説明

ポリウレタン発泡体

【課題】フッ素化合物を使用しなくても微細で均一なセル径を有するポリウレタン発泡体の提供を目的とする。
【解決手段】ポリオール、イソシアネート、発泡剤、触媒、整泡剤、添加剤を含むポリウレタン原料から形成されたポリウレタン発泡体において、ポリオールをポリエステルポリオールとし、添加剤として揮発性シリコーンを含み、揮発性シリコーンの添加量を、ポリオール100重量部に対して0.5〜3重量部とし、ポリウレタン発泡体の発泡方向と平行な断面におけるセルの長径と短径のアスペクト比(長径/短径の値)を1.0〜1.5とすることにより、フッ素化合物を添加しなくてもセルを微細で均一なものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細で均一なセル径を有するポリウレタン発泡体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオール、イソシアネート、発泡剤、触媒、整泡剤、添加剤を含むポリウレタン原料から形成されたポリウレタン発泡体は、種々の分野で用いられている。ポリウレタン発泡体は、そのままあるいは中間材料として使用される場合、ポリウレタン発泡体の連続気泡構造が利用されることから、同一の球形からなるセル(樹脂骨格によって形成される気泡)が分布したポリウレタン発泡体が求められている。
【0003】
しかし、ポリウレタン発泡体の製造を、例えば連続製造方法として多用されているスラブ発泡方法により、ベルトコンベア上にポリウレタン原料を吐出して行う場合、コンベアに対して垂直上方の発泡方向と、コンベアの流れ方向とでは、発泡体におけるセルの断面形状が異なるものとなる。一般に、発泡方向と平行なセルの断面形状は、縦長の楕円形状となり、セルの縦径(発泡方向と平行な径、長径)と横径(発泡方向と直交する径、短径)の不均一さが大きくなっている。
【0004】
微細で均一なセル径が求められるポリウレタン発泡体の用途として、電池電極板の芯材や、ロール等がある。特に、電池の電極板の芯材に用いられるポリウレタン発泡体においては、セルの微細とセル径の均一性は電池の性能に影響するため、強く求められている。
【0005】
なお、ポリウレタン発泡体を電池の電極板の芯材として用いる技術として、次のものがある。
電池電極板の芯材としてポリウレタン発泡体を用い、ポリウレタン発泡体の表面を無電解めっき等で導電化した後、あるいはポリウレタン発泡体の表面に導電性を有するバインダ混合溶液を塗布し、乾燥させて導電化した後、この導電化されたポリウレタン発泡体を陰極として、金属を電気めっきすることにより、ポリウレタン発泡体の表面に金属めっき層を形成し、必要に応じてさらに熱処理を行ってポリウレタン発泡体を除去することにより電極板とする。
【0006】
また、ポリウレタン発泡体を電池の電極板の芯材として用いる他の技術として、ポリウレタン発泡体(芯材)の表面に、ニッケルイオンを含む水溶液からチタン化合物を含む還元剤を用いて析出したニッケルの導電性層を形成することが提案されている。
【0007】
従来、セルの細かいポリウレタン発泡体を得る方法として、発泡剤にフッ素化合物を用いる方法が知られている。
ところが、近年の環境意識の高まりから地球温暖化対策の推進に関する法律が施行され、フッ素化合物も対象物質に含まれている。そのため、フッ素化合物を使用しなくても微細で均一なセル径を有するポリウレタン発泡体が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−353527号公報
【特許文献2】特開平5−325957号公報
【特許文献3】特開2006−206923号公報(段落0026参照)
【特許文献4】特開2006−8773号公報(段落0011参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであって、フッ素化合物を使用しなくても微細で均一なセル径を有するポリウレタン発泡体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、ポリオール、イソシアネート、発泡剤、触媒、整泡剤、添加剤を含むポリウレタン原料から形成されたポリウレタン発泡体であって、前記ポリオールがポリエステルポリオールであり、前記添加剤として、揮発性シリコーンを含むことを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1において、前記揮発性シリコーンの添加量が、前記ポリオール100重量部に対して0.5〜3重量部であることを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1または2において、前記ポリウレタン発泡体の発泡方向と平行な断面におけるセルの長径と短径のアスペクト比(長径/短径の値)が1.0〜1.5であることを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1から3の何れか一項において、前記ポリウレタン発泡体は、密度(JIS K 7222)が20kg/m〜40kg/m、セル数(JIS K 6400−1)が30〜80個/25mmであって、セル膜が除去されたものからなり、電池の電極用芯材として用いられるものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、揮発性シリコーンによって微細なセル構造が形成され、しかも、ポリエステルポリオールは、高粘度であるため、ポリウレタン発泡体の製造時に、一旦形成された気泡が合一(合体して一つ)になりにくく、微細で均一なセル構造が維持されやすい。なお、ポリエーテルポリオールは、低粘度であることから、ポリオールにポリエーテルポリオールを用いた場合、揮発性シリコーンを添加して微細なセル構造を形成しても、気泡が合一しやすく、樹脂が硬化して形状が固定されるまで、微細なセル構造を保持できず、微細で均一なセル構造を有するポリウレタン発泡体が得られなくなる。
さらに、シリコーン整泡剤と、揮発性シリコーン化合物を併用することにより、比較的低密度で微細なセル構造のポリエステルポリウレタン発泡体を得ることができる。その微細なセルは、長径と短径のアスペクト比を所望の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例のポリウレタン発泡体におけるセル構造を拡大して示す概略図である。
【図2】比較例1のポリウレタン発泡体におけるセル構造を拡大して示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のポリウレタン発泡体は、ポリオール、イソシアネート、発泡剤、触媒、整泡剤、添加剤を含むポリウレタン原料から形成されたポリウレタン発泡体であって、前記ポリオールがポリエステルポリオールであり、前記添加剤として、揮発性シリコーンを含むものである。本発明のポリウレタン発泡体は、種々の用途に用いられるが、特に電池の電極用芯材として好適なものである。
【0017】
本発明において使用されるポリオールは、ポリエステルポリオールが用いられる。ポリエステルポリオールとしては、ポリウレタン発泡体用として使用されるものであれば特に限定されず、例えば、マロン酸、コハク酸、アジピン酸等の脂肪族カルボン酸やフタル酸等の芳香族カルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等の脂肪族グリコール等とから重縮合して得られたポリエステルポリオールを挙げることできる。ポリエステルポリオールは高粘度なため、ポリウレタン発泡体の形成時に気泡の合一(合体による一体)を生じにくく、形成された微細なセル構造を維持しやすい。また、本発明において、好ましいポリエステルポリオールの粘度は、5000〜30000mPa・s:30℃である。
【0018】
イソシアネートとしては、芳香族系、脂環式、脂肪族系の何れでもよく、また、1分子中に2個のイソシアネート基を有する2官能のイソシアネートであっても、あるいは1分子中に3個以上のイソシアネート基を有する3官能以上のポリイソシアネートであってもよく、それらを単独であるいは複数組み合わせて使用してもよい。
【0019】
例えば、2官能のポリイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネートなどの芳香族系のもの、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環式のもの、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、リジンイソシアネートなどの脂肪族系のものを挙げることができる。
【0020】
また、3官能以上のポリイソシアネートとしては、1−メチルベンゾール−2,4,6−トリイソシアネート、1,3,5−トリメチルベンゾール−2,4,6−トリイソシアネート、ビフェニル−2,4,4’−トリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,4’−トリイソシアネート、メチルジフェニルメタン−4,6,4’−トリイソシアネート、4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’テトライソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネート、ポリメリックMDI等を挙げることができる。なお、その他ウレタンプレポリマーも使用することができる。また、ポリイソシアネートは、それぞれ一種類に限られず一種類以上であってもよい。例えば、脂肪族系イソシアネートの一種類と芳香族系イソシアネートの二種類を併用してもよい。
【0021】
発泡剤としては、水、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、炭酸ガス等が用いられる。発泡剤が水の場合、添加量はポリウレタン発泡体において目的とする密度や良好な発泡状態が得られる範囲に決定され、通常はポリオール100重量部に対して1〜5重量部が好ましい。
【0022】
触媒としては、ポリウレタン発泡体に用いられるものであればよく、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミノモルフォリン、N−エチルモルホリン、テトラメチルグアニジン等のアミン触媒や、スタナスオクトエートやジブチルチンジラウレート等の錫触媒やフェニル水銀プロピオン酸塩あるいはオクテン酸鉛等の金属触媒(有機金属触媒とも称される。)を挙げることができる。触媒の添加量は、ポリオール100重量部に対して0.01〜2.0重量部程度が好ましい。
【0023】
整泡剤としては、ポリエステルポリオールを主成分とするポリウレタン発泡体に使用される公知の整泡剤が使用される。本発明に用いる整泡剤は、破泡作用を抑制するために水溶性の化合物が望ましく、シリコーン系化合物、カチオン系、アニオン系、非イオン系界面活性剤等を用いることができる。シリコーン系化合物は、いわゆるシリコーンオイルであって、シリコーンポリエーテル共重合体である。これら整泡剤は、一般に不揮発性である。シリコーン系化合物は、優れた界面活性作用を有し、ポリウレタン発泡体の各原料成分の相溶性を高め、気泡を安定化させて細かい均一な気泡を生成することができる。シリコーン系化合物の具体例としては、オルガノポリシロキサン、オルガノポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体、ポリオキシアルキレン側鎖を有するポリアルケニルシロキサン、シリコーン−グリース共重合体又はそれらの混合物等が挙げられる。これらの整泡剤は、複数組合せて使用することもできる。整泡剤の添加量は、ポリオール100重量部に対して0.1〜5.0重量部が好ましい。
【0024】
添加剤としては、少なくとも揮発性シリコーンが用いられる。本発明に用いる揮発性シリコーンを単独で用いても発泡時のセル構造は維持されないが、添加剤として使用することによりセルの微細化と均一化に優れた効果を発揮する。本発明において、揮発性シリコーンとは、大気圧下で液体であり、25℃で測定可能な蒸気圧を有する物質をいう。通常、1.3Pa(約0.01mmHg)よりも大きく、一般的には2.6Pa(約0.02mmHg)〜2600Pa(約20mmHg)の蒸気圧を有し、平均沸点が通常、大気圧下で約260℃以下である。本発明に用いる揮発性シリコーンは、以下の直鎖タイプ、環状タイプの構造を含むものである。なお、使用する揮発性シリコーンは、単一物であっても混合物であってもよく、また、複数の原料を混合したものでもよい。
・直鎖タイプの揮発性シリコーン
(CHSiO[SiO(CH]nSi(CH
n=0〜6、より好ましくはn=0〜3
(CHSiO−SiO(CH)R−Si(CH
R=アルキル基(C〜C10)、本発明の実施例では、−C17(カプリリルメチコン)
・環状タイプの揮発性シリコーン
[SiO(CH]n
n=3〜7、より好ましくはn=4〜6
【0025】
揮発性シリコーンの添加量は、ポリオール100重量部に対し、0.5〜3重量部が望ましい。添加量が0.5重量部未満の場合、セルの微細化と均一化の効果は得られるが、十分とは言い難い。逆に、3重量部を超えて添加しても、セルの微細化と均一化に格段の効果は見られない。より好ましい揮発性シリコーンの添加量は、ポリオール100重量部に対し、0.7〜2重量部、更に好ましくは0.8〜1.5重量部である。
【0026】
なお、その他、本発明による効果を損なわない限りにおいて、適宜必要な添加剤を添加してもよい。適宜添加される添加剤としては、鎖延長剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、充填材、難燃剤、安定剤、着色剤等を挙げることができる。
【0027】
本発明のポリウレタン発泡体は、ベルトコンベア上にポリウレタン原料を発泡装置で混合して吐出し、大気圧下、常温で発泡させるスラブ発泡により形成されるのが好ましい。また、本発明のポリウレタン発泡体は、発泡方向と平行な断面におけるセルの長径と短径のアスペクト比(長径/短径の値)が1.0〜1.5である。発泡方向は、前記スラブ発泡の場合、ベルトコンベアの走行方向と垂直の上方である。図1は、実施例のポリウレタン発泡体の発泡方向と平行な断面におけるセルの長径d1と短径d2を示す。前記アスペクト比が1.0〜1.5であることにより、本発明のポリウレタン発泡体を電池の電極用芯材として使用した場合、電極活物質を高密度に充填でき、電極物質に対する集電効率がよくなるため、アルカリ蓄電池が高温連続充電特性に優れかつ高エネルギー密度の電池となる。
【0028】
また、本発明のポリウレタン発泡体は、密度(JIS K 7222)が20kg/m〜40kg/m、セル数(JIS K 6400−1)が30〜80個/25mmであって、セル膜が除去された無膜ウレタン発泡体が好ましい。密度を前記範囲とすることにより、電池の電極用芯材を作成する材料(導電性を有するバインダ混合溶液や金属めっき溶液等)の使用量を減らすことができる。セル数を前記範囲とすることにより、電極用芯材の表面積を増やすことができる。また、セル膜が除去された無膜ポリウレタン発泡体とすることにより、ポリウレタン発泡体の内部にまで金属めっき層を形成することができ、より表面積を増やすことができる。これらによって、ポリウレタン発泡体を電池の電極用芯材として使用した場合に、安価でありながら、さらに電極活物質を高密度に充填できるようになる。なお、セル膜の除去は、公知の方法、例えば、ポリウレタン発泡体の配合による方法や、ポリウレタン発泡体形成後に行うアルカリ処理法や爆発処理法等があり、何れの方法でもよい。
【実施例】
【0029】
表1に示す配合のポリウレタン原料から、実施例及び比較例のポリウレタン発泡体をスラブ発泡により製造した。また、実施例及び比較例のポリウレタン発泡体は、発泡後にセル膜除去(爆発処理法)を行ってセル膜を除去した無膜ポリウレタン発泡体からなる。
【0030】
【表1】

【0031】
表1の配合における各原料は以下のとおりである。
・ポリオールA;ポリエステルポリオール、OHV50、品番:ニッポラン101、日本ポリウレタン工業(株)製
・イソシアネート;2,4−TDI=65%、品番:T−65、日本ポリウレタン工業(株)製
・整泡剤;不揮発性シリコーンポリエーテル共重合体、品番:SE232、GE東芝シリコーン(株)製
・発泡剤;水
・触媒;N−エチルモルホリン、品番:カオーライザーNo.22、花王(株)製
・添加剤B1;揮発性シリコーン、(CHSi−OSi(CH−OSi(CH、品番:SH200 1CS、東レ・ダウコーニング(株)製
・添加剤B2;揮発性シリコーン、(CHSi−OSi(CH、品番:SH200 0.65CS、東レ・ダウコーニング(株)製
・添加剤B3;揮発性シリコーン、(CHSi−(OSi(CH−OSi(CH、品番:SH200 2CS、東レ・ダウコーニング(株)製
・添加剤B4;揮発性シリコーン、(CHSi−OSi(CH)(C17)−OSi(CH、品番:SS−3408、東レ・ダウコーニング(株)製
・添加剤B5;揮発性シリコーン、(CHSi−[OSi(CH−OSi(CH、品番:2−1184、東レ・ダウコーニング(株)製
・添加剤B6;揮発性シリコーン、Cycl−(Si(CHO)、品番:SH244、東レ・ダウコーニング(株)製
・添加剤B7;揮発性シリコーン、Cycl−(Si(CHO)、品番:SH245、東レ・ダウコーニング(株)製
・添加剤B8;揮発性シリコーン、Cycl−(Si(CHO)、品番:SH246、東レ・ダウコーニング(株)製
・添加剤B9;C14、品番:PF−5060、住友スリーエム(株)製
【0032】
実施例1〜12は、添加剤としての揮発性シリコーンの添加量、種類を異ならせた例であり、一方、比較例1は添加剤を含まない例、比較例2は添加剤としてフッ素化合物を用いた例である。
【0033】
実施例及び比較例のポリウレタン発泡体に対して、密度(JIS K 7222)、セル数(JIS K6400−1)、発泡方向と平行な断面におけるセルの長径と短径のアスペクト比(長径/短径)を測定した。アスペクト比は、光学顕微鏡で発泡方向と平行な断面におけるセルの断面形状を撮影し、20個のセルの縦(発泡方向)と横(発泡方向と直交する方向)の寸法を計測し、20個のセルに対してそれぞれ平均し、縦の平均値/横の平均値をアスペクト比とした。評価はアスペクト比(縦/横)が1.0〜1.2未満の場合「◎」、1.2〜1.5の場合に「○」、1.5を超える場合に「×」とした。測定結果は表1の下部に示す通りである。
【0034】
また、表1の下部に、使用した添加剤の環境評価、地球温暖化係数、オゾン破壊係数を示す。添加剤の環境評価は、オゾン層破壊係数と地球温暖化係数より判定し、共に0の場合には「◎」、何れか一方でも0ではない場合に「×」とした。オゾン層破壊係数は、地球温暖化対策の推進に関する法律施行令(平成11年政令第143号)第4条二十三の記載に基づき、また、地球温暖化係数は、特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律施行令(平成六年九月二十六日政令第三百八号)別表(第一条関係)に非該当の場合に0とした。
【0035】
測定結果から明らかなように、実施例1〜12のポリウレタン発泡体は、フッ素化合物を添加していないにもかかわらず、セルのアスペクト比が1.0〜1.3であり、セルの縦径と横径が均一なものである。さらに、セル数の値から微細なセル構造であることがわかる。また、添加剤の環境評価も良好であった。一方、添加剤を含まない比較例1は、図2に示すセル構造からなり、セルのアスペクト比(長径d1/短径d2)が1.7と大きく、セルの縦径と横径が不均一であることがわかる。さらにセル数の値からセルが大きいこともわかる。それに対して、添加剤としてフッ素化合物を用いた比較例2は、添加剤の環境評価が「×」である。
【符号の説明】
【0036】
d1 長径
d2 短径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール、イソシアネート、発泡剤、触媒、整泡剤、添加剤を含むポリウレタン原料から形成されたポリウレタン発泡体であって、
前記ポリオールがポリエステルポリオールであり、
前記添加剤として、揮発性シリコーンを含むことを特徴とするポリウレタン発泡体。
【請求項2】
前記揮発性シリコーンの添加量が、前記ポリオール100重量部に対して0.5〜3重量部であることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項3】
前記ポリウレタン発泡体の発泡方向と平行な断面におけるセルの長径と短径のアスペクト比が1.0〜1.5であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項4】
前記ポリウレタン発泡体は、密度(JIS K 7222)が20kg/m〜40kg/m、セル数(JIS K 6400−1)が30〜80個/25mmであって、セル膜が除去されたものからなり、電池の電極用芯材として用いられるものであることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のポリウレタン発泡体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−180369(P2010−180369A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27004(P2009−27004)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】