説明

ポリウレタンフォーム層と熱可塑性ポリマー製被覆層とを有する創傷処置用品

本発明は、フォーム層(10)および被覆層(20)を含んでなる、創傷処置用品として有用な層状複合材料であって、被覆層(20)が熱可塑性ポリマー(好ましくはポリウレタン)を含んでなり、かつフォーム層(10)に少なくとも部分的に直接結合しており、フォーム層(10)がアニオン性親水化ポリウレタン水性分散体(I)含有組成物を発泡および乾燥させることによって得られたポリウレタンフォームを含んでなる、層状複合材料に関する。該フォームは、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマーを用いて安定化することができる。本発明は更に、該層状複合材料の製造方法、および該層状複合材料の、例えば創傷処置用品としての、使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォーム層および被覆層を含んでなる、創傷処置用品として有用な層状複合材料であって、被覆層が熱可塑性ポリマーを含んでなり、かつフォーム層に少なくとも部分的に直接結合している層状複合材料に関する。本発明は更に、そのような層状複合材料の製造方法、および例えば創傷処置用品としての該層状複合材料の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
創傷の処置には、創傷上に位置するフォーム層を有する創傷処置用品を使用できる。これは、創傷から出てくる水分を吸収するフォームの能力によって、治癒に有益な環境が創傷において得られるので、有利であることが分かっている。しかしながら、そのようなフォーム自体はしばしば、装着中に汚れたり、細菌が定着したり、機械的応力によって破壊されたりし得るといった欠点を有する。
【0003】
対策として、創傷処置材料の外表面上に保護被覆箔を供給することができる。この被覆箔は、創傷処置用品の水蒸気透過性をもたらすと同時に、微生物の不透過性、および創傷からの浸出液の不浸透性をもたらすことができる。これまでは、接着剤によって被覆箔をフォーム層に結合しなければならなかった。
【0004】
しかしながら、接着剤の使用には欠点がある。接着層の適用は、創傷処置用品の加工における付加的な作業と材料の必要性、従って付加的なコストを意味する。更に、接着剤は、水蒸気透過性に悪影響を及ぼし得る。最後に、接着剤は、創傷処置用品の熱成形性にも悪影響を及ぼし得る。
【0005】
WO 2007/115696(その全てを引用してここに組み込む)は、創傷処置のためのポリウレタンフォームの製造方法であって、ポリウレタン分散体および特定の凝固剤を含んでなる組成物を発泡および乾燥させる方法を開示している。ポリウレタン分散体は例えば、有機ポリイソシアネート、400g/mol〜8000g/molの数平均分子量と1.5〜6のOH官能価とを有するポリマーポリオール、並びに任意に、62g/mol〜399g/molの分子量を有するヒドロキシル官能性化合物、並びに任意に、イソシアネート反応性のアニオン性または潜在アニオン性および場合により非イオン性の親水化剤から、イソシアネート官能性プレポリマーを調製することによって得られる。次いで、任意に、プレポリマーの遊離NCO基を完全にまたは部分的に、32g/mol〜400g/molの分子量を有するアミノ官能性化合物と、およびアミノ官能性のアニオン性または潜在アニオン性親水化剤と、連鎖延長を伴って反応させてよい。連鎖延長工程の前、間または後に、プレポリマーを水に分散する。存在する潜在イオン性基を、中和剤との部分反応または完全反応によってイオン状態に転化する。
【0006】
EP 0 485 657は、創傷または皮膚潰瘍のための処置用品を開示している。該処置用品は、半透過性ポリウレタンフィルムと、複数の同心円状ポリエチレンフォームリングとを含む。フォームリングを半透過性の薄いフィルムに適用することにより、創傷処置用品の水分/蒸気透過性の変更が可能となる。該透過性は、創傷の環境に合わせて調節することができる。半透過性の薄いフィルムは、リングの上部表面に結合している。この結合が接着剤によることも開示されている。
【0007】
DE 103 01 835は、型押しした創傷処置材料と、透明固定箔とを有する絆創膏を開示している。該創傷処置材料は、個々に型押しすることができ、特に、型押しモチーフの輪郭を考慮して付形することができる。創傷に面する側の一側面で接着された固定箔は、二側面で少なくとも創傷処置材料を覆い、透明材料からなるので、それによって、絆創膏に起因する美容上の障害が、創傷処置材料のサイズまで本質的に低減される。優れた粘着性透明固定箔は、付加的に断片化されていれば、厄介な皮膚領域においてさえ安定した固定をもたらす。この絆創膏の製造方法、使用および使用方法も開示されている。透明固定箔はポリウレタンからなっていてもよい。同特許公報によれば、透明固定箔の材料は、透明接着剤を伴って創傷に面する側に供給される。該接着剤は、絆創膏を皮膚に固定し、創傷処置材料を固定箔に固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO 2007/115696
【特許文献2】EP 0 485 657
【特許文献3】DE 103 01 835
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、代替の創傷処置用品に対する要求が存在する。特に、フォーム層と被覆層とが、用途を制限することのない熱成形可能な強度で、接着剤を用いずに結合された、創傷処置用品に対する要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従って、本発明は、フォーム層および被覆層を含んでなる、創傷処置用品として有用な層状複合材料であって、被覆層が熱可塑性ポリマーを含んでなり、かつフォーム層に少なくとも部分的に直接結合しており、フォーム層がアニオン性親水化ポリウレタン水性分散体(I)含有組成物を発泡および乾燥させることによって得られたポリウレタンフォームを含んでなる、層状複合材料を提案する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の層状複合材料の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
フォーム層は、発泡ポリウレタン分散体から得られるフォームを含んでなる。覆われる創傷の上に、このフォーム層を置く。有利には、このフォームは、微孔性で、相互に連通している気泡を含む少なくとも部分的に連続気泡の構造を有する。
【0013】
本発明の層状複合材料の被覆層は、熱可塑性ポリマーを含んでなる。熱可塑性ポリマーとは、まず、該ポリマーの加工および使用に典型的な温度範囲で加熱と冷却を繰り返した際に熱可塑性を保つポリマーを意味すると理解される。熱可塑性とは、製造ポリマーに典型的な温度範囲で、加熱による軟化と冷却による硬化を繰り返すことができ、軟化状態では、例えば成型品、押出品または二次成形品として、流動により中間物品または最終物品に繰り返し成形できる、製造されたポリマーの性質を指称すると理解される。有利な態様では、被覆層は半透過性膜、即ち、フォーム層を通過した創傷からの浸出液および外からの水は保持するが水蒸気は透過させる膜である。
【0014】
また、膜または箔は、5μm〜80μm、特に5μm〜60μm、より好ましくは10μm〜30μmの範囲に厚さを有し、450%を超える破断伸びを有する場合、特に有利である。
【0015】
本発明では、被覆層とフォーム層は、少なくとも部分的に直接結合している。その結果、この層状複合材料には、2つの層が直接重なり合った領域が存在する。層状複合材料の、その領域でフォーム層と被覆層の間に接着剤が存在しないといった事実は、まさに注目に値する。
【0016】
ポリウレタン分散体(I)は、遊離イソシアネート基を、アニオン性または潜在アニオン性親水化剤と完全にまたは部分的に反応させることによって調製されたポリウレタンを含んでなる。そのような親水化剤は、イソシアネート反応性官能基(例えば、アミノ基、ヒドロキシル基またはチオール基)と、酸基または酸アニオン基(例えば、カルボキシレート基、スルホネート基またはホスホネート基)とを含有する化合物である。
【0017】
接着層の必要性がなくなった結果としてより少ない工程で得られる、保護、被覆および/または膜箔を有する創傷処置用品を得るために、本発明に従って、フォーム層および被覆層を選択する。それでも、層の相互付着は十分である。製造後、層状複合材料を、熱成形によって更に加工することができる。これによって、創傷処置用品のための多様な形状を実現できる。
【0018】
本発明の層状複合材料の1つの態様では、フォーム層のポリウレタンフォームを得るための組成物が、脂肪酸アミド、スルホスクシンアミド、炭化水素スルホネート、ヒドロカルビルスルフェート、脂肪酸塩、アルキルポリグリコシド、および/またはエチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックコポリマーからなる群から選択される添加剤を更に含んでなる。
【0019】
そのような添加剤は、気泡形成剤および/または気泡安定剤として作用できる。脂肪酸アミド、スルホスクシンアミド、炭化水素スルホネート、ヒドロカルビルスルフェートまたは脂肪酸塩中の親油性基は、好ましくは12〜24個の炭素原子を含有する。例えば、比較的長鎖の(アルキル基中に4〜22個の炭素原子を含有する)モノアルコールと単糖類、二糖類または多糖類との反応によって、適当なアルキルポリグリコシドを得ることができる。ヒドロカルビル基中に14〜24個の炭素原子を含有するアルキルベンゼンスルホネートまたはアルキルベンゼンスルフェートも適している。
【0020】
脂肪酸アミドは、好ましくは、モノ−(C/C−アルカノール)アミンまたはジ−(C/C−アルカノール)アミンに基づくものである。脂肪酸塩は、例えば、アルカリ金属塩、アミン塩または非置換アンモニウム塩であってよい。
【0021】
そのような脂肪酸誘導体は、典型的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リシノール酸、ベヘン酸またはアラキジン酸、ココ脂肪酸、獣脂脂肪酸、大豆脂肪酸のような脂肪酸、およびそれらの水素化生成物に基づく。
【0022】
有用な気泡安定剤の例は、スルホスクシンアミドおよびステアリン酸アンモニウムの混合物であり、そのステアリン酸アンモニウム含有量は、好ましくは20重量%〜60重量%、より好ましくは30重量%〜50重量%であり、そのスルホスクシンアミド含有量は、好ましくは40重量%〜80重量%、より好ましくは50重量%〜70重量%である。
【0023】
有用な気泡安定剤の別の例は、脂肪アルコール−ポリグリコシドおよびステアリン酸アンモニウムの混合物であり、そのステアリン酸アンモニウム含有量は、好ましくは20重量%〜60重量%、より好ましくは30重量%〜50重量%であり、その脂肪アルコール−ポリグリコシド含有量は、好ましくは40重量%〜80重量%、より好ましくは50重量%〜70重量%である。
【0024】
エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックコポリマーは、OH官能性またはNH官能性スターター分子へのエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの付加生成物を含んでなる。
【0025】
有用なスターター分子は、基本的に、とりわけ、水、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、トリレンジアミン、ソルビトール、スクロースおよびそれらの混合物を包含する。
【0026】
スターターとして、前記した種類の二官能性または三官能性化合物を使用することが好ましい。ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールが特に好ましい。
【0027】
それぞれの場合にアルキレンオキシドの量、およびエチレンオキシド(EO)ブロックおよびプロピレンオキシド(PO)ブロックの数を変えることによって、種々のブロックコポリマーを得ることができる。
【0028】
エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドから厳密にブロックが構成されたコポリマーが、EOおよびPOの個々の混合ブロックを有することも基本的に可能である。
【0029】
重付加反応においてEOおよびPOの混合物を用いる場合に、そのような混合ブロックが得られ、それによって、このブロックに関して、EOおよびPOのランダム分布がこのブロックにおいて生じる。
【0030】
本発明で使用されるEO/POブロックコポリマーのエチレンオキシド含有量は、コポリマー中に存在するエチレンオキシド単位およびプロピレンオキシド単位の総量に基づいて、好ましくは5重量%以上、より好ましくは20重量%以上、最も好ましくは40重量%以上である。
【0031】
本発明で使用されるEO/POブロックコポリマーのエチレンオキシド含有量は、コポリマー中に存在するエチレンオキシド単位およびプロピレンオキシド単位の総量に基づいて、好ましくは95重量%以下、より好ましくは90重量%以下、最も好ましくは85重量%以下である。
【0032】
本発明で使用されるEO/POブロックコポリマーの数平均分子量は、好ましくは1000g/mol以上、より好ましくは2000g/mol以上、最も好ましくは5000g/mol以上である。
【0033】
本発明で使用されるEO/POブロックコポリマーの数平均分子量は、好ましくは10,000g/mol以下、より好ましくは9500g/mol以下、最も好ましくは9000g/mol以下である。
【0034】
EO/POブロックコポリマーを使用することの1つの利点は、得られるフォームが、他の安定剤を使用した場合より低い疎水性を有することである。結果として、液体に対する吸収挙動は有利な影響を受け得る。更に、他の安定剤と対照的に、EO/POブロックコポリマーを使用すると非細胞毒性フォームが得られる。
【0035】
エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックコポリマーが一般式(1):
【化1】

[式中、nは2〜200の範囲であり、mは10〜60の範囲である。]
で示される構造を有することが好ましい。
nは、好ましくは60〜180、より好ましくは130〜160の範囲である。mは、好ましくは25〜45、より好ましくは25〜35の範囲である。
【0036】
前記した種類のEO/POブロックコポリマーは、4以上、より好ましくは8以上、最も好ましくは14以上の親水性−親油性バランス(HLB)を有することが特に好ましい。HLB値は式:
【数1】

[式中、Mhはエチレンオキシドから生成された親水性基の数平均分子量であり、Mは分子全体の数平均分子量である。]
に従って計算される(Griffin, W.C.: Classification of surface active agents by HLB, J. Soc. Cosmet. Chem. 1, 1949)。しかしながら、HLB値は19以下、好ましくは18以下である。
【0037】
本発明の層状複合材料の1つの態様では、アニオン性親水化ポリウレタン水性分散体(I)は、
A)A1)有機ポリイソシアネートおよび
A2)400g/mol〜8000g/molの数平均分子量および1.5〜6のOH官能価を有するポリマーポリオール
を含んでなる反応混合物から得られるイソシアネート官能性プレポリマーを供給し、次いで、
B)該プレポリマーの遊離NCO基を完全にまたは部分的に
B1)アミノ官能性のアニオン性または潜在アニオン性親水化剤
と連鎖延長を伴いながら反応させ、工程B)の前、間または後に該プレポリマーを水に分散し、反応混合物中になお存在する潜在イオン性基を、中和剤との部分反応または完全反応によってイオン状態に転化することによって得られる。
【0038】
好ましいアニオン性ポリウレタン水性分散体(I)は、好ましくは固体樹脂100gにつき0.1〜15ミリグラム当量の範囲の、少ない親水性アニオン性基を含有する。
【0039】
良好な沈降安定性を実現するため、レーザー相関分光法によって測定されるポリウレタン分散体の数平均粒子寸法は、好ましくは750nm以下、より好ましくは500nm以下である。
【0040】
NCO官能性プレポリマーを調製するため、成分A1)の化合物のNCO基の、成分A2)〜A4)の化合物のNCO反応性基(例えばアミノ基、ヒドロキシル基またはチオール基)に対する比は、1.05〜3.5、好ましくは1.2〜3.0、より好ましくは1.3〜2.5である。
【0041】
工程B)におけるアミノ官能性化合物は、該化合物のイソシアネート反応性アミノ基の、プレポリマーの遊離イソシアネート基に対する当量比が40%〜150%、好ましくは50%〜125%、より好ましくは60%〜120%となるような量で使用される。
【0042】
成分A1)に適したポリイソシアネートは、2以上のNCO官能価を有する、芳香族、芳香脂肪族、脂肪族または脂環式ポリイソシアネートである。
【0043】
そのような適当なポリイソシアネートの例は、1,4−ブチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートおよび/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、異性体ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタンまたはそれらの所望の異性体含有量を有する混合物、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)および/または2,6−トリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよび/または2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよび/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−ビス(2−イソシアナトプロプ−2−イル)ベンゼン(TMXDI)および/または1,4−ビス(2−イソシアナトプロプ−2−イル)ベンゼン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン(XDI)、およびC〜Cアルキル基を含有するアルキル2,6−ジイソシアナトヘキサノエート(リジンジイソシアネート)である。
【0044】
前記したポリイソシアネートの他に、ウレトジオン、イソシアヌレート、ウレタン、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはオキサジアジントリオン構造を有する変性ジイソシアネート、並びに一分子あたり3個以上のNCO基を含有する未変性ポリイソシアネート、例えば、4−イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート(ノナントリイソシアネート)またはトリフェニルメタン−4,4’−4’’−トリイソシアネートを、ある割合で使用することもできる。
【0045】
好ましくは、前記した種類のポリイソシアネートまたはポリイソシアネート混合物は、もっぱら脂肪族的および/または脂環式的に結合したイソシアネート基を含有し、混合物については2〜4、好ましくは2〜2.6、より好ましくは2〜2.4の平均NCO官能価を有する。
【0046】
成分A1)として、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、異性体ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、およびそれらの混合物を使用することが特に好ましい。
【0047】
成分A2)には、400g/mol〜8000g/mol、好ましくは400g/mol〜6000g/mol、より好ましくは600g/mol〜3000g/molの数平均分子量Mを有するポリマーポリオールを使用する。それらは、好ましくは1.5〜6、より好ましくは1.8〜3、最も好ましくは1.9〜2.1のOH官能価を有する。
【0048】
そのようなポリマーポリオールは、例えば、ポリエステルポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリアクリレートポリオール、ポリウレタンポリアクリレートポリオール、ポリウレタンポリエステルポリオール、ポリウレタンポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリカーボネートポリオールおよびポリエステルポリカーボネートポリオールを包含する。これらは、成分A2)に、単独でまたは互いの所望の混合物として使用できる。
【0049】
そのようなポリエステルポリオールは、ジオールおよび任意にトリオールおよび任意にテトラオールと、ジカルボン酸および任意にトリカルボン酸および任意にテトラカルボン酸またはヒドロキシカルボン酸またはラクトンとから生成された重縮合物を包含する。遊離ポリカルボン酸に代えて、対応するポリカルボン酸無水物、または対応する、ポリエステルを調製するための低級アルコールのポリカルボン酸エステルを使用することもできる。
【0050】
適当なジオールの例は、エチレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール、および1,2−プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ブタンジオール(1,3)、ブタンジオール(1,4)、ヘキサンジオール(1,6)およびそれらの異性体、ネオペンチルグリコールまたはヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールであり、ヘキサンジオール(1,6)およびその異性体、ネオペンチルグリコールおよびヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールが好ましい。これらの他に、ポリオール、例えば、トリメチロールプロパン、グリセロール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、トリメチロールベンゼンまたはトリスヒドロキシエチルイソシアヌレートを使用することもできる。
【0051】
有用なジカルボン酸は、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、グルタル酸、テトラクロロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マロン酸、スベリン酸、2−メチルコハク酸、3,3−ジエチルグルタル酸および/または2,2−ジメチルコハク酸を包含する。酸の供給源として、対応する無水物を使用することもできる。
【0052】
エステル化されるポリオールの平均官能価が2以上の場合、モノカルボン酸、例えば、安息香酸およびヘキサンカルボン酸を付加的に使用することもできる。
【0053】
好ましい酸は、前記した種類の脂肪族酸または芳香族酸である。アジピン酸、イソフタル酸および場合によりトリメリット酸が特に好ましい。
【0054】
末端ヒドロキシル基含有ポリエステルポリオールの調製における反応体として有用なヒドロキシカルボン酸は、例えば、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシデカン酸、ヒドロキシステアリン酸などを包含する。適当なラクトンは、カプロラクトン、ブチロラクトンおよび同族体を包含する。カプロラクトンが好ましい。
【0055】
成分A2)として、400g/mol〜8000g/mol、好ましくは600g/mol〜3000g/molの数平均分子量Mを有する、ヒドロキシル基含有ポリカーボネート、好ましくはポリカーボネートジオールを使用することもできる。これらは、炭酸誘導体(例えば、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、またはホスゲン)とポリオール(好ましくはジオール)との反応によって得られる。
【0056】
そのようなジオールの例は、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール、ビスフェノールA、および前記した種類のラクトン変性ジオールである。
【0057】
ポリカーボネートジオールは好ましくは40重量%〜100重量%のヘキサンジオールを含有し、1,6−ヘキサンジオールおよび/またはヘキサンジオール誘導体が好ましい。そのようなヘキサンジオール誘導体は、ヘキサンジオールに基づき、末端OH基に加えてエステル基またはエーテル基も含有する。そのような誘導体は、ヘキサンジオールと過剰のカプロラクトンとの反応によって、或いはジヘキシレングリコールまたはトリヘキシレングリコールを生成するヘキサンジオール同士のエーテル化によって得ることができる。
【0058】
成分A2)として、純ポリカーボネートジオールに代えてまたは加えて、ポリエーテル−ポリカーボネートジオールを使用することもできる。
【0059】
ヒドロキシル含有ポリカーボネートは、好ましくは直鎖構造を有する。
【0060】
成分A2)として、ポリエーテルポリオールを使用することもできる。
【0061】
例えば、カチオン開環によるテトラヒドロフランの重合によって得られるようなポリテトラメチレングリコールポリエーテルが有用である。
【0062】
有用なポリエーテルポリオールはまた、スチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドおよび/またはエピクロロヒドリンの、二官能性または多官能性スターター分子への付加生成物を包含する。エチレンオキシドの二官能性または多官能性スターター分子への少なくとも部分的な付加に基づくポリエーテルポリオールを、成分A4)(非イオン性親水化剤)として使用することもできる。
【0063】
有用なスターター分子は、例えば、水、ブチルジグリコール、グリセロール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、プロピレングリコール、ソルビトール、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、または1,4−ブタンジオールを包含する。好ましいスターター分子は、水、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、およびブチルジグリコールである。
【0064】
ポリウレタン分散体(I)の特に好ましい態様は、成分A2)として、ポリカーボネートポリオールおよびポリテトラメチレングリコールポリオールの混合物を含有し、この混合物中のポリカーボネートポリオールの割合は20〜80重量%であり、この混合物中のポリテトラメチレングリコールポリオールの割合は20〜80重量%である。30〜75重量%のポリテトラメチレングリコールポリオールの割合および25〜70重量%のポリカーボネートポリオールの割合が好ましい。35〜70重量%のポリテトラメチレングリコールポリオールの割合および30〜65重量%のポリカーボネートポリオールの割合が特に好ましい。ただし、各々の場合において、ポリカーボネートポリオールおよびポリテトラメチレングリコールポリオールの重量%の和は100重量%以下であり、ポリカーボネートポリオールおよびポリテトラメチレングリコールポリエーテルポリオールの和が成分A2)に占める割合は、50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。
【0065】
成分B1)であるイソシアネート反応性のアニオン性または潜在アニオン性親水化剤は、少なくとも1個のイソシアネート反応性基(例えば、アミノ基、ヒドロキシル基またはチオール基)と、水性媒体との相互作用時にpH依存解離平衡に達し、それによって負に帯電し得るかまたは中性になり得る官能基(例えば、−COO、−SO、−PO(O[ここで、Mは例えば金属カチオン、H、NH、NHRであり、各々の場合においてRはC〜C12アルキル基、C〜Cシクロアルキル基および/またはC〜Cヒドロキシアルキル基である。])の少なくとも1個とを含有する化合物である。
【0066】
イソシアネート反応性のアニオン性または潜在アニオン性親水化剤は、好ましくはイソシアネート反応性アミノ官能性のアニオン性または潜在アニオン性親水化剤である。
【0067】
有用なアニオン性または潜在アニオン性親水化化合物は、モノアミノカルボン酸およびジアミノカルボン酸、モノアミノスルホン酸およびジアミノスルホン酸、モノアミノホスホン酸およびジアミノホスホン酸、並びにそれらの塩である。そのようなアニオン性または潜在アニオン性親水化剤の例は、N−(2−アミノエチル)−β−アラニン、2−(2−アミノエチルアミノ)エタンスルホン酸、エチレンジアミンプロピルスルホン酸、エチレンジアミンブチルスルホン酸、1,2−プロピレンジアミン−β−エチルスルホン酸または1,3−プロピレンジアミン−β−エチルスルホン酸、グリシン、アラニン、タウリン、リジン、3,5−ジアミノ安息香酸、およびIPDAとアクリル酸との付加生成物(EP−A 0 916 647、実施例1)である。アニオン性または潜在アニオン性親水化剤として、WO−A 01/88006のシクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸(CAPS)を使用することもできる。
【0068】
成分B1)として好ましいアニオン性または潜在アニオン性親水化剤は、カルボキシレート基またはカルボキシル基および/またはスルホネート基を含有する前記した種類のもの、例えば、N−(2−アミノエチル)−β−アラニンの塩、2−(2−アミノエチルアミノ)エタンスルホン酸の塩、またはIPDAとアクリル酸との付加生成物(EP−A 0 916 647、実施例1)の塩である。
【0069】
アニオン性または潜在アニオン性親水化剤および非イオン性親水化剤の混合物を使用することもできる。
【0070】
本発明の層状複合材料の別の態様では、工程A)における反応混合物が、
A3)62g/mol〜399g/molの分子量を有するヒドロキシル官能性化合物
を更に含んでなる。
【0071】
成分A3)の化合物は、62g/mol〜399g/molの分子量を有する。
【0072】
成分A3)として、20個までの炭素原子を含有する特定の分子量範囲のポリオール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキノンジヒドロキシエチルエーテル、ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)、水素化ビスフェノールA、(2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、およびそれらの互いの所望の混合物を使用できる。
【0073】
α−ヒドロキシブチル−ε−ヒドロキシカプロン酸エステル、ω−ヒドロキシヘキシル−γ−ヒドロキシ酪酸エステル、β−ヒドロキシエチルアジペート、またはビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレートのような、特定の分子量範囲のエステルジオールも適している。
【0074】
成分A3)として更に、単官能性イソシアネート反応性ヒドロキシル含有化合物を使用することもできる。そのような単官能性化合物の例は、エタノール、n−ブタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、2−エチルヘキサノール、1−オクタノール、1−ドデカノール、1−ヘキサデカノールである。
【0075】
成分A3)の好ましい化合物は、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、およびトリメチロールプロパンである。
【0076】
本発明の層状複合材料の別の態様では、工程A)における反応混合物が、
A4)イソシアネート反応性の、アニオン性または潜在アニオン性および場合により非イオン性の親水化剤
を更に含んでなる。
【0077】
成分A4)のアニオン性または潜在アニオン性親水化化合物は、少なくとも1個のイソシアネート反応性基(例えば、アミノ基、ヒドロキシル基またはチオール基)と、水性媒体との相互作用時にpH依存解離平衡に達し、それによって負に帯電し得るかまたは中性になり得る官能基(例えば、−COO、−SO、−PO(O[ここで、Mは例えば金属カチオン、H、NH、NHRであり、各々の場合においてRはC〜C12アルキル基、C〜Cシクロアルキル基および/またはC〜Cヒドロキシアルキル基である。])の少なくとも1個とを含有する化合物である。有用なアニオン性または潜在アニオン性親水化化合物は、例えば、モノヒドロキシカルボン酸およびジヒドロキシカルボン酸、モノヒドロキシスルホン酸およびジヒドロキシスルホン酸、モノヒドロキシホスホン酸およびジヒドロキシホスホン酸、並びにそれらの塩を包含する。そのようなアニオン性または潜在アニオン性親水化剤の例は、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸、ヒドロキシピバリン酸、マレイン酸、クエン酸、グリコール酸、乳酸、並びにDE−A 2 446 440、第5〜9頁、式I〜IIIに記載されているような、2−ブテンジオールおよびNaHSOから生成されたプロポキシル化付加生成物である。成分A4)として好ましいアニオン性または潜在アニオン性親水化剤は、カルボキシレート基またはカルボキシル基および/またはスルホネート基を含有する前記した種類のものである。
【0078】
特に好ましいアニオン性または潜在アニオン性親水化剤は、イオン性基または潜在イオン性基としてカルボキシレート基またはカルボキシル基を含有するもの、例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸、ヒドロキシピバリン酸、および/またはそれらの塩である。
【0079】
成分A4)に有用な非イオン性親水化化合物は、例えば、少なくとも1個のヒドロキシル基またはアミノ基、好ましくは少なくとも1個のヒドロキシル基を含有するポリオキシアルキレンエーテルを包含する。それらの例は、一分子あたり平均で5〜70個、好ましくは7〜55個のエチレンオキシド単位を含有し、適当なスターター分子のアルコキシル化によって得られる、モノヒドロキシル官能性ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールである。それらは、純ポリエチレンオキシドエーテル、または存在する全アルキレンオキシド単位に基づいて30mol%以上、好ましくは40mol%以上のエチレンオキシド単位を含有する混合ポリアルキレンオキシドエーテルである。
【0080】
前記した種類の好ましいポリエチレンオキシドエーテルは、40mol%〜100mol%のエチレンオキシド単位および0mol%〜60mol%のプロピレンオキシド単位を含有する単官能性混合ポリアルキレンオキシドポリエーテルである。
【0081】
成分A4)として好ましい非イオン性親水化化合物は、適当なスターターへのアルキレンオキシドのブロック様付加によって調製されたブロック(コ)ポリマーである、前記した種類のものを包含する。
【0082】
そのような非イオン性親水化剤に有用なスターター分子は、飽和モノアルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、ペンタノール(各種異性体)、ヘキサノール(各種異性体)、オクタノール(各種異性体)、およびノナノール(各種異性体)、n−デカノール、n−ドデカノール、n−テトラデカノール、n−ヘキサデカノール、n−オクタデカノール、シクロヘキサノール、異性体メチルシクロヘキサノールまたはヒドロキシメチルシクロヘキサン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンまたはテトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル(例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテル))、不飽和アルコール(例えば、アリルアルコール、1,1−ジメチルアリルアルコールまたはオレインアルコール、芳香族アルコール(例えば、フェノール、異性体クレゾールまたはメトキシフェノール)、芳香脂肪族アルコール(例えば、ベンジルアルコール、アニスアルコールまたはシンナミルアルコール))、第二級モノアミン(例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ビス(2−エチルヘキシル)アミン、N−メチルシクロヘキシルアミン、N−エチルシクロヘキシルアミンまたはジシクロヘキシルアミン)、および複素環式第二級アミン(例えば、モルホリン、ピロリジン、ピペリジンまたは1Hピラゾール)を包含する。好ましいスターター分子は、前記した種類の飽和モノアルコールである。スターター分子として、ジエチレングリコールモノブチルエーテルまたはn−ブタノールを使用することが特に好ましい。
【0083】
アルコキシル化反応に有用なアルキレンオキシドは、特に、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドであり、それらは、アルコキシル化反応において、所望の順序でまたは混合物として使用され得る。
【0084】
本発明の層状複合材料の別の態様では、工程B)において、プレポリマーの遊離NCO基を完全にまたは部分的に
B2)32g/mol〜400g/molの分子量を有するアミノ官能性化合物
と更に反応させる。
【0085】
成分B2)として、ジアミンまたはポリアミン、例えば、1,2−エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、イソホロンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンおよび2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンの異性体混合物、2−メチルペンタメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリアミノノナン、1,3−キシリレンジアミン、1,4−キシリレンジアミン、α,α,α’,α’−テトラメチル−1,3−および−1,4−キシリレンジアミンおよび4,4−ジアミノジシクロヘキシルメタンおよび/またはジメチルエチレンジアミンを使用することができる。ヒドラジン、およびアジポヒドラジドのようなヒドラジドを使用することもできるが、余り好ましくはない。
【0086】
成分B2)として更に、第一級アミノ基に加えて第二級アミノ基も含有するか、或いは(第一級または第二級)アミノ基に加えてOH基も含有する、化合物を使用することができる。それらの例は、第一級/第二級アミン(例えば、ジエタノールアミン、3−アミノ−1−メチルアミノプロパン、3−アミノ−1−エチルアミノプロパン、3−アミノ−1−シクロヘキシルアミノプロパン、3−アミノ−1−メチルアミノブタン)、アルカノールアミン(例えば、N−アミノエチルエタノールアミン、エタノールアミン、3−アミノプロパノール、ネオペンタノールアミン)である。
【0087】
成分B2)として更に、単官能性イソシアネート反応性アミン化合物、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、イソノニルオキシプロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、N−メチルアミノプロピルアミン、ジエチル(メチル)アミノプロピルアミン、モルホリン、ピペリジン、またはそれらの適当な置換誘導体、第一級/第一級アミンおよびモノカルボン酸から生成されたアミドアミン、第一級/第一級アミンのモノケチム(Monoketime)、第一級/第三級アミン、例えばN,N−ジメチルアミノプロピルアミンを使用することができる。成分B2)の好ましい化合物は、1,2−エチレンジアミン、1,4−ジアミノブタン、およびイソホロンジアミンである。
【0088】
本発明の層状複合材料の別の態様では、アニオン性親水化ポリウレタン水性分散体(I)の調製において、成分A1)は、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよび/または異性体ビス−(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタンからなる群から選択される。更に、成分A2)は、ポリカーボネートポリオールおよびポリテトラメチレングリコールポリオールの混合物を含有し、ポリカーボネートポリオールおよびポリテトラメチレングリコールポリエーテルポリオールの和が成分A2)に占める割合は、70重量%〜100重量%である。
【0089】
ポリウレタン分散体(I)および添加剤に加えて、更なる助剤を使用することもできる。
【0090】
そのような助剤の例は、増粘剤/チキソトロープ剤、酸化防止剤、光安定剤、乳化剤、可塑剤、顔料、充填剤、および/または流れ制御剤である。
【0091】
市販の増粘剤、例えば、デキストリン誘導体、デンプン誘導体、またはセルロース誘導体を使用でき、その例は、セルロースエーテルまたはヒドロキシエチルセルロース、多糖類誘導体(例えば、アラビアゴムまたはグアー)、ポリアクリル酸系、ポリビニルピロリドン系、ポリ(メタ)アクリル酸化合物系またはポリウレタン系(会合型増粘剤)の有機完全合成増粘剤、および無機増粘剤(例えば、ベントナイトまたはシリカ)である。
【0092】
基本的に、本発明の複合材料は、架橋剤、例えば、非ブロックトポリイソシアネート、アミドホルムアルデヒド樹脂およびアミンホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、アルデヒド樹脂およびケトン樹脂を含有することもでき、その例は、フェノールホルムアルデヒド樹脂、レゾール、フラン樹脂、尿素樹脂、カルバミン酸エステル樹脂、トリアジン樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シアナミド樹脂、またはアニリン樹脂である。
【0093】
本発明の層状複合材料の別の態様では、被覆層の熱可塑性ポリマーは、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエーテル−ポリアミドコポリマー、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、および/またはポリマレエートからなる群から選択される材料を含んでなる。対象の材料は、好ましくは熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含んでなる。有利には、これらの材料はエラストマーである。本発明ではまた、5μm〜80μm、特に5μm〜60μm、より好ましくは10μm〜30μmの厚さを有する、そのような材料の箔が好ましい。
【0094】
本発明の層状複合材料の別の態様では、被覆層の熱可塑性ポリマーは、脂肪族ポリエステルポリウレタン、芳香族ポリエステルポリウレタン、脂肪族ポリエーテルポリウレタン、および/または芳香族ポリエーテルポリウレタンからなる群から選択されるポリウレタンを含んでなる。従って、通気性の弾性膜箔を得ることができる。このようにして得られる被覆層の、広い温度範囲にわたる高い可撓性/弾性、高い水蒸気透過性と組み合わさった良好な風および水の不透過性、低ノイズ、良好な繊維製品触感、洗濯および洗浄に対する耐久性、非常に良好な化学的耐久性および物理的耐久性、および可塑剤の不存在は注目に値する。
【0095】
本発明の層状複合材料の別の態様では、フォーム層と被覆層の間の直接結合が0.01N/mm〜0.50N/mmの剥離強さを有する。剥離強さは、0.03N/mm〜0.30N/mmまたは0.05N/mm〜0.20N/mmの範囲であってもよい。剥離強さは、100mm/分の移動速度でZwick Universal Testerを用いて360°剥離試験を実施することによって測定できる。
【0096】
本発明の層状複合材料の別の態様では、層状複合材料の水蒸気透過性は、1000g/24h×m〜4000g/24h×mの範囲である。この水蒸気透過性は、1500g/24h×m〜3000g/24h×m、または1800g/24h×m〜2500g/24h×mの範囲にあってもよい。
【0097】
本発明の層状複合材料における被覆層は、層上の水柱として表される、2000mm以上の不透水性を有することができる。この値は、4000mm以上または6000mm以上の範囲であってもよい。
【0098】
また、被覆層は、1000g/24h×m〜8000g/24h×mの水蒸気透過性を有することができる。この水蒸気透過性は、2000g/24h×m〜6000g/24h×m、または3000g/24h×m〜5000g/24h×mの範囲にあってもよい。
【0099】
ポリウレタン分散体を調製するための配合例では、成分A1)〜成分A4)および成分B1)〜成分B2)を下記量で使用し、個々の量の合計は常に100重量%以下である:
5重量%〜40重量%の成分A1);
55重量%〜90重量%の成分A2);
0.5重量%〜20重量%の、成分A3)および成分B2)の和;
0.1重量%〜25重量%の、成分A4)および成分B1)の和。ここで、成分A1)〜成分A4)および成分B1)〜成分B2)の総量に基づいて0.1重量%〜5重量%の、成分A4)および/または成分B1)からのアニオン性または潜在アニオン性親水化剤を使用する。
【0100】
ポリウレタン分散体を調製するための別の配合例では、成分A1)〜成分A4)および成分B1)〜成分B2)を下記量で使用し、個々の量の合計は常に100重量%以下である:
5重量%〜35重量%の成分A1);
60重量%〜90重量%の成分A2);
0.5重量%〜15重量%の、成分A3)および成分B2)の和;
0.1重量%〜15重量%の、成分A4)および成分B1)の和。ここで、成分A1)〜成分A4)および成分B1)〜成分B2)の総量に基づいて0.2重量%〜4重量%の、成分A4)および/または成分B1)からのアニオン性または潜在アニオン性親水化剤を使用する。
【0101】
ポリウレタン分散体を調製するための極めて特に好ましい配合例では、成分A1)〜成分A4)および成分B1)〜成分B2)を下記量で使用し、個々の量の合計は常に100重量%以下である:
10重量%〜30重量%の成分A1);
65重量%〜85重量%の成分A2);
0.5重量%〜14重量%の、成分A3)および成分B2)の和;
0.1重量%〜13.5重量%の、成分A4)および成分B1)の和。ここで、成分A1)〜成分A4)および成分B1)〜成分B2)の総量に基づいて0.5重量%〜3.0重量%の、成分A4)および/または成分B1)からのアニオン性または潜在アニオン性親水化剤を使用する。
【0102】
アニオン性親水化ポリウレタン分散体(I)の調製は、均一相において一段階以上で、または多段階反応の場合は部分的に分散相において実施できる。成分A1)〜成分A4)から完全重付加または部分的重付加を実施した後、分散、乳化または溶解工程を実施する。これに続いて、必要に応じて、分散相において更なる重付加または変性を実施してもよい。
【0103】
例えば、プレポリマー混合法、アセトン法、または溶融分散法のような方法を使用できる。アセトン法が好ましい。
【0104】
アセトン法による調製方法は、典型的には、成分A2)〜成分A4)およびポリイソシアネート成分A1)の全量または一部を初期導入物として導入してイソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーを調製する工程、イソシアネート基に対して不活性である水混和性溶媒で希釈する任意の工程、および50℃〜120℃の範囲の温度まで加熱する工程を含む。ポリウレタン化学で知られている触媒を使用して、イソシアネート付加反応を促進することができる。
【0105】
有用な溶媒は、アセトンまたは2−ブタノンのような通常の脂肪族ケト官能性溶媒を包含し、それらは、調製方法の開始時だけでなく開始後に、場合により少しずつ、添加することができる。アセトンおよび2−ブタノンが好ましい。
【0106】
キシレン、トルエン、シクロヘキサン、酢酸ブチル、メトキシプロピルアセテート、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、エーテル単位またはエステル単位含有溶媒のような他の溶媒を付加的に使用でき、完全にまたは部分的に留去でき、或いはN−メチルピロリドン、N−エチルピロリドンの場合は分散体中に完全に残留させることができる。しかしながら、通常の脂肪族ケト官能性溶媒は別として、他の溶媒を使用しないことが好ましい。
【0107】
その後、反応の開始時に添加しなかった成分A1)〜成分A4)を添加する。
【0108】
成分A1)〜成分A4)からのポリウレタンプレポリマーの調製において、イソシアネート基のイソシアネート反応性基に対する物質量比は、例えば1.05〜3.5の範囲、好ましくは1.2〜3.0の範囲、より好ましくは1.3〜2.5の範囲である。
【0109】
プレポリマーを生成するための成分A1)〜成分A4)の反応は、部分的にまたは完全に、好ましくは完全に実施する。このようにして、溶媒不含有でまたは溶液として、遊離イソシアネート基含有ポリウレタンプレポリマーを得る。
【0110】
潜在アニオン性基からアニオン性基への部分転化または完全転化をもたらすための中和工程には、第三級アミン(例えば、各アルキル基中に1〜12個、好ましくは1〜6個、より好ましくは2〜3個の炭素原子を含有するトリアルキルアミン)のような塩基、または対応する水酸化物のようなアルカリ金属塩基を使用する。
【0111】
それらの例は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、トリプロピルアミン、N−メチルモルホリン、メチルジイソプロピルアミン、エチルジイソプロピルアミン、およびジイソプロピルエチルアミンである。ジアルキルモノアルカノールアミン、アルキルジアルカノールアミン、およびトリアルカノールアミンの場合のように、アルキル基は、例えばヒドロキシル基を含有してもよい。有用な中和剤は更に、適切な場合、アンモニア水、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムのような無機塩基を包含する。
【0112】
アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、またはジイソプロピルエチルアミン、および水酸化ナトリウム、並びに水酸化カリウムが好ましく、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが特に好ましい。
【0113】
塩基は、中和される酸基の量の50mol%〜125mol%、好ましくは70mol%〜100mol%の量で使用される。分散用の水に中和剤を含有させることによって、分散工程と同時に中和を実施することもできる。
【0114】
その後、更なる処理工程で、溶解がまだ実施されていないか或いはある程度しか実施されていないならば、得られたプレポリマーを、アセトンまたは2−ブタノンのような脂肪族ケトンを用いて溶解する。
【0115】
工程B)の連鎖延長では、NH官能性成分および/またはNH官能性成分を、プレポリマーのなお残留しているイソシアネート基と、部分的にまたは完全に反応させる。好ましくは、水への分散前に連鎖延長を実施する。
【0116】
連鎖停止は、典型的には、イソシアネート反応性基を含有するアミンB2)、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、イソノニルオキシプロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、N−メチルアミノプロピルアミン、ジエチル(メチル)アミノプロピルアミン、モルホリン、ピペリジン、またはそれらの適当な置換誘導体、第一級/第一級アミンおよびモノカルボン酸から生成されたアミドアミン、第一級/第一級アミンのモノケチム、N,N−ジメチルアミノプロピルアミンのような第一級/第三級アミンを使用して実施する。
【0117】
NH基またはNH基を含有する定義B1)に従うアニオン性または潜在アニオン性親水化剤を使用して、部分的または完全連鎖延長を実施する場合、好ましくは、分散前にプレポリマーの連鎖延長を実施する。
【0118】
アミン成分B1)およびB2)は、本発明の方法では、任意に、単独でまたは混合物として、水または溶媒に希釈した状態で使用でき、基本的に任意の添加順序が可能である。
【0119】
水または有機溶媒を希釈剤として使用する場合、工程B)で使用される連鎖延長成分の希釈剤含有量は、好ましくは70重量%〜95重量%の範囲である。
【0120】
好ましくは、連鎖延長に続いて分散を実施する。分散のため、溶解および連鎖延長されたポリウレタンポリマーを、適切な場合には例えば激しい撹拌のような十分な剪断によって、分散用の水に導入するか、または逆に、分散用の水を連鎖延長されたポリウレタンポリマー溶液に撹拌しながら添加する。溶解され連鎖延長されたポリウレタンポリマーに水を添加することが好ましい。
【0121】
次いで、分散工程後に分散体中になお存在している溶媒を、典型的には、蒸留によって除去する。分散工程中に除去することも可能である。
【0122】
ポリウレタン分散体(I)中の有機溶媒の残留濃度は、分散体全体に基づいて、典型的には1.0重量%以下、好ましくは0.5重量%以下である。
【0123】
本発明のポリウレタン分散体(I)のpHは、典型的には9.0以下、好ましくは8.5以下、より好ましくは8.0以下であり、最も好ましくは6.0〜7.5の範囲である。
【0124】
ポリウレタン分散体(I)の固形分は、好ましくは40重量%〜70重量%の範囲、より好ましくは50重量%〜65重量%の範囲、更に好ましくは55重量%〜65重量%の範囲、特に60重量%〜65重量%の範囲である。
【0125】
本発明の組成物の例を以下に挙げる。重量%で表した量の和は、100重量%以下の値をとる。これらの組成物は典型的には、乾燥物質に基づいて、80重量部〜99.5重量部の分散体(I)、0重量部〜10重量部のフォーム助剤、0重量部〜10重量部の架橋剤、および0重量部〜10重量部の増粘剤を含んでなる。
【0126】
本発明の組成物は好ましくは、乾燥物質に基づいて、85重量部〜97重量部の分散体(I)、0.5重量部〜7重量部のフォーム助剤、0重量部〜5重量部の架橋剤、および0重量部〜5重量部の増粘剤を含んでなる。
【0127】
本発明の組成物はより好ましくは、乾燥物質に基づいて、89重量部〜97重量部の分散体(I)、0.5重量部〜6重量部のフォーム助剤、0重量部〜4重量部の架橋剤、および0重量部〜4重量部の増粘剤を含んでなる。
【0128】
フォーム安定剤としてのエチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックコポリマーを含んでなる本発明の組成物の例を、以下に挙げる。これらの組成物は、乾燥物質に基づいて、80重量部〜99.9重量部の分散体(I)、0.1重量部〜20重量部のエチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックコポリマーを含んでなる。これらの組成物は好ましくは、乾燥物質に基づいて、85重量部〜99.5重量部の分散体(I)、0.5重量部〜15重量部のエチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックコポリマーを含んでなる。本発明では、90重量部〜99重量部の分散体(I)および1重量部〜10重量部のエチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックコポリマーが特に好ましく、94重量部〜99重量部の分散体(I)および1重量部〜6重量部のエチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックコポリマーが極めて特に好ましい。
【0129】
本発明の目的のため、「重量部」は、「重量%」とは異なり、相対的割合を表す。従って、重量によるこの割合の算術的合計は、100を超える値をとることもある。
【0130】
記載した成分に加えて、本発明の組成物には、更なる水性バインダーを使用することもできる。そのような水性バインダーは、例えば、ポリエステルポリマー、ポリアクリレートポリマー、ポリエポキシポリマーまたは他のポリウレタンポリマーからなり得る。同様に、例えばEP−A−0 753 531に記載されているような放射線硬化性バインダーとの組み合わせも可能である。更に、他のアニオン性または非イオン性分散体、例えば、ポリ酢酸ビニル分散体、ポリエチレン分散体、ポリスチレン分散体、ポリブタジエン分散体、ポリ塩化ビニル分散体、ポリアクリレート分散体、およびコポリマー分散体を使用することもできる。
【0131】
本発明の方法における発泡は、高速回転で組成物を機械的に撹拌することによって、振盪によって、または発泡ガスの解放によって実施される。
【0132】
機械的発泡は、所望の機械的な撹拌技術、混合技術および分散技術を用いて実施することができる。この目的のために、空気を一般に導入するが、窒素および他の気体を使用することもできる。
【0133】
本発明は更に、
・アニオン性親水化ポリウレタン水性分散体(I)含有組成物を発泡させることによって得られたポリウレタンフォームを含んでなるフォーム層を供給する工程;
・該フォーム層の上に被覆層を適用する工程
を含む、本発明の層状複合材料の製造方法を提供する。
【0134】
得られたフォームを、発泡の最中またはその直後に、基材上に適用するかまたは型に導入し、乾燥する。有用な基材は特に、紙、箔、フィルムまたはシートであり、それらは、負傷部位を覆うためのその使用前に、創傷処置用品から容易に剥がし取ることができる。
【0135】
適用は、例えば流し込みまたはナイフ塗布によって実施できるが、他の従来技術も可能である。間に乾燥工程を伴った多層適用も、基本的に可能である。続いて、被覆層を適用し、その後、層状複合材料を乾燥させることができる。
【0136】
別の態様として、フォーム層を被覆層上に直接ナイフ塗布し、まだ湿潤している層状複合材料を乾燥させてもよい。
【0137】
更に別の態様では、予め乾燥させたフォーム層がその上に置かれた被覆層を有するか、または被覆層がその上に置かれた予め乾燥させたフォーム層を有し、得られた層状複合材料を付加的に加熱してもよい。
【0138】
しかしながら有利には、フォーム層上への被覆層の適用は、予め乾燥させたフォーム層の上に被覆層を貼り合わせることによって実施する。予め乾燥させたフォーム層の上に被覆層を貼り合わせるために、例えばカレンダー機を使用することができる。被覆層のフォームへの接着力が向上し得るように、有利には、僅かに加圧して被覆層を適用する。
【0139】
一般に、フォームの十分な乾燥速度は20℃の低温でさえ得られるので、負傷したヒトまたは動物の組織上で問題なく乾燥する。しかしながら、フォームのより迅速な乾燥および固定のため、30℃を超える温度を好ましくは使用する。80℃〜160℃、好ましくは100℃〜150℃、より好ましくは120℃〜140℃の温度が好都合である。しかしながら、乾燥温度は200℃を超えるべきではない。なぜなら、200℃を超えると、望ましくないフォームの黄変が生じ得るからである。二段階以上での乾燥も可能である。
【0140】
乾燥は一般に、通常の加熱および乾燥装置、例えば、(循環空気)乾燥室、温風、またはIR放熱器を用いて実施される。加熱表面(例えばロール)の上方に被覆基材を通過させることによる乾燥も可能である。
【0141】
適用および乾燥は、各々回分式でまたは連続的に実施できるが、全体的に連続した方法が好ましい。
【0142】
乾燥前、ポリウレタンフォームのフォーム密度は、典型的には50g/l〜800g/l、好ましくは100g/l〜500g/l、より好ましくは100g/l〜350g/lである(1リットルのフォーム体積に基づいた、全投入材料の質量[単位:g])。
【0143】
乾燥後、ポリウレタンフォームは、微孔性で、相互に連通している気泡を含む少なくとも部分的に連続気泡の構造を有し得る。乾燥フォームの密度は、典型的には0.4g/cm未満、好ましくは0.35g/cm未満、より好ましくは0.01g/cm〜0.3g/cmの範囲、最も好ましくは0.1g/cm〜0.3g/cmの範囲である。
【0144】
乾燥後、ポリウレタンフォーム層、即ちフォーム層および/または被覆層の厚さは、典型的には0.1mm〜50mm、好ましくは0.5mm〜20mm、より好ましくは1mm〜10mm、最も好ましくは1.5mm〜5mmの範囲である。
【0145】
最後に、得られた層状複合材料を、後の使用に適合できるように、加圧下および加熱下で付形することができる。
【0146】
本発明は更に、本発明の層状複合材料の、スポーツ用品、繊維製品、化粧用品または創傷処置用品としての使用を提供する。創傷処置用品としての使用が好ましい。有利には、創傷処置用品は、身体部位上に置くことができる形状を有する。身体部位の例は、かかと、額、顎、首、腸骨稜または臀部である。身体部位はまた、例えば関節であってもよい。その大きさに関して、創傷処置用品は、収容される身体部位(例えば、かかと、または関節、即ち例えば、指の関節、肘の関節、膝の関節またはくるぶし)に適合される。
【0147】
本発明を更に、後の図面を参照して説明する。
図1は、本発明の層状複合材料の断面図を示す。
図1は、本発明の層状複合材料の断面図を示す。フォーム層10の態様はポリウレタンフォーム層であり、該ポリウレタンフォーム層は記載したように得られる。被覆層20の態様は熱可塑性ポリウレタン膜であり、フォーム層10に直接結合している。層状複合材料の使用時、フォーム層10の下部表面を創傷上に置く。フォーム層10の多孔性フォームは、創傷からの過剰浸出液を吸収できる。水蒸気は被覆層20を通過でき、従って、創傷治癒に有益な環境を創傷において保つことができる。同時に、被覆層20は、下にあるフォーム層10を、汚れおよび微生物定着から保護する。後に、層状複合材料を付加的に付形し、身体曲線に適合した創傷処置用品を得ることができる。
【0148】
本発明を更に、後の実施例を参照して説明する。
【実施例】
【0149】
特に記載のない限り、全てのパーセントは重量による。
固形分は、DIN−EN ISO 3251に従って測定した。NCO含有量は、特に記載のない限り、DIN−EN ISO 11909に従って容量分析で測定した。「自由吸収度」は、DIN EN 13726−1パート3.2に従って、生理的食塩水の吸収によって測定した。
【0150】
使用した物質および略語:
ジアミノスルホネート:NH2-CH2CH2-NH-CH2CH2-SO3Na(水中45%)
Desmophen(登録商標) C2200:ポリカーボネートポリオール、OH価56mgKOH/g、数平均分子量2000g/mol(Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在))
PolyTHF(登録商標) 2000:ポリテトラメチレングリコールポリオール、OH価56mgKOH/g、数平均分子量2000g/mol(BASF AG(ドイツ国ルートヴィヒスハーフェン在))
PolyTHF(登録商標) 1000:ポリテトラメチレングリコールポリオール、OH価112mgKOH/g、数平均分子量1000g/mol(BASF AG(ドイツ国ルートヴィヒスハーフェン在))
LB 25ポリエーテル:エチレンオキシド−プロピレンオキシドに基づく単官能性ポリエーテル、数平均分子量2250g/mol、OH価25mgKOH/g(Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在))
Pluronic(登録商標) PE 6800:EO/POブロックコポリマー、重量平均分子量8000g/mol(BASF AG(ドイツ国ルートヴィヒスハーフェン在))
箔1:ポリエーテル−ポリウレタン膜箔、水蒸気透過性(DIN 53122;38℃/90%相対湿度):4500g/(m×d)
箔2:ポリエーテル−ポリウレタン膜箔、水蒸気透過性(DIN 53122;38℃/90%相対湿度):3000g/(m×d)
箔3:ポリエーテル−ポリウレタン膜箔、水蒸気透過性(DIN 53122;38℃/90%相対湿度):2000g/(m×d)
【0151】
ポリウレタン分散体1の平均粒子寸法(数平均を記載する)の測定は、レーザー相関分光法を用いて実施した(LCS;測定機器:Malvern Zetasizer 1000, Malver Inst. Limited)。
フォーム添加剤について記載した含有量は、水溶液に基づく。
【0152】
実施例1:ポリウレタン分散体1の調製
1077.2gのPolyTHF(登録商標) 2000、409.7gのPolyTHF(登録商標) 1000、830.9gのDesmophen(登録商標) C2200、および48.3gのLB 25ポリエーテルを、標準的な撹拌装置内で70℃まで加熱した。次いで、258.7gのヘキサメチレンジイソシアネートおよび341.9gのイソホロンジイソシアネートの混合物を、70℃で5分間かけて添加し、理論NCO値に達するまで、または実際のNCO値が理論NCO値を僅かに下回るようになるまで、混合物を120℃で撹拌した。この既調製プレポリマーを4840gのアセトンに溶解し、その過程で50℃まで冷却し、その後、10分間にわたって計量供給された、27.4gのエチレンジアミン、127.1gのイソホロンジアミン、67.3gのジアミノスルホネートおよび1200gの水の溶液と混合した。続いて、混合物を10分間撹拌した。その後、654gの水を添加することによって、分散体を生成した。これに続いて、減圧下での蒸留によって溶媒を除去した。
【0153】
得られたポリウレタン分散体は、以下の特性を有していた。
固形分:61.6%
粒子寸法(LCS):528nm
pH(23℃):7.5
【0154】
実施例2〜6:ポリウレタン分散体1からの箔−フォームラミネートの製造
実施例1で調製したポリウレタン分散体1の120gを、Pluronic(登録商標) PE 6800の30%水溶液12.6gと混合し、市販の手動撹拌機(湾曲した針金製の撹拌機)を用いて0.4リットルフォーム体積まで発泡させた。6mmのギャップ高さに設定したナイフ塗布機を用いてフォームを非粘着性紙の上に適用し、循環空気乾燥室内で120℃で20分間乾燥した。次いで、熱可塑性ポリウレタン箔(TPU箔;表参照)を乾燥フォーム上に置き、二層材料を僅かに湾曲させることによって、しわおよび気泡を伴うことなくフォームの凸側上に固定した。続いて、複合材料を、乾燥室内で、表に記載した温度で30分間加熱した。良好な機械的性質と微孔性構造とを有する清浄な白色の箔−フォームラミネートを得た。
【0155】
【表1】

【0156】
実施例は、水蒸気透過速度および吸湿性の故に創傷処置用品として有用な層状複合材料が、膜箔と貼り合わせて得られることを示している。
【符号の説明】
【0157】
10 フォーム層
20 被覆層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォーム層(10)および被覆層(20)を含んでなる、創傷処置用品として有用な層状複合材料であって、被覆層(20)が熱可塑性ポリマーを含んでなり、かつフォーム層(10)に少なくとも部分的に直接結合しており、フォーム層(10)がアニオン性親水化ポリウレタン水性分散体(I)含有組成物を発泡および乾燥させることによって得られたポリウレタンフォームを含んでなる、層状複合材料。
【請求項2】
フォーム層(10)のポリウレタンフォームを得るための組成物が、脂肪酸アミド、スルホスクシンアミド、炭化水素スルホネート、ヒドロカルビルスルフェート、脂肪酸塩、アルキルポリグリコシド、および/またはエチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックコポリマーからなる群から選択される添加剤を更に含んでなる、請求項1に記載の層状複合材料。
【請求項3】
エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックコポリマーが一般式(1):
【化1】

[式中、nは2〜200の範囲であり、mは10〜60の範囲である。]
で示される構造を有する、請求項2に記載の層状複合材料。
【請求項4】
アニオン性親水化ポリウレタン水性分散体(I)が、
A)A1)有機ポリイソシアネートおよび
A2)400g/mol〜8000g/molの数平均分子量および1.5〜6のOH官能価を有するポリマーポリオール
を含んでなる反応混合物から得られるイソシアネート官能性プレポリマーを供給し、次いで、
B)該プレポリマーの遊離NCO基を完全にまたは部分的に
B1)アミノ官能性のアニオン性または潜在アニオン性親水化剤
と連鎖延長を伴いながら反応させ、工程B)の前、間または後に該プレポリマーを水に分散し、反応混合物中になお存在する潜在イオン性基を、中和剤との部分反応または完全反応によってイオン状態に転化することによって得られる、請求項1に記載の層状複合材料。
【請求項5】
工程A)における反応混合物が、
A3)62g/mol〜399g/molの分子量を有するヒドロキシ官能性化合物
を更に含んでなる、請求項4に記載の層状複合材料。
【請求項6】
工程A)における反応混合物が、
A4)イソシアネート反応性の、アニオン性または潜在アニオン性および場合により非イオン性の親水化剤
を更に含んでなる、請求項4に記載の層状複合材料。
【請求項7】
工程B)において、プレポリマーの遊離NCO基を完全にまたは部分的に
B2)32g/mol〜400g/molの分子量を有するアミノ官能性化合物
と更に反応させる、請求項4に記載の層状複合材料。
【請求項8】
アニオン性親水化ポリウレタン水性分散体(I)の調製において、成分A1)が1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、および/または異性体ビス−(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタンからなる群から選択され、更に、成分A2)がポリカーボネートポリオールおよびポリテトラメチレングリコールポリオールの混合物を含んでなり、ポリカーボネートポリオールおよびポリテトラメチレングリコールポリエーテルポリオールの和が成分A2)に占める割合が70重量%〜100重量%である、請求項4に記載の層状複合材料。
【請求項9】
被覆層(20)の熱可塑性ポリマーが、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエーテル−ポリアミドコポリマー、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、および/またはポリマレエートからなる群から選択される材料を含んでなる、請求項1に記載の層状複合材料。
【請求項10】
被覆層(20)の熱可塑性ポリマーが、脂肪族ポリエステルポリウレタン、芳香族ポリエステルポリウレタン、脂肪族ポリエーテルポリウレタン、および/または芳香族ポリエーテルポリウレタンからなる群から選択されるポリウレタンを含んでなる、請求項1に記載の層状複合材料。
【請求項11】
フォーム層(10)と被覆層(20)の間の直接結合が0.01N/mm〜0.50N/mmの剥離強さを有する、請求項1に記載の層状複合材料。
【請求項12】
1000g/24h×m〜4000g/24h×mの範囲に水蒸気透過性を有する、請求項1に記載の層状複合材料。
【請求項13】
・アニオン性親水化ポリウレタン水性分散体(I)含有組成物を発泡させることによって得られたポリウレタンフォームを含んでなるフォーム層を供給する工程;
・該フォーム層の上に被覆層(20)を適用する工程
を含む、請求項1に記載の層状複合材料の製造方法。
【請求項14】
フォーム層の上への被覆層(20)の適用を、予め乾燥させたフォーム層の上に被覆層(20)を貼り合わせることによって実施する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1に記載の層状複合材料の、スポーツ用品、繊維製品、化粧用品または創傷処置用品としての使用。

【図1】
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【公表番号】特表2012−502708(P2012−502708A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527234(P2011−527234)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【国際出願番号】PCT/EP2009/006505
【国際公開番号】WO2010/031509
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】