説明

ポリエステル不織布

【課題】 ソフトでかつ実用上十分な耐毛羽性と強力を有するポリトリメチレンテレフタレートからなるポリエステル不織布を提供する。
【解決手段】 還元比粘度ηsp/Cが1.2〜2.0のポリトリメチレンテレフタレートからなる長繊維で構成され、熱圧着で一体化接合された不織布であって、毛羽等級が2.5級以上であることを特徴とする長繊維不織布、その際、熱圧着面積率が3%以上であることを特徴とする上記のポリエステル不織布。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリトリメチレンテレフタレート長繊維からなる不織布に関するものであり、ソフトな風合いで毛羽立ちが少なく、適度な強度を有するポリエステル長繊維不織布に関するものである。
【背景技術】
【0002】
テレフタル酸またはテレフタル酸ジメチルに代表されるテレフタル酸の低級アルコールエステルとトリメチレングリコール(1,3−プロパンジオール)とを重縮合させて得られるポリトリメチレンテレフタレートは、優れた弾性回復性、低弾性率、易染性といったポリアミドに類似した性質と、耐光性、熱セット性、寸法安定性、低吸水率といったポリエチレンテレフタレートに類似した性能を併せ持つ画期的なポリマーであり、その特徴を生かしてBCFカーペット、ブラシ、テニスガット等に応用されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
【0003】
ポリトリメチレンテレフタレート繊維の本来有する柔軟性を、不織布として最大限に発揮させるためには、特許文献4に提案されている部分熱融着方法、いわゆる熱エンボス加工方法が有効であるが、ソフトな風合と実用的な強力、耐毛羽性を両立させるには未だ不十分であった。すなわち、エンボス加工温度が低い場合には、接着点に存在する繊維は軟化変形して互いに融着しあっていても、外力により容易に個々の繊維に分離されやすいため、不織布の強力は低く、耐毛羽性も不十分であった。一方、加工温度を高くすると、接着点の各繊維は融解して一体化された樹脂状となり、耐毛羽性は向上するが、この場合には外力により接着点と非接着点との境界で繊維が破断しやすくなり、不織布の強力は不十分なものとなり、風合いも悪くなる。また加工温度を高くしすぎるとエンボスロールに布が取られやすくなり、生産性が悪くなるといった問題点があった。
【0004】
【特許文献1】特開平9−3724号公報
【特許文献2】特開平8−173244号公報
【特許文献3】特開平5−262862号公報
【特許文献4】特開2000−17556号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術に鑑みなされたもので、その目的は、ソフトでかつ実用上十分な耐毛羽性と強力を有するポリトリメチレンテレフタレート長繊維からなる不織布を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ポリトリメチレンテレフタレート(以後、PTTという。)不織布の強度、風合い、耐毛羽性の観点から詳細な検討を行い、PTTの粘度を特定範囲にすると、熱圧着効果が高まり、強度と耐毛羽性が向上することを見出し、本発明に達した。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
(1)還元比粘度ηsp/Cが1.2〜2.1のポリトリメチレンテレフタレート長繊維から構成され、熱圧着で一体化接合された不織布であって、毛羽等級が2.5級以上であることを特徴とするポリエステル不織布。
(2)圧着面積率が3%以上であることを特徴とする上記(1)記載のポリエステル不織布。
【発明の効果】
【0007】
本発明の熱圧着性ポリエステル不織布は、従来の熱圧着性ポリトリメチレンテレフタレート不織布と比較して耐毛羽性に優れており、ソフトで実使用上十分な強度をもつ不織布を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明に用いるポリトリメチレンテレフタレート長繊維の還元比粘度ηsp/Cは1.2〜2.1、好ましくは1.3〜2.0、更に好ましくは1.5〜1.8の範囲である。この範囲であれば、紡糸性、強度、風合い、耐毛羽性に優れた不織布を得ることができる。還元比粘度が1.2未満の場合は、紡糸は可能であるが、布強度、耐毛羽性が悪く満足できるものではない。還元比粘度が2.1を越える場合は、溶融粘度が高すぎるために紡糸時にメルトフラクチャーや紡糸不良が生じる。
【0009】
ポリトリメチレンテレフタレートの還元比粘度ηsp/Cと不織布の強力との実施例における関係を図1に示す。ηsp/Cが1.2以上で急激に強力が向上することが判る。ポリトリメチレンテレフタレートの還元比粘度ηsp/Cと不織布の毛羽等級との実施例における関係を図2に示す。ηsp/Cが1.2以上で急激に毛羽等級が向上し、耐毛羽性が改善されることが判る。
【0010】
本発明の長繊維不織布を構成するPTTフィラメントの繊度は、好ましくは0.5〜10dtexである。繊度が10dtexより大きい場合は、紡糸時に冷却が不十分となるために、得られる不織布が硬い風合いのものとなる傾向がある。また、繊度が0.5dtexよりも小さい場合は、紡糸時において、エジェクターの張力にフィラメントが十分に耐えることができず、フィラメントの一部が切れる場合がある。フィラメントの繊度は、好ましくは1〜5dtexである。また、不織布の目付は10〜180g/m2 であることが好ましく、より好ましくは20〜150g/m2である
【0011】
本発明において、ポリトリメチレンテレフタレートとは、トリメチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とするものをいい、トリメチレンテレフタレート単位を50モル%以上、好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上のものをいう。従って、第3成分としての他の酸成分及び/又はグリコール成分の合計量が50モル%以下、好ましくは30モル%以下、さらに好ましくは20モル%以下、特に好ましくは10モル%以下の範囲で含有されたポリトリメチレンテレフタレートを包含する。
【0012】
ポリトリメチレンテレフタレートは、テレフタル酸又はその機能的誘導体とトリメチレングリコール又はその機能的誘導体とを、触媒の存在下で適当な反応条件下に縮合せしめることにより製造される。この製造過程において、適当な一種又は二種以上の第3成分を添加して共重合ポリエステルとしても良い。添加する第3成分としては、脂肪族ジカルボン酸(シュウ酸、アジピン酸等)、脂環族ジカルボン酸(シクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(イソフタル酸、ソジウムスルホイソフタル酸)、脂肪族グリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、テトラメチレングリコール等)、脂環族グリコール(シクロヘキサングリコール等)、芳香族ジオキシ化合物(ハイドロキノンビスフェノールA等)、芳香族を含む脂肪族グリコ−ル(1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等)、脂肪族オキシカルボン酸(p−オキシ安息香酸等)等が挙げられる。また、1個又は3個以上のエステル形成性官能基を有する化合物(安息香酸等又はグリセリン等)も、重合体が実質的に線状である範囲で使用できる。
【0013】
さらに、ポリトリメチレンテレフタレートには、二酸化チタン等の艶消し剤、リン酸等の安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収剤、タルク等の結晶化核剤、
アエロジル等の易滑剤、ヒンダードフェノール誘導体等の抗酸化剤、難燃剤、制電剤、顔料、蛍光増白剤、赤外線吸収剤、消泡剤等を含有させても良い。
【0014】
本発明の長繊維不織布は、例えば、以下のような方法で得ることが出来る。
ポリトリメチレンテレフタレートを多数の紡口から溶融紡糸することにより得られる多数の連続フィラメントを、エジェクター等の牽引装置で延伸し、移動する捕集装置上へ分散・堆積させてウェブを形成し、次いで、このウェブを、連続的に熱圧着してシート化することにより、本発明の不織布を得ることが出来る。
【0015】
原料として、PTTポリマーのηsp/Cは、繊維より若干高いものを用いることが好ましい。
溶融紡糸する際の紡糸温度は230〜320℃、好ましくは235〜310℃、更に好ましくは250〜300℃の範囲が適当である。紡糸温度が230℃未満では、温度が低過ぎて安定した溶融状態になり難く、得られた繊維の斑が大きくなり、また満足し得る強度、耐毛羽性を示さなくなる場合がある。また、紡糸温度が320℃を越えると、熱分解のため、得られた糸は着色し、また満足し得る強伸度、柔軟性、耐毛羽性を示さなくなる傾向がある。用いる紡口口金の形状については特に制限はなく、円形、三角、多角形、扁平等のものを用いることが出来、通常は、直径が0.1〜0.5mm程度の円形である。ここでエジェクターとは、加圧空気による高速空気流を推進力として、溶融紡糸されたフィラメントを高速で引取り細化し、かつ該高速空気流にフィラメントを随伴させる機能を持った装置を言う。エジェクターから押し出されるフィラメントの速度、すなわち紡糸速度は、一般に2000〜6000m/minである。紡糸速度は、フィラメント単糸の細化の指標であり、高速にするほど単糸の細化が進み低繊度の繊維となる。
【0016】
この紡糸速度は、主として吐出量、エジェクターの位置、送入される空気の圧力などの条件に支配されるが、好ましい紡糸速度の範囲は3500〜5500m/minである。3500m/min未満では、フィラメントが充分に延伸されていないために強度が必ずしも十分とは言えず、また、そのフィラメントから得られる不織布の強力も低くなる傾向がある。紡糸速度が5500m/minを越えると、溶融紡糸中に糸切れが発生する場合があり、不織布の生産性が低下する傾向がある。
【0017】
該エジェクター等の出口から空気流と共に噴出されるフィラメント群は、更にその下方に設けられた移動式の多孔性の受器、具体的には金属製あるいは樹脂製の定速走行している網状物等の上にウェブとして捕集される。この時、エジェクター等から噴出されるフィラメント群が、固まりやすくかつ捕集されたウェブの広がりが狭く、シートとしての均一性および品位が欠けるような傾向にあるときには、特にフィラメントが相互に離れあった状態で噴出させて捕集させるような工夫をすることが有効である。
【0018】
このためには、例えば、エジェクター等の下方に衝突部材を設け、該衝突部材にフィラメントを衝突させて、該フィラメントに摩擦帯電を起こさせて開繊させる方法、あるいは、エジェクター等の下方でコロナ放電により該フィラメントに強制帯電させて開繊させる方法なども用いることができる。
かかるウェブの捕集に際しては、フィラメント群に随伴して該受器に当たる空気流のために、一旦堆積したウェブが吹き流されて乱れたものになる場合があり、この現象を防ぐためには、該受器の下方から空気を吸引する手段を採用することが好ましい。上記のようにして得られたウェブを、連続的に熱圧着によってシート化することにより、本発明の長繊維不織布を得ることが出来る。
【0019】
熱圧着は、160〜220℃の加熱下で圧着面積率が3%以上であることが好ましく、該熱圧着処理により良好な繊維相互間の接着処理を行うことができる。加工の方法として
は、加熱した平板を用いることも出来るが、一対のカレンダーロール間にウェブを通して圧着させる方法が生産性に優れていて好ましい。処理の温度及び圧力は、供給されるウェブの目付、速度等の条件によって適宜選択されるべきものであり、一概には定められない点もあるが、より好ましい温度は160〜220℃、特に好ましくは180〜200℃、またカレンダーロールにより処理する場合には、圧着面積率が3%以上、圧力は少なくとも線圧が50N/cm以上であり、好ましくは70〜300N/cmであることが、得られる長繊維不織布の適度な強度と風合い、良好な耐毛羽性を図る上で好ましい。
【0020】
上記のカレンダーロールとしては、その表面が平滑なものや模様が彫刻されたもの(例えば、長方形型、ピンポイント型、織目柄、Y柄、ドンゴロス柄、ヘリンボン柄、四角形柄、横菱柄絣、斜絣柄)、あるいはこれら同種のローラーの組み合わせ、または異種のローラーの組み合わせからなる複数の回転ローラーの使用も可能である。
熱圧着部の面積率は、不織布の全面積に対して3%以上であり、好ましくは4〜90%であり、より好ましくは5〜50%の範囲であり、この範囲にすることで、不織布の柔軟性、嵩高さを良好に発揮させることができる。
【0021】
本発明において、上記のような優れた耐毛羽性を奏する理由は、還元比粘度ηsp/Cが1.2〜2.1の範囲のポリトリメチレンテレフタレートを用いることにより、還元比粘度ηsp/Cが1.2未満のポリテトラメチレンテレフタレートを用いた場合よりも、繊維の延伸配向が抑制され、その結果、熱圧着に必要な非晶部分を増加させることができる為である。
【0022】
本発明の不織布の強力は、目付50g/m2 品で40N/5cm以上であり、より好ましくは60N/5cm以上である。
本発明の不織布の剛軟度は、目付50g/m2 品で100mm以下であり、より好ましくは90mm以下である。
本発明の不織布は、毛羽等級が2.5級以上と耐毛羽性に優れ、強度も高く、剛軟度が低くソフト性に優れた不織布である。
【実施例】
【0023】
以下、実施例などにより本発明をさらに説明するが、本発明はこれら実施例などにより何ら限定されるものではない。なお、測定方法等は下記の通りである。
(1)還元比粘度ηsp/C:オストワルド粘度管を用い、35℃にて、o−クロロフェノールを用いて、比粘度ηspと濃度C(g/100ml)の比(ηsp/C)より求めた。
(2)引張強力:JIS−L−1906に準じて測定した。
(3)目付:JIS−L−1906に規定の方法で測定した。
【0024】
(4)毛羽等級:CD、MD方向に25mm×300mmの試験片を採取し、日本学術振興会型堅牢度試験機を用いて、摩擦子の荷重が200g、摩擦子側には摩擦係数が適当と考えられるリンレイクロス−重梱包用No.314布粘着テープを使用し、50回動作させて、以下の基準で、耐毛羽性を等級付けた。
1.0級:試験片が破損するほど繊維が剥ぎ取られる。
2.0級:試験片が薄くなるほど甚だしく繊維が剥ぎ取られている。
2.5級:毛玉が大きくはっきり見られ、複数箇所で繊維が浮き上がりはじめる。
3.0級:はっきりとした毛玉ができはじめ、または小さな毛玉が複数見られる。
3.5級:一カ所に小さな毛玉ができはじめる程度に毛羽立っている。
4.0級:毛羽立ちがない。
(5)不織布剛軟度:45°カンチレバー法にて測定した。
【0025】
[実施例1]
還元比粘度ηsp/Cが1.7であるポリトリメチレンテレフタレートのポリマーチップを280℃で溶融紡糸し、エジェクターで吸引しながら紡糸速度5000m/minで延伸し、移動する多孔質帯状体に捕集・堆積させて長繊維ウェブ(ηsp/C=1.6)を作成した。このウェブを、190℃に加熱したピンポイントエンボス(圧着面積率7.1%)ロールとフラットロール間で、線圧180N/cmにて部分熱圧着して、目付が50g/m2 の不織布を作成した。この不織布の強度、毛羽等級、風合いを、表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、熱圧着用エンボスの加熱温度を200℃にしたこと以外は、実施例1と同様にして、目付が50g/m2 の不織布を作成した。この不織布の強度、毛羽等級、風合いを、表1に示す。
【0026】
[実施例3]
還元比粘度ηsp/Cが1.9であるポリトリメチレンテレフタレートのポリマーチップを280℃で溶融紡糸し、エジェクターで吸引しながら紡糸速度5000m/minで延伸し、移動する多孔質帯状体に捕集・堆積させて長繊維ウェブ(ηsp/C=1.8)を作成した。このウェブを190℃に加熱したピンポイントエンボス(圧着面積率7.1%)ロールとフラットロール間で線圧45N/cmにて部分熱圧着して、目付が50g/m2 の不織布を作成した。この不織布の強度、毛羽等級、風合いを、表1に示す。
[実施例4]
実施例3において、ピンポイントエンボス(圧着面積率7.1%)ロールとフラットロール間の加熱温度を200℃にしたこと以外は、実施例1と同様にして、目付が50g/m2 の不織布を作成した。この不織布の強度、毛羽等級、風合いを、表1に示す。
【0027】
[比較例1]
還元比粘度ηsp/Cが0.6であるポリトリメチレンテレフタレートのポリマーチップを265℃で溶融紡糸し、エジェクターで吸引しながら紡糸速度5000m/minで延伸し、移動する多孔質帯状体に捕集・堆積させて長繊維ウェブ(ηsp/C=0.5)を作成した。このウェブを190℃に加熱したピンポイントエンボス(圧着面積率7.1%)ロールとフラットロール間で線圧180N/cmにて部分熱圧着して、目付が50g/m2 の不織布を作成した。この不織布の強度、毛羽等級、風合いを、表1に示す。
【0028】
[比較例2]
実施例1においてピンポイントエンボス(圧着面積率7.1%)ロールとフラットロール間の加熱温度を190℃にしたこと以外は、実施例1と同様にして、目付が50g/m2 の不織布を作成した。この不織布の強度、毛羽等級、風合いを、表1に示す。
[比較例3]
実施例1においてピンポイントエンボス(圧着面積率7.1%)ロールとフラットロール間の加熱温度を200℃にしたこと以外は、実施例1と同様にして、目付が50g/m2 の不織布を作成した。この不織布の強度、毛羽等級、風合いを、表1に示す。
【0029】
[比較例4]
還元比粘度ηsp/Cが1.2であるポリトリメチレンテレフタレートのポリマーチップを265℃で溶融紡糸し、エジェクターで吸引しながら紡糸速度5000m/minで延伸し、移動する多孔質帯状体に捕集・堆積させて長繊維ウェブ(ηsp/C=1.1)を作成した。このウェブを190℃に加熱したピンポイントエンボス(圧着面積率7.1%)ロールとフラットロール間で線圧180N/cmにて部分熱圧着して、目付が50g/m2 の不織布を作成した。この不織布の強度、毛羽等級、風合いを、表1に示す。
【0030】
[比較例5]
比較例4においてピンポイントエンボス(圧着面積率7.1%)ロールとフラットロール間の加熱温度を190℃にしたこと以外は、比較例4と同様にして、目付が50g/m2 の不織布を作成した。この不織布の強度、毛羽等級、風合いを、表1に示す。
[比較例6]
比較例4においてピンポイントエンボス(圧着面積率7.1%)ロールとフラットロール間の加熱温度を200℃にしたこと以外は、比較例4と同様にして、目付が50g/m2 の不織布を作成した。この不織布の強度、毛羽等級、風合いを、表1に示す。
【0031】
引張強力および毛羽等級の還元比粘度依存性を図1、図2に示す。
表1、図1、図2に示した様に、還元比粘度ηsp/Cが1.2付近から急激に強力と毛羽等級が向上し、還元比粘度ηsp/Cが2.0付近でその傾向が安定化する傾向にある。
本発明の実施例の不織布は、毛羽等級が3級以上と耐毛羽性に優れ、強度も高く、剛軟度が低くソフト性に優れた不織布である。
【0032】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明のポリトリメチレンテレフタレート長繊維からなる不織布は、ソフトな風合いで毛羽立ちが少なく、適度な強度を有するものであり、産業資材用、生活資材用、衛生資材用途など幅広い不織布用途に活用が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】ポリトリメチレンテレフタレートの還元比粘度ηsp/Cと不織布の強力との実施例における関係を図1に示す。
【図2】ポリトリメチレンテレフタレートの還元比粘度ηsp/Cと不織布の毛羽等級との実施例における関係を図2に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
還元比粘度ηsp/Cが1.2〜2.1のポリトリメチレンテレフタレート長繊維から構成され、熱圧着で一体化接合された不織布であって、毛羽等級が2.5級以上であることを特徴とするポリエステル不織布。
【請求項2】
熱圧着面積率が3%以上であることを特徴とする請求項1記載のポリエステル不織布。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−348391(P2006−348391A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−172228(P2005−172228)
【出願日】平成17年6月13日(2005.6.13)
【出願人】(303046303)旭化成せんい株式会社 (548)
【Fターム(参考)】