説明

ポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物

【課題】本発明の目的は、高い機械物性(引っ張り強度、引き裂き強度、圧縮硬さ)を有するポリウレタンフォームを製造可能となるポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物及びこのポリオール組成物を用いたポリウレタンフォームの製造方法を提供することである。
【解決手段】ポリオール(A)及び多価フェノール(B)を含有してなるポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物。ポリオール成分とイソシアネート成分とを反応させてポリウレタンフォームを製造する方法において、ポリオール成分としてこのポリオール組成物をポリオール成分の重量を基準として10〜100重量%用いるポリウレタンフォームの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年は環境への配慮及びコスト低減要求が強く、ポリウレタンフォームの低密度化が求められている。例えば、車両用途では燃費規制に対応するため軟質ポリウレタンフォームの低密度化が求められている。また、断熱材用途においてもコスト低減、環境への配慮のため軽量化が望まれている。
現状、低密度化の要望に応えるため、発泡剤としての水の使用量が増加の傾向にある。水の使用量を増加させる(特許文献1等)ことは、フォーム製造時の発生炭酸ガス量を増加させることができ、ポリウレタンフォームの密度を低下させるには有効であるが、フォームの密度が低下するとフォーム硬度が低下する。ポリウレタンフォームの硬度を向上させる具体的技術としては、使用する架橋剤の使用量を上げる方法(特許文献1)やポリマーを樹脂中に分散させる方法(非特許文献2)等があるが、このような方法では、ポリウレタンフォームの伸びや引っ張り強度のような機械物性が不十分である等の課題が残されており、硬度が向上し機械物性が維持されるポリウレタンフォームが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−309937号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献2】岩田敬治、「ポリウレタン樹脂ハンドブック」、日刊工業、1987年5月20日発行、第1版、32頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、高い機械物性(引っ張り強度、引き裂き強度、圧縮硬さ)を有するポリウレタンフォームを製造可能となるポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物及びこのポリオール組成物を用いたポリウレタンフォームの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、これらの問題点を解決するべく鋭意検討した結果、特定のポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物を使用することで、高い機械物性(引っ張り強度、引き裂き強度、圧縮硬さ)を有するポリウレタンフォームが得られることを見出し、本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明は、ポリオール(A)及び多価フェノール(B)を含有してなるポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物である。
【発明の効果】
【0008】
本発明のポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物を使用することで、高い機械物性を有するポリウレタンフォームが得られる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のポリウレタンフォーム製造用ポリオールは、ポリオール(A)及び多価フェノール(B)を含有してなる。
【0010】
本発明に用いるポリオール(A)としては、活性水素含有化合物に、アルキレンオキサイド(以下AOと略記する。)が付加された構造の化合物が挙げられる。(A)としては、活性水素含有化合物のうち2〜4価又はそれ以上のものに、後述する方法でAOが付加された構造の化合物が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
【0011】
活性水素含有化合物としては、水酸基含有化合物、アミノ基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、チオール基含有化合物及びリン酸化合物;分子内に2種以上の活性水素含有官能基を有する化合物が含まれる。これら活性水素含有化合物は、1種類でも複数種類でも使用することができる。すなわち、複数のR1は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0012】
水酸基含有化合物としては、2〜8価の多価アルコール及び多価フェノール等が含まれる。具体的にはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3及び1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン及び1,4−ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン等の2価アルコール;グリセリン及びトリメチロールプロパン等の3価アルコール;ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン、ジペンタエリスリトール等、ショ糖、グルコース、マンノース、フルクトース、メチルグルコシド及びその誘導体等の4〜8価のアルコ―ル;フロログリシン,ピロガロ―ル、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノ―ルA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、1,3,6,8−テトラヒドロキシナフタレン及び1,4,5,8−テトラヒドロキシアントラセン等のフェノ―ル;ポリブタジエンポリオール;ひまし油系ポリオール;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの(共)重合体及びポリビニルアルコール等の多官能(例えば官能基数2〜100)ポリオール、フェノールとホルムアルデヒドとの縮合物(ノボラック)並びに米国特許3265641号明細書に記載のポリフェノール等が挙げられる。
なお、(メタ)アクリレートとは、メタクリレート及び/又はアクリレートを意味し、以下において同様である。
【0013】
アミノ基含有化合物としては、アミン、ポリアミン及びアミノアルコール等が含まれる。具体的には、アンモニア;炭素数1〜20のアルキルアミン(ブチルアミン等)及びアニリン等のモノアミン;エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン及びジエチレントリアミン等の脂肪族ポリアミン;ピペラジン及びN−アミノエチルピペラジン等の複素環式ポリアミン;ジシクロヘキシルメタンジアミン及びイソホロンジアミン等の脂環式ポリアミン;フェニレンジアミン、トリレンジアミン及びジフェニルメタンジアミン等の芳香族ポリアミン;モノエタノ―ルアミン、ジエタノ―ルアミン及びトリエタノ―ルアミン等のアルカノ―ルアミン;ジカルボン酸と過剰のポリアミンとの縮合により得られるポリアミドポリアミン;ポリエーテルポリアミン;ヒドラジン(ヒドラジン及びモノアルキルヒドラジン等)、ジヒドラジッド(コハク酸ジヒドラジッド及びテレフタル酸ジヒドラジッド等)、グアニジン(ブチルグアニジン及び1−シアノグアニジン等);ジシアンジアミド等;が挙げられる。
【0014】
カルボキシル基含有化合物としては、コハク酸、フマル酸、セバシン酸及びアジピン酸等の脂肪族ポリカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ナフタレン−1,4ジカルボン酸、ナフタレン−2,3,6トリカルボン酸、ピロメリット酸、ジフェン酸、2,3−アントラセンジカルボン酸、2,3,6−アントラセントリカルボン酸、及びピレンジカルボン酸等の芳香族ポリカルボン酸;アクリル酸の(共)重合物等のポリカルボン酸重合体(官能基数2〜100)等が挙げられる。
【0015】
チオール基含有化合物としては、ポリチオール化合物が含まれる。ポリチオールとしては、2〜8価の多価チオールが挙げられる。具体的にはエチレンジチオール及び1、6−ヘキサンジチオール等が挙げられる。
【0016】
リン酸化合物としては燐酸、亜燐酸及びホスホン酸等が挙げられる。
【0017】
活性水素含有化合物としては、分子内に2種以上の活性水素含有官能基(水酸基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基及びリン酸基等)を有する化合物も使用できる。
【0018】
また、活性水素含有化合物としては、上記活性水素含有化合物のAO付加物を使用することもできる。
【0019】
活性水素含有化合物に付加させるAOとしては、炭素数2〜6のAO、例えば、エチレンオキサイド(以下、EOと略す)、1,2−プロピレンオキサイド(以下、POと略す)、1,3−プロピレオキサイド、1,2ブチレンオキサイド及び1,4−ブチレンオキサイド等が挙げられる。これらのうち、性状や反応性の観点から、PO、EO及び1,2−ブチレンオキサイドが好ましい。AOを2種以上使用する場合(例えば、PO及びEO)の付加方法としては、ブロック付加であってもランダム付加であってもよく、これらの併用であってもよい。
【0020】
さらに、活性水素含有化合物としては、上記活性水素含有化合物とポリカルボン酸(脂肪族ポリカルボン酸や芳香族ポリカルボン酸)との縮合反応で得られる活性水素含有化合物(ポリエステル化合物)を使用することができる。縮合反応においては活性水素含有化合物、ポリカルボン酸共に1種類を使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0021】
脂肪族ポリカルボン酸とは、以下(1)、(2)を満たす化合物を意味する。
(1)1分子が有するカルボキシル基が2個以上である。
(2)カルボキシル基が芳香環に直接結合していない。
【0022】
脂肪族ポリカルボン酸には、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸及びフマル酸等が挙げられる。
【0023】
芳香族ポリカルボン酸とは以下(1)〜(3)を満たす化合物を意味する。
(1)1分子が有する芳香環の数が1個以上である。
(2)1分子が有するカルボキシル基の数が2個以上である。
(3)カルボキシル基が芳香環に直接結合している。
【0024】
芳香族ポリカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,2’−ビベンジルジカルボン酸、トリメリット酸、ヘミリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸及びナフタレン−1,4ジカルボン酸、ナフタレン−2,3,6トリカルボン酸、ジフェン酸、2,3−アントラセンジカルボン酸、2,3,6−アントラセントリカルボン酸及びピレンジカルボン酸等の炭素数8〜18の芳香族ポリカルボン酸が挙げられる。
【0025】
また、ポリカルボン酸と活性水素含有化合物との縮合反応を実施する際に、ポリカルボン酸の無水物や低級アルキルエステルを使用することもできる。
【0026】
活性水素化合物に付加させるAOとしては、PO及びEOである。AOは、これらのみを含有することが好ましいが、AO中10重量%以下(とくに5重量%以下)の範囲で前記の他のAOが併用された付加物であってもよい。
PO及びEOを含むAOの付加形式としては、PO、EOの順序でブロック付加したものが好ましい。
【0027】
ポリオール(A)の1分子当たりの数平均官能基数は3〜4が好ましい。なお、この範囲以外の官能基数のものが含まれていても、数平均官能基数が3〜4となることが好ましい(他のポリオールの平均官能基数についても同様)。なお、本発明において、ポリオールの官能基数は、出発物質の官能基数と同一であるとみなす。また、本発明において平均官能基数とは、数平均官能基数を意味する。
【0028】
ポリオール(A)のオキシエチレン単位(以下、オキシエチレン単位をEO単位と記載する。)の含有量は10〜30重量%であり、好ましくは13〜20重量%である。
ポリオール(A)の内部EO単位の含有量は、フォームの圧縮永久歪率の観点から、3重量%以下が好ましく、さらに好ましくは0重量%である。
【0029】
ポリオール組成物の少なくとも一部として、ポリオール(A)を用いることには、(A)中でビニルモノマー(m)を重合させて得られる重合体ポリオールを使用することも含まれる。
重合体ポリオールは、(A)中にポリマー粒子(P)が分散された重合体ポリオールである。
例えば、ラジカル重合開始剤の存在下、ビニルモノマー(m)を通常の方法で重合して製造することができる。重合方法の具体例としては、米国特許第3383351号明細書、特公昭39−25737号公報等に記載の方法が挙げられる。
【0030】
ラジカル重合開始剤としては、遊離基を生成して重合を開始させるものが使用でき、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)及び2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ化合物;ジベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーイキサイド及び過コハク酸等の有機過酸化物;過硫酸塩及び過ホウ酸塩等の無機過酸化物などが挙げられる。なお、これらは2種以上を併用することができる。
【0031】
(m)としては、芳香族ビニル単量体(m1)、不飽和ニトリル(m2)、(メタ)アクリル酸エステル(m3)、その他のビニル単量体(m4)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
(m1)としては、スチレン、α−メチルスチレン、ヒドロキシスチレン及びクロルスチレン等が挙げられる。
(m2)としては、アクリロニトリル及びメタアクリロニトリル等が挙げられる。
(m3)としては、C、H及びO原子から構成されるもの、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数が1〜24)〔例えば、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート及びドコシル(メタ)アクリレート〕、ヒドロキシアルキル(炭素数2〜5)(メタ)アクリレート〔例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート〕及びヒドロキシポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレート〔例えば、アルキレン基の炭素数2〜4、ポリオキシアルキレン鎖の数平均分子量200〜1000〕が挙げられる。
【0032】
(m4)としては、エチレン性不飽和カルボン酸及びその誘導体、具体的には(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリルアミドなど;脂肪族又は脂環式炭化水素単量体、具体的にはアルケン(エチレン、プロピレン及びノルボルネン等)、アルカジエン(ブタジエン等)など;フッ素系ビニル単量体、具体的には、フッ素含有(メタ)アクリレート(パーフルオロオクチルエチルメタクリレート及びパーフルオロオクチルエチルアクリレート等)など;塩素系ビニル単量体、具体的には塩化ビニリデンなど;上記以外の窒素含有ビニル単量体、具体的には窒素含有(メタ)アクリレート(ジメチルアミノエチルメタクリレート及びモルホリノエチルメタクリレート等)など;及びビニル変性シリコーンなどが挙げられる。
これら(m)中で(m1)及び(m2)が好ましく、特に好ましくはスチレン及び/又はアクリロニトリルである。
【0033】
ビニルモノマー(m)中の、(m1)、(m2)、(m3)及び(m4)の重量比率は、要求されるポリウレタンの物性等に応じて変えることができ、特に限定されていないが、一例を示すと次の通りである。
(m1)及び/又は(m2)は、(m)の重量を基準として、50〜100重量%が好ましく、さらに好ましくは80〜100重量%である。(m1)と(m2)の重量比はとくに限定されないが、0/100〜80/20が好ましい。(m3)は、0〜50重量%が好ましく、さらに好ましくは0〜20重量%である。(m4)は、0〜10重量%が好ましく、さらに好ましくは0〜5重量%である。
また、(m)中に、これらの単官能モノマー以外に、少量(好ましくは0.05〜1重量%)の2官能以上(好ましくは2〜8官能)の多官能ビニルモノマー(m5)を用いることにより、重合体の強度をさらに向上させることができる。(m5)としては、例えば、ジビニルベンゼン、エチレンジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレン(アルキレン基の炭素数2〜8、重合度:2〜10)グリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0034】
本発明に用いられる多価フェノール(B)としては、単環多価フェノール(ハイドロキノン等)、ビスフェノール(ビスフェノールA、ビスフェノールF等)など〕、3〜5価の多価フェノール〔単環多価フェノール(ピロガロール、フロログルシン等)、3〜5価のフェノール化合物のホルマリン低縮合物(数平均分子量1000以下)(ノボラック樹脂、レゾールの中間体)など〕、6〜10価またはそれ以上の多価フェノール〔6価以上のフェノール化合物のホルマリン低縮合物(数平均分子量1000以下)(ノボラック樹脂、レゾールの中間体)等〕、多価フェノールとアルカノールアミンとの縮合物(マンニッヒポリオール)、並びに米国特許3265641号明細書に記載のポリフェノール等が含まれる。
【0035】
本発明において、多価フェノール(B)としては、フォーム中の芳香環濃度の観点から、単環多価フェノール(ハイドロキノン)、ビスフェノール(ビスフェノールA、ビスフェノールF、及び1〜20価の多価フェノールが好ましく、さらに好ましくは5〜13価の多価フェノールである。
【0036】
本発明のポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物において、ポリオール(A)の含有量は、フォームの機械物性の観点から、ポリオール組成物の重量を基準として、50〜99.9重量%が好ましく、さらに好ましくは70〜99.5重量%、次にさらに好ましくは95〜99.5重量%、最も好ましくは98〜99.5重量%である。
【0037】
本発明のポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物において、多価フェノール(B)の含有量は、フォームの機械物性の観点から、ポリオール組成物の重量を基準として、0.1〜50重量%が好ましく、さらに好ましくは0.5〜30重量%、次にさらに好ましくは0.5〜5重量%、最も好ましくは0.5〜2重量%である。
【0038】
本発明のポリウレタンフォームの製造方法は、ポリオール成分とイソシアネート成分とを反応させてポリウレタンフォームを製造する方法において、ポリオール成分として上述の本発明のポリオール組成物を、ポリオール成分の重量を基準として10〜100重量%用いる。
【0039】
本発明で使用されるイソシアネート成分としては、イソシアネート基を分子内に2個以上有する化合物であればよく、ポリウレタンフォームの製造に通常使用されるものを用いることができる。このようなイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、これらの変性物(例えば、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシヌアレート基、又はオキサゾリドン基含有変性物など)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0040】
芳香族ポリイソシアネートとしては、炭素数(NCO基中の炭素を除く;以下のイソシアネートも同様)6〜16の芳香族ジイソシアネート、炭素数6〜20の芳香族トリイソシアネート及びこれらのイソシアネートの粗製物などが挙げられる。具体例としては、1,3−及び/又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−及び/又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−及び/又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(粗製MDI)、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、炭素数6〜10の脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。具体例としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどが挙げられる。
脂環式ポリイソシアネートとしては、炭素数6〜16の脂環式ジイソシアネートなどが挙げられる。具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、炭素数8〜12の芳香脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。具体例としては、キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
変性ポリイソシアネートの具体例としては、ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、ショ糖変性TDI、ひまし油変性MDIなどが挙げられる。
【0041】
イソシアネート成分としては、フォームの機械物性の観点から、好ましくは芳香族ポリイソシアネートであり、さらに好ましくは、60重量%以上の、TDI、粗製TDI、及びそれらの変性物から選ばれる1種以上のポリイソシアネート(これらのイソシアネートをTDI系ポリイソシアネートと表記する。)と、40重量%以下の他のポリイソシアネート(好ましくはMDI、粗製MDI、及びこれらのイソシアネートの変性物から選ばれる1種以上)とからなるものである。とくに好ましくは、TDI系ポリイソシアネートの量が70〜95重量%のものである。
【0042】
本発明において、ポリオール成分とイソシアネート成分を反応させる際に、触媒の存在下で反応させてもよい。この触媒としては、ウレタン化反応を促進するすべての触媒を使用でき、3級アミン{トリエチレンジアミン、N−エチルモルフォリン、ジエチルエタノールアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ジアザビシクロオクタン、1,2−ジメチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−ウンデセン−7、ビス(N,N−ジメチルアミノ−2−エチル)エーテル及びN,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン等}、及び/又はカルボン酸金属塩(酢酸カリウム、オクチル酸カリウム、オクチル酸第一スズ、ジラウリル酸ジブチル第二スズ及びオクチル酸鉛等)が挙げられる。触媒の使用量は、機械物性(引っ張り強度、引裂強度、圧縮硬さ)向上の観点から、ウレタンフォーム製造時に使用するポリオール成分100重量部に対して、0.01〜5.0重量部が好ましく、さらに好ましくは0.1〜2.0重量部である。
【0043】
本発明において、ポリオール成分とイソシアネート成分を反応させる際に、発泡剤の存在下で反応させてもよい。この発泡剤としては、水が使用できる。
発泡剤として水を使用する場合、この水の使用量はポリオール成分100重量部に対して、フォームの機械物性の観点から、好ましくは2.0〜5.5重量部、さらに好ましくは2.5〜5.0重量部である。
発泡剤としては水のみを用いるのが好ましいが。必要により水素原子含有ハロゲン化炭化水素、低沸点炭化水素、液化炭酸ガス等を用いてもよい。
【0044】
水素原子含有ハロゲン化炭化水素系発泡剤の具体例としてHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)タイプのもの(例えばHCFC−123、HCFC−141b、HCFC−22及びHCFC−142b);HFC(ハイドロフルオロカーボン)タイプのもの(例えばHFC−134a、HFC−152a、HFC−356mff、HFC−236ea、HFC−245ca、HFC−245fa、及びHFC−365mfc)等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、HCFC−141b、HFC−134a、HFC−356mff、HFC−236ea、HFC−245ca、HFC−245fa、及びHFC−365mfc及びこれらの2種以上の混合物である。
水素原子含有ハロゲン化炭化水素を用いる場合の使用量は、(A)100重量部当たり、好ましくは50重量部以下、さらに好ましくは45重量部以下である。
【0045】
低沸点炭化水素は、通常沸点が−5〜70℃の炭化水素であり、その具体例としては、ブタン、ペンタン、シクロペンタン及びこれらの混合物が挙げられる。低沸点炭化水素を用いる場合の使用量は、ポリオール成分100重量部当たり、好ましくは30重量部以下、さらに好ましくは25重量部以下である。
また、液化炭酸ガスを用いる場合の使用量は、ポリオール成分100重量部あたり、好ましくは30重量部以下、さらに好ましくは25重量部以下である。
【0046】
本発明において、ポリオール成分とイソシアネート成分を反応させる際に、整泡剤の存在下で反応させてもよい。この整泡剤としては、通常のポリウレタンフォームの製造に用いられるものはすべて使用でき、ジメチルシロキサン系整泡剤[東レ・ダウコーニング(株)製の「SRX−253」、「PRX−607」等]及びポリエーテル変性ジメチルシロキサン系整泡剤[東レ・ダウコーニング(株)製の「L−540」、「SZ−1142」、「L−3601」、「SRX−294A」、「SH−193」、「SZ−1720」、「SZ−1675t」、「SF−2936F」及びデグサジャパン(株)製「B−4900」等]が挙げられる。整泡剤の使用量は、機械物性(伸び、引っ張り強度)、機械物性の経時変化及びフォームの変色の観点から、ポリオール成分100重量部に対して、0.5〜5.0重量部が好ましく、さらに好ましくは1.0〜3.0重量部である。
【0047】
本発明においては、必要により以下に述べるような、他の補助成分を用い、その存在下で反応させてもよい。
例えば、着色剤(染料、顔料)、難燃剤(リン酸エステル、ハロゲン化リン酸エステルなど)、老化防止剤(トリアゾール系、ベンゾフェノン系など)、抗酸化剤(ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系など)などの公知の補助成分の存在下で反応させることができる。ポリオール成分100重量部に対するこれらの補助成分の使用量に関しては、着色剤は、好ましくは1重量部以下である。難燃剤は、好ましくは5重量部以下、さらに好ましくは2重量部以下である。老化防止剤は、好ましくは1重量部以下、さらに好ましくは0.5重量部以下である。抗酸化剤は、好ましくは1重量部以下、さらに好ましくは0.01〜0.5重量部である。
【0048】
本発明の製造方法において、ポリウレタンフォームの製造に際してのイソシアネート指数[(NCO基/活性水素原子含有基)の当量比×100](NCOインデックス)は、フォームの機械物性の観点から、好ましくは70〜125、さらに好ましくは75〜120、特に好ましくは85〜115である。
【0049】
本発明の方法によるポリウレタンフォームの製造法の具体的な一例を示せば、下記の通りである。まず、ポリオール成分、触媒、発泡剤及び整泡剤並びに必要により、他の補助成分を所定量混合する。次いでポリウレタン発泡機又は攪拌機を使用して、この混合物(ポリオールプレミックス)とイソシアネート成分とを急速混合する。得られた混合液をモールド(例えば55〜75℃)に注入し、所定時間後脱型して軟質ポリウレタンフォームを得る。
【実施例】
【0050】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0051】
<実施例1〜16及び比較例1 軟質スラブフォームの製造>
表1に示した配合処方に従って、下記の発泡条件により発泡して軟質ポリウレタンフォームを作製し、一昼夜(温度25℃、湿度50%にて24時間)放置後のフォームのコア密度(kg/m3)、硬さ(25%ILD、kgf/314cm2)、引裂強さ(kgf/cm)、引張強さ(kgf/cm2)、伸び(%)を測定した。
【0052】
【表1】

【0053】
(発泡条件)
BOX SIZE:250mm×250mm×250mm
材質 :板紙(ダンボール)
ミキシング方法 :ハンドミキシング(必要試薬を所定の容器に必要量仕込んだ後、攪拌羽を容器中に挿入し回転数5000回転/分で6〜20秒間攪拌させる発泡方法)
ミキシング時間 :6〜20秒
撹拌羽回転数 :5000回転/分
【0054】
実施例1〜16及び比較例1におけるポリウレタンフォーム原料は次の通りである。
(1)多価フェノール
多価フェノール(B−1):多価フェノール(B−1)は、下記の方法で製造した。
撹拌機及び還流冷却管付きの反応器に窒素気流下で2,6−ジホルミル−4−メチルフェノール(0.05モル)とフェノール(1.6モル)を仕込み撹拌しながら80℃まで昇温した。これに酸触媒としてパラトルエンスルホン酸(0.436×10-3モル)を加え、1時間反応させた後、助触媒としてチオグリコール酸(0.436×10-3モル)を加え、さらに5時間反応させて反応を完結させた。反応終了後、温度を80℃に保ったまま4重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液(1.308×10-3モル)を加えて触媒を中和し、そのまま5分間撹拌した後、メチルイソブチルケトン300ml及び水100mlを加えて室温まで冷却した。これを分液ロートに移し、しばらく静置した後分液した。さらに有機層をイオン交換水で洗液が中性を示すまで洗浄した。その後、有機層中の溶媒を蒸留により除去し、引続き過剰分のフェノールを120℃から180℃(750mmHgから5mmHg)の条件下に留去し、クロロホルム溶液中で再結晶により精製して、目的とする多価フェノール(B−1)を得た。
【0055】
多価フェノール(B−2):多価フェノール(B−2)は、下記の方法で製造した。
撹拌機及び還流冷却管付きの反応器に窒素気流下で2,6−ジホルミル−4−メチルフェノール(0.05モル)とカテコール(1.6モル)を仕込み撹拌しながら80℃まで昇温した。これに酸触媒としてパラトルエンスルホン酸(0.436×10-3モル)を加え、1時間反応させた後、助触媒としてチオグリコール酸(0.436×10-3モル)を加え、さらに5時間反応させて反応を完結させた。反応終了後、温度を80℃に保ったまま4重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液(1.308×10-3モル)を加えて触媒を中和し、そのまま5分間撹拌した後、メチルイソブチルケトン300ml及び水100mlを加えて室温まで冷却した。これを分液ロートに移し、しばらく静置した後分液した。さらに有機層をイオン交換水で洗液が中性を示すまで洗浄した。その後、有機層中の溶媒を蒸留により除去し、引続き過剰分のフェノールを120℃から180℃(750mmHgから5mmHg)の条件下に留去し、クロロホルム溶液中で再結晶により精製して、目的とする多価フェノール(B−2)を得た。
【0056】
多価フェノール(B−3):多価フェノール(B−3)は、下記の方法で製造した。
撹拌機及び還流冷却管付きの反応器に窒素気流下で2,6−ジホルミル−4−メチルフェノール(0.05モル)とレゾルシノール(1.6モル)を仕込み撹拌しながら80℃まで昇温した。これに酸触媒としてパラトルエンスルホン酸(0.436×10-3モル)を加え、1時間反応させた後、助触媒としてチオグリコール酸(0.436×10-3モル)を加え、さらに5時間反応させて反応を完結させた。反応終了後、温度を80℃に保ったまま4重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液(1.308×10-3モル)を加えて触媒を中和し、そのまま5分間撹拌した後、メチルイソブチルケトン300ml及び水100mlを加えて室温まで冷却した。これを分液ロートに移し、しばらく静置した後分液した。さらに有機層をイオン交換水で洗液が中性を示すまで洗浄した。その後、有機層中の溶媒を蒸留により除去し、引続き過剰分のフェノールを120℃から180℃(750mmHgから5mmHg)の条件下に留去し、クロロホルム溶液中で再結晶により精製して、目的とする多価フェノール(B−3)を得た。
【0057】
多価フェノール(B−4):多価フェノール(B−4)は、下記の方法で製造した。
撹拌機及び還流冷却管付きの反応器に窒素気流下で2,6−ジホルミル−4−メチルフェノール(0.05モル)とヒドロキノン(1.6モル)を仕込み撹拌しながら80℃まで昇温した。これに酸触媒としてパラトルエンスルホン酸(0.436×10-3モル)を加え、1時間反応させた後、助触媒としてチオグリコール酸(0.436×10-3モル)を加え、さらに5時間反応させて反応を完結させた。反応終了後、温度を80℃に保ったまま4重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液(1.308×10-3モル)を加えて触媒を中和し、そのまま5分間撹拌した後、メチルイソブチルケトン300ml及び水100mlを加えて室温まで冷却した。これを分液ロートに移し、しばらく静置した後分液した。さらに有機層をイオン交換水で洗液が中性を示すまで洗浄した。その後、有機層中の溶媒を蒸留により除去し、引続き過剰分のフェノールを120℃から180℃(750mmHgから5mmHg)の条件下に留去し、クロロホルム溶液中で再結晶により精製して、目的とする多価フェノール(B−4)を得た。
【0058】
多価フェノール(B−5):多価フェノール(B−5)は、下記の方法で製造した。
撹拌機及び還流冷却管付きの反応器に窒素気流下で2,6−ジホルミル−4−メチルフェノール(0.05モル)とピロガロール(1.6モル)を仕込み撹拌しながら80℃まで昇温した。これに酸触媒としてパラトルエンスルホン酸(0.436×10-3モル)を加え、1時間反応させた後、助触媒としてチオグリコール酸(0.436×10-3モル)を加え、さらに5時間反応させて反応を完結させた。反応終了後、温度を80℃に保ったまま4重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液(1.308×10-3モル)を加えて触媒を中和し、そのまま5分間撹拌した後、メチルイソブチルケトン300ml及び水100mlを加えて室温まで冷却した。これを分液ロートに移し、しばらく静置した後分液した。さらに有機層をイオン交換水で洗液が中性を示すまで洗浄した。その後、有機層中の溶媒を蒸留により除去し、引続き過剰分のフェノールを120℃から180℃(750mmHgから5mmHg)の条件下に留去し、クロロホルム溶液中で再結晶により精製して、目的とする多価フェノール(B−5)を得た。
(2)活性水素成分
ポリオール(A−1):グリセリンPO付加物、平均官能基数3、水酸基価56.0。
(3)触媒
触媒−1:エアプロダクツジャパン株式会社製「DABCO−33LV」(トリエチレンジアミンの33重量%ジプロピレングリコール溶液)
触媒−2:オクチル酸スズ(商品名:日東化成株式会社製「ネオスタンU−28」(オクチル酸第1スズ)
(4)発泡剤
発泡剤:水
(5)整泡剤
整泡剤−1:シリコーン系整泡剤。モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ ジャパン合同会社製「L−580」。
(6)有機ポリイソシアネート成分
イソシアネ―ト−1:NCO%=48.3(商品名:コロネートT−80、日本ポリウレタン工業株式会社製)
【0059】
<試験方法>
各項目の測定方法は下記の通りである。得られた結果を表1に示す。
・フォーム物性の測定方法及び単位を以下に示す。
コア密度:JIS K7222に準拠、単位はkg/m3
硬さ(25%−ILD):JIS K6400−2に準拠、単位はkgf/314cm2
引張強さ:JIS K6400−5に準拠、単位はkgf/cm2
引裂強さ:JIS K6400−5に準拠、単位はkgf/cm
伸び:JIS K6400−5に準拠、単位は%
【0060】
表1において、本発明実施例1〜16のウレタンフォームは、比較例1のウレタンフォームよりも、フォーム物性、特にフォーム硬さや引張強さが向上している。特に実施例1〜15のものはフォーム硬さにおいて優れる。
【0061】
<実施例17〜32、比較例2 軟質HRフォームの製造>
表2に示した発泡処方に従って、下記の発泡条件により軟質ポリウレタンフォームを金型内で発泡してフォームを形成後、金型から取り出し一昼夜放置後の軟質ポリウレタンフォーム諸物性を測定した。物性の測定値も表2にそれぞれ記載した。
【0062】
(発泡条件)
金型サイズ:400mm×400mm×100mm(高さ)
金型温度:65℃
金型材質:アルミ
ミキシング方法:高圧ウレタン発泡機(ポリマーエンジニアリング社製)ポリオールプレミックスとイソシアネートとを15MPaで混合
【0063】
実施例17〜32及び比較例2における軟質ポリウレタンフォームの原料は、前述の実施例及び比較例で示した物と同様の物を使用し、それ以外の物は次の通りである。
(1)活性水素成分
ポリオール(A−2):グリセリンにPOとEOをブロック付加させて得られた平均官能基数3.0、水酸基価28、EO単位合計=16重量%のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール
ポリオール(A−3):ペンタエリスリトールにPOとEOをブロック付加させて得られた平均官能基数4.0、水酸基価34、EO単位の合計=13.5重量%のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール中で、スチレンとアクリロニトリル(重量比:33/67)を共重合させた重合体ポリオール(重合体含量30重量%)。水酸基価21。
ポリオール(A−4):グリセリンにPOとEOをランダム付加させて得られた平均官能基数3.0、水酸基価24、EO単位の合計=72重量%のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール
ポリオール(A−5):エチレングリコール。官能基数2.0、水酸基価1810。
ポリオール(A−6):グリセリンにEOを付加させて得られた平均官能基数3.0、水酸基価841のポリオキシエチレンポリオール
ポリオール(A−7):ソルビトールにEOを付加させて得られた平均官能基数6.0、水酸基価1055のポリオキシエチレンポリオール
(2)触媒
触媒−3:東ソー株式株式会社製「TOYOCAT ET」(ビス(ジメチルアミノエチル)エーテルの70重量%ジプロピレングリコール溶液)
(3)整泡剤
整泡剤−2:シリコーン系整泡剤。エボニック デクサ ジャパン株式会社製「TEGOSTAB B8737LF2」。
(4)有機イソシアネート成分
イソシアネート−2:TDI−80(2,4−及び2,6−TDI、2,4−体の比率が80%/粗製MDI=80/20(重量比))
【0064】
各項目の測定方法は下記の通りである。得られた結果を表2に示す。
・フォーム物性の測定方法及び単位を以下に示す。
コア密度 :JIS K7222に準拠、単位はkg/m3
引張強さ:JIS K6400に準拠、単位はkgf/cm2
硬さ(25%−ILD):JIS K6400に準拠、単位はkgf/314cm2
引裂強さ:JIS K6400に準拠、単位はkgf/cm
伸び:JIS K6400に準拠、単位は%
【0065】
【表2】

【0066】
表2において、本発明実施例17〜32のウレタンフォームは、比較例2のウレタンフォームよりも、フォーム物性、特にフォーム硬さや引張強さが向上している。特に実施例17〜31のものはフォーム硬さにおいて優れる。
【0067】
<実施例33〜48、比較例3 硬質フォームの製造>
表3に示した発泡処方に従って、下記の発泡条件により硬質ポリウレタンフォームを金型内で発泡してフォームを形成し、脱型後一昼夜放置し、硬質ポリウレタンフォーム諸物性を測定した。物性の測定値も表3に記載した。
【0068】
(発泡条件)
BOX SIZE:250mm×250mm×250mm
材質 :木材
ミキシング方法 :ハンドミキシング(必要試薬を所定の容器に必要量仕込んだ後、攪拌羽を容器中に挿入し回転数8000回転/分で6〜20秒間攪拌させる発泡方法)
ミキシング時間 :6〜20秒
撹拌羽回転数 :8000回転/分
【0069】
実施例33〜48及び比較例3における硬質ポリウレタンフォームの原料は、前述の実施例及び比較例で示した物と同様の物を使用し、それ以外の物は次の通りである。
(1)活性水素成分
ポリオール(A−8):エチレンジアミンにPOとEOをブロック付加させて得られた平均官能基数4、水酸基価820、EO単位の合計=37重量%、水酸基価820のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール
ポリオール(A−9):グリセリン、ショ糖、トリエチルアミンの混合物にPOを付加させて得られた平均官能基数4.6、水酸基価450のポリオキシプロピレンポリオール
(2)触媒
触媒−4:サンアプロ株式会社製「U−CAT 1000」(アミン系触媒)
(3)整泡剤
整泡剤−3:シリコーン系整泡剤。東レダウコーニング株式会社製「SF−2936F」。
(4)発泡剤
発泡剤−1:セントラル硝子株式会社製「HFC−245fa」(1,1,1,3,3,−ペンタフルオロプロパン)
(5)難燃剤
難燃剤−1:大八化学工業株式会社製「TMCPP」(トリス(β−クロロプロピルホスフェート
(6)有機イソシアネート成分
イソシアネート−3:日本ポリウレタン工業株式会社製「ミリオネート MR−200」(ポリメリックMDI)
【0070】
各項目の測定方法は下記の通りである。得られた結果を表3に示す。
密度 :JIS A9511に準拠、単位はkg/m3
圧縮強さ:JIS A9511に準拠、単位はkPa
【0071】
【表3】

表3において、本発明実施例33〜48のウレタンフォームは、比較例3のウレタンフォームよりも、フォーム物性、特に圧縮強さが向上している。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明のポリウレタンフォームは、車両座席用、家具用、建材用、寝具用、アパレル用、電気機器用、電子機器用、包装用、その他用途(サニタリー用品、化粧用品)等のポリウレタンフォームのあらゆる用途で好適に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール(A)及び多価フェノール(B)を含有してなるポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物。
【請求項2】
多価フェノールの含有量が、ポリオール(A)の重量を基準として0.1〜50重量%である請求項1に記載のポリオール組成物。
【請求項3】
ポリオール成分とイソシアネート成分とを反応させてポリウレタンフォームを製造する方法において、ポリオール成分として請求項1又は2に記載のポリオール組成物をポリオール成分の重量を基準として10〜100重量%用いるポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項4】
ポリオール成分と有機ポリイソシアネート成分とを、発泡剤、触媒及び整泡剤の存在下に反応させてなる請求項3に記載のポリウレタンフォームの製造方法。

【公開番号】特開2013−28693(P2013−28693A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164998(P2011−164998)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】