説明

ポリウレタンスポンジローラの製造方法及びトナー供給ローラ

【課題】ポリウレタンスポンジローラをポリウレタンスポンジ層表面の裂け、割れを発生させることなくパイプ金型から脱型するポリウレタンスポンジローラの製造方法及びトナー供給ローラを提供する。
【解決手段】金型内に予め配置した芯金の周囲に硬化してなるポリウレタンスポンジローラの製造方法において、ポリウレタンの材料を金型内で発泡硬化した後、芯金を把持固定し、金型に対し、芯金の軸に略垂直な力が該軸を中心とする円を略均等に分割した該軸円周の4方向以上の角度方向から加えられ、ポリウレタンスポンジローラの表面を金型の内表面から剥離する工程後、ポリウレタンスポンジローラを脱型する工程を経て製造し、前記金型に対して加えられる力による金型の変位量がポリウレタンスポンジ層の厚みの20%以上70%以下とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写装置、画像記録装置、プリンター、ファクシミリなどの画像形成装置において用いられるポリウレタンスポンジローラの製造方法及びトナー供給ローラに関する。
【背景技術】
【0002】
乾式電子写真装置に使用せれるトナー供給ローラ、転写ローラ、現像ローラ、帯電ローラなどは、弾性層にポリウレタン、NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム),EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム),シリコーンゴムなどの高分子エラストマーやスポンジが用いられてきた。特に、弾性体としてより低硬度である必要がある場合には、ポリウレタンスポンジが使用される場合が多い。例えば、トナー供給ローラでは、低硬度である必要があり、ポリウレタンスポンジが用いられる場合が多い(特許文献1)。すなわち、水、低沸点化合物などの発泡剤を用いる方法、発泡剤なしの機械的攪拌による泡立てプロセスによる方法、あるいはこれらの発泡剤と機械的攪拌による泡立てプロセスを併用する方法などにより高発泡のポリウレタンスポンジが容易に得られる。このようにポリウレタンスポンジを用いて容易に低硬度の弾性体を得ることができ、ポリウレタンの化学構造を決定する原料及び配合の選択によってローラの硬度を制御することができる。
【0003】
このようなポリウレタンスポンジローラを製造する場合、一般的には、パイプ金型内に芯金をセットし、ポリウレタン材料を金型に注入して、発泡及び硬化させ、その後、パイプ金型からポリウレタンスポンジローラを脱型する工程を経て製造される。
【0004】
従来、ローラの脱型方法としては、芯金の一端を他端側へ押す事でパイプ金型からローラを抜出し脱型していた。しかしながら、この方法ではポリウレタンスポンジ層とパイプ金型壁面の離型性が悪い、言い換えるとポリウレタンスポンジ層とパイプ金型壁面が接着していると、芯金の一端を他端側へ押した時に過大な負荷がポリウレタンスポンジ層にかかるため、ポリウレタンスポンジ層表面の裂け、割れが発生することがあった。特にA3用などウレタンフォーム層の長手方向の長さが長い場合、脱型時の負荷がより大きくなり易く、ポリウレタンフォーム層表面の裂け、割れが発生し易いという問題点があった。
【0005】
これらの問題を解決するために、芯金の一端を他端側へ押す時に押し側端部よりエア等の圧縮気体を入れながら芯金を押す方法が提案されている(特許文献1)。しかしながら、特許文献1の方法では、ポリウレタンスポンジ層とパイプ金型壁面の離型性によっては、圧縮気体を入れてもポリウレタンスポンジ層表面がパイプ金型壁面から剥離しない場合があり、結果、ポリウレタンスポンジ層表面の裂け、割れを解消するに至らず改善が求められていた。
【0006】
また、より確実に脱型するために芯金をパイプ金型の半径方向に変位させて、ポリウレタンスポンジ層とパイプ金型壁面との間に隙間を形成した後、芯金の一端を押し脱型する方法が提案されている(特許文献2)。しかしながら、特許文献2のように、芯金の少なくとも一方の端をパイプ金型の半径方向に一方向からのみ変位させた場合、芯金をパイプ金型の半径方向に変位させても、ポリウレタンスポンジ層とパイプ金型壁面との間に形成される隙間はローラ表面の一部分であり、ローラ全周にわたり隙間を形成するものではなく、したがってローラ脱型時に、隙間を形成出来なかった部分に裂け、割れが発生してしまう事があった。また芯金の少なくとも一方の端をパイプ金型の半径方向に一方向からのみ変位させた場合において、ローラ全周もしくはより広い範囲にわたり隙間を形成させようと、変位量を大きくするとポリウレタンスポンジ層の一部に大きな負荷がかかり、裂けてしまう場合があった。
【0007】
さらに、芯金を把持し、芯金を変位させる場合、芯金両端を把持したチャックの動きを同期させて動かす方が、ポリウレタンスポンジ層とパイプ金型壁面との間に隙間を形成しやすいが、両端の動きの精度等の絡みで複雑になる場合がある。
【特許文献1】特開2007−130843号公報
【特許文献2】特開2007−276252号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような従来技術の事情を鑑みなされたものである。その解決課題とするところは、パイプ金型の中心軸上に配置された芯金と、パイプ金型の中空部にポリウレタンスポンジ層材料を注入し硬化させ形成したポリウレタンスポンジ層とで構成されるポリウレタンスポンジローラをポリウレタンスポンジ層表面の裂け、割れを発生させることなく、パイプ金型から脱型するポリウレタンスポンジローラの製造方法及びトナー供給ローラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決した本発明は、金型内に予め配置した芯金の周囲に硬化してなるポリウレタンスポンジローラの製造方法において、ポリウレタンの材料を金型内で発泡硬化した後、該芯金を把持固定し、該金型に対し、該芯金の軸に略垂直な力が、該軸を中心とする円を略均等に分割した該軸円周の4方向以上の角度方向から加えられ、該ポリウレタンスポンジローラの表面を該金型の内表面から剥離する工程後、該ポリウレタンスポンジローラを脱型する工程を経て製造されるものであり、前記剥離する工程において、該金型に対して加えられる力による該金型の変位量がポリウレタンスポンジ層の厚みの20%以上70%以下であることを特徴とするポリウレタンローラの製造方法である。
【0010】
また、本発明は、上記のポリウレタンスポンジローラの製造方法により製造されるポリウレタンスポンジローラからなるトナー供給ローラであって、電子写真装置あるいは静電記録装置の現像機構部で、現像ローラ表面に当接して回転し、現像ローラ表面にトナーを供給することを特徴とするトナー供給ローラである。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、パイプ金型の中心軸上に配置された芯金と、パイプ金型の中空部にポリウレタンスポンジ層材料を注入し硬化させ形成したポリウレタンスポンジ層とで構成されるポリウレタンスポンジローラをポリウレタンスポンジ層表面の裂け、割れを発生させることなくパイプ金型から脱型するポリウレタンスポンジローラの製造方法及びトナー供給ローラを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、金型内に予め配置した芯金の周囲に硬化してなるポリウレタンスポンジローラの製造方法において、ポリウレタンの材料を金型内で発泡硬化した後、該芯金を把持固定し、該金型に対し、該芯金の軸に略垂直な力が、該軸を中心とする円を略均等に分割した該軸円周の4方向以上の角度方向から加えられ、該力による金型の変位量がポリウレタンスポンジ層の厚みの20%以上70%以下であって、ポリウレタンスポンジを圧迫しつつ、該ポリウレタンスポンジローラの表面を該金型の内表面から剥離する工程後、該ポリウレタンスポンジローラを脱型する工程を経て製造されることを特徴とするポリウレタンスポンジローラの製造方法である。
【0013】
以下に本発明を更に詳しく説明する。はじめに本発明のポリウレタンスポンジローラの製造方法について図に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0014】
本発明のポリウレタンスポンジローラの脱型方法は、図2に示すパイプ金型3の中心軸上に配置された芯金1と、パイプ金型3の中空部にポリウレタン材料を注入し、硬化させ形成したポリウレタンスポンジ層2とで構成されるポリウレタンスポンジローラを脱型する方法である。
【0015】
まず、図3に示すように、パイプ金型3の中心軸を、芯金1の長手方向の中心軸に対し、垂直に同軸をずらす方向に変位させる。変位させる事でポリウレタンスポンジ層2に力が加わり、ポリウレタンスポンジ層の一部がパイプ金型壁面から剥離する。次いで図4に示すように、パイプ金型に、芯金軸に垂直な力をその角度方向が芯金軸を中心とする円を略均等に分割した4方向以上の角度方向から加える。
【0016】
このように、パイプ金型に、芯金軸に垂直な力をその角度方向が芯金軸を中心とする円を略均等に分割した4方向以上の角度方向から加える事で、ポリウレタンスポンジ層2とパイプ金型壁面の剥離箇所がポリウレタンスポンジ層全域に広がっていく。その後、変位を戻し、図5のように芯金1の一端を芯金中心軸方向へ押す事でポリウレタンスポンジローラをパイプ金型3から脱型する。図5ではシャフト4を利用して芯金1をパイプ金型3から引き抜いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば圧縮エアをパイプ金型端部よりパイプ金型内部に供給することでポリウレタンスポンジ層を加圧し、ポリウレタンスポンジローラを引き抜いても押し出してもよい。ポリウレタンスポンジ層2とパイプ金型壁面を一度完全に剥離させてから、脱型する事で、ポリウレタンスポンジローラを脱型する時にポリウレタンスポンジ層表面にかかる負荷を大幅に軽減する事ができる。
【0017】
パイプ金型に、芯金軸に垂直な力をその角度方向が芯金軸を中心とする円を略均等に分割した4方向以上の角度方向から加えない場合、ポリウレタンスポンジ層2とパイプ金型壁面が完全に剥離されない場合がある。そのため、完全に剥離されていない状態から、ポリウレタンスポンジローラを脱型すると、完全に剥離されていない部分のポリウレタンスポンジ層表面に大きな負荷がかかり、ポリウレタンスポンジ層の表面が裂けてしまう場合がある。パイプ金型に、芯金軸に垂直な力を3方向の角度方向から、その角度方向が芯金軸を中心とする円を略均等に分割し、約120度になるように加えた場合、ポリウレタンスポンジ層2とパイプ金型壁面の剥離箇所がポリウレタンスポンジ層全域に広がっていくが、ポリウレタンスポンジ層の硬度や密度によっては、ポリウレタンスポンジ層全域が剥離されない場合があり、確実性に劣る。パイプ金型に、芯金軸に垂直な力の角度方向が多すぎると、金型を変位させるための装置が複雑になってしまい、生産性やコスト面で劣る。またパイプ金型に、芯金軸に垂直な力の角度方向があまりに不均一であると、フォームの一部に負荷がかかり過ぎてしまい、剥離箇所と反対側のポリウレタンスポンジ層に過大な圧縮力が加わりポリウレタンスポンジ層自身を破壊してしまう場合があるため、パイプ金型に、芯金軸に垂直な力を4方向以上8方向以下の角度方向から、その角度方向が芯金軸を中心とする円を略均等に分割した角度方向から加えることが好ましく、約90度以下になることがより好ましい。また、角度方向を8方向以下が好ましい場合は、約45度以上とする。
【0018】
芯金1の中心軸とパイプ金型3の中心軸の変位量xは、大きい方がポリウレタンスポンジ層表面とパイプ金型壁面の剥離範囲が大きくなるため好ましいが、変位量xが大きすぎると、剥離箇所と反対側のポリウレタンスポンジ層に過大な圧縮力が加わりポリウレタンスポンジ層自身を破壊してしまう場合があるため、ポリウレタンスポンジ層の厚みの70%以下であれば、このようにポリウレタンスポンジ層自身が破壊されることもない。なお、ポリウレタンスポンジ層の厚みは、ポリウレタンスポンジローラ半径から芯金の半径を差し引いた値である。また変位量xが、20%より小さいと、変位量xが小さすぎるため、ポリウレタンスポンジ層表面とパイプ金型壁面が十分に剥離されず、ポリウレタンスポンジローラを脱型する際に、完全に剥離されていない部分のポリウレタンスポンジ層表面に大きな負荷がかかり、ポリウレタンスポンジ層の表面が裂けてしまう場合がある。
【0019】
特にポリウレタンスポンジ層の長手方向の長さが250mm以上350mm以下のようなウレタンフォーム層の長手方向の長さが長い場合、脱型時の負荷がより大きくなり易く、ポリウレタンフォーム層表面の裂け、割れが発生し易いという問題点があり、このようなウレタンフォーム層の長手方向の長さが長い場合、本発明のポリウレタンスポンジローラの製造方法は、特に有効である。
【0020】
また、トナー供給ローラでは、その弾性(ポリウレタンスポンジ)層の表面からトナーを取り込み弾性層中に取り込んだトナーを均一に現像ローラ表面にトナーを供給することが望まれ、トナー供給ローラの弾性層の表面状態により画像性能に大きく影響する。このため、トナー供給ローラ弾性層表面の微小な裂けや割れを発生させないことが重要であり、本発明のポリウレタンスポンジローラの製造方法を用いることが有効である。特に、電子写真装置や静電記録装置の現像機構部で、現像ローラ表面に当接して回転し、現像ローラ表面にトナーを供給するトナー供給ローラの製造に好適に用いることができる。
【実施例】
【0021】
以下に、実施例及び比較例を示し、本発明を更に具体的に説明する。本発明は、実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもない。
【0022】
実施にあたり、図1に示す形状をしたポリウレタンスポンジローラを成型した。該ポリウレタンスポンジローラのポリウレタンスポンジ層の外径はφ18(mm)であり、ポリウレタンスポンジ層部の長さは340mmである。
【0023】
実施例及び比較例で成型したポリウレタンスポンジローラの材料と成型条件、成型の手順を以下に示す。
【0024】
まず、成型に使用した材料について説明する。混合ポリオールとして、FA−908を100重量部、ジエタノールアミンを0.5重量部、L5366を1重量部、ToyoCat−ETを0.1重量部、TEDA−L33を0.5重量部、水(発泡剤)を2重量部用意し、それらを混合した。前記FA−908とは、三洋化成株式会社製ポリエーテルポリオールである。前記L5366とは、日本ユニカー株式会社製シリコーン系整泡剤である。前記ToyoCat−ETとは、東ソー株式会社製第3級アミン触媒である。前記TEDA−L33とは、東ソー株式会社製第3級アミン触媒である。その後、T80(三井武田ケミカル株式会社製イソシアネート、NCO%=48)29.5重量部、M200(三井武田ケミカル株式会社製イソシアネート、NCO%=31)7.4部とをNCOインデックス100となるように混合攪拌したものをポリウレタンスポンジの材料とした。 次に成型手順について説明する。パイプ金型、上駒、下駒で構成される成型金型にシリコンオイル離型剤を塗布し、φ7×360mm(L)の芯金と上駒、下駒をパイプ金型に組付け型組みし、65℃に予熱した。その後、型組みした成型金型内に、混合攪拌した該発泡材料を入れ、成型金型キャビティを充填した。スポンジ発泡材料の密度は0.1g/cm3となる。
【0025】
その後、10分間、65℃に温度制御された熱盤において硬化させ、上駒、下駒を外し、パイプ金型と成型したポリウレタンスポンジ層と芯金で構成される図2に示す状態とした。
【0026】
次に実施例及び比較例の脱型方法について説明する。
【0027】
なお、以下で示す金型の変位量は、芯金の中心軸とパイプ金型の中心軸との間の位置の変位の大きさをポリウレタンスポンジ層の厚みに対する割合(%)で示したものである。
【0028】
(実施例1)
図2に示す状態から、芯金両端部を把持し、パイプ金型に、芯金軸に垂直な力をその角度方向が芯金軸を中心とする円を略均等に分割した4方向の角度方向から、変位量が20%になるように加え、ポリウレタンスポンジローラの表面を金型内面から剥離させた後、ポリウレタンローラを引き抜いた。
【0029】
(実施例2)
図2に示す状態から、芯金両端部を把持し、パイプ金型に、芯金軸に垂直な力をその角度方向が芯金軸を中心とする円を略均等に分割した4方向の角度方向から、変位量が45%になるように加え、ポリウレタンスポンジローラの表面を金型内面から剥離させた後、ポリウレタンローラを引き抜いた。
【0030】
(実施例3)
図2に示す状態から、芯金両端部を把持し、パイプ金型に、芯金軸に垂直な力をその角度方向が芯金軸を中心とする円を略均等に分割した4方向の角度方向から、変位量が70%になるように加え、ポリウレタンスポンジローラの表面を金型内面から剥離させた後、ポリウレタンローラを引き抜いた。
【0031】
(実施例4)
図2に示す状態から、芯金両端部を把持し、パイプ金型に、芯金軸に垂直な力をその角度方向が芯金軸を中心とする円を略均等に分割した6方向の角度方向から、変位量が45%になるように加え、ポリウレタンスポンジローラの表面を金型内面から剥離させた後、ポリウレタンローラを引き抜いた。
【0032】
(実施例5)
図2に示す状態から、芯金両端部を把持し、パイプ金型に、芯金軸に垂直な力をその角度方向が芯金軸を中心とする円を略均等に分割した8方向の角度方向から、変位量が45%になるように加え、ポリウレタンスポンジローラの表面を金型内面から剥離させた後、ポリウレタンローラを引き抜いた。
【0033】
(比較例1)
図2に示す状態から、芯金両端部を把持し、パイプ金型に、芯金軸に垂直な力をその角度方向が芯金軸を中心とする円に対し、1方向の角度方向から、変位量が45%になるように加え、ポリウレタンスポンジローラの表面を金型内面から剥離させた後、ポリウレタンローラを引き抜いた。
【0034】
(比較例2)
図2に示す状態から、芯金両端部を把持し、パイプ金型に、芯金軸に垂直な力をその角度方向が芯金軸を中心とする円を略均等に分割した2方向の角度方向から、変位量が45%になるように加え、ポリウレタンスポンジローラの表面を金型内面から剥離させた後、ポリウレタンローラを引き抜いた。
【0035】
(比較例3)
図2に示す状態から、芯金両端部を把持し、パイプ金型に、芯金軸に垂直な力をその角度方向が芯金軸を中心とする円を略均等に分割した2方向の角度方向から、変位量が70%になるように加え、ポリウレタンスポンジローラの表面を金型内面から剥離させた後、ポリウレタンローラを引き抜いた。
【0036】
(比較例4)
図2に示す状態から、芯金両端部を把持し、パイプ金型に、芯金軸に垂直な力をその角度方向が芯金軸を中心とする円を略均等に分割した3方向の角度方向から、変位量が45%になるように加え、ポリウレタンスポンジローラの表面を金型内面から剥離させた後、ポリウレタンローラを引き抜いた。
【0037】
(比較例5)
図2に示す状態から、芯金両端部を把持し、パイプ金型に、芯金軸に垂直な力をその角度方向が芯金軸を中心とする円を略均等に分割した3方向の角度方向から、変位量が70%になるように加え、ポリウレタンスポンジローラの表面を金型内面から剥離させた後、ポリウレタンローラを引き抜いた。
【0038】
(比較例6)
図2に示す状態から、芯金両端部を把持し、パイプ金型に、芯金軸に垂直な力をその角度方向が芯金軸を中心とする円を略均等に分割した4方向の角度方向から、変位量が90%になるように加え、ポリウレタンスポンジローラの表面を金型内面から剥離させた後、ポリウレタンローラを引き抜いた。
【0039】
(外観評価)
実施例、比較例で作製したポリウレタンローラを、100本作製し、ポリウレタンローラ表面の状態を目視で裂け、割れのみを観察し、発生本数を数えた。
【0040】
実施例1〜5の変位の条件及び裂け、割れの発生率を表1に示す。
【0041】
比較例1〜6の変位の条件及び裂け、割れの発生率を表2に示す。
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】

【0044】
実施例1〜5で成型したポリウレタンスポンジローラは、脱型したポリウレタンスポンジローラのポリウレタンスポンジ層に裂け、割れは発生せず、良好なポリウレタンスポンジローラが得られた。
【0045】
比較例1でポリウレタンスポンジローラの表面を金型内面から剥離されない部分の面積が広く、脱型したポリウレタンスポンジローラのポリウレタンスポンジ層の表面に裂け、割れが多発した。
【0046】
比較例2で成型したポリウレタンスポンジローラは、ポリウレタンスポンジローラの表面を金型内面から剥離されない部分の面積が広く、脱型したポリウレタンスポンジローラのポリウレタンスポンジ層の表面に裂け、割れが発生した。
【0047】
比較例3で成型したポリウレタンスポンジローラは、変位量が十分であるが、ポリウレタンスポンジローラの表面を金型内面から剥離されない部分があり、脱型したポリウレタンスポンジローラのポリウレタンスポンジ層の表面に裂け、割れが発生した。
【0048】
比較例4で成型したポリウレタンスポンジローラは、ポリウレタンスポンジローラの表面を金型内面から剥離されない部分の面積があり、脱型したポリウレタンスポンジローラのポリウレタンスポンジ層の表面に微小な裂けや割れが発生した。
【0049】
比較例5で成型したポリウレタンスポンジローラは、変位量が十分であるが、ポリウレタンスポンジローラの表面を金型内面から剥離されない部分が若干あり、脱型したポリウレタンスポンジローラのポリウレタンスポンジ層の表面に微小な裂けや割れが発生した。
【0050】
比較例6で成型したポリウレタンスポンジローラは、変位量が大きすぎるため、脱型したポリウレタンスポンジローラのポリウレタンスポンジ層の表面に微小な裂けが発生した。
【0051】
比較例にあるようなポリウレタンスポンジ層の表面に裂けや割れがあるポリウレタンスポンジローラをトナー供給ローラとして用いた場合、画像上に濃度むらや白く色が抜ける場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本実施で成型した弾性ローラの模式図である。
【図2】本発明の脱型方法を適用する前状態のパイプ金型および弾性ローラの断面図である。
【図3】本発明の脱型方法過程である変位時のパイプ金型と弾性層状態を示す断面図である。
【図4】本発明の脱型方法過程である変位回転時のパイプ金型と弾性層状態を示す断面図である。
【図5】本発明の脱型方法過程である弾性ローラ押出し時の状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0053】
1: 芯金
2: ポリウレタンスポンジ層
3: パイプ金型
4: シャフト
x: 変位量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型内に予め配置した芯金の周囲に硬化してなるポリウレタンスポンジローラの製造方法において、ポリウレタンの材料を金型内で発泡硬化した後、該芯金を把持固定し、該金型に対し、該芯金の軸に略垂直な力が、該軸を中心とする円を略均等に分割した該軸円周の4方向以上の角度方向から加えられ、該ポリウレタンスポンジローラの表面を該金型の内表面から剥離する工程後、該ポリウレタンスポンジローラを脱型する工程を経て製造されるものであり、
前記剥離する工程において、該金型に対して加えられる力による該金型の変位量がポリウレタンスポンジ層の厚みの20%以上70%以下であることを特徴とするポリウレタンローラの製造方法。
【請求項2】
該ポリウレタンスポンジローラのポリウレタンスポンジ層の長手方向の長さが250mm以上350mm以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタンスポンジローラの製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載のポリウレタンスポンジローラの製造方法により製造されるポリウレタンスポンジローラからなるトナー供給ローラであって、電子写真装置あるいは静電記録装置の現像機構部で、現像ローラ表面に当接して回転し、現像ローラ表面にトナーを供給することを特徴とするトナー供給ローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−137417(P2010−137417A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−314714(P2008−314714)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(393002634)キヤノン化成株式会社 (640)
【Fターム(参考)】