説明

ポリエステル潜在捲縮加工糸及びその製造方法

【課題】織編物に対しソフトな風合いと、優れたストレッチ性とを与え、撚りを与えないで用いても織編物の表面にシボを発生させ難い潜在捲縮加工糸と、その加工糸を低コストで生産する方法とを提供する。
【解決手段】単糸繊度が2.5dtex以下、熱水収縮率が5%以下であり、かつ100℃で30分間湿熱処理した後の伸長率が40%以上で、伸長変化率が2〜5倍であるポリエステル潜在捲縮加工糸。及び単糸繊度が4.0dtex以下で、極限粘度の異なる2種のポリエステルポリマーをサイドバイサイド型に接合した複合繊維からなる潜在捲縮未延伸糸Yを、加工速度500m/分以上、延伸倍率1.4倍以上、ヒーター2温度190〜250℃、加撚張力0.4〜0.6cN/dtex及びK値0.6〜0.9なる条件で仮撚りし、その後混繊交絡処理するポリエステル潜在捲縮加工糸の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイドバイサイド型潜在捲縮糸の仮撚加工糸に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年のストレッチブームに伴い、サイドバイサイド型潜在捲縮糸からなる織編物が数多く提案されている。潜在捲縮糸を用いると、ストレッチ性にとどまらず、ストレッチバック性をも得ることができるので、スポーツ衣料をはじめ婦人用パンツなどに好適な織編物を得ることができる。ただ、潜在捲縮糸にはピッチの長い大きなクリンプが存在し、無撚りのまま使用すると織編物に大きなシボが発生し、織編物の品位が損なわれるという欠点がある。そこで、潜在捲縮糸に中〜強撚域の撚りを加えるなどして、織編物のシボを抑制している。
【0003】
しかし、中〜強撚域の撚りは、一般に糸を剛直なものとする傾向があり、織編物の風合い、光沢などの面で不利となることがある。そこで、糸に捲縮を与える代表的な手段である加撚を利用して、織編物のシボを抑制しつつさらにストレッチ性を付与する研究がなされている。
【0004】
一例として、特許文献1に、PBT(ポリブチレンテレフタレート)とPET(ポリエチレンテレフタレート)とをサイドバイサイド型に複合紡糸して得た潜在捲縮糸を、間歇的に水性液体を付与しながら延伸し、後にこれを仮撚加工する手段が開示されている。特許文献2には、変性PBTと未変性PBTをサイドバイサイド型に複合紡糸した後、延伸して潜在捲縮糸となし、その後これをピン方式によって仮撚りする手段が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−140739号公報
【特許文献2】特開2009−138318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1、2記載の仮撚糸は熱水収縮率が高く、染色加工を通じて織編物に発生するシボを抑えるには、依然として潜在捲縮糸の加撚が必要となる。特に特許文献2記載の仮撚糸は、延伸糸をピン方式で仮撚りすることにより得られたものであるため、捲縮による織編物のストレッチ性向上は期待できるものの、ピン方式であるがゆえに仮撚り速度を抑える必要があり、その分、製造コストが上昇するという欠点がある。
【0007】
本発明は、上記のような従来技術の欠点を解消するものであり、織編物に対しソフトな風合いと、優れたストレッチ性とを与え、撚りを与えないで用いても織編物の表面にシボを発生させ難い潜在捲縮加工糸と、その加工糸を低コストで生産する方法とを提供することを技術的な課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、サイドバイサイド型潜在捲縮糸の未延伸糸を特定条件下で高速仮撚することにより、コストをかけずに三次元的に緻密なクリンプを有する加工糸が得られることを知見し、そしてこの加工糸を使用すれば、織編物に優れた風合いとストレッチ性とを与えると共に、加工糸に撚りを与えなくても織編物のシボ感を抑えることができることを見出し、本発明をなすに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の発明を要旨とするものである。
(1)単糸繊度が2.5dtex以下、熱水収縮率が5%以下であり、かつ100℃で30分間湿熱処理した後の伸長率が40%以上で、伸長変化率が2〜5倍であることを特徴とするポリエステル潜在捲縮加工糸。
(2)単糸繊度が4.0dtex以下で、極限粘度の異なる2種のポリエステルポリマーをサイドバイサイド型に接合した複合繊維からなる潜在捲縮未延伸糸を、加工速度500m/分以上、延伸倍率1.4倍以上、ヒーター温度190〜250℃、加撚張力0.4〜0.6cN/dtex及びK値0.6〜0.9なる条件で仮撚りし、その後混繊交絡処理することを特徴とするポリエステル潜在捲縮加工糸の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、織編物に対しソフトな風合いと、優れたストレッチ性とを与え、撚りを与えないで用いても織編物の表面にシボを発生させ難い潜在捲縮加工糸を提供できる。そして、本発明の製造方法によれば、そのような加工糸を安定操業の下、低コストで製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の製造方法の一例を示す工程概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明では、織編物にソフト感に富む優れた風合いを与える観点から、加工糸の単糸繊度を2.5dtex以下にする必要がある。一般に、糸条を仮撚すると、糸条にクリンプが付与されるため、織編物はソフトな風合いを発現する傾向にある一方、加工糸の単糸繊度が太くなると、糸条の形態が剛直なものとなり、織編物は硬い風合いを発現する傾向にある。単糸繊度が2.5dtex以下になると前者が後者に勝り、2.5dtexを超えると後者が前者に勝るため、本発明では、単糸繊度を2.5dtexとする必要がある。なお、単糸繊度は、JIS L1013 8.3.1に準じて測定する。
【0013】
また、本発明の加工糸は、熱水収縮率が5%以下である必要がある。熱水収縮率が5%を超えると、加工糸を無撚りで用いたとき、織編物にシボが発生する。この場合、当該加工糸に中〜強撚域の撚りを入れれば、シボを抑えることができるが、糸が剛直なものとなり、織編物の風合いが低下する。なお、熱水収縮率は、JIS L1013 8.18.1かせ収縮率(A法)に準じて測定する。
【0014】
そして、本発明の加工糸は、100℃で30分間湿熱処理した後の伸長率が40%以上である必要がある。伸長率が40%未満になると、加工糸が捲縮発現し難くなり、織編物のストレッチ性が低下する。なお、伸長率は、JIS L1013 8.11B法に準じて測定する。
【0015】
さらに、本発明の加工糸は、伸長変化率が2〜5倍である必要がある。伸長変化率とは、湿熱処理による捲縮発現の指標となるもので、伸長変化率が大きくなるほど、加工糸は高捲縮となり、織編物のストレッチ性は向上する。伸長変化率は、具体的に下記式により算出される。
【0016】
伸長変化率(倍)=(100℃で30分間湿熱処理した後の伸長率)/(湿熱処理前の伸長率)
加工糸の伸長変化率が2倍未満になると、織編物のストレッチ性が低下し、一方、5倍を超えると、織編物のストレッチ性が過度に大きくなる結果、寸法安定性が低下する。
【0017】
本発明の加工糸は、織編物に優れた機能、風合いを与えうるものであるが、このような加工糸を得るには、まず、極限粘度の異なる2種のポリエステルポリマーをサイドバイサイド型に接合した複合繊維からなる潜在捲縮未延伸糸を用意する。
【0018】
潜在捲縮未延伸糸の単糸繊度としては、4.0dtex以下であることが好ましい。これは、前述と同じく織編物の風合いを良好なものとするためのもので、後述する延伸工程を経て単糸繊度が2.5dtex以下となる。
【0019】
2種のポリエステルポリマーの組み合わせとしては、互いに極限粘度さえ異なっていれば、同種、異種いずれのポリマーの組み合わせでもよく、また、ポリエステルポリマーは、ホモポリマー、コポリマーのいずれでもよい。さらに、本発明の効果を損ねない限りにおいて、ポリマー中に第三成分を含有させてもよい。本発明では、このうちPBT、PETの組み合わせが好ましく採用される。
【0020】
各ポリマーの極限粘度としては、高粘度側が0.7〜1.3が、低粘度側が0.3〜0.6であることがそれぞれ好ましい。極限粘度は、フェノールと四塩化炭素との等質量混合物にポリマーを加温溶解させ、冷却後、ウベローデ型粘度計を用いて、温度20℃で外挿法により測定する。
【0021】
そして、複合繊維における各ポリエステルポリマーの質量比率(高粘度側/低粘度側)としては、50/50〜70/30であることが好ましい。このような質量比率を採用することにより、得られる潜在捲縮加工糸のクリンプを緻密なものとすることができ、織編物に良好なストレッチ性を与える点で有利となる。
【0022】
特に、2種のポリエステルポリマーとしてPBT、PETを採用したとき、ラスターとしてPBT側をブライト(BR)、PET側をセミダル(SD)とすると、ストレッチ性を得る点でより有利となる。
【0023】
本発明の潜在捲縮加工糸は、このような潜在捲縮未延伸糸を特定条件下で仮撚りした後、混繊交絡処理することにより得ることができる。
【0024】
仮撚り条件としては、まず、加工速度を500m/分以上とすることが好ましく、600〜800m/mとすることがより好ましい。加工速度が500m/分未満になると、生産コストが上昇する傾向にあり、好ましくない。
【0025】
延伸倍率としては、1.4倍以上とすることが好ましい。延伸倍率が1.4倍未満になると、得られる加工糸の伸度が大きくなり過ぎる傾向にある他、強度も低下する傾向あり、好ましくない。
【0026】
ヒーター温度としては、190〜250℃とすることが好ましい。ヒーター温度が190℃未満になると、得られる加工糸のクリンプが不均一なものとなる傾向にある他、熱水収縮率が大きくなり、得られる織編物のストレッチ性が低下すると同時に、加工糸を無撚りで使用したとき、織編物表面にシボが発生しやすくなるので、好ましくない。一方、250℃を超えると、仮撚り途中で糸が融着することがあり、得られる織編物の風合いが低下することは勿論、ストレッチ性も失われる傾向にあり、好ましくない。
【0027】
また、加撚張力としては、0.4〜0.6cN/dtexとすることが好ましい。加撚張力が0.4cN/dtex未満になると、仮撚り途中で糸切れが発生しやすくなる他、加工糸に未解撚部分が発生しやすくなるため、好ましくない。一方、0.6cN/dtexを超えると、同じく仮撚り途中で糸切れが発生しやすくなる他、加工糸に毛羽が発生しやすくなり、好ましくない。
【0028】
さらに、K値としては、0.6〜0.9とすることが好ましい。K値とは、解撚張力/加撚張力の計算値をいい、本発明では、これが0.6未満になると、加撚張力が高くなり、糸切れしやすくなる傾向にあり、一方、0.9を超えると、加工糸のクリンプが不均一なものとなる傾向にある他、未解撚部分が発生しやすくなるため、いずれも好ましくない。
【0029】
潜在捲縮未延伸糸を仮撚りするための装置としては、高速仮撚機と称されるものを使用する。仮撚方式としては、一般に、ディスク方式、ベルトニップ方式などが適用され、中でもディスク方式が好適である。ディスク方式の場合、仮撚手段たるフリクションディスクの素材としては、ポリウレタン、セラミックが好ましく、ディスクの厚みとしては、5〜10mmが好ましい。
【0030】
また、仮撚り装置中のヒーターとしては、接触方式のもの、高効率点接触方式のものなどが好適である。
【0031】
潜在捲縮未延伸糸を以上のようにして仮撚りした後、これを混繊交絡処理することで、本発明の加工糸が得られる。混繊交絡処理により、加工糸を巻きつけたパッケージの解舒性や加工糸の製織編物工程における工程通過性を向上させることができる。
【0032】
混繊交絡処理には流体ノズルが用いられ、通常、インターレースノズルが好ましく用いられる。混繊交絡処理の条件としては、エアー圧力を0.1〜0.6MPa、オーバーフィード率を1〜4%とすることがそれぞれ好ましい。
【0033】
混繊交絡処理は、仮撚りの後、糸を巻き取ることなく連続して行ってもよいし、仮撚り後、一旦糸を巻き取った上で行ってもよい。
【0034】
次に、図面を用いて、本発明の加工糸を製造する好ましい方法について説明する。
【0035】
図1は、本発明の製造方法の一例を示す工程概略図である。これは、仮撚りの後、糸を巻き取ることなく連続して混繊交絡処理する方法に相当する。
【0036】
供給糸たる潜在捲縮未延伸糸Yを、供給ローラ1に導入し、ローラ1と第1引取ローラ4との間で仮撚りする。仮撚り条件は前記した通りである。供給糸を導入した後、ヒーター2で熱セットし、仮撚手段3(図ではフリクションディスクを使用)を経て、ローラ4に導く。その後、流体ノズル5で混繊交絡処理し、第2引取ローラ6を経て、捲き取りローラ7により、加工糸としてパッケージ8に巻き取る。
【0037】
以上の方法により、目的とする加工糸が得られる。本発明の加工糸は、織編物を得る際、撚りを与えないで用いても、得られる織編物は表面のシボ感が抑えられたものとなる。本発明の加工糸は、このように無撚りで使用するのが好ましいが、使用目的に応じて撚りを加えてもよいことは当然で、撚りを入れる態様を何ら排除するものでない。なお、織編物の組織としては、基本的にどのようなものでも採用でき、一般に、平、綾、朱子の他、ドビー柄、ジャガード柄などが採用される。
【0038】
製織編は、公知の手段を採用すればよい。そして、製織編により生機を得た後は、通常これを染色加工する。この染色加工により、ストレッチ性、風合いに優れ、シボ感の抑えられた織編物を得ることができる。
【0039】
また、本発明の加工糸を用いることで、深みのある濃染効果を兼備する織編物を得ることもできる。本発明では、この濃染効果の検証にL*値を用いる。L*値とは、織編物の濃さを測る指標となるもので、具体的には13以下であることが好ましい。L*値の数字が小さくなるほど、優れた濃染効果が発揮されていると認められる。
【0040】
ただ、本発明の加工糸を得ても濃染効果を直ちに現認することは困難である。なぜなら、L*値は、織編物が現実に発現する濃染効果を数値化したものであり、染色加工された織編物が測定の対象となるからである。したがって、本発明の加工糸がかかる濃染効果を具備するかどうかは、実際に生機を作製し、染色加工したもので検証するのが一般的といえる。本発明の加工糸は、将来的に優れた濃染効果を発現する能力を備えているに過ぎないのである。
【0041】
しかし、濃染効果を検証するだけの目的で、製織編に続き染色加工することは、あまりにも手間がかかり実用的であるとは言い難い。そこで、本発明では、得られた加工糸の濃染効果を検証する簡便な方法として、以下の方法を採用する。すなわち、本発明の加工糸を用いて筒編地を得た後、これをまず、精練剤として日華化学社製「サンモールFL(商品名)」を2g/L含む精練浴にて、80℃で20分間精練する。次に、ダイスター社製分散染料「ダイアニックスブラックHG−FS200%(商品名)」を10%omf、及び助剤として日華化学社製「ニッカサンソルトSN−130(商品名)」を0.5cc/L、酢酸を0.2cc/Lを含む染浴にて浴比1:50で、135℃で30分間程度染色する。続いて、一方社油脂工業社製還元洗浄剤「ビスノールP−55(商品名)」を5g/L含む洗浄浴にて、80℃で20分間程度還元洗浄する。
【0042】
還元洗浄後、以下の手順でL*値を測定する。すなわち、マクベス社製「CE−3100型分光光度計(商品名)」を用意し、得られた筒編地の反射率を測定し、次に、CIE Labの色差式から濃度指標を求め、これをL*値とする。
【実施例】
【0043】
(実施例1、比較例1〜3)
極限粘度1.05のPBT(BR)を高粘度側成分、極限粘度0.47のPET(SD)を低粘度側成分として用意した。両成分を複合紡糸型溶融押出機に質量比率(高粘度側/低粘度側)60/40で供給し、紡糸口金の背面で両成分を合流させ、サイドバイサイド型に接合して複合繊維を紡出し、冷却固化した。そして、油剤を付与しながら複合繊維を集束し、引取ローラを介して80dtex24fの潜在捲縮未延伸糸として巻き取った。
【0044】
そして、図1記載の仮撚装置へ得られた潜在捲縮未延伸糸を供給し、表1記載の条件にて潜在捲縮未延伸糸をそれぞれ仮撚りし、4種のポリエステル潜在捲縮加工糸を得た。
【0045】
次に、得られた4種の加工糸を、撚りを与えずにそれぞれ別々の製織工程に導入し、経糸密度148本/2.54cm、緯糸密度118本/2.54cmの4種の平組織の生機を得た。そして、得られた生機をそれぞれ80℃で20分間精練した後、190℃で30秒間プレセットし、その後、分散染料(ダイスター社製「ダイアニックスブラックHG−FS200%(商品名)」)を10%omf用いて135℃で30分間染色し、さらに、180℃で30秒間仕上げセットして、4種の織物を得た。
【0046】
(比較例4)
トータル繊度を80dtex24fに代えて80dtex12fとする以外、実施例1と同様に行い、加工糸及び織物を得た。
【0047】
実施例1、比較例1〜4で得られた加工糸及び織物の評価結果を表1に示す。なお、表中のL*値は、得られた織物のL*値であり、前述のL*値測定の手順に準じて測定したものである。
【0048】
【表1】

【0049】
実施例1で得られた織物は、ソフトな風合い及びストレッチ性を優し、織物表面のシボ感が抑えられたものであった。加えて、深みのある濃染効果をも具備するものであった。
【0050】
一方、比較例1の加工糸は、伸長変化率が所定範囲に達しておらず、織編物において満足できるストレッチ性が得られなかった。また、加工糸の糸質においても、仮撚り条件中、延伸倍率が低すぎたため、得られる加工糸の伸度が大きく、強度低下も見られた他、加撚張力が低すぎたため、仮撚り途中で幾度か糸切れが発生し、さらに得られた加工糸に未解撚部分が認められた。
【0051】
比較例2の加工糸も伸長変化率が所定範囲に達しておらず、ストレッチ性ある織物が得られなかった。また、仮撚り条件中、ヒーター温度が高すぎたため、仮撚り途中で糸が一部融着し、織物の風合い、ストレッチ性が同時に失われる結果となった。
【0052】
比較例3では、逆にヒーター温度が低すぎたため、得られる加工糸のクリンプが不均一となり、織物の風合い低下が認められた他、加工糸の熱水収縮率が大きくなった結果、織物のストレッチ性が低下し、織物表面にシボが認められた。
【0053】
そして、比較例4では、加工糸の単糸繊度が太すぎたため、織物の風合いはソフト感に欠けるものであった。
【符号の説明】
【0054】
Y 潜在捲縮未延伸糸
1 供給ローラ
2 ヒーター
3 仮撚手段
4 第1引取ローラ
5 流体ノズル
6 第2引取ローラ
7 捲き取りローラ
8 パッケージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単糸繊度が2.5dtex以下、熱水収縮率が5%以下であり、かつ100℃で30分間湿熱処理した後の伸長率が40%以上で、伸長変化率が2〜5倍であることを特徴とするポリエステル潜在捲縮加工糸。
【請求項2】
単糸繊度が4.0dtex以下で、極限粘度の異なる2種のポリエステルポリマーをサイドバイサイド型に接合した複合繊維からなる潜在捲縮未延伸糸を、加工速度500m/分以上、延伸倍率1.4倍以上、ヒーター温度190〜250℃、加撚張力0.4〜0.6cN/dtex及びK値0.6〜0.9なる条件で仮撚りし、その後混繊交絡処理することを特徴とするポリエステル潜在捲縮加工糸の製造方法。


【図1】
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【公開番号】特開2012−77406(P2012−77406A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223152(P2010−223152)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(592197315)ユニチカトレーディング株式会社 (84)
【Fターム(参考)】