説明

ポリウレタンコーティング材料用の触媒

本発明は、新規触媒を用いたポリウレタン塗料用のコーティング材料に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶剤ベースの2成分系ポリウレタン塗料からのコーティング材料を硬化させるための新規の触媒に関する。
【0002】
ポリウレタン塗料用のコーティング材料の硬化を促進するためには、これらに、イソシアナート基及びポリオール基の反応用の触媒として多数の金属化合物、特に重金属化合物が添加されることができる。これらの化合物については、毒性学及び/又は労働衛生及び保健衛生の理由から代用品が探求される。毒性学的に決定的であるのは、特に有機スズ化合物、特にジアルキルスズ化合物、特にジブチルジスズジラウラート(DBTL)である。
【0003】
国際公開(WO)第2008/076302号には、イソシアナートとアルコールとの反応により得られ、ポリウレタンアクリラートオリゴマーを含有する放射線硬化可能なコーティング材料が記載されている。触媒として、長いリストの中には、例えば1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム・アセタートのようなイミダゾリウム塩も挙げられている。明示的には、実施例においてジブチルスズジラウラートが使用される。ジブチルスズジラウラートのような有毒なルイス酸を意図的に置換することや、ポリオールでイソシアナートの好ましい硬化挙動を達成することは、記載されていない。そのうえ、単にポリウレタンプレポリマーの製造が記載されているが、しかしながらポリウレタン塗料の硬化は記載されていない。類似の開示内容を有するのは、国際公開(WO)第2008/133668号であり、これには、同様にポリイソシアナートと、300〜5000のMnを有するポリアルキレングリコールとからなるポリウレタンプレポリマーが記載されている。
【0004】
国際公開(WO)第2007/090755号及び国際公開(WO)第2009/010502号には、イオン液体、例えばエチルメチルイミダゾリウム・エチルスルファートで帯電防止加工されるポリウレタンが記載されている。イオン液体としてのエチルメチルイミダゾリウム・エチルスルファートは、ここでは、ポリマーの導電性を高めるための帯電防止剤として専ら機能する。それとは機能的及び内容的に別に、ポリイソシアナート及びポリオールをポリウレタンに反応させるための常用の触媒が列記されている。エチルメチルイミダゾリウム・エチルスルファートは、確かにポリウレタンの形成の際に存在しているが、しかしながら、ポリウレタンの製造の際の場合によっては起こりうる触媒作用への指摘及び特に塗料又は塗料特性への関連はない。
【0005】
国際公開(WO)第2003/093246号には、溶剤としてのアンモニウムカチオン又はホスホニウムカチオンと五員の窒素ヘテロ芳香族化合物のアニオンとからなるイオン液体、及びイソシアナートのオリゴマー化用の触媒が記載されている。その際、イソシアナートモノマーは、環化反応においてそれら自体と反応して、それらのオリゴマー、二量体(ウレトジオン)及び三量体(イソシアヌラート、イミノオキサジアジンジオン)に変換される。イオン液体の成分としての窒素ヘテロ芳香族カチオンは記載されていない。類似して、欧州特許(EP)第1389221号明細書には、イソシアナート基を他のイソシアナート基と反応させるためのトリアゾラート構造の使用が記載されている。
【0006】
国際公開(WO)第2006/084880号には、イソシアヌラート基、ビウレット基又はアロファナート基を有するポリイソシアナートを、イオン液体である少なくとも1種のオリゴマー化触媒、とりわけまたイミダゾリウムカチオンの存在下で、製造するためのジイソシアナートの少なくとも部分的なオリゴマー化が記載されている。ウレタン化触媒としての適性、あるいは塗料使用におけるポリイソシアナート及びポリオールの硬化プロセスの際の利点又は塗料使用自体は記載されていない。
【0007】
国際公開(WO)第2007/062953号では、ヒドロキシ基を有するケトン樹脂、ケトン/アルデヒド樹脂、尿素/アルデヒド樹脂又はそれらの水素化された後続生成物と、少なくとも1種のジイソシアナート又はポリイソシアナートと、イソシアナート基に対して反応することができる官能基を有し、かつ付加的な官能基を有する少なくとも1種のイオン液体とを反応させ、引き続き、前記樹脂を水と混合することにより得ることができる、水性樹脂分散液の特許の保護が請求されている。
組み込み可能なイオン液体は、乳化剤として使用され、かつ官能化するのに並びに有機樹脂を安定な水溶液、希釈液及び分散液に移行させるのに役立つ。
機能的にそれらとは別にかつ異なり、前記の成分を反応させるための常用の触媒が開示されている。
イオン液体の考えられる触媒作用、DBTLのような有毒な触媒の代用品、又は良好な硬化挙動及び良好な塗料特性を有する溶剤含有2成分系ポリウレタン塗料における考えられる使用への指摘はない。
【0008】
国際公開(WO)第2008/006422号には、プラスチックにおける帯電防止剤としての、イオン液体中の金属塩のイオン液体の使用が記載されている。
イオン液体の存在下でポリオール及びポリイソシアナートを反応させながらポリウレタンを製造するために、常用のウレタン化触媒であるトリエチレンジアミンが記載されている。
イオン液体の考えられる触媒作用、ウレタン化反応、又はその製造もしくは塗料における使用の際の利点への指摘はない。
【0009】
国際公開(WO)第2009/016322号には、有毒な金属触媒を置換するための触媒としてのカルベンの存在下で、イソシアナート及びヒドロキシ化合物からウレタンを製造する方法が記載されている。
触媒活性種は、明示的に、イミダゾリウム環のC2炭素上のカルベンであり、これらは分離されて又はその場で、使用されることができる。
ウレタン化反応のため触媒としてのイミダゾリウム塩の使用、ポリイソシアナート及びポリオールを反応させて塗料にすること、及び任意に、塗料への硬化の際の利点は、記載されていない。
【0010】
Buchmeiser他, Eur. J. Inorg. Chem. 2009, 1970-1976には、ポリウレタン合成における(潜伏性)触媒としてのN−ヘテロ環式カルベンへのCO2付加物、マグネシウム付加物、アルミニウム付加物及び亜鉛付加物の使用が記載されている。これらの触媒は、別個の合成工程を必要とし、かつ費用をかけてグローブボックス中で窒素下に取り扱われなければならず、このことは、これらの触媒を実際の適用には不適格にする。そのうえ、これらの触媒は、高められた温度を必要とし、このことは室温での硬化を不可能にする。
【0011】
Buchmeiser他, Chem Eur. J. 2009, 15, 3103-3109には、際立った潜伏性(遅効性,delayed-action)触媒としてのN−ヘテロ環式イミダゾリウム−カルベンへの有機スズ(II)付加物が記載されている。スキーム2には、触媒活性種としてのカルベンと、触媒不活性なイミダゾリウムイオンを対比する作用機構が載っている。
【0012】
特開(JP)2008-201703号公報には、医薬、植物保護剤、電解質溶液において及びエポキシ樹脂及びポリウレタン樹脂を硬化させる触媒として使用するための、イミダゾリウム塩が記載されているが、しかしながらそれらは、何ら明示的な実施例により裏付けられていない。
塗料において使用するためのポリイソシアナート及びポリオールを反応させるための、こうして製造されたイミダゾリウム塩の触媒活性、又はDBTLのような常用のルイス酸触媒に対する代用的な使用への指摘はない。
【0013】
特開(JP)2006-152154号公報には、バインダーにおけるイオン液体の使用及び帯電防止特性を有する電子部品用の感圧性接着層における使用が記載されている。イオン液体の例として、とりわけ、1−メチル−3−ブチル−イミダゾリウムハライドが挙げられる。ポリアクリラートオールとのポリイソシアナートとの反応も開示されている。イオン液体の触媒特性は記載されておらず、同様に硬化特性の改善又は塗料の使用、又は使用直前のポリイソシアナート又はポリイソシアナートとポリオールとの混合物での使用もあまり記載されていない。
【0014】
Journal of the Brazilian Chemical Society, 2009, 18(6), 1220 - 1223には、反応媒体としてのイオン液体の存在下の、芳香族カルボン酸でのイソシアナートのアミド化が記載されている。N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン及びトルエンのような他の溶剤に比べて、より高い収率が得られ、かつイオン液体の有利な作用が述べられている。しかしながら、イソシアナートとアミン、アルコール及び酸との原理な反応は、一般的に開示されるのみであり、明示的に開示されていない。溶剤としてのイオン液体は、前記反応における触媒を代替することができない。
不利であるのは、前記のハライドは、塗料の場合に金属素地に腐食を引き起こしうることである。
【0015】
本発明の課題は、常用の有機金属触媒、特に技術水準の有機スズ化合物を代替することができ、かつ付加的に改善される硬化特性及び/又はコーティング特性を生じさせる、2成分系ポリウレタン塗料でコーティングするための新規の触媒を開発することにあった。
実地において、目下のところおそらく最も広く普及しているのはDBTLであり、これは多様な不利な有毒特性を有する。
【0016】
前記課題は、以下の工程を含む、コーティング材料で下地をコーティングする方法によって解決された:
・第一工程において、
・(A)少なくとも1種のイソシアナートモノマーの反応により得ることができる、少なくとも1種のポリイソシアナート、
・(B)イソシアナートに対して反応性の少なくとも2個の基、少なくとも1000g/molの数平均分子量Mn及び40〜350mg KOH/gのOH価を有する、少なくとも1種の化合物、
・(C)少なくとも1種のイミダゾリウム塩、
・(D)任意に、少なくとも1種の溶剤、
・(E)任意に、(C)とは異なる少なくとも1種のウレタン化触媒、並びに、
・(F)任意に、塗料に典型的な他の成分及び/又は添加剤
を含有する少なくとも1種のコーティング材料で下地をコーティングする工程、
ここで、イミダゾリウム塩(C)は、式
【化1】

を有し、式中、R1及びR3は互いに独立して、炭素原子1〜20個を有する有機基を表し、
2、R4及びR5は互いに独立して、水素原子を表すか又は20個までの炭素原子を有する有機基を表し、かつA-はアニオンを表す、
・任意に、下地に施与されたコーティング材料を乾燥させる工程、続いて
・下地に施与されたコーティング材料を硬化させる工程。
【0017】
これらのコーティング材料を用いて、有機金属触媒を用いたのと少なくとも匹敵しうる性質を有するコーティングが得られることができる。
【0018】
匹敵しうる量のDBTLを用いる硬化に比べて、硬化は、より低い硬化温度もしくは短縮された硬化時間で実施されることができる。匹敵しうる量のDBTLは、応用技術的に直接比較することで類似の加工時間に調節されることを意味している。加工時間の尺度として、その際に、好ましくは同じゲル時間に調節される(実施例参照)。
【0019】
本発明による方法は、塗装系の高い硬さが低い硬化温度で既に達成されることに傑出している。硬さは、良好な加工時間と同時に普通の触媒を用いて達成される値、特にDBTLを用いて達成される値を上回る。
【0020】
ポリイソシアナート(A)
ポリイソシアナートの製造に使用されるイソシアナートモノマーは、芳香族、脂肪族又は環式脂肪族であってよく、好ましくは、本明細書において(環式)脂肪族と略称される脂肪族又は環式脂肪族であってよく、特に好ましいのは、脂肪族イソシアナートである。
【0021】
芳香族イソシアナートは、少なくとも1個の芳香族環系を有するもの、すなわち純芳香族化合物並びに芳香脂肪族化合物である。
【0022】
環式脂肪族イソシアナートは、少なくとも1個の環式脂肪族環系を有するものである。
【0023】
脂肪族イソシアナートは、専ら直鎖又は分枝鎖を有するもの、すなわち非環状化合物である。
【0024】
イソシアナートモノマーは、好ましくは、ちょうど2個のイソシアナート基を有するジイソシアナートである。しかし原則的に、1個のイソシアナート基を有するモノイソシアナートであってもよい。
【0025】
原則的に、平均して2個よりも多いイソシアナート基を有する高級イソシアナートも考慮に値する。このためには、例えばトリイソシアナート、例えばトリイソシアナトノナン、2′−イソシアナトエチル−(2,6−ジイソシアナトヘキサノアート)、2,4,6−トリイソシアナトトルエン、トリフェニルメタントリイソシアナート又は2,4,4′−トリイソシアナトジフェニルエーテル又は例えば対応するアニリン/ホルムアルデヒド縮合物のホスゲン化により得られ、かつメチレン結合を有するポリフェニルポリイソシアナートである、ジイソシアナート、トリイソシアナート及び高級ポリイソシアナートの混合物が適している。
【0026】
これらのイソシアナートモノマーは、イソシアナート基とそれら自体との本質的な反応生成物を有しない。
【0027】
イソシアナートモノマーは、好ましくは、炭素原子4〜20個を有するイソシアナートである。常用のジイソシアナートの例は、脂肪族ジイソシアナート、例えばテトラメチレンジイソシアナート、1,5−ペンタメチレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート(1,6−ジイソシアナトヘキサン)、オクタメチレンジイソシアナート、デカメチレンジイソシアナート、ドデカメチレンジイソシアナート、テトラデカメチレンジイソシアナート、リシンジイソシアナートの誘導体、(例えばメチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノアート又はエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノアート)、トリメチルヘキサンジイソシアナート又はテトラメチルヘキサンジイソシアナート、環式脂肪族ジイソシアナート、例えば1,4−、1,3−又は1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、4,4′−又は2,4′−ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(イソホロンジイソシアナート)、1,3−又は1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン又は2,4−、又は2,6−ジイソシアナト−1−メチルシクロヘキサン並びに3(もしくは4),8(もしくは9)−ビス(イソシアナトメチル)−トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン異性体混合物、並びに芳香族ジイソシアナート、例えば2,4−又は2,6−トルイレンジイソシアナート及びそれらの異性体混合物、m−又はp−キシリレンジイソシアナート、2,4′−又は4,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン及びそれらの異性体混合物、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアナート、1−クロロ−2,4−フェニレンジイソシアナート、1,5−ナフチレンジイソシアナート、ジフェニレン−4,4′−ジイソシアナート、4,4′−ジイソシアナト−3,3′−ジメチルジフェニル、3−メチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアナート、テトラメチルキシリレンジイソシアナート、1,4−ジイソシアナトベンゼン又はジフェニルエーテル−4,4′−ジイソシアナート。
【0028】
特に好ましいのは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアナート及び4,4′−又は2,4′−ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタンであり、極めて特に好ましいのは、イソホロンジイソシアナート及び1,6−ヘキサメチレンジイソシアナートであり、殊に好ましいのは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナートである。
【0029】
前記のイソシアナートの混合物も存在していてよい。
【0030】
イソホロンジイソシアナートはたいてい混合物として、しかも、シス異性体及びトランス異性体として、通例約60:40〜90:10(w/w)、好ましくは70:30〜90:10の比で存在する。
【0031】
ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアナートは同様に、異なるシス異性体及びトランス異性体の混合物として存在していてよい。
【0032】
本発明のためには、対応するアミンのホスゲン化により得られるジイソシアナート、並びにホスゲンを使用せずに、すなわちホスゲンフリー法により製造されるジイソシアナートが使用されることができる。例えば、欧州特許出願公開(EP-A)第0 126 299号明細書(米国特許(US)第4 596 678号明細書)、欧州特許出願公開(EP-A)第126 300号明細書(米国特許(US)第4 596 679号明細書)及び欧州特許出願公開(EP-A)第355 443号明細書(米国特許(US)第5 087 739号明細書)の記載によれば、(環式)脂肪族ジイソシアナート、例えば1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、アルキレン基中に炭素原子6個を有する脂肪族ジイソシアナート異性体、4,4′−又は2,4′−ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタン及び1−イソシアナト−3−イソシアナト−メチル−3,5,5−トリメチル−シクロヘキサン(イソホロンジイソシアナートもしくはIPDI)は、(環式)脂肪族ジアミンを例えば尿素及びアルコールと反応させて(環式)脂肪族ビスカルバミン酸エステルにし、それらを熱分解して対応するジイソシアナート及びアルコールにすることにより製造されることができる。その合成は、たいてい、連続的に循環法において及び任意に、N−非置換カルバミン酸エステル、ジアルキルカーボネート及び反応プロセスから返送される他の副生物の存在下で行われる。こうして得られるジイソシアナートは、通例、極めて僅かな割合又はそれどころか測定不可能な割合の塩素化化合物を有し、このことは例えばエレクトロニクス産業における使用に有利である。
【0033】
本発明の一実施態様において、使用されるイソシアナートは、200ppm未満、好ましくは120ppm未満、特に好ましくは80ppm未満、極めて特に好ましくは50ppm未満、特に15ppm未満及び殊に10ppm未満の加水分解性塩素の全含量を有する。これは、例えばASTM規格D4663-98により測定されることができる。しかしもちろん、より高い塩素含量、例えば1000ppmまで、好ましくは800ppmまで及び特に好ましくは500ppmまでの全塩素含量(加水分解後に銀滴定により算出)及び同時に100ppmまで、好ましくは30ppmまでの加水分解性塩素含量を有するイソシアナートモノマーも使用されることができる。
【0034】
もちろん、(環式)脂肪族ジアミンと例えば尿素及びアルコールとの反応及び得られた(環式)脂肪族ビスカルバミン酸エステルの分解により得られているイソシアナートモノマーと、対応するアミンのホスゲン化により得られているジイソシアナートとの混合物も、使用されることができる。
【0035】
イソシアナートモノマーのオリゴマー化により得ることができるポリイソシアナート(A)は、通例、次のように特性決定されている:
そのような化合物の平均NCO官能価は、通例少なくとも1.8であり、かつ8まであってよく、好ましくは2〜5及び特に好ましくは2.4〜4である。
【0036】
オリゴマー化後のイソシアナート基の含有率は、NCO=42g/molとして計算して、他に記載されない場合には、通例、5〜25質量%である。
【0037】
好ましくは、ポリイソシアナート(A)は、次の化合物である:
1)芳香族、脂肪族及び/又は環式脂肪族のジイソシアナートからの、イソシアヌラート基を有するポリイソシアナート。特に好ましいのは、この場合に、対応する脂肪族及び/又は環式脂肪族のイソシアナト−イソシアヌラート及び特にヘキサメチレンジイソシアナート及びイソホロンジイソシアナートをベースとするものである。その際存在しているイソシアヌラートは、特に、ジイソシアナートの環状三量体であるトリス−イソシアナトアルキル−イソシアヌラートもしくはトリス−イソシアナトシクロアルキル−イソシアヌラートであるか、又は1個よりも多いイソシアヌラート環を有するそれらの高級同族体との混合物である。イソシアナト−イソシアヌラートは一般的に、10〜30質量%、特に15〜25質量%のNCO含有率及び2.6〜8の平均NCO官能価を有する。
イソシアヌラート基を有するポリイソシアナートは、より僅かな程度でウレタン基及び/又はアロファナート基も含有していてよく、好ましくはポリイソシアナートを基準として2%未満の結合アルコール含量を有する。
【0038】
2)芳香族、脂肪族及び/又は環式脂肪族結合したイソシアナート基、好ましくは脂肪族及び/又は環式脂肪族結合したイソシアナート基を有し、ウレトジオン基を有するポリイソシアナート及び特にヘキサメチレンジイソシアナート又はイソホロンジイソシアナートから誘導されたもの。ウレトジオンジイソシアナートは、ジイソシアナートの環状二量化生成物である。
ウレトジオン基を有するポリイソシアナートは、しばしば他のポリイソシアナート、特に1)で挙げられたものとの混合物で、得られる。ウレトジオン基を有するポリイソシアナートは通常、2〜3の官能性を有する。
そのためには、ジイソシアナートは、ウレトジオン基並びに他のポリイソシアナートが形成されるか、又はまず最初にウレトジオン基が形成され、かつこれらが引き続き他のポリイソシアナートへ変換されるか、又はジイソシアナートがまず最初に他のポリイソシアナートへ変換され、かつこれらが引き続きウレトジオン基含有生成物へ変換される反応条件下で、反応されることができる。
【0039】
3)芳香族、環式脂肪族又は脂肪族結合したイソシアナート基、好ましくは環式脂肪族又は脂肪族結合したイソシアナート基を有し、ビウレット基を有するポリイソシアナート、特にトリス−(6−イソシアナトヘキシル)−ビウレット又はそれとその高級同族体との混合物。ビウレット基を有するこれらのポリイソシアナートは、一般的に18〜24質量%のNCO含有率及び2.8〜6の平均NCO官能価を有する。
【0040】
4)芳香族、脂肪族又は環式脂肪族結合したイソシアナート基、好ましくは脂肪族又は環式脂肪族結合したイソシアナート基を有し、ウレタン基及び/又はアロファナート基を有するポリイソシアナート、例えば過剰量のジイソシアナート、例えばヘキサメチレンジイソシアナート又はイソホロンジイソシアナートと、一価又は多価のアルコール(A)との反応によるもの。ウレタン基及び/又はアロファナート基を有するこれらのポリイソシアナートは、一般的に12〜24質量%のNCO含有率及び2.0〜4.5の平均NCO官能価を有する。ウレタン基及び/又はアロファナート基を有するそのようなポリイソシアナートは、触媒作用なしで又は好ましくは触媒、例えばカルボン酸アンモニウム又は水酸化アンモニウム、又はアロファナート化触媒、例えばビスマス化合物、コバルト化合物、セシウム化合物、Zn(II)化合物又はZr(IV)化合物の存在下で、それぞれ1価、2価又は多価のアルコール、好ましくは1価のアルコールの存在下で、製造されることができる。
ウレタン基及び/又はアロファナート基を有するこれらのポリイソシアナートは、しばしば1)で挙げられたポリイソシアナートとの混合形で生じる。
【0041】
5)オキサジアジントリオン基を有するポリイソシアナート、好ましくはヘキサメチレンジイソシアナート又はイソホロンジイソシアナートから誘導されるもの。オキサジアジントリオン基を有するそのようなポリイソシアナートは、ジイソシアナート及び二酸化炭素から入手可能である。
【0042】
6)イミノオキサジアジンジオン基を有するポリイソシアナート、好ましくはヘキサメチレンジイソシアナート又はイソホロンジイソシアナートから誘導されるもの。イミノオキサジアジンジオン基を有するそのようなポリイソシアナートは、ジイソシアナートから特別な触媒を用いて製造可能である。
【0043】
7)ウレトイミン変性ポリイソシアナート。
【0044】
8)カルボジイミド変性ポリイソシアナート。
【0045】
9)ハイパーブランチポリイソシアナート、例えば独国特許出願公開(DE-A1)第10013186号明細書又は独国特許出願公開(DE-A1)第10013187号明細書から知られているもの。
【0046】
10)ジイソシアナート及び/又はポリイソシアナートとアルコールとからの、ポリウレタン−ポリイソシアナート−プレポリマー。
【0047】
11)ポリ尿素−ポリイソシアナート−プレポリマー。
【0048】
12)ポリイソシアナート1)〜11)、好ましくは1)、3)、4)及び6)は、それらの製造後に、芳香族、環式脂肪族又は脂肪族結合したイソシアナート基、好ましくは(環式)脂肪族結合したイソシアナート基を有し、ビウレット基又はウレタン基/アロファナート基を有するポリイソシアナートへ変換されることができる。ビウレット基の形成は、例えば、水の添加又はアミンとの反応により行われる。ウレタン基及び/又はアロファナート基の形成は、任意に、適した触媒の存在下での1価、2価又は多価のアルコール、好ましくは1価のアルコールとの反応により行われる。ビウレット基又はウレタン基/アロファナート基を有するこれらのポリイソシアナートは一般的に、10〜25質量%のNCO含有率及び3〜8の平均NCO官能価を有する。
【0049】
13)親水性に変性されたポリイソシアナート、すなわち、1〜12のもとに記載された基に加えて、NCO反応性基及び親水化する基を有する分子の、上記の分子のイソシアナート基への付加により形式的に生じるものを有するポリイソシアナート。後者の親水化する基は、アルキル−ポリエチレンオキシドのような非イオン性基及び/又はリン酸、ホスホン酸、硫酸又はスルホン酸、もしくはそれらの塩から誘導されているイオン性基である。
【0050】
14)デュアルキュア使用のために変性されたポリイソシアナート、すなわち、1〜13のもとに記載された基に加えて、NCO反応性基及び紫外線又は化学線により架橋可能な基を有する分子の、上記の分子のイソシアナート基への付加により形式的に生じるものを有するポリイソシアナート。これらの分子は、例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリラート及び他のヒドロキシビニル化合物である。
【0051】
本発明の好ましい一実施態様において、ポリイソシアナート(A)は、イソシアヌラート、ビウレット、ウレタン及びアロファナートからなる群から、好ましくはイソシアヌラート、ウレタン及びアロファナートからなる群から選択されており、特に好ましくは、イソシアヌラート基含有ポリイソシアナートである。
【0052】
特に好ましい一実施態様において、ポリイソシアナート(A)は、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナートからの、イソシアヌラート基を有するポリイソシアナートである。
【0053】
さらに特に好ましい一実施態様において、ポリイソシアナート(A)は、イソシアヌラート基を有するポリイソシアナートの、極めて特に好ましくは1,6−ヘキサメチレンジイソシアナートの及びイソホロンジイソシアナートの、混合物である。
【0054】
特に好ましい一実施態様において、ポリイソシアナート(A)は、低粘度のポリイソシアナート、好ましくは600〜1500mPa・s、特に1200mPa・s未満の粘度を有するイソシアヌラート基を有するポリイソシアナート、200〜1600mPa・s、特に600〜1500mPa・sの粘度を有する低粘度のウレタン及び/又はアロファナート、及び/又はイミノオキサジアジンジオン基を有するポリイソシアナートを含有する混合物である。
【0055】
本明細書において、他に注記されていない場合には、DIN EN ISO 3219/A.3に従い円すい−平板システムにおいて1000s-1のせん断速度を用いた23℃での粘度が示される。
【0056】
前記ポリイソシアナートの製造方法は、国際公開(WO)第2008/68198号に、特にその第20頁第21行〜第27頁第15行に記載されたように行われることができ、その記載はこの参照により本明細書の開示に含まれるものとする。
【0057】
前記反応は、例えば、国際公開(WO)第2008/68198号の第31頁第19行〜第31頁31行に記載されたように、中断されることができ、かつ後処理は、その第31頁第33行〜第32頁第40行に記載されたように行われ、それらの記載はそれぞれこの参照により本明細書の開示に含まれるものとする。
【0058】
前記反応は選択的に、国際公開(WO)第2005/087828号の第11頁第12行〜第12頁第5行に記載されたように、中断されることもでき、その記載はこの参照により本明細書の開示に含まれるものとする。
【0059】
熱的に不安定な触媒の場合に、前記反応を、少なくとも80℃、好ましくは少なくとも100℃、特に好ましくは少なくとも120℃を上回る温度への反応混合物の加熱により中断することもさらに可能である。このためには、通例、後処理における未反応イソシアナートの蒸留による分離に必要であるような、反応混合物の加熱で既に十分である。
【0060】
熱的に不安定でない触媒並びに熱的に不安定な触媒の場合に、不活性化剤の添加により前記反応をより低い温度で中断するという可能性がある。適した不活性化剤は、例えば塩化水素、リン酸、有機ホスファート、例えばジブチルホスファート又はジエチルヘキシルホスファート、カルバマート、例えばヒドロキシアルキルカルバマート又は有機カルボン酸である。
【0061】
これらの化合物は、純品で又は反応の中断に必要である適した濃度に希釈されて、添加される。
【0062】
バインダー(B)は、イソシアナートに対して反応性の少なくとも2個、好ましくは2〜15個、特に好ましくは2〜8個及び極めて特に好ましくは3〜7個の基を有する少なくとも1種の化合物、例えば1〜3種、好ましくは1〜2種及び特に好ましくはちょうど1種の化合物である。
【0063】
イソシアナートに対して反応性の基は、ヒドロキシ基、第一級又は第二級のアミノ基、特にヒドロキシ基、これらの中では好ましくは第一級又は第二級のヒドロキシ基、特に好ましくは第一級ヒドロキシ基である。
【0064】
バインダーは、例えば、ポリアクリラートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリオール;ポリ尿素ポリオール;ポリエステルポリアクリラートポリオール;ポリエステルポリウレタンポリオール;ポリウレタンポリアクリラートポリオール、ポリウレタン変性アルキド樹脂;脂肪酸変性ポリエステルポリウレタンポリオール、アリルエーテルとのコポリマー、例えば異なるガラス転移温度を有する前記の物質群からのグラフトポリマー、並びに前記のバインダーの混合物であってよい。好ましいのは、ポリアクリラートポリオール、ポリエステルポリオール及びポリウレタンポリオールである。
【0065】
DIN 53240-2(電位差による)に従い測定される、好ましいOH価は、ポリエステルについては固体樹脂1gあたり40〜350mg KOH、好ましくは固体樹脂1gあたり80〜180mg KOH、及びポリアクリラートオールについては固体樹脂1gあたり15〜250mg KOH、好ましくは80〜160mg KOH/gである。
【0066】
付加的に、バインダーは、200mg KOH/gまで、好ましくは150mg KOH/gまで及び特に好ましくは100mg KOH/gまでのDIN EN ISO 3682(電位差による)による酸価を有していてよい。
【0067】
特に好ましいバインダー(B)は、ポリアクリラートポリオール及びポリエステルオールである。
【0068】
ポリアクリラートポリオールは、好ましくは、少なくとも500g/mol、特に好ましくは少なくとも1200g/molの分子量Mnを有する。分子量Mnは、原則的に上限がなくてよく、好ましくは50 000g/molまで、特に好ましくは20 000g/molまで、極めて特に好ましくは10 000g/molまで及び特に5 000g/molまでであってよい。
【0069】
ヒドロキシ官能性モノマー(下記参照)は、ポリマーの前記のヒドロキシ価が生じるような量で共重合の際に併用され、それらは一般的にポリマーの0.5〜8質量%、好ましくは1〜5質量%のヒドロキシ基含量に相当する。
【0070】
これらは、少なくとも1種のヒドロキシ基含有(メタ)アクリラートと、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ビニル芳香族化合物、α,β−不飽和カルボン酸及び他のモノマーからなる群から選択される少なくとも1種の重合可能な別のコモノマーとからの、ヒドロキシ基含有コポリマーである。
【0071】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして挙げることができるのは、例えばC1〜C20−アルキル(メタ)アクリラートであり、ビニル芳香族化合物は、20個までの炭素原子を有するものであり、α,β−不飽和カルボン酸はそれらの無水物も含み、かつ他のモノマーは、例えば、20個までの炭素原子を有するカルボン酸のビニルエステル、エチレン系不飽和ニトリル、炭素原子1〜10個を有するアルコールのビニルエーテルであり、かつより好ましくないのは、炭素原子2〜8個及び二重結合1又は2個を有する脂肪族炭化水素である。
【0072】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして好ましいのは、C1〜C10−アルキル基を有するもの、例えばメタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、n−ブチルアクリラート、アクリル酸エチル及び2−エチルヘキシルアクリラートである。
【0073】
特に、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの混合物も適している。
【0074】
炭素原子1〜20個を有するカルボン酸のビニルエステルは、例えば、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、プロピオン酸ビニル及び酢酸ビニルである。
【0075】
α,β−不飽和カルボン酸及びそれらの無水物は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸又は無水マレイン酸、好ましくはアクリル酸であってよい。
【0076】
ヒドロキシ官能性モノマーとして、α,β−不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸(本明細書において"(メタ)アクリル酸"と略称される)と、ジオール又はポリオールとのモノエステルを挙げることができ、前記ジオール又はポリオールは好ましくは炭素原子2〜20個及び少なくとも2個のヒドロキシ基を有し、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,1−ジメチル−1,2−エタンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバル酸ネオペンチルグリコールエステル、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,4−ブタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,4−ジエチル−オクタン−1,3−ジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−、1,2−、1,3−及び1,4−ビス(ヒドロキシメチル)−シクロヘキサン、1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリトリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトール、ジグリセリン、トレイトール、エリトリトール、アドニトール(リビトール)、アラビトール(リキシトール)、キシリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、マルチトール、イソマルト、162〜4500、好ましくは250〜2000のモル質量を有するポリ−THF、134〜2000のモル質量を有するポリ−1,3−プロパンジオール又はポリプロピレングリコール又は238〜2000のモル質量を有するポリエチレングリコールである。
【0077】
好ましいのは、2−ヒドロキシエチルアクリラート、2−ヒドロキシエチルメタクリラート、2−又は3−ヒドロキシプロピルアクリラート、1,4−ブタンジオールモノアクリラート又は3−(アクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルアクリラート及び特に好ましくは2−ヒドロキシエチルアクリラート及び/又は2−ヒドロキシエチルメタクリラートである。
【0078】
ビニル芳香族化合物として、例えばビニルトルエン、α−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、4−n−ブチル−スチレン、4−n−デシルスチレン及び好ましくはスチレンが考慮に値する。
【0079】
ニトリルの例は、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルである。
【0080】
適したビニルエーテルは、例えばビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルヘキシルエーテル及びビニルオクチルエーテルである。
【0081】
炭素原子2〜8個及びオレフィン二重結合1又は2個を有する非芳香族炭化水素として、ブタジエン、イソプレン、並びにエチレン、プロピレン及びイソブチレンを挙げることができる。
【0082】
さらに、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルピロリドン並びにN−ビニルカプロラクタム、さらに、エチレン系不飽和酸、特にカルボン酸、酸無水物又は酸アミド、並びにビニルイミダゾールが使用可能である。エポキシド基を有するコモノマー、例えばグリシジルアクリラートもしくはグリシジルメタクリラート又はN−メトキシメチルアクリルアミドもしくはN−メトキシメチルメタクリルアミドのようなモノマーも、少量で併用されることができる。
【0083】
好ましいのは、アルコール基中に炭素原子1〜18個、好ましくは炭素原子1〜8個を有するアクリル酸もしくはメタクリル酸のエステル、例えばアクリル酸、アクリル酸エチル、イソプロピルアクリラート、n−プロピルアクリラート、n−ブチルアクリラート、2−エチルヘキシルアクリラート、n−ステアリルアクリラート、これらのアクリラートに対応するメタクリラート、スチレン、アルキル置換スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル又はステアリン酸ビニルあるいはこの種のモノマーの任意の混合物である。
【0084】
ヒドロキシ基を有するモノマーは、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリラートの共重合において、重合可能な、好ましくはラジカル重合可能な他のモノマーとの混合物で使用され、好ましくは前記モノマーは、50質量%超がC1〜C20−、好ましくはC1〜C4−アルキル(メタ)アクリラート、(メタ)アクリル酸、20個までの炭素原子を有するビニル芳香族化合物、20個までの炭素原子を有するカルボン酸のビニルエステル、ハロゲン化ビニル、炭素原子4〜8個及び二重結合1又は2個を有する非芳香族炭化水素、不飽和ニトリル及びそれらの混合物からなるものである。特に好ましいのは、ヒドロキシ基を有するモノマーに加えて、60質量%超がC1〜C10−アルキル(メタ)アクリラート、スチレン及びその誘導体又はそれらの混合物からなるポリマーである。
【0085】
前記ポリマーの製造は、常用の方法による重合により実施されることができる。好ましくは、前記ポリマーの製造は、乳化重合において又は有機溶液中で行われる。連続的な又は不連続な重合方法が可能である。不連続な方法の中では、バッチ法及び流加法を挙げることができ、その際に後者が好ましい。流加法の場合に、溶剤は、単独で又はモノマー混合物の一部と共に装入され、重合温度に加熱され、重合が、モノマー装入の場合にラジカルにより開始され、かつ残りのモノマー混合物は、開始剤混合物と一緒に1〜10時間、好ましくは3〜6時間の過程で、計量供給される。任意に、引き続き、重合を少なくとも99%の転化率まで実施するために、さらに後活性化される。
【0086】
溶剤として、例えば、芳香族化合物、例えばソルベントナフサ、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、エステル、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メチルグリコール、酢酸エチルグリコール、酢酸メトキシプロピル、エーテル、例えばブチルグリコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルグリコールエーテル、ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、含ハロゲン溶剤、例えば塩化メチレン又はトリクロロモノフルオロエタンが考慮に値する。
【0087】
さらなるバインダー(B)は、例えば、ポリエステルポリオールであり、これらは例えばポリカルボン酸、特にジカルボン酸とポリオール、特にジオールとの縮合により得ることができる。ポリエステルポリオールの重合に適切な官能価を補償するために、部分的にトリオール、テトロール等並びに三酸等も使用される。
【0088】
ポリエステルポリオールは、例えば、Ullmanns Enzyklopaedie der technischen Chemie, 第4版, 第19巻, p.62-65から知られている。好ましくは、2価アルコールと2価カルボン酸との反応により得られるポリエステルポリオールが使用される。遊離ポリカルボン酸の代わりに、対応するポリカルボン酸無水物又は低級アルコールの対応するポリカルボン酸エステル又はそれらの混合物も、ポリエステルポリオールの製造に使用されることができる。ポリカルボン酸は、脂肪族、環式脂肪族、芳香族又はヘテロ環式であってよく、かつ任意に、例えばハロゲン原子により、置換されていてよい及び/又は不飽和であってよい。これらの例として次のものを挙げることができる:
シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、o−フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、アゼライン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸又はテトラヒドロフタル酸、スベリン酸、アゼライン酸、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラクロロフタル酸無水物、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、グルタル酸無水物、無水マレイン酸、ダイマー脂肪酸、それらの異性体及び水素化生成物並びに前記の酸のエステル化可能な誘導体、例えば無水物又はジアルキルエステル、例えばC1〜C4−アルキルエステル、好ましくはメチルエステル、エチルエステル又はn−ブチルエステルが使用される。好ましいのは、一般式HOOC−(CH2y−COOHのジカルボン酸であり、ここでyは、1〜20の数、好ましくは2〜20の偶数であり、特に好ましくはコハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びドデカンジカルボン酸である。
【0089】
多価アルコールとして、ポリエステルオールの製造のためには、1,2−プロパンジオール、エチレングリコール、2,2−ジメチル−1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチルペンタン−1,5−ジオール、2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、2,4−ジエチルオクタン−1,3−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、162〜4500、好ましくは250〜2000のモル質量を有するポリ−THF、134〜1178のモル質量を有するポリ−1,3−プロパンジオール、134〜898のモル質量を有するポリ−1,2−プロパンジオール、106〜458のモル質量を有するポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバル酸ネオペンチルグリコールエステル、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−、1,2−、1,3−及び1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジオール、トリメチロールブタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリトリトール、グリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトール、ジグリセリン、トレイトール、エリトリトール、アドニトール(リビトール)、アラビトール(リキシトール)、キシリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、マルチトール又はイソマルトが考慮に値し、これらは任意に、前記のようにアルコキシル化されていてよい。
【0090】
好ましいのは、一般式HO−(CH2x−OHのアルコールであり、ここでxは、1〜20の数、好ましくは2〜20の偶数である。好ましいのは、エチレングリコール、ブタン−1,4−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、オクタン−1,8−ジオール及びドデカン−1,12−ジオールである。さらに好ましいのは、ネオペンチルグリコールである。
【0091】
さらに、ポリカーボネートジオールも考慮に値し、例えばこれらは、例えばホスゲンと、ポリエステルポリオールの構成成分として挙げた過剰量の低分子量アルコールとの反応により得られることができる。
【0092】
適しているのは、ラクトンベースのポリエステルジオールでもあり、これらは、ラクトンのホモポリマー又は混合ポリマー、好ましくは適した二官能性開始剤分子へのラクトンの、末端ヒドロキシ基を有する付加生成物である。ラクトンとして、好ましくは、一般式HO−(CH2z−COOHの化合物から誘導されるものが考慮に値し、ここでzは1〜20の数であり、かつメチレン単位の水素原子は、C1〜C4−アルキル基によって置換されていてもよい。例は、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン及び/又はメチル−ε−カプロラクトン、4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフタレン酸又はピバロラクトン並びにそれらの混合物である。適した開始剤成分は、例えば、前記でポリエステルポリオールの構成成分として挙げた低分子量2価アルコールである。ε−カプロラクトンの対応するポリマーが特に好ましい。低級ポリエステルジオール又はポリエーテルジオールも、開始剤としてラクトンポリマーの製造に使用されていてよい。ラクトンのポリマーの代わりに、前記ラクトンに対応するヒドロキシカルボン酸の化学的に等価な対応する重縮合物も使用されることができる。
【0093】
ポリウレタン塗料中で、800〜4000g/molのポリエステルのモル質量Mnが常用であり、その際にここで使用されるポリエステルはそれらに限定されていない。
【0094】
さらに、バインダーとして、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシド、好ましくはエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド及び特に好ましくはエチレンオキシドの、H−活性成分への添加により製造されるポリエーテルオールも適している。同じように、ブタンジオールの重縮合物が適している。ポリウレタン塗料中で、500〜2000g/molのポリエーテルのモル質量が常用であり、その際にここで使用されるポリエーテルはそれらに限定されていない。
【0095】
ポリマーは、いわゆる反応性希釈剤により少なくとも部分的に代替されることができる。これらは、ブロックされた第二級又は第一級のアミン(アルドイミン及びケチミン)又は立体障害性の及び/又は電子の乏しい第二級アミノ基を有する化合物、例えば欧州特許(EP)第403921号明細書又は国際公開(WO)第2007/39133号に記載のアスパラギン酸エステルであってよい。
【0096】
(C)イミダゾリウム塩
化合物(C)は、式I
【化2】

で示される少なくとも1種、例えば1〜3種、好ましくは1〜2種及び特に好ましくはちょうど1種のイミダゾリウム塩であり、
式中、R1及びR3は互いに独立して、炭素原子1〜20個を有する有機基を表し、
2、R4及びR5は互いに独立して、水素原子を表すか又は20個までの炭素原子を有する有機基を表し、かつA-は、アニオンを表す。
【0097】
1及びR3は、好ましくは互いに独立して、炭素原子1〜10個を有する有機基を表す。有機基は、さらに別のヘテロ原子、特に酸素原子、窒素原子、硫黄原子又はリン原子又は官能基、例えばヒドロキシ基、エーテル基、エステル基又はカルボニル基を有していてもよい。
【0098】
特に、R1及びR3は、炭素及び水素に加えて、必要とあればさらにヒドロキシ基、エーテル基、エステル基又はカルボニル基を有していてよい炭化水素基を表す。
【0099】
1及びR3は、特に好ましくは互いに独立して、炭素原子1〜20個、特に炭素原子1〜10個を有し、その他のヘテロ原子、例えば酸素又は窒素を有しない炭化水素基を表す。炭化水素基は、脂肪族であってよく(その際に不飽和脂肪族基も含まれている)、又は芳香族であってよく、又は芳香族基並びに脂肪族基を有していてよい。好ましくは、R1及びR3は、脂肪族炭化水素基を表す。
【0100】
炭化水素基として挙げることができるのは、例えば、フェニル基、ベンジル基、1種又はそれ以上のC1〜C4 アルキル基により置換されたフェニル基又はベンジル基、メシチル基、アルキル基及びアルケニル基、特にアルキル基である。
【0101】
極めて特に好ましくは、R1及びR3は互いに独立して、C1〜C18 アルキル基、好ましくはC1〜C16 アルキル基、特に好ましくはC1〜C14 アルキル基、極めて特に好ましくはC1〜C12 アルキル基及び特にC1〜C10 アルキル基を表す。アルキル基として、C1〜C6 アルキル基は、特別な一実施態様を表し、かつ極めて特別な一実施態様において、アルキル基は、C1〜C4 アルキル基である。
【0102】
極めて特に好ましくは、R1及びR3は互いに独立して、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基又はt−ブチル基を表し、その際にメチル基、エチル基、n−プロピル基及びn−ブチル基は、特別な意味を有する。
【0103】
好ましくは、R1は、C1〜C6 アルキル基、特にC1〜C4 アルキル基を表す。
【0104】
好ましくは、R3は、メチル基を表す。
【0105】
好ましい一実施態様において、R2は、水素原子を表す。
【0106】
好ましい他の一実施態様において、R2は、アルキル基、例えばC1〜C18 アルキル基、好ましくはC1〜C16 アルキル基、特に好ましくはC1〜C14 アルキル基、極めて特に好ましくはC1〜C12 アルキル基及び特にC1〜C10 アルキル基を表す。基R2については、C1〜C6 アルキル基が、特別な一実施態様であり、かつ極めて特別な一実施態様においてアルキル基は、C1〜C4 アルキル基である。
【0107】
4及びR5は、好ましくは互いに独立して、水素原子を表すか又は炭素原子1〜10個を有する有機基を表す。有機基は、さらに別のヘテロ原子、特に酸素原子、窒素原子、硫黄原子又はリン原子又は官能基、例えばヒドロキシ基、エーテル基、エステル基又はカルボニル基を有していてもよい。
【0108】
特に、R4及びR5は、炭素及び水素に加えて、必要とあればさらにヒドロキシ基、エーテル基、エステル基又はカルボニル基を有していてよい炭化水素基を表す。
【0109】
4及びR5は、特に好ましくは互いに独立して、炭素原子1〜20個、特に炭素原子1〜10個を有し、その他のヘテロ原子、例えば酸素又は窒素を有しない炭化水素基を表す。炭化水素基は、脂肪族であってよく(その際に不飽和脂肪族基も含まれている)、又は芳香族であってよく、又は芳香族基並びに脂肪族基を有していてよい。好ましくは、R1及びR2は、脂肪族炭化水素基を表す。
【0110】
炭化水素基として挙げることができるのは、例えばフェニル基、ベンジル基、1個又はそれ以上のC1〜C4 アルキル基により置換されたフェニル基又はベンジル基、メシチル基、アルキル基及びアルケニル基、特にアルキル基である。
【0111】
極めて特に好ましくは、R4及びR5は、水素原子を表すか又はC1〜C10 アルキル基を表す。アルキル基として、C1〜C6 アルキル基が特に好ましく、特別な一実施態様において、アルキル基は、C1〜C4 アルキル基である。
【0112】
極めて特に好ましくは、R4及びR5は互いに独立して、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基又はt−ブチル基を表し、その際にメチル基、エチル基、n−プロピル基及びn−ブチル基は特別な意味を有する。
【0113】
特別な一実施態様において、R4及びR5それぞれ水素原子を表す。
さらなる特別な一実施態様において、R2、R4及びR5はそれぞれ水素原子を表す。
【0114】
さらに好ましい一実施態様は、対称的な1,3−ジアルキル置換イミダゾリウムイオン及び対称的な1,3−ジアルキル−2−R2−置換イミダゾリウムイオンである。
【0115】
イミダゾリウムイオンの例は、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウム、3−エチル−1−メチルイミダゾリウム、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウム、3−n−ブチル−1−メチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウム、1−デシル−3−メチルイミダゾリウム、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウム、1,3−ジエチルイミダゾリウム、1,3−ジイソプロピルイミダゾリウム、1,3−ジ−n−ブチルイミダゾリウム、1,3−ジヘキシルイミダゾリウム並びに1,2,3,4,5−ペンタメチル−イミダゾリウムである。
【0116】
好ましいイミダゾリウムイオンは、3−エチル−1−メチルイミダゾリウム、3−n−ブチル−1−メチルイミダゾリウム、1,3−ジエチルイミダゾリウム;1,3−ジヘキシルイミダゾリウム、1,3−ジ−n−ブチルイミダゾリウム及び1,3−ジイソプロピルイミダゾリウム並びに1,2,3,4,5−ペンタメチル−イミダゾリウムである。
【0117】
式I中のアニオンA-は、任意のアニオン、好ましくはカルボキシラートアニオンである。
【0118】
カルボキシラートアニオン以外のアニオンは、例えば、国際公開(WO)第2007/090755号に、特にその第20頁第36行〜第24頁第37行に記載されており、その記載はこの参照により本開示に含まれるものとする。
【0119】
アニオンとして考慮に値するのは、特に、以下のものである:
式:
-、Cl-、Br-、I-、BF4-、PF6-、AlCl4-、Al2Cl7-、Al3Cl10-、AlBr4-、FeCl4-、BCl4-、SbF6-、AsF6-、ZnCl3-、SnCl3-、CuCl2-、CF3SO3-、(CF3SO32-、CF3CO2-、CCl3CO2-、CN-、SCN-、OCN-、NO2-、NO3-、N(CN)-
で示されるハロゲニド及び含ハロゲン化合物の群;
一般式:
SO42-、HSO4-、SO32-、HSO3-、RaOSO3-、RaSO3-
で示されるスルファート、スルフィット及びスルホナートの群;
一般式:
PO43-、HPO42-、H2PO4-、RaPO42-、HRaPO4-、RabPO4-
で示されるホスファートの群;
一般式:
aHPO3-、RabPO2-、RabPO3-
で示されるホスホナート及びホスフィナートの群;
一般式:
PO33-、HPO32-、H2PO3-、RaPO32-、RaHPO3-、RabPO3-
で示されるホスフィットの群;
一般式:
abPO2-、RaHPO2-、RabPO-、RaHPO-
で示されるホスホニット及びホスフィニットの群;
一般式:
BO33-、HBO32-、H2BO3-、RabBO3-、RaHBO3-、RaBO32-、B(ORa)(ORb)(ORc)(ORd-、B(HSO4-、B(RaSO4-
で示されるボラートの群;
一般式:
aBO22-、RabBO-
で示されるボロナートの群;
一般式:
HCO3-、CO32-、RaCO3-
で示されるカーボネート及び炭酸エステルの群;
一般式:
SiO44-、HSiO43-、H2SiO42-、H3SiO4-、RaSiO43-、RabSiO42-、RabcSiO4-、HRaSiO42-、H2aSiO4-、HRabSiO4-
で示されるシリケート及びケイ酸エステルの群;
一般式:
aSiO33-、RabSiO22-、RabcSiO-、RabcSiO3-、RabcSiO2-、RabSiO32-
で示されるアルキルシラン塩もしくはアリールシラン塩の群;
一般式:
【化3】

で示されるカルボン酸イミド、ビス(スルホニル)イミド及びスルホニルイミドの群;
一般式:
【化4】

で示されるメチドの群;
一般式:
a-
で示されるアルコキシド及びアリールオキシドの群;
一般式
[MrHalts-
[式中、Mは金属を表し、かつHalはフッ素、塩素、臭素又はヨウ素を表し、r及びtは正の整数であり、かつ錯体の化学量論を示し、かつsは正の整数であり、かつ錯体の電荷を示す]
で示されるハロメタラートの群;
一般式:
2-、HS-、[Sv2-、[HSv-、[RaS]-
[式中、vは2〜10の正の整数である]
で示されるスルフィド、ハイドロジェンスルフィド、ポリスルフィド、ハイドロジェンポリスルフィド及びチオラートの群;及び
Fe(CN)63-、Fe(CN)64-、MnO4 -、Fe(CO)4-のような錯体金属イオンの群。
【0120】
前記のアニオン中で、Ra、Rb、Rc及びRdは互いに独立してそれぞれ、
水素;
1〜C30−アルキル及びそのアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、ホルミル、−O−、−CO−、−CO−O−又は−CO−N<で置換された成分、例えばメチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−1−プロピル(イソブチル)、2−メチル−2−プロピル(t−ブチル)、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−2−ブチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2−メチル−3−ペンチル、3−メチル−3−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−2−ブチル、3,3−ジメチル−2−ブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル、ヘンイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、トリアコンチル、フェニルメチル(ベンジル)、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、シクロペンチルメチル、2−シクロペンチルエチル、3−シクロペンチルプロピル、シクロヘキシルメチル、2−シクロヘキシルエチル、3−シクロヘキシルプロピル、メトキシ、エトキシ、ホルミル、アセチル又はCq2(q-a)+(1-b)2a+b、ここでq≦30、0≦a≦q及びb=0又は1である(例えばCF3、C25、CH2CH2−C(q-2)2(q-2)+1、C613、C817、C1021、C1225);
3〜C12−シクロアルキル及びそのアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、ホルミル、−O−、−CO−又は−CO−O−で置換された成分、例えばシクロペンチル、2−メチル−1−シクロペンチル、3−メチル−1−シクロペンチル、シクロヘキシル、2−メチル−1−シクロヘキシル、3−メチル−1−シクロヘキシル、4−メチル−1−シクロヘキシル又はCq2(q-a)-(1-b)2a-b、ここでq≦30、0≦a≦q及びb=0又は1である;
2〜C30−アルケニル及びそのアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、ホルミル、−O−、−CO−又は−CO−O−で置換された成分、例えば2−プロペニル、3−ブテニル、シス−2−ブテニル、トランス−2−ブテニル又はCq2(q-a)-(1-b)2a-b、ここでq≦30、0≦a≦q及びb=0又は1である;
3〜C12−シクロアルケニル及びそのアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、ホルミル、−O−、−CO−又は−CO−O−で置換された成分、例えば3−シクロペンテニル、2−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、2,5−シクロヘキサジエニル又はCq2(q-a)-3(1-b)2a-3b、ここでq≦30、0≦a≦q及びb=0又は1である;
炭素原子2〜30個を有するアリール又はヘテロアリール及びそれらのアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、ホルミル、−O−、−CO−又は−CO−O−で置換された成分、例えばフェニル、2−メチル−フェニル(2−トリル)、3−メチル−フェニル(3−トリル)、4−メチル−フェニル、2−エチル−フェニル、3−エチル−フェニル、4−エチル−フェニル、2,3−ジメチル−フェニル、2,4−ジメチル−フェニル、2,5−ジメチル−フェニル、2,6−ジメチル−フェニル、3,4−ジメチル−フェニル、3,5−ジメチル−フェニル、4−フェニル−フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、2−ピリジニル、3−ピリジニル、4−ピリジニル又はC6(5-a)a、ここで0≦a≦5である;又は
2個の基が一緒になって、場合により官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又はヘテロ環により置換され、かつ場合により1個又はそれ以上の酸素原子及び/又は硫黄原子により及び/又は1個又はそれ以上の置換又は非置換のイミノ基により中断された、不飽和、飽和又は芳香族の環
を意味する。
【0121】
前記のアニオン中で、Ra、Rb、Rc及びRdは好ましくは、互いに独立してそれぞれ、水素原子又はC1〜C12−アルキル基を意味する。
【0122】
アニオンとして挙げることができるのは、例えば、クロリド;ブロミド;ヨージド;チオシアナート;ヘキサフルオロホスファート;トリフルオロメタンスルホナート;メタンスルホナート;カルボキシラート、特にホルマート;アセタート;マンデラート;ニトラート;ニトリット;トリフルオロアセタート;スルファート;ハイドロジェンスルファート;メチルスルファート;エチルスルファート;1−プロピルスルファート;1−ブチルスルファート;1−ヘキシルスルファート;1−オクチルスルファート;ホスファート;ジハイドロジェンホスファート;ハイドロジェンホスファート;C1〜C4−ジアルキルホスファート;プロピオナート;テトラクロロアルミナート;Al2Cl7-;クロロジンカート;クロロフェラート;ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド;ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド;ビス(メチルスルホニル)イミド;ビス(p−トリルスルホニル)イミド;トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド;ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)メチド;p−トリルスルホナート;テトラカルボニルコバルタート;ジメチレングリコールモノメチルエーテルスルファート;オレアート;ステアラート;アクリラート;メタクリラート;マレアート;ハイドロジェンシトラート;ビニルホスホナート;ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィナート;ボラート、例えばビス[サリチラト(2−)]ボラート、ビス[オキサラト(2−)]ボラート、ビス[1,2−ベンゼンジオラト(2−)−O,O′]ボラート、テトラシアノボラート、テトラフルオロボラート;ジシアナミド;トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスファート;トリス(ヘプタフルオロプロピル)トリフルオロホスファート、環状アリールホスファート、例えばブレンツカテコールホスファート(C642)P(O)O-及びクロロコバルタートである。
【0123】
特に好ましいアニオンは、次の群のものである:
アルキルスルファート
aOSO3-
ここでRaは、C1−〜C12 アルキル基、好ましくはC1〜C6 アルキル基を表す、
アルキルスルホナート
aSO3-
ここでRaは、C1−〜C12 アルキル基、好ましくはC1〜C6 アルキル基を表す、
ハロゲニド、特にクロリド及びブロミド及び
プソイドハロゲニド、例えばチオシアナート、ジシアナミド。
好ましい一形態において、イミダゾリウム塩の対イオンの対応する酸は、25℃でDMSO中24未満のpKa値を有する。
【0124】
本発明によれば好ましいのは、脂肪族又は芳香族のカルボン酸、好ましくは脂肪族カルボン酸のアニオンであってよいカルボキシラートアニオンである。
【0125】
芳香族カルボン酸のアニオンの例は、ベンゾアート、サリチラート及びニコチナートである。
【0126】
アルカノアートアニオン、すなわちアルカンカルボン酸のアニオンは、直鎖状又は分枝鎖状、好ましくは直鎖状であってよい。
母体のアルカンカルボン酸は、炭素原子1〜20個、好ましくは2〜18個及び特に好ましくは2〜12個を有する。
【0127】
この種のアルカノアートアニオンの例は、アセタート、プロピオナート、イソプロパノアート、2,2−ジメチルプロピオナート(ピバラート)、n−ブタノアート、イソブタノアート、s−ブタノアート、t−ブタノアート、n−ペンタノアート、n−ヘキサノアート、n−ヘプタノアート、n−オクタノアート、イソオクタノアート、n−ノナノアート、イソノナノアート、n−デカノアート、n−ドデカノアート、テトラデカノアート、ヘキサデカノアート、ステアラート及びn−エイコサノアートであり、好ましいのは、アセタート、プロピオナート、イソプロパノアート、イソブタノアート、t−ブタノアート、及びn−ヘキサノアートであり、特に好ましいのは、アセタート、プロピオナート、イソプロパノアート及びイソブタノアートであり、かつ極めて特に好ましいのは、アセタートである。
【0128】
対イオンとしてカルボキシラートアニオンを有するこの種のイミダゾリウムイオンの合成は、例えば、国際公開(WO)第2009/040242号に記載されている。対称的なイミダゾリウム塩の合成は、例えば、国際公開(WO-A2)第2009/074535号に記載されている。
後処理は、例えば、国際公開(WO-A2)第2009/027250号に記載されたように行われることができる。
【0129】
イミダゾリウム触媒の例として、R2=R4=R5=Hであり、かつR1が連鎖長aのn−アルキル基であり、かつR3が連鎖長cのn−アルキル基であり、かつアニオンが、合計でf個の炭素原子を有し、n−アルキル基を有するカルボキシラートであるものを挙げることができる。その際に、明示的に、a−c−f=1−1−2;1−3−2;1−8−2;1−10−2;2−1−2;2−2−8;2−1−12;2−2−2;4−1−2;4−4−2;6−1−2;6−1−12;6−1−18;8−1−2;10−1−14;10−1−16;12−1−2;12−1−12;16−1−2;16−1−8;16−1−10;18−1−8;18−1−12;18−1−14;18−1−18により記載されるような触媒を挙げることができる。
【0130】
さらに、式a−b−c−f=1−1−1−2;2−1−1−2;2−2−2−2;4−1−1−2の、連鎖長bのn−アルキル基としてR2を有する対応する化合物を挙げることができる。
【0131】
さらに、次のものを挙げることができる:1−メチル−3−ビニルイミダゾリウム・アルコキシラート、特に1−メチル−3−ビニルイミダゾリウム・アセタート;1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウム・アルコキシラート、特に1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウム・アセタート、1,3−ジイソプロピルイミダゾリウム・カルボキシラート及び1,2,3,4,5−ペンタメチル−イミダゾリウム・カルボキシラート、特にそれらのアセタート。
【0132】
化合物(C)の利点であるのは、これらが1barで60℃以下、好ましくは40℃以下及び特に好ましくは20℃以下の融点を有する場合である。
【0133】
脂肪族ポリイソシアナートを用いる塗料用途において、しばしば低い固有色を有する成分が好ましい(例えば透明塗料)。故に、化合物(C)の利点であるのは、それらの固有色が、場合により精製工程の後にできるだけ少ない場合である。好ましい一形態において、これらは、20未満、特に好ましくは15未満、極めて特に好ましくは10未満、特に5未満及び殊に1未満のヨウ素色数(DIN 6162)である。
【0134】
さらに、任意に、さらに溶剤又は溶剤混合物(D)が存在していてよい。
溶剤として使用可能であるのは、好ましくは、イミダゾリウム塩が25℃で1質量%よりも多く、好ましくは10質量%よりも多く溶解するものである。
例えば、ケトン、エステル、アルコキシル化されたアルカン酸アルキルエステル、エーテル、あるいは前記溶剤の混合物が使用される。
【0135】
エステルは、例えば酢酸n−ブチル、酢酸エチル、酢酸1−メトキシ−2−プロピル及び酢酸2−メトキシエチルである。
【0136】
エーテルは、例えばTHF、ジオキサン並びにエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール又はトリプロピレングリコールのジメチルエーテル、ジエチルエーテル又はジ−n−ブチルエーテルである。
【0137】
ケトンは、例えばアセトン、ジエチルケトン、エチルメチルケトン、イソブチルメチルケトン、メチルアミルケトン及びt−ブチルメチルケトンである。
【0138】
好ましい溶剤は、酢酸n−ブチル、酢酸エチル、酢酸1−メトキシ−2−プロピル、酢酸2−メトキシエチル、並びにそれらの混合物である。
【0139】
難溶性で、室温で固体のイミダゾリウム塩の場合に、特にケトン、例えばアセトン及びエチルメチルケトンが溶剤として適している。
【0140】
可能なさらなる溶剤は、ブチルグリコールジアセタート(Merck Schuchardt OHG)、ブチルグリコールアセタート(Merck Schuchardt OHG)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(Proglyde(登録商標) DMM、Sigma-Aldrich、独国)及びプロピレンカーボネートである。
【0141】
また、アルコールは溶剤として使用されることができるが、しかし、特に単官能性アルコールである場合に、それらの量が少なく維持されるべきである。
【0142】
好ましい一変法において、イミダゾリウム塩は、溶剤を使用せずに、成分の1つ(ポリオール又はイソシアナート含有成分)中に直接溶解される。
【0143】
溶剤として使用可能であるのは、イソシアナート基又はキャップされたイソシアナート基に対して反応性の基を有さず、かつポリイソシアナートが少なくとも10質量%、好ましくは少なくとも25質量%、特に好ましくは少なくとも50質量%、極めて特に好ましくは少なくとも75質量%、特に少なくとも90質量%及び殊に少なくとも95質量%可溶なものである。
【0144】
この種の溶剤の例は、芳香族炭化水素(アルキル化ベンゼン及びナフタレンを含む)及び/又は(環式)脂肪族炭化水素及びそれらの混合物、塩素化炭化水素、ケトン、エステル、アルコキシル化アルカン酸アルキルエステル、エーテル、あるいは前記溶剤の混合物である。
【0145】
芳香族炭化水素混合物として、主に芳香族C7〜C14−炭化水素を含み、かつ110〜300℃の沸点範囲を含みうるものが好ましく、特に好ましいのは、トルエン、o−、m−又はp−キシレン、トリメチルベンゼン異性体類、テトラメチルベンゼン異性体類、エチルベンゼン、クメン、テトラヒドロナフタレン及びそのようなものを含有する混合物である。
【0146】
それらの例は、ExxonMobil Chemical社のSolvesso(登録商標)銘柄、特にSolvesso(登録商標) 100(CAS番号64742-95-6、主にC9及びC10−芳香族化合物、沸点範囲 約154〜178℃)、150(沸点範囲 約182〜207℃)及び200(CAS番号64742-94-5)、並びにShell社のShellsol(登録商標)銘柄、Petrochem Carless社のCaromax(登録商標)(例えばCaromax(登録商標) 18)及びDHC社のHydrosol(例えばHydrosol(登録商標) A 170として)である。パラフィン、シクロパラフィン及び芳香族化合物の炭化水素混合物は、名称Kristalloel(例えばKristalloel 30、約158〜198℃の沸点範囲又はKristalloel 60:CAS番号64742-82-1)、ホワイトスピリット(Testbenzin)(例えば同様にCAS番号64742-82-1)又はソルベントナフサ(軽質:沸点範囲約155〜180℃、重質:沸点範囲約225〜300℃)でも商業的に入手可能である。この種の炭化水素混合物の芳香族化合物含量は、通例90質量%よりも多く、好ましくは95質量%よりも多く、特に好ましくは98質量%よりも多く及び極めて特に好ましくは99質量%よりも多い。特に低下された含量のナフタレンを有する炭化水素混合物を使用することが有意義でありうる。
【0147】
(環式)脂肪族炭化水素は、例えばデカリン、アルキル化デカリン及び直鎖状又は分枝鎖状のアルカン及び/又はシクロアルカンの異性体混合物である。
【0148】
脂肪族炭化水素の含量は、通例5質量%未満、好ましくは2.5質量%未満及び特に好ましくは1質量%未満である。
【0149】
エステルは、例えば酢酸n−ブチル、酢酸エチル、酢酸1−メトキシ−2−プロピル及び酢酸2−メトキシエチルである。
【0150】
エーテルは、例えばTHF、ジオキサン並びにエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール又はトリプロピレングリコールのジメチルエーテル、ジエチルエーテル又はジ−n−ブチルエーテルである。
【0151】
ケトンは、例えばアセトン、ジエチルケトン、エチルメチルケトン、イソブチルメチルケトン、メチルアミルケトン及びt−ブチルメチルケトンである。
【0152】
好ましい溶剤は、酢酸n−ブチル、酢酸エチル、酢酸1−メトキシ−2−プロピル、酢酸2−メトキシエチル、並びにそれらの混合物、特に前記の芳香族炭化水素混合物との混合物である。
この種の混合物は、5:1〜1:5の体積比で、好ましくは4:1〜1:4の体積比で、特に好ましくは3:1〜1:3の体積比で及び極めて特に好ましくは2:1〜1:2の体積比で製造されることができる。
【0153】
好ましい例は、酢酸ブチル/キシレン、酢酸メトキシプロピル/キシレン1:1、酢酸ブチル/ソルベントナフサ100 1:1、酢酸ブチル/Solvesso(登録商標) 100 1:2及びKristalloel 30/Shellsol(登録商標) A 3:1である。
好ましいのは、そのうえ、芳香族炭化水素混合物、例えばSolvesso(登録商標) 100である。
【0154】
さらに、任意に、より好ましくない場合にも、さらに少なくとも1種のさらなるウレタン化触媒(E)が存在していてよい。これは、例えばアミン(E1)又は有機金属化合物(E2)であってよい。
【0155】
アミン(E1)は、例えば、脂肪族、環式脂肪族又は芳香族の第三級アミンである。それらの例は、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、ピロリジン、キヌクリジン又は1,4−ジ−アザ−ビシクロ−[2.2.2]−オクタンである。
【0156】
有機金属化合物(E2)は、例えば、例えば有機カルボン酸のスズ(II)塩、例えばスズ(II)ジアセタート、スズ(II)ジオクトアート、スズ(II)ビス(エチルヘキサノアート)及びスズ(II)ジラウラートである。そのうえ、亜鉛(II)塩、例えば亜鉛(II)ジオクトアートが使用されることができる。金属錯体、例えば鉄、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、マンガン、ニッケル、亜鉛及びコバルトのアセチルアセトナートも考えられる。さらなる金属触媒は、Blank et al., Progress in Organic Coatings, 1999, Vol. 35, p.19-29に記載されている。
【0157】
有機カルボン酸のジアルキルスズ(IV)塩、例えばジメチルスズ−ジアセタート、ジブチルスズ−ジアセタート、ジブチルスズ−ジブチラート、ジブチルスズ−ビス(2−エチルヘキサノアート)、ジブチルスズ−ジラウラート、ジブチルスズ−マレアート、ジオクチルスズ−ジラウラート及びジオクチルスズ−ジアセタートは、毒性学的な理由からそれらの置換の意味でより好ましくない。
【0158】
好ましいルイス酸性有機金属化合物は、亜鉛(II)−ジオクトアート、ジルコニウム−アセチルアセトナート及びジルコニウム−2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナートである。
【0159】
ビスマス触媒及びコバルト触媒並びにセシウム塩も触媒として使用されることができる。セシウム塩として、その際に、次のアニオンが使用される化合物が考慮に値する:F-、Cl-、ClO-、ClO3-、ClO4-、Br-、I-、IO3-、CN-、OCN-、NO2-、NO3-、HCO3-、CO32-、S2-、SH-、HSO3-、SO32-、HSO4-、SO42-、S222-、S242-、S252-、S262-、S272-、S282-、H2PO2-、H2PO4-、HPO42-、PO43-、P274-、(OCn2n+1-、(Cn2n-12-、(Cn2n-32-並びに(Cn+12n-242-、ここでnは1〜20の数を表す。
【0160】
好ましいのは、その際に、アニオンが、式
(Cn2n-12-並びに(Cn+12n-242-[式中、nは1〜20である]と同じになるセシウムカルボキシラートである。特に好ましいセシウム塩は、アニオンとして一般式
(Cn2n-12-のモノカルボキシラートを有し、ここでnは1〜20の数を表す。この場合に、ホルマート、アセタート、プロピオナート、ヘキサノアート及び2−エチルヘキサノアートを特に挙げることができる。
【0161】
塗料に典型的なさらなる成分及び/又は添加剤(F)として、例えば次のものが使用されることができる:安定剤、UV安定剤、例えばUV吸収体及び適したラジカルスカベンジャー(特にHALS化合物、Hindered Amin Light Stabilizer)、活性剤(促進剤)、乾燥剤、充填剤、顔料、染料、帯電防止剤、防炎加工剤、増粘剤、チキソトロープ剤、表面活性物質、粘度調整剤、可塑剤又はキレート化剤。好ましいのはUV安定剤である。
【0162】
安定剤は、安定化する作用のある少なくとも1種の化合物であり、ここで"安定化する"は、特定の期間にわたる貯蔵の過程で安定化する作用のある化合物を含有しない対応する混合物に比べて、成分Aの色数及び/又は粘度の展開を低下させる性質のことを呼んでいる。
安定化は、成分(A)を単独で、並びに任意にさらなる成分を添加した成分(A)、(C)の予備混合物を、基準とすることができる。これは、特別な一態様において、実際の塗料施与の前のこれらの成分のうちの1種の貯蔵を含む。
【0163】
好ましくは、これらの安定化する作用のある化合物は、一次酸化防止剤(ラジカルスカベンジャー)、二次酸化防止剤(ラジカル形成を防止する化合物、特にこれらの化合物が過酸化物を捕捉する及び/又は分解することによる)及び酸性安定剤(ブレーンステッド酸)からなる群から選択されている。
【0164】
一次酸化防止剤は、好ましくは、立体障害フェノール類である。この種の立体障害フェノール類は、例えば、国際公開(WO)第2008/116894号に記載された、好ましくはその第14頁第10行〜第16頁第10行に記載された化合物であり、その記載はこの参照により本開示に含まれるものとする。
【0165】
二次酸化防止剤は、好ましくは、ホスフィット、ホスホニット、ホスホナート、第二級芳香族アミン及びチオエーテルから、好ましくはホスホニット又はホスホナートからなる群から選択されている。
【0166】
ホスフィットは、芳香族、脂肪族、環式脂肪族又は混合脂肪族/芳香族のホスフィットであってよく、好ましいホスフィットは、国際公開(WO)第2005/89085号に、特にその第6頁第1行〜第7頁第22行に記載されており、その記載はこの参照により本開示に含まれるものとする。
【0167】
好ましいホスホニットは、国際公開(WO)第2008/116894号に、特にその第11頁第8行〜第14頁第8行に記載されており、その記載はこの参照により本開示に含まれるものとする。
【0168】
好ましいホスホナートは、国際公開(WO)第2008/116895号、特にその第10頁第38行〜第12頁第41行に記載されており、その記載はこの参照により本開示に含まれるものとする。
【0169】
好ましい第二級芳香族アミンは、ジアリールアミン、例えばジフェニルアミン及びフェニルナフチルアミン又はアルキルジアリールアミン、例えばアルキルジフェニルアミン及びアルキルフェニルナフチルアミンであり、ここでアルキル基は、例えばC1〜C18 アルキル基、好ましくはC1〜C16 アルキル基、特に好ましくはC1〜C14 アルキル基、極めて特に好ましくはC1〜C12 アルキル基及び特にC1〜C10 アルキル基を表す。特別な一実施態様は、C1〜C6 アルキル基であり、かつ極めて特別な一実施態様において、アルキル基はC1〜C4 アルキル基である。
【0170】
好ましいチオエーテルは、国際公開(WO)第2008/116893号に、特にその第11頁第1行〜第15頁第37行に記載されており、その記載はこの参照により本開示に含まれるものとする。
【0171】
酸性安定剤は、ブレーンステッド酸であり、例えばこれらは国際公開(WO)第2008/116894号に、特にその第17頁第34行〜第18頁第23行に記載されており、その記載はこの参照により本開示に含まれるものとする。
【0172】
乾燥剤又は脱水剤は、好ましくは水と反応することができる化合物である。適した乾燥剤は、例えばp−トルエンスルホニルイソシアナート(例えばBorchers社の添加剤TI)、オルトエステル(例えばBorchers社の添加剤OF)又はオキサゾリジン、例えばICL社のIncozolタイプ(工業用コポリマー)、又はBASF社のBasonat SCIである。好ましいのは、トルエンスルホニルイソシアナートである。
乾燥剤の存在は、特にポリイソシアナート成分中でもしくはイミダゾリウム触媒を含有する成分中で有利でありうる。
【0173】
適したUV吸収体は、オキサニリド類、トリアジン類及びベンゾトリアゾール(後者は例えばCiba SpezialitaetenchemieのTinuvin(登録商標)銘柄として得ることができる)及びベンゾフェノン類(例えばCiba SpezialitaetenchemieのChimassorb(登録商標) 81)を含む。好ましいのは、例えば95%のベンゼンプロパン酸、3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−、C7〜9−分枝鎖状及び線状のアルキルエステル;5%の酢酸1−メトキシ−2−プロピル(例えばTinuvin(登録商標) 384)及びα−[3−[3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1,−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]−1−オキソプロピル]−ω−ヒドロキシポリ(オキソ−1,2−エタンジイル)(例えばTinuvin(登録商標) 1130)であり、それぞれ製品は例えばCiba Spezialitaetenchemie製である。DL−α−トコフェロール、トコフェロール、ケイ皮酸誘導体及びシアノアクリラートは、同様にこのために使用されることができる。
【0174】
これらは、単独で又は適したラジカルスカベンジャー、例えば立体障害アミン(しばしばHALS化合物又はHAS化合物とも呼ばれる;Hindered Amine (Licht) Stabilizer)、例えば2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2,6−ジ−t−ブチルピペリジン又はそれらの誘導体、例えばビス−(2,2,6,6−テトラ−メチル−4−ピペリジル)セバカートと併せて、使用されることができる。これらは、例えばCiba SpezialitaetenchemieのTinuvin(登録商標)及びChimassorb(登録商標)銘柄として得ることができる。しかしながら、ルイス酸との共用で好ましいのは、N−アルキル化されているヒンダードアミン、例えばビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロナート(例えばCiba SpezialitaetenchemieのTinuvin(登録商標) 144);ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバカート及びメチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバカートの混合物(例えばCiba SpezialitaetenchemieのTinuvin(登録商標) 292);又はN−(O−アルキル化されている)ヒンダードアミン、例えばデカン二酸、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシド及びオクタンとの反応生成物(例えばCiba SpezialitaetenchemieのTinuvin(登録商標) 123)である。
【0175】
UV安定剤は、前記配合物中に含まれている固体成分を基準として、通常0.1〜5.0質量%の量で使用される。
【0176】
増粘剤として、ラジカル(共)重合された(コ)ポリマーに加えて、常用の有機及び無機の増粘剤、例えばヒドロキシメチルセルロース又はベントナイトが考慮に値する。
【0177】
キレート化剤として、例えばエチレンジアミン酢酸及びその塩並びにβ−ジケトンが使用されることができる。
【0178】
本来の意味での顔料は、CD Roempp Chemie Lexikon - Version 1.0、Stuttgart/New York: Georg Thieme Verlag 1995によれば、DIN 55943を参照して、粒子状で"使用媒体に事実上不溶の、無機又は有機の有彩色又は無彩色の着色剤"である。
【0179】
事実上不溶は、その際に、使用媒体1000gあたり1g未満、好ましくは使用媒体1000gあたり0.5g未満、特に好ましくは0.25g未満、極めて特に好ましくは0.1g未満及び特に0.05g未満の25℃での溶解度を意味する。
【0180】
実際の意味での顔料の例は、吸収顔料及び/又は効果顔料、好ましくは吸収顔料の任意の系を含む。顔料成分の数及び選択は、その場合に何ら限定を受けていない。これらは、それぞれの必要条件、例えば所望の色の印象に、例えば工程a)に記載されるように、任意に適合されることができる。例えば、規格化された混合塗料系の全ての顔料成分が母体となっていてよい。
【0181】
効果顔料は、小片状構造を示し、かつ表面コーティングに特別な装飾的な色効果を付与する全ての顔料であると理解されるべきである。効果顔料は、例えば、車両塗装及び工業塗装において通常使用可能な、効果を付与する全ての顔料である。この種の効果顔料の例は、純メタリック顔料;例えばアルミニウム顔料、鉄顔料又は銅顔料;干渉顔料、例えば二酸化チタン被覆雲母、酸化鉄被覆雲母、混合酸化物被覆雲母(例えば二酸化チタン及びFe23又は二酸化チタン及びCr23で被覆)、金属酸化物被覆アルミニウム、又は液晶顔料である。
【0182】
効果を付与する吸収顔料は、例えば、塗料工業において使用可能な常用の有機又は無機の吸収顔料である。有機吸収顔料の例は、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料及びピロロピロール顔料である。無機吸収顔料の例は、酸化鉄顔料、二酸化チタン及びカーボンブラックである。
【0183】
染料は、同様に着色剤であり、かつ顔料とは、それらの使用媒体への溶解度の点で相違し、すなわち染料は25℃で、使用媒体への1000gあたり1gを上回る溶解度を有する。
【0184】
染料の例は、アゾ染料、アジン染料、アントラキノン染料、アクリジン染料、シアニン染料、オキサジン染料、ポリメチン染料、チアジン染料、トリアリールメタン染料である。これらの染料は、塩基性染料又はカチオン染料、媒染染料、直接染料、分散染料、顕色染料、バット染料、金属錯体染料、反応染料、酸性染料、硫黄染料、カップリング染料又は媒染剤不要染料として使用されることができる。
【0185】
色に関して不活性な充填剤として、一方では色に関して無効であり;すなわち僅かな固有吸収を示し、かつそれらの屈折率がコーティング媒体の屈折率に類似しており、かつ他方では表面コーティング、すなわち施与された塗膜中の効果顔料の配向(平行整列)、さらにコーティング又はコーティング材料の性質、例えば硬さ又はレオロジーに影響を及ぼすことのできる全ての物質/化合物であると理解されるべきである。以下に、例示的に、使用可能な不活性な物質/化合物が挙げられているが、しかしながら、色に関して不活性でトポロジーに影響を及ぼす充填剤という概念を、これらの例に限定するものではない。前記定義に対応する適した不活性な充填剤は、例えば透明又は半透明な充填剤又は顔料、例えばシリカゲル、沈降硫酸バリウム、ケイソウ土、タルク、炭酸カルシウム類、カオリン、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、結晶質二酸化ケイ素、無定形シリカ、酸化アルミニウム、微小球又は中空微小球、例えば0.1〜50μmのサイズを有し、例えばガラス、セラミック又はポリマー製の微小球又は中空微小球であってよい。さらに、不活性充填剤として、任意の固体の不活性有機粒子、例えば尿素−ホルムアルデヒド縮合生成物、微粉砕ポリオレフィンワックス及び微粉砕アミドワックスが使用されることができる。不活性充填剤はそれぞれ混合物でも使用されることができる。しかしながら好ましくは、それぞれ1種のみの充填剤が使用される。
【0186】
好ましい充填剤は、シリケート類、例えば四塩化ケイ素の加水分解により得ることができるシリケート類、例えばDegussa社のアエロジル(Aerosil)(登録商標)、珪土、タルク、ケイ酸アルミニウム類、ケイ酸マグネシウム類、炭酸カルシウム類等を含む。
【0187】
本発明によるポリイソシアナート組成物は、例えば次のように構成されている:
(A)5〜60質量%、好ましくは10〜50質量%、特に好ましくは10〜30質量%、
(B)10〜80質量%、好ましくは20〜60質量%、
(C)10〜20000質量ppm、好ましくは50〜10000質量ppm、特に好ましくは300〜4000質量ppm及び極めて特に好ましくは1000〜3000質量ppm、
(D)0〜80質量%、好ましくは10〜70質量%、特に好ましくは20〜60質量%、
(E)0〜10000質量ppm、好ましくは10〜5000質量ppm、好ましくは20〜1000質量ppm
(F)0〜5%の成分及び/又は添加剤。
但し、これらの成分の合計は、しかし充填剤、着色剤及び顔料を含めずに、常に100質量%である。
【0188】
前記コーティング材料中で、ポリイソシアナート組成物(A)及びバインダー(B)は、0.1:1〜10:1、好ましくは0.2:1〜5:1、特に好ましくは0.3:1〜3:1、極めて特に好ましくは0.5:1〜2:1、特に0.8:1〜1.2:1及び殊に0.9:1〜1.1:1のイソシアナート基と、イソシアナートに対して反応性の基とのモル比で互いに混合され、その際に任意に、さらに塗料に典型的なさらなる成分が混入されることができ、かつ下地へ塗布される。
【0189】
その際に、任意に、ポリイソシアナートもしくはポリオール成分、例えば
・(A)少なくとも1種のイソシアナートモノマーの反応により得ることができる、少なくとも1種のポリイソシアナート、
・(C)請求項1又は5〜8のいずれか1項記載の、少なくとも1種のイミダゾリウム塩、
・(D)任意に、少なくとも1種の溶剤、
・(E)任意に、(C)とは異なる少なくとも1種のウレタン化触媒、並びに、
・(F)任意に、塗料に典型的な他の成分及び/又は添加剤
の予備混合、任意に貯蔵が行われることができる。
【0190】
この予備混合物は、ついで下地への施与の直前に、ポリオール成分(B)と混合される。
【0191】
又は選択的に:
・(B)イソシアナートに対して反応性の少なくとも2個の基、少なくとも1000g/molの数平均分子量Mn及び40〜350mg KOH/gのOH価を有する、少なくとも1種の化合物、
・(C)請求項1又は5〜8のいずれか1項記載の、少なくとも1種のイミダゾリウム塩、
・(D)任意に、少なくとも1種の溶剤、
・(E)任意に、(C)とは異なる少なくとも1種のウレタン化触媒、並びに、
・(F)任意に、塗料に典型的な他の成分及び/又は添加剤。
【0192】
この予備混合物は、ついで下地への施与の直前に、ポリイソシアナート成分(A)と混合される。
【0193】
"施与の直前"は、その際に、予備混合物及び足りない成分が、下地への施与の前に問題のない加工性が保証されている期間内に互いに混合されることであると理解され、すなわちコーティング材料は、依然として流動性であり、かつ施与可能である。もちろん、その期間は、ゲル時間よりも短い。
【0194】
引き続き、150℃までの外界温度で塗料混合物は硬化される。
【0195】
好ましい一変法において、塗料混合物は、20〜80℃で、特に好ましくは60℃までで硬化される(例えば修理用途又は炉中へ入れることが難しい大型物体のため)。
【0196】
好ましい他の使用において、塗料混合物は110〜150℃で、好ましくは120〜140℃で硬化される(例えばOEM用途のため)。
【0197】
"硬化"は、本発明の範囲内で、下地へ塗布されたコーティング材料を、少なくとも所望の不粘着性が起こるまで少なくとも前記の温度に加熱することによる、下地への不粘着性コーティングの発生であると理解される。
【0198】
コーティング材料は、本明細書の範囲内で、少なくとも成分(A)及び(B)の混合物であり、前記混合物は塗膜の形成の目的のため、及び硬化後に、不粘着性コーティングの目的のために、少なくとも1種の下地をコーティングするためのものであると理解される。
【0199】
下地のコーティングは、当業者に知られた常用の方法により行われ、その際に少なくとも1種のコーティング材料が、コーティングすべき下地へ所望の厚さで施与され、かつコーティング材料の任意に含まれている揮発性成分は、任意に加熱しながら、除去される。この過程は、所望の場合には、一度又は何度も繰り返されることができる。下地への施与は、知られた方法で、例えば吹付け塗、こて塗、ナイフ塗布、はけ塗、ロール塗(Rollen)、ローラーコーティング(Walzen)、流し塗、ラミネーション、バックモールディング(Hinterspritzen)又は同時押出により行われることができる。
【0200】
そのような硬化すべき層の厚さは、0.1μm〜数mm、好ましくは1〜2 000μm、特に好ましくは5〜200μm、極めて特に好ましくは5〜60μmであってよい(溶剤が塗料から除去されている状態の塗料を基準とする)。
【0201】
さらに、本発明による多層塗装でコーティングされた下地も、本発明の対象である。
【0202】
特に適しているのは、特に高い施与信頼性、屋外暴露耐性、光学的特性、耐溶剤性、耐薬品性及び耐水性が必要とされる使用のための、そのようなポリウレタン塗料である。
【0203】
得られる2成分系コーティング材料及び塗料配合物は、下地、例えば木材、ベニヤ、紙、板紙、厚紙、テキスタイル、フィルム、皮革、不織布、プラスチック表面、ガラス、セラミック、鉱物質建築材料、例えばセメント成形ブロック及び繊維セメント板又は金属のコーティングに適しており、これらはそれぞれ任意に予備コーティングもしくは前処理されていてよい。
【0204】
この種のコーティング材料は、屋内コーティング又は屋外コーティングとして又は屋内コーティング又は屋外コーティングにおいて、すなわち昼光に暴露されているような用途、好ましくは建築物部材、(大型)車両及び航空機へのコーティング及び工業的な用途、農業分野及び建築分野における商用車、装飾塗装、橋、建築物、送電用鉄塔、タンク、コンテナ、パイプライン、発電装置、化学プラント、船舶、クレーン、杭、矢板壁、装備品(Armaturen)、管、取付部品(Fittings)、フランジ、継手、ホール、屋根及び構造用鋼、家具、窓、戸、寄木張り床、缶コーティング及びコイルコーティングの用途に、床仕上げのため、例えば屋上駐車場の場合又は病院中で、自動車塗料においてOEM及び修理用途として、適している。
【0205】
好ましくは、この種のコーティング材料は、外界温度から80℃まで、好ましくは60℃まで、特に好ましくは40℃までの温度で使用される。好ましくは、それらは、高度で硬化されることができない物品、例えば大型機械、航空機、大型宇宙船及び修理用途である。
【0206】
特に、本発明によるコーティング材料は、透明塗料、下塗塗料及び上塗塗料、プライマー及びサーフェーサーとして使用される。
【0207】
本発明のさらなる対象は、少なくとも1種のポリイソシアナートと、イソシアナートに対して反応性の基を有する少なくとも1種の化合物とを含有する混合物を硬化させるための触媒としての、式(I)によるイミダゾリウムイオンの使用である。
【0208】
実施例
Joncryl(登録商標) 507、OH価 140mg KOH/gのBASF SEのアクリラートベースのポリオール(酢酸ブチル中80%)を、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナートベースのイソシアヌラート(BASF SEのBasonat(登録商標) HI 100、NCO含有率22.0%)と化学量論比で混合し、酢酸ブチルで、DIN4カップ中20sec 流下時間の塗装粘度に調節した。ゲル時間の試験のために、触媒0.5質量%(全配合物を基準とする)を添加し、振かん硬度の試験のために、触媒0.2質量%を添加した。DBTLを用いた比較実験の場合に、DBTLのより高い活性のために、より少ない量、ゲル化時間及び振かん硬度について各0.025%の触媒を添加した。DBTLを用いた比較実験は、本発明による例と比較可能なゲル化時間を有する。ゲル時間及び振かん硬度の場合の同じ量のDBTLの選択により、DBTLを用いた振かん硬度が、しかも促進された硬化に基づき、本発明による例に対応して量が減少される場合よりも、相対的により良くなるはずであることを前提とすることができる。
【0209】
固体生成物1,3−ジイソプロピルイミダゾリウム・アセタート及び1,2,3,4,5−ペンタメチルイミダゾリウム・アセタートを、原則的にアセトン中10%溶液として使用した。
塗料成分の秤量分は、以下の表中に、他に示されない限り、グラムで記載されている、本明細書中のパーセントの記載は、他に記載されない限り、質量%を基準としている。
使用される触媒のゲル時間の試験を23℃で行った。バッチの完全ゲル化までの時間を求めた。
全ての塗料の層厚は、35〜45μmであった(乾燥塗膜を基準とする)。
【0210】
以下の塗料の振かん硬度の試験(第1表)を、DIN 53 157に従い60℃で30分間焼付け、23℃で24時間貯蔵した後に行った。
【0211】
1−エチル−3−メチルイミダゾリウムは、以下にEMIMと略称する。
【0212】
第1表:
【表1】

【0213】
約1:00〜1:20時間の比較可能なゲル化時間の場合に、触媒作用なしの比較例の塗料は粘着する。
触媒としてDBTLを用いた比較例は、触媒としてイミダゾリウムカルボキシラートを用いた例よりも低い振かん硬度を有する。これらは、室温で、触媒としてのDBTLよりも良好な硬化挙動を示す。
【0214】
低い温度での迅速な硬化は、多くの塗料用途にとって重要である。一方では、塗料表面はよりきれいなままである(指触乾燥、綿棒テスト、下記参照)。そのうえ、さらなる加工までの貯蔵時間は促進される。部材は、より早期に掴むことができるか又はスタッキングされることができる。選択的に、より低い温度で硬化されることができ、こうしてエネルギーは節約されることができる。
【0215】
第二の実験系列において、同様にJoncryl(登録商標) 507を1,6−ヘキサメチレンジイソシアナートベースのイソシアヌラート(BASF SEのBasonat(登録商標) HI 100、NCO含有率22.0%)と化学量論比で混合し、酢酸ブチルでDIN4カップ中で20sec 流下時間の塗装粘度に調節した。その際、ゲル時間を、触媒を用いて、約4時間に調節した(全配合物を基準とした量)。不揮発分は62.6%であり、流下時間は約20秒であった。塗料を、23±2℃、大気湿度50±5%で硬化させた(標準雰囲気23/50)。
【0216】
第2表、室温での硬化:
【表2】

【0217】
約4時間のゲル時間を用いた第二系列の実験の場合に、室温で硬化の際に、イミダゾリウム触媒を用いた例の振かん硬度が、硬化6〜24時間後に、DBTLを用いた参考よりも良好であることが分かる。
【0218】
第三の実験系列を第二系列に類似して、しかしながら40℃で30分の硬化で実施した(例9B〜18B及び比較例3B、第3表参照)。塗料を、標準雰囲気23/50で24時間、後貯蔵した。例及び比較例の組成は、第2表の試料に対応する。
【0219】
【表3】

【0220】
第三系列の実験の場合に、40℃での硬化及び室温での後貯蔵の際に、イミダゾリウム触媒を用いた例(実験9B〜18B)の振かん硬度が、40℃での硬化のさらに24時間後に、DBTLを用いる比較実験の場合よりも明らかに良好であることがわかる。
【0221】
第四の実験系列を第二系列に類似して、しかしながら60℃で30分の硬化で実施した(例9C〜18C及び比較例3C、第4表参照)。塗料を、標準雰囲気23/50で24時間、後貯蔵した。組成は、第2表の試料に対応する。
【0222】
【表4】

【0223】
第四系列の実験の場合に、イミダゾリウム触媒(実験9C〜18C)の場合の振かん硬度が、60℃での硬化のさらに24時間後に、DBTLを用いた比較実験の比較例3Cよりも明らかに良好であることがわかった。
【0224】
第五系列の実験(第5表参照)の場合に、試料を第2表の前記のバッチに類似して23℃で硬化させた。硬化挙動を、綿棒テスト、表面乾燥及び完全乾燥の形で決定した。
【0225】
綿棒テストによる硬化挙動の算出を23℃で行った。新たに塗布した塗料を綿棒と接触させる際に、塗料表面上に目に見える効果が残らなくなるまでの時間を求めた。この測定値は、しばしば指触乾燥時間と同一視される。
【0226】
砂テストによる硬化挙動の算出及び完全乾燥を、標準雰囲気23/50で行った。完全乾燥時間の測定のために、2個の小さな車輪が新たに塗装された薄板の上を走る。小さな車輪は、19〜20mmの直径及び0.3mmの幅を有する。小さな車輪各2個の上にホッパー(砂60〜80gを有し、自重107〜117g)を置くことにより、相対運動の際に塗膜中に幅広いへこみが生じる。塗料を、塗布した直後に1cm/hの速度で小さな車輪の下を沿って引っぱる。塗膜は、明らかな跡をもはや認識できなくなるかもしくは跡が数cmにわたって中断されていると直ちに、完全乾燥時間に達していた。より短い完全乾燥時間は良好であり、より長い完全乾燥時間は劣悪である。
【0227】
表面乾燥時間は同じテストにおいて塗料を塗布した後に、砂を有する塗料の上を極めて慎重にはけではく場合に、砂がその自重によりもはや塗料に付着したままではない期間である。より短い表面乾燥時間は良好であり、より長い表面乾燥時間は劣悪である。
【0228】
【表5】

【0229】
全ての乾燥時間において、例の試料は、触媒としてのDBTLを用いた比較例3Dよりも明らかに良好である。
【0230】
第六系列の実験(第6表参照)の場合に、試料を第2表の前記のバッチに類似して、60℃で30分硬化させた。室温で24時間後に、クロスカット、アセトンテスト及び引っかき試験を実施した。
比較例4Eは、比較例3Eに対応するが、しかしながらほぼ四倍量の触媒DBTLを含有する。
【0231】
クロスカットを用いた付着を、DIN 53151により決定した。分類0は最良の分類を示し、分類5は最悪の分類を示す。
アセトン往復運動テスト:アセトンに浸した綿球を用いて、塗料層が薄板まですり切れるまで、硬化された塗料上を手で往復運動でこすった。そのために必要な往復運動の数が示されている。100回の運動で実験を中断した。
【0232】
耐引っかき性を次のように決定した:500g丸頭ハンマー上に、頭部に、両面粘着テープを用いて、繊維不織布(Scotchbrite(登録商標)、7448 タイプS 超微細)を取り付けた。このハンマーを、2本の指で柄の端を持ち、傾けずにかつ追加の圧力を適用せずに均一な往復運動で、塗膜上を一直線に前後運動させた。50回の往復運動、引き続き循環空気乾燥器中で60℃で60分間の温度調節(リフロー)及び標準雰囲気23/50で4h貯蔵後に、光沢を研磨方向に対して横方向で決定した。繊維不織布を試験後にそれぞれ、新しい不織布と交換した。
【0233】
光沢測定を、光沢測定装置Mikro TRI-Glossを用いて60゜の入射角で行った。
【0234】
【表6】

【0235】
イミダゾリウム触媒を用いた例のクロスカット、アセトンテスト及び初期光沢は、DBTLを用いた比較例3Eで触媒された系とちょうど同じように良好である。イミダゾリウム触媒を用いたバッチの耐引っかき性は、全ての試料について全ての測定点で、DBTLを用いた比較例3Eよりも明らかに良好である。
比較例3Eよりも明らかにより多量の触媒DBTLを用い、ひいては極めて明らかに減少されたゲル時間を有する比較例4Eの場合に、確かに耐引っかき性は改善されるが、しかしながら耐引っかき性は依然として、例17E及び18Eよりも明らかに劣悪であり、かつ例9E、11E及び14Eよりもかろうじて良好であるに過ぎない。
【0236】
第七系列の実験の場合に、試料を第2表の前記のバッチに類似して、80℃で30分硬化させた。室温でさらに24時間後、振かん硬度、エリクセン耐カッピング、クロスカット、アセトンテスト、耐引っかき性及びエッチングテストを実施した。
【0237】
エリクセン耐カッピングの算出を、DIN 53156に類似してミリメートルで行った。その際、エリクセン耐カッピングを、塗料が裂けるまでの金属球の押し込みにより決定した。高い値は、高いフレキシビリティーを意味する。
【0238】
硫酸を用いるエッチングテスト:ピペットを用いて、25μm滴の硫酸を、勾配炉薄板上で所定の温度(ここでは80℃又は130℃で30分、第7及び8表参照)で硬化された塗料上へ添加し、これを勾配炉中で30〜75℃で30分加熱した。この薄板を、その後水で洗い流し、かつ乾燥させた。示されているのは、外観により塗料上の初期エッチングが確かめられることができた最低温度である。
【0239】
【表7】

【0240】
エリクセン耐カッピング及びアセトンテストは、全ての例及び比較例の場合に、それぞれ同じである。
例17F及び18Fの振かん硬度、50回の往復運動及びリフロー後の引っかき試験、エッチングテスト及びクロスカットは、DBTLを用いて硬化されたものよりも、明らかに良好である。
【0241】
第八系列の実験の場合に、Joncryl(登録商標) 911、OH価 70mg KOH/gのBASF SEのアクリラートベースのポリオール(酢酸ブチル中77%)を1,6−ヘキサメチレンジイソシアナートベースのイソシアヌラート(BASF SEのBasonat(登録商標) HI 100、NCO含有率22.0%)と化学量論比で、顔料着色された系中で使用し、酢酸ブチルで、DIN4カップ中20 sec 流下時間の塗装粘度に調節した。不揮発分は70%であった。
【0242】
実験のために、まず最初にポリオール成分のベース塗料を調製した:
【表8】

【0243】
引き続き、これをポリイソシアナート及び触媒と混合し、硬化させた。
【0244】
【表9】

【0245】
次の第8表には、60℃で30分の硬化及び標準雰囲気23/50での24時間後の、生成物組成及び前記の塗料を用いた実験結果が記載されている。
【0246】
【表10】

【0247】
引っかき試験において、双方の例はより良好である。双方の例のクロスカット、アセトンテスト及び光沢は、DBTLを用いた比較例に対応する。
【0248】
次の第9表には、標準雰囲気23/50で室温での硬化の際の次の生成物組成を用いた実験結果が記載されている。
【0249】
【表11】

【0250】
テトラブチルアンモニウム・アセタートを用いた参考(比較例7)は、DBTL(比較例6)及び第5表の本発明による例と比較して、表面乾燥及び完全乾燥において極めて劣悪である。
1−エチル−2,3−ジメチル−イミダゾリウム・アセタート;1,3−ジエチル−イミダゾリウム・アセタート及び1,3−ジエチル−イミダゾリウム・オクタノアートは、乾燥及び早期の振かん硬度発揮において、参考としてのDBTLに比べてより良好である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティング材料で下地をコーティングする方法であって、
・第一工程において、
・(A)少なくとも1種のイソシアナートモノマーの反応により得られる、少なくとも1種のポリイソシアナート、
・(B)イソシアナートに対して反応性の少なくとも2個の基、少なくとも1000g/molの数平均分子量Mn及び40〜350mg KOH/gのOH価を有する、少なくとも1種の化合物、
・(C)少なくとも1種のイミダゾリウム塩、
・(D)任意に、少なくとも1種の溶剤、
・(E)任意に、(C)とは異なる少なくとも1種のウレタン化触媒、並びに、
・(F)任意に、塗料に典型的な他の成分及び/又は添加剤
を含有する少なくとも1種のコーティング材料を下地上へ所望の厚さで施与し、
ここで、イミダゾリウム塩(C)が、式
【化1】

を有し、式中、R1及びR3は互いに独立して、炭素原子1〜20個を有する有機基を表し、
2、R4及びR5は互いに独立して、水素原子を表すか又は20個までの炭素原子を有する有機基を表し、かつA-はアニオンを表す、
・任意に、揮発性成分を少なくとも部分的に除去することにより、下地に施与されたコーティング材料を乾燥させ、続いて
・下地に施与されたコーティング材料を硬化させる
ことを含む、コーティング材料で下地をコーティングする方法。
【請求項2】
ポリイソシアナート(A)が、(環式)脂肪族ポリイソシアナートである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ポリイソシアナート(A)が、イソシアヌラート、ビウレット、ウレタン及びアロファナートからなる群から選択されている、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
バインダー(B)が、ポリアクリラートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリカーボネートポリオール及びポリエーテルポリオールからなる群から選択されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
イミダゾリウムイオン(C)中で、基R1及びR3が互いに独立して、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基又はn−ブチル基を表す、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
イミダゾリウムイオン(C)中で、基R2、R4及びR5が互いに独立して、水素原子又はC1〜C10 アルキル基を表す、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
イミダゾリウムイオン(C)中で、基R1〜R5が互いに独立して、C1〜C10 アルキル基を表す、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
式(I)中で、アニオンA-が、アセタート、プロピオナート、イソプロパノアート、2,2−ジメチルプロピオナート、n−ブタノアート、イソブタノアート、s−ブタノアート、t−ブタノアート、n−ペンタノアート、n−ヘキサノアート、n−ヘプタノアート、n−オクタノアート、イソオクタノアート、n−ノナノアート、イソノナノアート、n−デカノアート、n−ドデカノアート、テトラデカノアート、ヘキサデカノアート、ステアラート及びn−エイコサノアートからなる群から選択されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
溶剤(D)が存在しており、かつエステル、アルコキシエステル及び/又は芳香族溶剤からなる群から選択されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
・(A)少なくとも1種のイソシアナートモノマーの反応により得られる、少なくとも1種のポリイソシアナート、
・(C)請求項1又は5から8までのいずれか1項記載の、少なくとも1種のイミダゾリウム塩、
・(D)任意に、少なくとも1種の溶剤、
・(E)任意に、(C)とは異なる、少なくとも1種のウレタン化触媒、並びに、
・(F)任意に、塗料に典型的な他の成分及び/又は添加剤、
・任意に、立体障害フェノール類、ホスフィット、ホスホニット、ホスホナート、第二級芳香族アミン及びブレーンステッド酸からなる群から選択される、少なくとも1種の安定剤
を含有する予備混合物を、
・(B)イソシアナートに対して反応性の少なくとも2個の基、少なくとも1000g/molの数平均分子量Mn及び40〜350mg KOH/gのOH価を有する、少なくとも1種の化合物
と、下地に施与する直前に混合し、
引き続き、
・任意に、揮発性成分を少なくとも部分的に除去することにより、下地に施与されたコーティング材料を乾燥させ、続いて
・下地に施与されたコーティング材料を硬化させる
ことを行う、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
・(B)イソシアナートに対して反応性の少なくとも2個の基、少なくとも1000g/molの数平均分子量Mn及び40〜350mg KOH/gのOH価を有する、少なくとも1種の化合物、
・(C)請求項1又は5から8までのいずれか1項記載の、少なくとも1種のイミダゾリウム塩、
・(D)任意に、少なくとも1種の溶剤、
・(E)任意に、(C)とは異なる少なくとも1種のウレタン化触媒、並びに、
・(F)任意に、塗料に典型的な他の成分及び/又は添加剤、
を含有する予備混合物を、
・(A)少なくとも1種のイソシアナートモノマーの反応により得られる、少なくとも1種のポリイソシアナート、
と、下地に施与する直前に混合し、
引き続き、
・任意に、揮発性成分を少なくとも部分的に除去することにより、下地に施与されたコーティング材料を乾燥させ、続いて
・下地に施与されたコーティング材料を硬化させる
ことを行う、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
・(A)少なくとも1種のイソシアナートモノマーの反応により得られる、少なくとも1種のポリイソシアナート、
・(B)イソシアナートに対して反応性の少なくとも2個の基、少なくとも1000g/molの数平均分子量Mn及び40〜350mg KOH/gのOH価を有する、少なくとも1種の化合物、
・(C)請求項1又は5から8までのいずれか1項記載の、少なくとも1種のイミダゾリウム塩、
・(D)任意に、少なくとも1種の溶剤、
・(E)任意に、(C)とは異なる少なくとも1種のウレタン化触媒、並びに、
・(F)任意に、塗料に典型的な他の成分及び/又は添加剤
を含有する、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法により下地をコーティングするための薬剤としての塗料。
【請求項13】
・(A)少なくとも1種のイソシアナートモノマーの反応により得られる、少なくとも1種のポリイソシアナート、
・(C)請求項1又は5から8までのいずれか1項記載の、少なくとも1種のイミダゾリウム塩、
・(D)任意に、少なくとも1種の溶剤、
・(E)任意に、(C)とは異なる、少なくとも1種のウレタン化触媒、並びに、
・(F)任意に、塗料に典型的な他の成分及び/又は添加剤
を含有する、請求項10記載の方法により下地をコーティングするための薬剤としての予備混合物。
【請求項14】
・(B)イソシアナートに対して反応性の少なくとも2個の基、少なくとも1000g/molの数平均分子量Mn及び40〜350mg KOH/gのOH価を有する、少なくとも1種の化合物、
・(C)請求項1又は5から8までのいずれか1項記載の、少なくとも1種のイミダゾリウム塩、
・(D)任意に、少なくとも1種の溶剤、
・(E)任意に、(C)とは異なる少なくとも1種のウレタン化触媒、並びに、
・(F)任意に、塗料に典型的な他の成分及び/又は添加剤
を含有する、請求項11記載の方法により下地をコーティングするための薬剤としての予備混合物。
【請求項15】
少なくとも1種のポリイソシアナートと、イソシアナートに対して反応性の基を有する少なくとも1種の化合物とを含有するコーティング材料を硬化させるための触媒としての、請求項1又は5から8までに定義された式(I)によるイミダゾリウムイオンの使用。

【公表番号】特表2013−511611(P2013−511611A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540375(P2012−540375)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【国際出願番号】PCT/EP2010/067876
【国際公開番号】WO2011/061314
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】