説明

ポリウレタン接着剤およびラミネートフィルム

【課題】易剥離性に優れ、さらに、塗膜の機械強度にも優れるポリウレタン接着剤、および、そのようなポリウレタン接着剤を用いて得られるラミネートフィルムを提供する。
【解決手段】ポリウレタン接着剤に、ポリイソシアネート成分と、ポリオール成分と、下記一般式(1)で示されるオルトリン酸誘導体を含む内部離型剤とを含有させる。
【化1】


(式中、R1およびR2は、互いに同一または相異なって、炭素数9〜24の炭化水素基を示すか、または、いずれか一方が炭素数9〜24の炭化水素基を示すとともに、他方が水素原子を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン接着剤およびラミネートフィルムに関し、詳しくは、ポリウレタン接着剤、および、ポリウレタン接着剤を用いて得られるラミネートフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
各種産業分野で使用される包装材料として、ラミネートフィルム、具体的には、例えば、プラスチックフィルムや、アルミニウムなどの金属箔、金属蒸着フィルム、シリカ蒸着フィルムなどを接着剤によりラミネート加工して得られるラミネートフィルムが、知られている。
【0003】
また、このようなラミネートフィルムの製造に用いられる接着剤として、例えば、有機ポリイソシアネート、ポリオール、および、リンの酸素酸またはその誘導体(例えば、オルトリン酸モノ−2−エチルヘキシル、オルトリン酸ジ−2−エチルヘキシルなど)を含有するポリウレタン接着剤用組成物が、提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
特許文献1に示されるポリウレタン接着剤用組成物によれば、優れた接着強度、耐熱性および耐薬品性を有する塗膜を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭58−122977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、包装材料分野では、その用途によっては、一旦作製したラミネートフィルムを剥離したい場合があり、そのような場合には、容易に剥離することができる、すなわち、易剥離性に優れ、さらには、機械強度に優れる塗膜を得られる接着剤が、求められる。
【0007】
本発明の目的は、易剥離性に優れ、さらに、塗膜の機械強度にも優れるポリウレタン接着剤、および、そのようなポリウレタン接着剤を用いて得られるラミネートフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のポリウレタン接着剤は、ポリイソシアネート成分と、ポリオール成分と、下記一般式(1)で示されるオルトリン酸誘導体を含む内部離型剤とを含有することを特徴としている。
【0009】
【化1】

【0010】
(式中、R1およびR2は、互いに同一または相異なって、炭素数9〜24の炭化水素基を示すか、または、いずれか一方が炭素数9〜24の炭化水素基を示すとともに、他方が水素原子を示す。)
また、本発明のポリウレタン接着剤では、前記内部離型剤の含有割合が、前記ポリイソシアネート成分および前記ポリオール成分の固形分総量100質量部に対して、0.01〜3質量部であることが好適である。
【0011】
また、本発明のポリウレタン接着剤では、硬化により得られる塗膜の、JIS K 7312(1996)に準拠して測定される23℃での破断時伸びが、100〜900%であることが好適である。
【0012】
また、本発明のポリウレタン接着剤は、樹脂フィルムおよび/または金属箔からなる複数の基材の間を接着させるフィルムラミネート用接着剤であることが好適である。
【0013】
また、本発明のラミネートフィルムは、上記のポリウレタン接着剤によって、複数の基材が接着されることにより得られることを特徴としている。
【0014】
また、本発明のラミネートフィルムでは、前記基材が、ポリエチレンテレフタレートフィルム、アルミニウム箔、銅箔、コロナ処理を施したポリエチレンフィルム、および、コロナ処理を施したポリプロピレンフィルムからなる群から選択される少なくとも1種であることが好適である。
【0015】
また、本発明のラミネートフィルムでは、前記ポリウレタン接着剤によって接着された前記基材間の剥離強度が、1.5N/15mm幅以下であることが好適である。
【発明の効果】
【0016】
本発明のポリウレタン接着剤は、易剥離性にすぐれ、また、硬化により得られる塗膜の機械強度にも優れる。
【0017】
また、本発明のポリウレタン接着剤を用いて得られる本発明のラミネートフィルムは、優れた機械強度を備えるとともに、容易に剥離することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のポリウレタン接着剤は、ポリイソシアネート成分、ポリオール成分および内部離型剤を含有している。
【0019】
ポリイソシアネート成分としては、例えば、ポリイソシアネート単量体、ポリイソシアネート誘導体、イソシアネート基末端プレポリマーなどが挙げられる。
【0020】
ポリイソシアネート単量体としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートなどのポリイソシアネートなどが挙げられる。
【0021】
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(2,4−または2,6−トリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(TDI)、フェニレンジイソシアネート(m−、p−フェニレンジイソシアネートもしくはその混合物)、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ジフェニルメタンジイソシネート(4,4’−、2,4’−または2,2’−ジフェニルメタンジイソシネートもしくはその混合物)(MDI)、4,4’−トルイジンジイソシアネート(TODI)、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0022】
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、キシリレンジイソシアネート(1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(1,3−または1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(TMXDI)、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼンなどの芳香脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0023】
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート(1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート)、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロジイソシアネート)(IPDI)、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(4,4’−、2,4’−または2,2’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート、これらのTrans,Trans−体、Trans,Cis−体、Cis,Cis−体、もしくはその混合物))(H12MDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート(メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート)、ノルボルナンジイソシアネート(各種異性体もしくはその混合物)(NBDI)、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(1,3−または1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンもしくはその混合物)(HXDI)などの脂環族ジイソシアネートが挙げられる。
【0024】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート)、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,4,4−または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプエートなどの脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0025】
ポリイソシアネート誘導体としては、例えば、上記したポリイソシアネート単量体の多量体(例えば、2量体、3量体(例えば、イソシアヌレート変性体、イミノオキサジアジンジオン変性体)、5量体、7量体など)、アロファネート変性体(例えば、上記したポリイソシアネート単量体と、アルコール類との反応より生成するアロファネート変性体など)、ポリオール変性体(例えば、ポリイソシアネート単量体とアルコール類との反応より生成するポリオール変性体(アルコール付加体)など)、ビウレット変性体(例えば、上記したポリイソシアネート単量体と、水やアミン類との反応により生成するビウレット変性体など)、ウレア変性体(例えば、上記したポリイソシアネート単量体とジアミンとの反応により生成するウレア変性体など)、オキサジアジントリオン変性体(例えば、上記したポリイソシアネート単量体と炭酸ガスとの反応により生成するオキサジアジントリオンなど)、カルボジイミド変性体(上記したポリイソシアネート単量体の脱炭酸縮合反応により生成するカルボジイミド変性体など)、ウレトジオン変性体、ウレトンイミン変性体などが挙げられる。
【0026】
イソシアネート基末端プレポリマーは、少なくとも2つのイソシアネート基を分子末端に有するウレタンプレポリマーであって、ポリイソシアネート(ポリイソシアネート単量体、ポリイソシアネート誘導体およびイソシアネート基末端プレポリマーから選択されるポリイソシアネート、好ましくは、ポリイソシアネート単量体およびポリイソシアネート誘導体から選択されるポリイソシアネート)と、ポリオール成分(後述)とを、ポリオール成分(後述)の水酸基に対するポリイソシアネートの当量比(NCO/OH)が、1より大きくなる割合、好ましくは、1.5〜50の割合でウレタン化反応させることにより、得ることができる。
【0027】
ウレタン化反応は、公知の方法に準拠することができる。ウレタン化反応における反応温度は、例えば、50〜120℃、好ましくは、50〜100℃であり、反応時間は、例えば、0.5〜15時間、好ましくは、1〜10時間である。
【0028】
また、ウレタン化反応では、必要により、有機溶媒を配合し、その存在下において、イソシアネート基末端プレポリマーを調製することができる(溶液重合)。
【0029】
有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、例えば、アセトニトリルなどのニトリル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのアルキルエステル類、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素類、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、メチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネートなどのグリコールエーテルエステル類、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、例えば、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、臭化メチル、ヨウ化メチレン、ジクロロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素類、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホニルアミドなどの極性非プロトン類などが挙げられる。
【0030】
これら有機溶媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0031】
なお、有機溶媒の配合割合は、目的および用途により、適宜設定される。
【0032】
また、上記ウレタン化反応においては、必要に応じて、例えば、有機酸系、スズ系、鉛系、アミン系などの公知のウレタン化触媒を添加してもよく、また、得られるイソシアネート基末端プレポリマーから遊離の(未反応の)ポリイソシアネートを、例えば、蒸留や抽出などの公知の除去手段により除去してもよい。
【0033】
イソシアネート基末端プレポリマーのイソシアネート基当量は、例えば、200〜2000、好ましくは、300〜1000である。また、未反応のポリイソシアネートの含有量は、例えば、15質量%以下、好ましくは、5質量%以下、さらに好ましくは、1質量%以下である。
【0034】
なお、イソシアネート基当量は、アミン当量と同義であり、JIS K 1603−1のA法またはB法により、求めることができる。未反応のポリイソシアネートの含有量は、例えば、HPLC測定により求めることができる。
【0035】
これらポリイソシアネート成分は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0036】
ポリイソシアネート成分として、好ましくは、ポリイソシアネート誘導体の単独使用、ポリイソシアネート誘導体とイソシアネート基末端プレポリマーとの併用が挙げられる。
【0037】
ポリイソシアネート誘導体と、イソシアネート基末端プレポリマーとが併用される場合には、それらの配合割合(固形分)は、ポリイソシアネート成分の固形分総量100質量部に対して、ポリイソシアネート誘導体が、例えば、1〜99質量部、好ましくは、10〜90質量部であり、イソシアネート基末端プレポリマーが、例えば、1〜99質量部、好ましくは、10〜90質量部である。
【0038】
また、ポリイソシアネート成分は、上記した溶剤の溶液として調製することもでき、その場合には、その固形分濃度は、例えば、10〜90質量%、好ましくは、20〜80質量%である。
【0039】
また、ポリイソシアネート成分のイソシアネート基含有率(JIS K 1556(2006)に準拠)は、例えば、0.8〜8.5質量%、好ましくは、1.4〜6.0質量%である。また、このウレタンプレポリマーのアミン当量(JIS K 1556(2006)に準拠)は、例えば、500〜5000、好ましくは、700〜3000である。
【0040】
ポリオール成分としては、例えば、低分子量ポリオールおよび高分子量ポリオールが挙げられる。
【0041】
低分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する数平均分子量400未満の有機化合物であって、低分子量ジオール、低分子量トリオール、水酸基を4つ以上有する低分子量ポリオールなどが挙げられる。
【0042】
低分子量ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,18−オクタデカンジオールなどのC2−22アルカンジオール、例えば、2−ブテン−1,4−ジオール、2,6−ジメチル−1−オクテン−3,8−ジオールなどのアルケンジオールなどの脂肪族ジオールが挙げられる。また、低分子量ジオールとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAまたはそのC2−4アルキレンオキサイド付加体などの脂環族ジオールが挙げられる。また、低分子量ジオールとしては、例えば、レゾルシン、キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、ビスヒドロキシエチレンテレフタレート、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF、上記ビスフェノール類のC2−4アルキレンオキサイド付加体などの芳香族ジオールが挙げられる。また、低分子量ジオールとしては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのエーテルジオールなどが挙げられる。
【0043】
低分子量トリオールとしては、例えば、グリセリン、2−メチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジヒドロキシ−3−ヒドロキシメチルペンタン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、2−メチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)ペンタン、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−3−ブタノールおよびその他の脂肪族トリオール(炭素数8〜24)などが挙げられる。
【0044】
水酸基を4つ以上有する低分子量ポリオールとしては、例えば、テトラメチロールメタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、D−ソルビトール、キシリトール、D−マンニトール、D−マンニットなどが挙げられる。
【0045】
これら低分子量ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0046】
高分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する数平均分子量400以上の有機化合物であって、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、エポキシポリオール、天然油ポリオール、シリコーンポリオール、フッ素ポリオール、ポリオレフィンポリオール、ウレタンポリオールなどが挙げられる。
【0047】
ポリエーテルポリオールとしては、ポリアルキレンオキサイドであって、例えば、上記した低分子量ポリオールを開始剤として、エチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加反応させることによって得られる、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンポリプロピレングリコール(ランダムまたはブロック共重合体)が挙げられる。また、例えば、テトラヒドロフランの開環重合などによって得られるポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
【0048】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオールの1種または2種以上から選択される多価アルコールと、多塩基酸、そのアルキルエステル、その酸無水物、および、その酸ハライドとの縮合反応またはエステル交換反応により得られるポリエステルポリオールが挙げられる。
【0049】
多塩基酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタール酸、アジピン酸、1,1−ジメチル−1,3−ジカルボキシプロパン、3−メチル−3−エチルグルタール酸、アゼライン酸、セバチン酸、その他の脂肪族ジカルボン酸(炭素数11〜13)、水添ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トルエンジカルボン酸、ダイマー酸、ヘット酸などが挙げられる。
【0050】
多塩基酸のアルキルエステルとしては、上記した多塩基酸のメチルエステル、エチルエステルなどが挙げられる。
【0051】
酸無水物としては、上記した多塩基酸から誘導される酸無水物が挙げられ、例えば、無水シュウ酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水2−アルキル(炭素数12〜18)コハク酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水トリメリット酸などが挙げられる。
【0052】
酸ハライドとしては、上記した多塩基酸から誘導される酸ハライドが挙げられ、例えば、シュウ酸ジクロライド、アジピン酸ジクロライド、セバチン酸ジクロライドなどが挙げられる。
【0053】
また、ポリエステルポリオールとして、例えば、上記した低分子量ポリオールを開始剤として、ヒドロキシル基含有植物油脂肪酸(例えば、リシノレイン酸を含有するひまし油脂肪酸、12−ヒドロキシステアリン酸を含有する水添ひまし油脂肪酸、乳酸など)などのヒドロキシカルボン酸を、公知の条件下、縮合反応させて得られる植物油系ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
【0054】
さらに、ポリエステルポリオールには、例えば、上記した低分子量ポリオールを開始剤として、例えば、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトン類や、例えば、L−ラクチド、D−ラクチドなどのラクチド類などを開環重合により得られる、ポリカプロラクトンポリオール、ポリバレロラクトンポリオールなどのポリエステルポリオールなどが挙げられる。
【0055】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオールを開始剤として、例えば、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネートなどのカーボネート類を用いて得られる、ポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。ポリカーボネートポリオールとしては、1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールとの共重合体からなる非晶性ポリカーボネートジオール、1,4−ブタンジオールと1,6−ヘキサンジオールとの共重合体からなる非晶性ポリカーボネートジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールからなる非晶性ポリカーボネートジオールが挙げられる。
【0056】
アクリルポリオールとしては、例えば、1つ以上の水酸基を有する重合性単量体と、それに共重合可能な別の単量体とを共重合させることによって得られる共重合体が挙げられる。
【0057】
水酸基を有する重合性単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,2−ジヒドロキシメチルブチル(メタ)アクリレート、ポリヒドロキシアルキルマレエート、ポリヒドロキシアルキルフマレートなどが挙げられる。
【0058】
また、それらと共重合可能な別の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数1〜12)、マレイン酸、マレイン酸アルキル、フマル酸、フマル酸アルキル、イタコン酸、イタコン酸アルキル、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、3−(2−イソシアネート−2−プロピル)−α−メチルスチレン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0059】
そして、アクリルポリオールは、それら単量体を適当な溶剤および重合開始剤の存在下において共重合させることによって得ることができる。
【0060】
エポキシポリオールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオールと、例えば、エピクロルヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリンなどの多官能ハロヒドリンとを反応させることよって得られるエポキシポリオールが挙げられる。
【0061】
天然油ポリオールとしては、例えば、ひまし油、やし油などの水酸基含有天然油などが挙げられる。
【0062】
シリコーンポリオールとしては、例えば、上記したアクリルポリオールの共重合において、共重合可能な別の単量体として、ビニル基含有のシリコーン化合物、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどが用いられる共重合体、および、末端アルコール変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。
【0063】
フッ素ポリオールとしては、例えば、上記したアクリルポリオールの共重合において、共重合可能な別の単量体としてビニル基含有のフッ素化合物、例えば、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンなどが用いられる共重合体などが挙げられる。
【0064】
ポリオレフィンポリオールとしては、例えば、ポリブタジエンポリオール、部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
【0065】
ウレタンポリオールは、上記した低分子量ポリオールおよび/または高分子量ポリオールと、上記したポリイソシアネート成分とを、低分子量ポリオールの水酸基に対するポリイソシアネート成分のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)が、1より小さくなる割合でウレタン化反応させることにより、得ることができる。
【0066】
また、低分子量ポリオールおよび/または高分子量ポリオールとして、好ましくは、低分子量ジオール、低分子量トリオールおよびポリエーテルポリオールの併用が挙げられる。
【0067】
ウレタンポリオールの水酸基当量は、例えば、150〜10000、好ましくは、200〜80000であり、数平均分子量は、例えば、300〜30000、好ましくは、400〜25000である。
【0068】
これら高分子量ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0069】
高分子量ポリオールとして、好ましくは、ポリエステルポリオール、ウレタンポリオールが挙げられる。
【0070】
これらポリオール成分は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0071】
ポリオール成分は、上記した溶剤の溶液として調製することもでき、その場合には、その固形分濃度は、例えば、10〜90質量%、好ましくは、20〜80質量%である。
【0072】
また、ポリオール成分の水酸基当量は、例えば、150〜10000、好ましくは、200〜8000であり、数平均分子量は、例えば、300〜30000、好ましくは、400〜24000である。
【0073】
内部離型剤は、下記一般式(1)で示されるオルトリン酸誘導体(以下、高炭素数オルトリン酸誘導体とする。)を含んでいる。
【0074】
【化2】

【0075】
(式中、R1およびR2は、互いに同一または相異なって、炭素数9〜24の炭化水素基を示すか、または、いずれか一方が炭素数9〜24の炭化水素基を示すとともに、他方が水素原子を示す。)
上記式(1)中、R1は、炭素数9〜24の炭化水素基、または、水素原子(R2が炭素数9〜24の炭化水素基を示す場合に限る。)を示す。
【0076】
炭素数9〜24の炭化水素基としては、例えば、炭素数9〜24のアルキル基、炭素数9〜24のアルケニル基、炭素数9〜24のアルキニル基、炭素数9〜24のアリール基などが挙げられる。
【0077】
炭素数9〜24のアルキル基としては、例えば、1−ノニル、イソノニル、1−デシル、イソデシル、1−ウンデシル、イソウンデシル、1−ドデシル、イソドデシル、1−トリデシル、イソトリデシル、1−テトラデシル、イソテトラデシル、1−ペンタデシル、イソペンタデシル、1−ヘキサデシル、イソヘキサデシル、1−ヘプタデシル、イソヘプタデシル、1−オクタデシル、イソオクタデシル、1−ノナデシル、イソノナデシル、1−イコシル、イソイコシル、1−エイコシル、イソエイコシル、1−ヘンイコシル、イソヘンイコシル、1−ヘンエイコシル、イソヘンエイコシル、1−ドコシル、イソドコシル、1−トリコシル、イソトリコシル、1−テトラコシル、イソテトラコシルなどが挙げられる。
【0078】
炭素数9〜24のアルケニル基としては、例えば、ノネニル、イソノネニル、デセニル、イソデセニル、ウンデセニル、イソウンデセニル、ドデセニル、イソドデセニル、トリデセニル、イソトリデセニル、テトラデセニル、イソテトラデセニル、ペンタデセニル、イソペンタデセニル、ヘキサデセニル、イソヘキサデセニル、ヘプタデセニル、イソヘプタデセニル、オクタデセニル(ラウリル)、イソオクタデセニル、ノナデセニル、イソノナデセニル、イコセニル、イソイコセニル、エイコセニル、イソエイコセニル、ヘンイコセニル、イソヘンイコセニル、ドコセニル、イソドコセニル、トリコセニル、イソトリコセニル、テトラコセニル、イソテトラコセニルなどなどが挙げられる。
【0079】
炭素数9〜24のアルキニル基としては、例えば、ノニニル、イソノニニル、デシニル、イソデシニル、ウンデシニル、イソウンデシニル、ドデシニル、イソドデシニル、トリデシニル、イソトリデシニル、テトラデシニル、イソテトラデシニル、ペンタデシニル、イソペンタデシニル、ヘキサデシニル、イソヘキサデシニル、ヘプタデシニル、イソヘプタデシニル、オクタデシニル、イソオクタデシニル、ノナデシニル、イソノナデシニル、イコシニル、イソイコシニル、エイコシニル、イソエイコシニル、ヘンイコシニル、イソヘンイコシニル、ドコシニル、イソドコシニル、トリコシニル、イソトリコシニル、テトラコシニル、イソテトラコシニルなどが挙げられる。
【0080】
炭素数9〜24のアリール基としては、例えば、ビフェニル、トリメチルフェニル、ナフチル、アントラシル、フェナントリルなどが挙げられる。
【0081】
炭素数9〜24の炭化水素基として、好ましくは、炭素数9〜24のアルキル基、炭素数9〜24のアルケニル基が挙げられる。
【0082】
上記式(1)中、R2は、炭素数9〜24の炭化水素基、または、水素原子(R1が炭素数9〜24の炭化水素基を示す場合に限る。)を示す。
【0083】
炭素数9〜24の炭化水素基としては、上記した炭素数9〜24のアルキル基、上記した炭素数9〜24のアルケニル基、上記した炭素数9〜24のアルキニル基、上記した炭素数9〜24のアリール基などが挙げられる。
【0084】
また、上記式(1)において、R1およびR2が、いずれも炭素数9〜24の炭化水素基を示す場合には、それら炭化水素基は、R1およびR2において、互いに同一または相異なっており、好ましくは、互いに同一である。
【0085】
すなわち、高炭素数オルトリン酸誘導体として、好ましくは、上記式(1)において、R1およびR2が互いに同一の炭素数9〜24の炭化水素基を示すオルトリン酸誘導体が挙げられる。
【0086】
また、高炭素数オルトリン酸誘導体として、好ましくは、上記式(1)において、R1またはR2のいずれか一方が炭素数9〜24の炭化水素基を示し、他方が水素原子を示す高炭素数オルトリン酸誘導体も挙げられる。
【0087】
このような高炭素数オルトリン酸誘導体として、具体的には、例えば、リン酸モノ−1−ノニル、リン酸ジ−1−ノニル、リン酸モノイソノニル、リン酸ジイソノニル、リン酸モノ−1−デシル、リン酸ジ−1−デシル、リン酸モノイソデシル、リン酸ジイソデシル、リン酸モノ−1−ウンデシル、リン酸ジ−1−ウンデシル、リン酸モノイソウンデシル、リン酸ジイソウンデシル、リン酸モノ−1−ドデシル、リン酸ジ−1−ドデシル、リン酸モノイソドデシル、リン酸ジイソドデシル、リン酸モノ−1−トリデシル、リン酸ジ−1−トリデシル、リン酸モノイソトリデシル、リン酸ジイソトリデシル、リン酸モノ−1−テトラデシル、リン酸ジ−1−テトラデシル、リン酸モノイソテトラデシル、リン酸ジイソテトラデシル、リン酸モノ−1−ペンタデシル、リン酸ジ−1−ペンタデシル、リン酸モノイソペンタデシル、リン酸ジイソペンタデシル、リン酸モノ−1−ヘキサデシル、リン酸ジ−1−ヘキサデシル、リン酸モノイソヘキサデシル、リン酸ジイソヘキサデシル、リン酸モノ−1−ヘプタデシル、リン酸ジ−1−ヘプタデシル、リン酸モノイソヘプタデシル、リン酸ジイソヘプタデシル、リン酸モノ−1−オクタデシル、リン酸ジ−1−オクタデシル、リン酸モノイソオクタデシル、リン酸ジイソクタデシル、リン酸モノ−1−ノナデシル、リン酸ジ−1−ノナデシル、リン酸モノイソノナデシル、リン酸ジイソノナデシル、リン酸モノ−1−イコシル、リン酸ジ−1−イコシル、リン酸モノイソイコシル、リン酸ジイソイコシル、リン酸モノ−1−エイコシル、リン酸ジ−1−エイコシル、リン酸モノイソエイコシル、リン酸ジイソエイコシル、リン酸モノ−1−ヘンイコシル、リン酸ジ−1−ヘンイコシル、リン酸モノイソヘンイコシル、リン酸ジイソヘンイコシル、リン酸モノ−1−ヘンエイコシル、リン酸ジ−1−ヘンエイコシル、リン酸モノイソヘンエイコシル、リン酸ジイソヘンエイコシル、リン酸モノ−1−ドコシル、リン酸ジ−1−ドコシル、リン酸モノイソドコシル、リン酸ジイソドコシル、リン酸モノ−1−トリコシル、リン酸ジ−1−トリコシル、リン酸モノイソトリコシル、リン酸ジイソトリコシル、リン酸モノ−1−テトラコシル、リン酸ジ−1−テトラコシル、リン酸モノイソテトラコシル、リン酸ジイソテトラコシル、リン酸モノオレイル、リン酸ジオレイルなどが挙げられる。
【0088】
これら高炭素数オルトリン酸誘導体は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0089】
このような高炭素数オルトリン酸誘導体が内部離型剤に含有されていれば、ポリウレタン接着剤の優れた易剥離性を確保することができる。
【0090】
また、内部離型剤は、例えば、下記一般式(2)で示されるオルトリン酸誘導体(以下、低炭素数オルトリン酸誘導体とする。)を含むことができる。
【0091】
【化3】

【0092】
(式中、R3およびR4は、互いに同一または相異なって、炭素数1〜8の炭化水素基を示すか、または、いずれか一方が炭素数1〜8の炭化水素基を示すとともに、他方が水素原子を示す。)
上記式(2)中、R3は、炭素数1〜8の炭化水素基、または、水素原子(R4が炭素数1〜8の炭化水素基を示す場合に限る。)を示す。
【0093】
炭素数1〜8の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基、炭素数6〜8のアリール基などが挙げられる。
【0094】
炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシルなどが挙げられる。
【0095】
炭素数2〜8のアルケニル基としては、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブチニル、イソブチニル、sec−ブチニル、tert−ブチニル、ペンテニル、イソペンテニル、sec−ペンテニル、ヘキセニル、イソヘキセニル、ヘプテニル、イソヘプテニル、オクテニル、イソオクテニル、2−エチルヘキセニルなどが挙げられる。
【0096】
炭素数2〜8のアルキニル基としては、エチニル、プロピニル、イソプロピニル、ブチニル、イソブチニル、sec−ブチニル、tert−ブチニル、ペンチニル、イソペンチニル、sec−ペンチニル、ヘキシニル、イソヘキシニル、ヘプチニル、イソヘプチニル、オクチニル、イソオクチニル、2−エチルヘキシニルなどが挙げられる。
【0097】
炭素数6〜8のアリール基としては、例えば、フェニル、トリル、キシリルなどが挙げられる。
【0098】
炭素数1〜8の炭化水素基として、好ましくは、炭素数1〜8のアルキル基が挙げられる。
【0099】
また、上記式(2)中、R4は、炭素数1〜8の炭化水素基、または、水素原子(R3が炭素数1〜8の炭化水素基を示す場合に限る。)を示す。
【0100】
炭素数1〜8の炭化水素基としては、上記した炭素数1〜8のアルキル基、上記した炭素数1〜8のアルケニル基、上記した炭素数1〜8のアルキニル基、上記した炭素数1〜8のアリール基などが挙げられる。
【0101】
上記式(2)において、R3およびR4が、いずれも炭素数1〜8の炭化水素基を示す場合には、それら炭化水素基は、R1およびR2において、互いに同一または相異なっており、好ましくは、互いに同一である。
【0102】
すなわち、低炭素数オルトリン酸誘導体として、好ましくは、上記式(2)において、R3およびR4が互いに同一の炭素数1〜8の炭化水素基を示す低炭素数オルトリン酸誘導体が挙げられる。
【0103】
また、低炭素数オルトリン酸誘導体として、好ましくは、上記式(2)において、R3またはR4のいずれか一方が炭素数1〜8の炭化水素基を示し、他方が水素原子を示す低炭素数オルトリン酸誘導体も挙げられる。
【0104】
このような低炭素数オルトリン酸誘導体として、具体的には、例えば、リン酸モノメチル、リン酸ジメチル、リン酸ジエチル、リン酸モノエチル、リン酸モノプロピル、リン酸ジプロピル、リン酸モノイソプロピル、リン酸ジイソプロピル、リン酸モノブチル、リン酸ジブチル、リン酸モノイソブチル、リン酸ジイソブチル、リン酸モノsec−ブチル、リン酸ジsec−ブチル、リン酸モノtert−ブチル、リン酸ジtert−ブチル、リン酸モノペンチル、リン酸ジペンチル、リン酸モノイソペンチル、リン酸ジイソペンチル、リン酸モノsec−ペンチル、リン酸ジsec−ペンチル、リン酸モノヘキシル、リン酸ジヘキシル、リン酸モノイソヘキシル、リン酸ジイソヘキシル、リン酸モノヘプチル、リン酸ジヘプチル、リン酸モノイソヘプチル、リン酸ジイソヘプチル、リン酸モノオクチル、リン酸ジオクチル、リン酸モノイソオクチル、リン酸ジイソオクチル、リン酸モノ2−エチルヘキシル、リン酸ジ2−エチルヘキシルなどが挙げられる。
【0105】
これら低炭素数オルトリン酸誘導体は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0106】
また、内部離型剤は、さらに、例えば、変性シリコーンオイルを含むことができる。
【0107】
変性シリコーンオイルは、ジメチルシリコーンのメチル基の一部が官能基で置換された構造のシリコーンオイルであって、具体的には、例えば、ポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、カルボキシル変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、メタクリル変性シリコーン、長鎖アルキル変性シリコーンなどが挙げられる。
【0108】
これら変性シリコーンオイルは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0109】
内部離型剤が、高炭素数オルトリン酸誘導体を含有するとともに、低炭素数オルトリン酸誘導体および/または変性シリコーンオイルを含有する場合、それらの含有割合は、内部離型剤100質量部に対して、高炭素数オルトリン酸誘導体が、例えば、10〜95質量部、好ましくは、20〜90質量部であり、低炭素数オルトリン酸誘導体および/または変性シリコーンオイル(併用される場合にはその総量)が、例えば、5〜90質量部、好ましくは、10〜80質量部である。
【0110】
そして、このような内部離型剤の含有割合(必須成分としての高炭素数オルトリン酸誘導体、および、任意成分としての低炭素数オルトリン酸誘導体および/または変性シリコーンオイルの総量)は、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分の固形分総量100質量部に対して、例えば、0.005〜5質量部、好ましくは、0.01〜3質量部、より好ましくは、0.05〜2質量部である。
【0111】
このような内部離型剤の含有割合が上記範囲であれば、ポリウレタン接着剤の優れた易剥離性を確保することができる。
【0112】
そして、本発明のポリウレタン接着剤は、例えば、2液硬化型接着剤、または、1液硬化型接着剤として調製される。
【0113】
2液硬化型接着剤は、上記したポリオール成分(主剤)と、上記したポリイソシアネート成分(硬化剤)とが、それぞれ調製され、使用時に配合される。
【0114】
また、2液硬化型接着剤において、内部離型剤は、例えば、ポリオール成分およびポリイソシアネート成分とは別途用意され、使用時において、ポリオール成分およびポリイソシアネート成分とともに、上記した割合で配合される。また、内部離型剤は、予め、例えば、ポリオール成分およびポリイソシアネート成分のいずれか一方またはその両方に、上記した割合で配合されることもできる。
【0115】
また、2液硬化型接着剤は、無溶剤で調製することもできるが、必要により、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分のいずれか一方またはその両方に、溶剤を配合することができる。
【0116】
溶剤としては、特に制限されず、例えば、上記した有機溶媒などが挙げられる。
【0117】
また、溶剤の配合割合は、目的および用途により、適宜設定される。
【0118】
さらに、2液硬化型接着剤では、ポリイソシアネート成分、ポリオール成分および内部離型剤からなる群から選択される少なくとも1種に、必要に応じて、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、シランカップリング剤、エポキシ樹脂、触媒、塗工性改良剤、レベリング剤、核剤、滑剤、離型剤、消泡剤、可塑剤、界面活性剤、顔料、染料、有機または無機微粒子、防黴剤、難燃剤など、公知の添加剤を配合することができる。
【0119】
なお、添加剤の配合割合は、目的および用途により、適宜設定される。
【0120】
このような2液硬化型接着剤において、溶剤に希釈して溶液とした場合、ポリオール成分の粘度(25℃)は、例えば、100〜20000mPa・s、好ましくは、200〜10000mPa・sであり、ポリイソシアネート成分の粘度(25℃)は、例えば、5〜10000mPa・s、好ましくは、10〜8000mPa・sである。
【0121】
また、このような2液硬化型接着剤において、無溶剤の場合、ポリオール成分の粘度(25℃)は、例えば、100〜2000000mPa・s、好ましくは、1000〜100000mPa・sであり、ポリイソシアネート成分の粘度(25℃)は、例えば、例えば、100〜2000000mPa・s、好ましくは、1000〜100000mPa・sである。
【0122】
なお、粘度は、回転型粘度計などを用いることにより測定することができる。
【0123】
また、2液硬化型接着剤において、使用時におけるポリオール成分とポリイソシアネート成分との配合割合は、例えば、ポリオール成分の水酸基に対するポリイソシアネート成分のイソシアネート基の当量比R(NCO/OH)が、例えば、0.5〜5、好ましくは、0.6〜3となる割合である。
【0124】
1液硬化型接着剤としては、湿気や蒸気(アミン蒸気など)などにより硬化する湿気硬化型接着剤が挙げられる。
【0125】
このような1液硬化型接着剤は、上記したポリイソシアネート成分および上記したポリオール成分を反応させることにより得られる、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと、上記した内部離型剤とを、1液中に含有している。
【0126】
ウレタンプレポリマーを調製するには、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを、ポリイソシアネート成分のイソシアネート基が、ポリオール成分の水酸基に対して過剰となるように配合して反応させる。
【0127】
より具体的には、例えば、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを、ポリオール成分の水酸基に対するポリイソシアネート成分のイソシアネート基の当量比R(NCO/OH)が、例えば、1を超過し、好ましくは、1.1〜8.0、さらに好ましくは、1.2〜5.0となる割合で、例えば、真空下において、反応温度50〜140℃で、例えば、1〜5時間反応させる。
【0128】
なお、水酸基に対するポリイソシアネート基の当量比R(NCO/OH)が、1.1未満であると、ポリウレタン接着剤の粘度が非常に高くなり、基材(後述)への塗布が困難になる場合や、ゲル化する場合がある。
【0129】
また、この反応においては、必要に応じて、例えば、有機酸系、スズ系、鉛系、アミン系などの公知のウレタン化触媒を用いることができる。
【0130】
そして、このようにして得られたウレタンプレポリマーのイソシアネート基含有率(JIS K 1556(2006)に準拠)は、例えば、0.8〜8.5質量%、好ましくは、1.4〜6.0質量%である。また、このウレタンプレポリマーのアミン当量(JIS K 1556(2006)に準拠)は、例えば、500〜5000、好ましくは、700〜3000である。
【0131】
1液硬化型接着剤において、内部離型剤は、例えば、ウレタンプレポリマー調製前の、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分のいずれか一方またはその両方に、上記した割合で配合する。また、例えば、調製後のウレタンプレポリマーに配合することもできる。
【0132】
さらに、1液硬化型接着剤では、ポリイソシアネート成分、ポリオール成分および内部離型剤からなる群から選択される少なくとも1種に、必要に応じて、上記した添加剤を配合することができる。
【0133】
なお、添加剤の配合割合は、目的および用途により、適宜設定される。
【0134】
また、1液硬化型接着剤は、無溶剤で調製することもできるが、必要により、溶剤の存在下において調製することもできる。
【0135】
溶剤としては、特に制限されず、例えば、上記した有機溶媒などが挙げられる。
【0136】
これら溶剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0137】
なお、溶剤の配合割合は、目的および用途により、適宜設定される。
【0138】
そして、このようなポリウレタン接着剤(2液硬化型接着剤および1液硬化型接着剤を含む)は、後述するように、易剥離性に優れ、さらに、例えば、ポリイソシアネート成分、ポリオール成分および内部離型剤の配合割合を調整するなどにより、その接着剤により接着される基材間の剥離強度(後述)を、容易にコントロールすることができる。
【0139】
さらに、このようなポリウレタン接着剤は、硬化により得られる塗膜の機械強度および耐熱性にも優れる。
【0140】
ポリウレタン接着剤の硬化塗膜の、JIS K 7312(1996)に準拠して測定される23℃での破断時伸びは、例えば、50〜1000%、好ましくは、100〜900%、より好ましくは、300〜700%である。
【0141】
塗膜の破断時伸びが上記範囲であれば、機械強度に優れたラミネートフィルム(後述)を得ることができる。
【0142】
そのため、このようなポリウレタン接着剤は、樹脂フィルムおよび/または金属箔からなる複数の基材の間を接着させることにより、ラミネートフィルムを作製するための、フィルムラミネート用接着剤として、好適に用いられる。
【0143】
樹脂フィルムとしては、例えば、オレフィン系重合体(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリエステル系重合体(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレート、ポリアルキレンナフタレートや、それらのポリアルキレンアリレート単位を主成分とするコポリエステルなど)、ポリアミド系重合体(例えば、ナイロン6、ナイロン66など)、ビニル系重合体(例えば、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体など)からなるプラスチックフィルムなどが挙げられる。
【0144】
樹脂フィルムの厚みは、例えば、5〜250μmである。
【0145】
また、このような樹脂フィルムとしては、未延伸フィルム(未延伸ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、または、一軸または二軸延伸フィルム(二軸延伸ポリプロピレン、ポリアルキレンテレフタレート、ナイロンなど)のいずれも用いることができる。
【0146】
また、樹脂フィルムは、各種共押出フィルム、または、樹脂フィルム同士を予め貼着した複合フィルムとして、用意することもできる。
【0147】
さらに、樹脂フィルムの表面は、コロナ処理(コロナ放電処理)などの表面処理をしてもよく、アンカーコート剤などでプライマー処理をすることもできる。
【0148】
金属箔としては、例えば、アルミニウム箔、ステンレス箔、鉄箔、銅箔、鉛箔などが挙げられる。
【0149】
金属箔の厚みは、例えば、5〜100μm、好ましくは5〜30μm、さらに好ましくは5〜20μmである。
【0150】
これら基材は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0151】
基材として、ポリウレタン接着剤により良好に接着するとともに易剥離性を確保する観点から、好ましくは、ポリエチレンテレフタレートフィルム、コロナ処理を施したポリエチレンフィルム、コロナ処理を施したポリプロピレンフィルム、アルミニウム箔、銅箔が挙げられる。
【0152】
ラミネートフィルムの作製では、ポリイソシアネート成分、ポリオール成分および内部離型剤を含むポリウレタン接着剤を、基材に塗布する。
【0153】
具体的には、ポリウレタン接着剤が1液硬化型接着剤である場合には、1液硬化型接着剤を、例えば、基材のいずれか一方の表面に塗布し、その後、他方の基材の表面に貼り合わせる。その後、1液硬化型接着剤を、例えば、湿気硬化させる。
【0154】
また、ポリウレタン接着剤が2液硬化型接着剤である場合には、ポリイソシアネート成分とポリオール成分と内部離型剤とを、上記した割合で配合し、得られる混合物を、例えば、10〜100℃において、基材のいずれか一方の表面に塗布する。その後、その塗工面を、他方の基材の表面に貼着して、その後、常温または加温下において、養生して硬化させる。
【0155】
ラミネートフィルムとしては、複数の基材を貼着(1次ラミネート)して、1次ラミネートフィルムを作製してもよく、さらには、1次ラミネートフィルムの少なくとも一方の表面に、他の基材を貼着(2次ラミネート)して、2次ラミネートフィルムを作製することもできる。
【0156】
具体的には、1次ラミネートフィルムは、樹脂フィルムと金属箔とが接着される2層ラミネートフィルム、樹脂フィルム同士が接着される2層ラミネートフィルム、金属箔同士が接着される2層ラミネートフィルムなどが挙げられる。
【0157】
また、2次ラミネートフィルムは、上記の1次ラミネートフィルムと、樹脂フィルム、金属箔または別途用意される1次ラミネートフィルムとが接着されることにより、形成される。
【0158】
なお、2次ラミネートフィルムの作製では、1次ラミネートおよび2次ラミネートの両方において、本発明のウレタン接着剤を用いてもよく、あるいは、1次ラミネートおよび2次ラミネートのいずれか一方において、本発明のウレタン接着剤を用いて、他方において、他の接着剤を用いることもできる。
【0159】
このようなラミネートフィルムの製造では、塗布方法としては、特に制限されず、例えば、公知のラミネート装置を用いることができる。
【0160】
ポリウレタン接着剤の塗布量は、各ラミネート工程において、例えば、0.5〜10g/m、好ましくは、1〜5g/m、さらに好ましくは、1.5〜4.5g/mである。塗布量が0.5g/m未満の場合には、接着性が十分に発現せず、外観不良となる場合があり、一方、塗布量が10g/mを超過すると、ラミネートフィルムの端部から接着剤が漏出し、ラミネートフィルムの品質不良を生じる場合がある。
【0161】
そして、上記したポリウレタン接着剤は、易剥離性に優れ、また、例えば、ポリイソシアネート成分、ポリオール成分および内部離型剤の配合割合を調整するなどにより、その接着剤により接着される基材間の剥離強度(後述)を、容易にコントロールすることができる。
【0162】
具体的には、上記のポリウレタン接着剤によって接着された基材間の剥離強度は、例えば、2.0N/15mm幅以下、好ましくは、1.5N/15mm幅以下、より好ましくは、1.0N/15mm幅以下、通常、0.01N/15mm幅以上である。
【0163】
基材間の剥離強度が上記上限以下であれば、ラミネートフィルムの基材間を容易に剥離することができる。
【0164】
また、23℃における基材間の剥離強度(Tピール試験測定値)は、例えば、2.0N/15mm幅以下、好ましくは、1.5N/15mm幅以下、より好ましくは、1.0N/15mm幅以下、通常、0.01N/15mm幅以上である。
【0165】
また、5℃における基材間の剥離強度(フリーピール試験測定値)は、例えば、2.0N/15mm幅以下、好ましくは、1.5N/15mm幅以下、より好ましくは、1.0N/15mm幅以下、通常、0.01N/15mm幅以上である。
【0166】
そして、5℃における剥離強度に対する、23℃における剥離強度の比は、例えば、0.1〜20、好ましくは、0.1〜10である。
【0167】
剥離強度の比が上記範囲あれば、使用環境温度に大きく左右されず、ラミネートフィルムの基材間を安定的に容易に剥離することができる。
【0168】
また、このようなポリウレタン接着剤は、上記したように、硬化により得られる塗膜の機械強度に優れ、さらには、耐熱性にも優れる。
【0169】
すなわち、本発明のポリウレタン接着剤を用いて得られる本発明のラミネートフィルムは、優れた機械強度および耐熱性を備えるとともに、容易に剥離することができる。
【0170】
そのため、本発明のポリウレタン接着剤、および、本発明のラミネートフィルムは、易剥離性が要求される各種の産業分野におけるラミネートフィルム、具体的には、剥離および貼り直し可能な保護シートや包装材などに、好適に用いられる。
【実施例】
【0171】
以下に、実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0172】
製造例1(ポリイソシアネート成分Aの製造)
攪拌機、温度計、冷却器および窒素ガス導入管を備えた容量1リットルの4つ口フラスコに、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート150gと、酢酸エチル136gと、ポリオキシプロピレングリコール(三井化学製、D−1000、数平均分子量1000)275gと、ポリオキシプロピレングリコール(三井化学製、D−2000、数平均分子量2000)185gとを仕込み、窒素気流下において、反応温度を70〜80℃の範囲に調整しながら、4時間ウレタン化反応させ、イソシアネート基末端プレポリマーを得た。
【0173】
その後、40℃に冷却し、タケネートA−3(三井化学製、固形分濃度75質量%酢酸エチル溶液、トリレンジイソシアネート誘導体(トリメチロールプロパン変性体))254gを加えた。
【0174】
これにより、固形分濃度80質量%、回転粘度計により測定される粘度(25℃)3800mPa・s、イソシアネート基含有率5.2質量%のポリイソシアネート成分Aを得た。
【0175】
製造例2(ポリオール成分Aの製造)
攪拌機、温度計、冷却器および窒素ガス導入管を備えた容量1リットルの4つ口フラスコに、ポリオキシプロピレングリコール(三井化学製、D−1000、数平均分子量1000)467gと、ジプロピレングリコール70gと、トリメチロールプロパン5gと、トリレンジイソシアネート(三井化学製、T−80)158gと、酢酸エチル300gとを仕込み、窒素気流下において、反応温度を60〜70℃の範囲に調整しながら、2時間ウレタン化反応させた。
【0176】
次いで、反応液にオクチル酸錫0.2gを添加し、反応温度を70〜80℃の範囲に調整しながら、さらに、4時間ウレタン化反応させ、ウレタンポリオールを得た。FT−IRによりイソシアネート基のピークが完全に消失したことを確認し、固形分濃度70質量%、回転粘度計により測定される粘度(25℃)7000mPa・sのポリオール成分Aを得た。
【0177】
製造例3(ポリオール成分Bの製造)
攪拌機、温度計、精留塔および窒素ガス導入管を備えた容量1リットルの4つ口フラスコに、テレフタル酸185gと、イソフタル酸246gと、アジピン酸164gと、エチレングリコール88gと、ネオペンチルグリコール149gと、1,6−ヘキサンジオール168gとを仕込み、200〜230℃で8時間エステル化反応させた。所定量の水を留出させた後、テトラブチルチタネート0.1gを添加し、徐々に減圧し、1.3〜2.7hPa、230〜250℃で5時間縮合させた。これにより、酸価1.0mgKOH/g、水酸基価12mgKOH/gのポリエステルポリオールを得た。
【0178】
得られたポリエステルポリオールを、酢酸エチルにて固形分60質量%に調整し、回転粘度計により測定される粘度(25℃)1300mPa・sのポリオール成分Bを得た。
<2液硬化型接着剤>
実施例1〜16および比較例1〜4
ポリイソシアネート成分とポリオール成分と内部離型剤とを、表1に示す割合で配合し、2液硬化型のポリウレタン接着剤を得た。
【0179】
なお、ポリイソシアネート成分Bとして、タケネートA−65(三井化学製、固形分100質量%、ヘキサメチレンジイソシアネート誘導体(ビウレット変性体))を用いた。
【0180】
また、表1には、内部離型剤の含有割合を、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分の固形分総量100質量部に対する割合として示す。
<1液硬化型接着剤>
製造例4(ポリイソシアネート成分Cの製造)
製造例3と同様の装置に、イソフタル酸330gと、アジピン酸290gと、エチレングリコール143gと、ジエチレングリコール238gとを仕込み、200〜230℃で6時間エステル化反応を行った後、テトラブチルチタネート0.1gを添加し、さらに、3時間エステル化反応させ、酸価0.8mgKOH/g、水酸基価56.1mgKOH/gのポリエステルポリオールを得た。
【0181】
次いで、得られたポリエステルポリオール533gと、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(三井化学製、コスモネートPH)107gと、酢酸エチル350gとを攪拌機、温度計、冷却器および窒素ガス導入管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに仕込み、窒素気流下、反応温度を65〜75℃の範囲に調整しながら3時間ウレタン化反応させた。その後、40℃に冷却し、タケネートA−3(三井化学製、固形分濃度75質量%酢酸エチル溶液、トリレンジイソシアネート誘導体(トリメチロールプロパン変性体))100gを加えた。これにより、固形分濃度65質量%、回転粘度計により測定される粘度(25℃)1500mPa・s、イソシアネート基含有率2.2質量%のポリイソシアネート成分Cを得た。
【0182】
実施例17〜19および比較例5〜6
ポリイソシアネート成分Cと内部離型剤とを、表1に示す割合で配合し、1液硬化型のポリウレタン接着剤を得た。
【0183】
また、表1には、内部離型剤の含有割合を、ポリイソシアネート成分の固形分総量100質量部に対する割合として示す。
【0184】
【表1】

【0185】
表1中の略号の詳細を下記に示す。
内部離型剤a:ZELEC UN(Stepan Company製、下記式(3)において、R5が炭素数8〜14の炭化水素基を示し、R6が水素原子または炭素数8〜14の炭化水素基を示す化合物の混合物[高炭素数オルトリン酸誘導体/低炭素数オルトリン酸誘導体(質量比)=68/32(測定法:HPLC/蒸発光散乱検出器およびLC/MS)])
【0186】
【化4】

【0187】
内部離型剤b:AP−10(大八化学製、オルトリン酸モノイソデシルおよびオルトリン酸ジイソデシルの混合物)
内部離型剤c:オルトリン酸ジヘキサデシル
内部離型剤d:JP−518−O(城北化学製、オルトリン酸モノオレイルおよびオルトリン酸ジオレイルの混合物)
内部離型剤e:JP−524(城北化学製、オルトリン酸モノテトラコシルおよびオルトリン酸ジテトラコシルの混合物)
内部離型剤f:JP−508(城北化学製、オルトリン酸モノ−2−エチルヘキシルおよびオルトリン酸ジ−2−エチルヘキシルの混合物)
評価
機械強度(塗膜の破断時伸び)
表1に示したポリウレタン接着剤の酢酸エチル溶液を、型枠に流し込み、窒素気流下で溶剤を気散させた後、60℃のオーブンで5日間加熱することにより硬化させ、厚さ約1mmの接着剤の塗膜(硬化膜)を作成した。
【0188】
次いで、JIS K 7312「熱硬化性ポリウレタンエラストマー成型物の物理試験方法」に準じて、4号ダンベルを打ち抜き、インストロン型引張試験機を用いて、23℃雰囲気下、引張速度300mm/分の条件で破断時の伸びを測定した。結果を表2に示す。
【0189】
接着性試験(ラミネートフィルムの剥離強度)
表1に示したポリウレタン接着剤を、塗工量2g/m(乾燥後)となるよう酢酸エチルで希釈し、常温下、バーコーターを用いてポリエチレンテレフタレートフィルム(38μm厚)上に塗布し、ドライヤーにて溶剤を揮発させた。
【0190】
その後、接着剤の塗布面と、アルミニウム箔(30μm厚)とを貼り合わせ、50℃で2日間養生して接着剤を硬化させ、2層ラミネートフィルムを作製した(AL/PET)。
【0191】
また上記と同様に、アルミニウム箔(30μm厚)にポリウレタン接着剤を塗布、乾燥後、接着剤の塗布面とコロナ処理を施したポリエチレン(直鎖状低密度ポリエチレン、LLDPE)フィルム(60μm厚)のコロナ処理面とを貼り合わせ、50℃で2日間養生して接着剤を硬化させ、2層ラミネートフィルムを作製した(AL/LLDPE)。
【0192】
各ラミネートフィルムから、長さ150mm×幅15mmの試験片をそれぞれ切り出し、恒温槽付きインストロン型引張試験機を用いて、剥離速度300mm/分の条件でT−Peel(23℃)および、Free−Peel(5℃)にて剥離強度を測定した。その結果を表2に示す。
【0193】
【表2】

【0194】
耐熱性試験
接着性試験に供した各AL/LLDPEラミネートフィルムの、貼り合わせサンプルを、LLDPE面同士が接触するように合わせ、ヒートシーラーにて160℃、0.1MPaの条件下、0.6秒ヒートシールした。
【0195】
その結果、各実施例において得られたポリウレタン接着剤を用いて得られたラミネートフィルムのシール部では、浮きがないことが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイソシアネート成分と、ポリオール成分と、下記一般式(1)で示されるオルトリン酸誘導体を含む内部離型剤とを含有することを特徴とする、ポリウレタン接着剤。
【化1】

(式中、R1およびR2は、互いに同一または相異なって、炭素数9〜24の炭化水素基を示すか、または、いずれか一方が炭素数9〜24の炭化水素基を示すとともに、他方が水素原子を示す。)
【請求項2】
前記内部離型剤の含有割合が、
前記ポリイソシアネート成分および前記ポリオール成分の固形分総量100質量部に対して、0.01〜3質量部であることを特徴とする、請求項1に記載のポリウレタン接着剤。
【請求項3】
硬化により得られる塗膜の、JIS K 7312(1996)に準拠して測定される23℃での破断時伸びが、100〜900%であることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリウレタン接着剤。
【請求項4】
樹脂フィルムおよび/または金属箔からなる複数の基材の間を接着させるフィルムラミネート用接着剤であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリウレタン接着剤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリウレタン接着剤によって、複数の基材が接着されることにより得られることを特徴とする、ラミネートフィルム。
【請求項6】
前記基材が、
ポリエチレンテレフタレートフィルム、アルミニウム箔、銅箔、コロナ処理を施したポリエチレンフィルム、および、コロナ処理を施したポリプロピレンフィルムからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項5に記載のラミネートフィルム。
【請求項7】
前記ポリウレタン接着剤によって接着された前記基材間の剥離強度が、1.5N/15mm幅以下であることを特徴とする、請求項5または6に記載のラミネートフィルム。

【公開番号】特開2012−251063(P2012−251063A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124098(P2011−124098)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【出願人】(596111276)積水フイルム株式会社 (133)
【Fターム(参考)】