説明

ポリウレタン粒子及びポリウレタン粒子群の製造方法

【課題】 製造時、取扱時、保管時及び輸送時において、粒子同士が融着又は凝集しにくい油吸収能を有するポリウレタン粒子を提供すること、及びかかるポリウレタン粒子の製造方法を提供することにある。
【解決手段】 このポリウレタン粒子は、ポリウレタン粒子本体と、粒子本体表面を被覆している親水性シリカ微粉末群よりなる。ポリウレタン粒子本体は、ポリイソシアネート成分とポリテトラメチレングリコールを含むポリオール成分との反応により得られるイソシアネート末端ウレタンプレポリマーを、3官能以上の多官能アミンで三次元的に高分子化してなるものである。このポリウレタン粒子群は、親水性シリカ微粉末群と、上記のように三次元的に高分子化してなるポリウレタン球体群とを水中に分散させてなる混合水性分散液を、噴霧乾燥機で噴霧乾燥することにより得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン粒子及びポリウレタン粒子群の製造方法に関し、特に、皮脂やオレイン酸等の油成分を良好に吸収するポリウレタン粒子及びポリウレタン粒子群の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、皮脂やオレイン酸等の油成分を吸収する油吸収粒子として、アクリレート系重合体粒子が提案されている。たとえば、特許文献1には、炭素数18〜24の直鎖又は分岐鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートと、これと共重合可能なビニルモノマーと、架橋性モノマーとを重合させてなるアクリレート系架橋重合体粒子よりなる膨潤型吸油ポリマー粒子が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−8757公報(特許請求の範囲の項)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、アクリレート系重合体ではなく、ポリウレタンを利用して油吸収粒子を得ることを試みていたところ、ポリウレタンを構成するポリオール成分として、ポリテトラメチレングリコールを用いると、皮脂やオレイン酸等の油成分を良好に吸収することを発見した。具体的には、以下のような方法でポリウレタン粒子よりなる油吸収粒子が得られることを発見した。すなわち、ポリテトラメチレングリコールよりなるポリオール成分と、イソホロンジイソシアネート等のイソシアネート成分とを反応させて、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを得る。次いで、このイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを水中に分散させて、水中油滴型エマルジョンを得る。この水中油滴型エマルジョンに3官能以上の多官能アミンを添加し、油滴を形成しているイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと多官能アミンを反応させ、油滴を三次元的に高分子化されたポリウレタン球体とする。その後、エマルジョン中の水を乾燥等の手段で除去して、ポリウレタン球体をポリウレタン粒子と取り出すのである。
【0005】
しかるに、このような方法では、特にポリウレタン球体が柔軟であったり、表面が粘着質であったりした場合には、エマルジョン中の水を除去する際に、ポリウレタン球体同士が融着しやすいということがあった。また、取り出したポリウレタン粒子を長期間保管しておくと、粒子同士が凝集しやすいということもあった。一般に、油吸収等の用途に使用されるポリウレタン粒子は、多数の粒子の集合体である粒子群として使用されるため、それが融着していたり、凝集したりしていると、取り扱いにくく、しかも粒子群の表面積が少なくなるために、油吸収能力も低下するということがあった。このため、ポリウレタン粒子の製造時、取扱時、保管時及び輸送時等において、注意深く条件設定を行わなければならないということがあった。
【0006】
本発明の課題は、製造時、取扱時、保管時及び輸送時等において、厳密な条件設定を行わなくても、粒子同士が融着又は凝集しにくいポリウレタン粒子を提供すること、及びかかるポリウレタン粒子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するため、本発明者は種々検討していたところ、水中にポリウレタン球体が分散されているエマルジョン中に、親水性シリカ微粉末群を添加混合して分散させると共に、エマルジョン中の水を噴霧乾燥によって除去することで、上記した課題を解決しうることを見出した。本発明は、このような知見に基づくものである。すなわち、本発明は、親水性シリカ微粉末群と、ポリイソシアネート成分とポリテトラメチレングリコールを含むポリオール成分との反応により得られるイソシアネート末端ウレタンプレポリマーを、3官能以上の多官能アミンで三次元的に高分子化してなるポリウレタン球体群とを水中に分散させてなる混合水性分散液を、高温雰囲気中に噴霧して水を蒸発させて、該ポリウレタン球体群でポリウレタン粒子本体群を形成すると共に、各ポリウレタン粒子本体表面に該親水性シリカ微粉末群を被覆せしめることを特徴とするポリウレタン粒子群の製造方法に関するものである。また、このような方法で得られた特定の構成を持つポリウレタン粒子に関するものである。さらに、このような方法で得られたポリウレタン粒子群からなる吸油材に関するものである。さらに、このような方法で得られたポリウレタン粒子群に香油を吸収保持させてなる香料、及び油性の農薬成分、油性の誘引剤成分及び油性の忌避剤成分よりなる群から選ばれる油性の薬剤成分を吸収保持させてなる薬剤に関するものである。
【0008】
本発明で用いる親水性シリカ微粉末とは、SiO2を主体とするもので、その表面に疎水基が実質的に存在していない微粉末である。このような親水性シリカ微粉末は従来公知のものであり、たとえば日本アエロジル社から販売されているアエロジル200、200V、200CF、200FAD、300、300CF、380、50、90G、130、OX50、MOX80、MOX170、COK84等が知られている。本発明においては、このような従来公知の親水性シリカ微粉末が用いられる。また、親水性シリカ微粉末の粒径は、得られるポリウレタン粒子の粒径よりも細かなものであればよい。これは、ポリウレタン粒子本体表面を親水性シリカ微粉末群によって被覆するためである。具体的には、得られるポリウレタン粒子群の平均粒径が1〜500μmで、親水性シリカ微粉末群の平均粒径が5〜40nmであるから、概ねポリウレタン粒子の粒径は、親水性シリカ微粉末の粒径よりも少なくとも30倍以上であるのが好ましい。なお、親水性シリカ微粉末群の平均粒径については、公称値である。
【0009】
ポリウレタン製造のために使用するポリイソシアネート成分としては、分子内に2以上のイソシアネート基を有する化合物であれば、従来公知のどのようなものでも使用しうる。特に、脂環式ポリイソシアネート化合物又は脂肪族ポリイソシアネート化合物を用いるのが好ましい。具体的には、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、水添MDI等が用いられる。
【0010】
ポリウレタン製造のために使用するポリオール成分としては、本発明ではポリテトラメチレングリコールが用いられる。もちろん、ポリテトラメチレングリコールと共に、その他のポリオール成分が適宜混合されていてもよい。その他のポリオール成分としては、従来よりポリウレタン製造のために使用されるものであれば、どのようなものでもよい。ポリテトラメチレングリコールの数平均分子量は、適宜決定しうる事項ではあるが、本発明では、一般的に数平均分子量が650〜3000であるものが用いられる。
【0011】
ポリウレタン製造のために使用する3官能以上の多官能アミンは、ポリイソシアネート成分とポリオール成分を反応させて得られたウレタンプレポリマーを、三次元的に高分子化するためのものである。このような3官能以上の多官能アミンとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、3,3’−ジアミノジプロピルアミン等が用いられる。
【0012】
本発明に係るポリウレタン粒子は、上記した原料を使用して、段落0007で説明したような方法で得ることができる。さらに、具体的に工程順に説明すれば、たとえば、以下のような方法で得ることができる。
【0013】
すなわち、ポリイソシアネート成分とポリテトラメチレングリコールを含むポリオール成分とを反応させてイソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得る工程と、前記イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを、分散剤が溶解している水溶液に添加及び攪拌して、水中油滴型エマルジョンを得る工程と、前記水中油滴型エマルジョンに、3官能以上の多官能アミンを添加して、油滴群を構成している前記イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを三次元的に高分子化してポリウレタン球体群を得た後に、水中から前記分散剤を除去して、ポリウレタン球体水性分散液を得る工程と、前記ポリウレタン球体水性分散液と、親水性シリカ微粉末群を水中に分散させたシリカ水性分散液とを混合して混合水性分散液を得る工程と、前記混合水性分散液を、噴霧乾燥機を用いて、高温雰囲気中に噴霧して水を蒸発させることにより、前記ポリウレタン球体群でポリウレタン粒子本体群を形成すると共に、各ポリウレタン粒子本体表面に前記親水性シリカ微粉末群を被覆せしめる工程を経て、ポリウレタン粒子群を得ることができる。
【0014】
上記した方法を詳細に説明すれば、たとえば、以下のとおりである。まず、ポリイソシアネート成分とポリテトラメチレングリコールを含むポリオール成分とを、周知の方法で反応させてイソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得る。ウレタンプレポリマーの末端をイソシアネート基とするためには、ポリオール成分のOH基のモル数に対して、ポリイソシアネート成分のNCO基のモル数を過剰にして、反応させればよい。一般的には、ポリイソシアネート成分のNCO基:ポリオール成分のOH基=1.5〜3.0:1である。また、この反応は、酢酸エチルやメチルエチルケトン等の有機溶媒に溶解させると共に、ジブチル錫ジラウレート等の錫系やジアザビシクロウンデセン等のアミン系の触媒を用いて行うのが、一般的である。
【0015】
ポリテトラメチレングリコールを含むポリオール成分としては、ポリテトラメチレングリコールのみからなるものが一般的であるが、ポリテトラメチレングリコールとその他のポリオールとの混合物であってもよい。その他のポリオールとしては、従来公知の多価アルコール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリアクリルポリオール又はひまし油等を用いることができる。その他のポリオールを含む場合、ポリテトラメチレングリコールは50質量%以上の割合で混合されているのが好ましい。ポリテトラメチレングリコールが油吸収能を向上させる成分であるから、これが50質量%未満であると、油吸収能が不十分となる傾向が生じる。また、ポリウレタン球体よりなるポリウレタン粒子本体の性状の観点からは、ポリテトラメチレングリコール100質量%を用いると、ポリウレタン粒子本体は柔軟なものになりやすく、その他のポリオールとしてポリカーボネートポリオールを混合してゆくと、これの含有量が増加するにしたがい、徐々にポリウレタン粒子本体が硬くなってゆく。
【0016】
イソシアネート末端ウレタンプレポリマーのイソシアネート基(NCO基)含有率は、2.0〜10質量%程度であり、特に2.5〜3.5質量%であるのが好ましい。イソシアネート基含有率が10質量%を超えると、ウレタン結合の含有率が多くなりすぎて、油吸収能が不十分となる傾向が生じる。また、イソシアネート基含有率が2.0質量%未満であると、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーの分子量が高くなり、粘度が増大するので、取扱性や作業性が悪くなる傾向が生じる。
【0017】
イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得た後、これを分散剤が溶解している水溶液に添加及び攪拌して、水中油滴型エマルジョンを得る。具体的には、以下のような方法により、水中油滴型エマルジョンを得る。
【0018】
まず、分散剤を溶解している水溶液を調製する。分散剤としては、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを水中で乳化しうるようなものであれば、どのようなものでも用いることができる。たとえば、ノニオン系界面活性剤等の各種界面活性剤やポリビニルアルコール等の各種高分子分散剤等の公知のものが用いられる。そして、この分散剤を水に溶解させて水溶液を得る。分散剤を水に溶解させる際、分散剤が溶解しやすいように、水を加温するのが好ましい。そして、分散剤が完全に溶解した後、室温に冷却するのが好ましい。加温の程度は分散剤の溶解性により適宜決定しうるが、たとえば、鹸化度86.5〜89.0程度のポリビニルアルコールを用いた場合、90℃程度である。分散剤の濃度は、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーが乳化分散する程度に基づき、適宜決定することができる。一般的には、3〜20質量%程度の濃度である。
【0019】
そして、室温に冷却した分散剤水溶液中に、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを添加し攪拌する。イソシアネート末端ウレタンプレポリマーの添加量は任意でよく、一般的には、分散剤水溶液100質量部に対して3〜20質量部程度である。また、攪拌手段や攪拌の程度も、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーが所望粒径に乳化分散するよう、適宜決定することができる。攪拌手段としては、ホモミキサー、ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー又は超音波分散機等の公知の攪拌機を用いることができる。また、攪拌の程度としては、たとえばホモミキサーを用いた場合、8000rpm程度で5分間程度である。なお、添加攪拌は、通常室温下で行われるが、特に攪拌しやすくするため若干加温して行ってもよい。
【0020】
水中油滴型エマルジョンを得た後、ここに3官能以上の多官能アミンを添加する。3官能以上の多官能アミンは、段落0011で述べたとおり、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを三次元的に高分子化して網目構造のポリウレタンを得るためのものであり、種々の化合物を用いることができる。多官能アミンは、そのまま又は水等の溶媒に溶解した溶液の形態で添加する。多官能アミンの添加量は、水中油滴型エマルジョン中のイソシアネート末端ウレタンプレポリマーのイソシアネート基と当量であるのが好ましい。すなわち、多官能アミンのアミノ基とイソシアネート末端ウレタンプレポリマーのイソシアネート基とが当量となるような添加量で、多官能アミンを添加するのが好ましい。これは、多官能アミンのアミノ基とイソシアネート末端ウレタンプレポリマーのイソシアネート基とが反応して、三次元的に高分子化するためである。したがって、三次元的高分子化を抑制するために、多官能アミンの添加量を当量よりも若干少なく、たとえば0.8当量以上1.0当量未満してもよい。また、三次元的高分子化を確実にするために、多官能アミンの添加量を当量よりも若干多く、たとえば1.0当量を超え1.2当量以下としてもよい。
【0021】
また、3官能以上の多官能アミンのみを添加するのではなく、多官能アミンと共に2官能のアミンや多価アルコール等のイソシアネート基と反応する化合物を添加しても差し支えない。これらの化合物は、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーの三次元的高分子化を抑制したり或いは促進したりするため、三次元的高分子化の程度を調節することができる。
【0022】
3官能以上の多官能アミンを添加して、油滴を構成しているイソシアネート末端ウレタンプレポリマーを三次元的に高分子化するには、高分子化反応の促進のため、一般的に、加熱して行う。加熱の温度は、多官能アミンの反応性に応じて適宜決定すればよい。たとえば、多官能アミンとして3,3’−ジアミノジプロピルアミンを採用した場合、水中油滴型エマルジョンの温度を80℃程度にすると、約20時間で三次元的高分子化反応が概ね完了する。
【0023】
三次元的高分子化反応が概ね完了すると、水中油滴型エマルジョン中の油滴は、ポリウレタン球体となる。すなわち、ポリウレタン球体群が分散した分散液となる。この分散液中には、分散剤が残存しているため、これを除去する。分散剤を除去する方法としては、分散液に濾過又は遠心分離等の手段を施して、ポリウレタン球体群を回収し、さらにこれに水を加えて再分散した分散液に濾過又は遠心分離等の手段を施す。このような方法を繰り返し行うことにより、分散剤が殆ど完全に除去され、水にポリウレタン球体群が分散したポリウレタン球体水性分散液が得られるのである。
【0024】
一方、親水性シリカ微粉末群を水中に分散させたシリカ水性分散液を調製する。シリカ水性分散液は、水中に親水性シリカ微粉末群を添加し攪拌すれば、容易に調製することができる。この添加攪拌の条件等や、シリカ水性分散液中における親水性シリカ微粉末群の濃度は、親水性シリカ微粉末群が凝集せずに均一に水中に分散するよう適宜決定することができる。たとえば、市販品である親水性シリカ微粉末群「アエロジル200」を5質量%の濃度で水中に分散させるには、ホモミキサーを使用して10000rpmで10分間攪拌すれば、容易にシリカ水性分散液を得ることができる。
【0025】
上記で得られたシリカ水性分散液と、上記で得られたポリウレタン球体水性分散液とを混合して混合水性分散液を得る。両者の混合割合は、固形分である親水性シリカ微粉末群とポリウレタン球体群の量が適切である限り、適宜決定しうる事項であり任意である。また、両者の混合時に、水をさらに添加混合して、ポリウレタン球体群や親水性シリカ微粉末群が凝集しにくいようにするのが、好ましい。水の添加量も、適宜決定しうる事項であるが、ポリウレタン球体水性分散液と同質量部程度とするのがよい。また、これらを混合する際にも、攪拌して凝集が生じにくいようにするのが好ましい。
【0026】
得られた混合水性分散液を噴霧乾燥機を用いて乾燥する。このような乾燥形態は、一般的には噴霧乾燥と言われ、ノズル噴霧方式とディスク噴霧方式とがある。前者は、混合水性分散液をノズル等の孔から、高温雰囲気下に噴霧して乾燥するものである。後者は、ディスクを回転させて遠心力により、混合水性分散液を高温雰囲気下に噴霧して乾燥するものである。本発明における噴霧乾燥の特徴は、混合水性分散液中に存在するポリウレタン球体群の各々が、そのままの形態で、すなわち噴霧の際に微粒化されることなく、噴霧される点である。これは、混合水性分散液中のポリウレタン球体が三次元的に高分子化されたものであるため、噴霧されても破壊されないからである。そして、ポリウレタン球体表面に水が付着した状態で噴霧されると、その水中に親水性シリカ微粉末群が存在するため、乾燥時に親水性シリカ微粉末群がポリウレタン球体表面に付着するのである。また、この付着は、ポリウレタン球体が柔らかければ柔らかいほど、ポリウレタン球体表面に親水性シリカ微粉末群が埋入した状態で付着する。
【0027】
本発明においては、噴霧時にポリウレタン球体が破壊されないため、噴霧の条件を厳密に定める必要性は少ない。すなわち、微粒化のための圧力条件、遠心条件、ノズル等の孔径の条件を厳密に定める必要性は少ない。このためまた、ノズル噴霧方式であってもディスク噴霧方式であっても使用しうる。噴霧した後、乾燥のために導入される高温雰囲気は、所望の水分蒸発能力となるよう適宜決定することができる。本発明においては、一般的に採用されている高温雰囲気中に噴霧することにより、十分に乾燥することができる。たとえば熱風の入口温度140℃程度とし、乾燥室内温度70℃程度とした高温雰囲気を採用すれば十分である。このようにして、ポリウレタン球体が噴霧され乾燥されると、ポリウレタン球体が一個のままで、又は二個以上の数個が結合して、ポリウレタン粒子本体を形成する。たとえば、ポリウレタン球体が柔らかかったり、又はその表面が粘着質であると、二個以上の数個が結合してポリウレタン粒子本体となりやすい。逆に、ポリウレタン球体が硬いと、一個のままでポリウレタン粒子本体となりやすい。
【0028】
以上のように、混合水性分散液を噴霧乾燥すると、ポリウレタン球体はポリウレタン粒子本体となり、この粒子本体表面には親水性シリカ微粉末群が被覆せしめられる。親水性シリカ微粉末群は、粒子本体表面を単に被覆している場合もあるが、親水性シリカ微粉末の一部が粒子本体内に埋入した状態で被覆している場合もある。後者のような状態になるのは、ポリウレタン球体乃至ポリウレタン粒子本体が比較的柔らかい場合である。得られるポリウレタン粒子の平均粒径は、混合水性分散液を調製した際、生成しているポリウレタン球体の平均粒径、ポリウレタン粒子が柔らかいとか表面が粘着質であるという性状及び噴霧乾燥の条件等を調整することによって、適宜決定しうる事項である。本発明においては、一般的に1〜500μm程度としている。なお、ポリウレタン粒子群の平均粒径とは、ポリウレタン粒子群を脱イオン水によって分散させ、レーザー散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製、商品名「LA−920」)を用い、体積基準モードにて求めたメジアン径のことである。
【0029】
本発明に係るポリウレタン粒子は、油吸収粒子として用いられるものであり、この多数の粒子の集合体は、吸油材として使用しうる。この吸油材は、皮脂をよく吸収しうるという性質を利用して、メークアップ化粧料、スキンケア化粧料、制汗剤化粧料、紫外線防御化粧料、頭髪化粧料等の一成分として使用しうる。また、オレイン酸等の油をよく吸収しうるという性質を利用して、工場や家庭での廃油処理材の一成分として使用しうる。また、油をよく吸収し保持するので、香油等の香料成分を含有させて、室内等の置いておけば、香料成分がポリウレタン粒子から徐々に放出され、長期に亙って使用できる香料が得られる。さらに、油性の農薬成分、油性の誘引剤成分及び油性の忌避剤成分等の油性の薬剤成分を含有させて、通常の環境中に散布等をしておくと、薬剤成分がポリウレタン粒子から徐々に放出され、長期に亙って使用できる薬剤が得られる。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係るポリウレタン粒子は、ポリウレタン粒子本体表面が親水性シリカ微粉末群で被覆されている。そして、親水性シリカ微粉末群はサラサラ感を持っているため、ポリウレタン粒子は流動性の良好なものとして取り扱うことができると共に、保管時や輸送時においても、ポリウレタン粒子同士が融着したり凝集したりすることが少なく、良好な流動性を長期に亙って維持しうるという作用効果を奏する。また、本発明に係るポリウレタン粒子の本体は、ポリイソシアネート成分とポリテトラメチレングリコールを含むポリオール成分との反応により得られるイソシアネート末端ウレタンプレポリマーを、3官能以上の多官能アミンで三次元的に高分子化してなるものである。したがって、粒子本体中には構成単位としてポリテトラメチレングリコールを含有しているため、皮脂やオレイン酸等の油成分をよく吸収するという作用効果を奏する。また、構成単位としてポリテトラメチレングリコールを含有しているイソシアネート末端ウレタンプレポリマーは、多官能アミンで三次元的に高分子化されているので、油成分を吸収しても溶解することがなく、膨潤するだけである。したがって、油成分を吸収しても、粒子本体は膨潤するだけで、かつ、粒子本体がサラサラ感のある親水性シリカ微粉末群で被覆されているので、流れ出たり或いはべたついたりすることが少ないという作用効果も奏する。
【0031】
本発明に係るポリウレタン粒子群の製造方法は、三次元的に高分子化してなるポリウレタン球体群と、親水性シリカ微粉末群とを水中に分散させてなる混合水性分散液を、高温雰囲気中に噴霧するというものである。したがって、混合水性分散液を噴霧しても、ポリウレタン球体は三次元的に高分子化されているので、その球体の形状が破壊されない。よって、ポリウレタン球体を形成させた段階で、その粒径を調整しておけば、噴霧した後も概ね所望の粒径のポリウレタン粒子が得られるという作用効果を奏する。また、ポリウレタン球体群を噴霧した際、ポリウレタン球体表面を覆う水中に親水性シリカ微粉末群が存在し、乾燥により水が蒸発すると、親水性シリカ微粉末群はポリウレタン球体表面に衝突する。したがって、ポリウレタン球体よりなるポリウレタン粒子本体が親水性シリカ微粉末群で被覆されるため、ポリウレタン粒子本体同士が融着したり凝集したりすることが少なく、サラサラしたポリウレタン粒子群が合理的に得られるという効果を奏する。
【実施例】
【0032】
実施例1
[イソシアネート末端ウレタンプレポリマーの調製]
攪拌装置、窒素導入管、温度計及びコンデンサーを付けた4つ口セパラブルフラスコに、ポリテトラメチレングリコールエーテル(数平均分子量1000)300質量部及び酢酸エチル20質量部を仕込み、イソホロンジイソシアネート104.6質量部及びジブチル錫ジラウレート0.04質量部を添加し、75〜80℃の温度で窒素気流下5時間反応を行い、イソシアネート基含有率が3.6%のイソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得た。
【0033】
[水中油滴型エマルジョンの調製]
攪拌装置、窒素導入管、温度計及びコンデンサーを付けた4つ口セパラブルフラスコに、分散剤であるポリビニルアルコール(クラレ社製「PVA−205」:鹸化度86.5〜89.0)100質量部及び脱イオン水900質量部を仕込み、90℃に加熱してポリビニルアルコール水溶液を得た。このポリビニルアルコール水溶液中に、上記で得られたイソシアネート末端ウレタンプレポリマー100質量部を添加した後、ホモミキサーを用いて8000rpmで5分間攪拌混合した。そして、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーが油滴となって存在する水中油滴型エマルジョンを得た。
【0034】
[ポリウレタン球体水性分散液の調製]
上記で得られた水中油滴型エマルジョンに、3,3’−ジアミノジプロピルアミンの10%水溶液35.7質量部を添加した。そして、攪拌しながら80℃まで昇温し、同温度を保持しつつ、20時間反応させた。この結果、油滴中のイソシアネート末端ウレタンプレポリマーとジエチレントリアミンとが反応し、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーは三次元的に高分子化され、ポリウレタン球体が生成した。この後、遠心分離を行って、ポリウレタン球体を沈降させた後、ポリウレタン球体を回収し、水を加えて再分散、遠心分離のサイクルを6回行って、分散剤であるポリビニルアルコールの除去を行い、ポリウレタン球体を40質量%含有するポリウレタン球体水性分散液を得た。
【0035】
[シリカ水性分散液の調製]
別途、攪拌装置に脱イオン水95質量部を仕込み、ホモミキサーを用いて10000rpmで攪拌しながら、親水性シリカ微粉末群(日本アエロジル社製、商品名「アエロジル200」、平均粒径約20nm)5質量部を添加して、10分間攪拌混合して、シリカ水性分散液を得た。
【0036】
[混合水性分散液の調製]
上記で得られたポリウレタン球体水性分散液100質量部、上記で得られたシリカ水性分散液80質量部、及び別途脱イオン水110質量部を混合して、混合水性分散液を得た。
【0037】
[ポリウレタン粒子群の製造]
上記で得られた混合水性分散液を、噴霧乾燥機(大川原化工機社製、型番「L−8i」)を用いて、噴霧圧力0.3MPa、熱風の入口温度140℃、乾燥室内温度70℃の条件で噴霧乾燥を行い、ポリウレタン粒子群を得た。この噴霧乾燥によって、混合水性分散液中の水が蒸発し、ポリウレタン球体群は乾燥してポリウレタン粒子本体群を形成すると共に、親水性シリカ微粉末群は各ポリウレタン粒子本体表面に埋入した状態で付着した。したがって、各ポリウレタン粒子は、粒子本体表面が親水性シリカ微粉末群で被覆されたものとなっていた。そして、各ポリウレタン粒子群は殆ど融着しておらず、また殆ど凝集しておらず、一個づつ分離したサラサラとした状態であった。なお、ポリウレタン粒子の平均粒径は、約12μmであった。
【0038】
実施例2
[イソシアネート末端ウレタンプレポリマーの調製]
ポリテトラメチレングリコールエーテルとして数平均分子量3000のものを使用し、かつ、イソホロンジイソシアネートの添加量を45.0質量部とした他は、実施例1と同一の方法により、イソシアネート基含有率が2.5%のイソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得た。
【0039】
[水中油滴型エマルジョンの調製]
上記イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを用いた他は、実施例1と同一の方法により、水中油滴型エマルジョンを得た。
【0040】
[ポリウレタン球体水性分散液の調製]
上記水中油滴型エマルジョンを用い、かつ、3,3’−ジアミノジプロピルアミンの10%水溶液の添加量を24.5質量部とした他は、実施例1と同一の方法により、ポリウレタン球体水性分散液を得た。
【0041】
[シリカ水性分散液の調製]
実施例1と同一の方法でシリカ水性分散液を得た。
[混合水性分散液の調製]
上記ポリウレタン球体水性分散液を用いた他は、実施例1と同一の方法で混合水性分散液を得た。
[ポリウレタン粒子群の製造]
上記混合水性分散液を用いる他は、実施例1と同一の方法でポリウレタン粒子群を得た。このポリウレタン粒子群の性状は、実施例1で得られたものと同様であった。なお、ポリウレタン粒子の平均粒径は、約15μmであった。
【0042】
実施例3
[イソシアネート末端ウレタンプレポリマーの調製]
実施例1と同一の方法でイソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得た。
[その他のイソシアネート末端ウレタンプレポリマーの調製]
攪拌装置、窒素導入管、温度計及びコンデンサーを付けた4つ口セパラブルフラスコに、ポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ社製、商品名「PCDL T−6002」、数平均分子量2000)300質量部及び酢酸エチル20質量部を仕込み、イソホロンジイソシアネート67.4質量部及びジブチル錫ジラウレート0.04質量部を添加し、75〜80℃の温度で窒素気流下5時間反応を行い、イソシアネート基含有率が3.5%のイソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得た。
【0043】
[水中油滴型エマルジョンの調製]
実施例1で得られたイソシアネート末端ウレタンプレポリマー52質量部と、上記で得られたその他のイソシアネート末端ウレタンプレポリマー48質量部とを混合した混合物100質量部を用いる他は、実施例1と同一の方法により、水中油滴型エマルジョンを得た。
【0044】
[ポリウレタン球体水性分散液の調製]
上記水中油滴型エマルジョンを用い、かつ、3,3’−ジアミノジプロピルアミンの10%水溶液の添加量を34.6質量部とした他は、実施例1と同一の方法により、ポリウレタン球体水性分散液を得た。
【0045】
[シリカ水性分散液の調製]
実施例1と同一の方法でシリカ水性分散液を得た。
[混合水性分散液の調製]
上記ポリウレタン球体水性分散液を用いた他は、実施例1と同一の方法で混合水性分散液を得た。
[ポリウレタン粒子群の製造]
上記混合水性分散液を用いる他は、実施例1と同一の方法でポリウレタン粒子群を得た。このポリウレタン粒子群の性状は、実施例1で得られたものと同様であった。なお、ポリウレタン粒子の平均粒径は、約14μmであった。
【0046】
実施例4
[イソシアネート末端ウレタンプレポリマーの調製]
攪拌装置、窒素導入管、温度計及びコンデンサーを付けた4つ口セパラブルフラスコに、ポリテトラメチレングリコールエーテル(数平均分子量1000)150質量部、ポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ社製、商品名「PCDL T−6002」、数平均分子量2000)150質量部及び酢酸エチル20質量部を仕込み、イソホロンジイソシアネート85.4質量部及びジアザビシクロウンデセン0.1質量部を添加し、75〜80℃の温度で窒素気流下5時間反応を行い、イソシアネート基含有率が3.5%のイソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得た。
【0047】
[水中油滴型エマルジョンの調製]
上記イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを用いた他は、実施例1と同一の方法により、水中油滴型エマルジョンを得た。
【0048】
[ポリウレタン球体水性分散液の調製]
上記水中油滴型エマルジョンを用い、かつ、3,3’−ジアミノジプロピルアミンの10%水溶液の添加量を34.7質量部とした他は、実施例1と同一の方法により、ポリウレタン球体水性分散液を得た。
【0049】
[シリカ水性分散液の調製]
実施例1と同一の方法でシリカ水性分散液を得た。
[混合水性分散液の調製]
上記ポリウレタン球体水性分散液を用いた他は、実施例1と同一の方法で混合水性分散液を得た。
[ポリウレタン粒子群の製造]
上記混合水性分散液を用いる他は、実施例1と同一の方法でポリウレタン粒子群を得た。このポリウレタン粒子群の性状は、実施例1で得られたものと同様であった。なお、ポリウレタン粒子の平均粒径は、約13μmであった。
【0050】
比較例1
[その他のイソシアネート末端ウレタンプレポリマーの調製]
実施例3の[その他のイソシアネート末端ウレタンプレポリマーの調製]と同一の方法で、その他のイソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得た。
[水中油滴型エマルジョンの調製]
上記その他のイソシアネート末端ウレタンプレポリマーを用いた他は、実施例1と同一の方法により、水中油滴型エマルジョンを得た。
[ポリウレタン球体水性分散液の調製]
上記水中油滴型エマルジョンを用い、かつ、3,3’−ジアミノジプロピルアミンの10%水溶液の添加量を34.6質量部とした他は、実施例1と同一の方法により、ポリウレタン球体水性分散液を得た。
【0051】
[シリカ水性分散液の調製]
実施例1と同一の方法でシリカ水性分散液を得た。
[混合水性分散液の調製]
上記ポリウレタン球体水性分散液を用いた他は、実施例1と同一の方法で混合水性分散液を得た。
[ポリウレタン粒子群の製造]
上記混合水性分散液を用いる他は、実施例1と同一の方法でポリウレタン粒子群を得た。このポリウレタン粒子群の性状は、実施例1で得られたものと同様であった。なお、ポリウレタン粒子の平均粒径は、約16μmであった。
【0052】
実施例1〜4及び比較例1で得られたポリウレタン粒子群の吸油量を、人工皮脂、オレイン酸及びスクワランを用いて評価した。吸油量の測定は、以下の方法により行った。すなわち、室温下において、ポリウレタン粒子群0.2gを、人工皮脂10mlに浸漬し、3日間放置して、人工皮脂を十分に吸収させた後、メンブレンフィルターを用いて10分間吸引濾過を行って過剰量の人工皮脂を取り除き、人工皮脂を吸収したポリウレタン粒子群の重量を測定し、重量増加分を吸収量(g/100g)として算出した。また、人工皮脂に代えて、オレイン酸及びスクワランを用い、上記と同一の方法により、その吸収量を測定した。この結果は、表1に示したとおりであった。なお、人工皮脂とは、トリオレイン29質量部、オレイン酸28.5質量部、オレイン酸オレイル18.5質量部、スクアレン14質量部、コレステロール7質量部及びミリスチン酸ミリスチル3質量部よりなるものである。
【0053】
[表1]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
実施例1 実施例2 実施例3 実施例4 比較例1 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
人工皮脂 218 293 119 129 25
オレイン酸 342 439 202 224 54
スクワラン 20 11 22 21 24
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0054】
表1の結果から明らかなとおり、ポリイソシアネート成分とポリテトラメチレングリコールを含むポリオール成分とを反応させたイソシアネート末端ウレタンプレポリマーを用いて得られた実施例1〜3に係るポリウレタン粒子群は、ポリイソシアネート成分とポリテトラメチレングリコール以外のポリオール成分とを反応させた、その他のイソシアネート末端ウレタンプレポリマーを用いて得られた比較例1に係るポリウレタン粒子群に比べて、人工皮脂及びオレイン酸を選択的によく吸収することが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタン粒子本体表面に親水性シリカ微粉末群が被覆してなるポリウレタン粒子であって、該ポリウレタン粒子本体は、ポリイソシアネート成分とポリテトラメチレングリコールを含むポリオール成分との反応により得られるイソシアネート末端ウレタンプレポリマーを、3官能以上の多官能アミンで三次元的に高分子化してなるものであることを特徴とするポリウレタン粒子。
【請求項2】
ポリウレタン粒子本体表面に親水性シリカ微粉末群が埋入した状態で被覆してなるポリウレタン粒子である請求項1記載のポリウレタン粒子。
【請求項3】
ポリテトラメチレングリコールの数平均分子量が650〜3000である請求項1記載のポリウレタン粒子。
【請求項4】
ポリイソシアネート成分としてイソホロンジイソシアネートを用い、ポリオール成分としてポリテトラメチレングリコールを用いる請求項1記載のポリウレタン粒子。
【請求項5】
多官能アミンとして3,3’−ジアミノジプロピルアミンを用いる請求項1記載のポリウレタン粒子。
【請求項6】
ポリウレタン粒子の粒径は、親水性シリカ微粉末の粒径の30倍以上である請求項1記載のポリウレタン粒子。
【請求項7】
請求項1記載のポリウレタン粒子の集合体よりなる吸油材。
【請求項8】
請求項1記載のポリウレタン粒子の集合体に香油を吸収保持させてなる香料。
【請求項9】
請求項1記載のポリウレタン粒子の集合体に、油性の農薬成分、油性の誘引剤成分及び油性の忌避剤成分よりなる群から選ばれる油性の薬剤成分を吸収保持させてなる薬剤。
【請求項10】
親水性シリカ微粉末群と、ポリイソシアネート成分とポリテトラメチレングリコールを含むポリオール成分との反応により得られるイソシアネート末端ウレタンプレポリマーを、3官能以上の多官能アミンで三次元的に高分子化してなるポリウレタン球体群とを水中に分散させてなる混合水性分散液を、高温雰囲気中に噴霧して水を蒸発させて、該ポリウレタン球体群でポリウレタン粒子本体群を形成すると共に、各ポリウレタン粒子本体表面に該親水性シリカ微粉末群を被覆せしめることを特徴とするポリウレタン粒子群の製造方法。
【請求項11】
ポリイソシアネート成分とポリテトラメチレングリコールを含むポリオール成分とを反応させてイソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得る工程と、
前記イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを、分散剤が溶解している水溶液に添加及び攪拌して、水中油滴型エマルジョンを得る工程と、
前記水中油滴型エマルジョンに、3官能以上の多官能アミンを添加して、油滴群を構成している前記イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを三次元的に高分子化してポリウレタン球体群を得た後に、水中から前記分散剤を除去して、ポリウレタン球体水性分散液を得る工程と、
前記ポリウレタン球体水性分散液と、親水性シリカ微粉末群を水中に分散させたシリカ水性分散液とを混合して混合水性分散液を得る工程と、
前記混合水性分散液を、噴霧乾燥機を用いて、高温雰囲気中に噴霧して水を蒸発させることにより、前記ポリウレタン球体群でポリウレタン粒子本体群を形成すると共に、各ポリウレタン粒子本体表面に前記親水性シリカ微粉末群を被覆せしめる工程とを具備することを特徴とするポリウレタン粒子群の製造方法。
【請求項12】
ポリウレタン粒子本体表面に親水性シリカ微粉末群を埋入した状態で被覆せしめる請求項10又は11記載のポリウレタン粒子群の製造方法。
【請求項13】
分散剤としてポリビニルアルコールを用いる請求項11記載のポリウレタン粒子群の製造方法。
【請求項14】
親水性シリカ微粉末群の平均粒径は5〜40nmであり、ポリウレタン粒子群の平均粒径は1〜500μmである請求項10又は11記載のポリウレタン粒子群の製造方法。
【請求項15】
請求項10又は11記載の方法で得られたポリウレタン粒子群を含有する吸油材。
【請求項16】
請求項10又は11記載の方法で得られたポリウレタン粒子群に、油性の農薬成分、油性の誘引剤成分及び油性の忌避剤成分よりなる群から選ばれる油性の薬剤成分を吸収保持させてなる薬剤。

【公開番号】特開2010−132779(P2010−132779A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−310341(P2008−310341)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(000105648)コニシ株式会社 (217)
【Fターム(参考)】