説明

ポリエチレンテレフタレートからのポリブチレンテレフタレート共重合体の製造プロセスおよびその組成物と物品

あるプロセスは、ポリエチレンテレフタレート成分を含む第1のポリマーを、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリ乳酸およびこれらの組み合わせから構成される群から選択された少なくとも1つの第2のポリマーの存在下、1,4−ブタンジオールで解重合して溶融混合物を生成するステップと、変性ポリブチレンテレフタレート共重合体の形成に十分な条件下で前記溶融混合物を重合するステップと、を備える。前記変性PBTは、(a)少なくとも1つのポリエチレンテレフタレート成分残基と、(b)(i)ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリ乳酸およびこれらの組み合わせから構成される群から選択された前記少なくとも1つの第2のポリマーと、(ii)前記第2のポリマーから誘導された前記少なくとも1つの残基と、(iii)これらの組み合わせ、から構成される群から選択された要素と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポリエチレンテレフタレートからのポリブチレンテレフタレートの製造プロセスおよびその組成物と物品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリブチレンテレフタレート(PBT)系の熱可塑性成形用組成物は種々の用途に使用されている。従来のPBT成形用組成物は多くの顧客にとって有用でありながら、使用済み消費者用または工業用PBTスクラップ材料の大量供給が利用できないために、一般にはPBTの再利用源から製造できない。PBTと違って、ポリエチレンテレフタレート(PET)ははるか大量に製造されており、消費者用廃棄物からより容易に回収される。
【0003】
非再生資源の節約と未利用のスクラップPETのより効果的な再利用に対する要求が益々高まるにつれて、スクラップPET材料からPBTを誘導する改良された、より安価なプロセスが求められており、誘導されたPBT組成物が、引張強度、衝撃強度および熱特性などの物性において所望の物性を有する場合には特にそうである。このプロセスが、他のポリマー成分およびまたは不純物を含むPET配合組成物にも対応できるならば特に有利であろう。
【発明の概要】
【0004】
ポリエチレンテレフタレートホモポリマー、ポリエチレンテレフタレート共重合体およびこれらの組み合わせから構成される群から選択されたポリエチレンテレフタレート成分を含む第1のポリマーを、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリ乳酸およびこれらの組み合わせから構成される群から選択された少なくとも1つの第2のポリマーの存在下、第1の温度および少なくとも大気圧の第1の圧力下のリアクタ内で、溶融混合物の生成に効果的な条件下で、1,4−ブタンジオールである時間解重合するステップを備えるプロセスが本明細書に開示される。該溶融混合物は、エチレンテレフタレート基を含むオリゴマ、エチレンイソフタレート基を含むオリゴマ、ジエチレンテレフタレート基を含むオリゴマ、ジエチレンイソフタレート基を含むオリゴマ、ブチレンテレフタレート基を含むオリゴマ、ブチレンイソフタレート基を含むオリゴマ、前述の基を少なくとも2つ含む共有結合オリゴマ部分、1,4−ブタンジオール、エチレングリコールおよびこれらの組み合わせから構成される群から選択された第1の成分を含む。該溶融混合物は、(i)ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリ乳酸およびこれらの組み合わせから構成される群から選択された前記少なくとも1つの第2のポリマーと、(ii)ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリ乳酸およびこれらの組み合わせから構成される群から選択された前記少なくとも1つの第2のポリマーから誘導された少なくとも1つの残基と、(iii)これらの組み合わせ、から構成される群から選択された第2の成分を含む。解重合の後、該溶融混合物は、前記第1の温度より高い第2の温度および前記第1の圧力より低い減圧状態の第2の圧力で、不活性雰囲気下で攪拌しながら、変性ポリブチレンテレフタレート共重合体の形成に十分な条件下で、ある時間重合される。該変性PBTは、(a)少なくとも1つのポリエチレンテレフタレート成分残基と、(b)(i)ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリ乳酸およびこれらの組み合わせから構成される群から選択された前記少なくとも1つの第2のポリマーと、(ii)前記第2のポリマーから誘導された前記少なくとも1つの残基と、(iii)これらの組み合わせ、から構成される群から選択された要素と、を含む。
【0005】
別の実施形態では、ある組成物は、(a)ポリエチレンテレフタレート成分から誘導された少なくとも1つの残基と、(b)(i)ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリ乳酸およびこれらの組み合わせから構成される群から選択された少なくとも1つのポリマーと、(ii)ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリ乳酸およびこれらの組み合わせから構成される群から選択されたポリマーから誘導された少なくとも1つの残基と、(iii)これらの組み合わせ、から構成される群から選択された要素と、を含む変性ポリブチレンテレフタレート共重合体を含む。
【0006】
さらに別の実施形態では、ある組成物は、ポリエチレンテレフタレート成分の質量部または質量に対してそれぞれ、0超〜290ppm未満のポリ塩化ビニルと、0超〜5.7質量%未満のナイロン6と、0超〜5.7質量%未満のナイロン6,6と、0超〜8質量%未満のポリ乳酸、から構成される群から選択された第2のポリマーを含むポリエチレンテレフタレート混合物から誘導された、上記の変性ポリブチレンテレフタレート共重合体を含む。前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導された残基は、エチレングリコール基、ジエチレングリコール基、イソフタル酸基、アンチモン含有化合物、ゲルマニウム含有化合物、チタン含有化合物、コバルト含有化合物、スズ含有化合物、アルミニウム、アルミニウム塩、1,3−シクロヘキサンジメタノール異性体、1,4−シクロヘキサンジメタノール異性体、アルカリ塩、アルカリ土類金属塩、リン含有化合物およびアニオン、硫黄含有化合物およびアニオン、ナフタレンジカルボン酸、1,3−プロパンジオール基およびこれらの組み合わせから構成される群から選択される。
【0007】
本発明のこれらおよびその他の特長、様相および利点は、以下の記載および添付の特許請求の範囲を参照することによって一層よく理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0008】
我々の発明は、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミドおよびポリ乳酸などの他のポリマーを含む使用済み消費者用および工業用ポリ(エチレンテレフタレート)源から、商業上有用な変性ポリ(ブチレンテレフタレート)共重合体を製造することが今や可能であるとの発見に基づいている。我々はまた、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミドおよびポリ乳酸を含む変性ポリ(ブチレンテレフタレート)共重合体が好適な特性を示し商業目的上有用とする、これらの物質の存在可能な特定量を見出した。我々はまた、組成物を商業目的上不適とするポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンおよびポリアミドの特定量も見出した。
【0009】
より具体的には、我々の発明は、例えばポリ塩化ビニルなどの付加的なポリマーを含むポリエチレンテレフタレート(PET)配合組成物から出発して、PETを本明細書で変性ポリブチレンテレフタレート(PBT)と呼ぶものに変換できるとの発見に基づいている。該変性PBT組成物は、商業用成形用途に好適な物性を有する。未使用PBT(モノマーから調製されたPBT)を含む従来の成形用組成物とは違って、成形品に用いられる該変性PBTは、例えば、エチレングリコールやイソフタル酸基などの材料などのポリエチレンテレフタレート残基(「未使用」のモノマー系PBTには存在しない成分)を含む。一部の例では、該変性PBT成形用組成物は、未使用PBTを含む成形用組成物と比較して、流動特性と機械的特性が向上している。該プロセスによって、PBT成形用途での利用に対して、使用済み消費者用または工業用スクラップPETの流れを効果的に再利用する貴重な方法が提供される。さらに、該プロセスによって、非再生資源の節約が支援され、例えばCOなどの温室効果ガスの生成が低減される。
【0010】
本明細書において、単数表現は複数の対象を含む。用語「組み合わせ」には、配合、混合、合金、反応生成物などが含まれる。本明細書における技術用語および科学用語は、別途明示される場合を除き、当業者が通常理解しているものと同じ意味を有する。化合物は標準名称法を用いて記述される。「およびこれらの組み合わせ」の表現には、指定された成分およびまたは、具体的に指定されていないが本質的に同様の機能を有する他の成分が含まれる。
【0011】
本出願における「ランダム共重合体」は、所定のモノマー単位を該共重合体の骨格鎖の任意の所定サイトに見出す可能性が隣接する単位の性質とは無関係である巨大分子を含む共重合体を指す。
【0012】
作用例以外あるいは別途明示される場合を除いて、明細書と特許請求の範囲で使用される、成分量や反応条件などを表すすべての数あるいは表現は、すべての場合において用語「約」で修飾されると理解されものとする。本出願では種々の数値範囲が開示されている。これらの範囲は連続しているため、最小値と最大値間のすべての数値が含まれる。同じ特性または成分に関するすべての範囲の終了点は互いに独立に組み合わせ可能であり、該終点を含む。別途明示される場合を除き、本出願における種々の数値範囲は近似である。「0超〜」ある量との表現は、指定された成分が0を上回るある量から指定された大きな数値(その数値を含む)まで存在することを意味する。
【0013】
別途明示される場合を除き、すべてのASTM試験およびデータは、ASTM標準2003年版からのものである。
【0014】
例えばある分子中の基の質量%を示すために用いられる「テレフタル酸基」、「イソフタル酸基」、「エチレングリコール基」、「ブタンジオール基」および「ジエチレングリコール基」に関し、「イソフタル酸基」は、式(−O(CO)C(CO)−)を有するイソフタル酸の基または残基を、「テレフタル酸基」は、式(−O(CO)C(CO)−)を有するテレフタル酸の基または残基を、「ジエチレングリコール基」は、式(−O(C)O(C)−)を有するジエチレングリコールの基または残基を、「ブタンジオール基」は、式(−O(C)−)を有するブタンジオールの基または残基を、「エチレングリコール基」は、式(−O(C)−)を有するエチレングリコールの基または残基を意味する。
【0015】
一般に、該変性PBT共重合体(PET変性PBTまたはPET由来PBTとも呼ぶ)は、1,4−ブタンジオールと、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリ乳酸あるいはこれらの組み合わせから選択された少なくとも1つの第2のポリマーと、の存在下でPET成分を解重合し、その後、解重合されたPET成分を1,4−ブタンジオールおよび触媒で重合するプロセスで製造される。
【0016】
変性PBT共重合体が製造されるPET成分は種々の形態であり得る。一般に、PET成分は、フレーク状、パウダー/チップ状、フィルム状あるいはペレット状の再利用(スクラップ)PETを含む。一般に、PETを使用前に処理して、紙、接着剤、例えばポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ナイロン、ポリ乳酸(脂肪族ポリエステル)および他の混入物質などの不純物を除去する。しかしながら、本明細書での実施例では、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、ポリ乳酸および他のポリマー混入物質が前記プロセス中に存在するときに、PETから変性PBTへの効果的な変換が可能であることを明示している。該PET成分は、フレーク状、チップ状あるいはペレット状の廃棄物ではないPETも含み得る。このように、通常はゴミ廃棄場に捨てられるPETは、今や生産的にそして有効に使用できる。ある実施形態では、該PET成分はさらに、芳香族ジカルボン酸から誘導された他のポリエステルおよびまたはポリエステル共重合体も含み得る。こうした材料には、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンテレフタレート、テレフタレートエステルとシクロヘキサンジメタノールおよびエチレングリコールを含むコモノマーとのコポリエステル、テレフタル酸とシクロヘキサンジメタノールおよびエチレングリコールを含むコモノマーとのコポリエステル、ポリブチレンテレフタレート、ポリキシリレンテレフタレート、ポリジアノールテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエステルナフタレートおよびこれらの組み合わせなどのポリアルキレンテレフタレートが含まれる。
【0017】
ある実施形態では、該変性PBT共重合体成分の製造に用いられる1,4−ブタンジオールはそのすべてまたは一部を、バイオマス、例えばトウモロコシ由来の1,4−ブタンジオールあるいはセルロース系材料から誘導された1,4−ブタンジオールから誘導される。「バイオマス」とは、通常は非再生炭化水素源から誘導される有用な化学物質に直接あるいは以降に変換可能な、生きたあるいは死んだ生体物質を意味する。バイオマスにはとりわけ、セルロース系材料、穀物、穀物由来デンプン、脂肪酸、植物油が含まれ得る。この実施形態を用いれば、該変性ポリブチレンテレフタレートを含む組成物の製造によって、PBTを化石燃料由来モノマーから製造する場合に通常発生するCO排出量をさらに削減できる。またこれによって、PBT製造に用いる非再生炭化水素源量をさらに低減する。
【0018】
該変性PBT共重合体のある具体的な製造方法では、PET成分は、(a)1,4−ブタンジオールと、触媒と、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、ポリ乳酸およびこれらの組み合わせから構成される群から選択された少なくとも1つの第2のポリマーと、の存在下で解重合される。この解重合ステップによって、エチレンテレフタレート基を含むオリゴマ、エチレンイソフタレート基を含むオリゴマ、ジエチレンテレフタレート基を含むオリゴマ、ジエチレンイソフタレート基を含むオリゴマ、ブチレンテレフタレート基を含むオリゴマ、ブチレンイソフタレート基を含むオリゴマおよび前述の基を少なくとも2つ含む共有結合オリゴマ部分から成る溶融混合物が得られる。この解重合の実現に好適な条件には、少なくとも大気圧である圧力と180℃〜230℃の範囲の温度が含まれる。解重合混合物は選択的に不活性雰囲気下で攪拌される。このように、我々のプロセスでは、ポリ(エチレンテレフタレート)をその構成モノマーまたはオリゴマに分解することによって、ポリ(エチレンテレフタレート)廃棄物、例えばPET成分を変性ポリ(ブチレンテレフタレート)共重合体に変換する。
【0019】
次のステップ(b)では、該溶融混合物を加熱し圧力を減圧状態まで下げて、下式(1)、(2)、(3)、(4)から選択されるポリエステル単位を含む変性PBT共重合体を形成する。
【化1】

式中、Dは1,4−ブチレン(−(C)−)であり、D’はエチレン(−(C)−)であり、R’はテレフタリレン(−1,4−(C)−)であり、R’’はイソフタリレン(−1,3−(C)−)である。
【0020】
1,4−ブタンジオールは解重合の間、連続的にリアクタ内に還流できる。ある実施形態では、1,4−ブタンジオールは解重合(ステップ(a))の間、リアクタ内に還流される。別の実施形態では、過剰の1,4−ブタンジオール、エチレングリコールおよびテトラヒドロフランは、重合(ステップ(b))の間に除去される。
【0021】
該PET成分と1,4−ブタンジオール成分は、一般に大気圧下で混合される。また、例えば100kPa〜500kPa絶対などの大気圧より高い圧力を用いることも可能である。例えばある実施形態では、PET成分と1,4−ブタンジオールが受ける圧力は200kPa(2気圧)またはそれ以上である。圧力の上昇に伴って、解重合は230℃より高温度で起こり得る。
【0022】
PET成分、1,4−ブタンジオールおよび前記少なくとも1つの第2のポリマーの混合・反応温度は、該PET成分の、ポリエチレンテレフタレートオリゴマおよびポリブチレンテレフタレートオリゴマ、1,4−ブタンジオールおよびエチレングリコールなどの成分への解重合の促進に十分なものとする。より具体的には、該PET成分は、エチレンテレフタレート基を含むオリゴマ、エチレンイソフタレート基を含むオリゴマ、ジエチレンテレフタレート基を含むオリゴマ、ジエチレンイソフタレート基を含むオリゴマ、ブチレンテレフタレート基を含むオリゴマ、ブチレンイソフタレート基を含むオリゴマおよび前述の部分を少なくとも2つ含む共有結合オリゴマ部分に解重合される。該PET成分および1,4−ブタンジオール成分を混合する温度は一般に180℃〜230℃である。
【0023】
1,4−ブタンジオールは一般に、PET成分に対して過剰量用いられる。ある実施形態では、1,4−ブタンジオールの過剰モル量は、ポリエチレンテレフタレート繰り返し単位のモル数に対して2〜20である。
【0024】
PET成分と1,4−ブタンジオールとの混合・反応プロセス(ステップ(a))の初期段階で、該PET成分は溶融混合物に解重合する。上記の通り、該溶融混合物は少なくとも、ポリエチレンテレフタレートオリゴマ、ポリブチレンテレフタレートオリゴマ、1,4−ブタンジオールおよびエチレングリコールを含む。一般に、該1,4−ブタンジオールとエチレングリコールを再循環させて、テトラヒドロフランを本プロセスのこのステップの間に蒸留する。ある実施形態では、該PET成分は、エチレングリコールまたはプロピレングリコールでも解重合される。
【0025】
解重合ステップの継続時間は、使用装置、生産ニーズ、所望の最終特性などの要因に依存するが、少なくとも30分である。ある実施形態では、解重合ステップは少なくとも2時間行なわれ、別の実施形態では、2〜5時間行なわれる。
【0026】
該プロセスにはさらに、溶融混合物を減圧下、少なくとも230℃、より具体的には230℃〜260℃まで加熱して重合させ、PET成分由来の変性PBT共重合体を形成するステップ(ステップ(b))が含まれる。
【0027】
一般に、該溶融混合物は、前記第1の圧力より低い第2の圧力下に置かれる。ある実施形態では、第1の圧力は、第2の圧力である13.3kPa〜0.0067kPaに連続的に下げられる。別の実施形態では、第1の圧力は、第2の圧力である1.33kPa〜0.0134kPaに連続的に下げられる。より具体的には、第2の圧力は0.3kPa絶対未満である。好都合なことに、該溶融混合物は、それからいかなる材料の分離や分解を行うことなく減圧状態下に置くことができる。このステップを回避出来ることによって、本プロセスの実用性が大いに高められる。該重合は不活性雰囲気下で攪拌しながら行われる。
【0028】
前記溶融混合物を減圧状態下とする温度は、前記ポリエチレンテレフタレートオリゴマ、ポリブチレンテレフタレートオリゴマ、1,4−ブタンジオールおよびエチレングリコールの重合を促進させるのに十分に高いものとする。より具体的には、温度は230℃〜260℃である。
【0029】
該溶融混合物を減圧状態下に置き加熱するステップの間に、過剰の1,4−ブタンジオール、エチレングリコールおよびテトラヒドロフラン(THF)はリアクタから除去され、オリゴマの分子量を形成する。連続的に攪拌して低沸点成分が容易に除去できるようにする。十分な分子量が得られた後、生成した溶融PBTポリマーをリアクタから滴下させ、冷却、撚り合わせした後ペレットに裁断する。
【0030】
前記溶融混合物が、ポリエチレンテレフタレートオリゴマ、ポリブチレンテレフタレートオリゴマ、1,4−ブタンジオールおよびエチレングリコールから重合するステップの継続時間は、使用装置、生産ニーズおよび所望の最終特性などの要因に依存して変えられる。ある実施形態では、該重合は少なくとも60分間行われ、別の実施形態では、2〜5時間行なわれる。生成した混合物は、変性PBTと少なくとも1つのポリエチレンテレフタレート成分残基を含む。該変性PBTはさらに、前記少なくとも1つの第2のポリマーと、該第2のポリマーから誘導された少なくとも1つの残基あるいはこれらの組み合わせを含む。
【0031】
該プロセスの2つのステップは同一のリアクタ内で行なうことができる。しかしながら、ある実施形態では、該プロセスは少なくとも2つの別個のリアクタ内で行われ、その場合には、ステップ(a)が第1のリアクタ内で行われ、溶融混合物の形成後に、この溶融混合物を第2のリアクタに入れてステップ(b)が行われる。別の実施形態では、該プロセスを3つ以上のリアクタ内で行うことができる。別の実施形態では、該プロセスを連続した一連のリアクタ内で行なうことができる。
【0032】
触媒を用いてこの反応を促進できる。典型的な触媒としては、アンチモン化合物、スズ化合物、チタン化合物、これらの化合物の組み合わせ、および文献で開示された他の多くの金属触媒とその組み合わせが挙げられる。触媒量は、具体的な反応成分や条件に依存して変化するが、1〜5000ppmあるいはそれ以上とすることができる。触媒成分は通常、ステップ(a)において、PET成分、1,4−ブタンジオールおよびイオン性モノマーの初期混合の間に添加される。別の実施形態では、触媒成分は、PET成分と1,4−ブタンジオールを混合・反応させた後に形成する溶融混合物に添加できる。前記解重合と重合の2つのステップの間に触媒を添加することもできる。
【0033】
変性共重合体の製造プロセスは好適には攪拌状態下で行われる。「攪拌状態」または「攪拌」とは、ステップ(a)において、前記PET成分、前記少なくとも1つの第2のポリマーおよび1,4−ブタンジオールを、それらを物理的に混合してPETの解重合を促進する状態に置くこと、およびまたは、ステップ(b)において、前記溶融混合物を、それを物理的に混合して重合を促進させ、ポリエチレンテレフタレートオリゴマ、ポリブチレンテレフタレートオリゴマ、1,4−ブタンジオールおよびエチレングリコールから変性PBTを形成する状態に置くことを指す。該物理的な混合は当分野で既知の方法で実現できる。ある実施形態では、回転軸とそれに垂直な羽根を備えたミキサを用いることができる。
【0034】
本プロセスは、アルカリ金属を含む塩基性化合物を、解重合ステップ(a)、重合ステップ(b)あるいはこれらの組み合わせステップにおいてリアクタに添加することによって、本プロセス中に生成するTHF量を低減するステップを備えることができ、これによってTHF形成が低減される。該塩基性化合物はアルカリ金属を含んでおり、例えばナトリウムアルコキシド、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、カリウムアルコキシド、水酸化カリウム、酢酸カリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、リチウムアルコキシド、水酸化リチウム、酢酸リチウム、炭酸リチウム、重炭酸リチウム、カルシウムアルコキシド、水酸化カルシウム、酢酸カルシウム、炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、マグネシウムアルコキシド、水酸化マグネシウム、酢酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸マグネシウム、アルミニウムアルコキシド、水酸化アルミニウム、酢酸アルミニウム、炭酸アルミニウム、重炭酸アルミニウムおよびこれらの組み合わせなどとすることができる。混合物に添加される塩基性化合物の量は、変性ポリ(1,4−ブチレンテレフタレート)共重合体の質量部に対して、一般に少なくとも0.1ppmであり、具体的には0.1〜50ppmであり、より具体的には1〜10ppmである。アルカリ金属を含む塩基性化合物の添加によって、本プロセスを塩基性化合物なしに行う場合と比較してTHFの合計生成量を低減できる。ある実施形態では、本プロセス中に生成するTHFの合計量は、塩基性化合物を使用しないプロセスと比較して少なくとも10%低減し、別の実施形態では、少なくとも10%〜50%あるいはそれ以上低減する。別の実施形態では、THF量は少なくとも10%〜50%低減する。
【0035】
THFの形成低減の目的で、二官能性エポキシ化合物を選択的に添加できる。該エポキシ化合物は二官能性エポキシ類の群から選択できる。好適な二官能性エポキシ化合物の例としては、3,4−エポキシシクロヘキシル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、アジピン酸ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)、ビニルシクロヘキセンジ−エポキシド、ビスフェノール−Aジグリシジルエーテルなどのビスフェノールジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノール−Aジグリシジルエーテル、グリシドール、ジグリシジルのアミンおよびアミド付加物、フタル酸のグリシジルエステルおよびヘキサヒドロフタル酸のジグリシジルエステルなどのジグリシジルのカルボン酸付加物、および、アジピン酸ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)、ブタジエンジエポキシド、ビニルシクロヘキセンジエポキシド、ジシクロペンタジエンジエポキシドなどが挙げられる。3,4−エポキシシクロヘキシル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレートは特に好適である。混合物に添加されるエポキシの量は、変性ポリ(1,4−ブチレンテレフタレート)共重合体の質量に対して、一般に少なくとも0.05質量%であり、具体的には0.1〜1質量%であり、より具体的には0.2〜0.5質量%である。
【0036】
該変性PBT共重合体の別の製造方法では、3ステッププロセスが用いられる。このプロセスでは、PET成分は、(a)前記少なくとも1つの第2のポリマー、エチレングリコール、プロピレングリコールまたはこれらの組み合わせの存在下、エチレンテレフタレート部分を含むオリゴマ、エチレンイソフタレート基を含むオリゴマ、ジエチレンテレフタレート基を含むオリゴマ、ジエチレンイソフタレート基を含むオリゴマ、トリメチレンテレフタレート基を含むオリゴマ、トリブチレンイソフタレート基を含むオリゴマおよび前述の基を少なくとも2つ含む共有結合オリゴマ基から成る第1の溶融混合物を得るための効果的な条件下で解重合される。該第1の溶融混合物は、前記少なくとも1つの第2のポリマー、前記第2のポリマーから誘導された残基あるいはこれらの組み合わせをさらに含む。この解重合の実現に好適な条件には、少なくとも大気圧である圧力と、190℃〜250℃の範囲の温度と、不活性雰囲気と、が含まれる。該PET成分の解重合は種々の時間に亘って行うことができる。ある実施形態では、解重合は少なくとも25分間行われる。
【0037】
該3ステッププロセスのステップ(b)において、エチレンテレフタレート基を含むオリゴマ、エチレンイソフタレート基を含むオリゴマ、ジエチレンテレフタレート基を含むオリゴマ、ジエチレンイソフタレート基を含むオリゴマ、トリメチレンテレフタレート基を含むオリゴマ、トリメチレンイソフタレート基を含むオリゴマ、ブチレンテレフタレート基を含むオリゴマ、ブチレンイソフタレート基を含むオリゴマ、前述の基を少なくとも2つ含む共有結合オリゴマ部分およびこれらの組み合わせから構成される群から選択された成分を含む第2の溶融混合物の形成に効果的な条件下で、1,4−ブタンジオールを該第1の溶融混合物に添加する。該第2の溶融混合物は、前記少なくとも1つの第2のポリマー、前記第2のポリマーから誘導された残基あるいはこれらの組み合わせをさらに含む。該第2溶融混合物の形成に好適な状態は、触媒が存在する、温度190℃〜240℃のリアクタ内に存在する。
【0038】
該3ステッププロセスの次のステップ(c)において、溶融混合物を加熱し圧力を減圧下状態にまで下げて、以下の式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)および(6)から選択されるポリエステル単位を含む変性PBT共重合体を形成する。
【化2】

式中、Dは1,4−ブチレン(−(C)−)であり、D’はエチレン(−(C)−)であり、D’’は1,2−トリプロピレン、1,3−トリプロピレンまたはこれらの組み合わせであり、R’はテレフタリレン(−1,4−(C)−)であり、R’’はイソフタリレン(−1,3−(C)−)である。
【0039】
前記第1および第2の溶融混合物中の成分は、3ステッププロセスの解重合ステップ(a)で使用したジオールに依存して変わり得ることは理解されるであろう。該PET成分がエチレングリコールで解重合される場合、第1の溶融混合物は、エチレンテレフタレート基を含むオリゴマ、エチレンイソフタレート基を含むオリゴマ、ジエチレンテレフタレート基を含むオリゴマ、ジエチレンイソフタレート基を含むオリゴマ、前述の基を少なくとも2つ含む共有結合オリゴマ部分、エチレングリコールおよびこれらの組み合わせを含む。該PET成分がプロピレングリコールで解重合される場合、第1の溶融混合物は、エチレンテレフタレート基を含むオリゴマ、エチレンイソフタレート基を含むオリゴマ、ジエチレンテレフタレート基を含むオリゴマ、ジエチレンイソフタレート基を含むオリゴマ、トリメチレンテレフタレート基を含むオリゴマ、トリメチレンイソフタレート基を含むオリゴマ、前述の基を少なくとも2つ含む共有結合オリゴマ部分、エチレングリコール、プロピレングリコールおよびこれらの組み合わせを含む。該プロピレングリコールは、1,3−または1,2−プロピレングリコールのいずれか、あるいはこれらの組み合わせであり得る。
【0040】
前記ジオール成分(エチレングリコール、プロピレングリコールおよびこれらの組み合わせ)のこの3ステップ実施形態のステップ(a)におけるモル量は、PET成分中のエチレングリコール部分の量の少なくとも25%であり、あるいは少なくとも50%である。
【0041】
前記2ステップまたは3ステッププロセスで使用される化合物は、プロセスの進行に伴って再利用およびまたは収集できる。ある実施形態では、エチレングリコール、プロピレングリコールあるいはこれらの組み合わせ、および1,4−ブタンジオールは、ステップ(b)において除去され容器に収集される。別の実施形態では、ステップ(b)において、1,4−ブタンジオールはリアクタ内に還流され、過剰の1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラヒドロフランあるいはこれらの組み合わせは除去される。ステップ(b)の継続時間も変えられる。ステップ(b)を十分長い時間行って、前記第2の溶融混合物からエチレングリコールの少なくとも65%を削減する。ある実施形態では、ステップ(b)を少なくとも45分間行う。ステップ(b)を行う圧力は変えられる。ある実施形態では、ステップ(b)は大気圧状態で行われ、別の実施形態では、減圧状態で行われる。異なる組み合わせも可能である。ある実施形態では、ステップ(b)は、過剰の1,4−ブタンジオールを用い、30kPa〜150kPa(300〜1500mbar)絶対の範囲の圧力で行われる。ステップ(b)の間に使用される1,4−ブタンジオールは、ステップ(c)で得られる変性PBT共重合体に導入される1,4−ブタンジオール部分のモル量に対して、過剰に、例えば少なくとも1.1倍の過剰モル量で添加できる。別の実施形態では、1,4−ブタンジオールの過剰モル量は1.1〜5である。
【0042】
該3ステッププロセスのステップ(c)も用途に応じて変更して行うことができる。ある実施形態では、例えば、過剰1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラヒドロフランあるいはこれらの組み合わせの群から選択された成分は、ステップ(c)の間に除去される。ステップ(c)が行われる圧力も変えられる。ある実施形態では、ステップ(c)は10mbar未満の圧力で行われる。
【0043】
該3ステッププロセスは同一のリアクタ内で行うことができる。あるいは、少なくとも2つのリアクタ内で行うこともできる。
【0044】
さらにTHF生成量を低減するために、該3ステッププロセスには、上記のように、ステップ(a)、ステップ(b)、ステップ(c)あるいはこれらの組み合わせのステップの間に、塩基性化合物を添加するステップが選択的に含まれ得る。あるいは、上記の量の二官能性エポキシ化合物をステップ(b)の間に選択的に加えることもできる。好都合なことに、該3ステッププロセスでは、エチレングリコール、プロピレングリコールあるいはこれらの組み合わせに代えて、1,4−ブタンジオールでPET成分を解重合する2ステッププロセスでのテトラヒドロフラン生成量と比較して、その量を少なくとも30%低減できる。
【0045】
前述のプロセスのいずれかで、固相重合ステップを選択的に用いることができる。固相重合は一般に、溶融混合物から形成された変性PBT共重合体を不活性雰囲気下または減圧下に置き、十分長い時間加熱して該変性PBT共重合体の分子量を形成するステップを備える。一般に、該変性PBT共重合体の加熱温度はその融点未満であり、例えば、変性PBT共重合体の融点より5〜60℃低い。ある実施形態では、こうした温度は150〜210℃の範囲である。固相重合が起こる好適な時間は、反応成分、条件および使用装置に依存して2〜20時間の範囲であってもよい。固相重合は一般に十分な攪拌状態で行って、変性PBT共重合体の好適な分子量への重合を一層促進させる。こうした攪拌状態を、変性PBT共重合体を攪拌することによって、すなわち、系内に不活性ガスをポンプで注入し、例えばペレット状、チップ状、フレーク状、パウダー状などのポリマー粒子の流動を促進させることによって作ってもよい。固相重合は、大気圧下およびまたは、例えば101kPa〜0.1kPa(1気圧〜1mbar)などの減圧下で行える。
【0046】
上記の方法で形成された変性PBT共重合体は、PET成分から誘導された少なくとも1つの残基を有するポリエステル単位を含む。PET成分から誘導された残基は、エチレングリコール残基、ジエチレングリコール残基、イソフタル酸残基、アンチモン含有化合物、ゲルマニウム含有化合物、チタン含有化合物、コバルト含有化合物、スズ含有化合物、アルミニウム含有化合物、アルミニウム、アルミニウム塩、1,3−シクロヘキサンジメタノール異性体、1,4−シクロヘキサンジメタノール異性体(cis−1,3−シクロヘキサンジメタノール、cis−1,4−シクロヘキサンジメタノール、trans−1,3−シクロヘキサンジメタノールおよびtrans−1,4−シクロヘキサンジメタノールを含む)、カルシウム、マグネシウム、ナトリウムおよびカリウム塩類を含むアルカリ塩、アルカリ土類金属塩、リン含有化合物およびアニオン、硫黄含有化合物およびアニオン、ナフタレンジカルボン酸およびこれらの組み合わせから構成される群から選択できる。
【0047】
ポリエチレンテレフタレートあるいはポリエチレンテレフタレート共重合体のどちらが使用されたかなどの要因に依存して、PET成分から誘導された残基は種々の組み合わせを含み得る。ある実施形態では、例えば、該残基はエチレングリコールとジエチレングリコールの混合物を含む。別の実施形態では、該残基は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、イソフタル酸あるいはこれらの組み合わせを含む。別の実施形態では、少なくとも1つのポリエチレンテレフタレート残基は、1,3−シクロヘキサンジメタノールのcis異性体、1,4−シクロヘキサンジメタノールのcis異性体、1,3−シクロヘキサンジメタノールのtrans異性体、1,4−シクロヘキサンジメタノールのtrans異性体あるいはこれらの組み合わせを含む。別の実施形態では、該残基は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、イソフタル酸残基、シクロヘキサンジメタノールのcis異性体、シクロヘキサンジメタノールのtrans異性体およびこれらの組み合わせから成る混合物であり得る。ある実施形態では、ポリエチレンテレフタレートから誘導された残基は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、コバルト含有化合物、アンチモン含有化合物、イソフタル酸基あるいはこれらの組み合わせを含む。
【0048】
前記変性PBT共重合体のポリマー骨格中のエチレングリコール基(つまり残基)、ジエチレングリコール基およびイソフタル酸基の量は変えられ、例えば、少なくとも0.1モル%、具体的には0または0.1〜10モル%(0または0.07〜7質量%)の量のイソフタル酸基を含むことができる。該変性PBT共重合体は、少なくとも0.1モル%で0.1〜10モル%(0.02〜2質量%)の量のエチレングリコールを含むことができる。別の実施形態では、該変性PBT共重合体のエチレングリコール含量は0.85質量%を超え、あるいは0.1〜2質量%である。該変性PBT共重合体は、0.1〜10モル%(0.04〜4質量%)の量のジエチレングリコールも含むことができる。ブタンジオール基の量は一般に約98モル%であり、一部の実施形態では、95〜99.8モル%の範囲で変えられる。テレフタル酸基の量は一般に約98モル%であり、一部の実施形態では、90〜99.9モル%の範囲で変えられる。より具体的には、該ポリエチレンテレフタレート成分残基は、エチレングリコール基、ジエチレングリコール基およびシクロヘキサンジメタノール基から構成される群から選択され、その量は、変性ポリブチレンテレフタレート共重合体中のグリコール100モル%に対して0.1〜10モル%である。該ポリエチレンテレフタレート成分残基はさらに、該変性ポリブチレンテレフタレートランダム共重合体中の酸性官能基100モル%に対して、0〜10モル%の量のイソフタル酸基を含むことができる。
【0049】
別途明示される場合を除き、イソフタル酸基およびまたはテレフタル酸基のモル量はすべて、該組成物中の酸性官能基(二酸/ジエステル)の合計モル数に対するものである。別途明示される場合を除き、該ブタンジオール、エチレングリコールおよびジエチレングリコール基のモル量はすべて、該組成物中のジオールの合計モル数に対するものである。上記の質量%の測定は、テレフタル酸基、イソフタル酸基、エチレングリコール基およびジエチレングリコール基が本明細書で定義された方法に基づいている。
【0050】
該変性PBT共重合体中のポリエチレンテレフタレート残基の合計量は変えられる。例えば、該残基の合計量を1.8〜2.5質量%にでき、あるいは0.5〜2質量%にでき、あるいは1〜4質量%にできる。エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびシクロヘキサンジメタノール基の量は、該変性PBT共重合体のグリコール100モル%に対して、個々にあるいは組み合わせて0.1〜10モル%にできる。イソフタル酸基の量は、該変性PBT共重合体中の二酸/ジエステル100モル%に対して0.1〜10モル%にできる。
【0051】
融点(Tm)が少なくとも200℃の変性PBT共重合体の製造が望ましい場合、ジエチレングリコール、エチレングリコールおよびイソフタル酸基の合計量を調整して所望のTmを実現できる。このように、ある実施形態では、該変性PBT共重合体中のジエチレングリコール、エチレングリコールおよびイソフタル酸基の合計量は、変性PBT共重合体中のジオール100当量および二酸基100当量の合計に対して0超〜23当量以下である。別の実施形態では、イソフタル酸基、エチレングリコール基およびジエチレングリコール基の合計量は、変性PBT共重合体中のジオール100当量および二酸基100当量の合計に対して3〜23当量以下である。別の実施形態では、イソフタル酸基、エチレングリコール基およびジエチレングリコール基の合計量は、変性PBT共重合体中のジオール100当量および二酸基100当量の合計に対して3〜10当量以下である。別の実施形態では、イソフタル酸基、エチレングリコール基およびジエチレングリコール基の合計量は、変性PBT共重合体中のジオール100当量および二酸基100当量の合計に対して10〜23当量以下である。ある実施形態では、ジエチレングリコール、エチレングリコール、およびまたはイソフタル酸は本プロセスの間に添加できる。
【0052】
変性PBT共重合体中のエチレングリコール基、イソフタル酸基およびジエチレングリコール基の合計は、用途ニーズに依存して変えられる。ある実施形態では、該組成物の、エチレングリコール基、イソフタル酸基およびジエチレングリコール基から構成される群から選択されたモノマーの合計含量は、変性PBT共重合体中のジオール100当量および二酸基100当量の合計に対して0超〜17当量以下にできる。好都合なことに、こうした組成物は、80℃を上回る熱変形温度などの有用な特性を維持できる。
【0053】
PET成分から誘導される無機残基の合計量は、変性PBT共重合体の質量部に対して、0超ppmから1000ppmまでとすることができる。こうした無機残基の例としては、アンチモン含有化合物、ゲルマニウム含有化合物、チタン含有化合物、コバルト含有化合物、スズ含有化合物、アルミニウム含有化合物、アルミニウム、アルミニウム塩、アルカリ土類金属塩、カルシウム、マグネシウム、ナトリウムおよびカリウム塩類を含むアルカリ塩、リン含有化合物およびアニオン、硫黄含有化合物およびアニオンおよびこれらの組み合わせなどが挙げられる。別の実施形態では、無機残基の量は250〜1000ppmに、具体的には500〜1000ppmにできる。
【0054】
上記の通り、前記少なくとも1つの第2のポリマーは、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリ乳酸あるいはこれらの組み合わせであり得る。該第2のポリマーは潜在的に、解重合ステップおよびまたは重合ステップの間、ポリマーのオリゴマを含む残基を生成することもできる。
【0055】
ポリアミドは、アミド基(−C(O)NH−)の存在で特徴付けられる、ナイロンとして既知の樹脂の総称ファミリ名である。ナイロン−6およびナイロン−6,6は一般に用いられるポリアミドであり、種々の販売元から入手できる。しかしながら、トリアミン含量が0.5質量%未満の、ナイロン−4,6、ナイロン−12、ナイロン−6,10、ナイロン−6,9、ナイロン6/6Tおよびナイロン−6,6/6Tなどの他のポリアミドは、非晶質ナイロンなどの他のものと同様に、特定の用途に対しては有用であり得る。具体的なポリアミドはナイロン−6,6である。例えばナイロン−6はカプロラクタムの重合生成物である。ナイロン−6,6は、アジピン酸と1,6−ジアミノヘキサンとの縮合生成物である。同様に、ナイロン−4,6は、アジピン酸と1,4−ジアミノブタンとの縮合生成物である。アジピン酸に加えて、ナイロンの調製に有用な他の二酸としては、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、およびテレフタル酸、イソフタル酸などがある。他の有用なジアミンとしては、とりわけ、m−キシリレンジアミン、ジ−(4−アミノフェニル)メタン、ジ−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ジ−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ−(4−アミノシクロヘキシル)プロパンが挙げられる。カプロラクタムと二酸およびジアミンとの共重合体も有用である。それ自体が再利用プロセスの生成物であるポリアミドは使用可能である。ポリアミドの量は、ポリエチレンテレフタレート成分の合計質量部に対して、0超〜5.7質量%未満、0超〜4.6質量%未満あるいは0超〜1.45質量%未満にできる。
【0056】
ポリアミドからの可能性のある残基としては、ポリアミドのオリゴマ;カプロラクタム、アミノ酸モノマー、ジアミンモノマー、トリアミンモノマーおよびジカルボン酸モノマー;アミンとテレフタル酸またはイソフタル酸またはエステルとの縮合反応で形成された、モノマーまたはオリゴマテレフタルイミド、テレフタルアミド、イソフタルイミドおよびイソフタルアミド;エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコールおよびまたはシクロヘキサンジメタノールと、ポリアミドの調製で使用したジカルボン酸との反応で形成された、モノマーまたはオリゴマエステル;およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0057】
ポリ塩化ビニル(PVC)およびポリ塩化ビニリデン(PVDC)は、それぞれ一般式(7)および(8)で表されるホモポリマーを含む。
【化3】

式中、nは、PVCとPVDCのポリマーおよび共重合体中の繰り返し単位数である。PVCおよびPVDCから誘導される潜在的な残基としては、PVCおよびPVDC骨格の脱塩化水素で形成されたエンおよびとポリエン残基、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールおよびシクロヘキサンジメタノールによるPVCまたはPVDCの塩素基の置換によって形成されたエーテル残基、およびこれらの組み合わせが含まれる。該PVCまたはPVDCの量は、ポリエチレンテレフタレート成分の合計質量部に対して、0超〜290ppm未満に、あるいは0超〜220ppm未満にできる。
【0058】
アルキルポリエステルであるポリ乳酸(PLA)は、一般式(9)で表されるPLAホモポリマーと、
【化4】

その共重合体を含む。可能性のあるPLA残基には、ラクチド;ポリ乳酸のオリゴマ;テレフタレート基を有する乳酸エステルを含むオリゴマ;イソフタレート基を有する乳酸エステルを含むオリゴマ;エチレン乳酸基を含むオリゴマ;ジエチレン乳酸基を含むオリゴマ;プロピレン乳酸基を含むオリゴマ;トリメチレン乳酸基を含むオリゴマ;前述の基を少なくとも2つ含む共有結合オリゴマ部分およびこれらの組み合わせが含まれる。該ポリ乳酸の量は、ポリエチレンテレフタレート成分の合計質量部に対して0超〜8質量%未満とすることができる。
【0059】
該変性PBT共重合体の物性は、要求される性能特性、使用装置、プロセスパラメータ、前記第2のポリマーの独自性などの要因に依存して変えられる。該変性PBT共重合体の分子量は、広くは少なくとも3,000g/モルにでき、具体的には10,000〜40,000g/モルにでき、より具体的には15,000〜30,000g/モルにできる。
【0060】
該変性PBTの固有粘度(IV)は少なくとも0.4dL/gにでき、具体的には0.5〜1.3dL/gにでき、より具体的には0.4〜1.2dL/gにできる。本出願における固有粘度はすべて、温度25℃の、フェノール60質量%および1,1,2,2−テトラクロロエタン40質量%の溶液中で測定したものを指す。
【0061】
該変性PBT共重合体の融点は、少なくとも200℃、少なくとも205℃、または少なくとも210℃にできる。別の実施形態では、融点は200℃〜230℃に、または210℃〜230℃にできる。
【0062】
該変性PBT共重合体の曲げ弾性率は、ASTM790またはISO178に準拠して測定して、少なくとも1000MPaに、具体的には1000MPa〜5000MPaに、より具体的には2000MPa〜2500MPaにできる。該変性PBTの引張強度(降伏点応力)は、ASTM D638に準拠して少なくとも30MPaに、具体的には30MPa〜100MPaにできる。該変性PBT共重合体の引張伸び率(降伏点)は、ASTM D638に準拠して少なくとも2%である。
【0063】
該変性PBT共重合体の引張伸び率(破断)は、ASTM D638に準拠して測定して少なくとも50%に、より具体的には100〜400%にできる。3.2mm棒の応力1.82MPaにおける熱変形温度は、ASTM D648に準拠して測定して40℃〜120℃に、具体的には40℃〜60℃にできる。3.2mm棒の応力0.455MPaにおける熱変形温度は、ASTM D648に準拠して測定して40℃〜130℃に、具体的には50℃〜120℃にできる。
【0064】
該変性PBT共重合体のノッチ付アイゾッド強度は、ASTM D256に準拠して温度23℃で測定して、少なくとも20J/mに、具体的には20J/m〜70J/mに、より具体的には30〜70J/mにできる。該変性PBT共重合体のノッチなしアイゾッド強度は、ASTM D256に準拠して温度23℃で測定して、少なくとも500J/mに、具体的には500J/m〜3000J/mに、より具体的には600〜2500J/mにできる。
【0065】
さらに、(a)ポリエチレンテレフタレート成分から誘導された少なくとも1つの残基と、(b)(i)ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリ乳酸およびこれらの組み合わせから構成される群から選択された少なくとも1つのポリマーと、(ii)ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリ乳酸およびこれらの組み合わせから構成される群から選択されたポリマーから誘導された少なくとも1つの残基と、(iii)これらの組み合わせ、から構成される群から選択された要素と、を含む変性PBT共重合体を含む組成物も開示される。
【0066】
該変性PBT共重合体組成物の特性は、該変性PBTポリマーの製造に使用した前記第2のポリマーの独自性に依存して変わる。例えば、ポリ塩化ビニルの量がポリエチレンテレフタレート成分の合計質量部に対して0超〜290ppm未満の場合、該組成物の成形サンプルのノッチなしアイゾッド強度は、ASTM D256に準拠して測定して1500〜2500J/mとすることができ、破断引張伸び率は、ASTM D638準拠して測定して少なくとも100%とすることができる。前記第2のポリマーが、ポリエチレンテレフタレート成分の合計質量に対して0超〜5.7質量%未満の量のナイロン6の場合、該組成物の成形サンプルの破断引張伸び率は、ASTM D638に準拠して測定して少なくとも100%とすることができる。前記第2のポリマーが、ポリエチレンテレフタレート成分の合計質量に対して0超〜1.45質量%未満の量のナイロン6の場合、該変性ポリブチレンテレフタレート共重合体の成形サンプルの熱変形温度は、ASTM D648に準拠して応力0.455MPaで測定して少なくとも90℃とすることができる。前記第2のポリマーが、ポリエチレンテレフタレート成分の合計質量に対して0超〜5.7質量%未満の量のナイロン6,6の場合、該変性ポリブチレンテレフタレート共重合体の成形サンプルの破断引張伸び率は、ASTM D638に準拠して測定して少なくとも100%とすることができる。前記第2のポリマーが、ポリエチレンテレフタレート成分の合計質量に対して0超〜4.6質量%未満の量のナイロン6,6の場合、該変性ポリブチレンテレフタレート共重合体の成形サンプルの熱変形温度は、ASTM D648に準拠して応力0.455MPaで測定して少なくとも70℃とすることができる。
【0067】
より具体的な実施形態では、ある組成物は、(a)ポリエチレンテレフタレート成分から誘導された少なくとも1つの残基と、(b)(i)ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリ乳酸およびこれらの組み合わせから構成される群から選択された少なくとも1つのポリマーと、(ii)ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリ乳酸およびこれらの組み合わせから構成される群から選択されたポリマーから誘導された少なくとも1つの残基と、(iii)これらの組み合わせ、から構成される群から選択された要素と、を含む変性ポリブチレンテレフタレート共重合体であって、前記変性ポリブチレンテレフタレート共重合体は、それぞれ前記ポリエチレンテレフタレート成分の質量部または質量に対して、0超〜290ppm未満のポリ塩化ビニルと、0超〜5.7質量%未満のナイロン6と、0超〜5.7質量%未満のナイロン6,6と、0超〜8質量%未満のポリ乳酸と、から構成される群から選択された第2のポリマーを含むポリエチレンテレフタレート混合物から誘導され、前記変性ポリエチレンテレフタレート成分から誘導された残基は、エチレングリコール基、ジエチレングリコール基、イソフタル酸基、アンチモン含有化合物、ゲルマニウム含有化合物、チタン含有化合物、コバルト含有化合物、スズ含有化合物、アルミニウム、アルミニウム塩、1,3−シクロヘキサンジメタノール異性体、1,4−シクロヘキサンジメタノール異性体、アルカリ塩、アルカリ土類金属塩、リン含有化合物およびアニオン、硫黄含有化合物およびアニオン、ナフタレンジカルボン酸、1,3−プロパンジオール基およびこれらの組み合わせから構成される群から選択されることを特徴とする変性ポリブチレンテレフタレート共重合体を含む。より具体的には、前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導された前記少なくとも1つの残基は、エチレングリコールとジエチレングリコールの混合物を含む。物品は該組成物を含むことができる。
【0068】
該変性PBT共重合体は、例えば成形用組成物として単独で使用することができ、あるいは、例えば他のポリエステル、ポリオレフィン(例えばポリエチレンやポリプロピレン)、ポリカーボネート(例えばビスフェノールAから誘導されたポリカーボネート)、ポリイミド、ポリエーテルイミドおよびポリアミドなどの他の広範な熱可塑性ポリマーと組み合わせて使用することもできる。
【0069】
該変性ポリ(ブチレンテレフタレート)(PBT)共重合体の固有粘度は一般に0.5〜1.4dL/gである。ある実施形態では、該変性ポリ(ブチレンテレフタレート)共重合体の固有粘度は0.5〜1.2dL/gである。該変性ポリ(ブチレンテレフタレート)共重合体の融点は一般に少なくとも200℃であり、また、少なくとも200℃〜235℃とすることができる。ある実施形態では、融点は少なくとも210℃である。ある実施形態では、該ポリ(ブチレンテレフタレート)共重合体の融点は210℃〜235℃とすることができる。
【0070】
さらに、該組成物に使用されるPET由来のランダム変性PBT共重合体の製造プロセスでは好都合なことに、二酸化炭素排出量と固形廃棄物量が実質的に削減される。本発明的プロセスで製造されたPET由来ポリエステルランダム変性PBT共重合体は、モノマーからではなくスクラップPETから製造されるため、該プロセスによって、二酸化炭素排出量と固形廃棄物の量は著しく低減される。ポリエステルの製造に通常使用されるジメチルテレフタレートあるいはテレフタル酸を構成する炭素を使用せず、PET成分、例えばスクラップポリエステルで代用するために、炭素排出削減(あるいは原油節約)ができる。原油からDMTまたはTPAを製造するプロセスは極めてエネルギ集約的であり、その結果、COの大気中への実質的な排出が非再生可能エネルギ源の燃焼によって生じる。該変性PBTの製造にはDMTまたはTPAを使用しないために、二酸化炭素の排出が削減される。ある実施形態では、モノマーから未使用のPBTホモポリマーを製造するプロセスと比較して、変性PBTの製造プロセスによって、当プロセスで製造される変性PBT1kg当たり少なくとも1kgのCO排出が削減される。別の実施形態では、モノマーから未使用のPBTホモポリマーを製造するプロセスと比較して、変性PBTの製造プロセスによって、当発明的プロセスで製造される変性PBT1kg当たり1kg〜1.5kgあるいはそれ以上のCO排出量が削減される。さらに、エチレングリコール副産物を回収し、製造時の通常のエチレングリコールの代わりに使用すれば、省エネルギ/二酸化炭素排出量削減ができる。
【0071】
さらに、BDOの出所がコハク酸などのバイオマス由来の材料である場合には、二酸化炭素削減量が2つの理由からさらに向上する。バイオマス由来コハク酸は、化石燃料の炭素源に対して、大気中の炭素から誘導された砂糖や他のバイオ由来炭化水素から製造されるため、バイオマス源からのコハク酸に基づくBDOから誘導されたポリマーの環境影響が低減する。また、コハク酸の生成発酵では入力として二酸化炭素が必要なため、さらに二酸化炭素の低減に繋がる。
【0072】
好都合なことに、該変性ポリブチレンテレフタレートランダム共重合体を含む成形用組成物はCO排出低減指数を有する。本出願で定義するCO排出低減指数とは、該変性ポリブチレンテレフタレートランダム共重合体を含む成形用組成物1kgを製造する場合に、該組成物をモノマー由来のポリブチレンテレフタレートで製造する場合のCO発生量(kg)と比較して、削減されたCO量(kg)を指す。我々の組成物のCO排出低減指数は一般に約0.06kg超であり、その範囲を0.06kg〜2.25とすることができる。
【0073】
この特長の根拠について以下に議論する。未使用のモノマー由来PBTを作る通常のプロセスと、1kgの該変性ポリブチレンテレフタレートランダム共重合体を作るプロセス中に発生するCO量の差は1.3kg〜2.5kgとすることができ、より好適には1.7kg〜2.2kgとすることができる。この差は、原油からスタートしてモノマー、そしてPCTに至るプロセス対スクラップPETからオリゴマ、そして変性PBTに至るプロセスのすべてについて計算して求めたものであることは注目されるべきである。言い換えれば、1kgの該変性ポリブチレンテレフタレートランダム共重合体を作るプロセスでは、原油から1kgの未使用PBTを作るプロセスと比較して、CO発生量は1.3〜2.5kg少ない。我々の組成物(変性PBTランダム共重合体量は5〜90質量%)に対するCO発生低減指数の範囲を求めるには、該組成物中のポリブチレンテレフタレートの下限量(%)を1.3倍(0.05×1.3=0.065)し、上限量を2.5倍(0.90×2.5=2.25)すればよい。
【0074】
これらの結果は、材料とエネルギの収支計算(化学工学分野では周知の計算)を用いることによって、またPETからの変性PBTランダム共重合体の製造に使用したエネルギ量と、テレフタル酸からのPBT製造に使用したエネルギ量とを比較することによって、導出され実証される。
【0075】
好都合なことに、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリ乳酸などの他のポリマーを含む使用済み消費者用および工業用ポリ(エチレンテレフタレート)源からの変性ポリ(ブチレンテレフタレート)共重合体の製造が今や可能である。これは、他の材料を含む消費済みの消費者用および工業用ポリ(エチレンテレフタレート)源を高価な処理ステップで処理する必要がないことを意味する。また、有用量のポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミドおよびポリ乳酸を有する変性ポリ(ブチレンテレフタレート)共重合体の製造も今や可能である。
【0076】
該変性PBT組成物を下記の具体的な実施例でさらに説明するが、そこでの部およびパーセントは、別途明示される場合を除き、すべて質量である。
実施例
【0077】
表1に、下記の実施例で使用する成分を示す。
【表1】

試験方法
【0078】
固有粘度(IV)を、温度25℃の、フェノール60質量%および1,1,2,2−テトラクロロエタン40質量%溶液中で測定した。
【0079】
ペレット(測定前に120℃×2時間乾燥)で溶融体積流量(MVR)を、ISO1133法に準拠して温度250℃、荷重5kgf、滞留時間240秒および0.0825インチ(2.1mm)オリフィスで測定した。
【0080】
溶融流動性の別の指標である毛細管粘度を、ASTM D3835またはISO D11433に準拠して測定した。乾燥ペレットを毛細レオメータから押出し、異なるせん断速度での力を求めてせん断粘度を算出した。
【0081】
ノッチ付アイゾッド衝撃(NII)強度を、ASTM D256に準拠して3×1/2×1/8インチ(76.2×12.7×3.2mm)の射出成形棒で測定した。加熱熟成前に棒にノッチを入れ、サンプルを室温(23℃)で試験した。
【0082】
破断引張伸び率(TE)を、ASTM D638に準拠して、室温、クロスヘッド速度を無充填サンプルでは0.2インチ/分(5.08mm/分)とし、7×1/8インチ(177.8×3.3mm)の射出棒で測定した。
【0083】
曲げ特性(曲げ弾性率、5%歪み時の曲げ応力、降伏点曲げ応力)をASTM790に準拠して測定した。
【0084】
計装衝撃試験とも呼ばれる2軸衝撃試験を、ASTM D3763に準拠して、4×1/8インチ(101.6×3.2mm)の射出円盤を用いて測定した。サンプルに吸収された全エネルギをft−lbsまたはJ単位で表す。試験は、成形後あるいは加熱熟成後のサンプルを用い室温で行った。
【0085】
熱変形温度(HDT)を、ASTM D648に準拠して、大きさが5×0.5×0.125インチ(127×12.7×3.2mm)の棒5本で測定した。Dynatup円盤表面の黒点の数を目視で数えた。
【0086】
すべての関連する試験と試験方法の概要を表2に示す。
【表2】

実施例1〜8:PVCを含む変性PBT共重合体成形用組成物
【0087】
実施例1〜8は、以下の変性PBT共重合体組成物の特性を示す。
実施例1:115ppmのPVCを含むPETから製造された変性PBT
実施例2:287ppmのPVCを含むPETから製造された変性PBT
実施例3:575ppmのPVCを含むPETから製造された変性PBT
実施例4:1150ppmのPVCを含むPETから製造された変性PBT
実施例1および3を容量65ガロン(約200l)のヘリコーンリアクタで調製し、実施例2および4を容量10ガロン(約40l)のヘリコーンリアクタで調製した。
【0088】
実施例1〜4の変性PBT共重合体の調製に使用した原材料を表3に要約する。
【表3】

実施例1、3:200Lパイロットプラントプロセス(BDO:PET=3:1)
【0089】
該ヘリコーンリアクタは、容量が200lで、特別設計の270°ねじれた2つの対向ヘリカル翼を備え、16g研磨仕上げした316ステンレス製であった。翼回転数は1〜65rpmの範囲で変えられた。撹拌機を、交流電圧230/460V、3相、周波数60Hzで作動するトルク一定のインバータモータに接続した。これらの撹拌機によって、溶融ポリマーの分子量形成のための良好な表面積が得られた。また、該ヘリコーンリアクタは上部に凝縮器を備えるように設計されており、解糖、エステル化(もしあれば)および重合段階での蒸気を凝縮した。
【0090】
再利用PETペレット100lbs(45.4kg)とブタンジオール(BDO)140lbs(63.6kg)(モル比2.9:1)を該ヘリコーンリアクタに入れた。チタンテトライソプロポキシド(TPT)触媒18.8ml(Tiとして60ppm)も該リアクタ混合物に添加した。PVCペレットを秤量し(実施例1および3に対してそれぞれ5.2gおよび26g)、同様にリアクタに添加した。加熱油(ヘリコーンリアクタ用の)の温度を250℃に設定した。撹拌機の回転数を最大の67%に設定した。ブタンジオールを2時間リアクタ内に還流させた。上部凝縮器システムが配置されているために、ブタンジオールの完全な還流はできなかった。その結果、初期段階で導出されたブタンジオール約5〜10lbs(2.3〜4.5kg)が還流できなかった。その後導出されたブタンジオールは、リアクタ内に完全に還流できた。
【0091】
重合段階では、ヘリコーンリアクタを真空にしてブタンジオールのリアクタへの還流を中断した。撹拌機の回転数を最大の60%に設定し、モータの目標電流を3.5Aとした。系の圧力を真空ポンプで0.5Torr(0.066kPa)まで下げた。ポリマー物質が第3構造に達するまで反応を継続した。第3構造になって15分後に反応を停止し、ポリマーを粒状に注型した。その後、生成物を乾燥してペレットに粉砕した。
実施例2、4:40Lパイロットプラントプロセス(BDO:PET=3:1)
【0092】
ヘリコーンリアクタは、容量が40lで、特別設計さの270°ねじれた2つの対向ヘルカル翼を備え、16g研磨仕上げしたSUS316製であった。翼回転数は1〜65rpmの範囲で変えられた。撹拌機を、交流電圧230/460V、3相、周波数60Hzで作動する7.5HPトルク一定のインバータモータに接続した。これらの撹拌機によって、溶融ポリマーの分子量形成のための良好な表面積が得られた。また、該ヘリコーンリアクタは上部に凝縮器を備えるように設計されており、解糖、エステル化(もしあれば)および重合段階での蒸気を凝縮した。
【0093】
再利用PETペレット25lbs(11.4kg)とブタンジオール35lbs(15.9kg)(モル比2.9:1)を該ヘリコーンリアクタに入れた。TPT触媒4.6ml(Tiとして60ppm)も該リアクタ混合物に添加した。PVCペレットを秤量し(実施例2および4に対してそれぞれ3.25gおよび13g)、同様にリアクタに添加した。加熱油(ヘリコーンリアクタ用の)の温度を250℃に設定した。撹拌機の回転数を最大の67%に設定した。ブタンジオールを2時間リアクタ内に還流させた。上部凝縮器システムが配置されているために、ブタンジオールの完全な還流は出来なかった。その結果、初期段階で導出されたブタンジオール約5〜10lbs(2.3〜4.5kg)が還流できなかった。その後導出されたブタンジオールは、リアクタ内に完全に還流できた。
【0094】
重合段階では、ヘリコーンリアクタを真空にしてブタンジオールのリアクタへの還流を中断した。撹拌機の回転数を最大の60%に設定し、モータの目標電流を3.5Aとした。系の圧力を真空ポンプで0.066kPa(0.5Torr)まで下げた。ポリマー物質が第3構造に達するまで反応を継続した。第3構造になって15分後に反応を停止し、ポリマーを粒状に注型した。その後、生成物を乾燥してペレットに粉砕した。ポリマーの分子量形成に伴う撹拌機の回転数変化のロジックを表4に示す。
【表4】

【0095】
実施例1〜4について、IV測定、NMR分析および示差走査熱量測定(DSC)分析を行った。結果を表5に要約する。比較実施例Aはモノマーから製造された市販のPBT(PBT−2)である。
【表5】

【0096】
モノマーから製造されたPBTの分子量と同程度の分子量を有する変性PBT共重合体が、ここで説明したプロセスで得られることは上記の実施例から明らかである。
【0097】
実施例1〜4のそれぞれの物理的・機械的特性も測定し表6に要約した。
【表6】

【0098】
上記の実施例から、変性PBT共重合体サンプルのノッチなしアイゾッド衝撃強度および破断伸び率は、PET成分中のPVC濃度が287ppmを上回る場合(実施例3および4)、実質的に低下することが示されている。
実施例5〜8:ナイロン6を含む変性PBTから製造された成形用組成物
【0099】
異なる濃度のナイロン6を含む変性PBT樹脂で数種の成形用組成物を製造した。
実施例5:1.15質量%のナイロン6を含むPETから製造した変性PBT
実施例6:1.44質量%のナイロン6を含むPETから製造した変性PBT
実施例7:2.9質量%のナイロン6を含むPETから製造した変性PBT
実施例8:5.7質量%のナイロン6を含むPETから製造した変性PBT
【0100】
実施例5〜8(変性PBT)を容量65ガロン(約200l)のヘリコーンリアクタで調製した。原料量を表7に示す。
【表7】

【0101】
上記と同様の試験手順により上記の特性を測定した。実施例5〜8および比較実施例A(モノマーから調製されたPBT−2)のDSC、IVおよびNMRによる組成物データを表8に示す。
【表8】

【0102】
上記の実施例から、モノマーから調製されるPBTと同等の分子量を有する変性PBTを製造できることは明らかである。重合プロセスでは、ナイロン6材料の実質的な分解が見られなかったことも留意されるべきである。驚くことに、ナイロン6は重合プロセスの間、別個のポリマーとしてその独自性を保持するように見える。実施例5〜8の物理的・機械的特性も測定した。結果を表9に示す。
【表9】

【0103】
上記の実施例から、PET成分中のナイロン6濃度が1.15質量%を超えて増加するにつれて、変性PBTの熱変形温度(応力0.455MPaにおける)が実質的に低下することがわかる。これらの実施例はまた、変性PBTのPET成分中のナイロン6濃度が2.9質量%を上回る場合、変性PBTの破断引張伸び率が実質的に低下していることも示している。
実施例9〜11:ナイロン6,6を含む変性PBT
【0104】
異なる濃度のナイロン6,6を含む変性PBT樹脂から以下の組成物を製造した。生成した実施例は以下のものである。
実施例9:2.9質量%のナイロン6,6を含むPETから製造した変性PBT
実施例10:4.6質量%のナイロン6,6を含むPETから製造した変性PBT
実施例11:5.75質量%のナイロン6,6を含むPETから製造した変性PBT
【0105】
上記の通り、実施例9および11を容量65ガロンのヘリコーンリアクタで生成し、実施例10を容量10ガロンのヘリコーンリアクタで生成した。原料量を表10に示す。実験方法も前記と同様である。DSC、IVおよびNMRによる組成物データを表11に示す。
【表10】

【表11】

【0106】
上記の実施例から、市販のPBTと同程度の分子量を有する、ナイロン6,6を含む変性PBTが製造できることは明らかである。重合プロセスでは、ナイロン6,6材料の実質的な分解は見られなかったことも留意されるべきである。驚くことに、ナイロン6,6は重合プロセスの間、別個のポリマーとしてその独自性を保持するように見える。
【0107】
実施例9〜11および比較実施例A(PBT−309)の物理的・機械的特性を表12に示す。
【表12】

【0108】
この表から、PET成分中のナイロン−6,6濃度が5.75質量%では、変性PBTの、応力0.455MPaにおけるHDTやノッチなしアイゾッドなどの特性が実質的に低下することがわかる。このように、変性PBTが、PET成分に対して5.75質量%の量のナイロン6,6を含む場合、該変性PBTの熱変形温度および延性が低下するため、該成形用組成物は商業用途には不適となる。
実施例12〜15:ポリ乳酸(PLA)を含む変性PBT
【0109】
異なる濃度のPLAを含む数種の変性PBT樹脂
実施例12:1.44質量%のPLAを含むPETから製造された変性PBT
実施例13:2.9質量%のPLAを含むPETから製造された変性PBT
実施例14:5.75質量%のPLAを含むPETから製造された変性PBT
実施例15:8質量%のPLAを含むPETから製造された変性PBT
【0110】
上記の通り、実施例12、14および15を、容量65ガロンのヘリコーンリアクタで生成し、実施例13を容量10ガロンのヘリコーンリアクタで生成した。使用した成分を表13に示す。
【表13】

【0111】
これらの実験方法は上記のものと同様である。実施例13、14、15および比較実施例A(PBT−2)のDSC、IVおよびNMRによる組成物データを表14に示す。
【表14】

【0112】
上記の実施例から、市販のPBTと同程度の分子量を有する変性PBTが製造できることは明らかである。実施例12〜15および比較実施例Aの物理的・機械的特性を表15に示す。
【表15】

【0113】
上記の実験から、PET成分中のPLA濃度が8質量%まで高くなると、変性PBTの特性に対して、その性能の実質的に著しい傾向は見られないことがわかる。
【0114】
種々の量のPLAを含むPET成分から製造された変性PBTはすべて、未使用のPBTホモポリマーと比較して、その機械的性能に実質的に著しい差異はなかった。実施例25および26の、PLA含有変性PBT樹脂から製造された衝撃性改良成形用組成物を、表16に示した成分を用い、上記の二軸スクリュ押出機で調製した。
【表16】

【0115】
実施例25、26および比較実施例Bの成形用組成物の機械的特性を表17に示す。
【表17】

【0116】
上記のデータから、PET成分中のPLA濃度が5.75質量%まで高いと、成形組成物の特性の実質的に著しい傾向は見られないことがわかる。このように、成形用組成物が、PET成分に対して5.75質量%、までの量のPLAを含む場合、該成形用組成物は商業用途に好適な特性を示した。
【0117】
本記載では、最良の実施形態を含めて本発明を開示するために、また、任意の装置やシステムの製造と使用、および導入された任意の方法の実施を含めて、当業者が本発明を実施できるように実施例を用いている。本発明の特許可能な範囲は特許請求の範囲によって定義され、当業者にもたらされる他の実施例も包含し得る。こうした他の実施例は、本特許請求の範囲の文言と違わない構成要素を有する場合、あるいは特許請求の範囲との差がごくわずかな等価な構成要素を有する場合には、特許請求の範囲に入るものと意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレンテレフタレートホモポリマー、ポリエチレンテレフタレート共重合体およびこれらの組み合わせから構成される群から選択されたポリエチレンテレフタレート成分を含む第1のポリマーを、
ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリ乳酸およびこれらの組み合わせから構成される群から選択された少なくとも1つの第2のポリマーの存在下、
第1の温度および少なくとも大気圧の第1の圧力下のリアクタ内で、
エチレンテレフタレート基を含むオリゴマ、エチレンイソフタレート基を含むオリゴマ、ジエチレンテレフタレート基を含むオリゴマ、ジエチレンイソフタレート基を含むオリゴマ、ブチレンテレフタレート基を含むオリゴマ、ブチレンイソフタレート基を含むオリゴマ、前述の基を少なくとも2つ含む共有結合オリゴマ部分、1,4−ブタンジオール、エチレングリコールおよびこれらの組み合わせから構成される群から選択された第1の成分と、
(i)ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリ乳酸およびこれらの組み合わせから構成される群から選択された前記少なくとも1つの第2のポリマーと、
(ii)ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリ乳酸およびこれらの組み合わせから構成される群から選択された前記少なくとも1つの第2のポリマーから誘導された少なくとも1つの残基と、
(iii)これらの組み合わせ、
から構成される群から選択された第2の成分と、を含む溶融混合物の生成に効果的な条件下で、1,4−ブタンジオールである時間解重合するステップと、
前記溶融混合物を、前記第1の温度より高い第2の温度および前記第1の圧力より低い減圧状態の第2の圧力で、不活性雰囲気下で攪拌しながら、
(a)少なくとも1つのポリエチレンテレフタレート成分残基と、
(b)(i)ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリ乳酸およびこれらの組み合わせから構成される群から選択された前記少なくとも1つの第2のポリマーと、
(ii)前記第2のポリマーから誘導された前記少なくとも1つの残基と、
(iii)これらの組み合わせ、
から構成される群から選択された要素と、を含む変性ポリブチレンテレフタレート共重合体の形成に十分な条件下で、ある時間重合するステップと、
を備えることを特徴とするプロセス。
【請求項2】
解重合は、不活性雰囲気下で攪拌しながら行われることを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記少なくとも1つのポリエチレンテレフタレート成分残基は、エチレングリコール基、ジエチレングリコール基、イソフタル酸基、アンチモン含有化合物、ゲルマニウム含有化合物、チタン含有化合物、コバルト含有化合物、スズ含有化合物、アルミニウム、アルミニウム塩、1,3−シクロヘキサンジメタノール異性体、1,4−シクロヘキサンジメタノール異性体、アルカリ塩、アルカリ土類金属塩、リン含有化合物およびアニオン、硫黄含有化合物およびアニオン、ナフタレンジカルボン酸、1,3−プロパンジオール基およびこれらの組み合わせから構成される群から選択されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記少なくとも1つのポリエチレンテレフタレート成分残基は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、イソフタル酸、コバルト含有化合物、アンチモン含有化合物、イソフタル酸基およびこれらの組み合わせから構成される群から選択されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のプロセス。
【請求項5】
前記少なくとも1つのポリエチレンテレフタレート成分残基は、1,3−シクロヘキサンジメタノールのcis異性体、1,4−シクロヘキサンジメタノールのcis異性体、1,3−シクロヘキサンジメタノールのtrans異性体、1,4−シクロヘキサンジメタノールのtrans異性体およびこれらの組み合わせから構成される群から選択されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のプロセス。
【請求項6】
前記少なくとも1つのポリエチレンテレフタレート成分残基は、エチレングリコール基、ジエチレングリコール基およびシクロヘキサンジメタノール基から構成される群から選択され、前記ポリエチレンテレフタレート成分残基の量は、前記変性ポリブチレンテレフタレート共重合体中のグリコール100モル%に対して、0.1〜10モル%であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のプロセス。
【請求項7】
前記少なくとも1つのポリエチレンテレフタレート成分残基はさらに、前記変性ポリブチレンテレフタレートランダム共重合体中の酸性官能基100モル%に対して、0超〜10モル%の量のイソフタル酸基を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のプロセス。
【請求項8】
前記変性ポリブチレンテレフタレート共重合体の融点は200℃を超え、固有粘度は0.5〜1.4dL/gであることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のプロセス。
【請求項9】
前記ポリエチレンテレフタレート成分の解重合前で、前記第2のポリマーは、前記ポリエチレンテレフタレート成分の合計質量部に対して、0超〜290ppm未満のポリ塩化ビニルを含み、
前記変性ポリブチレンテレフタレート共重合体の成形サンプルのノッチなしアイゾッド強度は、ASTM D256に準拠して測定して1500〜2500J/mであり、破断引張伸び率は、ASTM D638に準拠して測定して少なくとも100%であることを特徴とする請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記ポリエチレンテレフタレート成分の解重合前で、前記第2のポリマーは、前記ポリエチレンテレフタレート成分の合計質量に対して、0超〜5.7質量%未満の、ナイロン6であるポリアミドを含み、
前記変性ポリブチレンテレフタレート共重合体の成形サンプルの破断引張伸び率は、ASTM D638に準拠して測定して少なくとも100%であることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のプロセス。
【請求項11】
前記ポリエチレンテレフタレート成分の解重合前で、前記第2のポリマーは、前記ポリエチレンテレフタレート成分の合計質量に対して、0超〜1.45質量%未満の、ナイロン6であるポリアミドを含み、
前記変性ポリブチレンテレフタレート共重合体の成形サンプルの熱変形温度は、ASTM D648に準拠して応力0.455MPaで測定して、少なくとも90℃であることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のプロセス。
【請求項12】
前記ポリエチレンテレフタレート成分の解重合前で、前記第2のポリマーは、前記ポリエチレンテレフタレート成分の合計質量に対して、0超〜5.7質量%未満の、ナイロン6,6であるポリアミドを含み、
前記変性ポリブチレンテレフタレート共重合体の成形サンプルの破断引張伸び率は、ASTM D638に準拠して測定して少なくとも100%であることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれかに記載のプロセス。
【請求項13】
前記ポリエチレンテレフタレート成分の解重合前で、前記第2のポリマーは、前記ポリエチレンテレフタレート成分の合計質量に対して、0超〜4.6質量%未満の、ナイロン6,6であるポリアミドを含み、
前記変性ポリブチレンテレフタレート共重合体の成形サンプルの熱変形温度は、ASTM D648に準拠して応力0.455MPaで測定して、少なくとも70℃であることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれかに記載のプロセス。
【請求項14】
前記ポリエチレンテレフタレートの解重合は、180℃〜230℃の範囲の温度で行われることを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれかに記載のプロセス。
【請求項15】
前記ポリエチレンテレフタレート成分の解重合は、100kPa〜500kPaの範囲の圧力で行われることを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれかに記載のプロセス。
【請求項16】
前記ポリエチレンテレフタレート成分の解重合は、少なくとも30分間行われることを特徴とする請求項1乃至請求項15のいずれかに記載のプロセス。
【請求項17】
前記第2の温度は、230℃〜260℃の範囲であることを特徴とする請求項1乃至請求項16のいずれかに記載のプロセス。
【請求項18】
前記第2の圧力は、0.3kPa絶対未満であることを特徴とする請求項1乃至請求項17のいずれかに記載のプロセス。
【請求項19】
前記溶融混合物の重合は、少なくとも60分間行われることを特徴とする請求項1乃至請求項18のいずれかに記載のプロセス。
【請求項20】
(i)前記ポリエチレンテレフタレート成分の解重合ステップと、(ii)前記溶融混合物の重合ステップと、(iii)これらの組み合わせ、から構成される群から選択されたステップの間、触媒が存在することを特徴とする請求項1乃至請求項19のいずれかに記載のプロセス。
【請求項21】
(i)前記ポリエチレンテレフタレート成分の解重合ステップと、(ii)前記溶融混合物の重合ステップと、(iii)これらの組み合わせ、から構成される群から選択されたステップの間、塩基性化合物が存在することを特徴とする請求項1乃至請求項20のいずれかに記載のプロセス。
【請求項22】
前記プロセスは、少なくとも2つのリアクタ内で行われることを特徴とする請求項1乃至請求項21のいずれかに記載のプロセス。
【請求項23】
融点が200℃超、固有粘度が0.5〜1.4dL/gの変性ポリブチレンテレフタレート共重合体であって、
(a)ポリエチレンテレフタレート成分から誘導された少なくとも1つの残基と、
(b)(i)ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリ乳酸およびこれらの組み合わせから構成される群から選択された少なくとも1つのポリマーと、
(ii)ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリ乳酸およびこれらの組み合わせから構成される群から選択されたポリマーから誘導された少なくとも1つの残基と、
(iii)これらの組み合わせ、
から構成される群から選択された要素と、を含む変性ポリブチレンテレフタレート共重合体を含むことを特徴とする組成物。
【請求項24】
前記少なくとも1つのポリマーは、前記ポリエチレンテレフタレート成分の合計質量部に対して、0超〜220ppm未満の量のポリ塩化ビニルを前記第2のポリマーとして含み、
前記組成物の成形サンプルのノッチなしアイゾッド強度は、ASTM D256に準拠して測定して1500〜2500J/mであり、破断引張伸び率は、ASTM D638に準拠して測定して少なくとも100%であることを特徴とする請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記少なくとも1つのポリマーは、前記ポリエチレンテレフタレート成分の合計質量に対して、0超〜5.7質量%未満の量のナイロン6を前記第2のポリマーとして含み、
前記組成物の成形サンプルの破断引張伸び率は、ASTM D638に準拠して測定して少なくとも100%であることを特徴とする請求項23または請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記少なくとも1つのポリマーは、前記ポリエチレンテレフタレート成分の合計質量に対して、0超〜1.45質量%未満の量のナイロン6を前記第2のポリマーとして含み、
前記変性ポリブチレンテレフタレート共重合体の成形サンプルの熱変形温度は、ASTM D648に準拠して応力0.455MPaで測定して、少なくとも90℃であることを特徴とする請求項23乃至請求項25のいずれかに記載の組成物。
【請求項27】
前記少なくとも1つのポリマーは、前記ポリエチレンテレフタレート成分の合計質量に対して、0超〜5.7質量%未満の量のナイロン6,6を前記第2のポリマーとして含み、
前記変性ポリブチレンテレフタレート共重合体の成形サンプルの破断引張伸び率は、ASTM D638に準拠して測定して少なくとも100%であることを特徴とする請求項23乃至請求項26のいずれかに記載の組成物。
【請求項28】
前記少なくとも1つのポリマーは、前記ポリエチレンテレフタレート成分の合計質量に対して、0超〜4.6質量%未満の量のナイロン6,6を前記第2のポリマーとして含み、
前記変性ポリブチレンテレフタレート共重合体の成形サンプルの熱変形温度は、ASTM D648に準拠して応力0.455MPaで測定して、少なくとも70℃であることを特徴とする請求項23乃至請求項27のいずれかに記載の組成物。
【請求項29】
前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導された前記残基は、エチレングリコール基、ジエチレングリコール基、イソフタル酸基、アンチモン含有化合物、ゲルマニウム含有化合物、チタン含有化合物、コバルト含有化合物、スズ含有化合物、アルミニウム、アルミニウム塩、1,3−シクロヘキサンジメタノール異性体、1,4−シクロヘキサンジメタノール異性体、アルカリ塩、アルカリ土類金属塩、リン含有化合物およびアニオン、硫黄含有化合物およびアニオン、ナフタレンジカルボン酸、1,3−プロパンジオール基およびこれらの組み合わせから構成される群から選択されることを特徴とする請求項23乃至請求項28のいずれかに記載の組成物。
【請求項30】
前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導された前記少なくとも1つの残基は、エチレングリコールおよびジエチレングリコールの混合物を含むことを特徴とする請求項23乃至請求項29のいずれかに記載の組成物。
【請求項31】
請求項23乃至請求項30のいずれかに記載の組成物を含むことを特徴とする物品。
【請求項32】
融点が200℃超、固有粘度が0.5〜1.4dL/gであって、
(a)ポリエチレンテレフタレート成分から誘導された少なくとも1つの残基と、
(b)(i)ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリ乳酸およびこれらの組み合わせから構成される群から選択された少なくとも1つのポリマーと、
(ii)ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリ乳酸およびこれらの組み合わせから構成される群から選択されたポリマーから誘導された少なくとも1つの残基と、
(iii)これらの組み合わせ、
から構成される群から選択された要素と、を含む変性ポリブチレンテレフタレート共重合体であって、
前記変性ポリブチレンテレフタレート共重合体は、前記ポリエチレンテレフタレート成分の質量部または質量に対してそれぞれ、0超〜290ppm未満のポリ塩化ビニルと、0超〜5.7質量%未満のナイロン6と、0超〜5.7質量%未満のナイロン6,6と、選択的に0超〜8質量%未満のポリ乳酸、から構成される群から選択された第2のポリマーを含むポリエチレンテレフタレート混合物から誘導され、
前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導された前記残基は、エチレングリコール基、ジエチレングリコール基、イソフタル酸基、アンチモン含有化合物、ゲルマニウム含有化合物、チタン含有化合物、コバルト含有化合物、スズ含有化合物、アルミニウム、アルミニウム塩、1,3−シクロヘキサンジメタノール異性体、1,4−シクロヘキサンジメタノール異性体、アルカリ塩、アルカリ土類金属塩、リン含有化合物およびアニオン、硫黄含有化合物およびアニオン、ナフタレンジカルボン酸、1,3−プロパンジオール基およびこれらの組み合わせから構成される群から選択されることを特徴とする組成物。
【請求項33】
前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導された前記少なくとも1つの残基は、エチレングリコールとジエチレングリコールの混合物を含むことを特徴とする請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
請求項32または請求項33に記載の組成物を含むことを特徴とする物品。

【公表番号】特表2012−514111(P2012−514111A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544491(P2011−544491)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/069079
【国際公開番号】WO2010/078125
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(508171804)サビック・イノベーティブ・プラスチックス・アイピー・ベスローテン・フェンノートシャップ (86)
【Fターム(参考)】