説明

ポリウレタン樹脂製造用のアミン触媒組成物及びそれを用いたポリウレタン樹脂の製造方法

【課題】
新規な触媒組成物、及びそれを用いた、臭気問題や毒性、環境問題を引き起こすことなくポリウレタン製品を生産性、成形性良く得ることができる製造方法を提供する。
【解決手段】
下記一般式(1)で示されるアミン化合物と、ヒドロキシ基、1級アミノ基、及び2級アミノ基からなる群より選ばれる一種又は二種以上の置換基を分子中に有するアミン化合物とからなる触媒組成物。
【化1】


[式中、Xは、ヒドロキシ基、ヒドロキシメチル基、又はヒドロキシエチル基を表す。]
を用いてポリウレタン樹脂を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン樹脂製造用のアミン触媒組成物及びそれを用いたポリウレタン樹脂の製造方法に関する。本発明の触媒組成物は、ポリウレタン樹脂製造の際、揮発性のアミン触媒や有害の金属触媒をほとんど有しないポリウレタン樹脂を製造するための触媒として極めて有用である。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン樹脂はポリオールとポリイソシアネートとを触媒及び必要に応じて発泡剤、界面活性剤、難燃剤、架橋剤等の存在下に反応させて製造される。ポリウレタン樹脂の製造には数多くの金属系化合物や第3級アミン化合物を触媒として用いることが知られている。これら触媒は単独又は併用することにより工業的にも多用されている。
【0003】
発泡剤として水及び/又は低沸点有機化合物を用いるポリウレタンフォームの製造においては、生産性、成形性に優れることから、これら触媒のうち、とりわけ第3級アミン化合物が広く用いられている。このような第3級アミン化合物としては、例えば、従来公知のトリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N,N−ジメチルエタノールアミン等が挙げられる(例えば、非特許文献1参照)。金属系化合物は生産性、成形性が悪化することより、ほとんどの場合、第3級アミン触媒と併用されることが多く、単独での使用は少ない。
【0004】
前記した第3級アミン触媒は、ポリウレタン製品から揮発性のアミンとして徐々に排出され、例えば、自動車内装材等では揮発性アミンによる臭気問題や他の材料、例えば表皮塩ビの変色問題を引き起こす。また、前記した第3級アミン触媒は、一般に悪臭が強く、ポリウレタン樹脂製造時の作業環境が著しく悪化する。これら揮発性の第3級アミン触媒に対し、この問題を解決する方法として分子内にポリイソシアネートと反応しうるヒドロキシ基や1級及び2級のアミノ基を有するアミン触媒(以下反応型触媒と称する場合がある)や、第3級アミノ基を分子内に有する2官能の架橋剤を使用する方法が提案されている(例えば、特許文献1〜特許文献5参照)。
【0005】
上記のアミン触媒を使用する方法は、アミン触媒がポリイソシアネートと反応した形でポリウレタン樹脂骨格中に固定化されるため上記問題を回避できるとされており、確かに、最終樹脂製品の臭気低減には有効ではあるが、これらのアミン触媒は樹脂化反応(ポリオールとイソシアネートの反応)の活性が劣るため、硬化性が低下するという問題がある。また、上記の架橋剤を使用する方法は、最終ポリウレタン樹脂製品の臭気の低減及びポリウレタン樹脂製造時の作業環境を改善には有効であるが、ポリウレタン樹脂の硬度等の物性が不充分である。
【0006】
また、特許文献6及び特許文献7には、ヒドロキシ基、1級アミノ基及び2級アミノ基を分子中に有するアミン化合物を硬質ポリウレタンフォーム製造用触媒として用いた例が記載されているが、フォームの流動性及び熱伝導率改良を目的に使用されたものであって、臭気問題には何ら言及されていない。
【0007】
一方、金属系触媒は、前記したアミン触媒のような臭気問題や他の材料を劣化させる問題は起さないが、金属系触媒単独の使用では、上記したとおり、生産性、物性及び成形性が悪化し、更には製品中に残った重金属による毒性問題や環境問題が取り沙汰されて来ている。
【0008】
【特許文献1】特開昭46−4846号公報
【特許文献2】特公昭61−31727号公報
【特許文献3】特許第2971979号明細書
【特許文献4】特開昭63−265909号公報
【特許文献5】特開2008−45113公報
【特許文献6】特開2003−82051号公報
【特許文献7】特開2003−105051号公報
【非特許文献1】岩田敬治「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(1987年初版)日刊工業新聞社 p.118
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、新規な触媒組成物、及びそれを用いた、臭気問題や毒性、環境問題を引き起こすことなくポリウレタン製品を生産性、成形性良く得ることができる製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記問題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ポリウレタン樹脂製造用の触媒として、ヒドロキシ基、ヒドロキシメチル基、又はヒドロキシエチル基を分子内に有するトリエチレンジアミンと、ヒドロキシ基、1級アミノ基、及び2級アミノ基からなる群より選ばれる一種又は二種以上の置換基を分子内に有するアミン化合物を併用すると、臭気問題や毒性、環境問題をほとんど引き起こすことなくポリウレタン製品が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、以下に示すとおりのポリウレタン樹脂製造用触媒組成物及びそれを用いたポリウレタン樹脂の製造方法である。
【0012】
[1]下記一般式(1)で示されるアミン化合物と、ヒドロキシ基、1級アミノ基、及び2級アミノ基からなる群より選ばれる一種又は二種以上の置換基を分子中に有するアミン化合物とからなるポリウレタン樹脂製造用の触媒組成物。
【0013】
【化1】

[式中、Xは、ヒドロキシ基、ヒドロキシメチル基、又はヒドロキシエチル基を表す。]
[2]一般式(1)で示されるアミン化合物が、2−ヒドロキシメチルトリエチレンジアミンであることを特徴とする上記[1]に記載のポリウレタン樹脂製造用の触媒組成物。
【0014】
[3]ヒドロキシ基、1級アミノ基、及び2級アミノ基からなる群より選ばれる一種又は二種以上の置換基を分子中に有するアミン化合物が、下記一般式(2)で示されるアミン化合物であることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載のポリウレタン樹脂製造用の触媒組成物。
【0015】
【化2】

[式中、R〜Rは各々独立して、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜10のアミノアルキル基、炭素数1〜10のモノメチルアミノアルキル基、又は炭素数1〜10のジメチルアミノアルキル基を表し、xは0〜11の整数、yは0〜11の整数、aは0〜10の整数、bは0〜10の整数を表す。]
[4]一般式(2)において、R〜Rが、各々独立して、水素原子、ヒドロキシ基、メチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、アミノエチル基、アミノプロピル基、モノメチルアミノエチル基、モノメチルアミノプロピル基、ジメチルアミノエチル基、又はジメチルアミノプロピル基を表すことを特徴とする上記[3]に記載のポリウレタン樹脂製造用の触媒組成物。
【0016】
[5]一般式(2)で示されるアミン化合物が、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルプロピレンジアミン、N,N’−ジメチルプロピレンジアミン、N,N−ジメチルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジメチルヘキサメチレンジアミン、トリメチルジエチレントリアミン、トリメチルエチレンジアミン、トリメチルプロピレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、テトラメチルジエチレントリアミン、N,N−ジメチルアミノエタノール、N,N−ジメチルアミノイソプロパノール、ビス(3−ジメチルアミノプロピル)アミン、N−メチルピペラジン、N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルアミノエチル−N’−メチルアミノエチル−N”−メチルアミノイソプロパノール、N,N−ジメチルアミノエトキシエトキシエタノール、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−1,3−プロパンジアミン、N,N,N’−トリメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ビス(2−アミノエチル)エーテル、N,N−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)−N−イソプロパノールアミン、N,N−ジメチルアミノヘキサノール、及びN,N,N’−トリメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)プロピレンジアミンからなる群より選ばれる一種又は二種以上のアミン化合物であることを特徴とする上記[3]又は[4]に記載のポリウレタン樹脂製造用の触媒組成物。
【0017】
[6]一般式(1)で示されるアミン化合物と、ヒドロキシ基、1級アミノ基、及び2級アミノ基からなる群より選ばれる一種又は二種以上の置換基を分子中に有するアミン化合物との混合比率が、[一般式(1)で示されるアミン化合物]/[ヒドロキシ基、1級アミノ基、及び2級アミノ基からなる群より選ばれる一種又は二種以上の置換基を分子中に有するアミン化合物]=1/99〜99/1(重量比)であることを特徴とする上記[1]乃至[5]のいずれかに記載のポリウレタン樹脂製造用の触媒組成物。
【0018】
[7]一般式(1)で示されるアミン化合物と、一般式(2)で示されるアミン化合物との混合比率が、[一般式(1)で示されるアミン化合物]/[一般式(2)で示されるアミン化合物]=1/99〜99/1(重量比)であることを特徴とする上記[3]乃至[5]のいずれかに記載のポリウレタン樹脂製造用の触媒組成物。
【0019】
[8]ポリオールとポリイソシアネートとを、上記[1]乃至[7]のいずれかに記載の触媒組成物の存在下で反応させることを特徴とするポリウレタン樹脂の製造方法。
【0020】
[9]上記[1]乃至[7]のいずれかに記載の触媒組成物の使用量が、ポリオール100重量部に対して0.01〜30重量部の範囲であることを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0021】
本発明の触媒組成物を用いて製造されたポリウレタン樹脂は、ポリウレタン樹脂から揮散するアミンがほとんどない。よって、本発明の触媒組成物は、ポリウレタン製品を生産性、成形性良く得ることができるのみならず、通常のアミン触媒に起因する自動車インストルパネルのPVC変色、フォームからの揮発成分移行による窓ガラスの曇り現象防止に有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0023】
本発明のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物は、上記一般式(1)で示されるアミン化合物と、ヒドロキシ基、1級アミノ基、及び2級アミノ基からなる群より選ばれる一種又は二種以上の置換基を分子中に有するアミン化合物とを含有する触媒組成物である。
【0024】
本発明において、上記一般式(1)で示されるアミン化合物としては、例えば、ヒドロキシトリエチレンジアミン、ヒドロキシメチルトリエチレンジアミン、ヒドロキシエチルトリエチレンジアミン等が挙げられるが、工業的に入手可能なことから、2−ヒドロキシメチルトリエチレンジアミンが好ましい。
【0025】
上記一般式(1)で示される化合物は公知の方法にて製造できる。例えば、ピペラジンに対応するジブロモカルボン酸エステルを適当なモル比で反応させ、得られたエステル体を還元することにより製造することができる。
【0026】
本発明において、ヒドロキシ基、1級アミノ基、及び2級アミノ基からなる群より選ばれる一種又は二種以上の置換基を分子中に有するアミン化合物としては、特に限定するものではないが、好ましくは、上記一般式(2)で示されるアミン化合物である。
【0027】
上記一般式(2)で示されるアミン化合物の置換基R〜Rとしては、各々独立して、水素原子、ヒドロキシ基、メチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、アミノエチル基、アミノプロピル基、モノメチルアミノエチル基、モノメチルアミノプロピル基、ジメチルアミノエチル基、又はジメチルアミノプロピル基が好ましい。
【0028】
上記一般式(2)で示されるアミン化合物としては、具体的には、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルプロピレンジアミン、N,N−ジメチルテトラメチレンジアミン、N,N−ジメチルペンタメチレンジアミン、N,N−ジメチルヘキサメチレンジアミン、N,N−ジメチルヘプタメチレンジアミン、N,N−ジメチルオクタメチレンジアミン、N,N−ジメチルノナメチレンジアミン、N,N−ジメチルデカメチレンジアミン、N−メチルエチレンジアミン、N−メチルプロピレンジアミン、N−メチルテトラメチレンジアミン、N−メチルペンタメチレンジアミン、N−メチルヘキサメチレンジアミン、N−メチルヘプタメチレンジアミン、N−メチルオクタメチレンジアミン、N−メチルノナメチレンジアミン、N−メチルデカメチレンジアミン、N−アセチルエチレンジアミン、N−アセチルプロピレンジアミン、N−アセチルテトラメチレンジアミン、N−アセチルペンタメチレンジアミン、N−アセチルヘキサメチレンジアミン、N−アセチルヘプタメチレンジアミン、N−アセチルオクタメチレンジアミン、N−アセチルノナメチレンジアミン、N−アセチルデカメチレンジアミン、N,N,N’−トリメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N”−テトラメチルトリエチレンテトラミン、N,N,N’,N”,N”’−ペンタメチルテトラエチレンペンタミン、N,N,N’,N”,N”’N””−ヘキサメチルペンタエチレンヘキサミン等の1級アミン化合物類、
N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチルプロピレンジアミン、N,N’−ジメチルヘキサメチレンジアミン、トリメチルエチレンジアミン、トリメチルプロピレンジアミン、トリメチルテトラメチレンジアミン、トリメチルペンタメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘプタメチレンジアミン、トリメチルオクタメチレンジアミン、トリメチルノナメチレンジアミン、トリメチルデカメチレンジアミン、テトラメチルジエチレントリアミン、ペンタメチルトリエチレンテトラミン、ヘキサメチルテトラエチレンペンタミン、ヘプタメチルペンタエチレンヘキサミン、ビス(N,N−ジメチルアミノプロピル)アミン、N−メチルピペラジン等の2級アミン化合物類、
N,N−ジメチルアミノエタノール、N,N−ジメチルアミノイソプロパノール、N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N−ジメチルアミノエトキシイソプロパノール、N,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルアミノエチル−N’−メチルアミノエチル−N”−メチルアミノエタノール、N,N−ジメチルアミノエチル−N’−メチルアミノエチル−N”−メチルアミノイソプロパノール、N,N−ジメチルアミノエトキシエトキシエタノール、N,N−ジメチルアミノエトキシエトキシイソプロパノール、N,N−ジメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N−ジメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−1,3−プロパンジアミン、N,N,N’−トリメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ビス(2−アミノエチル)エーテル、N,N,N’−トリメチル−N’−(2−ヒドロキシイソプロピル)ビス(2−アミノエチル)エーテル、N,N−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)−N−イソプロパノールアミン、N,N−ジメチルアミノヘキサノール、5−ジメチルアミノ−3−メチル−1−ペンタノール、N,N,N’−トリメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)プロピレンジアミン、N,N,N’−トリメチル−N’−(2−ヒドロキシプロピル)プロピレンジアミン等のアルカノールアミン類等が例示される。
【0029】
これらのアミン化合物のうち、触媒活性が高いことから、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルプロピレンジアミン、N,N’−ジメチルプロピレンジアミン、N,N−ジメチルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジメチルヘキサメチレンジアミン、トリメチルジエチレントリアミン、トリメチルエチレンジアミン、トリメチルプロピレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、テトラメチルジエチレントリアミン、N,N−ジメチルアミノエタノール、N,N−ジメチルアミノイソプロパノール、ビス(3−ジメチルアミノプロピル)アミン、N−メチルピペラジン、N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルアミノエチル−N’−メチルアミノエチル−N”−メチルアミノイソプロパノール、N,N−ジメチルアミノエトキシエトキシエタノール、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−1,3−プロパンジアミン、N,N,N’−トリメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ビス(2−アミノエチル)エーテル、N,N−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)−N−イソプロパノールアミン、N,N−ジメチルアミノヘキサノール、及びN,N,N’−トリメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)プロピレンジアミンからなる群より選ばれる1種又は2種以上のアミン化合物が特に好ましい。
【0030】
本発明の触媒組成物に用いられる上記一般式(2)で示されるアミン化合物は、文献既知の方法にて容易に製造できる。例えば、ジオールとジアミンとの反応やアルコールのアミノ化による方法、モノアミノアルコール又はジアミンの還元メチル化による方法、アミン化合物とアルキレンオキサイドとの反応による方法等が挙げられる。
【0031】
本発明において、上記一般式(1)で示されるアミン化合物と、ヒドロキシ基、1級アミノ基、及び2級アミノ基からなる群より選ばれる一種又は二種以上の置換基を分子中に有するアミン化合物との混合比率は、特に限定するものではないが、通常、一般式(1)で表されるアミン化合物と、ヒドロキシ基、1級アミノ基、及び2級アミノ基からなる群より選ばれる一種又は二種以上の置換基を分子中に有するアミン化合物の重量比([一般式(1)で表されるアミン化合物]/[ヒドロキシ基、1級アミノ基、及び2級アミノ基からなる群より選ばれる一種又は二種以上の置換基を分子中に有するアミン化合物])が、通常1/99〜99/1の範囲になるように混合比率を調節する。更に好ましくは5/95〜95/5の範囲である。重量比がこの範囲を超えると両触媒の相乗効果が得られない場合があり、ポリウレタン樹脂の物性及び触媒活性の点で満足できる性能を発揮しない場合がある。
【0032】
また、本発明において、上記一般式(1)で示されるアミン化合物と、上記一般式(2)で示されるアミン化合物との混合比率は、特に限定するものではないが、通常、一般式(1)で表されるアミン化合物と一般式(2)で表されるアミン化合物の重量比([一般式(1)で表されるアミン化合物]/[一般式(2)で表されるアミン化合物])が、1/99〜99/1の範囲になるように混合比率を調節する。更に好ましくは5/95〜95/5の範囲である。重量比がこの範囲を超えると両触媒の相乗効果が得られない場合があり、ポリウレタン樹脂の物性及び触媒活性の点で満足できる性能を発揮しない場合がある。
【0033】
本発明において、触媒組成物に用いられる上記一般式(1)で示されるアミン化合物、及びヒドロキシ基、1級アミノ基、及び2級アミノ基からなる群より選ばれる一種又は二種以上の置換基を分子中に有するアミン化合物は、予め混合して調製したものを反応時に添加しても良いし、反応の際に同時に添加しても良い。また、それらを混合する際に溶媒に溶解して使用することもできる。溶媒としては特に限定するものではないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール等のアルコール類、トルエン、キシレン、ミネラルターペン、ミネラルスピリット等の炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルグリコールアセテート、酢酸セルソルブ等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類の有機溶媒、アセチルアセトン及びそのフッ素化置換体等のβ−ジケトン類、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のケトエステル類等のキレート化可能な溶媒、水等が挙げられる。
【0034】
次に本発明のポリウレタン樹脂の製造方法について説明する。
【0035】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法は、ポリオールとイソシアネートを、上記した本発明の触媒組成物、及び必要に応じて発泡剤、界面活性剤、難燃剤、架橋剤等の存在下に反応させることをその特徴とする。
【0036】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法において、本発明の触媒組成物の使用量は、使用されるポリオール100重量部に対し、通常0.01〜30重量部の範囲であるが、好ましくは0.1〜20重量部の範囲である。0.01重量部より少ないと触媒の効果が得られない場合がある。一方、30重量部を超えると、触媒を増やした効果が得られないばかりでなく、ポリウレタン樹脂の物性が悪化する場合がある。
【0037】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法において、使用されるポリオールとしては、例えば、従来公知のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール、更にはリン含有ポリオールやハロゲン含有ポリオール等の難燃ポリオール等が挙げられる。これらのポリオールは単独で使用することもできるし、適宜混合して併用することもできる。
【0038】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法において、使用されるポリエーテルポリオールとしては、特に限定するものではないが、例えば、少なくとも2個以上の活性水素基を有する化合物(エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類、エチレンジアミン等のアミン類、エタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン類等が例示される。)を出発原料として、これとアルキレンオキサイド(エチレンオキシドやプロピレンオキシドが例示される。)との付加反応により製造されたものが挙げられる[例えば、Gunter Oertel,“Polyurethane Handbook”(1985) Hanser Publishers社(ドイツ),p.42−53に記載の方法参照]。
【0039】
本発明の方法において、使用されるポリエステルポリオールとしては、特に限定するものではないが、例えば、二塩基酸とグリコールの反応から得られるものや、ナイロン製造時の廃物、トリメチロールプロパン、ペンタエリストールの廃物、フタル酸系ポリエステルの廃物、廃品を処理し誘導したポリエステルポリオール等が挙げられる[例えば、岩田敬治「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(1987)日刊工業新聞社 p.117の記載参照。]。
【0040】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法において、使用されるポリマーポリオールとしては、特に限定するものではないが、例えば、前記ポリエーテルポリオールとエチレン性不飽和単量体(例えば、ブタジエン、アクリロニトリル、スチレン等。)をラジカル重合触媒の存在下に反応させた重合体ポリオールが挙げられる。
【0041】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法において、使用される難燃ポリオールとしては、特に限定するものではないが、例えば、リン酸化合物にアルキレンオキシドを付加して得られるリン含有ポリオールや、エピクロルヒドリンやトリクロロブチレンオキシドを開環重合して得られるハロゲン含有ポリオール、フェノールポリオール等が挙げられる。
【0042】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法においては、平均水酸基価が20〜1000mgKOH/gの範囲のポリオールが使用できるが、軟質ポリウレタン樹脂や半硬質ポリウレタン樹脂には平均水酸基価が20〜100mgKOH/gの範囲のものが、硬質ポリウレタン樹脂には平均水酸基価が100〜800mgKOH/gの範囲のものが、好適に使用される。
【0043】
本発明に使用されるポリイソシアネートは、従来公知のものであればよく、特に限定するものではないが、例えば、トルエンジイソシアネート(以下、TDIと称する場合がある。)、ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと称する場合がある。)、ナフチレンジイシシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート類、ジシクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート類、及びこれらの混合体等が挙げられる。これらのうち好ましくはTDIとその誘導体、又はMDIとその誘導体であり、これらは単独で使用しても、混合して使用しても差し支えない。
【0044】
TDIとその誘導体としては、例えば、2,4−TDIと2,6−TDIの混合物、TDIの末端イソシアネートプレポリマー誘導体等を挙げることができる。また、MDIとその誘導体としては、例えば、MDIとその重合体のポリフェニルポリメチレンジイソシアネートの混合体、末端イソシアネート基をもつジフェニルメタンジイソシアネート誘導体等を挙げることができる。
【0045】
これらイソシアネートのうち、軟質ポリウレタン樹脂や半硬質ポリウレタン樹脂製品には、TDIとその誘導体及び/又はMDIとその誘導体が好適に使用される。また、硬質ポリウレタン樹脂には、MDIとその重合体のポリフェニルポリメチレンジイソシアネートの混合体が好適に使用される。
【0046】
これらポリイソシアネートとポリオールの混合割合としては、特に限定するものではないが、イソシアネートインデックス([イソシアネート基]/[イソシアネート基と反応しうる活性水素基])で表すと、一般に60〜400の範囲が好ましい。
【0047】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法において、触媒として、上記一般式(1)で示されるアミン化合物と、ヒドロキシ基、1級アミノ基、及び2級アミノ基からなる群より選ばれる一種又は二種以上の置換基を分子中に有するアミン化合物からなる本発明の触媒組成物に加えて、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、その他の有機金属触媒や、カルボン酸金属塩触媒、第3級アミン触媒、第4級アンモニウム塩触媒を併用しても良い。
【0048】
有機金属触媒としては、従来公知のものであれば、よく特に限定するものではないが、例えば、スタナスジアセテート、スタナスジオクトエート、スタナスジオレエート、スタナスジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジクロライド、ジオクチル錫ジラウレート、オクタン酸鉛、ナフテン酸鉛、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸コバルト等が挙げられる。
【0049】
カルボン酸金属塩触媒としては、従来公知のものであればよく、例えば、カルボン酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩が挙げられる。カルボン酸としては、特に限定するものではないが、例えば、酢酸、プロピオン酸、2−エチルヘキサン酸、アジピン酸等の脂肪族モノ及びジカルボン酸類、安息香酸、フタル酸等の芳香族モノ及びジカルボン酸類等が挙げられる。また、カルボン酸塩を形成すべき金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属が好適な例として挙げられる。
【0050】
第三級アミン触媒としては、従来公知のものであれば、よく特に限定するものではないが、例えば、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチル−(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルグアニジン、1,3,5−トリス(N,N−ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−S−トリアジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジメチルピペラジン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1−ジメチルアミノプロピルイミダゾール等の第三級アミン化合物類が挙げられる。
【0051】
第4級アンモニウム塩触媒としては、従来公知のものであればよく特に限定するものではないが、例えば、テトラメチルアンモニウムクロライド等のテトラアルキルアンモニウムハロゲン化物、水酸化テトラメチルアンモニウム塩等のテトラアルキルアンモニウム水酸化物、テトラメチルアンモニウム2−エチルヘキサン酸塩、2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムギ酸塩、2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム2−エチルヘキサン酸塩等のテトラアルキルアンモニウム有機酸塩類が挙げられる。
【0052】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法においては、本発明の触媒組成物を単独で、又は上記した他の触媒と混合して使用することができるが、混合調整にあたっては、必要ならば、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール又は水等の溶媒が使用できる。溶媒の量は、特に限定するものではないが、好ましくは触媒の全量に対して3重量倍以下である。3重量倍を超えると、得られるフォームの物性に影響を及ぼすおそれがあり、また経済上の理由からも好ましくない。このように調整された触媒組成物は、ポリオールに添加して使用しても良いし、個々の成分を別々にポリオールに添加しても良く、特に制限はない。
【0053】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法において、必要であれば、発泡剤を使用することができる。発泡剤としては、特に限定するものではないが、例えば、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(HCFC−141b)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)、1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)等のフロン系化合物、HFE−254pc等のハイドロフルオロエーテル類、低沸点炭化水素、水、液化炭酸ガス、ジクロロメタン、ギ酸、及びアセトンからなる郡より選ばれる1種又は2種以上であって、これらの混合物を使用することができる。低沸点炭化水素としては、通常、沸点が通常−30〜70℃の炭化水素が使用され、その具体例としては、プロパン、ブタン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン及びこれらの混合物が挙げられる。
【0054】
発泡剤の使用量は、所望の密度やフォーム物性に応じて決定されるが、具体的には、得られるフォーム密度が、通常5〜1000kg/m、好ましくは10〜500kg/mとなるように選択される。
【0055】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法において、必要であれば、整泡剤として界面活性剤を用いることができる。使用される界面活性剤としては、例えば、従来公知の有機シリコーン系界面活性剤が挙げられ、具体的には、有機シロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体、シリコーン−グリース共重合体等の非イオン系界面活性剤、又はこれらの混合物等が例示される。それらの使用量は、ポリオール100重量部に対して通常0.1〜10重量部である。
【0056】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法において、必要であれば、架橋剤又は鎖延長剤を用いることができる。架橋剤又は鎖延長剤としては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン等の低分子量の多価アルコール類、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の低分子量のアミンポリオール類、又はエチレンジアミン、キシリレンジアミン、メチレンビスオルソクロルアニリン等ポリアミン類を挙げることができる。
【0057】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法において、必要であれば、難燃剤を用いることができる。使用される難燃剤としては、例えば、リン酸とアルキレンオキシドとの付加反応によって得られるプロポキシル化リン酸、プロポキシル化ジブチルピロリン酸等の含リンポリオールの様な反応型難燃剤、トリクレジルホスフェート等の第3リン酸エステル類、トリス(2−クロロエチル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート等のハロゲン含有第3リン酸エステル類、ジブロモプロパノール、ジブロモネオペンチルグリコール、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン含有有機化合物類、酸化アンチモン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、リン酸アルミニウム等の無機化合物等が挙げられる。その量は特に限定されるものではなく、要求される難燃性に応じて異なるが、通常ポリオール100重量部に対して4〜20重量部である。
【0058】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法において、必要であれば、着色剤や、老化防止剤、その他従来公知の添加剤等も使用できる。これらの添加剤の種類、添加量は、使用される添加剤の通常の使用範囲でよい。
【0059】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法は、前記原料を混合した混合液を急激に混合、攪拌した後、適当な容器又はモールドに注入して発泡成型することにより行われる。混合、攪拌は一般的な攪拌機や専用のポリウレタン発泡機を使用して実施すれば良い。ポリウレタン発泡機としては高圧、低圧及びスプレー式の機器が使用できる。
【0060】
ポリウレタン樹脂製品としては、発泡剤を使用しないエラストマーや発泡剤を使用するポリウレタンフォーム等が挙げられ、本発明のポリウレタン樹脂の製造方法は、これらのようなポリウレタンフォーム製品の製造に好適に使用される。
【0061】
また、ポリウレタンフォーム製品としては、軟質ポリウレタンフォーム、半硬質ポリウレタンフォーム、硬質ポリウレタンフォーム等が挙げられるが、本発明のポリウレタン樹脂の製造方法は、自動車内装材として用いられる軟質ポリウレタンフォームのカーシート、半硬質ポリウレタンフォームのインスツルメントパネルやハンドル及び硬質ポリウレタンフォームにて製造される断熱材の製造に特に好適に使用される。
【0062】
なお、本発明において、軟質ポリウレタンフォームとは、一般的にオープンセル構造を有し、高い通気性を示す可逆変形可能なフォームをいう[Gunter Oertel,“Polyurethane Handbook”(1985年版)Hanser Publishers社(ドイツ),p.161〜233や、岩田敬治「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(1987年初版)日刊工業新聞社、p.150〜221の記載参照。]。軟質ウレタンフォームの物性としては、特に限定するものではないが、一般的には、密度が10〜100kg/m、圧縮強度(ILD25%)が200〜8000kPa、伸び率が80〜500%の範囲である。
【0063】
また、半硬質ポリウレタンフォームとは、フォーム密度及び圧縮強度は軟質ポリウレタンフォームよりも高いものの、軟質ポリウレタンフォームと同様にオープンセル構造を有し、高い通気性を示す可逆変形可能なフォームをいう[Gunter Oertel,“Polyurethane Handbook”(1985年版)Hanser Publishers社(ドイツ),p.223〜233や、岩田敬治「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(1987年初版)日刊工業新聞社、p.211〜221の記載参照。]。また、使用するポリオール、イソシアネート原料も軟質ポリウレタンフォームと同様であるため、一般に軟質ポリウレタンフォームに分類される。半硬質ウレタンフォームの物性は、特に限定するものではないが、一般的には、密度が40〜800kg/m、圧縮強度(ILD25%)が10〜200kPa、伸び率が40〜200%の範囲である。本発明において、軟質ポリウレタンフォームは、使用する原料及びフォーム物性から半硬質ポリウレタンフォームを含む場合がある。
【0064】
さらに、硬質ポリウレタンフォームとは、高度に架橋されたクローズドセル構造を有し、可逆変形不可能なフォームをいう[Gunter Oertel,“Polyurethane Handbook”(1985年版)Hanser Publishers社(ドイツ),p.234〜313や、岩田敬治「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(1987年初版)日刊工業新聞社、p.224〜283の記載参照。]。硬質ウレタンフォームの物性は、特に限定するものではないが、一般的には、密度が10〜100kg/m、圧縮強度が50〜1000kPaの範囲である。
【実施例】
【0065】
以下、実施例、比較例に基づいて説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定解釈されるものではない。
【0066】
合成例1.
2Lのセパラブルフラスコにピペラジン43.1g(0.5mol)、トリエチルアミン151.8g(1.5mol)を仕込み、トルエンで希釈した。窒素置換後、これにトルエンで希釈した2,3−ジブロモプロピオン酸エチル(東京化成工業社製)を攪拌しながら添加し、100℃で24時間熟成反応を行った。析出したトリエチルアミンの塩酸塩をろ過により除去し、得られた反応液を濃縮し、エステル体を合成した。このエステル体をテトロヒドロフランに溶解させ、氷浴下、水素化アルミニウムリチウムのテトロヒドロフラン溶液に攪拌しながら添加した。室温で2時間反応後、水、15%水酸化ナトリウム水溶液を加えて反応を停止し、不溶物をろ過により除去した。反応液を濃縮後、酢酸エチルで抽出洗浄した。酢酸エチルを除去し、目的化合物である2−ヒドロキシメチルトリエチレンジアミンを48g得た(収率68%)。
【0067】
実施例1.
ポリオール、セルオープナー、架橋剤、整泡剤、水を表1に示した原料配合比にてプレミックスAを調合した。プレミックスA 148.1gを500mlポリエチレンカップに取り、触媒として2−ヒドロキシメチルトリエチレンジアミン及びN,N,N’−トリメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ビス(2−アミノエチル)エーテルを表2に示した配合比にて添加し、20℃に温度調整した。別容器で20℃に温度調整したイソシアネート液を、イソシアネートインデックス[=イソシアネート基/OH基(モル比)×100]が100となる量を、プレミックスAのカップの中に入れ、素早く攪拌機にて6000rpmで5秒間攪拌した。混合攪拌した混合液を60℃に温度調節した2リットルのポリエチレンカップに移し、発泡中の反応性を測定した。また、得られた成型フォームから、フォーム密度を測定し比較した。結果を表2に示す。なお、各測定項目の測定方法は以下のとおりである。
【0068】
(1)反応性の測定項目.
クリームタイム:発泡開始時間、フォームが上昇開始する時間を目視にて測定。
ゲルタイム:反応が進行し液状物質より、樹脂状物質に変わる時間を測定。
ライズタイム:フォームの上昇が停止する時間を目視にて測定。
【0069】
(2)フォームコア密度.
モールド成型フォームの中心部を7×7×5cmの寸法にカットし、寸法、重量を正確に測定してコア密度を算出した。
【0070】
(3)フォームの臭気.
フォームコア密度を測定したフォームから5×5×5cm寸法のフォームをカットしマヨネーズ瓶の中に入れ蓋をした。この瓶を80℃で1時間加熱後、瓶を室温まで冷却し、10人のモニターにそのフォームの臭いを嗅がせ、臭いの強さを測定した。
【0071】
◎:殆ど臭い無し、 ○:わずかにあり、 △:臭気あり、 ×:強い臭気有り。
【0072】
【表1】

【0073】
【表2】

実施例2〜実施例6.
N,N,N’−トリメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ビス(2−アミノエチル)エーテルの代わりに表2に示したアミン化合物を使用した以外は、実施例1と同じ手法を用いた。結果をあわせて表2に示す。
【0074】
比較例1.
2−ヒドロキシメチルトリエチレンジアミン及びN,N,N’−トリメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ビス(2−アミノエチル)エーテルの代わりにL33及びTOYOCAT−ETを使用した以外は、実施例1と同じ手法を用いた。結果をあわせて表2に示す。
【0075】
比較例2.
2−ヒドロキシメチルトリエチレンジアミン及びN,N,N’−トリメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ビス(2−アミノエチル)エーテルの代わりにN,N−ジメチルアミノエタノールを使用した以外は、実施例1と同じ手法を用いた。結果をあわせて表2に示す。
【0076】
実施例1〜実施例6は本発明の触媒組成物を使用した例であるが、触媒活性が高く、フォームからアミン触媒の臭気はほとんどしなかった。ウレタン触媒として一般に使用されているL33及びTOYOCAT−ETを用いた場合(比較例1)、フォームからアミン触媒の臭気が確認され、アミン触媒に起因する自動車インストルパネルのPVC変色、窓ガラスの曇り現象を防止することができなかった。
【0077】
一方、反応型触媒であるN,N−ジメチルアミノエタノールを単独で用いた場合(比較例2)、触媒活性が低く、フォームからアミン触媒の臭気が確認され、アミン触媒に起因する自動車インストルパネルのPVC変色、窓ガラスの曇り現象を防止することができなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示されるアミン化合物と、ヒドロキシ基、1級アミノ基、及び2級アミノ基からなる群より選ばれる一種又は二種以上の置換基を分子中に有するアミン化合物とからなるポリウレタン樹脂製造用の触媒組成物。
【化1】

[式中、Xは、ヒドロキシ基、ヒドロキシメチル基、又はヒドロキシエチル基を表す。]
【請求項2】
一般式(1)で示されるアミン化合物が、2−ヒドロキシメチルトリエチレンジアミンであることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタン樹脂製造用の触媒組成物。
【請求項3】
ヒドロキシ基、1級アミノ基、及び2級アミノ基からなる群より選ばれる一種又は二種以上の置換基を分子中に有するアミン化合物が、下記一般式(2)で示されるアミン化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のポリウレタン樹脂製造用の触媒組成物。
【化2】

[式中、R〜Rは各々独立して、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜10のアミノアルキル基、炭素数1〜10のモノメチルアミノアルキル基、又は炭素数1〜10のジメチルアミノアルキル基を表し、xは0〜11の整数、yは0〜11の整数、aは0〜10の整数、bは0〜10の整数を表す。]
【請求項4】
一般式(2)において、R〜Rが、各々独立して、水素原子、ヒドロキシ基、メチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、アミノエチル基、アミノプロピル基、モノメチルアミノエチル基、モノメチルアミノプロピル基、ジメチルアミノエチル基、又はジメチルアミノプロピル基を表すことを特徴とする請求項3に記載のポリウレタン樹脂製造用の触媒組成物。
【請求項5】
一般式(2)で示されるアミン化合物が、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルプロピレンジアミン、N,N’−ジメチルプロピレンジアミン、N,N−ジメチルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジメチルヘキサメチレンジアミン、トリメチルジエチレントリアミン、トリメチルエチレンジアミン、トリメチルプロピレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、テトラメチルジエチレントリアミン、N,N−ジメチルアミノエタノール、N,N−ジメチルアミノイソプロパノール、ビス(3−ジメチルアミノプロピル)アミン、N−メチルピペラジン、N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルアミノエチル−N’−メチルアミノエチル−N”−メチルアミノイソプロパノール、N,N−ジメチルアミノエトキシエトキシエタノール、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−1,3−プロパンジアミン、N,N,N’−トリメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ビス(2−アミノエチル)エーテル、N,N−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)−N−イソプロパノールアミン、N,N−ジメチルアミノヘキサノール、及びN,N,N’−トリメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)プロピレンジアミンからなる群より選ばれる一種又は二種以上のアミン化合物であることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のポリウレタン樹脂製造用の触媒組成物。
【請求項6】
一般式(1)で示されるアミン化合物と、ヒドロキシ基、1級アミノ基、及び2級アミノ基からなる群より選ばれる一種又は二種以上の置換基を分子中に有するアミン化合物との混合比率が、[一般式(1)で示されるアミン化合物]/[ヒドロキシ基、1級アミノ基、及び2級アミノ基からなる群より選ばれる一種又は二種以上の置換基を分子中に有するアミン化合物]=1/99〜99/1(重量比)であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のポリウレタン樹脂製造用の触媒組成物。
【請求項7】
一般式(1)で示されるアミン化合物と、一般式(2)で示されるアミン化合物との混合比率が、[一般式(1)で示されるアミン化合物]/[一般式(2)で示されるアミン化合物]=1/99〜99/1(重量比)であることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれかに記載のポリウレタン樹脂製造用の触媒組成物。
【請求項8】
ポリオールとポリイソシアネートとを、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の触媒組成物の存在下で反応させることを特徴とするポリウレタン樹脂の製造方法。
【請求項9】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の触媒組成物の使用量が、ポリオール100重量部に対して0.01〜30重量部の範囲であることを特徴とする請求項8に記載の製造方法。

【公開番号】特開2010−37488(P2010−37488A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−204535(P2008−204535)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】