説明

ポリエチレン微多孔膜

メルトインデックス(MI)が0.1〜100、炭素数が3以上のα−オレフィン単位の含量が0.1〜1モル%である共重合高密度ポリエチレンと、少なくとも粘度平均分子量(Mv)が50万〜500万である高密度ポリエチレンとを含む混合物を含み、該混合物のMvが30万〜400万であり、炭素数が3以上のα−オレフィン単位の含量が0.01〜1モル%である、ポリエチレン微多孔膜。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、ポリエチレン微多孔膜及びそれからなる電池用セパレータに関する。
【背景技術】
ポリエチレン微多孔膜は、精密濾過膜、電池用セパレータ、コンデンサー用セパレータ、燃料電池用材料等に使用されている。これらの用途のうち、電池用セパレータ、特にリチウムイオン電池用セパレータとして使用する場合、ポリエチレン微多孔膜は膜の機械強度や透過性のような一般的物性に優れていることに加えて、電池の安全性を確保するために「ヒューズ効果」と「耐熱性」に優れていることが求められている。
ヒューズ効果は、電池内部が過充電状態などで過熱したときにセパレータが溶融して電極を覆う皮膜を形成して電流を遮断することにより、電池の安全性を確保するしくみである。ポリエチレン微多孔膜の場合には、ヒューズ温度、即ちヒューズ効果が発現する温度は概ね140℃前後であることが知られているが、電池内部の暴走反応などをできるだけ早く止める観点から、ヒューズ温度は低いほど良いとされている。
更に、セパレータの機能として、溶融後も形状を維持し、電極間の絶縁を保持する必要がある。これが耐熱性であり、破膜特性と熱収縮特性に分けて考えることができる。たとえば150℃での電池安全性を保証する必要から、米国規格UL1642の「Standard for Lithium Batteries」には、150℃のオーブンで10分間保存することを要求する電池安全評価基準が設けられている。この安全基準を達成するには、セパレータはヒューズで無孔化したのち150℃以上で破膜せず、かつ熱収縮をできるだけ少なくすることによって形状を維持できることが望ましい。破膜や熱収縮、特に電池捲回体の幅方向の熱収縮により、電池内部に電極間が接触するショート部分が生じると、電池は不安全になってしまうため、こうした耐熱性に優れたセパレータが強く望まれている。
耐破膜性と低熱収縮性の両立は重要であり、両方が満たされて初めてセパレータの耐熱性が高いと言うことができる。
従来、この電池の安全性の確保、即ちヒューズ効果と耐熱性に着目した微多孔膜の開発は数多くなされている。しかし、ヒューズや耐熱性のいずれか一方について優れている微多孔膜に関する技術は開示されているが、機械強度や透過性のような一般的物性を満足し、かつヒューズと耐熱性の両方を満足するポリエチレン微多孔膜の提供は困難であった。
例えば、耐熱性を付与し且つヒューズ温度を下げる手法としては、特許文献1及び2に記載されているような、超高分子量ポリエチレンに、低分子量ポリエチレンや分岐状低密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレンをブレンドする技術が知られている。この方法によれば超高分子量成分により耐熱性を付与しながら膜のヒューズ温度をある程度下げることが期待できるが、単なる低分子量ポリエチレンをブレンドするだけではヒューズ温度を下げるには不十分であり、また、ヒューズ温度を下げる効果を大きくするために分岐状低密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレンをブレンドすると、超高分子量ポリエチレンと分岐状低密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレンとが親和性が悪いため、双方のポリエチレン界面から破膜が起こりやすく、耐破膜性への効果は少ない。また、分岐状低密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレンの添加量が増えると、膜の結晶化度が下がり多孔化しにくくなり、透過性にも影響するという問題があった。
また、特許文献3では、特定の高分子量共重合ポリエチレンと高密度ポリエチレンをブレンドすることにより、低いヒューズ温度とある程度の耐破膜性を兼ね備えたポリエチレン微多孔膜が提案されているが、高分子量成分のみによる組成では熱収縮が大きくなる問題があった。
また、特許文献4では、高密度ポリエチレンと特定の融点を持つポリエチレンとからなるポリエチレン微多孔膜が提案されており、低ヒューズ化がなされている。しかしながら、単なる融点のみを規定したポリエチレンの添加だけでは、特に薄膜化をした場合、低ヒューズ温度を維持しながら、機械強度や透過性、耐熱性をバランスよく持たせることは困難であった。
【特許文献1】:特開平2−21559号公報
【特許文献2】:特開平5−25305号公報
【特許文献3】:特許第3113287号(USP6168858、EP814117B1)
【特許文献4】:特開2002−338730号公報
【発明の開示】
本発明の目的は、上記問題を解決し、機械強度、透過性に優れ、かつ低いヒューズ温度及び高い耐熱性を有するポリエチレン微多孔膜を提供することにある。
本発明者らは、ポリエチレンの共重合体量、分子量等について更に検討を加えたところ、驚くべきことに特定の流動性と密度を有する共重合ポリエチレンを混合した微多孔膜は、従来の低いヒューズ温度の微多孔膜よりも機械強度、透過性及び耐熱性のバランスに優れることを見出した。
即ち、本発明は以下の通りである。
(1)メルトインデックス(MI)が0.1〜100、炭素数が3以上のα−オレフィン単位の含量が0.1〜1モル%である共重合高密度ポリエチレンと、少なくとも粘度平均分子量(Mv)が50万〜500万である高密度ポリエチレンとを含む混合物を含み、該混合物のMvが30万〜400万であり、炭素数が3以上のα−オレフィン単位の含量が0.01〜1モル%である、ポリエチレン微多孔膜。
(2)メルトインデックス(MI)が0.1〜100、炭素数が3以上のα−オレフィン単位の含量が0.1〜1モル%である共重合高密度ポリエチレンと、少なくともMvが50万〜500万であるホモポリエチレンとを含む混合物を含み、該混合物のMvが30万〜400万であり、炭素数が3以上のα−オレフィン単位の含量が0.01〜1モル%である、ポリエチレン微多孔膜。
(3)炭素数が3以上のα−オレフィンを含む共重合高密度ポリエチレンと、高密度ポリエチレンとを含む混合物を含み、GPCで測定したときの分子量100万以下の重量分率が1〜40%であり、分子量1万以下の重量分率が1〜40%であって、分子量1万以下の成分の炭素数が3以上のα−オレフィン単位の含量が0.1〜1モル%であり、該混合物のMvが30万〜400万であり、炭素数が3以上のα−オレフィン単位の含量が0.01〜1モル%であることを特徴とする、ポリエチレン微多孔膜。
(4)前記α−オレフィンがプロピレンである、前記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリエチレン微多孔膜。
(5)Mvが50万〜500万である前記ポリエチレンが、下記(A)、(B)及び(C)の中の二種類又は三種類の混合物である、前記(1)〜(4)のいずれかに記載のポリエチレン微多孔膜:
(A)Mvが150万以上500万未満である前記ポリエチレン;(B)Mvが60万以上150万未満である前記ポリエチレン;及び(C)Mvが25万以上60万未満である前記ポリエチレン。
(6)Mvが50万〜500万である前記ポリエチレンが、Mv150万以上の超高分子量ポリエチレンである、前記(1)〜(4)のいずれかに記載のポリエチレン微多孔膜。
(7)破膜温度が150℃以上である、前記(1)〜(6)のいずれかに記載のポリエチレン微多孔膜。
(8)150℃における収縮力が、2N以下である、前記(1)〜(7)のいずれかに記載のポリエチレン微多孔膜。
(9)ヒューズ温度が140℃以下である、前記(1)〜(8)のいずれかに記載のポリエチレン微多孔膜。
(10)膜厚が5〜24μmである、前記(1)〜(9)のいずれかに記載のポリエチレン微多孔膜。
(11)気孔率が30〜70%である、前記(1)〜(10)のいずれかに記載のポリエチレン微多孔膜。
(12)透気度が100秒以上600秒以下である、前記(1)〜(11)のいずれかに記載のポリエチレン微多孔膜。
(13)前記(1)〜(12)のいずれかに記載の微多孔膜を含んでなる電池用セパレータ。
本発明の微多孔膜は、機械強度・透過性・生産性に優れ、かつ低いヒューズ温度及び高い耐熱性を有し、電池用セパレータとして好適である。
【図面の簡単な説明】
図1A−Cはヒューズ温度及びショート温度の測定装置を示す図であり、図1Aはその模式図、図1Bはニッケル箔2Aの平面図、図1Cはニッケル箔2Bの平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明について、その好ましい態様を中心に、詳細に説明する。
本発明の微多孔膜は、一つの態様では、共重合高密度ポリエチレンと、高密度又はホモポリエチレンとの混合物(以下単に「混合物」とも言う)を含んでなる。
共重合高密度ポリエチレンのメルトインデックス(MI)はシャットダウン時の流動性、収縮力の緩和性及び成型性の観点から0.1〜100、好ましくは0.5〜10である。粘度平均分子量(Mv)では1万〜25万である。
共重合高密度ポリエチレンのコモノマーは炭素数が3以上のα−オレフィン(以下単に「コモノマー」とも言う)であり、例えば、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテンなどが挙げられる。なかでも、他のポリエチレンとの親和性の観点から炭素数3のプロピレンが最も好ましい。
炭素数が3以上のα−オレフィン単位の含量は、共重合高密度ポリエチレンのエチレン単位に対して0.1〜1モル%、好ましくは0.2〜0.8モル%である。0.1モル%未満では低融点化の効果が少なく、1モル%を超えると結晶化度が下がり、微多孔膜の透過性が得られにくい。
共重合高密度ポリエチレンの密度は、炭素数が3以上のα−オレフィン単位の含量と関係しているが、融点や透過性の観点から、高密度であることが必要である。ここで言う「高密度」とは0.93〜0.97であり、好ましくは0.94〜0.96である。
本発明で使用する共重合高密度ポリエチレンは様々な公知の方法によって製造可能であり、例えば特公平1−12777号公報に開示されているようなクロム化合物担持触媒やマグネシウム化合物含有チーグラー触媒、又はメタロセン触媒を用いる重合により製造することができる。
共重合高密度ポリエチレンと混合するポリエチレン(以下「混合するポリエチレン」とも言う)は、コモノマー単位含量0.1%未満の高密度ポリエチレン又はコモノマーの含まれていないホモポリエチレンであることが好ましい。なお、ここで言う「高密度」も上記共重合高密度ポリエチレンについての「高密度」と同じ定義を有する。
即ち、Mvが50万以上500万以下、好ましくはMvが60万〜400万の上記ポリエチレンを少なくとも含ませることであり、数種類のポリエチレンをブレンドしてもかまわない。これらのポリエチレンの混合物中に占める割合は、好ましくは10〜90%、より好ましくは30〜85%、更に好ましくは40〜80%である。なかでも、
(A)Mv150万以上500万未満、
(B)Mvが60万以上150万未満、
(C)Mvが25万以上60万未満の前記ポリエチレンの中から二種類又は三種類を混合すると、混合するポリエチレン同士の親和性が増すため、高分子量成分によりもたらされる耐熱性と、共重合高密度ポリエチレンによりもたらされる良好なヒューズ特性を十分に引き出すことができ好ましい。
混合物中に占める共重合高密度ポリエチレンの割合は、ヒューズ特性と透過性の観点から好ましくは10〜90%、より好ましくは15〜70%、更に好ましくは20〜60%である。10%より少ないとヒューズ性が不充分であり、90%を超えると耐熱性が不充分となってしまう。
また、共重合高密度ポリエチレンによりもたらされる良好なヒューズ特性を更に引き出すには、混合するポリエチレンが、Mv150万以上の超高分子量ポリエチレンであることが好ましい。
この場合、混合物中に占める共重合高密度ポリエチレンの割合は、ヒューズ特性と機械強度の観点から、好ましくは10〜90%、より好ましくは30〜85%、更に好ましくは40〜80%である。
混合物のMvは機械特性の観点から30万以上400万以下であり、より好ましくは40万以上300万以下、更に好ましくは50万以上100万以下である。30万未満では耐熱性が不充分であり、400万を超えると粘度が高すぎ、成形性に劣る。本発明における混合物のMvとは、原料の混合物及び/又は最終製品のMvのことである。
混合物のコモノマー単位の含量はエチレン単位に対して0.01〜1モル%、好ましくは0.1〜0.8モル%である。
また、本発明のもう一つの態様は、炭素数が3以上のα−オレフィンを含む共重合高密度ポリエチレンと、少なくともMvが50万〜500万である高密度ポリエチレンとを含む混合物を含み、GPCで測定したときの分子量100万以下の重量分率が1〜40%であり、分子量1万以下の重量分率が1〜40%であって、分子量1万以下の成分の炭素数が3以上のα−オレフィン単位の含量が0.1〜1モル%であり、該混合物のMvが30万〜400万であり、炭素数が3以上のα−オレフィン単位の含量が0.01〜1モル%であることを特徴とする、ポリエチレン微多孔膜である。ここで、混合物のGPCによる分子量分布測定で、100万以上の分子量成分及び1万以下の分子量成分が、それぞれ、いずれも1〜40%、より好ましくは1〜30%、更に好ましくは1〜20%である。この範囲であればヒューズ特性、耐熱性、機械強度のバランスが更に高まり、延伸性も良好なものとなる。このような分子量成分を含ませるには、前述のように、MIが0.1〜100である共重合高密度ポリエチレンと、少なくともMvが50万〜500万であるポリエチレンとを含む混合物である必要がある。
混合物中には性能を損ねない範囲で、高密度ポリエチレンよりもMvの高いポリエチレンや、他のポリオレフィンを混合することもできる。このポリオレフィンは特に限定されないが、例えばポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン等を挙げることができる。中では上記ポリエチレンが最も好ましい。
次に、本発明のポリエチレン微多孔膜の好ましい製造方法について説明する。
ポリエチレン微多孔膜は、ポリエチレンをその融点以上の温度で、可塑剤と呼ばれる溶媒に溶解し、得られた溶液を結晶化温度以下にまで冷却して高分子ゲルを生成させ、該高分子ゲルを用いて成膜を行い(成膜工程)、得られた膜を延伸した(延伸工程)後、可塑剤を除去する(可塑剤除去工程)ことによって作製される。この場合、可塑剤を除去する工程と延伸工程の順序を変えることもできる。
ここでいう可塑剤は、その沸点以下の温度でポリエチレンと相溶し得る有機化合物を意味し、その具体例として、デカリン、キシレン、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、デシルアルコール、ノニルアルコール、ジフェニルエーテル、n−デカン、n−ドデカン、パラフィン油などが挙げられる。これらのうちパラフィン油、ジオクチルフタレート、デカリンが特に好ましい。
高分子ゲル中の可塑剤の割合は特に限定はされないが、好ましくは20%〜90%、より好ましくは30%〜80%である。可塑剤の割合が20%未満では適当な気孔率を有する微多孔膜を得にくい場合があり、90%を超えると熱溶液の粘度が低下してシートの連続成形が困難となる場合がある。
以下、ポリエチレン微多孔膜の製造方法を上記成膜工程、延伸工程及び可塑剤除去工程に分けて説明する。
成膜工程
成膜方法は、特に限定されない。例えば押出機に混合ポリエチレン粉末と可塑剤とを供給し、両者を200℃程度の温度で溶融混練した後、通常のハンガーコートダイから冷却ロールの上へキャストすることによって、数十μmから数mmの膜厚のシートを連続的に成形することができる。また、公知のインフレーション法などを用いてもよい。このときの原料と可塑剤の供給方法としては、公知の樹脂と可塑剤とを完全に溶かしてからフィードしたり、スラリー状でフィードする方法を採ることができるが、生産性の観点から、樹脂をホッパーから、可塑剤を途中から、押出し機にフィードすることが好ましい。このときの可塑剤のフィード口は、複数個設けてもよい。
このときに、平均粒子径が1〜150μmの粉末状ポリエチレンを用いると溶融混練の効率が良くなり好ましい。特にMvが150万以上の超高分子量ポリエチレンを使用する場合、このポリエチレンの平均粒子径は1〜150μm、より好ましくは1〜100μm、特に好ましくは1〜50μmである。
このような、通常より細かい粒子形状のポリエチレン粉末は、ふるい等により分粒して作製してもよいし、重合段階で触媒等を適宜選択することにより得ることもできる。
延伸工程
次に、得られたシートを少なくとも一軸方向に延伸することによって延伸膜とする。延伸方法は特に限定はされないが、テンター法、ロール法、圧延法等が使用できる。このうち、テンター法による同時二軸延伸が特に好ましい。延伸温度は常温から高分子ゲルの融点までの温度、好ましくは80〜140℃、更に好ましくは100〜130℃である。延伸倍率は面積による倍率で4〜400倍が好ましく、より好ましくは8〜200倍、更に好ましくは16〜100倍である。延伸倍率が4倍未満ではセパレータとしての強度が必ずしも十分でなく、400倍を超えると延伸が困難な場合があり、得られた微多孔膜の気孔率が低くなる場合がある。
可塑剤除去工程
次に、延伸膜から可塑剤を除去することによって微多孔膜を得る。可塑剤の除去方法は特に限定されない。例えば可塑剤としてパラフィン油やジオクチルフタレートを使用する場合は、これらを塩化メチレンやメチルエチルケトン等の有機溶媒で抽出すればよいが、得られた微多孔膜をそのヒューズ温度以下の温度で加熱乾燥することによって、より十分に除去することができる。また、例えば可塑剤としてデカリン等の低沸点化合物を使用する場合は、微多孔膜のヒューズ温度以下の温度で加熱乾燥するだけで可塑剤を除去することができる。いずれの場合も膜の収縮による物性の低下を防ぐため、膜を固定するなどして拘束しながら可塑剤を除去することが好ましい。なお、このような有機溶媒は可塑剤除去工程に用いた後、公知の蒸留等の手法により、再生利用することが可能である。
透過性を改善したり、寸法安定性を高めるため、以上述べた製法によって得られたポリエチレン微多孔膜に、必要に応じてヒューズ温度以下の温度で熱処理を施すことも好ましい。
物性
上記のような組成から得られたポリエチレン微多孔膜は、従来の微多孔膜と同等の機械強度や透過性を保持しつつ、電池セパレータとして用いた場合に、高い安全性を確保することができる。
本発明における微多孔膜の膜厚は、好ましくは1〜500μm、より好ましくは5〜100μm、更に好ましくは5〜24μmである。前期膜厚が1μmより小さいと膜の機械強度が必ずしも十分でなく、500μmより大きいと電池の小型軽量化に支障が生じる場合がある。
気孔率は、好ましくは30〜70%、より好ましくは35〜50%である。気孔率が30%より小さいと透過性が必ずしも十分でなく、70%より大きいと十分な機械強度が得られない場合がある。
透気度は、好ましくは100〜600秒、より好ましくは120〜550秒、更に好ましくは150〜500秒である。透気度が600秒より大きいと透過性が必ずしも十分でなく、透気度が100秒より小さいと孔径が大きくなりすぎる場合がある。
突刺強度は、電池捲回時の耐破断性や、電極間の短絡による電池不良の観点から、好ましくは1〜20N/25μm、更に好ましくは2〜18N/25μm、特に好ましくは3〜15N/25μmである。
ヒューズ温度は、過充電試験などで電池が加熱されたときに、電流を遮断するという効果を充分に発現するためにも、140℃以下が好ましく、より好ましくは138℃以下、更に好ましくは135℃以下である。ヒューズ温度が140℃を超えると、例えば過充電試験等で、シャットダウンによる電流遮断の遅れが生じ、電池が発熱する恐れがある。
破膜温度は150℃以上が好ましく、より好ましくは155℃以上である。破膜温度が150℃未満では、150℃電池オーブン試験などでセパレータが破膜する恐れがある。
また、150℃での収縮力は2N以下が好ましく、より好ましくは1.5N以下、更に好ましくは1.0N以下である。2Nより大きいと、高温時における電池捲回体の幅方向の熱収縮力が大きいため、電池内部に、電極間が接触するショート部分が生じる恐れがある。
また、150℃での収縮応力は600kPa未満が好ましく、より好ましくは300kPa以下、更に好ましくは200kPa以下、更に好ましくは150kPa以下である。
上記のような組成から得られたポリエチレン微多孔膜が、従来の微多孔膜と同等の機械強度や透過性を保持しつつ、ヒューズ特性と耐熱性を両立できる理由は定かではないが、比較的分子量の低い共重合高密度ポリエチレンは、高密度を維持しつつ結晶融点が低く、透過性能を犠牲にすることなくヒューズ温度を低下させる効果があることに加え、高分子量成分との親和性が良いために、溶融時に各成分間の界面が原因となる破膜が起こらず、また分子量が低い成分により、熱収縮の原因となる収縮力の緩和が比較的容易に起こるためと考えられる。
以下、例によって本発明を更に詳細に説明する。下記の実施例及び比較例において、部はすべて質量部である。
実施例及び比較例において示される特性の試験方法は次の通りである。
(1)膜厚
ダイヤルゲージ(尾崎製作所:「PEACOCK No.25」(商標))にて測定した。
(2)気孔率
10cm角のサンプルを採り、その体積と質量から次式を用いて計算した。
気孔率(%)=(体積(cm)−質量(g)/ポリマー組成物の密度)/体積(cm)×100
(3)突刺強度
カトーテック製「KES−G5ハンディー圧縮試験器」(商標)を用いて、針先端の曲率半径0.5mm、突き刺し速度2mm/secの条件で突き刺し試験を行い、最大突き刺し荷重(N)を測定した。
(4)透気度
JIS P−8117準拠のガーレー式透気度計にて測定した。
(5)コモノマー単位含量(炭素数が3以上のα−オレフィン単位の含量)
13C−NMRスペクトルにおいて、コモノマー由来のシグナル強度の積分値のモル換算値(A)を、(A)とエチレン単位由来のシグナル強度の積分値のモル換算量(B)との和で除して得られた商に100を乗じることにより、コモノマー単位含量(モル%)を求める。
例えばコモノマーとしてプロピレンを用いる場合、下記の構造モデルにおいて、

I1、I1’、I2、I3、Iα、Iβ、Iγ、Im及びIMをそれぞれ対応する炭素に由来する13C−NMRスペクトルのシグナル強度とすると、
コモノマー単位含量(モル%)=(A)/[(A)+(B)]×100
(ここで、(A)=(I1+Im+Iα/2)/3、(B)=(I1+I2+I3+IM+Iα/2+Iβ+Iγ)/2)となる。
末端の影響は小さいため無視できるので、I1、I2及びI3をIm、Iα、Iβ及びIγを2Imとして上式を整理すると、
コモノマー単位含量(モル%)=Im/[Im+(IM+5Im)/2]×100
(6)メルトインデックス
JIS K−7210に基づき、温度190℃、荷重2.16kgで測定したメルトインデックスをMIとした。
(7)ヒューズ温度・破膜(ショート)温度
図1Aにヒューズ温度の測定装置の概略図を示す。1は微多孔膜であり、2A及び2Bは厚さ10μmのニッケル箔、3A及び3Bはガラス板である。4は電気抵抗測定装置(安藤電気製LCRメーター「AG−4311」(商標))でありニッケル箔2A、2Bと接続されている。5は熱電対であり温度計6と接続されている。7はデーターコレクターであり、電気抵抗装置4及び温度計6と接続されている。8はオーブンであり、微多孔膜を加熱する。
この装置を更に詳細に説明すると、図1Bに示すようにニッケル箔2A上に微多孔膜1を重ねて、縦方向に「テフロン(登録商標)」テープ(図の斜線部)でニッケル箔2Aに固定する。微多孔膜1には電解液として1mol/リットルのホウフッ化リチウム溶液(溶媒:プロピレンカーボネート/エチレンカーボネート/γ−ブチルラクトン=1/1/2)が含浸されている。ニッケル箔2B上には図1Cに示すように「テフロン(登録商標)」テープ(図の斜線部)を貼り合わせ、箔2Bの中央部分に15mm×10mmの窓の部分を残してマスキングしてある。
ニッケル箔2Aとニッケル箔2Bを微多孔膜1をはさむような形で重ね合わせ、更にその両側からガラス板3A、3Bによって2枚のニッケル箔をはさみこむ。このとき、箔2Bの窓の部分と、微多孔膜1が相対する位置に来るようになっている。
2枚のガラス板は市販のダブルクリップではさむことにより固定する。熱電対5は「テフロン(登録商標)」テープでガラス板に固定する。
このような装置で連続的に温度と電気抵抗を測定する。なお、温度は25℃から200℃まで2℃/minの速度にて昇温させ、電気抵抗値は1kHzの交流にて測定する。ヒューズ温度とは微多孔膜の電気抵抗値が10Ωに達するときの温度と定義する。また、ヒューズの後、電気抵抗値が再び10Ωを下回るときの温度を破膜(ショート)温度とした。
(8)溶融時の収縮力及び応力
島津製作所製TMA50(商標)を用いて測定した。TD方向に幅3mmに切り出したサンプルを、チャック間距離が10mmとなるようにチャックに固定し、専用プローブにセットした。初期荷重を0.0098N(1.0g)とし、30℃より10℃/minの速度にてプローブを200℃まで昇温させ、そのとき発生する収縮力(N)を測定した。150℃時の収縮力(N)を測定し、更に下記式を用いて収縮応力を算出した。
収縮応力(kPa)=[収縮力(150℃)/(3×T)]×100×9.807×10000 T:サンプル厚み(μm)
(9)粘度平均分子量
ASTM−D4020に基づき測定した。微多孔膜を135℃のデカリン溶液に溶解して、極限粘度[η]を測定し、次式により粘度平均分子量(Mv)を算出した。
[η]=6.77×10−4Mv0.67
(10)GPC
Waters社製 ALC/GPC 150C型(商標)を用い、以下の条件で測定し、標準ポリスチレンを用いて較正曲線を作成した。これの各分子量成分に0.43(ポリエチレンのQファクター/ポリスチレンのQファクター=17.7/41.3)を乗じることによりポリエチレン換算の分子量分布曲線を得た。未溶融分は重量を測定することで算出した。
カラム:東ソー製 GMH6−HT(商標)2本+GMH6−HTL(商標)2本
移動相:o−ジクロロベンゼン
検出器:示差屈折計
流速 :1.0ml/min
カラム温度:140℃
試料濃度:0.05wt%
(11)電池評価
正極の作製
活物質としてリチウムコバルト複合酸化物LiCoOを92.2重量%、導電剤としてリン片状グラファイトとアセチレンブラックをそれぞれ2.3重量%、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)3.2重量%を、N−メチルピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製する。このスラリーを正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔の片面にダイコーターで塗付し、130℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形する。このとき、正極の活物質塗付量は250g/m,活物質嵩密度は3.00g/cmになるようにする。これを幅約40mmに切断して帯状にする。
負極の作製
活物質として人造グラファイト96.9重量%、バインダーとしてカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩1.4重量%とスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス1.7重量%を、精製水中に分散させてスラリーを調製する。このスラリーを負極集電体となる厚さ12μmの銅箔の片面にダイコーターで塗付し、120℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形する。このとき、負極の活物質塗付量は106g/m,活物質嵩密度は1.35g/cmになるようにする。これを幅約40mmに切断して帯状にする。
非水電解液の調製
エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート=1:2(体積比)の混合溶媒に、溶質としてLiPFを濃度1.0mol/リットルとなるように溶解させて調製する。
電池組立
上記の微多孔膜セパレータ,帯状正極及び帯状負極を、帯状負極、セパレータ、帯状正極、セパレータの順に重ねて渦巻状に複数回捲回することにより電極板積層体を作製する。この電極板積層体を平板状にプレスした後、アルミニウム製容器に収納し、正極集電体から導出したアルミニウム製リードを容器壁に、負極集電体から導出したニッケル製リードを容器蓋端子部に接続する。更にこの容器内に前記した非水電解液を注入し封口する。こうして作製されるリチウムイオン電池は、縦(厚み)6.3mm,横30mm,高さ48mmの大きさで、公称放電容量が620mAhとなるように設計されている。
この電池を25℃雰囲気下、310mAh(0.5C)の電流値で電池電圧4.2Vまで充電し、更に4.2Vを保持するようにして電流値を310mAhから絞り始めるという方法で、合計6時間電池作成後の最初の充電を行った。この電池を過充電試験するため、電流値を620mAh(1.0C)で、電流が絞られる電圧値(充電最大電圧値)を10Vとした。このときの発熱度合いを観察した。
【実施例1】
MI0.8(Mv15万)の共重合高密度ポリエチレン(コモノマー:プロピレン、プロピレン単位含量0.6モル%、密度0.95)10.5部、Mv30万(MI0.05)のホモ高密度ポリエチレン(コモノマー単位含量0.0%、密度0.95)10.5部、Mv70万(MI0.01未満)のホモ高密度ポリエチレン(コモノマー単位含量0.0%、密度0.95)5.2部、Mv200万のホモ超高分子量ポリエチレン(コモノマー単位含量0.0%、密度0.94)8.8部、酸化防止剤として該組成物に対して0.3部のテトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを混合し、二軸押出機にフィーダーを介して投入した。更に流動パラフィン(松村石油(株)製P−350(商標))65部をサイドフィードで押出機に注入し、200℃条件で混練し、押出機先端に設置したTダイから押出した後、ただちに25℃に冷却したキャストロールで冷却固化させ、厚さ1200μmのゲル状シートを成形した。このゲル状シートを120℃で同時二軸延伸機で7×7倍に延伸した後、この延伸フィルムをメチルエチルケトンに浸漬し、流動パラフィンを抽出除去後、乾燥し、微多孔膜を得た。得られた微多孔膜を125℃で熱固定した。得られた膜の物性を表1に示す。また、得られた膜のGPC測定から算出した分子量成分は、100万以上が7%、1万以下が5%であった。
【実施例2】
MI0.8(Mv15万)の共重合高密度ポリエチレン(コモノマー:プロピレン、プロピレン単位含量0.6モル%、密度0.95)10.5部、Mv30万(MI0.05)のホモ高密度ポリエチレン(コモノマー単位含量0.0%、密度0.95)14部、Mv200万(MI0.01未満)の超高分子量ポリエチレン(コモノマー単位含量0.0%、密度0.94)10.5部のポリエチレン原料を使用し、ゲルシートの厚さを1400μmとした以外は、実施例1と同様の製膜を行った。
得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
【実施例3】
MI1.0(Mv12万)の共重合高密度ポリエチレン(コモノマー:プロピレン、プロピレン単位含量0.8モル%、密度0.94)7部、Mv30万(MI0.05)のホモ高密度ポリエチレン(コモノマー単位含量0.0%、密度0.95)17.5部、Mv200万(MI0.01未満)のホモ超高分子量ポリエチレン(コモノマー単位含量0.0%、密度0.94)10.5部のポリエチレン原料を使用し、ゲルシートの厚さを1000μmとした以外は、実施例1と同様の製膜を行った。
得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
【実施例4】
MI0.8(Mv15万)の共重合高密度ポリエチレン(コモノマー:プロピレン、プロピレン単位含量0.6モル%、密度0.95)14部、Mv70万(MI0.01未満)のホモ高密度ポリエチレン(コモノマー単位含量0.0%、密度0.95)21部のポリエチレン原料を使用した以外は、実施例1と同様の製膜を行った。得られた膜の物性を表1に示す。
【実施例5】
MI2.0(Mv10万)の共重合高密度ポリエチレン(コモノマー:プロピレン、プロピレン単位含量0.4モル%、密度0.95)10.5部、Mv30万(MI0.05)のホモ高密度ポリエチレン(コモノマー単位含量0.0%、密度0.95)14部、Mv200万(MI0.01未満)の超高分子量ポリエチレン(コモノマー単位含量0.0%、密度0.94)10.5部のポリエチレン原料を使用した以外は、実施例1と同様の製膜を行った。得られた膜の物性を表1に示す。
【実施例6】
MI0.8(Mv15万)の共重合高密度ポリエチレン(コモノマー:プロピレン、プロピレン単位含量0.6モル%、密度0.95)26.3部、Mv300万(MI0.01未満)の超高分子量ポリエチレン(コモノマー単位含量0.0%、密度0.93、平均粒子径35μm)8.8部のポリエチレン原料を使用した以外は、実施例1と同様の製膜を行った。得られた膜の物性を表1に示す。また、得られた膜のGPC測定から算出した分子量成分は、100万以上が7%、1万以下が7%であった。
【実施例7】
MI0.8(Mv15万)の共重合高密度ポリエチレン(コモノマー:プロピレン、プロピレン単位含量0.6モル%、密度0.95)29.8部、Mv450万(MI0.01未満)の超高分子量ポリエチレン(コモノマー単位含量0.0%、密度0.93、平均粒子径60μm)5.3部のポリエチレン原料を使用した以外は、実施例1と同様の製膜を行った。得られた膜の物性を表1に示す。
【実施例8】
延伸温度を117℃とした以外は、実施例1と同様の製膜を行った。得られた膜の物性を表1に示す。
【実施例9】
ゲル状シートの厚さを900μm、延伸温度を115℃とした以外は、実施例1と同様の製膜を行った。得られた膜の物性を表1に示す。
比較例1
Mv70万(MI0.01未満)のホモ高密度ポリエチレン(コモノマー単位含量0.0%、密度0.95)35部のポリエチレン原料を使用した以外は、実施例1と同様の製膜を行った。得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
比較例2
MI0.8(Mv15万)の共重合高密度ポリエチレン(コモノマー:プロピレン、プロピレン単位含量0.6モル%、密度0.95)35部のポリエチレン原料を使用した以外は、実施例1と同様の製膜を行った。得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
比較例3
MI0.3(Mv17万)の共重合低密度ポリエチレン(コモノマー:ブテン、ブテン単位含量1.8モル%、密度0.92)10.5部、粘度平均分子量30万(MI0.05)のホモ高密度ポリエチレン(コモノマー単位含量0.0%、密度0.95)14部、Mv200万(MI0.01未満)のホモ高密度ポリエチレン(コモノマー単位含量0.0%、密度0.95)10.5部のポリエチレン原料を使用した以外は、実施例1と同様の製膜を行った。得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
比較例4
Mv15万(MI0.8)のホモ高密度ポリエチレン(コモノマー単位含量0.0モル%、密度0.97)10.5部、Mv30万(MI0.05)のホモ高密度ポリエチレン(コモノマー単位含量0.0%、密度0.95)14部、Mv200万(MI0.01未満)の超高分子量ポリエチレン(コモノマー単位含量0.0%、密度0.95)10.5部のポリエチレン原料を使用した以外は、実施例1と同様の製膜を行った。得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
比較例5
MI3.0(Mv7万、融点127℃、ヘキセン単位含量1.3モル%、密度0.94)の共重合ポリエチレン9部、Mv28万のホモ高密度ポリエチレン36部、及び、55部の流動パラフィンを使用した以外は、実施例1と同様の製膜を行った。得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
比較例6
MI0.8(Mv12万)の線状共重合高密度ポリエチレン(コモノマー:プロピレン、プロピレン単位含量1.3モル%、密度0.94)17.1部、Mv60万のホモ高密度ポリエチレン15.2部、Mv10万のホモ高密度ポリエチレン5.7部、及び、流動パラフィンを62部使用した以外は、実施例1と同様の製膜を行った。得られた微多孔膜の物性を表1に示す。

【産業上の利用可能性】
本発明の微多孔膜は、精密濾過膜、電池用セパレータ、コンデンサー用セパレータ、燃料電池用材料等の分野で好適に利用できる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
メルトインデックス(MI)が0.1〜100、炭素数が3以上のα−オレフィン単位の含量が0.1〜1モル%である共重合高密度ポリエチレンと、少なくとも粘度平均分子量(Mv)が50万〜500万である高密度ポリエチレンとを含む混合物を含み、該混合物のMvが30万〜400万であり、炭素数が3以上のα−オレフィン単位の含量が0.01〜1モル%である、ポリエチレン微多孔膜。
【請求項2】
メルトインデックス(MI)が0.1〜100、炭素数が3以上のα−オレフィン単位の含量が0.1〜1モル%である共重合高密度ポリエチレンと、少なくともMvが50万〜500万であるホモポリエチレンとを含む混合物を含み、該混合物のMvが30万〜400万であり、炭素数が3以上のα−オレフィン単位の含量が0.01〜1モル%である、ポリエチレン微多孔膜。
【請求項3】
炭素数が3以上のα−オレフィンを含む共重合高密度ポリエチレンと、少なくともMvが50万〜500万である高密度ポリエチレンとを含む混合物を含み、GPCで測定したときの分子量100万以下の重量分率が1〜40%であり、分子量1万以下の重量分率が1〜40%であって、分子量1万以下の成分の炭素数が3以上のα−オレフィン単位の含量が0.1〜1モル%であり、該混合物のMvが30万〜400万であり、炭素の数が3以上のα−オレフィン単位の含量が0.01〜1モル%であることを特徴とする、ポリエチレン微多孔膜。
【請求項4】
前記α−オレフィンがプロピレンである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリエチレン微多孔膜。
【請求項5】
Mvが50万〜500万である前記ポリエチレンが、下記(A)、(B)及び(C)の中の二種類又は三種類の混合物である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリエチレン微多孔膜:
(A)Mvが150万以上500万未満である前記ポリエチレン;(B)Mvが60万以上150万未満である前記ポリエチレン;及び(C)Mvが25万以上60万未満である前記ポリエチレン。
【請求項6】
Mvが50万〜500万である前記ポリエチレンが、Mv150万以上の超高分子量ポリエチレンである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリエチレン微多孔膜。
【請求項7】
破膜温度が150℃以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリエチレン微多孔膜。
【請求項8】
150℃における収縮力が、2N以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリエチレン微多孔膜。
【請求項9】
ヒューズ温度が140℃以下である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリエチレン微多孔膜。
【請求項10】
膜厚が5〜24μmである、請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリエチレン微多孔膜。
【請求項11】
気孔率が30〜70%である、請求項1〜10のいずれか一項に記載のポリエチレン微多孔膜。
【請求項12】
透気度が100秒以上600秒以下である、請求項1〜11のいずれか一項に記載のポリエチレン微多孔膜。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の微多孔膜を含んでなる電池用セパレータ。

【国際公開番号】WO2004/085525
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【発行日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−504048(P2005−504048)
【国際出願番号】PCT/JP2004/003901
【国際出願日】平成16年3月23日(2004.3.23)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】