説明

ポリエステルおよびその製造方法

【課題】側鎖および/または末端にイソシアネート基を有し、分子鎖が延長し易く、加水分解による分子量の低下を受けにくく、遊離のイソシアネート化合物による臭いの少ないポリエステルを提供する。
【解決手段】下記式(i)で表される基を分子鎖中の側鎖およびまたは分子末端に有し、カルボキシル基濃度が5当量/ton以下であるポリエステル。


(式中、Qは、脂肪族基、脂環族基、芳香族基またはこれらの組み合わせである2〜4価の結合基であり、ヘテロ原子を含有していてもよい。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステルおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カルボジイミド化合物をカルボキシル基などの酸性基を末端に有する高分子化合物の末端封止剤として用い、高分子化合物の加水分解を抑制することは既に提案されている(例えば、特許文献1、2、3)。この提案において用いられているカルボジイミド化合物は、線状のカルボジイミド化合物である。
線状カルボジイミド化合物を高分子化合物の末端封止剤として用いると、線状カルボジイミド化合物がポリエステルの末端に結合する反応に伴いイソシアネート基を有する化合物が遊離し、イソシアネート化合物の独特の臭いを発生し、作業環境を悪化させることが問題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭55−9091号公報
【特許文献2】特開平6−294011号公報
【特許文献3】特開2001−261797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明の目的は、側鎖および/または末端にイソシアネート基を有し、分子鎖が延長し易く、加水分解による分子量の低下を受けにくいポリエステルを提供することにある。また本発明は、該ポリエステルを遊離のイソシアネート化合物による臭いの発生を抑制しつつ製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、ポリエステルと反応しても、イソシアネート化合物を遊離しない構造のカルボジイミド化合物について、鋭意検討した。
その結果、環状構造の中にカルボジイミド基を有する化合物は、ポリエステルと反応してもイソシアネート化合物を遊離しないことを見出した。また、環状構造カルボジイミド化合物をポリエステルと反応させるとポリエステルの分子鎖の側鎖および/または末端にイソシアネート基を有し、分子鎖が延長し易く、加水分解による分子量の低下を受けにくいポリエステルが得られことを見出した。本発明はこれらの知見に基づく。
【0006】
即ち、本発明は、下記式(i)で表される基を分子鎖中の側鎖および/または分子末端に有し、カルボキシル基濃度が5当量/ton以下であるポリエステルである。
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、Qは、脂肪族基、脂環族基、芳香族基またはこれらの組み合わせである2〜4価の結合基であり、ヘテロ原子を含有していてもよい。)
また本発明は、ポリエステル(A成分)と、カルボジイミド基を1個有し、その第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を含む化合物(B成分)とを、ポリエステルのカルボキシル末端基1当量あたりカルボジイミド基が1〜5当量となるように混合し、未反応の環状構造を含む化合物(B成分)は除去する前記ポリエステルの製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明のポリエステルは、分子鎖の末端にイソシアネート基を有し、分子鎖が延長し易く、加水分解による分子量の低下を受けにくい。また本発明のポリエステルは、耐加水分解性に優れ、加熱処理時にイソシアネート臭の発生が少ない。本発明の製造方法によれば、イソシアネート化合物を遊離させず、末端にイソシアネート基を有すポリエステルを製造することができる。該方法によれば、イソシアネート化合物による悪臭の発生を抑制することができ作業環境を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<ポリエステル>
本発明のポリエステルは、カルボキシル基濃度が5当量/ton以下であって下記式(i)で表される基を分子鎖中の側鎖および/または分子末端に有する。
【0011】
【化2】

【0012】
(式中、Qは、脂肪族基、脂環族基、芳香族基またはこれらの組み合わせである2〜4価の結合基であり、ヘテロ原子を含有していてもよい。)
このような基を有するポリエステルは、耐加水分解が改善されるとともに、ポリエステルの加熱処理時にイソシアネート臭の発生がなく、工業的に好適に使用できる。
Qは下記式(1−1)〜(1−3)から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0013】
【化3】

【0014】
(式中、ArおよびArは各々独立に、2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基である。RおよびRは各々独立に、2〜4価の炭素数1〜20の脂肪族基、2〜4価の炭素数3〜20の脂環族基、これらの組み合わせ、またはこれら脂肪族基および/または脂環族基と2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基との組み合わせである。XおよびXは各々独立に、2〜4価の炭素数1〜20の脂肪族基、2〜4価の炭素数3〜20の脂環族基、2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基、またはこれらの組み合わせである。sは0〜10の整数である。kは0〜10の整数である。なお、sまたはkが2以上であるとき、繰り返し単位としてのX、あるいはXが、他のX、あるいはXと異なっていてもよい。Xは、2〜4価の炭素数2〜20の脂肪族基、2〜4価の炭素数6〜20の脂環族基、2〜4価の炭素数6〜15の芳香族基、またはこれらの組み合わせである。但し、Ar、Ar、R、R、X、XおよびXはヘテロ原子を含有していてもよい、また、Qが2価の結合基であるときは、Ar、Ar、R、R、X、XおよびXは全て2価の基である。Qが3価の結合基であるときは、Ar、Ar、R、R、X、XおよびXの内の一つが3価の基である。Qが4価の結合基であるときは、Ar、Ar、R、R、X、XおよびXの内の一つが4価の基であるか、二つが3価の基である。)
本発明においてポリエステルは、(イ)ジカルボン酸あるいはそのエステル形成性誘導体と(ロ)ジオールあるいはそのエステル形成性誘導体、(ハ)ヒドロキシカルボン酸あるいはそのエステル形成性誘導体、(ニ)ラクトンから選択された1種以上を重合してなる重合体または共重合体の末端の少なくとも1部が上記(i)基で封止されたものである。
【0015】
上記(イ)ジカルボン酸あるいはそのエステル形成性誘導体としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ビス(4−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸、5−ソジウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸あるいはそのエステル形成性誘導体が挙げられる。
また、蓚酸、コハク酸、アジピン酸、1,6−ヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸あるいはそのエステル形成性誘導体が挙げられる。
また、シクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、デカリン−2,6−ジカルボン酸、テトラリン−2,6−ジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸あるいはそのエステル形成性誘導体などを挙げることができる。
【0016】
また上記(ロ)ジオールあるいはそのエステル形成性誘導体としては、炭素数2から20個の脂肪族グリコール即ち、例えばエチレングリコール、ジエチレグリコール、1,3−トリメチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、デカメチレングリコール、ダイマージオールなど、あるいは分子量200から100000の長鎖グリコール、即ちポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリプロピレンングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどの脂肪族ジオールあるいはそのエスエテル形成性誘導体が挙げられる。
また、シクロヘキサン1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメチロール等の脂環式ジオールあるいはそのエスエテル形成性誘導体が挙げられる。
また、芳香族ジヒドロキシ化合物すなわちキシリレングリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、tert−ブチルハイドロキノン、ビスフェノールA,ビスフェノールS、ビスフェノールFなどの芳香環を含む芳香族ジオールあるいはそのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
【0017】
上記(ハ)ヒドロキシカルボン酸あるいはそのエステル形成性誘導体としては例えばグリコール酸、D−乳酸、L−乳酸、ラセミ乳酸、ヒドロキシプロピオン酸、3−ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、オリゴあるいはポリカプロラクトンおよびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
上記ヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体のうちラクトンはポリエステルの製造に好適に適用される。かかるラクトン(ニ)としては、例えばグリコリド、D−ラクチド、L−ラクチド、メソラクチド、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、β−プロピオラクトン、ピバロラクトン、β−ベンジルマロラクトネート、γ−ブチロラクトン、1,4−ジオキサン−2−オン、ウンデカラクトン、1,4−ジオキセパン−2−オン、(R)−3−メチル−4−オキサ−6−ヘキサノリド、(S)−3−メチル−4−オキサ−6−ヘキサノリドなどを挙げることができる。
【0018】
さらにステアリルアルコール、ベンジルアルコール、ステアリン酸、安息香酸、tert−ブチル安息香酸、ベンゾイル安息香酸などの単官能成分や、トリカルバリル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、没食子酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール等の三官能以上の多官能成分などを用いてもよい。
具体的には、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリ3−ヒドロキシ酪酸、ポリ4−ヒドロキシ酪酸、ポリ4−ヒドロキシ吉草酸、ポリ3−ヒドロキシヘキサン酸またはポリカプロラクトン、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンサクシネートまたはポリシクロヘキサンジメタノールシクロヘキサンジカルボキシレートなどからの脂肪族ポリエステルが挙げられる。また、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリ1,4−メチロールシクロヘキサンテレフタレート、ポリエチレン2,6−ナフタレート、ポリブチレン2,6−ナフタレート、ポリトリメチレン2,6−ナフタレートなどの芳香族ポリエステルなどが挙げられ、これらは単独ないし2種以上を用いることができる。
【0019】
ポリエステルは芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステルが好ましい。芳香族ポリエステルは、エチレンテレフタレート、トリメチレンテレフタレート、ブチレンテレフタレート、エチレンナフタレート、ブチレンナフタレートから選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位を含むことが好ましい。脂肪族ポリエステルは、下記式で示される繰り返し単位を含むことが好ましい。
【0020】
【化4】

【0021】
上記の基で封止するポリエステルは、従来公知のいずれの製造方法によって得られたものも本発明に適用できる。
また、本発明におけるポリエステルは、下記式(i)で表される基の濃度が5〜100当量/ton、カルボキシル基濃度が0.001〜5当量/tonの範囲であることが好ましい。この範囲であるときには、耐加水分解性とポリエステル本来の機械的、熱的特性を高水準で両立するともに、ポリエステルの透明性も高いものとなる。
【0022】
【化5】

【0023】
(式中、Qは、脂肪族基、脂環族基、芳香族基またはこれらの組み合わせである2〜4価の結合基であり、ヘテロ原子を含有していてもよい。)
式(i)で表される基の濃度はさらに好ましくは、7〜50当量/ton、特に好ましくは、10〜30当量/tonの範囲である。
【0024】
<ポリエステルの製造方法>
本発明のポリエステルは、ポリエステル(A成分)と、カルボジイミド基を1個有し、その第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を含む化合物(B成分)とを、ポリエステルのカルボキシル末端基とカルボジイミド基とを混合することにより製造することができる。
(環状カルボジイミド化合物(B成分))
本発明において、環状カルボジイミド化合物(B成分)は環状構造を有する。環状カルボジイミド化合物は、環状構造を複数有していてもよい。
環状構造は、カルボジイミド基(−N=C=N−)を1個有しその第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている。一つの環状構造中には、1個のカルボジイミド基のみを有する。環状構造中の原子数は、好ましくは8〜50、より好ましくは10〜30、さらに好ましくは10〜20である。
【0025】
ここで、環状構造中の原子数とは、環構造を直接構成する原子の数を意味し、例えば、8員環であれば8、50員環であれば50である。環状構造中の原子数が8より小さいと、環状カルボジイミド化合物の安定性が低下して、保管、使用が困難となる場合があるためである。また反応性の観点よりは環員数の上限値に関しては特別の制限はないが、50を超える原子数の環状カルボジイミド化合物は合成上困難となり、コストが大きく上昇する場合が発生するためである。かかる観点より環状構造中の原子数は好ましくは、10〜30、より好ましくは10〜20の範囲が選択される。
環状構造は、下記式(1)で表される構造であることが好ましい。
【0026】
【化6】

【0027】
式中、Qは、それぞれヘテロ原子ならびに置換基を含んでいてもよい、脂肪族基、脂環族基、芳香族基またはこれらの組み合わせである2〜4価の結合基である。ヘテロ原子とはこの場合、O、N、S、Pを指す。この結合基の価のうち2つの価は環状構造を形成するために使用される。Qが3価あるいは4価の結合基である場合、単結合、二重結合、原子、原子団を介して、ポリマーあるいは他の環状構造と結合している。
結合基は、それぞれヘテロ原子ならびに置換基を含んでいてもよい、2〜4価の炭素数1〜20の脂肪族基、2〜4価の炭素数3〜20の脂環族基、2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基またはこれらの組み合わせであり、上記で規定される環状構造を形成するための必要炭素数を有する結合基が選択される。組み合わせの例としては、アルキレン基とアリーレン基が結合した、アルキレン−アリーレン基のような構造などが挙げられる。
結合基(Q)は、下記式(1−1)、(1−2)または(1−3)で表される2〜4価の結合基であることが好ましい。
【0028】
【化7】

【0029】
式中、ArおよびArは各々独立に、ヘテロ原子ならびに置換基を含んでいてもよい、2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基である。
【0030】
芳香族基として、それぞれへテロ原子を含んで複素環構造を持っていてもよい、炭素数5〜15のアリーレン基、炭素数5〜15のアレーントリイル基、炭素数5〜15のアレーンテトライル基が挙げられる。アリーレン基(2価)として、フェニレン基、ナフタレンジイル基などが挙げられる。アレーントリイル基(3価)として、ベンゼントリイル基、ナフタレントリイル基などが挙げられる。アレーンテトライル基(4価)として、ベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基などが挙げられる。これらの芳香族基は置換されていても良い。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
【0031】
およびRは各々独立に、ヘテロ原子ならびに置換基を含んでいてもよい、2〜4価の炭素数1〜20の脂肪族基、2〜4価の炭素数3〜20の脂環族基、これらの組み合わせ、またはこれら脂肪族基および/または脂環族基と2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基の組み合わせである。
【0032】
脂肪族基として、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数1〜20のアルカントリイル基、炭素数1〜20のアルカンテトライル基などが挙げられる。アルキレン基として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基、へキサデシレン基などが挙げられる。アルカントリイル基として、メタントリイル基、エタントリイル基、プロパントリイル基、ブタントリイル基、ペンタントリイル基、ヘキサントリイル基、ヘプタントリイル基、オクタントリイル基、ノナントリイル基、デカントリイル基、ドデカントリイル基、ヘキサデカントリイル基などが挙げられる。アルカンテトライル基として、メタンテトライル基、エタンテトライル基、プロパンテトライル基、ブタンテトライル基、ペンタンテトライル基、ヘキサンテトライル基、ヘプタンテトライル基、オクタンテトライル基、ノナンテトライル基、デカンテトライル基、ドデカンテトライル基、ヘキサデカンテトライル基などが挙げられる。これらの脂肪族基は置換されていても良い。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
【0033】
脂環族基として、炭素数3〜20のシクロアルキレン基、炭素数3〜20のシクロアルカントリイル基、炭素数3〜20のシクロアルカンテトライル基が挙げられる。シクロアルキレン基として、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロへプチレン基、シクロオクチレン基、シクロノニレン基、シクロデシレン基、シクロドデシレン基、シクロへキサデシレン基などが挙げられる。シクロアルカントリイル基として、シクロプロパントリイル基、シクロブタントリイル基、シクロペンタントリイル基、シクロヘキサントリイル基、シクロヘプタントリイル基、シクロオクタントリイル基、シクロノナントリイル基、シクロデカントリイル基、シクロドデカントリイル基、シクロヘキサデカントリイル基などが挙げられる。シクロアルカンテトライル基として、シクロプロパンテトライル基、シクロブタンテトライル基、シクロペンタンテトライル基、シクロヘキサンテトライル基、シクロヘプタンテトライル基、シクロオクタンテトライル基、シクロノナンテトライル基、シクロデカンテトライル基、シクロドデカンテトライル基、シクロヘキサデカンテトライル基などが挙げられる。これらの脂環族基は置換されていても良い。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
【0034】
芳香族基として、それぞれへテロ原子を含んで複素環構造を持っていてもよい、炭素数5〜15のアリーレン基、炭素数5〜15のアレーントリイル基、炭素数5〜15のアレーンテトライル基が挙げられる。アリーレン基として、フェニレン基、ナフタレンジイル基などが挙げられる。アレーントリイル基(3価)として、ベンゼントリイル基、ナフタレントリイル基などが挙げられる。アレーンテトライル基(4価)として、ベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基などが挙げられる。これら芳香族基は置換されていても良い。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
【0035】
およびXは各々独立に、ヘテロ原子ならびに置換基を含んでいてもよい、2〜4価の炭素数1〜20の脂肪族基、2〜4価の炭素数3〜20の脂環族基、2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基、またはこれらの組み合わせである。
【0036】
脂肪族基として、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数1〜20のアルカントリイル基、炭素数1〜20のアルカンテトライル基などが挙げられる。アルキレン基として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基、へキサデシレン基などが挙げられる。アルカントリイル基として、メタントリイル基、エタントリイル基、プロパントリイル基、ブタントリイル基、ペンタントリイル基、ヘキサントリイル基、ヘプタントリイル基、オクタントリイル基、ノナントリイル基、デカントリイル基、ドデカントリイル基、ヘキサデカントリイル基などが挙げられる。アルカンテトライル基として、メタンテトライル基、エタンテトライル基、プロパンテトライル基、ブタンテトライル基、ペンタンテトライル基、ヘキサンテトライル基、ヘプタンテトライル基、オクタンテトライル基、ノナンテトライル基、デカンテトライル基、ドデカンテトライル基、ヘキサデカンテトライル基などが挙げられる。これらの脂肪族基は置換されていても良い。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
【0037】
脂環族基として、炭素数3〜20のシクロアルキレン基、炭素数3〜20のシクロアルカントリイル基、炭素数3〜20のシクロアルカンテトライル基が挙げられる。シクロアルキレン基として、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロへプチレン基、シクロオクチレン基、シクロノニレン基、シクロデシレン基、シクロドデシレン基、シクロへキサデシレン基などが挙げられる。アルカントリイル基として、シクロプロパントリイル基、シクロブタントリイル基、シクロペンタントリイル基、シクロヘキサントリイル基、シクロヘプタントリイル基、シクロオクタントリイル基、シクロノナントリイル基、シクロデカントリイル基、シクロドデカントリイル基、シクロヘキサデカントリイル基などが挙げられる。アルカンテトライル基として、シクロプロパンテトライル基、シクロブタンテトライル基、シクロペンタンテトライル基、シクロヘキサンテトライル基、シクロヘプタンテトライル基、シクロオクタンテトライル基、シクロノナンテトライル基、シクロデカンテトライル基、シクロドデカンテトライル基、シクロヘキサデカンテトライル基などが挙げられる。これらの脂環族基は置換されていても良い。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
【0038】
芳香族基として、それぞれへテロ原子を含んで複素環構造を持っていてもよい、炭素数5〜15のアリーレン基、炭素数5〜15のアレーントリイル基、炭素数5〜15のアレーンテトライル基が挙げられる。アリーレン基として、フェニレン基、ナフタレンジイル基などが挙げられる。アレーントリイル基(3価)として、ベンゼントリイル基、ナフタレントリイル基などが挙げられる。アレーンテトライル基(4価)として、ベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基などが挙げられる。これらの芳香族基は置換されていても良い。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
【0039】
式(1−1)、(1−2)においてs、kは0〜10の整数、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0〜1の整数である。sおよびkが10を超えると、環状カルボジイミド化合物は合成上困難となり、コストが大きく上昇する場合が発生するためである。かかる観点より整数は好ましくは0〜3の範囲が選択される。なお、sまたはkが2以上であるとき、繰り返し単位としてのX、あるいはXが、他のX、あるいはXと異なっていてもよい。
【0040】
は、それぞれヘテロ原子ならびに置換基を含んでいてもよい、2〜4価の炭素数1〜20の脂肪族基、2〜4価の炭素数3〜20の脂環族基、2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基、またはこれらの組み合わせである。
【0041】
脂肪族基として、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数1〜20のアルカントリイル基、炭素数1〜20のアルカンテトライル基などが挙げられる。アルキレン基として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基、へキサデシレン基などが挙げられる。アルカントリイル基として、メタントリイル基、エタントリイル基、プロパントリイル基、ブタントリイル基、ペンタントリイル基、ヘキサントリイル基、ヘプタントリイル基、オクタントリイル基、ノナントリイル基、デカントリイル基、ドデカントリイル基、ヘキサデカントリイル基などが挙げられる。アルカンテトライル基として、メタンテトライル基、エタンテトライル基、プロパンテトライル基、ブタンテトライル基、ペンタンテトライル基、ヘキサンテトライル基、ヘプタンテトライル基、オクタンテトライル基、ノナンテトライル基、デカンテトライル基、ドデカンテトライル基、ヘキサデカンテトライル基などが挙げられる。これら脂肪族基は置換基を含んでいてもよく、置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
【0042】
脂環族基として、炭素数3〜20のシクロアルキレン基、炭素数3〜20のシクロアルカントリイル基、炭素数3〜20のシクロアルカンテトライル基が挙げられる。シクロアルキレン基として、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロへプチレン基、シクロオクチレン基、シクロノニレン基、シクロデシレン基、シクロドデシレン基、シクロへキサデシレン基などが挙げられる。アルカントリイル基として、シクロプロパントリイル基、シクロブタントリイル基、シクロペンタントリイル基、シクロヘキサントリイル基、シクロヘプタントリイル基、シクロオクタントリイル基、シクロノナントリイル基、シクロデカントリイル基、シクロドデカントリイル基、シクロヘキサデカントリイル基などが挙げられる。アルカンテトライル基として、シクロプロパンテトライル基、シクロブタンテトライル基、シクロペンタンテトライル基、シクロヘキサンテトライル基、シクロヘプタンテトライル基、シクロオクタンテトライル基、シクロノナンテトライル基、シクロデカンテトライル基、シクロドデカンテトライル基、シクロヘキサデカンテトライル基などが挙げられる。これら脂環族基は置換基を含んでいてもよく、置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリーレン基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
【0043】
芳香族基として、それぞれへテロ原子を含んで複素環構造を持っていてもよい、炭素数5〜15のアリーレン基、炭素数5〜15のアレーントリイル基、炭素数5〜15のアレーンテトライル基が挙げられる。アリーレン基として、フェニレン基、ナフタレンジイル基などが挙げられる。アレーントリイル基(3価)として、ベンゼントリイル基、ナフタレントリイル基などが挙げられる。アレーンテトライル基(4価)として、ベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基などが挙げられる。これらの芳香族基は置換されていても良い。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
【0044】
また、Ar、Ar、R、R、X、XおよびXはヘテロ原子を含有していてもよい、また、Qが2価の結合基であるときは、Ar、Ar、R、R、X、XおよびXは全て2価の基である。Qが3価の結合基であるときは、Ar、Ar、R、R、X、XおよびXの内の一つが3価の基である。Qが4価の結合基であるときは、Ar、Ar、R、R、X、XおよびXの内の一つが4価の基であるか、二つが3価の基である。
本発明で用いる環状カルボジイミドとして、下記式(2)〜(4)で表される化合物が挙げられる。
(環状カルボジイミド(2))
【0045】
【化8】

【0046】
式中、Qは、脂肪族基、脂環族基、芳香族基またはこれらの組み合わせである2価の結合基であり、ヘテロ原子を含有していてもよい。脂肪族基、脂環族基、芳香族基は、式(1)で説明したものと同じである。但し、式(2)の化合物においては、脂肪族基、脂環族基、芳香族基は全て2価である。Qは、下記式(2−1)、(2−2)または(2−3)で表される2価の結合基であることが好ましい。
【0047】
【化9】

【0048】
式中、Ar、Ar、R、R、X、X、X、sおよびkは、各々式(1−1)〜(1−3)中のAr、Ar、R、R、X、X、X、sおよびkと同じである。但し、これらは全て2価である。
【0049】
かかる環状カルボジイミド化合物(2)としては、以下の化合物が挙げられる。
【0050】
【化10】

【0051】
【化11】

【0052】
【化12】

【0053】
【化13】

【0054】
【化14】

【0055】
【化15】

【0056】
【化16】

【0057】
【化17】

【0058】
【化18】

【0059】
【化19】

【0060】
【化20】

【0061】
【化21】

【0062】
【化22】

【0063】
【化23】

【0064】
(環状カルボジイミド(3))
【0065】
【化24】

【0066】
式中、Qは、脂肪族基、脂環族基、芳香族基、またはこれらの組み合わせである3価の結合基であり、ヘテロ原子を含有していてもよい。Yは、環状構造を担持する担体である。脂肪族基、脂環族基、芳香族基は、式(1)で説明したものと同じである。但し、式(3)の化合物においては、Qを構成する基の内一つは3価である。
は、下記式(3−1)、(3−2)または(3−3)で表される3価の結合基であることが好ましい。
【0067】
【化25】

【0068】
式中、Ar、Ar、R、R、X、X、X、sおよびkは、各々式(1−1)〜(1−3)のAr、Ar、R、R、X、X、X、sおよびkと同じである。但しこれらの内の一つは3価の基である。
【0069】
Yは、単結合、二重結合、原子、原子団またはポリマーであることが好ましい。Yは結合部であり、複数の環状構造がYを介して結合し、式(3)で表される構造を形成している。
かかる環状カルボジイミド化合物(3)としては、下記化合物が挙げられる。
【0070】
【化26】

【0071】
【化27】

【0072】
【化28】

【0073】
【化29】

【0074】
(環状カルボジイミド(4))
【0075】
【化30】

【0076】
式中、Qは、脂肪族基、脂環族基、芳香族基またはこれらの組み合わせである4価の結合基であり、ヘテロ原子を保有していてもよい。ZおよびZは、環状構造を担持する担体である。ZおよびZは、互いに結合して環状構造を形成していてもよい。
脂肪族基、脂環族基、芳香族基は、式(1)で説明したものと同じである。但し、式(4)の化合物において、Qは4価である。従って、これらの基の内の一つが4価の基であるか、二つが3価の基である。
は、下記式(4−1)、(4−2)または(4−3)で表される4価の結合基であることが好ましい。
【0077】
【化31】

【0078】
Ar、Ar、R、R、X、X、X、sおよびkは、各々式(1−1)〜(1−3)の、Ar、Ar、R、R、X、X、X、sおよびkと同じである。但し、Ar、Ar、R、R、X、XおよびXは、これらの内の一つが4価の基であるか、二つが3価の基である。
およびZは各々独立に、単結合、二重結合、原子、原子団またはポリマーであることが好ましい。ZおよびZは結合部であり、複数の環状構造がZおよびZを介して結合し、式(4)で表される構造を形成している。
かかる環状カルボジイミド化合物(4)としては、下記化合物を挙げることができる。
【0079】
【化32】

【0080】
【化33】

【0081】
【化34】

【0082】
(環状カルボジイミド化合物の製造方法)
環状カルボジイミド化合物は従来公知の方法により製造することができる。例として、アミン体からイソシアネート体を経由して製造する方法、アミン体からイソチオシアネート体を経由して製造する方法、アミン体からトリフェニルホスフィン体を経由して製造する方法、アミン体から尿素体を経由して製造する方法、アミン体からチオ尿素体を経由して製造する方法、カルボン酸体からイソシアネート体を経由して製造する方法、ラクタム体を誘導して製造する方法などが挙げられる。
また、本発明の環状カルボジイミド化合物は、以下の文献に記載された方法により製造することができる。
【0083】
Terahedron Letters,Vol.34,No.32,515−5158 ,1993 Medium−and Large−Membered Rings from Bis(iminophosphoranes):An Efficient Preparation of Cyclic Carbodiimides, Pedro Molina etal.
J.Org.Chem.Vol.61,No.13,4289−4299,1996.
New Models for the Study of the Racemization Mechanism of Carbodiimides.Synthesis and Structure(X−ray Crystallography and 1H NMR)of Cyclic Carbojiimides,
Pedro Molina etal.
ibid.Vol.43,No8,1944−1946,1978.
Macrocyclic Ureas as Masked Isocyanates, Henri Ulrich etal.
ibid.Vol.48,No.10,1694−1700,1983.
Synthesis and Reactions of Cyclic Carbodiimides,
R.Richter etal.
ibid.Vol.59,No.24,7306−7315,1994.
A New and Efficient Preparation of Cyclic Carbojiimides from Bis(iminophosphoranea)and the System Bc2O/DMAP,
Pedro Molina etal.
製造する化合物に応じて、適切な製法を採用すればよいが、例えば、(1)下記式(a−1)で表されるニトロフェノール、下記式(a−2)で表されるニトロフェノールおよび下記式(b)で表される化合物を反応させ、下記式(c)で表されるニトロ体を得る工程、
【0084】
【化35】

【0085】
【化36】

【0086】
(2)得られたニトロ体を還元して下記式(d)で表されるアミン体を得る工程、
【0087】
【化37】

【0088】
(3)得られたアミン体とトリフェニルホスフィンジブロミドを反応させ下記式(e)で表されるトリフェニルホスフィン体を得る工程、および
【0089】
【化38】

【0090】
(4)得られたトリフェニルホスフィン体を反応系中でイソシアネート化した後、直接脱炭酸させることによって製造したものは、本願発明に用いる環状カルボジイミド化合物として好適に用いることができる。
(上記式中、ArおよびArは各々独立に、炭素数1〜6のアルキル基またはフェニル基で置換されていてもよい芳香族基である。EおよびEは各々独立に、ハロゲン原子、トルエンスルホニル基およびメタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、p−ブロモベンゼンスルホニル基からなる群から選ばれる基である。Arは、フェニル基である。Xは、下記式(i−1)から(i−4)の結合基である。)
【0091】
【化39】

【0092】
本発明のポリエステルは、B成分の環状カルボジイミド化合物がポリエステルの末端に結合した構造を有する末端封止されたポリエステルである。環状カルボジイミド化合物は、ポリエステルのカルボキシル基と以下のように反応しポリエステルの末端に以下の構造を形成する。
【0093】
【化40】

【0094】
(Xはポリエステルの主鎖で、Qはカルボジイミド基の第一窒素と第二窒素とを結ぶ結合基である。)
【0095】
(ポリエステルの製造方法)
本発明のポリエステルは、ポリエステル(A成分)と環状カルボジイミド化合物(B成分)とを混合することにより製造することができる。環状カルボジイミド化合物は、ポリエステルの末端と反応し末端を封止する。混合は溶融混練により行なうことが好ましい。
ポリエステルのカルボキシル末端基1当量あたりカルボジイミド基が1〜5当量となるように混合し、未反応の環状構造を含む化合物(B成分)は除去することで得ることができる。除去操作は再沈法(例えば、ポリエステル溶解可能な有機溶媒に溶解させたのち、ポリエステルは溶解せずに、未反応の環状構造を含む化合物(B)は溶解し、かつ、ポリエステルおよび環状構造を含む化合物(B)とは反応性を有しない溶媒中に滴下する方法を採用できる。)、抽出法(溶媒として、ポリエステルは溶解せずに、未反応の環状構造を含む化合物(B)は溶解し、かつ、ポリエステルおよび環状構造を含む化合物(B)とは反応性を有しない溶媒中に滴下する方法を採用できる。)などで容易に行うことができる。なお、この除去操作は未反応物が確認できない場合には不要である。
【0096】
ポリエステルのカルボキシル末端基1当量あたりカルボジイミド基が1〜2当量となるように混合した場合には、コスト面、操作性の観点で良好なものとなるのでこの割合が好ましい。なお、ポリエステルとしてポリ乳酸を採用した場合には、A成分のポリL−乳酸、ポリD−乳酸およびB成分の環状カルボジイミド化合物を混合し、ステレオコンプレックスポリ乳酸を形成されると共に、本発明のポリエステルを製造することができる。また、本発明のポリエステルは、ポリL−乳酸とポリD−乳酸とを混合しステレオコンプレックスポリ乳酸(A成分)を形成させた後、環状カルボジイミド化合物(B成分)を混合して製造することもできる。
環状カルボジイミド化合物をポリエステルに添加、混合する方法は特に限定なく、従来公知の方法により、溶液、融液あるいは適用するポリエステルのマスターバッチとして添加する方法、あるいは環状カルボジイミドが溶解、分散または溶融している液体にポリエステルの固体を接触させ環状カルボジイミドを浸透させる方法などをとることができる。
【0097】
溶液、融液あるいは適用するポリエステルのマスターバッチとして添加する方法をとる場合には、従来公知の混練装置を使用して添加する方法ことができる。混練に際しては、溶液状態での混練法あるいは溶融状態での混練法が、均一混練性の観点より好ましい。混練装置としては、とくに限定なく、従来公知の縦型の反応容器、混合槽、混練槽あるいは一軸または多軸の横型混練装置、例えば一軸あるいは多軸のルーダー、ニーダーなどが例示される。高分子化合物との混合時間は特に指定はなく、混合装置、混合温度にもよるが、0.1分から2時間、好ましくは0.2分から60分、より好ましくは1分から30分が選択される。
溶媒としては、ポリエステルおよび環状カルボジイミド化合物に対し、不活性であるものを用いることができる。特に、両者に親和性を有し、両者を少なくとも部分的に溶解、あるいは両者に少なくとも部分的に溶解より溶媒が好ましい。
溶媒としてはたとえば、炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、ハロゲン系溶媒、アミド系溶媒などを用いることができる。
【0098】
炭化水素系溶媒として、ヘキサン、シクロへキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘプタン、デカンなどが挙げられる。ケトン系溶媒として、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどが挙げられる。
エステル系溶媒としては、酢酸エチル、酢酸メチル、コハク酸エチル、炭酸メチル、安息香酸エチル、ジエチレングリコールジアセテートなどが挙げられる。エーテル系溶媒としては、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、ジフェニルエーテルなどが挙げられる。ハロゲン系溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタン、1,1’,2,2’−テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどを挙げることができる。アミド系溶媒としては、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。これらの溶媒は単一であるいは所望により混合溶媒として使用することができる。
【0099】
本発明の製造方法において、溶媒は、ポリエステルと環状カルボジイミド化合物の合計、100重量部あたり1〜1000重量部の範囲で適用される。1重量部より少ないと、溶媒適用に意義がない。また、溶媒使用量の上限値は、特にないが、操作性、反応効率の観点より1000重量部程度である。
環状カルボジイミドが溶解、分散または溶融している液体にポリエステルの固体を接触させ環状カルボジイミドを浸透させる方法をとる場合には、上記のごとき溶剤に溶解したカルボジイミドに固体のポリエステルを接触させる方法や、カルボジイミドのエマルジョン液に固体のポリ乳酸を接触させる方法などをとることができる。接触させる方法としては、ポリエステルを浸漬する方法や、ポリエステルに塗布する方法、散布する方法などを好適にとることができる。
環状カルボジイミド化合物による封止反応は、室温から300℃程度の温度で可能であるが、反応効率の観点より50〜250℃、より好ましくは80〜200℃の範囲ではより促進される。ポリエステルは、溶融している温度ではより反応が進行しやすいが、環状カルボジイミド化合物の揮散、分解などを抑制するため、300℃より低い温度で反応させることが好ましい。またポリエステルの溶融温度を低下、攪拌効率を上げるためにも、溶媒を適用することは効果がある。
【0100】
反応は無触媒で十分速やかに進行するが、反応を促進する触媒を使用することもできる。触媒としては、従来の線状カルボジイミド化合物で使用される触媒が適用できる。これらは1種または2種以上使用することができる。触媒の添加量は、特に限定されるものではないが、ポリ乳酸と環状カルボジイミドの合計100重量部に対し、0.001〜1重量部が好ましく、また0.01〜0.1重量部がより好ましく、さらには0.02〜0.1重量部が最も好ましい。
【0101】
<成形品>
本発明のポリエステルよりなる成形品は、射出成形、押し出し成形、真空、圧空成形およびブロー成形等により成形できる。成形品として、ペレット、繊維、布帛、繊維構造体、フィルム、シート、シート不織布などが挙げられる。
本発明のポリエステルよりなるペレットは、その溶融成形法は何ら限定されず、公知のペレット製造法により製造されたものが好適に使用できる。即ち、ストランド、あるいは板状におしだされたポリエステルを、ポリエステルが完全に固化した後、あるいは完全には固化されないで、いまだ溶融状態にあるとき、空気中、あるいは水中でカッティングする等の手法が従来公知であるが、本発明においてはいずれも好適に適用できる。
射出成形は、ポリエステルの種類によって、成形条件を適宜設定すればよいが、射出成形時、成形品の結晶化、成形サイクルを上げる観点から、例えば、ポリエステルがポリ乳酸であれば、金型温度は好ましくは30℃以上、より好ましくは60℃以上、さらに好ましくは70℃以上である。しかし、成形品の変形を防ぐ意味において、金型温度は、好ましくは140℃以下、より好ましくは120℃以下、さらに好ましくは110℃以下である。
またこれらの成形品は、各種ハウジング、歯車、ギア等の電気・電子部品、建築部材、土木部材、農業資材、自動車部品(内装、外装部品等)および日用部品などを挙げることができる。
【0102】
本発明のポリエステルからなる繊維および繊維構造体は通常の溶融紡糸およびその後の後加工により得られた材料を好適に使用することができる。
即ち、ポリエステルはエクストルーダー型やプレッシャーメルター型の溶融押出し機で溶融された後、ギアポンプにより計量され、パック内で濾過された後、口金に設けられたノズルからモノフィラメンント、マルチフィラメント等として吐出される。
口金の形状、口金数は特に制限されるものではなく、円形、異形、中実、中空等のいずれも採用することができる。吐出された糸は直ちに冷却・固化された後集束され、油剤を付与されて巻き取られる。巻き取り速度は特に限定されるものではないがポリエステルがステレオコンプレックスポリ乳酸のときには、ステレオコンプレックス結晶が形成され易くなることより300m/分〜5000m/分の範囲が好ましい。
【0103】
また延伸性の観点からは未延伸糸のステレオ化率(Sc)が0%となる巻き取り速度が好ましい。巻き取られた未延伸糸はその後延伸工程に供されるが、紡糸工程と延伸工程は必ずしも分離する必要はなく、紡糸後いったん巻き取ることなく引き続き延伸を行う直接紡糸延伸法を採用しても構わない。
延伸は1段延伸でも、2段以上の多段延伸でも良く、高強度の繊維を作製する観点から、延伸倍率は3倍以上が好ましく、さらには4倍以上が好ましい。好ましくは3〜10倍が選択される。しかし、延伸倍率が高すぎると繊維が失透し白化し繊維の強度が低下したり破断伸度が小さくなりすぎ繊維用途としては小さくなり過ぎたりして好ましくない。
延伸の予熱方法としては、ロールの昇温のほか、平板状あるいはピン状の接触式加熱ヒータ、非接触式熱板、熱媒浴などが挙げられるが、通常用いられる方法を用いればよい。
延伸に引き続き、巻き取り前にはポリエステルのガラス転移温度(Tg)以上、融点未満の温度で、熱処理が行われることが好ましい。熱処理にはホットローラーのほか、接触式加熱ヒータ、非接触式熱板など任意の方法を採用することができる。延伸温度は例えば、ポリエステル(A成分)がポリ乳酸であれば、ガラス転移温度(Tg)から170℃、好ましくは70℃〜140℃、特に好ましくは80〜130℃の範囲が選択される。
【0104】
また、ポリエステルがステレオコンプレックスポリ乳酸であるときには、延伸後、テンション下、170℃〜220℃で熱固定することにより、高いステレオ化率(Sc)、低い熱収縮性を有するとともに強度3.5cN/dTex以上のポリ乳酸繊維を得ることもできる。
本発明のポリエステルから得られる繊維は様々な繊維構造体の形態をとることができる。具体的には縫い糸、刺繍糸、紐類などの糸形態製品、織物、編み物、不織布、フェルト、等の布帛、シャツ、ブルゾン、パンツ、コート、セーター、ユニホームなどの外衣、下着、パンスト、靴下、裏地、芯地、スポーツ衣料、婦人衣料やフォーマルウエアなどの高付加価値衣料製品、カップ、パッド等の衣料製品、カーテン、カーペット、椅子張り、マット、家具、鞄、家具張り、壁材、各種のベルトやスリング等の生活資材用製品、さらに帆布、ベルト、ネット、ロープ、重布、袋類、フェルト、フィルター等の産業資材製品、車両内装製品、人工皮革製品などの各種繊維製品を含む。
【0105】
本発明のポリエステルからなる繊維および繊維構造体は、ポリエステルからなる繊維単独で使用してもよく、他種繊維と混用することもできる。混用の態様としては、他種繊維からなる繊維構造物との各種組み合わせのほか、他の繊維との混繊糸、複合仮撚糸、混紡糸、長短複合糸、流体加工糸、カバリングヤーン、合撚、交織、交編、パイル織物、混綿つめ綿、長繊維や短繊維の混合不織布、フェルトなどが例示される。混用する場合、ポリエステルの特徴を発揮するため混用比率は1重量%以上、より好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上の範囲が選択される。
混用される他の繊維たとえば、綿、麻、レーヨン、テンセルなどのセルロース繊維、ウール、絹、アセテート、本発明以外のポリエステル、ナイロン、アクリル、ビニロン、ポリオレフィン、ポリウレタンなどを挙げることができる。
【0106】
また、本発明のポリエステルからなるフィルム、シートは従来公知の方法により成形されたものである。例えばフィルム、シートにおいては、押し出し成形、キャスト成形等の成形手法を用いることができる。即ち、Tダイ、円形ダイ等が装着された押出機等を用いて、未延伸フィルムを押し出し、さらに延伸、熱処理して成形することができる。このとき、未延伸のフィルムはシートとしてそのまま実用に供することもできる。フィルム化に際し、事前にポリエステルおよび前述した各種成分を溶融混練した材料を用いることもできれば、押し出し成形時に溶融混練を経て成形することもできる。未延伸フィルムを押し出し時、溶融樹脂にスルホン酸四級ホスホニウム塩などの静電密着剤を配合し表面欠陥の少ない未延伸フィルムを得ることができる。
また、ポリエステルおよび添加剤成分を共通溶媒、例えばクロロホルム、二塩化メチレン等の溶媒を用いて、溶解、キャスト、乾燥固化することにより未延伸フィルムをキャスト成形することもできる。
【0107】
未延伸フィルムを機械的流れ方向に縦一軸延伸、機械的流れ方向に直交する方向に横一軸延伸することができ、またロール延伸とテンター延伸の逐次2軸延伸法、テンター延伸による同時2軸延伸法、チューブラー延伸による2軸延伸法等によって延伸することにより2軸延伸フィルムを製造することができる。さらに該フィルムは、熱収縮性などの抑制のため延伸後、通常熱固定処理を行う。かくして得られた延伸フィルムには、所望により従来公知の方法で、表面活性化処理、たとえばプラズマ処理、アミン処理、コロナ処理を施すことも可能である。
本発明のフィルム、シートは単一の形態である以外、他種類のフィルム、シートと混用することもできる。混用の態様としては、他種材料からなるフィルム、シートとの各種組み合わせ、例えば、積層、ラミネートなどのほか、他種形態たとえば射出成形品、繊維構造体などとの組み合わせが例示できる。
【0108】
<成形品以外の用途>
更に、本発明のポリエステルは、イソシアネートおよびカルボジイミド化合物としての特性も有しているので、他のポリエステルのカルボキシル末端基濃度を低減するための末端封鎖剤としても利用することができる。
目的とする末端基濃度にもよるが、例えば、末端基濃度を低減させたいポリエステル100重量部に対して、本発明のポリエステルを50重量部〜100重量部の範囲となるようにし、例えば5分間程度溶融混練すればよい。
【実施例】
【0109】
以下、実施例により本発明を説明する。各種特性は以下の方法で測定した。
【0110】
(1)環状カルボジイミド構造のNMRによる同定、ポリエステル中のカルボジイミドの定性、カルボジイミド由来構造の特定:
環状カルボジイミド化合物はH−NMR、H−DOSY、13C−NMRによって確認した。NMRは日本電子(株)製ECA−500を使用した。溶媒は重クロロホルムを用いた。
(2)環状カルボジイミドのカルボジイミド骨格のIRによる同定:
合成した環状カルボジイミド化合物のカルボジイミド骨格の有無は、FT−IRによりカルボジイミドに特徴的な2100〜2200cm−1の確認を行った。FT−IRはサーモニコレー製Magna−750を使用した。
(3)加水分解に対する安定性:
脂肪族ポリエステルについては試料を恒温恒湿機にて、80℃、95%RHにて100時間処理したときの還元粘度保持率を評価した。
また、芳香族ポリエステルについては試料をプレッシャークッカーにて、120℃、100%RHにて50時間処理したときの還元粘度保持率を評価した。
ポリエステルの耐加水分解安定性は、芳香族ポリエステルの場合、還元粘度保持率が80%以上であるとき、脂肪族ポリエステルの場合、還元粘度保持率が50%以上であるとき「合格」と判断される。
還元粘度(ηsp/c)の測定は、試料1.2mgを〔テトラクロロエタン/フェノール=(6/4)wt%混合溶媒〕100mlに溶解、35℃でウベローデ粘度管を使用して測定し、還元粘度保持率は、分子を試料処理後の還元粘度、分母を試料処理前の還元粘度として求めた。
(4)イソシアネート臭の発生の有無:
芳香族ポリエステルにおいては、300℃、5分間、試料を溶融したとき、脂肪族ポリエステルにおいては260℃、5分間、試料を溶融したとき、官能評価により、測定者がイソシアネート臭を感じるかどうかで判定した。イソシアネート臭を感じないとき、合格と判断した。
(5)作業環境の良否:
ポリエステル製造時、作業環境がイソシアネート臭により悪化するかどうかにより判定した。悪化しない場合には良と評価した。
(6)イソシアネートガス発生の定性・定量評価:
試料を、260℃で8分間加熱し、熱分解GC/MS分析により定性・定量した。尚、定量はイソシアネートで作成した検量線を用いて行った。GC/MSは日本電子(株)製GC/MS Jms Q1000GC K9を使用した。
(7)カルボキシル基濃度の測定
試料を精製o−クレゾールに窒素気流下溶解、ブロモクレゾールブルーを指示薬とし、0.05規定水酸化カリウムのエタノール溶液で滴定し、あらかじめ作成しておいた検量線を用いて求めた。
(8)ステレオ化度〔S(%)〕,結晶融解温度などのDSC測定:
DSC(TAインストルメント社製,TA−2920)を用いて試料を、第一サイクルにおいて、窒素気流下、10℃/分で250℃まで昇温し、ガラス転移温度(Tg)、コンプレックス相ポリ乳酸結晶融解温度(Tm*)およびコンプレックス相ポリ乳酸結晶融解エンタルピー(ΔHms)およびホモ相ポリ乳酸結晶融解エンタルピー(ΔHmh)を測定した。
また結晶化開始温度(Tc*)、結晶化温度(Tc)は上記測定試料を急速冷却し、さらに引き続き、同じ条件で第二サイクル測定を行い測定した。ステレオ化度は上記測定で得られたコンプレックス相およびホモ相ポリ乳酸結晶融解エンタルピーより、下記式(ii)により求めた値である。
S=[ΔHms/(ΔHmh+ΔHms)]×100 (ii)
(但し、ΔHmsはコンプレックス相結晶の融解エンタルピー、ΔHmhはホモ相ポリ乳酸結晶の融解エンタルピー)
環状カルボジイミド化合物として以下の化合物を使用した。
【0111】
<製造例1>環状カルボジイミドCC1
【0112】
【化41】

【0113】
o−ニトロフェノール(0.11mol)と1,2−ジブロモエタン(0.05mol)、炭酸カリウム(0.33mol)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)200mlを攪拌装置および加熱装置を設置した反応装置にN雰囲気下仕込み、130℃で12時間反応後、DMFを減圧により除去し、得られた固形物をジクロロメタン200mlに溶かし、水100mlで3回分液を行った。有機層を硫酸ナトリウム5gで脱水し、ジクロロメタンを減圧により除去し、中間生成物A(ニトロ体)を得た。
次に中間生成物A(0.1mol)と5%パラジウムカーボン(Pd/C)(1g)、エタノール/ジクロロメタン(70/30)200mlを、攪拌装置を設置した反応装置に仕込み、水素置換を5回行い、25℃で水素を常に供給した状態で反応させ、水素の減少がなくなったら反応を終了する。Pd/Cを回収し、混合溶媒を除去すると中間生成物B(アミン体)が得られた。
【0114】
次に攪拌装置および加熱装置、滴下ロートを設置した反応装置に、N雰囲気下、トリフェニルホスフィンジブロミド(0.11mol)と1,2−ジクロロエタン150mlを仕込み攪拌させる。そこに中間生成物B(0.05mol)とトリエチルアミン(0.25mol)を1,2−ジクロロエタン50mlに溶かした溶液を25℃で徐々に滴下する。滴下終了後、70℃で5時間反応させる。その後、反応溶液をろ過し、ろ液を水100mlで5回分液を行った。有機層を硫酸ナトリウム5gで脱水し、1,2−ジクロロエタンを減圧により除去し、中間生成物C(トリフェニルホスフィン体)が得られた。
次に、攪拌装置および滴下ロートを設置した反応装置に、N雰囲気下、ジ−tert−ブチルジカーボネート(0.11mol)とN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(0.055mol)、ジクロロメタン150mlを仕込み攪拌させた。そこに、25℃で中間生成物C(0.05mol)を溶かしたジクロロメタン100mlをゆっくりと滴下させた。滴下後、12時間反応させる。その後、ジクロロメタンを除去し得られた固形物を精製することで、CC1を得た。CC1の構造はNMR,IRにより確認した。
【0115】
<製造例2>環状カルボジイミドCC2
【0116】
【化42】

【0117】
o−ニトロフェノール(0.11mol)とペンタエリトリチルテトラブロミド(0.025mol)、炭酸カリウム(0.33mol)、N,N−ジメチルホルムアミド200mlを攪拌装置および加熱装置を設置した反応装置にN雰囲気下仕込み、130℃で12時間反応後、DMFを減圧により除去し、得られた固形物をジクロロメタン200mlに溶かし、水100mlで3回分液を行った。有機層を硫酸ナトリウム5gで脱水し、ジクロロメタンを減圧により除去し、中間生成物D(ニトロ体)を得た。
次に中間生成物D(0.1mol)と5%パラジウムカーボン(Pd/C)(2g)、エタノール/ジクロロメタン(70/30)400mlを、攪拌装置を設置した反応装置に仕込み、水素置換を5回行い、25℃で水素を常に供給した状態で反応させ、水素の減少がなくなったら反応を終了した。Pd/Cを回収し、混合溶媒を除去すると中間生成物E(アミン体)が得られた。
次に攪拌装置および加熱装置、滴下ロートを設置した反応装置に、N雰囲気下、トリフェニルホスフィンジブロミド(0.11mol)と1,2−ジクロロエタン150mlを仕込み攪拌させた。そこに中間生成物E(0.025mol)とトリエチルアミン(0.25mol)を1,2−ジクロロエタン50mlに溶かした溶液を25℃で徐々に滴下した。滴下終了後、70℃で5時間反応させる。その後、反応溶液をろ過し、ろ液を水100mlで5回分液を行った。有機層を硫酸ナトリウム5gで脱水し、1,2−ジクロロエタンを減圧により除去し、中間生成物F(トリフェニルホスフィン体)が得られた。
【0118】
次に、攪拌装置および滴下ロートを設置した反応装置に、N雰囲気下、ジ−tert−ブチルジカーボネート(0.11mol)とN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(0.055mol)、ジクロロメタン150mlを仕込み攪拌させる。そこに、25℃で中間生成物F(0.025mol)を溶かしたジクロロメタン100mlをゆっくりと滴下させた。滴下後、12時間反応させる。その後、ジクロロメタンを除去し得られた固形物を、精製することで、CC2を得た。CC2の構造はNMR、IRにより確認した。
【0119】
<実施例1:芳香族ポリエステル>
帝人ファイバー(株)製のポリエチレンテレフタレート「TR−8580」(A1)を用いた。還元粘度は0.35dl/gであった。ポリエチレンテレフタレート(A1)のカルボキシル基濃度および加水分解に対する安定性の結果を表1に示す。ポリエチレンテレフタレート(A1)を110℃、5時間真空乾燥した後、環状カルボジイミド(CC2)をポリエチレンテレフタレート(A1)のカルボキシル基濃度と等量となるようにブレンダーで混合し、二軸混練機を用いて、シリンダー温度270℃で溶融混練し、ポリエステルを製造した。ポリエステル製造時イソシアネート臭の発生は感じられなかった。また、300℃、5分間溶融したとき、イソシアネート臭評価は合格であった。得られたポリエステルのカルボキシル基濃度および加水分解に対する安定性の結果を表1に示す。
【0120】
<比較例1:芳香族ポリエステル>
実施例1において、カルボジイミド化合物を線状カルボジイミドLA−1(日清紡製、「カルボジライト」LA−1)に変更したこと以外は同様にして、ポリエステルを得た。ポリエステルは製造時、イソシアネート臭の発生が強く、排気装置の設置が必要であった。また300℃、5分間溶融したとき、イソシアネート臭評価は不合格であった。このポリエステルのカルボキシル基濃度および加水分解に対する安定性の結果を表1に示す。
【0121】
<実施例2:脂肪族ポリエステル>
(ポリL−乳酸(A2)の調製)
L−ラクチド((株)武蔵野化学研究所製、光学純度100%)100重量部に対し、オクチル酸スズを0.005重量部加え、窒素雰囲気下、攪拌翼のついた反応器にて、180℃で2時間反応し、オクチル酸スズに対し触媒失活剤として、1.2倍当量の燐酸を添加しその後、13.3Paで残存するラクチドを除去し、チップ化し、ポリL−乳酸(A2)を得た。得られたポリL−乳酸(A2)の重量平均分子量は15.2万、ガラス転移温度(Tg)55℃、結晶融解温度は175℃であった。ポリL−乳酸(A2)のカルボキシル基濃度および加水分解に対する安定性の結果を表1に示す。 ポリL−乳酸(A2)を90℃、5時間真空乾燥した後、環状カルボジイミド(CC1)を、ポリエチレンテレフタレート(A1)のカルボキシル基濃度と等量となるようにブレンダーで混合し、二軸混練機を用いて、シリンダー温度210℃で溶融混練し、ポリエステルを製造した。ポリエステル製造時イソシアネート臭の発生は感じられなかった。また、260℃、5分間溶融したとき、イソシアネート臭評価は合格であった。このポリエステルのカルボキシル基濃度および加水分解に対する安定性の結果を表1に示す。
このポリエステルにおいて、NMRによりポリエステル中の環状カルボジイミド(CC1)の含有量を確認したところ、ポリエステル中には環状カルボジイミド(CC1)が検出されなかった。また、ポリマー末端に環状カルボジイミド(CC1)由来のイソシアネート構造が存在することがNMRで確認された。
【0122】
<比較例2:脂肪族ポリエステル>
実施例2において、カルボジイミド化合物を線状カルボジイミドSb−I(ラインケミージャパン(株)製「スタバクゾール」I)に変更したこと以外は同様にして、ポリエステルを得た。ポリマー製造時イソシアネート臭を強く感じ、作業環境は不良と判断した。また260℃、5分間溶融したとき、イソシアネート臭評価は不合格であった。このポリエステルのカルボキシル基濃度および加水分解に対する安定性の結果を表1に示す。
このポリエステルにおいて、NMRによりポリエステル中の線状カルボジイミドSb−Iの含有量を確認したところ、ポリエステル中には線状カルボジイミドSb−Iが検出されなかった。また、ポリマー中に遊離した線状カルボジイミドSb−I由来のイソシアネートが存在することがNMRで確認された。
【0123】
<実施例3:脂肪族ポリエステル>
(ポリD−乳酸の調製)
実施例3においてポリエステル(A2)の製造において、L−ラクチドをD−ラクチド((株)武蔵野化学研究所製、光学純度100%)に変更し、他は同じ条件で重合を行い、ポリD−乳酸を得た。得られたポリD−乳酸の重量平均分子量は15.1万、ガラス転移温度(Tg)55℃、結晶融解温度は175℃であった。
(ステレオコンプレックスポリ乳酸(A3)の調製)
ポリL−乳酸(A2)、ポリD−乳酸,各50重量部とリン酸エステル金属塩((株)ADEKA製「アデカスタブ」NA−11)0.3重量部をブレンダーで混合、110℃、5時間真空乾燥した後、混練機の第一供給口より、シリンダー温度230℃、ベント圧13.3Paで真空排気しながら溶融混練し、水槽中にストランド押し出し、チップカッターにてチップ化して、ステレオ化度(S)は100%、結晶融解温度216℃のステレオコンプレックスポリ乳酸(A3)を得た。ステレオコンプレックスポリ乳酸(A3)のカルボキシル基濃度および加水分解に対する安定性の結果を表1に示す。
ステレオコンプレックスポリ乳酸(A3)を110℃、5時間真空乾燥した後、環状カルボジイミド(CC2)を、ステレオコンプレックスポリ乳酸(A3)のカルボキシル基濃度と等量となるようにブレンダーで混合し、二軸混練機を用いて、シリンダー温度230℃で溶融混練し、ポリエステルを製造した。ポリエステル製造時イソシアネート臭の発生は感じられなかった。また、260℃、5分間溶融したとき、イソシアネート臭評価は合格であった。このポリエステルのカルボキシル基濃度および加水分解に対する安定性の結果を表1に示す。
【0124】
<比較例3:脂肪族ポリエステル>
実施例3において、カルボジイミド化合物を線状カルボジイミドLA−1(日清紡績(株)製、「カルボジライト」LA−1)に変更したこと以外は同様にして、ポリエステルを得た。ポリマー製造時イソシアネート臭を強く感じ、作業環境は不良と判断した。また260℃、5分間溶融したとき、イソシアネート臭評価は不合格であった。このポリエステルのカルボキシル基濃度および加水分解に対する安定性の結果を表1に示す。
このポリエステルについて、GC/MSによりイソシアネートガス発生量を確認したところ、LA−1に由来するイソシアネートが310ppm検出された。
【0125】
<実施例4:脂肪族ポリエステル>
実施例3において、環状カルボジイミド(CC2)の添加量を、ステレオコンプレックスポリ乳酸(A3)のカルボキシル基濃度に対して2当量となるようにブレンダーで混合したこと以外は同様の操作を行った。、ポリエステル製造時イソシアネート臭の発生は感じられなかった。また、260℃、5分間溶融したとき、イソシアネート臭評価は合格であった。また、このポリエステルについて、GC/MSによりイソシアネートガス発生量を確認したところ、イソシアネートガスは検出されなかった。
このポリエステルにおいて、NMRによりポリエステル中の未反応の環状カルボジイミド(CC2)の含有有無を確認したところ、ポリエステル中には未反応の状態で環状カルボジイミド(CC2)が検出された。ポリマー中の未反応の環状カルボジイミドを除去するため、得られたポリマーをクロロホルムに溶解したのち、THF中に溶液を滴下する処理を三回繰り返してポリエステルを得た。このポリエステルにおいて、NMRによりポリエステル中の未反応の環状カルボジイミド(CC2)の含有有無を確認したところ、検出されなかった。
最終的に得られたポリエステルのカルボキシル基濃度および加水分解に対する安定性の結果を表1に示す。
【0126】
<実施例5:末端封鎖剤としての使用>
実施例3の操作で得たステレオコンプレックスポリ乳酸(A3)100重量部と、末端封鎖剤としての実施例4の操作によって最終的に得られたポリエステル100重量部とをブレンダーで混合、110℃、5時間真空乾燥した後、二軸混練機を用いて、シリンダー温度230℃で溶融混練し、ポリエステルを製造した。
得られたポリエステルのカルボキシル基濃度は1.7当量/tonであり、実施例3の操作で得たステレオコンプレックスポリ乳酸(A3)の当初のカルボキシル基濃度を低減させることができたことを確認した。
上記操作のいずれの段階でもイソシアネート臭の発生は感じられなかった。
【0127】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明のポリエステルは各種成形品の原料として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(i)で表される基を分子鎖中の側鎖および/または末端に有し、カルボキシル基濃度が5当量/ton以下であるポリエステル。
【化1】

(式中、Qは、脂肪族基、脂環族基、芳香族基またはこれらの組み合わせである2〜4価の結合基であり、ヘテロ原子を含有していてもよい。)
【請求項2】
Qが下記式(1−1)〜(1−3から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載のポリエステル。
【化2】

(式中、ArおよびArは各々独立に、2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基である。RおよびRは各々独立に、2〜4価の炭素数1〜20の脂肪族基、2〜4価の炭素数6〜20の脂環族基、これらの組み合わせ、またはこれら脂肪族基および/または脂環族基と2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基との組み合わせである。XおよびXは各々独立に、2〜4価の炭素数1〜20の脂肪族基、2〜4価の炭素数3〜20の脂環族基、2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基、またはこれらの組み合わせである。sは0〜10の整数である。kは0〜10の整数である。なお、sまたはkが2以上であるとき、繰り返し単位としてのX、あるいはXが、他のX、あるいはXと異なっていてもよい。Xは、2〜4価の炭素数2〜20の脂肪族基、2〜4価の炭素数6〜20の脂環族基、2〜4価の炭素数6〜15の芳香族基、またはこれらの組み合わせである。但し、Ar、Ar、R、R、X、XおよびXはヘテロ原子を含有していてもよい、また、Qが2価の結合基であるときは、Ar、Ar、R、R、X、XおよびXは全て2価の基である。Qが3価の結合基であるときは、Ar、Ar、R、R、X、XおよびXの内の一つが3価の基である。Qが4価の結合基であるときは、Ar、Ar、R、R、X、XおよびXの内の一つが4価の基であるか、二つが3価の基である。)
【請求項3】
ポリエステルが芳香族ポリエステルである、請求項1に記載のポリエステル。
【請求項4】
芳香族ポリエステルが、エチレンテレフタレート、トリメチレンテレフタレート、ブチレンテレフタレート、エチレンナフタレート、ブチレンナフタレートから選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位を含む、請求項3に記載のポリエステル。
【請求項5】
ポリエステルが脂肪族ポリエステルである、請求項1に記載のポリエステル。
【請求項6】
脂肪族ポリエステルが、下記式で示される繰り返し単位を含む、請求項5に記載のポリエステル。
【化3】

【請求項7】
ポリエステル(A成分)と、カルボジイミド基を1個有し、その第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を含む化合物(B成分)とを、ポリエステルのカルボキシル末端基1当量あたりカルボジイミド基が1〜5当量となるように混合し、未反応の環状構造を含む化合物(B成分)は除去する請求項1記載のポリエステルの製造方法。
【請求項8】
B成分の環状構造を形成する原子数が8〜50である請求項7記載の製造方法。
【請求項9】
B成分の環状構造が、下記式(1)で表される請求項7記載の製造方法。
【化4】

(式中、Qは、脂肪族基、脂環族基、芳香族基またはこれらの組み合わせである2〜4価の結合基であり、ヘテロ原子を含有していてもよい。)
【請求項10】
Qは、下記式(1−1)、(1−2)または(1−3)で表される2〜4価の結合基である請求項9記載の製造方法。
【化5】

(式中、ArおよびArは各々独立に、2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基である。RおよびRは各々独立に、2〜4価の炭素数1〜20の脂肪族基、2〜4価の炭素数3〜20の脂環族基、これらの組み合わせ、またはこれら脂肪族基および/または脂環族基と2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基との組み合わせである。XおよびXは各々独立に、2〜4価の炭素数1〜20の脂肪族基、2〜4価の炭素数3〜20の脂環族基、2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基、またはこれらの組み合わせである。sは0〜10の整数である。kは0〜10の整数である。なお、sまたはkが2以上であるとき、繰り返し単位としてのX、あるいはXが、他のX、あるいはXと異なっていてもよい。Xは、2〜4価の炭素数1〜20の脂肪族基、2〜4価の炭素数3〜20の脂環族基、2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基、またはこれらの組み合わせである。但し、Ar、Ar、R、R、X、XおよびXはヘテロ原子を含有していてもよい、また、Qが2価の結合基であるときは、Ar、Ar、R、R、X、XおよびXは全て2価の基である。Qが3価の結合基であるときは、Ar、Ar、R、R、X、XおよびXの内の一つが3価の基である。Qが4価の結合基であるときは、Ar、Ar、R、R、X、XおよびXの内の一つが4価の基であるか、二つが3価の基である。)
【請求項11】
B成分の環状構造を含む化合物が、下記式(2)で表される請求項7記載の製造方法。
【化6】

(式中、Qは、脂肪族基、脂環族基、芳香族基またはこれらの組み合わせである2価の結合基であり、ヘテロ原子を含有していてもよい。)
【請求項12】
は、下記式(2−1)、(2−2)または(2−3)で表される2価の結合基である請求項11記載の製造方法。
【化7】

(式中、Ar、Ar、R、R、X、X、X、sおよびkは、各々式(1−1)〜(1−3)中のAr、Ar、R、R、X、X、X、sおよびkと同じである。)
【請求項13】
B成分の環状構造を含む化合物が、下記式(3)で表される請求項7記載の製造方法。
【化8】

(式中、Qは、脂肪族基、脂環族基、芳香族基またはこれらの組み合わせである3価の結合基であり、ヘテロ原子を含有していてもよい。Yは、環状構造を担持する担体である。)
【請求項14】
は、下記式(3−1)、(3−2)または(3−3)で表される3価の結合基である請求項13記載の製造方法。
【化9】

(式中、Ar、Ar、R、R、X、X、X、sおよびkは、各々式(1−1)〜(1−3)のAr、Ar、R、R、X、X、X、sおよびkと同じである。但しこれらの内の一つは3価の基である。)
【請求項15】
Yは、単結合、二重結合、原子、原子団またはポリマーである請求項13記載の製造方法。
【請求項16】
B成分の環状構造を含む化合物が、下記式(4)で表される請求項7記載の製造方法。
【化10】

(式中、Qは、脂肪族基、芳香族基、脂環族基またはこれらの組み合わせである4価の結合基であり、ヘテロ原子を保有していてもよい。ZおよびZは、環状構造を担持する担体である。)
【請求項17】
は、下記式(4−1)、(4−2)または(4−3)で表される4価の結合基である請求項16記載の製造方法。
【化11】

(式中、Ar、Ar、R、R、X、X、X、sおよびkは、各々式(1−1)〜(1−3)の、Ar、Ar、R、R、X、X、X、sおよびkと同じである。但し、これらの内の一つが4価の基であるか、二つが3価の基である。)
【請求項18】
およびZは各々独立に、単結合、二重結合、原子、原子団またはポリマーである請求項16記載の製造方法。

【公開番号】特開2010−285554(P2010−285554A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−141071(P2009−141071)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【出願人】(000003001)帝人株式会社 (1,209)
【Fターム(参考)】