説明

ポリエチレンテレフタレート組成物およびその製造方法

【課題】エステル交換反応および重縮合反応中に発生する粒子凝集物を抑制した、粗大粒子の少ない製糸性良好なポリエチレンテレフタレート組成物、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】リン化合物をリン元素換算で10ppm以上75ppm以下、ポリエチレンテレフタレートに可溶なチタン化合物をチタン元素換算で1ppm以上20ppm以下、かつ二次粒子径の平均値が20nm以上100nm以下のシリカを0.5重量%以上3.0重量%以下含有したポリエチレンテレフタレート組成物により達成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシリカを含有するポリエチレンテレフタレート組成物およびその製造方法に関するものである。詳しくはエステル交換反応および重縮合反応中に発生する粒子凝集物を抑制することで粗大粒子が少なく、製糸性良好なポリエチレンテレフタレート組成物およびそのポリエチレンテレフタレート組成物を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレートはその機能性の有用さから多目的に用いられており、例えば衣料用、資材用、医療用など広い分野で活用されている。その中でも、汎用性、実用性の点でポリエチレンテレフタレートが優れ、好適に使用されている。
一般にポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とエチレングリコールから製造されるが、高分子量のポリマーを製造する商業的なプロセスでは、重縮合触媒としてアンチモン化合物が広く用いられている。しかしながら、アンチモン化合物を含有するポリマーは以下に述べるような幾つかの好ましくない特性を有している。
【0003】
例えば、アンチモン触媒を使用して得られたポリマーを溶融紡糸して繊維とするときに、アンチモン触媒の残渣が口金孔周りに堆積することが知られている。この堆積が進行するとフィラメントに欠点が生じる原因となるため、適時除去する必要が生じる。アンチモン触媒残渣の堆積が生じるのは、ポリマー中のアンチモン化合物が口金近傍で変成し、一部が気化、散逸した後、アンチモンを主体とする成分が口金に残るためであると考えられている。また、ポリマー中のアンチモン触媒残渣は比較的大きな粒子状となりやすく、ポリマー中で異物となって成形加工時のフィルターの濾圧上昇、溶融紡糸の際の糸切れや製膜時の破れの原因になるなど好ましくない特性を有しており、操業性を低下させる一因となっている。
【0004】
上記のような背景からアンチモンを含有しないポリエチレンテレフタレートが求められている。そこで、重縮合触媒の役割をアンチモン系化合物以外の化合物に求める場合ゲルマニウム化合物が知られているが、ゲルマニウム化合物は埋蔵量も少なく希少価値であることから汎用的に用いることは難しい。
この問題に対しては従来から重縮合触媒としてアルミニウム化合物やチタン化合物を用いる検討が行われてきた。特にチタン化合物についてはアンチモン化合物に比べて触媒活性が高く、少量の添加で所望の触媒活性を得ることができるため、異物粒子の発生や口金汚れを抑制するのに効果的であり、特に注目されてきた。
【0005】
一方、ポリエチレンテレフタレートはその用途に合わせて二酸化チタンやシリカなどといった無機化合物粒子を添加する方法やそれを含有するポリエチレンテレフタレート組成物に関する技術も数多く知られている。特にシリカについては、例えば特許文献1〜5のように従来からフィルムや繊維の滑り性向上、ポリエチレンテレフタレートへの吸放湿性の付与、染色性の向上といった目的を達成するために使用されてきた。
しかしこれら無機化合物粒子をポリエチレンテレフタレート組成物の製造に使用する場合、製造方法によっては粒子が凝集し、粗大な異物を形成する問題が懸念される。特にシリカをコロイダルシリカとして添加する場合は、そのコロイドの分散安定性をナトリウムなどのアルカリ金属が担っている場合が一般的である。ここで、使用する触媒の種類もしくはその添加方法によってはこのアルカリ金属と反応して粒子の分散安定効果が失われ、シリカ粒子の凝集物が発生し、その後の溶融紡糸工程に対して悪影響を及ぼすこととなる。
【0006】
またこの粒子の凝集はチタン化合物を重縮合触媒として用いた場合に、より顕著に現れる。先に述べた通りチタン化合物はアンチモン化合物に比べて触媒活性が高く、少量の添加で所望の触媒活性を得ることができる。しかしながら、その活性の高さゆえに副反応も促進してしまい、結果として熱安定性悪化やポリマーが黄色く着色するという問題が生じてしまう。そのため、チタン化合物とともにリン化合物を添加することでチタンの活性を抑制し、ポリマーの耐熱性や色調を向上させる検討が広くなされているが、同様の方法ではリン化合物の種類もしくは添加方法によって、チタン化合物に対して過剰なリン化合物を添加することとなり、この過剰なリン化合物がコロイダルシリカ中のアルカリ金属と反応し、シリカの凝集が発生する可能性が極めて高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平3−27304号公報(発明が解決しようとする課題)
【特許文献2】特開2002−201343号公報(発明の属する技術分野)
【特許文献3】特開平7−238211号公報(発明が解決しようとする課題)
【特許文献4】特開昭62−43450号公報(発明の目的)
【特許文献5】特開2007−224238号公報(発明が解決しようとする課題)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はエステル交換反応および重縮合反応中に発生する粒子凝集物を抑制した、粗大粒子の少ない製糸性良好なポリエチレンテレフタレート組成物、およびその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記従来技術では解決できなかった課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち本発明は、ポリエチレンテレフタレート組成物にリン化合物をリン元素換算で10ppm以上75ppm以下、ポリエチレンテレフタレートに可溶なチタン化合物をチタン元素換算で1ppm以上20ppm以下、ポリエチレンテレフタレート組成物中の二次粒子径の平均値が20nm以上100nm以下のシリカを0.5重量%以上3.0重量%以下含むこと、もしくはテレフタル酸ジメチルとエチレングリコールとのエステル交換反応ならびに重縮合反応によってポリエチレンテレフタレートを得る方法において、マグネシウム化合物およびポリエチレンテレフタレートに可溶なチタン化合物の存在下でエステル交換反応させた後、リン化合物としてリン酸エステルを添加し、その後コロイダルシリカを、得られるポリエチレンテレフタレートに対してシリカ換算で0.5重量%以上3.0重量%以下添加し、その後重縮合反応させることにより達成できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のポリエチレンテレフタレートの製造方法では公知のチタン化合物を重縮合触媒としたポリエチレンテレフタレートの製造方法に比べて、添加したシリカ粒子同士の凝集が発生しにくく、また得られた組成物は凝集物が少ないために製糸性が良好である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のポリエチレンテレフタレート組成物は、リン化合物をリン元素換算で10ppm以上75ppm以下含有する必要がある。リン化合物がリン元素換算で10ppm以上含有しているとポリマーの耐熱性を良好なまま維持でき、また75ppm以下であると他の金属化合物との作用により活性が十分抑制できるためシリカ粒子が凝集せず安定した製糸性を得ることができる。リン化合物の含有量としてより好ましくはリン元素換算で30ppm以上70ppm以下であり、更に好ましくは50ppm以上65ppm以下である。
【0012】
本発明のポリエチレンテレフタレート組成物は、ポリエチレンテレフタレートに可溶なチタン化合物をチタン元素換算で1ppm以上20ppm以下含有する必要がある。チタン化合物を用いてポリエチレンテレフタレート組成物を得る場合、一般的にはチタン化合物はチタン元素換算で1ppm以上必要であり、またポリマーの耐熱性や色調を良好なまま維持するためには20ppm以下である必要がある。チタン化合物の含有量としてより好ましくはチタン元素換算で1ppm以上15ppm以下であり、更に好ましくは1ppm以上12ppm以下である。
【0013】
なお本発明のポリエチレンテレフタレート組成物においては、重縮合触媒として一般的に用いられるアンチモン化合物は含有しないことが好ましい。アンチモン化合物は他の金属化合物に比べ金属の結晶物を形成している可能性が高く、更にその結晶物は異物として後の溶融紡糸工程に悪影響を及ぼし、製糸性を著しく低下させる可能性が考えられるためである。また本発明のポリエチレンテレフタレート組成物においては、環境への負荷を軽減するため比重5以上の金属元素を実質的に含有しないことが好ましい。
【0014】
本発明のポリエチレンテレフタレート組成物は、ポリエチレンテレフタレート組成物中の二次粒子径の平均値が20nm以上100nm以下のシリカを含有する必要がある。シリカの平均二次粒径が20nm以上であると、シリカ粒子の自発的な凝集が起こり難くなる他、十分な染色性および発色性を得ることができ、また100nm以下であると溶融紡糸工程でのフィルター目詰まりが起こり難くなるため必要である。シリカの平均二次粒径としてより好ましくは30nm以上75nm以下であり、更に好ましくは40nm以上60nm以下である。
【0015】
本発明のポリエチレンテレフタレート組成物は、シリカを0.5重量%以上3.0重量%以下含有する必要がある。本発明のポリエチレンテレフタレート組成物に含有するシリカは、該ポリエチレンテレフタレート組成物から作られる繊維の染色性能に対し大きな役割を果たしているが、シリカ含有率が0.5重量%以上であると、特に濃色で染色した場合に良好な発色性を得ることができ、また3.0重量%以下であると、シリカの凝集物が無くポリマー中に均一に分散しており、染色斑が発生しないため必要である。シリカ含有率としてより好ましくは0.8重量%以上2.5重量%以下であり、更に好ましくは1.0重量%以上2.0重量%以下である。
【0016】
本発明のポリエチレンテレフタレート組成物は、マグネシウム化合物をマグネシウム元素換算で70ppm以上130ppm以下含有することが好ましい。マグネシウム化合物の含有量がマグネシウム元素換算で70ppm以上であるとリン化合物の活性を十分抑制できるため、シリカ粒子が凝集せず安定した製糸性を得ることができ好ましく、130ppm以下であると、ポリマーの耐熱性や色調を良好なまま維持できるため好ましい。より好ましくは80ppm以上120ppm以下含有することであり、更に好ましくは90ppm以上110ppm以下含有することである。
【0017】
本発明のポリエチレンテレフタレート組成物は、ポリマー濾過評価において初期圧力と最終圧力の差ΔPが1.5MPa以下であることが好ましい。ΔPが1.5MPa以下であると、溶融紡糸時の糸切れが少なく、また1回当たりの紡糸パック使用日数が長くなり生産効率が向上するため好ましい。より好ましくは1.0MPa以下であり、更に好ましくは0.5MPa以下である。
本発明のポリエチレンテレフタレート組成物は、ヘイズ値が7%以下であることが好ましい。ヘイズ値が7%以下であると、溶融紡糸時の糸切れが少なく好ましい。より好ましくは5%以下であり、更に好ましくは3%以下である。
【0018】
また本発明のポリエチレンテレフタレート組成物から得られる繊維においては、公知の方法で減量処理を施すことができる。減量処理の方法として例えば、プラズマ処理、レーザー処理、アルカリ減量処理などをあげることができるが、得られる繊維の風合い、染色性などの観点から、アルカリ減量処理が好ましい。
なお本発明のポリエチレンテレフタレート組成物は、本発明の目的を損なわない範囲であれば、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエチレンテレフタレート共重合体でも良く、あるいは少量の添加物を含有してもよい。共重合可能な化合物として具体的には、例えばイソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、ダイマ酸、セバシン酸などのジカルボン酸類などが挙げられ、また、艶消剤として二酸化チタン、滑剤としてアルミナ微粒子、抗酸化剤としてヒンダードフェノール誘導体、着色顔料などを含有してもよい。
【0019】
本発明のポリエチレンテレフタレート組成物の製造方法は、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールとのエステル交換反応ならびに重縮合反応によってポリエチレンテレフタレート組成物を得る方法である。
本発明のポリエチレンテレフタレート組成物の製造方法においては、マグネシウム化合物およびポリエチレンテレフタレートに可溶なチタン化合物の存在下でエステル交換反応させた後、重縮合反応開始前までにリン化合物を添加する必要がある。リン化合物を添加する目的は触媒として作用するマグネシウム化合物およびチタン化合物の活性抑制であり、エステル交換反応を阻害せず、且つ余分な副反応が起こらないよう、エステル交換反応が完了した後にリン化合物を添加する必要がある。また重縮合反応工程においても余分な副反応および分解反応が起こらないよう、エステル交換反応させた後、重縮合反応開始前までにリン化合物を添加することが好ましく、より好ましくはエステル交換反応終了直後にリン化合物を添加することである。
【0020】
本発明のポリエチレンテレフタレート組成物の製造方法においては、リン化合物としてリン酸エステルを添加する必要がある。リン酸エステルはシリカの凝集作用など他の添加物に与える影響が極めて小さいながらも、十分な触媒活性抑制効果、ポリマーの色調改善効果を得ることができるため必要である。
本発明のポリエチレンテレフタレート組成物の製造方法におけるリン化合物は、リン酸エステルであれば特に限定されるものではないが、シリカ粒子の分散性、粗大粒子の生成抑制、さらにはポリエチレンテレフタレートの溶融熱安定性の観点から、リン酸トリメチルを添加するのが好ましい。
本発明のポリエチレンテレフタレート組成物の製造方法においては、リン化合物を添加した後にコロイダルシリカを添加する必要がある。
本発明のポリエチレンテレフタレート組成物の製造方法において使用するコロイダルシリカとは、湿式法で合成される、実質的に球状の非晶質シリカを意味し、例えばケイ酸ナトリウムやアルコキシシランなどを出発原料として加水分解法により得ることができ、乾式法で得られたシリカ粒子に比べて分散性が良好であり、また粗大粒子抑制にも効果がある。なお本発明においてはシリカ粒子の分散性、粗大粒子の生成抑制の観点からケイ酸ナトリウムを出発原料として得られたコロイダルシリカを添加することが好ましい。
【0021】
コロイダルシリカは、出発原料にケイ酸ナトリウムを用いる場合、粒子の分散安定性を維持するためコロイダルシリカ中には0.2〜0.6重量%のナトリウムを含有することが一般的であるが、このコロイダルシリカ中に含まれる金属成分は、特にリン化合物と反応しやすく、その結果シリカ粒子の凝集が起こり、異物が形成され、その後の溶融紡糸工程に悪影響を及ぼす。従ってこれを防ぐためにリン化合物はコロイダルシリカより先に添加し、他の触媒と作用させ予めその活性を失わせておく必要がある。コロイダルシリカの添加時期としてより好ましくは、リン化合物を添加してから3〜10分程度経過した後に添加することである。
【0022】
本発明のポリエチレンテレフタレート組成物の製造方法においては、コロイダルシリカを得られるポリエチレンテレフタレートに対してシリカ換算で0.5重量%以上3.0重量%以下含有するように添加する必要がある。本発明においてシリカを添加する目的は染色性および発色性の向上であるが、コロイダルシリカをシリカ換算で0.5重量%以上含有するように添加すると、特に濃色で染色する場合に良好な発色性を得ることができ、また3.0重量%以下であると、シリカ粒子の凝集が起こらず、ポリマー中に均一に分散するため、溶融紡糸時の糸切れ抑制、紡糸パック使用日数の長化により生産効率が向上する他、染色斑の発生も抑えることができるため必要である。コロイダルシリカの添加量として、シリカ換算で0.8重量%以上2.5重量%以下含有するように添加することがより好ましく、更に好ましくは1.0重量%以上2.0重量%以下含有するように添加することである。
【0023】
本発明のポリエチレンテレフタレート組成物の製造方法においては、平均一次粒径が20nm以上80nm以下のコロイダルシリカを添加することが好ましい。コロイダルシリカの平均一次粒径が20nm以上であると、シリカ粒子の自発的な凝集が起こり難くなる他、十分な染色性および発色性を得ることができるため好ましく、80nm以下であると溶融紡糸工程でのフィルター目詰まりが起こり難しくなるため好ましい。コロイダルシリカの平均一次粒径としてより好ましくは30nm以上60nm以下であり、更に好ましくは40nm以上50nm以下である。
本発明のポリエチレンテレフタレート組成物の製造方法においてコロイダルシリカを反応槽内に添加するに際し、反応槽内へのエチレングリコール持ち込み量を少なく抑えるとともに、高温の反応槽内に添加しても粒子が凝集せず分散が維持できるよう、エチレングリコール中にコロイダルシリカを2重量%以上10重量%以下の濃度で分散させたスラリーとして添加することが好ましい。
【0024】
本発明のポリエチレンテレフタレート組成物の製造方法においては、マグネシウム化合物をマグネシウム元素換算で70ppm以上130ppm以下含有するように添加することが好ましい。マグネシウム化合物の添加量がマグネシウム元素換算で70ppm以上含有するように添加すると十分な触媒活性が得られ、エチレンテレフタレート交換反応が遅延しない他、リン化合物の活性を十分抑制できるため好ましく、130ppm以下含有するように添加するとポリマーの耐熱性や色調が良好なまま維持できる他、触媒活性が残存しにくく、リン化合物による触媒活性抑制効果を十分に得ることができるため好ましい。マグネシウム化合物の添加量として、マグネシウム元素換算で80ppm以上120ppm以下含有するように添加することがより好ましく、更に好ましくは90ppm以上110ppm以下含有するように添加することである。
【0025】
本発明のポリエチレンテレフタレート組成物の製造方法においては、ポリエチレンテレフタレートに可溶なチタン化合物をチタン元素換算で1ppm以上20ppm以下含有するように添加することが好ましい。チタン化合物の添加量がチタン元素換算で1ppm以上含有するように添加すると、十分な重縮合反応性が得られるため好ましく、20ppm以下含有するように添加するとポリマーの耐熱性や色調が良好なまま維持できる他、触媒活性が残存しにくく、リン化合物による触媒活性抑制効果を十分に得ることができるため好ましい。チタン化合物の添加量として、チタン元素換算で5ppm以上15ppm以下含有するように添加することがより好ましい。
【0026】
本発明のポリエチレンテレフタレート組成物の製造方法においては、重縮合触媒として一般的に用いられるアンチモン化合物は添加しないことが好ましい。アンチモン化合物は他の金属化合物に比べ金属の結晶物を形成しやすく、更にその結晶物は異物として後の溶融紡糸工程に悪影響を及ぼし、製糸性を著しく低下させる可能性が考えられるためである。
【0027】
ここで、上記のように触媒として用いるチタン化合物は、多価カルボン酸および/またはヒドロキシカルボン酸および/または含窒素カルボン酸がキレート剤とするチタン錯体であると、ポリマーの熱安定性及び色調の観点から好ましい。チタン化合物のキレート剤としては、多価カルボン酸として、フタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ヘミリット酸、ピロメリット酸などが挙げられ、ヒドロキシカルボン酸として、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸などが挙げられ、含窒素カルボン酸として、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、カルボキシイミノ二酢酸、カルボキシメチルイミノ二プロピオン酸、ジエチレントリアミノ五酢酸、トリエチレンテトラミノ六酢酸、イミノ二酢酸、イミノ二プロピオン酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二プロピオン酸、メトキシエチルイミノ二酢酸等が挙げられる。
【0028】
また本発明における触媒とは、一般にテレフタル酸ジメチルとエチレングリコールからポリエチレンテレフタレートを合成する反応において、(1)テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールとの反応であるエステル交換反応、(2)実質的にエステル交換反応が終了し、得られたポリエチレンテレフタレート低重合体からの脱エチレングリコール反応にて高重合度化せしめる重縮合反応、のうち少なくとも(2)の重縮合反応促進に寄与する効果を持つものを指す。繊維の艶消し剤等に一般的に用いられている酸化チタン粒子は上記の反応に対して実質的に触媒作用を有しておらず、従って本発明の重縮合触媒として用いることができるチタン化合物とは異なる。
【0029】
本発明のポリエチレンテレフタレート組成物の製造方法においては、シリカ粒子の分散性、粗大粒子の生成抑制、さらにはポリエチレンテレフタレートの溶融熱安定性の観点から、リン化合物をリン元素換算で10ppm以上75ppm以下含有するように添加することが好ましい。リン化合物の添加量がリン元素換算で10ppm以上含有するように添加すると、他の触媒の活性抑制効果が十分に得られる他、耐熱性やポリマー色調の向上にも繋がるため好ましく、75ppm以下含有するように添加するとシリカ粒子の凝集が発生することなく、重縮合反応時間も遅延しないため好ましい。リン化合物の添加量として、リン元素換算で30ppm以上70ppm以下含有するように添加することがより好ましく、更に好ましくは50ppm以上65ppm以下含有するように添加することである。
また本発明のポリエチレンテレフタレート組成物の製造方法においては、環境への負荷を軽減するため比重5以上の金属元素を実質的に添加しないことが好ましい。
【0030】
なお本発明のポリエチレンテレフタレート組成物の製造方法では、本発明の目的を損なわない範囲であれば、公知の共重合可能な化合物を添加してもよい。共重合可能な化合物として具体的には、例えばイソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、ダイマ酸、セバシン酸などのジカルボン酸類などが挙げられる。また、艶消剤として二酸化チタン、滑剤としてアルミナ微粒子、抗酸化剤としてヒンダードフェノール誘導体、着色顔料などを必要に応じて添加してもよい。
【実施例】
【0031】
以下実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の物性値は以下の方法で測定した。
【0032】
(1)チタン元素含有率
蛍光X線元素分析装置(堀場製作所社製、MESA−500W型)により求めた。なお、チタン元素については含有量が少ないため、測定に際して次の前処理をした上で蛍光X線分析を行った。すなわち、ポリエチレンテレフタレートをオルソクロロフェノールに溶解(溶媒100gに対してポリエチレンテレフタレート5g)し、このポリエチレンテレフタレート溶液と同量のジクロロメタンを加えて溶液の粘性を調製した後、遠心分離器(回転数18000rpm、1時間)で粒子を沈降させる。その後、傾斜法で上澄み液のみを回収し、上澄み液と同量のアセトンを添加することによりポリエチレンテレフタレートを再析出させ、そのあと3G3のガラスフィルター(IWAKI社製)で濾過し、濾上物をさらにアセトンで洗浄した後、室温で12時間真空乾燥してアセトンを除去した。以上の前処理を施して得られたポリエチレンテレフタレートについて、チタン元素含有率を測定した。
【0033】
(2)リン,マグネシウム元素およびシリカ含有率
ポリマー6gを溶融し板状に成形し、蛍光X線分析(理学電気社製蛍光X線分析装置3270型)により強度を測定して、既知含有量のサンプルで予め作成した検量線を用いて、金属含有率とした。
【0034】
(3)平均粒子径
株式会社堀場製作所製レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(LA−920)を用いて測定した。
なお測定に際して、コロイダルシリカの平均一次粒子径を測定する場合はエチレングリコールスラリーとして、またポリエチレンテレフタレート組成物中のシリカ平均二次粒子径を測定する場合は、事前にフェノール81%と1,1,2,2テトラクロロエタン19%の混合溶媒にポリマーを溶解してシリカ粒子を溶媒中に分散させ、その後光透過率が70〜90%となるよう粒子濃度を調整し測定を実施した。
【0035】
(4)濾過性
乾燥したポリエチレンテレフタレート組成物を300℃で溶融し、目開き5μの不織布フィルターヘエクスルーダーを用いて10g/分の速度で供給し、供給開始から30分後の圧力と360分後の圧力の差を測定した。
【0036】
(5)ヘイズ
ポリエチレンテレフタレート組成物2gを、20mlの溶媒(フェノール81%と1,1,2,2テトラクロロエタン19%の混合物)に溶解し、ヘイズメーター(スガ試験機株式会社製/HGM−2DP)で測定した。
【0037】
(6)ポリマーの色調
色差計(スガ試験機社製、SMカラーコンピュータ型式SM−T45)を用いてハンター値のb値を測定し、14以下を合格とした。
【0038】
(7)ポリマー耐熱性
乾燥したポリエチレンテレフタレート組成物8gを、300℃窒素雰囲気下で8分間加熱処理した際の絶対粘度と、360分間加熱処理した際の絶対粘度を測定し、それぞれの絶対粘度から下式を用いて算出した値を耐熱性の指標とし、1.0%以下を合格とした。
【0039】
【数1】

【0040】
(8)重縮合反応時間
重縮合反応槽内の減圧を開始してから、所定の撹拌トルクに到達するまでの時間を重縮合反応時間とし、120分以下を合格とした。
【0041】
(9)粒子占有面積率
染色発色性の優劣について、ポリマー中のシリカ粒子量を判断指標として用いた。すなわち、ポリエチレンテレフタレート組成物を15mg秤量し、これをプレパラート状に載せて300℃のホットプレート状で加熱しながら、上からカバーガラスで押しつけ、直径12mmの薄膜状にする。以上の方法で処理したポリエチレンテレフタレート組成物を、株式会社ニコン製位相差顕微鏡(E6TUW−PH−21)を用い、400倍の倍率で観察・撮影した。撮影した画像を解析し、測定した視野の総面積に対する粒子が占める面積を面積率として算出し、面積率5%以上の場合に良好な染色発色性を示すとして、合格とした。
【0042】
実施例1
精留塔を備えたエステル交換反応槽にテレフタル酸ジメチルを100kgとエチレングリコールを61kg仕込み、撹拌しながら200℃以下で溶解した。その後、乳酸キレートチタン化合物をチタン元素換算で10ppm、酢酸マグネシウム・4水和物をマグネシウム元素換算で100ppm含有するように添加した。その後、エステル交換反応槽の温度が240℃となるまで徐々に昇温しながら、エステル交換反応時に発生するメタノールを反応系外に留去させ反応を進行させた。その後メタノールが留出しなくなり、エステル交換反応が完了した時点でリン酸トリメチルをリン元素換算で65ppm含有するようエステル交換反応槽に添加し、5分間撹拌した。その後、平均一次粒子径が45nmのコロイダルシリカを5重量%分散させたエチレングリコールスラリーを、得られるポリエチレンテレフタレート組成物に対してシリカが1.0重量%含有するようエステル交換反応槽に添加し、更にその後過剰なエチレングリコールを反応系外に留去させ重合反応槽へ移送した。移送終了後、反応槽内を240℃から290℃まで徐々に昇温するとともに、エチレングリコールを留去しながら、圧力を30Paまで下げた。所定の攪拌機トルク(電力値)となった時点で反応系を窒素パージして常圧に戻し重合反応を停止させ、ストランド状に吐出して冷却後、直ちにカッティングしてポリエチレンテレフタレートのペレットを得た。得られたポリエチレンテレフタレート組成物は、b値が12.4、耐熱性が0.86であり、またポリエチレンテレフタレート組成物中のシリカ平均二次粒子径が50nm、ヘイズが2.7%、濾過性(ΔP)が0.3MPaであり、ポリマー色調、耐熱性および粒子分散性について極めて良好な結果となった。
【0043】
実施例2
乳酸キレートチタン化合物の含有量をチタン元素換算で3ppmとした以外は実施例1と同様の方法でポリエチレンテレフタレート組成物を得た。得られたポリエチレンテレフタレート組成物は実施例1に比べて重合時間が若干延びたものの、ポリマー色調および耐熱性、粒子分散性含めて目標の品質を示しており、満足できる結果であった。
【0044】
実施例3
乳酸キレートチタン化合物の含有量をチタン元素換算で20ppmとした以外は実施例1と同様の方法でポリエチレンテレフタレート組成物を得た。得られたポリエチレンテレフタレート組成物は実施例1に比べてポリマー色調および耐熱性がやや劣るものの、粒子分散性含めて目標の品質を示しており、満足できる結果であった。
【0045】
実施例4
酢酸マグネシウム・4水和物の含有量をマグネシウム元素換算で70ppmとした以外は実施例1と同様の方法でポリエチレンテレフタレート組成物を得た。得られたポリエチレンテレフタレート組成物について、実施例1に比べ製造工程では重縮合反応時間がやや長くなり、また品質ではシリカ二次粒子径がやや大きくなり、またヘイズおよび濾過性がやや劣るものの、色調や耐熱性含めて目標の品質を示しており、満足できる結果であった。
【0046】
実施例5
酢酸マグネシウム・4水和物の含有量をマグネシウム元素換算で130ppmとした以外は実施例1と同様の方法でポリエチレンテレフタレート組成物を得た。得られたポリエチレンテレフタレート組成物は実施例1に比べてポリマー色調および耐熱性がやや劣るものの、粒子分散性含めて目標の品質を示しており、満足できる結果であった。
【0047】
実施例6
リン酸トリメチルの含有量をリン元素換算で10ppmとした以外は実施例1と同様の方法でポリエチレンテレフタレート組成物を得た。得られたポリエチレンテレフタレート組成物は実施例1に比べてポリマー色調および耐熱性がやや劣るものの、粒子分散性含めて目標の品質を示しており、満足できる結果であった。
【0048】
実施例7
リン酸トリメチルの含有量をリン元素換算で75ppmとした以外は実施例1と同様の方法でポリエチレンテレフタレート組成物を得た。得られたポリエチレンテレフタレート組成物について、実施例1に比べ製造工程では重縮合反応時間がやや長くなり、また品質ではヘイズおよび濾過性がやや劣るものの、色調や耐熱性含めて目標の品質を示しており、満足できる結果であった。
【0049】
実施例8
平均一次粒子径が20nmのコロイダルシリカを添加した以外は実施例1と同様の方法でポリエチレンテレフタレート組成物を得た。得られたポリエチレンテレフタレート組成物は実施例1に比べてシリカ二次粒子径がやや大きくなり、またヘイズおよび濾過性がやや劣るものの、色調や耐熱性含めて目標の品質を示しており、満足できる結果であった。
【0050】
実施例9
平均一次粒子径が80nmのコロイダルシリカを添加した以外は実施例1と同様の方法でポリエチレンテレフタレート組成物を得た。得られたポリエチレンテレフタレート組成物は実施例1に比べてシリカ二次粒子径がやや大きくなり、またヘイズおよび濾過性がやや劣るものの、色調や耐熱性含めて目標の品質を示しており、満足できる結果であった。
【0051】
実施例10
シリカの含有量を0.5重量%とした以外は実施例1と同様の方法でポリエチレンテレフタレート組成物を得た。得られたポリエチレンテレフタレート組成物は実施例1に比べてポリマー中の粒子占有面積がやや小さいものの、色調や耐熱性、粒子分散性含めて目標の品質を示しており、満足できる結果であった。
【0052】
実施例11
シリカの含有量を3.0重量%とした以外は実施例1と同様の方法でポリエチレンテレフタレート組成物を得た。得られたポリエチレンテレフタレート組成物は実施例1に比べてシリカ二次粒子径がやや大きくなり、またヘイズおよび濾過性がやや劣るものの、色調や耐熱性含めて目標の品質を示しており、満足できる結果であった。
【0053】
実施例12
コロイダルシリカの添加時期を、リン化合物を添加した直後とした以外は実施例1と同様の方法でポリエチレンテレフタレート組成物を得た。得られたポリエチレンテレフタレート組成物は実施例1に比べてシリカ二次粒子径がやや大きくなり、またヘイズおよび濾過性がやや劣るものの、色調や耐熱性含めて目標の品質を示しており、満足できる結果であった。
【0054】
比較例1
酢酸マグネシウム・4水和物を含有しない以外は実施例1と同様の方法でポリエチレンテレフタレート組成物を得た。得られたポリエチレンテレフタレート組成物について、製造工程では重縮合反応時間の遅延が顕著に現れ、また品質はポリマー色調と耐熱性は実施例1とほぼ同等であったが、粒子の分散性は悪く、ヘイズや濾過性に悪影響を与えており、満足できる結果ではなかった。
【0055】
比較例2
リン酸トリメチルを含有しない以外は実施例1と同様の方法でポリエチレンテレフタレート組成物を得た。得られたポリエチレンテレフタレート組成物の粒子分散性は実施例1とほぼ同等であったが、ポリマー色調および耐熱性の悪化は著しく、満足できる結果ではなかった。
【0056】
比較例3
リン化合物として、式1で表されるテトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイト(GSY−P101(大崎工業化学株式会社製)として入手可能)を20ppm(リン元素換算で65ppmのリン酸トリメチルと同等の活性を示す量)添加した以外は実施例1と同様の方法でポリエチレンテレフタレート組成物を得た。得られたポリエチレンテレフタレート組成物の耐熱性は実施例1とほぼ同等であったが、色調は劣位であり、また粒子分散性も悪く、ヘイズや濾過性に悪影響を与えており、満足できる結果ではなかった。
【0057】
【化1】

【0058】
比較例4
シリカの含有量を0.1重量%とした以外は実施例1と同様の方法でポリエチレンテレフタレート組成物を得た。得られたポリエチレンテレフタレート組成物の色調や耐熱性、粒子分散性は実施例1とほぼ同等であったが、ポリマー中の粒子占有面積が小さく、満足できる結果ではなかった。
【0059】
比較例5
シリカの含有量を5.0重量%とした以外は実施例1と同様の方法でポリエチレンテレフタレート組成物を得た。得られたポリエチレンテレフタレート組成物の色調と耐熱性は実施例1とほぼ同等であったが、粒子の分散性は悪く、ヘイズや濾過性に悪影響を与えており、満足できる結果ではなかった。
【0060】
比較例6
コロイダルシリカの添加時期を、リン化合物を添加する前とした以外は実施例1と同様の方法でポリエチレンテレフタレート組成物を得た。得られたポリエチレンテレフタレート組成物の色調と耐熱性は実施例1とほぼ同等であったが、粒子の分散性は極めて悪く、ヘイズや濾過性に悪影響を与えており、満足できる結果ではなかった。
【0061】
【表1】

【0062】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
リン化合物をリン元素換算で10ppm以上75ppm以下、ポリエチレンテレフタレートに可溶なチタン化合物をチタン元素換算で1ppm以上20ppm以下含み、ポリエチレンテレフタレート組成物中の二次粒子径の平均値が20nm以上100nm以下のシリカを0.5重量%以上3.0重量%以下含有することを特徴とするポリエチレンテレフタレート組成物。
【請求項2】
マグネシウム化合物を、マグネシウム元素換算で70ppm以上130ppm以下含有することを特徴とする請求項1記載のポリエチレンテレフタレート組成物。
【請求項3】
ポリマーの濾過性評価において、初期圧力と最終圧力の差が1.5MPa以下であることを特徴とする請求項1および2記載のポリエチレンテレフタレート組成物。
【請求項4】
ヘイズ値が7%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエチレンテレフタレート組成物。
【請求項5】
テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールとのエステル交換反応ならびに重縮合反応によってポリエチレンテレフタレート組成物を得る方法において、マグネシウム化合物およびポリエチレンテレフタレートに可溶なチタン化合物の存在下でエステル交換反応した後に、リン酸エステルを添加し、次いでコロイダルシリカを得られるポリエチレンテレフタレートに対してシリカ換算で0.5重量%以上3.0重量%以下含有するように添加し、その後重縮合反応させることを特徴とするポリエチレンテレフタレートの製造方法。
【請求項6】
コロイダルシリカの平均一次粒径が20nm以上80nm以下であることを特徴とする請求項5に記載のポリエチレンテレフタレートの製造方法。
【請求項7】
マグネシウム化合物をマグネシウム元素換算で70ppm以上130ppm以下含有するように添加することを特徴とする請求項5または6に記載のポリエチレンテレフタレートの製造方法。
【請求項8】
ポリエチレンテレフタレートに可溶なチタン化合物をチタン元素換算で1ppm以上20ppm以下含有するように添加することを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載のポリエチレンテレフタレートの製造方法。
【請求項9】
リン化合物をリン元素換算で10ppm以上75ppm以下含有するように添加することを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載のポリエチレンテレフタレートの製造方法。

【公開番号】特開2011−207928(P2011−207928A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74224(P2010−74224)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】