ポリエステルフィルム

【課題】 光学部材用ポリエステルフィルムで問題となる、フィルムの熱処理・加工によるオリゴマーの表面への析出を抑制し、塗布適性の優れた二軸延伸ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 少なくとも一方の表面が塗布層を有さない二軸延伸ポリエステルフィルムであり、当該表面の水滴接触角が50度以下であり、180℃で10分間熱処理した後の当該表面におけるオリゴマー析出量が5.0mg/m以下であり、当該表面の帯電量が2.0kV以下であることを特徴とする二軸延伸ポリエステルフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学用ポリエステルフィルムとして好適なフィルムに関するものであり、詳しくは、フィルムの熱処理・加工によるオリゴマーの表面への析出を抑制し、かつ、塗布適性の優れた二軸延伸ポリエステルフィルムを提供するものである。
【背景技術】
【0002】
二軸延伸ポリエステルフィルムは、透明性、寸法安定性、機械的特性、耐熱性、電気的特性、耐薬品性などに優れ、包装材料、電気絶縁材料、金属蒸着材料、製版材料、磁気記録材料、表示材料、転写材料、窓貼り材料などを始めとして多くの用途で使用されている。
【0003】
特に最近では、透明タッチパネル用、液晶表示装置に用いられるプリズムシート用のベースフィルムやブラウン管、LCD、PDP等の、いわゆるフラットディスプレイの前面パネルガラス表面貼り付け用に、帯電防止、反射防止、電磁波シールド等の機能層を設けた保護フィルムのベースフィルム用などの各種光学用途に広く用いられているが、ポリエステルフィルムは傷が付きやすいため、外観や光学的特性が損なわれやすいという欠点がある。
【0004】
表面に傷が入いるのを防止する方法として、活性エネルギー線硬化樹脂層をフィルム面に設け方法が一般的に採用される。この場合、活性エネルギー線硬化樹脂層との濡れ性、密着性を高めるため、通常、光学用ポリエステルフィルムには活性エネルギー線硬化樹脂層との易接着層を設けるのが一般的であるが、易接着層の影響により、オリゴマーが表面に析出しやすくなる傾向があり、加工工程における熱履歴によっては、オリゴマーに起因する、透明性の悪化や塗布膜とポリエステルとの密着性不具合が生じ、問題となっている。特に最近需要が増えている携帯情報端末(PDA)用や携帯ゲーム機の表示画面用においては、軽量小型化と高機能化を両立するために導電回路の精密化が著しく、ベースフィルムにおいても、活性エネルギー線硬化樹脂層加工前あるいは加工後のアニール処理による寸法安定性の向上が必須となっており、同時にフィルム表面へのオリゴマー析出による外観不良が問題となっている。
【0005】
従来、オリゴマーの析出を防止する方法としては、固相重合により原料中に含まれるオリゴマーの低減をはかったり、また、末端封鎖剤を用いてポリエステルフィルムの耐加水分解性を向上させたりすることなどが行われてきた。しかし、固相重合の場合は、オリゴマーの低減と同時にポリマーの重合度も上がるため、フィルム製造の際に押出機への負荷が大きくなったり、製造工程が増加したりするため製造コストの上昇を招いてしまう。また、特許文献1には、オリゴマーを含むポリエステルからなる内層を、オリゴマーを実質的に含まないポリエステルで被覆する方法が紹介されているが、被覆層の厚みが薄すぎるとオリゴマー析出防止の効果が少なく、加工温度によっては、全く効果が発揮されないケースがある。
【0006】
また、ポリエステルフィルムは、LCD用偏光板の粘着材のセパレータのベースフィルム用として広く用いられているが、離型性を発現させるためのシリコーンを塗布した際に、はじきによる塗布ムラが発生する場合がある。このため、シリコーンの種類、希釈溶剤の種類が制限されている。易接着層などの下引き層を用いて、塗布性を改良することが実施されているが、上記したように、下引き層によりオリゴマーが析出しやくなる傾向も見られ、濡れ性とオリゴマー析出防止の効果を両立する方法は確立されていない。
【特許文献1】特開昭54−141888号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、高温の加工条件下でもフィルム表面に析出するオリゴマーが少なく、例えば光学用フィルムとして用いた場合、外観が優れ、かつ、塗布適性に優れた有用なフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記実情に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、特定の層構成を有するポリエステルフィルムによれば上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の要旨は、少なくとも一方の表面が塗布層を有さない二軸延伸ポリエステルフィルムであり、当該表面の水滴接触角が50度以下であり、180℃で10分間熱処理した後の当該表面におけるオリゴマー析出量が5.0mg/m以下であり、当該表面の帯電量が2.0kV以下であることを特徴とする二軸延伸ポリエステルフィルムに存する。
【0010】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明にいう、ポリエステルフィルムとは、押出口金から溶融押し出される、いわゆる押出法により、押し出されたポリエステルフィルムであって、後に縦方向および横方向の二軸方向に配向させたフィルムである。
【0011】
本発明において、ポリエステルフィルムに使用するポリエステルはホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)等が例示される。
【0012】
一方、共重合ポリエステルの場合は30モル%以下の第三成分を含有した共重合体であることが好ましく、さらには20モル%以下、特には10モル%以下が望ましい。共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)等の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。
【0013】
本発明のポリエステルフィルムは、上記したポリエステル、または共重合体を含むポリエステルを混合した組成物からなるが、何れにしても、通常80モル%以上、好ましくは90モル%以上がエチレンテレフタレート単位またはエチレン−2,6−ナフタレート単位であることが、フィルムの耐熱性や強度、加工工程での取り扱い性を満足させるために好ましい。
【0014】
本発明におけるポリエステル層中には、易滑性付与を主たる目的として粒子を配合することが好ましい。配合する粒子の種類は易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。
【0015】
さらにポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等の何れを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
【0016】
使用する粒子の平均粒径は、0.1〜5μmを満足するのが好ましく、さらに好ましくは0.5〜3μmの範囲である。平均粒径が0.1μm未満の場合には、粒子が凝集しやすく、分散性が不十分となり、一方、5μmを超える場合には、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、後工程において離型層を設ける場合等に不具合を生じるようになる。
【0017】
さらにポリエステル中の粒子含有量は、0.01〜5重量%を満足するのが好ましく、さらに好ましくは0.01〜3重量%の範囲である。粒子含有量が0.01重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分になる場合があり、一方、5重量%を超えて添加する場合にはフィルム表面の平滑性が不十分になる場合がある。
【0018】
ポリエステル中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、粒子を好ましくはエチレングリコール等に分散させて添加し、重縮合反応を進める方法を用いてもよい。また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
【0019】
次に本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。すなわち、先に述べたポリエステル原料を使用し、押出し機を用いて、ダイより押し出された溶融シートを用いて冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法がよい。
【0020】
この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高める必要があり、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。次に得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。
【0021】
次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸を行うが、その延伸温度は通常130〜170℃であり、延伸倍率は通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。
【0022】
そして、引き続き180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。
【0023】
その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。また、同時二軸延伸を行うことも可能である。同時二軸延伸法としては前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で縦方向(或いは機械方向)および横方向(或いは幅方向)に同時に延伸し配向させる方法で、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。
【0024】
上述の延伸方式を使用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動式等、従来から公知の延伸方式を採用することができる。「スクリュー方式」はスクリューの溝にクリップを乗せてクリップ間隔を広げていく方式である。「パンタグラフ方式」はパンタグラフを用いてクリップ間隔を広げていく方式である。「リニアモーター方式」はリニアモーター原理を応用し、クリップを個々に制御可能な方式でクリップ間隔を任意に調整することが できる利点を有する。
【0025】
さらに同時二軸延伸に関しては二段階以上で行ってもよく、その場合、延伸場所は一つのテンター内で行ってもよいし、複数のテンターを併用してもよい。同時二軸延伸法としては、前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法で、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。
【0026】
本発明のポリエステルフィルムは、塗布層を有していない表面を、少なくとも一面有し、180℃で10分間熱処理後の該表面におけるオリゴマー析出量が5.0mg/m以下であることが必要であり、当該オリゴマー析出量は、好ましくは4.0mg/m、さらに好ましくは3.0mg/mである。フィルム表面へのオリゴマー析出量が5.0mg/mを超える場合は、フィルムヘーズが悪化するため好ましくない。
【0027】
さらに、本発明のポリエステルフィルムは、前記のオリゴマー析出を抑制された表面のもう一つの特徴として水滴接触角が50度以下であることを必要とする。水滴接触角は好ましくは45度以下である。一般的にポリエステルフィルムの接触角は60〜70度であるが、該接触角を本発明の特定の範囲とすることにより、表面自由エネルギーを高め、濡れ性を向上させ、各種塗布剤の塗工適性を高度に満足させることができる。一方、水滴接触角の下限は通常15度、好ましくは20度である。水滴接触角15度より低い場合、もはや塗工適性は同等であるのに対し、かかる特性を得るための表面処理の程度が強くなりすぎて、コスト的な問題や表面近傍の高分子が分子鎖切断を受けて低分子量化し、低分子量成分が塗工液を汚染するなどの問題を起こすようになることがあるため好ましくない。
【0028】
オリゴマー析出抑制および濡れ性を同時にかつ高度に満足させる方法として、本発明においては以下の方法が極めて高度な効果を有することを知見した。すなわち、大気圧下で、N,Ar,Heから選ばれる1種または2種以上のガスを75体積%以上含む混合ガス雰囲気でプラズマ処理により達成される。75体積%以下であると、放電の際に、局所的な放電現象(ストリーク)が発生し、均一な処理ができない。さらに、Nが75体積%であることがコスト面から適している。プラズマ処理装置に関しては、ダイレクト方式、リモート方式等、従来から公知の処理方式を採用することができる。好ましくは、リモート方式と比較して効果の高いダイレクト方式のプラズマ処理装置を用いて処理することがよい。装置の具体例として、松下電工製「AiPlasma」、Enercon製「Plasma3」、積水化学(株)製「AP−T02−L」、「AP−T03−L」、「RD550」、パール工業(株)製「AP−1000−103」、ダウコーニング製「SE1100 AP4」等があげられる。コロナ処理も同様の処理効果が期待されるが、処理が面内で均一に行われないため、均一な濡れ性を発現できず、該処理表面に有機溶剤で希釈した樹脂の塗工を行うと塗布ムラが発生する場合がある。
【0029】
さらに、本発明においては、プラズマ処理の後に、静電気除去処理をすることが好ましい。大気圧下で、ポリエステルフィルムにダイレクト方式のプラズマ処理を行い、該処理フィルム面の帯電量を、春日電機(株)製KSD−0103を用いて測定すると、10kV以上の帯電が生じていることがある。鋭意検討した結果、プラズマ処理後、静電気除去処理を行い、フィルムの帯電量を2.0kV以下にすることで、プラズマ処理によって得た塗布適性の優れた表面に、有機溶剤で希釈した樹脂を均一に塗工できることが分かった。フィルムの帯電量が2.0kV以上であった場合、プラズマ処理により発現した水滴接触角50度以下の濡れ性の高い表面であっても、当該表面に塗布する際、帯電によるムラが発生してしまい効果が発現できない。静電気除去装置に関しては、従来公知の静電気除去方式を採用することができる。装置の具体例として、春日電機製「MODEL BLT」タイプ、「MODEL BLL」タイプ、「MODEL BLS」タイプ、「MODEL APKF」タイプ、「MODEL CFB」タイプ、「MODEL PAS」タイプ「KD-309」タイプ、「MODEL KDB」タイプ、シシド静電気製「ELIMINOSTAT SAT」タイプ、「ELIMINOSTAT BOS」タイプ、「ELIMINOSTAT BICS」タイプ、「ELIMINOSTAT BHCS」タイプ、「ELIMINOSTAT DC-ESR-A」タイプ、「WINSTAT BF-4ZII」タイプ、(株)キーエンス製「SJ−G」タイプ、「SJ−V」タイプ、「SJ−R」タイプ等が挙げられる。
【0030】
本発明のポリエステルフィルムに関して、処理表面が設けられていない面には本発明の主旨を損なわない範囲において、接着層、帯電防止層、オリゴマー析出防止層等の塗布層を設けてもよい。
【発明の効果】
【0031】
以上詳述したように、本発明のポリエステルフィルムによれば、高温の加工条件下でもフィルム表面に析出してくるオリゴマーが少なく、光学用フィルムとしての外観が優れ、かつ塗布適性の優れた有用なフィルムを提供することができ、その工業的価値は高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法は次のとおりである。
【0033】
(1)ポリエステルの固有粘度の測定
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
【0034】
(2)平均粒径(d50:μm)の測定
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
【0035】
(3)プラズマ処理表面から抽出されるオリゴマー量(OL)の測定
あらかじめ、未熱処理のポリエステルフィルムを空気中、180℃で10分間加熱する。その後、熱処理をした該フィルムを上部が開いている縦横10cm、高さ3cmの箱の内面にできるだけ密着させて箱形の形状とする。プラズマ処理面が内側となるようにする。次いで、上記の方法で作成した箱の中にDMF(ジメチルホルムアミド)4mlを入れて3分間放置した後、DMFを回収する。回収したDMFを液体クロマトグラフィー(島津製作所製:LC−7A)に供給して、DMF中のオリゴマー量を求め、この値を、DMFを接触させたフィルム面積で割って、フィルム表面オリゴマー量(mg/m)とする。なお、本発明において「オリゴマー」とは、熱処理後、結晶化してフィルム表面に析出する低分子量物のうちの環状三量体と定義する。
【0036】
DMF中のオリゴマー量は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた(絶対検量線法)。標準試料の作成は、あらかじめ分取したオリゴマー(環状三量体)を正確に秤量し、正確に秤量したDMFに溶解し作成した。標準試料の濃度は、0.001〜0.01mg/mlの範囲が好ましい。
【0037】
なお、液体クロマトグラフの条件は下記のとおりとした。
移動相A:アセトニトリル
移動相B:2%酢酸水溶液
カラム:三菱化学(株)製『MCI GEL ODS 1HU』
カラム温度:40℃
流速:1ml/分
検出波長:254nm
【0038】
(4)ポリエステルフィルムの水滴接触角測定
(株)協和界面科学製接触角計(型式:CA−A)を用いて、5回測定を行い、その平均値をもって水滴接触角とした。なお、測定に際しては20±2℃、65±5%RHの雰囲気下、試料フィルムの測定面に水滴を滴下後、1分後に水滴のなす角度を読み取った。
【0039】
(5)帯電量測定
ポリエステルフィルムのプラズマ処理面に関して、春日電機(株)製KSD−0103を用いて、5回測定を行い、その平均値をもって帯電量とした。なお、測定は20±5℃、50±10%RHの雰囲気下で測定した。
【0040】
(6)塗布性評価
ポリエステルフィルムのプラズマ処理面上に、塗布量(乾燥後)が0.1(g/m)になるように、以下の離型性皮膜形成性シリコーン組成物を設けて、離型フィルムを得た。目視にて塗布面状を評価した。
《離型性皮膜形成性シリコーン組成物の組成》
硬化型シリコーン樹脂(信越化学製:KS−774) 100部
硬化型シリコーン樹脂(信越化学製:X−62−1387) 100部
硬化剤(信越化学製:PL−50T) 1部
トルエン/MEK混合溶媒(混合比率は1:1) 2000部
《判定基準》
○:はじき、塗工むらが発生しない(実用上、問題ないレベル)
×:はじき、塗工むらが発生する(実用上、問題あるレベル)
【0041】
実施例および比較例において使用したポリエステルは、以下のようにして準備したものである。
〈ポリエステルの製造〉
製造例1(ポリエチレンテレフタレートA1)
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール60部および酢酸マグネシウム・4水塩0.09部を反応器にとり、加熱昇温すると共にメタノールを留去し、エステル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次いで、エチレングリコールスラリーエチルアシッドフォスフェート0.04部、三酸化アンチモン0.03部、平均粒径1.5μmのシリカ粒子を0.01部添加した後、100分で温度を280℃、圧力を15mmHgに達せしめ、以後も徐々に圧力を減じ、最終的に0.3mmHgとした。4時間後、系内を常圧に戻し、固有粘度0.61のポリエチレンテレフタレートA1を得た。
【0042】
実施例1:
製造例1で製造したポリエチレンテレフタレートA1を180℃で4時間、不活性ガス雰囲気中で乾燥し、溶融押出機により290℃で溶融し、口金から押出し静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して未延伸シートを得た。得られた未延伸シートにまず、95℃で延伸倍率をMD方向に3.6倍延伸し、テンターに導き、TD方向に4.3倍の逐次二軸延伸を行った。その後、230℃にて3秒間熱固定し、厚さ38μmのPETフィルムを得た。次に、積水化学(株)製プラズマ処理装置「RD550(デモ仕様)」で、大気圧下でプラズマ処理を行い、次いで、シシド静電気(株)製静電気除電装置「ELIMINOSTAT BOS」にて静電気除去を行った。プラズマ処理条件は、処理雰囲気として窒素気流(150L/分)下、電圧450V、電流3.4A、周波数30kHz、処理速度20m/分で行った。
【0043】
実施例2〜6および比較例1〜2:
実施例1において、下記表1に示す処理雰囲気、処理速度、静電気除去処理ON/OFF以外は実施例1と同様にして製造した。
上記実施例および比較例で得られた各離型フィルムの特性を表2に示す。
【0044】
【表1】

【0045】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明のフィルムは、例えば、光学用フィルムとして好適に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方の表面が塗布層を有さない二軸延伸ポリエステルフィルムであり、当該表面の水滴接触角が50度以下であり、180℃で10分間熱処理した後の当該表面におけるオリゴマー析出量が5.0mg/m以下であり、当該表面の帯電量が2.0kV以下であることを特徴とする二軸延伸ポリエステルフィルム。

【公開番号】特開2008−303232(P2008−303232A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−148970(P2007−148970)
【出願日】平成19年6月5日(2007.6.5)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】