説明

ポリウレタンフォームの製造法

【課題】密度が20kg/m3 以下の低密度ポリウレタンフォームを製造する際に、発泡剤として水を多量に使用した処方において、ポリウレタンフォームが収縮したり、内部にボイドが形成されるようなことがなく、被着材との接着性が良好であるポリウレタンフォームを、ポリウレタン製造用触媒に基づく悪臭を低減し、作業環境が良好な状態で製造しうる方法を提供すること。
【解決手段】式(I): (CH3 2 N(CH2 CH2 O)n −H (I)
(式中、nは2〜4の整数を示す)で表される第3級アミン及び式(II):
【化1】


(式中、R1 は炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のヒドロキシアルキル基、R2 は水素原子、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のヒドロキシアルキル基を示す)で表されるイミダゾール化合物を含有するポリウレタン製造用触媒、発泡剤及び整泡剤の存在下で、ポリオール成分とイソシアネート成分とを反応させる密度が20kg/m3 以下のポリウレタンフォームの製造法。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリウレタンフォームの製造法に関する。更に詳しくは、建材、浴槽等の断熱材、戸建住宅・マンションや産業用配管等の結露防止材、製品形状を保持するために出窓やサッシ等の建材部品等の内部に詰められる軽量なコア材等として好適に使用しうるポリウレタンフォームの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】地球環境保護の観点から、CFC−11等の特定フロンに対しては、既に製造及び使用の禁止措置がなされている。近年、ハイドロクロロフルオロカーボン等の代替フロンの削減が叫ばれており、わが国では2004年からHCFC−141bが使用禁止となる。
【0003】このような状況下、ポリウレタンフォームの発泡剤として水を従来処方と比べて多量に使用するシステムや発泡剤の全てが水である処方のシステムが検討されている。
【0004】しかし、発泡剤として水を多量に使用した場合、ポリウレタンフォーム中のウレア結合量が多くなるため、ポリウレタンフォームが脆くなるという欠点がある。特に、ポリウレタンフォームと鋼板等の被着材との接着表面が脆くなり、接着性が悪化するという問題を引き起こす。更に、密度が20kg/m3 以下の低密度領域では、ポリウレタンフォームの強度が相対的に小さくなり、また水を多量に使用するので、泡化反応(イソシアネート基と水との反応)と樹脂化反応(イソシアネート基と水酸基との反応)のバランスが崩れるため、ポリウレタンフォームの内部にボイドが発生したり、ポリウレタンフォームが経時的に収縮するという問題を引き起こす。
【0005】そこで、接着性の悪化に関しては、N−置換イミダゾール類をポリウレタン製造用触媒として使用することで表面脆性の悪化を抑制し、被着材との接着性を改善することが提案されている(特開平3−95212号公報及び特開平4−161417号公報)。
【0006】しかしながら、N−置換イミダゾール類は、非常に樹脂化反応を優先する触媒であるため、密度が20kg/m3 以下の低密度領域では、発泡剤としての水を特に多量に使用するので、泡化反応と樹脂化反応のバランスが崩れ、ポリウレタンフォーム形成中にセルが破泡して満足なフォームが製造できなかったり、ポリウレタンフォームの内部に大きなボイドが発生するという欠点がある。
【0007】更に、N−置換イミダゾール類は独特の悪臭を発するため、プレミックス配合時やポリウレタンフォーム発泡時には、その悪臭によって作業環境が悪化し、また製造後のポリウレタンフォームからN−置換イミダゾール類に特有の悪臭を発するという欠点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、密度が20kg/m3 以下の低密度ポリウレタンフォームを製造する際に、発泡剤として水を多量に使用した処方において、ポリウレタンフォームが収縮したり、内部にボイドが形成されるようなことがなく、被着材との接着性が良好であるポリウレタンフォームを、ポリウレタン製造用触媒に基づく悪臭を低減し、作業環境が良好な状態で製造しうる方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、式(I): (CH3 2 N(CH2 CH2 O)n −H (I)
(式中、nは2〜4の整数を示す)で表される第3級アミン及び式(II):
【0010】
【化2】


【0011】(式中、R1 は炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のヒドロキシアルキル基、R2 は水素原子、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のヒドロキシアルキル基を示す)で表されるイミダゾール化合物を含有するポリウレタン製造用触媒、発泡剤及び整泡剤の存在下で、ポリオール成分とイソシアネート成分とを反応させる密度が20kg/m3 以下のポリウレタンフォームの製造法に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明においては、式(I)で表される第3級アミン及び式(II)で表されるイミダゾール化合物を含有するポリウレタン製造用触媒が用いられている点に、1つの大きな特徴がある。
【0013】式(I)で表される第3級アミンにおいて、nは2〜4の整数である。第3級アミンのなかでは、2−(2−ジメチルアミノエトキシ)エタノール及び2−〔2−(2−ジメチルアミノエトキシ)エトキシ〕エタノールは、イソシアネート基と水との反応である泡化反応を優先し、かつ触媒活性が高く、更には臭気特性の観点から、好適に使用しうるものである。かかる第3級アミンは、それぞれ単独で又は併用することができる。
【0014】式(II)で表されるイミダゾール化合物において、R1 は炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のヒドロキシアルキル基である。これらの中では、触媒活性の観点から、R1 が炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のヒドロキシアルキル基が好ましい。
【0015】また、R2 は水素原子、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のヒドロキシアルキル基である。これらの中では、触媒活性の観点から、R2 が水素原子又はメチル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
【0016】イミダゾール化合物の中で好適なイミダゾール化合物としては、触媒活性及び工業的に入手が容易で安価である観点から、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール及び1−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルイミダゾールからなる群より選ばれた1種以上が挙げられる。特に、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルイミダゾールは、分子内に水酸基を有するのでポリウレタンフォーム中に取り込まれるため、臭気特性の面で優れており、好適に使用しうるものである。
【0017】このように、本発明で使用されるポリウレタン製造用触媒には、式(I)で表される第3級アミン及び式(II)で表されるイミダゾール化合物が併用されているので、これらの触媒の欠点が補完されるのみならず、発泡剤として水を多量に使用したシステムにおいても、イソシアネート基と水との反応が促進され、バランスのとれた良好な流動特性が得られ、ポリウレタンフォームの低密度化が可能となる。更には、ポリウレタンフォームの製造時に触媒に基づく臭気が低減されるので、作業環境が改善され、また製造後のポリウレタンフォームからの触媒由来の臭気を低減することができる。
【0018】また、発泡剤として水を多量に使用したシステムにおいても、泡化と樹脂化反応とのバランスが良好であることから、セル形状が均質に揃う傾向にあり、ポリウレタンフォームが収縮したり、内部にボイドが形成されることがなく、更に表面脆性や接着性等のフライアビリティ特性が改善されるという優れた性質が発現される。
【0019】更に、本発明においては、第3級アミンとイミダゾール化合物との併用により、発泡剤としての水が効率よく反応に寄与するため、両者併用による相乗効果として、ポリウレタンフォームの発泡時に急激に水蒸気が発生するにもかかわらず、触媒を比較的飛散させずに触媒に基づく臭気を抑制することができるという格別顕著に優れた効果が奏される。
【0020】第3級アミン/イミダゾール化合物〔重量比〕は、ポリウレタンフォームの低密度化、内部ボイドの抑制、臭気面からの作業環境の改善及び被着材との接着性改善の観点から、30/70〜95/5、好ましくは40/60〜90/10、より好ましくは60/40〜90/10であることが望ましい。
【0021】また、第3級アミンとイミダゾール化合物との合計量は、使用するポリオール成分及びイソシアネート成分の反応性、ポリウレタンフォームの用途等によって異なるので一概には決定することができない。通常、その合計量は、ポリウレタンフォームの原料であるポリオール成分100重量部に対して、ポリオール成分とイソシアネート成分との反応性を高める観点から、0.3重量部以上、好ましくは0.5重量部以上であることが望ましく、またポリウレタンフォームの強度維持及び臭気特性の観点から、ポリオール成分100重量部に対して、10重量部以下、好ましくは8重量部以下であることが望ましい。従って、これらの事情を考慮して、望ましい合計量は、ポリオール成分100重量部に対して、0.3〜10重量部、好ましくは0.5〜8重量部である。
【0022】なお、本発明のポリウレタン製造用触媒は、第3級アミン及びイミダゾール化合物を含有するものであるが、これら以外にも、本発明の目的が阻害されない範囲で他のポリウレタン製造用触媒を用いることができる。
【0023】他のポリウレタン製造用触媒としては、例えば、1,4−ジアザビシクロ(2.2.2)オクタン、2−メチル−1,4−ジアザビシクロ(2.2.2)オクタン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N−(2−ジメチルアミノエチル)モルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジメチルピペラジン、N,N’,N’−トリメチルアミノエチルピペラジン、トリス(3−ジメチルアミノプロピル)アミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、N,N’,N”−トリス(3−ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−s−トリアジン、6−ジメチルアミノ−1−ヘキサノール、5−ジメチルアミノ−3−メチル−1−ペンタノール、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−メチルアミノエタノール、N−(2−ジメチルアミノエチル)−N−メチルアミノエタノール等の第3級アミン系触媒及びこれらの誘導体、これらとカルボン酸や炭酸等の酸との塩;有機スズ化合物に代表される有機金属化合物等が挙げられる。
【0024】また、ポリウレタンフォームに難燃性を付与することを目的として、酢酸カリウム、オクチル酸カリウム等のカリウム塩や第4級アンモニウム塩に代表されるポリイソシアヌレート製造用触媒を併用してもよい。
【0025】他のポリウレタン製造用触媒及びポリイソシアヌレート製造用触媒の使用量は、特に限定がなく、通常、本発明の目的が阻害されない範囲内で適宜調整すればよい。
【0026】ポリオール成分は、ポリウレタンフォームを製造する際に従来使用されているものであればよく、特に限定がない。
【0027】ポリオール成分の代表例としては、官能基の数が2〜8であるポリエステル系ポリオール及びポリエーテル系ポリオール等が挙げられる。
【0028】ポリオール成分の平均水酸基価は、得られるポリウレタンフォームの流動性向上、強度保持及び経時的な収縮特性の観点から、150〜800mgKOH/g、好ましくは200〜600mgKOH/gであることが望ましい。
【0029】ポリエステル系ポリオールは、ジカルボン酸と多価アルコールの縮合反応により製造することができる。
【0030】ポリエステル系ポリオールに用いられるジカルボン酸としては、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸;テトラブロモフタル酸等のハロゲン含有ジカルボン酸;これらのエステル形成性誘導体、これらの酸無水物等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。なお、該ジカルボン酸には、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3官能性以上の多塩基酸が所望により含有されていてもよい。
【0031】ポリエステル系ポリオールを構成する多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、メチルペンタンジオール−1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、デキストロース、ソルビトール等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0032】ポリエーテル系ポリオールの代表例としては、ポリオキシプロピレン系ポリオール、ポリオキシテトラメチレングリコール及びそれらの混合物等が挙げられる。
【0033】ポリオキシプロピレン系ポリオールは、2個以上の活性水素含有基を有する化合物を出発原料とし、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、1,3−ブチレンオキシド、スチレンオキシド等のアルキレンオキシドの開環付加反応により製造することができる。
【0034】2個以上の活性水素含有基を有する化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の2価のアルコール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、デキストロース、ソルビトール、蔗糖等の3価以上の多価アルコール;レゾルシノール、ハイドロキノン、ビスフェノールA等の多価フェノール;エチレンジアミン、トリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、イソホロンジアミン等の多価アミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、それらの変性物等が挙げられ、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0035】ポリオキシテトラメチレングリコールは、テトラヒドロフランの開環重合により製造することができる。
【0036】ポリオール成分として、前記ポリエステル系ポリオール及びポリエーテル系ポリオールは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0037】イソシアネート成分としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネート;ウレタン結合、カルボジイミド結合、ウレトイミン結合、アロファネート結合、ウレア結合、ビューレット結合、イソシアヌレート結合等の1種以上を含有する前記ポリイソシアネート変性物等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0038】ポリオール成分とイソシアネート成分との割合は、通常、イソシアネートインデックスが20〜300、好ましくは30〜110、より好ましくは30〜80となるように調整することが好ましい。
【0039】発泡剤としては、例えば、水、イソペンタン、ノルマルペンタン、シクロペンタン等の低沸点炭化水素、窒素ガス、空気、二酸化炭素等のガス、HCFC−141b、HCFC−142b、HCFC−22、HFC−134a、HFC−152a、HFC−245fa、HFC−245ca、HFC−236ea、HFC−365mfc等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中では、安価であり地球環境への影響を抑制する観点から、水単独又は水と他の発泡剤との併用が好ましく、水単独がより好ましい。
【0040】発泡剤の使用量は、その種類や目的とするポリウレタンフォームの密度によって異なるので一概には決定することができない。通常、単独で使用されるか又は他の発泡剤と併用される水の量は、その併用される他の発泡剤の種類や量によって異なるので一概には決定することができないが、地球環境への影響を極力抑制し、本発明の効果を最大限発現する観点からポリオール成分100重量部に対して8〜30重量部、好ましくは10〜30重量部、より好ましくは15〜25重量部であることが望ましい。
【0041】整泡剤は、必要に応じて用いることができるが、一般にポリウレタンフォームを製造する際に使用されているものであればよい。整泡剤の代表例としては、ジメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサン等のシリコーン系界面活性剤、脂肪酸塩、硫酸エステル塩、燐酸エステル塩、スルホン酸塩等の陰イオン界面活性剤等が挙げられる。整泡剤の使用量は、その種類や目的とするポリウレタンフォームの密度によって異なるので一概には決定することができないため、これら整泡剤の種類等に応じて適宜調整することが望ましい。
【0042】さらに、前記以外の任意の成分、例えば、架橋剤、難燃剤、充填剤等の他の助剤を本発明の目的を妨げない範囲で使用することができる。
【0043】架橋剤としては、水酸基、第1アミノ基、第2アミノ基、その他のイソシアネート基と反応可能な活性水素含有基を2個以上有する低分子化合物等が挙げられる。その例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物等の多価アルコール、ジエチルトルエンジアミン、クロロジアミノベンゼン、エチレンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン等のポリアミン等が挙げられ、これらは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0044】難燃剤としては、トリクレジルホスフェート、トリス(2−クロロエチル)ホスフェート、トリス(2−クロロプロピル)ホスフェート、トリス(1,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート等のハロゲン系難燃剤が挙げられる。
【0045】充填剤としては、シリカ系微粒子やアルミナ系微粒子等の無機化合物、メラミン系樹脂やフェノール系樹脂等の有機化合物が挙げられる。
【0046】ポリウレタンフォームは、例えば、ポリオール成分と、発泡剤、ポリウレタン製造用触媒、整泡剤及び必要に応じて他の助剤を混合し、得られたポリオール混合物と、イソシアネート成分とを成形機等により、混合、攪拌し、成形型内に注入し、発泡させることにより、製造することができる。より具体的には、例えば、前記ポリオール混合物をタンク等を用いて、20℃程度に調温したのち、自動混合注入型発泡機、自動混合射出型発泡機等の発泡機を用いてイソシアネート成分と反応させることにより、ポリウレタンフォームを製造することができる。
【0047】なお、本発明の製造法によって得られたポリウレタンフォームの密度(コア密度)は、20kg/m3 以下であるが、経済性及びポリウレタンフォームの物性維持の観点から、8〜20kg/m3 、好ましくは8〜15kg/m3 であることが望ましい。
【0048】本発明の製造法によって得られたポリウレタンフォームは、建材、浴槽等の断熱材、戸建住宅・マンションや産業用配管等の結露防止材、製品形状を保持するために出窓やサッシ等の建材部品等の内部に詰められる軽量なコア材等として好適に使用しうるものである。
【0049】
【実施例】実施例1〜8表1に示すポリウレタン製造用触媒、ポリオール成分〔エチレンジアミン系ポリエーテルポリオール(水酸基価:768mgKOH/g、三井化学(株)製、商品名:ポリオールAE−300)50重量%及びグリセリン系ポリエーテルポリオール(水酸基価:56mgKOH/g、ダウケミカル(株)製、商品名:ボラノール3010)50重量%〕100重量部、シリコーン系整泡剤〔東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、商品名:SF2938F〕4重量部、ハロゲン化リン酸エステル系難燃剤〔大八化学工業(株)製、商品名:TMCPP〕20重量部、並びに発泡剤として水20重量部をラボミキサーで混合し、ポリオール混合物を得た。
【0050】次に、得られたポリオール混合物と、イソシアネート成分〔住友バイエルウレタン(株)製、商品名:スミジュール44V20〕とをイソシアネートインデックスが40となるように20℃でラボミキサーで混合、攪拌し、得られた混合物を用いてポリウレタンフォームを製造し、以下の物性を調べた。
【0051】(1)反応性300mL容のポリカップ内で攪拌された前記混合物30gのフリー発泡におけるクリームタイム(以下、CTという)及びライズタイム(以下、RTという)に到達するまでの時間を測定した。
【0052】(2)ポリウレタンフォームの収縮特性ポリオール混合物とイソシアネート成分との混合物120gを成形型(内寸:150mm×150mm×300mm(高さ)〕内に注入し、ポリウレタンフォームのフリーフォームを成形した。得られたポリウレタンフォームのフリーフォームを1日間放置した後、その収縮特性を外観評価した。評価基準は以下のとおりである。
【0053】〔評価基準〕
◎:収縮が認められず。
○:若干収縮あり△:収縮小×:収縮大
【0054】(3)ポリウレタンフォームの内部状態前記「(2)ポリウレタンフォームの収縮特性」で得られたポリウレタンフォームのフリーフォームを1日間放置した後、発泡方向に沿って中央部で切断し、その切断面を目視により観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
【0055】〔評価基準〕
◎:フォーム内部が極めて良好でセルサイズが均一である。
○:フォーム内部が良好でフォーム中央部のセルに若干の乱れがある。
△:フォーム中央部にセル粗れが発生、又は小さいボイドが発生。
×:フォーム内部に大きなボイドが発生。
【0056】(4)コア密度前記「(2)ポリウレタンフォームの収縮特性」で得られたポリウレタンフォのフリーフォームを1日間放置した後、そのコア部分から、100mm×100mm×100mmの大きさの試験片を切り出した。該試験片の重量を測定し、式:〔コア密度〕=〔試験片の重量〕÷〔試験片の体積〕
に基づいてコア密度を求めた。
【0057】(5)接着強度及び接着性評価(表面状態)
40℃に調温された垂直モールド(アルミニウム製、内寸:300mm×300mm×15mm。但し、モールド内壁の片面にワックスが塗布された剥離紙を貼付け、その他の面にポリエチレンシートを貼付)内に、ポリオール混合物とイソシアネート成分との混合物を注型し、フリー発泡の状態で5分間経過後に脱型した。
【0058】得られたポリウレタンフォームから50mm×50mm×15mmの試験片を切り出し、前記剥離紙とポリウレタンフォームとの接着強度を引張試験機〔(株)島津製作所製、型番:AGS−500G〕を用いて、以下の測定及び解析条件にしたがって求めた。
【0059】〔測定及び解析条件〕
測定条件:前記剥離紙側に対して反対面のポリウレタンフォーム全面を試験機下部の平面治具に固定し、剥離紙を90°の角度で50mm/minの速度で引張り、接着強度を連続的に測定した。
解析条件:試験片10個に対し、移動距離10〜50mmの平均強度を測定し、試験片幅(5cm)で除して求めた。単位はkgf/cmである。
【0060】次に、接着強度を測定した後の試験片と前記剥離紙の表面状態を観察し、ポリウレタンフォームの接着性を以下の評価基準に基づいて評価した。
【0061】〔評価基準〕
◎:ポリウレタンフォームが内部から破断しており、前記剥離紙全面にポリウレタンフォームが付着している。
○:ポリウレタンフォームの大部分が内部から破断しており、前記剥離紙の大部分にポリウレタンフォームが付着している。
△:ポリウレタンフォームの大部分が前記剥離紙との界面から剥がれており、前記剥離紙の一部にポリウレタンフォームが付着している。
×:全面がポリウレタンフォームと前記剥離紙との界面で剥がれており、前記剥離紙にポリウレタンフォームが付着していない。
【0062】(6)ポリウレタンフォームからの触媒に由来の臭気前記「(1)反応性」において反応性を調べた際に、RT直後のフリー発泡におけるポリウレタンフォームの臭気を直接、嗅覚によって官能評価した。評価基準は以下のとおりである。
【0063】〔評価基準〕
悪臭 : イミダゾール臭が顕著に認められる。
アミン臭: 第3級アミン臭が顕著に認められる。
微臭 : 触媒由来の臭気が少しする。
なし : 触媒由来の臭気がほとんど認められない。
【0064】比較例1〜10表2に示すポリウレタン製造用触媒を用い、実施例1〜8と同様にしてポリウレタンフォームを製造し、その物性を調べた。その結果を表2に示す。
【0065】
【表1】


【0066】
【表2】


【0067】表1に示された結果から、実施例1〜8においては、ポリウレタン製造用触媒として、第3級アミンとイミダゾール化合物とが併用されているので、発泡剤として水が多量に使用されている処方であっても、ポリウレタンフォームが収縮せず、内部状態も良好であり、低密度化が容易であるとともに、被着材との接着強度が高く、被着材との界面での剥離が生じ難いことがわかる。
【0068】また、各実施例で得られたポリウレタンフォームは、触媒に由来する臭気がほとんど認められないか、あるいは若干の臭気がする程度であり、問題とならないレベルであることがわかる。
【0069】更に、各実施例においては、CTが比較的長いことから、成形型の複雑な内面形状にも適応し、成形性が良好となると推測できる。
【0070】これに対し、表2に示された結果から、比較例1〜10においては、第3級アミンとイミダゾール化合物とが併用されておらず、第3級アミン又はイミダゾール化合物が単独で使用されていることから、ポリウレタンフォームの収縮特性、内部状態、接着性、及び臭気の特性において、すべてを同時に満足するポリウレタンフォームが得られないことがわかる。
【0071】
【発明の効果】本発明の製造法によれば、密度が20kg/m3 以下の低密度ポリウレタンフォームを製造する際に、発泡剤として水を多量に使用した処方において、ポリウレタンフォームが収縮したり、内部にボイドが形成されるようなことがなく、被着材との接着性が良好であるポリウレタンフォームを、ポリウレタン製造用触媒に基づく悪臭を低減し、作業環境が良好な状態で製造することができるという効果が奏される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 式(I): (CH3 2 N(CH2 CH2 O)n −H (I)
(式中、nは2〜4の整数を示す)で表される第3級アミン及び式(II):
【化1】


(式中、R1 は炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のヒドロキシアルキル基、R2 は水素原子、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のヒドロキシアルキル基を示す)で表されるイミダゾール化合物を含有するポリウレタン製造用触媒、発泡剤及び整泡剤の存在下で、ポリオール成分とイソシアネート成分とを反応させる密度が20kg/m3 以下のポリウレタンフォームの製造法。
【請求項2】 第3級アミンが、2−(2−ジメチルアミノエトキシ)エタノール及び/又は2−〔2−(2−ジメチルアミノエトキシ)エトキシ〕エタノールである請求項1記載の製造法。
【請求項3】 イミダゾール化合物が、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール及び1−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルイミダゾールからなる群より選ばれた1種以上である請求項1又は2記載の製造法。
【請求項4】 発泡剤が水を含有し、水の量がポリオール成分100重量部に対して8〜30重量部である請求項1〜3いずれか記載の製造法。
【請求項5】 第3級アミン/イミダゾール化合物(重量比)が、30/70〜95/5である請求項1〜4いずれか記載の製造法。

【公開番号】特開2002−179756(P2002−179756A)
【公開日】平成14年6月26日(2002.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−378779(P2000−378779)
【出願日】平成12年12月13日(2000.12.13)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】