説明

ポリエステル布帛および繊維製品

【課題】紫外線カット性と可視光線透過性に優れ、さらには保温性にも優れたポリエステル布帛および該ポリエステル布帛を用いてなる繊維製品を提供する。
【解決手段】ポリエステル繊維を30重量%以上含んでなるポリエステル布帛であって、前記のポリエステル繊維に、有機系紫外線吸収剤が0.1〜5.0重量%、艶消し剤が0.4重量%以下、金属酸化物系微粒子赤外線吸収剤が0.1〜2.0重量%、各々含まれるポリエステル布帛、および該ポリエステル布帛を用いてなる繊維製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線カット性と可視光線透過性に優れ、さらには保温性にも優れたポリエステル布帛および該ポリエステル布帛を用いてなる繊維製品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステル繊維は、強度、寸法安定性、イージーケアー性等多くの優れた特徴を備えているので、ポリエステル繊維からなるポリエステル布帛は、その優れた特性により衣料用から産業用と広い範囲で用いられている。
【0003】
他方、太陽光に含まれる紫外線の人体への影響や、紫外線により住居内のインテリアや畳等が日焼けするといった問題を解決するため、ポリエステル繊維中に艶消し剤を多量に練りこむことが提案されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、かかる方法で得られたポリエステル布帛では、紫外線だけでなく可視光線までもカットされてしまうため、レースカーテンなどとして使用すると太陽光を室内に取り入れることができないという問題があった。
【0004】
また、ポリエステル布帛に保温性を付与するために、赤外線吸収剤を布帛の裏面全面に付着させることが提案されている(例えば、特許文献2)。
しかしながら、紫外線カット性と可視光線透過性に優れ、さらには保温性にも優れたポリエステル布帛はこれまであまり提案されていない。
【0005】
【特許文献1】特開平5−148734号公報
【特許文献2】特開平8−325478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、紫外線カット性と可視光線透過性に優れ、さらには保温性にも優れたポリエステル布帛および該ポリエステル布帛を用いてなる繊維製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、ポリエステル繊維を含むポリエステル布帛において、ポリエステル繊維中に金属酸化物系微粒子赤外線吸収剤と有機系紫外線吸収剤を練りこみ、かつポリエステル繊維中に含まれる艶消し剤を少なくすることにより、所望のポリエステル布帛が得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
【0008】
かくして、本発明によれば「ポリエステル繊維を30重量%以上含んでなるポリエステル布帛であって、前記のポリエステル繊維に、有機系紫外線吸収剤が0.1〜5.0重量%、艶消し剤が0.4重量%以下、金属酸化物系微粒子赤外線吸収剤が0.1〜2.0重量%、各々含まれることを特徴とするポリエステル布帛。」が提供される。
【0009】
その際、前記の有機系紫外線吸収剤がベンゾオキサジン系有機紫外線吸収剤であることが好ましい。また、前記の金属酸化物系微粒子赤外線吸収剤の平均粒径が0.5μm以下であることが好ましい。また、前記のポリエステル繊維の単繊維繊度が0.1〜5.0dtexの範囲内であることが好ましい。かかるポリエステル繊維において、単繊維の断面形状が異型であることが好ましい。その際、単繊維の断面形状が、2箇所以上のくびれ部を有する断面扁平度2〜6の扁平断面であることが好ましい。また、前記のポリエステル繊維が、撚り係数6000以下の無撚糸または甘撚糸としてポリエステル布帛に含まれることが好ましい。また、布帛が、下記式により算出されるカバーファクター(CF)が1500〜3000の織物であることが好ましい。
CF=(DWp/1.1)1/2×MWp+(DWf/1.1)1/2×MWf
ただし、DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。
【0010】
本発明のポリエステル布帛において、波長280〜400nmの範囲の紫外線透過率が15%以下であることが好ましい。また、波長400〜700nmの範囲の可視光線反射率が55%以下であることが好ましい。さらには、波長700〜1800nmの範囲の近赤外線吸収率が7%以上であることが好ましい。
【0011】
また、本発明によれば、前記のポリエステル布帛を用いてなる、カーテン、寝具、テント、障子紙、衣服、および帽子からなる群より選択されるいずれかの繊維製品が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、紫外線カット性と可視光線透過性に優れ、さらには保温性にも優れたポリエステル布帛および該ポリエステル布帛を用いてなる繊維製品が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明のポリエステル布帛において、ポリエステル繊維を形成するポリエステルとしては、テレフタル酸を主たる酸成分とし、炭素数2〜6のアルキレングリコール、すなわちエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールからなる群より選ばれた少なくとも1種のグリコール、特に好ましくはエチレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエステルが例示される。
【0014】
かかるポリエステルには、必要に応じて少量(通常30モル%以下)の共重合成分を有していてもよい。その際、使用されるテレフタル酸以外の二官能性カルボン酸としては、例えばイソフタル酸、ナフタリンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、P−オキシ安息香酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸のごとき芳香族、脂肪族、脂環族の二官能性カルボン酸をあげることができる。また、上記グリコール以外のジオール化合物としては、例えばシクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールSのごとき脂肪族、脂環族、芳香族のジオール化合物およびポリオキシアルキレングリコール等をあげることができる。
【0015】
かかるポリエステルは任意の方法によって合成したものでよい。例えばポリエチレンテレフタレートの場合について説明すると、テレフタル酸とエチレングリコールとを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸ジメチルのごときテレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させるかまたはテレフタル酸とエチレンオキサイドとを反応させるかしてテレフタル酸のグリコールエステルおよび/またはその低重合体を生成させる第1段階の反応と、第1段階の反応生成物を減圧下加熱して所望の重合度になるまで重縮合反応させる第2段階の反応によって製造されたものでよい。
【0016】
かかるポリエステル繊維において、ポリエステル重量に対して、有機系紫外線吸収剤が0.1〜5.0重量%(好ましくは0.4〜1.5重量%)、艶消し剤が0.4重量%以下(好ましくは0重量%)、金属酸化物系微粒子赤外線吸収剤が0.1〜2.0重量%(好ましくは0.2〜1.0重量%)、各々含まれることが肝要である。前記の有機系紫外線吸収剤の含有量が0.1重量%よりも小さいと、十分な紫外線吸収性能が得られず好ましくない。逆に、有機系紫外線吸収剤の含有量が5.0重量%よりも大きいと、時間の経過とともに布帛が黄変してしまうため好ましくない。また、金属酸化物系微粒子赤外線吸収剤の含有量が0.1重量%よりも小さいと、十分な赤外線吸収性能が得られず好ましくない。逆に、金属酸化物系微粒子赤外線吸収剤の含有量が2.0重量%よりも大きいと、布帛がやや青みを帯びてしまい好ましくない。さらに、艶消し剤が0.4重量%よりも多く含まれると、可視光線の透過性が損なわれ好ましくない。
【0017】
前記の有機系紫外線吸収剤としては、ベンゾオキサジン系有機紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系有機紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系有機紫外線吸収剤、サリチル酸系有機紫外線吸収剤などが例示される。なかでも、紡糸の段階で分解しないという点からベンゾオキサジン系有機紫外線吸収剤が特に好ましい。
【0018】
かかるベンゾオキサジン系有機紫外線吸収剤としては、特開昭62−11744号公報に開示されたものが好適に例示される。すなわち、2−メチル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−ブチル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−フェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2,2’−エチレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−テトラメチレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、1,3,5−トリ(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン−2−イル)ベンゼン、1,3,5−トリ(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン−2−イル)ナフタレンなどである。
【0019】
また、前記の金属酸化物系微粒子赤外線吸収剤の平均粒径(平均一次粒径)としては、0.5μm以下(より好ましくは0.001〜0.1μm)であることが好ましい。該微粒子の平均粒径が0.5μmよりも大きいと、ポリエステル繊維を紡糸する工程で断糸が発生したり、フィルターの目詰まりが発生するおそれがある。
【0020】
かかる金属酸化物系微粒子赤外線吸収剤としては、アンチモンドープ酸化錫(ATO)やスズドープ酸化インジューム(ITO)などが好ましく例示される。かかる金属酸化物系微粒子は可視光線を透過する透明な微粒子でもあり好ましい。
さらに、艶消し剤としては二酸化チタンが好ましいが、前記のように艶消し剤が含まれていないことが最も好ましい。
【0021】
なお、前記のポリエステル繊維を形成するポリエステル中には、有機系紫外線吸収剤および金属酸化物系微粒子赤外線吸収剤および艶消し剤以外に、本発明の目的を損なわない範囲内で必要に応じて、微細孔形成剤、カチオン可染剤、着色防止剤、熱安定剤、難燃剤、蛍光増白剤、着色剤、帯電防止剤、吸湿剤、抗菌剤、マイナスイオン発生剤等を1種又は2種以上を添加してもよい。
【0022】
かかるポリエステル繊維は、例えば以下の方法により製造することができる。すなわち、固有粘度が0.55〜0.80の、有機系紫外線吸収剤および金属酸化物系微粒子赤外線吸収剤および必要に応じて艶消し剤を練りこんだ前記ポリエステルを常法により紡糸し、2000〜4300m/分の速度で未延伸糸(中間配向糸)として一旦巻き取り、延伸してもよいし、巻き取る前に延伸してもよい。また、中間配向糸を、180〜200℃に加熱されたヒーターを用いて、弛緩状態(オーバーフィード1.5〜10%)で熱処理することにより、加熱下で自己伸長性を有する未延伸糸(中間配向糸)としてもよい。
【0023】
かかるポリエステル繊維において、単繊維繊度が0.1〜5.0dtexの範囲内であることが好ましい。また、繊維の形態としては、短繊維でもよいし長繊維(マルチフィラメント)でもよい。なかでも、織編物とした場合の組織間空隙を小さくして紫外線の透過量を少なくする上で長繊維が好ましい。特に、撚り係数6000以下の無撚糸または甘撚糸(特に好ましくは無撚糸)であると、織編物とした場合の組織間空隙を小さくでき、また、可視光線の乱反射を防止でき好ましい。なお、撚り係数は下記式で表される。
撚係数=撚数[T/M]×(繊度[dtex]×9/10)1/2
また、かかる長繊維の総繊度、フィラメント数としては、総繊度33〜330dtex、フィラメント数10〜100の範囲が好ましい。
【0024】
ポリエステル繊維の単繊維断面形状は特に限定されず通常の丸断面でもよいし、扁平断面、くびれつき扁平断面、三角断面、四角断面、3〜14葉断面、中空断面などの異型断面でもよい。特に、織編物とした場合の組織間空隙を小さくする上で異型断面が好ましい。特に、図1に模式的に示すような、2箇所以上のくびれ部を有する断面扁平度2〜6の扁平断面を採用すると、織編物とした場合の組織間空隙を小さくすることができ、かつソフトな風合いが得られ好ましい。なお、断面扁平度とは、図1に示す、長辺の長さ(B)と短辺の長さ(C1)との比(B/C1)である。また、くびれ部とは図1に模式的に示すように、短辺の長さが短くなっている部分のことである。かかるくびれ部において、凹部の深さとしては、短辺の長さの最大値と最小値の比(C1/C2)で、1.05以上(好ましくは1.1以上)となる深さであることが好ましい。なお、図1は、くびれ部が3個所の場合を例示するものである。
【0025】
本発明のポリエステル布帛は、前記のポリエステル繊維を30重量%以上(より好ましくは60重量%以上、特に好ましくは100重量%)含む布帛である。布帛の織編組織は特に限定されず、通常の方法で製編織されたものでよい。例えば、織物の織組織としては、平織、綾織、朱子織等の三原組織、変化組織、たて二重織、よこ二重織等の片二重組織、たてビロードなどが例示される。編物の種類は、よこ編物であってもよいしたて編物であってもよい。よこ編組織としては、平編、ゴム編、両面編、パール編、タック編、浮き編、片畔編、レース編、添え毛編等が好ましく例示され、たて編組織としては、シングルデンビー編、シングルアトラス編、ダブルコード編、ハーフトリコット編、裏毛編、ジャガード編等が例示される。層数も単層でもよいし、2層以上の多層でもよい。特に、また、布帛が、下記式により算出されるカバーファクター(CF)が1500〜3000の織物であることが好ましい。布帛がかかる織物であると、織物の組織間空隙を小さくして紫外線の透過量を少なくすることができ好ましい。
CF=(DWp/1.1)1/2×MWp+(DWf/1.1)1/2×MWf
ただし、DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。
【0026】
かかる布帛には、本発明の目的が損なわれない範囲内であれば、常法のアルカリ減量加工、染色仕上げ加工、撥水加工、起毛加工、紫外線遮蔽あるいは抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤等の機能を付与する各種加工を付加適用してもよい。
【0027】
かくして得られたポリエステル布帛において、布帛に含まれるポリエステル繊維は、有機系紫外線吸収剤および金属酸化物系微粒子赤外線吸収剤を含有するので、優れた紫外線カット性と保温性を呈する。また同時に艶消し剤を含まないか少量含むので、可視光線透過性にも優れる。かかるポリエステル布帛において、波長280〜400nmの範囲の紫外線透過率が15%以下であることが好ましい。また、波長400〜700nmの範囲の可視光線反射率が55%以下であることが好ましい。さらに、波長700〜1800nmの範囲の近赤外線吸収率が7%以上であることが好ましい。
【0028】
また、本発明によれば、前記のポリエステル布帛を用いてなる、カーテン、寝具、テント、障子紙、衣服、および帽子からなる群より選択されるいずれかの繊維製品が提供される。かかる繊維製品は、前記のポリエステル布帛を用いてなるものなので、紫外線カット性と可視光線透過性に優れ、さらには保温性にも優れる。
【実施例】
【0029】
次に本発明の実施例及び比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の各測定項目は下記の方法で測定した。
<固有粘度>
オルソクロロフェノールを溶媒として使用し35℃で測定した。
<紫外線透過率>
島津製作所製分光光度計MPC−3100で、波長280〜400nmの範囲の紫外線透過率を算出した。
<可視光線反射率>
島津製作所製分光光度計MPC−3100で、波長400〜700nmの範囲の可視光線反射率を算出した。なお、可視光線反射率が小さいほど、可視光線透過率が大きく良好である。
<近赤外線吸収率>
島津製作所製分光光度計MPC−3100で、波長700〜1800nmの範囲の近赤外線吸収率を算出した。なお、近赤外線吸収率が大きいほど、保温性が良好である。
【0030】
[実施例1]
特開昭62−11744号公報に記載された方法で合成された2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)有機系紫外線吸収剤をポリエチレンテレフタレート重量に対して1.0重量%、微粒子径50nmの金属酸化物系微粒子赤外線吸収剤(ATO)をポリエチレンテレフタレート重量に対して0.5重量%含み、艶消し剤を含まない、固有粘度0.60のポリエチレンテレフタレートを常法により紡糸、延伸して、ポリエステル繊維としてポリエステルマルチフィラメント(総繊度84dtex/36フィラメント)を得た。
【0031】
次いで、該ポリエステル繊維を無撚で、経糸および緯糸に用いて、経密度47本/cm、緯密度38本/cmの平組織織物を製織した。そして、染料を使用せずに常法の染色仕上げ加工を施し、カバーファクター(CF)が2180の白色のレースカーテン織物を得たのち、該織物を用いてカーテンを縫製した。
得られたカーテンにおいて、紫外線透過率が7%、可視光線反射率が45%、近赤外線吸収率が19%であり、紫外線カット性と可視光線透過性と保温性に優れ、さらには採光性にも優れるものであった。
【0032】
[実施例2]
実施例1において、単繊維の断面形状が図1に示すような、くびれ部(短辺の長さC1/C2=1.2)を3個有する扁平断面(断面扁平度3.2)のポリエステルマルチフィラメント84dtex/30fフィラメントに変える以外は、実施例1と同様にして織物(CF=2170)を得たのち、該織物を用いてカーテンを縫製した。
得られたカーテンにおいて、紫外線透過率が6%、可視光線反射率が48%、近赤外線吸収率が19%であり、紫外線カット性と可視光線透過性と保温性に優れ、採光性にも優れるものであった。さらには、風合いがやわらかくソフトなものであった。
【0033】
[比較例1]
実施例1において、艶消し剤(二酸化チタン)の含有量を1.0重量%に変更すること以外は実施例1と同様にしてカーテン(CF=2200)を得た。
得られたカーテンにおいて、紫外線透過率が4%、可視光線反射率が65%、近赤外線吸収率が15%であり、紫外線カット性と保温性に優れるものの、可視光線透過率が低く採光性に劣るもののであった。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明によれば、紫外線カット性と可視光線透過性に優れ、さらには保温性にも優れたポリエステル布帛および該ポリエステル布帛を用いてなる繊維製品が得られ、その工業的価値は極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明のポリエステル布帛において、ポリエステル繊維の単繊維断面形状として採用することのできる、くびれ部を有する扁平断面形状を模式的に例示したものである。
【符号の説明】
【0036】
1 くびれ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル繊維を30重量%以上含んでなるポリエステル布帛であって、前記のポリエステル繊維に、有機系紫外線吸収剤が0.1〜5.0重量%、艶消し剤が0.4重量%以下、金属酸化物系微粒子赤外線吸収剤が0.1〜2.0重量%、各々含まれることを特徴とするポリエステル布帛。
【請求項2】
前記の有機系紫外線吸収剤がベンゾオキサジン系有機紫外線吸収剤である、請求項1に記載のポリエステル布帛。
【請求項3】
前記の金属酸化物系微粒子赤外線吸収剤の平均粒径が0.5μm以下である、請求項1または請求項2に記載のポリエステル布帛。
【請求項4】
前記のポリエステル繊維の単繊維繊度が0.1〜5.0dtexの範囲内である、請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル布帛。
【請求項5】
前記のポリエステル繊維において、単繊維の断面形状が異型である、請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル布帛。
【請求項6】
単繊維の断面形状が、2箇所以上のくびれ部を有する断面扁平度2〜6の扁平断面である、請求項5に記載のポリエステル布帛。
【請求項7】
前記のポリエステル繊維が、撚り係数6000以下の無撚糸または甘撚糸としてポリエステル布帛に含まれる、請求項1〜6のいずれかに記載のポリエステル布帛。
【請求項8】
布帛が、下記式により算出されるカバーファクター(CF)が1500〜3000の織物である、請求項1〜7のいずれかに記載のポリエステル布帛。
CF=(DWp/1.1)1/2×MWp+(DWf/1.1)1/2×MWf
ただし、DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。
【請求項9】
波長280〜400nmの範囲の紫外線透過率が15%以下である、請求項1〜8のいずれかに記載のポリエステル布帛。
【請求項10】
波長400〜700nmの範囲の可視光線反射率が55%以下である、請求項1〜9のいずれかに記載のポリエステル布帛。
【請求項11】
波長700〜1800nmの範囲の近赤外線吸収率が7%以上である、請求項1〜10に記載のポリエステル布帛。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載のポリエステル布帛を用いてなる、カーテン、寝具、テント、障子紙、衣服、および帽子からなる群より選択されるいずれかの繊維製品。

【図1】
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【公開番号】特開2007−2372(P2007−2372A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−186222(P2005−186222)
【出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【出願人】(302011711)帝人ファイバー株式会社 (1,101)
【Fターム(参考)】