説明

ポリエチレンテレフタレートから誘導されるコポリエーテルエステル類

本発明は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート共重合体類、およびその組み合わせから構成される群から選択されるポリエチレンテレフタレート成分から誘導され、前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導される少なくとも1つの残基を含む変性ランダムポリブチレンテレフタレート共重合体ブロックと、ポリエチレンテレフタレート成分とポリアルキレンオキシドグリコールとから誘導され、ポリアルキレンオキシドと前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導された少なくとも1つの残基とを含むポリアルキレンオキシド共重合体ブロックと、を含む変性ランダムコポリエーテルエステルを含有する組成物に関する。好都合なことに、前記組成物は、(1)テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸のアルキルエステル類、テレフタル酸のヒドロアルキルエステル類、イソフタル酸のアルキルエステル類、および1,4−ブタンジオールから構成される群から選択されるモノマ成分から誘導されるポリブチレンテレフタレートと、(2)ポリアルキレンオキシドグリコールと、(3)それらの組み合わせとから誘導されるコポリエーテルエステルの弾性率と比較して、少なくとも80%の弾性率を有する。本発明はまた、変性ランダムポリトリメチレンテレフタレート共重合体ブロックを含むコポリエーテルエステル、該組成物から製造される物品類、および上記材料の製造方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2006年1月27日に出願された米国仮特許出願番号第60/763107号、および2006年7月26日に出願された同60/820450号の優先権の特典を主張し、参照によりそのすべてを本願明細書に援用する。
【0002】
ポリエチレンテレフタレート(「PET」とも呼ぶ)はテレフタル酸とエチレングリコールからなるポリエステルであり、ジメチルテレフタレートとエチレングリコールとの重縮合により、また、テレフタル酸とエチレングリコールまたはエチレンオキシドとの重縮合によっても製造される。PETは、非晶質熱可塑性材料(透明)および半結晶性熱可塑性材料(不透明および白色)の両方として存在する。PETは一般に、塩基類は除き、鉱油類、溶剤類、および酸類に対して有用な耐薬品性を有している。半結晶性PETは、良好な強度、延性、剛性、および硬度を有している。非晶質PETは、延性はより優れているが、剛性と硬度は劣る。PETは、ソフトドリンク用ボトルやその他の家庭製品や消費財の製造に用いられる。一般に、PETには多くの用途があり、いくつかの大きな市場を有している。そのために、PETは大量生産されしかもその量は拡大し続けている。
【0003】
リサイクルの努力にもかかわらず、残念ながら世界中で毎年、非常に大量のPETがごみ処理場に廃棄されている。再利用されないその他のPETは焼却されている。ごみ処理場に廃棄されるPETの量は相当量である。PETの焼却は、もっと有効に使える可能性のある相当量の資源を無駄にすることになる。
【0004】
TPEEエラストマとも呼ばれるコポリエーテルエステル類は、特定の分類のエラストマ材料である。これらの材料は、従来の成形設備においては熱可塑性プラスチックとしての加工性を示し、従来の硬化ゴムの弾力性と耐衝撃性および曲げ疲労耐性を示す。こうした特性の組み合わせは、共重合分子における非晶質ポリエーテル部分と結晶性ポリエステル部分とが相分離する結果得られるものである。それらの非相溶性部分は1つの巨大分子の骨格に共重合しているので、必然的に発生する相分離は、ポリマ鎖の大きさに似た大きさを持つ離散領域となる。こうして、ポリエーテルは、結晶性のポリエステル領域の「結び目」で物理的に架橋された、柔軟な非晶質領域を形成する。すなわち、非晶質の柔軟なブロックにより、柔軟性と低温衝撃性というエラストマ特性が得られ、結晶性の硬いブロックによって、離散した融点と、耐熱性、耐薬品性、および機械的強度とが得られることになる。また、これらの材料は一般的に、従来のゴムより低温のぜい化温度、反発力、低クリープ、および油、燃料、溶剤、および薬品に対する良好な耐性などによっても特徴づけられる。
【0005】
コポリエーテルエステルを含むあるいはこれをベースとする熱可塑性組成物、および、他の材料と組み合わされたポリブチレンテレフタレート(「PBT」とも呼ぶ)をベースとした熱可塑性組成物は、様々な用途に用いられている。PBT由来の従来のコポリエーテルエステルは多くのユーザにとって有用であるが、使用済み消費財のPBTあるいは使用済み産業財のPBTが大量に入手できないために、従来のコポリエーテルエステル類は一般に、商業レベルで再利用PBTから製造することはできない。PBTと違ってPETは、はるかに大量に生産され、また消費財廃棄物から容易に回収されている。PET(スクラップ)材料をPBTに変換でき、有用な成形組成物に変えることができれば、PBTコポリエーテルエステル類およびコポリエーテルエステル物品類へのスクラップPETの使用を増やす価値ある方法となるであろう。スクラップPET材料をPBTおよび有用な商業的特性を有するコポリエーテルエステルに変換できれば、使用済み消費財あるいは使用済み産業財を使用する有効な方法となるであろう。こうして作られるコポリエーテルエステルは、非再生炭化水素資源の使用量を節約し、またCOなどの温室効果ガスの発生を削減することになるであろう。
【0006】
残念ながら、コポリエーテルエステル類を製造する既知の溶液では、今日のユーザのニーズに答えられるスクラップPETを使用する方法は提供されない。英国特許第1,500,577号には、スクラップPETを、スクラップPETの重量の0.1〜5倍の量のアルキレングリコールで処理することが開示されている。好適な実施形態として同特許では、これらの材料を200〜250℃に加熱し、グリコールを約8時間あるいは液が透明になるまで還流することが開示されている。グリコール化(glycolization)の初期段階は好適には大気圧下で行い、最終段階では好適には0.5mmHg未満で行う。
【0007】
同特許の実施例では、「本発明に従って作られた生成品の種々の伸び率における弾性率は、その材料成分が特許3,701,755号のそれに非常に類似している場合に、その特許の実施例4に従って作られた生成品と比較して、一貫して約半分であることが観察されるであろう」と開示している。米国特許第3,701,755号の実施例4では、「ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート12.17部、PTMG(分子量1800)20.0部、および酢酸亜鉛0.014部を200℃で反応容器に入れ、加熱しながら徐々に減圧し、圧力1mmHg未満の高真空で80分間重縮合を行った。得られた共重合体は融点が208℃であった・・・」と開示されている。「セグメント化されたコポリエーテルエステルエラストマの既知の処理方法で」処理改質すれば、本特許生成品は、園芸ホース類、産業用ホース材料、産業用タイヤ類、およびテニスシューズソール類などの製品生産に有用である、ことが英国特許第1,500,577号に開示されている。
【0008】
今日ではユーザから優れた性能特性を持つエラストマ製品を要求されることが多い。英国特許第1,500,577号はスクラップPETの使用方法を示したが、モノマであるビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート系材料の約半分の弾性率を持つエラストマポリマでは、今日、多くのユーザに単純に受け入れられないであろう。さらに改良が必要な溶液類は、生産にあたって実用的ではなくあるいは実現可能性が低いであろう。
【0009】
スクラップPETなどの使用済み消費財ポリエステルの使用に係るその他の試みは、ポリマやポリマの解重合中に得られるポリマ成分を回収する方法や装置に係るものである。例えば、米国特許第6,162,837号では、多くの違った形態の廃棄ポリエステルから連続的にPETやPBTなどの直鎖ポリエステルを回収する方法と装置が開示されており、そこでは、未乾燥あるいは完全には乾燥していない廃棄物を溶解してそのポリマ骨格を付着水分で加水分解し、ポリマの基本構成単位に相当するジオールを溶融物に加えて糖分解させ、その溶解物を所望の重合度まで濃縮する。欧州特許第1,437,377号には、使用PETボトルをEGで解重合反応するステップと、メタノールとのエステル交換反応でDMTを回収するステップと、回収したDMTを加水分解してテレフタル酸を得るステップと、そのテレフタル酸を使用したPETボトルの再生産に使用可能なPETポリマを生産するステップとを包含するプロセスが開示されている。そうした溶液類では、例えば、PBT由来のコポリエーテルエステル類と類似の特性を有するコポリエーテルエステルなどの、好適な商業的特性を有するコポリエーテルエステル類を、スクラップPETを用いて作る必要性に取り組んでいない。
【0010】
こうした理由から、優れた性能特性を有するPET由来の改良コポリエーテルエステル類の開発が今までになく求められている。
【0011】
こうした理由から、スクラップPET由来ではないコポリエーテルエステル類と比較して、非常に多くの特性を保持するPET由来の改良コポリエーテルエステル類の開発が今までになく求められている。
【0012】
こうした理由から、スクラップPET由来のコポリエーテルエステル類の改良製造方法の開発が今までになく求められている。
【0013】
本発明は、
(A)ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート共重合体類、およびその組み合わせから構成される群から選択されるポリエチレンテレフタレート成分から誘導され、前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導される少なくとも1つの残基を含む変性ランダムポリブチレンテレフタレート共重合体ブロックと、
(B)ポリエチレンテレフタレート成分とポリアルキレンオキシドグリコールとから誘導され、ポリアルキレンオキシドと前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導される少なくとも1つの残基とを含むポリアルキレンオキシド共重合体ブロックと、を含む変性ランダムコポリエーテルエステルを含有する組成物であって、前記組成物は、
(1)テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸のアルキルエステル類、テレフタル酸のヒドロアルキルエステル類、イソフタル酸のアルキルエステル類、および1,4−ブタンジオールから構成される群から選択されるモノマ成分から誘導されるポリブチレンテレフタレートと、
(2)ポリアルキレンオキシドグリコールと、
(3)それらの組み合わせと、
から誘導されるコポリエーテルエステルの弾性率と比較して、少なくとも80%の弾性率を有する組成物に関する。
【0014】
ある実施形態では、本発明は、
(a)少なくとも大気圧力の不活性ガス雰囲気中、触媒成分の存在下、
(i)ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンテレフタレート共重合体類から構成される群から選択されるポリエチレンテレフタレート成分と、
(ii)1,4−ブタンジオールとを、
オリゴマ類、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、およびそれらの混合物類を含む溶融混合物に前記ポリエチレンテレフタレート成分を解重合させる条件で反応させて、前記ポリエチレンテレフタレート成分を解重合するステップであって、前記ポリエチレンテレフタレート成分と前記ジオールとは攪拌下液相状態で混合され、前記ジオールはリアクタ中に還流されるステップと、
(b)減圧下で前記溶融混合物を攪拌しながら、過剰ジオール、エチレングリコール、およびテトラヒドロフランを除去するステップと、を含むコポリエーテルエステル製造プロセスであって、
本プロセスの間、コポリエーテルエステルを十分に形成する量および条件下で、ポリアルキレンオキシドを添加するコポリエーテルエステル製造プロセスに関する。
【0015】
別の実施形態では、本発明は、
(a)少なくとも大気圧力下、触媒成分の存在の下で、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンテレフタレート共重合体類から構成される群から選択されるポリエチレンテレフタレート成分と、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択される要素とを、エチレンテレフタレート部分を含むオリゴマ類、エチレンイソフタレート部分を含むオリゴマ類、ジエチレンテレフタレート部分を含むオリゴマ類、ジエチレンイソフタレート部分を含むオリゴマ類、トリメチレンテレフタレート部分を含むオリゴマ類、トリメチレンイソフタレート部分を含むオリゴマ類、前記の少なくとも2つの部分を含む共有結合オリゴマ部分、エチレングリコール、プロピレングリコール、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択される成分を含む第1の溶融混合物に前記ポリエチレン成分を十分に解重合する条件下で、リアクタ内で攪拌して前記ポリエチレンテレフタレート成分を解重合するステップと、
(b)触媒成分の存在下、ブチレンテレフタレート部分を含むオリゴマ類、エチレンテレフタレート部分、トリメチレンテレフタレート部分を含むオリゴマ類、プロピレングリコール、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択される成分を含む第2の溶融混合物を十分に形成する条件下で、リアクタ内の前記第1の溶融混合物に1,4−ブタンジオールを添加するステップと、
(c)前記第2の溶融混合物を減圧下十分に攪拌してコポリエーテルエステルを形成するステップとを包含するプロセスであって、
本プロセスの間、前記コポリエーテルエステルを十分に形成する量および条件下で、ポリアルキレンオキシドを添加し、トリメチレンテレフタレート部分と、エチレンテレフタレート部分と、ブチレンテレフタレート部分とを含むオリゴマ類、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール、およびエチレングリコールは、前記コポリエーテルエステル形成の間に除去されることを含むプロセスにより、本発明のコポリエーテルエステル類のうちの任意のコポリエーテルエステルを製造するプロセスに関する。
【0016】
別の実施形態では、本発明は、
(a)ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート共重合体類、およびその組み合わせから構成される群から選択されるポリエチレンテレフタレート成分から誘導され、前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導される少なくとも1つの残基を含む変性ランダムポリブチレンテレフタレート共重合体ブロックと、
(b)ポリエチレンテレフタレート成分とポリアルキレンオキシドグリコールとから誘導され、ポリアルキレンオキシドと前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導された少なくとも1つの残基とを含むポリアルキレンオキシド共重合体ブロックと、を含む変性ランダムコポリエーテルエステルを含有する組成物であって、
前記組成物は、
(1)テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸のアルキルエステル類、テレフタル酸のヒドロアルキルエステル類、イソフタル酸のアルキルエステル類、および1,4−ブタンジオールから構成される群から選択されるモノマ成分から誘導されるポリブチレンテレフタレートと、
(2)ポリアルキレンオキシドグリコールと、
(3)それらの組み合わせと、
から誘導されるコポリエーテルエステルの弾性率と比較して、少なくとも80%の弾性率を有し、
前記ポリアルキレンオキシド共重合体ブロック中の前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導された前記少なくとも1つの残基は、テレフタル酸基類、イソフタル酸基類、およびそれらの組み合わせを含む群から選択され、
前記変性ランダムポリブチレンテレフタレート共重合体ブロック中の前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導された前記少なくとも1つの残基は、エチレングリコール基類、ジエチレングリコール基類、イソフタル酸基類、1,3−シクロヘキシルジメタノール異性体類、1,4−シクロヘキシルジメタノール異性体類、1,3−シクロヘキシルジメタノールのシス異性体、1,4−シクロヘキシルジメタノールのシス異性体、シクロヘキシルジメタノールの1,3−トランス異性体、テレフタル酸基類、1,4−シクロヘキシルジメタノールの1,4−トランス異性体、ナフタレンジカルボン酸類、1,3−プロパンジオール基類、およびそれらの組み合わせを含む群から選択され、
前記コポリエーテルエステルは、アルカリ土類金属塩類、アルカリ塩類、リン含有化合物類および陰イオン類、イオウ含有化合物類および陰イオン類、アンチモン含有化合物類、ゲルマニウム含有化合物類、チタン含有化合物類、コバルト含有化合物類、スズ含有化合物類、アルミニウム、アルミニウム塩類、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択された、前記ポリエチレンテレフタレート成分由来の残基を少なくとも1つ含んでおり、
前記組成物は、前記コポリエーテルエステルの組成物の合計100重量%に対して、20〜95重量%の前記変性ポリブチレンテレフタレートランダム共重合体ブロックを有し、
前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導された前記残基は、前記ポリブチレンテレフタレートランダム共重合体中の酸100モル%に対して、0〜35モル%のイソフタル酸基類をさらに含み、
前記組成物は、その組成物から成形あるいは押出しされた物品に、20〜1200MPaの引張弾性率、145℃〜230℃の溶融転移温度、25〜80のショアD硬度、および45℃〜200℃のビカット軟化温度を付与する組成物に関する。
【0017】
別の実施形態では、本発明は、
(a)ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート共重合体類、およびその組み合わせから構成される群から選択されるポリエチレンテレフタレート成分から誘導され、前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導される少なくとも1つの残基を含む変性ランダムポリトリメチレンテレフタレート共重合体ブロックと、
(b)ポリエチレンテレフタレート成分とポリアルキレンオキシドグリコールとから誘導され、ポリアルキレンオキシドと前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導された少なくとも1つの残基とを含むポリアルキレンオキシド共重合体ブロックとを含む組成物に関する。
【0018】
別の実施形態では、本発明は、
(a)少なくとも大気圧力下、触媒成分の存在の元で、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンテレフタレート共重合体類から構成される群から選択されるポリエチレンテレフタレート成分と、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択される要素とを、エチレンテレフタレート部分を含むオリゴマ類、エチレンイソフタレート部分を含むオリゴマ類、ジエチレンテレフタレート部分を含むオリゴマ類、ジエチレンイソフタレート部分を含むオリゴマ類、トリメチレンテレフタレート部分を含むオリゴマ類、トリメチレンイソフタレート部分を含むオリゴマ類、前記の少なくとも2つの部分を含む共有結合オリゴマ部分、エチレングリコール、プロピレングリコール、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択される成分を含む第1の溶融混合物に前記ポリエチレンテレフタレート成分を十分に解重合する条件下で、リアクタ内で攪拌して前記ポリエチレンテレフタレート成分を解重合するステップと、
(b)触媒成分の存在下、エチレンテレフタレート部分を含むオリゴマ類、トリメチレンテレフタレート部分を含むオリゴマ類、プロピレングリコール、エチレングリコール、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択される成分を含む第2の溶融混合物を十分に形成する条件下で、リアクタ内の前記第1の溶融混合物に1,3−プロパンジオールを添加するステップと、
(c)前記第2の溶融混合物を減圧下十分に攪拌してコポリエーテルエステルを形成するステップとを包含するプロセスであって、
本プロセスの間、前記コポリエーテルエステルを十分に形成する量および条件下で、ポリアルキレンオキシドを添加し、トリメチレンテレフタレート部分と、エチレンテレフタレート部分とを含むオリゴマ類、プロピレングリコール、およびエチレングリコールは、前記コポリエーテルエステル形成の間に除去されることを含むプロセスにより、ポリトリメチレンテレフタレート共重合体ブロックを含むコポリエーテルエステルを製造するプロセスに関する。
【0019】
別の実施形態では、本発明は、本発明の任意の組成物の成分類を溶融混合して、本発明のコポリエーテルエステル組成物の任意の組成物を製造する方法に関する。別の実施形態では、本発明は、本発明の任意の組成物を形状化し、押出し、ブロー成形し、あるいは射出成形するステップを含む、物品の製造方法に関する。また本発明は、本発明の任意のコポリエーテルエステルを用いて作られる物品を包含する。
【0020】
本発明のこれらのおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の記載および添付の請求項を参照することによって一層よく理解されるであろう。
【0021】
本発明は、スクラップポリエチレンテレフタレートから誘導され、傑出した性能特性を示すコポリエーテルエステル類を今や作ることができるとの発見に基づいている。従来のモノマ由来のコポリエーテルエステル類組成物と違って、本発明のコポリエーテルエステル類は、エチレングリコール、イソフタル酸、およびジエチレングリコール基類などのポリエチレンテレフタレートから誘導された残基類を含んでいる。これにもかかわらず、上記コポリエーテルエステル類は、優れた性能特性を付与し多くの用途に使用することができる。好都合なことに、上記コポリエーテルエステル類は、モノマ由来のコポリエーテルエステル類と比較して、少なくとも80%、あるいはそれ以上の物性を保持している。
【0022】
作用例を除き、あるいは別途明示がある場合を除き、明細書および請求項で用いられている成分量や反応条件等を表す数字や表現は、すべての場合について「約」という用語で修飾されるものと理解されたい。本出願においては様々な数値範囲が開示されている。これらの範囲は連続的であり、最小値と最大値間のすべての数値を含む。別途明示がある場合を除き、本明細書のこうした様々な数値範囲は近似である。
【0023】
別途明示がある場合を除き、本明細書での分子量はすべて重量平均分子量である。こうした分子量はすべてダルトンで表わしている。
【0024】
別途明記した場合を除き、ASTM試験およびデータはすべて、ASTM標準2003年度版からのものである。
【0025】
明確にするために、別途明記した場合を除き、式中のテレフタル酸基、イソフタル酸基、ブタンジオール基、エチレングリコール基は次の意味を持っている。組成物中の「テレフタル酸基」(R’)は、テレフタル酸からカルボキシル基を除去後に残存する二価の、1,4−ベンゼンラジカル(−1,4−(C)−)を指す。「イソフタル酸基」(R’’)は、イソフタル酸からカルボキシル基を除去後に残存する二価の、1,3−ベンゼンラジカル(−(−1,3−C)−)を指す。「ブタンジオール基」(D)は、ブタンジオールからヒドロキシル基を除去後に残存する二価の、ブチレンラジカル(−(C)−)を指す。「エチレングリコール基」(D’)は、エチレングリコールからヒドロキシル基を除去後に残存する二価の、エチレンラジカル(−(C)−)を指す。例えば、組成物中の重量%を示すために他の文脈で使われている「イソフタル酸基」、「エチレングリコール基」、および「ジエチレングリコール基」に関して、「イソフタル酸基(類)」は、(−O(CO)C(CO)−)を有する基を、「テレフタル酸基(類)」は、式(−O(CO)C(CO)−)を有する基を、ジエチレングリコール基は、(−O(C)O(C)−)を有する基を、「ブタンジオール基(類)」は、式(−O(C)−)を有する基を、また、「エチレングリコール基(類)」は、式(−O(C)−)を有する基を、また、「プロパンジオール基」は、式(−O(C)−)を有する基を意味する。
【0026】
本発明は、
(A)ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート共重合体類、およびその組み合わせから構成される群から選択されるポリエチレンテレフタレート成分から誘導され、前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導される少なくとも1つの残基を含む変性ランダムポリブチレンテレフタレート共重合体ブロックと、
(B)ポリエチレンテレフタレート成分とポリアルキレンオキシドグリコールとから誘導され、ポリアルキレンオキシドと前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導される少なくとも1つの残基とを含むポリアルキレンオキシド共重合体ブロックと、を含むコポリエーテルエステルを含有する組成物であって、
前記組成物は、
(1)テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸のアルキルエステル類、イソフタル酸のアルキルエステル類、および1,4−ブタンジオールから構成される群から選択されるモノマ成分から誘導されるポリブチレンテレフタレートと、
(2)ポリアルキレンオキシドグリコールと、
(3)それらの組み合わせと、から誘導されるコポリエーテルエステルの弾性率と比較して、少なくとも80%の弾性率を有する組成物に関する。
【0027】
従来のコポリエーテルエステル類は、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸のアルキルエステル類、テレフタル酸のヒドロアルキルエステル類、およびイソフタル酸のアルキルエステル類から構成される群から選択されるモノマ成分と、(2)1,4−ブタンジオールと、(3)ポリアルキレンオキシドグリコールと、(4)それらの組み合わせとから誘導される。従来のコポリエーテルエステル類は、変性ランダムポリブチレンテレフタレート共重合体ブロックではなく、モノマ由来のポリブチレンテレフタレート共重合体ブロックを有している。また従来のコポリエーテルエステル類は、モノマ由来のポリアルキレンオキシド共重合体ブロックも有している。
【0028】
本発明の変性ランダムコポリエーテルエステル類(およびそれから作られる物品類)は、
(i)変性ランダムポリブチレンテレフタレート共重合体ブロックと同量のモノマ由来のポリアルキレンオキシド共重合体ブロックを有し、
(ii)ポリエチレンテレフタレート成分およびポリアルキレンオキシドグリコールから誘導され、ポリアルキレンオキシドと前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導された少なくとも1つの残基を含むポリアルキレンオキシド共重合体ブロックと同量の、モノマ由来ポリアルキレンオキシド共重合体ブロックを有する、従来のコポリエーテルエステルの弾性率と比較して、5%の弾性率を示す。
【0029】
上記変性ランダムコポリエーテルエステル中のポリエチレンテレフタレート成分から誘導された残基は、エチレングリコール基類、ジエチレングリコール基類、イソフタル酸基類、アンチモン含有化合物類、ゲルマニウム含有化合物類、チタン含有化合物類、コバルト含有化合物類、スズ含有化合物類、アルミニウム、アルミニウム塩類、1,3−シクロヘキシルジメタノール異性体類、1,4−シクロヘキシルジメタノール異性体類、1,3−シクロヘキシルジメタノールのシス異性体、1,4−シクロヘキシルジメタノールのシス異性体、シクロヘキシルジメタノールの1,3−トランス異性体、テレフタル酸基類、1,4−シクロヘキサシルメタノールの1,4−トランス異性体、アルカリ土類金属塩類、カルシウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩、およびカリウム塩を含むアルカリ塩類、リン含有化合物類および陰イオン類、イオウ含有化合物類および陰イオン類、ナフタレンジカルボン酸類、1,3−プロパンジオール基類、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択される。
【0030】
本発明は、ポリエチレンテレフタレート成分から誘導された一定の残基類を、ポリアルキレンオキシド共重合体ブロックおよび変性ランダムポリブチレンテレフタレート共重合体ブロックに選択的に与える。例えば、ポリアルキレンオキシド共重合体ブロック中のポリエチレンテレフタレート成分から誘導された残基は、テレフタル酸基類、イソフタル酸基類、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択される。変性ランダムポリブチレンテレフタレート共重合体ブロック中のポリエチレンテレフタレート成分から誘導された残基は、エチレングリコール基類、ジエチレングリコール基類、イソフタル酸基類、1,3−シクロヘキシルジメタノール異性体類、1,4−シクロヘキシルジメタノール異性体類、1,3−シクロヘキシルジメタノールのシス異性体、1,4−シクロヘキシルジメタノールのシス異性体、シクロヘキシルジメタノールの1,3−トランス異性体、テレフタル酸基類、1,4−シクロヘキシルジメタノールの1,4−トランス異性体、ナフタレンジカルボン酸類、1,3−プロパンジオール基類、およびそれらの組み合わせを含む群から選択される。上記のコポリエーテルエステルは、アルカリ土類金属塩類、カルシウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩、およびカリ塩を含むアルカリ塩類、リン含有化合物類および陰イオン類、イオウ含有化合物類および陰イオン類、アンチモン含有化合物類、ゲルマニウム含有化合物類、チタン含有化合物類、コバルト含有化合物類、スズ含有化合物類、アルミニウム、アルミニウム塩類、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択される、ポリエチレンテレフタレート由来の残基を含むことができる。
【0031】
ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンテレフタレート共重合体類などのファクタによるが、残基は様々な組み合わせを含むことができる。例えばある実施形態では、ポリエチレンテレフタレート成分から誘導される残基は、エチレングリコールとジエチレングリコールとの混合物を含んでいる。こうした混合物類はイソフタル酸などの材料をさらに含むことができる。そうした材料としては、1,3−シクロヘキシルジメタノールのシス異性体、1,4−シクロヘキシルジメタノールのシス異性体、1,3−シクロヘキシルジメタノールのトランス異性体、1,4−シクロヘキシルジメタノールのトランス異性体、およびそれらの組み合わせなどがある。ある実施形態では、ポリエチレンテレフタレート成分から誘導される残基は、1,3−シクロヘキシルジメタノールのシス異性体、1,4−シクロヘキシルジメタノールのシス異性体、1,3−シクロヘキシルジメタノールのトランス異性体、1,4−シクロヘキシルジメタノールのトランス異性体、およびそれらの組み合わせから選択される。別の実施形態では、ポリエチレンテレフタレート成分から誘導される残基は、エチレングリコール基類、ジエチレングリコール基類、イソフタル酸基類、1,3−シクロヘキシルジメタノールのシス異性体、1,3−シクロヘキシルジメタノールのトランス異性体、1,4−シクロヘキシルジメタノールのシス異性体、1,4−シクロヘキシルジメタノールのトランス異性体、およびこれらの組み合わせから構成される群から選択される。ある実施形態では、ポリエチレンテレフタレート成分から誘導される残基は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、コバルト含有化合物類、およびそれらの組み合わせの混合物類を含む。上記のように、そうした混合物類では、ポリエチレンテレフタレート成分から誘導される前記少なくとも1つの残基はイソフタル酸基類をさらに含んでいる。
【0032】
ポリエチレンテレフタレート成分から誘導される残基のモル量は変化し得る。ある実施形態では、ポリエチレンテレフタレート成分から誘導された残基は、エチレングリコール基類、ジエチレングリコール基類、およびシクロヘキシルジメタノール基類から構成される群から選択され、その量は、成形組成物中のグリコール100モル%に対して0.1〜10モル%である。別の実施形態では、ポリエチレンテレフタレート成分から誘導される残基はさらに、組成物中の酸官能基100モル%に対してイソフタル酸基類を0〜10モル%含む。ポリエチレンテレフタレート成分由来の残基の合計量は変化し得る。例えば、混合物類が1.8〜2.5重量%の場合もあれば、0.5〜2重量%の場合も、あるいは1〜4重量%の場合もある。ジエチレングリコール基の量は、成形組成物中のグリコール100モル%に対して0.1〜10モル%である。イソフタル酸基の量は、成形組成物中の酸100モル%に対して0〜35モル%、あるいは0.1〜35モル%である。
【0033】
ポリブチレンテレフタレートランダム共重合体の量は変化し得る。ある実施形態では、ポリブチレンテレフタレートランダム共重合体の量は、コポリエーテルエステル組成物の合計100重量%に対して20〜95重量%である。
【0034】
変性ポリブチレンテレフタレートランダム共重合体ブロックが作られるPET成分は、本発明に従って使用できるのものであれば任意の形態であってよい。一般に、PET成分としては、フレーク状、パウダおよびまたはチップ状、フィルム状、あるいはペレット状をした再利用(スクラップ)PETを含む。PETは一般に使用前に、紙や接着剤;ポリプロピレン、塩化ビニル(PVC)、ナイロン、ポリ乳酸などのポリオレフィン;およびその他の汚染物質などの不純物を取り除かれる。また、PET成分としては、フレーク状や、チップ状、ペレット状をした廃棄物ではないPETも含み得る。こうして、通常はゴミ処理場に破棄されるPETを、生産的に有効的に使用することができる。ある実施形態では、PET成分としては他のポリエステル類を含んでいてもよい。また、ポリエステル共重合体類を含んでいてもよい。そうした材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンテレフタレート、テレフタレートエステル類とシクロヘキシルジメタノールおよびエチレングリコールを含有するコモノマ類とのコポリエステル類、テレフタル酸塩とシクロヘキシルジメタノールおよびエチレングリコールを含有するコモノマ類とのコポリエステル類、ポリブチレンテレフタレート、ポリキシリレンテレフタレート、ポリジアノールテレフタレート類(polydianol terephthalates)、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエステルナフタレート類、およびそれらの組み合わせから選択されるポリアルキレンテレフタレート類などがある。
【0035】
ポリアルキレンオキシドは、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択され得る。その量はプロセス条件、ユーザニーズなどによって変わる。
【0036】
ある実施形態では、本発明は、
(a)以下の式を有する長鎖エステル単位であって、
【化1】

式中、Gは、蒸気圧浸透圧法あるいは核磁気分光法で測定して、数平均分子量が200〜5000のポリ(アルキレンオキシド)グリコールから末端ヒドロキシル基類を取り除いた後の二価のポリアルキレンオキシドラジカルであり、R’は、テレフタルジカルボン酸からカルボキシル基類を取り除いた後の二価テレフタル酸ラジカルであり、R’’はイソフタルジカルボン酸からカルボキシル基類を取り除いた後の二価イソフタル酸ラジカルである長鎖エステル単位と、
(b)以下の式を有する短鎖エステル単位であって、
【化2】

式中、Dは、分子量が40〜250の脂肪族ジオール類からヒドロキシル基類を取り除いた後の直鎖脂肪族ラジカル類から構成される群から選択される二価のアルキレンラジカルであり、R’およびR’’は上記に定義したものであり、D’はエチレングリコールのヒドロキシル基類を取り除いた後の二価エチレンラジカルである短鎖エステル単位とを含むコポリエーテルエステルに関する。
【0037】
上記の短鎖エステル単位と長鎖エステル単位の量、および種々の基類の量は変わり得る。例えば、短鎖エステル単位は、ポリエーテルエステルの20重量%〜95重量%を構成し、長鎖エステル単位はコポリエーテルエステルの5重量%〜80重量%を構成する。ある実施形態では、Dの量は、DとD’単位の合計量に対して98モル%である。
【0038】
脂肪族ラジカル類は、用途によって変わる。好適な脂肪族ラジカル類としては、エチレンラジカル類、ブチレンラジカル類、トリメチレンラジカル類、ペンタレンラジカル類、ヘキサレンラジカル類、シクロヘキシレンラジカル類、およびそれらの組み合わせから選択され得る。
【0039】
本発明は、イソフタル酸基類、エチレングリコール基類、およびコポリエーテルエステル成分類間で、特定的に有用な関連を有するコポリエーテルエステル類を提供する。本発明は、二価アルキレンラジカルであるDとD’が、二価のポリアルキレンオキシドラジカルGと一定の関係にある実施形態を提供する。ある実施形態では、二価のアルキレンラジカルDと二価のポリアルキレンオキシドラジカルGとは、重量比が95:5〜20:80である。他の実施形態では、二価のアルキレンラジカルD’と二価のポリアルキレンオキシドラジカルGとは、重量比が95:5〜20:80である。
【0040】
本発明のコポリエーテルエステル類は、種々の用途で有用な物性を付与する。例えば、この組成物の固有粘度(IV)は少なくとも3であり、ある実施形態では、IVは0.3〜3である。
【0041】
本発明のコポリエーテルエステル類の融点は一般に少なくとも120℃である。ある実施形態では、融点は120〜225℃である。引張破断伸び率(%)は一般に少なくとも50%である。別の実施形態では、引張破断伸び率(%)は50%〜700%である。ある実施形態では、引張破断伸び率(%)は350%〜600%である。
【0042】
コポリエーテルエステルの分子量も変えられる。ある実施形態では、分子量は少なくとも10,000である。別の実施形態では、分子量は10,000〜800,000の範囲で変えられる。非晶質ポリエーテル軟質部のガラス転移温度は、−100℃〜50℃である。ある実施形態では、ガラス転移温度は−60℃〜10℃である。
【0043】
本発明のコポリエーテルエステル組成物は一般に、(a)少なくとも大気圧の不活性雰囲気において触媒成分の存在下、温度180℃〜230℃で、(i)ポリエチレンテレフタレート成分を(ii)ジオールおよび(iii)ポリアルキレンオキシドと反応させて作られる。このプロセスは不活性雰囲気下、ポリエチレンテレフタレート成分を、オリゴマ類、ポリアルキレンオキシド、アルキレンジオール、およびエチレングリコールを含む溶融混合物に解重合させる条件下で行われる。ポリエチレンテレフタレート成分とジオールとは攪拌下、液相状態で混合され、アルキレンジオールはステップ(a)の間、リアクタ内に還流される。
【0044】
このプロセスは、前記溶融混合物を減圧下、その温度を230℃〜260℃に上げてコポリエーテルエステルを形成するステップをさらに含む。
【0045】
上記コポリエーテルエステル樹脂は、
(a)以下の式を有する長鎖エステル単位であって、
【化3】

式中、Gは、蒸気圧浸透圧法あるいは核磁気分光法で測定して、数平均分子量が200〜5000のポリ(アルキレンオキシド)グリコールから末端ヒドロキシ基類を取り除いた後の二価のポリアルキレンオキシドラジカルであり、R’は、テレフタルジカルボン酸からカルボキシル基類を取り除いた後の二価テレフタル酸ラジカルであり、R’’はイソフタルジカルボン酸からカルボキシル基類を取り除いた後の二価イソフタル酸ラジカルである長鎖エステル単位と、
(b)以下の式を有する短鎖エステル単位であって、
【化4】

式中、Dは、分子量が250未満の脂肪族ジオール類からヒドロキシル基類を取り除いた後の直鎖脂肪族ラジカル類から構成される群から選択される二価のアルキレンラジカルであり、R’およびR’’は上記に定義したものであり、D’はエチレングリコールのヒドロキシ基類を取り除いた後の二価エチレンラジカルであり、過剰のジオール、エチレングリコール、およびTHFは、攪拌下で行われるステップ(b)の間に取り除かれる。
【0046】
使用されるジオール(D)は一般に、大気圧下でエチレングリコールの沸点より高い融点を有している。上記ジオールは、プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、シクロヘキシルジメタノール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、前述のものの異性体類、エチレングリコール、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択される。しかしながらある実施形態では、ジオールはエチレングリコールである。
【0047】
ポリアルキレンオキシドは、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリアルキレンオキシド、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0048】
本プロセスの2つのステップは同じリアクタ内で行うことができる。しかしながら、別の2つのリアクタで行う実施形態もあり、この場合には、ステップ(a)を第1のリアクタで行い、溶融混合物が形成された時点で第2のリアクタに移してステップ(b)の反応を行う。このプロセスを3つ以上のリアクタで行う実施形態もある。また、連続したリアクタでこのプロセスを行う実施形態もある。
【0049】
好都合なことに、上記溶融混合物からはどの材料も分離あるいは分解することがない。
【0050】
使用するジオールとPETのモル比は、用途に応じて変えられる。ある実施形態では、ブタンジオールとPET単位のモル比は0.1:1〜4:1である。別の実施形態では、ジオールを1,4−ブタンジオールとすると、ブタンジオールとPET単位のモル比は0.2:1〜3:1である。
【0051】
触媒成分は一般に、アンチモン化合物類、スズ化合物類、チタン化合物類、およびそれらの組み合わせの群から選択される。もちろん、これと機能的に同等の材料を用いることもできる。触媒成分の量は変えられる。ある実施形態では、触媒量は10〜5000ppmである。
【0052】
1,4−ブタンジオールを用いると、本発明では、本プロセスを効果的に機能させる特定の実施形態が提供される。例えば、ジオールに1,4−ブタンジオールを用いると、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、および水を再循環し、テトラヒドロフランをステップ(a)の間に蒸留する条件を本プロセスに加えることができる。
【0053】
また、1,4−ブタンジオールを用いると、アルカリ金属を含む塩基性化合物をステップ(a)のリアクタに加えてTHFの生成量を削減することによって、本プロセスの間に生成するTHFの量を削減するステップを本発明に加えることができる。そうした化合物は、ナトリウムアルコキシド類、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、カリウムアルコキシド類、水酸化カリウム、酢酸カリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、リチウムアルコキシド類、水酸化リチウム、酢酸リチウム、炭酸リチウム、重炭酸リチウム、カルシウムアルコキシド類、水酸化カルシウム、酢酸カルシウム、炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、マグネシウムアルコキシド類、水酸化マグネシウム、酢酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸マグネシウム、アルミニウムアルコキシド類、水酸化アルミニウム、酢酸アルミニウム、炭酸アルミニウム、重炭酸アルミニウム、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0054】
塩基性化合物は0.1ppm〜50ppmをリアクタに加えることができ、塩基性化合物を使用しないときと比較して、THFの合計量は少なくとも10%削減できる。
【0055】
プロセスの反応継続時間は用途とニーズに応じて変えられ得る。ある実施形態では、ステップ(a)は2〜5時間行われ、別の実施形態では、2〜10時間、あるいはそれ以上行われる。
【0056】
本プロセスは攪拌下で行わなければならない。「撹拌条件」あるいは「撹拌」とは、ポリエチレンテレフタレート成分と1,4−ブタンジオールとをあるいは溶融混合物を物理的に混合して、PETの解重合を促進する(攪拌条件をポリエチレンテレフタレート成分、1,4−ブタンジオール、およびオリゴマ類とに適用する場合)ことを指す。物理的混合は任意の適切な方法で達成できる。ある実施形態では、回転シャフトとシャフトに直角な羽根を有するミキサが使われる。
【0057】
本プロセスには、溶融混合物から形成されるコポリエーテルエステルの固相重合ステップがさらに含まれていてもよい。固相重合は一般に、溶融混合物から形成されたコポリエーテルエステルを不活性ガス雰囲気下で加熱し、十分な時間をかけてコポリエーテルエステルの分子量を増やすことを含む。一般に、コポリエーテルエステルの加熱温度はコポリエーテルエステルの融点以下とし、例えば、コポリエーテルエステルの融点の5℃〜60℃以下とする。ある実施形態では、加熱温度は、150℃〜210℃である。固相重合の好適な時間は、条件と装置に応じて変わるが2〜20時間、あるいはそれ以上である。固相重合は一般に、十分に騒然とした条件で行ってコポリエーテルエステルをさらに重合し適切な分子量とする。こうした騒然とした条件は、コポリエーテルエステルを滝のように落下させる、つまり、ポンプで不活性ガスを系内に注入して、ペレット、チップ、フレーク、パウダなどの形態のポリマ粒子の流動を促進することによって作ることができる。固相重合は大気圧下、およびまたは1気圧〜1mbarの範囲の減圧下で行うことができる。
【0058】
コポリエーテルエステルには、調製プロセスなどのファクタに応じて、追加の材料が含まれていてもよい。例えばある実施形態では、スズ、アンチモン、チタン触媒や、それらの組み合わせから構成される群から選択される触媒をさらに含む。
【0059】
ある実施形態では、組成物は安定剤と共に使用される。好適な安定剤としてはヒンダードフェノール類がある。好適な安定剤としては、CIBA社からIRGANOXTM1330あるいはETHANOXTM330の商標名で販売されている、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンなどがある。
【0060】
しかしながら、本プロセスを違ったように変更できることは理解されるであろう。例えばある実施形態では、本プロセスは、
(a)少なくとも大気圧力の不活性ガス雰囲気中、触媒成分の存在の下で、
(i)ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンテレフタレート共重合体類から構成される群から選択されるポリエチレンテレフタレート成分と、
(ii)1,4−ブタンジオールとを、
オリゴマ類、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、およびそれらの混物類を含む溶融混合物に前記ポリエチレンテレフタレート成分を十分に解重合する条件下で反応させて、前記ポリエチレンテレフタレート成分を解重合するステップであって、前記ポリエチレンテレフタレート成分と前記ジオールは攪拌下、液相状態で混合され、前記ジオールはリアクタ内に還流されているステップと、
(b)減圧下で前記溶融混合物を攪拌しながら、過剰ジオール、エチレングリコール、およびテトラヒドロフランを除去するステップとを含むプロセスであって、前記プロセスの間、コポリエーテルエステルを十分に形成する量および条件下で、ポリアルキレンオキシドを添加するプロセスを包含する。ポリエチレンテレフタレート成分(「PET成分」)は、エチレングリコール、プロパンジオール、およびそれらの混合物類から構成される群から選択される要素により、さらに解重合される場合もある。
【0061】
こうした変更で用いられる温度は変更できる。例えば今回の型式では、ポリエチレンテレフタレートは、180℃〜260℃の範囲の種々の温度で解重合され得る。前記溶融混合物は240℃〜270℃に加熱される。
【0062】
ポリアルキレンオキシドは本プロセスの種々の段階で添加できる。ポリエチレンテレフタレート成分の解重合の間に添加する実施形態もあれば、減圧下で溶融混合物を攪拌中に添加する実施形態もある。
【0063】
また、本プロセスには、1,4−ブタンジオール、ポリアルキレンオキシド、1,3−プロパンジオール、およびそれらの組み合わせが、例えばセルロース系材料あるいはトウモロコシや小麦粉などの穀物などのバイオマスから誘導されるという有益な形式も含まれる。より具体的には、1,4−ブタンジオール、ポリアルキレンオキシド、およびそれらの組み合わせは、バイオマスから誘導された1,4−ブタンジジカルボン酸から誘導することができる。
【0064】
「バイオマス」とは、通常は非再生炭化水素源から誘導される有用な化学物質に直接あるいは間接に変換可能な、生きたあるいは死んだ生体物質を指す。バイオマスには、セルロース系物質、穀物類、穀物由来のデンプン類、脂肪酸類、植物性油類、およびこれらのバイオマスからの誘導体類などが含まれる。有用な化学物質の例としては、これに限定されないが、ジオール類;二酸類;例えば、ジオール製造やコハク酸などの酸製造に用いられるモノマ類;およびポリマ類の製造に用いられるモノマ類などがある。バイオマス系ブタンジオールはいくつかの資源から得られ得る。例えば、バイオマス系1,4−ブタンジオールの製造に以下のプロセスが用いられる。トウモロコシなどの農業系バイオマスは、やはり二酸化炭素を消費する発酵によりコハク酸に変換できる。こうしたコハク酸は、「BioAmberTM」の商標名で販売しているDiversified Natural Products社など数社から販売されている。このコハク酸は、米国特許第4,096,156号などいくつかの出版物に記載の方法によって、容易に1,4−ブタンジオールに変換できる。米国特許第4,096,156号はその全体が本明細書に援用される。バイオマス由来の1,4−ブタンジオールは、テトラヒドロフランにも変換でき、さらに、ポリブチレンオキサイドグリコールとしても既知のポリテトラヒドロフランにも変換できる。コハク酸を1,4−ブタンジオールに変換する別の方法が、スミス(Smith)等の「Life Cycles Engineering Guidelines」(EPA出版、EPA/600/R−1/101 (2001))に記載されている。
【0065】
本発明はまた、
(a)少なくとも大気圧力下、触媒成分の存在の下で、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンテレフタレート共重合体類から構成される群から選択されるポリエチレンテレフタレート成分と、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択される要素とを、エチレンテレフタレート部分を含むオリゴマ類、エチレンイソフタレート部分を含むオリゴマ類、ジエチレンテレフタレート部分を含むオリゴマ類、ジエチレンイソフタレート部分を含むオリゴマ類、トリメチレンテレフタレート部分を含むオリゴマ類、トリメチレンイソフタレート部分を含むオリゴマ類、前記の少なくとも2つの部分を含む共有結合オリゴマ部分、エチレングリコール、プロピレングリコール、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択される成分を含む第1の溶融混合物に前記ポリエチレンテレフタレート成分を十分に解重合する条件下でリアクタ内で攪拌して、前記ポリエチレンテレフタレート成分を解重合するステップと、
(b)触媒成分の存在下、ブチレンテレフタレート部分を含むオリゴマ類、エチレンテレフタレート部分、トリメチレンテレフタレート部分を含むオリゴマ類、プロピレングリコール、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択される成分を含む第2の溶融混合物を十分に形成する条件下で、リアクタ内の前記第1の溶融混合物に1,4−ブタンジオールを添加するステップと、
(c)前記第2の溶融混合物を減圧下十分に攪拌してコポリエーテルエステルを形成するステップとを包含するプロセスであって、
前記プロセスの間、コポリエーテルエステルを十分に形成する量および条件下で、ポリアルキレンオキシドを添加し、トリメチレンテレフタレート部分と、エチレンテレフタレート部分と、ブチレンテレフタレート部分とを含むオリゴマ類、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール、およびエチレングリコールを、前記コポリエーテルエステル形成の間に除去するステップを含むコポリエーテルエステルの製造プロセスを包含する。
【0066】
上記実施形態には変更も含まれ得る。例えば、このプロセスで使用される温度は変えられる。例えば、ポリエチレンテレフタレート成分は、不活性雰囲気下、190℃〜250℃で解重合され得る。この実施形態のステップ(b)(1,4−ブタンジオールを第1の溶融混合物に添加するステップ)は190℃〜240℃で行うことができる。
ステップ(c)(第2の溶融混合物を減圧下十分に攪拌してコポリエーテルエステルを形成するステップ)の間、その温度は240℃〜260℃に上げられる。
【0067】
ポリアルキレンオキシドをこの実施形態の異なった段階で添加することができる。ポリアルキレンオキシドを、ポリエチレンテレフタレート成分の解重合の間に添加する実施形態もあれば、第1の溶融混合物の攪拌中に添加する実施形態もある。また、第2の溶融混合物の攪拌中に添加する実施形態もある。ポリアルキレンオキシドの量は変えられる。ある実施形態ではその量は、コポリエーテルエステル組成物の合計100重量%に対して5〜80重量%である。
【0068】
1,4−ブタンジオール、ポリアルキレンオキシド、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択される要素は、バイオマスから誘導することができる。
【0069】
ポリアルキレンオキシドは、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択できる。その量は、プロセス条件、ユーザニーズなどによって変わってくる。
【0070】
こうして、本発明は、非常に有用な特性を有する種々のコポリエーテルエステルの製造を可能にする柔軟なシステムを提供する。例えば、選択されたジオールがエチレングリコールの場合には、本発明には、
(a)以下の式を有する長鎖エステル単位であって、
【化5】

式中、Gは、数平均分子量が200〜5000のポリ(ブチレンオキシド)グリコールから末端ヒドロキシル基類を取り除いた後の二価のポリアルキレンオキシドラジカルであり、R’は、テレフタルジカルボン酸からカルボキシル基類を取り除いた後の二価テレフタル酸ラジカルであり、R’’はイソフタルジカルボン酸からカルボキシル基類を取り除いた後の二価イソフタル酸ラジカルである長鎖エステル単位と、
(b)以下の式を有する短鎖エステル単位であって、
【化6】

式中、Dは、分子量が250未満のブタンジオールからヒドロキシル基類を取り除いた後の二価ブチレンラジカルであり、D’は、エチレングリコールからヒドロキシル基類を取り除いた後の二価エチレンラジカルであり、R’およびR’’は、上記に定義したものである短鎖エステル単位と、を含むコポリエーテルエステル樹脂を含む。
1,4−ブタンジオールが選択された場合は、本発明は、
(a)以下の式を有する長鎖エステル単位であって、
【化7】

式中、Gは、数平均分子量が200〜5000のポリ(ブチレンオキシド)グリコールから末端ヒドロキシル基類を取り除いた後の二価のポリアルキレンオキシドラジカルであり、R’は、テレフタルジカルボン酸からカルボキシル基類を取り除いた後の二価テレフタル酸ラジカルであり、R’’はイソフタルジカルボン酸からカルボキシル基類を取り除いた後の二価イソフタル酸ラジカルである長鎖エステル単位と、
(b)以下の式を有する短鎖エステル単位であって、
【化8】

式中、Dは、分子量が250未満のブタンジオールからヒドロキシル基類を取り除いた後の二価ブチレンラジカルであり、R’およびR’’は、上記に定義したものであり、D’は、エチレングリコールからヒドロキシル基類を取り除いた後の二価エチレンラジカルである短鎖エステル単位と、を含むコポリエーテルエステル樹脂を提供する。
【0071】
コポリエーテルエステル類から、周知の成形プロセスあるいは押出プロセスを用いて物品が製造できる。
【0072】
こうして、ある実施形態では、本発明は、本発明で包含される組成物から成形あるいは押出される物品に関する。ある実施形態では、本発明は、熱安定性およびまたは加工性が改良された組成物の製造方法に関し、その方法には、本発明に包含される任意の組成物の成分を溶融混合するステップが含まれる。別の実施形態では、本発明は、本発明に包含される任意の組成物を形状化し、押出し、ブロー成形し、あるいは射出成形するステップを含む物品の製造方法を包含する。
【0073】
コポリエーテルエステルは、物品に有用な特性を付与する。例えば、組成物を用いて成形あるいは押出しされた物品に、(i)本発明の成形組成物で付与された耐衝撃性特性が一般に、少なくとも100J/mのノッチ付アイゾッド衝撃(室温)、20MPa〜1200MPaの引張弾性率、−80℃〜10℃の非晶質相のガラス転移温度、145℃〜230℃の溶融転移温度、20〜1200MPaの曲げ弾性率,ショアD25〜80の硬度、および45℃〜200℃の熱変形温度の特性の1つあるいは複数を付与できる。別の実施形態では、本発明の変性コポリエーテルエステルは、該組成物から成形あるいは押出された物品に、20MPa〜1200MPaの引張弾性率、145℃〜230℃の溶融転移温度、ショアD25〜80の硬度、および45℃〜200℃の熱変形温度を付与できる。
【0074】
本発明のコポリエーテルエステルの曲げ弾性率は、
(1)テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸のアルキルエステル類、テレフタル酸のヒドロアルキルエステル類、イソフタル酸のアルキルエステル類、および1,4−ブタンジオールから構成される群から選択されるモノマ成分から誘導されるポリブチレンテレフタレートと、
(2)ポリアルキレンオキシドグリコールと、
(3)それらの組み合わせと、
から誘導されるコポリエーテルエステルの弾性率と比較して、少なくとも80%であるが、本発明のコポリエーテルエステルの曲げ男性率は変えられ得る。ある実施形態では、コポリエーテルエステルは、
(1)テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸のアルキルエステル類、イソフタル酸のアルキルエステル類、および1,4−ブタンジオールから構成される群から選択されるモノマ成分から誘導されるポリブチレンテレフタレートと、
(2)ポリアルキレンオキシドグリコールと、
(3)それらの組み合わせと、
から誘導されるコポリエーテルエステルの弾性率と比較して、80%〜120%の弾性率を有する。
【0075】
別の実施形態では、本発明のコポリエーテルエステルは、
(1)テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸のアルキルエステル類、イソフタル酸のアルキルエステル類、および1,4−ブタンジオールから構成される群から選択されるモノマ成分から誘導されるポリブチレンテレフタレートと、
(2)ポリアルキレンオキシドグリコールと、
(3)それらの組み合わせと、
から誘導されるコポリエーテルエステルの弾性率と比較して、少なくとも90%の弾性率を有する。
【0076】
本発明は、従来は得られなかった利点を提供する。例えば本発明はイソフタル酸基類とエチレングリコール基類とを含む構造的に異なる材料をベースとしているにもかかわらず、モノマ類から作られる通常のコポリエーテルエステルと同等の性能特性を持つコポリエーテルエステル類を提供する。このコポリエーテルエステル類はモノマ類ベースではないために、本発明によれば、原材料に対する需要を削減しPETの利用需要を増やすことができ、これによってスクラップPETをゴミ処理場に廃棄したり焼却する必要性が削減される。
【0077】
さらに好都合なことに、本発明のエラストマ類の製造方法によれば、二酸化炭素排出量と固形物廃棄量とを実質的に削減できる。PET由来の変性ランダムコポリエーテルエステル類は、モノマ類からではなくスクラップPETから作られるために、本エラストマ製造プロセスでは、二酸化炭素排出量と固形物廃棄量とを実質的に削減できる。炭素廃棄量の削減(あるいは原油の節約)は、エラストマ類の製造に通常使われるジメチルテレフタレートやテレフタル酸を構成する炭素を使わずに、スクラップポリエステルなどのPET成分を使用するためにもたらされる。原油からDMTやTPAを作るプロセスは非常にエネルギ集約的であり、この結果、非再生エネルギ源の燃焼によって、相当量のCOが大気中に放出される。さらに、BDO源をコハク酸などのバイオマス供給材料からとすると、二酸化炭素節約量は2つの理由からさらに上昇する。バイオ由来のコハク酸は、大気中の炭素から誘導された糖類またはその他のバイオ由来炭化水素から作られるために、化石燃料から誘導された通常のモノマ系エラストマ類にはない利点が提供される。更に、コハク酸を生産する発酵プロセスでは入力として二酸化炭素を必要とするために、二酸化炭素はさらに削減されることになる。
【0078】
本発明は、変性ランダムポリブチレンテレフタレート共重合体ブロックとポリアルキレンオキシド共重合体ブロックとを含む変性ランダムコポリエーテルエステルを含有する組成物に係るが、(A)変性ランダムポリトリメチレンテレフタレート共重合体ブロックとポリアルキレンオキシド共重合体ブロックとを含む変性ランダムコポリエーテルエステルを含む実施形態も、我々の貢献になるものである。
【0079】
より具体的には、本発明は、
(a)ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート共重合体類、およびその組み合わせから構成される群から選択されるポリエチレンテレフタレート成分から誘導され、前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導された少なくとも1つの残基を含む変性ランダムポリトリメチレンテレフタレート共重合体ブロックと、
(b)ポリエチレンテレフタレート成分とポリアルキレンオキシドグリコールから誘導され、ポリアルキレンオキシドと前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導された少なくとも1つの残基と含むポリアルキレンオキシド共重合体と、を含むコポリエーテルエステル類を含む。
【0080】
前記変性ランダムポリトリメチレンテレフタレート共重合体ブロックを含む本発明のコポリエーテルエステル類は、ポリエチレンテレフタレート成分から誘導された残基類を含んでいる。例えば、これらの材料のうち、ポリアルキレンオキシド共重合体ブロックのポリエチレンテレフタレート成分から誘導された残基類は、テレフタル酸基類、イソフタル酸基類、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択される。変性ランダムポリトリメチレンテレフタレート共重合体ブロックのポリエチレンテレフタレート成分から誘導された残基も、エチレングリコール基類、ジエチレングリコール基類、イソフタル酸基類、1,3−シクロヘキシルジメタノール異性体類、1,4−シクロヘキシルジメタノール異性体類、1,3−シクロヘキシルジメタノールのシス異性体、1,4−シクロヘキシルジメタノールのシス異性体、シクロヘキシルジメタノールの1,3−トランス異性体、テレフタル酸基類、1,4−シクロヘキシルジメタノールの1,4−トランス異性体、ナフタレンジカルボン酸類、1,3−プロパンジオール基類、およびそれらの組み合わせを含む群から選択される。コポリエーテルエステルはまた、アルカリ土類金属塩類、アルカリ塩類、リン含有化合物類および陰イオン類、イオウ含有化合物類および陰イオン類、アンチモン含有化合物類、ゲルマニウム含有化合物類、チタン含有化合物類、コバルト含有化合物類、スズ含有化合物類、アルミニウム、アルミニウム塩類、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択される、少なくとも1つの残基も含むことができる。
【0081】
さらに、ポリトリメチレンテレフタレート共重合体ブロックを含有する本発明のコポリエーテルエステル類は、本発明の任意の組成物を形状化し、押出し、ブロー成形し、あるいは射出成形することにより物品を製造する方法を含む。
【0082】
また、その材料の製造方法には、任意の組成物の成分類を溶融混合するステップを含むことができる。そうした組成物類から作られる物品類もまた本発明の範囲に入る。
【0083】
変性ランダムポリトリメチレンテレフタレート共重合体ブロックを含むコポリエーテルエステル類の製造プロセスには、
(a)少なくとも大気圧力下、触媒成分の存在の下で、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンテレフタレート共重合体類から構成される群から選択されるポリエチレンテレフタレート成分と、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択される要素とを、エチレンテレフタレート部分を含むオリゴマ類、エチレンイソフタレート部分を含むオリゴマ類、ジエチレンテレフタレート部分を含むオリゴマ類、ジエチレンイソフタレート部分を含むオリゴマ類、トリメチレンテレフタレート部分を含むオリゴマ類、トリメチレンイソフタレート部分を含むオリゴマ類、前記の少なくとも2つの部分を含む共有結合オリゴマ部分、エチレングリコール、プロピレングリコール、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択される成分を含む第1の溶融混合物に前記ポリエチレンテレフタレート成分を十分に解重合する条件下で、リアクタ内で攪拌して前記ポリエチレンテレフタレート成分を解重合するステップと、
(b)触媒成分の存在下、エチレンテレフタレート部分を含むオリゴマ類、トリメチレンテレフタレート部分を含むオリゴマ類、プロピレングリコール、エチレングリコール、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択される成分を含む第2の溶融混合物を十分に形成する条件下で、リアクタ内の前記第1の溶融混合物に1,3−プロパンジオールを添加するステップと、
(c)前記第2の溶融混合物を減圧下十分に攪拌してコポリエーテルエステルを形成するステップとを含むプロセスであって、前記プロセスの間、前記コポリエーテルエステルを十分に形成する量および条件下で、ポリアルキレンオキシドを添加し、前記トリメチレンテレフタレート部分およびエチレンテレフタレート部分を含むオリゴマ類、プロピレングリコール、およびエチレングリコールは、前記コポリエーテルエステル形成の間に除去されるプロセスを含む。
【0084】
上記プロセスにおけるポリエチレンテレフタレート成分は、不活性雰囲気下、190℃〜250℃で解重合される。
【0085】
上記プロセスのステップ(b)は、190℃〜240℃で行うことができる。上記プロセスのステップ(c)の間の温度は、240℃〜260℃とすることができる。
【0086】
ポリアルキレンオキシドは、ポリエチレンテレフタレート成分の解重合中に加えることができる。あるいは、第1溶融混合物攪拌中に添加してもよく、また、第2溶融混合物の攪拌中に添加してもよい実施形態もある。
【0087】
変性ランダムポリブチレンテレフタレート共重合体ブロックの製造プロセスと同様に、変性ランダムポリトリメチレンテレフタレート共重合体ブロックの製造方法に、バイオマス由来の1,3−プロパンジオール、ポリアルキレンオキシド、およびそれらの組み合わせを用いることができる。バイオマスは、セルロース系材料、およびまたは、トウモロコシ、小麦粉、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択される穀物から構成される群から選択され得る。1,3−プロパンジオール、ポリプロピレンオキシド、およびそれらの組み合わせはバイオマスから誘導することができる。
【0088】
本発明は、以下の具体的な実施例でさらに述べられるが、ここでは特に明記されないかぎり、部およびパーセンテージはすべて重量による。
【0089】
(実施例)
(実施例1−5 比較実施例1−5)
(目的と概要)
【0090】
これらの実施例は、スクラップPETからの有用なコポリエーテルエステル類(TPEEエラストマ類)の製造において、プロセスの手順と融通性とを示すものである。この実施例では、この方法で製造された材料は、全面的に未使用モノマ反応物から製造されたTPEEエラストマの熱機械的物性に匹敵する物性を発揮することが示される。
【0091】
(材料)
再利用PETはインドの販売業者から入手した。
【0092】
分子量1000g/molおよび2000g/molのポリテトラヒドロフラン(pTHF)をそれぞれ、BASF社から購入し、これ以上純化せずそのまま使用した。125ppmのエステル化触媒として、Sigma−Aldrich社(St.Louis,MO)からテトライソプロピルチタネート(TPT)を購入した。ジメチルイソフタレートはSigma−Aldrich社(St.Louis,MO)から購入し、これ以上純化せずそのまま使用した。
【0093】
(調製プロセスと技術)
パイロットスケールの「ヘリコン」リアクタを用いて、TPEEエラストマ類を合成した。ヘリコンリアクタの容量は40Lで、270度ねじれた。2つの対向する螺旋ブレードを備える特別設計のものであり、16gの磨き仕上げを施した316ステンレスでできている。ブレードの回転数は1〜65rpmまで変えられる。撹拌器は、230/460V交流電圧、3相、60Hzで作動する、7.5馬力の定トルクインバータデューティモータに接続している。上記ヘリコンリアクタには上部に凝縮器を備えるように設計されており、解糖段階、エステル交換段階(もしあれば)、および重合反応段階における蒸発物を凝縮する。ヘリコンリアクタの圧力調節のために、窒素パージと2段階減圧とを用いた。
【0094】
TPEEエラストマ合成のための反応物質を攪拌しながら加熱したリアクタに投入した。重合段階前に反応混合物を2〜3時間還流させた。重合段階ではヘリコンリアクタを減圧にし、ブタンジオールのリアクタへの還流を中止した。攪拌速度を最高速度の60%に設定し、モータの目標電流を3.5ampとした。ポリマの分子量が形成されるにつれて、攪拌速度を変えるロジックを表2に示す。系の圧力を真空ポンプで0.5Torrまで下げ、リアクタを2℃/minの速度で250℃に加熱した。ポリマ物質が第3構造に達するまで、動的減圧下で反応を継続した。反応を止めて粒状に注型した。粒状の反応物を冷却しグラニュール化した。グラニュール化したポリマを射出成形して、機械的特性評価用テスト片(物品)を作った。
【0095】
【表2】

【0096】
(分析技術と手順)
固有粘度(IV)データは、オートサンプラと2つのマイクロラボ500シリーズポンプが付いたViscotek相対粘度計Y501Cで得た。サンプル0.2gを化学天秤で秤量し、フェノール/TCE(1,1,2,2−テトラクロロエタン)60/40%混合液35mlに溶解した。それぞれのサンプルについて2回測定し平均値を記録した。シリーズの最初はフェノール/TCEを含むブランク試料を流した。またシリーズの最後にはフェノール/TCE洗浄を行って系を洗浄した。
【0097】
ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により、TPEEエラストマの相対分子量を決定した。用いたシステムは、Polymer Laboratories社のHFIPゲルガードカラム(50×4.6mm)および2本の同HFIPゲルセパレーションカラム(250×4.6mm)が付いたWaters社2695アライアンスセパレーションモジュールである。カラムは35℃に維持した。溶離液の濃度は、273nmの波長にて、Waters社2487Dual Wavelength Absorbance Detectorを用いて測定した。移動相は、95%クロロホルム(Sigma Aldrich社、St.Louis,MO)と5%ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)(Sigma Aldrich社St.Louis,MO)である。移動相は0.3ml/minで流した。サンプルは4mg/ml調製し、室温で少なくとも24時間溶解させた後、0.44ミクロンのシリンジフィルタで濾過し、試料バイアル瓶に採った。各サンプル数mlをクロマトグラフに注入し、30分間で完全に溶離させた。ポリスチレンGPC標準は、最大分子量が0.820〜1860kg/molの、Polymer Laboratories社製である。
【0098】
TPEEエラストマの融点(Tm)および結晶化温度(Tc)の測定は、Perkin ELMER社のPyris6差動走査熱量計(DSC)を用いた。サンプルは50℃で投入し、20℃/minの速度で230℃まで昇温し1分間保持した後、20℃/minの速度で−60℃まで冷却し、さらに20℃/minの速度で230℃まで昇温、20℃/minの速度で−60℃まで冷却した。最初の熱サイクルはサンプルに共通の熱履歴を与えるための目的であり、測定物性値は2回目の熱サイクルから得た。吸熱反応あるいは発熱反応ピーク値をまとめ、その最小値及び最大値を融点、結晶化温度とした。
【0099】
温度0〜200℃における貯蔵率及び損失率を、熱分析計(TA)2980動的粘弾性測定装置(DMA)V1.7Bを用いて測定した。TPEE材料を射出成形し、公称寸法:35.00×12.5×3.15mmのサンプルを作成した。これらのサンプルを3点曲げ試験機にセットし、開始温度まで冷却した。3℃/minで加熱しながら1Hzで応力をかけた。変位量を5〜20μmの範囲とした歪制御モードで動的試験を行った。
【0100】
TPEEエラストマの化学組成は、NMR分光法により求めた。Varian Mercury NMR分光計(400MHz)を用いてこの測定を行った。サンプルは、濃度40〜50mg/mlのCDC13/TFA−D(7:3v/v)溶液に溶解させた。
【0101】
Zwick Duromatic Durometerを用いて、TPEEエラストマ材料のショアD硬度を測定した。成形部に一定時間(5秒間)打印して測定した。
【0102】
ビカット軟化温度(Vicat)は、ISO306テストに準じて行った。サンプルに10Nの負荷力をかけ加熱速度は50℃/hrとした。
【0103】
引張特性データは、低弾性材料用ASTM D638に準じて行った。この試験方法は、ASTMタイプI,ダンベル形状の棒を用いる、低弾性プラスチックの引張特性試験方法である。最初の速度は1インチ/minとし、50%歪後に2インチ/minに上げた。サンプルが破断あるいは伸び計が伸び限界に達するまで試験を行った。弾性率、5%歪時応力、10%歪時応力、最大歪時応力、および最大歪を測定した。
【0104】
(結果と考察)
【表3−1】

【表3−2】

【0105】
反応物質量と、化学的、熱的、機械的評価結果を表にまとめた。表中のTPEEエラストマ実施例は総括的ではないが、本発明により作られる特性範囲を表している。TPEEエラストマの熱的および機械的特性は、反応物質の濃度を操作することによって変化した。
【0106】
本発明では、組成物から成形されたあるいは押出された物品に有用な特性、特に、20MPa〜1200MPaの引張弾性率、145℃〜230℃の溶融転移温度、25〜80のショアD硬度、および45℃〜200℃のビカット軟化温度などの、特性を付与する変性コポリエステルエーテルが作られることを実施例は示している。
【0107】
固有粘度とGPCデータから立証されるように、すべての実施例においてTPEEエラストマは、高分子量ポリマから構成されていた。実施例の材料の融点は155〜215℃であった。実施例の材料の違った組成では、ショアD硬度が30〜65の範囲で変化した。実施例E1およびE2では、ポリマ中に少量ながら重要なPET部分の残基集合が存在することがNMRデータからわかる。ポリマ中に存在するPET部分の小集合は、本発明のプロセス結果である。また、再利用PETフレーク中のイソフタレート系モノマ類の集合は、TPEEエラストマ実施例3および4の残基イソフタレートをもたらしている。特殊グレードであるイソフタレートフリーの再利用PETフレークを実施例2に用いた。実施例E1およびE3の組成物はジメチレンイソフタレートを含んでいる。これらの実施例は、PETフレークを比再利用モノマ類との共重合に直接用いることができることを示している。再利用PETスクラップの共重合は、分子量が1000g/mol〜2000g/molのポリ(テトラヒドロフラン)グリコールを用いて行った。本発明のこのプロセスは、その他のポリ(アルキレンエーテル)グリコール類にも拡張することができる。上記ポリ(アルキレンエーテル)グリコールの分子量は本実施例に示されるものに限定されるものではなく、数平均分子量が200〜5000g/molの材料を含むことができる。これらの材料に対する比較実施例は表4にまとめられている。
【0108】
【表4】

【0109】
比較実施例材料は、Dupont社およびDSM社で生産されている市販のTPEEエラストマを用いた。HYTREL(R)およびARNITEL(R)グレードは、PBT/pTHF共重合体化学品を用いた市販の材料サンプルの代表的なものである。実施例2とHYTREL6356の比較から、これらの材料は実質的に同じショアD硬度、融点、および引張弾性率を有するものであることがわかる。さらに、この2つの材料は、結晶化温度が同じであることからわかるように、同レベルの結晶性を有していながら、融点と結晶化温度の差はそれぞれ43℃と58℃である。この温度差の低減は、PBT相の結晶化速度が速くなることを示しており、射出成形におけるサイクルタイムが減少するために、生産性がより向上することになる。
【0110】
(考察)
これらの結果は、製造されたTPEEエラストマが非常に有用な特性を表すことを示している。本発明の方法により製造されたTPEEエラストマは、未使用モノマ類から製造されたTPEEエラストマと同様な熱的および機械的特性を有していた。TPEEエラストマは、
(1)テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸のアルキルエステル類、テレフタル酸のヒドロアルキルエステル類、イソフタル酸のアルキルエステル類、および1,4−ブタンジオールから構成される群から選択されるモノマ成分から誘導されるポリブチレンテレフタレートと、
(2)ポリアルキレンオキシドグリコールと、(3)それらの組み合わせとから誘導される未使用モノマ類から作られるTPEEエラストマの弾性率と比較して、少なくとも80%の弾性率を有する。
【0111】
(実施例9−13)
これらの実施例は、製造されたポリトリメチレンテレフタレート(PTT)エラストマ類を示す。北米における供給者であるSt.Jude社から緑色の再利用PETペレットを入手した。また、透明の再利用PETペレットを、インドの供給業者から入手した。ポリ(テトラヒドロフラン)(pTHF)は、公称分子量が1000g/molのものをBASF社から入手した。使用済み消費財再利用PETペレットは、IV仕様が0.68〜0.78、融点仕様が245〜255℃であった。1,3−プロパンジオール(PDO)はShel Chemicals社から入手し、その純度仕様は99.9%超であった。TPT触媒は、Dupont社より販売されているTyzorグレード品である。
【0112】
(実施例9)
緑色の再利用PETペレット44.67g、1,3−プロパンジオール35g、およびpTHF50g(反応末端基のモル比で1:2:0.2)を500mlの反応容器に入れ、オイルバス(反応容器用)の温度を180〜255℃に上げた。攪拌機の回転数は20rpmに設定した。この段階で、TPT触媒0.07mlも反応混合物に加えた。反応混合物の温度は214℃(1,3−プロパンジオールの沸点)に達し、この温度でPDOを2時間還流した。これはPET解糖段階と呼ばれる。
【0113】
ポリ段階では還流凝縮器を取り外して反応容器を減圧した。過剰のジオールとその他の揮発性画分を、「Dean and Stark」凝縮器に集めた。攪拌機の回転数を220rpmに上げた。真空ポンプを用いて圧力を40Torr/minの速度で減圧し0.15Torrとした。ポリマ物質の分子量の増加を上部攪拌機のトルク上昇でモニタした。攪拌機のトルクが最大になった時点で攪拌速度を下げ、反応を進行させた。この重合段階は、220、120、60rpmの3つの攪拌速度で最大トルクに達すると完了した。ポリマ約10gを反応容器から収集して、さらに試験と分析を行った。このポリマについて、固有粘度(IV)、NMR分析、およびDSC分析を行った。樹脂のNMR分析により、その材料組成は、PTT37モル%、残基PET3モル%、およびpTHF60モル%であることが確認された。材料の固有粘度は0.557dl/gであり、DSC分析(加熱速度20℃/min)による融点および結晶化温度は170℃および71℃であった。融解転移熱および結晶転移熱はそれぞれ、10.8J/gおよび−11.3J/gであった。
【0114】
(実施例10)
再利用PETペレット126.48g、PDO120g、およびpTHF1000 15.52gを、溶融重合用エステル交換部セット(機械式オーバヘッド攪拌機とDean−Starke装置)の付いた3首500ml丸底フラスコに入れた。オイルバス(反応フラスコ用)の温度を225℃に上げた。この段階で、TPT触媒0.17mlを添加した。オイルバスの温度をこの温度に2時間保持した。攪拌器の回転数を20rpmに設定し、その後反応が均一になった時点で260rpmに上げた。これはPETの解糖段階として既知である。2時間後、オイルバスの温度を1時間で250℃に上げて、遊離したエチレングリコールをさらに放出し過剰PDOの大部分を除去した。
【0115】
このポリ段階で、上記Dean−Starke装置を取り除き、フラスコを、40Torr/minの速度で1Torr未満に減圧した。過剰のPDOとその他の揮発性画分を除去した。ポリマの分子量上昇をオーバヘッド攪拌機のトルク上昇でモニタした。攪拌機の設定トルク値に達した時点で、攪拌機回転数を下げて反応を進行させた。ポリマのサンプルをフラスコから採取して分析を行った。固有粘度測定と(IV)とDSC分析とをこのサンプルで行った。固有粘度は0.96dl/gであった。融点および結晶化温度は216℃と129℃であった。融解熱と結晶熱はそれぞれ、38.1J/gと−41.4J/gであった。
【0116】
(実施例11)
再利用PETペレット126.48g、PDO150g、およびpTHF1000 16.62gを、溶融重合用エステル交換部セット(機械式オーバヘッド攪拌機とDean−Starke装置)の付いた3首500ml丸底フラスコに入れた。オイルバス(反応フラスコ用)の温度を225℃に上げた。この段階で、TPT触媒0.17mlを添加した。オイルバスの温度をこの温度に2時間保持した。攪拌器の回転数を20rpmに設定し、その後反応が均一になった時点で260rpmに上げた。これはPETの解糖段階として既知である。2時間後、オイルバスの温度を1時間で250℃に上げて、遊離したエチレングリコールをさらに放出し過剰PDOの大部分を除去した。
【0117】
このポリ段階で、上記Dean−Starke装置を取り除き、フラスコを、40Torr/minの速度で1Torr未満に減圧した。過剰のPDOとその他の揮発性画分を除去した。ポリマの分子量上昇をオーバヘッド攪拌機のトルク上昇でモニタした。攪拌機の設定トルク値に達した時点で、攪拌機回転数を下げて反応を進行させた。ポリマのサンプルをフラスコから採取して分析を行った。固有粘度測定と(IV)とDSC分析とをこのサンプルで行った。固有粘度は1.01dl/gであった。融点および結晶化温度は216℃と135℃であった。融解熱と結晶熱はそれぞれ、47.7J/gと−41.3J/gであった。
【0118】
(実施例12)
再利用PETペレット90.36g、PDO150g、およびpTHF1000 68.47gを、溶融重合用エステル交換部セット(機械式オーバヘッド撹拌機とDean−Starke装置)の付いた3首500ml丸底フラスコに入れた。オイルバス(反応フラスコ用)の温度を225℃に上げた。この段階で、TPT触媒0.17mlを添加した。オイルバスの温度をこの温度に2時間保持した。攪拌器の回転数を20rpmに設定し、その後反応が均一になった時点で260rpmに上げた。これはPETの解糖段階として既知である。2時間後、オイルバスの温度を1時間で250℃に上げて、遊離したエチレングリコールをさらに放出し過剰PDOの大部分を除去した。
【0119】
このポリ段階で、上記Dean−Starke装置を取り除き、フラスコを、40Torr/minの速度で1Torr未満に減圧した。過剰のPDOとその他の揮発性画分を除去した。ポリマの分子量上昇をオーバヘッド攪拌機のトルク上昇でモニタした。攪拌機の設定トルク値に達した時点で、攪拌機回転数を下げて反応を進行させた。ポリマのサンプルをフラスコから採取して分析を行った。固有粘度測定と(IV)とDSC分析とをこのサンプルで行った。固有粘度は1.25dL/gであった。融点および結晶化温度は196℃と102℃であった。融解熱と結晶熱はそれぞれ、24.6J/gと−26.4J/gであった。
【0120】
(実施例13)
再利用PETペレット54.08g、PDO48g、およびpTHF1000 121.2gを、溶融重合用エステル交換部セット(機械式オーバヘッド攪拌機とDean−Starke装置)の付いた3首500ml丸底フラスコに入れた。オイルバス(反応フラスコ用)の温度を225℃に上げた。この段階で、TPT触媒0.17mlを添加した。オイルバスの温度をこの温度に2時間保持した。攪拌器の回転数を20rpmに設定し、その後反応が均一になった時点で260rpmに上げた。これはPETの解糖段階として既知である。2時間後、オイルバスの温度を1時間で250℃に上げて、遊離したエチレングリコールをさらに放出し過剰PDOの大部分を除去した。
【0121】
このポリ段階で、上記Dean−Starke装置を取り除き、フラスコを、40Torr/minの速度で1Torr未満に減圧した。過剰のPDOとその他の揮発性画分を除去した。ポリマの分子量上昇をオーバヘッド攪拌機のトルク上昇でモニタした。攪拌機の設定トルク値に達した時点で、攪拌機回転数を下げて反応を進行させた。ポリマのサンプルをフラスコから採取して分析を行った。固有粘度測定と(IV)とDSC分析とをこのサンプルで行った。固有粘度は1.45dL/gであった。融点は2.7℃であった。融解熱は5.4J/gであった。
【0122】
(実施例14−16)
(材料)
【表5】

【0123】
この実施例では、バイオマス由来の1,4―ブタンジオールから製造されるコポリエーテルエステルを示す。PET(再利用)4.8g(25mmol)およびエチレングリコール3.87g(62.4mmol)をリアクタに投入し、窒素雰囲気下180℃に加熱した。180℃になった時点で、触媒トリイソプロピルオルトチタネート(TPT)200ppmを加えて加熱を継続して225〜230℃まで加熱し90分間保持した。バイオコハク酸由来の1,4−ブタンジオール(BDO)3.37g(37.44mmol)およびpTHF1.65gを反応物質に加え、エチレングリコールメタノール、THFおよびブタンジオールとを反応から留去しながら、さらに反応を20分間継続した。700mbarから500、300、100、75、50、25、10、5.5、1.5mbarと段階的に減圧しながら、最終的に1.0mbar未満とした。溶融反応物を0.7〜0.5mbarに30分間保持し、最後に窒素圧下でポリマをリアクタから流出させた。
【0124】
こうして得られたポリマのIVは0.70dL/g、融点(Tm)は182.05℃、ガラス転移温度(Tg)は−28℃であった。上記ポリエステルは、重量平均分子量(Mw)が50702、数平均分子量(Mn)が10175(Mw/Mn=4.98)であった。
【0125】
(実施例14)
この実施例は、再利用PET,バイオマス由来BDO、およびバイオマス由来pTHFから作られるコポリエーテルエステルを示す。
【0126】
PET(再利用)3.49g(18.17mmol)およびエチレングリコール2.82g(45.48mmol)をリアクタに投入し、窒素雰囲気下180℃に加熱した。180℃になった時点で、触媒トリイソプロピルオルトチタネート(TPT)200ppmを加えて加熱を継続して225〜230℃まで加熱し90分間保持した。バイオコハク酸由来の1,4−ブタンジオール(BDO)2.45g(27.22mmol)、およびバイオBDO由来のバイオpTHF1.20gを反応物質に加え、エチレングリコール,メタノール、THFおよびブタンジオールを反応から留去しながら、さらに反応を20分間継続した。700mbarから500、300、100、75、50、25、10、5.5、1.5mbarと段階的に減圧しながら、最終的に1.0mbar未満とした。溶融反応物を0.7〜0.5mbarに30分間保持し、最後に窒素圧下でポリマをリアクタから流出させた。
【0127】
こうして得られたポリマのIVは0.74dL/g、融点(Tm)は197℃、ガラス転移温度(Tg)は−20℃であった。上記ポリエステルは、重量平均分子量(Mw)が60855、数平均分子量(Mn)が12514(Mw/Mn=4.86)であった。
(実施例15)
【0128】
この実施例は、バイオマス由来BDOから作られるバイオマス由来TFHを示す。バイオBDO(60.0g)(バイオコハク酸から合成されたもの)とO−リン酸(6g)を、蒸留器セットと磁気攪拌機の付いた丸底フラスコに投入した。オイルバスで反応物を170℃〜175℃に加熱した。水は約165℃で分離し始め、テトラヒドロフランと水の混合物は蒸留し始めた。蒸留液中のこの混合物約56gを採取した(水約20%)。この反応物をCaCl処理して水を除き、さらに金属塩中で還流させて乾燥し、微量の水分を除去し、乾燥したバイオマス由来THFを得た。
【0129】
(実施例16)
この実施例は、製造されたバイオマス由来pTHFを示す。バイオマス由来の乾燥THF(20g)(バイオBDOから合成されたもの)とフルオロスルホン酸(3.6g)とを丸底フラスコに投入し、35℃で3時間攪拌した。3時間終了時、反応物を氷浴を用いて約5℃に冷却した。攪拌はさらに1時間継続して行った。反応開始から4時間後に、50mlの水を用いて反応を停止させた。反応物質を3.5%NaCO溶液で中和した。未反応のTHFは減圧下この反応物から分離し、得られた溶液をトルエンで抽出した。分離トルエン層を硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、トルエンを蒸発させてバイオ系pTHFを得、これをさらに重合に用いた。
【0130】
いくつかの好適な形態を参照して本発明を詳細に記述したが、その他の変更も可能である。従って、添付の請求項の趣旨と範囲は、本明細書の形態の記述に限定されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変性ランダムコポリエーテルエステルを含む組成物であって、
(a)ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート共重合体類、およびその組み合わせから構成される群から選択されるポリエチレンテレフタレート成分から誘導され、前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導される少なくとも1つの残基を含む変性ランダムポリブチレンテレフタレート共重合体ブロックと、
(b)ポリエチレンテレフタレート成分とポリアルキレンオキシドグリコールとから誘導され、ポリアルキレンオキシドと前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導される少なくとも1つの残基とを含むポリアルキレンオキシド共重合体ブロックとを含み、
前記組成物は、
(1)テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸のアルキルエステル類、テレフタル酸のヒドロアルキルエステル類、イソフタル酸のアルキルエステル類、および1,4−ブタンジオールから構成される群から選択されるモノマ成分から誘導されるポリブチレンテレフタレートと、
(2)ポリアルキレンオキシドグリコールと、
(3)それらの組み合わせとから誘導されるコポリエーテルエステルの弾性率と比較して、少なくとも80%の弾性率を有することを特徴とする組成物。
【請求項2】
前記組成物は、前記コポリエーテルエステルの合計100重量%に対して、ポリアルキレンオキシドを5〜80重量%有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物は、
(1)テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸のアルキルエステル類、イソフタル酸のアルキルエステル類、イソフタル酸のヒドロアルキルエステル類、および1,4−ブタンジオールから構成される群から選択されるモノマ成分から誘導されるポリブチレンテレフタレートと、
(2)ポリアルキレンオキシドグリコール、および
(3)それらの組み合わせから誘導されるコポリエーテルエステルの弾性率と比較して、80〜120%の弾性率を有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物は、前記コポリエーテルエステルの組成物の合計100重量%に対して、変性ポリブチレンテレフタレートランダム共重合体ブロックを20〜95重量%有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導された前記残基は、エチレングリコール基類、ジエチレングリコール基類、イソフタル酸基類、アンチモン含有化合物類、ゲルマニウム含有化合物類、チタン含有化合物類、コバルト含有化合物類、スズ含有化合物類、アルミニウム、アルミニウム塩類、1,3−シクロヘキサンジメタノール異性体類、1,4−シクロヘキサンジメタノール異性体類、テレフタル酸基類、アルカリ土類金属塩類、アルカリ塩類、リン含有化合物類および陰イオン類、イオウ含有化合物類および陰イオン類、ナフタレンジカルボン酸類、1,3−プロパンジオール基類、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記ポリアルキレンオキシド共重合体ブロック中の前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導される前記少なくとも1つの残基は、テレフタル酸基類、イソフタル酸基類、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記変性ランダムポリブチレンテレフタレート共重合体ブロック中の前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導される前記少なくとも1つの残基は、エチレングリコール基類、ジエチレングリコール基類、イソフタル酸基類、1,3−シクロヘキシルジメタノール異性体類、1,4−シクロヘキシルジメタノール異性体類、1,3−シクロヘキサンジメタノールのシス異性体、1,4−シクロヘキシルジメタノールのシス異性体、シクロヘキシルジメタノールの1,3−トランス異性体、テレフタル酸基類、1,4−シクロヘキシルジメタノールの1,4−トランス異性体、ナフタレンジカルボン酸類、1,3−プロパンジオール基類、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記コポリエーテルエステルは、アルカリ土類金属塩類、例えばカルシウム塩類、マグネシウム塩類、ナトリウム塩類、カリ塩類などを含むアルカリ塩類、リン含有化合物類および陰イオン類、イオウ含有化合物類および陰イオン類、アンチモン含有化合物類、ゲルマニウム含有化合物類、チタン含有化合物類、コバルト含有化合物類、スズ含有化合物類、アルミニウム、アルミニウム塩類、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択される、ポリエチレンテレフタレート成分由来の残基を少なくとも1つ含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導される前記残基は、イソフタル酸とエチレングリコールとの混合物類を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導される前記残基は、イソフタル酸をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導される前記残基は、1,3−シクロヘキシルジメタノールのシス異性体、1,4−シクロヘキシルジメタノールのシス異性体、1,3−シクロヘキシルジメタノールのトランス異性体、1,4−シクロヘキシルジメタノールのトランス異性体、およびそれらの組み合わせをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導される前記残基は、1,3−シクロヘキシルジメタノールのシス異性体、1,4−シクロヘキシルジメタノールのシス異性体、1,3−シクロヘキシルジメタノールのトランス異性体、1,4−シクロヘキシルジメタノールのトランス異性体、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導される前記残基は、エチレングリコール基類、ジエチレングリコール基類、イソフタル酸基類、1,3−シクロヘキシルジメタノールのシス異性体、1,3−シクロヘキシルジメタノールのトランス異性体、1,4−シクロヘキシルジメタノールのシス異性体、1,4−シクロヘキシルジメタノールのトランス異性体、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択されることを特徴とする請求項9に記載の組成物。
【請求項14】
前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導される前記少なくとも1つの残基は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、コバルト含有化合物類、およびそれらの組み合わせの混合物類を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導される前記少なくとも1つの残基は、イソフタル酸基類をさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導される前記残基は、エチレングリコール基類、ジエチレングリコール基類、およびシクロヘキシルジメタノール基類から構成される群から選択され、その量は、前記組成物中のグリコール100モル%に対して0.1〜10モル%であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導される前記残基は、前記ポリブチレンテレフタレートランダム共重合体中の酸100モル%に対して、0〜35モル%のイソフタル酸基類をさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物は、その組成物から成形あるいは押出しされた物品に、
(i)本発明の成形組成物で付与された耐衝撃性特性が一般に、少なくとも100J/mのノッチ付アイゾッド衝撃(室温)、20MPa〜1200MPaの引張弾性率、−80℃〜10℃の非晶質相のガラス転移温度、145℃〜230℃の溶融転移温度、20〜1200MPaの曲げ弾性率,25〜80のショアD硬度、および45℃〜200℃の熱変形温度を付与することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記コポリエーテルエステルは、
(1)以下の式を有する長鎖エステルであって、
【化1】

式中、Gは、数平均分子量が200〜5000のポリ(ブチレンオキシド)グリコールから末端ヒドロキシル基類を取り除いた後の二価のポリアルキレンオキシドラジカルであり、R’は、テレフタルジカルボン酸からカルボキシル基類を取り除いた後の二価テレフタル酸ラジカルであり、R’’はイソフタルジカルボン酸からカルボキシル基類を取り除いた後の二価イソフタル酸ラジカルである長鎖エステルと、
(2)以下の式を有する短鎖エステル単位であって、
【化2】

式中、Dは、分子量が250未満のブタンジオールからヒドロキシル基類を取り除いた後の二価ブチレンラジカルであり、R’およびR’’は、上記に定義したものであり、D’は、エチレングリコールあるいはジエチレングリコールのヒドロキシル基類を取り除いた後の二価エチレンラジカルである短鎖エステル単位と、を有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物は、その組成物から成形あるいは押出しされた物品に、20〜1200MPaの引張弾性率、145℃〜230℃の溶融転移温度、25〜80のショアD硬度、および45℃〜200℃のビカット軟化温度を付与することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
請求項1に記載の組成物から成形あるいは押出しされる物品。
【請求項22】
請求項10に記載の組成物から成形あるいは押出しされる物品。
【請求項23】
1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、ポリアルキレンオキシド、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択される要素はバイオマスから誘導されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
前記バイオマスは、セルロース系物質と、トウモロコシ、小麦粉、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択される穀物とから構成される群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
前記1,4−ブタンジオール、ポリブチレンオキシド、およびそれらの組み合わせは、バイオマスから誘導される1,4−ブタンジカルボン酸から誘導されることを特徴とする請求項20に記載の組成物。
【請求項26】
前記ポリアルキレンオキシドは、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項27】
請求項1に記載のコポリエーテルエステルの製造プロセスであって、
(a)少なくとも大気圧力の不活性ガス雰囲気中、触媒成分の存在下、
(i)ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンテレフタレート共重合体類から構成される群から選択されるポリエチレンテレフタレート成分と、
(ii)1,4−ブタンジオール成分とを、
オリゴマ類、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、およびそれらの混合物類を含む溶融混合物に前記ポリエチレンテレフタレート成分を解重合させる条件で反応させて前記ポリエチレンテレフタレート成分を解重合するステップであって、前記ポリエチレンテレフタレート成分と前記ジオールとは攪拌下液相状態で混合され、前記ジオールはリアクタ中に還流されるステップと、
(b)減圧下で前記溶融混合物を攪拌しながら、過剰ジオール、エチレングリコール、およびテトラヒドロフランを除去するステップとを含むプロセスであって、前記プロセスの間、前記コポリエーテルエステルを十分に形成する量および条件下で、ポリアルキレンオキシドを添加する請求項1に記載のコポリエーテルエステルの製造プロセス。
【請求項28】
前記PET成分は、エチレングリコール、プロパンジオール、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択される要素でさらに解重合されることを特徴とする請求項27に記載のプロセス。
【請求項29】
前記ポリアルキレンオキシドは、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択されることを特徴とする請求項27に記載のプロセス。
【請求項30】
前記ポリエチレンテレフタレート成分は、180℃〜260℃の温度で解重合されることを特徴とする請求項27に記載のプロセス。
【請求項31】
前記溶融混合物の温度は、240℃〜270℃に上げられることを特徴とする請求項27に記載のプロセス。
【請求項32】
前記ポリアルキレンオキシドは、前記ポリエチレンテレフタレート成分の解重合の間に添加されることを特徴とする請求項27に記載のプロセス。
【請求項33】
前記ポリアルキレンオキシドは、減圧下、前記溶融混合物を攪拌中に添加されることを特徴とする請求項27に記載のプロセス。
【請求項34】
1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、ポリアルキレンオキシド、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択される要素は、バイオマスから誘導されることを特徴とする請求項27に記載のプロセス。
【請求項35】
前記バイオマスは、セルロース系物質と、トウモロコシ、小麦粉、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択される穀物とから構成される群から選択されることを特徴とする請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
前記1,4−ブタンジオール、ポリブチレンオキシド、およびそれらの組み合わせは、バイオマスから誘導される1,4−ブタンジカルボン酸から誘導されることを特徴とする請求項34に記載の組成物。
【請求項37】
請求項1に記載の組成物のコポリエーテルエステルの製造プロセスであって、
(a)少なくとも大気圧力下、触媒成分の存在の下で、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンテレフタレート共重合体類から構成される群から選択されるポリエチレンテレフタレート成分と、
エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択される要素とを、
エチレンテレフタレート部分を含むオリゴマ類、エチレンイソフタレート部分を含むオリゴマ類、ジエチレンテレフタレート部分を含むオリゴマ類、ジエチレンイソフタレート部分を含むオリゴマ類、トリメチレンテレフタレート部分を含むオリゴマ類、トリメチレンイソフタレート部分を含むオリゴマ類、前記の少なくとも2つの部分を含む共有結合オリゴマ部分、エチレングリコール、プロピレングリコール、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択される成分を含む第1の溶融混合物に前記ポリエチレンテレフタレート成分を十分に解重合する条件下で、リアクタ内で攪拌して前記ポリエチレンテレフタレート成分を解重合するステップと、
(b)触媒成分の存在下、ブチレンテレフタレート部分を含むオリゴマ類、エチレンテレフタレート部分、トリメチレンテレフタレート部分を含むオリゴマ類、プロピレングリコール、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択される成分を含む第2の溶融混合物を十分に形成する条件下で、リアクタ内の前記第1の溶融混合物に1,4−ブタンジオールを添加するステップと、
(c)前記第2の溶融混合物を減圧下十分に攪拌して請求項1に記載の組成物のコポリエーテルエステルを形成するステップとを含み、
前記プロセスの間、前記コポリエーテルエステルを十分に形成する量および条件下で、ポリアルキレンオキシドを添加し、トリメチレンテレフタレート部分と、エチレンテレフタレート部分と、ブチレンテレフタレート部分とを含むオリゴマ類、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール、およびエチレングリコールは、前記コポリエーテルエステル形成の間に除去されることを特徴とするコポリエーテルエステルの製造プロセス。
【請求項38】
前記ポリエチレンテレフタレート成分は、不活性雰囲気下、190℃〜250℃の温度で解重合することを特徴とする請求項37に記載のプロセス。
【請求項39】
前記ステップ(b)は、温度190℃〜240℃で行われることを特徴とする請求項37に記載のプロセス。
【請求項40】
前記ステップ(c)の間、温度は240℃〜260℃に上げられることを特徴とする請求項37に記載のプロセス。
【請求項41】
前記ポリアルキレンオキシドは、前記ポリエチレンテレフタレート成分の解重合の間に添加されることを特徴とする請求項37に記載のプロセス。
【請求項42】
前記ポリアルキレンオキシドは、前記第1の溶融混合物の攪拌中に添加されることを特徴とする請求項37に記載のプロセス。
【請求項43】
前記ポリアルキレンオキシドは前記第2の溶融混合物の攪拌中に添加されることを特徴とする請求項37に記載のプロセス。
【請求項44】
1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、ポリアルキレンオキシド、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択される前記要素は、バイオマスから誘導されることを特徴とする請求項37に記載のプロセス。
【請求項45】
前記バイオマスは、セルロース系物質と、トウモロコシ、小麦粉、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択される穀物とから構成される群から選択されることを特徴とする請求項37に記載のプロセス。
【請求項46】
前記1,4−ブタンジオール、ポリブチレンオキシド、およびそれらの組み合わせは、バイオマスから誘導される1,4−ブタンジカルボン酸から誘導されることを特徴とする請求項37に記載のプロセス。
【請求項47】
前記ポリアルキレンオキシドは、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択されることを特徴とする請求項37に記載のプロセス。
【請求項48】
請求項1に記載の組成物の成分類を溶融混合するステップを含む、組成物の製造方法。
【請求項49】
物品を製造するために、請求項1に記載の組成物を形状化し、押出し、ブロー成形し、あるいは射出成形するステップを含む物品の製造方法。
【請求項50】
請求項1に記載の組成物を含む物品。
【請求項51】
変性ランダムコポリエーテルエステルを含む組成物であって、
(a)ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート共重合体類、およびその組み合わせから構成される群から選択されるポリエチレンテレフタレート成分から誘導され、前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導される少なくとも1つの残基を含む変性ランダムポリブチレンテレフタレート共重合体ブロックと、
(b)ポリエチレンテレフタレート成分とポリアルキレンオキシドグリコールとから誘導され、ポリアルキレンオキシドと前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導される少なくとも1つの残基とを含むポリアルキレンオキシド共重合体ブロックとを含み、
前記組成物は、
(1)テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸のアルキルエステル類、テレフタル酸のヒドロアルキルエステル類、イソフタル酸のアルキルエステル類、および1,4−ブタンジオールから構成される群から選択されるモノマ成分から誘導されるポリブチレンテレフタレートと、
(2)ポリアルキレンオキシドグリコールと、
(3)それらの組み合わせとから誘導されるコポリエーテルエステルの弾性率と比較して、少なくとも80%の弾性率を有しており、
前記ポリアルキレンオキシド共重合体ブロック中の前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導された前記少なくとも1つの残基は、テレフタル酸基類、イソフタル酸基類、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択され、
前記変性ランダムポリブチレンテレフタレート共重合体ブロック中の前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導された前記少なくとも1つの残基は、エチレングリコール基類、ジエチレングリコール基類、イソフタル酸基類、1,3−シクロヘキシルジメタノール異性体類、1,4−シクロヘキシルジメタノール異性体類、1,3−シクロヘキシルジメタノールのシス異性体、1,4−シクロヘキシルジメタノールのシス異性体、シクロヘキシルジメタノールの1,3−トランス異性体、テレフタル酸基類、1,4−シクロヘキシルジメタノールの1,4−トランス異性体、ナフタレンジカルボン酸類、1,3−プロパンジオール基類、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択され、
前記コポリエーテルエステルは、アルカリ土類金属塩類、アルカリ塩類、リン含有化合物類および陰イオン類、イオウ含有化合物類および陰イオン類、アンチモン含有化合物類、ゲルマニウム含有化合物類、チタン含有化合物類、コバルト含有化合物類、スズ含有化合物類、アルミニウム、アルミニウム塩類、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択された、前記ポリエチレンテレフタレート成分由来の残基を少なくとも1つ含んでおり、
前記組成物は、前記コポリエーテルエステルの組成物の合計100重量%に対して、20〜95重量%の前記変性ポリブチレンテレフタレートランダム共重合体ブロックを有し、
前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導された前記残基は、前記ポリブチレンテレフタレートランダム共重合体中の酸100モル%に対して、0〜35モル%のイソフタル酸基類をさらに含み、
前記組成物は、その組成物から成形あるいは押出しされた物品に、20〜1200MPaの引張弾性率、145℃〜230℃の溶融転移温度、25〜80のショアD硬度、および45℃〜200℃のビカット軟化温度を付与することを特徴とする組成物。
【請求項52】
前記ポリアルキレンオキシド共重合体ブロック中の前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導された前記少なくとも1つの残基は、テレフタル酸基類、イソフタル酸基類、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択されることを特徴とする請求項51に記載の組成物。
【請求項53】
前記変性ランダムポリブチレンテレフタレート共重合体ブロック中の前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導された前記少なくとも1つの残基は、エチレングリコール基類、ジエチレングリコール基類、イソフタル酸基類、1,3−シクロヘキシルジメタノール異性体類、1,4−シクロヘキシルジメタノール異性体類、1,3−シクロヘキシルジメタノールのシス異性体、1,4−シクロヘキシルジメタノールのシス異性体、シクロヘキシルジメタノールの1,3−トランス異性体、テレフタル酸基類、1,4−シクロヘキシルジメタノールの1,4−トランス異性体、ナフタレンジカルボン酸類、1,3−プロパンジオール基類、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択されることを特徴とする請求項51に記載の組成物。
【請求項54】
前記変性ランダムポリブチレンテレフタレート共重合体ブロックおよび前記ポリアルキレンオキシド共重合体ブロック中の前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導された前記少なくとも1つの残基は、アルカリ土類金属塩類、カルシウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩、およびカリウム塩を含むアルカリ塩類、リン含有化合物類および陰イオン類、イオウ含有化合物類および陰イオン類、アンチモン含有化合物類、ゲルマニウム含有化合物類、チタン含有化合物類、コバルト含有化合物類、スズ含有化合物類、アルミニウム、アルミニウム塩類、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択されることを特徴とする請求項51に記載の組成物。
【請求項55】
物品を製造するために、請求項51に記載の組成物を形状化し、押出し、ブロー成形し、もしくは射出成形するステップを含むことを特徴とする物品の製造方法。
【請求項56】
請求項51に記載の組成物を含むことを特徴とする物品。
【請求項57】
請求項51に記載の組成物の成分類を溶融混合するステップを含むことを特徴とする組成物の製造方法。
【請求項58】
(a)ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート共重合体類、およびその組み合わせから構成される群から選択されるポリエチレンテレフタレート成分から誘導され、前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導される少なくとも1つの残基を含む変性ランダムポリトリメチレンテレフタレート共重合体ブロックと、
(b)ポリエチレンテレフタレート成分とポリアルキレンオキシドグリコールとから誘導され、ポリアルキレンオキシドと前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導される少なくとも1つの残基とを含むポリアルキレンオキシド共重合体ブロックと、を含むことを特徴とする組成物。
【請求項59】
前記ポリアルキレンオキシド共重合体ブロック中の前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導された前記少なくとも1つの残基は、テレフタル酸基類、イソフタル酸基類、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択されることを特徴とする請求項58に記載の組成物。
【請求項60】
前記変性ランダムポリトリメチレンテレフタレート共重合体ブロック中の前記ポリエチレンテレフタレート成分から誘導された前記少なくとも1つの残基は、エチレングリコール基類、ジエチレングリコール基類、イソフタル酸基類、1,3−シクロヘキシルジメタノール異性体類、1,4−シクロヘキシルジメタノール異性体類、1,3−シクロヘキシルジメタノールのシス異性体、1,4−シクロヘキシルジメタノールのシス異性体、シクロヘキシルジメタノールの1,3−トランス異性体、テレフタル酸基類、1,4−シクロヘキシルジメタノールの1,4−トランス異性体、ナフタレンジカルボン酸類、1,3−プロパンジオール基類、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択されることを特徴とする請求項58に記載の組成物。
【請求項61】
前記コポリエーテルエステルは、アルカリ土類金属塩類、アルカリ塩類、リン含有化合物類および陰イオン類、イオウ含有化合物類および陰イオン類、アンチモン含有化合物類、ゲルマニウム含有化合物類、チタン含有化合物類、コバルト含有化合物類、スズ含有化合物類、アルミニウム、アルミニウム塩類、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択された残基を少なくとも1つ含むことを特徴とする請求項58に記載の組成物。
【請求項62】
物品を製造するために、請求項58に記載の組成物を形状化し、押出し、ブロー成形し、あるいは射出成形するステップを含むことを特徴とする物品の製造方法。
【請求項63】
請求項58に記載の組成物を含むことを特徴とする物品。
【請求項64】
請求項58に記載の組成物の成分類を溶融混合するステップを含むことを特徴とする組成物の製造方法。
【請求項65】
請求項52に記載の組成物のコポリエーテルエステルの製造プロセスであって、
(a)少なくとも大気圧力下、触媒成分の存在の下で、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンテレフタレート共重合体類から構成される群から選択されるポリエチレンテレフタレート成分と、
エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択される要素とを、
エチレンテレフタレート部分を含むオリゴマ類、エチレンイソフタレート部分を含むオリゴマ類、ジエチレンテレフタレート部分を含むオリゴマ類、ジエチレンイソフタレート部分を含むオリゴマ類、トリメチレンテレフタレート部分を含むオリゴマ類、トリメチレンイソフタレート部分を含むオリゴマ類、前記の少なくとも2つの部分を含む共有結合オリゴマ部分、エチレングリコール、プロピレングリコール、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択される成分を含む第1の溶融混合物に前記ポリエチレンテレフタレート成分を十分に解重合する条件下で、リアクタ内で攪拌して前記ポリエチレンテレフタレート成分を解重合するステップと、
(b)触媒成分の存在下、エチレンテレフタレート部分を含むオリゴマ類、トリメチレンテレフタレート部分を含むオリゴマ類、プロピレングリコール、エチレングリコール、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択される成分を含む第2の溶融混合物を十分に形成する条件下で、リアクタ内の前記第1の溶融混合物に1,3−プロパンジオールを添加するステップと、
(c)前記第2の溶融混合物を減圧下十分に攪拌してコポリエーテルエステルを形成するステップとを含み、
前記プロセスの間、前記コポリエーテルエステルを十分に形成する量および条件下で、ポリアルキレンオキシドを添加し、トリメチレンテレフタレート部分と、エチレンテレフタレート部分とを含むオリゴマ類、プロピレングリコール、およびエチレングリコールは、前記コポリエーテルエステル形成の間に除去されることを特徴とするコポリエーテルエステルの製造プロセス。
【請求項66】
前記ポリエチレンテレフタレート成分は、不活性雰囲気下、190℃〜250℃で解重合されることを特徴とする請求項65に記載のプロセス。
【請求項67】
前記ステップ(b)は190℃〜240℃で行われることを特徴とする請求項65に記載のプロセス。
【請求項68】
前記ステップ(c)の間、温度は240℃〜260℃に上げられることを特徴とする請求項65に記載のプロセス。
【請求項69】
前記ポリアルキレンオキシドは、前記ポリエチレンテレフタレート成分の解重合の間に添加されることを特徴とする請求項65に記載のプロセス。
【請求項70】
前記ポリアルキレンオキシドは、前記第1の溶融混合物の攪拌中に添加されることを特徴とする請求項65に記載のプロセス。
【請求項71】
前記ポリアルキレンオキシドは、前記第2の溶融混合物の攪拌中に添加されることを特徴とする請求項65に記載の組成物。
【請求項72】
1,3−プロパンジオール、ポリアルキレンオキシド、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択される前記要素は、バイオマスから誘導されることを特徴とする請求項65に記載のプロセス。
【請求項73】
前記バイオマスは、セルロース系物質と、トウモロコシ、小麦粉、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択される穀物とから構成される群から選択されることを特徴とする請求項72に記載のプロセス。
【請求項74】
1,3−プロパンジオール、ポリプロピレンオキシド、およびそれらの組み合わせから構成される群から選択される前記要素は、バイオマスから誘導されることを特徴とする請求項65に記載のプロセス。

【公表番号】特表2009−528395(P2009−528395A)
【公表日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−552494(P2008−552494)
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【国際出願番号】PCT/US2007/002481
【国際公開番号】WO2007/089748
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】