説明

ポリエステルの製造方法

【課題】
重縮合触媒として、タングステン化合物を用いたポリエステルの製造方法において、好適な色調のポリエステルを高反応速度で製造するポリエステルの製造方法を提供する。
【解決手段】
芳香族ジカルボン酸を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分から重縮合反応を経てポリエステルを製造する方法において、重縮合反応用触媒としてタングステン化合物及びケイ素化合物を使用することを特徴とするポリエステルの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリエステルの製造方法に関するものであり、詳しくはボトル等の中空成形容器、フィルム、シート、繊維等の各種用途に好適な色調を有するポリエステルを、高い反応速度で製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレートをはじめとするポリエステルは、機械的強度、化学的安定性など、その優れた性質のゆえに種々の分野、例えば、衣料用や産業資材用の繊維、包装用や磁気テープ用などの各種フィルムやシート、ボトル容器等の中空成形品やエンジニアリングプラスチック成形品など、種々の分野で広く用いられている。中でも、ガスバリヤ性、衛生性などに優れ、比較的安価で軽量であるために、各種食品、飲料包装容器として幅広く用いられ、かつその応用分野はますます拡大している。
【0003】
一般にポリエステルは、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールを主原料とし、多段階の反応で製造されている。通常は、先ず、テレフタル酸等のジカルボン酸とエチレングリコール等のジオールとを直接反応させるエステル化反応、またはテレフタル酸ジメチル等のジカルボン酸のエステル形成性誘導体とエチレングリコール等のジオールとのエステル交換反応により、ビス(β−ヒドロキシエチエル)テレフタレート等のエステルまたはエステルとオリゴエステルの混合物からなる比較的低分子量のポリエステル予備縮合物を製造する。次いでこのポリエステル予備縮合物を、重縮合反応用触媒の存在下、副生するアルコールおよび/または水を分離しながら重縮合反応させ、目的とする高分子量のポリエステルとする。この得られたポリエステルは、必要に応じ、更に固相重縮合に供される。
【0004】
従来より、重縮合反応用触媒としては多数のものが提案されているが、現在多くの商業的プロセスにおいては、アンチモン化合物またはゲルマニウム化合物が重縮合反応用触媒として用いられている。
アンチモン化合物、なかでも三酸化アンチモン(Sb)は、安価でかつ優れた重縮合反応活性を有する触媒であるが、Sb触媒を用いて製造されたポリエステル中に残留する触媒残渣は、比較的大きな粒子状となり易く、ポリエステル中に異物として残留する場合がある。更に、最近では環境面から、より安全性の高い触媒が求められるようになりつつある。
【0005】
重縮合反応用触媒として用いられるゲルマニウム化合物としては、二酸化ゲルマニウム(GeO)等が知られており、アンチモン触媒と比較し、高い品質のポリエステルを製造することができる。しかしながら、ゲルマニウム化合物は高価であり、ポリエステルの製造コストが著しく高くなるという経済上の問題がある。
【0006】
アンチモン化合物またはゲルマニウム化合物に代わるポリエステル製造用の重縮合反応用触媒を提供するための研究は、これまでにも繰り返し行われてきており、例えば、テトラブチルチタネートのようなアルキルチタネート触媒が提案されている(例えば、特公昭49−11474号公報、特開昭55−23136号公報参照)。しかしながら、チタン化合物の使用は、得られるポリエステルに著しい着色を起こす場合があり、現在では、更に加熱成形時の熱安定性の向上が望まれている。
【0007】
一方、ポリエステルの着色を抑制し、加熱成形時の熱安定性を向上させるために、重縮合反応時にリン化合物を添加する方法が広く知られている。しかしながら、リン化合物の添加はチタン化合物触媒の重縮合活性を低下させるという欠点があり、チタン化合物触媒の効果が制約されることになってしまうという問題点があった。
【0008】
重縮合反応用触媒として用いられる金属化合物として、上記以外にはタングステン酸塩を使用するポリエステル類の製造方法が特公昭44−19554号公報、特開昭56−74123号公報に開示されている。しかしながら、タングステン化合物を重縮合反応用触媒として用いた場合、生成ポリエステルの色調が黄色になりやすいという着色問題があり、また重合活性面でも工業的に十分なものではなかった。
【特許文献1】特公昭49−11474号公報
【特許文献2】特開昭55−23136号公報
【特許文献3】特公昭44−19554号公報
【特許文献4】特開昭56−74123号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上述の従来技術に鑑み、重縮合反応用触媒としてタングステン化合物を用いたポリエステルの製造方法における前述の問題、即ちポリエステルの色調及び触媒活性の問題を解決し、好適な色調を有するポリエステルを高い反応速度で製造することができるポリエステルの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、高い反応速度で良好な色調のポリエステルを製造する方法を提供することを目的とし、その要旨は、芳香族ジカルボン酸を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分から重縮合反応を経てポリエステルを製造する方法において、重縮合反応用触媒としてタングステン化合物及びケイ素化合物を使用することを特徴とするポリエステルの製造方法に存する。
【0011】
本発明方法のより好適な態様として、タングステン化合物が、タングステン酸、ヘテロポリタングステン酸、イソポリタングステン酸およびそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であること、ケイ素化合物が、テトラアルコキシシラン及び/又はポリアルコキシシロキサン化合物であること、触媒中のタングステン化合物とケイ素化合物の割合が、タングステン原子とケイ素原子のモル比(W:Si)で、1:10〜10:1であること、並びに重縮合反応の際、リン化合物を併用することを挙げることが出来る。
【発明の効果】
【0012】
本発明の重縮合反応用触媒としてタングステン化合物とケイ素化合物を用いたポリエステルの製造方法により、高い反応速度で色調良好なポリエステルを製造することが可能になるので、本発明の製造方法は工業的に極めて有用な方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の代表例であり、これらの内容に限定されるものではない。
【0014】
本発明のポリエステルの製造方法においては、重縮合反応用触媒としてタングステン化合物とケイ素化合物を使用することが必須である。
(重縮合反応用触媒)
本発明のポリエステルの製造方法において、重縮合反応用触媒として用いられるタングステン化合物について具体的に説明する。
重縮合反応用触媒として用いられるタングステン化合物としては特に制限されず、種々の化合物が用いられ、例えば、タングステン酸、ヘテロポリタングステン酸、イソポリタングステン酸及びそれらの塩、タングステン酸化物、並びにタングステンエトキサイドのようなタングステンアルコキサイド等の化合物が挙げられる。これらの化合物の中でもタングステン酸、ヘテロポリタングステン酸、イソポリタングステン酸、及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が、重縮合反応中の温度に対する化合物の安定性の点から好ましく用いられる。
【0015】
タングステン酸およびタングステン酸塩としては、通常、下記の一般式(1)で表されるものが用いられる。
(化1)
(MI)(WO (1)
一般式式(1)中、MIはカチオンを表し、n及びmは、1〜3の範囲で、W及びMIの原子価に応じ中性塩となるような値をとる。
MIで表されるカチオンとしては、H、NH4+;Li、Na+、K、Rb、Cs、Cu2+、Ag等の短周期表(以下同様)第I族の金属カチオン;Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Zn2+、Gd3+、等の第II族の金属カチオン;La3+、Ce3+、Sm3+、Eu3+、Dy3+、Er3+、Yb3+、Lu3+等のランタノイド、Y3+、Al3+、Tl等の第III族金属カチオン;Ti4+、Zr4+、Sn4+、Pb2+等の第IV族金属カチオン;Sb3+、Bi3+等の第V族金属カチオン;Mn2+等の第VII族金属カチオン;Fe2+、Fe3+、Co2+、Ni2+、Ir3+等の第VIII族金属カチオンが挙げられる。これらのカチオンは、上記の中から選ばれる1つ、もしくは複数のカチオンの組み合わせにより構成される。
【0016】
タングステン酸及びその塩の具体的な化合物としては、タングステン酸(H2WO4)、タングステン酸ナトリウム(Na2WO4)、タングステン酸カリウム(K2WO4)、タングステン酸カルシウム(CaWO4)、タングステン酸アンモニウム((NHWO)、タングステン酸アルミニウム(Al(WO)、タングステン酸バリウム(BaWO)、タングステン酸マンガン(MnWO)、タングステン酸コバルト(CoWO)、タングステン酸銅(CuWO)、タングステン酸鉄(FeWO、Fe(WO)、タングステン酸リチウム(LiWO)、タングステン酸亜鉛(ZnWO)、タングステン酸セリウム(Ce(WO)、タングステン酸ユーロピウム(Eu(WO)、タングステン酸エルビウム(Er(WO)、タングステン酸ランタン(La(WO)、タングステン酸タリウム(TlWO)、タングステン酸イットリウム(Y(WO)、タングステン酸ガドリニウム(Gd(WO)、タングステン酸イリジウム(Ir(WO)、タングステン酸サマリウム(Sm(WO)、タングステン酸銀(AgWOAgWO)、タングステン酸ジルコニウム(Zr(WO)、タングステン酸ダイスプロシウム(Dy(WO)、タングステン酸錫(Sn(WO)、タングステン酸アンチモン(Sb(WO)、タングステン酸ルテチウム(Lu(WO)、タングステン酸チタン(Ti(WO)、タングステン酸テリビウム(Yb(WO)が挙げられる。また、一般式(1)の構造以外のタングステン化合物の塩としてはクエン酸タングステンナトリウム(NaW(C)が挙げられる。これらのタングステン化合物は水和物として用いてもよい。
【0017】
上記のこれらの化合物の中でも好ましくは、タングステン酸、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カルシウム、タングステン酸アンモニウム、タングステン酸カリウムおよびそれらの水和物が挙げられ、更に好ましくは、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸アンモニウムおよびそれらの水和物が挙げられる。
【0018】
タングステン酸塩は溶液中でタングステン酸イオンとして存在するが、pHなどの条件や、他の金属イオンとの複合により、重合度が異なる一連のイソポリタングステン酸イオン、ヘテロポリタングステン酸イオンを生じさせるものであり、それらのイオンが形成する塩も本発明の触媒を構成する化合物として使用される。
【0019】
イソポリタングステン酸イオンとしては特に限定されないが、例えば、[W24]6−、[W1032]4−、[W19]2−、[H1242]10−、[W16]8−、[H1240]6−などのイオンを挙げることができる。
イソポリタングステン酸イオンを生じさせる化合物としては、通常の無機塩、有機塩が挙げられ、これらを重縮合反応用触媒として使用することができる。中でも、好ましい塩の形態としては、メタタングステン酸アンモニウム(NH[H1240]・nHO、nは整数)、パラタングステン酸アンモニウム(5(NHO・12WO)またはその5水和物である5(NHO・12WO・5HOなどのアンモニウム塩、ポリタングステン酸ナトリウム(3NaWO・9WO・HO)のようなアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩が挙げられる。特にメタタングステン酸アンモニウムは、通常、WO換算で50wt%前後の濃厚水溶液として安定に保存及び取り扱いが可能である。パラタングステン酸アンモニウム及びその水和物は通常、水やエチレングリコールに対する溶解性が低いことから、リン酸などの重合に対して悪影響のない酸性物質などで溶解させて用いるのが好ましい。
【0020】
本発明の重縮合反応触媒に用いられるヘテロポリタングステン酸イオンからなる化合物には、MO八面体の籠状構造によって包みこまれたヘテロ原子を持った原子団からなる6の酸化状態の1または数個のタングステン原子により形成されたあらゆる物質が含まれる。また、ヘテロポリ酸の構成要素であるMO八面体の一部が欠落した、欠損型ヘテロポリタングステン酸およびその塩も含まれる。
【0021】
化合物の具体例としては、ヘテロ原子としてSi、P、Ge、Coなどを有するケイタングステン酸やリンタングステン酸、コバルトタングステン酸、ゲルマニウムタングステン酸、1欠損型ケイタングステン酸、1欠損型リンタングステン酸およびその塩であり、より具体的には、ケイタングステン酸、リンタングステン酸、ケイタングステン酸ナトリウム、ケイタングステン酸カリウム、ケイタングステン酸アンモニウム、ケイタングステン酸リチウム、ケイタングステン酸セシウム、リンタングステン酸ナトリウム、リンタングステン酸カリウム、リンタングステン酸アンモニウム、リンタングステン酸リチウム、リンタングステン酸セシウム等が挙げられる。これらの中、好ましくはケイタングステン酸、リンタングステン酸、ケイタングステン酸ナトリウム、リンタングステン酸ナトリウムが使用される。
【0022】
本発明のポリエステル製造方法において、重縮合反応用触媒として使用されるタングステン化合物の使用量は、生成するポリエステルの全重量に対し、タングステン金属換算で下限は通常0.1ppm、好ましくは1ppm、更に好ましくは10ppmであり、上限は通常5000ppm、好ましくは150ppm、更に好ましくは80ppmである。使用量が下限値より少ないと、十分な触媒活性を維持するのが難しく、上限値より多いとポリエステルの熱安定性が低下することがある。
【0023】
本発明の製造方法において用いられる重縮合反応用触媒は、タングステン化合物と共にケイ素化合物を使用することにより重縮合反応速度を加速し、高い速度で重縮合反応を行うことができる。
用いられるケイ素化合物としては特に制限されず、例えば、下記一般式(2)で示されるテトラアルコキシシラン、下記一般式(3)で示されるポリアルコキシシロキサン化合物、酢酸ケイ素などのケイ素のカルボン酸塩、シラノール、シランジオール、フェニルシラントリオールなどのシラノール化合物等が挙げられる。
【0024】
(化2)
Si(OR(2)
(式中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基を表し、アルキル基は更にフェニル基等で置換されていてもよい。)
(化3)
SiO(OR(OH) (3)
(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す。a=0〜1.3、b=1.4〜4.0、c=0.1である。但し、2a+b+c=4を充たす。)
【0025】
中でも、一般式(2)で示されるテトラアルコキシシラン及び/又は一般式(3)で示されるポリアルコキシシロキサン化合物が、重縮合反応系内での安定性及び分散性の点で好ましい。
一般式(2)で示されるテトラアルコキシシランとして具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラベンジルオキシシランなどのテトラアルコキシシランが挙げられる。これらの中、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシランが好ましく、特にテトラエトキシシランが好ましい。
【0026】
一般式(3)で示されるポリアルコキシシロキサン化合物としては、上記一般式(3)におけるRで表されるアルキル基が、メチル基、エチル基、ブチル基、イソブチル基、イソプロピル基等であるものが挙げられ、これらの基の中から選ばれる少なくとも一つを含むものである。アルキル基としては、メチル基、エチル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
ポリアルコキシシロキサン化合物の中で、下記の一般式(4)で示される、ポリメトキシシロキサンが特に好ましい。
【0027】
一般式(4)
【化4】

(但し、n=1〜100)
上記一般式(2)で示されるテトラアルコキシシラン及び一般式(3)で示されるポリアルコキシシロキサン化合物は単独で用いられてもよく、複数が混合して用いられてもよい。
【0028】
本発明製造方法で重縮合反応用触媒として用いられるタングステン化合物とケイ素化合物の割合は、該触媒中のタングステン原子とケイ素原子とのモル比(W:Si)が、通常1:99〜99:1となるように使用される。タングステン原子とケイ素原子とのモル比(W:Si)は、好ましくは1:20〜20:1であり、更に好ましくは1:10〜10:1である。タングステン原子に対してケイ素原子が少ないと重合速度が遅い場合があり、また生成ポリエステルのb値も悪化する傾向にある。一方、ケイ素原子が多すぎる場合は、ケイ素化合物が凝集体となってポリエステル中に析出する場合があり好ましくない。
【0029】
また、本発明の製造方法では、重縮合反応用触媒として用いられるタングステン化合物及びケイ素化合物と共に、他の金属化合物を併用してもよい。他の金属化合物としては、チタン、ゲルマニウム、アンチモン、亜鉛から選択される少なくとも1種の金属原子を有する金属化合物が一般に用いられる。中でも、チタンテトラブトキシドなどのチタンアルコキサイド、酸化ゲルマニウム、酸化アンチモン、酢酸亜鉛が好ましく併用される。これらの金属化合物の使用量はその化合物の種類によって異なるが、通常タングステン化合物のタングステン原子に対して金属原子換算のモル比で0.05〜2.0の範囲で使用される。特に、チタン化合物を併用する場合は、タングステン原子に対する金属原子換算のモル比で0.05〜0.5の範囲が好ましく、0.05〜0.1の範囲が特に好ましい。
【0030】
本発明の製造方法では、重縮合反応用触媒としてタングステン化合物及びケイ素化合物を使用するが、更に安定剤としてリン化合物を併用して重縮合反応を行う方法が生成ポリエステルの加熱成形時の熱安定性向上などの点から好適に行われる。
リン化合物としては、上記のような物性改善効果をもたらすものとして従来公知のリン化合物から、適宜選択して使用することができる。具体的にはリン酸またはリン酸塩、亜リン酸または亜リン酸塩、リン酸エステル系化合物、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物を用いることができる。
【0031】
リン酸およびリン酸塩としては、例えば、正リン酸、リン酸リチウム、リン酸二水素リチウム、リン酸水素二リチウム、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸バリウム、リン酸亜鉛、リン酸ストロンチウム、リン酸二水素ストロンチウム、リン酸水素二ストロンチウム、リン酸ジルコニウム等が挙げられ、これらのうち、正リン酸、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸二水素カリウムが好ましく使用される。
【0032】
また、亜リン酸、次亜リン酸、及びそれらのアルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の金属の塩を使用することができ、具体的な塩としては、亜リン酸リチウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸ストロンチウム、亜リン酸ジルコニウム、亜リン酸バリウム、亜リン酸亜鉛などが挙げられる。これらのうち、特に亜リン酸、次亜リン酸、亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウムが好ましく使用される。
【0033】
リン酸エステル系化合物としては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリス(トリエチレングリコール)ホスフェート等のリン酸エステル類、エチルジエチルホスホノアセテート、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、モノブチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、トリエチレングリコールアシッドホスフェート等の酸性リン酸エステル類、ジエチルホスファイト、トリスドデシルホスファイト、トリスノニルデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト等の亜リン酸エステル類等が挙げられる。中でも、トリス(トリエチレングリコール)ホスフェート、エチルジエチルホスホノアセテート、エチルアシッドホスフェート、トリエチレングリコールアシッドホスフェートが好ましく、トリス(トリエチレングリコール)ホスフェート、エチルジエチルホスホノアセテート、エチルアシッドホスフェート、トリエチレングリコールアシッドホスフェートが特に好ましい。
【0034】
ホスホン酸系化合物としては、例えば、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジフェニル、ベンジルホスホン酸ジメチル、ベンジルホスホン酸ジエチルなどが挙げられる。ホスフィン酸系化合物としては、例えば、ジフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸メチル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、フェニルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸メチル、フェニルホスフィン酸フェニルなどが挙げられる。ホスフィンオキサイド系化合物としては、例えば、ジフェニルホスフィンオキサイド、メチルジフェニルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。これらの中では、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジメチルが好ましい。
【0035】
安定剤として使用するリン化合物は、重縮合反応用触媒のタングステン化合物に対し、タングステン原子とリン原子とのモル比(W:P)で、通常99:1〜1:99の範囲で使用され、好ましくは50:1〜1:50、より好ましくは20:1〜1:20、更に好ましくは10:1〜1:10で使用される。タングステン化合物に対して過剰にリン化合物を使用すると活性の低下を招き、また少なすぎると本来の安定剤の効果が認められない。
【0036】
(重縮合反応方法)
本発明のポリエステルの製造方法は、重縮合反応用触媒としてタングステン化合物及びケイ素化合物を使用する他は特に制限されず、一般的なポリエステルの製造方法における重縮合反応を、上記触媒の存在下、ジカルボン酸成分とジオール成分を重縮合反応させることにより行うことが出来る。
【0037】
本発明のポリエステルの製造方法に用いられるジカルボン酸成分は、ジカルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体のことをいい、その主成分は芳香族ジカルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体である。ここで、主成分であるとは全ジカルボン酸成分に対して芳香族ジカルボン酸及び/又はそれらエステル形成性誘導体が90モル%以上であることをいい、95%以上が更に好ましい。
【0038】
上記芳香族ジカルボン酸としては、具体的には、例えば、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、ジブロモイソフタル酸、スルホイソフタル酸ナトリウム、フェニレンジオキシジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。これらのうち、好ましくはテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が挙げられ、更に好ましくはテレフタル酸が挙げられる。
【0039】
また、エステル形成性誘導体の例としては、上記の芳香族ジカルボン酸の炭素数1〜4程度の低級アルキル基のエステル等が挙げられる。ジカルボン酸成分中の主成分以外の成分としては、例えば脂肪族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体が挙げられる。具体的には、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、並びにこれらの脂環式ジカルボン酸や脂肪族ジカルボン酸の炭素数1〜4程度の低級アルキル基のエステル等が挙げられる。これらの中でも、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族カルボン酸の低級アルキル基のエステル、特にメチルエステルが好ましく、テレフタル酸メチルエステルが最も好ましい。
【0040】
本発明のポリエステルの製造方法に用いられるジオール成分は、エチレングリコールが主成分であれば特に制限されない。ここで主成分であるとは、エチレングリコールが全ジオール成分の80モル%以上であることをいい、生成ポリエステルの融点を高くするという観点から、85モル%以上がより好ましく、90モル%以上が更に好ましい。
【0041】
主成分以外のジオールとしては、例えば、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等の脂肪族ジオール;1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメチロール、2,5−ノルボルナンジメチロール等の脂環式ジオール;キシリレングリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸等の芳香族ジオール、並びに2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパンのエチレンオキサイド付加物又はプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0042】
本発明のポリエステルの製造方法においては、本発明の効果を逸脱しない範囲で、更に単官能成分や多官能成分を全ジカルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体に対して数モル%程度含んでいてもよい。具体的には、例えば、グリコール酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸やアルコキシカルボン酸、及び、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、ステアリン酸、安息香酸、t−ブチル安息香酸、ベンゾイル安息香酸等の単官能成分、トリカルバリル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、没食子酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール等の三官能以上の多官能成分が挙げられる。
【0043】
本発明のポリエステルの製造方法としては、必須成分としてタングステン化合物とケイ素化合物を重縮合反応用触媒として用いる以外、基本的にはポリエステルの慣用的な製造方法が適用される。即ち、代表例を示すと、まず前記芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分とを、エステル化反応槽で、通常240〜280℃程度の温度、通常大気圧に対する相対圧力0〜4×10Pa程度の加圧下で、攪拌下に1〜10時間程度でエステル化反応させ、或いは、エステル交換触媒の存在下にエステル交換反応させた後、得られたエステル化反応生成物或いはエステル交換反応生成物としてのポリエステル低分子量体を重縮合反応槽に移送し、前記重縮合反応用触媒の存在下に、通常250〜290℃程度の温度、常圧から漸次減圧として最終的に通常絶対圧力1333〜13.3Pa程度の減圧下で、攪拌下に1〜20時間程度で溶融重縮合させることよりなる製造方法である。この製造方法は連続式、又は回分式のいずれでも行われる。
【0044】
重縮合反応用触媒は、重縮合反応時に存在していれば良く、その添加方法は特に制限されないが、具体的な触媒の添加方法としては、例えば、タングステン化合物およびケイ素化合物を、エチレングリコールまたは他のジオール成分中に溶解またはスラリー状態となし、その溶液またはスラリーを多段反応装置における最終段のエステル化反応槽、又は、エステル化反応槽から溶融重縮合工程への移送段階のエステル化反応生成物に添加する方法が挙げられる。また、ケイ素化合物が、特に低分子量体の化合物である場合には、均一液状態のままでフィードすることも可能である。
【0045】
タングステン化合物とケイ素化合物は、必ずしも混合して添加することは必須ではないが、プロセスを簡略化するために混合して添加する方法が好ましい。タングステン化合物及びケイ素化合物を別々に添加する場合にはその添加順序には制約はないが、予めケイ素化合物を加えて分散させた上でタングステン化合物を添加する方法が、タングステン化合物の分散が促進されるため好ましい。
安定剤としてのリン化合物については、原料ジカルボン酸成分等のスラリー調製槽又は第一段目のエステル化反応槽に添加する方法が、オリゴマーの色調悪化を防ぐという観点からも好ましく、スラリー調製槽に添加する方法が特に好ましい。即ち本発明においては、タングステン化合物、ケイ素化合物、及びリン化合物の反応系への添加順序を、リン化合物、次いでケイ素化合物、次いでタングステン化合物とするのがオリゴマーの色調及びタングステン化合物の分散の点から好ましい。
【0046】
通常、溶融重縮合反応により得られたポリエステルは、重縮合反応槽の底部に設けられた抜き出し口よりストランド状に抜き出され、水冷しながらまたは水冷後、カッター等で切断されるなどしてペレット状、チップ状等の粒状体とされる。得られた粒状体の固有粘度は、通常0.4dl/g以上、1.5dl/g以下となる。
【0047】
このようにして得られたポリエステルは、所望により高重合度化、さらには環状三量体、アセトアルデヒド等の反応副生成物の低減化を図るために固相重縮合に供してもよい。
一般的に固相重縮合は、固相重縮合反応に供するポリエステルが溶融しない程度の温度、好ましくは190〜250℃、特に好ましくは195〜240℃の温度条件下、窒素、アルゴン、二酸化炭素などの不活性ガス雰囲気中で反応を行う場合には、絶対圧力0.1MPa以下、好ましくは絶対圧力0.02MPa以下で、あるいは更に減圧の雰囲気下で反応を行う場合には絶対圧力13Pa〜6665Pa、好ましくは絶対圧力65Pa〜1333Paにて行われる。
【0048】
固相重縮合の温度、圧力、反応時間、不活性ガス流量などは、ポリエステル生成物が所望の物性を有するよう、適宜選択されるが、本発明の製造方法で得られたポリエステルを固相重縮合させると、重縮合反応用触媒として使用したタングステン化合物及びケイ素化合物が固相重縮合反応においても高い活性を有するため、重縮合反応用触媒としてタングステン化合物及びケイ素化合物を使用していない従来の製造方法によるポリエステルに比べて、反応時間を短くできるという利点がある。
【実施例】
【0049】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例によって限定されるものではない。
なお、本発明におけるポリエステルの物性等は以下の方法で測定した。
【0050】
(固有粘度の測定)
ポリエステルの試料0.5gを、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(重量比1/1)混合溶媒に、濃度(c)を1.0g/dlとして、110℃で30分間要して溶解させる。この溶液についてウベローデ型毛細粘度管を用いて、30℃で相対粘度(ηrel)を測定する。この相対粘度から求めた比粘度(ηsp)について濃度(c)との比(ηsp/c)を求める。濃度(c)を0.5g/dl、0.2g/dl、0.1g/dlとした溶液についても同様にしてそれぞれ濃度との比(ηsp/c)を求め、これらの値より、濃度(c)を0に外挿したときの比(ηsp/c)を固有粘度[η](dl/g)として求めた。
【0051】
(色調)
溶融重縮合後のポリエステルチップを粉体測色用セルに充填し、測色色差計ZE−2000(日本電色工業(株))を使用して、JIS Z8730の参考例1に記載されるLab表示系におけるハンターの色差式の色座標によるカラーb値を求めた。
【0052】
(溶融重縮合速度)
重縮合速度ksは下記式(5)によって求められる。
(数1)
ks = ln(Mn’/Mn/T)×10 (5)
Mn’は溶融重縮合後の固有粘度[η](dl/g)より算出されるポリマーの数平均分子量であり、Mnは溶融重縮合前の固有粘度より算出されるポリマーの数平均分子量である。
Tは減圧開始後の溶融重縮合時間(分)である。
なお、分子量Mn及びMn’は下記式(6)によって求められる。
(数2)
分子量(MnまたはMn’)=(固有粘度[η]/0.00021)(1/0.82) (6)
【0053】
[実施例1]
連続反応槽にてテレフタル酸とエチレングリコールをモル比1.5で、約265℃、無触媒下で約5時間エステル化反応を行うことによりポリエステルオリゴマー(数平均重合度=7、エステル化率=約91%)を得た。このポリエステルオリゴマー104gを重縮合反応槽に仕込み、反応槽内を窒素置換した後、270℃のオイルバス中で該オリゴマーを溶融させた。次に、オリゴマーをトルク計付きスリーワンモータで150rpmの速度で攪拌しながら、触媒としてタングステン酸ナトリウム・二水和物(Na2WO4・2H2O)、及びポリメトキシシロキサン化合物(商品名:MKCシリケート MS56S:三菱化学(株)製、SiO2含有量として59.7重量%)を、タングステン原子およびシリカ原子が得られるポリエステル樹脂に対して各金属原子(W、Si)として、100重量ppmとなるようにエチレングリコール3ml中に混合して添加した。
【0054】
触媒を添加してから5分後に減圧を開始し、20分間で絶対圧力133Paまで減圧した。減圧を開始してから、55分後に攪拌を止め、系内を窒素で常圧に戻し、重縮合反応を終了した。次に反応槽底部の抜き出し口よりポリエステル生成物をストランド状に抜き出して、水冷後、カッターでチップ状に切断した。得られたポリエステルチップの固有粘度とカラーb値を測定した結果を表1に示す。
【0055】
[実施例2]
実施例1において、触媒を添加する際、正燐酸(H3PO4)をリン原子が得られるポリエステルに対して22重量ppmとなるように添加し、減圧開始から77分後に反応を終了した以外は、実施例1と同様な方法でポリエステルの製造を実施した。得られたポリエステルチップの固有粘度とカラーb値の測定結果を表1に示す。
【0056】
[比較例1]
実施例1において、ポリメトキシシロキサン化合物(MKCシリケート MS56S)を使用せず、減圧開始から70分後に反応を終了した以外は、実施例1と同様な方法でポリエステルの製造を実施した。得られたポリエステルチップの固有粘度とカラーb値の測定結果を表1に示す。
【0057】
[比較例2]
実施例2において、ポリメトキシシロキサン化合物(MKCシリケート MS56S)を使用せず、減圧開始から90分後に反応を終了した以外は、実施例2と同様な方法でポリエステルの製造を実施した。得られたポリエステルチップの固有粘度とカラーb値の測定結果を表1に示す。
【0058】
【表1】

【0059】
実施例1に対してケイ素化合物を使用しなかった比較例1では、重合速度及びb値とも悪化した。更に、リン化合物を使用した実施例2に対してケイ素化合物を使用しなかった比較例2でも、重合速度及びb値とも悪化する結果となった。
これらの結果は、タングステン化合物とケイ素化合物を組み合わせることによって、高い重合速度で色調良好なポリエステルが得られることを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族ジカルボン酸を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分から重縮合反応を経てポリエステルを製造する方法において、重縮合反応用触媒としてタングステン化合物及びケイ素化合物を使用することを特徴とするポリエステルの製造方法。
【請求項2】
タングステン化合物が、タングステン酸、ヘテロポリタングステン酸、イソポリタングステン酸およびそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステルの製造方法。
【請求項3】
ケイ素化合物が、テトラアルコキシシラン及び/又はポリアルコキシシロキサン化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリエステルの製造方法。
【請求項4】
触媒中におけるタングステン化合物とケイ素化合物の割合が、タングステン原子とケイ素原子のモル比(W:Si)で、1:10〜10:1であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のポリエステルの製造方法。
【請求項5】
重縮合反応の際、リン化合物を併用することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のポリエステルの製造方法。

【公開番号】特開2006−16427(P2006−16427A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−193063(P2004−193063)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】