説明

ポリエステル樹脂の製造方法

【課題】樹脂の色相が良好であり、生産レベル問題のない速度で重縮合が可能な触媒を用いたポリエステル樹脂の製造方法を提供する。
【解決手段】ポリエステル樹脂の酸成分として、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などからなる群、並びにポリエステル樹脂のグリコール成分としてネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどからなる群より選ばれる少なくとも1種以上のモノマーを重縮合してなるポリエステル樹脂の製造方法において、チタン化合物、アンチモン化合物、スズ化合物、ゲルマニウム化合物以外の金属触媒たとえばアルミニウム化合物を用いて重縮合することを特徴とするポリエステル樹脂の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スズ化合物、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物およびチタン化合物などのような金属重縮合触媒を用いず、主としてアルミニウム化合物からなる重縮合触媒を用いたポリエステル樹脂の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
共重合ポリエステル樹脂は様々な分野にて用いられている。例えば接着剤としては特許文献1に、塗料としては特許文献2、コーティング剤としては特許文献3に開示されている。
【0003】
しかしながら、このようなポリエステル樹脂の製造に関しては、重縮合触媒種によって、次のような問題点が残されていた。
(1)重縮合触媒としてのスズ化合物およびアンチモン化合物は、いわゆる重金属であり 、決して好まれる触媒ではない。
(2)アンチモン化合物は、得られた共重合ポリエステル樹脂が黒ずみ、また該共重合ポ リエステル樹脂を溶剤に溶かしワニスにする時、還元アンチモンやアンチモンを含 有する凝集物が沈降し塗料として不具合があること。
(3)チタン化合物を重縮合触媒として使用した場合、ポリエステル樹脂の着色があり、 アジピン酸あるいはセバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸などを共重合成分に用い た場合は、耐熱性が劣るため樹脂の着色が著しく、例えば白色塗料では、本来の白 色が得られないこと。
(4)ゲルマニウム化合物は上記重縮合触媒として有効に使用可能であるが、価格が著し く高いこと。
などがある。
【0004】
【特許文献1】特開昭48−034231号公報
【特許文献2】特開昭52−042528号公報
【特許文献3】特開昭54−141810号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記技術背景から、これらチタン化合物、アンチモン化合物、スズ化合物、ゲルマニウム化合物以外の金属触媒を用いて重縮合したポリエステル樹脂が求められている。すなわち、いわゆる重金属触媒ではなく、樹脂の色相が良好であり、生産レベル問題のない速度で重縮合が可能な触媒を用いたポリエステル樹脂の製造方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明者らは、こうした問題に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。すなわち、本発明はポリエステル樹脂の酸成分として、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸およびフマル酸からなる群、並びにポリエステル樹脂のグリコール成分としてネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ブタンジオール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAの1,2−プロピレンオキサイド付加物、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、アゼライン酸、ダイマージオール、水添ダイマージオール、ポリエチレングリコール、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル−2’,2’−ジメチル−3−ヒドロキシプロパネート、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3(4),8(9)−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上のモノマーを重縮合してなるポリエステル樹脂の製造方法において、チタン化合物、アンチモン化合物、スズ化合物、ゲルマニウム化合物以外の金属触媒を用いて重縮合することを特徴とするポリエステル樹脂の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0007】
いわゆる重金属触媒ではなく、樹脂の色相が良好であり、生産レベル問題のない速度で重縮合が可能な触媒を用いたポリエステル樹脂の製造方法を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の製造方法において、用いる触媒はチタン化合物、アンチモン化合物、スズ化合物、ゲルマニウム化合物以外の金属触媒である。好ましくはアルミニウム化合物である。重縮合触媒を構成するアルミニウム化合物としては、金属アルミニウムのほか、公知のアルミニウム化合物は限定なく使用できる。
【0009】
アルミニウム化合物としては、具体的には、ギ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、プロピオン酸アルミニウム、蓚酸アルミニウム、アクリル酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、安息香酸アルミニウム、トリクロロ酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム、サリチル酸アルミニウムなどのカルボン酸塩、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウム、炭酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、ホスホン酸アルミニウムなどの無機酸塩、アルミニウムメトキサイド、アルミニウムエトキサイド、アルミニウムn−プロポキサイド、アルミニウムiso−プロポキサイド、アルミニウムn−ブトキサイド、アルミニウムt−ブトキサイドなどアルミニウムアルコキサイド、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテートジiso−プロポキサイドなどのアルミニウムキレート化合物、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物およびこれらの部分加水分解物、酸化アルミニウムなどが挙げられる。これらのうちカルボン酸塩、無機酸塩およびキレート化合物が好ましく、これらの中でもさらに酢酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウムおよびアルミニウムアセチルアセトネートが特に好ましい。
【0010】
上記のアルミニウム化合物の使用量としては、得られるポリエステルのジカルボン酸や多価カルボン酸などのカルボン酸成分の全構成ユニットのモル数に対して0.001〜1.0モル%が好ましく、さらに好ましくは、0.005〜0.5モル%である。このようにアルミニウム成分の添加量は、使用する多価カルボン酸およびジオールの種類やその組合せ、さらには重縮合方法によって大きく触媒活性が変動するため広い範囲が求められる。このことは他の重縮合触媒でも同様の傾向を示す。特に減圧下で重縮合を実施しない場合は重縮合触媒量は大幅に増加する必要がある。上記の重縮合触媒は十分な触媒活性を示すため、その結果、得られるポリエステルの熱安定性や熱酸化安定性、耐加水分解性が優れ、アルミニウムに起因する異物の発生や着色が抑制される。
【0011】
以下に、アルミニウム化合物のとして、塩基性酢酸アルミニウムを用いた同溶液の調製方法の具体例を示す。
塩基性酢酸アルミニウムの水溶液の調製例としては、下記の通りである。すなわち、塩基性酢酸アルミニウムに水を加え室温で十分拡散させた後、室温〜100℃で溶解させることで水溶液を調製する。この場合の溶解温度は低い方が好ましく、加熱時間は短い方が好ましい。水溶液の濃度は、10〜30g/lが好ましく、とくに15〜20g/lが好ましい。
【0012】
さらに、触媒添加時のヒートショックを抑制するために、塩基性酢酸アルミニウム水溶液を同エチレングリコール溶液にすることが好ましい態様である。すなわち、上述の水溶液に対してエチレングリコールを加える。エチレングリコールの添加量は水溶液に対して容量比で0.5〜5倍量が好ましい。より好ましくは0.8〜2倍量である。該溶液を攪拌することで均一な水/エチレングリコール混合溶液を得た後、該溶液を加熱し、水を留去することでエチレングリコール溶液を得ることができる。温度は70℃以上が好ましく、130℃以下が好ましい。より好ましくは80〜120℃で加熱攪拌して水を留去することが好ましい。さらに好ましくは、減圧下および/または窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で加熱し、水を留去し触媒溶液を調製することである。
上記エチレングリコールは一例であって、他のアルキレングリコールも同様にして使用できる。
【0013】
上述の塩基性酢酸アルミニウムは水やグリコールなどの溶媒に可溶化したもの、とくに水および/またはエチレングリコールに可溶化したものを用いることが触媒活性や得られる共重合ポリエステルの異物低減の観点からも好ましい。
【0014】
本発明の重合触媒を構成するリン化合物としては、特に限定はされないが、リン酸ならびにトリメチルリン酸、トリエチルリン酸、フェニルリン酸、トリフェニルリン酸等のリン酸エステル、亜リン酸ならびにトリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンジホスファイト等の亜リン酸エステルなどが挙げられる。
【0015】
本発明のより好ましいリン化合物は、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種のリン化合物である。これらのリン化合物を用いることで触媒活性の向上効果が見られるとともに、ポリエステルの熱安定性等の物性が改善する効果が見られる。これらの中でも、ホスホン酸系化合物を用いると物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。上記したリン化合物の中でも、芳香環構造を有する化合物を用いると物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
【0016】
本発明で言うホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物とは、それぞれ下記式(化1)〜(化6)で表される構造を有する化合物のことを言う。
【0017】
【化1】

【0018】
【化2】

【0019】
【化3】

【0020】
【化4】

【0021】
【化5】

【0022】
【化6】

【0023】
ホスホン酸系化合物としては、例えば、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジフェニル、ベンジルホスホン酸ジメチル、ベンジルホスホン酸ジエチルなどが挙げられる。本発明のホスフィン酸系化合物としては、例えば、ジフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸メチル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、フェニルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸メチル、フェニルホスフィン酸フェニルなどが挙げられる。本発明のホスフィンオキサイド系化合物としては、例えば、ジフェニルホスフィンオキサイド、メチルジフェニルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。
【0024】
ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物の中では、本発明のリン化合物としては、下記式(化7)〜(化12)で表される化合物が好ましい。
【0025】
【化7】

【0026】
【化8】

【0027】
【化9】

【0028】
【化10】

【0029】
【化11】

【0030】
【化12】

【0031】
上記したリン化合物の中でも、芳香環構造を有する化合物を用いると物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
【0032】
また、本発明のリン化合物としては、下記一般式(化13)〜(化15)で表される化合物を用いると物性改善効果や触媒活性の向上効果が特に大きく好ましい。
【0033】
【化13】

【0034】
【化14】

【0035】
【化15】

【0036】
(式(化13)〜(化15)中、R1、R4、R5、R6はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R2、R3はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。ただし、炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
【0037】
本発明のリン化合物としては、上記式(化13)〜(化15)中、R1、R4、R5、R6が芳香環構造を有する基である化合物がとくに好ましい。
【0038】
本発明のリン化合物としては、例えば、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジフェニル、ベンジルホスホン酸ジメチル、ベンジルホスホン酸ジエチル、ジフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸メチル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、フェニルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸メチル、フェニルホスフィン酸フェニル、ジフェニルホスフィンオキサイド、メチルジフェニルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。これらのうちで、フェニルホスホン酸ジメチル、ベンジルホスホン酸ジエチルがとくに好ましい。
【0039】
上述したリン化合物の中でも、本発明では、リン化合物としてリンの金属塩化合物がとくに好ましい。リンの金属塩化合物とは、リン化合物の金属塩であれば特に限定はされないが、ホスホン酸系化合物の金属塩を用いると本発明の課題であるポリエステルの物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。リン化合物の金属塩としては、モノ金属塩、ジ金属塩、トリ金属塩などが含まれる。
【0040】
また、上記したリン化合物の中でも、金属塩の金属部分が、Li、Na、K、Be、Mg、Sr、Ba、Mn、Ni、Cu、Znから選択されたものを用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。これらのうち、Li、Na、Mgがとくに好ましい。
【0041】
本発明のリンの金属塩化合物としては、下記一般式(化16)で表される化合物から選択される少なくとも一種を用いると物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
【0042】
【化16】

【0043】
(式(化16)中、R1は水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R2は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R3は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。lは1以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、l+mは4以下である。Mは(l+m)価の金属カチオンを表す。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
【0044】
上記のR1としては、例えば、フェニル、1―ナフチル、2―ナフチル、9−アンスリル、4−ビフェニル、2−ビフェニルなどが挙げられる。上記のR2としては例えば、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、長鎖の脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基、−CH2CH2OHで表される基などが挙げられる。R3-としては例えば、水酸化物イオン、アルコラートイオン、アセテートイオンやアセチルアセトンイオンなどが挙げられる。
【0045】
上記一般式(化16)で表される化合物の中でも、下記一般式(化17)で表される化合物から選択される少なくとも一種を用いることが好ましい。
【0046】
【化17】

【0047】
(式(化17)中、R1は水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R3は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。lは1以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、l+mは4以下である。Mは(l+m)価の金属カチオンを表す。炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
【0048】
上記のR1としては、例えば、フェニル、1―ナフチル、2―ナフチル、9−アンスリル、4−ビフェニル、2−ビフェニルなどが挙げられる。R3-としては例えば、水酸化物イオン、アルコラートイオン、アセテートイオンやアセチルアセトンイオンなどが挙げられる。
【0049】
上記したリン化合物の中でも、芳香環構造を有する化合物を用いると物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
【0050】
上記式(化17)の中でも、Mが、Li,Na、K、Be、Mg、Sr、Ba、Mn、Ni、Cu、Znから選択されたものを用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。これらのうち、Li、Na、Mgがとくに好ましい。
【0051】
本発明のリンの金属塩化合物としては、リチウム[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、ナトリウム[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、カリウム[(2−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[(2−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、リチウム[ベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[ベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[ベンジルホスホン酸エチル]、ベリリウムビス[ベンジルホスホン酸エチル]、ストロンチウムビス[ベンジルホスホン酸エチル]、マンガンビス[ベンジルホスホン酸エチル]、ベンジルホスホン酸ナトリウム、マグネシウムビス[ベンジルホスホン酸]、ナトリウム[(9−アンスリル)メチルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[(9−アンスリル)メチルホスホン酸エチル]、ナトリウム[4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[4−クロロベンジルホスホン酸フェニル]、マグネシウムビス[4−クロロベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[4−アミノベンジルホスホン酸メチル]、マグネシウムビス[4−アミノベンジルホスホン酸メチル]、フェニルホスホン酸ナトリウム、マグネシウムビス[フェニルホスホン酸エチル]、亜鉛ビス[フェニルホスホン酸エチル]などが挙げられる。これらの中で、リチウム[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、ナトリウム[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、リチウム[ベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[ベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[ベンジルホスホン酸エチル]、ベンジルホスホン酸ナトリウム、マグネシウムビス[ベンジルホスホン酸]がとくに好ましい。
【0052】
上述したリン化合物の中でも、本発明では、リン化合物としてP−OH結合を少なくとも一つ有するリン化合物がとくに好ましい。これらのリン化合物を含有することでポリエステルの物性改善効果がとくに高まることに加えて、ポリエステルの重合時に、これらのリン化合物を本発明のアルミニウム化合物と共存して用いることで触媒活性の向上効果が大きく見られる。
P−OH結合を少なくとも一つ有するリン化合物とは、分子内にP−OHを少なくとも一つ有するリン化合物であれば特に限定はされない。これらのリン化合物の中でも、P−OH結合を少なくとも一つ有するホスホン酸系化合物を用いるとアルミニウム化合物との錯体形成が容易になり、ポリエステルの物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
【0053】
上記したリン化合物の中でも、芳香環構造を有する化合物を用いると物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
【0054】
本発明のP−OH結合を少なくとも一つ有するリン化合物としては、下記一般式(化18)で表される化合物から選択される少なくとも一種を用いると物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
【0055】
【化18】

【0056】
(式(化18)中、R1は水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R2は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
【0057】
上記のR1としては、例えば、フェニル、1―ナフチル、2―ナフチル、9−アンスリル、4−ビフェニル、2−ビフェニルなどが挙げられる。上記のR2としては例えば、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、長鎖の脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基、−CH2CH2OHで表される基などが挙げられる。
【0058】
上記したリン化合物の中でも、芳香環構造を有する化合物を用いると物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
【0059】
本発明のP−OH結合を少なくとも一つ有するリン化合物としては、(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル、(1−ナフチル)メチルホスホン酸、(2−ナフチル)メチルホスホン酸エチル、ベンジルホスホン酸エチル、ベンジルホスホン酸、(9−アンスリル)メチルホスホン酸エチル、4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル、2−メチルベンジルホスホン酸エチル、4−クロロベンジルホスホン酸フェニル、4−アミノベンジルホスホン酸メチル、4−メトキシベンジルホスホン酸エチルなどが挙げられる。これらの中で、(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル、ベンジルホスホン酸エチルがとくに好ましい。
【0060】
本発明の好ましいリン化合物としては、化学式(化19)であらわされるリン化合物が挙げられる。
【0061】
【化19】

【0062】
(式(化19)中、R1は炭素数1〜49の炭化水素基、または水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜49の炭化水素基を表し、R2,R3はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。炭化水素基は脂環構造や分岐構造や芳香環構造を含んでいてもよい。)
【0063】
また、更に好ましくは、化学式(化19)中のR1,R2,R3の少なくとも一つが芳香環構造を含む化合物である。
【0064】
これらのリン化合物の具体例を以下に示す。
【0065】
【化20】

【0066】
【化21】

【0067】
【化22】

【0068】
【化23】

【0069】
【化24】

【0070】
【化25】

【0071】
また、リン化合物は、分子量が大きいものの方が重合時に留去されにくいため効果が大きく好ましい。
【0072】
リン化合物は、フェノール部を同一分子内に有するリン化合物であることが好ましい。フェノール部を同一分子内に有するリン化合物を含有することでポリエステルの物性改善効果が高まることに加えて、ポリエステルの重合時にフェノール部を同一分子内に有するリン化合物を用いることで触媒活性を高める効果がより大きく、従ってポリエステルの生産性に優れる。
【0073】
フェノール部を同一分子内に有するリン化合物としては、フェノール構造を有するリン化合物であれば特に限定はされないが、フェノール部を同一分子内に有する、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物からなる群より選ばれる一種または二種以上の化合物を用いるとポリエステルの物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。これらの中でも、一種または二種以上のフェノール部を同一分子内に有するホスホン酸系化合物を用いるとポリエステルの物性改善効果や触媒活性の向上効果がとくに大きく好ましい。
【0074】
フェノール部を同一分子内に有するリン化合物としては、下記一般式(化26)〜(化28)で表される化合物が好ましい。
【0075】
【化26】

【0076】
【化27】

【0077】
【化28】

【0078】
(式(化26)〜(化28)中、R1はフェノール部を含む炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基などの置換基およびフェノール部を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R4,R5,R6はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基などの置換基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R2,R3はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基などの置換基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。ただし、炭化水素基は分岐構造やシクロヘキシル等の脂環構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。R2とR4の末端どうしは結合していてもよい。)
【0079】
フェノール部を同一分子内に有するリン化合物としては、例えば、p−ヒドロキシフェニルホスホン酸、p−ヒドロキシフェニルホスホン酸ジメチル、p−ヒドロキシフェニルホスホン酸ジエチル、p−ヒドロキシフェニルホスホン酸ジフェニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィン酸メチル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィン酸フェニル、p−ヒドロキシフェニルフェニルホスフィン酸、p−ヒドロキシフェニルフェニルホスフィン酸メチル、p−ヒドロキシフェニルフェニルホスフィン酸フェニル、p−ヒドロキシフェニルホスフィン酸、p−ヒドロキシフェニルホスフィン酸メチル、p−ヒドロキシフェニルホスフィン酸フェニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィンオキサイド、トリス(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィンオキサイド、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メチルホスフィンオキサイド、および下記式(化29)〜(化32)で表される化合物などが挙げられる。これらのうちで、下記式(化31)で表される化合物およびp−ヒドロキシフェニルホスホン酸ジメチルがとくに好ましい。
【0080】
【化29】

【0081】
【化30】

【0082】
【化31】

【0083】
【化32】

【0084】
上記の式(化31)にて示される化合物としては、SANKO−220(三光株式会社製)があり、使用可能である。
【0085】
フェノール部を同一分子内に有するリン化合物の中でも、下記一般式(化33)で表される特定のリンの金属塩化合物から選択される少なくとも一種がとくに好ましい。
【0086】
【化33】

【0087】
((式(化33)中、R1、R2はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。R3は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R4は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R4-としては例えば、水酸化物イオン、アルコラートイオン、アセテートイオンやアセチルアセトンイオンなどが挙げられる。lは1以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、l+mは4以下である。Mは(l+m)価の金属カチオンを表す。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
【0088】
これらの中でも、下記一般式(化34)で表される化合物から選択される少なくとも一種が好ましい。
【0089】
【化34】

【0090】
(式(化34)中、Mn+はn価の金属カチオンを表す。nは1,2,3または4を表す。)
【0091】
上記式(化33)または(化34)の中でも、Mが、Li,Na、K、Be、Mg、Sr、Ba、Mn、Ni、Cu、Znから選択されたものを用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。これらのうち、Li、Na、Mgがとくに好ましい。
【0092】
特定のリンの金属塩化合物としては、リチウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸]、カリウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸]、ベリリウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸メチル]、ストロンチウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、バリウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸フェニル]、マンガンビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ニッケルビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、銅ビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、亜鉛ビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]などが挙げられる。これらの中で、リチウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]がとくに好ましい。
【0093】
フェノール部を同一分子内に有するリン化合物の中でも、下記一般式(化35)で表されるP−OH結合を少なくとも一つ有する特定のリン化合物から選択される少なくとも一種がとくに好ましい。
【0094】
【化35】

【0095】
((式(化35)中、R1、R2はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。R3は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
【0096】
これらの中でも、下記一般式(化36)で表される化合物から選択される少なくとも一種が好ましい。
【0097】
【化36】

【0098】
(式(化36)中、R3は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
【0099】
上記のR3としては例えば、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、長鎖の脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基、−CH2CH2OHで表される基などが挙げられる。
【0100】
P−OH結合を少なくとも一つ有する特定のリン化合物としては、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸メチル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸イソプロピル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸フェニル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸オクタデシル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸などが挙げられる。これらの中で、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸メチルがとくに好ましい。
【0101】
フェノール部を同一分子内に有するリン化合物の中でも、下記一般式(化37)で表される特定のリン化合物から選ばれる少なくとも一種のリン化合物が好ましい。
【0102】
【化37】

【0103】
(上記式(化37)中、R1、R2はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。R3、R4はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
【0104】
上記一般式(化37)の中でも、下記一般式(化38)で表される化合物から選択される少なくとも一種を用いるとポリエステルの物性改善効果や触媒活性の向上効果が高く好ましい。
【0105】
【化38】

【0106】
(上記式(化38)中、R3、R4はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
【0107】
上記のR3、R4としては例えば、水素、メチル基、ブチル基等の短鎖の脂肪族基、オクタデシル等の長鎖の脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基等の芳香族基、−CH2CH2OHで表される基などが挙げられる。
【0108】
特定のリン化合物としては、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジイソプロピル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジ−n−ブチル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジオクタデシル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジフェニルなどが挙げられる。これらの中で、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジオクタデシル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジフェニルがとくに好ましい。
【0109】
フェノール部を同一分子内に有するリン化合物の中でも、本発明でとくに望ましい化合物は、化学式(化39)、(化40)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種のリン化合物である。
【0110】
【化39】

【0111】
【化40】

【0112】
上記の化学式(化39)にて示される化合物としては、Irganox1222(チバ・スペシャルティーケミカルズ社製)が市販されており、また化学式(化40)にて示される化合物としてはIrganox1425(チバ・スペシャルティーケミカルズ社製)が市販されており、使用可能である。
【0113】
本発明で使用することが好ましいその他のリン化合物としては、下記する(化41)、(化42)で表される連結基(X)を有するホスホン酸系化合物あるいは(化43)で表される連結基(X)を有さないホスホン酸系化合物などが挙げられる。
【0114】
【化41】

[式(化41)中、R1は炭素数6〜50の芳香環構造あるいは炭素数4〜50の複素環構造を表し、該芳香環構造あるいは複素環構造は置換基を有していてもよい。Xは連結基であり、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素(直鎖状あるいは分岐構造あるいは脂環構造であってもかまわない)、あるいは置換基を含有する炭素数1〜10の脂肪族炭化水素(直鎖状あるいは分岐構造あるいは脂環構造であってもかまわない)、−O−、−OCH2−、−SO2−、−CO−、−COCH2−、−CH2OCO−、−NHCO−、−NH−、−NHCONH−、−NHSO2−、−NHC36OCH2CH2O−から選ばれる。また、R2およびR3はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜20の炭化水素基を表す。炭化水素基は脂環構造や分岐構造や芳香環構造を有していてもよい。]
【0115】
式(化41)で表されるリン化合物の芳香環構造および複素環構造の置換基が、炭素数1〜50の炭化水素基(直鎖状であっても脂環構造、分岐構造、芳香環構造であってもよく、これらがハロゲン置換されたものであってもよい)または水酸基またはハロゲン基または炭素数1〜10のアルコキシル基またはアミノ基(炭素数1〜10のアルキルあるいはアルカノール置換されていてもかまわない)あるいはニトロ基あるいはカルボキシル基あるいは炭素数1〜10の脂肪族カルボン酸エステル基あるいはホルミル基あるいはアシル基あるいはスルホン酸基、スルホン酸アミド基(炭素数1〜10のアルキルあるいはアルカノール置換されていてもかまわない)、ホスホリル含有基、ニトリル基、シアノアルキル基、から選ばれる1種もしくは2種以上である。
【0116】
式(化41)で表されるリン化合物には次のようなものが挙げられる。具体的には、ベンジルホスホン酸、ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、1−ナフチルメチルホスホン酸、1−ナフチルメチルホスホン酸モノエチルエステル、2−ナフチルメチルホスホン酸、2−ナフチルメチルホスホン酸モノエチルエステル、4−フェニル,ベンジルホスホン酸、4−フェニル,ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、2−フェニル,ベンジルホスホン酸、2−フェニル,ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−クロル,ベンジルホスホン酸、4−クロル,ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−クロル,ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−メトキシ,ベンジルホスホン酸、4−メトキシ,ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−メトキシ,ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−メチル,ベンジルホスホン酸、4−メチル,ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−メチル,ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−ニトロ,ベンジルホスホン酸、4−ニトロ,ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−ニトロ,ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−アミノ,ベンジルホスホン酸、4−アミノ,ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−アミノ,ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、2−メチル, ベンジルホスホン酸、2−メチル, ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、2−メチル, ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、10−アンスラニルメチルホスホン酸、10−アンスラニルメチルホスホン酸モノエチルエステル、10−アンスラニルメチルホスホン酸ジエチルエステル、(4−メトキシフェニル−,エトキシ−)メチルホスホン酸、(4−メトキシフェニル−,エトキシ−)メチルホスホン酸モノメチルエステル、(4−メトキシフェニル−,エトキシ−)メチルホスホン酸ジメチルエステル、(フェニル−,ヒドロキシ−)メチルホスホン酸、(フェニル−,ヒドロキシ−)メチルホスホン酸モノエチルエステル、(フェニル−,ヒドロキシ−)メチルホスホン酸ジエチルエステル、(フェニル−,クロル−)メチルホスホン酸、(フェニル−,クロル−)メチルホスホン酸モノエチルエステル、(フェニル−,クロル−)メチルホスホン酸ジエチルエステル、(4−クロルフェニル)−イミノホスホン酸、(4−クロルフェニル)−イミノホスホン酸モノエチルエステル、(4−クロルフェニル)−イミノホスホン酸ジエチルエステル、(4−ヒドロキシフェニル−,ジフェニル−)メチルホスホン酸、(4−ヒドロキシフェニル−,ジフェニル−)メチルホスホン酸モノエチルエステル、(4−ヒドロキシフェニル−,ジフェニル−)メチルホスホン酸ジエチルエステル、(4−クロルフェニル−,ヒドロキシ−)メチルホスホン酸、(4−クロルフェニル−,ヒドロキシ−)メチルホスホン酸モノメチルエステル、(4−クロルフェニル−,ヒドロキシ−)メチルホスホン酸ジメチルエステル、その他、複素環を含有するリン化合物としては、2−ベンゾフラニルメチルホスホン酸ジエチルエステル、2−ベンゾフラニルメチルホスホン酸モノエチルエステル、2−ベンゾフラニルメチルホスホン酸、2−(5−メチル)ベンゾフラニルメチルホスホン酸ジエチルエステル、2−(5−メチル)ベンゾフラニルメチルホスホン酸モノエチルエステル、2−(5−メチル)ベンゾフラニルメチルホスホン酸などが挙げられる。上記の連結基を有するリン化合物は、重合活性の点で好ましい態様である。
【0117】
本発明で使用することが好ましい連結基(X)を有するその他の化合物としては式(化42)で表されるリン化合物が挙げられる。
【化42】

[式(化42)中、R0は、水酸基、C1〜C10のアルキル基、−COOH基あるいは−COOR4(R4は、C1〜C4のアルキル基を表す)、アルキレングリコール基あるいはモノアルコキシアルキレングリコール基を表す(モノアルコキシはC1〜C4を、アルキレングリコールはC1〜C4のグリコールを表す)。R1はベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル、ジフェニルスルホン、ジフェニルメタン、ジフェニルジメチルメタン、ジフェニルケトン、アントラセン、フェナントレンおよびピレンなどの芳香環構造を表す。R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子、C1〜C4の炭化水素基、水酸基またはアルコシキル基を有するC1〜C4の炭化水素基を表す。mは1〜5の整数を表し、R0が複数個の場合、同一置換基あるいは異なる置換基の組合せであってもかまわない。nは0あるいは1〜5の整数を表す。]
【0118】
式(化42)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がベンゼンであるリン化合物としては次のようなものが挙げられる。すなわち、2−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチルエステル、2−ヒドロキシベンジルホスホン酸モノエチルエステル、2−ヒドロキシベンジルホスホン酸、4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−ヒドロキシベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−ヒドロキシベンジルホスホン酸、6−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチルエステル、6−ヒドロキシベンジルホスホン酸モノエチルエステル、6−ヒドロキシベンジルホスホン酸などのベンゼン環に水酸基を導入したベンジルホスホン酸類が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0119】
また、2−n−ブチルベンジルホスホン酸ジエチルエステル、2−n−ブチルベンジルホスホン酸モノメチルエステル、2−n−ブチルベンジルホスホン酸、3−n−ブチルベンジルホスホン酸ジエチルエステル、3−n−ブチルベンジルホスホン酸モノエチルエステル、3−n−ブチルベンジルホスホン酸、4−n−ブチルベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−n−ブチルベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−n−ブチルベンジルホスホン酸、2,5−n−ジブチルベンジルホスホン酸ジエチルエステル、2,5−n−ジブチルベンジルホスホン酸モノエチルエステル、2,5−n−ジブチルベンジルホスホン酸、3,5−n−ジブチルベンジルホスホン酸ジエチルエステル、3,5−n−ジブチルベンジルホスホン酸モノエチルエステル、3,5−n−ジブチルベンジルホスホン酸などのベンゼン環にアルキルを導入したベンジルホスホン酸類が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0120】
さらに、2−カルボキシベンジルホスホン酸ジエチルエステル、2−カルボキシベンジルホスホン酸モノエチルエステル、2−カルボキシベンジルホスホン酸、3−カルボキシベンジルホスホン酸ジエチルエステル、3−カルボキシベンジルホスホン酸モノエチルエステル、3−カルボキシベンジルホスホン酸、4−カルボキシベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−カルボキシベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−カルボキシベンジルホスホン酸、2,5−ジカルボキシベンジルホスホン酸ジエチルエステル、2,5−ジカルボキシベンジルホスホン酸モノエチルエステル、2,5−ジカルボキシベンジルホスホン酸、3,5−ジカルボキシベンジルホスホン酸ジエチルエステル、3,5−ジカルボキシベンジルホスホン酸モノエチルエステル、3,5−ジカルボキシベンジルホスホン酸、2−メトキシカルボニルベンジルホスホン酸ジエチルエステル、2−メトキシカルボニルベンジルホスホン酸モノエチルエステル、2−メトキシカルボニルベンジルホスホン酸、3−メトキシカルボニルベンジルホスホン酸ジエチルエステル、3−メトキシカルボニルベンジルホスホン酸モノエチルエステル、3−メトキシカルボニルベンジルホスホン酸、4−メトキシカルボニルベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−メトキシカルボニルベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−メトキシカルボニルベンジルホスホン酸、2,5−ジメトキシカルボニルベンジルホスホン酸ジエチルエステル、2,5−ジメトキシカルボニルベンジルホスホン酸モノエチルエステル、2,5−ジメトキシカルボニルベンジルホスホン酸、3,5−ジメトキシカルボニルベンジルホスホン酸ジエチルエステル、3,5−ジメトキシカルボニルベンジルホスホン酸モノエチルエステル、3,5−ジメトキシカルボニルベンジルホスホン酸などのベンゼン環にカルボキル基あるいはカルボン酸エステル基を導入したベンジルホスホン酸類が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0121】
さらに、2−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、2−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、2−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸、3−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、3−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、3−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸、4−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸、2,5−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、2,5−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、2,5−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸、3,5−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、3,5−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、3,5−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸、2−(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、2−(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、1−(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸、3−(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸モノメチルエステル、3−(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、3−(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、3−(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸、4−(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸、2,5−ジ(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、2,5−ジ(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、2,5−ジ(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸、3,5−ジ(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、3,5−ジ(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、3,5−ジ(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸などのベンゼン環にアルキレングリコール基あるいはモノアルコキシ化アルキレングリコール基を導入したベンジルホスホン酸類が挙げられる。
【0122】
(化42)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がベンゼンであるリン化合物としては、上述した単一置換基種に限定されるものではなく、上述した置換基、ヒドロキシル基、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシエステル基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基の混成されたものも使用できる。
【0123】
本発明の式(化42)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がナフタレンであるリン化合物としては次のようなものが挙げられる。すなわち、1−(5−ヒドロキシ)ナフチルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(5−ヒドロキシ)ナフチルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(5−ヒドロキシ)ナフチルメチルホスホン酸、1−(5−ヒドロキシ)ナフチルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(5−ヒドロキシ)ナフチルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(5−ヒドロキシ)ナフチルメチルホスホン酸、1−(5−n−ブチル)ナフチルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(5−n−ブチル)ナフチルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(5−n−ブチル)ナフチルメチルホスホン酸、1−(4−カルボキシ)ナフチルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(4−カルボキシ)ナフチルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(4−カルボキシ)ナフチルメチルホスホン酸、1−(4−メトキシカルボニル)ナフチルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(4−メトキシカルボニル)ナフチルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(4−メトキシカルボニル)ナフチルメチルホスホン酸、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)]ナフチルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)]ナフチルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)]ナフチルメチルホスホン酸、1−(4−メトキシエトキシ)ナフチルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(4−メトキシエトキシ)ナフチルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(4−メトキシエトキシ)ナフチルメチルホスホン酸、1−(5−ヒドロキシ)ナフチルメチルホスホン酸ジエチルエステル、2−(6−ヒドロキシ)ナフチルメチルホスホン酸ジエチルエステル、2−(6−ヒドロキシ)ナフチルモノエチルホスホン酸、2−(6−ヒドロキシ)ナフチルメチルホスホン酸、2−(6−n−ブチル)ナフチルメチルホスホン酸ジエチルエステル、2−(6−n−ブチル)ナフチルメチルホスホン酸モノエチルエステル、2−(6−n−ブチル)ナフチルメチルホスホン酸、2−(6−カルボキシ)ナフチルメチルホスホン酸ジエチルエステル、2−(6−カルボキシ)ナフチルメチルホスホン酸モノエチルエステル、2−(6−カルボキシ)ナフチルメチルホスホン酸、2−(6−メトキシカルボニル)ナフチルメチルホスホン酸ジエチルエステル、2−(6−メトキシカルボニル)ナフチルメチルホスホン酸モノエチルエステル、2−(6−メトキシカルボニル)ナフチルメチルホスホン酸、2−[6−(2−ヒドロキシエトキシ)]ナフチルメチルホスホン酸ジエチルエステル、2−[6−(2−ヒドロキシエトキシ)]ナフチルメチルホスホン酸モノエチルエステル、2−[6−(2−ヒドロキシエトキシ)]ナフチルメチルホスホン酸、2−(6−メトキシエトキシ)ナフチルメチルホスホン酸ジエチルエステル、2−(6−メトキシエトキシ)ナフチルメチルホスホン酸モノエチルエステル、2−(6−メトキシエトキシ)ナフチルメチルホスホン酸などのナフタレン環にアルキル基、カルボキキシル基、カルボン酸エステル基、アルキレングリコール基、モノアルコキシアルキレングリコール基などが導入されたホスホン酸類などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0124】
式(化42)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がナフタレンであるリン化合物は、上述した単一置換基種に限定されるものではなく、上述した置換基、ヒドロキシル基、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシエステル基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基の混成されたものも使用できる。
【0125】
式(化42)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がビフェニルであるリン化合物としては次のようなものが挙げられる。すなわち、4−(4−ヒドロキシフェニル)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−(4−ヒドロキシフェニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシフェニル)ベンジルホスホン酸、4−(4−n−ブチルフェニル)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−(4−n−ブチルフェニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−n−ブチルフェニル)ベンジルホスホン酸、4−(4−カルボキシフェニル)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−(4−カルボキシフェニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−カルボキシフェニル)ベンジルホスホン酸、4−(4−メトキシカルボニルフェニル)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−(4−メトキシカルボニルフェニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシカルボニルフェニル)ベンジルホスホン酸、4−(4−ヒドロキシエトキシフェニル)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−(4−ヒドロキシエトキシフェニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシエトキシフェニル)ベンジルホスホン酸、
4−(4−メトキシエトキシフェニル)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−(4−メトキシエトキシフェニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシエトキシフェニル)ベンジルホスホン酸などのビフェニル環にアルキル基、カルボキキシル基、カルボン酸エステル基、アルキレングリコール基、モノメトキシアルキレングリコール基などが導入されたホスホン酸類などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0126】
式(化42)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がビフェニルであるリン化合物は、上述した単一置換基種に限定されるものではなく、上述した置換基、ヒドロキシル基、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシエステル基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基の混成されたものも使用できる。
【0127】
式(化42)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がジフェニルエーテルであるリン化合物としては次のようなものが挙げられる。すなわち、4−(4−ヒドロキシフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−(4−ヒドロキシフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸、4−(4−n−ブチルフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−n−ブチルフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ブチルフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸、4−(4−カルボキシフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−カルボキシフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−カルボキシフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸、4−(4−メトキシカルボニルフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシカルボニルフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシカルボニルフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸、4−(4−ヒドロキシエトキシフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシメトキシフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシメトキシフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸、4−(4−メトキシエトキシフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシエトキシフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシエトキシフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸などのジフェニルエーテル環にアルキル基、カルボキキシル基、カルボン酸エステル基、アルキレングリコール基、モノメトキシアルキレングリコール基などが導入されたホスホン酸類などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0128】
式(化42)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がジフェニルエーテルであるリン化合物は、上述した単一置換基種に限定されるものではなく、上述した置換基、ヒドロキシル基、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシエステル基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基の混成されたものも使用できる。
【0129】
本発明の式(化42)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がジフェニチオエーテルであるリン化合物としては次のようなものが挙げられる。すなわち、4−(4−ヒドロキシフェニルチオ)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−(4−ヒドロキシフェニルチオ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシフェニルチオ)ベンジルホスホン酸、4−(4−n−ブチルフェニルチオ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−n−ブチルフェニルチオ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ブチルフェニルチオ)ベンジルホスホン酸、4−(4−カルボキシフェニルチオ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−カルボキシフェニルチオ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−カルボキシフェニルチオ)ベンジルホスホン酸、4−(4−メトキシカルボニルフェニルチオ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシカルボニルフェニルチオ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシカルボニルフェニルチオ)ベンジルホスホン酸、4−(4−ヒドロキシエトキシフェニルチオ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシメトキシフェニルチオ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシメトキシフェニルチオ)ベンジルホスホン酸、4−(4−メトキシエトキシフェニルチオ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシエトキシフェニルチオ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシエトキシフェニルチオ)ベンジルホスホン酸などのジフェニルチオエーテル環にアルキル基、カルボキキシル基、カルボン酸エステル基、アルキレングリコール基、モノメトキシアルキレングリコール基などが導入されたホスホン酸類などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0130】
式(化42)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がジフェニルチオエーテルであるリン化合物は、上述した単一置換基種に限定されるものではなく、上述した置換基、ヒドロキシル基、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシエステル基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基の混成されたものも使用できる。
【0131】
本発明の式(化42)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がジフェニルスルホンであるリン化合物としてはには次のようなものが挙げられる。4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸、4−(4−n−ブチルフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−n−ブチルフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ブチルフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸、4−(4−カルボキシフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−カルボキシフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−カルボキシフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸、4−(4−メトキシカルボニルフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシカルボニルフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシカルボニルフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸、4−(4−ヒドロキシエトキシフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシメトキシフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシメトキシフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸、4−(4−メトキシエトキシフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシエトキシフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシエトキシフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸などのジフェニルスルホン環にアルキル基、カルボキキシル基、カルボン酸エステル基、アルキレングリコール基、モノメトキシアルキレングリコール基などが導入されたホスホン酸類などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0132】
式(化42)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がジフェニルスルホンであるリン化合物は、上述した単一置換基種に限定されるものではなく、上述した置換基、ヒドロキシル基、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシエステル基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基の混成されたものも使用できる。
【0133】
本発明の式(化42)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がジフェニルメタンであるリン化合物としてはには次のようなものが挙げられる。すなわち、4−(4−ヒドロキシベンジル)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−(4−ヒドロキシベンジル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシベンジル)ベンジルホスホン酸、4−(4−n−ブチルベンジル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−n−ブチルベンジル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ブチルベンジル)ベンジルホスホン酸、4−(4−カルボキシベンジル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−カルボキシベンジル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−カルボキシベンジル)ベンジルホスホン酸、4−(4−メトキシカルボニルベンジル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシカルボニルベンジル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシカルボニルベンジル)ベンジルホスホン酸、4−(4−ヒドロキシエトキシベンジル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシメトキシベンジル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシメトキシベンジル)ベンジルホスホン酸、4−(4−メトキシエトキシベンジル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシエトキシベンジル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシエトキシベンジル)ベンジルホスホン酸などのジフェニルメタン環にアルキル基、カルボキキシル基、カルボン酸エステル基、アルキレングリコール基、モノメトキシアルキレングリコール基などが導入されたホスホン酸類などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0134】
式(化42)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がジフェニルメタンであるリン化合物は、上述した単一置換基種に限定されるものではなく、上述した置換基、ヒドロキシル基、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシエステル基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基の混成されたものも使用できる。
【0135】
本発明の式(化42)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がジフェニルジメチルメタンであるリン化合物としてはには次のようなものが挙げられる。すなわち、4−(4−ヒドロキシフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−(4−ヒドロキシフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸、4−(4−n−ブチルフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−n−ブチルフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ブチルフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸、4−(4−カルボキシフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−カルボキシフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−カルボキシフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸、4−(4−メトキシカルボニルフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシカルボニルフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシカルボニルフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸、4−(4−ヒドロキシエトキシフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシメトキシフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシメトキシフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸、4−(4−メトキシエトキシフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシエトキシフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシエトキシフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸などのジフェニルメタン環にアルキル基、カルボキキシル基、カルボン酸エステル基、アルキレングリコール基、モノメトキシアルキレングリコール基などが導入されたホスホン酸類などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0136】
式(化42)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がジフェニルジメチルメタンであるリン化合物は、上述した単一置換基種に限定されるものではなく、上述した置換基、ヒドロキシル基、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシエステル基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基の混成されたものも使用できる。
【0137】
式(化42)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がジフェニルケトンであるリン化合物としては次のようなものが挙げられる。すなわち、4−(4−ヒドロキシベンゾイル)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−(4−ヒドロキシベンゾイル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシベンゾイル)ベンジルホスホン酸、4−(4−n−ブチルベンゾイル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−n−ブチルベンゾイル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ブチルベンゾイル)ベンジルホスホン酸、4−(4−カルボキシベンゾイル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−カルボキシベンゾイル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−カルボキシベンゾイル)ベンジルホスホン酸、4−(4−メトキシカルボニルベンゾイル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシカルボニルベンゾイル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシカルボニルベンゾイル)ベンジルホスホン酸、4−(4−ヒドロキシエトキシベンゾイル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシメトキシベンゾイル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシメトキシベンゾイル)ベンジルホスホン酸、4−(4−メトキシエトキシベンゾイル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシエトキシベンゾイル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシエトキシベンゾイル)ベンジルホスホン酸などのジフェニルケトン環にアルキル基、カルボキキシル基、カルボン酸エステル基、アルキレングリコール基、モノメトキシアルキレングリコール基などが導入されたホスホン酸類などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0138】
式(化42)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がジフェニルケトンであるリン化合物は、上述した単一置換基種に限定されるものではなく、上述した置換基、ヒドロキシル基、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシエステル基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基の混成されたものも使用できる。
【0139】
式(化42)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がアンスラセンであるリン化合物としては次のようなものが挙げられる。すなわち、9−(10−ヒドロキシ)アンスリルメチルホスホン酸ジエチルエステル、9−(10−ヒドロキシ)アンスリルメチルホスホン酸モノエチルエステル、9−(10−ヒドロキシ)アンスリルメチルホスホン酸、9−(10−n−ブチル)アンスリルメチルホスホン酸ジエチルエステル、9−(10−n−ブチル)アンスリルメチルホスホン酸モノエチルエステル、9−(10−n−ブチル)アンスリルイルメチルホスホン酸、9−(10−カルボキシ)アンスリルメチルホスホン酸ジエチルエステル、9−(10−カルボキシ)アンスリルメチルホスホン酸モノエチルエステル、9−(10−カルボキシ)アンスリルメチルホスホン酸、9−(10−カルボキシ)9−(2−ヒドロキシエトキシ)アンスリルメチルホスホン酸ジエチルエステル、9−(2−ヒドロキシエトキシ)アンスリルメチルホスホン酸モノエチルエステル、9−(2−ヒドロキシエトキシ)アンスリルメチルホスホン酸、9−(2−メトキシエトキシ)アンスリルメチルホスホン酸ジエチルエステル、9−(2−メトキシエトキシ)アンスリルメチルホスホン酸モノエチルエステル、9−(2−メトキシエトキシ)アンスリルメチルホスホン酸、9−(2−メトキシカルボニル)アンスリルメチルホスホン酸ジエチルエステル、9−(2−メトキシカルボニル)アンスリルメチルホスホン酸モノエチルエステル、9−(2−メトキシカルボニル)アンスリルメチルホスホン酸などのアンスラセン環にアルキル基、カルボキキシル基、カルボン酸エステル基、アルキレングリコール基、モノメトキシアルキレングリコール基などが導入されたホスホン酸類などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0140】
式(化42)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がアンスラセンであるリン化合物は、上述した単一置換基種に限定されるものではなく、上述した置換基、ヒドロキシル基、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシエステル基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基の混成されたものも使用できる。
【0141】
式(化42)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がフェナントレンであるリン化合物としては次のようなものが挙げられる。すなわち、1−(7−n−ブチル)フェナントリルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(7−n−ブチル)フェナントリルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(7−n−ブチル)フェナントリルメチルホスホン酸、1−(7−カルボキシ)フェナントリルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(7−カルボキシ)フェナントリルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(7−カルボキシ)フェナントリルメチルホスホン酸、1−(7−ヒドロキシエトキシ)フェナントリルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(7−ヒドロキシエトキシ)フェナントリルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(7−ヒドロキシエトキシ)フェナントリルメチルホスホン酸、1−(7−メトキシエトキシ)フェナントリルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(7−メトキシエトキシ)フェナントリルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(7−メトキシエトキシ)フェナントリルメチルホスホン酸、1−(7−メトキシカルボニル)フェナントリルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(7−メトキシカルボニル)フェナントリルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(7−メトキシカルボニル)フェナントリルメチルホスホン酸などのフェナントレン環にアルキル基、カルボキキシル基、カルボン酸エステル基、アルキレングリコール基、モノメトキシアルキレングリコール基などが導入されたホスホン酸類などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0142】
式(化42)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がフェナントレンであるリン化合物は、上述した単一置換基種に限定されるものではなく、上述した置換基、ヒドロキシル基、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシエステル基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基の混成されたものも使用できる。
【0143】
式(化42)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がピレンであるリン化合物としては次のようなものが挙げられる。すなわち、1−(5−ヒドロキシ)ピレニルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(5−ヒドロキシ)ピレニルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(5−ヒドロキシ)ピレニルメチルホスホン酸、1−(5−n−ブチル)ピレニリルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(5−n−ブチル)ピレニルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(5−n−ブチル)ピレニルメチルホスホン酸、1−(5−カルボキシ)ピレニルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(5−カルボキシ)ピレニルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(5−カルボキシ)ピレニルメチルホスホン酸、1−(5−ヒドロキシエトキシ)ピレニルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(5−ヒドロキシエトキシ)ピレニルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(5−ヒドロキシエトキシ)ピレニルメチルホスホン酸、1−(5−メトキシエトキシ)ピレニルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(5−メトキシエトキシ)ピレニルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(5−メトキシエトキシ)ピレニルメチルホスホン酸、1−(5−メトキシカルボニル)ピレニルルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(5−メトキシカルボニル)ピレニルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(5−メトキシカルボニル)ピレニルメチルホスホン酸などのピレン環にアルキル基、カルボキキシル基、カルボン酸エステル基、アルキレングリコール基、モノメトキシアルキレングリコール基などが導入されたホスホン酸類などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0144】
式(化42)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がピレンであるリン化合物は、上述した単一置換基種に限定されるものではなく、上述した置換基、ヒドロキシル基、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシエステル基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基の混成されたものも使用できる。
【0145】
上記一連の芳香環に導入されるヒドロキシル基、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシエステル基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基などの置換基は、ポリエステルの重合時のアルミニウム原子との錯体形成に深く関わるものと推定される。また、ポリエステル形成時の官能基であるカルボキシル基あるいは水酸基と類似のものも含まれており、ポリエステルマトリックス中に溶解または取り込まれやすいため、重合活性、異物低減などに特に有効であると考えられる。
【0146】
芳香環構造(R1)に結合したR0が水素原子である未置換基に比べ、本発明のC1〜C10のアルキル基、−COOH基あるいは−COOR4(R4は、C1〜C4のアルキル基を表す)、アルキレングリコール基あるいはモノアルコキシアルキレングリコール基(モノアルコキシはC1〜C4を、アルキレングリコールはC1〜C4のグリコールを表す)で置換されたリン化合物は、触媒活性を改善するだけでなく、異物低減効果の点で好ましい。
芳香環構造に結合した置換基は、C1〜C10のアルキル基、カルボキシルおよびカルボキシルエステル基、アルキレングリコールおよびモノアルコキシアルキレングリコールなどが挙げられる。異物低減効果の点でより好ましくは、カルボキシルおよびカルボキシルエステル基、アルキレングリコールおよびモノアルコキシアルキレングリコールである。その理由は不明であるが、ポリエステルおよび触媒の媒体であるアルキレングリコールとの相溶性が改善されることによると推測している。
【0147】
本発明で使用することが好ましい連結基(X)を持たないリン化合物(化3)は次のようなものである。
【化43】

(R1は炭素数6〜50の芳香環構造あるいは炭素数4〜50の複素環構造を表し、該芳香環構造あるいは複素環構造は置換基を有していてもよい。R2およびR3はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜20の炭化水素基を表す。炭化水素基は脂環構造や分岐構造や芳香環構造を有していてもよい。)
式(化43)で表されるリン化合物の芳香環構造および複素環構造の置換基が、炭素数1〜50の炭化水素基(直鎖状であっても脂環構造、分岐構造、芳香環構造であってもよく、これらがハロゲン置換されたものであってもよい)または水酸基またはハロゲン基または炭素数1〜10のアルコキシル基またはアミノ基(炭素数1〜10のアルキルあるいはアルカノール置換されていてもかまわない)あるいはニトロ基あるいはカルボキシル基あるいは炭素数1〜10の脂肪族カルボン酸エステル基あるいはホルミル基あるいはアシル基あるいはスルホン酸基、スルホン酸アミド基(炭素数1〜10のアルキルあるいはアルカノール置換されていてもかまわない)、ホスホリル含有基、ニトリル基、シアノアルキル基から選ばれる1種もしくは2種以上である。また、前記(化43)の芳香環構造がベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル、ジフェニルスルホン、ジフェニルメタン、ジフェニルジメチルメタン、アントラセン、フェナントレンおよびピレンから選ばれる。および前記複素環構造がフラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、ナフタランおよびフタリドから選ばれる。また、上記式(化43)中のR2およびR3の少なくとも一方が水素原子であることが好ましい。
【0148】
本発明で使用できる式(化43)で表されるリン化合物としては、下記のリン化合物などが挙げられる。すなわち、(3−ニトロ,5−メチル)−フェニルホスホン酸ジエチルエステル、(3−ニトロ,5−メチル)−フェニルホスホン酸モノエチルエステル、(3−ニトロ,5−メチル)−フェニルホスホン酸、(3−ニトロ,5−メトキシ)−フェニルホスホン酸ジエチルエステル、(3−ニトロ,5−メトキシ)−フェニルホスホン酸モノエチルエステル、(3−ニトロ,5−メトキシ)−フェニルホスホン酸、(4−クロル)−フェニルホスホン酸ジエチルエステル、(4−クロル,)−フェニルホスホン酸モノエチルエステル、(4−クロル)− フェニルホスホン酸、(5−クロル,)−フェニルホスホン酸ジエチルエステル、(5−クロル,)−フェニルホスホン酸モノエチルエステル、(5−クロル,)−フェニルホスホン酸、(3−ニトロ,5−メチル)−フェニルホスホン酸ジエチルエステル、(3−ニトロ,5−メチル)−フェニルホスホン酸モノエチルエステル、(3−ニトロ,5−メチル)−フェニルホスホン酸、(4−ニトロ)−フェニルホスホン酸ジエチルエステル、(4−ニトロ)−フェニルホスホン酸モノエチルエステル、(4−ニトロ)−フェニルホスホン酸、(5−ニトロ)−フェニルホスホン酸ジエチルエステル、(5−ニトロ)− フェニルホスホン酸モノエチルエステル、(5−ニトロ)−フェニルホスホン酸、(6−ニトロ)−フェニルホスホン酸ジエチルエステル、(6−ニトロ)−フェニルホスホン酸モノエチルエステル、(6−ニトロ)−フェニルホスホン酸、(4−ニトロ,6−メチル)−フェニルホスホン酸ジエチルエステル、(4−ニトロ,6−メチル)− フェニルホスホン酸モノエチルエステル、(4−ニトロ,6−メチル)−フェニルホスホン酸、その他、式(化42)で表されるリン化合物において、上述のベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル、ジフェニルスルホン、ジフェニルメタン、ジフェニルジメチルメタン、ジフェニルケトン、アントラセン、フェナントレンおよびピレンなどの芳香環構造を有するそれぞれの構造式から連結基であるメチレン鎖すなわち、−CH2−を取り除いたリン化合物群、さらに複素環含有リン化合物として、5−ベンゾフラニルホスホン酸ジエチルエステル、5−ベンゾフラニルホスホン酸モノエチルエステル、5−ベンゾフラニルホスホン酸、5−(2−メチル)ベンゾフラニルホスホン酸ジエチルエステル、5−(2−メチル)ベンゾフラニルホスホン酸モノエチルエステル、5−(2−メチル)ベンゾフラニルホスホン酸などが挙げられる。上述の連結基を有しないリン化合物は、前述の連結基を有するリン化合物に比べ重合活性は若干劣る場合もあるが、本発明の触媒調製法を使用した場合、共重合ポリエステル重合触媒として使用することは可能である。
【0149】
リン化合物は、ポリエステルの熱安定剤としては知られていたが、これらの化合物を従来の金属含有ポリエステル重合触媒と組み合わせて使用しても、溶融重合を大きく促進することはこれまで知られていなかった。実際に、ポリエステル重合の代表的な触媒であるアンチモン化合物、チタン化合物、スズ化合物あるいはゲルマニウム化合物を重合触媒としてポリエステルを溶融重合する際に、本発明のリン化合物を添加しても、実質的に有用なレベルまで重合が促進されることは認められない。
【0150】
本発明のリン化合物の使用量としては、得られるポリエステルのポリカルボン酸成分の全構成ユニットのモル数に対して0.0001〜2.0モル%が好ましく、0.005〜1.0モル%であることがさらに好ましい。リン化合物の添加量が0.0001モル%未満の場合には添加効果が発揮されない場合があり、2。0モル%を超えて添加すると逆にポリエステル重縮合触媒としての触媒活性が低下する場合があり、その低下の傾向は、アルミニウムの使用量等により変化する。
【0151】
また一方で、本発明においてアルミニウムもしくはその化合物に加えて少量のアルカリ金属、アルカリ土類金属並びにその化合物から選択される少なくとも1種を第2金属含有成分として共存させることが好ましい態様である。かかる第2金属含有成分を触媒系に共存させることは、ジエチレングリコールの生成を抑制する効果に加えて触媒活性を高め、従って反応速度をより高めた触媒成分が得られ、生産性向上に有効である。
【0152】
アルミニウム化合物にアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を添加して十分な触媒活性を有する触媒とする技術は公知である。かかる公知の触媒を使用すると熱安定性に優れたポリエステルが得られるが、アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を併用した公知の触媒は、実用的な触媒活性を得ようとするとそれらの添加量が多く必要であり、アルカリ金属化合物を使用したときは得られるポリエステルの耐加水分解性が低下すると共にアルカリ金属化合物に起因する異物量が多くなり、例えば塗料として使用する場合は、塗膜物性などが悪化する。またアルカリ土類金属化合物を併用した場合には、実用的な活性を得ようとすると得られたポリエステルの熱安定性が低下し、加熱による着色が大きく、異物の発生量も多くなり、耐加水分解性も低下する。
【0153】
アルカリ金属、アルカリ土類金属並びにその化合物を添加する場合、その使用量M(モル%)は、ポリエステルを構成する全ポリカルボン酸ユニットのモル数に対して、1×10-6以上0.1モル%未満であることが好ましく、より好ましくは5×10-6〜0.05モル%であり、さらに好ましくは1×10-5〜0.03モル%であり、特に好ましくは、1×10-5〜0.01モル%である。アルカリ金属、アルカリ土類金属の添加量が少量であるため、熱安定性低下、異物の発生、着色、耐加水分解性の低下等の問題を発生させることなく、反応速度を高めることが可能である。アルカリ金属、アルカリ土類金属並びにその化合物の使用量Mが0.1モル%以上になると熱安定性の低下、異物発生や着色の増加、並びに耐加水分解性の低下が製品加工上問題となる場合が発生する。Mが1×10-6未満では、添加してもその効果が明確ではない。
【0154】
本発明においてアルミニウムもしくはその化合物に加えて使用することが好ましい第2金属含有成分を構成するアルカリ金属、アルカリ土類金属としては、Li,Na,K,Rb,Cs,Be,Mg,Ca,Sr,Baから選択される少なくとも1種であることが好ましく、このうちLi,Na,Mgないしその化合物から選択される少なくとも1種の使用がより好ましい。アルカリ金属やアルカリ土類金属の化合物としては、例えば、これら金属のギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、蓚酸などの飽和脂肪族カルボン酸塩、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和脂肪族カルボン酸塩、安息香酸などの芳香族カルボン酸塩、トリクロロ酢酸などのハロゲン含有カルボン酸塩、乳酸、クエン酸、サリチル酸などのヒドロキシカルボン酸塩、炭酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホスホン酸、炭酸水素、リン酸水素、硫化水素、亜硫酸、チオ硫酸、塩酸、臭化水素酸、塩素酸、臭素酸などの無機酸塩、1−プロパンスルホン酸、1−ペンタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などの有機スルホン酸塩、ラウリル硫酸などの有機硫酸塩、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、iso−プロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシなどのアルコキサイド、アセチルアセトネートなどとのキレート化合物、水素化物、酸化物、水酸化物などが挙げられる。
【0155】
これらのアルカリ金属、アルカリ土類金属またはそれらの化合物のうち、水酸化物等のアルカリ性の強いものを用いる場合、これらはエチレングリコール等のジオールもしくはアルコール等の有機溶媒に溶解しにくい傾向があるため、水溶液で重合系に添加しなければならず重合工程上問題となる場合が有る。さらに、水酸化物等のアルカリ性の強いものを用いた場合、重合時にポリエステルが加水分解等の副反応を受け易くなるとともに、重合したポリエステルは着色し易くなる傾向があり、耐加水分解性も低下する傾向がある。従って、本発明のアルカリ金属またはそれらの化合物あるいはアルカリ土類金属またはそれらの化合物として好適なものは、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の飽和脂肪族カルボン酸塩、不飽和脂肪族カルボン酸塩、芳香族カルボン塩、ハロゲン含有カルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸塩、硫酸、硝酸、リン酸、ホスホン酸、リン酸水素、硫化水素、亜硫酸、チオ硫酸、塩酸、臭化水素酸、塩素酸、臭素酸から選ばれる無機酸塩、有機スルホン酸塩、有機硫酸塩、キレート化合物、及び酸化物である。これらの中でもさらに、取り扱い易さや入手のし易さ等の観点から、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の飽和脂肪族カルボン酸塩、特に酢酸塩の使用が好ましい。
【0156】
重縮合触媒は、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物などの他の重縮合触媒を、これらの成分の添加が前述のようなポリエステルの特性、加工性、色調等製品に問題を生じない添加量の範囲内において共存させて用いることは、重合時間の短縮による生産性を向上させる際に有効であり、好ましい。
【0157】
本発明のリン化合物を併用することにより、ポリエステル重縮合触媒中のアルミニウムとしての添加量が少量でも十分な触媒効果を発揮する触媒が得られる。
【0158】
以下に、アルミニウム化合物のとして、塩基性酢酸アルミニウムを用いた場合の、同溶液の調製方法の具体例を示す。
【0159】
(1)アルミニウム化合物のエチレングリコール溶液の調製例
塩基性酢酸アルミニウム(ヒドロキシアルミニウムジアセテート;アルドリッチ社製)を20g/lの濃度で蒸留水に分散させ、攪拌下95℃で2時間加熱処理して溶解させた。
該水溶液に対して等量(容量比)のエチレングリコールを共にフラスコへ仕込み、減圧(133Pa)下、70〜90℃で攪拌しながら系から水を留去し、20g/lのアルミニウム化合物のエチレングリコール溶液を調製した。
【0160】
(2)リン化合物のエチレングリコール溶液の調製例
リン化合物としてIrganox 1222(チバ・スペシャルティーケミカルズ社製)をエチレングリコールと共にフラスコへ仕込み、窒素置換下攪拌しながら液温160℃で12時間加熱し、30g/lのリン化合物のエチレングリコール溶液を調製した。
【0161】
(3)アルミニウム化合物のエチレングリコール溶液/リン化合物のエチレングリコール溶液の混合物の調製例
上記アルミニウム化合物の調製例1および上記リン化合物の調製例1で得られたそれぞれのエチレングリコール溶液をフラスコに仕込み、アルミニウム原子とリン原子がモル比で1:2となるように室温で混合し、5時間攪拌して触媒溶液を調製した。
【0162】
(4)アルカリ金属化合物のエチレングリコール溶液の調製例
アルカリ金属化合物として酢酸リチウム(ナカライ(株)製、試薬特級)をエチレングリコールと共にフラスコへ仕込み、窒素置換下攪拌しながら室温で30g/lのアルカリ金属化合物のエチレングリコール溶液を調製した。
【0163】
本発明の重縮合触媒の別の態様として、上記アルミニウム化合物のエチレングリコール溶液/リン化合物のエチレングリコール溶液にアルカリ金属化合物のエチレングリコール溶液を併用して使用することも可能であることはいうまでもない。
【0164】
本発明における、ポリエステル樹脂の多価カルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、テルペン−マレイン酸付加体などの不飽和ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、1,2−シクロヘキセンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、(無水)トリメリト酸、(無水)ピロメリト酸、メチルシクロへキセントリカルボン酸等の3価以上のカルボン酸等が挙げられ、これらの中から1種または2種以上を選択し使用できる。
【0165】
特に、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸およびフマル酸からなる群より選ばれる少なくとも1種以上のモノマーであることが好ましい。
【0166】
本発明におけるポリエステル樹脂に使用される多価アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1−メチル−1,8−オクタンジオール、3−メチル−1,6−ヘキサンジオール、4−メチル−1,7−ヘプタンジオール、4−メチル−1,8−オクタンジオール、4−プロピル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール等の脂肪族グリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のエーテルグリコール類、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカングリコール類、水素添加ビスフェノール類等の脂環族ポリアルコール等、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール等の3価以上のポリアルコール等が挙げることができ、これらの中から1種、又はそれ以上を選び使用できる。
【0167】
特に、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ブタンジオール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAの1,2−プロピレンオキサイド付加物、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、アゼライン酸、ダイマージオール、水添ダイマージオール、ポリエチレングリコール、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル−2’,2’−ジメチル−3−ヒドロキシプロパネート、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3(4),8(9)−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールであることが好ましい。
【0168】
本発明のポリエステルの製造方法において、常圧または加圧下でジカルボン酸とグリコールを直接エステル化して重合する直接重合法、ジカルボン酸のジメチルエステルとグリコールをエステル交換してから重合するエステル交換法や少量のキシレンを添加して常圧で脱水反応を行う方法など公知の方法さらには、減圧装置を装備していない反応釜を用いる特殊例として特開平6−220359の実施例1で開示されているように常圧下、100℃を超えない温度で縮合水を除去した後、温度を上げて重合する方法などで合成される。ジカルボン酸成分とグリコール成分の仕込み比は特に限定されないが、グリコール/ジカルボン酸=0.8〜10(モル比)の範囲にあることが好ましい。通常2前後で好ましく行われる。
【0169】
本発明で得られるポリエステル樹脂は、用途によって樹脂特性を変えることができるが、ガラス転移点温度は−80〜150℃が好ましい。また、該ポリエステル樹脂は、数平均分子量2,000以上が好ましく、より好ましくは5,000〜50,000である。ポリエステル樹脂の還元粘度は0.02〜3.80dl/gであることが好ましい。酸価は0.01〜5000eq/tであることが好ましい。
【0170】
本発明で得られるポリエステル樹脂を、各種の化学反応を用いた変性しても良い。すなわち、ビニル重合性モノマーでのビニル変性、エポキシ化合物によるエポキシ樹脂変性、あるいはイソシアネート化合物によるフレタン変性してもよい。ビニル変性する場合は、ポリエステル樹脂にフマル酸、オレイン酸などの不飽和2重結合を有するジカルボン酸を共重合してポリエステル樹脂中に不飽和2重結合を導入し、この不飽和2重結合と(メタ)アルリル酸エステル、スチレン、酢酸ビニルなどビニル化合物を溶液中でラジカル重合する方法、あるいは(メタ)アルリル酸エステル、スチレンなどより合成される片末端にヒドロキシル基を2個含有するマクロモノマを直接ポリエステルに共重合するなどの公知の方法で合成される。
【0171】
エポキシ樹脂変性は、ポリエステル樹脂の末端ヒドロキシ基に無水トリメリット酸、無水フタル酸などの酸無水物を付加させて、末端カルボキシ変性をした後、このカルボキシル基とエポキシ樹脂をトリフェニルホスフィンなどの触媒の存在下でエポキシ変性するする方法などの公知の方法により合成できる。また、鎖延長剤にジメチロールプロピオン酸などのカルボキシル基含有グリコールを用いることによりカルボキシル基を導入しても良い。
【0172】
ウレタン変性の場合は、低分子量のポリエステルジオールと必要により鎖延長剤を配合し、ジイソシアネート化合物と反応させるなどの公知の方法により合成される。また、鎖延長剤にジメチロールプロピオン酸などのカルボキシル基含有ジオールを用いてカルボキシル基を側鎖に導入しても良い。
【0173】
ラクトン変性反応としては、ポリエステル樹脂へのラクトンモノマーの開環付加反応が例示できる。これによりポリエステル樹脂の末端にポリカプロラクトンが結合したブロックタイプのポリエステル樹脂を製造することが可能となる。用いるモノマーとしてはε−カプロラクトンが好ましい。反応は150〜290℃の範囲で、1〜300分の時間をかけて行うことが好ましい。
【0174】
ポリ乳酸変性反応としては、ポリエステル樹脂のラクチドモノマーの開環付加反応を例示することが出来る。これによりポリエステル樹脂の末端にポリ乳酸が結合したブロックタイプのポリエステル樹脂を製造することが可能となる。用いるモノマーはL−ラクチド、DL-ラクチド、D−ラクチドのいずれをも用いることが出来る。反応は150〜290℃の範囲で、1〜300分の時間をかけて行うことが好ましい。
【0175】
酸付加変性反応として、ポリエステル樹脂へのカルボン酸無水物の付加反応を挙げることも出来る。この方法により効率的にポリエステル分子末端にカルボキシル基を導入することが出来る。用いる副原料としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ペンタンテトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、2,3,2’,3’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物等があり、これらの中から1種、または2種以上を選び使用できる。この中でも反応を制御し、効率的にカルボキシル基を分子に導入するという観点から、無水フタル酸、無水トリメリット酸、エチレングリコールビストリメリテート二無水物が好ましい。反応は150〜290℃の範囲で、1〜300分の時間をかけて行うことが好ましい。
【0176】
また、ポリエステル樹脂を重縮合した後、解重合反応を行なって良い。解重合反応においては、多価カルボン酸および/または多価アルコールを溶融ポリエステル樹脂に添加して反応させるものが好ましい。ここで用いる副原料成分としては、例えば上述したポリエステル樹脂を構成することの出来る多価カルボン酸、多価アルコールを用いることが出来る。この際、反応をコントロールしやすい、反応性の末端基が増加する等の理由から、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン等が好ましく用いられる。反応は150〜290℃の範囲で、1〜300分の時間をかけて行うことが好ましい。
【0177】
本発明により得られるポリエステル樹脂と、これと反応し得る硬化剤を配合して塗料、接着剤、コーティング剤用として使用することができる。硬化剤を配合することにより、耐溶剤性を付与することができ、例えば塗料用を想定した場合加工性、硬度、耐汚染性、耐薬品性、耐食性など種々の塗膜物性を向上させることができる。
【0178】
上記硬化剤としては、イソシアネート化合物、アルキルエーテル化アミノホルムアルデヒド樹脂、エポキシ化合物およびフェノール樹脂などが挙げられる。これらの内、加工性よりアルキルエーテル化アミノホルムアルデヒド樹脂、レゾール型フェノール樹脂が好ましい。さらに、耐酸性の点からイソシアネート化合物が特に好ましく、貯蔵安定性の点からイソシアネート化合物はブロック化してしようすることが好ましい。
【0179】
イソシアネート化合物としては、芳香族、脂肪族のジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネートがり、低分子化合物、高分子化合物のいずれでも良い。たとえば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、あるいはこれらのイソシアネートの3量体、およびこれらのイソシアネート化合物の過剰量と、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの低分子活性水素化合物または各種ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の高分子活性水素化合物などとを反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物が挙げられる。
【0180】
イソシアネート化合物としては、ブロック化イソシアネートが好ましい。イソシアネートブロック剤としては、たとえば、フェノール、チオフェノール、エチルチオフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノールなどのフェノール類、アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、エチレンクロルヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノールなどのハロゲン置換アルコール類、t−ブタノール、t−ペンタノールなどの第3級アルコール類、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピロラクタムなどのラクタム類などが挙げられる。その他、芳香族アミン類、イミド類、アセチルアセトン、アセチ酢酸エステル、マロン酸エチルエステルなどの活性メチレン化合物、メルカプタン類、イミン類、尿素類、ジアリール化合物類、重亜硫酸ソーダなども挙げられる。ブロック化イソシアネートは、上記イソシアネート化合物とイソシアネートブロック化剤と従来公知の適宜の方法より付加反応させて得られる。
【0181】
アルキルエーテル化アミノホルムアルデヒド樹脂とは、たとえば、マタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどの炭素数1〜4のアルコールによってアルキルエーテル化されたホルムアルデヒドあるいはパラホルムアルデヒドなどと尿素、N,N‘−エチレン尿素、ジシアンジアミド、アミノトリアジンなどとの縮合生成物であり、メトキシ化メチロール−N,N’−エチレン尿素、メトキシ化メチロールジシアンジアミド、メトキシ化メチロールベンゾグアナミン、ブロキシ化メチロールベンゾグアナミン、メトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールメラミン、メトキシ化/ブトキシ化混合型メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールベンゾグアナミンなどが挙げられるが、加工性の点から好ましいのは、メトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールメラミン、またはメトキシ化/ブトキシ化混合型メチロールメラミンであり、それぞれ単独、または併用して使用することができる。
【0182】
エポキシ化合物としては、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、オルソフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、p−オキシ安息香酸ジグリシジルエステル、テトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、およびポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル類、トリメリット酸トリグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアネート、1,4−ジグリシジルオキシベンゼン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、グリセロールアルキレンオキサイド付加物のトリグリシジルエーテルなどを挙げることができる。
【0183】
さらに、フェノール樹脂としては、フェノールにアルカリ触媒の存在下でアルデヒドを反応させたレゾール型樹脂、フェノール類に酸性触媒の存在下でアルデヒドを反応させたノボラック型などが挙げられ、架橋剤として好適なものを意味し、特にレゾール型樹脂が好ましい。これらのフェノール樹脂に用いるフェノール類は、フェノール、o−クレゾール、p−クレゾール、m−クレゾール、m−メトキシフェノール、2,3−キシレノール、2,5−キシレノール、p−tert−ブチルフェノール、p−エチルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどが挙げられ、これらのモノ〜トリメチロールか物やその縮合物、あるいはそれらのアルキルエーテル化物、あるいはこれらをエポキシ変性、油変性、メラミン変性、アミド変性など各種変性をしたものが使用できる。原料として使用できる好ましいフェノール類としては、フェノールとして3官能以上であるフェノール、m−クレゾール、ビスフェノールAおよびビスフェノールFなどが挙げられる。
【0184】
これらの硬化剤には、その種類に応じて選択された公知の硬化剤あるいは促進剤を併用することが好ましい。
【0185】
本発明で得られるポリエステル樹脂には目的、用途に応じて酸化チタン、タルク、硫酸バリウム、クレイなどの体質顔料、ジンククロメート、ストロンチウムクロメート、カルシウムクロメートなどのクロム含有防錆顔料、コロイダルシリカ、トリポリリン酸アルミなどのトリポリリン酸塩系、リン酸亜鉛系、亜リン酸塩系、リンモリブデン酸塩系、モリブデン酸塩系、シアナミド亜鉛カルシウム系、ホウ酸塩系、カルシウムシリカ系などの非クロム系防錆顔料、公知の着色剤、シリカ、ワックスなどの添加剤、難燃剤、グラスファイバーなどを配合することができる。
【0186】
本発明で得られるポリエステル樹脂は、そのまま溶融成形により成形物とすることが出来る。また、有機溶剤に溶解した形で使用されるものでも良いし、水分散体として使用することもできる。有機溶剤としては、たとえば、トルエン、キシレン、ソルベッソ100および150、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、メチルセリソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、メチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、N−メチルピロリドン、2塩基酸エステルなどから溶解性、蒸発速度を考慮して適宜選択される。
【0187】
本発明で得られたポリエステル樹脂は、接着剤、塗料、コーティング剤、ポリエステルポリウレタン用など各種変性反応用の原料、可塑剤、成形用途、繊維用途、繊維処理剤、積層体、トナー、バインダー、インキ等へ応用することが出来る。
【実施例】
【0188】
以下の本発明を実施例を用いて説明する。実施例中、単に部とあるのは重量部を示す。各測定項目は以下の方法に従った。
【0189】
1.還元粘度(dl/g)
共重合ポリエステル樹脂0.10gをフェノール/テトラクロロエタン(容量比=6/4)の混合溶媒25ccに溶かし、30℃で測定した。
2.ガラス転移点温度
示差走査熱量計(DSC)を用いて、20℃/分の昇温速度で測定した。サンプルは、試料5mgをアルミニウム製押さえ蓋型容器に入れ、クリンプして用いた。
3.酸価
試料0.2gを三角フラスコ精秤し、20mlのクロロホルムに溶解した。次いで、0.01Nの水酸化カリウム(エタノール溶液)で滴定して求めた。指示薬には、フェノールフタレインを用いた。
【0190】
(実施例1) ポリエステル樹脂1の合成
撹拌機、コンデンサー、温度計を装備したステンレス製反応釜に、重合後の樹脂組成が表1に記載の各成分モル%になるように酸成分としてテレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、エチレングリコールをグリコール成分としてビスフェノールAのエチレングリコール2.2モル付加物および重縮合触媒(ただし、アルミニウム系重縮合触媒は前記した“(3)アルミニウム化合物のエチレングリコール溶液およびリン化合物のエチレングリコール溶液の混合物の調製例”で記述したものを使用)を仕込み、140℃から220℃まで、4時間かけてエステル化反応を行った。次いで、60分かけて徐々に133.3Paまで減圧すると共に270℃まで昇温した。さらに13.3〜40.0Paの減圧下、270℃にて約90分間重縮合反応を行った。得られた共重合ポリエステル樹脂の分析結果および各特性を表1に示す。
【0191】
(実施例2〜83)
実施例1と同様な方法により、重縮合の温度や時間を適宜変更して行った。ただし、モノマーは表1〜4に記載のものを、各表に記載した組成比となる量を用いた。
【0192】
【表1】

【0193】
【表2】

【0194】
【表3】

【0195】
【表4】

【0196】
表中の略号は以下の通りである。
TPA;テレフタル酸
IPA;イソフタル酸
AA;アジピン酸
TMA;トリメリット酸
SA;セバシン酸
HHPA;1,2−シクロヘキサンジカルボン酸
GCM;5−ナトリウムスルホイソフタル酸
CHDA;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸
OPA;フタル酸
AZA;アゼライン酸
FA;フマル酸
DA;ダイマー酸
NDC;2,6−ナフタレンジカルボン酸
GHM;三光株式会社製リン原子含有ジカルボン酸GHM−1
【0197】
EG:エチレングリコール
BisA−EO;ビスフェノールAのエチレンオキサイド2.6モル付加物
DMH;2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール
2MG;2−メチル−1,3−プロパンジオール
NPG;ネオペンチルグリコール
CHDM;1,4−シクロヘキサンジメタノール
HD;1,6−ヘキサンジオール
BD;1,4−ブタンジオール
PG;1,2−プロピレングリコール
PD;1,5−ペンタンジオール
DEG;ジエチレングリコール
BisA−PO;ビスフェノールAの1,2−プロピレンオキサイド2.6モル付加物
PD;1,5−ペンタンジオール
PTMG1000;ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量1000)
PTMG1300;ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量1300)
TCD;3(4),8(9)−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール
PPG1300;ポリプロピレングリコール(数平均分子量1300)
3MPD;3−メチル−1,5−ペンタンジオール
【産業上の利用可能性】
【0198】
いわゆる重金属触媒ではなく、樹脂の色相が良好であり、生産レベル問題のない速度で重縮合が可能な触媒を用いたポリエステル樹脂の製造方法を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル樹脂の酸成分として、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸およびフマル酸からなる群、並びにポリエステル樹脂のグリコール成分としてネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ブタンジオール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAの1,2−プロピレンオキサイド付加物、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、アゼライン酸、ダイマージオール、水添ダイマージオール、ポリエチレングリコール、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル−2’,2’−ジメチル−3−ヒドロキシプロパネート、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3(4),8(9)−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上のモノマーを重縮合してなるポリエステル樹脂の製造方法において、チタン化合物、アンチモン化合物、スズ化合物、ゲルマニウム化合物以外の金属触媒を用いて重縮合することを特徴とするポリエステル樹脂の製造方法。
【請求項2】
チタン化合物、アンチモン化合物、スズ化合物、ゲルマニウム化合物以外の金属触媒として、アルミニウム化合物を用いる請求項1に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
【請求項3】
チタン化合物、アンチモン化合物、スズ化合物、ゲルマニウム化合物以外の金属触媒として、少なくともアルミニウム化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種と、リン化合物から選ばれる少なくとも1種を用いる請求項1に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
【請求項4】
チタン化合物、アンチモン化合物、スズ化合物、ゲルマニウム化合物以外の金属触媒として、少なくともアルミニウム化合物からなる群から選ばれる1種、並びにアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を用いる請求項1に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル樹脂の製造方法により得られたポリエステル樹脂を、さらに酸無水物化合物、エポキシ化合物、アクリル化合物、イソシアネート化合物により変性するポリエステル樹脂の製造方法。
【請求項6】
アルミニウム化合物が、カルボン酸含有化合物である請求項2〜5のいずれかに記載のポリエステル樹脂の製造方法。
【請求項7】
リン化合物が芳香族ホスホン酸および/またはその誘導体である請求項3〜6のいずれかに記載のポリエステル樹脂の製造方法。
【請求項8】
アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属がLi、Na、Mgないしその化合物から選択される少なくとも1種である請求項4〜7のいずれかに記載のポリエステル樹脂の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法により得られたポリエステル樹脂と、これに反応し得る硬化剤を含むポリエステル樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法により得られたポリエステル樹脂を溶解したワニス。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法により得られたポリエステル樹脂を水分散した水分散体。
【請求項12】
請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法により得られたポリエステル樹脂を含む接着剤。
【請求項13】
請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法により得られたポリエステル樹脂を含む塗料。
【請求項14】
請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法により得られたポリエステル樹脂を含むコーティング剤。
【請求項15】
請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法により得られたポリエステル樹脂を含む成形体。
【請求項16】
請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法により得られたポリエステル樹脂層を含む積層体。

【公開番号】特開2006−206860(P2006−206860A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−107616(P2005−107616)
【出願日】平成17年4月4日(2005.4.4)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】