説明

ポリエステル繊維用の変性剤およびその生成方法と応用

【課題】本発明は、ポリエステル繊維用の変性剤およびその生成方法と応用を提供する。
【解決手段】本発明に係るポリエステル繊維用の変性剤は、反応釜にグリコールと、両端ハイドロキシのエーテルと、テレフタル酸ジメチルと、両端ポリエーテル有機シリコンとを入れて、触媒の下でエステル化反応を行い、エステル化された混合物を重合釜に送り、重合反応により、ポリエステル/ポリエーテル/有機シリコンの3元コポリマーを生成し、反応の生成物の温度を低下させて生成される。当該変性剤は直接、またはその他の物質と合成したあと、ポリエステル繊維の変性に使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリエステル繊維の変性用の変性剤およびその生成方法と応用に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、ポリエステル繊維は吸湿及び汗排出性能、静電気防止性能、汚れ除去性能、ふわふわとした柔軟性に欠けており、仕上げはアミノシリコンエマルジョンを主な添加剤としても、アミノシリコンエマルジョンはポリエステル繊維の手触り感だけを改善できるものの、静電気が発生し易い、汚れ易いという欠点に対しては如何なる改善もない。そのため、目下、市場に現れているポリエステル繊維で加工された織物は服装としての使いやすさに欠けており、静電気が発生し易く、汚れ易いという欠点があり、人体の健康に一定の危害を及ぼしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする一つ目の技術課題は、ポリエステル繊維の変性に使用され、それに優れた健康・快適性を与える変性剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記技術課題を解決するため、本発明に係る前記変性剤は、10〜25重量部のグリコールと、15〜25重量部のテレフタル酸ジメチルと、1〜50重量部の両端ポリエーテル有機シリコンと、0.2〜1重量部の触媒としての酢酸金属塩と、80〜170重量部の、分子量が1000〜20000であり、且つ一般式(I)、(II)、(III)を満たす、両端がハイドロキシポリエーテルの1種、2種又は2種以上の化合物とを含有する。
H(OCH2CH2mOH (I)、
H(OCH2CH(CH3))nOH (II)、
H(OCH2CH2p(OCH2CH(CH3))qOH (III)、
なお、m、n、p、qは重複するユニット数を表す。
【0005】
本発明が解決しようとする二つ目の技術課題は、上記変性剤の生成方法を提供することである。
【0006】
上記技術課題を解決するため、本発明に係る変性剤の生成方法は、
1)必要重量部の各種成分を量り取るステップと、
2)反応釜の中に前記グリコールと一般式(I)、(II)、(III)を満たす両端がハイドロキシポリエーテルの1種、2種又は2種以上の化合物を入れて、且つ反応釜を加熱し、温度が60〜80℃に上がるときに真空排気作業をはじめ、釜内部の真空度を−0.090〜−0.095MPaにさせ、その後引続き温度を80〜100℃に上げ、完全に脱水させた後、反応釜に空気を導入し、温度を100〜120℃に上げ、テレフタル酸ジメチルと両端ポリエーテル有機シリコンおよび前記触媒を反応釜に入れて、引続き温度を150〜190℃に上げ、反応釜内の物質を十分エステル化させるステップと、
3)反応釜内で十分エステル化された物質を重合釜の中に入れて、真空度−0.08〜−0.1MPaと温度200〜300℃の下で、前記触媒の触媒作用によって重合を行なわせ、分子量が1000〜50000であるポリエステル/ポリエーテル/有機シリコンの三元共重合体を生成させ、その後、温度を100〜160℃に下げて反応物質を放出し、必要な変性剤完成品を得るステップとを備える。
【0007】
本発明が解決しようとする三つ目の技術課題は、上記変性剤のポリエステル繊維変性に使用される幾つかの典型的な応用を提供し、変性後のポリエステル繊維に数多くの優れた性能を持たせることである。
【0008】
第1には膨張仕上げ剤としての応用であり、前記膨張仕上げ剤には重量比率5〜10%の変性剤が含まれており、それ以外は水である。
【0009】
第2にはスムージング親水仕上げ剤としての応用であり、前記スムージング親水仕上げ剤には重量比率5〜10%の変性剤が含まれており、それ以外は水である。本品は、変性後のポリエステル繊維はふわふわと柔らかくなるだけでなく、滑らかの感じと親水性を有する。
【0010】
第3には耐久性静電気防止剤としての応用であり、前記耐久性静電気防止剤には重量比率5〜10%の変性剤と、重量比率20〜50%の第三級アミン塩類重合物とが含まれており、それ以外は水である。本品は変性後のポリエステル繊維をふわふわと柔らかくするだけでなく、静電気防止性も持たせる。前記第三級アミン塩類重合物はアルキル基第三級アミン塩化物又はアルキル基第三級アミン硝酸塩である。
【0011】
第4には汚れ除去仕上げ剤としての応用であり、前記汚れ除去仕上げ剤には重量比率5〜10%の変性剤と、重量比率2〜5%のグリセリン又はグリコール又はフッ素含有樹脂とが含まれており、それ以外は水である。本品は変性後のポリエステル繊維をふわふわと柔らかくするだけでなく、汚れ除去能力も増強させる。
【0012】
第5には浴中皺防止剤としての応用であり、前記浴中皺防止剤には重量比率5〜10%の変性剤と、重量比率0.5〜3%のポリアクリルアミドとが含まれており、それ以外は水である。本品は変性後のポリエステル繊維をふわふわと柔らかくするだけでなく、皺防止性も持たせる。
【0013】
第6には親水皺防止性高温均一染色剤としての応用であり、この親水皺防止性高温均一染色剤には重量比率3〜20%の変性剤が含まれている。本品は変性後のポリエステル繊維をふわふわと柔らかくするだけでなく、染色の質も向上させる。
【0014】
第7には、ポリエステル繊維織物の染色プロセス中において、変性剤を染料および均一染色剤などのその他の添加材と同時に加入し、変性剤の添加量は織物重量の0.05〜5%であり、染色温度が60〜130℃にて使用することを特徴とする、前記変性剤のポリエステル繊維織物の染色プロセスへの応用である。
【0015】
第8には、ポリエステル繊維織物の浸漬プロセスにおいて、浸漬の際、浸漬液の中に織物重量の0.05〜5%の変性剤を添加することを特徴とする、前記変性剤のポリエステル繊維織物の浸漬プロセスへの応用である。
【0016】
第9には、ポリエステル繊維織物のパディングプロセスにおいて、パディングの際、パディングバスの中に織物重量の0.05〜5%の変性剤を添加することを特徴とする、前記変性剤のポリエステル繊維織物のパディングプロセスへの応用である。
【0017】
上記技術案における関連内容を次の通り説明する。
【0018】
1、上記技術案において、前記両端ポリエーテル有機シリコンは次の一般式を満たす有機シリコンである。
【0019】
【化1】

【0020】
一般式において、RとRはそれぞれ単独で炭素原子数が1〜10のアルキル基を示し、R、R、RとRはそれぞれ単独で水素、メチル基、エチル基を示し、その代表性のある化合物は下記の一般式に示されている。
【0021】
【化2】

【0022】
2、上記技術案において、反応釜に対して加熱し、温度が60〜80℃に上昇する時、真空排気作業を始め、釜の中の真空度を−0.090〜−0.095MPaにさせ、この際、水分はすでに蒸発し始める。水分を完全に蒸発させるために、温度をさらに80〜100℃までに上げる必要がある。その後、排気弁を開けて、反応釜の中に空気を導入する。
【0023】
3、上記技術案において、前記触媒酢酸金属塩は、酢酸亜鉛と、酢酸カルシウムと、酢酸マグネシウムと、酢酸カリウムとを含む。
【0024】
本発明の有益な効果は、以下である。つまり、本発明に係る変性剤は、ポリエステル繊維を変性させることが可能であり、変性後のポリエステル繊維に優れた手触り感(ふわふわとする、柔らかい、滑らかである)と、静電気防止性能と、汚れ除去し易い性能と、洗濯堅ろう度とを持たせ、したがって、変性後のポリエステル繊維で作られた織物の快適性を大いに向上させる。また、本発明は、前記変性剤を母液として、膨張仕上げ剤、スムージング親水仕上げ剤および耐久性静電気防止剤などの数種の増強型変性剤の生成を公開し、ポリエステル繊維に対する変性効果をさらに向上させる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次は具体的な実施例に合わせて本発明についてさらに詳しく説明する。
【実施例1】
【0026】
1)分子量が10000〜20000のポリグリコール(一般式H(OCH2CH2mOHを満たす化合物)800g、グリコール150g、分子量が1000〜5000のポリエーテルジオール(一般式H(OCH2CH(CH3))nOHを満たす化合物)150g、両端ポリエーテル有機シリコン80g、テレフタル酸ジメチル180g、触媒としての酢酸マグネシウム5gを量り取る。
【0027】
2)反応釜の中にポリグリコールと、グリコールおよびポリエーテルポリオールとを入れて、反応釜を加熱し、温度が75℃まで上がるときに真空排気作業を始め、釜の中の真空度を−0.090MPaにさせ、その後引き続き温度を90℃まで上げ、完全に脱水させた後、温度を102℃まで上げて、テレフタル酸ジメチル及び両端ポリエーテル有機シリコンと、酢酸マグネシウムとを反応釜の中に入れて、引続き温度を150℃まで上げ、反応釜の中の反応物質を十分エステル化させ、その後反応釜にてエステル化された反応物質を重合釜中に圧入し、真空度−0.095MPaと温度220℃の下で、酢酸マグネシウムの触媒作用の下で、重合させ、十分な重合反応によって分子量が1000〜50000のポリエステル/ポリエーテル/有機シリコンの三元共重合体が生成され、その後温度を140℃まで下げて反応物質を放出し、完成品を得た。
【実施例2】
【0028】
1)分子量が4000〜8000のポリグリコール(一般式H(OCH2CH2mOHを満たす化合物)900g、グリコール120g、分子量が11000〜15000のポリエーテルポリオール(一般式H(OCH2CH(CH3))nOHを満たす化合物)120g、両端ポリエーテル有機シリコン200g、テレフタル酸ジメチル165g、酢酸カルシウム5gを量り取る。
【0029】
2)反応釜の中にポリグリコールと、グリコールおよびポリエーテルポリオールとを入れて、反応釜を加熱し、温度が78℃まで上がるとき真空排気作業を始め、釜の中の真空度を−0.093MPaにさせ、その後引き続き温度を95℃まで上げ、55分間保温した後、温度を104℃まで上げて、テレフタル酸ジメチルおよび両端ポリエーテル有機シリコンと、酢酸カルシウムとを反応釜の中に入れて、引続き温度を155℃まで上げ、75分間保温し、反応釜の中の反応物質を十分エステル化させ、その後反応釜にてエステル化された反応物質を重合釜中に圧入し、真空度−0.098MPaと温度240℃の下で、酢酸カルシウムの触媒作用の下で、重合させ、十分な重合反応によって分子量が5000〜40000のポリエステル/ポリエーテル/有機シリコンの三元共重合体が生成され、その後温度を150℃まで下げて反応物質を放出し、完成品を得た。
【実施例3】
【0030】
1)分子量が1000〜5000のポリグリコール(一般式H(OCH2CH2mOHを満たす化合物)1000g、グリコール100g、分子量が5000〜9000のグリコール・プロピレンジオールブロックポリエーテル(一般式H(OCH2CH2p(OCH2CH(CH3))qOHを満たす無規則のポリマー化合物)100g、両端ポリエーテル有機シリコン150g、テレフタル酸ジメチル150g、酢酸亜鉛10gを量り取る。
【0031】
2)反応釜の中にポリグリコールと、グリコールおよびグリコール・プロピレンジオールブロックポリエーテルとを入れて、反応釜を加熱し、温度が80℃まで上がるときに真空排気作業を始め、釜の中の真空度を−0.095MPaにさせ、その後引き続き温度を100℃まで上げ、60分間保温した後、温度を106℃まで上げて、テレフタル酸ジメチルと、両端ポリエーテル有機シリコンおよび酢酸亜鉛とを反応釜の中に入れて、引続き温度を160℃まで上げ、反応釜の中の反応物質を十分エステル化させ、その後反応釜にてエステル化された反応物質を重合釜中に圧入し、真空度−0.1MPaと温度250℃の下で、酢酸亜鉛の触媒作用の下で、重合させ、十分な重合反応によって分子量が1000〜50000のポリエステル/ポリエーテル/有機シリコンの三元共重合体が生成され、その後温度を100℃まで下げて反応物質を放出し、完成品を得た。
【0032】
本発明に係る生成プロセスは2段法を用いることが2つの理由がある。
1、生産プロセスにおいて、エステル化反応の副産物はメタノールであるが、重合反応の副産物はグリコールであり、同一の釜システムにて副産物(メタノール、グリコール)の生産回収を行うとき、交差汚染を生じさせるので、再び蒸留純化することが必要である。一方、ステップを分けると、エステル化副産物のメタノールの純度は90%以上に達することができ、重合副産物のグリコールの純度は99%以上に達することができるので、再度の蒸留純化が要らず、直接原料として使用できる。このような直接的循環利用は、生産プロセスをシンプルにするだけでなく、省エネ・環境保全のニーズも満たしている。
【0033】
2、一段プロセスによって生産する場合、重合プロセスにおいて、重合度の向上に伴って、反応物質の分子量も大きくなり、物質の粘度も大きくなるので、反応釜のモータは過負荷によって良く運転ストップしてしまう。一旦運転ストップしてしまうと、再び起動できないため、厳重な品質問題を引き起こしてしまう。
【0034】
例えば、1台の3トンのエステル化反応釜の場合、反応物の粘度が非常に低いので、5KWのモータなら十分である。1台の3トンの重合反応釜の場合、重合度が高くなるにつれ、物質の分子量が大きくなり、物質の粘度も大きくなるので、18.5KW以上のモータの場合のみ正常な生産を確保することができる。通常な情況において、重合反応に使用されるモータのパワーは比較的大きく、エステル化反応に使用されるモータのパワーは小さく、攪拌速度も速いので、ステップ式を使用すると、生産コストを低減すると共に、品質管理を向上させることができる。
【0035】
本発明に係る生産プロセスによって生産される変性剤はポリエステル繊維を変性させることが可能であり、変性後のポリエステル繊維に優れた吸湿・汗排出性能と、膨張柔軟性とを持たせ、従って、変性後のポリエステル繊維で作られた織物の快適性を大きく向上させている。また、本発明は前記変性剤を母液として、膨張仕上げ剤と、スムージング親水仕上げ剤および耐久性静電気防止剤など、数種のポリエステル繊維に対して変性作用を有する増強型の変性剤を生成しているので、次の実施例を参照して説明する。
【実施例4】
【0036】
膨張仕上げ剤:実施例1によって作られた変性剤に水を加えて、質量百分比濃度が8%の膨張仕上げ剤を調製して、タオル生地染色後の浸漬プロセスに使用し、その使用量は3%(o.m.f)であり、その後50℃×30minにて脱水、乾燥、成形を行う。当該膨張仕上げ剤は完成品のタオル生地をふわふわと柔らかくするとともに、滑らかな感じもする。O.W.F.(On weight the fabric)とは、織物の重量を基準とし、織物に対する百分比のことを指し、例えば、ある条件の下で、100kgの生地を染める場合、染料の使用量は4%(owf)で、つまり、これらの生地を染めるには100×0.04=4kgの染料が必要となる。
【実施例5】
【0037】
膨張仕上げ剤:実施例2によって得られた変性剤に水を加えて、質量百分比濃度が5%の膨張仕上げ剤をタオル生地染色後の浸漬プロセスに使用する。
【実施例6】
【0038】
スムージング親水仕上げ剤:実施例2によって得られた変性剤に水を加えて、質量百分比濃度が7%のスムージング親水仕上げ剤を調製して、ハイパイル染色後の浸漬プロセスに使用し、その使用量は4%(o.m.f)であり、その後50℃×30minにて脱水、乾燥、成形を行う。このスムージング親水仕上げ剤は、変性後のハイパイルをふわふわとした柔軟性を持たせるだけでなく、滑らかの感じと親水性も持たせる。
【実施例7】
【0039】
スムージング親水仕上げ剤:実施例1によって得られた変性剤に水を加えて、質量百分比濃度が10%のスムージング親水仕上げ剤を調製して、ハイパイル染色後の浸漬プロセスに使用する。
【実施例8】
【0040】
耐久性静電気防止剤:実施例2によって得られた変性剤8パーセントとWX−680A30パーセントおよび水62パーセントを用いてスムージング親水仕上げ剤を調製して、スエードクロス染色後のパディングプロセスに使用し、その使用量は30g/Lであり、1浸漬+1ローリング(ローリング後の残り率は70〜75%)を行い、最後に脱水、乾燥、成形を行う。この耐久性静電気防止剤は、変性後のポリエステル繊維をふわふわと柔らかくするだけでなく、優れた静電気防止性能も持たせる。
【実施例9】
【0041】
耐久性静電気防止剤:実施例3によって得られた変性剤5パーセントとWX−680A40パーセントおよび水55パーセントを用いてスムージング親水仕上げ剤を調製して、スエードクロス染色後のパディングプロセスに使用する。
【実施例10】
【0042】
汚れ除去仕上げ剤:実施例1によって得られた変性剤10パーセントとグリセリン1パーセントおよび水89パーセントを用いて汚れ除去仕上げ剤を調製して、ニットウェア染色後のパディングプロセスに使用し、その使用量は30g/Lであり、1浸漬+1ローリング(ローリング後の残り率は70〜75%)を行い、その後脱水、乾燥、成形を行う。この汚れ除去仕上げ剤は、変性後のポリエステル繊維をふわふわと柔らかくするだけでなく、汚れ除去能力も増強させる。
【実施例11】
【0043】
汚れ除去仕上げ剤:実施例3によって得られた変性剤6パーセントとグリセリン3パーセントおよび水91パーセントを用いて汚れ除去仕上げ剤を調製して、ニットウェア染色後のパディングプロセスに使用する。
【実施例12】
【0044】
浴中皺防止剤:実施例2によって得られた変性剤8パーセントとポリアクリルアミド1パーセントおよび水91パーセントを用いて浴中皺防止剤を調製して、タオル生地染色の一浴プロセスに使用し、その使用量は4%(o.w.f)であり、その後染色、還元洗浄、脱水、乾燥、成形を行う。つまり、係る変性剤は高温・高圧染色機の中で、ポリアクリルアミドと一浴にも使用することができ、タオルをふわふわと柔らかくするだけでなく、優れた皺防止性能を持たせる。それと同時に、ポリアクリルアミドの使用中における手触り感じが粗い問題を改善させる。
【実施例13】
【0045】
浴中皺防止剤:実施例1によって得られた変性剤9パーセントとポリアクリルアミド0.5パーセントおよび水90.5パーセントを用いて浴中皺防止剤を調製して、タオル生地染色の一浴プロセスに使用する。
【実施例14】
【0046】
親水皺防止性高温均一染色剤:実施例1によって得られた変性剤に水を加えて、質量百分比濃度が10%の親水皺防止性高温均一染色剤を調製して、タオル染色の一浴プロセスに使用し、その使用量は4%(o.w.f)であり、染色、還元洗浄、脱水、乾燥、成形を行う。この親水皺防止性高温均一染色剤は、変性後のポリエステル繊維をふわふわと柔らかくすると同時に、染色の品質も向上させ、染色後の織物の色を更に均一且つ鮮やかにさせる。
【実施例15】
【0047】
親水皺防止性高温均一染色剤:実施例2によって得られた変性剤に水を加えて、質量百分比濃度が20%の親水皺防止性高温均一染色剤を調製して、タオル染色の一浴プロセスに使用する。
【実施例16】
【0048】
染色プロセスにおいて、実施例1によって得られたポリエステル繊維変性剤と分散染料レッドC.I.分散レッド60(60756)と均一染色剤600#スルホン酸塩を同時に加え、変性剤の添加量は織物重量の0.3%とし、染色温度120℃にて使用する。
【実施例17】
【0049】
染色プロセスにおいて、実施例3によって得られたポリエステル繊維変性剤と分散染料レッドC.I.分散ブルー20と均一染色剤600#スルホン酸塩を同時に加え、変性剤の添加量は織物重量の4%とする。
【実施例18】
【0050】
実施例1によって得られる変性剤のポリエステル繊維織物の浸漬プロセスへの応用であって、浸漬の際、浸漬液に織物重量の4%を占める変性剤を加えることを特徴とする。
【実施例19】
【0051】
実施例3によって得られる変性剤のポリエステル繊維織物の浸漬プロセスへの応用であって、浸漬の際、浸漬液に織物重量の0.4%を占める変性剤を加えることを特徴とする。
【実施例20】
【0052】
実施例2によって得られる変性剤のポリエステル繊維織物のパディングプロセスへの応用であって、パディングの際、パディングバスの中に織物重量の3.5%を占める変性剤を加えることを特徴とする。
【実施例21】
【0053】
実施例3によって得られる変性剤のポリエステル繊維織物のパディングプロセスへの応用であって、パディングの際、パディングバスの中に織物重量の0.05%を占める変性剤を加えることを特徴とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル繊維用の変性剤であって、
10〜25重量部のグリコールと、15〜25重量部のテレフタル酸ジメチルと、1〜50重量部の両端ポリエーテル有機シリコンと、0.2〜1重量部の触媒としての酢酸金属塩と、80〜170の重量部の、分子量が1000〜20000であり、且つ一般式(I)、(II)、(III)を満たす、両端がハイドロキシポリエーテルの1種、2種又は2種以上の化合物とを含有することを特徴とするポリエステル繊維用の変性剤。
H(OCH2CH2mOH (I)、
H(OCH2CH(CH3))nOH (II)、
H(OCH2CH2p(OCH2CH(CH3))qOH (III)、
なお、m、n、p、qは重複するユニット数を表す。
【請求項2】
請求項1によるポリエステル繊維用の変性剤の生成方法であって、
1)必要重量部の各成分を量り取るステップと、
2)反応釜の中に前記グリコールと一般式(I)、(II)、(III)を満たす、両端がハイドロキシポリエーテルの1種、2種又は2種以上の化合物とを入れて、反応釜を加熱し、温度が60〜80℃に上がるときに真空排気作業をはじめ、釜内部の真空度を−0.090〜−0.095MPaにさせ、その後引続き温度を80〜100℃に上げ、完全に脱水させた後、反応釜に空気を導入し、温度を100〜120℃に上げ、テレフタル酸ジメチルと両端ポリエーテル有機シリコンおよび前記触媒を反応釜に入れて、引続き温度を150〜190℃に上げ、反応釜内の物質を十分エステル化させるステップと、
3)反応釜内で十分エステル化された物質を重合釜中に入れて、真空度−0.08〜−0.1MPaと温度200〜300℃の下で、前記触媒の触媒作用によって重合を行なわせ、分子量が1000〜50000であるポリエステル/ポリエーテル/有機シリコンの三元共重合体を生成させ、その後温度を100〜160℃に下げて反応物質を放出し、必要な変性剤完成品を得るステップと
を備えることを特徴とするポリエステル繊維用の変性剤の生成方法。
【請求項3】
請求項1記載の変性剤によって得られる膨張仕上げ剤であって、重量比率5〜10%の変性剤を含有し、それ以外は水であることを特徴とする膨張仕上げ剤。
【請求項4】
請求項1記載の変性剤によって得られるスムージング親水仕上げ剤であって、重量比率5〜10%の変性剤を含有し、それ以外は水であることを特徴とするスムージング親水仕上げ剤。
【請求項5】
請求項1記載の変性剤によって得られる耐久性静電気防止剤であって、重量比率5〜10%の変性剤と、重量比率20〜50%の第三級アミン塩類重合物とを含有し、それ以外は水であることを特徴とする耐久性静電気防止剤。
【請求項6】
前記第三級アミン塩類重合物はアルキル基第三級アミン塩化物又はアルキル基第三級アミン硝酸塩であることを特徴とする請求項5記載の耐久性静電気防止剤。
【請求項7】
請求項1記載の変性剤によって得られる汚れ除去仕上げ剤であって、重量比率5〜10%の変性剤と、重量比率2〜5%のグリセリン又はグリコール又はフッ素含有樹脂とを含有し、それ以外は水であることを特徴とする汚れ除去仕上げ剤。
【請求項8】
請求項1記載の変性剤によって得られる浴中皺防止剤であって、重量比率5〜10%の変性剤と、重量比率0.5〜3%のポリアクリルアミドとを含有し、それ以外は水であることを特徴とする浴中皺防止剤。
【請求項9】
請求項1記載の変性剤の親水皺防止性高温均一染色剤への応用であって、前記親水皺防止性高温均一染色剤には重量比率3〜20%の変性剤が含まれることを特徴とする、変性剤の親水皺防止性高温均一染色剤への応用。
【請求項10】
請求項1記載の変性剤のポリエステル繊維織物の染色プロセスへの応用であって、染色プロセスにおいて、変性剤と染料とを同時に加入し、変性剤の添加量は織物重量の0.05〜5%であり、染色温度60〜130℃にて使用されることを特徴とする、変性剤のポリエステル繊維織物の染色プロセスへの応用。
【請求項11】
請求項1記載の変性剤のポリエステル繊維織物の浸漬プロセスへの応用であって、浸漬の際、浸漬液の中に織物重量の0.05〜5%の変性剤を添加することを特徴とする、変性剤のポリエステル繊維織物の浸漬プロセスへの応用。
【請求項12】
請求項1記載の変性剤のポリエステル繊維織物のパディングプロセスへの応用であって、パディングの際、パディングバスの中に織物重量の0.05〜5%の変性剤を添加することを特徴とする、変性剤のポリエステル繊維織物のパディングプロセスへの応用。

【公表番号】特表2012−509412(P2012−509412A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536724(P2011−536724)
【出願日】平成21年4月3日(2009.4.3)
【国際出願番号】PCT/CN2009/000373
【国際公開番号】WO2010/057356
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(511125146)張家港市徳宝化工有限公司 (1)
【Fターム(参考)】