説明

ポリウレタン樹脂の製造方法

【課題】従来の方法では、脱型性が悪く、脱型毎に金型へ離型剤を塗布しなければならなく、脱型後、樹脂の表面に離型剤が付着し外観が悪くなる問題点を改良した脱型性が良好なポリウレタンを提供する。
【解決手段】活性水素成分(A)、3級アミン(C1)、ジアルキル錫の有機酸塩(C2)並びに体積平均粒径が0.1〜100μmのカーボン粒子及び/又は該カーボン粒子がポリエーテルに分散されてなるカーボンブラック(D)を混合した粘度が1200〜3500mPa・sである混合物と、ポリイソシアネート成分(B)とを反応硬化させてなるポリウレタン樹脂の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリウレタン樹脂の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、窓用シールド材料の製造方法としては、例えば、特定の分子量のポリオール類、特定の架橋剤(特定の分子量のポリオールとグリセリンの混合物)を、鉛又は錫等の有機酸塩の存在下、ポリイソシアネートと反応させる方法(特許文献1参照)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−70118号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】岩田敬治、「ポリウレタン樹脂ハンドブック」、日刊工業、1987年5月20日発行、第1版、32頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、コストダウンの観点から成形時間を短縮して生産性向上する要望が高まってきた。しかしながら、上記公報記載の方法では、脱型性が悪く、脱型毎に金型へ離型剤を塗布しなければならない。また、脱型後、樹脂の表面に離型剤が付着し外観が悪くなる問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らはこれら問題点を解決するため鋭意検討した結果、特定の粘度を有する活性水素成分の混合物を用いることにより、脱型性が良好なポリウレタン樹脂の製造方法を見いだし、本発明に到達した。
【0007】
すなわち本発明のポリウレタン樹脂の製造方法は、活性水素成分(A)、3級アミン(C1)、ジアルキル錫の有機酸塩(C2)並びに体積平均粒径が0.1〜100μmのカーボン粒子及び/又は該カーボン粒子がポリエーテルに分散されてなるカーボンブラック(D)を混合した粘度が1200〜3500mPa・sである混合物と、ポリイソシアネート成分(B)とを反応硬化させてなる点を要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法は、脱型性が良好である。したがって、自動車の一体成形窓用シールド材料に極めて有用なポリウレタン樹脂が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明において、活性水素成分(A)、3級アミン(C1)、ジアルキル錫の有機酸塩(C2)並びに体積平均粒径が0.1〜100μmのカーボン粒子及び/又は該カーボン粒子がポリエーテルに分散されてなるカーボンブラック(D)を混合した粘度は1200〜3500mPa・sであり、脱型性及び成形性の観点から、好ましくは1300〜2500mPa・s、さらに好ましくは1400〜2000mPa・sである。粘度が1200mPa・s未満では、脱型性が悪化する。また、3500mPa・sを超えるとイソシアネートとの混合性が悪くなり、成形性が悪化する。
混合物の粘度は、25℃、B型粘度計で測定される。
【0010】
活性水素成分(A)は、樹脂の硬さおよび機械物性の観点から、活性水素含有化合物(A1)及び(A2)を含んでなることが好ましい。
【0011】
活性水素含有化合物(A1)は、2〜8価、水酸基当量20〜2000のポリエーテルポリオールである。ポリエーテルポリオールとしては、2〜8個の活性水素を含有する化合物(多価アルコール、多価フェノール、アミン、ポリカルボン酸、リン酸等)にアルキレンオキサイドが付加されたものである。
【0012】
上記多価アルコールとしては、例えば、炭素数2〜18の2価アルコール[エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール及びネオペンチルグリコール等]、炭素数3〜18の3〜8価のアルコール[グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、α−メチルグルコシド、ソルビトール、キシリット、マンニット、グルコース、フラクトース及びショ糖等]及びこれらの2種以上の併用が含まれる。
【0013】
多価フェノールとしては、ピロガロール、ハイドロキノン及びフロログルシン等の単環多価フェノール;ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールスルホン等のビスフェノール;フェノールとホルムアルデヒドの縮合物(ノボラック);たとえば米国特許第3265641号明細書に記載のポリフェノール等が挙げられる。
【0014】
アミンとしては、炭素数1〜20の脂肪族アミン(モノメチルアミン、モノエチルアミン、n−ブチルアミン、オクチルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン及びトリエチレンテトラミン等)、炭素数6〜20の芳香族アミン(アニリン、トルイジン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、メチレンジアニリン及びジフェニルエーテルジアミン等)、炭素数4〜20の脂環式アミン(シクロヘキシルアミン、イソホロンジアミン、シクロヘキシレンジアミン及びジシクロヘキシルメタンジアミン等)及び炭素数4〜20の複素環式ポリアミン(ピペラジン及びアミノエチルピペラジン等)等が挙げられる。
【0015】
ポリカルボン酸としては、炭素数4〜18の脂肪族ポリカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸及びアゼライン酸等)、炭素数8〜18の芳香族ポリカルボン酸(テレフタル酸及びイソフタル酸等)及びこれらの2種以上の混合物などが挙げられる。
これらの活性水素含有化合物は2種以上を併用してもよい。これらの中で好ましくは多価アルコールである。
【0016】
上記活性水素含有化合物に付加させるアルキレンオキサイドとしては、炭素数2〜8のものが好ましく、例えば、エチレンオキサイド(以下EOと略記)、1,2−プロピレンオキサイド(以下POと略記)、1,3−プロピレンオキサイド、1,2−、1,4−及び2,3−ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド並びにこれらの2種以上の併用(ブロック及び/又はランダム付加)が挙げられる。好ましくは、PO及び/又はEOである。
【0017】
活性水素含有化合物(A1)の水酸基価は、20〜2000であり、ポリウレタン樹脂の硬さ並びに引張強さ及び伸びの観点から、好ましくは23〜1950、さらに好ましくは26〜1900である。
また(A1)は、水酸基価が20〜100のものと水酸基価が1300〜1900のものを併用することが好ましい
【0018】
活性水素含有化合物(A2)は、2〜4価、水酸基当量20〜800のポリエステルポリオールである。
【0019】
活性水素含有化合物(A2)は、上記(A1)のところで記載した2〜8個の活性水素を含有する化合物(多価アルコール、多価フェノール等)及び/又は活性水素含有化合物(A1)とポリカルボン酸(脂肪族ポリカルボン酸や芳香族ポリカルボン酸)との縮合反応で得られる活性水素含有化合物(ポリエステル化合物)である。縮合反応においては活性水素含有化合物、ポリカルボン酸共に1種類を使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0020】
脂肪族ポリカルボン酸には、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸及びフマル酸等が挙げられる。
【0021】
芳香族ポリカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,2’-ビベンジルジカルボン酸、トリメリット酸、ヘミリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸及びナフタレン−1,4ジカルボン酸、ナフタレン−2,3,6トリカルボン酸、ジフェン酸、2,3−アントラセンジカルボン酸、2,3,6−アントラセントリカルボン酸及びピレンジカルボン酸等の炭素数8〜18の芳香族ポリカルボン酸が挙げられる。
【0022】
また、ポリカルボン酸と活性水素含有化合物との縮合反応を実施する際に、ポリカルボン酸の無水物や低級アルキルエステルを使用することもできる。
【0023】
活性水素含有化合物(A2)の水酸基価は、20〜800であり、ポリウレタン樹脂の伸び及び成形性並びにポリウレタン樹脂の硬さの観点から、好ましくは35〜400、さらに好ましくは50〜200である。
【0024】
活性水素含有化合物(A1):活性水素含有化合物(A2)の重量比((A1):(A2))は、脱型性の観点から、(65〜95):(5〜35)が好ましく、さらに好ましくは(70〜90):(10〜30)、特に好ましくは(75〜88):(12〜25)である。
【0025】
ポリイソシアネート成分(B)としては、通常ポリウレタンフォームに使用される有機ポリイオシアネートはすべて使用でき、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、これらの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシアヌレート基及びオキサゾリドン基含有変性物等)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0026】
芳香族ポリイソシアネートとしては、炭素数(NCO基中の炭素を除く;以下のポリイソシアネートも同様)6〜16の芳香族ジイソシアネート、炭素数6〜20の芳香族トリイソシアネート及びこれらのイソシアネートの粗製物等が挙げられる。具体例としては、1,3−及び1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−及び2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(粗製MDI)、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート並びにトリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネート等が挙げられる。
【0027】
芳香脂肪族イソシアネートとしては、炭素数8〜12の芳香脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。具体例としては、キシリレンジイソシアネート及びα,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
変性ポリイソシアネートの具体例としては、カルボジイミド変性MDI等が挙げられる。
【0028】
これらの中で、反応性及びポリウレタンフォームの機械物性の観点から、芳香族ポリイソシアネートが好ましく、さらに好ましくは、TDI、粗製TDI、MDI、粗製MDI及びこれらのイソシアネートの変性物、特に好ましくは、MDIである。
【0029】
本発明に用いる触媒(C)としては、3級アミン(C1)とジアルキル錫の有機酸塩(C2)が含まれる。
3級アミン(C1)としては、例えばトリエチレンジアミン、N−エチルモルホリン、ジエチルエタノールアミン、N、N、N’、N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−ウンデセン−7及びビス(ジメチルアミノエチル)エーテル(カルボン酸塩)並びにこれらの2種以上の併用が挙げられる。
反応性の観点から、トリエチレンジアミン及び/又はビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテルが好ましい。
【0030】
ジアルキル錫の有機酸塩(C2)としては、ジラウリル酸ジブチル第二スズ及びジオクチル酸ジブチル第二スズ等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
【0031】
これら触媒(C)の使用量は、反応性の観点から、(A)100重量部当たり、3級アミン(C1)が0.1〜5重量部、ジアルキル錫の有機酸塩(C2)が0.01〜3重量部であることが好ましく、さらに好ましくは、3級アミン(C1)が0.3〜3.5重量部、ジアルキル錫の有機酸塩(C2)が0.01〜2重量部である。
【0032】
本発明に用いるカーボン粒子としては、体積平均粒子径が0.1〜100μmのカーボン粒子である。
カーボン粒子の使用量は、耐候性及び色調の観点から、(A)100重量部当たり、0.1〜15重量部が好ましく、さらに好ましくは0.5〜10重量部、特に好ましくは1.0〜8重量部である。
【0033】
本発明に用いるカーボンブラック(D)としては、体積平均粒子径が0.1〜100μmのカーボン粒子がポリエーテル(ポリプロピレングリコール等)に分散されてなる物である。例えば、富士色素(株)製、フジVLブラック等が挙げられる。
カーボンブラック(D)の使用量は、耐候性及び色調の観点から、(A)100重量部当たり、0.1〜15重量部が好ましく、さらに好ましくは0.5〜10重量部部、特に好ましくは1.0〜8重量部部である。
【0034】
(A)、(C1)、(C2)並びにカーボン粒子及び又はカーボンブラックの混合物と、(B)との反応硬化は、発泡剤(E)及び/又は他の添加剤(F)の存在下に行ってもよい。
【0035】
発泡剤(E)としては、水、炭酸ガス、HFC−365mfc、HFC−245fa、シクロペンタン、イソペンタン、n−ペンタン、シクロブタン及びn−ブタン等が挙げられる。
これら発泡剤(E)の使用量は、成形性の観点から、(A)100重量部当たり、3重量部以下が好ましく、さらに好ましくは1重量部以下、特に好ましくは0.5重量部以下である。
【0036】
他の添加剤(F)としては、無機塩(炭酸カルシウム、硫酸バリウムなど)、無機繊維(ガラス繊維、炭素繊維など)、ウィスカー(チタン酸カリウムウィスカーなど)のような充填材;難燃剤〔リン酸エステル類、ハロゲン化リン酸エステル類(例えばクロロアルキルフォスフェート)など〕;金属キレート化剤(重金属不活性化剤)[ヒドラジド系、アミド系等];過酸化物分解剤[リン系、硫黄系];熱安定剤(塩酸補足剤)[金属石鹸(カルシウム系、亜鉛系)];整泡剤[ジメチルポリシロキサン系整泡剤(東レダウコーニングシリコーン株式会社社製「SF−8410」等)]が挙げられる。
これらの他の添加剤(F)の使用量は、成形性の観点から、(A)100重量部に対して、それぞれが10重量部以下であることが好ましい。また、(F)の合計使用量は、成形性の観点から、(A)100重量部に対して、20重量部以下であることが好ましい。
【0037】
ポリウレタン製造に際してのイソシアネート指数[(NCO基/活性水素原子含有基)の当量比×100]は、樹脂の硬さ及び機械強度の観点から、70〜150が好ましく、さらに好ましくは80〜130、特に好ましくは90〜120、最も好ましくは95〜110である。
【0038】
本発明におけるポリウレタン樹脂の製造法の一例を示せば、下記の通りである。まず、(A)、(C1)、(C2)、カーボン粒子及び/又はカーボンブラック(D)並びに必要により(E)及び/又は(F)を所定量混合する。次いで、ポリウレタン低圧もしくは高圧注入発泡機又は撹拌機を使用して、この混合物(活性水素成分)とポリイソシアネート成分(B)とをそれぞれ液温が15〜60℃で急速混合し、型(密閉系型枠、金属製又は樹脂製、型温15〜125℃)中に注入し、ウレタン化反応を行わせ、所定時間(0.2分〜5分)硬化後、型から取り出し、ポリウレタン樹脂を得ることができる。あらかじめガラス又は鉄板を設置した密閉系型枠内で反応硬化させると一体成形窓用ポリウレタン樹脂を得ることができる。
【実施例】
【0039】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下において「部」は重量部を表す。
【0040】
実施例1〜5及び比較例1〜2
表1に示した配合処方(重量部数)に従って、ポリウレタン樹脂を成形した。高圧発泡機(PEC社製mini−RIM機)を用いて表1に示すポリオール成分とイソシアネート成分を混合し、100×100×3mmの開閉式モールドに注入成形した。このとき各成分の液温は40℃、型温は115℃で脱型時間は1分であった。ポリウレタン樹脂の脱型評価結果を表1に示す。表1の結果から明らかなように、本発明の実施例は比較例に比べて脱型性に極めて優れている。
【0041】
【表1】

【0042】
<使用原料の記号の説明>
・活性水素成分(A1)
(A1−1):ショ糖1モルに水酸化カリウムを触媒として、PO53.9モルを付加し、さらに水酸化カリウムを触媒として、EO18.2モルをブロック付加し、常法により水酸化カリウムを除去して得られたポリエーテルポリオール。水酸基価=28.0、EO単位の含有量=20.0重量%。
(A1−2):プロピレングリコール1モルに水酸化カリウムを触媒として、PO53.9モルを付加し、さらに水酸化カリウムを触媒として、EO18.2モルをブロック付加し、常法により水酸化カリウムを除去して得られたポリエーテルポリオール。水酸基価=28.0、EO単位の含有量=20.0重量%。
(A1−3):グリセリン1モルに水酸化カリウムを触媒として、PO82.2モルを付加し、さらに水酸化カリウムを触媒として、EO25.9モルをブロック付加し、常法により水酸化カリウムを除去して得られたポリエーテルポリオール。水酸基価=28.1、EO単位の含有量=19重量%。
(A1−4):グリセリン1モルに水酸化カリウムを触媒として、PO76.3モルを付加し、さらに水酸化カリウムを触媒として、EO33.7モルをブロック付加し、常法により水酸化カリウムを除去して得られたポリエーテルポリオール。水酸基価=28.0、EO単位の含有量=24.7重量%。
(A1−5):エチレングリコール
・活性水素含有化合物(A2)
(A2−1):グリセリンのPO付加物(水酸基価100)を1モル、無水フタル酸1モル、触媒としてN−エチルモルフォリン0.02モルを仕込み、窒素雰囲気下80±10℃で2時間ハーフエステル化を行った。この後、EO2モルを80±10℃、0.5MPa以下となるよう制御しながら2時間掛けて滴下し、3時間熟成した。熟成後、80±10℃、10kPaで触媒及び溶媒の留去を行いA2−1を得た。水酸基価63。
(A2−2):グリセリンのPO付加物(水酸基価34)を1モル、無水フタル酸1モル、触媒としてN−エチルモルフォリン0.02モルを仕込み、窒素雰囲気下80±10℃で2時間ハーフエステル化を行った。この後、EO2モルを80±10℃、0.5MPa以下となるよう制御しながら2時間掛けて滴下し、3時間熟成した。熟成後、80±10℃、10kPaで触媒及び溶媒の留去を行いA2−2を得た。水酸基価22。
(A2−3):エチレングリコールを1モル、無水フタル酸1モル、触媒としてN−エチルモルフォリン0.02モルを仕込み、窒素雰囲気下80±10℃で2時間ハーフエステル化を行った。この後、EO2モルを80±10℃、0.5MPa以下となるよう制御しながら2時間掛けて滴下し、3時間熟成した。熟成後、80±10℃、10kPaで触媒及び溶媒の留去を行いA2−3を得た。水酸基価748。
【0043】
・ポリイソシアネート成分(B)
(B−1):ポリメリックMDI〔三洋化成(株)製「サンフォームNC−7055」〕、NCO%=26.6。
【0044】
・3級アミン(C1)
(C1−1):トリエチレンジアミン〔エアプロダクツ(株)製「DABCO」〕
(C1−2):ビス(ジメチルアミノエチル)エ−テル〔エアプロダクツ(株)製「BL−19」〕
・ジアルキル錫の有機酸塩(C2)
(C2):ジブチル錫ジラウレート〔日東化成(株)製「ネオスタンU−100」〕
【0045】
・カーボンブラック(D)
(D1):黒トナー〔富士色素(株)製「フジVLブラック」〕
・発泡剤(E)
(E1):水
・他の添加剤(F)
(F1):ジメチルポリシロキサン〔東レダウコーニングシリコーン(株)製「SF−8410」〕
【0046】
<粘度測定方法>
所定量の活性水素含有化合物(A)、触媒(C)、カーボンブラック(D)、発泡剤(E)及び他の添加剤(F)を1Lのポリカップに入れた後、ホモディスパーを用いて回転数3000rpmで2分間混合し、ガラス瓶に入れて密閉して25℃、24時間温調後、B型粘度計で測定を行った。
<脱型試験方法>
モールドにフッ素系離型剤〔(株)ネオス製「FRX−AS24」〕をモールドの内表面積に対し2.0×10-5g/m2塗布する。このモールドを使用し、実施例及び比較例それぞれのポリウレタン樹脂の成形を繰り返し、脱型した際にウレタン樹脂が最初にモールドへ付着した時の合計成形回数を評価した。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法によれば、従来の方法によるものに比べて、離型剤の塗布回数が少なくても、脱型性が良好なポリウレタン樹脂が得られる。したがって、特に、自動車の一体成形窓用シールド材料に極めて有用なポリウレタン樹脂が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性水素成分(A)、3級アミン(C1)、ジアルキル錫の有機酸塩(C2)並びに体積平均粒径が0.1〜100μmのカーボン粒子及び/又は該カーボン粒子がポリエーテルに分散されてなるカーボンブラック(D)を混合した粘度が1200〜3500mPa・sである混合物と、ポリイソシアネート成分(B)とを反応硬化させてなるポリウレタン樹脂の製造方法。
【請求項2】
活性水素成分(A)が下記活性水素含有化合物(A1)及び(A2)を含んでなる請求項1に記載のポリウレタン樹脂の製造方法。
活性水素含有化合物(A1):2〜8価、水酸基価20〜2000のポリエーテルポリオール。
活性水素含有化合物(A2):2〜4価、水酸基価20〜800のポリエステルポリオール。
【請求項3】
活性水素含有化合物(A1)と(A2)との重量比((A1):(A2))が、(65〜95):(5〜35)である請求項1又は2に記載のポリウレタン樹脂の製造方法。
【請求項4】
発泡剤(E)及び/又は他の添加剤(F)の存在下、反応硬化されてなる請求項1〜3のいずれかに記載のポリウレタン樹脂の製造方法。
【請求項5】
ガラス又は鉄板を設置した密閉系型枠内で反応硬化されてなり、自動車の一体成形窓用である請求項1〜4のいずれかに記載のポリウレタン樹脂の製造方法。

【公開番号】特開2013−72083(P2013−72083A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214805(P2011−214805)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】