【0038】
【化10】

【0039】
当業者に既知のスズ化合物は、オリゴマー化する傾向があるので、多核性のスズ化合物または、単核および多核性スズ化合物の混合物が高頻度で存在する。多核性スズ化合物において、スズ原子は、酸素原子を介して相互に好ましく結合される(「酸素ブリッジ」下記参照)。代表的なオリゴマー複合体(多核性スズ化合物)は、例えば、酸素または硫黄を介するスズ原子の縮合により、例えば、以下のものを形成する:
【0040】
【化11】

式中、n>1である(式II参照)。
【0041】
低いオリゴマー化度では、OHまたはSH末端基を有する環状オリゴマーが、およびより高いオリゴマー化度では、OHまたはSH末端基を有する直鎖オリゴマーが頻繁に見出される。(式III参照)。
【0042】
本発明は、本発明によるポリイソシアネート重付加生成物を製造するための方法を更に提供し、
a)少なくとも1種の脂肪族、脂環式、アラリファティックおよび/または芳香族ポリイソシアネートを、
b)以下のものの存在下にて、少なくとも1種のNCO-反応性化合物と反応させて製造する該方法であって、
c)少なくとも1種の熱潜在性無機スズ含有触媒
d)所望による更なる触媒および/またはc)以外の活性剤、および
e)所望による充填剤、顔料、添加剤、増粘剤、消泡剤、および/または他の補助物質および添加剤:
ただし、成分a)の重量と成分c)からのスズの重量の割合は、成分a)が脂肪族ポリイソシアネートの場合3000ppm未満であり、成分a)が芳香族ポリイソシアネートの場合95ppm未満であり、
式I、II、またはIIIの環状スズ化合物を熱潜在性触媒として使用することを特徴とする:
【0043】
【化12】

【0044】
【化13】

【0045】
【化14】

式中、D、D*、Y、XおよびL1〜L4は上述の通りである。
【0046】
スズ化合物が、遊離OHおよび/またはNH基を有する配位子を含有する場合、触媒は、ポリイソシアネート重付加反反応における生成物内に取り込まれてもよい。これらの組み込み可能な触媒の具体的な利点は、それらの大きく減少したフォギング挙動(fogging behavior)であり、このことは、ポリウレタンコーティングが自動車内装において使用される場合、特に重要である。
【0047】
本発明において使用されるスズ(IV)化合物またはそれらのスズ(II)前駆物質に関する様々な製造法は、とりわけ、J. Organomet.Chem 2009年 694巻、3184頁〜3189頁:Chem. Heterocycl. Comp. 2007年 43巻 813頁〜834頁、Indian J. Chem. 1967年 5巻 643頁〜645頁およびそこに記載された文献に記載されている。
【0048】
多くの環状スズ化合物は、イソシアネート重付加法に関する触媒として使用することが既に提案されている(DD242617、US3164557、DE、1111377、US4430456、GB899948、US2008/0277137参照)。しかしながら、先行技術におけるこれらの記載された全ての系に共通することは、例外なく、化合物はSn(II)または有機スズ(IV)である。さらに、本発明による触媒に極めて類似する、位置L3およびL4にアルキル基を有する有機スズ(IV)化合物は、全く熱潜在性を示さず、および標準的な有機スズ触媒DBTL(比較例4〜5)と比較しても配合物のオープンタイムがより短い。
【0049】
潜在性の触媒は、先行技術から既知の更なる触媒/活性剤を組合せることができ、例えば、チタニウム、ジルコニウム、ビスマス、スズ(II)および/または鉄含有触媒は、例えば、WO2005/058996に記載されている。アミンまたはアミジンの添加も可能である。さらには、酸性化合物、例えば、2-エチルヘキサン酸、またはアルコールなども、反応を制御するためにポリイソシアネート重付加反応中に添加できる。
【0050】
本発明による触媒は、NCO−反応性化合物(ポリオール)を介して反応混合物へ添加でき、溶媒中に溶解させてもよく、ポリイソシアネート中に予め溶解させてもよい。
【0051】
ポリイソシアネート重付加生成物、特にポリウレタンの調製に適当なポリイソシアネート(a)は、当業者に既知の、1分子あたり少なくとも2つのイソシアネート基を有する有機脂肪族、脂環式、アラリファティックおよび/または芳香族ポリイソシアネート、およびそれらの混合物である。このようなポリイソシアネートの例は、ジイソシアネートまたはトリイソシアネート、例えば、ブタンジイソシアネート、ペンタンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネート、HDI)、4−イソシアナトメチル−1,8−オクタン、ジイソシアネート(トリイソシアナトノナン、TIN)、4,4’−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)、3,5,5−トリメチル−1−イソシアナト−3−イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,3および1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ジイソシアナトジフェニルメタン(2,2’−MDI、2,4’−MDIおよび4,4’−MDIまたはそれらの混合物)、ジイソシアナトメチルベンゼン(2,4−トルエンジイソシアネートおよび2,6−トルエンジイソシアネート、TDI)および2つの異性体の商業的な混合物、ならびに1,3−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン(XDI)、(3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジイソシアネート(TODI)、1,4−パラ−フェニレンジイソシアネート(PPDI)、およびシクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、ならびに、上記のより高い分子量のオリゴマーから得ることが出来るポリイソシアネート、ビウレット、ウレトジオン、イソシアヌレート、イミノオキサジアジンジオン(iminooxadiazinedione)、アロファネート、ウレタンおよびカルボジイミド/ウレトンイミン構造単位を有する単独で得ることが出来るもの、または混合状態のもの。脂肪族および脂環式ジイソシアネートに基づくポリイソシアネートが好ましく使用される。
【0052】
ポリイソシアネート成分(a)は、適当な溶媒中に存在できる。適当な溶媒は、ポリイソシアネート成分の十分な溶解性を示し、イソシアネートに対する反応性基を含有しない溶媒である。そのような溶媒の例は、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、二酢酸エチレングリコール、ブチロラクトン、炭酸ジエチル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、メチラール、エチラール、ブチラール、1,3−ジオキソラン、グリセロールホルマール、ベンゼン、トルエン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ソルベントナフサ、酢酸2−メトキシプロピル(MPA)である。
【0053】
イソシアネート成分は更に、常套の補助物質および添加剤、例えば、流動性向上剤(例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、二塩基エステル、クエン酸エステル)、安定剤(例えば、ブレンステッド酸およびルイス酸、例えば、塩酸、リン酸、塩化ベンゾイル、有機鉱酸、例えば、リン酸ジブチル、更に、アジピン酸、リンゴ酸、コハク酸、ラセミ酸またはクエン酸)、紫外線安定剤(例えば、2,6−ジブチル−4−メチルフェノール)、加水分解安定剤(例えば、立体障害カルボジイミド)、乳化剤および触媒(例えば、トリアルキルアミン、ジアザビシクロオクタン、ジオクタン酸スズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、N−アルキルモルホリン、オクタン酸鉛、オクタン酸亜鉛、オクタン酸スズ、オクタン酸カルシウム、オクタン酸マグネシウム、対応するナフテネートおよびp−ニトロフェノレートおよび/またはネオデカン酸フェニル水銀)、並びに充填剤(例えば、チョーク)、所望により、後に形成されるポリウレタン/ポリウレア内に組み込まれることができる(従って、ツェレビチノフ活性水素原子を含有する)着色剤、および/または着色顔料などを含有できる。
【0054】
NCO反応性化合物(b)として、少なくとも1.5の平均OH官能価または平均NH官能価を有する、当業者に既知の全ての化合物を使用できる。それらは例えば、低分子量ジオール(例えば、1,2−エタンジオール、1,3−または1,2−プロパンジオールおよび1,4−ブタンジオール)、トリオール(例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン)およびテトラオール(例えば、ペンタエリスリトール)、短鎖ポリアミン、高分子量ポリヒドロキシ化合物、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリシロキサンポリオール、ポリアミンおよびポリエーテルポリアミン並びにポリブタジエンポリオールであり得る。
【0055】
ポリエーテルポリオールは、塩基触媒または二重金属シアン化化合物(DMC化合物)を用いる適当なスターター分子のアルコキシル化によって、それ自体既知の方法で入手可能である。ポリエーテルポリオールの調製に適当なスターター分子は、例えば、単純な、低分子量ポリオール、水、少なくとも2個のN−H結合を含有する有機ポリアミン、またはそのようなタイプのスターター分子の任意の混合物である。特にDMC法に従った、アルコキシル化によるポリエーテルポリオールの調製に好ましいスターター分子は、特に、単純ポリオール、例えば、エチレングリコール、1,3-プロピレングリコールおよび1,4ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、およびそのようなタイプのポリオールと、例として以下に記載するタイプのジカルボン酸との、低分子量のヒドロキシル基含有低分子エステル、或いはそのような単純ポリオールの低分子量エトキル化生成物またはプロポキシル化生成物、或いはそのような変性または非変性アルコールの任意の混合物である。アルコキシル化に適当なアルキレンオキシドは、特に、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドであり、これらは、任意所望の順番または混合物でアルコキシル化の間に使用できる。
【0056】
ポリエステルポリオールは、低分子量ポリカルボン酸誘導体(例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水テトラクロロフタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水グルタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、二量体脂肪酸、三量体脂肪酸、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、クエン酸またはトリメリット酸など)と、低分子量ポリオール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、ブタンジオール、プロピレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、1,4−ヒドロキシメチルシクロヘキサン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,4−ブタントリオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコールおよびポリブチレングリコール)との重縮合によって、或いは環式カルボン酸エステル(例えばε−カプロラクトン)の開環重合によって、既知の方法で調製できる。更に、ヒドロキシカルボン酸誘導体、例えば、乳酸、桂皮酸またはω−ヒドロキシカプロン酸を重縮合して、ポリエステルポリオールを生成することもできる。しかしながら、油脂化学由来のポリエステルポリオールを使用することもできる。そのようなポリエステルポリオールは、例えば、1〜12個の炭素原子を有する1種以上のアルコールを用いて、少なくとも部分的にオレフィン性不飽和の脂肪酸を含有する脂肪混合物のエポキシド化トリグリセリドの完全開環によって、並びに、続く、アルキル基中に1〜12個の炭素原子を有するアルキルエステルポリオールに対するトリグリセリド誘導体の部分エステル交換によって、調製することができる。
【0057】
適当なポリアクリレートポリオールの調製は、当業者にそれ自体知られている。それらは、ヒドロキシル基含有オレフィン性不飽和モノマーのラジカル重合によって、または、ヒドロキシル基含有オレフィン性不飽和モノマーと、任意に別のオレフィン性不飽和モノマー(例えば、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、スチレン、アクリル酸、アクリロニトリルおよび/またはメタクリロニトリル)とのラジカル共重合によって得られる。適当なヒドロキシル基含有オレフィン性不飽和モノマーは、特に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリル酸へのプロピレンオキシドの付加によって得られるヒドロキシプロピル−アクリレート異性体混合物、並びに、メタクリル酸へのプロピレンオキシドの付加によって得られるヒドロキシプロピル−メタクリレート異性体混合物である。適当なラジカル開始剤は、アゾ化合物の群からのもの(例えばアゾイソブチロニトリル(AIBN))、またはペルオキシドの群からのもの(例えばジ−tert−ブチルペルオキシド)である。
【0058】
化合物b)は、好ましくは高分子量ポリヒドロキシ化合物である。
【0059】
成分(b)は、適当な溶媒中に存在できる。適当な溶媒は、成分の十分な溶解性を示すものである。そのような溶媒の例は、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、二酢酸エチレングリコール、ブチロラクトン、炭酸ジエチル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、メチラール、エチラール、ブチラール、1,3−ジオキソラン、グリセロールホルマール、ベンゼン、トルエン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ソルベントナフサ、酢酸2−メトキシプロピル(MPA)である。更に、該溶媒は、イソシアネートに対する反応性基を有することができる。このような反応性溶媒の例は、少なくとも1.8の、イソシアネートに対する反応性基の平均官能価を有するものである。それらは、例えば、低分子量ジオール(例えば、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオールまたは1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール)、トリオール(例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン)および低分子量ジアミン(例えばポリアスパラギン酸エステル)であることができる。
【0060】
ポリイソシアネート重付加生成物の調製に関する方法は、常套のレオロジー改良剤、安定剤、紫外線安定剤、触媒、加水分解安定剤、乳化剤、充填剤、所望による取り込み可能な着色剤(すなわち、ツェレビチノフ活性水素原子を含有する)および/または着色顔料の存在下で行うことができる。ゼオライトの添加も可能である。
【0061】
好ましい補助物質および添加剤は、ポリイソシアネート重付加生成物の調製における、膨張剤、充填剤、チョーク、カーボンブラックまたはゼオライト、難燃剤、着色ペースト、水、抗菌剤、流れ改良剤、チキソトロープ剤、表面改質剤、および遅延剤である。更なる補助物質および添加剤は、消泡剤、乳化剤、フォーム安定剤およびセル調節剤が含まれる。概説は、G.Oertel,「ポリウレタンハンドブック」第2版、カールハンサーバーグ社、ミュンヘン、1994年、第3.4章に記載されている。
【0062】
本発明による系は、はけ塗り、ローラーコーティング、注入、噴霧、浸し塗り、流動床プロセスなどの方法により、または静電塗装法により、溶液もしくは溶融体から、あるいは粉末コーティングの場合、固体形態で、被覆される物品に施すことができる。適当な基体は、例えば、金属、木材、プラスチックまたはセラミックなどの材料である。
【0063】
したがって、本発明は、本発明によるポリイソシアネート重付加生成物を含有するコーティング組成物、およびそれらから得ることが出来るコーティング、ならびにこのようなコーティングで被覆された基体を更に提供する。
【実施例】
【0064】
本発明は、以下の実施例によってより詳細に説明される。実施例において、全てのパーセンテージは、他に示されない限り、重量パーセントとして理解される。全ての反応は、乾燥窒素雰囲気下で行われた。表1における触媒は、標準的な文献の方法により得られた(Chem.Heterocycl. Comp.2007年,第43巻、第813頁〜第834頁およびそこに記載された文献)。DBTLは、Kever Technologoe社、ラーティンゲン、ドイツから得た。
【0065】
本発明に従い使用される触媒と比較例における触媒に関する活性を良好に比較するために、触媒の量は、ポリイソシアネート硬化剤1kgあたりのSn(mg)として提供した(ppm)。バイエルマテリアルサイエンスAG社(レバークーヘン、ドイツ)製の市販品Desmodur N 3300は、一般に、ポリイソシアネート硬化剤として使用され、正確に1当量の2-エチルヘキサノール(ポリイソシアネート硬化剤の遊離イソシアネート基に基づく、アルドリッヒ(Taufkirchen、ドイツ)製)は、イソシアネート反応性成分に関するモデル化合物として使用される(「ポリ」オール)。10%(Desmodur N 3300に基づく)のn-酢酸ブチルの添加は、十分に低い粘度のサンプルが反応の間中に除去されることを確実にし、DIN 53 185に従う滴定によりNCO含有量の正確な測定を可能にする。NCO-OH反応がない反応の開始時に算出されたNCO含有量は12.2%であり、NCO含有量が0.1%に低下した時に、試験を終了した。
【0066】
30℃の定温での、比較試験1は、無触媒の場合における混合物のNCO含有量に関する減少状態を示す(表2、試験1)。60℃と80℃の「硬化温度」における反応の促進を比較することを可能とするために、30℃の初期定温(2時間)とその後60℃および80℃にて行う試験は、まず、触媒を用いることなく同様に行った(表2、試験2および3)。比較試験4〜6は、本発明による触媒と構造的に密接に関連する有機スズ化合物に関する熱潜在性の欠如を示す。本発明に係る実施例7〜15より、NCO-OH反応は、本発明に係る種類の環状スズ(IV)化合物を用いると30℃にて殆ど促進されないことを示し、触媒濃度および触媒の種類に依存して、特定の要求に対してカスタマイズされた反応性は、60℃または80℃まで温度を上昇させることに更にもたらすことができる。例えば、一定濃度での触媒4(2,2-ジイソプロポキシ-6-メチル-1,3,6,2-ジオキサザスタンノカン(dioxazastannocane,実施例8および9)は、60℃では殆ど機能していないが、一方、80℃での反応は、無触媒の比較試験3と比べて著しく促進している。
【0067】
【表1】

【0068】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1種の脂肪族、脂環式、アラリファティックおよび/または芳香族ポリイソシアネート、
b)少なくとも1種のNCO-反応性化合物、
c)少なくとも1種の熱潜在性無機スズ含有触媒、
d)所望による更なる触媒および/またはc)以外の活性剤、
e)所望による充填剤、顔料、添加剤、増粘剤、消泡剤、および/または他の補助物質および添加剤、
から得られるポリイソシアネート重付加生成物であって、
該成分a)の重量と該成分c)からのスズの重量の割合は、成分a)が脂肪族ポリイソシアネートの場合3000ppm未満であり、成分a)が芳香族ポリイソシアネートの場合95ppm未満であり、
式I、II、またはIIIの環状スズ化合物が熱潜在性触媒として使用されることを特徴とする、該ポリイソシアネート重付加生成物:
【化1】

【化2】

【化3】

式中、
Dは、-O-、-S-または-N(R1)-を表わし、
式中、R1は、酸素、硫黄、窒素の群からのヘテロ原子を所望により含有できる、20個以下の炭素原子を有する、飽和または不飽和、直鎖または分岐、脂肪族または脂環式、あるいは所望により置換された、芳香族またはアラリファティック基を示すか、または水素あるいは以下の化学式の基を示し、
【化4】

あるいは、R1およびL3は相互に-Z-L5を示し、
D*は、-O-または-S-を示し;
X、YおよびZは、式-C(R2)(R3)-、-C(R2)(R3)-C-(R4)(R5)-または-C(R2)(R3)-C-(R4)(R5)-C(R6)(R7)-のアルキレン基、または以下の式のオルト-アリーレン基から選択される同一または異なる基を示し:
【化5】

式中、R2〜R11は、相互に独立して、酸素、硫黄、窒素の群からのヘテロ原子を所望により含有できる、20個以下の炭素原子を有する、飽和または不飽和、直鎖または分岐、脂肪族または脂環式、または所望により置換された、芳香族またはアラリファティック基を示すか、あるいは水素を示す;
L1、L2およびL5は、相互に独立して、-O-、-S-、-OC(=O)-、-OC(=S)、-SC(=O)-、-SC(=S)-、-OS(=O)2O-、-OS(=O)2-または-N(R12)-を示し、
式中、R12は、酸素、硫黄、窒素の群からのヘテロ原子を所望により含有できる、20個以下の炭素原子を有する、飽和または不飽和、直鎖または分岐、脂肪族または脂環式、あるいは所望により置換された、芳香族またはアラリファティック基を示すか、あるいは水素を示す;
L3およびL4は、相互に独立して、-OH、-SH、-OR13-、Hal、-OC(=O)R14、-SR15、-OC(=S)R16、-OS(=O)2OR17、-OS(=O) 2R18、または-NR19R20を示すか、あるいはL3およびL4は共に-L1-X-D-Y-L2-を示す:
式中、R13〜R20は、相互に独立して、酸素、硫黄、窒素の群からのヘテロ原子を所望により含有できる、20個以下の炭素原子を有する、飽和または不飽和、直鎖または分岐、脂肪族または脂環式、あるいは所望により置換された、芳香族またはアラリファティック基を示すか、あるいは水素を示す。
【請求項2】
Dが-N(R1)-であり、R1が水素、または20個以下の炭素原子を有するアルキル、アラルキル、アルカリール若しくはアリール基、あるいは以下の式の基である、請求項1に記載のポリイソシアネート重付加生成物。
【化6】

【請求項3】
R1が水素、またはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、Ph若しくはCHPh基、あるいは、以下の式の基であり、および
プロピル、ブチル、ヘキシルおよびオクチルは、全ての異性体プロピル、ブチル、ヘキシルおよびオクチル基を示す、
請求項2に記載のポリイソシアネート重付加生成物。
【化7】

【請求項4】
D*が-O-である、請求項1から3のいずれか1つに記載のポリイソシアネート重付加生成物。
【請求項5】
X、YおよびZが、相互に独立して、式-C(R2)(R3)-若しくは-C(R2)(R3)-C-(R4)(R5)-、または以下の式のオルト-アリーレン基であり、
【化8】

および、R2〜R5は、相互に独立して、水素、20個以下の炭素原子を有するアルキル、アラルキル、アルカリール若しくはアリール基であり、R8〜R11は、相互に独立して、水素、または8個以下の炭素原子を有するアルキル基である、
請求項1から4のいずれか1つに記載のポリイソシアネート重付加生成物。
【請求項6】
基R2〜R5が、相互に独立して、水素、または8個以下の炭素原子を有するアルキル基であり、およびR8〜R11が、相互に独立して、水素またはメチルである、
請求項5に記載のポリイソシアネート重付加生成物。
【請求項7】
L1、L2およびL5が、相互に独立して、-N(R12)-、-S-、-SC(=S)-、-SC(=O)-、-OC(=S)、-O-、または-OC(=O)-であり、
R12が、水素または、20個以下の炭素原子を有するアルキル、アラルキル、アルカリール若しくはアリール基である、
請求項1から6のいずれか1つに記載のポリイソシアネート重付加生成物。
【請求項8】
L1、L2およびL5が、相互に独立して、-N(H)-、-N(CH)-、-N(C)-、-N(C)-、-N(C17)-、-N(C)-、-S-、-SC(=S)-、-SC(=O)-、-OC(=S)、-O-、または-OC(=O)-である、
請求項7に記載のポリイソシアネート重付加生成物。
【請求項9】
L3およびL4が、相互に独立して、-OH、-SH、-OR13、-Hal、または-OC(=O)R14であり、および基R13とR14が20個以下の炭素原子を含有する、
請求項1から8のいずれか1つに記載のポリイソシアネート重付加生成物。
【請求項10】
L3およびL4が、相互に独立して、Cl-、MeO-、EtO-、PrO-、BuO-、HexO-、OctO-、PhO-、ホルマート、アセテート、プロパノアート、ブタノアート、ペンタノアート、ヘキサノアート、オクタノアート、ラウラート、乳酸、またはベンゾエートであり、ただし、Pr、Bu,HexおよびOctが、全ての異性体プロピル、ブチル、ヘキシルおよびオクチル基を示す、請求項9に記載のポリイソシアネート重付加生成物。
【請求項11】
a)少なくとも1種の脂肪族、脂環式、アラリファティックおよび/または芳香族ポリイソシアネートを、
b)以下のc)〜e)の存在下にて少なくとも1種のNCO-反応性化合物と反応させる、請求項1に記載の本発明によるポリイソシアネート重付加生成物の製造方法であって、
c)少なくとも1種の熱潜在性無機スズ含有触媒、
d)所望による更なる触媒および/またはc)以外の活性剤、および
e)所望による充填剤、顔料、添加剤、増粘剤、消泡剤、および/または他の補助物質および添加剤、
ただし、該成分a)の重量と成分c)からのスズの重量の割合は、成分a)が脂肪族ポリイソシアネートの場合3000ppm未満であり、成分a)が芳香族ポリイソシアネートの場合95ppm未満であり、
式I、II、またはIIIの環状スズ化合物が熱潜在性触媒として使用されることを特徴とする、該方法:
【化9】

【化10】

【化11】

式中、
Dは、-O-、-S-または-N(R1)-を表わし、
式中、R1は、酸素、硫黄、窒素の群からのヘテロ原子を所望により含有できる、20個以下の炭素原子を有する、飽和または不飽和、直鎖または分岐、脂肪族または脂環式、あるいは所望により置換された、芳香族またはアラリファティック基を示すか、あるいは水素、または以下の式の基を示し、
【化12】

あるいは、R1およびL3は相互に-Z-L5を示し、
D*は、-O-または-S-を示し;
X、YおよびZは、式-C(R2)(R3)-、-C(R2)(R3)-C-(R4)(R5)-または-C(R2)(R3)-C-(R4)(R5)-C(R6)(R7)-のアルキレン基、または以下の式のオルト-アリーレン基から選択される同一または異なる基を示し:
【化13】

式中、R2〜R11は、相互に独立して、酸素、硫黄、窒素の群からのヘテロ原子を所望により含有できる、20個以下の炭素原子を有する、飽和または不飽和、直鎖または分岐、脂肪族または脂環式、あるいは所望により置換された、芳香族またはアラリファティック基を示すか、あるいは水素を示す;
L1、L2およびL5は、相互に独立して、-O-、-S-、-OC(=O)-、-OC(=S)、-SC(=O)-、-SC(=S)-、-OS(=O)2O-、-OS(=O)2-または-N(R12)-を示し、
式中、R12は、酸素、硫黄、窒素の群からのヘテロ原子を所望により含有できる、20個以下の炭素原子を有する、飽和または不飽和、直鎖または分岐、脂肪族または脂環式、あるいは所望により置換された、芳香族またはアラリファティック基を示すか、あるいは水素を示す;
L3およびL4は、相互に独立して、-OH、-SH、-OR13-、Hal、-OC(=O)R14、-SR15、-OC(=S)R16、-OS(=O)2OR17、-OS(=O) 2R18、または-NR19R20を示すか、あるいはL3およびL4は共に-L1-X-D-Y-L2-を示す:
式中、R13〜R20は、相互に独立して、酸素、硫黄、窒素の群からのヘテロ原子を所望により含有できる、20個以下の炭素原子を有する、飽和または不飽和、直鎖または分岐、脂肪族または脂環式、あるいは所望により置換された、芳香族またはアラリファティック基を示すか、あるいは水素を示す。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか1つに記載のポリイソシアネート重付加生成物を含有するコーティング組成物。
【請求項13】
請求項12に記載のコーティング組成物を使用して得られるコーティング。
【請求項14】
請求項13に記載のコーティングで被覆された基体。

【公表番号】特表2013−509473(P2013−509473A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535776(P2012−535776)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【国際出願番号】PCT/EP2010/066104
【国際公開番号】WO2011/051247
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】