説明

ポリエステル樹脂及びこれから得られる成型体

【課題】安価で有用な触媒であるアンチモン化合物を触媒として用い、優れた透明性、耐熱性、強度を有する成型品を効率よく得られるポリエステル樹脂を提供する。
【解決手段】芳香族カルボン酸又はそのエステル形成性誘導体を含有するジカルボン酸成分と、エチレングリコールを含有するジオール成分とを、エステル化反応又はエステル交換反応を経て、少なくともアンチモン化合物、及びリン化合物の存在下重縮合させて得られるポリエステル樹脂であって、エチレングリコール成分が全グリコール成分の96モル%以上あり、ジエチレングリコール成分が全グリコール成分の2.5モル%以下であり、テレフタル酸成分が全酸成分の98.5モル%以上であり、固有粘度IVが0.65〜0.90dl/g、降温結晶化温度Tc2が150〜200℃、であるポリエステル樹脂。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトル、フイルム、シ−トなどの成形品に用いられるポリエステル樹脂及びこれから得られる成型体に関する。詳しくは、アンチモン化合物を触媒として用い、共重合量が少なくかつ低い固有粘度であるにもかかわらず、結晶化速度が遅く、ボトル等の容器とした場合に、優れた透明性、耐熱性、強度を有する容器を、高い生産性で得られるポリエステル樹脂及び成型体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来ポリエステル樹脂はその製造にあたりアンチモン化合物又はゲルマニウム化合物を触媒とするのが一般的である。中でも、アンチモン化合物は価格が低いことからよく使用されている。しかしながらアンチモン化合物を触媒として得られる樹脂は、結晶化速度が速く、透明性に優れたボトル等の容器を成形するには、ジエチレングリコール・イソフタル酸などを少量共重合し、及び通常樹脂の分子量(一般に固有粘度で代表される)を比較的高めに設定し、結晶化速度を適度に抑制するのが一般的である。しかし、共重合成分を含有しているため、成形時に配向結晶化が十分に進まず、十分な耐熱性・強度の成型品を効率的に得ることができないうえ、成形品とした場合に成形品に含有されるアセトアルデヒドなどの副生成物量が増加するという問題があり、またさらに分子量を高くした場合には樹脂の生産性及び成形時の生産性が悪化したり、アセトアルデヒドなどの副生成物量がさらに増加するという問題もあった。
【0003】
特開平2000−219726号公報には、アンチモン化合物およびチタン化合物または/およびゲルマニウム化合物を触媒として製造される主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレ−トであるポリエステル樹脂であって、特定条件下での密度上昇速度が特定の範囲であることを特徴とするポリエステル樹脂において、従来技術に比較し結晶化速度が遅く、透明性・耐熱性に優れた成形品が得られることが開示されている。しかしながら、本発明者らが詳細に検討した結果、このポリエステル樹脂においてもなお結晶化速度は十分遅いとは言えない上、製造中に副成するジエチレングリコールの量が多くなり、その結果得られる樹脂において、ジオキシエチレンテレフタレート成分(共重合成分)が多くなってしまい、十分な耐熱性・強度の成型品を得るには、成形にかなり時間を要し、生産性が悪い、という問題がある。また同様の理由で、得られるポリエステル樹脂中のアセトアルデヒドが多くなったり、カルボン酸末端数が増えて成形時の熱安定性が低下したり、成形後の成形体のアセトアルデヒド等の副生成物含有量が増大したりするという問題がある。
【特許文献1】特開平2000−219726号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、安価で有用な触媒であるアンチモン化合物を触媒として用い、優れた透明性、耐熱性、強度を有する成型品を効率よく得られるポリエステル樹脂を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、少なくともアンチモン化合物、リン化合物の存在下、重縮合により得られるポリエステル樹脂であって、その構成成分におけるジオキシエチレンテレフタレート成分が低減され、かつエチレンテレフタレート成分が特定の大きな量範囲を占め、かつ特定の低い固有粘度、及び特定の高い降温結晶化温度を有するポリエステル樹脂が上記目的を達成することを見出し、本発明に到達した。
【0006】
即ち、本発明は、芳香族カルボン酸又はそのエステル形成性誘導体を含有するジカルボン酸成分と、エチレングリコールを含有するジオール成分とを、エステル化反応又はエステル交換反応を経て、少なくともアンチモン化合物、及びリン化合物の存在下重縮合させて得られるポリエステル樹脂であって、エチレングリコール成分が全グリコール成分の96モル%以上あり、ジエチレングリコール成分が全グリコール成分の2.5モル%以下であり、テレフタル酸成分が全酸成分の98.5モル%以上であり、固有粘度IVが0.65〜0.90dl/g、降温結晶化温度Tc2が150〜200℃、であるポリエステル樹脂、を要旨とする。
【0007】
更に、他の要旨は、上記ポリエステル樹脂からなる成型体に存する。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、安価で有用な触媒であるアンチモン化合物を触媒として用い、その構成成分におけるジオキシエチレンテレフタレート成分が低減され、優れた透明性、耐熱性、強度を有する成型品を効率よく得られるポリエステル樹脂を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明におけるポリエステル樹脂は、芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするジオール成分とを、エステル化反応又はエステル交換反応を経て、少なくともアンチモン化合物と燐化合物の存在下に重縮合させることにより製造されたものである。
<樹脂を構成するモノマー>
本発明において、その芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体としては、具体的には、例えば、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、ジブロモイソフタル酸、スルホイソフタル酸ナトリウム、フェニレンジオキシジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、並びに、テレフタル酸ジメチルエステル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル等の、これら芳香族ジカルボン酸の炭素数1〜4程度のアルキルエステル、及びハロゲン化物等が挙げられ、中で、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、或いはそれらのアルキルエステルが好ましく、テレフタル酸が特に好ましい。
【0010】
尚、前記芳香族ジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体以外のジカルボン酸成分としては、例えば、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環式ジカルボン酸、及び、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、並びに、これらの脂環式ジカルボン酸や脂肪族ジカルボン酸の炭素数1〜4程度のアルキルエステル、及びハロゲン化物等が挙げられる。
【0011】
又、エチレングリコール以外のジオール成分としては、例えば、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等の脂肪族ジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメチロール、2,5−ノルボルナンジメチロール等の脂環式ジオール、及び、キシリレングリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸等の芳香族ジオール、並びに、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパンのエチレンオキサイド付加物又はプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0012】
更に、例えば、グリコール酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸やアルコキシカルボン酸、及び、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、ステアリン酸、安息香酸、t−ブチル安息香酸、ベンゾイル安息香酸等の単官能成分、トリカルバリル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、没食子酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール等の三官能以上の多官能成分、等の一種又は二種以上が、共重合成分として用いられていてもよい。
【0013】
本発明のポリエステル樹脂は、エチレングリコール成分が全グリコール成分の96モル%以上、好ましくは97.5モル%以上であり、ジエチレングリコール成分が全グリコール成分の2.5モル%以下、であり、テレフタル酸成分が全酸成分の98.5モル%以上、好ましくは99.0モル%以上である。ジエチレングリコール成分については、反応系内で副生したジエチレングリコールが共重合されていてもよく、共重合成分として系外から添加される分も含めたジオキシテレフタレート成分の含有量が、全グリコール成分の2.5モル%以下である。より好ましくは1.0モル%以上2.5モル%以下、さらに好ましくは1.8モル%以上2.3モル%以下である。
【0014】
共重合成分の量が前記範囲より多いと、十分な耐熱性・強度の成型品を効率的に得ることができないほか、樹脂中のアセトアルデヒド等の副生成物が増えたり、成形時の熱安定性が悪化したり、成形体とした場合の成形体におけるアセトアルデヒド含量が増えたりする。また、共重合成分の量が前記範囲より少ないと、成型品とした場合の透明性が悪化する。
<アンチモン化合物及びリン化合物>
本発明のポリエステル樹脂は、少なくともアンチモン化合物及びリン化合物の存在下重縮合したものであるため、少なくともアンチモン化合物及びリン化合物を含有する。
【0015】
リン化合物としては、正リン酸やポリリン酸、そしてこれらのエステル類、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリス(トリエチレングリコール)ホスフェート及びエチルジエチルホスホノアセテートや、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、モノブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート及びトリエチレングリコールアシッドホスフェートなどの酸性リン酸エステル類等の5価のリン化合物が挙げられる。また、亜リン酸や次亜リン酸、そしてこれらのエステル類、例えば、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、ジエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリスドデシルホスファイト及びトリスノニルデシルホスファイトや、これらのリチウム、ナトリウム及びカリウム等の金属の塩等、3価のリン化合物が挙げられる。
【0016】
また得られるポリエステル樹脂に対するリン原子の含有量は、好ましくは14ppm以下、より好ましくは10ppm以下であり、又、0ppmを越え、より好ましくは5ppm以上である。リン原子の量が少ないと、色調が悪化し、アセトアルデヒド等の副生成物量が増加し、成形品とした場合の透明性が悪化する。リン原子の量が多いと、成形品とした場合の耐熱性が悪化する。
【0017】
アンチモン化合物としては例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、メトキシアンチモン、トリフェニルアンチモン、アンチモングリコレート等が挙げられ、中で、三酸化アンチモンが好ましい。その使用量はポリエステル樹脂の理論収量に対して、アンチモン原子(Sb)として、10〜250ppmの含有量となる量とするのが好ましく、より好ましくは30〜180ppm、さらに好ましくは60〜120ppm、特に好ましくは80〜100ppmである。
【0018】
アンチモン原子の量が少ないと重合性が不足して生産性が悪く、色調も悪化し、またアセトアルデヒド等の副生成物量も増加する。アンチモン原子の量が多いと、成型品とした場合の透明性が悪化するほか、アセトアルデヒド等の副生成物量が増加したり、色調が悪化したりする。得られるポリエステル樹脂におけるアンチモン原子Sb(ppm)とリン原子の含有量P(ppm)の比率は、通常、3≦Sb/P≦40、好ましくは6≦Sb/P≦30であり、より好ましくは9≦Sb/P≦15である。
【0019】
Sb/Pの範囲が前記の範囲であることが好ましいのは、重合速度、色調、アセトアルデヒド等の副生成物量、成形品とした場合の耐熱性、透明性などのバランスが良好であるからである。又、上記において、好ましいSb/Pとすることは、後述のアンチモンの溶出を抑制する点でも好ましい。
<固有粘度>
本発明のポリエステル樹脂の固有粘度IVは、0.65〜0.90(dl/g)であり、好ましくは0.70dl/g以上、又0.80dl/g以下が好ましい。固有粘度が低いとボトルなどの成型品とした場合の強度や透明性が悪化し、固有粘度が高いと十分な耐熱性・強度の成型品を効率的に得ることができなくなるほか、樹脂の生産性、成形時の生産性・成形体におけるアセトアルデヒドなどの副生成物量が増加する。
【0020】
<降温結晶化温度Tc2>
本発明のポリエステル樹脂の降温結晶化温度Tc2は、150〜200℃であり、160以上が好ましく、又190℃以下が好ましい。この場合、降温結晶化温度とは、樹脂を射出成形して、図1に示される形状の、縦50mm、横100mmで、横方向に6mmから3.5mmまで段差0.5mmの6段階の厚みを有する段付成形板とし、成形板における厚み3.5mm部の先端部分(図1におけるA部)を、示差走査熱量計を用いて、窒素気流下、20℃から285℃まで20℃/分の速度で昇温させ、285℃で5分間溶融状態を保持した後、10℃/分の速度で20℃まで降温させた場合に、その途中で観察される結晶化ピーク温度である(詳細は後記)。
【0021】
降温結晶化温度が前記範囲より高いと、成型品とした場合の透明性が不良となり、前記範囲より低いと、成形時の離型性が悪化する。
<アセトアルデヒド含有量>
本発明のポリエステル樹脂のアセトアルデヒド含有量は、通常10ppm以下、好ましくは3ppm以下であり、より好ましくは2ppm以下、さらに好ましくは1ppm以下である。アセトアルデヒド含量が高いと、飲料用ボトル等とした場合、その内容物の風味が悪化する。
<カルボン酸末端量>
本発明の樹脂のカルボン酸末端量は、通常1〜50当量/樹脂ton、好ましくは1〜40当量/樹脂tonである。
【0022】
カルボン酸末端量が多いと、成形時の熱安定性が悪化し、成形品とした場合のアセトアルデヒド等の副生成物の量が増大する。
<第三成分>
上記重縮合は、アンチモン化合物及びリン化合物以外に、周期律表IA族元素、IIA族元素、マンガン、鉄、コバルト、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素の化合物の存在下行われるのが好ましく、本発明の樹脂は、これらに由来する金属(M)を含有するのが好ましい。
【0023】
IA族元素化合物としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等の、酸化物、水酸化物、アルコキシド、酢酸塩、炭酸塩、蓚酸塩、及びハロゲン化物等、具体的には、例えば、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、等が挙げられる。IIA族元素化合物としては、例えば、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の、酸化物、水酸化物、アルコキシド、脂肪酸塩、炭酸塩、蓚酸塩、及びハロゲン化物等、具体的には、例えば、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムアルコキシド、酢酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酢酸カルシウム、炭酸カルシウム、等が挙げられる。中で、マグネシウム化合物が好ましく、酢酸マグネシウムが特に好ましい。
【0024】
マンガン化合物としては、酢酸マンガン、安息香酸マンガン等の有機酸塩、塩化マンガン等の塩化物、マンガンメトキサイド等のアルコキサイド、マンガンアセチルアセトナ−ト等が挙げられる。コバルト化合物としては、酢酸コバルトのような低級脂肪酸塩、ナフテン酸コバルト、安息香酸コバルト等の有機酸塩、塩化コバルト等の塩化物、コバルトアセチルアセトネ−ト等が挙げられる。
【0025】
チタン化合物としては、テトラーnープロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラーnーブチルチタネート、テトラーtーブチルチタネート、テトラフェニルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラベンジルチタネート、テトラーnーブチルチタネートテトラマー、酢酸チタン、シュウ酸チタン、及びチタンアセチルアセトナートなどが挙げられる。これらは特に限定されないが、テトラーnープロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラーnーブチルチタネート、蓚酸チタン酸、及び蓚酸チタン酸カリウムが好ましい。
【0026】
亜鉛化合物としては、酢酸亜鉛、安息香酸亜鉛等の有機酸塩、塩化亜鉛等の塩化物、亜鉛メトキサイド等のアルコキサイド、亜鉛アセチルアセトナ−ト、酸化亜鉛等が挙げられる。ゲルマニウム化合物としては、例えば、二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム、蓚酸ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラ−n−ブトキシド等が挙げられ、中で、二酸化ゲルマニウムが好ましい。
【0027】
また、シュウ酸チタン酸カリウム、シュウ酸チタン酸ナトリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸ー水酸化アルミニウム混合物、塩化チタン、塩化チタンー塩化アルミニウム混合物、シュウ化チタン、フッ化チタン、六フッ化チタン酸カリウム、六フッ化チタン酸コバルト、六フッ化チタン酸マンガン、六フッ化チタン酸アンモニウム、六フッ化チタン酸マンガン、アルコキシチタンのマグネシウム塩(例えば、ヘキサブトキシチタンのマグネシウム塩)など、2種類以上の元素が複合してなる化合物を用いてもよい。
【0028】
以上の中でも、水素を除くIa族元素化合物及び/またはIIa族元素化合物を用いるのが好ましく、水素を除くIa族元素化合物及び/またはIIa族元素化合物とチタン化合物を併用するのがより好ましい。さらに、水素を除くIa族元素化合物及び/またはIIa族元素化合物として、マグネシウム化合物を併用するのが好ましく、マグネシウム化合物とチタン化合物を併用するのが特に好ましい。
【0029】
これらの金属化合物は重合速度の向上効果や得られるポリエステルの色調の改良、アセトアルデヒド等の副生成物量の低減などの効果があるが、あまり多く存在すると、かえって色調やアセトアルデヒド等の副生成物や、成形品とした場合の耐熱性に悪影響を与える。よって、これらの金属化合物のポリエステル樹脂に対する含有量は、好ましくは0.1〜100ppmであり、マグネシウム化合物を使用する場合には、マグネシウム原子含有量のリン原子含有量に対する重量比は、好ましくは1.1以上3.0以下、より好ましくは1.5以上2.0以下である。またその含有量は、マグネシウム原子として、得られるポリエステル樹脂に対して好ましくは3〜25ppm、より好ましくは8〜18ppmである。
【0030】
またチタン化合物を使用する場合は、その含有量は、得られるポリエステル樹脂に対して好ましくはチタン元素として0.25〜10ppm、さらに好ましくは0.75〜4ppmである。
<b値>
本発明のポリエステル樹脂の、JIS Z8730の参考1に記載されるLab表色系におけるハンターの色差式における色座標b値は、4以下であるのが好ましく、2以下であるのが更に好ましく、特に−5〜2であるのが好ましい。色座標b値が前記範囲超過では、黄色味を帯びていて、ボトル等の成形品の美観を損ねることとなる。
<アンチモンの溶出量>
本発明のポリエステル樹脂は、数平均粒重24mgの粒状体として95℃の熱水中に60分間浸漬させたときのアンチモンの溶出量が、アンチモン原子(Sb)として、ポリエステル樹脂1g当たり1μg以下であるものであるのが好ましく、0.5μg以下であるのが更に好ましく、0.2μg以下、更に0.1μg以下であるのが特に好ましい。
【0031】
尚、ここで、アンチモン原子(Sb)としての溶出量は、数平均粒重24mgとしたポリエステル樹脂粒状体50gを、120℃で10時間加熱して結晶化させた後、95℃の熱水150g中に60分間浸漬し、そのとき水中に抽出されたアンチモンを、アンチモン原子濃度C(ppb)として誘導結合プラズマ質量分析法により測定し、下記式により、ポリエステル樹脂1g当たりのアンチモン原子としての溶出量D(μg)を算出したものである。
【0032】
D(μg)=(C/109)×(150/50)×106
<製造法>
本発明のポリエステル樹脂は、従来公知の方法に準じて、原料スラリー調製、エステル化法またはエステル交換法及び溶融重合による方法で製造することができる。
【0033】
本発明の好ましい態様では、芳香族カルボン酸又はそのエステル形成性誘導体を含有するジカルボン酸成分と、エチレングリコールを含有するジオール成分とを主体とする原料は、予め混合してスラリーとしてエステル化又はエステル交換反応工程に供給される。スラリーの組成は、通常、ジカルボン酸成分に対するジオール成分のモル比で1.02〜2.0、好ましくは1.03〜1.7である。尚、テレフタル酸エステルを原料としてエステル交換反応を行う場合には、通常はチタン化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物、マンガン化合物などの、エステル交換触媒が必要であるが、必要とされるエステル交換触媒の量が、本発明のポリエステル樹脂を得るには多すぎる場合があるため、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用いてエステル化するのが好ましい。
【0034】
エステル化は一般に複数個の攪拌槽を直列に接続した多段反応装置を用いて、エチレングリコールの還流下、かつ反応で生成する水と余剰のエチレングリコールを系外に除去しながら、エステル化反応率が通常90%以上、好ましくは93%以上に達するまで行われる。得られるエステル化物の数平均分子量は通常500〜5000である。反応条件は、第1段目の反応温度が240〜270℃、好ましくは245〜265℃であり、大気圧に対する相対圧力は5〜300KPa(0.05〜3kg/cm2G)、好ましくは10〜200KPa(0.1〜2kg/cm2G)である。また最終段の反応温度は250〜280℃、好ましくは255〜275℃であり、相対圧力は0〜150KPa(0〜1.5kg/cm2G)、好ましくは0〜130KPa(0〜1.3kg/cm2G)である。各反応段におけるエステル化反応率の上昇は、ほぼ等しくなるようにするのが好ましい。なお、エステル化反応を1個の攪拌槽を用いて行う場合には、最終段の反応条件で行えばよい。
【0035】
エステル化反応は、テレフタル酸成分とエチレングリコール成分だけで行うこともできるが、種々の添加物の存在下に行うこともできる。例えば重縮合の触媒であるアンチモン化合物や、ポリエステル樹脂中に含有させる水素を除くIa族元素化合物、IIa族元素化合物、燐化合物などを、エステル化反応工程に添加することもできる。また、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ベンジルジメチルアミン等の第三級アミン、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラn−ブチルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウム等の水酸化第四級アンモニウム、又は炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム等の塩基性化合物を少量添加して実施すると、エチレングリコールからのジエチレングリコールの副生が抑制されるので、ポリエステル鎖中に含まれるジエチレングリコール成分の比率を小さくすることができる。
【0036】
本発明のポリエステル樹脂の製造においては、燐化合物は、好ましくはエステル化率90%未満の段階でエステル化反応物に混合される。例えば多段反応装置を用いる場合には、スラリー調製槽またはエステル化第1段目に添加され、スラリー調製槽に添加されることが好ましい。水素を除くIa族元素化合物及び/またはIIa族元素化合物は、好ましくはエステル化率90%以上の段階に添加される。例えば多段反応装置を用いる場合には、エステル化第2段目に添加されるのが好ましい。その理由は必ずしも明確でないが、この添加順序であることにより、ジエチレングリコール単位の副生量が抑制されるほか、固体異物の析出が抑制されたり、重合性が良好になったり、熱分解反応が抑制されて、得られる樹脂においてカルボン酸末端数や、アセトアルデヒド等の副反応生成物量を低く抑えることができる。
【0037】
エステル化反応工程の生成物は、溶融重縮合工程に供給される。本発明では溶融重縮合反応をアンチモン化合物の存在下で行う。アンチモン化合物は、エステル化率90%以上の反応物に対して添加されることが好ましく、具体的には当該エステル化率に達するエステル化工程後期か、またはエステル化工程から溶融重縮合反応工程へ供給される移送中のエステル化反応生成物中に供給され、エステル化工程から溶融重縮合反応工程へ供給される移送中のエステル化反応生成物中に供給されることが好ましい。この位置に添加することにより、ジエチレングリコール単位の副生量が抑制されるほか、固体異物の析出が抑制されたり、重合性が良好になったり、熱分解反応が抑制されて、得られる樹脂においてカルボン酸末端数や、アセトアルデヒド等の副反応生成物量を低く抑えることができる。
【0038】
本発明において、チタン化合物、ジルコニウム化合物、ハフニウム化合物、アルミニウム化合物、亜鉛化合物、ガリウム化合物、ゲルマニウム化合物は、エステル化工程か、または溶融重縮合反応工程へ供給されるエステル化反応生成物中に供給することが好ましく、エステル化反応後期のエステル化率90%以上の反応物に対して添加されることがより好ましく、水素を除くIa族元素化合物及び/またはIIa族元素化合物の添加よりも後の工程で添加されることが好ましい。具体的には当該エステル化率に達するエステル化工程後期か、またはエステル化工程から溶融重縮合反応工程へ供給される移送中のエステル化反応生成物中に供給され、エステル化工程から溶融重縮合反応工程へ供給される移送中のエステル化反応生成物中に供給されることが好ましい。この位置に添加することにより、ジエチレングリコール単位の副生量が抑制されるほか、固体異物の析出が抑制されたり、重合性が良好になったり、熱分解反応が抑制されて、得られる樹脂においてカルボン酸末端数や、アセトアルデヒド等の副反応生成物量を低く抑えることができる。
【0039】
以上のような各触媒成分の添加位置が好ましい理由は不明であるが、基本的には、酸触媒であるアンチモン化合物及びチタン化合物、ジルコニウム化合物、ハフニウム化合物、アルミニウム化合物、亜鉛化合物、ガリウム化合物、ゲルマニウム化合物は、ジエチレングリコール単位の副生量を増加させるので、なるべく重縮合工程に入る直前に添加するのが好ましく、塩基触媒であるIa族元素金属化合物及び/またはIIa族元素金属化合物は、ジエチレングリコール単位の副生量を抑制するので、初期の段階で添加するのが好ましいが、あまり初期の段階で添加すると、固体異物の析出や熱分解反応、アセトアルデヒド等の他の副反応の原因となるので、エステル化率90%以上の段階で添加するのが好ましいと考えられる。燐化合物は、上記各種触媒の緩衝剤として最初に添加することにより、触媒作用の急激な発現を抑制し、全体として製造上反応を制御しやすく、また得られるポリエステルにおいても熱安定性やアセトアルデヒド含量などが低下すると考えられる。
【0040】
溶融重縮合は通常、複数の反応器を直列に接続した装置を用いて、減圧下に副生するエチレングリコールを系外に留出させながら行われる。反応装置としては、例えば、第1段目が完全混合型の攪拌槽であり、第2段及び第3段目が内部に攪拌翼を備えた横型プラグフロー型式の反応器からなるものが用いられる。第1段目の反応条件は、反応温度が250〜290℃、好ましくは260〜280℃であり、絶対圧力は65〜1.3KPa(500〜10Torr)、好ましくは26〜2KPa(200〜15Torr)である。また最終段の反応条件は、反応温度が265〜300℃、好ましくは270〜295℃であり、絶対圧力は1.3〜0.013KPa(10〜0.1Torr)、好ましくは0.65〜0.065KPa(5〜0.5Torr)である。中間段の反応条件は両者の中間となるように選択される。例えば上記した3段反応装置であれば、第2段の反応温度は260〜295℃、好ましくは270〜285℃であり、絶対圧力は6.5〜0.13KPa(50〜1Torr)、好ましくは4〜0.26KPa(30〜2Torr)とすればよい。溶融重縮合反応は、得られる生成物の固有粘度が通常0.35〜0.75dl/gとなるように行われる。
【0041】
溶融重縮合工程の生成物は、溶融状態でダイからストランド状に押出し、冷却固化させたのちカッターで切断して粒状体(チップ)として固相重合工程に供給される。固相重縮合工程では、190〜230℃、好ましくは195〜225℃の温度条件下で固相重縮合が行われる。雰囲気の圧力は、窒素、アルゴン、二酸化炭素などの不活性ガス雰囲気中で反応を行う場合には、大気圧に対する相対加圧圧力が100KPa(1kg/cm2G)以下、好ましくは20KPa(0.2kg/cm2G)以下であり1時間〜50時間程度、減圧雰囲気で反応を行う場合には、絶対圧力0.013〜6.5KPa(0.1Torr〜50Torr)、好ましくは0.065〜1.3KPa(0.5Torr〜10Torr)で1時間〜50時間程度で行われる。固相重縮合反応の温度、圧力、反応時間、不活性ガス流量などは、所望の物性を有するポリエステルが生成するように適宜選択する。
【0042】
なお、粒状体(チップ)は固相重縮合に供する前に、固相重縮合よりも低温で予備結晶化を行ってもよい。例えば粒状体を乾燥状態で120〜200℃、好ましくは130〜190℃で1分間〜4時間程度加熱したり、粒状体を水蒸気を含む雰囲気中で120〜200℃に1分間以上加熱してから、固相重縮合に供するようにしてもよい。また、固相重縮合を経た粒状体を、その中に含まれている重縮合触媒を失活させるため、60℃以上の水蒸気を含む雰囲気中に30分間以上保持する水蒸気処理や、40℃以上の水に10分間以上浸漬する水処理を施してもよい。
【0043】
本発明に係るポリエステル樹脂は常法によりシート、延伸フィルム、ボトル、繊維等、種々の成形体に成形することができる。例えばシートに成形し、次いでこのシートを用いて絞り成形により容器を製造することができる。また、フィルムを製造する場合は、融点(Tm:℃)ないし(Tm+70)℃の温度でポリエステル組成物を押出して未延伸フィルムを得、該未延伸フィルムを一軸方向(縦方向または横方向)に(Tg−10)〜(Tg+70)℃の温度(但し、Tg:ポリエステルのガラス転移温度)で2.5〜5.0倍の倍率で延伸し、次いで上記延伸方向と直角方向(一段目延伸が縦方向の場合には、二段目延伸は横方向となる)にTg(℃)〜(Tg+70)℃の温度で2.5〜5.0倍の倍率で延伸することで製造できる。この場合、面積延伸倍率は9〜22倍、更には12〜22倍にするのが好ましい。延伸手段は同時二軸延伸、逐次二軸延伸のいずれでもよい。
【0044】
更に得られたフィルムは、(Tg+70)℃〜Tm(℃)の温度で熱固定することができる。例えばポリエステルフィルムにおいては、200〜240℃で熱固定することが好ましい。熱固定時間は例えば1〜60秒である。本発明に係るポリエステル樹脂は、熱充填ボトル用途、より具体的には、射出成形により有底管状の予備成形体とし、次いでこれを延伸ブロー成形して、加熱殺菌充填を行う非炭酸飲料用中空成型体の製造に用いるのが特に好ましい。射出成形の温度条件は、金型温度は0〜30℃であり、樹脂温度は融点〜350℃、好ましくは融点+10℃〜320℃である。延伸ブロー成形に際しての予備成形体の再加熱温度は70〜130℃、好ましくは80〜125℃であり、金型温度は常温〜200℃、好ましくは常温〜180℃である。また成形体に耐熱性を向上させるために熱処理を施す場合には、70〜200℃、好ましくは90〜180℃で行えばよい。最も好ましい温度は120〜160℃である。なお、成形品の製造に際しては、必要に応じて、核剤、滑剤、安定剤、帯電防止剤、防曇剤、着色剤その他の常用の添加剤を適宜配合することができる。
【実施例】
【0045】
以下に実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例における物性の測定は、下記により行った。
<グリコール成分の定量(ジエチレングリコール共重合量)>
(株)吉田製作所製ウィレー型粉砕機(形式1029−A)にて、1.5mm穴の目皿を用いて粉砕した試料樹脂5gに、4N−KOH/メタノール溶液50mlを加えて環流冷却器をセットし、マグネチックスターラ付きホットプレート(表面温度200℃)上で攪拌しながら、2時間加熱環流し加水分解する。放冷後、高純度テレフタル酸約20gを加えて、十分振とうして中和し、pHを9以下としたスラリーを、11G−4グラスフィルターを用いて濾過した後、メタノール2mlで2回洗浄して濾液と洗液を合わせ、ガスクロマトグラフィーへの供試液とする。供試液1μlをマイクロシリンジにて、(株)島津製作所ガスクロマトグラフィー(形式GC−14APF)に注入し、各グリコール成分のピークの面積から、全グリコール成分に対する各グリコール成分のモル%を、下式に従い計算した。
あるグリコール成分のモル%=(ACO×CfCO)/(Σ(A×Cf))×100
CO:そのグリコール成分の面積(μV・秒)
fCO:そのグリコール成分の補正係数
A:各グリコール成分の面積(μV・秒)
f:各グリコール成分の補正係数
なお、ガスクロマトグラフィーの使用条件としては、
カラム :J&W社製「DB−WAX」(0.53mm×30m)
設定温度:カラム:160℃〜220℃
気化室:230℃
検出器:230℃
ガス流量:キャリア(窒素):5ml/min
水素:0.6kg/cm2
空気:0.6kg/cm2
検出器:FID
感度:102MΩ
<酸成分の定量>
試料を重水素化クロロホルム/ヘキサフルオロイソプロパノール(重量比7/3)の混合溶媒に濃度3重量%で溶解させた溶液について、核磁気共鳴装置(日本電子社製「JNM−EX270型」)にて、1H−NMRを測定して各酸成分のピークを帰属し、ピークの積分値から全酸成分に対するその酸成分のモル%を計算した。
<固有粘度>
ポリエステル5gを凍結粉砕し、得られた粉砕品から0.25gを採取し、これをフェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合溶媒に溶解した。溶解は、溶融重縮合品の場合は110℃で30分間、固相重縮合品の場合は120℃で30分間保持することにより行った。この溶液の相対粘度(ηrel)を、ウベローデ型毛細粘度管を用いて30℃で測定した。この測定を1g/dl、0.5g/dl、0.2g/dl、及び0.1g/dlの各濃度の溶液について行ない、濃度C(g/dl)に対する(ηrel−1)/Cの値をグラフ用紙上にプロットし、C=0における(ηrel−1)/Cの値を外挿により求め、固有粘度η(dl/g)とした。
<降温結晶化温度(Tc2)>
ポリエステルを、イナートオーブン(ESPEC社製「IPHH−201型」)中で、40リットル/分の窒素気流下160℃で4時間乾燥させた後、射出成形機(名機製作所社製「M−70AII−DM」)にて、シリンダー温度280℃、背圧5×105Pa、射出率40cc/秒、保圧力35×105Pa、金型温度25℃、成形サイクル約75秒で、図1に示される形状の、縦50mm、横100mmで、横方向に6mmから3.5mmまで段差0.5mmの6段階の厚みを有する段付成形板を射出成形した。尚、図1において、Gはゲート部である。
【0046】
成形板における厚み3.5mm部の先端部分(図1におけるA部)を切り出して、真空乾燥機にて40℃で3日間乾燥させた後、その非表面部から切り出した試料を用い、その約10mgを精秤し、アルミニウム製オープンパン及びパンカバー(常圧タイプ、セイコー電子社製「P/N SSC000E030」及び「P/N SSC000E032」)を用いて封入し、示差走査熱量計(セイコー社製「DSC220C」)を用いて、窒素気流下、20℃から285℃まで20℃/分の速度で昇温させ、285℃で5分間溶融状態を保持した後、10℃/分の速度で20℃まで降温させ、その途中で観察される結晶化ピーク温度を測定した。
<アセトアルデヒド含量(AA0)>
ポリエステルチップ5.0gを純水10.0mlとともに、窒素雰囲気下で内容積50mlのミクロボンベに装入して密封した。これを160℃で2時間加熱したのち、水中のアセトアルデヒドを、イソブチルアルコールを内部標準として、島津製作所製GC−14Aガスクロマトグラフを用いて定量し、ポリエステル重量当たりの比(ppm)で表わした。
<カルボン酸末端数(AV)の定量>
ポリエステルチップを粉砕した後、熱風乾燥機にて140℃で15分間乾燥させ、デシケーター内で室温まで冷却した試料から、0.1gを精秤して試験管に採取し、ベンジルアルコール3mlを加えて、乾燥窒素ガスを吹き込みながら195℃、3分間で溶解させ、次いで、クロロホルム5mlを徐々に加えて室温まで冷却した。この溶液にフェノールレッド指示薬を1〜2滴加え、乾燥窒素ガスを吹き込みながら攪拌下に、0.1Nの苛性ソーダのベンジルアルコール溶液で滴定し、黄色から赤色に変じた時点で終了とした。又、ブランクとして、ポリエステル樹脂試料抜きで同様の操作を実施し、以下の式によって酸価を算出した。
【0047】
酸価(モル/トン)=(A−B)×0.1×f/W
〔ここで、Aは、滴定に要した0.1Nの苛性ソーダのベンジルアルコール溶液の量(μl)、Bは、ブランクでの滴定に要した0.1Nの苛性ソーダのベンジルアルコール溶液の量(μl)、Wは、ポリエステル樹脂試料の量(g)、fは、0.1Nの苛性ソーダのベンジルアルコール溶液の力価である。〕
尚、0.1Nの苛性ソーダのベンジルアルコール溶液の力価(f)は、試験管にメタノール5mlを採取し、フェノールレッドのエタノール溶液を指示薬として1〜2滴加え、0.1Nの苛性ソーダのベンジルアルコール溶液0.4mlで変色点まで滴定し、次いで、力価既知の0.1Nの塩酸水溶液を標準液として0.2ml採取して加え、再度、0.1Nの苛性ソーダのベンジルアルコール溶液で変色点まで滴定した。(以上の操作は、乾燥窒素ガス吹き込み下で行った。)
以下の式によって力価(f)を算出した。
【0048】
力価(f)=0.1Nの塩酸水溶液の力価×0.1Nの塩酸水溶液の採取量(μl)/0.1Nの苛性ソーダのベンジルアルコール溶液の滴定量(μl)
<金属元素の含有量>
ポリエステル2.5gを、硫酸存在下に過酸化水素水で常法により灰化、完全分解後、蒸留水にて50mlに定容したものについて、JOBIN YVON社製「JY46P型」ICP−AES(高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置)を用いて、プラズマ発光分光分析法により定量し、ポリエステル樹脂1トン中のモル量(mol/ton)に換算した。
<エステル化率>
試料を重水素化クロロホルム/ヘキサフルオロイソプロパノール(重量比7/3)の混合溶媒に濃度3重量%で溶解させた溶液について、核磁気共鳴装置(日本電子社製「JNM−EX270型」)にて、1H−NMRを測定して各ピークを帰属し、末端カルボキシル基量(Aモル/試料トン)をピークの積分値から計算し、以下の式により、テレフタル酸単位の全カルボキシル基のうちエステル化されているものの割合としてのエステル化率(E%)を算出した。
【0049】
エステル化率(E)=〔1−A/{(1000000/192.2)×2}〕×100
<色調(色座標b)>
ポリエステルチップを、日本電色工業(株)製300A型測色色差計を用いて反射法で測定した。測定の際は、予め装置を電源投入後4時間以上放置して十分安定させた後、チップを内径36mm×深さ15mmの測定セル(受光部は石英ガラス製)に摺り切りで充填し、各サンプルごとに測定セルの向きを90度づつ4方向に変えて計4回、L/a/bを測定し、その平均値とした。b値が低いほど黄味が少なく、色調として良好である。
<ボトルの成形評価>
得られたポリエステル樹脂チップを、十分乾燥した。日精樹脂工業社製射出成形機「FE−80S」を用い、樹脂温度280℃、背圧5kg/cm2前後、射出率45cc/sec程度、保圧力30kg/cm2程度、金型温度20℃で、40秒前後の成形サイクルで、高さ165mm、管外径29.0mm、平均肉厚3.7mm、目付60gの試験管状の予備成形体を射出成形した。
【0050】
この予備成形体を石英ヒーターを備えた近赤外線照射炉に装入し、一定出力の下で、各予備成形体をそれぞれ、56、58、60、62、64、66、68、70秒間の各加熱時間で加熱したのち、25秒間室温で放置し、その後直ちに160℃に調節した金型内に挟み込み、延伸ロッドでボトルの高さ方向に延伸しながら、ブロー圧力7kg/cm2程度で1秒間、続いて30kg/cm2程度で5秒間ブローしたのち、ブロー圧をかけたまま5秒間保持した。空冷して成形品を取り出し、胴部平均肉厚350μm、容量約1.5Lのボトルを得た。
【0051】
ボトルの胴部の透明性を目視観察し、透明性良好なものを「○」、やや霞みがかっているが実用上問題ないと認められるものを「△」、霞みがかっており実用上不適当であるものを「×」とした。
またこれらのボトルの耐熱性を以下のように評価した。即ち、23℃、湿度50%の環境下で1週間保存した。次いでこのボトルに、室温下で90℃の湯を満注したのち密栓し、1分間横倒ししたのち5分間正立させ、その後10℃の水中にて20分間冷却した。ボトルの形状を目視観察し、形状変化がなく耐熱性良好なものを「◎」、胴部に若干の変形が認められるが実質的に問題ないものを「○」、胴部の変形がみられ耐熱性が不十分であるものを「△」、胴部の変形が激しく耐熱性が著しく不十分であるものを「×」とした。
【0052】
以上の評価により、透明性・耐熱性、ともに「○」または「◎」の評価となるボトルが得られる、予備成形体の最短加熱時間をTmin(秒)とした。Tminが短い程、効率よくボトルが得られることになる。
<ポリエステル樹脂粒状体からのアンチモンの溶出量>
数平均粒重24mgとしたポリエステル樹脂粒状体50gを、120℃で10時間加熱して結晶化させた後、95℃の熱水150g中に60分間浸漬し、そのとき水中に抽出されたアンチモンを、アンチモン原子濃度C(ppb)として誘導結合プラズマ質量分析装置(ヒューレットパッカード社製「HP4500」)を用いて測定し、下記式により、ポリエステル樹脂1g当たりのアンチモン原子としての溶出量D(μg)を算出した。
【0053】
D(μg)=(C/109)×(150/50)×106
実施例1
図2に示す1個の攪拌槽からなるスラリー調製槽、直列に接続した2個の攪拌槽からなるエステル化反応槽、及び攪拌槽とこれに続く2個の横型プラグフロー形式の反応槽とからなる合計3個の溶融重縮合反応槽とから構成されている連続重合装置を用いて、ポリエステルを連続的に製造した。
【0054】
スラリー調製槽1に、生成ポリエステル樹脂1kgに対してリン原子として9ppm残存する量のエチルアシッドホスフェートのエチレングリコール溶液(濃度0.3重量%)と、テレフタル酸及びエチレングリコールを、テレフタル酸:エチレングリコール=865:485(重量比)となるように供給してスラリーを調製した。このスラリーをエステル化反応槽に連続的に供給した。エステル化反応槽の反応条件は、第1段目2は窒素雰囲気下、260℃、相対圧力50KPa(0.5kg/cm2G)、平均滞留時間4時間であり、第2段目3は同じく窒素雰囲気下、260℃、5KPa(0.05kg/cm2G)、平均滞留時間1.5時間であった。
【0055】
エステル化反応槽の第2段目に設置した上部配管から、生成ポリエステル樹脂1kgに対して酢酸マグネシウム4水和物のエチレングリコール溶液(濃度0.6重量%)を、マグネシウム原子として15ppm残存する量連続的に供給した。この場合、エステル化第1段目のエステル化率は85%、エステル化第2段目のエステル化率は95%であった。
【0056】
エステル化反応生成物は、導管5を経て溶融重縮合反応器に連続的に供給した。導管5の途中で、エステル化反応生成物に、生成ポリエステル樹脂1kgに対してチタン原子として2.0ppm残存する量のテトラブチルチタネートのエチレングリコール溶液(濃度0.2重量%)と、生成ポリエステル樹脂1kgに対してアンチモン原子として90ppm残存する量の三酸化アンチモンのエチレングリコール溶液(濃度1.9重量%)を導管4を経て連続的に添加した。
【0057】
溶融重縮合反応器の反応条件は、第1段目が270℃、絶対圧力2.6KPa(20Torr)、平均滞留時間1.2時間であり、第2段目は278℃、絶対圧力0.5KPa(4Torr)、平均滞留時間1.2時間、第3段目8は280℃、絶対圧力0.3KPa(2Torr)、平均滞留時間1.2時間であった。溶融重縮合反応生成物はダイからストランド状に押出して冷却固化し、カッターで切断して1個の重さが平均粒重24mgの溶融重合チップとした。このチップの固有粘度は0.60dl/gであった。
【0058】
このチップを、窒素雰囲気で且つ約160℃に維持されている結晶化器に連続的に供給し、攪拌下に約60分間保持したのち、予熱器を経て、塔型の固相重縮合装置に連続的に供給し、窒素雰囲気下、205℃で固相重縮合反応させた。得られた固相重縮合チップのアンチモンの溶出量、固有粘度、ジエチレングリコール共重合量、アセトアルデヒド含有量、カルボン酸末端数、色座標b値を前記方法で測定した。また得られた固相重合チップを、イナートオーブン(ESPEC社製「IPHH−201型」)中で、40リットル/分の窒素気流下160℃で4時間乾燥させた後、射出成形機(名機製作所社製「M−70AII−DM」)にて、シリンダー温度280℃、背圧5×105Pa、射出率40cc/秒、保圧力35×105Pa、金型温度25℃、成形サイクル約75秒で、図1に示される形状の、縦50mm、横100mmで、横方向に6mmから3.5mmまで段差0.5mmの6段階の厚みを有する段付成形板を射出成形した(尚、図1において、Gはゲート部である。)。得られた成形板について、前記の方法で、アセトアルデヒド含有量、及び降温結晶化温度、を測定し、結果を表1に示した。
【0059】
また得られた固相重合チップをボトル成形評価に供した。成形時のプリフォームの最短加熱時間は60秒と短く、透明性・耐熱性を両立したボトルを高い生産性で効率的に得ることができた。分析値、評価結果を表1に示す。
実施例2〜9
残存する触媒由来の元素の量を表1に記載のものとするように、触媒を添加すること以外は、実施例1と同様に操作してポリエステル樹脂チップを得た。得られたチップの分析値、評価結果を表1に示す。
比較例1
スラリー調製槽1にエチルアシッドホスフェートを添加せず、エステル化第1段目に生成ポリエステル樹脂1kg当たりマグネシウム原子として27ppmとなるような量の酢酸マグネシウム4水塩のエチレングリコール溶液を連続的に添加し、エステル化第2段目に生成ポリエステル樹脂1kg当たりリン原子として26ppmとなるような量のリン酸のエチレングリコール溶液を連続的に添加し、導管5の途中で、エステル化反応生成物に、生成ポリエステル樹脂1kgに対してアンチモン原子として81ppmとなるような量の三酸化アンチモンのエチレングリコール溶液と、生成ポリエステル樹脂1kgに対してチタン原子として3ppm残存する量のテトラブチルチタネートのエチレングリコール溶液(濃度0.2重量%)を導管4を経て連続的に添加する以外は、実施例1と同様に操作して、溶融重合チップを得た。得られた溶融重合チップの固有粘度は0.52dl/gであった。
【0060】
このチップを実施例1と同様に操作して固相重縮合反応させた。得られた樹脂の分析値、評価結果を表1に示す。本例の樹脂は実施例に比べ固有粘度が低く、ジエチレングリコール、AA、AV、b値が高くなっており、重合性・品質とも悪化している。またボトル成形評価では、成形時のプリフォームの最短加熱時間は70秒と長く、生産性が低く効率的にボトルを得ることができない。
比較例2
スラリー調製槽1に添加するエチルアシッドホスフェートのエチレングリコール溶液の量を、生成ポリエステル樹脂1kgに対してリン原子として90ppm残存する量とし、エステル化2段目に、酢酸マグネシウム4水塩を添加せず、導管5の途中で、エステル化反応生成物に、酢酸マグネシウム4水塩と三酸化アンチモンとを混合してエチレングリコールに溶解した溶液を、生成溶融重合ポリエステル樹脂1kgに対して、マグネシウム原子が57ppm、アンチモン原子が180ppm残存するように、導管4を経て連続的に添加する以外は、実施例1と同様に操作して、溶融重合チップを得た。得られた溶融重合チップの固有粘度は0.58dl/gであった。
【0061】
このチップを実施例1と同様に操作して固相重縮合反応させた。得られた樹脂の分析値、ボトル成形評価結果を表1に示す。
比較例3
ジメチルテレフタレート100部とエチレングリコール70部とを、エステル交換触媒として酢酸カルシウム1水塩および酢酸マグネシウム4水塩を表2に示すように使用して、常法に従ってエステル交換反応を開始させ、メタノールの留出開始より20分後、三酸化アンチモンを表2に示すように添加して、エステル交換反応を継続させたのち、トリメチルフォスフェートを表1に示すように添加し実質的にエステル交換反応を終了させた。更にテトラブチルチタネートを表2に示すように添加後、引き続き高温高真空下で常法どおり重縮合を行い、固有粘度(o―クロロフェノール、35℃)0.60のポリエステルを得た。
【0062】
このチップを実施例1と同様に操作して固相重縮合反応させた。得られたPET樹脂の分析値、ボトル成形評価結果を表1に示す。なお、ボトル成形評価においては、予備成形体の加熱時間を70秒としても、透明性・耐熱性、ともに「○」または「◎」の評価となるボトルは得られず、予備成形体の最短加熱時間をTmin(秒)を、「70秒超」と表示した。
比較例4
共重合成分の量、残存する触媒由来の原子の量を表1に記載のものとする以外は、実施例2−1と同様に操作してポリエステル樹脂チップを得た。得られたチップの分析値、評価結果を表1に示す。なお、ボトル成形評価においては、予備成形体の加熱時間を70秒としても、透明性・耐熱性、ともに「○」または「◎」の評価となるボトルは得られず、予備成形体の最短加熱時間をTmin(秒)を、「70秒超」と表示した。尚、表1中の略号は、下記の意味を表わす。
【0063】
H3PO4:正燐酸
H3PO3:亜燐酸
DEG共重合量:グリコール成分中のジエチレングリコール共重合量
IPA共重合量:カルボン酸成分中のイソフタル酸共重合量
又、製造法の欄の略号は以下の意味を示す。
【0064】
A:エステル化法連続式で、燐化合物をスラリー槽に添加し、マグネシウム化合物を第2エステル化槽に添加し、アンチモン化合物とチタン化合物を、第2エステル化槽から第1重合槽への移送配管内に添加
B:エステル化法バッチ式で、重合開始前に、燐化合物、マグネシウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物の順に添加
C:エステル交換法バッチ式
D:A,B,C以外の方法
【0065】
【表1】

【0066】
【表2】

【0067】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】段付成形板の説明図である。
【図2】本発明方法によりポリエステルを製造する装置の1例である。
【符号の説明】
【0069】
1 スラリー調製槽
2 エステル化反応器(1段目)
3 エステル化反応器(2段目)
4 触媒供給管
5 エステル化反応生成物移送管
6 溶融重縮合反応器(1段目)
7 溶融重縮合反応器(2段目)
8 溶融重縮合反応器(3段目)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族カルボン酸又はそのエステル形成性誘導体を含有するジカルボン酸成分と、エチレングリコールを含有するジオール成分とを、エステル化反応又はエステル交換反応を経て、少なくともアンチモン化合物、及びリン化合物の存在下重縮合させて得られるポリエステル樹脂であって、エチレングリコール成分が全グリコール成分の96モル%以上あり、ジエチレングリコール成分が全グリコール成分の2.5モル%以下であり、テレフタル酸成分が全酸成分の98.5モル%以上であり、固有粘度IVが0.65〜0.90dl/g、降温結晶化温度Tc2が150〜200℃、であるポリエステル樹脂。
【請求項2】
アセトアルデヒド含有量AA及びカルボン酸末端数AVが、それぞれ下記式(1)及び(2)を満たす請求項1に記載のポリエステル樹脂。
AA≦3(ppm) (1)
AV:1〜40(当量/樹脂ton) (2)
【請求項3】
リン原子の含有量Pと、アンチモン原子の含有量Sbとが、下記式(3)を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載のポリエステル樹脂。
6≦Sb/P≦20 (3)
(Sb:アンチモン原子の含有量(重量ppm対ポリエステル樹脂)
P:リン原子の含有量(重量ppm対ポリエステル樹脂))
【請求項4】
リン原子の含有量Pが下記式(4)を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂。
P≦14 (4)
(P:リン原子の含有量(重量ppm対ポリエステル樹脂))
【請求項5】
周期律表IA族元素、IIA族元素、マンガン、鉄、コバルト、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、亜鉛、ガリウム及びゲルマニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属元素の化合物の存在下、重縮合させて得られたものであり、該金属原子の合計含有量Mが、下記式(5)を満たすことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂。
0.1≦M≦100(重量ppm対ポリエステル樹脂) (5)
【請求項6】
金属原子がマグネシウムであり、マグネシウム原子の含有量Mgと、リン原子の含有量Pとが、下記式(6)を満たすことを特徴とする請求項5に記載のポリエステル樹脂。
1.1≦Mg/P≦3.0 (6)
(Mg:マグネシウム原子の含有量(重量ppm対ポリエステル樹脂、
P:リン原子の含有量(重量ppm対ポリエステル樹脂))
【請求項7】
金属原子がマグネシウムであり、マグネシウム原子の含有量が3〜25ppmであることを特徴とする請求項6に記載のポリエステル樹脂。
【請求項8】
金属原子がチタンであり、チタン原子の含有量が、0.25〜10ppmであることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂。
【請求項9】
アンチモン原子の含有量Sbが下記式(7)を満たすことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
10≦Sb≦250 (7)
(Sb:アンチモン元素の含有量(対ポリエステル樹脂ppm)
【請求項10】
数平均粒重24mgの粒状体として95℃の熱水中に60分間浸漬させたときのアンチモンの溶出量が、アンチモン原子(Sb)として、ポリエステル樹脂1g当たり1μg以下であることを特徴とするポ請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂から得られる成型体。
【請求項12】
非炭酸飲料用中空成型体である請求項10に記載に記載の成型体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−246923(P2007−246923A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−161263(P2007−161263)
【出願日】平成19年6月19日(2007.6.19)
【分割の表示】特願2002−76166(P2002−76166)の分割
【原出願日】平成14年3月19日(2002.3.19)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】