説明

ポリウレタンフォーム製部材

【課題】 高温高湿下での圧縮永久歪にも優れたポリウレタンフォーム製部材、例えば、トナー供給ローラを提供する。
【解決手段】 ポリオール、ポリイソシアネート及び水を有する原料を一種以上の触媒で反応させて得られたポリウレタンフォームからなるウレタンフォーム製部材であって、該触媒として、少なくとも、触媒活性定数(L2/(eq・mol・hr))のうち、トルエンジイソシアネート(TDI)とジエチレングリコール(DEG)との触媒活性定数(「樹脂化定数」)K1及びTDIと水(H2O)との触媒活性定数(「泡化定数」)K2がいずれも1.0以下である触媒を含み、且つ触媒としてK2及びK1が1.0を超える値を有する触媒が使用される場合は、その触媒の使用量が、ポリオール、ポリイソシアネート及び水の合計100質量部に対して0.1重量部未満であること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写装置、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置において、搭載されるポリウレタンフォーム製部材、特にトナー供給ローラに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真技術の進歩に伴い、乾式電子写真装置等の画像形成装置には、帯電用、現像用、転写用、トナー供給用などに供される部品の部材として、ポリウレタンフォーム製の部材が注目されており、帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラ、トナー供給ローラなどの弾性を有するローラ等の形態で用いられることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ポリウレタンフォーム製部材、例えば、弾性層がポリウレタンフォームであるローラ等は、通常、ポリオール及びポリイソシアナートを、必要により各種添加剤、発泡助剤等と共に混合して発泡硬化することにより製造される。
【0004】
ポリウレタンフォーム製造に際して使用される発泡剤は、従来、フッ素化炭化水素類が使用されていたが、地球温暖化等の問題からその使用が規制されるようになり、フッ素化炭化水素類を使用しないポリウレタンフォームの製造に移っている。
【0005】
そのような製造方法として、ポリオール、ポリイソシアネートと共に水を使用することが提唱され、実際実用化されるに至っている。
【0006】
このようなポリウレタンフォーム製造に際し使用する触媒として、トリエチレンジアミン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサンジアミン等のアミン系触媒やオクチル酸錫、オレイン酸錫、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−N−ブトキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン等の有機金属系触媒が知られている。
【0007】
これら触媒の中で、アミン系触媒は水との相性が良い。そのため、ポリオールとポリイソシアネートの反応よりも水とポリイソシアネートの反応が促進し、ポリ尿素を生成する。ここで形成されるポリ尿素はポリウレタンフォームの圧縮永久歪を悪化させることが知られている。特に高温高湿(温度40℃湿度95%)環境下での圧縮永久歪が大きいという問題があった。
【特許文献1】特開2003−20318号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような従来のポリウレタンフォーム製の部材がもつ欠点を克服し、特に、高温高湿下での圧縮永久歪にも優れたポリウレタンフォーム製部材、例えば、トナー供給ローラを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討し、特定のウレタン化反応に使用する触媒が良好なポリウレタンフォームが得られることを見出し、ついに本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、ポリオール、ポリイソシアネート及び水を有する原料を一種以上の触媒で反応させて得られたポリウレタンフォームからなるウレタンフォーム製部材であって、触媒として、少なくとも、触媒活性定数(L2/(eq・mol・hr))のうち、トルエンジイソシアネート(TDI)とジエチレングリコール(DEG)との触媒活性定数(「樹脂化定数」)K1及びTDIと水(H2O)との触媒活性定数(「泡化定数」)K2がいずれも1.0以下である触媒を含み、且つ触媒としてK2及びK1が1.0を超える値を有する触媒が使用される場合は、その触媒の使用量が、ポリオール、ポリイソシアネート及び水の合計100質量部に対して0.1重量部未満であることを特徴とするポリウレタンフォーム製部材である。
【0011】
本発明において、K1及びK2がいずれも1.0以下である触媒を、ポリオール、ポリイソシアネート及び水の合計100質量部に対して0.5〜5.0質量部用いることがこのましい。
【0012】
さらに、K1及びK2がいずれも1.0以下である触媒が、N−メチルモルホリンまたはN−エチルモルホリンであることが好ましい。
【0013】
また、本発明において、ポリオールがポリエーテルポリオールであることが好ましい。
【0014】
さらにまた、本発明では、ポリイソシアネートが、芳香族ポリイソシアネート、その誘導体及びそれらの混合物から選ばれることが好ましい。
【0015】
また、本発明において、ポリウレタンフォーム層が芯金を配した円筒状成形型内で形成されることが好ましい。
【0016】
なお、ポリウレタンフォーム製部材がトナー供給ローラであることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、高温高湿下での圧縮永久歪に優れたポリウレタンフォーム製部材が容易に提供される。本発明のポリウレタンフォーム製部材は、画像形成装置用部材として用いても良く、例えば帯電用部材、現像用部材、転写用部材、トナー供給用部材及びクリーニング用部材などとして用いうる。中では、トナー供給ローラとして好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明が対象とするポリウレタンフォーム製部材は帯電用部材、現像用部材、転写用部材、トナー供給用部材及びクリーニング用部材などの画像形成装置用部材として用いうるものであり、それがトナー供給ローラのようなローラであるときには、芯金の周りにポリウレタンフォーム層が形成され、さらに必要によりその上に各種機能を有する被覆層を設けたものである。該ポリウレタンフォームローラは、芯金を配した円筒状成形型内にポリオールとポリイソシアネートを主成分とし、水等の発泡剤及びウレタン化反応をコントロールするための触媒等を加えた組成物を注入し、加熱発泡させて製造する。
【0019】
本発明においては、ポリオール、ポリイソシアネートは従来から使用されるものを使用するが、ウレタン化反応をコントロールするために配する触媒を選択することが重要である。
【0020】
ポリオールとポリイソシアネートを反応させてポリウレタン樹脂を製造する際、このウレタン化反応に使用する触媒の活性を評価するのに触媒活性定数(L2/(eq・mol・hr))が知られている(東洋曹達研究報告第28巻第1号24〜27頁(1984年))。
【0021】
この触媒活性定数は、ポリオールとポリイソシアネートの組合せに対し、それぞれの触媒に個別に求められるものであり、本発明では、(あ)ポリイソシアネートをTDIに固定し、ポリオールを代表してDEGを用いたときの触媒活性定数を、ポリオールとポリイソシアネートの反応によるポリウレタン樹脂形成を代表させ、樹脂化定数(K1)とし、(い)ポリイソシアネートとしてTDIを用い、水との反応の触媒活性定数を、芳香族ウレア結合の形成と炭酸ガス発生による発泡作用を示す泡化定数(K2)とした時に、これら定数がきわめて重要であることを見出した。
【0022】
すなわち、樹脂化定数K1(TDI−DEG(L2/(eq・mol・hr))及び泡化定数K2(TDI−H2O(L2/(eq・mol・hr))がいずれも1.0以下である触媒を使用して製造されたポリウレタンフォームは、高温高湿下での圧縮永久歪に優れ、電子写真装置等の画像形成装置用の部材として特に好ましいものである。
【0023】
このようなK1及びK2を満足する触媒としては、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N−(2−ジメチルアミノエチル)モルホリン、N−(2−ヒドロキシエチル)−N'−メチルピペラジンなどが挙げられる。中でも、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリンは、ポリウレタンフォームが、高温高湿下での圧縮永久歪に優れ、電子写真装置等の画像形成装置用の部材として特に好ましいものとなるので望ましい。これら触媒は単独で用いても良く、本発明の効果が損なわれない範囲で、他の触媒と適宜組み合わせ用いてもよい。なお、K1及びK2がいずれも1.0以上である触媒を併用して用いる場合は、ポリオール、ポリイソシアネート及び水の合計100質量部に対して0.1質量部以上用いた場合圧縮永久歪が悪化するので、0.1質量部未満とする必要がある。
【0024】
本発明で使用するポリオールは、特に制限は無く、従来公知の各種ポリオールの中から、適宜選択して使用することができる。すなわち、ポリオールの例としては、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキシレンアジペート、エチレンアジペートとブチレンアジペートとの共重合体、ダイマー酸系ポリオール、ヒマシ油系ポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等のポリエステルポリオールや、ポリオキシアルキレングリコール等のポリエーテルポリオール、ポリマーポリオール(商品名:三井武田ケミカル社製)が挙げられる。この中でも、分子量が2000〜10000のものを単独若しくは混合して用いることが好ましい。分子量が2000未満であると架橋密度が不十分となるため、得られるポリウレタンフォームの物性が低下する傾向がみられる。また、10000を越えるとポリオールの粘度が高くなり、反応時の作業性が悪くなる傾向がみられる。なお、これらポリオールのうち、ポリエーテルポリオールを用いると、耐湿熱耐久性に優れたポリウレタンフォームを得るのに好適である。更に、エチレンオキサイド(EO)を末端に5モル%以上グラフトさせたポリエーテルポリオールは、反応性に優れるので好ましい。また、予めポリイソシアネートと反応させたプレポリマーとして用いても差し支えない。
【0025】
なお、ポリマーポリオール(商品名)とは、ポリエーテルポリオール中でエチレン性不飽和単量体(アクリロニトリル、スチレン、メタクリル酸メチル、塩化ビニリデン等)を重合させて変性したものであり、ポリオールの一部として使用することによりポリウレタンフォームの湿熱耐久性を低下させることなく、通気性向上等を図ることができる。
【0026】
また、ポリイソシアネートとしても、特に制限は無く、従来公知の各種ポリイソシアネートの中から、適宜選択して使用することができる。例としては、TDIやジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート及びその誘導体、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート及びその誘導体、イソホロンジイソシアネートなどの脂環式ポリイソシアネート及びその誘導体などが挙げられる。なお、誘導体とは、例えば、多核体、ポリオールなどで変性したポリウレタン変性物、ウレチジオン形成による二量体、イソシアヌレート変性物、カルボジイミド変性物、ウレトンイミン変性物、アロハネート変性物、ウレア変性物、ビュレット変性物などである。これらのポリイソシアネートの中で、TDIやジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート及びその誘導体を主成分とするものは、得られるポリウレタンフォームからなる部材の低硬度化、湿熱耐久性が向上するので好適である。
【0027】
本発明において、ポリイソシアネート及びその誘導体は1種を用いても良く、2種以上を組み合せて用いても構わない。TDIやジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート及びその誘導体を使用することが好ましいのであるが、これらともに、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環式ポリイソシアネート及びその誘導体を併用することもできる。これらポリイソシアネートとポリオールの配合割合は、特に制限はないが、通常、NCOインデックスで60〜120%、好ましくは70〜105%になるようにすることが好ましい。
【0028】
本発明では、通常、水が発泡剤として使用される。水はポリイソシアネートと反応してポリウレアを形成すると共に炭酸ガスを発生し、この炭酸ガスが発泡剤となる。水の使用量は、全ポリオール100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、さらに好ましくは、0.1〜5質量部である。なお、水と共に、クロロフルオロカーボン類(HFC−134A等)、炭化水素(シクロペンタン等)、炭酸ガス、その他の発泡剤を使用しても構わない。
【0029】
本発明では、ポリウレタンフォーム形成において、発泡セルを安定化させるために、整泡剤を使用しても構わない。整泡剤として、ポリジメチルシロキサンとEO/PO共重合物からの水溶性ポリエーテルシロキサン、スルホン化リシノール酸のナトリウム塩やこれらとポリシロキサン・ポリオキシアルキレンコポリマーとの混合物等が挙げられる。これらの中で、ポリジメチルシロキサンとEO/PO共重合物からの水溶性ポリエーテルシロキサンが好適である。使用量は全ポリオール100質量部に対して、0.1〜3質量部が適当である。
【0030】
その他助剤として、架橋剤、難燃剤、着色剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、酸化防止剤、導電性付与剤等を必要により使用する。これらのその他助剤を添加しても何等本発明の主旨を損なうものではない。
【0031】
本発明のポリウレタンフォームの製造方法については、特に制限は無く常法によれば良い。その一例を示せば次の通りである。まず、前記のポリオール、ポリイソシアネート、触媒、及び所望により用いられる整泡剤、水、その他助剤などを均質に混合した後、加熱して反応硬化させることにより、本発明のポリウレタンフォームが得られる。原料を混合する際の温度や時間については特に制限は無いが、混合温度は、通常10〜90℃、好ましくは20〜60℃の範囲であり、混合時間は、通常1秒〜10分間、好ましくは3秒〜5分間程度である。また、加熱して反応硬化させる際、従来公知の方法により、発泡させることにより、ポリウレタンフォームからなる各種部材を作製することができる。ここでの発泡方法についても特に制限は無く、発泡剤を用いる方法、機械的な撹拌により気泡を混入する方法など、いずれの方法をも用いることができる。なお、発泡倍率は、製造する部材に適応していればよく、特に制限はない。
【0032】
本発明の画像形成装置部品は、このようにして得られたポリウレタンフォームを用いたものであって、該画像形成装置部品がローラである場合には、通常、鉄にメッキを施したものやステンレス鋼などからなる芯金を、前記のポリウレタンフォームで被覆することにより製造される。用途によっては、導電性付与剤を添加してもよいし、導電性や半導電性、あるいは絶縁性の塗料により、その外側を塗装してもよい。本発明の画像形成装置部品は、その用途については特に制限は無いが、例えば帯電用部材、現像用部材、転写用部材、トナー供給用部材及びクリーニング用部材などに使用可能なものである。
【0033】
金属部材とポリウレタンフォームの接合方法については、特に制限は無いが、金属部材を予めモールド(成形型)内部に配設しておきポリウレタン組成物を注型硬化する方法や、ポリウレタンフォームを所定の形状に成形した後、金属部材に接着する方法などがある。どちらの方法でも、必要に応じて金属部材とポリウレタンフォームの間に接着層を設けることができ、この接着層としては、接着剤やホットメルトシートなどの公知の材料を用いることができる。ポリウレタンフォームを各種部材に使用可能なように形成する方法としては、特に制限は無く、公知の方法、例えば、所定の形状のモールドに注型する方法のほかに、予め製造したポリウレタンフォームのブロックから切削加工により、所定の寸法に切り出す方法、研磨処理により所定の寸法にする方法、あるいはこれらの方法を適宜組み合せた方法などがある。
【0034】
本発明のポリウレタンフォームを用いた画像形成装置部品の種類としては特に制限は無いが、帯電ローラ、現像ローラ、トナー供給ローラ、転写ローラなどを挙げることが出来る。特にトナー供給ローラとして好適である。
【実施例】
【0035】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。しかし、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
【0036】
以下の実施例、比較例で使用したポリウレタンフォーム原料を示す。
【0037】
1)ポリオール
・EP−828:商品名、三井武田ケミカル(株)製ポリエーテルポリオール、OH価28、エチレンオキサイドを末端に約15%含有。
・GS−92 :商品名、三井武田ケミカル(株)製ポリエーテルポリオール、OH価40、エチレンオキサイドを末端に約19%含有。
【0038】
2)ポリイソシアネート
・TM20:コスモネートTM20(商品名)、三井武田ケミカル(株)製TDIとジフェニルメタンジイソシアネートの混合体、NCO=45%。
・TM50:コスモネートTM50(商品名)、三井武田ケミカル(株)製TDIとジフェニルメタンジイソシアネートの混合体、NCO=40%。
【0039】
3)整泡剤
・L−5366:商品名、日本ユニカー(株)製のシリコーン整泡剤。
【0040】
4)触媒
・触媒1:N−メチルモルホリン、三共エアプロダクツ(株)製。
・触媒2:N−エチルモルホリン、三共エアプロダクツ(株)製。
・触媒3:Dabco−XDM(商品名)、三共エアプロダクツ(株)製のアミン触媒。
・触媒4:Dabco 33LV(商品名)、三共エアプロダクツ(株)製のアミン触媒。
・触媒5:Dabco BL−11(商品名)、三共エアプロダクツ(株)製のアミン触媒。
これら触媒の樹脂化定数K1及び泡化定数K2を表1に示す。なお、これら定数の測定は、東洋曹達研究報告第28巻第1号24〜27頁(1984年)に記載の方法によった。
【0041】
【表1】

【0042】
実施例1〜8、比較例1〜5
径6mm、長さ30cmのニッケル化学メッキをした鉄製芯金を配したSUS製円筒状金型内を用意し、40℃に温度調節されたインジェクション装置にセットした。一方、表2に示す組成のポリウレタンフォーム原料を、ポリオール成分(ポリオール、整泡剤、触媒等)及びイソシアネート成分のそれぞれの25℃に温度調節されたインジェクション用原料槽へ入れ、金型へ注入する前に必要量を取り出し、インジェクション前槽にて5秒間撹拌混合した後金型へ注入し、30分間発泡硬化させて外径16mmのトナー供給ローラを製造した。なお、ポリウレタンフォーム層の長さは24cmであった。
【0043】
次いで、トナー供給ローラのウレタンフォーム層の高温高湿で圧縮永久歪(湿熱圧縮永久歪)を図1に示す方法で測定した。結果を表2に示す。なお、この値が20%以下、好ましくは15%以下であることがトナー供給ローラとして要求されている。
【0044】
図1において、トナー供給ロール1のポリウレタンフォーム層11に径16mmの金属製スリーブ14を当接させ、トナー供給ロール1の芯金10の露出部と金属性スリーブ14を両端において、ポリウレタンフォーム層11に、1.5mm変位(圧縮)させた状態で、固定具15にて保持し、40℃、95%RHの下に72時間放置した後、取り出して固定具を取り外し、その30分後にポリウレタンフォーム層の変位の復元度合い(圧縮残留歪率(Cs):%)を測定した。図1(b)の左が金属スリーブ14を当接させた状態の側面図を示し、右が開放後のトナー供給ローラ1の歪の状況を示す側面図であり、歪残存部が16である。
Cs={(t0−t1)/1.5}×100
0及びt1は、それぞれ、初めの成形品の半径(mm)及び試験後の成形品の半径(mm)である。
【0045】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】トナー供給ロールのポリウレタンフォーム層の湿熱永久歪を測定する方法を説明する図である。(a)は正面図であり、(b)はポリウレタンフォーム層の変形を示す説明図である。
【符号の説明】
【0047】
1 トナー供給ローラ
10 芯金
11 ポリウレタンフォーム層
14 金属スリーブ(φ16mm)
15 固定具
16 歪残存部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯金上にポリオール、ポリイソシアネート及び水を有する原料を一種以上の触媒で反応させて得られたポリウレタンフォームからなるウレタンフォーム製部材であって、
触媒として、少なくとも、触媒活性定数(L2/(eq・mol・hr))のうち、トルエンジイソシアネート(TDI)とジエチレングリコール(DEG)との触媒活性定数(「樹脂化定数」)K1及びTDIと水(H2O)との触媒活性定数(「泡化定数」)K2がいずれも1.0以下である触媒を含み、
且つ触媒としてK2及びK1が1.0を超える値を有する触媒が使用される場合は、その触媒の使用量が、ポリオール、ポリイソシアネート及び水の合計100質量部に対して0.1重量部未満である
ことを特徴とするポリウレタンフォーム製部材。
【請求項2】
K1及びK2がいずれも1.0以下である触媒を、ポリオール、ポリイソシアネート及び水の合計100質量部に対して、0.5〜5.0質量部用いることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタンフォーム製部材。
【請求項3】
K1及びK2がいずれも1.0以下である触媒が、N−メチルモルホリン及びN−エチルモルホリンから選ばれることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリウレタンフォーム製部材。
【請求項4】
ポリオールが、ポリエーテルポリオールであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリウレタンフォーム製部材。
【請求項5】
ポリイソシアネートが、芳香族ポリイソシアネート、その誘導体及びそれらの混合物からなる群から選ばれたものである請求項1〜4のいずれかに記載のポリウレタンフォーム製部材。
【請求項6】
ポリウレタンフォームが芯金を配した円筒状成形型内で芯金の周りに形成されたものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリウレタンフォーム製部材。
【請求項7】
トナー供給ローラであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリウレタンフォーム製部材。

【図1】
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【公開番号】特開2006−63177(P2006−63177A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−246585(P2004−246585)
【出願日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(393002634)キヤノン化成株式会社 (640)
【Fターム(参考)】