説明

ポリウレタン系とそれらの用途

ポリウレタン系は、当重量のポリイソシアネート成分と活性水素成分との触媒された反応に由来するポリウレタン表面を得るために、開示される。より具体的には、本発明は、二成分系から形成されたポリウレタン表面に関する。この二成分系は、約105と約115との間のイソシアネート指数を有する、運動競技用表面としての用途のために最適なゲル化時間および硬化反応を実現する。さらに、開示された発明は、体積で1:1の二成分系によってこれらの結果を実現し、表面の塗布の間の混合誤差を最小化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(説明)
(技術分野)
本発明は、ポリウレタン表面に関し、より具体的には、等体積のポリイソシアネート成分と活性水素成分との触媒された反応に由来するポリウレタン表面に関する。さらにより具体的には、本発明は、二成分系から形成されたポリウレタン表面に関する。この二成分系においては、実質的に等体積の二つの成分が利用され、そして運動競技用表面としての用途のために最適なゲル化時間および硬化反応が維持される。
【背景技術】
【0002】
(背景技術)
ポリウレタンは、その分子鎖中に多数のウレタン結合を含むポリマーである。ウレタン結合は、イソシアネートと活性水素化合物との縮合反応によって形成される。縮合反応の反応産物は、活性水素化合物の構造に依存する。イソシアネートとヒドロキシル基との反応は、ウレタンを形成し、一方一級アミンとの反応は、置換された尿素を形成する。アミドを生成するイソシアネートとカルボン酸との反応およびアミンを生成するイソシアネートと水との反応の両方は、炭酸ガスの遊離を引き起こす。
【0003】
数千の異なるポリウレタンが、一連の市販のイソシアネートと活性水素化合物とから生成され得る。それらは、代表的に二つのカテゴリ、すなわち一成分系と二成分系とに分けられる。
【0004】
最も一般的な型の一成分系は、大気中の水蒸気によって湿気硬化(moisture cure)することが可能な、特別に調合されたプレポリマーである。他の一成分系は、アミン大気下で揮発硬化(vapor cure)することが可能である。一成分系はまた、活性水素化合物と反応することで化学的にブロックされたイソシアネート基によって、生成され得る。熱が加えられてブロッキング基の結合を壊し、ポリウレタンを硬化させる。
【0005】
二成分系は、二つの形態のうちの一つを取り得る。第一は、ワンショット系として公知であり、樹脂成分を含む。これは、触媒、架橋剤、界面活性剤、難燃剤、可塑剤、充填剤などと活性水素化合物とのブレンドもしくは活性水素化合物との混合物であり、ポリイソシアネートのみからなるイソシアネート成分に混合される。二成分系の第二の形態は、プレポリマー系として公知である。第一に、ポリイソシアネートの一部と活性水素化合物とが反応することによって、プレポリマーが形成され、ポリイソシアネートに富む成分(時には、B成分と呼ばれる)を生成する。次いで、プレポリマーが、鎖伸長剤(時には、A成分と呼ばれる)と反応する。この鎖伸長剤は、触媒、架橋剤、界面活性剤、難燃剤、可塑剤、充填剤などと活性水素化合物とのブレンドもしくは活性水素化合物との混合物である。鎖伸長剤は、プレポリマー分子の分子量を増加させ、最終ポリウレタンポリマーを形成する。
【0006】
運動競技用表面としてのポリウレタンの従来の用途は、代表的に、二成分ポリウレタン系に結合して基部マットを形成する、ゴム粒子の複合体を包含する。ポリウレタン系の二つの成分は、一般的にその場でゴム粒子とともに混合されて複合表面を形成する。基部マットは、単独で使用され得るか、または構造噴霧(ポリウレタンとゴムとの混合物を含み、基部マット上から噴霧され、テクスチャーのある(textured)表面を形成する)の添加によって強化され得る。基部マットはまた、ポリウレタンとゴムとをフラッドコーティング(flood coat)することによってコーティングされ得る。あるいは、完全注入(full−pour)系が利用され得る。この系では、多層が混合されて、所定の位置に流される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の開示)
利用される方法に関係なく、ポリウレタン系の調合物は、決定的に重要である。ポリウレタンはその場で混合されるので、この調合物は、簡単に使用できなければならない。理想的な調合物は、実質的に等体積の二成分を含み(1:1系)、このことは、混合誤差を低下させる。この調合物はまた、適切なゲル化時間を有して、表面の適切な調製(すなわち、混合、注ぎ(pouring)、かきならし(raking)など)を可能にすべきである。さらに、ポリウレタンの適切な硬化は、比較的広範囲の外界温度と相対湿度とにわたって生じるべきであり、そして適切な表面の物理特性が確実に得られるようにするに十分であるべきである。最後に、この調合物は、この表面を調製する人々および環境に対する有害な影響を最小化すべきである。従来のポリウレタン系は、これらの問題のいくつかを個別に解決し得たが、本発明は、これらの問題の全てを解決し、かつ受容できる物理特性を有する運動競技用表面を提供する系調合物を開示する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(発明を実施するための最良の形態)
以下の、好ましい実施形態の詳細な説明において、本明細書の一部を形成する添付の図面に対して参照がなされ、そして例示的調合物が提供される。ここでは、本発明が実行され得る特定の実施形態が、図解によって示される。本発明の範囲から離れることなく、他の実施形態が利用され得ること、構造の変更がなされ得ること、そして調合物が改変され得ることを理解すべきである。
【0009】
本発明のポリウレタン表面は、芳香族ポリイソシアネートおよび脂肪族ポリイソシアネート(ポリウレタン調合物に使用するために市販されている)に由来し得る。芳香族ポリイソシアネートは、一般的に脂肪族ポリイソシアネートよりも速く反応する。最も一般的な芳香族ポリイソシアネートは、トルエンジイソシアネート(TDI)の2,4異性体および2,6異性体、ならびにジフェニルメタン4,4’ジイソシアネート(MDI)に基づくポリイソシアネート産物である。純粋4,4’MDIは、市販されており、純粋材料と他のMDI異性体のいずれか(例えば、2,4 MDI、もしくはMDIオリゴマーの混合物(粗製MDIとして公知である))とのブレンドも同様である。最も一般的な脂肪族ポリイソシアネートは、イソフォロンジイソシアネートおよびヘキサジメチレンジイソシアネートに基づく。これらのモノマーは、改変されて、種々のダイマー、トリマーおよびビウレットを生成し得る。芳香族ポリイソシアネートおよび脂肪族ポリイソシアネートに加えて、脂環式ポリイソシアネート、アラリファティック(araliphatic)ポリイソシアネート、および複素環式ポリイソシアネート、ならびに改変ポリイソシアネート(これらは、アロファネートイソシアヌレート、ウレタン、尿素などのような基を含む)もまた、利用され得る。好ましい調合物は、4,4’MDI異性体と2,4 MDI異性体との混合物を含む。
【0010】
本発明の活性水素成分は、イソシアネート反応性水素を有する一つ以上の化合物を含有する。これらの化合物としては、ポリエーテルポリオール、ポリマーポリオール、ポリエステルポリオール、ポリチオエステル、ポリアセタール含有ポリカーボネート、ポリエステルアミド、および改変された天然ポリオール(例えば、ヒマシ油、炭水化物およびデンプン)が挙げられる。好ましい活性水素成分は、適当なゲル化時間、硬化、疎水性、および適切な比重が得られる、三種類以上のこれらの化合物の混合物である。
【0011】
本発明のポリイソシアネート成分は、好ましくは、プレポリマー系として供給される。このプレポリマー組成物は、選択されたポリイソシアネート、またはポリイソシアネートと活性水素化合物(ポリイソシアネートと反応してウレタン結合を形成する)との混合物を含む。過剰のポリイソシアネートは、プレポリマー組成物のゲル化を防ぐために利用される。ポリウレタン系の活性水素成分に利用される任意の活性水素化合物は、プレポリマーの調製物中で使用され得る。プレポリマー中に含まれる好ましい活性水素成分は、低分子量ポリオールであり、これは、ポリウレタン表面のより速い硬化を引き起こす。
【0012】
本発明のポリウレタン系はまた、さらなる材料(例えば、触媒、架橋剤、界面活性剤、難燃剤、可塑剤、充填剤、顔料、UV安定剤、酸化防止剤、殺菌剤(microbiocide)、殺真菌剤(algaecide)、脱水剤、チキソトロープ剤、湿潤剤、流れ調整剤(flow modifier)、脱気剤(deaerator)、および伸長剤)を含む。この添加剤は、特定の用途および系の他の成分との適合性の要求に基づいて選択される。一つ以上のこれらの添加剤がB成分中に存在し得る場合、この添加剤は、好ましくはA成分と組み合わせられて、1:1比をよりよく調合する。
【0013】
適切な充填剤としては、無機充填剤(例えば、炭酸カルシウムおよび珪質材料)、金属酸化物(例えば、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン、および酸化鉄)、金属塩(例えば、チョークおよび硫酸バリウム)、ならびに有機充填剤(例えば、カーボンブラック、メラミン、ロジン、およびポリマー)が挙げられる。強化繊維性充填剤もまた、表面の剛性が所望される場合、使用され得る。これらの充填剤のいくつかはまた、ポリウレタン系に色を付ける。付加的な顔料(例えば、金属酸化物、アゾ色素およびジアゾ色素、フタロシアニン、およびジアジン)が、所望の仕上がりを実現するために利用され得る。
【0014】
表面活性添加剤(フルオロサーファクタント(fluorosurfactant)のような湿潤剤を含む)は、より大量の充填剤をポリウレタン系に加えるために利用され得る。これらの添加剤はまた、ポリウレタン系の流れ特性を改善し、そして適用を助ける。消泡剤(例えば、フッ素修飾された(fluoromodified)ポリシロキサン、メチルアルキルポリシロキサン、およびシリコン非含有高分子消泡剤)が、表面活性剤の起泡傾向を低下させるために利用され得る。脱気剤(air release agent)(例えば、フルオロシリコン溶液)もまた消泡剤に加えて利用され得、これらの作用を促進させる。
【0015】
水分スカベンジャー(例えば、分子ふるい、オキサゾリジンおよびp−トルエンスルホニルイソシアネート)は、大気の湿気に起因する汚染を防止するために利用され得る。
【0016】
適切なUV安定剤としては、置換レゾルシノール、サリチラート、ベンゾトリアゾール、およびベンゾフェノン、ならびに立体性ヒンダードアミン(sterically hindered amine)が挙げられる。
【0017】
可塑剤は、ポリウレタン表面の特性を変更するため、および/またはポリウレタン成分組成物の粘性を低下させて、処理および操作を容易にするために利用され得る。適切な可塑剤としては、フタラート、ホスフェート、塩素化ビフェニル、および芳香族油が挙げられる。
【0018】
イソシアネートとヒドロキシル基との反応は、触媒の比存在下では、比較的遅い。十分な反応速度および硬化特性を達成するため、多くの異なる型の触媒が、ポリウレタン系に使用される。
本発明の適切な触媒としては、以下:三級アミン;塩(例えば、フェノール塩、ヘキサノエート、オレエートなど);強塩基(例えば、アルカリおよびアルカリ土類金属の水酸化物、アルコキシド、およびフェノキシド;強酸の酸性金属塩(例えば、塩化鉄(III)、塩化スズ(IV)、硝酸ビスマスおよび塩酸ビスマスなど;種々の金属のキレート(例えば、金属(例えば、ベリリウム、マグネシウム、亜鉛、カドミウム、鉛、チタン、ジルコニウム、スズ、ヒ素、ビスマス、クロム、モリブデン、マンガン、鉄、コバルト、およびニッケル)を含むアセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、エチルアセトアセテートなどから得られ得るもの);種々の金属のアルコレートおよびフェノレート(例えば、Ti(OR)、Sn(OR)、Al(OR)など、ここで、Rはアルキルもしくはアリールであり、かつアルコレートとカルボン酸、β−ジケトン、および2−(N,N−ジアルキルアミノ)アルコールとの反応産物である);種々の金属(例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、スズ、鉛、マンガン、コバルト、ニッケル、および銅)と有機酸との塩;四価スズ、三価ヒ素、五価ヒ素、アンチモン、およびビスマスの有機金属誘導体、ならびに鉄およびコバルト、水銀化合物(例えば、アリール水銀カルボキシレート、フェニル水銀アセテート、およびフェニル水銀プロピオネート)などの金属カルボニルが挙げられる。これらの触媒は、単独もしくは組み合わせて使用され得る。
【0019】
本発明の二成分ポリウレタン系は、硬化反応を犠牲にすることなく、ゲル化時間(ポットライフとしても公知である)を延長する。このことは、運動競技用表面を構築するために特に有用である。この二成分系の成分を混合した後、この材料が粘性を高めて産物の適切な適用を妨げる前には、時間が限られている。従来のポリウレタン系は、水銀化合物(それらの毒性のため、使用が制限されている)の遅延触媒活性を模倣する触媒ブレンドを調合することによって、ポットライフと硬化反応と間に同様のバランスを提供するように試みてきた。例えば、特定のビスマス触媒の可逆性加水分解は、遅延反応を実現するために使用されてきた。揮発性キレート剤もまた、金属触媒を阻害するために利用されてきた。しかし、この揮発性キレート剤の放出は、ポリウレタン表面を適用する人々を有害な蒸気に曝す。これら従来の遅延作用系を実施しながらも、二成分系は、適用中の混合誤差の可能性を低下させて運動競技用表面としての用途のために適切な物理特性を有するポリウレタンを得るように、開発されていなかった。本発明の一つの好ましい実施形態は、有効量のヒュームドシリカを、反応遅延剤としてA成分の一部として利用することによって、改良された調合物を提供する。この調合物は、ポットライフを、A成分の粘度の有意な増加なしに、ポリウレタン表面の適切な適用を可能にするのに十分に延長する。約0.25重量%と約0.9重量%との間のヒュームドシリカの存在は、イソシアネート/ポリオール/触媒ブレンドを可能にする。このブレンドは、これまでは、A成分のB成分に対する理想的当重量比に近づくにしたがって、ポットライフを短縮させていた。本発明の一つの好ましい実施形態は、有機スズ触媒を利用する。この触媒は、これまでは、運動競技用表面の調製のための反応速度を過度に速くさせると考えられていた。しかし、有効量のヒュームドシリカの添加は、ポットライフを十分に延長し、速効化触媒の使用を可能にする。
【0020】
以下の実施例は、本発明を説明するために提供されるが、それらの範囲を限定することを意図されない。
【実施例】
【0021】
(実施例1:)
A成分:
ポリエーテルジオール、平均分子量2000 25.05重量%
ポリエーテルトリオール、約240mg KOH/g 3.78重量%
ジプロピレングリコール 8.32重量%
ひまし油 18.90重量%
硫酸バリウム 15.12重量%
炭酸カルシウム 19.66重量%
酸化鉄 2.45重量%
フルオロサーファクタント 0.05重量%
有機スズ触媒 0.02重量%
鉄アセチルアセトン 0.02重量%
C7〜C11アルコールのフタラート 3.78重量%
分子ふるい 1.25重量%
ポリシロキサン 0.30重量%
ヒンダードアミンUV安定剤 0.80重量%
ヒュームドシリカ 0.50重量%
B成分:
改変ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート 20.00重量%
ジフェニルメタンジイソシアネートの高(high)2,4異性体ブレンド 26.00重量%
ポリエーテルジオール、平均分子量2000 54.00重量%
実施例1のA成分およびB成分を1:1体積比で混合し、75F°(24℃)で硬化させた。得られたポリウレタン表面は、18分のゲル化時間、および運動競技用表面用途に十分な硬化時間を示した。
【0022】
(実施例2:)
実施例1のポリウレタン調合物を、ヒュームドシリカを含まない同様の調合物と比較した。両方の二成分系を混合し、75F°(24℃)で硬化させた。ヒュームドシリカを含まない調合物は、7分、35秒のゲル化時間を示した。ヒュームドシリカを含む調合物は、運動競技用表面用途のための硬化反応に有意な影響を及ぼすことなく、ゲル化時間において237%の増加を示した。
【0023】
(実施例3:)
A成分:
ポリエーテルジオール、平均分子量2000 19.07重量%
ジプロピレングリコール 7.50重量%
ひまし油 28.16重量%
硫酸バリウム 37.58重量%
酸化鉄 2.33重量%
有機スズ触媒 0.03重量%
フルオロサーファクタント 0.90重量%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチラート 1.21重量%
分子ふるい 1.18重量%
ポリシロキサン 0.50重量%
ヒンダードアミンUV安定剤 0.75重量%
ヒュームドシリカ 0.79重量%
B成分:
ジフェニルメタンジイソシアネートの高2,4異性体ブレンド18.87重量%
ポリエーテルジオール、平均分子量2000 51.03重量%
ポリマージメチレンジイソシアネート 30.00重量%
フルオロシリコン 0.10重量%
実施例3のA成分およびB成分を1:1体積比で混合し、75F°(24℃)で硬化させた。硬化の間、粘度計を用いて反応速度を測定した。得られたデータを図1に示す。これは、ヒュームドシリカの反応遅延特性を示す。脱気剤(air release agent)をB成分に添加した。この成分をプレポリマーとして調合し、2,4異性体ブレンドおよびポリマージメチレンジイソシアネートの分散を改善させる。
【0024】
実施例1および3の例示的な1:1二成分ポリウレタン調合物は、運動競技用表面の調製によく適する。成分Aの体積および成分Bの体積は実質的に等しいので、混合誤差の可能性は最小化される。さらに、ゲル化時間は、約18分〜約30分の間へと適切に延長される。このことは、この系の粘度が適切な適用を妨げる値に達する前に、表面を混合し、注ぎ、そしてかきならすことを可能にする。約60F°(15℃)〜約95F°(35℃)の範囲にわたる外界温度での一晩の硬化反応もまた、表面仕上げ作業を翌日に続けさせるのに適切である。本発明による調合物を用いて調製された運動競技用表面は、約50と約70との間のショアーA−2硬度、約200psi(1,379kPa)と約300psi(2,068kPa)との間の引張り強さ、25psi(172kPa)で約5%と約7%との間、そして270psi(1,861kPa)で約35%〜約40%の圧縮比、および約35F°(1℃)〜約120F°(49℃)の間でほとんど変わらない弾性を示す。
【0025】
図2は、本発明の二成分ポリウレタン系を用いた運動競技用表面10の、好ましい実施形態を示す。この運動競技用表面10は、基部20上に適用される。この基部20は、任意の適切な基礎であり得るが、アスファルト製基部が好ましい。次いで、本発明の二成分ポリウレタン系を用いて、基層30を形成する。この二成分ポリウレタン系の成分Aと成分Bとを混合した後、弾性粒子35を、この二成分の液体混合物中に加える。この弾性粒子35は、任意の適切なエラストマー材料から構成され得るが、好ましくは、ゴム顆粒である。次いで、この二成分ポリウレタン/弾性粒子混合物を、基部20上に注ぐ。単一の基層30が特定の用途にとって十分であり得るか、またはさらなる基層を下部基層上に作製して、所定の厚さを達成し得る。調製される運動競技用表面の用途に依存して、基層30は単独で十分であり得る。しかし、いくつかの用途は、図2に示すようにさらなる表面調製を必要とする。上層40は、基層30上に作製され得る。この上層40を、基層30と同じ二成分ポリウレタン系を用いて、しかし弾性粒子を予め混合することなく、調製する。上層40を注いだ後、弾性粒子42を上層40上に散布して埋め込み、テクスチャーのある表面を提供する。次いで、最終ポリウレタンコーティング44を弾性粒子42上に適用し、粒子を適切に付着させる。最終ポリウレタンコーティング44は、好ましくは、脂肪族コーティングであり、優れたUV安定性をもたらす。
【0026】
本発明は特定の実施形態によって記載されたが、これらの変更および改変が、当業者に疑いなく明らかになるであろうことが予期される。したがって、以下の特許請求の範囲が、本発明の真の精神および範囲内に含まれる全ての変更および改変を網羅すると解釈されることが、意図される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、ヒュームドシリカの反応遅延効果を示す粘度対時間のグラフである(1,000センチポイズ=1パスカル秒)。
【図2】図2は、本発明の二成分ポリウレタン系を利用した運動競技用表面の一つの好ましい実施形態の、側面断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二成分ポリウレタン結合剤系であって、以下:
イソシアネート官能基と反応し得る活性水素原子を有する、少なくとも一つの化合物、該反応とウレタン結合の形成とを促進するための少なくとも一つの触媒、および該触媒の作用を遅延させるための、有効量のヒュームドシリカを含む、第一成分;ならびに少なくとも一つのポリイソシアネートを含む、第二成分、
を含む、二成分ポリウレタン結合剤系。
【請求項2】
前記第一成分が、実質的に等体積の該第一成分と前記第二成分とを混合することによって該第二成分との反応を可能にするのに十分な密度を有する、前記請求項1に記載の二成分系。
【請求項3】
前記第一成分が、約105〜約115の間のイソシアネート指数を有するポリウレタンを形成するのに十分なヒドロキシル当重量を有する、請求項1に記載の二成分系。
【請求項4】
イソシアネート官能基と反応し得る活性水素原子を有する前記少なくとも一つの化合物が、少なくとも一つのポリエステルポリオールと少なくとも一つのポリエーテルポリオールとの溶液を含む、請求項1に記載の二成分系。
【請求項5】
該ポリエステルポリオールが、ヒマシ油である、請求項3に記載の二成分系。
【請求項6】
前記少なくとも一つの触媒が、三級アミンである、請求項1に記載の二成分系。
【請求項7】
前記少なくとも一つの触媒が、フェノール塩、ヘキサノエート、およびオレエートからなる群から選択される、請求項1に記載の二成分系。
【請求項8】
前記少なくとも一つの触媒が、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルコキシド、およびフェノキシドからなる群から選択される、請求項1に記載の二成分系。
【請求項9】
前記少なくとも一つの触媒が、塩化鉄(III)、塩化スズ(IV)、硝酸ビスマス、および塩化ビスマス(III)からなる群から選択される、請求項1に記載の二成分系。
【請求項10】
前記少なくとも一つの触媒が、ベリリウム、マグネシウム、亜鉛、カドミウム、鉛、チタン、ジルコニウム、スズ、ヒ素、ビスマス、クロム、モリブデン、マンガン、鉄、コバルト、およびニッケルからなる群から選択される金属のキレートである、請求項1に記載の二成分系。
【請求項11】
前記少なくとも一つの触媒が、チタン、スズ、およびアルミニウムからなる群から選択される金属のアルコレートである、請求項1に記載の二成分系。
【請求項12】
前記少なくとも一つの触媒が、チタン、スズ、およびアルミニウムからなる群から選択される金属のフェノレートである、請求項1に記載の二成分系。
【請求項13】
前記少なくとも一つの触媒が、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、スズ、鉛、マンガン、コバルト、ニッケル、および銅からなる群から選択される金属と有機酸との塩である、請求項1に記載の二成分系。
【請求項14】
前記少なくとも一つの触媒が、四価スズ、三価ヒ素、五価ヒ素、アンチモン、およびビスマスからなる群から選択される化合物の有機金属誘導体である、請求項1に記載の二成分系。
【請求項15】
前記少なくとも一つの触媒が、鉄、コバルト、カルボン酸アリール水銀、酢酸フェニル水銀、およびプロピオン酸フェニル水銀からなる群から選択される化合物の金属カルボニルである、請求項1に記載の二成分系。
【請求項16】
前記第二成分が、2,4ジフェニルメタンジイソシアネートと4,4’ジフェニルメタンジイソシアネートとの異性体ブレンドを含む、請求項1に記載の二成分系。
【請求項17】
前記第二成分が、ポリマージメチレンジイソシアネートおよび2,4ジフェニルメタンジイソシアネートと4,4’ジフェニルメタンジイソシアネートとの異性体ブレンドの混合物を含む、請求項1に記載の二成分系。
【請求項18】
前記第二成分が、脱気剤を含む、請求項1に記載の二成分系。
【請求項19】
前記第二成分が、イソシアネート官能基と反応し得る活性水素原子を有する化合物をさらに含むプレポリマーである、請求項1に記載の二成分系。
【請求項20】
イソシアネート官能基と反応し得る活性水素原子を有する前記化合物が、ポリエーテルポリオールである、請求項19に記載の二成分系。
【請求項21】
弾性運動競技用表面であって、該表面は、基部、および該基部を覆う実質的に均質な複合材料層を含み、該実質的に均質な複合材料は、弾性顆粒および二成分ポリウレタン結合剤系を含み、該二成分ポリウレタン結合剤系は、以下:
イソシアネート官能基と反応し得る活性水素原子を有する少なくとも一つの化合物、該反応とウレタン結合の形成とを促進するための少なくとも一つの触媒、および該触媒の作用を遅延させるための有効量のヒュームドシリカ、を含む第一成分;ならびに少なくとも一つのポリイソシアネートを含む、第二成分、
を有する、弾性運動競技用表面。
【請求項22】
前記第一成分が、実質的に等体積の該第一成分と前記第二成分とを混合することによって該第二成分との反応を可能にするのに十分な密度を有する、請求項21に記載の弾性運動競技用表面。
【請求項23】
請求項21に記載の弾性運動競技用表面であって、実質的に均一な複合材料の前記層を覆う第二層をさらに含み、該第二層は、二成分ポリウレタン系を含み、該二成分ポリウレタン系は、以下:
イソシアネート官能基と反応し得る活性水素原子を有する少なくとも一つの化合物、該反応とウレタン結合の形成とを促進するための少なくとも一つの触媒、および該触媒の作用を遅延させるための有効量のヒュームドシリカ、を含む第一成分;少なくとも一つのポリイソシアネートを含む、第二成分、
を有し、該第一成分は、実質的に等体積の該第一成分と該第二成分とを混合することによって該第二成分との反応を可能にするのに十分な密度を有し;そして、
該第二層は、該第二層の該上部表面に弾性顆粒を包埋することによって形成されるテクスチャーのある上部表面を有する、弾性運動競技用表面。
【請求項24】
前記第二層を覆う脂肪族ポリウレタン表面コーティングをさらに含む、請求項23に記載の弾性運動競技用表面。
【請求項25】
前記二成分ポリウレタン結合剤系の前記第一成分が、約105〜約115の間のイソシアネート指数を有するポリウレタンを形成するのに十分なヒドロキシル当重量を有する、請求項21に記載の弾性運動競技用表面。
【請求項26】
イソシアネート官能基と反応し得る活性水素原子を有する前記少なくとも一つの化合物が、少なくとも一つのポリエステルポリオールと少なくとも一つのポリエーテルポリオールとの溶液を含む、請求項21に記載の弾性運動競技用表面。
【請求項27】
前記ポリエステルポリオールが、ヒマシ油である、請求項26に記載の弾性運動競技用表面。
【請求項28】
前記少なくとも一つの触媒が、三級アミンである、請求項21に記載の弾性運動競技用表面。
【請求項29】
前記少なくとも一つの触媒が、フェノール塩、ヘキサノエート、およびオレエートからなる群から選択される、請求項21に記載の弾性運動競技用表面。
【請求項30】
前記少なくとも一つの触媒が、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルコキシド、およびフェノキシドからなる群から選択される、請求項21に記載の弾性運動競技用表面。
【請求項31】
前記少なくとも一つの触媒が、塩化鉄(III)、塩化スズ(IV)、硝酸ビスマス、および塩化ビスマス(III)からなる群から選択される、請求項21に記載の弾性運動競技用表面。
【請求項32】
前記少なくとも一つの触媒が、ベリリウム、マグネシウム、亜鉛、カドミウム、鉛、チタン、ジルコニウム、スズ、ヒ素、ビスマス、クロム、モリブデン、マンガン、鉄、コバルト、およびニッケルからなる群から選択される金属のキレートである、請求項21に記載の弾性運動競技用表面。
【請求項33】
前記少なくとも一つの触媒が、チタン、スズ、およびアルミニウムからなる群から選択される金属のアルコレートである、請求項21に記載の弾性運動競技用表面。
【請求項34】
前記少なくとも一つの触媒が、チタン、スズ、およびアルミニウムからなる群から選択される金属のフェノレートである、請求項21に記載の弾性運動競技用表面。
【請求項35】
前記少なくとも一つの触媒が、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、スズ、鉛、マンガン、コバルト、ニッケル、および銅からなる群から選択される金属と有機酸との塩である、請求項21に記載の弾性運動競技用表面。
【請求項36】
前記少なくとも一つの触媒が、四価スズ、三価ヒ素、五価ヒ素、アンチモン、およびビスマスからなる群から選択される化合物の有機金属誘導体である、請求項21に記載の弾性運動競技用表面。
【請求項37】
前記少なくとも一つの触媒が、鉄、コバルト、カルボン酸アリール水銀、酢酸フェニル水銀、およびプロピオン酸フェニル水銀からなる群から選択される化合物の金属カルボニルである、請求項21に記載の弾性運動競技用表面。
【請求項38】
前記第二成分が、2,4ジフェニルメタンジイソシアネートと4,4’ジフェニルメタンジイソシアネートとの異性体ブレンドを含む、請求項21に記載の弾性運動競技用表面。
【請求項39】
前記第二成分が、ポリマージメチレンジイソシアネートおよび2,4ジフェニルメタンジイソシアネートと4,4’ジフェニルメタンジイソシアネートとの異性体ブレンドの混合物を含む、請求項21に記載の弾性運動競技用表面。
【請求項40】
前記第二成分が、脱気剤を含む、請求項21に記載の弾性運動競技用表面。
【請求項41】
前記第二成分が、イソシアネート官能基と反応し得る活性水素原子を有する化合物をさらに含むプレポリマーである、請求項21に記載の弾性運動競技用表面。
【請求項42】
イソシアネート官能基と反応し得る活性水素原子を有する前記化合物が、ポリエーテルポリオールである、請求項41に記載の弾性運動競技用表面。
【請求項43】
弾性運動競技用表面を調製するための方法であって、該方法は、基部を提供する工程、および該基部を覆う実質的に均一な複合材料の層を調製する工程を包含し、該実質的に均質な複合材料は、弾性顆粒および二成分ポリウレタン結合剤系を含み、該二成分ポリウレタン結合剤系は、以下:
イソシアネート官能基と反応し得る活性水素原子を有する少なくとも一つの化合物、該反応とウレタン結合の形成とを促進するための少なくとも一つの触媒、および該触媒の作用を遅延させるための有効量のヒュームドシリカ、を含む第一成分;ならびに少なくとも一つのポリイソシアネートを含む、第二成分、
を有する、方法。
【請求項44】
前記第一成分が、実質的に等体積の該第一成分と前記第二成分とを混合することによって該第二成分との反応を可能にするのに十分な密度を有する、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記第一成分が、約105〜約115の間のイソシアネート指数を有するポリウレタンを形成するのに十分なヒドロキシル当重量を有する、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
イソシアネート官能基と反応し得る活性水素原子を有する前記少なくとも一つの化合物が、少なくとも一つのポリエステルポリオールと少なくとも一つのポリエーテルポリオールとの溶液を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記ポリエステルポリオールが、ヒマシ油である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記少なくとも一つの触媒が、有機スズ触媒である、請求項43に記載の方法。
【請求項49】
前記第二成分が、2,4ジフェニルメタンジイソシアネートと4,4’ジフェニルメタンジイソシアネートとの異性体ブレンドを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項50】
前記第二成分が、ポリマージメチレンジイソシアネートおよび2,4ジフェニルメタンジイソシアネートと4,4’ジフェニルメタンジイソシアネートとの異性体ブレンドの混合物を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項51】
前記第二成分が、脱気剤を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項52】
前記第二成分が、イソシアネート官能基と反応し得る活性水素原子を有する化合物をさらに含むプレポリマーである、請求項43に記載の方法。
【請求項53】
イソシアネート官能基と反応し得る活性水素原子を有する前記化合物が、ポリエーテルポリオールである、請求項43に記載の方法。
【請求項54】
請求項43に記載の方法であって、実質的に均一な複合材料の前記層を覆う第二層を提供する工程をさらに含み、該第二層は、二成分ポリウレタン系を含み、該二成分ポリウレタン系は、以下:
イソシアネート官能基と反応し得る活性水素原子を有する少なくとも一つの化合物、該反応とウレタン結合の形成とを促進するための少なくとも一つの触媒、および該触媒の作用を遅延させるための有効量のヒュームドシリカ、を含む第一成分;少なくとも一つのポリイソシアネートを含む、第二成分、
を有し、該第一成分は、実質的に等体積の該第一成分と該第二成分とを混合することによって該第二成分との反応を可能にするのに十分な密度を有し;そして、
該第二層は、該第二層の上部表面に弾性顆粒を包埋することによって形成される、テクスチャーのある上部表面を有する、方法。
【請求項55】
前記第二層を覆う脂肪族ポリウレタン表面コーティングを提供する工程をさらに含む、請求項54に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−504824(P2006−504824A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−548505(P2004−548505)
【出願日】平成15年10月27日(2003.10.27)
【国際出願番号】PCT/US2003/034066
【国際公開番号】WO2004/039889
【国際公開日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【出願人】(505156248)エスアールアイ スポーツ, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】