説明

ポリウレタン分散剤

【課題】微粒子固形物、有機媒体およびポリウレタン分散剤を含有する非水性組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、微粒子固形物、有機媒体およびポリウレタン分散剤を含有する非水性組成物を提供し、該ポリウレタン分散剤は、基本的に直鎖の骨格と、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアクリレートまたはポリオレフィンの側方に結合した溶媒可溶性側鎖(このような側鎖の混合物を含む)とを有する。この溶媒可溶性側鎖の最適な側鎖は、その有機媒体の極性に依存している。1実施態様では、ポリオレフィンが存在しており、他の実施態様では、ポリオレフィンは存在していない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2003年5月15日に出願されたGB 0311121.8から優先権を主張している。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、ポリウレタン分散剤に関し、非水性有機媒体(特に、極性有機媒体−非接触印刷法(例えば、ドロップ−オン−ディマンド印刷法)で使用するインクを含めて)に分散された微粒子固形物を含有する分散体、ミルベース、塗料およびインクに関する。特に、これらの分散剤は、溶媒可溶性ポリエステル、ポリアクリル、ポリエーテルまたはポリオレフィン側鎖(このような側鎖の混合物を含めて)の側方に結合した側鎖と共に、基本的に直鎖の骨格を示す。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
ポリウレタン含有ポリエチレン側鎖は、公知であり、特許文献に記述されている。例えば、特許文献1は、ポリアルキレンオキシド側鎖を有するポリウレタンを製造する方法を開示しており、これは、出発アルコールとして使用されるポリアルキレンオキシドが3個以下の炭素原子で分離された少なくとも2個の遊離水酸基を有する点で特徴付けられ、これらの水酸基は、ジイソシアネートと反応する。このポリウレタンは、発泡体、乳濁液および分散体を安定化または不安定化するのに使用され得る。それらはまた、顔料および充填剤と併用され得る。しかしながら、このポリウレタンが非水性媒体(特に、非水性ミルベース、塗料およびインクの調製)において分散剤として使用され得るという言及はない。
【0004】
特許文献2は、ポリウレタン骨格を有する水溶性アクリルグラフト共重合体を開示している。このグラフト共重合体は、カルボン酸官能基を有し、これは、その骨格内またはグラフト化アクリル部分に取り込まれ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第060,430号明細書
【特許文献2】特開1995−179801号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明によれば、微粒子固形物、有機媒体およびポリウレタン分散剤を含有する非水性組成物が提供されており、該ポリウレタン分散剤は、ポリエステル、ポリアクリル、ポリエーテルまたはポリオレフィンの側方に結合した溶媒可溶性側鎖(このような側鎖の混合物を含めて)と共に、基本的に直鎖の骨格を有する。
【0007】
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
微粒子固形物、有機媒体およびポリウレタン分散剤を含有する非水性組成物であって、該ポリウレタン分散剤は、基本的に直鎖の骨格と、ポリエステル、ポリエーテルまたはポリアクリレートの、側方に結合した溶媒可溶性側鎖とを有し、該側鎖は、このような側鎖の混合物を含む、
組成物。
(項目2)
前記ポリエステル、ポリエーテルおよびポリアクリレート側鎖が、末端C1〜50ヒドロカルビル基を含有する、項目1に記載の組成物。
(項目3)
前記ポリエーテル鎖が、60重量%未満のエチレンオキシドを含有するポリ(C2〜4−アルキレンオキシド)である、項目1に記載の組成物。
(項目4)
前記ポリエステル鎖が、1個〜26個の炭素原子を含有するヒドロキシカルボン酸またはそれらのラクトン(それらの混合物を含む)から得ることができるか、または得られる、項目1に記載の組成物。
(項目5)
前記ラクトンが、ε−カプロラクトンまたはδ−バレロラクトンである、項目4に記載の組成物。
(項目6)
前記ポリエステル、ポリエーテルまたはポリアクリレート側鎖の数平均分子量が、300〜10,000である、項目1に記載の組成物。
(項目7)
前記ポリウレタン分散剤が、さらに、各100gの分散剤に対して10〜180ミリ当量の酸基および/またはアミノ基を含有する、項目1に記載の組成物。
(項目8)
前記ポリウレタン分散剤が、さらに、32〜3,000の数平均分子量を有する形成化合物の残基を含有する、項目1に記載の組成物。
(項目9)
溶媒可溶性側方側鎖の全重量パーセントが、全重量を基準にして、5%以上である、項目1に記載の組成物。
(項目10)
前記ポリウレタン分散剤が、ジイソシアネートから得ることができるか、または得られる、項目1に記載の組成物。
(項目11)
項目1に記載の組成物であって、前記溶媒可溶性ポリエーテル鎖が、式1の化合物:
【0008】
【化1】

【0009】
の残基を含有し、
ここで、
Rは、C1〜20−ヒドロカルビル基であり;
は、水素、メチルまたはエチルであり、その60%未満は、水素であり;
およびRは、それぞれ別個に、C1〜8−ヒドロキシアルキルであり;
Zは、C2〜4−アルキレンであり;
Xは、−O−または−NH−であり;
Yは、ポリイソシアネートの残基であり;
mは、5〜150であり;
pは、1〜4であり;そして
qは、1または2である、
組成物。
(項目12)
項目1に記載の組成物であって、前記溶媒可溶性ポリエーテル鎖が、式2の化合物:
【0010】
【化2】

【0011】
の残基を含有し、
ここで、
Rは、C1〜20−ヒドロカルビル基であり;
は、水素、メチルまたはエチルであり、その60%未満は、水素であり;
は、イソシアネート反応性有機ラジカルであり;
は、水素またはイソシアネート反応性有機ラジカルであり;
Zは、C2〜4−アルキレンであり;
mは、5〜150であり;そして
nは、0〜1である、
組成物。
(項目13)
項目1に記載の組成物であって、前記溶媒可溶性ポリエーテル鎖が、式3の化合物:
【0012】
【化3】

【0013】
の残基を含有し、
ここで、
Rは、C1〜20−ヒドロカルビル基であり;
は、水素、メチルまたはエチルであり、その60%未満は、水素であり;
Wは、C2〜6−アルキレンであり;そして
mは、5〜150である;
組成物。
(項目14)
項目1に記載の組成物であって、前記側方に結合した溶媒可溶性ポリエステル側鎖が、式6の化合物:
【0014】
【化4】

【0015】
の残基であり、
ここで、
は、C1〜50−ヒドロカルビル基であり;
Aは、C1〜26−アルキレンおよび/またはC2〜26−アルケニレンであり;そして
mは、5〜150である、
組成物。
(項目15)
基本的に直鎖の骨格と、ポリ(C2〜4−アルキレンオキシド)の、側方に結合した溶媒可溶性ポリエーテル鎖とを有するポリウレタン分散剤であって、該ポリエーテル鎖が、ポリ(C2〜4−アルキレンオキシド)鎖に対して、60重量%未満のエチレンオキシドを含有する、ポリウレタン分散剤。
(項目16)
前記ポリ(C2〜4−アルキレンオキシド)鎖が、ポリエーテルの残基であり、該残基が、前記ポリエーテル鎖の一端で、イソシアネートと反応する1個の水酸基および1個の第二級アミノ基を含有する、項目15に記載のポリウレタン分散剤。
(項目17)
前記ポリ(C2〜4−アルキレンオキシド)鎖が、ポリエーテルの残基であり、該残基が、前記ポリエーテル鎖の一端で、イソシアネートと反応する2個の水酸基を含有し、該水酸基が、5個以上の原子によって離されている、項目15に記載のポリウレタン分散剤。
(項目18)
さらに、各100gの分散剤に対して、10〜180ミリ当量の、酸基またはアミノ基(その塩を含む)を含有する、項目15に記載のポリウレタン分散剤。
(項目19)
基本的に直鎖の骨格と、側方に結合した溶媒可溶性ポリエステル側鎖とを有する、ポリウレタン分散剤。
(項目20)
前記ポリエステル側鎖が、ポリエステルの残基であり、該残基が、該ポリエステル鎖の一端で、イソシアネートと反応する2個の水酸基を含有し、該水酸基が、5個〜17個の原子によって離されている、項目19に記載のポリウレタン分散剤。
(項目21)
フィルム形成樹脂と、項目1に記載の組成物とを含有する、非水性のミルベース、塗料またはインク。
(項目22)
微粒子固形物、有機媒体およびポリウレタン分散剤を含有する非水性組成物であって、該ポリウレタン分散剤は、基本的に直鎖の骨格と、ポリエステル、ポリエーテル、ポリオレフィンまたはポリアクリレートの側方に結合した溶媒可溶性側鎖(このような側鎖の混合物を含む)とを有する、
組成物。
(項目23)
前記ポリウレタン分散剤が、基本的に直鎖の骨格と側方に結合した溶媒可溶性ポリアクリレートとを有し、該ポリアクリレートが、さらに、各100gの分散剤に対して、10〜180ミリ当量の酸基またはアミノ基(これらの塩を含む)を含有する、項目22に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(発明の詳細な説明)
本発明によれば、微粒子固形物、有機媒体およびポリウレタン分散剤を含有する非水性組成物が提供されており、該ポリウレタン分散剤は、ポリエステル、ポリアクリル(特に、ポリアクリレート)、ポリエーテルまたはポリオレフィンの側方に結合した溶媒可溶性側鎖(このような側鎖の混合物を含めて)と共に、基本的に直鎖の骨格を有する。この溶媒可溶性側鎖の最適な選択は、その有機媒体の極性に依存している。1実施態様では、ポリオレフィンが存在しており、他の実施態様では、ポリオレフィンは存在していない。
【0017】
1実施態様では、この非水性組成物は、必要に応じて、5重量%以下の水、好ましくは、2重量%未満の水、さらに好ましくは、0.5重量%未満の水を含有し、最も好ましくは、水を含有しない。
【0018】
このポリエステル、ポリエーテル、ポリアクリレートまたはポリオレフィン側鎖は、このポリウレタン骨格から離れた末端水酸基を含有し得るのに対して、このような鎖は、この分散剤の調製中の架橋を制限するので、イソシアネートおよび特にC1〜50−ヒドロカルビル基と反応性ではない(末端)基を備えていることがずっと好ましい。このヒドロカルビル基は、必要に応じて分枝したアルキル、シクロアルキル、アリールまたはアラルキルであり得る。
【0019】
このシクロアルキル基は、好ましくは、C3〜6−シクロアルキル(例えば、シクロプロピル、特に、シクロヘキシル)である。
【0020】
このアリール基は、好ましくは、C6〜10−アリール(例えば、ナフチル、特に、フェニル)であり、これは、ハロゲン、C1〜20−アルキルまたはC1〜20−アルコキシで置換され得る。
【0021】
このアラルキル基は、好ましくは、2−フェニルエチル、特に、ベンジルであり、この場合、そのフェニル環は、必要に応じて、ハロゲン、C1〜20−アルキルまたはC1〜20−アルコキシで置換される。
【0022】
このポリエステル、ポリエーテル、ポリアクリレートまたはポリオレフィン鎖のアルキル末端基の長さは、その有機媒体の性質に大幅に依存している。それゆえ、例えば、この有機媒体が極性有機液体のとき、そのヒドロカルビル基は、好ましくは、C1〜12−アルキルであり、これは、直鎖または分枝であり得る。このヒドロカルビル基には、エチル、プロピル、イソプロピルまたはそれらの混合物が挙げられる。このポリウレタン分散剤がポリエーテル側鎖を含有するとき、その末端アルキル基は、それらが即座に商業的に入手できるので、C1〜4アルキル(例えば、メチル)であるのが好ましい。この有機媒体が非極性有機液体であるとき、この末端アルキル基は、8個より多い炭素原子を含有するのが好ましい。また、このアルキル基は、非極性有機液体中での溶解性を助けるので、分枝であることも好ましい。
【0023】
このポリエーテル鎖は、このポリ(C2〜4−アルキレンオキシド)鎖の全重量と比べて、好ましくは、ポリ(C2〜4−アルキレンオキシド)であり、これは、60重量%未満、さらに好ましくは、40重量%未満、特に、20重量%未満のエチレンオキシドを含有する。
【0024】
この(C2〜4−アルキレンオキシド)基のアルキレン部分は、直鎖または好ましくは分枝であり得、アルキレンオキシド(例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシド)の(共)重合により、またはテトラヒドロフランから得られる。共重合体は、ランダムまたはブロック共重合体であり得る。
【0025】
好ましくは、このポリエーテル鎖は、プロピレンオキシドから得ることができる。また、この分散剤のポリエーテル鎖は、ポリ(C2〜4−アルキレンオキシド)モノ−C1〜10−アルキルエーテル、特に、メチルまたはブチルエーテルから得ることができる。
【0026】
このポリエステル鎖は、好ましくは、1個〜26個の炭素原子を含有するヒドロキシカルボン酸またはそれらのラクトンから得ることができるか得られる。ヒドロキシカルボン酸の選択は、有機媒体それ自体の性質に大きく影響される。この有機媒体が極性有機液体である場合、このヒドロキシカルボン酸は、好ましくは、8個までの炭素原子を含有し、また、この有機媒体が非極性有機液体である場合、このヒドロキシカルボン酸は、好ましくは、8個より多い炭素原子を含有する。このポリエステル鎖は、有機媒体中での溶解性を助けるので、2個またはそれ以上の異なるヒドロキシカルボン酸またはそれらのラクトンから得ることができることが特に好ましい。このヒドロキシカルボン酸は、飽和または不飽和、直鎖または分枝であり得る。
【0027】
適当なヒドロキシカルボン酸の例には、グリコール酸、乳酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシドデカン酸、5−ヒドロキシドデカン酸、5−ヒドロキシデカン酸および4−ヒドロキシデカン酸がある。
【0028】
適当なラクトンの例には、β−プロピオラクトン、必要に応じてC1〜6−アルキルで置換したδ−バレロラクトンおよびε−カプロラクトン(例えば、β−メチル−δ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、2−メチル、3−メチル、4−メチル、5−第三級ブチル、7−メチル−4,4,6−トリメチル−および4,6,6−トリメチル−ε−カプロラクトン(それらの混合物を含めて)がある。
【0029】
δ−バレロラクトンおよびε−カプロラクトンから誘導できるポリエステル鎖は、特に好ましい。
【0030】
これらのポリアクリレート鎖は、好ましくは、C1〜6−(アルキ)アクリル酸エステル、特に、(メタ)アクリル酸エステル(例えば、アクリル酸(これは、必要に応じてC1〜6アルキルで置換した)に由来の重合体、またはC1〜18(さらに好ましくは、C1〜8)アルコールとアクリル酸またはC1〜6アルキル置換アクリル酸とに由来のエステル)を(共)重合することにより、得ることができるか得られる。
【0031】
先に開示したように、これらのポリウレタン分散剤は、ポリエステル、ポリエーテルおよびポリアクリレート側方側鎖を含有し得る。
【0032】
明らかな変種として、このポリエステル、ポリエーテルおよびポリアクリレート側方側鎖は、それ自体、このような鎖の混合物であり得る。それゆえ、例えば、このポリエステルおよびポリアクリレート側鎖は、ポリエーテル部分などを含有し得る。
【0033】
この側方ポリエステル、ポリエーテル、ポリアクリレートまたはポリオレフィン側鎖の数平均分子量は、好ましくは、10,000以下、さらに好ましくは、4,000以下、特に、2,500以下である。また、この側方ポリエステル、ポリエーテルおよびポリアクリレート側鎖の数平均分子量は、300以上、さらに好ましくは、600以上、特に、800以上であることも好ましい。
【0034】
先に開示したように、このポリウレタンの骨格は、基本的に直鎖である。従って、この分散剤から得ることができるイソシアネートは、好ましくは、2.0〜2.5、さらに好ましくは、2.0〜2.1、特に、約2.0の官能性を有する。
【0035】
この側方ポリエステル、ポリエーテル、ポリアクリレートまたはポリオレフィン鎖は、酸素原子および/または窒素原子(これらは、このポリエステル、ポリエーテル、ポリアクリル(特に、ポリアクリレート)またはポリオレフィンの末端水酸基および/またはアミノ(第一級および第二級)基の残基である)により、ポリウレタン骨格に連結されている。
【0036】
この側方側鎖は、ポリエーテルであるとき、好ましくは、ポリエーテルの残基(これは、2個の水酸基または1個の水酸基のいずれかと1個の第二級アミノ基とを含有し、これらは、このポリエーテル鎖の一端で、イソシアネートと反応する)である。これらの水酸基およびアミノ基は、好ましくは、6個までの炭素原子で分離される。このポリエーテルは、2個の水酸基(これらは、イソシアネートと反応する)を含有するとき、好ましくは、17個までの原子(特に、16個の炭素原子および1個の窒素原子)で分離されている。また、これらの2個の水酸基が5個以上の原子(特に、4個の炭素原子および1個の窒素原子)で分離されていることが好ましい。また、この分散剤は、2個のアミノ基(すなわち、第一級および/または第二級アミノ基であり、これらは、イソシアネートと反応する)から調製することも可能であるが、それほど好ましくはない。
【0037】
この側方側鎖は、ポリエステルであるとき、好ましくは、そのポリエステル鎖の一端で、2個の水酸基(これらは、イソシアネートと反応する)を含有するポリエステルの残基である。これらの2個の水酸基はまた、好ましくは、17個までの原子(特に、16個の炭素原子および1個の窒素原子)で分離されている。これらの2個の水酸基が5個以上の原子で分離されていることは、特に好ましい。
【0038】
この側方側鎖は、ポリアクリレートであるとき、好ましくは、そのポリアクリレート鎖の一端で、2個の水酸基(これらは、イソシアネートと反応する)を含有するポリアクリレートの残基である。これらの2個の水酸基はまた、好ましくは、4個までの炭素原子(例えば、2個の炭素原子)で分離されている。1実施態様では、このポリアクリレートが存在しており、他の実施態様では、このポリアクリレートは、存在していない。
【0039】
この側方側鎖は、ポリオレフィンであるとき、好ましくは、ポリオレフィンの残基(これは、2個の水酸基か、または1個の水酸基と1個の第二級アミノ基とのいずれかを含有し、これらは、このポリオレフィン鎖の一端で、イソシアネートと反応する)である。これらの水酸基およびアミノ基は、好ましくは、6個までの炭素原子で分離される。このポリオレフィンは、2個の水酸基(これらは、イソシアネートと反応する)を含有するとき、好ましくは、17個までの原子(特に、16個の炭素原子および1個の窒素原子)で分離されている。また、これらの2個の水酸基が5個以上の原子(特に、4個の炭素原子および1個の窒素原子)で分離されていることが好ましい。また、この分散剤は、2個のアミノ基(すなわち、第一級および/または第二級アミノ基であり、これらは、イソシアネートと反応する)から調製することも可能であるが、これは、それほど好ましくはない。
【0040】
この分散剤はまた、必要に応じて、酸基および/またはアミノ基(それらの塩を含めて)がある種の微粒子固形物の分散性を改良することが発見されているので、このような基を含有し得る。このポリウレタン分散剤中の酸基および/またはアミノ基の量は、各100gのポリウレタン分散剤に対して、好ましくは、10〜180ミリ当量、さらに好ましくは、20〜110ミリ当量、特に、20〜60ミリ当量である。酸基(特に、カルボン酸基)が好ましい。
【0041】
この酸基は、塩の形状であるとき、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウムまたはリチウム)の塩、アミン(C1〜8−アルキルアミンまたはC1〜8−アルカノールアミン)の塩または四級アンモニウムカチオン(例えば、C1〜8−アルキル四級アンモニウムカチオンまたはベンズアルコニウムカチオン)の塩であり得る。このアミノ基は、硫酸ジアルキル(例えば、硫酸ジメチル)または塩化ベンジルとの反応により、四級化され得る。好ましくは、この酸基は、存在するとき、遊離酸の形状である。
【0042】
このアミノ基は、塩の形状であるとき、無機酸または有機酸の塩であり得る。このような酸の例には、塩酸および酢酸がある。好ましくは、このアミノ酸は、存在するとき、非イオン化形状である。
【0043】
このポリウレタン分散剤はまた、イソシアネートと反応する2個の基と一緒に、32〜3,000の数平均分子量を有する形成化合物の残基を含有し得る。
【0044】
このポリウレタン分散剤はまた、末端ポリエステル、ポリエーテル、ポリアクリレートまたはポリオレフィン鎖を有し得る。このような鎖は、側方鎖について先に記述したものと類似しているが、イソシアネートと反応する1個の基だけを有する化合物から得ることができる。
【0045】
このポリウレタン分散剤中の溶媒溶解性側方および末端鎖の全重量パーセントは、好ましくは、20%以上、さらに好ましくは、30%以上、特に、40%以上である。このポリウレタン分散剤中の溶媒溶解性側方および末端鎖の全重量パーセントは、90%以下、さらに好ましくは、80%以下、例えば、45%〜80%または60%〜78%であることも、好ましい。1実施態様では、このポリウレタン分散剤中の溶媒溶解性側方および末端鎖の全重量パーセントは、70%以下、例えば、55%〜65%である。
【0046】
このポリウレタン分散剤中の溶媒溶解性側方鎖の全重量パーセントは、好ましくは、5%以上、さらに好ましくは、15%以上、特に、25%以上、または35%以上である。
【0047】
この組成物中に存在している微粒子固形物は、任意の無機または有機固形物であり得、これは、当該温度で有機媒体に実質的に不溶であり、その中で細かく分割された形状で安定化するのが望ましい。
【0048】
適当な固形物の例には、溶媒インク用の顔料;塗料およびプラスチック材料用の顔料、増量剤および充填剤;染料(特に、分散染料);溶媒染浴、インクおよび他の溶媒塗布系用の蛍光増白剤および繊維助剤;オイルベースおよび逆乳濁液穿孔泥用の固形物;無水洗浄液中の埃および固形粒子;微粒子セラミック材料;磁性材料および磁気記録媒体、難燃剤(例えば、プラスチック材料で使用されるもの)および殺菌剤、農薬および医薬品(これらは、有機媒体の分散体として、塗布される)がある。
【0049】
好ましい微粒子固形物は、例えば、the Third Edition of the Colour Index(1971)およびその次の改訂版および補足刊行物において、「Pigments」の章題で記述され一般に認められた種類の顔料のいずれかに由来の顔料である。無機顔料の例には、二酸化チタン、酸化亜鉛、プルシアンブルー、硫化カドミウム、酸化鉄、バーミリオン、ウルトラマリンおよびクロム顔料(鉛、亜鉛、バリウム、カルシウムおよびそれらの混合物および変性物のクロム酸塩、モリブデン酸塩および混合クロム酸塩および硫酸塩を含め、これらは、プリムローズ、レモン、ミドル、オレンジ、スカーレットおよびレッドクロムの名称で、黄緑色〜赤色顔料として市販されている)がある。有機顔料の例には、アゾ、ジスアゾ、縮合アゾ、チオインジゴ、インダンスロン、チオインダンスロン、アンタンスロン、アントラキノン、イソジベンズアントロン、トリフェンジオキサジン、キナクリドンおよびフタロシアニン系列(特に、銅フタロシアニン)およびその核ハロゲン化誘導体、また、酸性染料、塩基性染料および媒染染料のレーキに由来のものがある。カーボンブラックは、厳密に言えば無機であるが、その分散特性において、有機顔料のように挙動する。好ましい有機顔料には、フタロシアニン(特に、銅フタロシアニン)、モノアゾ、ジスアゾ、インダンスロン、アンタンスロン、キナクリドンおよびカーボンブラックがある。
【0050】
他の好ましい微粒子固形物には、以下がある:増量剤および充填剤(例えば、タルク、カオリン、シリカ、バライト粉およびチョーク);微粒子セラミック材料(例えば、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、混合した窒化ケイ素−窒化アルミニウムおよびチタン酸金属);微粒子磁性材料(例えば、遷移金属の磁性酸化物(例えば、遷移金属(特に、鉄およびクロム)の磁性酸化物(例えば、γ−Fe、Fe)およびコバルトをドープした鉄酸化物、酸化カルシウム、フェライト(特に、バリウムフェライト)));および金属粒子(特に、金属の鉄、ニッケル、コバルトおよびそれらの合金);農薬(例えば、殺真菌薬であるフルトリアヘン、カルベンザジム、クロロタロニルおよびマンコザブ)および難燃剤(例えば、アルミニウム三水和物および水酸化マグネシウム)。
【0051】
この組成物中で存在している有機媒体は、好ましくは、極性有機媒体または実質的に非極性の芳香族炭化水素またはハロゲン化炭化水素である。「極性」との用語は、この有機媒体と関連して、「A Three Dimensional Approach to
Solubility」(Crowleyら、Journal of Paint Technology、Vol.38,1966,269ページ)の表題の文献で記述されているように、中程度から強い結合を形成できる有機液体または樹脂を意味する。このような有機媒体は、一般に、上記文献で定義されているように、5以上の水素結合数を有する。
【0052】
適当な極性有機液体の例には、アミン、エーテル(特に、低級アルキルエーテル)、有機酸、エステル、ケトン、グリコール、アルコールおよびアミドがある。このような中程度に強力な水素結合液体の多数の具体例は、Ibert Mellanによる「Compatibility and Solubility」(Noyes Development Corporationにより、1968年に公開された)の表題の本の表2.14、39〜40ページで示されており、これらの液体は、全て、本明細書中で使用される極性有機液体という用語の範囲内に入る。
【0053】
好ましい極性有機液体には、ジアルキルケトン、アルカンカルボン酸とアルカノールとのアルキルエステルがあり、特に、このような液体は、全体で6個まで(6個を含めて)の炭素原子を含有する。好ましい液体および特に好ましい液体の例として、ジアルキルおよびシクロアルキルケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルn−アミルケトンおよびシクロヘキサノン);アルキルエステル(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、ギ酸エチル、プロピオン酸メチル、酢酸メトキシプロピルおよび酪酸エチル);グリコールならびにグリコールエステルおよびエーテル(例えば、エチレングリコール、2−エトキシエタノール、3−メトキシプロピルプロパノール、3−エトキシプロピルプロパノール、酢酸2−ブトキシエチル、酢酸3−メトキシプロピル、酢酸3−エトキシプロピルおよび酢酸2−エトキシエチル);アルカノール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールおよびイソブタノール)およびジアルキルエーテルおよび環状エーテル(例えば、ジエチルエーテルおよびテトラヒドロフラン)が言及され得る。
【0054】
単独でまたは上述の極性溶媒のいずれかと混合して、のいずれかで使用され得る実質的に非極性の有機液体には、芳香族炭化水素(例えば、トルエンおよびキシレン)、脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、石油留出物(例えば、ホワイトスピリット、鉱油、植物油))およびハロゲン化脂肪族および芳香族炭化水素(例えば、トリクロロエチレン、パークロロエチレンおよびクロロベンゼン)がある。
【0055】
適当な極性樹脂の例には、本発明の分散形状用の媒体として、フィルム形成樹脂(例えば、インク、塗料、および種々の用途(例えば、塗料およびインク)で使用するチップ)がある。このような樹脂の例には、ポリアミド(例えば、Versamid(登録商標)およびWolfamid(登録商標))およびセルロースエーテル(例えば、エチルセルロースおよびエチルヒドロキシエチルセルロース)が挙げられる。塗料樹脂の例には、ショートオイルアルキド/メラミン−ホルムアルデヒド、ポリエステル/メラミン−ホルムアルデヒド、熱硬化性アクリル/メラミン−ホルムアルデヒド、ロングオイルアルキドおよび多媒体樹脂(例えば、アクリルおよび尿素/アルデヒド)が挙げられる。
【0056】
この樹脂はまた、不飽和ポリエステル樹脂(いわゆるシート成形化合物およびバルク成形化合物(これは、強化繊維および充填剤と共に調合され得る))であり得る。このような成形化合物は、DE 3,643,007およびP F Bruinsによる「Unsaturated Polyester Technology」の表題の研究論文(Gordon and Breach Science publishers、1976、211〜238ページ)で記述されている。
【0057】
もし望ましいなら、これらの分散体は、他の成分(例えば、樹脂(この場合、それらは、この有機媒体を既に構成していない)、結合剤、流動化剤(例えば、GB−A−1508576およびGB−A−2108143で記述されているもの)、沈降防止剤、可塑剤、レベリング剤および防腐剤)を含有し得る。
【0058】
この組成物は、典型的には、5〜95重量%の微粒子固形物を含有するが、その正確な量は、この固形物の性質および固形物および有機媒体の相対密度に依存している。例えば、この固形物が有機材料(例えば、有機顔料)である組成物は、好ましくは、15〜60重量%の固形物を含有するのに対して、この固形物が無機材料(例えば、無機顔料、充填剤または増量剤)である組成物は、好ましくは、組成物の全重量を基準にして、40〜90重量%の固形物を含有する。
【0059】
この組成物は、好ましくは、40℃以下(特に、30℃以下)の温度で、この微粒子固形物を有機媒体中で粉砕することにより、調製される。しかしながら、この固形物が粗フタロシアニン顔料(例えば、銅フタロシアニン)であるとき、緑が濃く明るい陰影が得られ得るので、時には、50℃と150℃の間の温度で、有機液体中にて、この粉砕を実行することが好ましい。これは、特に、この有機液体が高沸点の脂肪族および/または芳香族留出物である場合に当てはまる。
【0060】
この組成物は、分散体を調製するのに公知の従来の方法のいずれかにより、得られ得る。それゆえ、この固形物、有機媒体および分散剤は、任意の順序で混合され得、その混合物は、次いで、機械的な処理にかけられて、この固形物の粒子は、その分散体が形成されるまで、例えば、ボール粉砕、ビーズ粉砕、グラベル粉砕またはプラスチック粉砕により、適当な大きさまで縮小される。あるいは、この固形物は、個々にまたは有機媒体または分散剤のいずれかとの混合物中で、その粒径を低下するように処理され得、次いで、他の成分が加えられ、その混合物は、かき混ぜられて、この分散体が得られる。
【0061】
もし、この組成物が乾燥形状であるなら、その液体媒体は、好ましくは、簡単な分離手段(例えば、蒸発)により微粒子固形物から除去され得るように、揮発性である。しかしながら、この組成物は、この液体媒体を含有することが好ましい。
【0062】
この乾燥組成物は、分散剤および微粒子固形物が本質的になるなら、好ましくは、この微粒子固形物の重量を基準にして、少なくとも0.2%、さらに好ましくは、少なくとも0.5%、特に、少なくとも1.0%の分散剤を含有する。好ましくは、この乾燥組成物は、この微粒子固形物の重量を基準にして、100重量%以下、好ましくは、50重量%以下、さらに好ましくは、20重量%以下、特に、10重量%以下の分散剤を含有する。
【0063】
先に記述したように、これらの組成物は、その微粒子固形物を微粒子固形物およびフィルム形成樹脂結合剤の両方の存在下にて液体媒体中で粉砕する場合、ミルベースを調製するのに特に適当である。
【0064】
それゆえ、本発明のさらに他の局面によれば、微粒子固形物、分散剤およびフィルム形成樹脂を含有するミルベースが提供される。
【0065】
典型的には、このミルベースは、その全重量を基準にして、20〜70重量%の微粒子固形物を含有する。好ましくは、この微粒子固形物は、このミルベースの30重量%以上、特に、50重量%以上である。
【0066】
このミルベース中の樹脂の量は、広範囲にわたって変えることができるが、好ましくは、ミルベースの連続相/液体相の10重量%以上、特に、20重量%以上である。好ましくは、樹脂の量は、ミルベースの連続相/液体相の50重量%以下、特に、40重量%以下である。
【0067】
このミルベース中の分散剤の量は、微粒子固形物の量に依存しているが、好ましくは、そのミルベースの0.5〜5重量%である。
【0068】
これらのポリウレタン分散剤は、当該技術分野で公知の任意の方法により調製され、そして以下を共に反応させることにより得ることができるか得られる:
a)2.0〜2.5の平均官能性を有する1種またはそれ以上のポリイソシアネート;
b)少なくとも1種のポリエステル、ポリエーテル、ポリアクリレートまたはポリオレフィン鎖とイソシアネートと反応する少なくとも2個の基(このポリエステル、ポリエーテル、またはポリアクリレート鎖がそのポリウレタン重合体骨格に対して側方に配置されるように、この化合物の1つの末端に位置している)とを有する1種またはそれ以上の化合物;
c)必要に応じて、酸基またはアミノ基(それらの塩を含めて)とイソシアネートと反応する少なくとも2個の基とを有する1種またはそれ以上の化合物;
d)必要に応じて、32〜3,000の数平均分子量を有する1種またはそれ以上の形成化合物(これらは、イソシアネートと反応する少なくとも2個の基を有する);
e)必要に応じて、鎖停止剤として作用する1種またはそれ以上の化合物(これらは、イソシアネートと反応する1個の基を含有する);
f)必要に応じて、鎖停止剤として作用する1種またはそれ以上の化合物(これらは、単一のイソシアネート基を含有する)。
【0069】
先に述べたように、これらのポリウレタン分散剤は、基本的に直鎖の骨格を有し、結果的に、成分(b)、(c)および(d)がイソシアネートと反応する2個の基だけを含有することがずっと好ましい。また、成分(a)は、2.1〜2.0の官能性を有し、特に、約2の官能性を有することも、これがポリウレタン分散剤の鎖間の架橋を制限するので、好ましい。
【0070】
好ましくは、成分(a)は、ジイソシアネートまたはジイソシアネート混合物(例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサンジイソシアネート(HDI)、α,α−テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(4,4’−MDI)、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート(2,4’−MDI)およびジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(HMDI)である。好ましくは、成分(a)は、TDIまたはIPDIまたはMDIのいずれかである。
【0071】
成分(b)であるポリエーテル鎖を有する化合物は、好ましくは、ポリ(C2〜3−アルキレンオキシド)であり、これは、60%未満のポリ(エチレンオキシド)を含有し、また、好ましくは、イソシアネートと反応する2個の基を含有する。好ましくは、エチレンオキシドの量は、このポリ(C2〜3−アルキレンオキシド)鎖の40重量%未満、特に、20重量%未満である。イソシアネートと反応する基を含有する有機化合物にポリエーテル側鎖を取り込む多数の方法がある。
【0072】
それゆえ、イソシアネートと反応する2個の基が両方共にヒドロキシである場合、ポリ(C2〜4−アルキレンオキシド)鎖は、好都合には、2またはそれ以上の官能性を有するイソシアネートにより、結合され得る。この種の化合物は、US 4,794,147で記述されており、これには、一官能性ポリエーテルをポリイソシアネートと反応させて部分的にキャップ化したイソシアネート中間体を生成する工程およびこの中間体を少なくとも1個の活性アミノ水素および少なくとも2個の活性水酸基を有する化合物と反応させる工程が関与している。
【0073】
この種の好ましい種類の化合物は、式1により、提供され得る。
【0074】
【化5】

【0075】
ここで、
Rは、C1〜20−ヒドロカルビル基である;
は、水素、メチルまたはエチルであり、その60%未満は、水素である;
およびRは、それぞれ別個に、C1〜8−ヒドロキシアルキルである;
Zは、C2〜4−アルキレンである;
Xは、−O−または−NH−である;
Yは、ポリイソシアネートの残基である;
mは、5〜150である;
pは、1〜4である;そして
qは、1または2である。
【0076】
Rは、アルキル、アラルキル、シクロアルキルまたはアリールであり得る。
【0077】
Rは、アラルキルのとき、好ましくは、ベンジルまたは2−フェニルエチルである。
【0078】
Rは、シクロアルキルのとき、好ましくは、C3〜8−シクロアルキル(例えば、シクロヘキシル)である。
【0079】
Rは、アリールのとき、好ましくは、ナフチルまたはフェニルである。
【0080】
Rは、アルキルのとき、直鎖または分枝であり得、好ましくは、12個以下、さらに好ましくは、8個以下、特に、4個以下の炭素原子を含有する。Rは、メチルまたはブチルであることが特に好ましい。
【0081】
Zで表わされるC2〜4−アルキレンラジカルは、エチレン、トリメチレン、1,2−プロピレンまたはブチレンであり得る。
【0082】
好ましくは、mは、10以上である。また、mは、100以下、特に、80以下であることも好ましい。
【0083】
qが2であるとき、2個の異なるポリウレタン重合体鎖を連結することが可能であるが、qが1であることは、ずっと好ましい。
【0084】
このポリイソシアネートが2より大きい官能性を有するとき、成分(b)である化合物は、1個より多いポリ(アルキレンオキシド)鎖を備え得る。しかしながら、pが1であり、qが1であり、そしてYがジイソシアネートの残基であることがずっと好ましい。
【0085】
が水素およびメチルの混合物であり、Zが1,2−プロピレンであり、そしてXが−NH−であるとき、式1の化合物は、ポリアルキレングリコールアミンの誘導体(例えば、JeffamineTM Mポリエーテル(これは、Huntsman Corporationから入手できる))である。
【0086】
好ましくは、RおよびRは、両方共に、2−ヒドロキシエチルである。
【0087】
また、XがOであることも好ましい。
【0088】
式1の化合物は、典型的には、必要に応じて酸触媒の存在下にて所望のイソシアネート値に達するまで、不活性溶媒(例えば、トルエン)中にて、50〜100℃の温度で、一官能性ポリエーテルとポリイソシアネートとを反応させることにより、調製される。1実施態様では、この酸触媒は、存在しており、他の実施態様では、この酸触媒は、存在していない。次いで、この温度は、通常、必要な第二級アミン(例えば、ジエタノールアミン)を加えるとき、40℃と60℃の間に低下される。
【0089】
式1の有用な化合物は、ポリ(プロピレングリコール)モノメチルエーテル、ポリ(プロピレングリコール)モノブチルエーテルまたはJeffamineTM M系列ポリエーテル(これは、250〜5,000の数平均分子量を有する)とジイソシアネート(例えば、TDI)とを反応させることに続いてジエタノールアミンと反応させることにより、成分(b)として使用した。
【0090】
成分(b)として使用できる第二の好ましい種類の化合物は、式2の化合物である。
【0091】
【化6】

【0092】
ここで、
R、R、Zおよびmは、先に定義したとおりである;
は、イソシアネート反応性有機ラジカル(基)である;
は、水素またはイソシアネート反応性有機ラジカルである;そして
nは、0または1である。
【0093】
式2の化合物の例は、EP 317258で開示されている。
【0094】
およびRで表わされる有機ラジカルは、イソシアネート反応性基を含有する有機ラジカル(例えば、−OH、−SH、−COOH、−POおよび−NHR(ここで、Rは、水素または必要に応じて置換したアルキルである))である。イソシアネート反応性ラジカルの具体例として、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルコキシアルキル、ヒドロキシ(ポリアルキレンオキシ)アルキルおよびヒドロキシアルコキシカルボニルアルキルが言及され得る。
【0095】
式2の好ましい種類の化合物は、nが0であり、Zが1,2−プロピレンであり、Rが−CHCHC(O)−O−(L)−Hである場合である。ここで、Lは、ヒドロカルビル基またはアルコキシ基であり、好ましくは、Lは、C〜Cヒドロカルビル基またはアルコキシ基である;そしてqは、1〜20、好ましくは、1〜6であり、最も好ましくは、1である。Rは、水素である。この種の化合物は、ポリ(アルキレンオキシド)モノアルキルエーテルモノアミンとヒドロキシ官能性アクリレート(例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチルまたはアクリル酸ヒドロキシプロピル)のマイケル付加反応により、得ることができるか得られる。ポリ(アルキレンオキシド)モノアルキルエーテルモノアミンの適当な原料は、JeffamineTM M系列のポリエーテル(これらは、Huntsman Corporationから入手できる)である。このポリ(アルキレンオキシド)モノアルキルエーテルモノアミンと2−ヒドロキシ官能性アクリレートとの間の反応は、典型的には、空気の存在下にて、50〜100℃の温度で、必要に応じて、重合禁止剤(例えば、ヒドロキノンまたはブチル化ヒドロキシトルエン)の存在下にて、実行される。
【0096】
式2の他の好ましい種類の化合物は、nが0であり、Zが1,2−プロピレンであり、そしてRおよびRが、両方ともに、2−ヒドロキシエチルである場合である。この種の化合物は、酸性条件下にて、ポリ(アルキレンオキシド)モノアルキルエーテルモノアミンとエチレンオキシドとを反応させることにより、調製され得る。
【0097】
式2のさらに他の好ましい種類の化合物は、nが0であり、Zが1,2−プロピレンであり、Rが−CHCHC(O)−O−(L)−Hであり、そしてRが水素である場合である。ここで、Lは、ヒドロカルビル基またはアルコキシ基、好ましくは、Lは、C〜Cヒドロカルビル基またはアルコキシ基である;そしてqは、1〜20、好ましくは、1〜6、最も好ましくは、1である。Rは、水素である。この種の化合物は、酸性条件下にて、ポリ(アルキレンオキシド)モノアルキルエーテルモノアミンと約1化学量論当量のエチレンオキシドとを反応させることにより、調製され得る。
【0098】
ポリ(アルキレンオキシド)モノアルキルエーテルモノアミンはまた、以下の一般スキームに従って、ポリ(アルキレンオキシド)モノアルキルエーテルとアクリロニトリルとの反応および水素還元により得られ得、ここで、RおよびRは、先に記述したとおりである。
【0099】
【化7】

【0100】
式2のさらに他の種類の化合物(ここで、nは、0であり、Zは、1,3−プロピレンであり、Rは、2−ヒドロキシエチルであり、そしてRは、水素である)は、式2Aのポリ(アルキレンオキシド)モノアルキルエーテルモノアミンとヒドロキシ官能性アクリレート(例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチルまたはアクリル酸ヒドロキシプロピル)との間の反応により、得られ得る。
【0101】
成分(b)として使用され得る第三の好ましい種類の化合物は、式3の化合物である:
【0102】
【化8】

【0103】
ここで、R、Rおよびmは、先に定義したとおりであり、そしてWは、C2〜6−アルキレン、特に、エチレンである。この種の化合物は、ヒドロキシアミンおよびポリ(アルキレンオキシド)アクリレートのマイケル付加反応により、得ることができるか得られる。
【0104】
成分(b)として使用され得る第四の好ましい種類の化合物は、式4の化合物である:
【0105】
【化9】

【0106】
ここで、
R、R、Z、mおよびnは、先に定義したとおりである;
は、水素、ハロゲンまたはC1〜4アルキルを表わす;
Qは、二価電子求引基である;そして
Tは、二価炭化水素ラジカルであり、これらは、置換基を備え得るか、またはヘテロ原子を含有し得る。
【0107】
Qで表わされ得る電子求引基の例には、−CO−、−COO−、−SO−、−SO−、−SOO−および−CONR−(ここで、Rは、水素またはアルキルである)が挙げられる。
【0108】
Tで表わされ得る炭化水素ラジカルには、アルキレン、アリーレンおよびそれらの混合物が挙げられ、該ラジカルは、必要に応じて、置換基を備えているかヘテロ原子を含有している。Tで表わされる適当なラジカルの例には、1個〜12個の炭素原子を含有するアルキレンラジカル、オキシアルキレンおよび式−(CHCHRO)(ここで、Rは、先に定義したとおりであり、そしてxは、1〜10である)のポリオキシアルキレンラジカル、フェニレンおよびジフェニレンラジカルおよび他のアリーレンラジカル
【0109】
【化10】

【0110】
(例えば、ここで、Yは、−O−、−S−、−CH−、−CO−または−SO−である)がある。
【0111】
式4の化合物は、2モルのポリ(アルキレンオキシド)モノアルキルエーテルモノアミンと1モルの式5の不飽和化合物とのマイケル付加反応により、得ることができるか得られる。
【0112】
【化11】

【0113】
ここで、Q、TおよびRは、先に定義したとおりである。
【0114】
式5の不飽和化合物の例には、特に、ジアクリレートおよびジメタクリレートがあり、ここで、Tは、C4〜10−アルキレン残基、ポリオキシアルキレン残基またはオキシエチル化ビスフェノールA残基である。
【0115】
成分(b)がイソシアネートと反応する2個の基を含有するポリエステルであるとき、そのポリエステル鎖は、ヒドロキシまたはカルボキシ含有化合物(これは、重合停止部分として、作用する)のいずれかの存在下にて、1種またはそれ以上のヒドロキシカルボン酸またはそれらのラクトンを重合させることにより、製造され得る。
【0116】
鎖停止化合物としてヒドロキシ含有化合物を使用して得られたポリエステルは、好ましくは、式6の化合物である。
【0117】
【化12】

【0118】
ここで、
mは、先に定義したとおりである;
は、C1〜50−ヒドロカルビル基である;そして
Aは、C1〜26−アルキレンおよび/またはC2〜26−アルケニレンである。
【0119】
鎖停止化合物としてカルボン酸含有化合物を使用して得られたポリエステルは、好ましくは、式7の化合物である。
【0120】
【化13】

【0121】
ここで、
、Aおよびmは、先に定義したとおりである。
【0122】
式6および/または7のポリエステルは、典型的には、50〜250℃で、不活性雰囲気で、エステル化触媒の存在下にて、1種またはそれ以上のヒドロキシカルボン酸とヒドロキシ含有化合物またはカルボキシ含有化合物のいずれかとを反応させることにより、製造される。典型的なプロセス条件は、WO 01/80987で記述されている。
【0123】
式6の化合物は、式1の化合物の調製について記述した条件と類似の条件下にて、ポリイソシアネートおよび第二級アミンと反応され得、ポリエステル類似物が形成される。
【0124】
式7の化合物は、ジオール(例えば、エチレングリコールまたはプロピレングリコール)と反応させることより、モノヒドロキシ化合物に変換され得、得られたモノヒドロキシ誘導体は、式1のポリエーテルと類似のポリエステルを調製する際に、式6の化合物と類似の様式で処理される。
【0125】
そのポリエステルの一端でイソシアネートと反応性である2個の官能基を含有するポリエステルは、アミノアルコールとポリエステルアクリレート(例えば、ポリカプロラクトンアクリレート)とエタノールアミンとのマイケル付加により、調製され得る。
【0126】
成分(b)は、ポリ(アルキ)アクリレート鎖を含有する化合物であるとき、好ましくは、アクリレート鎖の一端で2個の水酸基を含有するかまたはアクリレート鎖の一端で1個の水酸基と1個のイミノ基とを含有するかいずれかであるポリ(メタ)アクリレートである。これらの2個の水酸基または1個の水酸基と1個のイミノ基は、好ましくは、1個〜6個の炭素原子で分離されている。この種のポリアクリレートは、以下の反応スキームで図示されているように、例えば、原子移動ラジカル重合(Atom Transfer Radical Polymerisation)により、ジオールとアクリレートとを反応させることにより、得ることができるか得られる。この種の反応は、Macromolecules 1995,28,1721および1997,30,2190ならびにJ.Am.Chem.Soc.1995,117,5614で開示されている。
【0127】
【化14】

【0128】
ここで、R10は、C1〜20−ヒドロカルビル基であり、そしてmは、先に定義したとおりである。
【0129】
あるいは、ジヒドロキシ官能性ポリ(アルキ)アクリレートは、以下の反応スキームに従って、ジヒドロキシ官能性連鎖移動剤(例えば、チオグリセロール)の存在下にて、(メタ)アクリレートモノマーを遊離ラジカル重合することにより、調製され得る。
【0130】
この反応は、好ましくは、開始剤(例えば、アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN))の存在下にて、実行される。
【0131】
【化15】

【0132】
ここで、R10およびmは、先に定義したとおりである。
【0133】
モノヒドロキシ官能性重合体鎖(ポリエーテル、ポリエステルまたはポリ(アルキ)アクリレート)は、イソシアネート官能性アクリレートとの第一反応に続いて得られた付加物へのアルカノールアミンのマイケル付加により、一端に水酸基およびイミノ基の両方を含有する重合体鎖に変換され得る。
【0134】
以下のスキームは、モノヒドロキシ官能性ポリエステルで出発するこのような合成変換を図示している。
【0135】
【化16】

【0136】
ここで、R10およびmは、先に定義したとおりである。
【0137】
成分(b)は、ポリオレフィン鎖を含有する化合物であるとき、好ましくは、ポリオレフィン鎖の一端で2個の水酸基を含有するかまたはポリオレフィン鎖の一端で1個の水酸基と1個のイミノ基とを含有するかいずれかであるポリオレフィンである。このポリオレフィン鎖は、ポリイソブチレンであることが好ましい。その鎖の一端で2個またはそれ以上のイソシアネート反応性基を含有するポリイソブチレン鎖は、ポリイソブテニル無水コハク酸(PIBSA)から調製され得る。PIBSAとアルキルジアミンとを反応させると、一端で第一級アミンを有するポリイソブチレンが生じる。
【0138】
【化17】

【0139】
これは、1種のPIBSAについて図示している:
この第一級アミン末端ポリイソブチレン鎖は、ポリ(アルキレンオキシド)モノアルキルエーテルモノアミンについて上で記述した方法と類似の方法で、ヒドロキシ官能性アクリレートのマイケル付加により、またはエチレンオキシドの付加により、変換され得、2個のイソシアネート反応性基を有する生成物が生じる。
【0140】
先に開示したように、成分(c)は、酸基またはアミン基とイソシアネートと反応する少なくとも2個の基とを含有する化合物である。好ましくは、この化合物は、その分散剤の隣接鎖間の架橋を制限するので、イソシアネートと反応する2個の基だけを含有する。酸基が好ましい。この酸基は、ホスホン酸、スルホン酸または好ましくは、カルボン酸(それらの混合物を含めて)であり得る。好ましくは、イソシアネートと反応する成分(c)の基は、両方共に、水酸基である。成分(a)である好ましいジオールは、式8の化合物である。
【0141】
【化18】

【0142】
ここで、R11基、R12基およびR13基の少なくとも2個は、C1〜6−ヒドロキシアルキルであり、残りは、C1〜6−ヒドロカルビル基(これは、直鎖または分枝のアルキル、アリール、アラルキルまたはシクロアルキルであり得る)であり、Mは、水素またはアルカリ金属カチオン、または四級アンモニウムカチオンである。カルボン酸成分の好ましい例には、ジメチロールプロピオン酸(DMPA)およびジメチロール酪酸(DMBA)がある。
【0143】
成分(c)である酸含有化合物は、カルボン酸基に加えてまたはその代わりに、他の酸基(例えば、ホスホン酸基またはスルホン酸基)を含有し得る。このような化合物の一例には、1,3−ベンゼンジカルボン酸−5−スルホ−1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)エステル(EGSSIPA)がある。
【0144】
成分(c)がイソシアネートと反応する2個の基に加えて塩基性基を備えているとき、この塩基性基は、イソシアネートと反応しないことが必須である。この種の塩基性基には、脂肪族第三級アミン、ヒンダード芳香族アミンおよび窒素複素環化合物(これは、脂環族または芳香族であり得る)がある。ヒンダード芳香族アミンの例には、その2位置および/または6位置に立体障害基を有するフェニルアミンがある。塩基性基を有する成分(c)の具体例には、N−メチルジエタノールアミン(NMDA)、N−フェニルジエタノールアミン(NPDA)およびN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)イソニコチンアミド(HEINA)がある。
【0145】
このポリウレタンの成分(d)の形成化合物は、好ましくは、イソシアネートの反応性に関して二官能性であるが、そのポリウレタン重合体骨格の少量の分枝が望ましい場合、少量のより高い官能性が使用され得る。しかしながら、成分(d)は、二官能性であることが好ましい。好ましい反応性基には、アミノおよびヒドロキシがあり、成分(d)は、ジアミンまたは特にジオールであることがずっと好ましい。成分(d)は、もし存在するなら、主に、鎖伸長剤として使用されて、このポリウレタン重合体の溶解性を変える。
【0146】
適当なジアミンの例には、エチレンジアミン、1,4−ブタンジアミンおよび1,6−ヘキサンジアミンがある。
【0147】
適当なジオールの例には、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、1,2−ドデカンジオール、2−フェニル−1,2−プロパンジオール、1,4−ベンゼンジメタノール、1,4−ブタンジオールおよびネオペンチルグリコールがある。このジオールはまた、ポリエーテル(例えば、ポリ(C2〜4−アルキレングリコール))、ポリエステルまたはポリアクリルジオールであり得る。このポリアルキレングリコールは、繰り返しのエチレンオキシ、プロピレンオキシまたはブチレンオキシ基(それらの混合物を含めて)を含有するランダムまたはブロック(共)重合体であり得る。
【0148】
先に開示したように、このポリウレタン重合体骨格は、基本的に直鎖の性質であることが好ましい。しかしながら、ある程度少量の分枝は容認され得、この分枝は、好都合には、さらに官能性が高いポリオール(例えば、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンまたはペンタエリスリトール)によって、導入され得る。
【0149】
先に開示したように、成分(e)である鎖停止化合物は、このイソシアネートに関して、一官能性である。この一官能性基は、好ましくは、アミノ基または水酸基である。好ましい停止基は、このポリウレタンの成分(b)である側方側鎖化合物の調製で使用されるものと類似のポリ(C2〜4−アルキレン)モノアルキルエーテルおよびモノアルキルエーテルアミンである。
【0150】
鎖停止化合物(成分f)として作用するモノイソシアネートの一例には、フェニルイソシアネートがある。
【0151】
成分(f)の量は、ゼロであることがずっと好ましい。
【0152】
これらのポリウレタン重合体を得ることができる上述の化合物の典型的な量は、15〜50%の成分(a)、10〜80%の成分(b)、0〜24%の成分(c)、0〜25%の成分(d)、0〜50%の成分(e)および0〜20%の成分(f)であり、全ては、そのポリウレタン重合体の全重量に基づいている。
【0153】
成分(e)が一官能性ポリエーテル、ポリエステル、ポリ(アルキ)アクリレートまたはポリオレフィンであるとき、成分(e)と共に成分(b)の全量は、好ましくは、35%以上であり、成分(e)が一官能性ポリエーテル、ポリエステルまたはポリ(アルキ)アクリレート以外のものである場合、成分(b)の量は、好ましくは、35%以上である。
【0154】
本発明によるポリウレタン重合体は、当該技術分野で公知の任意の方法により、調製され得る。典型的には、このポリウレタン重合体は、実質的に無水の条件下にて、不活性雰囲気(これは、典型的には、0℃と130℃の間の温度である)で、必要に応じて、不活性溶媒の存在下にて、必要に応じて、触媒の存在下にて、2.0〜2.5の官能性を有する1種またはそれ以上のイソシアネート(成分(a))と以下から選択される1種またはそれ以上の化合物とを反応させることにより、得ることができるか得られる:ポリ(C2〜4−アルキレンオキシド)鎖を有するポリエーテル、ポリエステル、ポリアクリルまたはポリオレフィン(各々は、一端で位置しているイソシアネート反応する少なくとも2個の基を有することにより、特徴付けられる(成分(b))。必要に応じて、この反応はまた、少なくとも1個の酸基またはアミン基(成分(c))を有する1種またはそれ以上の化合物および鎖伸長剤として作用する1種またはそれ以上の形成化合物(成分(d))および必要に応じて、成分(e)および(f)である鎖停止化合物として作用する1種またはそれ以上の化合物の存在下にて、実行され得る。
【0155】
この不活性雰囲気は、周期表のいずれかの不活性ガスにより供給され得るが、好ましくは、窒素である。
【0156】
このポリウレタン重合体/プレポリマーの調製は、触媒の存在下にて、実行され得る。特に好ましい触媒には、脂肪酸のスズ錯体(例えば、ジブチルスズジラウレート(DBTDL))および第三級アミンがある。
【0157】
本発明によるポリウレタン重合体の必須の特徴は、規定量の側方重合体側鎖(これは、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリエステル、ポリ(アルキ)アクリレートまたはポリオレフィンであり得る)を含有する主に直鎖のポリウレタン重合体骨格を含むことである。それゆえ、イソシアネート基とイソシアネート反応性基(残留イソシアネート官能性を有するプレポリマーの調合物を含めて)との比に関して、当業者に明らかな多くの変種が存在している。ある場合には、成分(a)により提供される全イソシアネート基の割合は、成分(b)および成分(c)、(d)および(e)(存在するとき)により提供されるイソシアネート反応性基の全数より少ない。任意の末端イソシアネート反応性基が反応され得る。
【0158】
あるいは、成分(a)および必要に応じて成分(f)により提供されるイソシアネート基の全数の割合は、成分(b)および成分(c)、(d)および(e)(存在するとき)により提供されるイソシアネート反応性基の全数より多い。次いで、得られたポリウレタンは、残りのイソシアネート官能性を含有するプレポリマーとなる。次いで、このプレポリマーは、必要に応じて、水または他の極性溶媒に溶解する前に、もしくは間に、異なるプレポリマー鎖を共に結合させる他の鎖伸長剤(例えば、成分(d))と反応され得、および/または鎖停止化合物(これらは、成分(e)である)と反応され得る。1実施態様では、プレポリマーは、水または他の極性溶媒に溶解する前に、鎖伸長剤と反応される。1実施態様では、プレポリマーは、水または他の極性溶媒に溶解中に、鎖伸長剤と反応される。1実施態様では、プレポリマーは、水または他の極性溶媒なしで、鎖伸長剤と反応される。1実施態様では、プレポリマーは、水なしで、鎖伸長剤と反応され得る。
【0159】
プレポリマーの調製は、特に、この反応をいずれの溶媒もなしで実行する状況では、ポリウレタン重合体の調製中に粘度を制御する手段となるので、有用であり得る。
【0160】
イソシアネート官能性を含有するプレポリマーを調製するとき、鎖伸長は、水それ自体、またはポリオール、アミノアルコール、第一級または第二級の脂肪族、脂環族、芳香族、芳香脂肪族または複素環のポリアミン(特に、ジアミン)、ヒドラジンまたは置換ヒドラジンにより、実行され得る。
【0161】
適当な鎖伸長剤の例には、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、シクロヘキシレンジアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、トリス(2−アミノエチル)アミン、3,3’−ジニトロベンジジン、4,4’−メチレンビス(2−クロラニリン)、3,3’−ジクロロ−4,4’−ビフェニルジアミン、2,6−ジアミノピリジン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、メタンジアミン、m−キシレンジアミン、イソホロンジアミン、およびジエチレントリアミンとアクリレートとの付加物またはその水和生成物が挙げられる。また、ヒドラジンのような物質、アジン(例えば、アセトンアジン)、置換ヒドラジン(例えば、ジメチルヒドラジン、1,6−ヘキサメチレン−ビス−ヒドラジン、カルボジヒドラジン)、ジカルボン酸およびスルホン酸のヒドラジド(例えば、アジピン酸モノ−またはジヒドラジド、キサ酸(xalic acid)ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、1,3−フェニレンジスルホン酸ジヒドラジド、ω−アミノカプロン酸ジヒドラジド)、ラクトンとヒドラジドとを反応させることにより製造されるヒドラジド(例えば、γ−ヒドロキシ酪酸ヒドラジド、グリコール(上述のグリコールのいずれか)のビス−セミカルバジド炭酸エステル)。ヘキサメチレンジアミンは、特に好ましい。
【0162】
この鎖伸長は、高温、低温または常温で行うことができる。好都合な温度は、約5℃〜約95℃である。
【0163】
このポリウレタン重合体の調製でプレポリマーを使用するとき、鎖伸長剤および鎖停止化合物の量は、そのポリウレタン重合体の分子量を制御するように選択される。この鎖伸長剤中のイソシアネート反応性基の数がプレポリマー中の遊離イソシアネート基の数とほぼ等しいとき、高い分子量が好ましい。このポリウレタン重合体との反応において鎖伸長剤と鎖停止剤との組み合わせを使用することにより、低い分子量のポリウレタン重合体が好ましくなる。
【0164】
粘度を制御するために、このポリウレタン重合体/プレポリマーの形成前、形成中または形成後にて、不活性溶媒が加えられ得る。適当な溶媒の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジグリム、N−メチルピロリドン、酢酸ブチル、酢酸メトキシプロピル、酢酸エチル、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、エチレングリコールアセテートおよびプロピレングリコールアセテートのアルキルエーテル、トルエン、キシレンおよび立体障害アルコール(例えば、t−ブタノールおよびジアセトンアルコール)がある。好ましい溶媒には、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシプロピルおよびN−メチルピロリドンがある。
【0165】
このポリウレタン重合体の数平均分子量は、2,000以上、さらに好ましくは、3,000以上、特に、4,000以上である。また、このポリウレタン重合体の数平均分子量は、50,000以下、さらに好ましくは、30,000以下、特に、20,000以下であることが好ましい。
【0166】
先に述べたように、これらのポリウレタン分散剤の一部は、新規である。それゆえ、本発明のさらに他の局面として、ポリ(C2〜4−アルキレンオキシド)の基本的に直鎖の骨格および側方に結合した溶媒溶解性ポリエーテル側鎖(これは、そのポリ(C2〜4−アルキレンオキシド)鎖に対して、60重量%未満のエチレンオキシドを含有する)を有するポリウレタン分散剤が提供される。このような分散剤の1つの好ましい下位群では、このポリ(C2〜4−アルキレンオキシド)鎖は、イソシアネートと反応するポリエーテル鎖の一端で1個の水酸基と1個のイミノ(第二級アミン)基とを含有するポリエーテルの残基である。ポリエーテル分散剤の第二の好ましい下位群では、このポリ(C2〜4−アルキレンオキシド)鎖は、イソシアネートと反応し5個以上の原子で分離されたポリエーテル鎖の一端で2個の水酸基を含有するポリエーテルの残基である。
【0167】
本発明のさらに他の局面では、このポリ(C2〜4−アルキレンオキシド)鎖に対して60重量%未満のエチレンオキシドと各100mgの分散剤に対して10〜180ミリ当量のイオン性基(好ましくは、カルボン酸)とを含有するポリ(C2〜4−アルキレンオキシド)の基本的に直鎖の骨格および側方に結合した溶媒溶解性ポリエーテル側鎖を有するポリウレタン分散剤が提供される。
【0168】
本発明のさらに他の局面として、基本的に直鎖の骨格および側方に結合した溶媒溶解性ポリエステル側鎖を有するポリウレタン分散剤が提供される。このようなポリエステル分散剤の1つの好ましい下位群では、そのポリエステル側鎖は、イソシアネートと反応し好ましくは5個〜17個の原子で分離されたポリエステル鎖の一端で2個の水酸基を含有するポリエステルの残基である。
【0169】
(工業用途)
本発明の組成物から製造される分散体およびミルベースは、塗料(高固形物塗料を含めて)、インク(特に、フレキソインク、グラビアインクおよびスクリーンインク)、ディスプレイの画面装置および非水性セラミック加工用のカラーフィルター層で使用するのに、特に適当である。
【0170】
以下の実施例により、本発明を説明する。これらの実施例は、全てを網羅するものではなく、本発明の範囲を限定するとは解釈されない。特に明記しない限り、全ての基準は、重量部である。
【実施例】
【0171】
(中間体の調製)
(中間体A−ジヒドロキシポリエステル(TDI、DEA、cap、val)の調製)
1−ドデカノール(54.77部、0.294M)、ε−カプロラクトン(318.48部、2.79M)およびδ−バレロラクトン(103部、0.103M)を、窒素下にて、150℃で、共に撹拌した。ジルコニウムブトキシド触媒(2.38部)を加え、それらの反応物を、窒素下にて、180℃で、20時間撹拌した。20℃まで冷却した後、ワックス状固形物として、このポリエステルを得た。これは、ポリエステル1である。
【0172】
40℃まで加熱した反応容器に、トリレンジイソシアネート(16.37部)を加えた。40〜44℃で撹拌しつつ、40分間にわたって、酢酸メトキシプロピル(150部)に溶解したポリエステル1(148.3部)を加えた。この反応を、50℃で75分にわたって、継続した。次いで、これらの反応物を35℃まで冷却し、そしてジエタノールアミン(9.89部)を加えた。イソシアネートが残留しなくなるまで、35℃で撹拌しつつ、その反応を継続した。これは、中間体Aである。
【0173】
(中間体B−ヒドロキシアミノPOポリエーテル)
そのマイケル付加反応が完結するまで、70℃で、19時間にわたって、JeffamineTM M2005(200部)、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(11.61部)および2,6−ジ−第三級ブチル−4−メチルフェノール(0.03部)を共に撹拌した。これは、中間体Bである。
【0174】
(中間体C)
そのマイケル付加反応が完結するまで、70℃で、19時間にわたって、JeffamineTM M600(400.0部)、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(81.28部)および2,6−ジ−第三級ブチル−4−メチルフェノール(0.06部)を共に撹拌した。これは、中間体Cである。
【0175】
(中間体D)
50℃まで加熱した撹拌反応容器に、トリレンジイソシアネート(24.14部、95%+ 2,4異性体)を充填した。ポリ(プロピレングリコール)モノブチルエーテル(127.95部、Mn 1200、TDIに対して約0.77モル当量)を滴下漏斗に充填し、そして50〜60℃の間の温度を維持しつつ、4時間にわたって、この反応混合物に供給した。次いで、その反応物を、70℃で、60分間保持した。残留イソシアネートの滴定により、反応の完結を決定し、次いで、その反応混合物を20℃まで冷却した。次いで、ジエタノールアミン(17.9部、TDIに基づいて約1.59モル当量)を加え、その反応容器を、赤外分析により決定したときイソシアネートが残留しなくなるまで、室温で保持した。得られた生成物の混合物(これは、ジエタノールアミンとTDIとの望ましくない二付加物を含有する)をジエチルエーテルに溶解し、そしてシリカカラムで溶出することにより、精製した。そのカラムをジエチルエーテルで3回洗浄し、画分を合わせ、そして真空中で溶媒を除去して、90部の固形生成物を得た。これは、中間体Dである。GPC分析により、ジエタノールアミンとTDIとの二付加物が除去されたことが明らかとなった。
【0176】
(中間体E)
1−ドデカノール(9.32部)、ε−カプロラクトン(108.43部)およびδ−バレロラクトン(35.04部)を、窒素下にて、150℃で、共に撹拌した。ジルコニウムブトキシド触媒(2.38部)を加え、それらの反応物を、窒素下にて、180℃で、20時間撹拌した。20℃まで冷却した後、ワックス状固形物として、ポリエステルが得られた。これは、ポリエステル2である。
【0177】
40℃まで加熱した反応容器に、トリレンジイソシアネート(4.06部)を加えた。酢酸エチル(70部)に溶解したポリエステル2(70.0部)を、50〜54℃で撹拌しつつ、40分間にわたって加えた。この反応を、約50℃で120分間撹拌しつつ、継続した。次いで、これらの反応物を35℃まで冷却し、そしてジエタノールアミン(2.48部)を加え、続いて、酢酸エチル(4.5部)を加えた。イソシアネートが残留しなくなるまで、この反応物を35℃で撹拌しつつ、継続した。その生成物を、酢酸エチル中の乳白色分散体として得た。その固形物含量は、重量測定分析により、50重量%と決定した。これは、中間体Eである。
【0178】
(中間体F)
原子移動ラジカル重合で使用するジヒドロキシ官能性開始剤
【0179】
【化19】

【0180】
を、ACS Symposium Series,New Orleans,2000,780,148−161で記述された方法に従って、調製した。これは、開始剤1である。
【0181】
Macromolecules 1999,32,2110−2119で記述された方法に従って、N−(n−プロピル)−2−ピリジルエタンイミンを調製した。
【0182】
丸底フラスコに、臭化銅(0.87部)、メタクリル酸ブチル(30部)、酢酸ブチル(30部)およびN−(n−プロピル)−2−ピリジルエタンイミン(1.62部)を充填した。その溶液を窒素でパージし、そして65℃まで加熱した。次いで、開始剤1を加え、その固形物含量が44重量%まで達するまで、この溶液を、65℃で、4時間加熱した。次いで、その反応物を冷却し、そしてテトラヒドロフラン(60部)で希釈した。次いで、この溶液に酸性アルミナ(20部)を加え、そして10分間かき混ぜることにより、懸濁した。得られた混合物から濾過により固形物を除去し、その濾液に塩基性アルミナ(20部)を懸濁し、10分間通した。この混合物を濾過し、ローターリーエバポレーターで、その濾液から揮発性物質の大部分を除去した。得られたポリ(ブチルメタクリレート)を、真空オーブンで、さらに乾燥した。その生成物をポリスチレン標準に対するサイズ排除クロマトグラフィーを使用して特性付けたところ、Mn=5300およびPDI(多分散指数)=1.1を有していた。これは、中間体Fである。
【0183】
(中間体G)
丸底フラスコに、臭化銅(0.43部)、アクリル酸ブチル(30部)およびペンタメチレンジエチレントリアミン(1.0部)を充填した。その溶液を窒素でパージし、そして65℃まで加熱した。次いで、開始剤1(1.44部)を加え、その固形物含量が90重量%まで達するまで、この溶液を、65℃で、4時間加熱した。真空中で残留モノマーを除去した。ポリ(メタクリル酸メチル)標準を使うサイズ排除クロマトグラフィーを使用して、得られたアクリル酸ポリブチルを特性付けたところ、Mn=5900およびPDI(多分散指数)=1.1を有していた。これは、中間体Gである。
【0184】
(中間体H)
ACS Symposium Series,New Orleans,2000,780,148−161で記述された一般方法に従って、エチレングリコールと臭化2−ブロモプロピオニルとを反応させることにより、モノヒドロキシ開始剤を調製した。
【0185】
【化20】

【0186】
これは、開始剤2である。
【0187】
丸底フラスコに、臭化銅(0.43部)、アクリル酸ブチル(34部)およびペンタメチレンジエチレントリアミン(1.0部)を充填した。その溶液を窒素でパージし、そして80℃まで加熱した。開始剤2(1.26部)を加え、その固形物含量が90重量%まで達するまで、この溶液を、80℃で、6時間保持した。真空中で残留モノマーを除去した。ポリ(メタクリル酸メチル)標準に対するサイズ排除クロマトグラフィーを使用して、得られたポリアクリル酸ブチルを特性付けたところ、Mn=4500およびPDI(多分散指数)=1.1を有していた。これは、中間体Hである。
【0188】
(中間体I)
窒素下にて、100℃で、ステアリン酸(340部)、12−ヒドロキシステアリン酸(4205部)を共に撹拌した。ジルコニウムブトキシド触媒(23部)を加え、その反応物を、窒素下にて、195℃で、31時間撹拌した。この反応物を70℃まで冷却し、次いで、エタノールアミンを加え、その反応物を、70℃で、1時間保持した。酸価が5mgKOH/g未満になるまで、その生成物を、12時間にわたって、140℃まで加熱した。ワックス状固形物として、このポリエステルを得た。これは、中間体Iである。
【0189】
(中間体J)
窒素下にて、100℃で、ステアリン酸(495部)、12−ヒドロキシステアリン酸(7505部)を共に撹拌した。ジルコニウムブトキシド触媒(42部)を加え、その反応物を、窒素下にて、195℃で、31時間撹拌した。この反応物を70℃まで冷却し、次いで、ジエタノールアミンを加え、その反応物を、70℃で、1時間保持した。酸価が5mgKOH/g未満になるまで、その生成物を、10時間にわたって、140℃まで加熱した。液体として、このポリエステルを得た。これは、中間体Jである。
【0190】
(分散剤)
(実施例1.ポリエーテル側鎖を備えたPU分散剤)
ジメチルプロピオン酸(4.0部であり、これは、しばしば、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸と呼ばれる)、1,4−シクロヘキサンジメタノール(7.25部)、ポリプロピレングリコールモノブチルエーテル(8.86部、Mn 1000)、中間体B(18.0部、Mn 2116)および酢酸メトキシプロピル(58.86部)を、窒素下にて、70℃で撹拌した。ジブチルスズジラウレート(0.1部)およびイソホロンジイソシアネート(20.68部)を連続して加え、イソシアネートが残留しなくなるまで、それらの反応物を、窒素下にて、70℃で、3時間撹拌した。これは、分散剤1である。
【0191】
(実施例2.ポリエステル側鎖を備えたPU分散剤)
1,6−ヘキサンジオール(11.84部)、ポリエステル1(17.81部、Mn 1600)、中間体A(18.0部、Mn 1857)および酢酸メトキシプロピル(67.81部)を、窒素下にて、70℃で撹拌した。オクタン酸スズ(II)(0.09部)を加え、続いて、トリレンジイソシアネート(20.09部)を加えた。イソシアネートが残留しなくなるまで、それらの反応物を、窒素下にて、3時間撹拌した。これは、分散剤2である。
【0192】
(実施例3.ポリエーテル側鎖を備えたPU分散剤)
1,4−シクロヘキサンジメタノール(12.36部)、中間体B(20.15部 Mn=2116)および酢酸メトキシプロピル(69.05部)を、窒素下にて、70℃で撹拌した。ジブチルスズジラウレート(0.08部)およびトリレンジイソシアネート(17.42部)を加え、その反応物を、窒素下にて、2時間撹拌した。次いで、JeffamineTM M2005(19.05部)を加え、イソシアネートが残留しなくなるまで、それらの反応物を、窒素下にて、70℃で、4時間撹拌した。これは、分散剤3である。
【0193】
(実施例4)
エタノールおよび酢酸エチルの5:1混合物(6.09部)中のニトロセルロース樹脂(1.16部)の溶液に分散剤1(0.25部)を溶解することにより、分散体を調製した。直径3mmのガラスビーズ(20部)およびカーボンブラック顔料(Special
Black 250 Degussaから、2.5部)を加え、そして水平振盪機にて、16時間粉砕した。得られたミルベースは、優れた流動性を示した。
【0194】
(実施例5)
酢酸メトキシプロピルおよびn−ブタノールの5:1混合物(8.1部)に分散剤2(0.4部)を溶解することにより、分散体を調製した。直径3mmのガラスビーズ(20部)および赤色顔料(1.5部、ChromaphthalTM Red A2B, Cibaから)を加え、それらの内容物を、水平振盪機にて、16時間粉砕した。得られたミルベースは、優れた流動性を示した。
【0195】
(実施例6)
エタノールおよび酢酸エチルの1.8:1混合物(7.0部)に分散剤3(1.0部)を溶解することにより、分散体を調製した。直径3mmのガラスビーズ(20部)および黒色顔料(2.0部、PrintexTM 35, Degussaから)を加え、それらの内容物を、水平振盪機にて、16時間粉砕した。得られたミルベースは、優れた流動性を示した。
【0196】
(実施例7)
中間体B(35部)および酢酸エチル(59.30部)を、窒素下にて、50℃で撹拌した。イソホロンジイソシアネート(3.68部)を加え、その反応物を、窒素下にて、60℃で、10分間撹拌した。ジブチルスズジラウレート(0.08部)を加え、続いて、イソホロンジイソシアネート(2.51部)を加えた。その反応混合物を、60℃で、10分間保持し、次いで、JeffamineTM M2005(5部、 Huntsmanから)を加えた。そのバッチを、60℃で、10分間保持し、次いで、m−キシレンジアミン(4.08部)を加え、続いて、イソホロンジイソシアネート(4.66部)を加えた。この反応混合物を、さらに10分間保持し、次いで、JeffamineTM M2005(6.5g、 Huntsmanから)を加えた。イソシアネートが残留しなくなるまで、この反応物を、70℃で、3時間保持した。これは、分散剤7である。
【0197】
(実施例8)
1,4−ベンゼンジメタノール(12.58部)、中間体B(88.2部)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(6.72部)および酢酸エチル(146.7部)を、窒素下にて、70℃で撹拌した。次いで、ジブチルスズジラウレート(0.08部)を加えた。ヘキサメチレンジイソシアネート(32.29部)を酢酸エチル(30部)に溶解し、37分間にわたって、上記反応混合物に加えた。その反応物を、70℃で、1時間保持し、次いで、JeffamineTM M2005(36.57部、 Huntsmanから)を充填した。イソシアネートが残留しなくなるまで、この反応混合物を、窒素下にて、70℃で、さらに20時間撹拌した。これは、分散剤8である。
【0198】
(実施例9)
1,4−シクロヘキサンジメタノール(10.82部)、中間体B(17.7部)および酢酸エチル(66.69部)を、窒素下にて、70℃で撹拌した。次いで、ジブチルスズジラウレート(0.08部)を加えた。その反応混合物に、15分間にわたって、1,3−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)−ベンゼン(21.4部)を充填した。その反応物を、70℃で、1時間保持し、次いで、JeffamineTM M2005(16.69部、 Huntsmanから)を充填した。イソシアネートが残留しなくなるまで、この反応混合物を、窒素下にて、70℃で、さらに2時間撹拌した。これは、分散剤9である。
【0199】
(実施例10)
メチレンジ−p−フェニルジイソシアネート(46.38部)を酢酸エチル(54.24部)に充填し、そして窒素下にて、63℃まで加熱した。その溶液にジブチルスズジラウレート(0.1部)を充填し、そして30分間にわたって、ポリ(プロピレングリコール)モノブチルエーテル(Mn 2500、84.24部)を加えた。これは、溶液1である。
【0200】
第二容器に、1,4−シクロヘキサンジメタノール(6.61部)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(9.66部)、中間体B(107.10部)および酢酸エチル(200部)を充填し、そして窒素下にて撹拌しつつ、70℃まで加熱した。ジブチルスズジラウレート(0.1部)を加え、次いで、1時間にわたって、溶液1を充填した。イソシアネートが残留しなくなるまで、その反応物を、70℃で、20時間保持した。この生成物を、サイズ排除クロマトグラフィー(ポリスチレン標準に対して)を使用して特性付けたところ、Mn=19,000およびPDI(多分散性指数)=2.4を有していた。これは、分散剤10である。
【0201】
(実施例11)
1,4−シクロヘキサンジメタノール(3.19部)、中間体B(34.5部)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(2.2部)および酢酸エチル(60.97部)を、窒素下にて、70℃で撹拌した。次いで、ジブチルスズジラウレート(0.08部)を加えた。その反応混合物に、37分間にわたって、トリレンジイソシアネート(10.03部)を充填した。その反応物を、70℃で、1時間保持し、次いで、JeffamineTM M2005(10.97部、 Huntsmanから)を充填した。イソシアネートが残留しなくなるまで、この反応混合物を、窒素下にて、70℃で、さらに20時間撹拌した。この生成物を、サイズ排除クロマトグラフィー(ポリスチレン標準に対して)を使用して特性付けたところ、Mn=10,900およびPDI(多分散性指数)=2.0を有していた。これは、分散剤11である。
【0202】
(実施例12)
トリレンジイソシアネート(63.13部)を、窒素下にて、50℃まで加熱した。その溶液にジブチルスズジラウレート(0.22部)を充填し、そして30分間にわたって、ポリ(プロピレングリコール)モノブチルエーテル(86.31部、Mn 2500)を加えた。これは、溶液2である。
【0203】
第二容器に、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(33.78部)、中間体B(197.65部)および酢酸エチル(381.31部)を充填し、そして窒素下にて撹拌しつつ、70℃まで加熱した。ジブチルスズジラウレート(0.22部)を加え、次いで、1時間にわたって、溶液2を充填した。イソシアネートが残留しなくなるまで、その反応物を、70℃で、20時間保持した。この生成物を、サイズ排除クロマトグラフィー(ポリスチレン標準に対して)を使用して特性付けたところ、Mn=11,100およびPDI(多分散性指数)=1.6を有していた。これは、分散剤12である。
【0204】
(実施例13)
1,4−シクロヘキサンジメタノール(6.19部)、中間体B(58.65部)、n−メチルジエタノールアミン(2.81部)および酢酸エチル(103.84部)を、窒素下にて、70℃で撹拌した。トリレンジイソシアネート(4.83部)を充填し、続いて、ジブチルスズジラウレート(0.13部)を加えた。トリレンジイソシアネートの2つのさらなるアリコート(3.61部および8.79部)を充填し、その反応混合物を、70℃で、1時間保持した。次いで、JeffamineTM M2005(18.84部、 Huntsmanから)を加えた。イソシアネートが残留しなくなるまで、この反応混合物を、窒素下にて、70℃で、さらに2時間撹拌した。この生成物を、サイズ排除クロマトグラフィー(ポリスチレン標準に対して)を使用して特性付けたところ、Mn=14,200およびPDI(多分散性指数)=2.2を有していた。これは、分散剤13である。
【0205】
(実施例14)
分散剤13(30部)を調製し、そして塩化ベンジル(0.39部)を、窒素下にて、16時間にわたって、65℃に加熱した。その反応物を室温まで冷却した。これは、分散剤14である。
【0206】
(実施例15)
メチレンジ−p−フェニルジイソシアネート(50.46部)を酢酸エチル(100部)に充填し、そして窒素下にて、64℃まで加熱した。その溶液にジブチルスズジラウレート(0.15部)を充填し、そして30分間にわたって、ポリ(プロピレングリコール)モノブチルエーテル(62.47部、Mn 1704)を加えた。これは、溶液3である。
【0207】
第二容器に、n−メチルジエタノールアミン(14.24部)、中間体B(135部)および酢酸エチル(100部)を充填し、そして窒素下にて撹拌しつつ、70℃まで加熱した。ジブチルスズジラウレート(0.15部)を加え、次いで、1時間にわたって、溶液3を充填した。次いで、酢酸エチル(62.47部)を加えた。イソシアネートが残留しなくなるまで、その反応物を、70℃で、2時間保持した。この生成物を、サイズ排除クロマトグラフィー(ポリスチレン標準に対して)を使用して特性付けたところ、Mn=12,600およびPDI(多分散性指数)=3.0を有していた。これは、分散剤15である。
【0208】
(実施例16)
分散剤15(397.41部)に、酢酸エチル(10.31部)および塩化ベンジル(10.31部)を加えた。その混合物を、窒素下にて、16時間にわたって、65℃まで加熱した。この反応物を室温まで冷却した。これは、分散剤16である。
【0209】
(実施例17)
1,4−シクロヘキサンジメタノール(2.00部)、中間体B(34.50部)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(2.2部)、n−フェニルジエタノールアミン(1.2部)および酢酸エチル(60.97部)を、窒素下にて、70℃で撹拌した。次いで、ジブチルスズジラウレート(0.08部)を加えた。その反応混合物に、30分間にわたって、トリレンジイソシアネート(10.03部)を充填した。その反応物を、70℃で、1時間保持し、次いで、JeffamineTM M2005(10.97部、 Huntsmanから)を充填した。イソシアネートが残留しなくなるまで、この反応混合物を、窒素下にて、70℃で、さらに20時間撹拌した。これは、分散剤17である。
【0210】
(実施例18)
メチレンジ−p−フェニルジイソシアネート(42.96部)を酢酸エチル(110.0部)に充填し、そして窒素下にて、71℃まで加熱した。その溶液にジブチルスズジラウレート(0.1部)を充填し、そして30分間にわたって、ポリ(プロピレングリコール)モノブチルエーテル(78.03部、Mn 2500)を加えた。これは、溶液4である。
【0211】
第二容器に、1,4−シクロヘキサンジメタノール(0.64部)、ポリ(カプロラクトンジオール)(12.83部、Mn 530)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(9.9部)、中間体B(113.40部)および酢酸エチル(148.03部)を充填し、そして窒素下にて撹拌しつつ、70℃まで加熱した。ジブチルスズジラウレート(0.17部)を加え、次いで、1時間にわたって、溶液4を充填した。イソシアネートが残留しなくなるまで、その反応物を、70℃で、20時間保持した。この生成物を、サイズ排除クロマトグラフィー(ポリスチレン標準に対して)を使用して特性付けたところ、Mn=12,100およびPDI(多分散性指数)=2.4を有していた。これは、分散剤18である。
【0212】
(実施例19)
1,4−シクロヘキサンジメタノール(10.22部)、中間体B(187.50部)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(9.63部)および酢酸エチル(200部)を、窒素下にて、70℃で撹拌した。次いで、ジブチルスズジラウレート(0.38部)を加えた。その反応混合物に、30分間にわたって、酢酸エチル(40部)中のトリレンジイソシアネート(42.28部)を充填した。その反応物を、70℃で、1時間保持し、次いで、酢酸エチル(12.99部)中のジブチルアミン(2.99部)を充填した。イソシアネートが残留しなくなるまで、この反応混合物を、窒素下にて、70℃で、さらに20時間撹拌した。これは、分散剤19である。
【0213】
(実施例20)
メチレンジ−p−フェニルジイソシアネート(56.06部)を酢酸エチル(100.0部)に充填し、そして窒素下にて、70℃まで加熱した。その溶液にジブチルスズジラウレート(0.12部)を充填し、そして30分間にわたって、ポリ(プロピレングリコール)モノブチルエーテル(146.09部、Mn 2500)を加えた。これは、溶液5である。
【0214】
第二容器に、1,4−シクロヘキサンジメタノール(9.94部)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(11.68部)、中間体B(82.08部)および酢酸エチル(150部)を充填し、そして窒素下にて撹拌しつつ、70℃まで加熱した。ジブチルスズジラウレート(0.12部)を加え、次いで、1時間にわたって、溶液5を充填した。その反応混合物に、酢酸エチル(56.9部)を充填した。イソシアネートが残留しなくなるまで、その反応物を、70℃で、20時間保持した。この生成物を、サイズ排除クロマトグラフィー(ポリスチレン標準に対して)を使用して特性付けたところ、Mn=10,200およびPDI(多分散性指数)=2.3を有していた。これは、分散剤20である。
【0215】
(実施例21)
メチレンジ−p−フェニルジイソシアネート(53.80部)を酢酸エチル(120部)に充填し、そして窒素下にて、70℃まで加熱した。その溶液にジブチルスズジラウレート(0.15部)を充填し、そして30分間にわたって、ポリ(プロピレングリコール)モノブチルエーテル(97.72部、Mn 2500)を加えた。これは、溶液6である。
【0216】
第二容器に、1,4−シクロヘキサンジメタノール(8.54部)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸(11.36部)、中間体B(126.00部)および酢酸エチル(177.72部)を充填し、そして窒素下にて撹拌しつつ、70℃まで加熱した。ジブチルスズジラウレート(0.15部)を加え、次いで、1時間にわたって、溶液1を充填した。イソシアネートが残留しなくなるまで、その反応物を、70℃で、20時間保持した。この生成物を、サイズ排除クロマトグラフィー(ポリスチレン標準に対して)を使用して特性付けたところ、Mn=12,000およびPDI(多分散性指数)=2.4を有していた。これは、分散剤21である。
【0217】
(実施例22)
1,4−シクロヘキサンジメタノール(5.12部)、中間体D(25.20部)および酢酸エチル(50.52部)を、窒素下にて、70℃で撹拌した。次いで、ジブチルスズジラウレート(0.08部)を加えた。その反応混合物に、30分間にわたって、4つのアリコートで、トリレンジイソシアネート(9.62部)を充填した。その反応物を、70℃で、1時間保持し、次いで、JeffamineTM 2005(10.52部、 Huntsmanから)を加えた。イソシアネートが残留しなくなるまで、この反応混合物を、窒素下にて、70℃で、さらに2時間撹拌した。これは、分散剤22である。
【0218】
(実施例23)
1,4−シクロヘキサンジメタノール(3.17部)、中間体C(34.00部)および酢酸エチル(54.18部)を、窒素下にて、70℃で撹拌した。次いで、ジブチルスズジラウレート(0.08部)を加えた。その反応混合物に、30分間にわたって、4つのアリコートで、トリレンジイソシアネート(12.75部)を充填した。その反応物を、70℃で、1時間保持し、次いで、JeffamineTM 600(4.18部、 Huntsmanから)を加えた。イソシアネートが残留しなくなるまで、この反応混合物を、窒素下にて、70℃で、さらに2時間撹拌した。これは、分散剤23である。
【0219】
(実施例24)
エタノールおよび酢酸エチルの3:1混合物(7.0部)に分散剤7〜23(1.0部)を溶解することにより、分散体を調製した。ガラスビーズ(直径3mm、20部)および黒色顔料(2.0部、PrintexTM 35, Degussaから)を加え、それらの内容物を、水平振盪機にて、16時間粉砕した。得られたミルベースは、優れた流動性を示した。分散剤なしで比較対照分散体を調製した。すなわち、エタノールおよび酢酸エチルの3:1混合物(8.0部)、ガラスビーズ(直径3mm、20部)および黒色顔料(2.0部、PrintexTM 35、 Degussaから)を、水平振盪機にて、16時間粉砕した。得られた分散体は、ゲルの特性を備えて、非常に粘稠であった。
【0220】
これらのミルベース(1.0部)を(a)ポリウレタン樹脂、NeoRezTM U395(3.0部、 NeoResinsから)および(b)ニトロセルロース樹脂NC DLX3/5(3.0部、 Nobel Enterprisesから)に落とし、得られたインクを、3K番のバーを使用して、黒色および白色カードに引き延ばした。隠蔽力、ジェットネス(jetness)および光沢について、1〜5の評点システムで、ドローダウンの簡単な視覚評価を行った。5の評点は、最高の性能を意味する。分散剤なしの対照実験では、1に等しい品質のレットダウン(let down)が得られた。
【0221】
【表1】

【0222】
(実施例25)
1,4−シクロヘキサンジメタノール(5.19部)、中間体B(22.50部)、中間体A(25部)および酢酸エチル(22.5部)を、窒素下にて、70℃で撹拌した。次いで、ジブチルスズジラウレート(0.075部)を加えた。その反応混合物に、30分間にわたって、酢酸エチル(10部)中のトリレンジイソシアネート(9.74部)を充填した。その反応物を、70℃で、1時間保持し、次いで、酢酸エチル(13.52部)中のポリエステル1(8.52部)を充填した。イソシアネートが残留しなくなるまで、この反応混合物を、窒素下にて、70℃で、さらに20時間撹拌した。これは、分散剤25である。
【0223】
(実施例26)
1,4−シクロヘキサンジメタノール(6.29部)、中間体A(65部)および酢酸エチル(7.24部)を、窒素下にて、70℃で撹拌した。次いで、ジブチルスズジラウレート(0.075部)を加えた。その反応混合物に、30分間にわたって、酢酸エチル(10部)中のトリレンジイソシアネート(11.14部)を充填した。その反応物を、70℃で、1時間保持し、次いで、酢酸エチル(12.00部)中のポリエステル1(9.74部)を充填した。イソシアネートが残留しなくなるまで、この反応混合物を、窒素下にて、70℃で、さらに20時間撹拌した。これは、分散剤26である。
【0224】
(実施例27)
ヘキサンジオール(1.26部)、中間体A(13.20部)、n−メチルジエタノールアミン(1.58部)、ポリエステル1(9.90部)、ジブチルスズジラウレート(0.03部)および酢酸エチル(30.32部)を、窒素下にて、70℃で撹拌した。15分間にわたって、トリレンジイソシアネート(5.93部)を充填し、イソシアネートが残留しなくなるまで、この反応混合物を、窒素下にて、70℃で、20時間保持した。これは、分散剤27である。
【0225】
(実施例28)
分散剤28(30部)に酢酸エチル(0.71部)および塩化ベンジル(0.71部)を加え、窒素下にて、16時間にわたって、65℃まで加熱した。その反応物を室温まで冷却した。これは、分散剤28である。
【0226】
(実施例29)
ヘキサンジオール(0.62部)、中間体A(6.00部)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(0.72部)、ポリエステル1(4.42部)、ジブチルスズジラウレート(0.02部)および酢酸エチル(13.70部)を、窒素下にて、70℃で撹拌した。15分間にわたって、トリレンジイソシアネート(2.64部)を充填し、イソシアネートが残留しなくなるまで、この反応混合物を、70℃で、20時間保持した。これは、分散剤29である。
【0227】
(実施例30)
ヘキサンジオール(4.86部)、中間体E(7.20部)、ポリエステル2(12.98部)、ジブチルスズジラウレート(0.03部)および酢酸エチル(32.98部)を、窒素下にて、70℃で撹拌した。15分間にわたって、トリレンジイソシアネート(7.91部)を充填し、イソシアネートが残留しなくなるまで、この反応混合物を、窒素下にて、70℃で、20時間保持した。これは、分散剤30である。
【0228】
(実施例31)
ヘキサンジオール(7.34部)、中間体F(10.8部)および酢酸メトキシプロピル(40.47部)を、窒素下にて、70℃で撹拌した。次いで、オクタン酸スズ(II)(0.05部)を加えた。その反応混合物に、30分間にわたって、4つのアリコートで、トリレンジイソシアネート(11.81部)を充填した。その反応物を、70℃で、1時間保持し、次いで、ポリエステル1(10.47部)を加えた。イソシアネートが残留しなくなるまで、この反応混合物を、窒素下にて、70℃で、さらに2時間撹拌した。これは、分散剤31である。
【0229】
(実施例32)
ヘキサンジオール(5.21部)、中間体G(11.25部)および酢酸メトキシプロピル(32.54部)を、窒素下にて、70℃で撹拌した。次いで、オクタン酸スズ(II)(0.05部)を加えた。その反応混合物に、30分間にわたって、4つのアリコートで、トリレンジイソシアネート(8.5部)を充填した。その反応物を、70℃で、1時間保持し、次いで、ポリエステル1(7.54部)を加えた。イソシアネートが残留しなくなるまで、この反応混合物を、窒素下にて、70℃で、さらに2時間撹拌した。これは、分散剤32である。
【0230】
(実施例33)
ヘキサンジオール(4.44部)、中間体G(6.13部)および酢酸メトキシプロピル(24.50部)を、窒素下にて、70℃で撹拌した。次いで、オクタン酸スズ(II)(0.03部)を加えた。その反応混合物に、30分間にわたって、4つのアリコートで、トリレンジイソシアネート(6.91部)を充填した。その反応物を、70℃で、1時間保持し、次いで、中間体H(7.00部)を加えた。イソシアネートが残留しなくなるまで、この反応混合物を、窒素下にて、70℃で、さらに2時間撹拌した。これは、分散剤33である。
【0231】
(実施例34)
酢酸メトキシプロピルおよびn−ブタノールの5:1混合物(8.1部)に分散剤25〜33の各々(0.4部)を溶解することにより、分散体を調製した。直径3mmのガラスビーズ(20部)および赤色顔料(1.5部、ChromaphthalTM Red A2B、 Cibaから)を加え、それらの内容物を、水平振盪機にて、16時間粉砕した。得られたミルベースは、以下の表で記述しているように、優れた流動性を示した。
【0232】
【表2】

【0233】
(実施例35)
分散剤11(3.5部)をMacrynalTM SM565(1.05部、これは、Surface Specialties UCBから市販されている)および酢酸メトキシプロピル(24.50部)に溶解することにより、分散体を調製した。直径3mmのガラスビーズ(125部)および赤色顔料(5.95部、IrgaphorTM red B−CF Cibaから)を加え、それらの内容物を、水平振盪機にて、1時間粉砕した。得られたミルベースは、優れた流動性を示した。このミルベースの粘度は、ずり速度を38.6s−1から2391.1s−1へと高めたときも、0.1Pa.s未満のままであった。
【0234】
得られたミルベースをMacrynalTM SM565/70BAC(24.45部)、DesmodurTM N3390(2.2部)および酢酸メトキシプロピル(17.68部)に落とし、次いで、3K番のバーを使用して、黒色および白色カードに引き延ばした。得られた表面は、高い光沢値95.7(60°の角度)および58.6(20°の角度)を維持していた。
【0235】
(実施例36)
分散剤10、11または18の各々を、Macrynal(登録商標)SM565(1.05部)およびプロピレングリコールメチルエーテル(21.40部)に溶解することにより、分散体を調製した。直径3mmのガラスビーズ(125部)および青色顔料(8.75部、HeliogenTM Blue L6700F Bayerから)を加えた。得られたミルベースは、優れた流動性を示した。
【0236】
これらのミルベースをMacrynalTM SM565/70BAC(36.36部)、DesmodurTM N3390(3.24部、 Bayerから)および酢酸メトキシプロピル(39.02部)に落とし、次いで、3K番のバーを使用して、黒色および白色カードに引き延ばした。得られた表面は、高い光沢値を維持していた。
【0237】
【表3】

【0238】
(実施例37)
1,4−シクロヘキサンジメタノール(13.88部)、中間体I(40.16部)、中間体J(60部)およびトルエン(140.16部)を、窒素下にて、75℃で撹拌した。次いで、ジブチルスズジラウレート(0.15部)を加えた。その反応混合物に、100分間にわたって、トリレンジイソシアネート(25.97部)を充填した。イソシアネートが残留しなくなるまで、この反応物を、窒素下にて、75℃で、さらに22時間撹拌した。
【0239】
(実施例38)
分散剤37(1.0部)をトルエン(7部)に溶解することにより、分散体を調製した。直径3mmのガラスビーズ(20部)および赤色顔料(2.0部、ChromaphthalTM Red A2B、 Cibaから)を加え、それらの内容物を、水平振盪機にて、16時間粉砕した。得られたミルベースは、優れた流動性を示した。
【0240】
上で引用した各文献の内容は、本明細書中で参考として援用されている。実施例を除いて、または他に明らかに指示がなければ、物質の量、反応条件、分子量、炭素原子数などを特定している本記述の全ての数値量は、「約」という用語により修飾されることが分かる。他に指示がなければ、本明細書中で言及した各化学物質または組成物は、その異性体、副生成物、誘導体、および市販等級の物質中に存在すると通常考えられているような他のこのような物質を含有し得る、市販等級の物質であると解釈されるべきである。しかしながら、各化学成分の量は、他に指示がなければ、市販等級の物質に通例存在し得る溶媒または希釈油を除いて、提示されている。本明細書中で示した上限および下限の量、範囲および比は、別個に組み合わされ得ることが分かる。同様に、本発明の各要素の範囲および量は、他の要素のいずれかの範囲または量と併用され得る。本明細書中で使用する「本質的になる」との表現には、問題の組成物の基本的で新規な特性に物質的に影響を与えない物質が含まれていてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載される発明。

【公開番号】特開2010−265465(P2010−265465A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−156040(P2010−156040)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【分割の表示】特願2006−532971(P2006−532971)の分割
【原出願日】平成16年5月11日(2004.5.11)
【出願人】(591131338)ザ ルブリゾル コーポレイション (203)
【氏名又は名称原語表記】THE LUBRIZOL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】29400 Lakeland Boulevard, Wickliffe, Ohio 44092, United States of America
【Fターム(参考)】