説明

ポリウレタン組成物

【課題】固体微粒子を安定に微分散することにより、固体微粒子の凝集に起因するフィルター詰まりを抑制し、フィルター交換頻度の減少により作業負荷を低減し、紡糸時の糸切れトラブルを低減することにより、ポリウレタン弾性繊維の安定生産を可能にするポリウレタン組成物の提供。
【解決手段】ポリウレタン重合体、アミド系溶剤、固体微粒子、及び分散剤を含むポリウレタン組成物であって、該分散剤は、ポリカルボン酸系共重合化合物であることを特徴とするポリウレタン組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン組成物に関する。より詳しくは、本発明は、特定の分散剤を用いて固体微粒子を安定に微分散したポリウレタン組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン弾性繊維は、高伸度と優れた弾性特性を有する繊維である。しかしながら、本来、ポリウレタン重合体は柔軟かつ粘着性の素材であり、紡糸工程でのガイドやローラーでの糸切れや生地加工工程において、編み針、ガイドによる糸切れや摩擦変動を受けやすいため、生地品位が低下しやすい。また、該生地を用いた衣料の使用時においても、他の繊維素材に比較して耐光性、耐塩素性等の消費性能に劣る。そこで、これらの諸問題を改善するために、ポリウレタン系弾性繊維の紡糸工程において、単にウレタン系重合体をアミド系溶剤に溶解した紡糸原液を用いて紡糸するのではなく、かかる紡糸原液に各種機能性を有する固体微粒子を添加した紡糸原液を用いて紡糸している。
【0003】
ポリウレタン弾性繊維の製造工程は、特別に高度な微細加工技術を要する。すなわち、他のプラスチック成型や塗料における固体微粒子の分散レベルより格段に高度な微分散状態が要求されている。さらに、近年、ポリウレタン弾性繊維製造技術のトレンドとして、より一層の細繊度(5〜20デシテックス)化とコストダウンのための高速度紡糸化が進みつつあり、紡糸原液中に凝集した固体微粒子が混在すると、紡糸工程での糸切れが多発し、生産性が著しく低下する。そのため、ポリウレタン弾性繊維紡糸原液が通過する配管内に、凝集した固体微粒子を除去するために、幾重にもフィルターを設置している。また、原液工程の最終段階の紡糸ノズル中には細孔口サイズ(20μm〜50μm粒子サイズのカット)の金属性の積層フィルターを組み込んで凝集粒子を排除している。
【0004】
紡糸原液に固体微粒子を混合する工程では、固体微粒子の高濃度アミド系溶液をホモミキサーで予め分散させた液(固体微粒子分散調整液)を、細孔口サイズのフィルターを通した後に、スタテックミキサーを通して、ポリマー原液に混合し、所定の濃度の固体微粒子を含有させてポリウレタン組成物を調製している。この場合に、分散状態が不良な場合には、フィルターの圧損が大きくなり、頻繁にフィルター交換を必要とするばかりでなく、これを用いて紡糸して得られたポリウレタン弾性繊維の品質は劣るものとなる。
【0005】
ポリウレタン組成物に固体微粒子を単に混合させるだけの場合、紡糸原液中で固体微粒子は安定的に微分散せず、その結果として、固体微粒子の凝集に起因する原液フィルター詰まりや紡口フィルター詰まりを起こし、紡糸塔内で糸切れを頻発して、生産性が大きく低下してしまう。また、得られた繊維中での固体微粒子含有量の減少や偏在によってパッケージの捲形状が悪くなる。また、布帛加工工程において、該パッケージの解舒不良や解舒した繊維の平滑性も悪くなる。さらに固体微粒子の含有量の低下により繊維の耐光性、耐塩素性等の消費性能も低下してしまう。
【0006】
このような問題を解決しようと様々な試みが行われてきた。例えば、以下の特許文献1と2には、紡糸原液用の分散剤として、特定の有機リン酸含有化合物を使用することが提案されている。また、以下の特許文献3には、特定の窒素含有化合物を使用することが提案されている。また、以下の特許文献4には、特定の変性シリコーン化合物を使用することが提案されている。また、以下の特許文献5には、アニオン系界面活性剤で固体微粒子の表面を処理することが提案されている。
【0007】
さらに、本発明者らは、以下の特許文献6において、固体微粒子の表面処理剤としてスチレンと無水マレインの酸共重合体を用いることを提案している。
しかしながら、従来技術のポリウレタン組成物は、ポリウレタン弾性繊維紡糸原液として用いる紡糸工程や繊維の加工工程において前記した諸問題を未だ充分に解決してない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2003−527476号公報
【特許文献2】特許第4397028号明細書
【特許文献3】特開2006−219768号公報
【特許文献4】特開2009−287126号公報
【特許文献5】特開2004−76207号公報
【特許文献6】特許第4416818号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、固体微粒子を安定に微分散したポリウレタン組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究し実験を重ねた結果、特許文献6に記載された主鎖にカルボン酸無水物基を含むスチレン/無水マレイン酸共重合体を含む表面処理剤では、固体微粒子への付着効果が充分でなく、かつ、該共重合体のグラフト鎖にポリオキシアルキレン基が存在しない場合には、表面処理剤がアミド系溶剤中での均一分散性が乏しく充分な効果が得られないことを見出した。すなわち、従来技術の分散剤を用いても、調製したポリウレタン組成物中に固体微粒子を安定分散させるには不十分であることを発見した。
【0011】
本発明者らは、ポリウレタン弾性繊維に有用な固体微粒子は、ポリウレタン重合体を溶解するアミド系溶剤に親和性が乏しく、固体微粒子がアミド系溶剤に混合する前に平均粒子径が1μm以下の微粒子であっても、アミド系溶剤中では、親和性が乏しいために、速やかに凝集が進み、50〜100μmの凝集体粒子になり、工程中各所に存在するフィルターを閉塞させてしまうことを発見した。そこで、本発明者らは、固体微粒子とアミド系溶剤との相互の親和性を向上させる好適な分散剤を見出すことが肝要であると考えた。
そして、発明者らは、かかる観点から鋭意研究を進めた結果、ポリウレタン弾性繊維用の固体微粒子に対してアミド系溶剤中にて著しい分散効果を持つポリカルボン酸系共重合化合物を予想外に見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
本発明に係るポリウレタン組成物中に使用する分散剤は、ポリカルボン酸系共重合化合物であり、好ましくはポリオキシアルキレン誘導体及び不飽和カルボン酸化合物との共重合化合物であり、その主鎖にポリカルボン酸基を、そしてグラフト鎖にポリオキシアルキレン基を分子構造中に同時に有するポリカルボン酸系共重合化合物である。前記したように、固体微粒子はポリウレタン重合体用のアミド系溶剤との親和性が乏しところ、本発明に係るポリカルボン酸系共重合化合物を使用すると、該ポリカルボン酸系共重合物の主鎖にあるカルボニル基が固体微粒子側に配向して付着効果を奏し、一方、そのグラフト鎖にあるポリオキシアルキレン基が固体微粒子に対して外側に配向してアミド系溶剤に対して親和性を持つため、アミド系溶剤中での固体微粒子の分散安定性が向上すると推測される。
【0013】
すなわち、本発明は以下の通りのものである。
[1]ポリウレタン重合体、アミド系溶剤、固体微粒子、及び分散剤を含むポリウレタン組成物であって、該分散剤は、ポリカルボン酸系共重合化合物であることを特徴とするポリウレタン組成物。
【0014】
[2]前記ポリカルボン酸系共重合化合物は、ポリオキシアルキレン誘導体と不飽和カルボン酸化合物との共重合化合物であり、かつ、その主鎖にポリカルボン酸基を、そしてそのグラフト鎖にポリオキシアルキレン基を有する化合物である、前記[1]に記載のポリウレタン組成物。
【0015】
[3]前記ポリカルボン酸系共重合化合物は、
以下の式(1):
【化1】

{式中、Rは、水素原子又はメチル基を表し、Rは、水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基を表し、AOは、独立に、炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、複数存在する場合には、ブロック状でもランダム状でもよく、そしてsは、1〜150の整数である。}又は以下の式(2):
【化2】

{式中、R、R、及びRは、水素原子又はメチル基を表し、Rは、炭素数1〜4のアルキレン基を表し、Rは、水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基を表し、AOは、独立に、炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、複数存在する場合には、ブロック状でもランダム状でもよく、そしてpは、1〜150の整数である。}で表されるポリオキシアルキレンアルケニルエーテル構成単位(a):10〜90モル%、
以下の式(3):
【化3】

{式中、Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表し、Xは、−OM又は−Y−(AO)を表し、Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表し、Yは、エーテル基又はイミノ基を表し、Rは、水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基を表し、AOは、炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、複数存在する場合には、ブロック状でもランダム状でもよく、そしてrは、1〜150の整数である。}で表されるジカルボン酸、又は以下の式(4):
【化4】

{式中、Rは、水素原子又はメチル基を表し、そしてMは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表す。}で表されるモノカルボン酸構成単位(b):10〜90モル%、並びに
上記構成単位(a)及び(b)以外の共重合可能な単量体構成単位(c):0〜30モル%から構成されるポリカルボン酸系共重合化合物であり、そして前記固体微粒子100重量部に対する前記ポリカルボン酸系共重合化合物の含有量が0.1〜20重量部である、前記[2]に記載のポリウレタン組成物。
【0016】
[4]前記固体微粒子は、炭素原子数5〜40の脂肪酸金属塩、ここで該金属塩中の金属は、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、及び亜鉛からなる群から選ばれる;酸化チタン;酸化亜鉛;酸化亜鉛とシリカの金属複合塩;ハイドロタルサイト類化合物;フンタイト類化合物;MgOとZnOの固溶体;二酸化ケイ素と酸化亜鉛の複合塩;二酸化ケイ素と酸化亜鉛とアルミナの複合塩;多孔質性合成シリカ;カーボンブラック;着色剤;及び顔料からなる群から選ばれ、そして前記ポリウレタン重合体100重量部に対する前記固体微粒子の含有量は、0.1〜10重量部である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリウレタン組成物。
【0017】
[5]前記アミド系溶剤は、ジメチルアセトアミド及びジメチルホルムアミドからなる群から選ばれた少なくとも1つのアミド系溶剤であり、そして前記ポリウレタン重合体100重量部に対する前記アミド系溶剤の含有量は、100〜400重量部である、前記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリウレタン組成物。
【0018】
[6]前記[1]〜[5]のいずれかに記載のポリウレタン組成物を乾式紡糸法において原液として使用してポリウレタン弾性繊維を製造する方法。
【発明の効果】
【0019】
本発明のポリウレタン組成物は、分散剤として、特定のポリカルボン酸系共重合化合物により固体微粒子が安定に微分散されるため、これをポリウレタン繊維製造用原液に用いれば、繊維製造工程においてはフィルター詰まりの解消、紡糸工程においては収率の改善、優れた捲形状のパッケージを得ることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、ポリウレタン重合体、アミド系溶剤、固体微粒子、及び分散剤を含むポリウレタン組成物であって、該分散剤がポリカルボン酸系共重合化合物であることを特徴とする。
前記ポリカルボン酸系共重合化合物は、好ましくは、ポリオキシアルキレン誘導体と不飽和カルボン酸化合物との共重合化合物であり、かつ、その主鎖にポリカルボン酸基を、そしてグラフト鎖にポリオキシアルキレン基を有する化合物である。
【0021】
具体的には、ポリカルボン酸系共重合化合物は、
以下の式(1):
【化5】

{式中、Rは、水素原子又はメチル基を表し、Rは、水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基を表し、AOは、独立に、炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、複数存在する場合には、ブロック状でもランダム状でもよく、そしてsは、1〜150の整数である。}又は以下の式(2):
【化6】

{式中、R、R、及びRは、水素原子又はメチル基を表し、Rは、炭素数1〜4のアルキレン基を表し、Rは、水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基を表し、AOは、独立に、炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、複数存在する場合には、ブロック状でもランダム状でもよく、そしてpは、1〜150の整数である。}で表されるポリオキシアルキレンアルケニルエーテル構成単位(a):10〜90モル%、
以下の式(3):
【化7】

{式中、Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表し、Xは、−OM又は−Y−(AO)を表し、Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表し、Yは、エーテル基又はイミノ基を表し、Rは、水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基を表し、AOは、炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、複数存在する場合には、ブロック状でもランダム状でもよく、そしてrは、1〜150の整数である。}で表されるジカルボン酸、又は以下の式(4):
【化8】

{式中、Rは、水素原子又はメチル基を表し、そしてMは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表す。}で表されるモノカルボン酸構成単位(b):10〜90モル%、並びに
上記構成単位(a)及び(b)以外の共重合可能な単量体構成単位(c):0〜30モル%から構成されるポリカルボン酸系共重合化合物である。
【0022】
また、ポリウレタン組成物中での固体微粒子100重量部に対するポリカルボン酸系共重合化合物の含有量は、好ましくは0.1〜20重量部である。該含有量が0.1重量部未満では前記した分散効果が乏しく、一方、20重量部を超える量を添加しても該分散効果は変わらず経済的でない。
【0023】
本発明に係るポリカルボン酸系共重合化合物の例としては、以下のものが挙げられる。
【0024】
水酸基(−OH)末端モノメタクリレート:ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)−モノメタクリレート、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール−モノメタクリレート、ポリ(エチレングリコール・テトラメチレングリコール)−モノメタクリレート、プロピレングリコール・ポリブチレングリコール−モノメタクリレート。
【0025】
水酸基(−OH)末端モノアクリレート:ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート。
【0026】
アルキル基又はアリール基末端ポリアルキレングリコールモノメタクリレート:メトキシポリエチレングリコール−メタクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−メタクリレート、ラウロキシポリエチレングリコール−メタクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール−メタクリレート、フェノキシポリエチレングリコール−メタクリレート、フェノキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−メタクリレート。
【0027】
アルキル基又はアリール基末端ポリアルキレングリコールモノアクリレート:メトキシポリエチレングリコール−アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコール−アクリレート、ノニルフェノキシ−ポリプロピレングリコール−アクリレート、ノニルフェノキシ−ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)−アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール−アクリレート。
【0028】
本発明に係るポリカルボン酸系共重合化合物は、好ましくは、水酸基(−OH)末端モノメタクリレート、水酸基(−OH)末端モノアクリレートである。
【0029】
上記構成単位(a)及び(b)以外の共重合可能な単量体構成単位(c)としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、2−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、イソブチレン、ジイソブチレン、1−ドデセン、スチレン、p−メチルスチレン、イソプロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソプロペニルメチルエーテル、酢酸ビニル、アクリルアミド等が挙げられ、好ましくはイソブチレン、スチレンである。
【0030】
ポリカルボン酸系共重合化合物の製造方法は公知の方法であることができる。
以下、製造法の1例を示す。
5リットル加圧反応器にアリルアルコール58g(1.0モル)、及び触媒としてナトリウムメチラート1.0gを入れ、系内の空気を窒素ガスで置換した後、100〜120℃でエチレンオキシド1408g(32.0モル)とプロピレンオキシド116g(2.0モル)とを予め混合しておいた溶液を約0.05〜0.5MPa(ゲージ圧)で徐々に圧入して付加反応を行った。反応終了後60℃まで冷却した。続いて、上記加圧反応器で60℃に保たれている反応溶液中に水1198g、無水マレイン酸176.4g(1.8モル)を加え、35℃で水溶性開始剤として過硫酸アンモニウム38.8g(0.170モル)を加え、系内の空気を窒素ガスで置換した後、60±2℃で10時間反応させた。重合反応終了後、48%水酸化ナトリウム水溶液225g(水酸化ナトリウムとして2.7モル)を加えて中和し、ポリカルボン酸系共重合体の水溶液を得た。
【0031】
本発明に用いられるポリカルボン酸系共重合物のGPC測定による重量平均分子量は、500〜100,000であり、好ましくは3,000〜80,000であり、より好ましくは5,000〜50,000である。該重量平均分子量が500未満であり、また10,0000より大きい場合には、前記分散効果が乏しい。本発明のポリカルボン酸系重合物の具体的な一例としては、日油株式会社製商品名マリアリムAKM−0531、AFB−0561、AFB−1521、AAB−0851、AEM3511,AWS−0851等があげられる。好ましい化合物は、AKM−0531である。
【0032】
固体微粒子は、炭素原子数5〜40の脂肪酸金属塩、ここで、該金属塩は、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、及び亜鉛塩からなる群から選ばれる;酸化チタン;酸化亜鉛;酸化亜鉛とシリカの金属複合塩;ハイドロタルサイト類化合物;フンタイト類化合物;MgOとZnOの固溶体;二酸化ケイ素と酸化亜鉛の複合物;二酸化ケイ素と酸化亜鉛の複合塩;二酸化ケイ素と酸化亜鉛とアルミナとの複合塩;多孔質性合成シリカ;カーボンブラック、;着色剤;及び顔料からなる群から選ばれる。本発明に係るポリウレタン組成物中の該固体微粒子の含有量は、ポリウレタン重合体100重量部に対して0.1〜10重量部である。固体微粒子が、0.1重量部未満であると前記効果が乏しく、一方、10重量部を超える量を添加しても前記効果は変わらず経済的でなく、かえって、繊維の強伸度物性を始めとする弾性機能を低下させる。
【0033】
固体微粒子としては、とりわけ、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、ハイドロタルサイト類化合物、フンタイト類化合物、二酸化ケイ素と酸化亜鉛の複合塩、二酸化ケイ素と酸化亜鉛とアルミナとの複合塩が好ましい。
【0034】
アミド系溶剤は、好ましくは、ジメチルアセトアミド及びジメチルホルムアミドからなる群から選ばれる少なくとも1つのアミド系溶剤であり、ポリウレタン重合体100重量部に対して100〜400重量部含有される。特に好ましいアミド系溶剤は、ジメチルアセトアミドである。
【0035】
本発明のポリウレタン組成物の調製方法としては、固体微粒子とポリカルボン酸系共重合化合物を予め適当な溶液中(アミド系溶剤又はアミド系溶剤以外の溶剤中)で均一に混合して、一旦乾燥又は分散した状態で、ポリウレタン重合体のアミド系溶液に添加混合する方法、又はカルボン酸共重合化合物を、ポリウレタン重合体のアミド系溶液と固体微粒子を予め均一混合した後、これに、紡糸前又は紡糸時に加えて混合する方法が挙げられる。
事前にポリカルボン酸系共重合化合物が表面に均一に処理された固体微粒子を、ポリウレタン重合体のアミド系溶液に添加する方法は、本発明のポリウレタン組成物の調製方法として好ましい。なぜなら、アミド系溶剤中での固体微粒子相互の凝集が抑制され、固体微粒子の良好な分散状態が維持されたポリウレタン組成物を得ることができるからである。
【0036】
分散剤と固体微粒子を溶剤中で混合する場合、一般にホモミキサーを用いることができ、本発明の組成では、ホモミキサーでの混合でも充分な分散効果が得られる。これ以外にも、粒経の大きく粗い固体粒子を用いてボールミル、ビーズミル等を用いて、粉砕による微粒子化と微分散化を同時に行うことも可能である。この場合、本発明に係る分散剤を固体粒子に混合して粉砕することで、さらに強力な粉砕と分散効果が期待できる。
【0037】
本発明に係るポリウレタン組成物を用いて製造したポリウレタン弾性繊維では、微分散された固体微粒子の一部はポリウレタン弾性繊維表面付近に均一に分散されて存在するため、ポリウレタン弾性繊維の膠着防止と編み機の編み針に対してより効果的に、金属に対する高速動的摩擦を低下させ糸切れ低減や布帛の表面品位が向上する。
ある種の固体微粒子、例えば、ハイドロタルサイト類は、その粒子表面が、ステアリン酸等で予め処理されているが、本発明に係る分散剤は、これらの既に表面処理された固体微粒子にとっても有効な分散効果を得ることができる。本発明に用いる固体微粒子としては、アミド系溶剤に混合前の状態での平均粒子径で10μm以下、好ましくは5μm以下のものを用いることが好ましい。
【0038】
固体微粒子は、アミド系溶剤中では、親和性に乏しく、著しく凝集しやすく、本発明に係るポリカルボン酸系共重合化合物の分散剤を用いない場合には、40〜80μm以上の大きな凝集体に成長し、フィルター詰まりや前記したような様々な問題を引き起こす。
本発明に係る特定の分散剤を用いることによって、固体微粒子は、アミド系溶剤に均一に微分散させさせた状態でも、容積分布による平均粒経が30μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは0.1〜5μmの分散状態となる。
【0039】
本発明のポリウレタン組成物の紡糸方法としては、公知の湿式紡糸法や乾式紡糸法を使用することができるが、乾式紡糸法が好ましい。
【0040】
本発明のポリウレタン重合体は、高分子ジオールとジイソシアネートとが反応して得られたプレポリマーに、活性水素含有化合物を反応させる公知の方法で得られる。
本発明に用いるポリウレタン重合体に用いられる高分子ジオールは、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリエーテルジオール等を挙げることができるが、好ましくはポリエーテルジオール、より好ましくは1種又は2種以上の炭素数2〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基がエーテル結合しているポリアルキレンエーテルジオールである。
【0041】
ポリアルキレンエーテルジオールでは、1種又は2種以上の炭素数2〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基がエーテル結合している、数平均分子量が500〜6,000の単一又は共重合ポリアルキレンエーテルジオールである。共重合ポリアルキレンエーテルジオールは、アルキレン基がブロック状又はランダム状にエーテル結合しており、数平均分子量が500〜6,000である共重合ポリアルキレンエーテルジオールである。従来からポリウレタン弾性繊維の原料として広範に用いられている単一重合ポリアルキレンエーテルジオールであるPTMG(ポリテトラメチレンエーテルグリコール)に比較して、2種類以上のアルキレン基からなる共重合ポリアルキレンエーテルジオールを用いたポリウレタン弾性繊維では、ポリアルキレンエーテルジオールが共重合であり、ポリウレタン成分の65wt%〜85wt%を占める該ジオール成分が非晶性であるため、ポリウレタン重合体がより粘着性を有するため、本発明の効果が一層発揮され易い。
【0042】
さらに、共重合ジオールを用いた利点としては、弾性機能がさらに改善されるため、ポリウレタン弾性繊維が優れた弾性機能、すなわち、高い破断伸度、伸長時の歪に対する小さな応力変動、伸長時の応力の小さなヒステリシス損失等が挙げられる。したがって、、共重合ジオールを用いたパンティストッキングやアウターは、優れた弾性機能を有し、着用感にも優れ、審美性良好な繊維製品となる。共重合ポリアルキレンエーテルジオールの中でも、得られるポリウレタン弾性繊維の耐水性、耐光性、耐摩耗性、弾性機能等の観点から、ブチレン基、すなわちテトラメチレンエーテルユニットを含む共重合ポリアルキレンエーテルジオールが好ましく、ブチレン基、すなわちテトラメチレンエーテルユニットと2,2−ジメチルプロピレン基、すなわちネオペンチレンエーテルユニットとの組み合わせや、テトラメチレンエーテルユニットと2−メチルブチレン基との組み合わせが、より好ましい。
【0043】
本発明のポリウレタンに用いられるジイソシアネートとしては、分子内に2個のイソシアネート基を有す公知の脂肪族、脂環族又は芳香族の有機ジイソシアネートが挙げられ、これらを単独又は組み合わせて使用してもよい。具体的には、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の有機ジイソシアネートが例示され、好ましくは4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートである。また、有機ジイソシアネートとして、遊離のイソシアネート基に変換される封鎖されたイソシアネート基を有する化合物を使用してもよい。
【0044】
本発明のポリウレタンに用いられるイソシアネート基と反応する活性水素含有化合物としては、ポリウレタンにおける常用の鎖伸長剤、すなわち、イソシアネートと反応し得る水素原子を少なくとも2個含有する分子量500以下の低分子化合物を用いることができる。この具体例としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、ヒドラジン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、ジヒドラジド、ピペラジン等のジアミン類、特開平5−155841号公報で開示されたジアミン化合物類、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等のジオール類等が挙げられ、好ましくはエチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、特開平5−155841号公報で開示されたジアミン化合物類が挙げられる。これらの化合物は、単独で又は2種以上を混合して用いてもよいし、また場合により、イソシアネートと反応し得る活性水素を1個含有する化合物と併用してもよい。
【0045】
ジイソシアネート、高分子ジオール及び活性水素含有化合物を用いてポリウレタンを製造する方法としては、公知のウレタン化反応の技術を採用することができる。また、本発明で用いられる各種化合物の化学量論的割合は、高分子ジオールの水酸基と活性水素含有化合物の活性水素の総和が、ジイソシアネート化合物のイソシアネート基に対して1.00以上1.07当量未満であることが好ましい。
【0046】
本発明のポリウレタン重合体の比粘度(ηsp/c)は、1.1〜3.5dl/gであることが好ましい。この範囲とすることにより、弾性回復性に優れた弾性繊維となる。尚、比粘度(ηsp/c)とは、N,N’−ジメチルアセトアミド溶媒中における(η/η−1)/Cで計算した値である。ここで、Cは、ポリマー0.5g/DMAC99.5gの溶液粘度(0.5wt%)であり、ηは、オストワルド粘度計による希薄溶液中の落下秒数であり、ηは、同上粘度計によるDMACのみの落下秒数である。
【0047】
こうして得られるポリウレタン重合体に、ポリウレタン重合体に有用な公知の有機化合物又は無機化合物の熱安定剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、黄変防止剤、熱変色防止剤、耐プール用殺菌塩素剤、有機染料等をさらに添加してもよい。さらに、場合により、ポリウレタン弾性繊維の紡糸性をさらに良くするために公知の界面活性剤を併用してもよい。
この様にして得られたポリウレタン重合体組成物は、従来公知の紡糸法で繊維状に成形し得る。
【0048】
本発明のポリウレタン組成物を原料として得られたポリウレタン弾性繊維は、タイツ、パンティストッキング、ファウンデーション、靴下留め、口ゴム、コルセット、外科用の包帯、織物及び編物の水着等に用いることができ、特に、インナー、アウター、レッグ、スポーツウェヤー、ジーンズ、水着、衛生材等の用途に好ましく用いられる。
【実施例】
【0049】
以下、実施例、比較例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明は、これらに限定されるものではない。実施例、比較例で用いた各種の測定法は、以下のとおりのものである。
【0050】
(固体微粒子の平均1次粒子径の測定)
固体微粒子を、日本電子(株)製の走査型電子顕微鏡JSM−6390LVを用いて撮影し、得られた電子顕微鏡画像を、旭化成エンジニアリング(株)製画像解析ソフト「A像くん」を用いて、平均粒子径を求め、これを平均1次粒子径とした。
【0051】
(ポリウレタン重合体の製造例)
数平均分子量1800のポリテトラメチレンエーテルジオール(PTMG)400gと、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)91.7gとを乾燥窒素雰囲気下、80℃で3時間、攪拌下で反応させて、末端がイソシアネートでキャップされたポリウレタンプレポリマーを得た。これを室温に冷却した後、ジメチルアセトアミド720gを加えて溶解し、ポリウレタンプレポリマー溶液を調製した。一方、エチレンジアミン8.11g及びジエチルアミン1.37gをジメチルアセトアミド390gに溶解し、これを前記プレポリマー溶液に室温高速攪拌下で添加して、粘度4000ポイズ(30℃)のポリウレタン溶液を得た。
【0052】
(1)固体微粒子分散調整液の作製
容器に、以下の表2に示す固体微粒子150g、ジメチルアセトアミド(DMAcと略す)800g、及び以下の表1に示すポリカルボン酸系共重合物(分散剤)を加えて、ホモミキサーにて6000rpmで1時間攪拌後、前記のとおり作製したポリウレタン重合体原液30gを加え、次いで、1時間攪拌後、下記実施例1で作製したポリウレタン重合体原液600gをさらに加えて、150rpmにて2時間攪拌して、ポリウレタン弾性繊維用の各種固体微粒子分散調整液を作製した。これを、ステンレス製の容器に移すことで原液通過時の圧力損失による分散性の評価テストに用いた。以下の表2に固体微粒子分散調整液の組成を示す。
【0053】
(紡糸安定性の評価)
ポリウレタン溶液のポリウレタン固形分に対して、1質量%の1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸、0.2質量%の2,4−ビス(2,4-ジメチルフェニル)―6−(2―ヒドロキシ−4―nオクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジンをジメチルアセトアミド溶剤130gに添加し、均一溶解・高速撹拌により均一に分散した液を、得られたポリウレタン溶液に加えて攪拌し、均一なウレタン重合体液を得た。
【0054】
(2)ポリウレタン弾性繊維の紡糸
このウレタン重合体液に、前記(1)で作製した固体微粒子分散調整液を加えて、固体微粒子が、ポリウレタン固形分重量に対して、以下の表2に記載された量になるように配合して、ニーダーを用いて均一に攪拌混合した。このようにして得られた紡糸用原液組成物を脱泡した後、16個の紡糸口金(各々の口金は3個の細孔を有す)の細孔から熱風中250℃に押しだして溶剤を蒸発させた。乾燥された糸条がリング仮撚り機を通過する過程で仮撚りし、ゴッデトローラを経てオイリングローラ上でジメチルシリコンを主成分とする油剤を付与し、毎分700m/分の速度で、33dt/3フィラメントのポリウレタン弾性繊維を紙管に巻き取った。紡糸安定性は、紡糸時の24時間の紡糸中に起こった糸切れ回数で評価した。また、濾材として400メッシュの金網フィルターを用いた時の、1日の吐出圧の上昇(kgf/cm)を吐出圧変化として求めた。結果を以下の表2に示す。
【0055】
【表1】

【0056】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明のポリウレタン組成物は、紡糸原液中での固体微粒子の凝集を抑制することができるため、これをポリウレタン弾性繊維の紡糸原料として用いた場合、紡糸工程中でのフィルター詰まりが少なく、紡糸時の紡塔内での糸切れが少ないため、生産性が良好となる。さらに、この原液で製造されたポリウレタン弾性繊維は、繊維表面に均一に微粒子で存在しており、編み針やガイド等の対金属摩擦や対セラミック摩擦も良好であるため、得られる生地の表面品位も良好となる。
本発明のポリウレタン組成物を原料として用いて得られたポリウレタン弾性繊維は、タイツ、パンティストッキング、ファウンデーション、靴下留め、口ゴム、コルセット、外科用の包帯、織物又は編物の水着等に好適に利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタン重合体、アミド系溶剤、固体微粒子、及び分散剤を含むポリウレタン組成物であって、該分散剤は、ポリカルボン酸系共重合化合物であることを特徴とするポリウレタン組成物。
【請求項2】
前記ポリカルボン酸系共重合化合物は、ポリオキシアルキレン誘導体と不飽和カルボン酸化合物との共重合化合物であり、かつ、その主鎖にポリカルボン酸基を、そしてそのグラフト鎖にポリオキシアルキレン基を有する化合物である、請求項1に記載のポリウレタン組成物。
【請求項3】
前記ポリカルボン酸系共重合化合物は、
以下の式(1):
【化1】

{式中、Rは、水素原子又はメチル基を表し、Rは、水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基を表し、AOは、独立に、炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、複数存在する場合には、ブロック状でもランダム状でもよく、そしてsは、1〜150の整数である。}又は以下の式(2):
【化2】

{式中、R、R、及びRは、水素原子又はメチル基を表し、Rは、炭素数1〜4のアルキレン基を表し、Rは、水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基を表し、AOは、独立に、炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、複数存在する場合には、ブロック状でもランダム状でもよく、そしてpは、1〜150の整数である。}で表されるポリオキシアルキレンアルケニルエーテル構成単位(a):10〜90モル%、
以下の式(3):
【化3】

{式中、Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表し、Xは、−OM又は−Y−(AO)を表し、Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表し、Yは、エーテル基又はイミノ基を表し、Rは、水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基を表し、AOは、炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、複数存在する場合には、ブロック状でもランダム状でもよく、そしてrは、1〜150の整数である。}で表されるジカルボン酸、又は以下の式(4):
【化4】

{式中、Rは、水素原子又はメチル基を表し、そしてMは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表す。}で表されるモノカルボン酸構成単位(b):10〜90モル%、並びに
上記構成単位(a)及び(b)以外の共重合可能な単量体構成単位(c):0〜30モル%から構成されるポリカルボン酸系共重合化合物であり、そして前記固体微粒子100重量部に対する前記ポリカルボン酸系共重合化合物の含有量が0.1〜20重量部である、請求項2に記載のポリウレタン組成物。
【請求項4】
前記固体微粒子は、炭素原子数5〜40の脂肪酸金属塩、ここで該金属塩中の金属は、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、及び亜鉛からなる群から選ばれる;酸化チタン;酸化亜鉛;酸化亜鉛とシリカの金属複合塩;ハイドロタルサイト類化合物;フンタイト類化合物;MgOとZnOの固溶体;二酸化ケイ素と酸化亜鉛の複合物;二酸化ケイ素と酸化亜鉛の複合塩;二酸化ケイ素と酸化亜鉛とアルミナの複合塩;多孔質性合成シリカ;カーボンブラック;着色剤;及び顔料からなる群から選ばれ、そして前記ポリウレタン重合体100重量部に対する前記固体微粒子の含有量は、0.1〜10重量部である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリウレタン組成物。
【請求項5】
前記アミド系溶剤は、ジメチルアセトアミド及びジメチルホルムアミドからなる群から選ばれた少なくとも1つのアミド系溶剤であり、そして前記ポリウレタン重合体100重量部に対する前記アミド系溶剤の含有量は、100〜400重量部である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリウレタン組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリウレタン組成物を乾式紡糸法において原液として使用してポリウレタン弾性繊維を製造する方法。

【公開番号】特開2012−193259(P2012−193259A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57630(P2011−57630)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(303046303)旭化成せんい株式会社 (548)
【Fターム(参考)】