説明

ポリウレタン及びその製造方法

【課題】電気絶縁性と熱安定性に優れた新規なポリウレタンを提供する。
【解決手段】式(1)


及び式(2)


(式中、Rは炭素数2〜20の脂肪族炭化水素基を表わし、分岐していても、環状構造を含んでいてもよい。)で示される構造をモノマーユニットとして含む共重合体である共重合体ポリオールとポリイソシアネート化合物との重付加反応により得られるポリウレタン、及びその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なポリウレタン及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンは一般にポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との重付加反応によって製造され、硬質、または軟質ウレタンフォーム、エラストマー、塗料、接着剤、コーティング剤、繊維などに使用されている。
【0003】
この様なポリウレタン化合物は原料であるポリオールとポリイソシアネートの選択により、その物性を制御することが可能である。実際、ポリオール骨格とポリイソシアネート骨格を様々に組み合わせることで、耐水性、耐酸性、耐アルカリ性、熱安定性、電気絶縁性、機械的強度等さまざまな物性の向上が報告されている。ただし、これらの物性の中で電気絶縁性については、いくつかの改善の取り組みがなされているが、電気絶縁性に優れたポリオレフィンと同等の性能を有するものは見い出されていなかった。
【0004】
例えば、液状のポリブタジエンポリオールやヒマシ油は電気絶縁性に優れたポリウレタンを与えるポリオールとして知られている。しかし、これらを使用して得られるポリウレタンの電気絶縁性はポリエチレンやポリプロピレンには劣るものであり、かつ液状ポリブタジエンやヒマシ油はその構造中に多くの二重結合を有するため、得られたポリウレタンも熱安定性が良くないという欠点があった。
【0005】
特開平5−247169号公報(特許文献1)では液状ポリブタジエンポリオールとヒマシ油の混合ポリオールをポリオール成分として使用し、ポリイソシアネート成分として脂肪族あるいは脂環式ポリイソシアネートを使用することで電気絶縁性が改善されることが報告されている。しかし、このポリウレタンも電気絶縁性はポリエチレンやポリプロピレンには及ばず、さらに、ポリオール成分として、その構造中に二重結合を有する液状ポリブタジエンポリオールとヒマシ油を使用しているため、熱安定性も不十分であった。
【0006】
特開平6−295620号公報(特許文献2)には、低分子量多価アルコールとヒマシ油の混合ポリオールをポリオール成分として使用したポリウレタンが優れた電気絶縁性を示すことが報告されている。しかし、このポリウレタンも電気絶縁性の改良が不十分であった。
【0007】
さらに、特開平9−324027号公報(特許文献3)には、脂肪酸と多価アルコールとの反応で得られるヨウ素価50以下の液状ポリエステルポリオールをポリオール成分として用いたポリウレタンが電気絶縁性材料として使用できることが報告されている。このポリウレタンはポリオール中の二重結合が少ないため、熱安定性は向上するが、電気絶縁性については、ポリエチレンやポリプロピレンには及ばなかった。
【0008】
同じく熱安定性向上のために、特開平5−170867号公報(特許文献4)には水酸基含有液状ポリブタジエン系重合体の水素化物や水酸基含有液状ポリイソプレン系重合体の水素化物を利用する方法が報告されている。このポリウレタンもポリオール中の二重結合が少ないため、熱安定性は向上するが、電気絶縁性については、やはりポリエチレンやポリプロピレンには及ばなかった。
このような背景から、ポリエチレンやポリプロピレン並みの優れた電気絶縁性を有し、かつ熱安定性に優れるポリウレタンの開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平5−247169号公報
【特許文献2】特開平6−295620号公報
【特許文献3】特開平9−324027号公報
【特許文献4】特開平5−170867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、電気絶縁性と熱安定性に優れた新規なポリウレタン及びそのポリウレタンを効率よく製造する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、アリルアルコールとラジカル重合性脂肪族系オレフィン化合物との共重合体をポリオール成分とするポリウレタンが上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
すなわち、本発明は以下の[1]〜[13]に関する。
[1]式(1)
【化1】

及び式(2)
【化2】

(式中、Rは炭素数2〜20の脂肪族炭化水素基を表わし、分岐していても、環状構造を含んでいてもよい。)
で示される構造をモノマーユニットとして含む共重合体である共重合体ポリオールとポリイソシアネート化合物との重付加反応により得られるポリウレタン。
[2]式(1)及び式(2)で示される構造のみをモノマーユニットとする共重合体である共重合体ポリオールとポリイソシアネート化合物との重付加反応により得られる前記[1]に記載のポリウレタン。
[3]さらに、他のポリオールを併用してポリイソシアネート化合物との重合反応により得られる前記[1]または[2]に記載のポリウレタン。
[4]他のポリオールが前記[1]に記載の共重合体ポリオールと多価カルボン酸との反応により得られたポリエステルポリオールである前記[3]に記載のポリウレタン。
[5]さらに、鎖延長剤及び/または架橋剤として、ポリオール化合物及びポリアミン化合物から選択される少なくとも1種を併用してポリイソシアネート化合物との重合反応により得られる前記[1]〜[4]のいずれか1項に記載のポリウレタン。
[6]式(2)中のRで表わされる炭素数2〜20の脂肪族炭化水素基が炭素数2〜10の直鎖状脂肪族炭化水素基である前記[1]または[2]に記載のポリウレタン。
[7]式(2)中のRで表わされる炭素数2〜20の脂肪族炭化水素基が炭素数6〜10の脂環式炭化水素基である前記[1]または[2]に記載のポリウレタン。
[8]共重合体ポリオールの水酸基価が50〜500mgKOH/gである前記[1]または[2]に記載のポリウレタン。
[9]共重合体ポリオールの数平均分子量(Mn)が400〜8000である前記[1]〜[8]のいずれか1項に記載のポリウレタン。
[10]式(1)
【化3】

及び式(2)
【化4】

(式中、Rは炭素数2〜20の脂肪族炭化水素基を表わし、分岐していても、環状構造を含んでいてもよい。)
で示される構造をモノマーユニットとして含む共重合体である共重合体ポリオールとポリイソシアネート化合物とを重付加反応させることを特徴とするポリウレタンの製造方法。
[11]式(1)及び式(2)で示される構造のみをモノマーユニットとする共重合体である共重合体ポリオールとポリイソシアネート化合物とを重付加反応させる前記[10]に記載のポリウレタンの製造方法。
[12]さらに、他のポリオールを併用してポリイソシアネート化合物と重合反応させる前記[10]または[11]に記載のポリウレタンの製造方法。
[13]さらに、鎖延長剤及び/または架橋剤として、ポリオール化合物及びポリアミン化合物から選択される少なくとも1種を併用してポリイソシアネート化合物と重合反応させる前記[10]〜[12]のいずれか1項に記載のポリウレタンの製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明により得られるポリウレタンは電気絶縁性、熱安定性に優れるため、例えば電線ケーブルの接続部材料、電気部品の注入絶縁材料、電気絶縁性封止剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】合成例1で得られたポリオールAの1H−NMRスペクトルである。
【図2】合成例1で得られたポリオールAの13C−NMRスペクトルである。
【図3】合成例1で得られたポリオールAのIRスペクトルである。
【図4】実施例1で得られた共重合体のIRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明についてより詳細に説明する。本発明のポリウレタンはアリルアルコールと直鎖状脂肪族炭化水素基もしくは環状脂肪族炭化水素基を有するオレフィン化合物に由来するモノマーユニットを有する共重合体であるポリオール(以後、単に「共重合体ポリオール」ということがある。)とポリイソシアネート化合物との重付加反応により得られるポリウレタンである。
【0016】
[共重合体ポリオール]
本発明で使用される共重合体ポリオールは、下記式(1)
【化5】

で示される構造と下記式(2)
【化6】

で示される構造をモノマーユニットとして含む共重合体である。
【0017】
式(2)におけるRは炭素数2〜20の、直鎖状あるいは分岐していても、環状構造を含んでいてもよい脂肪族炭化水素基を表わす。
【0018】
直鎖状の脂肪族炭化水素基の例としては、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ぺンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基、n−エイコシル基などが挙げられる。
分岐を有する脂肪族炭化水素基の例としては、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ネオペンチル基、イソヘキシル基、イソオクチル基、イソデシル基などが挙げられる。
環状構造を含む脂環式炭化水素基の例としては、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、デカヒドロナフタレニル基などが挙げられる。
【0019】
これらの中でもRとしては、炭素数2〜10の直鎖状の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜10の脂環式炭化水素基が各種樹脂への相溶性向上の面で好ましい。各種樹脂への相溶性向上の観点からは、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ぺンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、シクロヘキシル基が特に好ましい。
【0020】
本発明の共重合体ポリオールは式(1)で示される構造と式(2)で示される構造を含む共重合体であれば他に制限はない。式(1)で示されるモノマーユニットはアリルアルコールをモノマーとして得られたものでもよいし、他のモノマーを重合した後、変性して得られたものであってもよい。後者としては酢酸アリルを共重合し、加水分解やエステル交換したものが挙げられる。また、本発明の効果を損なわない範囲で第三のモノマーが共重合されていてもよい。第三のモノマーは2種以上であってもよい。
第三のモノマーとしては、ビニル化合物、ジビニル化合物が例示される。具体的にはマレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、4−ビニル−1−シクロヘキセン、スチレン、ジビニルベンゼンが挙げられる。ジビニル化合物を用いる場合、共重合時の架橋反応を避けるため、少量にとどめておく必要がある。
【0021】
本発明の共重合体ポリオールにおいて、式(1)で示されるモノマーユニットと式(2)で示されるモノマーユニットの共重合様式は重合条件により、ランダム、ブロック、交互のいずれをもとり得るが、各樹脂への相溶性向上の観点からは、ランダムであることが望ましい。
【0022】
本発明の共重合体ポリオールにおける、式(1)で示されるモノマーユニットの組成は式(1)で示されるモノマーユニットに相当するアリルアルコールと式(2)で示されるモノマーユニットに相当するオレフィン化合物の重合時の仕込み比により制御できる。イソシアネート化合物との反応性と生成ポリウレタンの電気絶縁性を両立する観点から式(1)で示されるモノマーユニットは3〜60mol%であることが好ましく、10〜50mol%がより好ましく、20〜45mol%が最も好ましい。式(1)で示されるモノマーユニットが3mol%未満のときイソシアネート化合物との反応性が著しく低下し、60mol%を超えると生成ポリウレタンの電気絶縁性が悪化することがある。
【0023】
本発明で使用されるポリオールの水酸基価はイソシアネート化合物との反応性と生成ポリウレタンの電気絶縁性を両立させる観点から50〜500mgKOH/gであることが好ましい。共重合体の水酸基価が50mgKOH/g未満のときイソシアネート化合物との反応性が著しく低下し、500mgKOH/gを超えると生成ポリウレタンの電気絶縁性が悪化する。なお、水酸基価はJIS K0070に記載の方法により測定した値である。
【0024】
本発明の共重合体ポリオールのゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算数平均分子量(Mn)に特に制限はないが、各種用途での取り扱い易さを考慮するとMn=400〜8000であることが好ましい。ポリスチレン換算数平均分子量(Mn)が400未満のとき固体状イソシアネートとの相溶性が悪くなり、8000を超えるとポリウレタン調製時の組成物粘度が著しく高くなり、扱いにくくなる。
【0025】
[共重合体ポリオールの製造方法]
次に、本発明で使用する共重合体ポリオールの製造方法について説明する。本発明で使用する共重合体ポリオールは以下に示すA法及びB法の2通りの方法で製造することができる。
A法:式(1)で示されるモノマーユニットに相当するアリルアルコールと式(2)で示されるモノマーユニットに相当するオレフィン化合物をラジカル重合開始剤の存在下に共重合する。
B法:アリルアルコールと芳香族ラジカル重合性モノマーの共重合体を水素化する。
【0026】
A法:アリルアルコールと式(2)で示されるモノマーユニットに相当するオレフィン化合物とのラジカル共重合
本発明の共重合体ポリオールの製造において用いられる式(2)で示されるモノマーユニットに相当するオレフィン化合物はラジカル重合可能なものであれば特に制限はない。共重合体ポリオールの説明部分で記述した構造をオレフィン化合物の形で表現すると、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、1−トリコセン等の直鎖状末端オレフィン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ヘプテン、3−メチル−1−ノネン、3−メチル−1−ウンデセン等の分岐を有する末端オレフィン、シクロヘキシルエチレン、4−ビニル−1−シクロヘキセン、3−シクロヘキシル−1−プロペン、4−シクロヘキシル−1−ブテン、デカヒドロナフタレニルエチレン等の環状構造を含む末端オレフィンなどが挙げられる。2−デセンのように2位に不飽和結合のあるオレフィンは生長ラジカルが共鳴安定化するため重合が困難となる。
【0027】
これらの中でも、各種樹脂への相溶性向上の観点からは、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、及びシクロヘキシルエチレンが特に好ましい。
【0028】
この共重合反応において、アリルアルコールと式(2)で示されるモノマーユニットに相当するオレフィン化合物の使用量は、通常は式(2)で示されるモノマーユニットに相当するオレフィン化合物1モルに対してアリルアルコールを0.05〜2.0モル用いるのが好ましく、0.1〜1.0モルが特に好ましい。アリルアルコールが0.05モル未満の場合は得られる共重合体の水酸基価が低くなりすぎ、また、2.0モルを超えると共重合体の収量が著しく低下する。
【0029】
この共重合反応は無溶媒で行っても良いし、基質と反応せず、かつ連鎖移動定数の小さい溶媒を使用しても良い。溶媒としては、トルエン、ベンゼン、t−ブチルベンゼン等の炭化水素系溶媒、アセトン等のケトン系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン系溶媒などが挙げられる。これらの溶媒は、単独もしくは2種類以上を併用することもできる。
【0030】
この共重合反応はラジカル重合開始剤を用いて実施することができる。熱、紫外線、電子線、放射線等によってラジカルを生成するものであれば、いずれのラジカル重合開始剤も使用できるが、反応温度における半減期が1時間以上のものが好ましい。
【0031】
熱ラジカル重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等のアゾ系化合物;メチルエチルケトンパーオキシド、メチルイソブチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド等のケトンパーオキシド類;ベンゾイルパーオキシド、デカノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類;ジクミルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド等のジアルキルパーオキシド類;1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオキシケタール類;t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーオキシエステル類;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロプルカーボネート等のパーオキシカーボネート類;過酸化水素等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。また、これらの熱ラジカル重合開始剤は2種以上併用しても良い。
【0032】
紫外線、電子線、及び放射線によるラジカル重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン等のアセトフェノン誘導体;ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4−トリメチルシリルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルスルフィド等のベンゾフェノン誘導体;ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾイン誘導体;メチルフェニルグリオキシレート、ベンゾインジメチルケタール、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドなどを例示することができるが、これらに限定されるわけではない。また、これらの紫外線、電子線、及び放射線ラジカル重合開始剤は2種以上併用してもよい。
【0033】
これらの重合開始剤の使用量は、反応温度やアリルアルコールと式(2)で示されるモノマーユニットに相当するオレフィン化合物の組成比によって異なるため一概に限定することはできないが、アリルアルコールと共重合させる式(2)で示されるモノマーユニットに相当するオレフィン化合物及び必要に応じて加えてもよい第三のモノマーとの総量100質量部に対して0.1〜15質量部が好ましく、1〜10質量部が特に好ましい。ラジカル重合開始剤の添加量が0.1質量部未満の場合は重合反応が進行しにくく、15質量部を超えて添加することは経済上好ましくない。
【0034】
反応温度(重合温度)は重合開始剤の種類に応じて適宜選択すればよく、段階的に温度を変えて反応(重合)させてもよい。紫外線等による重合であれば、室温でも可能である。熱重合の場合は開始剤の分解温度に対応して適宜決めることが望ましく、一般的には50〜180℃の範囲が好ましく、70〜170℃が特に好ましい。50℃未満では極端に反応が遅くなり、180℃を超えると、ラジカル開始剤の分解が速くなりすぎ、かつ連鎖移動も速くなるので共重合体の分子量が低下する傾向にある。
【0035】
反応終了後、生成物である共重合体ポリオールは、公知の操作、処理方法(例えば、中和、溶媒抽出、水洗、分液、溶媒留去、再沈殿など)により後処理されて単離される。なお、先に記載したようにアリルアルコールのかわりに酢酸アリルを用いて、ラジカル共重合した後、加水分解やエステル交換することで共重合体ポリオールとしてもよい。加水分解反応は、共重合後のポリマーを酸あるいはアルカリ水溶液で処理することで可能である。エステル交換反応は、酸あるいはアルカリの存在下で、酢酸アリル共重合体をエタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコールと反応させることで行うことができる。
【0036】
B法:アリルアルコールと芳香族ラジカル重合性モノマーの共重合体の水素化
B法ではまず、アリルアルコールと芳香族ラジカル重合性モノマーとの共重合体を得、この共重合体の芳香族環を水素化(水添反応)する。アリルアルコールと芳香族ラジカル重合性モノマーとの共重合体は米国特許第5444141号公報に記載の方法で製造したもの(アリルアルコール/スチレン共重合体)や市販のものを使用することができる。
芳香族ラジカル重合性モノマーとしてはスチレン、ビニルトルエン等を挙げることができる。
【0037】
水素化反応は、アリルアルコールと芳香族ラジカル重合性モノマーとの共重合体と水素ガスとを触媒の存在下で接触させることにより行うことができる。
【0038】
水素化反応に使用可能な触媒としては、触媒成分として周期律表の第6族から第12族から選ばれる少なくとも一つの金属元素を含有する触媒が挙げられる。具体的には、スポンジNi、Ni−ケイソウ土、Ni−アルミナ、Ni−シリカ、Ni−シリカアルミナ、Ni−ゼオライト、Ni−チタニア、Ni−マグネシア、Ni−クロミア、Ni−Cu、Ni−Cu−Co、スポンジCo、Co−ケイソウ土、Co−アルミナ、Co−シリカ、Co−シリカアルミナ、Co−ゼオライト、Co−チタニア、Co−マグネシア、スポンジRu、Ru−カーボン、Ru−アルミナ、Ru−シリカ、Ru−シリカアルミナ、Ru−ゼオライト、Rh−カーボン、Rh−アルミナ、Rh−シリカ、Rh−シリカアルミナ、Rh−ゼオライト、Pt−カーボン、Pt−アルミナ、Pt−シリカ、Pt−シリカアルミナ、Pt−ゼオライト、Pd−カーボン、Pd−アルミナ、Pd−シリカ、Pd−シリカアルミナ、Pd−ゼオライトなどの組み合わせから選ばれる触媒が挙げられる。これらの中でも触媒成分として、特に金属成分としてRh、RuあるいはPdを含有する触媒が好ましく、とりわけRh−カーボン、Ru−カーボン、Ru−アルミナ、Pd−カーボン、及びPd−アルミナ触媒が好ましい。
【0039】
触媒の調製法は、特に限定されず、通常の触媒調製法を用いることができる。例を挙げると、触媒となる金属の塩の溶液を単体に含浸させたものを還元剤により還元処理して触媒を調製する方法;触媒となる金属の塩の溶液を単体に含浸させた後、アルカリ溶液等と接触させることにより担体上に沈殿した金属水酸化物または酸化物を焼成する方法;触媒となる金属の塩の溶液を単体に含浸させた後、アルカリ溶液等と接触させることにより担体上に沈殿した金属水酸化物または酸化物を焼成した後、還元剤により還元処理して触媒を調製する方法;金属とAlの合金を調製し、さらにアルカリ処理しAlを溶出させる方法等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0040】
水素化反応は反応熱除去や粘度上昇による水素の拡散効率低下の目的で、溶媒を使用し、液相で反応させることが好ましい。溶媒は、反応に妨げのない範囲でいかなる溶媒も使用可能である。具体的には、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル溶媒;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−プロポキシエタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテルアルコール溶媒;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール溶媒;水等から選ばれる1種あるいは2種以上の混合溶媒を使用できる。
これらの中でも、水素の溶解度、アリルアルコールと芳香族ラジカル重合性モノマーの共重合体の溶解度を考慮すると、エーテル系溶媒、及びハロゲン化炭化水素溶媒が好ましく、特に、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、及びクロロホルムが好ましい。
【0041】
水素化反応における水素の圧力は常圧あるいは加圧下のいずれでも可能であるが、反応を効率的に進めるために加圧下の反応が好ましい。通常はゲージ圧で0〜30MPaG、好ましくはゲージ圧で1〜20MPaG、より好ましくは2〜15MPaGの範囲で行われる。
【0042】
水素化反応は触媒の反応効率を落とさない範囲において、いかなる温度でも実施可能であるが、通常は0〜300℃、好ましくは50〜250℃、より好ましくは70〜220℃の間で行われる。高温では副反応が進行し易くなり、低温では実質上有用な反応速度が得られない。
【0043】
水素化反応の反応形態はプロセスに応じて懸濁床バッチ反応、固定床流通反応、流動床流通反応など、通常の液相水素化分解反応、あるいは液相水素添加反応に用いられる何れの反応形態も取ることが可能である。触媒の使用量は、これら反応形態によって異なるため特に制限はないが、懸濁床バッチプロセスでは基質であるアリルアルコールと芳香族ラジカル重合性モノマーの共重合体100質量部に対して通常0.01〜100質量部、好ましくは0.1〜50質量部、より好ましくは0.5〜20質量部の範囲で使用される。
触媒量が少ないと実質上十分な反応速度が得られず、また、触媒量が多い場合は副反応の増大や触媒コストの増大の問題がある。
【0044】
水素化反応終了後、生成物であるアリルアルコール共重合体は、公知の操作、処理方法(例えば、ろ過、溶媒抽出、水洗、分液、溶媒留去、再沈殿など)により後処理されて単離される。
【0045】
本発明で使用される共重合体ポリオールはその他のポリオールと併用することができる。その際に使用できるポリオールはポリイソシアネート化合物と反応できるものであれば特に制限は無い。具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の直鎖脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、トリシクロデカンジメタノール等の脂環式構造の繰り返し単位を持つジオール、ビスフェノールA、キシリレンジオール等の芳香族ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の(ポリ)エーテルグリコール、ポリエチレンアジペート、ポリトリメチレンアジペート、ポリテトラメチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリネオペンチレンアジペート、ポリカプロラクタム等のポリエステルポリオール、さらに、本発明の共重合体ポリオールと多価カルボン酸の反応で得られるポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオール等のジオールが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0046】
本発明の共重合体ポリオールと多価カルボン酸とのエステル化反応で得られるポリエステルポリオールの製造にあたり、使用できる多価カルボン酸は2つ以上のカルボキシル基を有するものであれば特に制限はない。例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。
【0047】
このエステル化反応の実施形態としては、一般的なポリエステルポリオールの製造方法をそのまま適用することが可能である。すなわち、本発明の共重合体ポリオール化合物と多価カルボン酸化合物を触媒の存在下、または無触媒下で反応させる方法が適用できる。
【0048】
触媒としては、一般的なポリエステル合成における重縮合反応で通常用いられるものが使用可能であり、無機酸、有機酸、ルイス酸等を使用することができる。
重縮合反応は溶媒中、または無溶媒で行うことができる。溶媒は共重合体ポリオール、多価カルボン酸を溶解し、重縮合反応を阻害しないものであれば特に制限はなく、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類が例示される。
【0049】
共重合体ポリオールと多価カルボン酸化合物の比率は特に制限はないが、通常多価カルボン酸化合物のカルボキシル基(COOH基)の数と、これと反応させる水酸基(OH基)の数の比が最終的に1未満となるように調整する。すなわち、共重合ポリオール化合物のOH基の総モル当量と多価カルボン酸化合物のCOOH基の総モル当量との比OH/COOHが好ましくは1.1〜2.0、さらに好ましくは1.2〜1.7の範囲となるようにそれぞれの原料の配合比を決定する。カルボキシル基が多い配合だと、末端がカルボキシル基となりポリエステルポリオールが生成しにくく、水酸基が大過剰の配合だと、共重合ポリオールが未反応で残留することになる。
【0050】
共重合体ポリオールとその他のポリオールの割合は任意に調節可能であるが、本発明の効果を発揮させるためには共重合体ポリオールを通常20〜100モル%、好ましくは、40〜100モル%、より好ましくは50〜100モル%の割合で使用する。20モル%未満では電気絶縁性が不十分となる。
【0051】
[ポリイソシアネート化合物]
本発明のポリウレタンの合成に使用されるポリイソシアネート化合物は、通常のポリウレタン合成に使用できるものであれば特に制限はない。イソシアナト基(isocyanato- 、−N=C=O)を複数個有する化合物であればよい。具体的には、1分子中に2個のイソシアナト基を有する化合物として、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメリックMDI、トリレンジイソシアネート(TDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−トリメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,9−ノナメチレンジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、2,2’−ジエチルエーテルジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、o−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、シクロヘキサン−1,3−ジメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジメチレレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−メチレンジトリレン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、テトラクロロフェニレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素化1,3−キシリレンジイソシアネート、水素化1,4−キシリレンジイソシアネート等のジイソシアネート、1分子中に3個のイソシアナト基を有する化合物としてトリフェニルメタントリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、リシントリイソシアネート等のトリイソシアネートやイソシアヌレートなどのイソシアネート縮合体が挙げられる。また、イソシアネートに保護基がついているブロックイソシアネート化合物も使用することができる。これらのイソシアネート化合物は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0052】
[ポリウレタンの製造方法]
本発明のポリウレタンは共重合体ポリオールとポリイソシアネート化合物との重付加反応によって得られる。また、その他のポリオール化合物を併用して合成するポリウレタンは共重合体ポリオール、ポリイソシアネート化合物及びその他のポリオールの重付加反応によって得られる。
【0053】
本発明のポリウレタン合成反応の実施形態としては、一般的なポリウレタンの製造方法をそのまま適用することが可能である。すなわち、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物を触媒の存在下、または無触媒下で反応させる方法が適用できる。また、界面活性剤と水を含む有機溶媒及び触媒の存在下にポリイソシアネート化合物とポリオール化合物を反応させて、反応終了後に有機溶媒を除去する、いわゆるエマルジョン重合を適用することもできる。
【0054】
触媒としては、一般的なポリウレタン合成における重付加反応で通常用いられるものが使用可能であり、有機スズ化合物、有機アミン化合物等を使用することができる。
【0055】
また、場合によっては鎖延長剤及び/または架橋剤としてのポリオール化合物及びポリアミン化合物から選択される少なくとも1種を添加し、ポリウレタンの重合度を変化させることも可能である。この場合、ポリウレタンの合成はこれらの鎖延長剤及び/または架橋剤と共重合体ポリオールとポリイソシアネート化合物とを同時に反応させ、一段でポリウレタンを合成することも可能であるし、先に共重合体ポリオールとポリイソシアネート化合物を反応させて末端ポリイソシアネートオリゴマーを調製しておき、その後で、このオリゴマーと鎖延長剤及び/または架橋剤とを反応させる二段でのポリウレタン合成も可能である。
【0056】
鎖延長剤及び架橋剤として本発明のポリウレタン合成に使用できるポリオール化合物及びポリアミン化合物は、一般的なポリウレタン合成に使用できるものであれば特に制限はない。そのようなポリオール化合物の例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の直鎖脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、トリシクロデカンジメタノール等の脂環式ジオール、ビスフェノールA、キシリレンジオール、ハイドロキノンジエチロールエーテル等の芳香族ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の(ポリ)エーテルグリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトール等のポリオール、ポリエチレンアジペート、ポリテトラメチレンアジペート等のポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール、ヒマシ油等が挙げられる。また、ポリアミン化合物の具体例としては、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(MOCA)等の脂肪族ポリアミン化合物、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の水酸基含有アミン等が挙げられる。
なお、鎖延長剤及び架橋剤としてのポリオール化合物は前記「その他のポリオール」と同一物質であってもよい。
【0057】
重付加反応は溶媒中、または無溶媒で行うことができる。溶媒は本発明におけるポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物を溶解し、重付加反応を阻害しないものであれば特に制限はなく、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類が例示される。ただし、水分はイソシアネート基と反応し、ポリオール化合物との重付加反応を阻害するので、溶媒は脱水(乾燥)してから用いることが望ましい。しかし、界面活性剤を使用して、イソシアネート基と水分の反応を防止する、いわゆるエマルジョン重合の場合はこの限りではない。
【0058】
ポリオール化合物(共重合体ポリオール、その他のポリオールを含む)とポリイソシアネート化合物の比率は特に制限はないが、通常ポリイソシアネート化合物のイソシアナト基の数と、これと反応させる官能基(水酸基、アミノ基)の数の比が最終的に1に近い値となるように調整する。すなわち、ポリイソシアネート化合物のイソシアナト基(NCO)の総モル当量とポリオール化合物の水酸基、及び鎖延長剤及び/または架橋剤の水酸基、あるいはアミノ基の総モル当量との比NCO/(OH+NH)が好ましくは0.7〜1.5、さらに好ましくは0.9〜1.2の範囲となるようにそれぞれの原料の配合比を決定する。イソシアナト基、水酸基のどちらかの官能基が極端に多い配合だと、過剰の官能基を有する方の化合物が未反応で残留することになる。また、生成したポリウレタンの分子量が十分に大きくならず、期待した物性が得られなくなる事が多い。
【0059】
本発明のポリウレタンには必要に応じて酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤などの各種添加剤を配合することもできる。
【実施例】
【0060】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの記載により何らの限定を受けるものではない。
【0061】
実施例及び比較例で合成した物質の諸物性は、以下の通りに測定した。
1.FT−IR
使用機種:Spectrum GX(パーキンエルマー社製)、
測定方法:KBr板を用いて、液膜法で測定した。
【0062】
2.1H−NMR,13C−NMR
使用機種:JEOL EX−400(400MHz,日本電子社製)、
測定方法:重水素化クロロホルムまたは重水素化メタノールに溶解し、内部標準物質にテトラメチルシランを使用して測定した。
【0063】
3.ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)
使用機種
カラム:Shodex GPC K−G+K−802+K−802.5+K−801(昭和電工社製)、
検出器:Shodex SE−61(昭和電工社製)、
測定条件
溶媒:クロロホルム、
測定温度:40℃、
流速:1.0ml/分、
試料濃度:1.0mg/ml、
注入量:1.0μl、
検量線:Universal Calibration curve、
解析プログラム:SIC 480II (システム インスツルメンツ社製)。
【0064】
4.水酸基価
JIS K0070に記載の方法によって測定した。
【0065】
5.誘電率
使用機種:誘電体損測定器 TRS−10T(安藤電気社製)、
測定条件
周波数:1MHz、
温度:25℃、
測定方法:JIS C6471に記載の方法(変成器ブリッジ法)により測定した。
【0066】
6.熱安定性
測定方法:フィルム状の試験片を空気中100℃で30分加熱し、加熱後の試験片の色相変化の有無で熱安定性を判定した。
【0067】
合成例1:ポリオールAの調製(アリルアルコールと1−デセンの共重合)
120mlのステンレス製オートクレーブ(耐圧硝子工業社製)にアリルアルコール(昭和電工社製,6.00g,0.103mol)と1−デセン(和光純薬社製,48.30g,0.344mol)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)(和光純薬社製,2.72g,0.0107mol)を加え、フランジ部を取り付けた後、系内を窒素で3回置換した。次いで内容物を400rpmで撹拌しながら温度を上げ、140℃で5時間反応させた。
内容物を室温まで冷却後、脱圧を行った後、反応器を開けて内容物を取り出し、減圧下に100℃で未反応のアリルアルコール、1−デセン及び開始剤残渣を除去して高粘性油状物8.61gを得た。
得られた油状物の1H−NMR、13C−NMR及びIRスペクトルを測定し、目的の共重合体(ポリオールA)であることを確認した。1H−NMR、13C−NMR及びIRスペクトル測定の結果をそれぞれ図1〜3に示す。また、この共重合体の数平均分子量はMn=850、水酸基価は117mgKOH/g、アリルアルコールモノマーユニットは25.0mol%であった。
【0068】
合成例2:ポリオールBの調製(アリルアルコールと1−デセンの共重合)
120mlのステンレス製オートクレーブ(耐圧硝子工業社製)にアリルアルコール(昭和電工社製,8.00g,0.138mol)と1−デセン(和光純薬社製,38.64g,0.275mol)、ジ−t−ブチルパーオキシド(関東化学社製,2.33g,0.0159mol)を加え、フランジ部を取り付けた後、系内を窒素で3回置換した。次いで内容物を400rpmで撹拌しながら温度を上げ、140℃で5時間反応させた。
内容物を室温まで冷却後、脱圧を行った後、反応器を開けて内容物を取り出し、減圧下に100℃で未反応のアリルアルコール、1−デセン及び開始剤残渣を除去して高粘性油状物9.08gを得た。
得られた油状物の1H−NMR、13C−NMR及びIRスペクトルを測定し、目的の共重合体(ポリオールB)であることを確認した。また、この共重合体の数平均分子量はMn=830、水酸基価は217mgKOH/g、アリルアルコールモノマーユニットは41.2mol%であった。
【0069】
合成例3:ポリオールCの調製(アリルアルコールとスチレンの共重合体の水素化)
120mlのステンレス製オートクレーブ(耐圧硝子工業社製)にアリルアルコールとスチレンの共重合体(Aldrich社製,Mn=1200,水酸基価:255mgKOH/g,6.0g,アリルアルコールモノマーユニット:40mol%)と1,4−ジオキサン(和光純薬社製,55.0ml)、粉末状5%Rh−カーボン(和光純薬社製,0.7g)を加え、フランジ部を取り付けた後、系内を窒素で3回置換し、さらに水素ガスで置換を行い、最終的に4.5MPaG(ゲージ圧)の水素圧をかけた。次いで内容を400rpmで撹拌しながら温度を上げ、200℃で7時間反応させた。この間、反応圧力は一定となるように水素を導入した。
内容物を室温まで冷却後、脱圧、窒素置換を行った後、反応器を開けて内容物を取り出し、ろ過により触媒を除去した。得られたろ液より、1,4−ジオキサンを減圧下に留去し、白色固体5.9gを得た。
得られた白色固体の1H−NMR、13C−NMR及びIRスペクトルを測定し、目的の共重合体(ポリオールC)であることを確認した。また、この共重合体の数平均分子量はMn=1220、水酸基価は242mgKOH/g、アリルアルコールモノマーユニットは40mol%であった。
【0070】
合成例4:ポリオールDの調製(アリルアルコールと1−デセンとジシクロペンタジエンの3元共重合)
120mlのステンレス製オートクレーブ(耐圧硝子工業社製)にアリルアルコール(昭和電工社製,10.46g,0.180mol)と1−デセン(和光純薬社製,42.08g,0.300mol)、ジシクロペンタジエン(和光純薬社製,3.97g,0.030mol)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)(和光純薬社製,2.83g,0.0111mol)を加え、フランジ部を取り付けた後、系内を窒素で3回置換した。次いで内容物を400rpmで撹拌しながら温度を上げ、140℃で5時間反応させた。
内容物を室温まで冷却後、脱圧を行った後、反応器を開けて内容物を取り出し、減圧下に100℃で未反応のアリルアルコール、1−デセン、ジシクロペンタジエン及び開始剤残渣を除去して高粘性油状物6.28gを得た。
得られた油状物の1H−NMR、13C−NMR及びIRスペクトルを測定し、目的の3元共重合体(ポリオールD)であることを確認した。また、この共重合体の数平均分子量はMn=750、水酸基価は148mgKOH/g、アリルアルコールモノマーユニットは30.0mol%であった。
【0071】
合成例5:ポリオールEの調製(酢酸アリルと1−デセンの共重合後エステル交換)
300mlのステンレス製オートクレーブ(耐圧硝子工業社製)に酢酸アリル(東京化成工業社製,12.00g,0.120mol)と1−デセン(和光純薬社製,84.16g,0.600mol)、ジ−t−ブチルパーオキシド(キシダ化学社製,4.81g,0.0329mol)を加え、フランジ部を取り付けた後、系内を窒素で3回置換した。次いで内容物を400rpmで撹拌しながら温度を上げ、145℃で6時間反応させた。
内容物を室温まで冷却後、脱圧を行った後、反応器を開けて内容物を取り出し、減圧下に100℃で未反応の酢酸アリル、1−デセン及び開始剤残渣を除去して高粘性油状物42.11gを得た。
この油状物20.00gとエタノール250ml、水酸化ナトリウム(和光純薬社製,0.04g,0.001mol)を500mlの2口フラスコに加え、系内を窒素で置換した後、撹拌しながら80℃で4時間反応させた。内容物を室温まで冷却後、イオン交換樹脂(三菱化学社製、DAIAION PK208H)30gを詰めたカラムを通してナトリウム残渣を除去し、その後減圧下にエタノール、酢酸エチルを除去して微黄色油状物17.87gを得た。
得られた油状物の1H−NMR、13C−NMR及びIRスペクトルを測定し、目的の共重合体(ポリオールE)であることを確認した。また、この共重合体の数平均分子量はMn=1640、水酸基価は88mgKOH/g、アリルアルコールモノマーユニットは19.5mol%であった。
【0072】
合成例6:ポリオールFの調製(酢酸アリルと1−デセンの共重合後エステル交換)
酢酸アリル(東京化成工業社製,18.02g,0.180mol)と1−デセン(和光純薬社製,84.16g,0.600mol)、ジ−t−ブチルパーオキシド(キシダ化学社製,5.10g,0.0349mol)を加えた以外は合成例5と同様の反応、後処理を行い、微黄色油状物18.16gを得た。
得られた油状物の1H−NMR、13C−NMR及びIRスペクトルを測定し、目的の共重合体(ポリオールF)であることを確認した。また、この共重合体の数平均分子量はMn=1630、水酸基価は129mgKOH/g、アリルアルコールモノマーユニットは27.5mol%であった。
【0073】
合成例7:ポリオールGの調製(酢酸アリルと1−デセンの共重合後エステル交換)
1Lのガラス製オートクレーブ(耐圧硝子工業社製)に酢酸アリル(東京化成工業社製,100.10g,1.000mol)と1−デセン(和光純薬社製,280.60g,2.000mol)、ジ−t−ブチルパーオキシド(キシダ化学社製,19.00g,0.1299mol)を加え、フランジ部を取り付けた後、系内を窒素で3回置換した。次いで内容物を400rpmで撹拌しながら温度を上げ、145℃で6時間反応させた。
内容物を室温まで冷却後、脱圧を行った後、反応器を開けて内容物を取り出し、減圧下に100℃で未反応の酢酸アリル、1−デセン及び開始剤残渣を除去して高粘性油状物180.50gを得た。
この油状物50.00gとエタノール600ml、水酸化ナトリウム(和光純薬社製,0.10g,0.0025mol)を1Lの2口フラスコに加え、系内を窒素で置換した後、撹拌しながら80℃で5時間反応させた。内容物を室温まで冷却後、イオン交換樹脂(三菱化学社製、DAIAION PK208H)100gを詰めたカラムを通してナトリウム残渣を除去し、その後減圧下にエタノール、酢酸エチルを除去して微黄色油状物39.99gを得た。
得られた油状物の1H−NMR、13C−NMR及びIRスペクトルを測定し、目的の共重合体(ポリオールG)であることを確認した。また、この共重合体の数平均分子量はMn=1880、水酸基価は207mgKOH/g、アリルアルコールモノマーユニットは39.7mol%であった。
【0074】
合成例8:ポリオールHの調製(酢酸アリルと1−デセンの共重合後エステル交換)
酢酸アリル(東京化成工業社製,140.14g,1.400mol)と1−デセン(和光純薬社製,280.60g,2.000mol)、ジ−t−ブチルパーオキシド(キシダ化学社製,21.00g,0.144mol)を加えた以外は合成例7と同様の反応、後処理を行い、微黄色油状物41.39gを得た。
得られた油状物の1H−NMR、13C−NMR及びIRスペクトルを測定し、目的の共重合体(ポリオールH)であることを確認した。また、この共重合体の数平均分子量はMn=1770、水酸基価は256mgKOH/g、アリルアルコールモノマーユニットは46.6mol%であった。
【0075】
合成例9:ポリオールIの調製(酢酸アリルと1−デセンの共重合後エステル交換)
酢酸アリル(東京化成工業社製,200.20g,2.000mol)と1−デセン(和光純薬社製,280.60g,2.000mol)、ジ−t−ブチルパーオキシド(キシダ化学社製,24.00g,0.164mol)を加えた以外は合成例7と同様の反応、後処理を行い、微黄色油状物35.50gを得た。
得られた油状物の1H−NMR、13C−NMR及びIRスペクトルを測定し、目的の共重合体(ポリオールI)であることを確認した。また、この共重合体の数平均分子量はMn=1650、水酸基価は350mgKOH/g、アリルアルコールモノマーユニットは57.8mol%であった。
【0076】
実施例1:ポリウレタンキャスト膜の作製
20mlサンプル瓶に合成例1で調製したポリオールAを3.00g、ポリオールAの水酸基モル数の0.5倍当量のイソホロンジイソシアネート(IPDI)及びジブチルスズジラウレート(日東化成社製,ネオスタンU−100,0.012g)を加え、窒素雰囲気下、室温で10分撹拌した。この混合物をポリテトラフルオロエチレンフィルム(商標名:テフロン)を貼ったガラス板に約300μmの厚みで塗布し、80℃で5時間、さらに120℃で3時間加熱処理して硬化させた。その後、室温まで冷却し、テフロンフィルムを取り除くことで硬化膜を得た。この硬化膜のIRスペクトル測定の結果を図4に示す。IRスペクトルにはウレタン結合の発現が観測され、得られた硬化膜はポリウレタンであることが確認された。この硬化膜の物性測定結果を表1に示す。
【0077】
実施例2:ポリウレタンキャスト膜の作製
ポリオールAに代えて、ポリオールBを3.00gを用い、ポリオールBの水酸基モル数の0.5倍当量のイソホロンジイソシアネートを使用した以外は実施例1と同様にして硬化膜を得た。この硬化膜の物性測定結果を表1に示す。
【0078】
実施例3:ポリウレタンキャスト膜の作製
イソホロンジイソシアネート(IPDI)の代わりにヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を使用した以外は実施例1と同様の操作を行い、硬化膜を得た。この硬化膜の物性測定結果を表1に示す。
【0079】
実施例4:ポリウレタンキャスト膜の作製
イソホロンジイソシアネート(IPDI)の代わりにヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を使用した以外は実施例2と同様の操作を行い、硬化膜を得た。この硬化膜の物性測定結果を表1に示す。
【0080】
実施例5:ポリウレタン塗膜の作製
20mlサンプル瓶に合成例3で調製したポリオールC(3.00g)とポリオールCの水酸基モル数の0.5倍当量のイソホロンジイソシアネート(IPDI)及び乾燥トルエン15mlを加え、窒素下、室温で10分撹拌し、均一溶液とした。この溶液にジブチルスズジラウレート(日東化成社製ネオスタンU−100,0.012g)を加え、窒素雰囲気下、室温で10分撹拌した。テフロン(商標名)フィルムを貼ったガラス板にこの混合物を塗布し、80℃で5時間、さらに120℃で3時間加熱処理して硬化させた。その後、室温まで冷却し、テフロンフィルムを取り除くことで硬化塗膜を得た。この硬化膜の物性測定結果を表1に示す。
【0081】
実施例6:ポリウレタンキャスト膜の作製
ポリオールAに代えて、ポリオールDを3.00gを用い、ポリオールDの水酸基モル数の0.5倍当量のイソホロンジイソシアネートを使用した以外は実施例1と同様にして硬化膜を得た。この硬化膜の物性測定結果を表1に示す。
【0082】
実施例7:ポリウレタンキャスト膜の作製
ポリオールAに代えて、ポリオールEを3.00gを用い、ポリオールEの水酸基モル数の0.5倍当量のイソホロンジイソシアネートを使用し、70℃で3時間、さらに120℃で3時間加熱処理して硬化させた以外は実施例1と同様にして硬化膜を得た。この硬化膜の物性測定結果を表1に示す。
【0083】
実施例8:ポリウレタンキャスト膜の作製
ポリオールAに代えて、ポリオールFを3.00gを用い、ポリオールFの水酸基モル数の0.5倍当量のイソホロンジイソシアネートを使用し、70℃で3時間、さらに120℃で3時間加熱処理して硬化させた以外は実施例1と同様にして硬化膜を得た。この硬化膜の物性測定結果を表1に示す。
【0084】
実施例9:ポリウレタンキャスト膜の作製
ポリオールAに代えて、ポリオールGを3.00gを用い、ポリオールGの水酸基モル数の0.5倍当量のイソホロンジイソシアネートを使用し、70℃で3時間、さらに120℃で3時間加熱処理して硬化させた以外は実施例1と同様にして硬化膜を得た。この硬化膜の物性測定結果を表1に示す。
【0085】
実施例10:ポリウレタンキャスト膜の作製
ポリオールAに代えて、ポリオールHを3.00gを用い、ポリオールHの水酸基モル数の0.5倍当量のイソホロンジイソシアネートを使用し、70℃で3時間、さらに120℃で3時間加熱処理して硬化させた以外は実施例1と同様にして硬化膜を得た。この硬化膜の物性測定結果を表1に示す。
【0086】
実施例11:ポリウレタンキャスト膜の作製
ポリオールAに代えて、ポリオールIを3.00gを用い、ポリオールIの水酸基モル数の0.5倍当量のイソホロンジイソシアネートを使用し、70℃で3時間、さらに120℃で3時間加熱処理して硬化させた以外は実施例1と同様にして硬化膜を得た。この硬化膜の物性測定結果を表1に示す。
【0087】
比較例1:ポリウレタンキャスト膜の作製
ポリオールAの代わりに水酸基末端液状ポリブタジエン(出光興産社製,R−15HT)を使用した以外は実施例1と同様の操作を行い、硬化膜を得た。この硬化膜の物性測定結果を表1に示す。
【0088】
比較例2:ポリウレタンキャスト膜の作製
ポリオールAの代わりにヒマシ油(伊藤製油社製,LAV)を使用した以外は実施例1と同様の操作を行い、硬化膜を得た。この硬化膜の物性測定結果を表1に示す。
【0089】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明のポリウレタンは、例えば電線ケーブルの接続部材料、電気部品の注入絶縁材料、半導体封止材料、樹脂改質剤、耐候性塗料成分、自動車用塗料成分、防音制振塗料成分、防水塗料成分、防錆塗料成分、インキ成分、接着剤成分として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)
【化1】

及び式(2)
【化2】

(式中、Rは炭素数2〜20の脂肪族炭化水素基を表わし、分岐していても、環状構造を含んでいてもよい。)
で示される構造をモノマーユニットとして含む共重合体である共重合体ポリオールとポリイソシアネート化合物との重付加反応により得られるポリウレタン。
【請求項2】
式(1)及び式(2)で示される構造のみをモノマーユニットとする共重合体である共重合体ポリオールとポリイソシアネート化合物との重付加反応により得られる請求項1に記載のポリウレタン。
【請求項3】
さらに、他のポリオールを併用してポリイソシアネート化合物との重合反応により得られる請求項1または2に記載のポリウレタン。
【請求項4】
他のポリオールが請求項1に記載の共重合体ポリオールと多価カルボン酸との反応により得られたポリエステルポリオールである請求項3に記載のポリウレタン。
【請求項5】
さらに、鎖延長剤及び/または架橋剤として、ポリオール化合物及びポリアミン化合物から選択される少なくとも1種を併用してポリイソシアネート化合物との重合反応により得られる請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリウレタン。
【請求項6】
式(2)中のRで表わされる炭素数2〜20の脂肪族炭化水素基が炭素数2〜10の直鎖状脂肪族炭化水素基である請求項1または2に記載のポリウレタン。
【請求項7】
式(2)中のRで表わされる炭素数2〜20の脂肪族炭化水素基が炭素数6〜10の脂環式炭化水素基である請求項1または2に記載のポリウレタン。
【請求項8】
共重合体ポリオールの水酸基価が50〜500mgKOH/gである請求項1または2に記載のポリウレタン。
【請求項9】
共重合体ポリオールの数平均分子量(Mn)が400〜8000である請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリウレタン。
【請求項10】
式(1)
【化3】

及び式(2)
【化4】

(式中、Rは炭素数2〜20の脂肪族炭化水素基を表わし、分岐していても、環状構造を含んでいてもよい。)
で示される構造をモノマーユニットとして含む共重合体である共重合体ポリオールとポリイソシアネート化合物とを重付加反応させることを特徴とするポリウレタンの製造方法。
【請求項11】
式(1)及び式(2)で示される構造のみをモノマーユニットとする共重合体である共重合体ポリオールとポリイソシアネート化合物とを重付加反応させる請求項10に記載のポリウレタンの製造方法。
【請求項12】
さらに、他のポリオールを併用してポリイソシアネート化合物と重合反応させる請求項10または11に記載のポリウレタンの製造方法。
【請求項13】
さらに、鎖延長剤及び/または架橋剤として、ポリオール化合物及びポリアミン化合物から選択される少なくとも1種を併用してポリイソシアネート化合物と重合反応させる請求項10〜12のいずれか1項に記載のポリウレタンの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−59407(P2010−59407A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−181148(P2009−181148)
【出願日】平成21年8月4日(2009.8.4)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】