ポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物及びこれを用いたポリウレタンフォームの製造方法
【課題】従来のポリオールを使用して製造したポリウレタンフォームは、機械物性及び耐湿性が不十分という問題がある。本発明は、これらの問題点を解決したポリオール組成物の提供を目的とする。
【解決手段】ポリオール(A)及び主鎖中に環状構造を有する化合物(B)を含んでなるポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物(PL)。及び、ポリオール成分とイソシアネート成分とを反応させてポリウレタンフォームを製造する方法において、ポリオール成分が上記ポリオール組成物(PL)をポリオール成分の重量に対して10〜100重量%含有するポリウレタンフォームの製造方法。
【解決手段】ポリオール(A)及び主鎖中に環状構造を有する化合物(B)を含んでなるポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物(PL)。及び、ポリオール成分とイソシアネート成分とを反応させてポリウレタンフォームを製造する方法において、ポリオール成分が上記ポリオール組成物(PL)をポリオール成分の重量に対して10〜100重量%含有するポリウレタンフォームの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタンフォームの原料として好適であり、優れた機械物性をポリウレタンフォームに付与するポリオール組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
活性水素あたりのエチレンオキサイドの平均付加モル数と末端水酸基の1級OH化率が特定の関係を満たす特定ポリオールをウレタンフォームを製造する際に、ポリオール成分中に含有させることで、振動特性の良好な軟質ポリウレタンフォームを製造できることが知られている(特許文献1)。
一方、近年コスト低減要求が強く、軽量化のため軟質ポリウレタンフォームの低密度化が求められている。例えば、車両用途では燃費規制に対応する軽量化のための軟質ポリウレタンフォームの低密度化が求められている。
低密度化の要望に応えるため、発泡剤としての水の使用量は更に増加の傾向にある。水の使用量を増加させる(非特許文献1等)ことは、フォーム製造時の発生炭酸ガス量を増加させることができ、軟質ポリウレタンフォームの密度を低下させるには有効であるが、フォームの密度が低下するとフォーム硬度が低下する。軟質ポリウレタンフォームの硬度を向上させる具体的技術としては、使用する架橋剤の使用量を上げる方法(非特許文献1)等があるが、このような方法では、軟質ポリウレタンフォームの伸びや引張強度のような機械物性が不十分である等の課題が残されており、硬度が向上し機械物性が維持される軟質ポリウレタンフォームが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−290202号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】岩田敬治、「ポリウレタン樹脂ハンドブック」、日刊工業、1987年5月20日発行、第1版、32頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来のポリオールを使用して製造したポリウレタンフォームは、機械物性及び耐湿性が不十分という問題がある。
本発明は、これらの問題点を解決したポリオール組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明のポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物(PL)は、ポリオール(A)及び主鎖中に環状構造を有する化合物(B)を含んでなることを要旨とする。
また、本発明のポリウレタンフォームの製造方法は、ポリオール成分とイソシアネート成分とを反応させてポリウレタンフォームを製造する方法において、ポリオール成分が上記ポリオール組成物(PL)をポリオール成分の重量に対して10〜100重量%含有することを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物(PL)を用いて得られたポリウレタンフォームは以下の効果を奏する。
(1)ポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物(PL)を用いて製造されたポリウレタンフォームは、ポリウレタンの機械物性が向上し、フォーム硬さが硬くなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】製造例1の反応装置を示す図である。
【図2】製造例2及び6の反応装置を示す図である。
【図3】製造例3の反応装置を示す図である。
【図4】製造例4の反応装置を示す図である。
【図5】製造例17の反応装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明におけるポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物(PL)は、下記ポリオール(A)と主鎖中に環状構造を有する化合物(B)を含有してなるものである。
ポリオール(A)としては、活性水素含有化合物(H)のアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。
【0010】
活性水素化合物(H)としては、水酸基含有化合物、アミノ基含有化合物、チオール基含有化合物、リン酸化合物;分子内に2種以上の活性水素含有官能基を有する化合物;及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0011】
水酸基含有化合物としては、水、2〜8価の多価アルコール、多価フェノール等が挙げられる。具体的にはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン及び1,4−ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン等の2価アルコール;グリセリン及びトリメチロールプロパン等の3価アルコール;ペンタエリスリト―ル、ソルビト―ル及びショ糖等の4〜8価のアルコ―ル;ピロガロ―ル、カテコール及びヒドロキノン等の多価フェノ―ル;ビスフェノ―ルA、ビスフェノールF及びビスフェノールS等のビスフェノ―ル;ポリブタジエンポリオール;ひまし油系ポリオール;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの(共)重合体及びポリビニルアルコール等の多官能(例えば官能基数2〜100)ポリオール等が挙げられる。
なお、(メタ)アクリレートとは、メタクリレート及び/又はアクリレートを意味し、以下において同様である。
【0012】
アミノ基含有化合物としては、アミン、ポリアミン、アミノアルコール等が挙げられる。具体的には、アンモニア;炭素数(以下、Cと略記する)1〜20のアルキルアミン(ブチルアミン等)及びアニリン等のモノアミン;エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン及びジエチレントリアミン等の脂肪族ポリアミン;ピペラジン及びN−アミノエチルピペラジン等の複素環式ポリアミン;ジシクロヘキシルメタンジアミン及びイソホロンジアミン等の脂環式ポリアミン;フェニレンジアミン、トリレンジアミン及びジフェニルメタンジアミン等の芳香族ポリアミン;モノエタノ―ルアミン、ジエタノ―ルアミン及びトリエタノ―ルアミン等のアルカノ―ルアミン;ジカルボン酸と過剰のポリアミンとの縮合により得られるポリアミドポリアミン;ポリエーテルポリアミン;ヒドラジン(ヒドラジン及びモノアルキルヒドラジン等)、ジヒドラジッド(コハク酸ジヒドラジッド及びテレフタル酸ジヒドラジッド等)、グアニジン(ブチルグアニジン及び1−シアノグアニジン等);ジシアンジアミド等;並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0013】
チオール基含有化合物としては、ポリチオール化合物が含まれ、2〜8価の多価チオールが挙げられる。具体的にはエチレンジチオール及び1、6−ヘキサンジチオール等が挙げられる。
リン酸化合物としては燐酸、亜燐酸及びホスホン酸等が挙げられる。
【0014】
これらの活性水素含有化合物(H)のうち、反応性の観点から、水酸基含有化合物及びアミノ基含有化合物が好ましく、特に好ましくは、水、アルコール及びアミンである。
【0015】
活性水素含有化合物(H)に付加させるアルキレンオキサイド(以下、AOと略す)としては、C2〜6のAO、例えば、エチレンオキサイド(以下、EOと略す)、1,2−プロピレンオキサイド(以下、POと略す)、1,3−プロピレオキサイド、1,2ブチレンオキサイド及び1,4−ブチレンオキサイド等が挙げられる。これらのうち、性状や反応性の観点から、PO、EO及び1,2-ブチレンオキサイドが好ましい。AOを2種以上使用する場合(例えば、PO及びEO)の付加方法としては、ブロック付加であってもランダム付加であってもよく、これらの併用であってもよい。
【0016】
ポリオール(A)の数平均官能基数は、フォーム形成性の観点から2〜8が好ましくは、さらに好ましくは2〜6、特に好ましくは3〜4である。この範囲以外の官能基数のものが含まれていても、数平均官能基数が2〜8となればよい。
【0017】
ポリオール(A)の水酸基価は、フォーム形成性の観点から20〜1000(mgKOH/g)が好ましく、さらに好ましくは20〜700、特に好ましくは20〜500である。
ポリオール(A)として、ポリオール成分としての反応性の観点から、活性水素含有化合物(H)のアルキレンオキサイド付加物であって、末端に位置する水酸基の40%以上が下記一般式(1)で表される1級水酸含有基であるポリオキシアルキレンポリオール(a)が好ましい。
【0018】
【化1】
【0019】
[一般式(1)中、R1は、水素原子、又は炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基若しくはフェニル基を表す。炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基は、ハロゲン原子又はアリール基で置換されていてもよい。]
【0020】
(a)のおいて、活性水素含有化合物(H)のアルキレンオキサイド付加物としては、下記一般式(7)で表されるポリオキシアルキレンポリオールが含まれる。
【0021】
【化2】
【0022】
一般式(7)中、R21は、活性水素含有化合物(H)からs個の活性水素を除いたs価の基であり、sは(H)が有する活性水素の数であり、2〜100の数である。
sは、(a)の粘度等の性状の観点から、50以下が好ましく、さらに好ましくは10以下である。
【0023】
上記一般式(7)中、Zは下記一般式(8)又は(9)で表されるC2〜12のアルキレン基を表す。アルキレン基は、ハロゲン原子又はアリール基で置換されていてもよい。
【0024】
【化3】
【0025】
【化4】
【0026】
一般式(8)及び(9)中、R22は水素原子、又はC1〜10のアルキル基、シクロアルキル基若しくはフェニル基を表す。アルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基は、ハロゲン原子若しくはアリール基で置換されていてもよい。
【0027】
Zとしては、具体的には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、クロロプロピレン基、フェニルエチレン基等及びこれらの2種以上の併用が挙げられ、これらのうち(a)の粘度等の性状の観点から、プロピレン基、ブチレン基及びエチレン基が好ましい。(a)の疎水性の確保を考慮に入れる場合は、プロピレン基、ブチレン基等を使用するか、又はエチレン基と他のアルキレン基とを併用すればよい。
【0028】
上記一般式(7)中、Aは下記一般式(10)又は(11)で表されるC3〜12のアルキレン基である。アルキレン基は、ハロゲン原子又はアリール基で置換されていてもよい。
【0029】
【化5】
【0030】
【化6】
【0031】
一般式(10)及び(11)中、R23はC1〜10のアルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基を表す。アルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基は、ハロゲン原子又はアリール基で置換されていてもよい。
【0032】
一般式(7)中、Aとしては、具体的には、プロピレン基、ブチレン基、クロロプロピレン基、フェニルエチレン基及びこれらの2種以上の併用が挙げられる。これらのうち(a)の粘度等の性状の観点から、プロピレン基及びブチレン基が好ましい。
【0033】
複数のZ又はAがある場合、それぞれは同一でも異なっていてもよい。
【0034】
一般式(7)において、p及びrは0〜200の整数である。qは1〜200の整数である。
ポリオール(a)の粘度の観点から、p+q+rは1〜400の整数が好ましく、さらに好ましくは200以下である。
【0035】
一般式(7)で表されるもののうち、特にrが0であるものは、ポリオール(a)の末端部分にEOが付加されていないことを表す。
【0036】
一般式(7)で表されるもののうち、一般式(7)中の(AO)qの部分のうち、末端に位置するAの構造の40%以上が、一般式(11)で表される構造であることが好ましく、さらに好ましくは60%以上、次にさらに好ましくは65%以上である。この範囲であると、ウレタンフォームの耐湿性が良好となる。
【0037】
ポリオール(a)は、末端に位置する水酸基の40%以上が上記一般式(1)で表される1級水酸基含有基である。
例えば、(a)が上記一般式(7)で表される場合、末端に位置する水酸基含有基としては、上記一般式(1)で表される1級水酸基含有基と、r=0の時に見られる下記一般式(12)で表される2級水酸基含有基の2種類が考えられるが、(a)は上記一般式(7)中のrの値に関係なく、末端に位置する水酸基の40%以上が上記一般式(1)で表される1級水酸基含有基である。
(a)において、その末端の全水酸基に対して、上記一般式(1)で表される1級水酸基含有基が占める比率(これを本明細書中、1級水酸基率とする。以下において同様である)は、ポリオール(a)の全末端水酸基の量を基準として40%以上であり、(a)の反応性の観点から、好ましくは60%以上、さらに好ましくは65%以上である。1級水酸基率が40%未満の場合には、ポリオール成分としての反応性が不十分である。
【0038】
【化7】
【0039】
上記の一般式(1)中のR1は水素原子又は、C1〜12のアルキル基、シクロアルキル基若しくはフェニル基を表す。アルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基は、ハロゲン原子若しくはアリール基で置換されていてもよい。
一般式(12)中のR24はC1〜12のアルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基を表す。アルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基は、ハロゲン原子又はアリール基で置換されていてもよい。
R1として、具体的には、水素原子;メチル基、エチル基及びプロピル基等の直鎖アルキル基;イソプロピル基等の分岐アルキル基;フェニル基及びp−メチルフェニル基等の置換フェニル基;クロロメチル基、ブロモメチル基、クロロエチル基及びブロモエチル基等の置換アルキル基;p−クロロフェニル基及びp−ブロモフェニル基等の置換フェニル基;シクロヘキシル基等の環状アルキル基等;並びにこれらの2種以上の併用が挙げられる。R24として、具体的には、R1で例示した基のうち、水素原子以外のものが挙げられる。
【0040】
本発明において、1級水酸基率は、予め試料をエステル化の前処理した後に、1H−NMR法により測定し、算出する。
【0041】
1級水酸基率の測定方法を以下に具体的に説明する。
<試料調製法>
測定試料約30mgを直径5mmのNMR用試料管に秤量し、約0.5mlの重水素化溶媒を加え溶解させる。その後、約0.1mlの無水トリフルオロ酢酸を添加し、分析用試料とする。上記重水素化溶媒としては、例えば、重水素化クロロホルム、重水素化トルエン、重水素化ジメチルスルホキシド及び重水素化ジメチルホルムアミド等であり、試料を溶解させることのできる溶媒を適宜選択する。
<NMR測定>
通常の条件で1H−NMR測定を行う。
【0042】
<1級水酸基率の計算方法>
上に述べた前処理の方法により、ポリオキシアルキレンポリオールの末端の水酸基は、添加した無水トリフルオロ酢酸と反応してトリフルオロ酢酸エステルとなる。その結果、1級水酸基が結合したメチレン基由来の信号は4.3ppm付近に観測され、2級水酸基が結合したメチン基由来の信号は5.2ppm付近に観測される(重水素化クロロホルムを溶媒として使用)。1級水酸基率は次の計算式により算出する。
1級水酸基率(%)=[a/(a+2×b)]×100
但し、式中、aは4.3ppm付近の1級水酸基の結合したメチレン基由来の信号の積分値;bは5.2ppm付近の2級水酸基の結合したメチン基由来の信号の積分値である。
【0043】
ポリオール(a)は、ポリウレタンの機械物性の観点から、数式(1)を満たすことが好ましい。
y≦28.3×x-2×(100−z)/100 (1)
[数式(1)中、xは単位mgKOH/gで表される水酸基価、yは単位meq/gで表される総不飽和度を表す。zは、(a)の重量を基準とするエチレンオキサイド含有量であり、0〜50重量%である。]
【0044】
上記数式(1)において、xの範囲は、5〜280mgKOH/gが好ましく、さらに好ましくは10〜115mgKOH/g、次にさらに好ましくは25〜75mgKOH/gである。xが5mgKOH/g以上であれば、ポリオキシアルキレンポリオールの粘度が低いため取り扱いが容易であり、280mgKOH/g以下であれば、合成したポリウレタンの伸び物性が良い。なお、xはJISK−1557により求められる。
【0045】
yは、ポリオール(a)の総不飽和度(meq/g)であり、JISK−1557により求められる。
yの範囲は、ポリウレタンの機械物性の観点から、0〜0.04が好ましく、さらに好ましくは0〜0.03、次にさらに好ましくは0〜0.02である。
【0046】
またzは、ポリオール(a)の重量を基準とするエチレンオキサイド含有量(重量%)である。zの範囲は、0〜50であり、好ましくは0〜25、特に好ましくは0〜20である。zが50を超えるとポリウレタン耐湿性が悪くなる。
【0047】
なお、数式(1)は、水酸基価xを水酸基当量wでも表すことができ、その場合、水酸基当量wと総不飽和度yとエチレンオキサイド含有量zとは数式(2)の関係を満たす。なお水酸基当量wは、ポリオール(a)の数平均分子量を、(a)の数平均水酸基数で除した値である。
y≦(9.0×10-9)w2×(100−z)/100 (2)
【0048】
前述したように、ポリオール(a)の水酸基価xと総不飽和度yとエチレンオキサイド含有量zとの関係は、数式(1)の関係を満たすことが好ましい。
y≦28.3×x-2×(100−z)/100 (1)
ポリオール(a)は、イソシアネートとの十分な反応性及び疎水性を持つという特徴がある。この(a)を用いて得られるポリウレタンは、ポリオールがポリウレタン製造時に反応性が高く、ポリウレタンの機械物性(硬さ、破断伸び、引張強度、引裂強度)と耐湿性が良好となる。
【0049】
ポリオール(a)は、さらに好ましくは、数式(3)の関係を満たす。
y≦18.9×x-2×(100−z)/100 (3)
数式(3)を満たすポリオール(a)は、数式(1)を満たすときに比べて不飽和モノオール量が低減されており、このようなポリオール(a)を用いて製造したポリウレタンの機械物性は更に向上する。
【0050】
上記式において右辺は水酸基価xとエチレンオキサイド含有量zから計算される値である。右辺は、水酸基価xが大きい程小さくなる、すなわち(a)の水酸基当たりの分子量が小さい程小さくなる。また右辺はエチレンオキサイド含有量zが大きい程小さくなる。
上記式(1)及び(3)の左辺は、総不飽和度yである。
ところで、ポリオキシアルキレンポリオールの不飽和基は、この製造過程でエチレンオキサイド以外のアルキレンオキサイド(特にプロピレンオキサイド)が転移反応して生成するので、ポリオキシアルキレンポリオール中のエチレンオキサイド含有量が小さいほど不飽和度yが大きくなる傾向があり、分子量が大きい程不飽和度yが大きくなる傾向がある。したがって、エチレンオキサイド含有量が小さい、又は分子量が大きいポリオキシアルキレンポリオールは、式(1)及び(3)を満たすことが困難な傾向にある。
すなわち、式(1)又は(3)は、水酸基価x及びエチレンオキサイド含有量zに比べて、総不飽和度yが小さい領域を示すものである。なお、上記式(1)及び(3)は、実験的に見出した本発明の効果が得られる好ましい範囲を表したものである。
【0051】
ポリオール(a)の数平均分子量は、ポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物(PL)の用途、例えば製造するポリウレタンフォームの要求物性により適宜選択され、特に限定はされないが、ポリウレタンフォームの物性の観点から、400〜100,000が好ましく、好ましくは400〜20,000である。
【0052】
ポリオール(a)の具体例としては、水のEO付加物、水のPO付加物、グリセリンのEO付加物、グリセリンのPO付加物、水のEO・PO共重合付加物、水のPO・ブチレンオキサイド共重合付加物、グリセリンのEO・PO共重合付加物、水のEO・PO・ブチレンオキサイドの共重合付加物及びグリセリンのEO・PO・ブチレンオキサイドの共重合付加物等が挙げられる。
【0053】
下記一般式(13)で表される活性水素含有化合物(J)は、通常知られている方法で製造することができ、例えば活性水素含有化合物(H)にC2〜12のアルキレンオキサイドを開環付加重合することにより製造でき、この重合の触媒は特に限定されない。
ポリオール(a)は、(J)にC3〜12のアルキレンオキサイドを触媒(C)の存在下で開環付加重合させ下記一般式(14)で表される活性水素化合物(K)とすることで得ることができる。また、必要により、その後、(K)の末端にEOを0〜50重量%開環付加重合してもよい。(K)にEOを開環付加重する際の方法は通常知られている条件で良く、特に触媒は限定されない。EOを(K)の末端に付加重合しない場合は、(K)が(a)である。上述の通り、得られた(a)の水酸基価xと総不飽和度yが数式(1)の関係を満たすことが好ましい。
【0054】
【化8】
【0055】
【化9】
【0056】
一般式(13)中、R21、Z、p、sは、一般式(7)と同じであり、上述のものを同様に例示することができる。
一般式(14)中、R21、Z、A、p、q、sは、一般式(7)と同じであり、上述の物を同様に例示することができる。
【0057】
活性水素含有化合物(J)の具体例としては、pが0の場合は、活性水素含有化合物(H)として上述したものと同様のものが挙げられる。
【0058】
pが1以上の場合は、C2〜12のアルキレンオキサイドを、前述のpが0のもの、すなわち(H)に付加させて得られる化合物が挙げられる。この付加反応時に使用する触媒は限定されない。
例えば、(J)の具体例としては、(H)への、EO、PO及びブチレンオキサイド等の付加物が挙げられ、さらに具体的には、水のEO付加物、水のPO付加物、グリセリンのEO付加物、グリセリンのPO付加物、アンモニアのエチレンオキサイド付加物、アンモニアのプロピレンオキサイド付加物、水のEO・PO共重合付加物、水のPO・ブチレンオキサイド共重合付加物、グリセリンのEO・PO共重合付加物、グリセリンのEO・ブチレンオキサイド共重合付加物、グリセリンのPO・ブチレンオキサイド共重合付加物、アンモニアのエチレンオキサイド・プロピレンオキサイド共重合付加物、水のEO・PO・ブチレンオキサイドの共重合付加物及びグリセリンのEO・PO・ブチレンオキサイドの共重合付加物、アンモニアのEO・PO・ブチレンオキサイドの共重合付加物等が挙げられる。
【0059】
活性水素含有化合物(K)としては上記活性水素含有化合物(J)にC3〜12のアルキレンオキサイドを付加重合して得られる化合物が挙げられる。ポリオール(a)を得られやすいことから、この付加重合で用いられる触媒は下記触媒(C)であることが好ましい。
例えば(K)は、(J)へのPO、ブチレンオキサイド等の付加物が挙げられる。
【0060】
ポリオール(a)は、反応性の観点から、亜鉛、鉄、コバルト、クロム及びマンガンの内の1種又は2種以上の合計含有量が2ppm以下であることが好ましく、より好ましくは1ppm以下である。
【0061】
触媒(C)は、下記一般式(15−1)、(15−2)又は(15−3)で表される化合物である。これを用いてC3〜12のアルキレンオキサイドを開環付加重合することにより、収率良く開環重合体が得られ、末端水酸基の1級水酸基率が高いポリオキシアルキレンポリオールが得られるものである。
【0062】
【化10】
【0063】
【化11】
【0064】
【化12】
【0065】
上記一般式(15−1)、(15−2)又は(15−3)中、それぞれ、Xはホウ素原子又はアルミニウム原子を表す。反応性の観点から、ホウ素原子が好ましい。
【0066】
一般式(15−1)、(15−2)又は(15−3)中のR25は、下記一般式(16)で表される(置換)フェニル基又は下記一般式(17)で表される3級アルキル基を表し、R25が複数ある場合、複数のR25は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0067】
【化13】
【0068】
【化14】
【0069】
上記一般式(16)中のYは、水素原子、C1〜4のアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基を表し、同一でも異なっていてもよい。これらのうち、水素原子、ハロゲン原子及びシアノ基が好ましく、さらに好ましくは、ハロゲン原子及びシアノ基である。
また、tは0〜5の数を表す。
一般式(16)で表されるフェニル基又は置換フェニル基の具体例としては、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基、p−メチルフェニル基、p−シアノフェニル基及びp−ニトロフェニル基等が挙げられ、好ましくは、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基及びp−シアノフェニル基であり、さらに好ましくはフェニル基、ペンタフルオロフェニル基である。
【0070】
上記一般式(17)中のR26、R27又はR28はそれぞれ独立にC1〜4のアルキル基を表し、同一でも異なっていてもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。一般式(17)で表される3級アルキル基の具体例としては、t−ブチル基及びt−ペンチル基等が挙げられる。
【0071】
触媒(C)としては、具体的にはトリフェニルボラン、ジフェニル−t−ブチルボラン、トリ(t−ブチル)ボラン、トリフェニルアルミニウム、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン及びトリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウムが挙げられる。
【0072】
活性水素含有化合物(J)に、触媒(C)の存在下で、アルキレンオキサイドを付加させて、活性水素化合物(K)を得る際の付加させるアルキレンオキサイドの付加モル数は、活性水素含有化合物(J)の活性水素当たり、1モル〜200モルが好ましく、さらに好ましくは1〜100モルであり、製造する開環重合体の分子量とその用途により適宜選択する。
【0073】
触媒(C)の使用量は特に限定されないが、製造する開環重合体に対して0.0001〜10重量%が好ましく、さらに好ましくは0.0005〜1重量%である。
【0074】
活性水素含有化合物(J)に、触媒(C)の存在下で、アルキレンオキサイドを付加させて、前述の一般式(14)で表される活性水素化合物(K)を得る際、圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生低沸点化合物(t)を連続的又は断続的に除去することが、前述の数式(1)を満たすポリオール(a)が得られやすく、好ましい。除去する方法は、通常知られているいずれの方法で実施してもよい。例えば、(t)を反応混合物から加熱及び/又は減圧して除去する方法、反応槽内の気相を気相循環ポンプを用いて反応槽から抜き出し(t)を吸着剤で除去する方法、反応槽内の気相を気相循環ポンプを用いて反応槽から抜き出し(t)を触媒を用いて反応させて高沸点化合物として分離する方法、反応槽内の気相を気相循環ポンプを用いて反応槽から抜き出し(t)を蒸留により分離する方法等がある。
【0075】
圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生低沸点化合物(t)の具体例としては、ホルムアルデヒド(沸点−19℃)、アセトアルデヒド(沸点20℃)、プロピオンアルデヒド(沸点48℃)及びアリルアルコールにAOが0〜2モル付加した化合物等が挙げられる。(t)は、AOを付加する際に、ポリオール(a)の重量を基準として、0.0001〜10重量%発生する場合が多い
【0076】
AOを活性水素含有化合物(J)に付加させる際には、活性水素含有化合物(J)とAOと触媒(C)の3種類を一括で仕込んで反応させてもよいし、活性水素含有化合物(J)と触媒(C)との混合物にAOを滴下して反応させてもよいし、あるいは活性水素含有化合物(J)にAOと触媒(C)とを滴下して反応しても良い。反応温度の制御の観点から、活性水素含有化合物(J)と触媒(C)との混合物にAOを滴下する、あるいは、活性水素含有化合物(J)にAOと触媒(C)とを滴下する方法が好ましい。
【0077】
活性水素含有化合物(J)にAOを付加させる際の反応温度は、0℃〜250℃が好ましく、さらに好ましくは20℃〜180℃である。
【0078】
上記例示した方法で製造されたポリオール(a)は触媒(C)を含んでいるが、その用途により必要に応じて、触媒(C)の分解及び/又は除去処理を実施する。
【0079】
分解方法としては、水及び/又はアルコール化合物、必要によりアルカリ化合物等の塩基性物質を加える方法がある。アルコール化合物としては前述のアルコール及び/又はフェノールを用いることができる。アルカリ化合物としてはアルカリ金属水酸化物(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム及び水酸化セシウム等)、アルカリ金属アルコラート(カリウムメチラート、ナトリウムメチラート等)及びこれら2種類以上の混合物が挙げられる。これらのうち、生産性の観点から、アルカリ金属水酸化物が好ましい。分解に際して、分解温度は、10℃〜180℃が好ましく、さらに好ましくは80〜150℃である。分解は密閉状態で行ってもよく、真空源に接続して排気しながら行ってもよく、あるいは水又はアルコール化合物を連続して添加しながら行ってもよい。添加する水又はアルコールは、液体の状態で添加してもよく、蒸気あるいは固体状態で添加してもよい。水及び/又はアルコール化合物の使用量は、付加生成物の重量を基準として、0.1〜100重量%が好ましく、さらに好ましくは1〜20重量%である。アルカリ化合物の使用量は、付加生成物の重量を基準として、0.1〜10重量%が好ましく、さらに好ましくは0.3〜2重量%である。
【0080】
除去方法としては、通常知られているいずれの方法で実施してもよい。例えば、ハイドロタルサイト系吸着剤{キョーワード500、キョーワード1000及びキョーワード2000等(いずれも協和化学工業社製)}や珪藻土等のろ過助剤{ラヂオライト600、ラヂオライト800及びラヂオライト900(いずれも昭和化学工業社製)}等を用いることができる。ろ過は、加圧ろ過、減圧ろ過のどちらでもよいが、酸素の混入を防止しやすいので加圧ろ過が好ましい。フィルターの材質は特に限定されない。例えば、紙、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド、アクリル及びメタアラミド等が挙げられ、紙が好ましい。また、フィルターの保留粒子径は0.1〜10μmのものが好ましく。さらに1〜5μmのものが好ましい。
【0081】
なお、触媒(C)がポリオール(a)中に残存しても、従来のアルカリ系触媒と比較すると、その後の例えばウレタン化反応におけるポリオールとイソシアネートとの反応性には、大きな悪影響を及ぼさない。しかし、着色防止の観点から残存する触媒は分解及び/又は除去することが好ましい。
【0082】
ポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物(PL)がポリオール(A)を含有することには、(A)中でビニルモノマー(g)を重合させて得られる重合体ポリオール(W)を含有することも含まれる。
重合体ポリオール(W)は、(A)中にポリマー粒子(P)が分散された重合体ポリオールである。
重合体ポリオール(W)は、(A)中でビニルモノマー(g)を公知の方法で重合して製造することができる。例えば、(A)中で、ラジカル重合開始剤の存在下、ビニルモノマー(g)が重合され、得られた(g)の重合体が安定分散されたものが挙げられる。重合方法の具体例としては、米国特許第3383351号明細書及び特公昭39−25737号公報等に記載の方法が挙げられる。(g)としては、スチレン及び/又はアクリロニトリルが好ましい。
【0083】
本発明において、主鎖中に環状構造を有する化合物(B)は、フォーム物性の観点から、下記化合物(b1)〜(b3)から選ばれる少なくとも1種の化合物(b)であることが好ましい。
化合物(b1):下記一般式(2)で表されるフルオレン化合物。
化合物(b2):両末端にそれぞれ独立に下記一般式(3)で示される構造を有し、その間を構成する繰り返し単位の少なくとも一種類が下記一般式(4)で示される環構造であるポリオール(b2−1)、又は両末端にそれぞれ独立に下記一般式(5)で示される構造を有し、その間を構成する繰り返し単位の少なくとも一種類が下記一般式(6)で示される環構造であるポリオール(b2−2)。
化合物(b3):分子内に液晶性骨格を有するポリオール。
【0084】
化合物(b1)は、少なくとも、9,9−ビス[ヒドロキシ又はヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−フェニル]フルオレン骨格を有するフルオレン化合物であり、下記一般式(2)で表されるフルオレン化合物である。
【0085】
【化15】
一般式(2)中、R2は置換基を示し、R3はアルキレン基を示し、R4は置換基を示し、mは0以上の整数、kは0〜4の整数、nは0〜4の整数を示す。)で表されるフルオレン化合物である。
【0086】
前記一般式(2)において、基R2で表される置換基としては、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)又はアルキル基である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基等のC1〜6のアルキル基等が例示できる。なお、kが複数(2以上)である場合、基R2は互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、フルオレンを構成する2つのベンゼン環に置換する基R2は同一であってもよく、異なっていてもよい。また、フルオレンを構成するベンゼン環に対する基R2の結合位置(置換位置)は、特に限定されない。好ましい置換数kは、0〜1、特に0である。なお、フルオレンを構成する2つのベンゼン環において、置換数kは、互いに同一又は異なっていてもよい。
【0087】
基R3で表されるアルキレン基としては、特に限定されないが、例えば、C2〜10のアルキレン基(エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブタン−1,2−ジイル基及びヘキシレン基等のC2〜6のアルキレン基、好ましくはC2〜4のアルキレン基、さらに好ましくはC2〜3のアルキレン基)等が例示でき、特に、エチレン基が好ましい。なお、基R3は同一の又は異なるアルキレン基であってもよい(すなわち、mが複数である場合、基R3は同一又は異なっていてもよい)。すなわち、mが2以上の場合、ポリアルコキシ(ポリオキシアルキレン)基[−(OR3)m−]は、同一のオキシアルキレン基で構成されていてもよく、複数のオキシアルキレン基(例えば、オキシエチレン基とオキシプロピレン基等)で構成されていてもよい。基R3は同一のベンゼン環において、同一のアルキレン基であってもよい。
【0088】
オキシアルキレン基(OR3)の数(付加モル数)mは、0以上の整数であればよく、好ましくは1以上の整数[例えば、1〜15(例えば、1〜10)程度の範囲から選択でき、例えば、1〜8(例えば、1〜6)、好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜2、特に1]である。
【0089】
なお、前記一般式(2)において、ベンゼン環に置換する基−[(OR3)m−OH]の置換位置は、特に限定されず、フェニル基の2〜6位から選択できるが、3又は4位(特に、4位)が好ましい。
【0090】
基R4で表される置換基としては、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基及びt−ブチル基等のC1〜20のアルキル基、好ましくはC1〜8のアルキル基、さらに好ましくはC1〜6のアルキル基)、シクロアルキル基(シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等のC5〜10のシクロアルキル基、好ましくはC5〜8のシクロアルキル基、さらに好ましくはC5〜6のシクロアルキル基)、アリール基(フェニル基等のC6〜10のアリール基)及びアラルキル基(ベンジル基及びフェネチル基等のC6〜10のアリール−C1〜4のアルキル基等)等の炭化水素基;アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基及びt−ブトキシ基等のC1〜20のアルコキシ基、好ましくはC1〜8のアルコキシ基、さらに好ましくはC1〜6のアルコキシ基)、シクロアルコキシ基(シクロヘキシルオキシ基等のC5〜10のシクロアルキルオキシ基)、アリールオキシ基(フェノキシ基等のC6〜10アリールオキシ基)、アラルキルオキシ基(ベンジルオキシ基等のC6〜10アリール−C1〜4のアラルキルオキシ基)等のエーテル基;アシル基(アセチル基等のC1〜6のアシル基);アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基等のC1〜4のアルコキシカルボニル基);ハロゲン原子(フッ素原子及び塩素原子等);ニトロ基;シアノ基;置換アミノ基(ジアルキルアミノ基等)等が例示できる。
【0091】
好ましい置換基R4は、炭化水素基[さらに好ましくは、アルキル基(次にさらに好ましくは、C1〜6のアルキル基)、シクロアルキル基(さらに好ましくは、C5〜8のシクロアルキル基)、アリール基(さらに好ましくは、C6〜10のアリール基)、アラルキル基(さらに好ましくは、C6〜8のアリール−C1〜2のアルキル基)等]及びアルコキシ基(さらに好ましくはC1〜4のアルコキシ基)である。
【0092】
置換基R4は、ベンゼン環において、それぞれ、単独で又は二種以上組み合わせて置換していてもよい。また、置換基R4の置換数nは、0〜4であればよく、好ましくは0〜1、さらに好ましくは0であってもよい。
【0093】
なお、ベンゼン環に置換するR4の置換位置は特に限定されず、基−[(OR3)m−OH]の置換位置に応じて、適宜選択できる。
【0094】
具体的な前記一般式(2)で表される化合物には、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン[前記式(2)においてmが0である化合物、例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−フェニル)フルオレン等の9,9−ビス(ヒドロキシ−フェニル)フルオレン]、9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシ−フェニル)フルオレン(前記式(2)においてmが1である化合物)、9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−フェニル)フルオレン(前記式(2)においてmが2以上である化合物)等が含まれる。
【0095】
9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシ−フェニル)フルオレンには、9,9−ビス(ヒドロキシC2〜4のアルコキシ−フェニル)フルオレン{9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、等の9,9−ビス(ヒドロキシC2〜4のアルコキシ−フェニル)フルオレンが含まれ、好ましくは9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン}等が含まれる。
【0096】
9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−フェニル)フルオレンには、前記9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシ−フェニル)フルオレンに対応し、mが2以上である化合物、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシジC2〜4のアルコキシ−フェニル)フルオレン{9,9−ビス{4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]−フェニル}フルオレン、9,9−ビス{4−[2−(2−ヒドロキシプロポキシ)プロポキシ]−フェニル}フルオレン等の9,9−ビス(ヒドロキシジC2〜4のアルコキシ−フェニル)フルオレン、好ましくは9,9−ビス[2−(2−ヒドロキシC2〜3のアルコキシ)C2〜3のアルコキシ−フェニル]フルオレン、さらに好ましくは9,9−ビス[2−(2−ヒドロキシC2〜3のアルコキシ)C2〜3のアルコキシ−フェニル]フルオレン}等が含まれる。
これらのフルオレン化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0097】
前記フルオレン化合物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、特許第2559332号公報に記載のように、酸触媒及びチオール類の存在下、フルオレノンと、アルコールとを反応させる方法が挙げられる。
【0098】
化合物(b2)は、特定の構造を有する脂環式又は複素環式骨格を有する繰り返し単位からなるポリオール化合物である。
化合物(b2):両末端にそれぞれ独立に下記一般式(3)で示される構造を有し、その間を構成する繰り返し単位の少なくとも一種類が下記一般式(4)で示される環構造であるポリオール(b2−1)、又は両末端にそれぞれ独立に下記一般式(5)で示される構造を有し、その間を構成する繰り返し単位の少なくとも一種類が下記一般式(6)で示される環構造であるポリオール(b2−2)。
【0099】
【化16】
【0100】
【化17】
【0101】
【化18】
【0102】
【化19】
【0103】
ここで、下記一般式(4)で示される繰り返し単位を含むポリオール(b2−1)は下記一般式(6)で示される繰り返し単位を含むポリオール(b2−2)の炭素−炭素二重結合を水添したものである。
【0104】
具体的に一般式(4)におけるR5〜R12を以下に例示して説明する。下記一般式(18)は(b2−1)の一例であり、一般式(3)の両末端と一般式(4)の繰り返し単位のみから成る場合である。
【0105】
【化20】
【0106】
〔式中、R5〜R12は独立にハロゲン原子、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基(R5〜R12のうち2つ以上が連結し環を形成してもよい。)、シアノ基、水酸基、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、ホルミル基、カルボキシル基(2個のカルボキシル基から酸無水物を形成してもよい。)又はシリル基を表す。u、vは独立に0から5の整数を表し、wは任意の自然数。〕
上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、アミル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、オクタデシル等のアルキル基、シクロペンチル、シクロヘキシル等のシクロアルキル基、フェニル、トリル、メシチル、ナフチル等のアリール基、R5〜R12の2つ以上が連結した環としては、共通するひとつの炭素原子に結合する置換基、すなわちR5とR6、R7とR8又はR9とR10が連結した3〜6員環のスピロ環、一般式(20)中のα、βで示される炭素原子を共有した5〜8員環の縮合環、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、クロロメチル、メトキシメチル、アセトキシメチル等の置換アルキル基等が挙げられる。
【0107】
さらに、R5〜R12の例としては、シアノ基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ等のアルコキシル基;アセトキシ、プロピオニルオキシ等のアシル基;ホルミル基;カルボキシル基又はそのメチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル等のエステル類(アルコキシカルボニル基)もしくは2個のカルボキシル基から形成される酸無水物;トリメチルシリル等のシリル基等が挙げられる。
【0108】
これらR5〜R12のうち、好ましくは水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基であり、さらに好ましくは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基である。また、一般式(4)におけるAは置換基R5、R6を有する炭化水素基又は酸素原子であるが炭化水素基であることが好ましく、メチレン基であることがより好ましい。
【0109】
次に、一般式(6)におけるR13〜R20を以下に具体的に例示して説明する。下記一般式(19)は(b2−2)の一例であり、一般式(5)の両末端と一般式(6)の繰り返し単位のみから成る場合である。
【0110】
【化21】
【0111】
〔式中、R13〜R20は独立にハロゲン原子、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基(R15とR16、R17とR18はそれぞれの組で独立に、合わせてアルキリデン基でもよく、R13〜R20のうち2つ以上が連結し環を形成してもよい。)、シアノ基、水酸基、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、ホルミル基、カルボキシル基(2個のカルボキシル基から酸無水物を形成してもよい。)又はシリル基を表す。u、vは独立に0から5の整数を表し、wは任意の自然数。〕
上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。上記置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、アミル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、オクタデシル等のアルキル基、シクロペンチル、シクロヘキシル等のシクロアルキル基、フェニル、トリル、キシリル、メシチル、ナフチル等のアリール基、R15とR16、R17とR18のそれぞれの組から独立に形成されるアルキリデン基としては、メチレン(=CH2)、エチリデン、プロピリデン、イソプロピリデン等のアルキリデン基、R13〜R20の2つ以上が連結した環としては、共通するひとつの炭素原子に結合する置換基、すなわちR13とR14、R15とR16又はR17とR18が連結した3〜6員環のスピロ環、一般式(21)中のα、βで示される炭素原子を共有した5〜8員環の縮合環、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、クロロメチル、メトキシメチル、アセトキシメチル等の置換アルキル基等が挙げられる。
【0112】
さらに、R13〜R20の例としてはシアノ基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ等のアルコキシル基;アセトキシ、プロピオニルオキシ等のアシル基;ホルミル基;カルボキシル基又はそのメチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル等のエステル類(アルコキシカルボニル基)もしくは2個のカルボキシル基から形成される酸無水物;トリメチルシリル等のシリル基等が挙げられる。これらR13〜R20のうち、好ましくは水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基であり、さらに好ましくは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基又はアルキリデン基である。また、一般式(6)におけるAは置換基R13、R14を有する炭化水素基又は酸素原子であるが炭化水素基であることが好ましく、メチレン基であることがより好ましい。
【0113】
ポリオール(b2−2)(例として一般式(19))は、特開2003−26752号公報に記載の方法等により、環状不飽和化合物と、両末端に官能基(水酸基、アシルオキシ基等)を有する鎖状不飽和化合物とから触媒を使用し開環重合を行い、必要があれば官能基を水酸基に変換する操作を行って製造される。
【0114】
一般式(4)を繰り返し単位として有するポリオール(b2−1)は一般式(6)を繰り返し単位として主鎖に有するポリオール(b2−2)を水添する事で得ることができる。また、ポリオール(b2−2)への開環重合の際、原料である鎖状不飽和化合物の両末端の官能基がアシルオキシ基、アロイルオキシ基である場合には開環重合物を水添した後、加水分解、けん化又はエステル交換してポリオール(b2−2)として得ることもできる。
【0115】
ポリオール(b2−2)の水添方法としては、基本的に、炭素−炭素二重結合を水添しうる全ての方法があげられる。例えば、金属水素化物、金属水素錯化合物、ボランやヒドラジン類等の試薬を用いた量論的な方法や水素による触媒的な方法が用いられる。これらの方法の中では水素と触媒を用いた水添反応が経済性、量産性の面から望ましい。但し、アルデヒドやニトリル基等の置換基を水添させずにそのまま残す必要がある場合には、水素による水添法ではなく、炭素−炭素二重結合のみを選択的に水添する方法をとる必要がある。
【0116】
ポリオール(b2−2)の水素ガスによる水添の触媒としては、パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウム等を活性炭、アルミナ、シリカ等に担持した触媒、ニッケル、ルテニウム等のラネー金属触媒、酸化パラジウム、酸化白金等の金属酸化物触媒やNi(CH3COCHCOCH3)2/(C2H5)3Al、(C5H5)2TiCl2/(C2H5)2AlCl、[(C6H5)3P]3RhCl、[(C6H5)3P]3RuCl2、[(C6H5)3P]3RuH2、[(C6H5)3P]3(CO)RuCl2、[(C6H5)3P]3(CO)RuHClといったポリオール(b2−2)を製造するためのノルオルネン類の開環重合で一度用いたルテニウム、オスミウムのメタセシス触媒等の均一系触媒を使用することができる。
【0117】
化合物(b3)は、分子内に液晶性骨格を有するポリオール化合物である。例えば、液晶性骨格は、下記一般式(20)、(21)で表される構造を有する。
【0118】
【化22】
【0119】
【化23】
【0120】
一般式(20)及び(21)において、Mはメソゲン基を表す。
Mで表されるはメソゲン基の具体例としては、下記一般式(a)〜(m)に示す基が挙げられる。
【0121】
【化24】
【0122】
【化25】
【0123】
上記一般式(a)〜(m)において、R29〜R32はハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシ基を表し、好ましくはハロゲン原子又はアルキル基である。R33〜R34はハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシ基を表し、好ましくはアルキル基である。R35〜R37はハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシ基を表し、好ましくはアルキル基である。
R29〜R37で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子又は臭素原子が好ましく、特に好ましくは塩素原子又は臭素原子である。
【0124】
R29〜R37で表されるアルキル基としては、置換基を有していてもよく、炭素原子数が1〜12のものが好ましく、特に1〜6のものが好ましい。
R29〜R37で表されるアルコキシ基としては、置換基を有していてもよく、炭素原子数が1〜12のものが好ましく、特に1〜6のものが好ましい。
【0125】
上式(a)〜(m)において、a〜dは0〜2の整数を表し、好ましくは0又は1である。e〜fは0〜2の整数を表し、好ましくは0である。g〜iは0〜4の整数を表し、好ましくは0である。
上式(a)〜(m)において、Y1〜Y3は、単結合、−CH=CH−、エテニレン基、−COO−、−O・CO−、−CONH−、−NHCO−、−N=N−、−N(→O)=N−、−CH=N−又は−N=CH−を表し、好ましくは単結合、エテニレン、−COO−、−O・CO−、−CONH−又は−NHCO−であり、特に好ましくは、単結合、−COO−又は−CONH−である。
【0126】
上式(a)〜(m)において、Z1は、単結合、−CH=CH−、エテニレン基、−COO−、−O・CO−、−CONH−、−NHCO−、−N=N−、−N(→O)=N−、−CH=N−又は−N=CH−を表し、好ましくは、単結合、エテニレン、−COO−、−O・CO−、−CONH−又は−NHCO−であり、特に好ましくは、単結合又は、エテニレン基である。
以上、Mで表されるはメソゲン基の内、上記(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)で表される基が好ましく、特に好ましくは(a)、(b)及び(c)である。
【0127】
一般式(20)において、A1及びA2は、アルキル鎖(CH2 )m(mは2〜20の整数を表す)を表す。
【0128】
一般式(21)において、A3及びA4は、アルキル鎖(CH2 )n(nは2〜5の整数を表す)を表し、x及びyは0以上の整数を表す。
【0129】
ポリオール組成物(PL)の重量を基準とする化合物(B)の含有量は、引張強度及び伸び物性の観点から、0.1〜90重量%が好ましく、さらに好ましくは0.5〜80重量%、特に好ましくは1〜60%重量である。なお、本発明においては、使用する重合体ポリオールに化合物(B)が含まれている場合も、ポリオール組成物(PL)に化合物(B)が含有されているものとして取り扱う。
なお、本発明においては、化合物(B)に該当するものは、化合物(B)として取り扱い、ポリオール(A)としては取り扱わないものとする。
【0130】
ポリオール組成物(PL)において、後述する発泡剤(D)を含有することが好ましく、この(D)の含有量は、ポリオール(A)と化合物(B)の合計重量に対して、引張強度及び伸び物性の観点から、0.1〜50重量部が好ましく、さらに好ましくは1〜45重量部、次にさらに好ましくは1〜40重量部、特に好ましくは1〜30重量部、最も好ましくは1〜25重量部である。
【0131】
本発明のポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物(PL)は、ポリオール(A)と化合物(B)とを含有していればよく、その製造方法としては(A)と(B)とを混合する方法等が挙げられる。
【0132】
本発明のポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物(PL)は、各種用途に用いることができるが、発泡又は非発泡ポリウレタンを製造するのに好適に用いられる。
すなわち、ポリオール成分とイソシアネート成分とを、必要により添加剤の存在下反応させて、発泡又は非発泡ポリウレタンを製造する際、ポリオール成分の少なくとも一部として、(PL)を使用する。
(PL)をポリウレタンフォームの製造に用いるポリウレタンフォームの製造方法としては、ポリオール成分とイソシアネート成分とを反応させてポリウレタンフォームを製造する方法において、ポリオール成分が上記ポリオール組成物(PL)をポリオール成分の重量に対して10〜100重量%含有するポリウレタンフォームの製造方法が含まれる。
【0133】
イソシアネート成分としては、従来からポリウレタン製造に使用されているものが使用できる。このようなイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、これらの変性物(例えば、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシアヌレート基、又はオキサゾリドン基含有変性物等)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0134】
芳香族ポリイソシアネートとしては、C(NCO基中の炭素を除く;以下のイソシアネートも同様)6〜16の芳香族ジイソシアネート、C6〜20の芳香族トリイソシアネート及びこれらのイソシアネートの粗製物等が挙げられる。具体例としては、1,3−及び/又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−及び/又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−及び/又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(粗製MDI)、等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、C6〜10の脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。具体例としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
【0135】
脂環式ポリイソシアネートとしては、C6〜16の脂環式ジイソシアネート等が挙げられる。具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、C8〜12の芳香脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。具体例としては、キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
変性ポリイソシアネートの具体例としては、ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI等が挙げられる。
【0136】
ポリウレタンフォームの製造の際、必要により、以下に述べる添加剤(発泡剤(D)、整泡剤等)の存在下で反応させてもよい。
発泡剤(D)としては、公知の発泡剤が使用でき、例えば、水、水素原子含有ハロゲン化炭化水素、低沸点炭化水素及び液化炭酸ガス等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
水素原子含有ハロゲン化炭化水素の具体例としては、塩化メチレンやHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)タイプのもの(例えばHCFC−123及びHCFC−141b);HFC(ハイドロフルオロカーボン)タイプのもの(例えば、HFC−245fa及びHFC−365mfc)等が挙げられる。
低沸点炭化水素は、沸点が通常−5〜70℃の炭化水素であり、その具体例としては、ブタン、ペンタン、シクロペンタンが挙げられる。
【0137】
ポリオール成分100重量部に対する発泡剤(D)の使用量は、0.1〜50重量部が好ましく、さらに好ましくは1〜45重量部、次にさらに好ましくは1〜40重量部、特に好ましくは1〜30重量部、最も好ましくは1〜25重量部である。
ポリオール成分100重量部に対する発泡剤(D)の使用量は、発泡剤(D)が水の場合は、0.1〜30重量部が好ましく、さらに好ましくは1〜20重量部である。水素原子含有ハロゲン化炭化水素は、50重量部以下が好ましく、さらに好ましくは10〜45重量部である。低沸点炭化水素は、40重量部以下が好ましく、さらに好ましくは10〜30重量部である。液化炭酸ガスは、30重量部以下が好ましく、さらに好ましくは1〜25重量部である。
【0138】
さらに例えば、整泡剤(ジメチルシロキサン系、ポリエーテル変性ジメチルシロキサン系等)、ウレタン化触媒{3級アミン系触媒(トリエチレンジアミン、N−エチルモルホリン、ジエチルエタノールアミン、N、N、N’、N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ジアミノビシクロオクタン、1,2−ジメチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール及び1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−ウンデセン−7等)、及び/又は金属触媒(オクチル酸第一スズ、ジラウリル酸ジブチル第二スズ及びオクチル酸鉛等}、着色剤(染料及び顔料)、可塑剤(フタル酸エステル及びアジピン酸エステル等)、有機充填剤(合成短繊維、熱可塑性又は熱硬化性樹脂からなる中空微小球等)、難燃剤(リン酸エステル及びハロゲン化リン酸エステル等)、老化防止剤(トリアゾール及びベンゾフェノン等)、抗酸化剤(ヒンダードフェノール及びヒンダードアミン等)等公知の添加剤の存在下で反応させることができる。
【0139】
ポリオール成分100重量部に対するこれらの添加剤の使用量に関しては、整泡剤は、10重量部以下が好ましく、さらに好ましくは0.5〜5重量部である。ウレタン化触媒は、10重量部以下が好ましく、さらに好ましくは0.2〜5重量部である。着色剤は、1重量部以下が好ましい。可塑剤は、10重量部以下が好ましく、さらに好ましくは5重量部以下である。有機充填剤は、50重量部以下が好ましく、さらに好ましくは30重量部以下である。難燃剤は、30重量部以下が好ましく、さらに好ましくは5〜20重量部である。老化防止剤は、1重量部以下が好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.5重量部である。抗酸化剤は、1重量部以下が好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.5重量部である。添加剤の合計使用量は、50重量部以下が好ましく、さらに好ましくは0.2〜30重量部である。
【0140】
本発明のポリウレタンフォームの製造の際のイソシアネート指数(NCO INDEX)[(NCO基/活性水素原子含有基)の当量比×100]は、80〜150が好ましく、さらに好ましくは85〜135、特に好ましくは90〜130である。
【0141】
ポリオール成分中の、ポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物(PL)の含有量は、ポリウレタンフォームの引張強度の観点からの観点から、ポリオール成分の重量に対して、10〜100重量%が好ましく、さらに好ましくは20〜80重量%であり、次にさらに好ましくは30〜60重量%である。
【0142】
また、ポリオール成分とイソシアネート成分を反応させる条件は、通常用いられる公知の条件でよい。
一例を示せば、まず、ポリオール成分及び必要により添加剤を所定量混合する。次いで、ポリウレタン低圧又は高圧注入発泡機又は撹拌機を使用して、この混合物とイソシアネート成分とを急速混合する。得られた混合液を密閉型もしくは開放型のモールド(金属製又は樹脂製)に注入し、ウレタン化反応を行わせ、所定時間硬化後、脱型してポリウレタンを得る。
【実施例】
【0143】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0144】
製造例1 [ポリオールa−1の製造]
図1に示した態様のように、容量2500mlの撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(5)付きの反応槽(1)としてのステンレス製オートクレーブと、酸化マグネシウム(顆粒、直径2〜0.1mm)を400部充填した反応塔(2)(ステンレス製円筒管、内径5.5cm、長さ30cmを2基使用)及び蒸留塔(3)(理論段数30段、ステンレス製円筒管、内径5.5cm、長さ2m)を、循環ライン(6)、(7)、(8)で接続した。
反応槽(1)に、グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gとトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09gを仕込んだ後、オートクレーブ{反応槽(1)}と反応塔(2)及び循環ライン(6)、(7)、(8)内を0.005MPaまで減圧とした。原料供給ライン(5)を通じてPOを反応温度が50〜60℃を保つように制御しながら連続的に液相に投入しつつ、ダイアフラムポンプを用いて反応槽(1)内の気相を5L/minの流量で、反応槽(1)→循環ライン(6)→反応塔(2)→循環ライン(7)→蒸留塔(3)→循環ライン(8)→反応槽(1)の順に循環させた。反応塔(2)を75℃、0.08〜0.15MPaとなるように制御しながら副生低沸点化合物を連続的に酸化マグネシウムと接触させて高沸点化合物とし、蒸留塔(3)にてPOと分離する事で系外に除去した。分離した高沸点化合物は蒸留塔(3)の釜下ライン(4)から抜き取った。オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が2000mlとなった時点でPOの投入を停止、気相循環を終了し、70℃で4時間熟成し、水を200g加え130〜140℃で1時間加熱した。1時間加熱後、水を2時間かけて常圧留去したのち、引き続いてスチームを通入しながら圧力を30〜50torrに保ちながら3時間かけて残りの水を減圧留去し液状のグリセリンPO付加物(a−1)を得た。
なお、原料として用いたグリセリンのPO付加物は既知の方法で合成されたもの、つまり、水酸化カリウムを触媒としてグリセリンにプロピレンオキサイドを所定量付加した後、触媒除去のため、水と合成珪酸塩(協和化学社製 キョーワード600)を加えて加熱処理後、ろ過、減圧脱水したものである。
【0145】
製造例2 [ポリオールa−2の製造]
図2に示した態様のように、容量2500mlの撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(5)付きの反応槽(1)としてのステンレス製オートクレーブと、蒸留塔(3)(理論段数50段、ステンレス製円筒管、内径5.5cm、長さ3m)とを、循環ライン(6)、(8)で接続した。
反応槽(1)に、グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gとトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09gを仕込んだ後、オートクレーブ{反応槽(1)}と反応塔(2)及び循環ライン(6)、(8)内を0.005MPaまで減圧とした。原料供給ライン(5)を通じてPOを反応温度が50〜60℃を保つように制御しながら連続的に液相に投入しつつ、ダイアフラムポンプを用いて反応槽(1)内の気相を5L/minの流量で、反応槽(1)→循環ライン(6)→蒸留塔(3)→循環ライン(8)→反応槽(1)の順に循環させた。蒸留塔(3)にて副生低沸点化合物をPOと分離する事で系外に除去した。分離した副生低沸点化合物は蒸留塔(3)の釜下ライン(4)から抜き取った。オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が2000mlとなった時点でPOの投入を停止、気相循環を終了し、70℃で4時間熟成し、水を200g加え130〜140℃で1時間加熱した。1時間加熱後、水を2時間かけて常圧留去したのち、引き続いてスチームを通入しながら圧力を30〜50torrに保ちながら3時間かけて残りの水を減圧留去し液状のグリセリンPO付加物(a−2)を得た。
なお、原料として用いたグリセリンのPO付加物は製造例1と同じ物を用いた。
【0146】
製造例3 [ポリオールa−3の製造]
図3に示した態様のように、2500mlの撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(5)付きの反応槽(1)としてのステンレス製オートクレーブと、モレキュラーシーブ4Aを500部充填した吸着塔(9)(ステンレス製円筒管、内径5.5cm、長さ30cm)を、循環ライン(6)、(8)で接続した。
グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gとトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09gを仕込んだ後、オートクレーブ{反応槽(1)}と吸着塔(9)及びライン(6)、(8)内を0.005MPaまで減圧とした。原料供給ライン(5)を通じてPOを反応温度が50〜60℃を保つように制御しながら連続的に投入しつつ、ダイアフラムポンプを用いて反応槽(1)内の気相を5L/minの流量で、反応槽(1)→減圧ライン(6)→吸着塔(9)→循環ライン(8)→反応槽(1)の順に循環させた。吸着塔(9)を25℃、0.1〜0.3MPaとなるように制御しながら副生低沸点化合物を連続的にモレキュラーシーブに吸着させ系外に除去した。オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が2000mlとなった時点でPOの投入を停止、気相循環を終了し、70℃で4時間熟成し、水を200g加え130〜140℃で1時間加熱した。1時間加熱後、水を2時間かけて常圧留去したのち、引き続いてスチームを通入しながら圧力を30〜50torrに保ちながら3時間かけて残りの水を減圧留去し液状のグリセリンPO付加物(a−3)を得た。
なお、原料として用いたグリセリンのPO付加物は製造例1と同じ物を用いた。
【0147】
製造例4 [ポリオールa−4の製造]
図4に示した態様のように、2500mlの撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(5)付きの反応槽(1)としてのステンレス製オートクレーブに、減圧ライン(10)を接続した。オートクレーブ{反応槽(1)}に、グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gとトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09gとを仕込んだ後、原料供給ライン(5)を通じてPOを反応温度が50〜60℃を保つように制御しながら投入した。但し、POの投入は10分間かけて投入した後、減圧ライン(10)より減圧(0.01MPa)とし、15分間低沸点の揮発成分を留去する工程を、20回繰り返して実施した。オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が2000mlとなるまで投入した時点でPOの投入を停止し、70℃で4時間熟成し、水を200g加え130〜140℃で1時間加熱した。1時間加熱後、水を2時間かけて常圧留去したのち、引き続いてスチームを通入しながら圧力を30〜50torrに保ちながら3時間かけて残りの水を減圧留去し液状のグリセリンPO付加物(a−4)を得た。
なお、原料として用いたグリセリンのPO付加物は製造例1と同じ物を用いた。
【0148】
製造例5 [ポリオールa−5の製造]
グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gを用いる代わりに、グリセリンのPO付加物(水酸基価168)666gを用いる以外は、製造例1と同様の方法で合成し、液状のグリセリンPO付加物(a−5)を得た。
なお、原料として用いたグリセリンのPO付加物(水酸基価168)は既知の方法で合成されたもの、つまり、水酸化カリウムを触媒としてグリセリンにプロピレンオキサイドを所定量付加した後、触媒除去のため、水と合成珪酸塩(協和化学社製 キョーワード600)を加えて加熱処理後、ろ過、減圧脱水したものである。
【0149】
製造例6 [ポリオールa−6の製造]
図2に示した態様のように、容量2500mlの撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(5)付きの反応槽(1)としてのステンレス製オートクレーブと、酸化マグネシウム(顆粒、直径2〜0.1mm)を400部充填した反応塔(2)(ステンレス製円筒管、内径5.5cm、長さ30cmを2基使用)、及び、蒸留塔(3)(理論段数30段、ステンレス製円筒管、内径5.5cm、長さ2m)を、循環ライン(6)、(7)、(8)で接続した。
反応槽(1)に、グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gとトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09gを仕込んだ後、オートクレーブ{反応槽(1)}と反応塔(2)及び循環ライン(6)、(7)、(8)内を0.005MPaまで減圧とした。原料供給ライン(5)を通じてPOを反応温度が50〜60℃を保つように制御しながら連続的に液相に投入しつつ、ダイアフラムポンプを用いてオートクレーブ{反応槽(1)}内の気相を5L/minの流量で、反応槽(1)→循環ライン(6)→反応塔(2)→循環ライン(7)→蒸留塔(3)→循環ライン(8)→反応槽(1)の順に循環させた。反応塔(2)を75℃、0.08〜0.15MPaとなるように制御しながら副生低沸点化合物を連続的に酸化マグネシウムと接触させて高沸点化合物とし、蒸留塔(3)にてPOと分離する事で系外に除去した。分離した高沸点化合物は蒸留塔(3)の釜下ライン(4)から抜き取った。オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が1920mlとなった時点でPOの投入を停止、気相循環を終了し、70℃で4時間熟成し、水を170g加え130〜140℃で1時間加熱した。水を2時間かけて常圧留去した後、水酸化カリウム2gを加え130〜140℃にてスチームを通入しながら圧力を30〜50torrに保ちながら残りの水を減圧留去した。引き続き、原料供給ライン(5)を通じてEO80gを反応温度が130〜140℃を保つように制御しながら2時間かけて投入した後、2時間熟成した。90℃まで冷却した後、12gのキョーワード600(協和化学社製;合成珪酸塩)と水40gを加え1時間処理した。オートクレーブ{反応槽(1)}より取り出した後、1ミクロンのろ紙を用いてろ過した後、減圧脱水し、液状のグリセリンPOEO付加物(a−6)を得た。
なお、原料として用いたグリセリンのPO付加物は製造例1と同じ物を用いた。
【0150】
製造例7 [ポリオールa−7の製造]
グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gを用いる代わりに、グリセリンのPO付加物(水酸基価168)666gを用いる以外は、製造例6と同様の方法で合成し、液状のグリセリンPOEO付加物(a−7)を得た。
なお、原料として用いたグリセリンのPO付加物は製造例5と同じ物を用いた。
【0151】
製造例8 [ポリオールa−8の製造]
グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gを用いる代わりに、ペンタエリスリトールのPO付加物(水酸基価280)267gを用い、「オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が1920mlとなった時点でPOの投入を停止」の代わりに「オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が1840mlとなった時点でPOの投入を停止」すること、及び「EO80g」の代わりに、「EO160g」とすること以外は、製造例6と同様の方法で合成し、液状のペンタエリスリトールPOEO付加物(a−8)を得た。
なお、ペンタエリスリトールPO付加物(水酸基価280)は既知の方法で合成されたもの、つまり、水酸化カリウムを触媒としてプロピレングリコールにプロピレンオキサイドを所定量付加した後、触媒除去のため、水と合成珪酸塩(協和化学社製 キョーワード600)を加えて加熱処理後、ろ過、減圧脱水したものである。
【0152】
製造例9 [ポリオールa−9の製造]
ペンタエリスリトールのPO付加物(水酸基価280)267gを用いる代わりに、ペンタエリスリトールのPO付加物(水酸基価160)466gを用いること以外は、製造例8と同様の方法で合成し、液状のペンタエリスリトールPOEO付加物(a−9)を得た。
なお、ペンタエリスリトールPO付加物(水酸基価160)は既知の方法で合成されたもの、つまり、水酸化カリウムを触媒としてプロピレングリコールにプロピレンオキサイドを所定量付加した後、触媒除去のため、水と合成珪酸塩(協和化学社製 キョーワード600)を加えて加熱処理後、ろ過、減圧脱水したものである。
【0153】
製造例10 [ポリオールa−10の製造]
ペンタエリスリトールのPO付加物(水酸基価280)400gを用いる代わりに、ペンタエリスリトールのPO付加物(水酸基価280)200gを用いること以外は、製造例8と同様の方法で合成し、液状のペンタエリスリトールPOEO付加物(a−10)を得た。
【0154】
製造例11 [ポリオールa−11の製造]
ペンタエリスリトールのPO付加物(水酸基価280)200gを用いる代わりに、ペンタエリスリトールのPO付加物(水酸基価160)350gを用いること以外は、製造例10同様の方法で合成し、液状のペンタエリスリトールPOEO付加物(a−11)を得た。
なお、ペンタエリスリトールのPO付加物(水酸基価160)は製造例9と同じ物を用いた。
【0155】
製造例12 [ポリオールn−1の製造]
図5に示した態様のように、2500mlの撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(5)付きの反応槽(1)としてのステンレス製オートクレーブに、グリセリン61gと水酸化カリウム4.0gを仕込んだ後、原料供給ライン(5)を通じてPOを反応温度が90〜100℃を保つように制御しながら投入した。但し、POの投入は6時間かけて連続して実施した。オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が2000mlとなるまで投入した後、100℃で3時間熟成した。次に、30gの合成珪酸塩(キョーワード600、協和化学製)と水40gを加えて90℃で1時間処理した。オートクレーブ{反応槽(1)}より取り出した後、1ミクロンのフィルターで濾過した後2時間脱水し、液状のグリセリンPO付加物(n−1)を得た。
【0156】
製造例13 [ポリオールn−2の製造]
グリセリン61gの代わりにプロピレングリコール72gを用いること以外は製造例12と同様の方法でグリセリンPO付加物(n−2)を得た。
【0157】
製造例1〜11のポリオキシアルキレンポリオールの分析結果を表1に示した。
従来技術である特許文献(特許3688667号公報)記載の式1(下記、数式(4))についての検証結果も記載した。
【0158】
y≦(1.9×10−8)w2 (4)
数式(4)は水酸基当量wと不飽和度yの関係を表す式であり、本発明における数式(1)、(3)に対応する形、つまり、(S)の水酸基価xと不飽和度yの関係式に変形すると数式(4’)となる。
y≦60×x−2 (4’)
【0159】
【表1】
【0160】
表1中の1級水酸基率(1)は、一般式(VI)で表される構造(EO付加前)での1級水酸基率であり、1級水酸基率(2)は、ポリオールの1級水酸基率である。
【0161】
製造例12〜13のポリオキシアルキレンポリオールの分析結果を表2に示した。上記数式(4)についての検証結果も記載した。
【0162】
【表2】
【0163】
表2中の1級水酸基率(2)は、ポリオールの1級水酸基率である。
【0164】
製造したポリオキシアルキレンポリオールの水酸基価及び不飽和度の測定方法並びにこれらの単位を以下に示す。
水酸基価:JIS K1557に準拠、単位はmgKOH/g
不飽和度:JIS K1557に準拠、単位はmeq/g
【0165】
表1、2の中で水酸基当量とは、下数式(5)で定義されるものであり、具体的には、水酸基価xを測定し、56100/水酸基価xにより求めたものである。
(水酸基当量)=(数平均分子量)/(平均水酸基数) (5)
【0166】
製造例14 [化合物b1−1]
化合物b1−1〔9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン〕は東京化成工業株式会社より購入し、そのまま使用した。水酸基価(mgKOH/g)=256.3。
【0167】
製造例15 [化合物b1−2の製造]
1Lのセパラブルフラスコに、9−フルオレノン18g(0.1モル、ナカライテスク株式会社製)、o−フェニルフェノール(2−ヒドロキシエチル)エーテル[又は2−ビフェニリル−(2−ヒドロキシエチル)エーテル]64.3g(0.3モル、明成化学(株)製)、3−メルカプトプロピオン酸0.9g及び溶媒としてのキシレン52gを投入した後に、60℃まで加温して完全に溶解させた。その後、徐々に硫酸を20g投入して、60℃で維持して5時間攪拌させた。HPLCにて9−フルオレノンの転化率が99%以上であることを確認できた。得られた反応液に48%苛性ソーダ水を投入して中和した後に、蒸留水にて数回洗浄し、冷却することで結晶を析出させた。さらにろ過して乾燥させ、化合物b1−2〔9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン〕51gを得た。水酸基価(mgKOH/g)=190.3。
【0168】
製造例16 [化合物b1−3の製造]
1000mlの攪拌装置、温度制御装置のステンレス製オートクレーブに、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン0.1モル(43.7g)及びアルカリ触媒(N−エチルモルフォリン)0.0020モルを仕込んだ後、EO0.8モルを80±10℃、圧力0.50MPa以下となるよう制御しながら、3時間かけて滴下した後、120±10℃で1時間熟成した。熟成終了後、アルカリ触媒を0.1MPaにて1時間減圧除去して、化合物(b1−3)を得た。水酸基価(mgKOH/g)=213.3。
【0169】
製造例17 [化合物b2−1の製造]
冷却管、滴下ロートを備えた50ml三口フラスコを窒素置換し、1,4−ジアセトキシ−2−ブテン5.16g(30mmol)、トルエン10mlを加えた。これに、触媒(Cl2[P(C6H11)3]2Ru=CH−C6H5)0.06g(0.07mmol)を溶解してメカニカルスターラーで撹拌した。フラスコをオイルバスにつけ、バス温を40℃に上げ、別途に調整したエチリデンノルボルネン9.0g(75mmol)をトルエン10mlに溶解した溶液を滴下ロートから1時間かけて滴下した。滴下終了後40℃で2時間反応した。反応終了した溶液は室温まで冷却した。この反応溶液と触媒(HClRu(CO)[P(C6H5)3]3)0.03gを100mlステンレス製オートクレーブに入れ、撹拌しながら水素圧6MPa、温度155℃で4時間水添反応を行った。反応終了後、冷却し、この反応液をメタノール200ml中に滴下し固形分を析出させた。この固形分を20mlトルエンに溶解し、メタノール200ml中に滴下して固形分を析出させることを3回繰り返し精製した。精製した固形分は真空乾燥した。やや黄色みを帯びた透明な粘性固体であった。
この固形物のGPCを測定したところ、ポリスチレン換算のMnは4700であり、Mw/Mnは2.4であった。
プロトンNMR測定の各ピークの積分比から99%の水添率であった。プロトンNMRの結果から計算した分子量Mnは3600であった。
また、蒸気圧浸透法で測定した分子量Mnは3500であり、プロトンNMRで測定した分子量と良い一致を示した。この結果から製造された化合物は確実に両末端にアセトキシル基が導入されていることが分かった。次に、両末端のエステル部分をエステル交換でジオールに変換した。上記粘性固体(分析に用いた以外の全量)をトルエン30mlに溶解させ、28%ナトリウムメトキサイド/メタノール溶液1gとメタノール10mlを加え、5時間還流した。反応終了した溶液をメタノール100ml中にあけ、デカンテーションした。さらに、シクロヘキサンに溶解、メタノールを添加して析出させる操作を3回繰り返し精製した。固形物は75℃で2日間真空乾燥した。柔らかい固形物が得られた。
プロトンNMRの結果から、アセトキシル基はエステル交換され、100%ヒドロキシル化されていることが確認された。尚、プロトンNMRから計算した分子量は3500であった。この物質を化合物(b2−1)とした。水酸基価(mgKOH/g)=32.3。
【0170】
製造例18 [化合物b3−1の製造]
水酸化ナトリウム(5.6g,0.140mol)をエタノール(80ml)中に溶解し、4,4’−ビフェノール(6.5g,0.035mol)を攪拌しながら添加した。1時間還流後、滴下ロートより8−ブロモ−1−オクタノール(29.3g,0.140mol)をゆっくり滴下し、反応混合物を24時間攪拌しつつ還流させた。反応終了後、内容物を冷却し水の中に入れ、沈澱を生成させ、沈澱物を濾過し水洗した。粗生成物を、エタノールとDMF(3:1)から3回再結晶して精製し、化合物(b3−1)を得た。水酸基価(mgKOH/g)=253.5。
【0171】
製造例19 [化合物b3−2の製造]
2L三口フラスコにテレフタルアルデヒド54.45g(0.406mol)、4−アミノ−m−クレゾール100g(0.812mol)、エタノール800ml、触媒として塩化亜鉛1gを加えた。その後、冷却管を取り付け80℃で5時間反応させた。得られた反応物を吸引濾過し、濾紙上に残った黄色結晶を20gのエタノールで5回洗浄した後、1H−NMR測定を行い、テレフタリリデン−ビス−(4−アミノ−3−メチルフェノール)を確認した。収率は85%であった。
次に、1000mlの攪拌装置、温度制御装置のステンレス製オートクレーブに、得られたテレフタリリデン−ビス−(4−アミノ−3−メチルフェノール)0.1モル(34.4g)及びアルカリ触媒(N−エチルモルフォリン)0.0020モルを仕込んだ後、EO0.8モルを80±10℃、圧力0.50MPa以下となるよう制御しながら、3時間かけて滴下した後、120±10℃で1時間熟成した。熟成終了後、アルカリ触媒を0.1MPaにて1時間減圧除去して、化合物(b3−2)を得た。水酸基価(mgKOH/g)=161.0。
【0172】
製造例20 [化合物b3−3の製造]
4,4’−ジ(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキセン−3の合成;
4,4,4’,4’−テトラ(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキサン235.5g、テトラエチレングリコール256.9g及び48%水酸化ナトリウム水溶液2.7gを反応容器(1L容量4つ口フラスコ)に仕込み、反応容器内を窒素置換した後、反応容器内圧を約3Kpaの減圧とし、温度198℃で2時間30分熱分解反応を行った。
反応終了後、得られた反応混合物に純水128gと50%酢酸水溶液を加えて、PH6程度に中和して、スラリーを得た。
このようにして得られた上記スラリー液にメタノール202gを加え、晶析し、次いで濾過を行って、淡赤黄色固体を67.4gを得た。
次いで、500mlの四つ口フラスコに、得られた淡赤黄色固体67.4gと水277gを仕込み、窒素置換した後、温度82℃において、2時間攪拌した後、スラリー液を冷却、濾過、次いで乾燥を行い、純度98.0%(高速液体クロマトグラフィー分析による)の4,4’−ジ(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキセン−3を49.5g、淡黄灰白色固体として得た。
上記で得られた、4,4’−ジ(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキセン−3を80.0g、5%カーボン坦持パラジウム触媒(含水率50%品)8.0g、α−メチルスチレン202.3g及びテトラエチレングリコール160.0gを反応容器に(3L容量の4つ口フラスコ)に仕込み、反応容器内を窒素置換した後、昇温して、温度約160℃で6時間、脱水素反応を行った。反応終了後、反応終了混合物にジメチルホルムアミド1147gを加え、67℃において濾過して、触媒を徐いた。次いで、この触媒を濾過した溶液を20℃まで冷却し、析出した結晶を濾過、乾燥して、純度98.9%(高速液体クロマトグラフィー分析による)の3,3’’’−ジメチル−4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル52.9gを淡黄色白色固体として得た。
次に、1000mlの攪拌装置、温度制御装置のステンレス製オートクレーブに、得られた3,3’’’−ジメチル−4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル0.1モル(36.8g)及びアルカリ触媒(N−エチルモルフォリン)0.0020モルを仕込んだ後、EO0.8モルを80±10℃、圧力0.50MPa以下となるよう制御しながら、3時間かけて滴下した後、120±10℃で1時間熟成した。熟成終了後、アルカリ触媒を0.1MPaにて1時間減圧除去して、化合物(b3−3)を得た。水酸基価(mgKOH/g)=155.7。
【0173】
製造例21 [強度向上剤f−1の製造]
1000mlの攪拌装置、温度制御装置のステンレス製オートクレーブに、ポリエチレングリコール(三洋化成工業株式会社製 PEG−200;数平均分子量200、水酸基価560)を1モル、無水トリメリット酸2モル、触媒としてN−エチルモルフォリン0.02モル、溶媒としてTHFを2モル仕込み、窒素雰囲気下80±10℃で2時間ハーフエステル化を行った。この後、EO4モルを80±10℃、0.5MPa以下となるよう制御しながら2時間掛けて滴下し、3時間熟成した。熟成後、80±10℃、10kPaで触媒及び溶媒の留去を行い強度向上剤(f−1)を得た。(f−1)の測定値は次の通り。水酸基価(mgKOH/g)=295.3、芳香環濃度(mmol/g)=2.6。
【0174】
<実施例1〜29、比較例1〜2>
表3〜5に示した発泡処方に従って、下記の発泡条件によりポリウレタンスラブフォームを発泡し、一昼夜放置後ポリウレタンスラブフォームの諸物性を測定した。物性の測定値も表3〜5にそれぞれ記載した。
【0175】
(発泡条件)
BOX SIZE:30cm×30cm×30cm天空き箱
材質:木材
ミキシング方法:ハンドミキシング
【0176】
実施例及び比較例におけるポリウレタンスラブフォームの原料は次の通りである。
1.ウレタン化触媒(c)
ウレタン化触媒(c−1):日東化成(株)社製「ネオスタン U−28」(スタナスオクトエート)
ウレタン化触媒(c−2):東ソー(株)社製「TOYOCAT ET」(ビス(ジメチルアミノエチル)エーテルの70重量%ジプロピレングリコール溶液)
2.発泡剤(d)
発泡剤(d−1):水
3.整泡剤(e)
整泡剤(e−1):東レ・ダウコーニング(株)社製「L−540」
4.イソシアネート
TDI:日本ポリウレタン工業(株)社製「コロネート T−80」(トリレンジイソシアネート)
【0177】
【表3】
【0178】
【表4】
【0179】
【表5】
【0180】
・フォーム物性の測定方法及び単位を以下に示す。
コアー密度 :JIS K6400に準拠、単位はkg/m3
硬さ(25%−ILD):JIS K6400に準拠、単位はN/314cm2
引張強度:JIS K6400に準拠、単位はkgf/cm2
伸び率:JIS K6400に準拠、単位は%
引裂強度:JIS K6400に準拠、単位はkgf/cm
圧縮残留歪率 :JIS K6400に準拠、単位は%
湿熱圧縮残留歪率 :JIS K6400に準拠、単位は%
【0181】
表3〜5において、本発明実施例1〜29のウレタンフォームは、従来技術により得られる比較例1〜2のウレタンフォームよりも、フォーム物性、特にフォーム硬さや引張強度、引裂強度、伸びが向上する。
【0182】
<実施例30〜44、比較例3〜4>
表6〜7に示した発泡処方に従って、下記の発泡条件により軟質ポリウレタンフォームを金型内で発泡してフォームを形成後、金型から取り出し一昼夜放置後の軟質ポリウレタンフォーム諸物性を測定した。物性の測定値も表6〜7にそれぞれ記載した。
【0183】
(発泡条件)
金型SIZE:40cm×40cm×10cm(高さ)
金型温度:65℃
金型材質:アルミ
ミキシング方法:高圧ウレタン発泡機(ポリマーエンジニアリング社製)ポリオールプレミックスとイソシアネートとを15MPaで混合
【0184】
実施例30〜44及び比較例3〜4における軟質ポリウレタンフォームの原料は、ポリウレタンスラブフォームの実施例及び比較例で示した物を使用し、それ以外の物は次の通りである。
1.ウレタン化触媒(c)
ウレタン化触媒(c−3):エアプロダクツジャパン(株)社製「DABCO−33LV」(トリエチレンジアミンの33重量%ジプロピレングリコール溶液)
2.整泡剤(e)
整泡剤(e−2):EVONIK社製「TEGOSTAB B8737」
3.イソシアネート
TDI−80(2,4−及び2,6−TDI、2,4−体の比率が80%/粗製MDI(平均官能基数:2.9)=80/20(重量比))
【0185】
4.ポリオール(p)
重合体ポリオール(p−1):グリセリンにPOとEOをブロック付加させて得られた平均官能基数3.0、水酸基価34、EO単位の合計=14%のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール中で、スチレンとアクリロニトリル(重量比:30/70)を共重合させた重合体ポリオール(重合体含量30%)水酸基価24
ポリオール(p−2):グリセリンにPOとEOをランダム付加させて得られた平均官能基数3.0、水酸基価24、EO単位の合計=72%のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール
ポリオール(p−3):ソルビトールにPOを付加させて得られた平均官能基数6.0、水酸基価490のポリオキシプロピレンポリオール
ポリオール(p−4):グリセリン、平均官能基数3.0、水酸基価1829
【0186】
【表6】
【0187】
【表7】
【0188】
・フォーム物性の測定方法及び単位を以下に示す。
コアー密度 :JIS K6400に準拠、単位はkg/m3
硬さ(25%−ILD):JIS K6400に準拠、単位はN/314cm2
引張強度:JIS K6400に準拠、単位はkgf/cm2
伸び率:JIS K6400に準拠、単位は%
引裂強度:JIS K6400に準拠、単位はkgf/cm
反発弾性:JIS K6400に準拠、単位は%
圧縮残留歪率 :JIS K6400に準拠、単位は%
湿熱圧縮残留歪率 :JIS K6400に準拠、単位は%
【0189】
表6〜7において、本発明実施例30〜43のウレタンフォームは、従来技術により得られる比較例3〜4のウレタンフォームよりも、フォーム物性、特に引張強度、引裂強度、伸びが向上する。
【0190】
<実施例45〜58、比較例5〜6>
表8〜9に示した発泡処方に従って、下記の発泡条件により硬質ポリウレタンフォームを金型内で発泡してフォームを形成し、脱型後一昼夜放置し、硬質ポリウレタンフォーム諸物性を測定した。物性の測定値も表8〜9に記載した。
【0191】
(発泡条件)
金型SIZE:40cm×40cm×5cm(高さ)
金型温度:35℃
金型材質:アルミ
ミキシング方法:高圧ウレタン発泡機(ポリマーエンジニアリング社製)ポリオールプレミックスとイソシアネートとを12MPaで混合
【0192】
実施例45〜58及び比較例5〜6における硬質ポリウレタンフォームの原料は、前述の実施例で示した物と同様の物を使用し、それ以外の物は次の通りである。
1.ウレタン化触媒
ウレタン化触媒(c−4):サンアプロ(株)製「U−CAT 1000」(アミン系触媒)
2.発泡剤
発泡剤(d−1):水
発泡剤(d−2):セントラル硝子(株)社製「HFC−245fa」(1,1,1,3,3,−ペンタフルオロプロパン)
3.整泡剤
整泡剤(e−3):東レ・ダウコーニング(株)製「SF−2936F」
4.難燃剤
難燃剤(g−1):大八化学工業(株)社製「TMCPP」(トリス(β−クロロプロピルホスフェート
5.イソシアネート
日本ポリウレタン工業(株)社製「ミリオネート MR−200」(ポリメリックMDI)
6.ポリオール
ポリオール(p−7):蔗糖にPOを付加させて得られた平均官能基数8.0、水酸基価490のポリオキシプロピレンポリオール
【0193】
各項目の測定方法は下記の通りである。得られた結果を表8〜9に示す。
密度 :JIS A9511に準拠、単位はkg/m3
圧縮強度:JIS A9511に準拠、単位はkPa
【0194】
【表8】
【0195】
【表9】
【0196】
表8〜9において、本発明実施例45〜58のウレタンフォームは、従来技術により得られる比較例5〜6のウレタンフォームよりも、フォーム物性、特に圧縮強度が向上している。
【産業上の利用可能性】
【0197】
本発明のポリオールを使用して得られるポリウレタンはフォーム、エラストマー、コーティング材等、様々な応用が可能である。フォームとしては自動車用クッション材、・遮吸音材、・ハンドル等、エラストマーとしては注型ポッティング材、コーティング材としては接着材、・塗料等が挙げられる。
本発明のポリオールを使用したポリウレタンフォームやポリウレタンエラストマーは従来技術によって得られるポリオールを使用した場合に比べ総じて樹脂物性(引張強度、硬さ、破断伸び)に優れる。
従って、本発明のポリウレタン樹脂は接着剤、シーリング材、コーティング材、断熱材、合成木材等として広く用いることが出来る。
本発明の発泡ポリウレタン樹脂のうち、軟質ポリウレタンフォームは、従来の物に比較して、硬さ、フォーム強度、伸び物性に優れる。従って、本発明の発泡ポリウレタン樹脂、特に軟質ポリウレタンフォームは、クッション材、衝撃吸収剤、緩衝材、遮吸音材等に広く利用できる。
【符号の説明】
【0198】
1:反応槽
2:反応塔
3:蒸留塔
4:釜下ライン
5:原料供給ライン
6:循環ライン
7:循環ライン
8:循環ライン
9:吸着塔
10:減圧ライン
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタンフォームの原料として好適であり、優れた機械物性をポリウレタンフォームに付与するポリオール組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
活性水素あたりのエチレンオキサイドの平均付加モル数と末端水酸基の1級OH化率が特定の関係を満たす特定ポリオールをウレタンフォームを製造する際に、ポリオール成分中に含有させることで、振動特性の良好な軟質ポリウレタンフォームを製造できることが知られている(特許文献1)。
一方、近年コスト低減要求が強く、軽量化のため軟質ポリウレタンフォームの低密度化が求められている。例えば、車両用途では燃費規制に対応する軽量化のための軟質ポリウレタンフォームの低密度化が求められている。
低密度化の要望に応えるため、発泡剤としての水の使用量は更に増加の傾向にある。水の使用量を増加させる(非特許文献1等)ことは、フォーム製造時の発生炭酸ガス量を増加させることができ、軟質ポリウレタンフォームの密度を低下させるには有効であるが、フォームの密度が低下するとフォーム硬度が低下する。軟質ポリウレタンフォームの硬度を向上させる具体的技術としては、使用する架橋剤の使用量を上げる方法(非特許文献1)等があるが、このような方法では、軟質ポリウレタンフォームの伸びや引張強度のような機械物性が不十分である等の課題が残されており、硬度が向上し機械物性が維持される軟質ポリウレタンフォームが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−290202号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】岩田敬治、「ポリウレタン樹脂ハンドブック」、日刊工業、1987年5月20日発行、第1版、32頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来のポリオールを使用して製造したポリウレタンフォームは、機械物性及び耐湿性が不十分という問題がある。
本発明は、これらの問題点を解決したポリオール組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明のポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物(PL)は、ポリオール(A)及び主鎖中に環状構造を有する化合物(B)を含んでなることを要旨とする。
また、本発明のポリウレタンフォームの製造方法は、ポリオール成分とイソシアネート成分とを反応させてポリウレタンフォームを製造する方法において、ポリオール成分が上記ポリオール組成物(PL)をポリオール成分の重量に対して10〜100重量%含有することを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物(PL)を用いて得られたポリウレタンフォームは以下の効果を奏する。
(1)ポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物(PL)を用いて製造されたポリウレタンフォームは、ポリウレタンの機械物性が向上し、フォーム硬さが硬くなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】製造例1の反応装置を示す図である。
【図2】製造例2及び6の反応装置を示す図である。
【図3】製造例3の反応装置を示す図である。
【図4】製造例4の反応装置を示す図である。
【図5】製造例17の反応装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明におけるポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物(PL)は、下記ポリオール(A)と主鎖中に環状構造を有する化合物(B)を含有してなるものである。
ポリオール(A)としては、活性水素含有化合物(H)のアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。
【0010】
活性水素化合物(H)としては、水酸基含有化合物、アミノ基含有化合物、チオール基含有化合物、リン酸化合物;分子内に2種以上の活性水素含有官能基を有する化合物;及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0011】
水酸基含有化合物としては、水、2〜8価の多価アルコール、多価フェノール等が挙げられる。具体的にはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン及び1,4−ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン等の2価アルコール;グリセリン及びトリメチロールプロパン等の3価アルコール;ペンタエリスリト―ル、ソルビト―ル及びショ糖等の4〜8価のアルコ―ル;ピロガロ―ル、カテコール及びヒドロキノン等の多価フェノ―ル;ビスフェノ―ルA、ビスフェノールF及びビスフェノールS等のビスフェノ―ル;ポリブタジエンポリオール;ひまし油系ポリオール;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの(共)重合体及びポリビニルアルコール等の多官能(例えば官能基数2〜100)ポリオール等が挙げられる。
なお、(メタ)アクリレートとは、メタクリレート及び/又はアクリレートを意味し、以下において同様である。
【0012】
アミノ基含有化合物としては、アミン、ポリアミン、アミノアルコール等が挙げられる。具体的には、アンモニア;炭素数(以下、Cと略記する)1〜20のアルキルアミン(ブチルアミン等)及びアニリン等のモノアミン;エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン及びジエチレントリアミン等の脂肪族ポリアミン;ピペラジン及びN−アミノエチルピペラジン等の複素環式ポリアミン;ジシクロヘキシルメタンジアミン及びイソホロンジアミン等の脂環式ポリアミン;フェニレンジアミン、トリレンジアミン及びジフェニルメタンジアミン等の芳香族ポリアミン;モノエタノ―ルアミン、ジエタノ―ルアミン及びトリエタノ―ルアミン等のアルカノ―ルアミン;ジカルボン酸と過剰のポリアミンとの縮合により得られるポリアミドポリアミン;ポリエーテルポリアミン;ヒドラジン(ヒドラジン及びモノアルキルヒドラジン等)、ジヒドラジッド(コハク酸ジヒドラジッド及びテレフタル酸ジヒドラジッド等)、グアニジン(ブチルグアニジン及び1−シアノグアニジン等);ジシアンジアミド等;並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0013】
チオール基含有化合物としては、ポリチオール化合物が含まれ、2〜8価の多価チオールが挙げられる。具体的にはエチレンジチオール及び1、6−ヘキサンジチオール等が挙げられる。
リン酸化合物としては燐酸、亜燐酸及びホスホン酸等が挙げられる。
【0014】
これらの活性水素含有化合物(H)のうち、反応性の観点から、水酸基含有化合物及びアミノ基含有化合物が好ましく、特に好ましくは、水、アルコール及びアミンである。
【0015】
活性水素含有化合物(H)に付加させるアルキレンオキサイド(以下、AOと略す)としては、C2〜6のAO、例えば、エチレンオキサイド(以下、EOと略す)、1,2−プロピレンオキサイド(以下、POと略す)、1,3−プロピレオキサイド、1,2ブチレンオキサイド及び1,4−ブチレンオキサイド等が挙げられる。これらのうち、性状や反応性の観点から、PO、EO及び1,2-ブチレンオキサイドが好ましい。AOを2種以上使用する場合(例えば、PO及びEO)の付加方法としては、ブロック付加であってもランダム付加であってもよく、これらの併用であってもよい。
【0016】
ポリオール(A)の数平均官能基数は、フォーム形成性の観点から2〜8が好ましくは、さらに好ましくは2〜6、特に好ましくは3〜4である。この範囲以外の官能基数のものが含まれていても、数平均官能基数が2〜8となればよい。
【0017】
ポリオール(A)の水酸基価は、フォーム形成性の観点から20〜1000(mgKOH/g)が好ましく、さらに好ましくは20〜700、特に好ましくは20〜500である。
ポリオール(A)として、ポリオール成分としての反応性の観点から、活性水素含有化合物(H)のアルキレンオキサイド付加物であって、末端に位置する水酸基の40%以上が下記一般式(1)で表される1級水酸含有基であるポリオキシアルキレンポリオール(a)が好ましい。
【0018】
【化1】
【0019】
[一般式(1)中、R1は、水素原子、又は炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基若しくはフェニル基を表す。炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基は、ハロゲン原子又はアリール基で置換されていてもよい。]
【0020】
(a)のおいて、活性水素含有化合物(H)のアルキレンオキサイド付加物としては、下記一般式(7)で表されるポリオキシアルキレンポリオールが含まれる。
【0021】
【化2】
【0022】
一般式(7)中、R21は、活性水素含有化合物(H)からs個の活性水素を除いたs価の基であり、sは(H)が有する活性水素の数であり、2〜100の数である。
sは、(a)の粘度等の性状の観点から、50以下が好ましく、さらに好ましくは10以下である。
【0023】
上記一般式(7)中、Zは下記一般式(8)又は(9)で表されるC2〜12のアルキレン基を表す。アルキレン基は、ハロゲン原子又はアリール基で置換されていてもよい。
【0024】
【化3】
【0025】
【化4】
【0026】
一般式(8)及び(9)中、R22は水素原子、又はC1〜10のアルキル基、シクロアルキル基若しくはフェニル基を表す。アルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基は、ハロゲン原子若しくはアリール基で置換されていてもよい。
【0027】
Zとしては、具体的には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、クロロプロピレン基、フェニルエチレン基等及びこれらの2種以上の併用が挙げられ、これらのうち(a)の粘度等の性状の観点から、プロピレン基、ブチレン基及びエチレン基が好ましい。(a)の疎水性の確保を考慮に入れる場合は、プロピレン基、ブチレン基等を使用するか、又はエチレン基と他のアルキレン基とを併用すればよい。
【0028】
上記一般式(7)中、Aは下記一般式(10)又は(11)で表されるC3〜12のアルキレン基である。アルキレン基は、ハロゲン原子又はアリール基で置換されていてもよい。
【0029】
【化5】
【0030】
【化6】
【0031】
一般式(10)及び(11)中、R23はC1〜10のアルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基を表す。アルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基は、ハロゲン原子又はアリール基で置換されていてもよい。
【0032】
一般式(7)中、Aとしては、具体的には、プロピレン基、ブチレン基、クロロプロピレン基、フェニルエチレン基及びこれらの2種以上の併用が挙げられる。これらのうち(a)の粘度等の性状の観点から、プロピレン基及びブチレン基が好ましい。
【0033】
複数のZ又はAがある場合、それぞれは同一でも異なっていてもよい。
【0034】
一般式(7)において、p及びrは0〜200の整数である。qは1〜200の整数である。
ポリオール(a)の粘度の観点から、p+q+rは1〜400の整数が好ましく、さらに好ましくは200以下である。
【0035】
一般式(7)で表されるもののうち、特にrが0であるものは、ポリオール(a)の末端部分にEOが付加されていないことを表す。
【0036】
一般式(7)で表されるもののうち、一般式(7)中の(AO)qの部分のうち、末端に位置するAの構造の40%以上が、一般式(11)で表される構造であることが好ましく、さらに好ましくは60%以上、次にさらに好ましくは65%以上である。この範囲であると、ウレタンフォームの耐湿性が良好となる。
【0037】
ポリオール(a)は、末端に位置する水酸基の40%以上が上記一般式(1)で表される1級水酸基含有基である。
例えば、(a)が上記一般式(7)で表される場合、末端に位置する水酸基含有基としては、上記一般式(1)で表される1級水酸基含有基と、r=0の時に見られる下記一般式(12)で表される2級水酸基含有基の2種類が考えられるが、(a)は上記一般式(7)中のrの値に関係なく、末端に位置する水酸基の40%以上が上記一般式(1)で表される1級水酸基含有基である。
(a)において、その末端の全水酸基に対して、上記一般式(1)で表される1級水酸基含有基が占める比率(これを本明細書中、1級水酸基率とする。以下において同様である)は、ポリオール(a)の全末端水酸基の量を基準として40%以上であり、(a)の反応性の観点から、好ましくは60%以上、さらに好ましくは65%以上である。1級水酸基率が40%未満の場合には、ポリオール成分としての反応性が不十分である。
【0038】
【化7】
【0039】
上記の一般式(1)中のR1は水素原子又は、C1〜12のアルキル基、シクロアルキル基若しくはフェニル基を表す。アルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基は、ハロゲン原子若しくはアリール基で置換されていてもよい。
一般式(12)中のR24はC1〜12のアルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基を表す。アルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基は、ハロゲン原子又はアリール基で置換されていてもよい。
R1として、具体的には、水素原子;メチル基、エチル基及びプロピル基等の直鎖アルキル基;イソプロピル基等の分岐アルキル基;フェニル基及びp−メチルフェニル基等の置換フェニル基;クロロメチル基、ブロモメチル基、クロロエチル基及びブロモエチル基等の置換アルキル基;p−クロロフェニル基及びp−ブロモフェニル基等の置換フェニル基;シクロヘキシル基等の環状アルキル基等;並びにこれらの2種以上の併用が挙げられる。R24として、具体的には、R1で例示した基のうち、水素原子以外のものが挙げられる。
【0040】
本発明において、1級水酸基率は、予め試料をエステル化の前処理した後に、1H−NMR法により測定し、算出する。
【0041】
1級水酸基率の測定方法を以下に具体的に説明する。
<試料調製法>
測定試料約30mgを直径5mmのNMR用試料管に秤量し、約0.5mlの重水素化溶媒を加え溶解させる。その後、約0.1mlの無水トリフルオロ酢酸を添加し、分析用試料とする。上記重水素化溶媒としては、例えば、重水素化クロロホルム、重水素化トルエン、重水素化ジメチルスルホキシド及び重水素化ジメチルホルムアミド等であり、試料を溶解させることのできる溶媒を適宜選択する。
<NMR測定>
通常の条件で1H−NMR測定を行う。
【0042】
<1級水酸基率の計算方法>
上に述べた前処理の方法により、ポリオキシアルキレンポリオールの末端の水酸基は、添加した無水トリフルオロ酢酸と反応してトリフルオロ酢酸エステルとなる。その結果、1級水酸基が結合したメチレン基由来の信号は4.3ppm付近に観測され、2級水酸基が結合したメチン基由来の信号は5.2ppm付近に観測される(重水素化クロロホルムを溶媒として使用)。1級水酸基率は次の計算式により算出する。
1級水酸基率(%)=[a/(a+2×b)]×100
但し、式中、aは4.3ppm付近の1級水酸基の結合したメチレン基由来の信号の積分値;bは5.2ppm付近の2級水酸基の結合したメチン基由来の信号の積分値である。
【0043】
ポリオール(a)は、ポリウレタンの機械物性の観点から、数式(1)を満たすことが好ましい。
y≦28.3×x-2×(100−z)/100 (1)
[数式(1)中、xは単位mgKOH/gで表される水酸基価、yは単位meq/gで表される総不飽和度を表す。zは、(a)の重量を基準とするエチレンオキサイド含有量であり、0〜50重量%である。]
【0044】
上記数式(1)において、xの範囲は、5〜280mgKOH/gが好ましく、さらに好ましくは10〜115mgKOH/g、次にさらに好ましくは25〜75mgKOH/gである。xが5mgKOH/g以上であれば、ポリオキシアルキレンポリオールの粘度が低いため取り扱いが容易であり、280mgKOH/g以下であれば、合成したポリウレタンの伸び物性が良い。なお、xはJISK−1557により求められる。
【0045】
yは、ポリオール(a)の総不飽和度(meq/g)であり、JISK−1557により求められる。
yの範囲は、ポリウレタンの機械物性の観点から、0〜0.04が好ましく、さらに好ましくは0〜0.03、次にさらに好ましくは0〜0.02である。
【0046】
またzは、ポリオール(a)の重量を基準とするエチレンオキサイド含有量(重量%)である。zの範囲は、0〜50であり、好ましくは0〜25、特に好ましくは0〜20である。zが50を超えるとポリウレタン耐湿性が悪くなる。
【0047】
なお、数式(1)は、水酸基価xを水酸基当量wでも表すことができ、その場合、水酸基当量wと総不飽和度yとエチレンオキサイド含有量zとは数式(2)の関係を満たす。なお水酸基当量wは、ポリオール(a)の数平均分子量を、(a)の数平均水酸基数で除した値である。
y≦(9.0×10-9)w2×(100−z)/100 (2)
【0048】
前述したように、ポリオール(a)の水酸基価xと総不飽和度yとエチレンオキサイド含有量zとの関係は、数式(1)の関係を満たすことが好ましい。
y≦28.3×x-2×(100−z)/100 (1)
ポリオール(a)は、イソシアネートとの十分な反応性及び疎水性を持つという特徴がある。この(a)を用いて得られるポリウレタンは、ポリオールがポリウレタン製造時に反応性が高く、ポリウレタンの機械物性(硬さ、破断伸び、引張強度、引裂強度)と耐湿性が良好となる。
【0049】
ポリオール(a)は、さらに好ましくは、数式(3)の関係を満たす。
y≦18.9×x-2×(100−z)/100 (3)
数式(3)を満たすポリオール(a)は、数式(1)を満たすときに比べて不飽和モノオール量が低減されており、このようなポリオール(a)を用いて製造したポリウレタンの機械物性は更に向上する。
【0050】
上記式において右辺は水酸基価xとエチレンオキサイド含有量zから計算される値である。右辺は、水酸基価xが大きい程小さくなる、すなわち(a)の水酸基当たりの分子量が小さい程小さくなる。また右辺はエチレンオキサイド含有量zが大きい程小さくなる。
上記式(1)及び(3)の左辺は、総不飽和度yである。
ところで、ポリオキシアルキレンポリオールの不飽和基は、この製造過程でエチレンオキサイド以外のアルキレンオキサイド(特にプロピレンオキサイド)が転移反応して生成するので、ポリオキシアルキレンポリオール中のエチレンオキサイド含有量が小さいほど不飽和度yが大きくなる傾向があり、分子量が大きい程不飽和度yが大きくなる傾向がある。したがって、エチレンオキサイド含有量が小さい、又は分子量が大きいポリオキシアルキレンポリオールは、式(1)及び(3)を満たすことが困難な傾向にある。
すなわち、式(1)又は(3)は、水酸基価x及びエチレンオキサイド含有量zに比べて、総不飽和度yが小さい領域を示すものである。なお、上記式(1)及び(3)は、実験的に見出した本発明の効果が得られる好ましい範囲を表したものである。
【0051】
ポリオール(a)の数平均分子量は、ポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物(PL)の用途、例えば製造するポリウレタンフォームの要求物性により適宜選択され、特に限定はされないが、ポリウレタンフォームの物性の観点から、400〜100,000が好ましく、好ましくは400〜20,000である。
【0052】
ポリオール(a)の具体例としては、水のEO付加物、水のPO付加物、グリセリンのEO付加物、グリセリンのPO付加物、水のEO・PO共重合付加物、水のPO・ブチレンオキサイド共重合付加物、グリセリンのEO・PO共重合付加物、水のEO・PO・ブチレンオキサイドの共重合付加物及びグリセリンのEO・PO・ブチレンオキサイドの共重合付加物等が挙げられる。
【0053】
下記一般式(13)で表される活性水素含有化合物(J)は、通常知られている方法で製造することができ、例えば活性水素含有化合物(H)にC2〜12のアルキレンオキサイドを開環付加重合することにより製造でき、この重合の触媒は特に限定されない。
ポリオール(a)は、(J)にC3〜12のアルキレンオキサイドを触媒(C)の存在下で開環付加重合させ下記一般式(14)で表される活性水素化合物(K)とすることで得ることができる。また、必要により、その後、(K)の末端にEOを0〜50重量%開環付加重合してもよい。(K)にEOを開環付加重する際の方法は通常知られている条件で良く、特に触媒は限定されない。EOを(K)の末端に付加重合しない場合は、(K)が(a)である。上述の通り、得られた(a)の水酸基価xと総不飽和度yが数式(1)の関係を満たすことが好ましい。
【0054】
【化8】
【0055】
【化9】
【0056】
一般式(13)中、R21、Z、p、sは、一般式(7)と同じであり、上述のものを同様に例示することができる。
一般式(14)中、R21、Z、A、p、q、sは、一般式(7)と同じであり、上述の物を同様に例示することができる。
【0057】
活性水素含有化合物(J)の具体例としては、pが0の場合は、活性水素含有化合物(H)として上述したものと同様のものが挙げられる。
【0058】
pが1以上の場合は、C2〜12のアルキレンオキサイドを、前述のpが0のもの、すなわち(H)に付加させて得られる化合物が挙げられる。この付加反応時に使用する触媒は限定されない。
例えば、(J)の具体例としては、(H)への、EO、PO及びブチレンオキサイド等の付加物が挙げられ、さらに具体的には、水のEO付加物、水のPO付加物、グリセリンのEO付加物、グリセリンのPO付加物、アンモニアのエチレンオキサイド付加物、アンモニアのプロピレンオキサイド付加物、水のEO・PO共重合付加物、水のPO・ブチレンオキサイド共重合付加物、グリセリンのEO・PO共重合付加物、グリセリンのEO・ブチレンオキサイド共重合付加物、グリセリンのPO・ブチレンオキサイド共重合付加物、アンモニアのエチレンオキサイド・プロピレンオキサイド共重合付加物、水のEO・PO・ブチレンオキサイドの共重合付加物及びグリセリンのEO・PO・ブチレンオキサイドの共重合付加物、アンモニアのEO・PO・ブチレンオキサイドの共重合付加物等が挙げられる。
【0059】
活性水素含有化合物(K)としては上記活性水素含有化合物(J)にC3〜12のアルキレンオキサイドを付加重合して得られる化合物が挙げられる。ポリオール(a)を得られやすいことから、この付加重合で用いられる触媒は下記触媒(C)であることが好ましい。
例えば(K)は、(J)へのPO、ブチレンオキサイド等の付加物が挙げられる。
【0060】
ポリオール(a)は、反応性の観点から、亜鉛、鉄、コバルト、クロム及びマンガンの内の1種又は2種以上の合計含有量が2ppm以下であることが好ましく、より好ましくは1ppm以下である。
【0061】
触媒(C)は、下記一般式(15−1)、(15−2)又は(15−3)で表される化合物である。これを用いてC3〜12のアルキレンオキサイドを開環付加重合することにより、収率良く開環重合体が得られ、末端水酸基の1級水酸基率が高いポリオキシアルキレンポリオールが得られるものである。
【0062】
【化10】
【0063】
【化11】
【0064】
【化12】
【0065】
上記一般式(15−1)、(15−2)又は(15−3)中、それぞれ、Xはホウ素原子又はアルミニウム原子を表す。反応性の観点から、ホウ素原子が好ましい。
【0066】
一般式(15−1)、(15−2)又は(15−3)中のR25は、下記一般式(16)で表される(置換)フェニル基又は下記一般式(17)で表される3級アルキル基を表し、R25が複数ある場合、複数のR25は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0067】
【化13】
【0068】
【化14】
【0069】
上記一般式(16)中のYは、水素原子、C1〜4のアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基を表し、同一でも異なっていてもよい。これらのうち、水素原子、ハロゲン原子及びシアノ基が好ましく、さらに好ましくは、ハロゲン原子及びシアノ基である。
また、tは0〜5の数を表す。
一般式(16)で表されるフェニル基又は置換フェニル基の具体例としては、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基、p−メチルフェニル基、p−シアノフェニル基及びp−ニトロフェニル基等が挙げられ、好ましくは、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基及びp−シアノフェニル基であり、さらに好ましくはフェニル基、ペンタフルオロフェニル基である。
【0070】
上記一般式(17)中のR26、R27又はR28はそれぞれ独立にC1〜4のアルキル基を表し、同一でも異なっていてもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。一般式(17)で表される3級アルキル基の具体例としては、t−ブチル基及びt−ペンチル基等が挙げられる。
【0071】
触媒(C)としては、具体的にはトリフェニルボラン、ジフェニル−t−ブチルボラン、トリ(t−ブチル)ボラン、トリフェニルアルミニウム、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン及びトリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウムが挙げられる。
【0072】
活性水素含有化合物(J)に、触媒(C)の存在下で、アルキレンオキサイドを付加させて、活性水素化合物(K)を得る際の付加させるアルキレンオキサイドの付加モル数は、活性水素含有化合物(J)の活性水素当たり、1モル〜200モルが好ましく、さらに好ましくは1〜100モルであり、製造する開環重合体の分子量とその用途により適宜選択する。
【0073】
触媒(C)の使用量は特に限定されないが、製造する開環重合体に対して0.0001〜10重量%が好ましく、さらに好ましくは0.0005〜1重量%である。
【0074】
活性水素含有化合物(J)に、触媒(C)の存在下で、アルキレンオキサイドを付加させて、前述の一般式(14)で表される活性水素化合物(K)を得る際、圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生低沸点化合物(t)を連続的又は断続的に除去することが、前述の数式(1)を満たすポリオール(a)が得られやすく、好ましい。除去する方法は、通常知られているいずれの方法で実施してもよい。例えば、(t)を反応混合物から加熱及び/又は減圧して除去する方法、反応槽内の気相を気相循環ポンプを用いて反応槽から抜き出し(t)を吸着剤で除去する方法、反応槽内の気相を気相循環ポンプを用いて反応槽から抜き出し(t)を触媒を用いて反応させて高沸点化合物として分離する方法、反応槽内の気相を気相循環ポンプを用いて反応槽から抜き出し(t)を蒸留により分離する方法等がある。
【0075】
圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生低沸点化合物(t)の具体例としては、ホルムアルデヒド(沸点−19℃)、アセトアルデヒド(沸点20℃)、プロピオンアルデヒド(沸点48℃)及びアリルアルコールにAOが0〜2モル付加した化合物等が挙げられる。(t)は、AOを付加する際に、ポリオール(a)の重量を基準として、0.0001〜10重量%発生する場合が多い
【0076】
AOを活性水素含有化合物(J)に付加させる際には、活性水素含有化合物(J)とAOと触媒(C)の3種類を一括で仕込んで反応させてもよいし、活性水素含有化合物(J)と触媒(C)との混合物にAOを滴下して反応させてもよいし、あるいは活性水素含有化合物(J)にAOと触媒(C)とを滴下して反応しても良い。反応温度の制御の観点から、活性水素含有化合物(J)と触媒(C)との混合物にAOを滴下する、あるいは、活性水素含有化合物(J)にAOと触媒(C)とを滴下する方法が好ましい。
【0077】
活性水素含有化合物(J)にAOを付加させる際の反応温度は、0℃〜250℃が好ましく、さらに好ましくは20℃〜180℃である。
【0078】
上記例示した方法で製造されたポリオール(a)は触媒(C)を含んでいるが、その用途により必要に応じて、触媒(C)の分解及び/又は除去処理を実施する。
【0079】
分解方法としては、水及び/又はアルコール化合物、必要によりアルカリ化合物等の塩基性物質を加える方法がある。アルコール化合物としては前述のアルコール及び/又はフェノールを用いることができる。アルカリ化合物としてはアルカリ金属水酸化物(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム及び水酸化セシウム等)、アルカリ金属アルコラート(カリウムメチラート、ナトリウムメチラート等)及びこれら2種類以上の混合物が挙げられる。これらのうち、生産性の観点から、アルカリ金属水酸化物が好ましい。分解に際して、分解温度は、10℃〜180℃が好ましく、さらに好ましくは80〜150℃である。分解は密閉状態で行ってもよく、真空源に接続して排気しながら行ってもよく、あるいは水又はアルコール化合物を連続して添加しながら行ってもよい。添加する水又はアルコールは、液体の状態で添加してもよく、蒸気あるいは固体状態で添加してもよい。水及び/又はアルコール化合物の使用量は、付加生成物の重量を基準として、0.1〜100重量%が好ましく、さらに好ましくは1〜20重量%である。アルカリ化合物の使用量は、付加生成物の重量を基準として、0.1〜10重量%が好ましく、さらに好ましくは0.3〜2重量%である。
【0080】
除去方法としては、通常知られているいずれの方法で実施してもよい。例えば、ハイドロタルサイト系吸着剤{キョーワード500、キョーワード1000及びキョーワード2000等(いずれも協和化学工業社製)}や珪藻土等のろ過助剤{ラヂオライト600、ラヂオライト800及びラヂオライト900(いずれも昭和化学工業社製)}等を用いることができる。ろ過は、加圧ろ過、減圧ろ過のどちらでもよいが、酸素の混入を防止しやすいので加圧ろ過が好ましい。フィルターの材質は特に限定されない。例えば、紙、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド、アクリル及びメタアラミド等が挙げられ、紙が好ましい。また、フィルターの保留粒子径は0.1〜10μmのものが好ましく。さらに1〜5μmのものが好ましい。
【0081】
なお、触媒(C)がポリオール(a)中に残存しても、従来のアルカリ系触媒と比較すると、その後の例えばウレタン化反応におけるポリオールとイソシアネートとの反応性には、大きな悪影響を及ぼさない。しかし、着色防止の観点から残存する触媒は分解及び/又は除去することが好ましい。
【0082】
ポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物(PL)がポリオール(A)を含有することには、(A)中でビニルモノマー(g)を重合させて得られる重合体ポリオール(W)を含有することも含まれる。
重合体ポリオール(W)は、(A)中にポリマー粒子(P)が分散された重合体ポリオールである。
重合体ポリオール(W)は、(A)中でビニルモノマー(g)を公知の方法で重合して製造することができる。例えば、(A)中で、ラジカル重合開始剤の存在下、ビニルモノマー(g)が重合され、得られた(g)の重合体が安定分散されたものが挙げられる。重合方法の具体例としては、米国特許第3383351号明細書及び特公昭39−25737号公報等に記載の方法が挙げられる。(g)としては、スチレン及び/又はアクリロニトリルが好ましい。
【0083】
本発明において、主鎖中に環状構造を有する化合物(B)は、フォーム物性の観点から、下記化合物(b1)〜(b3)から選ばれる少なくとも1種の化合物(b)であることが好ましい。
化合物(b1):下記一般式(2)で表されるフルオレン化合物。
化合物(b2):両末端にそれぞれ独立に下記一般式(3)で示される構造を有し、その間を構成する繰り返し単位の少なくとも一種類が下記一般式(4)で示される環構造であるポリオール(b2−1)、又は両末端にそれぞれ独立に下記一般式(5)で示される構造を有し、その間を構成する繰り返し単位の少なくとも一種類が下記一般式(6)で示される環構造であるポリオール(b2−2)。
化合物(b3):分子内に液晶性骨格を有するポリオール。
【0084】
化合物(b1)は、少なくとも、9,9−ビス[ヒドロキシ又はヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−フェニル]フルオレン骨格を有するフルオレン化合物であり、下記一般式(2)で表されるフルオレン化合物である。
【0085】
【化15】
一般式(2)中、R2は置換基を示し、R3はアルキレン基を示し、R4は置換基を示し、mは0以上の整数、kは0〜4の整数、nは0〜4の整数を示す。)で表されるフルオレン化合物である。
【0086】
前記一般式(2)において、基R2で表される置換基としては、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)又はアルキル基である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基等のC1〜6のアルキル基等が例示できる。なお、kが複数(2以上)である場合、基R2は互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、フルオレンを構成する2つのベンゼン環に置換する基R2は同一であってもよく、異なっていてもよい。また、フルオレンを構成するベンゼン環に対する基R2の結合位置(置換位置)は、特に限定されない。好ましい置換数kは、0〜1、特に0である。なお、フルオレンを構成する2つのベンゼン環において、置換数kは、互いに同一又は異なっていてもよい。
【0087】
基R3で表されるアルキレン基としては、特に限定されないが、例えば、C2〜10のアルキレン基(エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブタン−1,2−ジイル基及びヘキシレン基等のC2〜6のアルキレン基、好ましくはC2〜4のアルキレン基、さらに好ましくはC2〜3のアルキレン基)等が例示でき、特に、エチレン基が好ましい。なお、基R3は同一の又は異なるアルキレン基であってもよい(すなわち、mが複数である場合、基R3は同一又は異なっていてもよい)。すなわち、mが2以上の場合、ポリアルコキシ(ポリオキシアルキレン)基[−(OR3)m−]は、同一のオキシアルキレン基で構成されていてもよく、複数のオキシアルキレン基(例えば、オキシエチレン基とオキシプロピレン基等)で構成されていてもよい。基R3は同一のベンゼン環において、同一のアルキレン基であってもよい。
【0088】
オキシアルキレン基(OR3)の数(付加モル数)mは、0以上の整数であればよく、好ましくは1以上の整数[例えば、1〜15(例えば、1〜10)程度の範囲から選択でき、例えば、1〜8(例えば、1〜6)、好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜2、特に1]である。
【0089】
なお、前記一般式(2)において、ベンゼン環に置換する基−[(OR3)m−OH]の置換位置は、特に限定されず、フェニル基の2〜6位から選択できるが、3又は4位(特に、4位)が好ましい。
【0090】
基R4で表される置換基としては、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基及びt−ブチル基等のC1〜20のアルキル基、好ましくはC1〜8のアルキル基、さらに好ましくはC1〜6のアルキル基)、シクロアルキル基(シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等のC5〜10のシクロアルキル基、好ましくはC5〜8のシクロアルキル基、さらに好ましくはC5〜6のシクロアルキル基)、アリール基(フェニル基等のC6〜10のアリール基)及びアラルキル基(ベンジル基及びフェネチル基等のC6〜10のアリール−C1〜4のアルキル基等)等の炭化水素基;アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基及びt−ブトキシ基等のC1〜20のアルコキシ基、好ましくはC1〜8のアルコキシ基、さらに好ましくはC1〜6のアルコキシ基)、シクロアルコキシ基(シクロヘキシルオキシ基等のC5〜10のシクロアルキルオキシ基)、アリールオキシ基(フェノキシ基等のC6〜10アリールオキシ基)、アラルキルオキシ基(ベンジルオキシ基等のC6〜10アリール−C1〜4のアラルキルオキシ基)等のエーテル基;アシル基(アセチル基等のC1〜6のアシル基);アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基等のC1〜4のアルコキシカルボニル基);ハロゲン原子(フッ素原子及び塩素原子等);ニトロ基;シアノ基;置換アミノ基(ジアルキルアミノ基等)等が例示できる。
【0091】
好ましい置換基R4は、炭化水素基[さらに好ましくは、アルキル基(次にさらに好ましくは、C1〜6のアルキル基)、シクロアルキル基(さらに好ましくは、C5〜8のシクロアルキル基)、アリール基(さらに好ましくは、C6〜10のアリール基)、アラルキル基(さらに好ましくは、C6〜8のアリール−C1〜2のアルキル基)等]及びアルコキシ基(さらに好ましくはC1〜4のアルコキシ基)である。
【0092】
置換基R4は、ベンゼン環において、それぞれ、単独で又は二種以上組み合わせて置換していてもよい。また、置換基R4の置換数nは、0〜4であればよく、好ましくは0〜1、さらに好ましくは0であってもよい。
【0093】
なお、ベンゼン環に置換するR4の置換位置は特に限定されず、基−[(OR3)m−OH]の置換位置に応じて、適宜選択できる。
【0094】
具体的な前記一般式(2)で表される化合物には、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン[前記式(2)においてmが0である化合物、例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−フェニル)フルオレン等の9,9−ビス(ヒドロキシ−フェニル)フルオレン]、9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシ−フェニル)フルオレン(前記式(2)においてmが1である化合物)、9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−フェニル)フルオレン(前記式(2)においてmが2以上である化合物)等が含まれる。
【0095】
9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシ−フェニル)フルオレンには、9,9−ビス(ヒドロキシC2〜4のアルコキシ−フェニル)フルオレン{9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、等の9,9−ビス(ヒドロキシC2〜4のアルコキシ−フェニル)フルオレンが含まれ、好ましくは9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン}等が含まれる。
【0096】
9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−フェニル)フルオレンには、前記9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシ−フェニル)フルオレンに対応し、mが2以上である化合物、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシジC2〜4のアルコキシ−フェニル)フルオレン{9,9−ビス{4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]−フェニル}フルオレン、9,9−ビス{4−[2−(2−ヒドロキシプロポキシ)プロポキシ]−フェニル}フルオレン等の9,9−ビス(ヒドロキシジC2〜4のアルコキシ−フェニル)フルオレン、好ましくは9,9−ビス[2−(2−ヒドロキシC2〜3のアルコキシ)C2〜3のアルコキシ−フェニル]フルオレン、さらに好ましくは9,9−ビス[2−(2−ヒドロキシC2〜3のアルコキシ)C2〜3のアルコキシ−フェニル]フルオレン}等が含まれる。
これらのフルオレン化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0097】
前記フルオレン化合物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、特許第2559332号公報に記載のように、酸触媒及びチオール類の存在下、フルオレノンと、アルコールとを反応させる方法が挙げられる。
【0098】
化合物(b2)は、特定の構造を有する脂環式又は複素環式骨格を有する繰り返し単位からなるポリオール化合物である。
化合物(b2):両末端にそれぞれ独立に下記一般式(3)で示される構造を有し、その間を構成する繰り返し単位の少なくとも一種類が下記一般式(4)で示される環構造であるポリオール(b2−1)、又は両末端にそれぞれ独立に下記一般式(5)で示される構造を有し、その間を構成する繰り返し単位の少なくとも一種類が下記一般式(6)で示される環構造であるポリオール(b2−2)。
【0099】
【化16】
【0100】
【化17】
【0101】
【化18】
【0102】
【化19】
【0103】
ここで、下記一般式(4)で示される繰り返し単位を含むポリオール(b2−1)は下記一般式(6)で示される繰り返し単位を含むポリオール(b2−2)の炭素−炭素二重結合を水添したものである。
【0104】
具体的に一般式(4)におけるR5〜R12を以下に例示して説明する。下記一般式(18)は(b2−1)の一例であり、一般式(3)の両末端と一般式(4)の繰り返し単位のみから成る場合である。
【0105】
【化20】
【0106】
〔式中、R5〜R12は独立にハロゲン原子、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基(R5〜R12のうち2つ以上が連結し環を形成してもよい。)、シアノ基、水酸基、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、ホルミル基、カルボキシル基(2個のカルボキシル基から酸無水物を形成してもよい。)又はシリル基を表す。u、vは独立に0から5の整数を表し、wは任意の自然数。〕
上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、アミル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、オクタデシル等のアルキル基、シクロペンチル、シクロヘキシル等のシクロアルキル基、フェニル、トリル、メシチル、ナフチル等のアリール基、R5〜R12の2つ以上が連結した環としては、共通するひとつの炭素原子に結合する置換基、すなわちR5とR6、R7とR8又はR9とR10が連結した3〜6員環のスピロ環、一般式(20)中のα、βで示される炭素原子を共有した5〜8員環の縮合環、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、クロロメチル、メトキシメチル、アセトキシメチル等の置換アルキル基等が挙げられる。
【0107】
さらに、R5〜R12の例としては、シアノ基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ等のアルコキシル基;アセトキシ、プロピオニルオキシ等のアシル基;ホルミル基;カルボキシル基又はそのメチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル等のエステル類(アルコキシカルボニル基)もしくは2個のカルボキシル基から形成される酸無水物;トリメチルシリル等のシリル基等が挙げられる。
【0108】
これらR5〜R12のうち、好ましくは水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基であり、さらに好ましくは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基である。また、一般式(4)におけるAは置換基R5、R6を有する炭化水素基又は酸素原子であるが炭化水素基であることが好ましく、メチレン基であることがより好ましい。
【0109】
次に、一般式(6)におけるR13〜R20を以下に具体的に例示して説明する。下記一般式(19)は(b2−2)の一例であり、一般式(5)の両末端と一般式(6)の繰り返し単位のみから成る場合である。
【0110】
【化21】
【0111】
〔式中、R13〜R20は独立にハロゲン原子、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基(R15とR16、R17とR18はそれぞれの組で独立に、合わせてアルキリデン基でもよく、R13〜R20のうち2つ以上が連結し環を形成してもよい。)、シアノ基、水酸基、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、ホルミル基、カルボキシル基(2個のカルボキシル基から酸無水物を形成してもよい。)又はシリル基を表す。u、vは独立に0から5の整数を表し、wは任意の自然数。〕
上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。上記置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、アミル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、オクタデシル等のアルキル基、シクロペンチル、シクロヘキシル等のシクロアルキル基、フェニル、トリル、キシリル、メシチル、ナフチル等のアリール基、R15とR16、R17とR18のそれぞれの組から独立に形成されるアルキリデン基としては、メチレン(=CH2)、エチリデン、プロピリデン、イソプロピリデン等のアルキリデン基、R13〜R20の2つ以上が連結した環としては、共通するひとつの炭素原子に結合する置換基、すなわちR13とR14、R15とR16又はR17とR18が連結した3〜6員環のスピロ環、一般式(21)中のα、βで示される炭素原子を共有した5〜8員環の縮合環、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、クロロメチル、メトキシメチル、アセトキシメチル等の置換アルキル基等が挙げられる。
【0112】
さらに、R13〜R20の例としてはシアノ基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ等のアルコキシル基;アセトキシ、プロピオニルオキシ等のアシル基;ホルミル基;カルボキシル基又はそのメチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル等のエステル類(アルコキシカルボニル基)もしくは2個のカルボキシル基から形成される酸無水物;トリメチルシリル等のシリル基等が挙げられる。これらR13〜R20のうち、好ましくは水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基であり、さらに好ましくは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基又はアルキリデン基である。また、一般式(6)におけるAは置換基R13、R14を有する炭化水素基又は酸素原子であるが炭化水素基であることが好ましく、メチレン基であることがより好ましい。
【0113】
ポリオール(b2−2)(例として一般式(19))は、特開2003−26752号公報に記載の方法等により、環状不飽和化合物と、両末端に官能基(水酸基、アシルオキシ基等)を有する鎖状不飽和化合物とから触媒を使用し開環重合を行い、必要があれば官能基を水酸基に変換する操作を行って製造される。
【0114】
一般式(4)を繰り返し単位として有するポリオール(b2−1)は一般式(6)を繰り返し単位として主鎖に有するポリオール(b2−2)を水添する事で得ることができる。また、ポリオール(b2−2)への開環重合の際、原料である鎖状不飽和化合物の両末端の官能基がアシルオキシ基、アロイルオキシ基である場合には開環重合物を水添した後、加水分解、けん化又はエステル交換してポリオール(b2−2)として得ることもできる。
【0115】
ポリオール(b2−2)の水添方法としては、基本的に、炭素−炭素二重結合を水添しうる全ての方法があげられる。例えば、金属水素化物、金属水素錯化合物、ボランやヒドラジン類等の試薬を用いた量論的な方法や水素による触媒的な方法が用いられる。これらの方法の中では水素と触媒を用いた水添反応が経済性、量産性の面から望ましい。但し、アルデヒドやニトリル基等の置換基を水添させずにそのまま残す必要がある場合には、水素による水添法ではなく、炭素−炭素二重結合のみを選択的に水添する方法をとる必要がある。
【0116】
ポリオール(b2−2)の水素ガスによる水添の触媒としては、パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウム等を活性炭、アルミナ、シリカ等に担持した触媒、ニッケル、ルテニウム等のラネー金属触媒、酸化パラジウム、酸化白金等の金属酸化物触媒やNi(CH3COCHCOCH3)2/(C2H5)3Al、(C5H5)2TiCl2/(C2H5)2AlCl、[(C6H5)3P]3RhCl、[(C6H5)3P]3RuCl2、[(C6H5)3P]3RuH2、[(C6H5)3P]3(CO)RuCl2、[(C6H5)3P]3(CO)RuHClといったポリオール(b2−2)を製造するためのノルオルネン類の開環重合で一度用いたルテニウム、オスミウムのメタセシス触媒等の均一系触媒を使用することができる。
【0117】
化合物(b3)は、分子内に液晶性骨格を有するポリオール化合物である。例えば、液晶性骨格は、下記一般式(20)、(21)で表される構造を有する。
【0118】
【化22】
【0119】
【化23】
【0120】
一般式(20)及び(21)において、Mはメソゲン基を表す。
Mで表されるはメソゲン基の具体例としては、下記一般式(a)〜(m)に示す基が挙げられる。
【0121】
【化24】
【0122】
【化25】
【0123】
上記一般式(a)〜(m)において、R29〜R32はハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシ基を表し、好ましくはハロゲン原子又はアルキル基である。R33〜R34はハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシ基を表し、好ましくはアルキル基である。R35〜R37はハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシ基を表し、好ましくはアルキル基である。
R29〜R37で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子又は臭素原子が好ましく、特に好ましくは塩素原子又は臭素原子である。
【0124】
R29〜R37で表されるアルキル基としては、置換基を有していてもよく、炭素原子数が1〜12のものが好ましく、特に1〜6のものが好ましい。
R29〜R37で表されるアルコキシ基としては、置換基を有していてもよく、炭素原子数が1〜12のものが好ましく、特に1〜6のものが好ましい。
【0125】
上式(a)〜(m)において、a〜dは0〜2の整数を表し、好ましくは0又は1である。e〜fは0〜2の整数を表し、好ましくは0である。g〜iは0〜4の整数を表し、好ましくは0である。
上式(a)〜(m)において、Y1〜Y3は、単結合、−CH=CH−、エテニレン基、−COO−、−O・CO−、−CONH−、−NHCO−、−N=N−、−N(→O)=N−、−CH=N−又は−N=CH−を表し、好ましくは単結合、エテニレン、−COO−、−O・CO−、−CONH−又は−NHCO−であり、特に好ましくは、単結合、−COO−又は−CONH−である。
【0126】
上式(a)〜(m)において、Z1は、単結合、−CH=CH−、エテニレン基、−COO−、−O・CO−、−CONH−、−NHCO−、−N=N−、−N(→O)=N−、−CH=N−又は−N=CH−を表し、好ましくは、単結合、エテニレン、−COO−、−O・CO−、−CONH−又は−NHCO−であり、特に好ましくは、単結合又は、エテニレン基である。
以上、Mで表されるはメソゲン基の内、上記(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)で表される基が好ましく、特に好ましくは(a)、(b)及び(c)である。
【0127】
一般式(20)において、A1及びA2は、アルキル鎖(CH2 )m(mは2〜20の整数を表す)を表す。
【0128】
一般式(21)において、A3及びA4は、アルキル鎖(CH2 )n(nは2〜5の整数を表す)を表し、x及びyは0以上の整数を表す。
【0129】
ポリオール組成物(PL)の重量を基準とする化合物(B)の含有量は、引張強度及び伸び物性の観点から、0.1〜90重量%が好ましく、さらに好ましくは0.5〜80重量%、特に好ましくは1〜60%重量である。なお、本発明においては、使用する重合体ポリオールに化合物(B)が含まれている場合も、ポリオール組成物(PL)に化合物(B)が含有されているものとして取り扱う。
なお、本発明においては、化合物(B)に該当するものは、化合物(B)として取り扱い、ポリオール(A)としては取り扱わないものとする。
【0130】
ポリオール組成物(PL)において、後述する発泡剤(D)を含有することが好ましく、この(D)の含有量は、ポリオール(A)と化合物(B)の合計重量に対して、引張強度及び伸び物性の観点から、0.1〜50重量部が好ましく、さらに好ましくは1〜45重量部、次にさらに好ましくは1〜40重量部、特に好ましくは1〜30重量部、最も好ましくは1〜25重量部である。
【0131】
本発明のポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物(PL)は、ポリオール(A)と化合物(B)とを含有していればよく、その製造方法としては(A)と(B)とを混合する方法等が挙げられる。
【0132】
本発明のポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物(PL)は、各種用途に用いることができるが、発泡又は非発泡ポリウレタンを製造するのに好適に用いられる。
すなわち、ポリオール成分とイソシアネート成分とを、必要により添加剤の存在下反応させて、発泡又は非発泡ポリウレタンを製造する際、ポリオール成分の少なくとも一部として、(PL)を使用する。
(PL)をポリウレタンフォームの製造に用いるポリウレタンフォームの製造方法としては、ポリオール成分とイソシアネート成分とを反応させてポリウレタンフォームを製造する方法において、ポリオール成分が上記ポリオール組成物(PL)をポリオール成分の重量に対して10〜100重量%含有するポリウレタンフォームの製造方法が含まれる。
【0133】
イソシアネート成分としては、従来からポリウレタン製造に使用されているものが使用できる。このようなイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、これらの変性物(例えば、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシアヌレート基、又はオキサゾリドン基含有変性物等)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0134】
芳香族ポリイソシアネートとしては、C(NCO基中の炭素を除く;以下のイソシアネートも同様)6〜16の芳香族ジイソシアネート、C6〜20の芳香族トリイソシアネート及びこれらのイソシアネートの粗製物等が挙げられる。具体例としては、1,3−及び/又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−及び/又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−及び/又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(粗製MDI)、等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、C6〜10の脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。具体例としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
【0135】
脂環式ポリイソシアネートとしては、C6〜16の脂環式ジイソシアネート等が挙げられる。具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、C8〜12の芳香脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。具体例としては、キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
変性ポリイソシアネートの具体例としては、ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI等が挙げられる。
【0136】
ポリウレタンフォームの製造の際、必要により、以下に述べる添加剤(発泡剤(D)、整泡剤等)の存在下で反応させてもよい。
発泡剤(D)としては、公知の発泡剤が使用でき、例えば、水、水素原子含有ハロゲン化炭化水素、低沸点炭化水素及び液化炭酸ガス等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
水素原子含有ハロゲン化炭化水素の具体例としては、塩化メチレンやHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)タイプのもの(例えばHCFC−123及びHCFC−141b);HFC(ハイドロフルオロカーボン)タイプのもの(例えば、HFC−245fa及びHFC−365mfc)等が挙げられる。
低沸点炭化水素は、沸点が通常−5〜70℃の炭化水素であり、その具体例としては、ブタン、ペンタン、シクロペンタンが挙げられる。
【0137】
ポリオール成分100重量部に対する発泡剤(D)の使用量は、0.1〜50重量部が好ましく、さらに好ましくは1〜45重量部、次にさらに好ましくは1〜40重量部、特に好ましくは1〜30重量部、最も好ましくは1〜25重量部である。
ポリオール成分100重量部に対する発泡剤(D)の使用量は、発泡剤(D)が水の場合は、0.1〜30重量部が好ましく、さらに好ましくは1〜20重量部である。水素原子含有ハロゲン化炭化水素は、50重量部以下が好ましく、さらに好ましくは10〜45重量部である。低沸点炭化水素は、40重量部以下が好ましく、さらに好ましくは10〜30重量部である。液化炭酸ガスは、30重量部以下が好ましく、さらに好ましくは1〜25重量部である。
【0138】
さらに例えば、整泡剤(ジメチルシロキサン系、ポリエーテル変性ジメチルシロキサン系等)、ウレタン化触媒{3級アミン系触媒(トリエチレンジアミン、N−エチルモルホリン、ジエチルエタノールアミン、N、N、N’、N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ジアミノビシクロオクタン、1,2−ジメチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール及び1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−ウンデセン−7等)、及び/又は金属触媒(オクチル酸第一スズ、ジラウリル酸ジブチル第二スズ及びオクチル酸鉛等}、着色剤(染料及び顔料)、可塑剤(フタル酸エステル及びアジピン酸エステル等)、有機充填剤(合成短繊維、熱可塑性又は熱硬化性樹脂からなる中空微小球等)、難燃剤(リン酸エステル及びハロゲン化リン酸エステル等)、老化防止剤(トリアゾール及びベンゾフェノン等)、抗酸化剤(ヒンダードフェノール及びヒンダードアミン等)等公知の添加剤の存在下で反応させることができる。
【0139】
ポリオール成分100重量部に対するこれらの添加剤の使用量に関しては、整泡剤は、10重量部以下が好ましく、さらに好ましくは0.5〜5重量部である。ウレタン化触媒は、10重量部以下が好ましく、さらに好ましくは0.2〜5重量部である。着色剤は、1重量部以下が好ましい。可塑剤は、10重量部以下が好ましく、さらに好ましくは5重量部以下である。有機充填剤は、50重量部以下が好ましく、さらに好ましくは30重量部以下である。難燃剤は、30重量部以下が好ましく、さらに好ましくは5〜20重量部である。老化防止剤は、1重量部以下が好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.5重量部である。抗酸化剤は、1重量部以下が好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.5重量部である。添加剤の合計使用量は、50重量部以下が好ましく、さらに好ましくは0.2〜30重量部である。
【0140】
本発明のポリウレタンフォームの製造の際のイソシアネート指数(NCO INDEX)[(NCO基/活性水素原子含有基)の当量比×100]は、80〜150が好ましく、さらに好ましくは85〜135、特に好ましくは90〜130である。
【0141】
ポリオール成分中の、ポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物(PL)の含有量は、ポリウレタンフォームの引張強度の観点からの観点から、ポリオール成分の重量に対して、10〜100重量%が好ましく、さらに好ましくは20〜80重量%であり、次にさらに好ましくは30〜60重量%である。
【0142】
また、ポリオール成分とイソシアネート成分を反応させる条件は、通常用いられる公知の条件でよい。
一例を示せば、まず、ポリオール成分及び必要により添加剤を所定量混合する。次いで、ポリウレタン低圧又は高圧注入発泡機又は撹拌機を使用して、この混合物とイソシアネート成分とを急速混合する。得られた混合液を密閉型もしくは開放型のモールド(金属製又は樹脂製)に注入し、ウレタン化反応を行わせ、所定時間硬化後、脱型してポリウレタンを得る。
【実施例】
【0143】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0144】
製造例1 [ポリオールa−1の製造]
図1に示した態様のように、容量2500mlの撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(5)付きの反応槽(1)としてのステンレス製オートクレーブと、酸化マグネシウム(顆粒、直径2〜0.1mm)を400部充填した反応塔(2)(ステンレス製円筒管、内径5.5cm、長さ30cmを2基使用)及び蒸留塔(3)(理論段数30段、ステンレス製円筒管、内径5.5cm、長さ2m)を、循環ライン(6)、(7)、(8)で接続した。
反応槽(1)に、グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gとトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09gを仕込んだ後、オートクレーブ{反応槽(1)}と反応塔(2)及び循環ライン(6)、(7)、(8)内を0.005MPaまで減圧とした。原料供給ライン(5)を通じてPOを反応温度が50〜60℃を保つように制御しながら連続的に液相に投入しつつ、ダイアフラムポンプを用いて反応槽(1)内の気相を5L/minの流量で、反応槽(1)→循環ライン(6)→反応塔(2)→循環ライン(7)→蒸留塔(3)→循環ライン(8)→反応槽(1)の順に循環させた。反応塔(2)を75℃、0.08〜0.15MPaとなるように制御しながら副生低沸点化合物を連続的に酸化マグネシウムと接触させて高沸点化合物とし、蒸留塔(3)にてPOと分離する事で系外に除去した。分離した高沸点化合物は蒸留塔(3)の釜下ライン(4)から抜き取った。オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が2000mlとなった時点でPOの投入を停止、気相循環を終了し、70℃で4時間熟成し、水を200g加え130〜140℃で1時間加熱した。1時間加熱後、水を2時間かけて常圧留去したのち、引き続いてスチームを通入しながら圧力を30〜50torrに保ちながら3時間かけて残りの水を減圧留去し液状のグリセリンPO付加物(a−1)を得た。
なお、原料として用いたグリセリンのPO付加物は既知の方法で合成されたもの、つまり、水酸化カリウムを触媒としてグリセリンにプロピレンオキサイドを所定量付加した後、触媒除去のため、水と合成珪酸塩(協和化学社製 キョーワード600)を加えて加熱処理後、ろ過、減圧脱水したものである。
【0145】
製造例2 [ポリオールa−2の製造]
図2に示した態様のように、容量2500mlの撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(5)付きの反応槽(1)としてのステンレス製オートクレーブと、蒸留塔(3)(理論段数50段、ステンレス製円筒管、内径5.5cm、長さ3m)とを、循環ライン(6)、(8)で接続した。
反応槽(1)に、グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gとトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09gを仕込んだ後、オートクレーブ{反応槽(1)}と反応塔(2)及び循環ライン(6)、(8)内を0.005MPaまで減圧とした。原料供給ライン(5)を通じてPOを反応温度が50〜60℃を保つように制御しながら連続的に液相に投入しつつ、ダイアフラムポンプを用いて反応槽(1)内の気相を5L/minの流量で、反応槽(1)→循環ライン(6)→蒸留塔(3)→循環ライン(8)→反応槽(1)の順に循環させた。蒸留塔(3)にて副生低沸点化合物をPOと分離する事で系外に除去した。分離した副生低沸点化合物は蒸留塔(3)の釜下ライン(4)から抜き取った。オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が2000mlとなった時点でPOの投入を停止、気相循環を終了し、70℃で4時間熟成し、水を200g加え130〜140℃で1時間加熱した。1時間加熱後、水を2時間かけて常圧留去したのち、引き続いてスチームを通入しながら圧力を30〜50torrに保ちながら3時間かけて残りの水を減圧留去し液状のグリセリンPO付加物(a−2)を得た。
なお、原料として用いたグリセリンのPO付加物は製造例1と同じ物を用いた。
【0146】
製造例3 [ポリオールa−3の製造]
図3に示した態様のように、2500mlの撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(5)付きの反応槽(1)としてのステンレス製オートクレーブと、モレキュラーシーブ4Aを500部充填した吸着塔(9)(ステンレス製円筒管、内径5.5cm、長さ30cm)を、循環ライン(6)、(8)で接続した。
グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gとトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09gを仕込んだ後、オートクレーブ{反応槽(1)}と吸着塔(9)及びライン(6)、(8)内を0.005MPaまで減圧とした。原料供給ライン(5)を通じてPOを反応温度が50〜60℃を保つように制御しながら連続的に投入しつつ、ダイアフラムポンプを用いて反応槽(1)内の気相を5L/minの流量で、反応槽(1)→減圧ライン(6)→吸着塔(9)→循環ライン(8)→反応槽(1)の順に循環させた。吸着塔(9)を25℃、0.1〜0.3MPaとなるように制御しながら副生低沸点化合物を連続的にモレキュラーシーブに吸着させ系外に除去した。オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が2000mlとなった時点でPOの投入を停止、気相循環を終了し、70℃で4時間熟成し、水を200g加え130〜140℃で1時間加熱した。1時間加熱後、水を2時間かけて常圧留去したのち、引き続いてスチームを通入しながら圧力を30〜50torrに保ちながら3時間かけて残りの水を減圧留去し液状のグリセリンPO付加物(a−3)を得た。
なお、原料として用いたグリセリンのPO付加物は製造例1と同じ物を用いた。
【0147】
製造例4 [ポリオールa−4の製造]
図4に示した態様のように、2500mlの撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(5)付きの反応槽(1)としてのステンレス製オートクレーブに、減圧ライン(10)を接続した。オートクレーブ{反応槽(1)}に、グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gとトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09gとを仕込んだ後、原料供給ライン(5)を通じてPOを反応温度が50〜60℃を保つように制御しながら投入した。但し、POの投入は10分間かけて投入した後、減圧ライン(10)より減圧(0.01MPa)とし、15分間低沸点の揮発成分を留去する工程を、20回繰り返して実施した。オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が2000mlとなるまで投入した時点でPOの投入を停止し、70℃で4時間熟成し、水を200g加え130〜140℃で1時間加熱した。1時間加熱後、水を2時間かけて常圧留去したのち、引き続いてスチームを通入しながら圧力を30〜50torrに保ちながら3時間かけて残りの水を減圧留去し液状のグリセリンPO付加物(a−4)を得た。
なお、原料として用いたグリセリンのPO付加物は製造例1と同じ物を用いた。
【0148】
製造例5 [ポリオールa−5の製造]
グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gを用いる代わりに、グリセリンのPO付加物(水酸基価168)666gを用いる以外は、製造例1と同様の方法で合成し、液状のグリセリンPO付加物(a−5)を得た。
なお、原料として用いたグリセリンのPO付加物(水酸基価168)は既知の方法で合成されたもの、つまり、水酸化カリウムを触媒としてグリセリンにプロピレンオキサイドを所定量付加した後、触媒除去のため、水と合成珪酸塩(協和化学社製 キョーワード600)を加えて加熱処理後、ろ過、減圧脱水したものである。
【0149】
製造例6 [ポリオールa−6の製造]
図2に示した態様のように、容量2500mlの撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(5)付きの反応槽(1)としてのステンレス製オートクレーブと、酸化マグネシウム(顆粒、直径2〜0.1mm)を400部充填した反応塔(2)(ステンレス製円筒管、内径5.5cm、長さ30cmを2基使用)、及び、蒸留塔(3)(理論段数30段、ステンレス製円筒管、内径5.5cm、長さ2m)を、循環ライン(6)、(7)、(8)で接続した。
反応槽(1)に、グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gとトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09gを仕込んだ後、オートクレーブ{反応槽(1)}と反応塔(2)及び循環ライン(6)、(7)、(8)内を0.005MPaまで減圧とした。原料供給ライン(5)を通じてPOを反応温度が50〜60℃を保つように制御しながら連続的に液相に投入しつつ、ダイアフラムポンプを用いてオートクレーブ{反応槽(1)}内の気相を5L/minの流量で、反応槽(1)→循環ライン(6)→反応塔(2)→循環ライン(7)→蒸留塔(3)→循環ライン(8)→反応槽(1)の順に循環させた。反応塔(2)を75℃、0.08〜0.15MPaとなるように制御しながら副生低沸点化合物を連続的に酸化マグネシウムと接触させて高沸点化合物とし、蒸留塔(3)にてPOと分離する事で系外に除去した。分離した高沸点化合物は蒸留塔(3)の釜下ライン(4)から抜き取った。オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が1920mlとなった時点でPOの投入を停止、気相循環を終了し、70℃で4時間熟成し、水を170g加え130〜140℃で1時間加熱した。水を2時間かけて常圧留去した後、水酸化カリウム2gを加え130〜140℃にてスチームを通入しながら圧力を30〜50torrに保ちながら残りの水を減圧留去した。引き続き、原料供給ライン(5)を通じてEO80gを反応温度が130〜140℃を保つように制御しながら2時間かけて投入した後、2時間熟成した。90℃まで冷却した後、12gのキョーワード600(協和化学社製;合成珪酸塩)と水40gを加え1時間処理した。オートクレーブ{反応槽(1)}より取り出した後、1ミクロンのろ紙を用いてろ過した後、減圧脱水し、液状のグリセリンPOEO付加物(a−6)を得た。
なお、原料として用いたグリセリンのPO付加物は製造例1と同じ物を用いた。
【0150】
製造例7 [ポリオールa−7の製造]
グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gを用いる代わりに、グリセリンのPO付加物(水酸基価168)666gを用いる以外は、製造例6と同様の方法で合成し、液状のグリセリンPOEO付加物(a−7)を得た。
なお、原料として用いたグリセリンのPO付加物は製造例5と同じ物を用いた。
【0151】
製造例8 [ポリオールa−8の製造]
グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gを用いる代わりに、ペンタエリスリトールのPO付加物(水酸基価280)267gを用い、「オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が1920mlとなった時点でPOの投入を停止」の代わりに「オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が1840mlとなった時点でPOの投入を停止」すること、及び「EO80g」の代わりに、「EO160g」とすること以外は、製造例6と同様の方法で合成し、液状のペンタエリスリトールPOEO付加物(a−8)を得た。
なお、ペンタエリスリトールPO付加物(水酸基価280)は既知の方法で合成されたもの、つまり、水酸化カリウムを触媒としてプロピレングリコールにプロピレンオキサイドを所定量付加した後、触媒除去のため、水と合成珪酸塩(協和化学社製 キョーワード600)を加えて加熱処理後、ろ過、減圧脱水したものである。
【0152】
製造例9 [ポリオールa−9の製造]
ペンタエリスリトールのPO付加物(水酸基価280)267gを用いる代わりに、ペンタエリスリトールのPO付加物(水酸基価160)466gを用いること以外は、製造例8と同様の方法で合成し、液状のペンタエリスリトールPOEO付加物(a−9)を得た。
なお、ペンタエリスリトールPO付加物(水酸基価160)は既知の方法で合成されたもの、つまり、水酸化カリウムを触媒としてプロピレングリコールにプロピレンオキサイドを所定量付加した後、触媒除去のため、水と合成珪酸塩(協和化学社製 キョーワード600)を加えて加熱処理後、ろ過、減圧脱水したものである。
【0153】
製造例10 [ポリオールa−10の製造]
ペンタエリスリトールのPO付加物(水酸基価280)400gを用いる代わりに、ペンタエリスリトールのPO付加物(水酸基価280)200gを用いること以外は、製造例8と同様の方法で合成し、液状のペンタエリスリトールPOEO付加物(a−10)を得た。
【0154】
製造例11 [ポリオールa−11の製造]
ペンタエリスリトールのPO付加物(水酸基価280)200gを用いる代わりに、ペンタエリスリトールのPO付加物(水酸基価160)350gを用いること以外は、製造例10同様の方法で合成し、液状のペンタエリスリトールPOEO付加物(a−11)を得た。
なお、ペンタエリスリトールのPO付加物(水酸基価160)は製造例9と同じ物を用いた。
【0155】
製造例12 [ポリオールn−1の製造]
図5に示した態様のように、2500mlの撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(5)付きの反応槽(1)としてのステンレス製オートクレーブに、グリセリン61gと水酸化カリウム4.0gを仕込んだ後、原料供給ライン(5)を通じてPOを反応温度が90〜100℃を保つように制御しながら投入した。但し、POの投入は6時間かけて連続して実施した。オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が2000mlとなるまで投入した後、100℃で3時間熟成した。次に、30gの合成珪酸塩(キョーワード600、協和化学製)と水40gを加えて90℃で1時間処理した。オートクレーブ{反応槽(1)}より取り出した後、1ミクロンのフィルターで濾過した後2時間脱水し、液状のグリセリンPO付加物(n−1)を得た。
【0156】
製造例13 [ポリオールn−2の製造]
グリセリン61gの代わりにプロピレングリコール72gを用いること以外は製造例12と同様の方法でグリセリンPO付加物(n−2)を得た。
【0157】
製造例1〜11のポリオキシアルキレンポリオールの分析結果を表1に示した。
従来技術である特許文献(特許3688667号公報)記載の式1(下記、数式(4))についての検証結果も記載した。
【0158】
y≦(1.9×10−8)w2 (4)
数式(4)は水酸基当量wと不飽和度yの関係を表す式であり、本発明における数式(1)、(3)に対応する形、つまり、(S)の水酸基価xと不飽和度yの関係式に変形すると数式(4’)となる。
y≦60×x−2 (4’)
【0159】
【表1】
【0160】
表1中の1級水酸基率(1)は、一般式(VI)で表される構造(EO付加前)での1級水酸基率であり、1級水酸基率(2)は、ポリオールの1級水酸基率である。
【0161】
製造例12〜13のポリオキシアルキレンポリオールの分析結果を表2に示した。上記数式(4)についての検証結果も記載した。
【0162】
【表2】
【0163】
表2中の1級水酸基率(2)は、ポリオールの1級水酸基率である。
【0164】
製造したポリオキシアルキレンポリオールの水酸基価及び不飽和度の測定方法並びにこれらの単位を以下に示す。
水酸基価:JIS K1557に準拠、単位はmgKOH/g
不飽和度:JIS K1557に準拠、単位はmeq/g
【0165】
表1、2の中で水酸基当量とは、下数式(5)で定義されるものであり、具体的には、水酸基価xを測定し、56100/水酸基価xにより求めたものである。
(水酸基当量)=(数平均分子量)/(平均水酸基数) (5)
【0166】
製造例14 [化合物b1−1]
化合物b1−1〔9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン〕は東京化成工業株式会社より購入し、そのまま使用した。水酸基価(mgKOH/g)=256.3。
【0167】
製造例15 [化合物b1−2の製造]
1Lのセパラブルフラスコに、9−フルオレノン18g(0.1モル、ナカライテスク株式会社製)、o−フェニルフェノール(2−ヒドロキシエチル)エーテル[又は2−ビフェニリル−(2−ヒドロキシエチル)エーテル]64.3g(0.3モル、明成化学(株)製)、3−メルカプトプロピオン酸0.9g及び溶媒としてのキシレン52gを投入した後に、60℃まで加温して完全に溶解させた。その後、徐々に硫酸を20g投入して、60℃で維持して5時間攪拌させた。HPLCにて9−フルオレノンの転化率が99%以上であることを確認できた。得られた反応液に48%苛性ソーダ水を投入して中和した後に、蒸留水にて数回洗浄し、冷却することで結晶を析出させた。さらにろ過して乾燥させ、化合物b1−2〔9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン〕51gを得た。水酸基価(mgKOH/g)=190.3。
【0168】
製造例16 [化合物b1−3の製造]
1000mlの攪拌装置、温度制御装置のステンレス製オートクレーブに、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン0.1モル(43.7g)及びアルカリ触媒(N−エチルモルフォリン)0.0020モルを仕込んだ後、EO0.8モルを80±10℃、圧力0.50MPa以下となるよう制御しながら、3時間かけて滴下した後、120±10℃で1時間熟成した。熟成終了後、アルカリ触媒を0.1MPaにて1時間減圧除去して、化合物(b1−3)を得た。水酸基価(mgKOH/g)=213.3。
【0169】
製造例17 [化合物b2−1の製造]
冷却管、滴下ロートを備えた50ml三口フラスコを窒素置換し、1,4−ジアセトキシ−2−ブテン5.16g(30mmol)、トルエン10mlを加えた。これに、触媒(Cl2[P(C6H11)3]2Ru=CH−C6H5)0.06g(0.07mmol)を溶解してメカニカルスターラーで撹拌した。フラスコをオイルバスにつけ、バス温を40℃に上げ、別途に調整したエチリデンノルボルネン9.0g(75mmol)をトルエン10mlに溶解した溶液を滴下ロートから1時間かけて滴下した。滴下終了後40℃で2時間反応した。反応終了した溶液は室温まで冷却した。この反応溶液と触媒(HClRu(CO)[P(C6H5)3]3)0.03gを100mlステンレス製オートクレーブに入れ、撹拌しながら水素圧6MPa、温度155℃で4時間水添反応を行った。反応終了後、冷却し、この反応液をメタノール200ml中に滴下し固形分を析出させた。この固形分を20mlトルエンに溶解し、メタノール200ml中に滴下して固形分を析出させることを3回繰り返し精製した。精製した固形分は真空乾燥した。やや黄色みを帯びた透明な粘性固体であった。
この固形物のGPCを測定したところ、ポリスチレン換算のMnは4700であり、Mw/Mnは2.4であった。
プロトンNMR測定の各ピークの積分比から99%の水添率であった。プロトンNMRの結果から計算した分子量Mnは3600であった。
また、蒸気圧浸透法で測定した分子量Mnは3500であり、プロトンNMRで測定した分子量と良い一致を示した。この結果から製造された化合物は確実に両末端にアセトキシル基が導入されていることが分かった。次に、両末端のエステル部分をエステル交換でジオールに変換した。上記粘性固体(分析に用いた以外の全量)をトルエン30mlに溶解させ、28%ナトリウムメトキサイド/メタノール溶液1gとメタノール10mlを加え、5時間還流した。反応終了した溶液をメタノール100ml中にあけ、デカンテーションした。さらに、シクロヘキサンに溶解、メタノールを添加して析出させる操作を3回繰り返し精製した。固形物は75℃で2日間真空乾燥した。柔らかい固形物が得られた。
プロトンNMRの結果から、アセトキシル基はエステル交換され、100%ヒドロキシル化されていることが確認された。尚、プロトンNMRから計算した分子量は3500であった。この物質を化合物(b2−1)とした。水酸基価(mgKOH/g)=32.3。
【0170】
製造例18 [化合物b3−1の製造]
水酸化ナトリウム(5.6g,0.140mol)をエタノール(80ml)中に溶解し、4,4’−ビフェノール(6.5g,0.035mol)を攪拌しながら添加した。1時間還流後、滴下ロートより8−ブロモ−1−オクタノール(29.3g,0.140mol)をゆっくり滴下し、反応混合物を24時間攪拌しつつ還流させた。反応終了後、内容物を冷却し水の中に入れ、沈澱を生成させ、沈澱物を濾過し水洗した。粗生成物を、エタノールとDMF(3:1)から3回再結晶して精製し、化合物(b3−1)を得た。水酸基価(mgKOH/g)=253.5。
【0171】
製造例19 [化合物b3−2の製造]
2L三口フラスコにテレフタルアルデヒド54.45g(0.406mol)、4−アミノ−m−クレゾール100g(0.812mol)、エタノール800ml、触媒として塩化亜鉛1gを加えた。その後、冷却管を取り付け80℃で5時間反応させた。得られた反応物を吸引濾過し、濾紙上に残った黄色結晶を20gのエタノールで5回洗浄した後、1H−NMR測定を行い、テレフタリリデン−ビス−(4−アミノ−3−メチルフェノール)を確認した。収率は85%であった。
次に、1000mlの攪拌装置、温度制御装置のステンレス製オートクレーブに、得られたテレフタリリデン−ビス−(4−アミノ−3−メチルフェノール)0.1モル(34.4g)及びアルカリ触媒(N−エチルモルフォリン)0.0020モルを仕込んだ後、EO0.8モルを80±10℃、圧力0.50MPa以下となるよう制御しながら、3時間かけて滴下した後、120±10℃で1時間熟成した。熟成終了後、アルカリ触媒を0.1MPaにて1時間減圧除去して、化合物(b3−2)を得た。水酸基価(mgKOH/g)=161.0。
【0172】
製造例20 [化合物b3−3の製造]
4,4’−ジ(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキセン−3の合成;
4,4,4’,4’−テトラ(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキサン235.5g、テトラエチレングリコール256.9g及び48%水酸化ナトリウム水溶液2.7gを反応容器(1L容量4つ口フラスコ)に仕込み、反応容器内を窒素置換した後、反応容器内圧を約3Kpaの減圧とし、温度198℃で2時間30分熱分解反応を行った。
反応終了後、得られた反応混合物に純水128gと50%酢酸水溶液を加えて、PH6程度に中和して、スラリーを得た。
このようにして得られた上記スラリー液にメタノール202gを加え、晶析し、次いで濾過を行って、淡赤黄色固体を67.4gを得た。
次いで、500mlの四つ口フラスコに、得られた淡赤黄色固体67.4gと水277gを仕込み、窒素置換した後、温度82℃において、2時間攪拌した後、スラリー液を冷却、濾過、次いで乾燥を行い、純度98.0%(高速液体クロマトグラフィー分析による)の4,4’−ジ(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキセン−3を49.5g、淡黄灰白色固体として得た。
上記で得られた、4,4’−ジ(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキセン−3を80.0g、5%カーボン坦持パラジウム触媒(含水率50%品)8.0g、α−メチルスチレン202.3g及びテトラエチレングリコール160.0gを反応容器に(3L容量の4つ口フラスコ)に仕込み、反応容器内を窒素置換した後、昇温して、温度約160℃で6時間、脱水素反応を行った。反応終了後、反応終了混合物にジメチルホルムアミド1147gを加え、67℃において濾過して、触媒を徐いた。次いで、この触媒を濾過した溶液を20℃まで冷却し、析出した結晶を濾過、乾燥して、純度98.9%(高速液体クロマトグラフィー分析による)の3,3’’’−ジメチル−4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル52.9gを淡黄色白色固体として得た。
次に、1000mlの攪拌装置、温度制御装置のステンレス製オートクレーブに、得られた3,3’’’−ジメチル−4,4’’’−ジヒドロキシ−P−クォーターフェニル0.1モル(36.8g)及びアルカリ触媒(N−エチルモルフォリン)0.0020モルを仕込んだ後、EO0.8モルを80±10℃、圧力0.50MPa以下となるよう制御しながら、3時間かけて滴下した後、120±10℃で1時間熟成した。熟成終了後、アルカリ触媒を0.1MPaにて1時間減圧除去して、化合物(b3−3)を得た。水酸基価(mgKOH/g)=155.7。
【0173】
製造例21 [強度向上剤f−1の製造]
1000mlの攪拌装置、温度制御装置のステンレス製オートクレーブに、ポリエチレングリコール(三洋化成工業株式会社製 PEG−200;数平均分子量200、水酸基価560)を1モル、無水トリメリット酸2モル、触媒としてN−エチルモルフォリン0.02モル、溶媒としてTHFを2モル仕込み、窒素雰囲気下80±10℃で2時間ハーフエステル化を行った。この後、EO4モルを80±10℃、0.5MPa以下となるよう制御しながら2時間掛けて滴下し、3時間熟成した。熟成後、80±10℃、10kPaで触媒及び溶媒の留去を行い強度向上剤(f−1)を得た。(f−1)の測定値は次の通り。水酸基価(mgKOH/g)=295.3、芳香環濃度(mmol/g)=2.6。
【0174】
<実施例1〜29、比較例1〜2>
表3〜5に示した発泡処方に従って、下記の発泡条件によりポリウレタンスラブフォームを発泡し、一昼夜放置後ポリウレタンスラブフォームの諸物性を測定した。物性の測定値も表3〜5にそれぞれ記載した。
【0175】
(発泡条件)
BOX SIZE:30cm×30cm×30cm天空き箱
材質:木材
ミキシング方法:ハンドミキシング
【0176】
実施例及び比較例におけるポリウレタンスラブフォームの原料は次の通りである。
1.ウレタン化触媒(c)
ウレタン化触媒(c−1):日東化成(株)社製「ネオスタン U−28」(スタナスオクトエート)
ウレタン化触媒(c−2):東ソー(株)社製「TOYOCAT ET」(ビス(ジメチルアミノエチル)エーテルの70重量%ジプロピレングリコール溶液)
2.発泡剤(d)
発泡剤(d−1):水
3.整泡剤(e)
整泡剤(e−1):東レ・ダウコーニング(株)社製「L−540」
4.イソシアネート
TDI:日本ポリウレタン工業(株)社製「コロネート T−80」(トリレンジイソシアネート)
【0177】
【表3】
【0178】
【表4】
【0179】
【表5】
【0180】
・フォーム物性の測定方法及び単位を以下に示す。
コアー密度 :JIS K6400に準拠、単位はkg/m3
硬さ(25%−ILD):JIS K6400に準拠、単位はN/314cm2
引張強度:JIS K6400に準拠、単位はkgf/cm2
伸び率:JIS K6400に準拠、単位は%
引裂強度:JIS K6400に準拠、単位はkgf/cm
圧縮残留歪率 :JIS K6400に準拠、単位は%
湿熱圧縮残留歪率 :JIS K6400に準拠、単位は%
【0181】
表3〜5において、本発明実施例1〜29のウレタンフォームは、従来技術により得られる比較例1〜2のウレタンフォームよりも、フォーム物性、特にフォーム硬さや引張強度、引裂強度、伸びが向上する。
【0182】
<実施例30〜44、比較例3〜4>
表6〜7に示した発泡処方に従って、下記の発泡条件により軟質ポリウレタンフォームを金型内で発泡してフォームを形成後、金型から取り出し一昼夜放置後の軟質ポリウレタンフォーム諸物性を測定した。物性の測定値も表6〜7にそれぞれ記載した。
【0183】
(発泡条件)
金型SIZE:40cm×40cm×10cm(高さ)
金型温度:65℃
金型材質:アルミ
ミキシング方法:高圧ウレタン発泡機(ポリマーエンジニアリング社製)ポリオールプレミックスとイソシアネートとを15MPaで混合
【0184】
実施例30〜44及び比較例3〜4における軟質ポリウレタンフォームの原料は、ポリウレタンスラブフォームの実施例及び比較例で示した物を使用し、それ以外の物は次の通りである。
1.ウレタン化触媒(c)
ウレタン化触媒(c−3):エアプロダクツジャパン(株)社製「DABCO−33LV」(トリエチレンジアミンの33重量%ジプロピレングリコール溶液)
2.整泡剤(e)
整泡剤(e−2):EVONIK社製「TEGOSTAB B8737」
3.イソシアネート
TDI−80(2,4−及び2,6−TDI、2,4−体の比率が80%/粗製MDI(平均官能基数:2.9)=80/20(重量比))
【0185】
4.ポリオール(p)
重合体ポリオール(p−1):グリセリンにPOとEOをブロック付加させて得られた平均官能基数3.0、水酸基価34、EO単位の合計=14%のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール中で、スチレンとアクリロニトリル(重量比:30/70)を共重合させた重合体ポリオール(重合体含量30%)水酸基価24
ポリオール(p−2):グリセリンにPOとEOをランダム付加させて得られた平均官能基数3.0、水酸基価24、EO単位の合計=72%のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール
ポリオール(p−3):ソルビトールにPOを付加させて得られた平均官能基数6.0、水酸基価490のポリオキシプロピレンポリオール
ポリオール(p−4):グリセリン、平均官能基数3.0、水酸基価1829
【0186】
【表6】
【0187】
【表7】
【0188】
・フォーム物性の測定方法及び単位を以下に示す。
コアー密度 :JIS K6400に準拠、単位はkg/m3
硬さ(25%−ILD):JIS K6400に準拠、単位はN/314cm2
引張強度:JIS K6400に準拠、単位はkgf/cm2
伸び率:JIS K6400に準拠、単位は%
引裂強度:JIS K6400に準拠、単位はkgf/cm
反発弾性:JIS K6400に準拠、単位は%
圧縮残留歪率 :JIS K6400に準拠、単位は%
湿熱圧縮残留歪率 :JIS K6400に準拠、単位は%
【0189】
表6〜7において、本発明実施例30〜43のウレタンフォームは、従来技術により得られる比較例3〜4のウレタンフォームよりも、フォーム物性、特に引張強度、引裂強度、伸びが向上する。
【0190】
<実施例45〜58、比較例5〜6>
表8〜9に示した発泡処方に従って、下記の発泡条件により硬質ポリウレタンフォームを金型内で発泡してフォームを形成し、脱型後一昼夜放置し、硬質ポリウレタンフォーム諸物性を測定した。物性の測定値も表8〜9に記載した。
【0191】
(発泡条件)
金型SIZE:40cm×40cm×5cm(高さ)
金型温度:35℃
金型材質:アルミ
ミキシング方法:高圧ウレタン発泡機(ポリマーエンジニアリング社製)ポリオールプレミックスとイソシアネートとを12MPaで混合
【0192】
実施例45〜58及び比較例5〜6における硬質ポリウレタンフォームの原料は、前述の実施例で示した物と同様の物を使用し、それ以外の物は次の通りである。
1.ウレタン化触媒
ウレタン化触媒(c−4):サンアプロ(株)製「U−CAT 1000」(アミン系触媒)
2.発泡剤
発泡剤(d−1):水
発泡剤(d−2):セントラル硝子(株)社製「HFC−245fa」(1,1,1,3,3,−ペンタフルオロプロパン)
3.整泡剤
整泡剤(e−3):東レ・ダウコーニング(株)製「SF−2936F」
4.難燃剤
難燃剤(g−1):大八化学工業(株)社製「TMCPP」(トリス(β−クロロプロピルホスフェート
5.イソシアネート
日本ポリウレタン工業(株)社製「ミリオネート MR−200」(ポリメリックMDI)
6.ポリオール
ポリオール(p−7):蔗糖にPOを付加させて得られた平均官能基数8.0、水酸基価490のポリオキシプロピレンポリオール
【0193】
各項目の測定方法は下記の通りである。得られた結果を表8〜9に示す。
密度 :JIS A9511に準拠、単位はkg/m3
圧縮強度:JIS A9511に準拠、単位はkPa
【0194】
【表8】
【0195】
【表9】
【0196】
表8〜9において、本発明実施例45〜58のウレタンフォームは、従来技術により得られる比較例5〜6のウレタンフォームよりも、フォーム物性、特に圧縮強度が向上している。
【産業上の利用可能性】
【0197】
本発明のポリオールを使用して得られるポリウレタンはフォーム、エラストマー、コーティング材等、様々な応用が可能である。フォームとしては自動車用クッション材、・遮吸音材、・ハンドル等、エラストマーとしては注型ポッティング材、コーティング材としては接着材、・塗料等が挙げられる。
本発明のポリオールを使用したポリウレタンフォームやポリウレタンエラストマーは従来技術によって得られるポリオールを使用した場合に比べ総じて樹脂物性(引張強度、硬さ、破断伸び)に優れる。
従って、本発明のポリウレタン樹脂は接着剤、シーリング材、コーティング材、断熱材、合成木材等として広く用いることが出来る。
本発明の発泡ポリウレタン樹脂のうち、軟質ポリウレタンフォームは、従来の物に比較して、硬さ、フォーム強度、伸び物性に優れる。従って、本発明の発泡ポリウレタン樹脂、特に軟質ポリウレタンフォームは、クッション材、衝撃吸収剤、緩衝材、遮吸音材等に広く利用できる。
【符号の説明】
【0198】
1:反応槽
2:反応塔
3:蒸留塔
4:釜下ライン
5:原料供給ライン
6:循環ライン
7:循環ライン
8:循環ライン
9:吸着塔
10:減圧ライン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール(A)及び主鎖中に環状構造を有する化合物(B)を含んでなるポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物(PL)。
【請求項2】
化合物(B)が、下記化合物(b1)〜(b3)から選ばれる少なくとも1種の化合物(b)である、請求項1に記載のポリウレタンフォーム製造用ポリオール。
化合物(b1):下記一般式(2)で表されるフルオレン化合物。
【化1】
[一般式(2)中、R2はシアノ基、ハロゲン原子又はアルキル基、R3はアルキレン基、R4は炭化水素基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又は置換アミノ基を表す。複数のR2〜R4は同一でも異なっていても良い。mは0以上の整数、kは0〜4の整数、nは0〜4の整数を表す]
化合物(b2):両末端にそれぞれ独立に下記一般式(3)で示される構造を有し、その間を構成する繰り返し単位の少なくとも一種類が下記一般式(4)で示される環構造であるポリオール(b2−1)、又は両末端にそれぞれ独立に下記一般式(5)で示される構造を有し、その間を構成する繰り返し単位の少なくとも一種類が下記一般式(6)で示される環構造であるポリオール(b2−2)。
【化2】
[一般式(3)中、i、jは独立に0〜5の整数を表す]
【化3】
[一般式(4)中、R5〜R12はそれぞれ独立にハロゲン原子、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基(R5〜R12のうち2つ以上が連結し環を形成してもよい。)、シアノ基、水酸基、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、ホルミル基、カルボキシル基(2個のカルボキシル基から酸無水物を形成してもよい。)又はシリル基を表す。]
【化4】
[一般式(5)中、i、jは独立に0〜5の整数を表す]
【化5】
[一般式(6)中、R13〜R20は独立にハロゲン原子、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基(R15とR16、R17とR18はそれぞれの組で独立に、合わせてアルキリデン基でもよく、R13〜R20のうち2つ以上が連結し環を形成してもよい。)、シアノ基、水酸基、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、ホルミル基、カルボキシル基(2個のカルボキシル基から酸無水物を形成してもよい。)又はシリル基を表す。]
化合物(b3):分子内に液晶性骨格を有するポリオール。
【請求項3】
ポリオール(A)が、数平均官能基数2〜8であり、水酸基価が20〜1000(mgKOH/g)であり、ポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物(PL)の水酸基価が20〜1000(mgKOH/g)である請求項1又は2に記載のポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物。
【請求項4】
発泡剤(D)を、ポリオール(A)と化合物(B)の合計重量に対して、0.1〜50重量部含んでなる請求項1〜3のいずれかに記載のポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物。
【請求項5】
ポリオール(A)が、活性水素含有化合物(H)のアルキレンオキサイド付加物であって、末端に位置する水酸基の40%以上が下記一般式(1)で表される1級水酸基含有基であるポリオキシアルキレンポリオール(a)である請求項1〜4に記載のポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物。
【化6】
[一般式(1)中、R1は、水素原子、又はアルキル基、シクロアルキル基若しくはフェニル基を表す。アルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基の炭素数は1〜12である。アルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基は、ハロゲン原子又はアリール基で置換されていてもよい。]
【請求項6】
化合物(B)の含有量が、ポリオール組成物(PL)の重量を基準として、0.1〜90重量%である請求項1〜5のいずれかに記載のポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物。
【請求項7】
ポリオール(A)が下記一般式(7)で表されるポリオールである請求項1〜6のいずれかに記載のポリウレタン製造用ポリオール組成物。
【化7】
[一般式(7)中、R21は、活性水素含有化合物(H)からs個の活性水素を除いたs価の基;Zは下記一般式(8)又は(9)で表される炭素数2〜12のアルキレン基である。アルキレン基は、ハロゲン原子又はアリール基で置換されていてもよい。;Aは下記一般式(10)又は(11)で表される炭素数3〜12のアルキレン基である。アルキレン基は、ハロゲン原子又はアリール基で置換されていてもよい。;複数のZ又はAがある場合、それぞれは同一でも異なっていてもよい;sは2〜100の整数;pは0〜200の整数、qは1〜200の整数;rは0〜200の整数である。]
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
[一般式(8)及び(9)中、R22は水素原子、又は炭素数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基若しくはフェニル基を表す。アルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基は、ハロゲン原子又はアリール基で置換されていてもよい。;一般式(10)及び(11)中、R23は炭素数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基を表す。アルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基は、ハロゲン原子又はアリール基で置換されていてもよい。]
【請求項8】
一般式(7)中の(AO)qの部分のうち、末端に位置するAの構造の40%以上が、一般式(11)で表される構造である請求項7に記載のポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物。
【請求項9】
末端に位置する水酸基含有基の60%以上が一般式(1)で表される1級水酸基含有基である請求項1〜8のいずれかに記載のポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物。
【請求項10】
ポリオール成分とイソシアネート成分とを反応させてポリウレタンフォームを製造する方法において、ポリオール成分が請求項1〜9のいずれかに記載のポリオール組成物(PL)をポリオール成分の重量に対して10〜100重量%含有するポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項11】
ポリオール成分とイソシアネート成分とを発泡剤(D)の存在下に反応させ、発泡剤(D)の使用量がポリオール成分の重量に対して0.1〜50重量%である請求項10記載のポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項1】
ポリオール(A)及び主鎖中に環状構造を有する化合物(B)を含んでなるポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物(PL)。
【請求項2】
化合物(B)が、下記化合物(b1)〜(b3)から選ばれる少なくとも1種の化合物(b)である、請求項1に記載のポリウレタンフォーム製造用ポリオール。
化合物(b1):下記一般式(2)で表されるフルオレン化合物。
【化1】
[一般式(2)中、R2はシアノ基、ハロゲン原子又はアルキル基、R3はアルキレン基、R4は炭化水素基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又は置換アミノ基を表す。複数のR2〜R4は同一でも異なっていても良い。mは0以上の整数、kは0〜4の整数、nは0〜4の整数を表す]
化合物(b2):両末端にそれぞれ独立に下記一般式(3)で示される構造を有し、その間を構成する繰り返し単位の少なくとも一種類が下記一般式(4)で示される環構造であるポリオール(b2−1)、又は両末端にそれぞれ独立に下記一般式(5)で示される構造を有し、その間を構成する繰り返し単位の少なくとも一種類が下記一般式(6)で示される環構造であるポリオール(b2−2)。
【化2】
[一般式(3)中、i、jは独立に0〜5の整数を表す]
【化3】
[一般式(4)中、R5〜R12はそれぞれ独立にハロゲン原子、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基(R5〜R12のうち2つ以上が連結し環を形成してもよい。)、シアノ基、水酸基、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、ホルミル基、カルボキシル基(2個のカルボキシル基から酸無水物を形成してもよい。)又はシリル基を表す。]
【化4】
[一般式(5)中、i、jは独立に0〜5の整数を表す]
【化5】
[一般式(6)中、R13〜R20は独立にハロゲン原子、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基(R15とR16、R17とR18はそれぞれの組で独立に、合わせてアルキリデン基でもよく、R13〜R20のうち2つ以上が連結し環を形成してもよい。)、シアノ基、水酸基、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、ホルミル基、カルボキシル基(2個のカルボキシル基から酸無水物を形成してもよい。)又はシリル基を表す。]
化合物(b3):分子内に液晶性骨格を有するポリオール。
【請求項3】
ポリオール(A)が、数平均官能基数2〜8であり、水酸基価が20〜1000(mgKOH/g)であり、ポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物(PL)の水酸基価が20〜1000(mgKOH/g)である請求項1又は2に記載のポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物。
【請求項4】
発泡剤(D)を、ポリオール(A)と化合物(B)の合計重量に対して、0.1〜50重量部含んでなる請求項1〜3のいずれかに記載のポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物。
【請求項5】
ポリオール(A)が、活性水素含有化合物(H)のアルキレンオキサイド付加物であって、末端に位置する水酸基の40%以上が下記一般式(1)で表される1級水酸基含有基であるポリオキシアルキレンポリオール(a)である請求項1〜4に記載のポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物。
【化6】
[一般式(1)中、R1は、水素原子、又はアルキル基、シクロアルキル基若しくはフェニル基を表す。アルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基の炭素数は1〜12である。アルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基は、ハロゲン原子又はアリール基で置換されていてもよい。]
【請求項6】
化合物(B)の含有量が、ポリオール組成物(PL)の重量を基準として、0.1〜90重量%である請求項1〜5のいずれかに記載のポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物。
【請求項7】
ポリオール(A)が下記一般式(7)で表されるポリオールである請求項1〜6のいずれかに記載のポリウレタン製造用ポリオール組成物。
【化7】
[一般式(7)中、R21は、活性水素含有化合物(H)からs個の活性水素を除いたs価の基;Zは下記一般式(8)又は(9)で表される炭素数2〜12のアルキレン基である。アルキレン基は、ハロゲン原子又はアリール基で置換されていてもよい。;Aは下記一般式(10)又は(11)で表される炭素数3〜12のアルキレン基である。アルキレン基は、ハロゲン原子又はアリール基で置換されていてもよい。;複数のZ又はAがある場合、それぞれは同一でも異なっていてもよい;sは2〜100の整数;pは0〜200の整数、qは1〜200の整数;rは0〜200の整数である。]
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
[一般式(8)及び(9)中、R22は水素原子、又は炭素数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基若しくはフェニル基を表す。アルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基は、ハロゲン原子又はアリール基で置換されていてもよい。;一般式(10)及び(11)中、R23は炭素数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基を表す。アルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基は、ハロゲン原子又はアリール基で置換されていてもよい。]
【請求項8】
一般式(7)中の(AO)qの部分のうち、末端に位置するAの構造の40%以上が、一般式(11)で表される構造である請求項7に記載のポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物。
【請求項9】
末端に位置する水酸基含有基の60%以上が一般式(1)で表される1級水酸基含有基である請求項1〜8のいずれかに記載のポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物。
【請求項10】
ポリオール成分とイソシアネート成分とを反応させてポリウレタンフォームを製造する方法において、ポリオール成分が請求項1〜9のいずれかに記載のポリオール組成物(PL)をポリオール成分の重量に対して10〜100重量%含有するポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項11】
ポリオール成分とイソシアネート成分とを発泡剤(D)の存在下に反応させ、発泡剤(D)の使用量がポリオール成分の重量に対して0.1〜50重量%である請求項10記載のポリウレタンフォームの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2013−14658(P2013−14658A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147292(P2011−147292)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】
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