説明

ポリウレタン樹脂組成物収納体及びその使用方法

【課題】軽量で小さく携帯性に優れて、使用時には補助具等を用いずに2液が簡単に混合されて、速やかな発泡硬化をきたすポリウレタン樹脂組成物収納体を提供する。
【解決手段】2液硬化型ポリウレタン樹脂の主剤成分を収納した第1の袋体と、2液硬化型ポリウレタン樹脂の硬化剤成分を収納した第2の袋体と、該第1の袋体と第2の袋体とを収納した第3の袋体とを備えたポリウレタン樹脂組成物収納体を、該第3の袋体の外側からの押圧力を掛けて、第3の袋体に収納された第1の袋体及び第2の袋体を破断し、第1の袋体に収納された2液硬化型ポリウレタン樹脂の主剤成分と、第2の袋体に収納された2液硬化型ポリウレタン樹脂の硬化剤成分とを、第3の袋体に吐出させ、該主剤成分と硬化剤成分とを第3の袋体内で混合反応させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリウレタン樹脂組成物収納体に関し、詳しくは、主剤成分を収納した第1の袋体と硬化剤成分を収納した第2の袋体とを収納した第3の袋体を備えた、2液硬化型ポリウレタン樹脂組成物収納体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空隙や間隙を充填するための液硬化性樹脂を原料として、小さく且つ軽量で携帯可能であり、使用時には簡単に内容液が混合されて、速やかに硬化し、十分に強度を有するものが望まれている。
【0003】
例えば、鉄道レールと、タイプレートや枕木等のレール支持体との間に軌道パッドとともに挿入される可変パッドとして、下記特許文献1〜5のような発明が開示されている。
これらの特許文献に開示された発明はいずれも、エポキシ系の原料を使用したものが主であり、環境問題が重要視される昨今においてはエポキシ樹脂の使用は好まれない。
【0004】
従来、空隙を充填させる単純な手段として、パテ(例えばシリコンパテ)等も使用されている。しかしながら、シリコンパテは重量があり、最終的に硬化するまでにも数日間の時間がかかり、しかも剛性が低いために、主には狭い空隙の充填に当てられてきた。
【0005】
また、大きい若しくは広い空隙の充填には、発泡性2液原液を混合して空隙に流し込み、発泡させて空隙を充填させる方法もよく知られている。例えば、2液混合硬化タイプのポリウレタン発泡性樹脂等が挙げられる。
【0006】
このようなポリウレタン発泡性樹脂を空隙充填に使用する際の方法としては、例えば、まず、保護する精密機器等をビニル袋に梱包して、ダンボール箱に入れ、段ボール箱内の空隙に、ポリウレタン発泡性樹脂原液を流し込んで、発泡させて空隙を充填する。
この際のポリウレタン発泡性樹脂原液の流し込み作業は、手作業でも行うことが出来るが、各液を計量して、混合して流し込む作業となり、手間がかかるため、主として、工場内で2液定量混合吐出装置等を用い作業する。
【0007】
上記のような空隙充填の方法としては、また、2液硬化用のカートリッジに発泡性ポリウレタンの各原液を入れて、吐出器に装填して、定量で吐出し、カートリッジ先端のスタティックミキサーで混合して、発泡充填させる方法も知られている。かかる方法での吐出はトリガーの手動または電動、エアーでの駆動等が知られているが、吐出用の機器が必要であり、カートリッジとミキサーが使い捨てとなるために高価となる。また、カートリッジなどの吐出機器を持っての移動は可能ではあるが、嵩張り、また重量があるために携帯用には向いていない。
【0008】
さらには、1液湿気硬化タイプのウレタン原液を吐出ガスとともに密封缶に閉じ込めて、ノズル先端より吐出せしめ、泡状の未硬化物を充填し、空気中の湿気と反応せしめて発泡させ、空隙に充填することも可能である。しかしながら、このような方法では反応が緩慢に進行するために硬化までに時間がかかり、またウレタン樹脂の発泡物も軟質状のものであるために、重荷重に耐えられない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−248560号公報
【特許文献2】特開2008−248522号公報
【特許文献3】特開2007−262830号公報
【特許文献4】特開2007−107332号公報
【特許文献5】特開2006−28856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、従来の問題点に鑑み、鋭意検討した結果、空隙や間隙を充填するための液硬化性樹脂を原料として、小さく且つ軽量で携帯可能であり、使用時には簡単に収納液が混合されて速やかに反応し、十分に強度を有するポリウレタン樹脂組成物の収納体を提供することを課題とする。
また、本発明の他の課題は、前記液硬化性樹脂の原料が第1及び第2袋体に収納されている2液硬化型ポリウレタン樹脂を収納する第3の袋体内で反応させて使用するポリウレタン樹脂組成物収納体を提供することを課題とする。
さらに、前記液硬化性樹脂の原料を速やかに反応させて、鉄道のレールと枕木との隙間に挿入して用いるポリウレタン樹脂組成物収納体の使用方法を提供することを本発明の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(a)本発明のポリウレタン樹脂組成物収納体は、
2液硬化型ポリウレタン樹脂の主剤成分を収納した第1の袋体と、
2液硬化型ポリウレタン樹脂の硬化剤成分を収納した第2の袋体と、
該第1の袋体と第2の袋体とを収納した第3の袋体とを備えることを特徴とする。
(b)本発明のポリウレタン樹脂組成物収納体は、前記(a)において、
前記第1の袋体に収納されている2液硬化型ポリウレタン樹脂の主剤成分が、
平均官能基数3.0〜4.5のポリオールであり、
前記第2の袋体に収納されている2液硬化型ポリウレタン樹脂の硬化剤成分が、
1分子中に2個のイソシアネート基を有する有機ポリイソシアネートである、
ことを特徴とする。
(c)本発明のポリウレタン樹脂組成物収納体は、前記(a)又は(b)において、
前記第1の袋体に収納されている2液硬化型ポリウレタン樹脂の主剤成分と、
前記第2の袋体に収納されている2液硬化型ポリウレタン樹脂の硬化剤成分とが、
色分けされていることを特徴とする。
(d)本発明のポリウレタン樹脂組成物収納体は、前記(a)〜(c)のいずれかにおいて、
前記第1の袋体及び第2の袋体を形成する樹脂フィルムの引張り強さが前記第3の袋体を形成する樹脂フィルムの引張り強さより小さいことを特徴とする。
(e)本発明のポリウレタン樹脂組成物収納体は、前記(a)〜(d)のいずれかにおいて、
前記第3の袋体が、水分非透過性樹脂フィルムからなることを特徴とする。
(f)本発明のポリウレタン樹脂組成物収納体は、前記(a)〜(d)のいずれかにおいて、
前記第3の袋体が、伸縮性樹脂フィルムからなることを特徴とする。
(g)本発明のポリウレタン樹脂組成物収納体は、前記(a)〜(f)のいずれかにおいて、
前記第3の袋体の内部が減圧されて前記第1の袋体及び第2の袋体を収納していることを特徴とする。
(h)本発明のポリウレタン樹脂組成物収納体の使用方法は、
2液硬化型ポリウレタン樹脂の主剤成分を収納した第1の袋体と、
2液硬化型ポリウレタン樹脂の硬化剤成分を収納した第2の袋体と、
該第1の袋体と第2の袋体とを収納した第3の袋体とを備えたポリウレタン樹脂組成物収納体を、
該第3の袋体の外側からの押圧力を掛けて、
該第3の袋体に収納された第1の袋体及び第2の袋体を破断し、
該第1の袋体に収納された2液硬化型ポリウレタン樹脂の主剤成分と、
該第2の袋体に収納された2液硬化型ポリウレタン樹脂の硬化剤成分とを、
第3の袋体に吐出させ、
該主剤成分と硬化剤成分とを第3の袋体内で混合反応させることを特徴とする。
(i)本発明のポリウレタン樹脂組成物収納体の使用方法は、前記(h)において、
前記第1の袋体及び第2の袋体を形成する樹脂フィルムの引張り強さが該第3の袋体を形成する樹脂フィルムの引張り強さより小さいことを特徴とする。
(j)本発明のポリウレタン樹脂組成物収納体の使用方法は、前記(h)又は(i)において、
前記ポリウレタン樹脂組成物収納体を鉄道のレールと枕木との隙間に挿入して用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のポリウレタン樹脂組成物収納体は、軽量で小さく携帯性に優れて、使用時には補助具等を用いずに収納体内の2液を簡単に混合して速やかな反応を生ぜしめ、反応により生成されたポリウレタン樹脂組成物は種々の用途に用いることができる。
加えて、収納体内の原料である2液は独立して袋体に収納されているので、安定性に優れており、また、反応物は耐久性・機械強度に優れているため、幅広い用途に使用することが可能である。
【0013】
本発明のポリウレタン樹脂組成物収納体は、具体的には、例えば、機械の移動・仮設等に伴う振動・衝撃の保護や、荷重の一時的な保持等の場面において、空隙を簡単に充填するために好適に使用することができる。
また、鉄道車両のレールのメンテナンス作業において使用できる。すなわち、レールの下に設けられた防振パッドが衝撃で外れた場合に、レールと枕木との間には空隙ができて車両の走行時の振動が大きくなり、脱線等の危険も高くなる。このような場合に、本発明のポリウレタン樹脂組成物収納体を使用して空隙を速やかに充填でき、列車の運行に支障を生じさせることがない。
また、骨折により腕等に添え木を当てた場合の、人体と添え木間に本発明のポリウレタン樹脂組成物収納体を使用して装填すれば、骨折部の確実な固定化ができる。
さらに、本発明のポリウレタン樹脂組成物収納体は、崩壊した地盤の補強、濾水防止等にも好ましく使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1のポリウレタン樹脂組成物収納体を示す概略平面図である。
【図2】実施例1のポリウレタン樹脂組成物収納体の使用態様を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施形態のポリウレタン樹脂組成物収納体は、2液硬化型ポリウレタン樹脂の主剤成分を収納した第1の袋体と、2液硬化型ポリウレタン樹脂の硬化剤成分を収納した第2の袋体と、第1の袋体と第2の袋体とを収納した第3の袋体とを備えることを特徴とする。
この場合、第1の袋体及び第2の袋体を形成する樹脂フィルムの引張り強さが第3の袋体を形成する樹脂フィルムの引張り強さより小さいことが好ましい。
【0016】
また、本実施形態のポリウレタン樹脂組成物収納体は、第1の袋体に収納されている2液硬化型ポリウレタン樹脂の主剤成分が、平均官能基数3.0〜4.5のポリオールであり、前記第2の袋体に収納されている2液硬化型ポリウレタン樹脂の硬化剤成分が、1分子中に2個のイソシアネート基を有する有機ポリイソシアネートであることにも特徴を有する。
【0017】
本実施形態のポリウレタン樹脂組成物収納体において、第1の袋体及び第2の袋体に収納される原料は、混合によって速やかに反応して硬い発泡体を生成せしめる組成物とすることが好ましい。中でも、2液混合発泡型のポリウレタン樹脂を反応によって生成する原料を好ましく用いることができる。従って、第1の袋体及び第2の袋体には、それぞれ2液混合硬化型ポリウレタン樹脂の主剤成分、硬化剤成分が封入される。
【0018】
すなわち、第1の袋体に収納される原料としては、2液混合硬化型ポリウレタン樹脂の主剤成分とするものであり、ポリオール(1)、発泡剤(2)、整泡剤(3)、触媒(4)、その他の添加剤(5)、を混合してなるものである。なお、これらの混合してなるものを、単にポリオールブレンド、或いは(A)液と記載することがある。
第2の袋体に収納される原料としては、2液混合硬化型ポリウレタン樹脂の硬化剤成分とするものであり、有機ポリイソシアネート(6)からなるものが挙げられる。なお、硬化剤成分である有機ポリイソシアネート(6)は、単にイソシアネート、或いは(B)液と記載することがある。
なお、本発明において、主剤成分と硬化剤成分とを混合して反応させた生成物を、ポリウレタン樹脂又は発泡体と表記する場合がある。
【0019】
主剤成分のポリオール(1)は、反応生成物であるポリウレタン樹脂の硬度を決定する働きをもつ。
本実施形態において使用されるポリオール(1)としては、平均官能基数3.0〜4.5、数平均分子量280〜700のポリオール混合物が挙げられる。
ポリオール(1)の平均官能基数を調整するためには、平均官能基数2〜8のポリオールを混合することにより、平均官能基数を3.0〜4.5の範囲内にすることができる。
【0020】
ポリオール(1)の官能基数が3未満の場合は、生成物であるポリウレタン樹脂の硬度が不足したり、発泡硬化後に収縮を来たすため好ましくない。また、ポリオール(1)が上記の分子量範囲で官能基数が4.5より大きい場合は、生成物であるポリウレタン樹脂が脆くなるために好ましくない。
ポリオール(1)の官能基数が3〜4.5の間であれば特に問題はないが、高いほど生成物の硬度は大きくなり同時に脆くなる傾向となる。また、官能基数が低い程、硬化物の硬度は小さくなる。
【0021】
ポリオール(1)の数平均分子量が280未満の場合は、得られるポリウレタン樹脂が脆くなり好ましくなく、分子量が700より大きい場合は、反応途中のポリウレタン樹脂の強度が十分でないため生成物形成(発泡硬化)後に収縮を来たし好ましくない。
ポリオール(1)の平均分子量は280〜700の間であれば特に問題はないが、平均分子量が低い程、生成物であるポリウレタン樹脂の硬度は大きくなる。また、平均分子量が高いほど、生成物であるポリウレタン樹脂のゴム硬度は小さくなる。
【0022】
前述した目的を達成するために、本実施形態に用いるポリオール(1)の具体的な例示としては、公知のポリオキシポリアルキレンポリオール、ひまし油系ポリオール,ε−カプロラクトン系ポリオールを挙げることができる。
【0023】
また、支障のない限りにおいて、反応液であるポリオールの粘性を上げる等の目的をもって、その他のポリオール、例えば公知のポリエステル系ポリオール,ポリテトラメチレンポリオキシグリコール,β−メチル−δ−バレロラクトン系ポリオール、カーボネート系ポリオール等を用いてもよく、これらの2種以上を併用することができる。
【0024】
また、支障のない限りにおいて、架橋剤として公知の低分子量のポリオール、例えばエチレングリコール,プロピレングリコール,ジエチレングルコール,ジプロピレングリコール(DPG)、ブタンジオール,ヘキサンジオール、グリセリン、ジグリセリン等を用いてもよく、これらの2種以上を併用することができる。
【0025】
前述のポリオキシポリアルキレンポリオールとしては、低分子量の活性水素化合物を開始剤としてアルキレンオキサイドを開環付加重合させた公知の化合物を用いることができる。
ここで云う低分子量の活性水素化合物としては、水,エチレングリコール,プロピレングリコール,ジエチレングルコール,ブタンジオール,ヘキサンジオール,グリセリン,トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、シュクローズ、エチレンジアミン、芳香族アミン若しくはこれらの2種類以上の混合物を使用する多価アルコールを挙げることができる。
【0026】
ポリオキシポリアルキレンポリオールの代表例としては、上記開始剤を使用したポリオキシポリアルキレンポリオール(P)の他に、ポリオキシポリアルキレンポリオール(P)の部分エチレンオキサイド付加物(Q)も好ましく使用することができる。
この部分エチレンオキサイド付加物(Q)は、ポリオール成分と後述する発泡剤との相溶性が良いので特に好ましい。なお、後述するように、発泡剤としては水が好ましく用いられる。
【0027】
上記ポリオキシポリアルキレンポリオール(P)の具体的な商品名としては、例えば、
エクセノールSU450SA,SO550,450ED、480A、400R、430(いずれも旭硝子社製)等が挙げられる。
【0028】
なお、上記ポリオキシポリアルキレンポリオール(P)、部分エチレンオキサイド付加物(Q)の種類に制限は無い。
【0029】
前記ひまし油系ポリオールとしては、例えば、ひまし油とポリオールのエステル交換による公知の化合物を用いることができる。ここで、天然の脂肪酸エステル等から誘導されたポリオールを使用することが、ポリオール成分が天然素材誘導物であるために、環境の観点からより好ましいと云える。
ひまし油系ポリオールの具体的な商品名としては、URIC H−81、H−102(伊藤製油社製)等を挙げることができる。
【0030】
前記ε−カプロラクトン系ポリオールとしては、3官能基以上の低分子量の活性水素化合物を開始剤として、ε―カプロラクトンを開環付加重合させた公知の化合物を用いることができる。ε−カプロラクトン系ポリオールの具体的な商品名としては、プラクセル303、プラクセル305(ダイセル化学工業社製)が挙げられる。
【0031】
次に、主剤成分中の発泡剤(2)、整泡剤(3)、触媒(4)、その他添加物(5)について説明する。
【0032】
本実施形態において用いられる発泡剤(2)としては水が挙げられる。発泡剤(2)としての水を、全ポリオール(1)分100質量部に対して、0.2〜1質量部使用することが好ましい。
ここで、発泡剤としての水の使用量が多い場合には、反応生成物であるポリウレタン樹脂の発泡倍率は大きくなり得られるポリウレタン樹脂のみかけ密度は小さくなる。
発泡剤としての水の使用量が少ない場合には、反応生成物であるポリウレタン樹脂の発泡倍率は小さくなりみかけ密度は小さくなる。
発泡剤としての水の使用量が0.2質量部未満の場合は反応生成物であるポリウレタン樹脂の発泡性に欠けるために好ましくなく、一方、1質量部を超える使用はポリオール(1)と水との相溶性に欠け、ポリオール(1)と発泡剤(2)とが分離し、また発泡倍率が10倍以上となるため耐荷重性に欠け好ましくない。
【0033】
なお、本実施形態においては、水を単独の発泡剤として使用できるが、その他の発泡剤として低沸点ハロゲン化炭化水素、低沸点炭化水素も支障のない限りにおいて使用できる。
低沸点ハロゲン化炭化水素としては、塩化メチレン、フッ化炭化水素、塩化フッ化炭化水素等が挙げられるが、オゾン破壊、環境汚染性が著しく、
低沸点炭化水素としては、n−ペンタン、シクロペンタン等が挙げられ、低温引火、爆発性があるなどの問題が残るため、本発明において好ましく用いることはないが、
発泡物のみかけ密度の調整等の目的で、(ポリオール量+ポリイソシアネート量)の合計量の10質量%未満の使用量において、使用できる。
ここで、10質量%以上である場合は、発泡物のセルが荒れる(セル径が大きくなる)ために好ましくない。
【0034】
本実施形態において用いられる整泡剤(3)としては、ポリウレタン発泡用のシリコン系界面活性剤を用いることができる。例えば、シリコーン整泡剤SH193、SF2937F,SF2938F,SZ1671,SZ1718(ダウコーニングトーレ)等を挙げることができる。
整泡剤(3)の使用量は、(ポリオール量+ポリイソシアネート量)の合計量の0.1〜0.7質量%であり、より好ましくは0.3〜0.5質量%である。
0.7質量%を超えて使用量を増やしてもその効果は収束し発泡物のセルを整えるそれ以上の効果はなく、0.1質量%未満では、セルが粗くなり使用の効果が見られない。
【0035】
本実施形態において用いられる触媒(4)としては、有機ポリイソシアネートとポリオールとの間のウレタン化反応を行わせるに当たって使用されるウレタン化触媒が好ましく使用される。
このウレタン化触媒としては、第3級アミン化合物や有機金属化合物等の触媒を用いることが可能である。
触媒(4)の配合量は、触媒の活性度に大幅に依存するのでその使用量は特定できないが、A液とB液を混合した後に発泡を開始し、その発泡が完了する時間(ライズタイムと云う:JIS)をもって調整し、ライズタイムを10分以下、より好ましくは3分以下に調整されたもの(種類及び使用量)を使用する。
【0036】
触媒(4)としては、具体的には、トリエチレンジアミン,N,N’−ジメチルヘキサメチレンジアミン,N,N’−ジメチルブタンジアミン,ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン―7(DBU)及びDBU塩、オクチル酸鉛,ラウリル酸ジブチル錫、ビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタン、等が挙げられる。
【0037】
主剤成分に配合されるその他の添加物(5)は、本実施形態において必須の成分ではないが、反応で得られる硬化物の耐久性・安定性の向上を図るために、支障のない限りにおいて添加することができる。
その他の添加物(5)としては、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、充填剤等が挙げられる。これらは単独で用いても良いが、2種以上混合して用いることもできる。
さらに、前述したもの以外にも、公知の添加物、例えば、可塑剤、顔料、染料、難燃剤、消泡剤、分散剤、界面活性剤、水分吸着剤等を適宜添加することも可能である。
【0038】
次に、第2の袋体に収納される原料としての2液混合硬化型ポリウレタン樹脂の硬化剤成分として使用される有機ポリイソシアネート(6)について説明する。
有機ポリイソシアネート(6)としては、ポリメリックポリイソシアネート、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、脂環式イソシアネート、もしくはそれらから誘導された活性水素基との反応性を有する末端イソシアネート基含有有機ポリイソシアネートが挙げられる。
【0039】
本実施形態に用いる有機ポリイソシアネート(6)は、特に、1分子中に2個のイソシアネート基を有する有機化合物であることが好ましい。このイソシアネート基は、前記ポリオールの水酸基に対して反応性を有する。
【0040】
本実施形態に用いる有機ポリイソシアネート(6)として、具体的には、ポリメリックポリイソシアネート、芳香族イソシアネート、変性芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、脂環式イソシアネート等が好ましく挙げられる。
さらに好ましくは、反応活性・廉価・安全性・常温液体の取扱い易さの観点からポリメリックポリイソシアネート、変性芳香族イソシアネートが挙げられる。
【0041】
前記ポリメリックポリイソシアネートの具体的な商品名としては、PAPI135(三菱化成ダウ社製)、ミリオネートMR(日本ポリウレタン社製)、コスモネートM(三井武田ケミカル社製)が挙げられる。
前記芳香族イソシアネートの具体的な商品名としては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI),ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリデンジイソシアネート(XDI)が挙げられる。
前記変性芳香族イソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)のカルボジイミド変性物が挙げられ、具体的な商品名としては、例えばミリオネートMTL(日本ポリウレタン社製)、コスモネートPM(三井武田ケミカル社製) が挙げられる。
【0042】
前記脂肪族イソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)等が挙げられる。
前記脂環式イソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキシルジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
【0043】
なお、上述した有機ポリイソシアネートは、単独で使用することもできるし、2種以上混合して使用することも可能である。
【0044】
本実施形態の有機ポリイソシアネート(6)としては、更に、末端に活性イソシアネート基を有するプレポリマーを用いることもできる。ここでプレポリマーとは、上記に挙げた有機ポリイソシアネートを、理論量より少ない前記ポリオール類と公知の技術を用いて反応せしめて作成した、末端に活性イソシアネート基を有する化合物を指す。
有機ポリイソシアネート(6)としてプレポリマーを用いる場合は、ポリオール(1)化合物と有機ポリイソシアネート(6)とを混合して反応させる時の相溶性が良くなり、硬化物の発泡体のセルが小さくなる傾向にあるために好ましい。
【0045】
これらのプレポリマーとしては、末端に活性イソシアネート基残量15質量%以上、好ましくは121〜27質量%を有するものが好ましく用いられる。末端活性イソシアネート基残量が15質量%未満の場合にはプレポリマーの液粘度が高くなり、即ち(B)液の粘度が高くなり、また発泡体が軟質化するために好ましくない。
末端活性イソシアネート基残量が15質量%以上ならば特に支障はないが、27質量%を超えるとプレポリマーとして用いる効果が少なくなる。
【0046】
得られたプレポリマーには、支障のない限りその他の有機ポリイソシアネートを混合しても良い。
【0047】
本実施形態においては、ポリオールブレンドである(A)液と、有機ポリイソシアネートを含有する(B)液と、を化学反応させるに際して、ポリオールの水酸基(OH)に対するイソシアネートのイソシアネート基(NCO)の当量比、即ちNCO/OHは特に規定されるものではないが、0.95〜1.2の範囲とすることが好ましい。
【0048】
この当量比が1.2を超える場合は、反応生成物であるポリウレタン樹脂の強度を低下させるため好ましくない。
また、当量比が0.95未満の場合は、反応生成物であるポリウレタン樹脂の強度が著しく欠け、また耐熱性に欠けるために好ましくない。
【0049】
なお、本実施形態の組成物収納体を用いて反応生成物を形成するには、四季を通じて、常温での反応時間が10分以内とすることが好ましい。すなわち、(A)液が封入された第1の袋体及び(B)液が封入された第2の袋体を破断し、両液を第3の袋体内で混合した後、短時間で反応を終了させて反応生成物を得ることにより、本実施形態のポリウレタン樹脂組成物収納体が簡易に適用範囲が広がる。
なお、前記反応時間は10分以内とすることが好ましく、特に2分以内とすることが好ましい。反応時間とは、JIS−K−6833に定められた方法で測定を行った場合、調整した試料をかき混ぜ開始した時刻から、ゲル化までの時間とする。
【0050】
また、前記第1の袋体に収納されている2液硬化型ポリウレタン樹脂の主剤成分と、前記第2の袋体に収納されている2液硬化型ポリウレタン樹脂の硬化剤成分とが、色分けされていることも本実施形態のポリウレタン樹脂組成物収納体の特徴である。
両袋体内の原料が色分けされていることにより、(A)液と(B)液とが均一に混合されていることが容易に視認でき、反応生成物の均一化につながる。
【0051】
次に、本実施形態のポリウレタン樹脂組成物収納体の製造方法について説明する。
まず、第1の袋体の製造方法としては、例えば、厚み80μmのポリエチレン(PE)、又はポリプロピレン(PP)等からなる軟質フィルムを所定サイズに切り取り2枚を重ね合わせ、周縁のうち3縁をそれぞれ3mm以上の幅での熱プレスして融着密封して小袋体とし、上記ポリオール(1)、発泡剤(2)、整泡剤(3)、触媒(4)、その他添加物(5)を均一に混合した混合液を前記袋体に封入し、残りの1縁を熱プレスして融着密封して第1の袋体とする。
【0052】
同様にして、有機ポリイソシアネート(6)を収納した第2の袋体を製造する。
そして第1の袋体と第2の袋体とを、第1の袋体と第2の袋体と同様にして融着させた第3の袋体に入れ、残りの1縁を熱プレスして融着密封して本実施形態のポリウレタン樹脂組成物収納体とする。
この場合、第1の袋体及び第2の袋体を形成する軟質フィルムの引張り強さを第3の袋体を形成する樹脂フィルムの引張り強さより小さくなるように厚みや材質を設定することにより、第3の袋体を破断せずに外側からの押圧力により容易に破断できる。
また、第1の袋体及び第2の袋体を形成するフィルムの一部に薄肉部などの弱化部を予め形成させておくことにより、弱化部を起点に第1の袋体及び第2の袋体を破断させることもできる。
【0053】
また、反応前に第1及び第2の袋体の内容物であるポリウレタン樹脂の主剤成分及び硬化剤成分が水分により劣化するのを防止するために、第1及び第2の袋体は、径時安定性のために水分非透過性樹脂フィルム(透湿度を測定)からなることが好ましい。
これらの要求を満たすフィルムとしては、
例えば、軟質ポリエチレン、軟質ポリプロピレン、ポリウレタン(伸縮性)等からなるフィルムが挙げられる。
軟質ポリエチレンフィルム、軟質ポリプロピレンフィルムとしては、例えば三鬼化成社製のサンキポリ:ポリプロピレンフィルム)が挙げられる。
【0054】
また、上記のフィルム厚みとしては、30〜100μmのものが好ましく適用される。
30μm未満では内容物であるポリウレタン樹脂の主剤成分及び硬化剤成分を所定期間保持できず、
100μmを超えると、フィルム引張り強さの大きい第3の袋体の外側からの押圧力を掛けて第3の袋体に収納された第1の袋体及び第2の袋体を破断することが困難になるからである。
【0055】
第1及び第2の袋体のフィルムの引張り強さとしては、0.5〜2.5kg/1.5cmのものが好適に使用できる。
0.5kg/1.5cm未満では内容物であるポリウレタン樹脂の主剤成分及び硬化剤成分を所定期間保持できず、また強度が足りずに容易に破断するおそれがあるからである。
2.5kg/1.5cmを超えると、フィルム引張り強さの大きい第3の袋体の外側からの押圧力によって、第3の袋体を破断せずに第1の袋体及び第2の袋体を破断することが困難になるからである。
なお、このポリウレタン樹脂組成物収納体は、第1の袋体及び第2の袋体が破断され(A)液と(B)液が混合される前においては、常温(5〜60℃)で安定であり反応は進行しない。
【0056】
第3の袋体は、外部から押圧力を受けても破断しない厚みや材質で製造されていることが好ましく、第1及び第2の袋体を形成する樹脂フィルムの引張り強さよりも強くなるように設定することが好ましい。
第3の袋体のフィルムの引張り強さとしては、4〜12kg/1.5cmのものが好適に使用できる。
4kg/1.5cm未満では第1及び第2の袋体に比較して引張り強さが足りずに容易に破断するおそれがあるからである。
また、12kg/1.5cmを超えるフィルム引張り強さは必要がないからである。
【0057】
第3の袋体の材質として、例えば以下のものが挙げられる。
(a)PET/AL/PEの3層を積層したフィルム、
(b)PET/PEの2層を積層した積層フィルム、
(c)OP/PEの2層を積層した積層フィルム、
(d)OP/エバール/PEの3層を積層したフィルム、などが挙げられる。
なお、上記(a)〜(d)の積層フィルムの特性は下記のとおりである。
(a)は、引張強さ:4kg/1.5cmであり、
(b)は、引張強さ:4kg/1.5cmであり、
(c)は、引張強さ:4kg/1.5cmであり、
(d)は、引張強さ:12kg/1.5cmである。
以上のフィルムは生産日本社製(商品名:ラミジップ)として市販されている。
なお、上記符号は以下のとおりである。PET=ペットフィイルム、AL=アルミ箔、PE=ポリエチレンフィルム、OP=2軸延伸ポリプロピレン、エバール=架橋ポリビニルアルコールフィルム。
また、伸縮性のある樹脂フィルムとしては、ポリウレタンフィルム(例えば、日清紡社製のモビロンフィルム)が挙げられる。
【0058】
また、第3の袋体は、水分の透過を防止するため水分非透過性樹脂フィルムからなることが好ましい。第3の袋体に水分非透過性樹脂フィルムを用いれば、第1、2袋体は必ずしも水分非透過性樹脂フィルムを用いることもない。
樹脂フィルムの水分非透過性は、水分透湿度を測定することによって得られる。
第3の袋体のフィルムの水分透湿度としては、12g/m(24Hrs)以下のものが好適に使用できる。
水分透湿度が12g/m(24Hrs)以下のものであれば第3の袋体への水分の透過を防止でき、長期間の貯蔵でも第1、2の袋体内の2液硬化型ポリウレタン樹脂の主剤成分及び硬化剤成分の劣化を抑えることができる。
ちなみに、上記の樹脂フィルムの水分透湿度は、
(a)は、0g/m(24Hrs)であり、
(b)は、9g/m(24Hrs)であり、
(c)は、4g/m(24Hrs)であり、
(d)は、2g/m(24Hrs)であり、いずれも12g/m(24Hrs)以下となっている。
【0059】
これらのフィルムを所定のサイズの大きさに切り出してその2枚を重ね合わせ、周縁をそれぞれ3mm以上の幅での熱プレスして融着密封して第3の袋体とする。
なお、第3の袋体は、反応生成物が発泡して膨張するため、十分余裕のある容積が確保されたサイズとするか、若しくは伸縮性のあるものとする必要があるとともに、反応生成物の膨張に対する耐圧性をも必要とされる。
【0060】
第1〜第3の袋体の各サイズや、袋体内への(A)液及び(B)液の充填量は、用途や、装填しようとする空隙や間隙の大きさ等により適宜変更可能である。例えば、5mmの隙間を充填する場合は(A)液、(B)液をそれぞれ15gとし、10mmの隙間を充填する場合は(A)液、(B)液をそれぞれ20gとし、20mmの隙間を充填する場合は(A)液、(B)液をそれぞれ40gとするように調整することができる。
【0061】
なお、第3の袋体内に第1の袋体及び第2の袋体を収納するに際し、第3の袋体内部を真空引き操作により減圧しながら収納することが望ましい。すなわち、第3の袋体内部に空気が残存していると、反応生成物が発泡して膨張し第3の袋体内に空洞を形成するからである。
【0062】
次に、本実施形態のポリウレタン樹脂組成物収納体の使用方法について説明する。
2液硬化型ポリウレタン樹脂の主剤成分を収納した第1の袋体と、2液硬化型ポリウレタン樹脂の硬化剤成分を収納した第2の袋体と、該第1の袋体と第2の袋体とを収納した第3の袋体とを備えたポリウレタン樹脂組成物収納体を、該第3の袋体の外側からの押圧力を掛けて、該第3の袋体に収納された第1の袋体及び第2の袋体を破断し、該第1の袋体に収納された2液硬化型ポリウレタン樹脂の主剤成分と、該第2の袋体に収納された2液硬化型ポリウレタン樹脂の硬化剤成分とを、第3の袋体に吐出させ、該主剤成分と硬化剤成分とを第3の袋体内で混合反応させる。
この場合、第1の袋体及び第2の袋体を形成する樹脂フィルムの引張り強さが第3の袋体を形成する樹脂フィルムの引張り強さより小さいことが望ましい。
すなわち、前述の(A)液を収納した第1の袋体と(B)液を収納した第2の袋体は、それらを収納した第3の袋体の外側から、人力で押す・踏む・ねじる等の作用で破断され、第3の袋体内に(A)液及び(B)液が吐出する。
次いで、吐出した(A)液と(B)液の混合液を第3の袋体を揉むようにして十分に混合せしめ隙間に装填して反応を終了させた後の生成物により隙間を充填することができる。
【0063】
なお、上述のようにして得られた反応生成物であるポリウレタン樹脂組成物は、硬質発泡物であることに特徴を有し、このような硬質ポリウレタン発泡物とすることによって、強度を有する隙間充填物として使用することができる。
【0064】
本実施形態のポリウレタン樹脂組成物収納体は、小さくて携帯可能であり、必要に応じて速やかにポリウレタン発泡物を与えて隙間を充填することができる。
例えば、機械の移動・仮設等に伴なう振動・衝撃の保護や、荷重の一時的な保持などを目的として用いることができる。
また、例えば、鉄道のレールと枕木との隙間に挿入して用いることもできる。
すなわち、鉄道においては、衝撃でレールの下に装填されている防振パッドが外れるとレールと枕木との間に空隙ができ、車両の走行時における振動が著しく激しくなる。
このようなレールのメンテナンス作業において、本実施形態のポリウレタン樹脂組成物収納体をレールの下の隙間に挿入して用いることができる。
また、骨折等の添え木を当てた場合の、人体と添え木間に本実施形態のポリウレタン樹脂組成物収納体を装填することにより確実な固定化ができる。
さらに、崩壊した地盤の補強、濾水防止にも用いることができる。
【実施例】
【0065】
次に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0066】
ポリオール(1):エクセノール480A(旭硝子社製)を100質量部、
発泡剤(2):水を0.5質量部、
整泡剤(3):SH193(ダウコーニングトーレ社製)を1.5質量部、
触媒(4):トリエチレンヂアミンの1,4ブタンジオールの33%溶液を0.25質量部、を常温で混合し、(A)液を作成した。
【0067】
有機ポリイソシアネート(6):PAPI135(三菱化成ダウ社製)を70質量部とミリオネートMTL(日本ポリウレタン社製)を30質量部常温(20℃)で混合して(B)液を作成した。
【0068】
(A)液を、厚み80μm、幅40mmの軟質ポリプロピレンフィルム製の第1の袋体に20g入れ、袋の開口端を3mm幅で熱プレスして密封した。
(B)液も同様に、厚み80μm、幅40mmの軟質ポリプロピレンフィルム製の第2の袋体に20g入れ、袋の開口端を3mm幅で熱プレスして密封した。
次いで、内寸110mm×210mm、厚み100μmのPET/PEの2層積層フィルム製の第3の袋体に、上記第1の袋体及び第2の袋体を入れて、真空引きしながら熱プレスにて第3の袋体の開口部を密封し、実施例1のポリウレタン樹脂組成物収納体とした(図1参照)。
上記収納体は、重さ約40g、外寸約120mm×220mm、厚み約20mmであり、(A)液、(B)液の漏れもなく、6ケ月間は外観に変化なく安定であった。
なお、第1,2の袋体を形成する厚み80μm軟質ポリプロピレンフィルムの引張り強さは1kg/1.5cmであり、水分透湿度は10g/m、24Hrsであった。
第3の袋体を形成する100μmのPET/PEの2層積層フィルムの引張り強さは4kg/1.5cmであり、水分透湿度は9g/m、24Hrsであった。
【0069】
得られた収納体の第3の袋体を手で捻って収納する第1の袋体及び第2の袋体を破断し、A液とB液を第3の袋体内へ吐出させて混合し発泡反応を開始させた後、収納体を速やかに10mmの隙間に挿入した。反応を開始したA・B混合液は、常温下で発泡硬化し1分30秒後には4.5倍の体積に膨張し、隙間を充填した(図2参照)。
発泡硬化物は、みかけ密度(JIS K7222):0.24、圧縮強さ(JIS K7220):40.9kg/cmであった。
また、比例限界強度は、32.55kg/cmであった。
これを上記第3の袋体に入れたものは、最大約7トンの荷重を受けることができた。
【実施例2】
【0070】
ポリオール(1):エクセノール480A(旭硝子社製)を100質量部、
発泡剤(2):水を0.5質量部、
整泡剤(3):SH193(ダウコーニングトーレ社製)を1.5質量部、
触媒(4):トリエチレンヂアミンの1,4ブタンジオールの33%溶液を0.25質量部、及び、ジブチルラウリル酸錫を0.06質量部、
を常温で混合し、(A)液を作成した。
【0071】
有機ポリイソシアネート(6):PAPI135(三菱化成ダウ社製)を70質量部とミリオネートMTL(日本ポリウレタン社製)を30質量部常温(20℃)で混合して(B)液を作成した。
【0072】
実施例1と同様にして、それぞれ10gを、厚み80μmの軟質ポリプロピレン製の第1の袋体及び第2の袋体に収納し、それらを厚み100μmの伸縮性ポリウレタン製の第3の袋体に収納して実施例2のポリウレタン樹脂組成物収納体とした。
そして、得られた収納体の第3の袋体を手で捻って、収納する第1の袋体及び第2の袋体を破断し、A液とB液を第3の袋体内へ吐出させて混合し発泡反応を開始させた後、収納体を速やかに10mmの隙間に挿入した。
反応を開始したA・B混合液は、低温(5℃)下で発泡硬化し1分50秒後には4.2倍の体積に膨張し、隙間を充填した。
発泡硬化物は、みかけ密度(JIS K7222):0.26、圧縮強さ(JIS K7220):42.3kg/cmであった。
また、比例限界強度は、33.01kg/cmであった。
これを上記第3の袋体に入れたものは、最大約7トンの荷重を受けることができた。
【0073】
<比較例1>
実施例1と同様にして原料を収納して作成した第1の袋体と第2の袋体を、内寸110mm×210mm、厚み8μmのポリプロピレンフィルムからなる第3の袋体に収納し、
熱プレスにて第3の袋体の開口部を密封し収納体とした。
その結果、約7日でB液の増粘と部分的な硬化が見られ、経時安定性に欠けた。
第3の袋体を形成するポリプロピレンフィルムの厚みが薄く、水分が第2の袋体内に浸入し原料の劣化が生じたものと推測される。
ちなみに、第3の袋体を形成するポリプロピレンフィルムの水分透湿度は15g/m.24Hrsであった。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明のポリウレタン樹脂組成物収納体は、軽量で小さく携帯性に優れて、使用時には補助具等を用いずに原料の2液を簡単に混合して、速やかに発泡硬化させることができる。
また、本発明のポリウレタン樹脂組成物収納体によれば、機械の移動・仮設等に伴う振動・衝撃の保護や、荷重の一時的な保持等の場面において、空隙を簡単に充填するために好適に使用される。
さらに、鉄道のメンテナンス作業などにおいて、衝撃で防振パッドが外れた場合に生じたレールと枕木との間の空隙に挿入して隙間を直ちに充填することができ、
車両の走行時の振動や脱線等の危険を回避できる、産業上の利用可能性が極めて高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2液硬化型ポリウレタン樹脂の主剤成分を収納した第1の袋体と、
2液硬化型ポリウレタン樹脂の硬化剤成分を収納した第2の袋体と、
該第1の袋体と第2の袋体とを収納した第3の袋体とを備えることを特徴とするポリウレタン樹脂組成物収納体。
【請求項2】
前記第1の袋体に収納されている2液硬化型ポリウレタン樹脂の主剤成分が、
平均官能基数3.0〜4.5のポリオールであり、
前記第2の袋体に収納されている2液硬化型ポリウレタン樹脂の硬化剤成分が、
1分子中に2個のイソシアネート基を有する有機ポリイソシアネートである、
ことを特徴とする、請求項1に記載のポリウレタン樹脂組成物収納体。
【請求項3】
前記第1の袋体に収納されている2液硬化型ポリウレタン樹脂の主剤成分と、
前記第2の袋体に収納されている2液硬化型ポリウレタン樹脂の硬化剤成分とが、
色分けされていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のポリウレタン樹脂組成物収納体。
【請求項4】
前記第1の袋体及び第2の袋体を形成する樹脂フィルムの引張り強さが前記第3の袋体を形成する樹脂フィルムの引張り強さより小さいことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリウレタン樹脂組成物収納体。
【請求項5】
前記第3の袋体が、水分非透過性樹脂フィルムからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリウレタン樹脂組成物収納体。
【請求項6】
前記第3の袋体が、伸縮性樹脂フィルムからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリウレタン樹脂組成物収納体。
【請求項7】
前記第3の袋体の内部が減圧されて前記第1の袋体及び第2の袋体を収納していることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリウレタン樹脂組成物収納体。
【請求項8】
2液硬化型ポリウレタン樹脂の主剤成分を収納した第1の袋体と、
2液硬化型ポリウレタン樹脂の硬化剤成分を収納した第2の袋体と、
該第1の袋体と第2の袋体とを収納した第3の袋体とを備えたポリウレタン樹脂組成物収納体を、
該第3の袋体の外側からの押圧力を掛けて、
該第3の袋体に収納された第1の袋体及び第2の袋体を破断し、
該第1の袋体に収納された2液硬化型ポリウレタン樹脂の主剤成分と、
該第2の袋体に収納された2液硬化型ポリウレタン樹脂の硬化剤成分とを、
第3の袋体に吐出させ、
該主剤成分と硬化剤成分とを第3の袋体内で混合反応させることを特徴とするポリウレタン樹脂組成物収納体の使用方法。
【請求項9】
前記第1の袋体及び第2の袋体を形成する樹脂フィルムの引張り強さが該第3の袋体を形成する樹脂フィルムの引張り強さより小さいことを特徴とする請求項8に記載のポリウレタン樹脂組成物収納体の使用方法。
【請求項10】
前記ポリウレタン樹脂組成物収納体を鉄道のレールと枕木との隙間に挿入して用いることを特徴とする請求項8又は9に記載のポリウレタン樹脂組成物収納体の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−132317(P2011−132317A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−291499(P2009−291499)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(598093277)株式会社ポリシス (7)
【出願人】(591222083)株式会社枚方技研 (8)
【Fターム(参考)】