説明

ポリウレタン製造用の水に安定な触媒

ポリウレタン化合物の製造方法は、ポリオール、ポリイソシアナート化合物および触媒を混合し、この混合物を硬化させてポリウレタンを形成することを含み、該触媒は、Ti、Zr、Hf、Al、Fe、BiまたはSnから選択される金属と、a)複数の陰イオン性供与部位=x、b)金属と配位結合を形成することができる複数の中性供与部位=yと有し、c)ここでx+y=5〜8であり、d)xは2〜4であり、e)配位子分子は、陰イオン性供与部位および中性供与部位のそれぞれが同一の金属原子との結合を形成させることができる大きさおよび配座を有する有機多座配位子との中性錯体であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン化合物の製造で有用な触媒として、特に加水分解に対して安定な特定の有機金属化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン材料は、2つ以上のイソシアナート官能基を有する化合物、すなわちポリイソシアナートと、2つ以上のヒドロキシル官能基を有する化合物、すなわちポリオールを一緒に反応させることによって製造される。大抵の場合、反応を促進させ、完全かつ再現可能な反応条件を確保するために、その反応混合物に触媒が添加される。ポリウレタン製造用の様々な触媒が知られかつ使用されており、最も一般的なものは、スズまたは水銀の化合物および有機アミン化合物である。多くの場合において、金属触媒が、効率的かつ非常に有効であるために好まれている。ポリウレタン商品に重金属触媒が使用されることは現在では望ましくないかもしれないが、これ以外の金属は、特に貯蔵寿命および加水分解に対する安定性の点で不都合を有する。特にチタン化合物は、例えば水銀と比較した場合、低毒性で経済的な代替物を提供する可能性を有している。チタン、ならびにアルミニウムおよびジルコニウムなどの他の金属の化合物に関する問題は、それらが非常に有効な触媒だが、水の存在下で急速に加水分解されて、触媒活性の低い化合物、あるいは不活性な化合物になることである。
【0003】
発泡体など、ポリウレタン化合物の中には、少量の水が添加されている反応混合物から製造されるものもある。そのような場合には、触媒は、水の存在下で安定でなければならないことは明らかである。その他の場合では、二液型ポリウレタン反応混合物に含まれるポリオール組成物は、ポリオール類の多くが吸湿性であるため、水を含有する。ポリウレタンの供給プロセスでは、通常ポリオール含有部分に既に触媒が存在する二液型ポリウレタン調合物をエンドユーザーに供給することは一般的なことである。次いで、エンドユーザーは、二液を混合し、その混合物を成形・硬化してポリウレタン材料を形成する。従って、触媒を含有するポリオールは、製造から使用までの期間安定でなければならず、この期間は、その用途に応じて数ヶ月になることもある。触媒/ポリオール混合物が安定でない場合、触媒活性の変化は、触媒の有効性に大きな影響を与え、その結果、硬化ポリウレタンの特性に大きな影響を与える可能性がある。従って、水銀またはスズと比較した場合、比較的毒性が低く、長期間にわたるポリオールとの接触に対して安定であり、さらには、現在使用されている化合物の代わりに使用される触媒として十分な活性度の金属化合物を触媒として使用することが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、先行技術の触媒に関する問題の少なくともいくつかを克服する化合物を提供することにある。
【0005】
本発明によれば、ポリオール含有組成物、ポリイソシアナート化合物および触媒を混合し、該混合物を硬化させてポリウレタンを形成することによるポリウレタン組成物の製造方法であって、該触媒が加水分解に安定なTi、Zr、Hf、Al、Fe、BiまたはSnの化合物であることを特徴とする方法が提供される。
【0006】
本発明の第2の側面によれば、ポリオール含有組成物、ポリイソシアナート化合物および触媒を混合し、該混合物を硬化させてポリウレタンを形成することによるポリウレタン組成物の製造方法であって、該触媒がTi、Zr、Hf、Al、Fe、BiまたはSnから選択される金属と有機多座配位子との錯体であり、該有機多座配位子が、
a)複数の陰イオン性供与部位=xと、
b)該金属と配位結合を形成することができる複数の中性供与部位=yと、
を有し、
c)ここでx+y=5〜8であり、
d)xが2〜4であり、
e)該配位子分子が、該陰イオン性供与部位および中性供与部位のそれぞれに同一の金属原子との結合を形成させることができる大きさおよび配座を有し、かつ、該錯体が中性であることを特徴とする方法が提供される。
【0007】
好ましくは、該配位子形成分子は、各供与部位が少なくとも1つの他方の供与部位に対してβまたはγ位にある構造を有する。好ましい化合物では、該配位子−金属錯体は、該金属−配位子結合の数が6である構造を有する。
【0008】
該陰イオン性供与部位は、好ましくは−Oまたは−Nを含む。該中性供与部位は、好ましくはN、OまたはP原子を含み、より好ましくはNまたはO原子を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、実施例6のゲル化時間のグラフである。
【図2】図2は、実施例6のカップ上端時間のグラフである。
【図3】図3は、実施例6の膨張終了時間のグラフである。
【図4】図4は、実施例1のX線結晶解析で得られた結晶構造である。
【図5】図5は、実施例8の結果のプロット図である。
【図6】図6は、実施例8の結果のプロット図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の好ましい態様では、触媒は、Ti、Zr、Hf、Al、Fe、BiおよびSnから選択される金属の化合物と下記式:
[HO(OC)(CRY−(CR−Y[(CR(CO)OH](式I)
(式中、
Yは、PおよびNから選択されるが、Nが非常に好ましく、
各R、R、RおよびRは、H、アルキル、アリール、置換アルキルまたは置換アリールから独立して選択され、
各zは、独立して1、2、3または4であり、
xは、Y原子間のC原子の最小数を表しかつ2または3であり、
各wは独立して0または1である)を有する配位子形成化合物との反応生成物である有機金属化合物を含む。
【0011】
本発明の別の態様では、触媒は、下記式II:
M(HO(OC)(CR(O(OC)(CRY−(CR−Y((CR(CO)O)((CR(CO)OH)(式II)
(式中、
Mは、Ti、Zr、Hf、Al、FeおよびSnから選択される金属原子であり、
Yは、PおよびNから選択されるが、Nが非常に好ましく、
各R、R、RおよびRは、H、アルキル、アリール、置換アルキルまたは置換アリールから独立して選択され、
dおよびaはそれぞれ0または1であり、
bおよびcはそれぞれ1または2であり、
b+c=Mの原子価であり、
a+b+c+d=4であり、
各zは、独立して1、2、3または4であり、
xは、Y原子間のC原子の最小数を表しかつ2または3であり、
各wは独立して0または1である)の化学式を有する有機金属化合物を含む。
【0012】
金属Mは、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、鉄(III)、ビスマスおよびスズ(IV)から選択される。特に好ましい金属としては、チタンおよびジルコニウムが挙げられ、特にチタンが好ましい。
【0013】
Yは、酸素、窒素またはリンを表すが、最も好ましくは窒素原子である。Y原子は、金属と配位結合を形成してその錯体を安定させることができる。理論に束縛されることは望まないが、Nの電子構造は、特に、その錯体におけるそのような結合の形成の影響を受けやすいと考えられている。
【0014】
各RおよびRは、互いにRおよびRと同じであっても異なっていてもよい。これは、式IおよびIIにおいて、(CR部分もそれぞれ同じであっても異なっていてもよいことを意味する。それらは、H、アルキル、アリール、置換アルキルまたは置換アリールから選択することができる。Rおよび/またはRがアルキルまたは置換アルキルである場合には、アルキル基は、好ましくは1〜12個、より好ましくは1〜8個の炭素原子を含み、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。Rおよび/またはRがアリールまたは置換アリール基である場合には、好ましくはフェニル基または置換フェニルである。−(CR−基は、例えばアリールまたはシクロアルキル環などのより大きい構造の一部を形成していてもよく、そのような場合には、RおよびRは、互いに結合しているか、z>1である場合には別のCR部分に結合していてもよい。好ましい態様では、RおよびRはそれぞれ水素原子またはメチル基である。好ましい一化合物では、RおよびRはそれぞれ水素原子である。
【0015】
およびRは互いに同じであっても異なっていてもよい。それらは、H、アルキル、アリール、置換アルキルまたは置換アリールから選択することができ、RおよびRに関して記載されている同じ基から選択されてもよい。RおよびRは、Rおよび/またはRと同じであっても異なっていてもよい。−(CR−は、2つのY原子間の架橋基である。xは、これら2つのY原子間のC原子の数を表し、好ましくは2または3であるため、Y原子がそれぞれ配位結合を形成する場合、金属、Y原子および架橋基−(CR−は一緒になって5員環または6員環を形成する。架橋基−(CR−は、例えばアリールまたはシクロアルキル環などのより大きい構造の一部を形成していてもよく、そのような場合には、RおよびRは、互いに結合しているか、x>1である場合には別のCR部分に結合していてもよい。好ましい一態様では、RおよびRはそれぞれ水素原子またはメチル基であり、より好ましくは水素原子である。好ましい一化合物では、RおよびRはそれぞれ水素原子である。
【0016】
、R、RおよびRを適切に選択することによって、当該化合物は、CRまたはCR炭素原子の1つまたは2つ以上でキラルであってもよい。
【0017】
w=0の場合、HO(OC)(CRはアルコール基であり、配位子形成化合物は、金属−酸素−炭素結合を形成することができる反応性ヒドロキシル基を有する。w=1の場合、HO(OC)(CRは、金属と反応してカルボキシラート結合を形成することができるカルボン酸基である。当該化合物は、カルボン酸基およびヒドロキシル官能基の組み合わせを有していてもよい。すなわち、式IおよびII中の各wは、同じであってもよいが、同じでなくてもよい。
【0018】
各zは、1、2、3または4であり、互いのzと同じであっても異なっていてもよい。w=0の場合、zは好ましくは少なくとも2であり、より好ましくは2または3であり、w=1の場合、zは好ましくは1または2であり、そのような場合には、金属、−O(CR部分およびY原子は一緒になって有機金属化合物中に5員環または6員環を形成していてもよい。
【0019】
本発明の有機金属化合物は、式Iの化合物と金属化合物との反応によって形成されたキレートである。金属Mの原子価が4である場合、これら4つのヒドロキシルまたはカルボン酸官能基の一部またはすべては、金属と反応して金属酸素共有結合を形成することができる。この場合、式II中のbおよびcはそれぞれ2であり、dおよびaはどちらも0である。Mの原子価が4未満である場合、すべての官能基が常に反応できるとは限らないため、未反応のヒドロキシル基がそのキレート中に存在することもある。ただし、これらのヒドロキシル基は、金属Mとの配位結合を形成し、その結果、キレートの安定に関与することもある。Mが3価金属である場合、式IIでは、a=1、b=1、c=2およびd=0である。
【0020】
好ましい配位子形成化合物は、(HO(CHN−(CH−N((CHOH)、すなわち、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミンを含み、この化合物は、THEEDとして知られており、本明細書でもそのように表される場合がある。好ましい一態様では、当該有機金属化合物は、N,N,N’,N’−テトラキス(2−エトキシ)エチレンジアミンチタンTi(TOEED)を含む。これは新規化合物であると考えられる。この化合物は、加水分解に対して非常に安定であり、そのため、水が存在する反応のための触媒として使用することができる。第2の好ましい配位子形成化合物は、(HOCH(CH)CHN−(CH−N(CHCH(CH)OH)、すなわち、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンを含み、この化合物は、THPEDとして知られており、本明細書でもそのように表される場合がある。THPEDから生成される好ましい触媒は、N,N,N’N’−テトラキス−(2−オキシプロピル)エチレンジアミンチタン(Ti(TOPED)として知られており、本明細書でもそのように表される場合がある)である。別の好ましい配位子形成化合物は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)である。
【0021】
本発明の一態様では、ポリオール含有組成物、ポリイソシアナート化合物および下記実験式:
M(HO(CR(O(CRY−(CR−Y((CRO)((CROH)・nROH
(式中、a、b、c、d、x、z、すべてのR1〜4およびYは、式IIについて上に記載されているものと同じである)を有する水和化合物を含む触媒を混合することによるポリウレタン組成物の製造方法が提供される。nの値は、金属およびその配位数によって決まる。Mが、酸化状態が4でありかつ上記化合物中で7配位であると考えられるチタンまたはスズ(IV)などの金属である場合、n=1である。Mが、酸化状態が4でありかつ配位数が8であるジルコニウムまたはハフニウムなどの金属である場合には、n=1または2である。Rは、水素、アルキル基またはヒドロキシ官能基を有するアルキル基であるため、ROHは、水、アルキルアルコール、ジオールまたはポリオールを表す。好ましい水和化合物としては、N,N,N’,N’−テトラキス(2−エトキシ)エチレンジアミン金属水和物、N,N,N’,N’−テトラキス(2−プロポキシ)エチレンジアミン金属水和物が挙げられ、ここで金属はチタン、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、鉄(III)およびスズ(IV)から選択される。これらの化合物の水和物は、加水分解に対して特に安定であり、触媒活性を著しく損失することなく長期間にわたって水と接触させて保存することができる。水和化合物は、非水和化合物を水と混合した場合に生成される。従って、水和化合物は、反応混合物中に水と共に存在する場合にはその場生成される可能性もある。従って、触媒が非水和物のTi(TOEED)を含み、水含有ポリオール組成物中に保存されている場合には、さらなる加水分解への耐性を有する安定な水和物がその場生成されることもある。ROHがアルコール(またはジオールなどのポリオール)である場合には、アルコールは金属に配位してその錯体を安定させる。水が存在する場合には、水安定化錯体およびアルコール安定化錯体は平衡状態で存在する。
【0022】
本発明の有機金属化合物は、金属化合物と少なくとも1つの配位子形成化合物とを撹拌しながら混合することによって調製することができる。これらの反応物は任意の順序で添加することができる。必要であれば、加熱または冷却してもよい。有機金属化合物が2種以上の配位子を含む場合には、配位子を必要な割合で混合した後、金属アルコキシドなどの金属化合物を、配位子の混合物に添加してもよい。あるいは、2種以上の配位子が必要な場合には、金属と第1の配位子との間に金属キレートを形成した後、第2の配位子をそのキレートに添加して、混合配位子金属キレートを形成してもよい。有機金属化合物が、チタンアルコキシドへの配位子化合物の添加によって生成されたN,N,N’,N’−テトラキス(2−エトキシ)エチレンジアミンチタン(すなわちTi(TOEED))を含む場合は、この反応はかなり高温となる。配位子形成化合物と金属化合物との反応からの少なくとも一種の副生成物は、生成物の性質に応じて、蒸留、誘導体化または他の分離手段などの好適な手段によって反応混合物から除去することができる。金属ハロゲン化物またはアルコキシドをその出発金属化合物として使用する場合の副生成物は、例えば、ハロゲン化水素またはアルコールである。あるいは、所望であれば、副生成物を最終生成物中に残してもよい。必要であれば、好適な溶媒の存在下で反応を行なうことができる。
【0023】
金属化合物を、配位子形成化合物中に存在する少なくとも1つのヒドロキシル基と反応させて金属−酸素結合を形成することができる。好適な金属化合物としては、金属ハロゲン化物類、金属アルコキシド類、金属ハロアルコキシド類、カルボン酸金属塩類およびこれらの化合物の混合物が挙げられる。典型的なアルコキシド類は、一般式M(OR)(式中、Mは、Ti、Zr、Hf、Sn、AlまたはFeであり、xは、金属の酸化状態、すなわち3または4であり、Rは置換または無置換の環状または直鎖状アルキル、アルケニル、アリールまたはアルキル−アリール基あるいはその混合物である)を有する。Rは、好ましくは最大8個の炭素原子、より好ましくは最大6個の炭素原子を含む。一般に、すべてのOR基は同一であるが、アルコール混合物に由来するアルコキシドを使用することができ、2種類以上の金属がその錯体中に存在する場合には、アルコキシド混合物を用いることができる。金属がチタンである場合には、好ましいチタン化合物としては、一般式Ti(OR)(式中、Rは、好ましくは1〜8個の炭素原子を有するアルキル基であり、各R基は、他のR基と同じであっても異なっていてもよい)を有するチタンアルコキシド類が挙げられる。特に好適な金属化合物としては、四塩化チタン、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラ(n−プロポキシド)、チタンテトラ(n−ブトキシド)、チタンテトラエトキシド(チタン酸テトラエチル)、ジルコニウムn−プロポキシド、ジルコニウムブトキシド、ハフニウムブトキシド、スズイソプロポキシド、スズブトキシド、四塩化スズおよび四臭化スズ、アルミニウムsec−ブトキシド、三塩化アルミニウム、塩化鉄(III)、アルミニウムトリメトキシド、オクチル酸ビスマス、鉄トリメトキシド、アルミニウムトリエトキシド、鉄トリエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、鉄トリイソプロポキシド、アルミニウムトリ(n−プロポキシド)、鉄トリ(n−プロポキシド)、アルミニウムトリ(tert−ブトキシド)、鉄トリ(tert−ブトキシド)、および鉄トリ(sec−ブトキシド)が挙げられる。
【0024】
有機金属化合物は、さらなるキレート化配位子を含んでいてもよい。そのような化合物は、下記実験式:
M(HO(CR(O(CRY−(CR−Y((CRO)((CROH)(L)
(式中、M、a、b、c、d、x、z、すべてのR1〜4およびYは、式IIについて上に記載されているものと同じである)を有していてもよい。nの値は、金属およびその配位数によって決まる。Mが、酸化状態が4のチタンまたはスズ(IV)などの金属であり、上記化合物において7配位であると考えられる場合には、n=1である。Mが、酸化状態が4であり、配位数が8であるジルコニウムまたはハフニウムなどの金属である場合には、n=1または2である。さらなるキレート化配位子Lは、単座または二座配位子であり、好ましくは、アセチルアセトン(ペンタンジオン)およびt−ブチルアセチルアセトン(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン)などのβ−ジケトン;アセト酢酸エチルおよび他のアセト酢酸アルキル類などのβ−ケトエステル類;N,N−ジエチルアセトアセタミドなどのβ−ケトアミド類;リン酸塩類およびリン酸モノおよび/またはジアルキル類などのリン酸エステル類;有機スルホン酸類、リン酸、イソステアリン酸、サリチル酸などの有機カルボン酸類、フェノール類、クエン酸、乳酸、マンデル酸などのα−ヒドロキシ酸類を含む1つまたは2つ以上の化合物に由来する。この種の特に好ましい化合物としては、
Ti(N,N,N’,N’−テトラキス(2−オキシアルキル)エチレンジアミン)、
Ti(N,N,N’,N’−(2−オキシアルキル)(2−ヒドロキシアルキル)エチレンジアミン)(ペンタンジオナト)、
Ti(N,N,N’,N’−(2−オキシアルキル)(2−ヒドロキシアルキル)エチレンジアミン)(エチルアセトアセタト)、
Ti(N,N,N’,N’−(2−オキシアルキル)(2−ヒドロキシアルキル)エチレンジアミン)(N,N−ジエチルアセトアセタミド)、
Ti(N,N,N’,N’−(2−オキシアルキル)(2−ヒドロキシアルキル)エチレンジアミン)(イソステアラート)、
Ti(N,N,N’,N’−(2−オキシアルキル)(2−ヒドロキシアルキル)エチレンジアミン)(サリチラート)、
Ti(N,N,N’,N’−(2−オキシアルキル)(2−ヒドロキシアルキル)エチレンジアミン)(マンデラート)、
Ti(N,N,N’,N’−(2−オキシアルキル)(2−ヒドロキシアルキル)エチレンジアミン)(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)
(ここで、オキシアルキルは、オキシエチル、オキシプロピルまたはオキシブチルであってもよい)、およびこれらの化合物のジルコニウム類似体が挙げられる。追加量のさらなるキレート化配位子がこれらの組成物中に存在していてもよい。
【0025】
特定の態様では、触媒組成物は、上記で記載された有機金属キレート化合物と、有効な三量化触媒となるように選択された共触媒とを含む。共触媒は、好ましくは、第4級アンモニウム化合物およびアミン類から選択される有機窒素含有化合物である。有機アミン類は、ポリウレタン組成物を硬化させる触媒として周知であるが、本発明の重要な特徴は、共触媒が、イソシアナート基と別のイソシアナート基またはウレタン基とを反応させて三量体、アロファナートまたはビウレット部分を形成するのに有効であり、それにより、触媒組成物にポリウレタン材料中に架橋を形成させて、頑丈なポリウレタン製品を製造するために必要な物理的特性を達成することができるということである。三量化は、ポリイソシアナート類およびイソシアナート末端ポリウレタン分子と他のイソシアナート基とを反応させて、ポリイソシアヌラートとして知られている安定な三量体を形成することによって得られる。共触媒は、芳香族イソシアナートと混合される場合には、好ましくは、80℃未満の温度で三量体を形成することができる。好適な共触媒としては、アミン類、例えば、POLYCAT(商標)41、NIAX(商標)C−41、JEFFCAT(商標)TR41、LUPRAGEN(商標)N600、JEFFCAT(商標)TR90およびTOYOCAT(商標)−TRCの商品名で入手可能な、1,3,5トリス(3−(ジメチルアミノ)プロピル)ヘキサヒドロ−s−トリアジンなどのN、N’,N’’−トリス(N,N’−(ジアルキルアミノ)アルキル)ヘキサヒドロ−s−トリアジン類;1,3,5−トリス(N,N−ジメチル−2−アミノエチル)−s−ヘキサヒドロトリアジン、1,3,5−トリス(N,N−ジメチル−2−アミノプロピル)−s−ヘキサヒドロトリアジン、1,3,5−トリス(N,N−ジエチル−2−アミノエチル)−s−ヘキサヒドロトリアジン;1,3,5−トリス(N,N−ジエチル−3−アミノプロピル)−s−ヘキサヒドロトリアジン、1,3,5−トリス(N,N−ジプロピル−2−アミノエチル)−s−ヘキサヒドロトリアジン、例えば、POLYCAT(商標)5、POLYCAT(商標)9、DABCO(商標)F02051、POLYCAT(商標)SA−1、POLYCAT(商標)DBUとして販売されているペンタメチルジエチレントリアミン、DABCO TMR-13として販売されている三量化アミン類の特許混合物、POLYCAT(商標)12の商品名で販売されているN−メチルジシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N、N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロパンジアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、トリエチレンジアミン類、モノ(ジアルキルアミノアルキル)フェノール類、ジメチルアミノエトキシエタノール(DABCO DMAEE、JEFFCAT(商標)ZR−70として販売されている)などのジアルキルアミノアルコキシアルコール類、および2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(例えば、DABCO(商標)TMR−30、JEFFCAT(商標)TR30)などの2,4,6トリス(アルキルアミノアルキル)フェノール類が挙げられる。好ましい三量化触媒は、N,N’,N’’−トリス(N,N’−(ジアルキルアミノ)アルキル)ヘキサヒドロ−s−トリアジン類、特に、1,3,5−トリス(3−ジメチルアミノプロピル)−s−ヘキサヒドロトリアジンと表すこともできる1,3,5−トリス(N,N−ジメチル−3−アミノプロピル)−s−ヘキサヒドロトリアジンである。
【0026】
他の好適な三量化触媒としては、酸素含有酸、特にカルボン酸類、スルホン酸類、ならびに、リン酸、ホスホン酸およびホスフィン酸などのリン含有酸類およびそれらのアルキルエステル類のアルカリ金属塩または、より好ましくは第4級アンモニウム塩が挙げられる。カルボン酸類、スルホン酸類およびリン含有酸類は、場合によっては、米国特許第4540781号に記載されているように、さらなるエステルまたはアミド官能基を含んでいてもよい。第4級アンモニウム塩を含む三量化触媒の好適な例としては、DABCO(商標)TMR、カルボン酸ヒドロキシアルキルトリアルキルアンモニウム類、例えば、オクチル酸2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム、ギ酸2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム、DABCO(商標)TMR−2、DABCO(商標)TMR−3、ギ酸ヒドロキシアルキルアンモニウム、DABCO(商標)TMR−5、CURITHANE(商標)52、ADDOCAT(商標)1594、オクチル酸メチルトリエチルアンモニウム、ギ酸メチルトリエチルアンモニウム、オクチル酸N−8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセンが挙げられる。N,N−ジアルキルアセトアセタミド、例えば、N,N−ジエチルアセトアセタミド、または2,3−ジアルキルテトラヒドロピリミジン、例えば、2,3−ジメチルテトラヒロドピリミジン、などの他の化合物が好適な場合もある。また、グリシン酸ナトリウムおよび他のアルカリ金属化合物が好適な場合もある。DABCO、CURITHANEおよびPOLYCATはAir Products Incの商標であり、JEFFCATは、Huntsman Incの商標であり、ADDOCATは、RheinChemie Groupの商標であり、TOYOCATは、Tosoh Corporationの商標である。
【0027】
触媒組成物中の有機金属化合物および共触媒(存在する場合)の相対量は、ウレタン生成(すなわち、ゲル化活性)と架橋との最適化されたバランスを与えるようなものでなければならないため、使用される割合は、使用される触媒化合物、ポリオールおよびイソシアナートの性質ならびに最終製品で必要とされる特性によって決まる。通常、触媒組成物中の有機金属化合物および共触媒の量は、有機金属化合物の1〜20重量部(pbw)および共触媒の1〜20pbwである。好ましくは、有機金属化合物の共触媒に対する相対量は、1:10〜2:1(重量比で表される有機金属化合物:共触媒)の範囲である。有機金属化合物および共触媒を混合して混合触媒組成物を生成することが好ましく、その混合触媒組成物は液相中に存在することが好ましい。あるいは、あまり好ましくはないが、有機金属化合物および共触媒を、ポリウレタン反応物(すなわち、ポリオール組成物またはポリイソシアナート化合物)の一方に別々に添加する。
【0028】
金属キレート化合物は、その水中での安定性によって、水が存在するポリウレタン類製造用の組成物における使用に好適となる。例えば、特に組成物が発泡体または水系被覆物の製造における使用のために調製されている場合には、触媒を相当量の添加された水を含有するポリオール組成物に組み込んでもよい。ポリウレタン調合物で、例えば、炭酸カルシウムなどの充填剤等の添加剤を使用すると、水がその組成物中に組み込まれることが多い。
【0029】
上記触媒を含有するポリウレタン材料の製造で使用される組成物も本発明の範囲に含まれる。そのような組成物は、ポリオールおよびポリイソシアナートのうちの少なくとも1つ、触媒ならびに場合によっては少なくとも1種の他の添加剤を含む。ポリオール、ポリイソシアナートおよび添加剤については以下にさらに説明するが、それらは限定的なものではなく、ポリウレタン組成物の調合において当業者に周知である。
【0030】
本発明で使用される触媒は、そのままで(特に、その組成物自体が液体である場合)供給されても、溶媒または希釈剤を含有する調合された組成物として供給されてもよく、溶媒または希釈剤は触媒組成物の総重量(すなわち、希釈剤を含む)の最大90重量%、より好ましくは最大50重量%に相当する量で存在していてもよい。溶媒または希釈剤は、水、アルコール、ジオールまたはポリオール、別のプロトン性溶媒またはグリセリン系油、特にヒマシ油、菜種油などの天然由来の油を含んでいてもよい。ポリウレタン調合物に使用されるポリオール、ポリイソシアナートまたはプレポリマーと混和可能な任意の他の希釈剤を使用してもよい。いくつかの調合物では、1,4−ブタンジオールまたはジエチレングリコールのような鎖延長剤として機能し得るジオールまたはポリオールなどのポリウレタン反応成分中に既に存在するか、あるいは、ポリウレタン反応成分と適合する液体成分を希釈剤として使用することが好ましい。好ましい希釈剤としては、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、グリセリン、並びにヒマシ油及び菜種油などの天然油が挙げられる。
【0031】
本発明の方法は、ポリオールなどのヒドロキシル官能基を有する分子とポリイソシアナートなどのイソシアナート官能基を有する分子とを反応させて、エラストマー、接着剤、発泡体、成形可能な可塑性材料、被覆物の形態または任意の他の有用な物理的形態のポリウレタンを形成することを含む。この反応は、多くの市販の二成分ポリウレタン系の基礎を形成する。
【0032】
ポリオール成分は、ポリウレタン類の製造に好適な任意のものであればよく、ポリエステル−ポリオール類、ポリエステル−アミドポリオール類、ポリエーテル−ポリオール類、ポリチオエーテルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、ポリアセタールポリオール類、ポリオレフィンポリオール類、ポリシロキサンポリオール類が挙げられ、上記種類のポリオール類の付加または縮合ポリマー分散液または溶液は、「高分子」ポリオール類と称されることが多い。非常に幅広い種類のポリオール類が先行技術に記載されており、ポリウレタン材料の調合者には周知である。
【0033】
通常、ポリオールの混合物は、特定の物理的特性を有するポリウレタンを製造するために使用される。1種のポリオールまたは2種以上のポリオールが、調合者の要望に合わせて調整された分子量、骨格型およびヒドロキシ官能基を有するように選択される。ポリオール組成物は、多くの場合、1,4−ブタンジオールまたはジエチレングリコールなどの比較的短鎖のジオールまたは低分子量ポリエチレングリコールである鎖延長剤を含んでいてもよい。また、商業用途の別の鎖延長剤、例えば、MOCA(4,4−メチレンビス(2−クロロアニリン))などのジアミン類を使用してもよい。
【0034】
本発明の触媒と共に使用するのに好適なポリウレタンの製造に使用されるイソシアナート組成物は、目的に対して商業的に有用な任意の有機ポリイソシアナート化合物または有機ポリイソシアナート化合物の混合物であってもよい。好ましくは、ポリイソシアナートは室温で液体である。好適な有機ポリイソシアナート類としては、ジイソシアナート類、特に、芳香族ジイソシアナート類、およびより多くの官能基を有するイソシアナート類が挙げられる。好適な有機ポリイソシアナート類の例としては、ヘキサメチレンジイソシアナートおよびイソホロンジイソシアナートなどの脂肪族イソシアナート類;m−フェニレンジイソシアナートおよびp−フェニレンジイソシアナート、トリレン−2,4−ジイソシアナートおよびトリレン−2,6−ジイソシアナート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナート、クロロフェニレン−2,4−ジイソシアナート、ナフチレン−1,5−ジイソシアナート、ジフェニレン−4,4’−ジイソシアナート、4,4’−ジイソシアナート−3,3’−ジメチル−ジフェニル、3−メチルジフェニルメタン−4,4’−ジ−イソシアナートおよびジフェニルエーテルジイソシアナートなどの芳香族イソシアナート類;およびシクロヘキサン−2,4−ジイソシアナートおよびシクロヘキサン−2,3−ジイソシアナート、1−メチルシクロヘキシル−2,4−ジイソシアナートおよび1−メチルシクロヘキシル−2,6−ジイソシアナートなどの脂環式ジイソシアナート類、およびそれらの混合物、ならびに、ビス−(イソシアナートシクロヘキシル)メタン、および2,4,6−トリイソシアナートトルエンおよび2,4,4−トリ−イソシアナートジフェニルエーテルなどのトリイソシアナート類が挙げられる。
【0035】
イソシアヌラート、カルボジイミドまたはウレトンイミン基を含む変性ポリイソシアナート類を使用してもよい。また、ポリイソシアナートは、過剰なジイソシアナートまたはより多くの官能基を有するポリイソシアナートと、ポリオール、例えばポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールとの反応によって製造されるイソシアナート末端プレポリマーであってもよい。プレポリマーの使用は、市販のポリウレタン系では一般的である。このような場合、ポリオール類はイソシアナートまたはプレポリマー中に既に組み込まれていてもよく、同時に、重合前に鎖延長剤(例えばポリオール類)などのさらなる成分をイソシアナートプレポリマー混合物と混合してもよい。
【0036】
イソシアナートの混合物、例えば、2,4−異性体および2,6−異性体の市販の混合物などのトリレンジイソシアナート異性体の混合物は、本発明のオルガノ金属組成物と共に使用してもよい。また、ジイソシアナートと三量体(イソシアヌラート類)またはプレポリマーなどのそれよりも多官能のポリイソシアナートとの混合物を使用してもよい。ポリイソシアナート混合物は、場合によっては、p−エチルフェニルイソシアナートなどの単官能イソシアナート類を含んでいてもよい。
【0037】
触媒は通常、ポリオール成分とイソシアナート成分とを混合してポリウレタンを形成する前にポリオールに添加される。触媒とポリオール成分との混合物は、混合後でありかつポリウレタンの形成に使用する前に保存してもよい。
【0038】
本発明の触媒組成物、ポリオールおよびそれらと反応する化合物を含有する組成物は、鎖調整剤、希釈剤、難燃剤、発泡剤、離型剤、水、カップリング剤、リグノセルロース保存剤、殺菌剤、ワックス類、サイズ剤、充填剤、着色剤、衝撃改質剤、界面活性剤、揺変剤、難燃剤、可塑剤、および他の結合剤などの慣用の添加剤をさらに含んでいてもよい。また、発泡触媒および二次触媒(例えばアミン類)などのさらなる触媒も存在していてもよい。ポリウレタン組成物用の調合物中に含有させるためのこれらの材料および他の材料の選択は当業者に良く知られており、特定の目的に合わせて選択することができる。混合物が硬化されている場合には、後硬化を可能にするようにさらに調整してもよい。通常、これは、被覆物などのポリウレタン物品が、離型などの操作が行われ、次いで、例えばオーブンに入れて高温で維持することが可能となる状態まで硬化されて物品の完全な硬化特性を発現または強化する場合に起こる。
【0039】
本発明の方法および組成物は、ポリウレタン発泡体、軟質または硬質物品、被覆物、接着剤、エラストマー、封止剤、可塑性ポリウレタン類、および結合剤の製造で有用である。また、本発明の触媒は、硬化によりポリウレタン物品またはより大きい分子量を有する組成物を得るためにエンドユーザーに供給されるポリウレタンプレポリマー、すなわち、比較的低い分子量を有するウレタンポリマーの調製においても有用である。
【0040】
触媒は通常、反応系の総重量に対して、すなわち、ポリイソシアナートとポリオール成分の総重量に対して1×10−4〜10重量%の範囲、好ましくは最大約2重量%の濃度が得られるように、イソシアナートおよび/またはポリオール混合物中に存在する。
【0041】
以下の実施例において本発明をさらに説明する。
【実施例】
【0042】
実施例1:Ti(TOEED)の調製
236g(1モル)のN,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン(THEED)(Sigma−Aldrich/Fluka社製)を、284g(1モル)のテトラ(イソプロポキシ)チタン(VERTEC(商標)TIPT、Johnson Matthey Catalysts社製)に撹拌しながらゆっくりと添加して透明な黄色溶液を得た。この反応で生成したイソプロパノールを減圧下で回転蒸発によって除去してN,N,N’,N’−テトラキス(2−エトキシ)エチレンジアミンチタン(Ti(TOEED))の淡黄色粉末(280g)を得た。
【0043】
上記化合物を水に溶解して10%w/wの水溶液を生成した。この溶液を1時間沸騰させた後、蒸発によって水を除去した。得られた淡黄色粉末は出発材料と同じ化合物であることが分かり、上記化合物は使用条件下で加水分解に対して安定であることを示していた。この黄色粉末を、クロロホルムから再結晶化させ、H−NMR、元素分析およびX線結晶解析法よって決定される結晶構造を用いて分析した。
【0044】
NMR分析によって(テトラメチルシラン(TMS)に対する)以下の化学シフトデータ(ここで、mは多重線を表す)が得られ、N,N,N’,N’−テトラキス(2−エトキシ)エチレンジアミンチタンの存在と一致していた:
1H NMR (400 MHz); 4.86-4.72 (2H, m), 4.72-4.60 (2H, m), 4.60-4.52 (1H, m), 4.52-4.43 (1H, m), 4.16-4.08 (1H, m), 4.08-4.01 (1H, m), 3.64-3.52 (2H, m), 3.43-3.31 (2H, m), 3.31-3.16 (2H, m), 3.12-3.01 (1H, m), 2.97-2.71 (5H, m).
元素分析によって以下のデータが得られた:
実測値: C: 42.43%; H: 7.19%; N: 9.79%.
[Ti(THEED)]の理論値: C: 42.87%; H: 7.20%; N: 10.00%.
Ti含有量(重量%):実測値:16.98%、[Ti(TOEED)]の理論値:17.08%
この結晶構造を図4に示す。この構造は、図中でO1およびO5で示されている2つの酸素原子によって架橋されている2つのTi中心を有する二量体であると思われる。
【0045】
実施例2
Ti(TOEED)(0.513g)を脱イオン水(1.212g)に溶解し、この懸濁液を固形物がすべて溶解するまで60℃で30分間撹拌した。
【0046】
実施例3
Ti(TOEED)(0.512g)をジエチレングリコール(1.235g)に溶解し、この懸濁液を固形物がすべて溶解するまで105℃で60分間撹拌した。
【0047】
実施例4
Ti(TOEED)(0.520g)を変性エタノール(1.222g)に溶解し、この懸濁液を固形物がすべて溶解するまで40℃で30分間撹拌した。
【0048】
実施例5
テトラ(イソプロポキシ)チタン(1モル、284g)を回転蒸留フラスコに添加した。ここに、温度を50℃未満に維持しながら、2モルのトリエタノールアミン(TEA)(298g)をゆっくりと添加し、この溶液(Ti(TEA)(IPA)+2IPA)を40℃で30分間混合した。
【0049】
実施例6:ポリウレタン発泡体を調製するための触媒の使用
ポリオール組成物を表1に示すように調製した。十分な量の水をポリオール組成物に添加し、使用する水の全量(触媒の調製に含まれるあらゆる水を含む)を2.7部とした。
【0050】
上記ポリオール組成物を、調製直後あるいは25℃での保存期間後のいずれかにポリウレタン発泡体を製造するために使用した。500mlのカップ内でポリオール組成物と102.3部の市販のポリイソシアナートとを混合して発泡体を調製した。この混合物は、発泡触媒の作用によって膨張し、ゲル化触媒によってポリオールとイソシアナートとの反応が促進され、ポリウレタンが形成されるにつれて発泡体になる。この反応は、発泡体がカップ上端に到達した時間(カップ上端時間)、ゲル化時間および発泡体の膨張が停止した時間(膨張終了時間)を測定して調べた。
【0051】
その結果を図1〜図3にグラフで示す。各プロットにおいて、X軸は、場合に応じて、ゲル化時間、カップ上端時間または膨張終了時間を示し、時間が長いのは、反応性が低い触媒であることを表している。Y軸は、触媒を含有するポリオール組成物がポリイソシアナートとの混合前に保存された時間(単位:時間)を示す。なお、周囲温度は発泡体の調製中一定ではなく、テスト中に生じるより温かい温度によって240時間後に反応速度は上昇している。実施例2の触媒は、保存時間とは無関係に非常に一貫した挙動を示す。これは、上記触媒が加水分解に安定であり、そのため比較的長い貯蔵寿命を必要とする組成物に使用し得ることを示している。一方、VERTEC TAAチタンアセチルアセトナート触媒は、非常に急速に活性を失い、ポリオール組成物中に保存すると活性が低下し続ける。
【0052】
【表1】

【0053】
実施例7
TIPT:アセチルアセトンのモル比を1:2にして、チタン酸テトライソプロピル(VERTEC(商標)TIPT)とアセチルアセトンとを反応させた。この反応は発熱性であり、その溶液は橙色/黄色に変化した。ここに、1モルのN,N,N’,N’−テトラ(ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンを添加した後、その錯体を60℃で30分間加熱し、1,3−プロパンジオール:金属錯体の重量比が90%:10%になるまで1,3−プロパンジオールと混合して触媒1を生成した。この錯体をプロパンジオールに希釈したまま用いて、単独または共触媒と組み合わせたポリウレタンエラストマーを生成した。このエラストマーは、以下の配合で製造した。
(a)ポリオール組成物を表2に示す配合に従って調製し、平衡に達するまで24時間放置した。
(b)プレポリマーの合成
イソシアナート末端プレポリマーを以下の手順に従って調製した。4,4−MDI(1201.7g)を反応器に入れ、液体になるまで加熱した(約60℃)。次いで、2000MWのポリプロピレングリコール(793.3g)を滴下漏斗および60℃に維持された熱を介して反応器に添加した。この混合物を発熱が起こるまで加熱した後、110℃に加熱し、その温度を3時間維持して準プレポリマーを生成した:NCO含有率計算値=18.6%、粘度計算値=300cps。
【0054】
【表2】

【0055】
(c)ポリウレタンエラストマーの調製
ポリオール:プレポリマーの比を101.6重量部:51.98重量部にして(a)に記載のポリオール組成物と(b)に記載のプレポリマーとを反応させてポリウレタンエラストマーを調製した。20〜100gのポリオール側に、(ポリオール+触媒の重量に基づいて)0.3〜0.7重量%の表2に示されている触媒組成物を添加し、その混合物を遠心ミキサーで30秒間混合した。次いで、対応する量のプレポリマーをポリオールに添加し、遠心ミキサーでさらに30秒間混合した。次いで、反応混合物を真空下で脱気した。この混合物の一部を80℃の熱板上に置かれた小型のディスク金型に注入し、その残りを室温(RT)で50mlのプラスチックカップに入れた。そのゲル化時間を、スパチュラと接触した際に取り出される材料がなくなる時間の最も早い時間で記録した。
【0056】
その結果を表3に示す。実施例7で調製した触媒を単独で、あるいはどちらもAir Productsから市販されている三量化触媒P41=POLYCAT(商標)41(1,3,5−トリス(3−(ジメチルアミノ)プロピル)ヘキサヒドロ−s−トリアジン)またはTMR3=DABCO(商標)TMR−3(ヒドロキシアルキルアンモニウムホルマート)との混合物として使用した。市販の水銀含有触媒(HgT535)を比較のために試験した。その結果は、単独で、あるいはDABCO TMR-3またはPOLYCAT 41との組み合わせでの触媒1の使用は、比較的短いゲル化時間を有するポリウレタン類を製造する際に有効であることを示している。
【0057】
【表3】

【0058】
実施例8:ポリウレタンエラストマー
実施例7(a)に記載のポリオール組成物と実施例7(b)に記載のプレポリマーとを、ポリオール:プレポリマーの比を100重量部:52重量部(NCO:OH指数=1.1)にして反応させて機械試験のためのポリウレタンエラストマーの試料を調製した。(ポリオール+触媒の重量に基づいて)0.3〜0.7重量%の表4に示されている触媒組成物を20〜100gのポリオール側に添加し、その混合物を遠心ミキサーで30秒間混合した。次いで、対応する量のプレポリマーをポリオールに添加し、遠心ミキサーでさらに30秒間混合した。次いで、その反応混合物を真空下で脱気し、室温の金型中で硬化させた。次いで、その試料をInstron(商標)機械試験装置を用いて試験した。6回の試験の結果を平均して、比較のために示されている水銀含有触媒を用いて製造されたエラストマーと共に図5および図6にプロットした。
【0059】
【表4】

【0060】
実施例9
チタン酸テトライソプロピル(TIPT)(28.42g)を、N,N,N’,N’−テトラ(ヒドロキシ−2−エチル)エチレンジアミン(23.63g)に連続的に混合しながらゆっくりと添加した。この混合物は温まり、無色の液体が生成した。次いで、得られた溶液を1,4−ブタンジオール(16.73g)に希釈した。
【0061】
実施例10
チタン酸テトライソプロピル(28.42g)を、N,N,N’,N’−テトラ(ヒドロキシ−2−プロピル)エチレンジアミン(29.24g)に連続的に混合しながらゆっくりと添加した。この混合物は温まり、無色の液体が生成した。次いで、得られた溶液をジエチレングリコール(DEG)(22.34g)に希釈した。
【0062】
実施例11
チタン酸テトライソプロピル(28.42g)を、N,N,N’,N’−テトラ(ヒドロキシ−2−ブチル)エチレンジアミン(38.85g)に連続的に混合しながらゆっくりと添加した。この混合物は温まり、無色の液体が生成した。次いで、得られた溶液をDEG(16.73g)に希釈した。
【0063】
実施例12
ジルコン酸n−プロピルのn−プロピルアルコール溶液44.3g(0.1モルのジルコニウム)を、N,N,N’,N’−テトラ(ヒドロキシ−2−エチル)エチレンジアミン(23.631g)に連続的に混合しながらゆっくりと添加した。この混合物は温まり、無色の液体が生成した。次いで、得られた溶液を1,3−プロパンジオール(PDO)(12.07g)に希釈した。
【0064】
実施例13
ジルコン酸n−プロピルのn−プロピルアルコール溶液44.3g(0.1モルのジルコニウム)を、N,N,N’,N’−テトラ(ヒドロキシ−2−プロピル)エチレンジアミン(29.242g)に連続的に混合しながらゆっくりと添加した。この混合物は温まり、無色の液体が生成した。次いで、得られた溶液をPDO(6.46g)に希釈した。
【0065】
実施例14
Ti(N,N,N’,N’−(2−オキシブチル)(2−ヒドロキシブチル)エチレンジアミン)(ペンタンジオナト)
アセチルアセトン(1当量、1.25g)を、実施例11で調製した溶液(10g)に連続的に混合しながらゆっくりと添加すると、黄色液体が生成した。次いで、得られた溶液をDEG(13.75g)にさらに希釈した。1当量とは、添加されかつ使用されたアセチルアセトンの量が、チタン1モル当たりアセチルアセトン1モルに相当することを意味し、かつ、本明細書中の他の調合物で使用される「当量」も同じ意味を有し、それにより添加された化合物の量を金属1モル当たりで計算する。
【0066】
実施例15
Ti(N,N,N’,N’−(2−オキシプロピル)(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン)(ペンタンジオナト)
アセチルアセトン(3.2当量、4g)を、実施例10で調製した溶液(10g)に連続的に混合しながらゆっくりと添加すると、黄色液体が生成した。次いで、得られた溶液をDEG(11g)にさらに希釈した。
【0067】
実施例16
アセチルアセトン(3.2当量、4g)を、実施例11で調製した溶液(10g)に連続的に混合しながらゆっくりと添加すると、黄色液体が生成した。次いで、得られた溶液をDEG(11g)にさらに希釈した。
【0068】
実施例17
アセチルアセトン(3.2当量、4g)を、実施例13で調製した溶液(10g)に連続的に混合しながらゆっくりと添加すると、黄色液体が生成した。次いで、得られた溶液をPDO(11g)にさらに希釈した。
【0069】
実施例18
アセト酢酸エチル(3.2当量、5.22g)を、実施例9で調製した溶液(10g)に連続的に混合しながらゆっくりと添加すると、淡黄色液体が生成した。次いで、得られた溶液をBDO(9.78g)にさらに希釈した。
【0070】
実施例19
アセト酢酸エチル(3.2当量、5.22g)を、実施例10で調製した溶液(10g)に連続的に混合しながらゆっくりと添加すると、淡黄色液体が生成した。次いで、得られた溶液をDEG(9.78g)にさらに希釈した。
【0071】
実施例20
サリチル酸(3.2当量、5.52g)を、実施例9で調製した溶液(10g)に連続的に混合しながらゆっくりと添加すると、赤色粘性液体が生成した。次いで、得られた溶液をBDO(9.48g)にさらに希釈した。
【0072】
実施例21
サリチル酸(3.2当量、5.52g)を、実施例12で調製した溶液(10g)に連続的に混合しながらゆっくりと添加すると、不溶性の白色固体が生成した。次いで、得られた溶液をPDO(9.48g)にさらに希釈した。
【0073】
実施例22
マンデル酸(3.2当量、6.09g)を、実施例10で調製した溶液(10g)に連続的に混合しながらゆっくりと添加すると、無色の液体が生成した。次いで、得られた溶液をDEG(8.91g)にさらに希釈した。
【0074】
実施例23
マンデル酸(3.2当量、6.09g)を、実施例12(10g)で調製した溶液に連続的に混合しながらゆっくりと添加すると、淡黄色の液体が生成した。次いで、得られた溶液をPDO(8.91g)にさらに希釈した。
【0075】
実施例24
イソステアリン酸(3.2当量、11.36g)を、実施例10(10g)で調製した溶液に連続的に混合しながらゆっくりと添加すると、淡黄色の液体が生成した。次いで、得られた溶液をDEG(3.64g)にさらに希釈した。
【0076】
実施例25
ブチル酸ホスファート(3.2当量、7.29g)を、実施例9で調製した溶液(10g)に連続的に混合しながらゆっくりと添加すると、ゆっくりと白色ゲルが生成した。次いで、得られた溶液をBDO(7.71g)にさらに希釈した。
【0077】
実施例26
2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン(3.2当量、7.37g)を、実施例9で調製した溶液(10g)に連続的に混合しながらゆっくりと添加すると、淡黄色液体が生成した。次いで、得られた溶液をBDO(7.63g)にさらに希釈した。
【0078】
実施例27
2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン(3.2当量、7.37g)を、実施例12で調製した溶液(10g)に連続的に混合しながらゆっくりと添加すると、淡黄色液体が生成した。次いで、得られた溶液をPDO(7.63g)にさらに希釈した。
【0079】
実施例28
N,N,N’,N’−テトラキス−2−ヒドロキシプロピル−エチレンジアミン(3.76g、12.9ミリモル)に、チタン酸テトライソプロピル(3.66g、12.9ミリモル)を、次いで、アセチルアセトン(2.58g、25.8ミリモル)を、連続的に混合しながらゆっくりと添加すると、黄色液体が生成した。次いで、得られた液体2.00gをヒマシ油(18.00g)と混合した。
【0080】
実施例29
ヒマシ油を菜種油(18g)で置き換えて、実施例28を繰り返した。
【0081】
実施例30
Ti(TOPED)10gおよびヒマシ油90gを混合して橙色液体を得た。
【0082】
実施例31
Ti(TOPED)10gおよびグリセリン90gを混合して黄色液体を得た。
【0083】
実施例32
チタン酸テトライソプロピル(3.66g、12.9ミリモル)を、N,N,N’,N’−テトラキス−2−ヒドロキシプロピル−エチレンジアミン(3.76g、12.9ミリモル)に連続的に混合しながらゆっくりと添加した。その成分が完全に反応した後、アセチルアセトン(2.58g、25.8ミリモル)を添加すると黄色液体が生成した。次いで、得られた液体2.00gをDEG(18g)と混合して触媒を調製した。
【0084】
実施例33
DEGをPDO(18g)で置き換えて実施例32を繰り返した。
【0085】
実施例34:安定性試験
ポリオール混合物
以下の材料を混合してポリオール混合物を調製した:
成分 重量部
Caradol(商標)56−07 0.470
Voranol(商標)EP1900 0.470
1,4−ブタンジオール 0.060
BYK(商標)085(シリコーン消泡剤) 0.001
CaradolはShell Chemicalsの商標である。Voranolは、Dow Chemical Companyの商標である。BYKは、BYK-ChemieGmbHの商標である。ポリオール混合物は853ppmの水を含有していた。
【0086】
プレポリマー
薄片状のMDI(4215g)を窒素下で60℃に温め、完全に溶融するまで放置した。次いで、Caradol 56-07(2785g)を、滴下漏斗からゆっくりと添加し、連続的に撹拌しながら窒素下で3時間反応させてプレポリマーを生成した。
【0087】
試験手順
一定量の触媒を240gのポリオール混合物に添加し、実験室用ミキサーで混合した。表5に、上記実施例(希釈剤が存在する場合はそれも含む)で調製した組成物の添加重量(単位:g)およびポリオール混合物中でのこの組成物の重量%で表された使用量を示す。得られた混合物を4つのポットに分け、それぞれに57.35gずつ入れ、60℃で保存した。2.5時間後(2つのポット)または7日後(2つのポット)に、ポットを25℃に冷却し、32.65gのプレポリマーを25℃で添加し、遠心ミキサーを用いて30秒間3000rpmで混合した。次いで、Gardco(商標)GT−S−220ゲル化タイマーでゲル化時間を測定した。
【0088】
【表5】

【0089】
表5に示すゲル化時間は、遠心混合を開始した時間から測定し、ポリオール+触媒混合物を含む2つのポットからのゲル化時間を平均したものである。比較用の触媒としてVERTEC(商標)TAAも使用した。2.5時間(GT1)保存されたポリオールと7日間(GT2)保存されたポリオールとのゲル化時間の変化を(GT2−GT1)100%/GT1として示している。変化がわずかであることから、触媒が7日間の貯蔵期間に依然として安定であり、かつ、ポリオール中で僅か2.5時間の保存後に得られたものと同様のゲル化時間が得られることが分かる。
【0090】
実施例35
実施例33で調製した7.0gの触媒を3.0gのDABCO TMR-3と混合すると透明な黄色液体が生成した。得られた触媒組成物は、36.6℃の初期温度でプレポリマー(30.8g)と反応させるポリオール(59.2g)の0.1%(0.059g)の濃度で使用した。そのゲル化時間は300秒であった。
【0091】
実施例36
実施例33で調製した8.0gの触媒を2.0gのDABCO TMR-3と混合すると透明な黄色液体が生成した。得られた触媒組成物は、38.6℃の初期温度でプレポリマー(30.8g)と反応させるポリオール(59.2g)の0.11%(0.065g)の濃度で使用した。そのゲル化時間は300秒であった。
【0092】
実施例37
実施例33で調製した9.0gの触媒を1.0gのDABCO TMR-3と混合すると透明な黄色液体が生成した。得られた触媒組成物は、36.0℃の初期温度でプレポリマー(30.8g)と反応させるポリオール(59.2g)の0.15%(0.089g)の濃度で使用した。そのゲル化時間は390秒であった。
【0093】
実施例38
実施例32の触媒9.0gを1.0gのDABCO(商標)TMR−3と混合すると透明な黄色液体が生成し、得られた触媒組成物を分析した。その特性を表6に示す。
【0094】
実施例39
実施例32の触媒8.0gと2.0gのPolycat(商標)41を混合すると赤色の液体が生成し、それを分析した。その特性を表6に示す。
【0095】
【表6】

【0096】
実施例40
実施例28の触媒0.54gおよび0.06gのTMR3を、市販の二液型ポリウレタンエラストマー調合物に含まれる300gのポリオール側と混合した。このポリオールは0.18%の触媒28および0.02%のTMR3を含有していた。このポリオールを上記調合物のイソシアナート側と混合してポリウレタンエラストマーを生成した。
【0097】
実施例41
実施例28で調製した2.4gの触媒を、0.6gのP41および12.0gのヒマシ油と混合し、得られた触媒組成物を市販の二液型ポリウレタンエラストマー調合物の300gのポリオール側と混合した。このポリオールを、上記調合物のイソシアナート側と混合してポリウレタンエラストマーを生成した。
【0098】
実施例42
実施例29で調製した0.54gの触媒および0.06gのTMR3をポリエーテルポリオールと混合した。得られたポリオール混合物は、0.18%の触媒28および0.02%のTMR3を含有していた。このポリオールをポリイソシアナート調合物と混合し、硬化してポリウレタンエラストマーを生成した。
【0099】
実施例43
実施例28、29、30および31で調製した触媒組成物をそれぞれ別々にポリオールと混合した。次いで、各ポリオール混合物を上手く使用して、ポリイソシアナートとの反応によってポリウレタンエラストマーを生成した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール、ポリイソシアナート化合物および触媒を混合し、該混合物を硬化させてポリウレタンを形成することによるポリウレタン化合物の製造方法であって、該触媒が、Ti、Zr、Hf、Al、Fe、BiまたはSnから選択される金属と有機多座配位子との錯体である有機金属化合物を含み、該有機多座配位子が、
(a)複数の陰イオン性供与部位=xと、
(b)該金属と配位結合を形成することができる複数の中性供与部位=yと、
を有し、ここで、x+y=5〜8であり、xは2〜4であり、
該有機多座配位子分子が、該陰イオン性供与部位および中性供与部位のそれぞれが同一の金属原子との結合を形成させることができる大きさおよび配座を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記有機多座配位子が下記式:
(HO(OC)(CRY−(CR−Y((CR(CO)OH)(式I)
(式中、
Yは、PおよびNから選択され、そして、Nが非常に好ましく、
各R、R、RおよびRは、H、アルキル、アリール、置換アルキルまたは置換アリールから独立して選択され、
各zは、独立して1、2、3または4であり、
xは、Y原子間のC原子の最小数を表しかつ2または3であり、
各wは独立して0または1である)
を有する配位子形成化合物に由来する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Yが窒素原子を表す、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
各zが2または3である、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
xおよび各zが2である、請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記配位子形成化合物がN,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンまたはN,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシブチル)エチレンジアミンから選択される、請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記金属がチタンまたはジルコニウムである、請求項2〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記有機金属化合物が水和物の形態である、請求項2〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記金属化合物がさらなるキレート化配位子を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記さらなるキレート化配位子が、1つまたは2つ以上のβ−ジケトン類、β−ケトエステル類、β−ケトアミド類、リン酸塩類、リン酸エステル類、有機スルホン酸類、リン酸、有機カルボン酸類、フェノール類および/またはヒロドキシカルボン酸類に由来する、請求項11に記載の方法。
【請求項11】
共触媒が存在し、該共触媒が有効なポリイソシアナート三量化触媒である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記共触媒が、アミン、酸素含有酸またはそのアルキルエステルのアルカリ金属塩あるいは第4級アンモニウム塩、N,N−ジアルキルアセトアセタミド、2,3−ジアルキルテトラヒロドピリミジンまたはグリシン酸ナトリウムを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
(a)Ti、Zr、Hf、Al、Fe、BiまたはSnから選択される金属と、
(i)下記式:
(HO(OC)(CRY−(CR−Y((CR(CO)OH)(式I)
(式中、
Yは、PおよびNから選択され、そして、Nが非常に好ましく、
各R、R、RおよびRは、H、アルキル、アリール、置換アルキルまたは置換アリールから独立して選択され、
各zは、独立して1、2、3または4であり、
xは、Y原子間のC原子の最小数を表しかつ2または3であり、
各wは、独立して0または1である)を有する配位子形成化合物に由来する有機多座配位子、および
(ii)任意成分としてβ−ジケトン、β−ケトエステルまたはβ−ケトアミド、リン酸塩類、リン酸エステル類、有機スルホン酸、リン酸、有機カルボン酸、フェノールおよび/またはα−ヒロドキシカルボン酸のうちの少なくとも一つ
との錯体である有機金属化合物と、
(b)任意成分として希釈剤と、
を含む触媒組成物。
【請求項14】
前記有機金属化合物が、
一般式:
M(HO(CR(O(CRY−(CR−Y((CRO)((CROH)(L)
(式中、
Mは、Ti、Zr、Hf、Al、FeおよびSnから選択される金属原子であり、
Yは、PおよびNから選択され、そして、Nが非常に好ましく、
各R、R、RおよびRは、H、アルキル、アリール、置換アルキルまたは置換アリールから独立して選択され、
dおよびaはそれぞれ0または1であり、
bおよびcはそれぞれ1または2であり、
b+c=Mの原子価であり、
a+b+c+d=4であり、
各zは、独立して1、2、3または4であり、
xは、Y原子間のC原子の最小数を表しかつ2または3であり、
各wは、独立して0または1であり、
n=1または2であり、
Lは単座または二座配位子である)
の化合物を含む、請求項13に記載の触媒組成物。
【請求項15】
Lがβ−ジケトン類、β−ケトエステル類、β−ケトアミド類、リン酸塩類およびリン酸エステル類、有機スルホン酸類、リン酸、有機カルボン酸類、フェノール類およびα−ヒドロキシ酸類から選択される1つまたは2つ以上の化合物に由来する、請求項14に記載の触媒組成物。
【請求項16】
前記有機金属化合物が、
Ti(N,N,N’,N’−テトラキス(2−オキシアルキル)エチレンジアミン)、
Ti(N,N,N’,N’−(2−オキシアルキル)(2−ヒドロキシアルキル)エチレンジアミン)(ペンタンジオナト)、
Ti(N,N,N’,N’−(2−オキシアルキル)(2−ヒドロキシアルキル)エチレンジアミン)(エチルアセトアセタト)、
Ti(N,N,N’,N’−(2−オキシアルキル)(2−ヒドロキシアルキル)エチレンジアミン)(N,N−ジエチルアセトアセトアミド)、
Ti(N,N,N’,N’−(2−オキシアルキル)(2−ヒドロキシアルキル)エチレンジアミン)(イソステアラート)
Ti(N,N,N’,N’−(2−オキシアルキル)(2−ヒドロキシアルキル)エチレンジアミン)(サリチラート)、
Ti(N,N,N’,N’−(2−オキシアルキル)(2−ヒドロキシアルキル)エチレンジアミン)(マンデラート)、
Ti(N,N,N’,N’−(2−オキシアルキル)(2−ヒドロキシアルキル)エチレンジアミン)(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)
(ここで、オキシアルキルが、オキシエチル、オキシプロピルまたはオキシブチルであってもよい)、およびこれらの化合物のジルコニウム類似体のうちの少なくとも1つを含む、請求項13〜15のいずれか1項に記載の触媒組成物。
【請求項17】
1〜20重量部の前記有機金属化合物を含んでなる、請求項13〜16のいずれか1項に記載の触媒組成物。
【請求項18】
1〜20重量部の共触媒を含んでなる、請求項13〜17のいずれか1項に記載の触媒組成物。
【請求項19】
前記共触媒が、アミン、酸素含有酸またはそのアルキルエステルのアルカリ金属塩あるいは第4級アンモニウム塩、N,N−ジアルキルアセトアセタミド、2,3−ジアルキルテトラヒロドピリミジンまたはグリシン酸ナトリウムを含む、請求項18に記載の触媒組成物。
【請求項20】
前記希釈剤が、水、アルコール、ジオールまたはポリオール、別のプロトン性溶媒またはグリセリン系油から選択される、請求項13〜19のいずれか1項に記載の触媒組成物。
【請求項21】
5〜100重量%の前記有機金属化合物および0〜90重量%の前記希釈剤を含んでなる、請求項13〜20のいずれか1項に記載の触媒組成物。
【請求項22】
請求項13〜21のいずれか1項に記載の触媒組成物を含んでなるポリオール組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−530917(P2010−530917A)
【公表日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512775(P2010−512775)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【国際出願番号】PCT/GB2008/050451
【国際公開番号】WO2008/155569
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(590004718)ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー (152)
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】