説明

ポリエン抗真菌性組成物

本発明は、ポリエン抗真菌性組成物およびそれらの調製方法に関する。さらに、本発明は、真菌の生育から生産物を防ぐための組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、植物、果物および野菜などの農産物に関する真菌疾患を防ぐために好適な抗菌性組成物を開示する。
【0002】
[発明の背景]
世界の作物生産の約25%が微生物腐敗のために失われており、そのうち真菌類による腐敗が圧倒的に最も重要な原因であると推定される。経済的観点からのみならず、人道的観点からも、食品の腐敗を防ぐことは非常に重要である。結局のところ、世界の多くの地域において、人々は飢えに苦しんでいる。
【0003】
植物、作物および果物などの農産物の真菌被害を防ぐために、殺菌剤が最近、たとえば散布によって適用されている。現在適用されている殺菌剤には、いくつかの不利な点が伴う。
【0004】
第一に、それらの頻繁な使用のために、いくつかの真菌類は、ある種の殺菌剤に対する部分的なまたは完全でさえある耐性を発現した。そのため、現在適用されている殺菌剤での大々的な処理にもかかわらず、腐敗問題は依然として起こる可能性がある。
【0005】
第二に、農産物の微生物腐敗を防ぐために現在適用されている殺菌剤の多くは、環境汚染およびヒトへの健康問題を引き起こす。一方では、農場労働者が高濃度のこれらの有害な殺菌剤にしばしば密に接触することが知られているので、労働者安全性が重要な問題である。他方では、大量の殺菌剤の使用のために、最大残留限界を超えることさえあるこれらの残留殺菌剤が、顧客が農産物を買うときに農産物上にまたは中に依然として存在する可能性がある。懸念の理由は、とりわけ子供において、組み合わせてカクテル効果を生み出し得るいくつかの殺菌剤の使用の脅威である。さらに、ホルモンレベルを混乱させ得る、そして精子数の低下ならびに乳癌および睾丸癌の発生率の増加に関係があると疑われる内分泌攪乱化学物質の食品中の存在への懸念の増大がある。これらの化学物質は非常に低い用量で問題を引き起こし得ると考えられ、かつ特段の心配は、殺菌性組成物の他に、多くの他のソースによってもたらされ得る化学物質間の複合作用影響の可能性である。
【0006】
EUおよびその他の国における規制が実現しつつあるために、頻繁に使用される合成殺菌剤のいくつかは禁止されることが予期され、真菌類に関する将来の問題は増大すると予期される。近い将来にこの業界に対する大きな経済的損失を防ぐために、環境にやさしい天然殺菌剤が必要とされている。また、環境および健康の観点からも今日適用されている有害な合成殺菌剤の代替品を得ることは重要である。
【0007】
ナタマイシン、ポリエン・マクロライド抗真菌薬は、チーズ、ソーセージならびにフルーツジュースおよびワインなどの飲料などのある種の食品に関連した酵母またはカビの生育に起因する腐敗の防止用の防腐剤として40年超の間使用されてきた。ストレプトマイセス・ナタレンシス(Streptomyces natalensis)を使用する発酵によって生産される、この天然防腐剤は、食品防腐剤として世界中で広く使用されており、食品工業における安全な使用の長い歴史を有する。それは、すべての公知の食品腐敗菌に対して非常に有効である。ナタマイシンは、たとえばチーズ業界において長年適用されているが、今まで耐性菌種の発現は少しも観察されなかった。
【0008】
ナタマイシンは、水への低い溶解度(30〜50mg/l)を有し、溶解画分のみが抗真菌活性を有する。ナタマイシンは、ほとんどの真菌類に対して10mg/l未満のMIC(最小発育阻止濃度)を有するので、溶解濃度はほとんどの場合に、真菌成長を防ぐのに十分である。たとえば標準条件下でのチーズの表面処理の場合には、溶解ナタマイシンの変性は、未溶解ナタマイシンの溶解および、たとえば散布によりまたはチーズコーティングによりナタマイシンが供給された表面一面への拡散によって補われる。
【0009】
ナタマイシンは、単独で、または組み合わせて、農産物における真菌の生育を抑制するために使用できることが報告されてきた。国際公開第2005/074687号パンフレットは、ナタマイシンが真菌疾患からバナナ植物を守るのに好適であることを開示している。国際公開第97/47202号パンフレットにおいて真菌細胞壁分解酵素と組み合わせたナタマイシンが農産物の抗真菌性処理に好適であることを開示しているが、国際公開第2008/009657号パンフレットにおいてホスファイトと組み合わせたナタマイシンが真菌疾患から農産物を守ることが実証された。
【0010】
農業または農産業において使用されるとき、ナタマイシンはほとんど、散布によって溶液として適用される。しかし、それはまた、ディッピング、浸漬またはペインティングによって適用することができる。たとえば散布による農産物上へのナタマイシン溶液の適用と関連したいくつかの不利な点が存在する。第一に、ナタマイシン溶液の低い剪断粘度のために、ナタマイシンは、農産物の表面上に不均一に分布することになり得る。その結果として、生産物のある部分は表面上に十分なナタマイシンを持たない可能性があり、一方他の部分においては適用されたナタマイシンは液体溜まりを形成する可能性がある。ナタマイシンは、農産物の表面から流れ落ちる可能性すらある。第二に、ナタマイシンは、雨または注水によってたとえば植物などの農産物から洗い流される可能性がある。第三に、風ドリフトのリスクがあり、すなわち分散剤なしに農産物上へ散布される能力が乏しく、農産物に達するナタマイシンの量の減少をもたらす。すべてのこれらの不利な点は、ナタマイシンの効率の低下につながり、その結果として真菌腐敗からの農産物が保護されなくなる。
【0011】
上記の不利な点のいくつかは、ナタマイシン溶液への増粘剤の添加によって排除することができる。キサンタンガムなどの増粘剤の使用は、ナタマイシン溶液の粘度を増大させ、生産物上へのナタマイシンのより良好なおよびより均一な分布につながる可能性がある(欧州特許第0 867 124号明細書および米国特許第5,552,151号明細書を参照されたい)。
【0012】
当該技術分野において提案された解決策にもかかわらず、たとえば農産物などの生産物の表面への付着に関して改善された特性を有し、その結果としてこれらの生産物の微生物腐敗の減少につながるナタマイシン組成物がしかし依然として必要とされている。
【0013】
[発明の説明]
本発明は、ポリエン抗真菌剤および増粘剤を含む新規抗菌性、たとえば、抗真菌性組成物を提供することによって問題を解決する。ある実施形態においては、ポリエン抗真菌剤は、ナタマイシン、ナイスタチン、アムフォテリシンB、トリエニン、エトルスコマイシン、フィリピン、chainin、デルモスタチン、リンホサルシン、カンジシジン、オーレオフンギンA、オーレオフンギンB、ハマイシンA、ハマイシンBまたはルセンソマイシンからなる群から選択される。好ましい実施形態においては、ポリエン抗真菌剤はナタマイシンである。ある実施形態においては、組成物はまた、2つ以上の異なるポリエン殺菌剤を含有してもよい。ポリエン殺菌剤の塩もしくは溶媒和物を含むが、それらに限定されないポリエン殺菌剤の誘導体またはポリエン殺菌剤の変性形態もまた本発明の組成物に適用されてもよいことが理解されるべきである。ナタマイシンを含有する市販製品の例は、ブランド名Delvocid(登録商標)の製品である。Delvocid(登録商標)は、DSM Food Specialties(The Netherlands)によって生産されており、50%(w/w)ナタマイシンを含有する。前記市販製品は、本発明の組成物に組み入れることができる。
【0014】
本発明の抗菌性組成物は、約0.005g/l〜約100g/l、好ましくは約0.01g/l〜約50g/lのポリエン殺菌剤を一般に含む。好ましくは、この量は、0.01g/l〜3g/lである。好ましい実施形態においては、ポリエン殺菌剤はナタマイシンである。
【0015】
ある実施形態においては、本発明の組成物は、増粘剤としてメチルヒドロキシエチルセルロース(MHEC)を含む。本発明による組成物中のMHECの量は、組成物中の乾燥物質の総量を基準として、好ましくは0.05〜4重量%、特に0.2〜2重量%である。高い(たとえば3000mPas)、中位の(たとえば1500mPas)または低い(たとえば400mPas)平均粘度を有するMHECを使用することができる。高い、中位のまたは低い平均粘度を有するMHECタイプは、当業者によく知られている(たとえばTylopur(登録商標)MHB3000PまたはWalocel(登録商標)MW400)。平均粘度値は、20℃で2%(w/w)水溶液においてHoeppler落球粘度計で通常測定される。本発明の組成物はまた、増粘剤の1つがMHECである限り、2つ以上の異なる増粘剤を含んでもよい。好ましい実施形態においては、組成物は、増粘剤としてMHECのみを含む。
【0016】
本発明による抗菌性組成物は、少なくとも1つのUV吸収剤(UV吸収薬)をさらに含んでもよい。本発明の組成物は、約0.01g/l〜約100g/l、好ましくは約0.02g/l〜約25g/l、特に約0.03g/l〜約10g/lのUV吸収剤を含んでもよい。ある実施形態においては、上記の量が準備済み溶液中に存在する。
【0017】
本発明の組成物は、3.5〜8、好ましくは5〜7のpHを有してもよい。それらは固体、たとえば粉末組成物であってもよいし、または液体であってもよい。本発明の組成物は、水性もしくは非水性の準備済み組成物であることができるが、使用前に水もしくは緩衝系などの好適な希釈剤で希釈されなければならない水性もしくは非水性の濃い組成物/懸濁液またはストック組成物、懸濁液および/または溶液であってもよい。あるいは、本発明の組成物はまた、コーティングエマルジョンを調製するために使用することができる。本発明の組成物はまた、たとえば粉末、顆粒および錠剤などの濃縮乾燥製品の形態を有することができる。それらは、植物、作物、野菜および/または果物を含む農産物などの生産物の浸漬または散布用の組成物を調製するために使用することができる。
【0018】
さらなる実施形態においては、抗菌性組成物は、固着剤、界面活性剤、乳化剤、洗剤、防腐剤、安定剤、展着剤、酸化防止剤、発泡防止剤、湿潤剤、さらなる抗菌剤、充填剤、スプレー油、分散剤、および流れ添加剤からなる群から選択される少なくとも1つの追加の化合物をさらに含んでもよい。
【0019】
固着剤の例としては、Prolong(登録商標)(Holland Fyto B.V.,(The Netherlands))およびBond(登録商標)(Loveland Industries Ltd)のようなラテックスベースの製品、Nu−film(登録商標)(Hygrotech Saad)およびSpray−Fast(登録商標)(Mandops)のようなpilonene/テルペンベースの製品ならびに長鎖多糖類が挙げられるが、それらに限定されるものではない。あるいは、固着剤は、ポリアクリレートおよびポリエチレンなどのポリマーのタイプからのポリマーまたはコポリマー、たとえばNeocryl(登録商標)(DSM,(The Netherlands))であってもよい。本発明の組成物はまた、2つ以上の異なる固着剤を含んでもよい。
【0020】
界面活性剤、洗剤、乳化剤、展着剤および湿潤剤の例としては、ラウリル硫酸ナトリウムまたはポリエチレンアルキルエーテルもしくはポリオキシエチルエーテル、たとえばTween(登録商標)60、61もしくは65などの陰イオン性テンサイドが挙げられるが、それらに限定されるものではない。有用な界面活性剤のその他の例は、オルガノシリコーン、スルホスクシネート、アルコールエトキシレート、脂肪酸エトキシレート、脂肪酸プロポキシレートおよび市販製品Zipper(登録商標)(Asepta BV,(The Netherlands))である。本発明の組成物はまた、上述の試剤の2つ以上の異なるものを含んでもよい。
【0021】
好適な防腐剤および抗菌剤の例としては、ソルビン酸、乳酸、安息香酸、プロピオン酸、クエン酸、酢酸などの弱酸防腐剤、またはそれらのアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属塩;塩酸などの無機酸;イミダゾール類;ホウ砂;亜硫酸水素カルシウム;カルシウム二ナトリウムEDTA;デヒドロ酢酸;イソチアゾール類(たとえばcit/mit);サルファイトもしくは硫黄ダイオキシン;塩;ジメチルジカーボネート、ナイトレートもしくはナイトライト;ならびに当該技術分野において公知の変性エアパッケージング組成物が挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0022】
抗菌剤としてはまた、たとえばイマザリル(imazalil)(Janssen Pharmaceutica NV,(Belgium));チアベンダゾール(たとえばSyngenta,(USA)の市販製品TECTO(登録商標)Flowable SC);ベノミル、キャプタン(非浸透性フタルイミド殺菌剤);プロクロラズ(N−プロピル−N−[2−(2,4,6−トリクロロフェノキシ)エチル]イミダゾール−1−カルボキサミド);および名称Topsin(登録商標)M(Cerexagri Inc、活性成分チオファナート−メチル);Jet−5(登録商標)(Certis Europe BV,(The Netherlands)、活性成分過酢酸および過酸化水素);Shirlan(登録商標)(Syngenta,(Switserland)、活性成分フルアジナム);ビフェニル;ならびにオルトフェニルフェノールなどの抗真菌性化合物が挙げられる。さらなる好適な抗真菌性化合物は、Gewasbeschermingsgids 2006,Gids voor gewasbescherming in de land−en tuinbouw en het openbaar en particulier groen,Plantenziektenkundige Dienst,2006,560 pages,Paperback,Gewasbeschermingsgids−ISSN 1571−201X,Volume 18に見いだすことができる。
【0023】
さらに、抗菌剤としては、昆虫、線虫、ダニおよび細菌に有効であるための化合物が挙げられる。このような化合物の例は、アドマイヤー(Admire)(登録商標)(Bayer);ホルマリン;アクテリック(Actellic)(登録商標)(Syngenta,Switserland)、ナイシン、リゾチーム、プロポクサー(Bayer);ビフェナゼート(Uniroyal);ジクロルボス(Amvac Chemical Corporation);イミダクロプリド(Bayer);フェナミホス(Mobay Chemical Corporation);オキサミル(Dupont);水酸化銅;ストレプトマイシン;およびエチルパラベンゾエートである。
【0024】
好適な抗菌剤の例としてはさらに、ホスファイトの群に属する天然作物保護化合物、たとえばKHPOもしくはKHPOまたは両ホスファイトの混合物が挙げられるが、それらに限定されるものではない。本明細書において用いられるようなホスファイト含有化合物は、ホスファイト基、すなわちPO(たとえばHPO、HPO2−もしくはPO3−の形態での)を含む化合物、または亜リン酸およびホスホン酸ならびにそれらのエステルおよび/またはアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩などのそれらの誘導体などの、ホスファイトイオンの放出を可能にするあらゆる化合物を意味する。本発明の組成物がポリエン殺菌剤(たとえばナタマイシン)および少なくとも1つのホスファイト含有化合物を含む場合、それらは、1グラムのポリエン殺菌剤当たり、好ましくは0.1g以下のリグノスルホネート、より好ましくは0.1g以下のポリフェノールを含む。好ましくは、それらは、1グラムのポリエン殺菌剤当たり、0.01g以下のリグノスルホネート、より好ましくは0.01g以下のポリフェノールを含む。特に、それらはリグノスルホネートを含まず、好ましくはポリフェノールを含まない。ホスファイト含有化合物の好適な例は、亜リン酸ならびに、亜リン酸カリウム、たとえばKHPOおよびKHPO、亜リン酸ナトリウムおよび亜リン酸アンモニウムなどのその(アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属)塩、ならびに亜リン酸の(C〜C)アルキルエステルおよび、アルミニウムエチルホスファイト(ホセチル−Al)、カルシウムエチルホスファイト、マグネシウムイソプロピルホスファイト、マグネシウムイソブチルホスファイト、マグネシウム第二ブチルホスファイトおよびアルミニウムN−ブチルホスファイトなどのそれらの塩である。もちろん、ホスファイト含有化合物の混合物もまた包含される。たとえばKHPOとKHPOとの混合物は、たとえばKOHまたはKCOをKHPO溶液に5.0〜6.0の最終pHまで加えることによって容易に得ることができる。上に示されたように、作物または植物においてホスファイト化合物へ代謝される前駆体型化合物もまた、本発明の組成物中に含めることができる。例は、ホセチル−アルミニウム錯体などのホスホネートである。たとえば作物または植物においてこの分子のエチルホスホネート部分はホスファイトへ代謝される。市販のホスホン酸水素エチル製品におけるこのような化合物の例は、アリエッティ(Aliette)(登録商標)(Bayer,(Germany))と呼ばれる。
【0025】
本組成物は、一般に0.5g/l〜1000g/l、好ましくは1g/l〜500g/lの亜リン酸カリウムを含むであろう。より好ましくは、亜リン酸カリウムの量は、2g/l〜200g/lである。ある実施形態においては、上記の量が準備済み溶液中に存在する。本発明によれば、その他のホスファイトがまた亜リン酸カリウムと等モル量で使用されてもよい。ある実施形態においては、本発明の組成物中のホスファイト、すなわちPO-基の濃度は、1〜1000mM、好ましくは10〜750mM、より好ましくは25〜500mMである。本発明の組成物はまた、2つ以上の異なる防腐剤および/または抗菌剤を含んでもよい。
【0026】
好適な安定剤の例としては、寒天、アルギン酸、アルギン酸塩、ラクトビオン酸カルシウム、カラギーナン、ジェランガム、およびグアーガムが挙げられるが、それらに限定されるものではない。本発明の組成物はまた、2つ以上の異なる安定剤を含んでもよい。
【0027】
好適な酸化防止剤の例としては、アミノ酸(たとえばグリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)およびそれらの誘導体、イミダゾール(たとえばウロカニン酸)および誘導体、D,L−カルノシン、D−カルノシン、L−カルノシンなどのペプチドおよび誘導体(たとえばアンセリン)、カロテノイド、カロテン類(たとえばα−カロテン、β−カロテン、リコペン)および誘導体、クロロゲン酸および誘導体、リポ酸および誘導体(たとえばジヒドロリポ酸)、アウロチオグルコース、プロピルチオウラシルおよびその他のチオール(たとえばチオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミンおよびそのグリコシル−、N−アセチル−、メチル−、エチル−、プロピル−、アミル−、ブチル−およびラウリル−、パルミトイル−;オレイル−、y−リノレイル−、コレステリル−、およびグリセリルエステル)ならびにそれらの塩、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、チオジプロピオン酸およびその誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、リピド、ヌクレオチド、ヌクレオシドおよび塩)ならびに非常に低い相溶性の用量(たとえばピコモル〜μモル/kg)でのスルホキシミン化合物(ブチオニンスルホキシミン、ホモシステインスルホキシミン、ブチオニンスルホン、ペンタ−、ヘキサ−、ヘプタチオニンスルホキシミン)、さらに(金属)−キレート剤(α−ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、phytanic acid、ラクトフェリンなどの)、β−ヒドロキシ酸(クエン酸、乳酸、リンゴ酸などの)、フミン酸、没食子酸、没食子酸抽出物、ビリルビン、胆緑素、EDTA、EGTAおよびその誘導体、不飽和脂肪酸およびそれらの誘導体(γ−リノール酸、リノール酸、オレイン酸などの)、葉酸およびその誘導体、ユビキノンおよびユビキノールならびにそれらの誘導体、ビタミンCおよび誘導体(アスコルビルパルミテートおよびアスコルビルテトライソパルミテート、Mg−アスコルビルホスフェート、Na−アスコルビルホスフェート、アスコルビルアセテートなどの)、トコフェロールおよび誘導体(ビタミンEアセテートなどの)、天然ビタミンE、ビタミンAおよび誘導体(ビタミンA−パルミテートおよび−アセテート)ならびにコニフェリルベンゾエート、ルチン酸および誘導体、α−グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、トリヒドロキシブチロフェノン、ウレアおよびその誘導体、マンノースおよび誘導体、亜鉛および誘導体(たとえばZnO、ZnSO)、セレンおよび誘導体(たとえばセレノメチオニン)、スチルベンおよび誘導体(スチルベンオキシド、トランンス−スチルベンオキシドなどの)ならびに言及された活性成分の好適な誘導体(塩、エステル、エーテル、糖類、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよびリピド)が挙げられるが、それらに限定されるものではない。本発明の組成物はまた、2つ以上の異なる酸化防止剤を含んでもよい。
【0028】
好適な発泡防止剤の例としては、ポリエチレングリコール8000、ポリメチルシロキサン、シメチコンオクタノール、およびシリコーンオイルが挙げられるが、それらに限定されるものではない。本発明の組成物はまた、2つ以上の異なる発泡防止剤を含んでもよい。
【0029】
好適な充填剤の例としては、モンモリロナイト、カオリン、ビーガム、ベントナイト、およびタルクが挙げられるが、それらに限定されるものではない。本発明の組成物はまた、2つ以上の異なる充填剤を含んでもよい。
【0030】
好適な分散剤の例としては、Morwet D−425、プルロニック(Pluronic) P、およびSilwet L−77が挙げられるが、それらに限定されるものではない。本発明の組成物はまた、2つ以上の異なる分散剤を含んでもよい。
【0031】
好適なスプレー油の例としては、Banole(登録商標)、Banole(登録商標)W、BANOLE(登録商標)UBV、SprayTex M、Orchex 692、sunspray 11Eが挙げられるが、それらに限定されるものではない。本発明の組成物はまた、2つ以上の異なるスプレー油を含んでもよい。
【0032】
好適な流れ添加剤の例としては、カオリン、タルク、Wacker−Belsil(登録商標)PMS、Wacker−Belsil(登録商標)TMS 803、マグネシウムトリシリケート、ナトリウムアルミノシリケート、ベントナイト、およびポリジメチルシロキサンが挙げられるが、それらに限定されるものではない。本発明の組成物はまた、2つ以上の異なる流れ添加剤を含んでもよい。
【0033】
ある実施形態においては、本発明の組成物は、ナタマイシン、ホスファイト含有化合物、MHEC、スルホスクシネートおよび場合により防腐剤を含む。
【0034】
有効量の本発明による抗菌性組成物で処理される生産物は、本発明のさらなる態様である。本組成物は、生産物の上および/または中に存在してもよい。好ましくは、たとえば食品;飼料製品;農産物;布;皮革;紙;繊維;ペイント;およびコーティングなどの生産物は、真菌腐敗を通常起こしやすい。
【0035】
食品および飼料製品としては、人または動物用の食品および飼料製品が挙げられるが、それらに限定されるものではない。本発明の組成物が典型的には適用されてもよい食品または飼料製品としては、チーズ;クリームチーズ;細切りチーズ;コッテージチーズ;プロセスチーズ;サワークリーム;サラミおよびその他のソーセージを含む乾燥発酵肉製品;ワイン;ビール;ヨーグルト;ジュースおよびその他の飲料;サラダドレッシング;コッテージチーズドレッシング;ディップ;ベーカリー製品およびベーカリー詰め物;表面釉薬およびアイシング;スプレッド;ピザのトッピング;菓子類および菓子詰め物;オリーブ;オリーブブライン;オリーブ油;ジュース;トマトピューレおよびペースト;香辛料;および果肉および類似の食品;ならびにペットフード、ブロイラー飼料果物などの、飼料製品などが挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0036】
農産物としては、植物、作物、野菜および/または果物が挙げられるが、それらに限定されるものではない。植物に適用される場合、本発明の組成物は、植物の葉;茎;花;側枝;種子または栽培品種上におよび果物上にさえ適用することができる。そのため、本発明の組成物で処理される植物のこれらの部分はまた、本発明に含められる。本発明の組成物はまた、球根、とりわけチューリップ、ユリ、スイセン、クロッカスまたはヒヤシンスなどの球根;たとえばタマネギなどのその他の球根状作物;塊茎;塊根;ならびに種ジャガイモおよびダリアなどの、根茎上に適用されてもよい。さらに、本発明の組成物は、観花植物、屋内植物または作物を増やすために一般に適用されるなどの挿し木または接ぎ木;新植物の成長のための種子上に、および飼料として貯蔵される種子または飼料(トウモロコシおよび小麦)の処理に使用されてもよい。挿し木または接ぎ木の例は、カーネーション;フクシア;菊;バラ;トマトのような果物植物;メロン;キュウリ;ならびに茄子および温室で成長する植物である。
【0037】
本発明の組成物はまた、穀物;トウモロコシ;コーヒー;豆;カカオ豆;大豆;たとえばイチゴなどのベリー類;たとえばオレンジ、マンダリン、クレメンタイン、タンジェリン、ライム、ザボン、キンカン、グレープフルーツおよびレモンなどの柑橘類果物;ブドウ;モモ;プラム;バナナ;パイナップル;ならびにサクランボなどの農産物上でのカビ/真菌の生育および/またはカビ/真菌の感染を防ぐために使用されてもよい。さらに、本発明の組成物はまた、コーヒーおよびカカオ豆の乾燥および/または発酵プロセス中に使用されてもよい。
【0038】
ある実施形態においては、本組成物は、収穫後の作物、好ましくは収穫後の傷を示す作物に適用される。言い換えれば、作物の収穫は傷をもたらし、この傷が本発明による組成物で処理される。一般に、この傷は、作物が成長している植物から、たとえばバナナまたはパイナップルなどの果物が取り去られるときに起こる。また、切り花または植物の柄/茎上に存在する傷は、カビ/真菌の生育および/またはカビ/真菌の感染を防ぐために本発明による組成物で処理することができる。
【0039】
最後に、本発明の組成物はまた、穀物およびトウモロコシなどの穀物;野菜;コーヒーの木;ココアの木、果樹;ブドウの木;イチゴ植物;オレンジ、マンダリン、クレメンタイン、タンジェリン、ライム、ザボン、キンカン、グレープフルーツおよびレモンなどの柑橘類果樹;キュウリ植物;バナナの木;パイナップルの木;およびトマトの木を含むが、それらに限定されない耕地における成長中の作物および/または植物の処理のために使用されてもよい。
【0040】
本発明は、本発明の組成物で処理された生産物を提供する。処理された生産物は、本発明の組成物を含むコーティングを含有してもよい。ある実施形態においては、処理された生産物は、それらの表面上に、0.000001〜200mg/dm、好ましくは0.00001〜100mg/dm、より好ましくは0.00005〜10mg/dmのポリエン殺菌剤、たとえばナタマイシンを含む。さらなる実施形態においては、それらは、それらの表面上に0.05〜4mg/dm、好ましくは0.2〜2mg/dmのMHECを含む(10μmの湿潤コーティングがそれらの表面上へ適用される場合)。その上さらなる実施形態においては、それらは、それらの表面上に0.5〜40mg/dm、好ましくは2〜20mg/dmのMHECを含む(100μmの湿潤コーティングがそれらの表面上へ適用される場合)。
【0041】
さらなる態様においては、本発明は、本発明による組成物を生産物中へ組み入れる工程、および/または生産物上へ適用する工程を含む生産物の処理方法に関する。本発明による組成物での生産物の処理は、生産物中および/または上でのカビおよび/または真菌の生育を防ぐ。好ましくは、生産物は農産物である。この新規の抗菌性組成物を適用することによって、農産物たとえば植物、作物、野菜および/または果物などの生産物上または中でのカビおよび/または真菌の生育を防ぐことができる。言い換えれば、本発明の新規組成物は、農産物たとえば植物、作物、野菜および/または果物を、カビおよび/または真菌の生育から、および/またはカビおよび/または真菌の感染から、および/または真菌腐敗から保護する。
【0042】
本組成物は、収穫中におよび/または収穫後(ポストハーベスト)に植物、作物、野菜および/または果物上に適用することができる。あるいは、植物、作物、野菜および/または果物はまた、植物、作物、野菜および/または果物が耕地にまたは温室中にまだあるときに収穫前(プレハーベスト)に本発明による組成物で処理することができる。
【0043】
有利には、本発明による組成物は、農産物などの生産物へのディッピング、浸漬、散布または静電吹付によって適用することができる液体である。それらはまた、基材が液体または半液体である場合には直接加えられてもよい。あるいは、生産物はまた、絵筆を用いるはけ塗りによって、またはたとえば本発明の抗真菌性組成物もしくはエマルジョンを含浸させた脱脂綿のパッドもしくはセルロースパッドの適用によって処理することができる。本発明の別の態様においては、本抗菌性組成物は、コーティングによって適用されてもよい。それらは、それらが適用される基材上に、コーティング、たとえば抗真菌性コーティングを残すことができる。すべてのために、これらの処理方法および当業者に周知の装置を用いることができる。処理方法はもちろん、処理されるべき生産物の種類に依存する。
【0044】
本発明のさらなる態様は、生産物中および/または上の真菌の生育を防ぐための本発明による組成物の使用に関する。好ましくは、生産物は農産物である。
【0045】
[実施例]
[実施例1]
オレンジに関するナタマイシンの抗真菌効果への増粘剤の影響
本実験において、ナタマイシンおよび異なる増粘剤を含む抗菌性組成物の抗真菌活性を調べた。調べた増粘剤は、キサンタンガム、MHEC(メチルヒドロキシエチルセルロース、チロプール(Tylopur)(登録商標)MHB3000P)、HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メトセル(Methocel)(登録商標))およびCMC(カルボキシメチルセルロース、ブラノース(Blanose)(登録商標))であった。
【0046】
増粘剤および抗真菌剤ナタマイシンを含有する組成物は、次の通り調製した。増粘剤を一晩撹拌することによって水に溶解させた。その後、ナタマイシンを含有する懸濁液を、増粘剤を含有する溶液に加えて最終濃度0.4〜0.6%(w/v)の増粘剤および最終濃度1000μg/mlのナタマイシンを含む組成物を得た。
【0047】
新鮮な未処理オレンジを人為的に汚染させた。各オレンジに関して、皮の表面積上の2つのスポットに傷をつけ、カビ種ペニシリウム・ロクエフォルティ・トム(Penicillium roqueforti Thom)(CBS 479.84、IBT 21543)の胞子の懸濁液で汚染させた。カビ胞子は、周知の方法を用いて調製した。6個のオレンジを各抗菌性組成物について試験した。汚染後にオレンジを、新たに調製した抗菌性組成物へ浸け、液を垂らさせ、風乾させた。オレンジを、連続的な観察を可能にするための透明なラミネートで覆った、閉じたボックスにおいて室温で暗闇の中で貯蔵した。各ボックスのヘッドスペースにおける相対湿度を、周知の方法を用いる水の添加によって95〜100%に高めた。
【0048】
結果は、ナタマイシンおよび増粘剤MHECを含有する抗菌性組成物が、ナタマイシンおよびHPMC、CMCまたはキサンタンガムを含む抗菌性組成物よりもカビの生育からオレンジを良好に保護することを明らかに実証する(表1を参照されたい)。
【0049】
さらなる実験において、1000μg/mlのナタマイシンおよび0.2%(w/v)の上記の増粘剤を含む抗菌性組成物の抗真菌活性をオレンジに関して調べた。オレンジは、オランダ国の地元小売業者から入手した。オレンジをカビ・ペニシリウム・イタリカム(Penicillium italicum)(ATCC 36041)の胞子で処理した。カビ胞子は、周知の方法を用いて得た。オレンジを、Lapere de Bellaire and Duboisによって記載された方法に従って傷つけた(Plant disease 81:1378−1383(1987)を参照されたい)。オレンジにコルク穿孔器を用いて3回傷をつけ、その後、1傷当たり、10胞子/mlを含有する5μlのP.イタリカム(P.italicum)胞子懸濁液で汚染した。室温での1時間の培養後に、オレンジを新たに調製した抗菌性組成物へ1分間浸け、液を垂らさせ、風乾させた。この実験を9重に行った。オレンジを上記のような条件下で23日間貯蔵し、カビの成長に関して目視で判断した。
【0050】
表2の結果は、ナタマイシンおよび増粘剤MHECを含有する抗菌性組成物が、ナタマイシンおよび増粘剤キサンタンガム、HPMCまたはCMCを含む抗菌性組成物よりカビの生育からオレンジを良好に保護することを明らかに実証する。類似の結果は、0.4%(w/v)増粘剤を含む抗菌性組成物で観察された(データは示されていない)。
【0051】
【表1】



【0052】
【表2】



【0053】
[実施例2]
オレンジに関するナタマイシンおよびホスファイトを含む組成物の抗真菌効果への増粘剤の影響
本実験において、ナタマイシン、ホスファイトおよび上述の増粘剤を含む抗菌性組成物の抗真菌活性を、オレンジを13日間貯蔵するという条件で、実施例1に記載されたようなオレンジに関して調べた。
【0054】
組成物は、最終濃度0.4%(w/v)の増粘剤、1000μg/mlのナタマイシンおよび35mMのKCO緩衝液における240mMの亜リン酸カリウムを含んだ。
【0055】
表3の結果は、ナタマイシン、ホスファイトおよび増粘剤MHECを含有する抗菌性組成物が、ナタマイシン、ホスファイトおよび増粘剤キサンタンガム、HPMCまたはCMCの1つを含む抗菌性組成物よりカビの生育からオレンジを良好に保護することを示す。
【0056】
【表3】



【0057】
[実施例3]
イチゴに関するナタマイシンの抗真菌効果への増粘剤の影響
本実験において、ナタマイシンおよび上述の増粘剤を含む抗菌性組成物の抗真菌活性をイチゴに関して調べた。
【0058】
増粘剤および抗真菌剤ナタマイシンを含有する組成物を、実施例1に記載されたように調製した。組成物は、最終濃度0.6%(w/v)の増粘剤および1000μg/mlのナタマイシンを含んだ。
【0059】
オランダ国の地元小売業者からの新鮮な未処理イチゴを、カビ種ボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea)(ATCC 12481)の胞子の新たに調製された濃い懸濁液(10胞子/ml)の5μlで人為的に汚染させた。カビ胞子は、周知の方法を用いて調製した。汚染の1時間後にイチゴを、新たに調製した抗菌性組成物へ1分間浸け、液を垂らさせ、風乾させた。この実験を9重に行った。イチゴを、実施例1に記載されたような条件下に6日間貯蔵し、カビの成長に関して目視で判断した。
【0060】
表4の結果は、ナタマイシンおよび増粘剤MHECを含有する抗菌性組成物が、ナタマイシンおよびキサンタンガム、HPMCまたはCMCを含む抗菌性組成物よりカビの生育からイチゴを良好に保護することを明らかに実証する。
【0061】
【表4】



【0062】
[実施例4]
新鮮なコーヒー豆に関するナタマイシンの抗真菌効果への増粘剤の影響
本実験において、ナタマイシンおよび上述の増粘剤を含む抗菌性組成物の抗真菌活性を新鮮なコーヒー豆に関して調べた。
【0063】
増粘剤および抗真菌剤ナタマイシンを含有する組成物を、実施例1に記載されたように調製した。組成物は、最終濃度0.6%(w/v)の増粘剤および1000μg/mlのナタマイシンを含んだ。
【0064】
オランダ国の地元小売業者からの新鮮な未処理コーヒー豆を、カビ・アスペルギルス・オクラセウス(Aspergillus ochraceus)(ATCC 60532)の胞子の新たに調製された濃い懸濁液(10胞子/ml)の5μlで人為的に汚染させた。カビ胞子は、周知の方法を用いて調製した。汚染の1時間後にコーヒー豆を、新たに調製した抗菌性組成物へ1分間浸け、液を垂らさせ、風乾させた。この実験を9重に行った。コーヒー豆を、実施例1に記載されたような条件下に4日間貯蔵し、カビの成長に関して目視で判断した。
【0065】
表5の結果は、ナタマイシンおよび増粘剤MHECを含有する抗菌性組成物が、ナタマイシンおよびキサンタンガム、HPMCまたはCMCを含む抗菌性組成物よりカビの生育から新鮮なコーヒー豆を良好に保護することを明らかに実証する。
【0066】
【表5】



【0067】
[実施例5]
バナナに関するナタマイシンおよびホスファイトを含む組成物の抗真菌効果への増粘剤の影響
本実験において、ナタマイシン、ホスファイトおよび増粘剤MHEC、HPMCおよびCMCを含む抗菌性組成物の抗真菌活性をバナナに関して調べた。
【0068】
増粘剤、抗真菌剤ナタマイシンおよび亜リン酸カリウムを含有する組成物を、実施例2に記載されたように調製した。組成物は、最終濃度0.6%(w/v)の増粘剤、1000μg/mlのナタマイシン、35mMのKCO緩衝液における240mMの亜リン酸カリウムを含んだ。
【0069】
本実験において、オランダ国の地元小売業者からの有機バナナを使用した。バナナを、植物病原性カビ・コレトトリカム・ムーサエ(Colletotrichum musae)(CBS19231)の胞子で処理した。カビ胞子は、周知の方法を用いて得られた。バナナを、Lapere de Bellaire and Duboisによって記載された方法に従って傷つけた(Plant disease 81:1378−1383(1987)を参照されたい)。バナナにコルク穿孔器を用いて3回傷をつけ、その後、1傷当たり、10胞子/mlを含有する5μlのC.ムーサエ(C.musae)胞子懸濁液で汚染した。室温での1時間の培養後に、バナナを新たに調製した抗菌性組成物へ1分間浸け、液を垂らさせ、風乾させた。この実験を9重に行った。バナナを、実施例1に記載されたような条件下に13日間貯蔵し、カビの成長に関して目視で判断した。
【0070】
表6の結果は、ナタマイシンおよびホスファイトおよび増粘剤MHECを含有する抗菌性組成物が、ナタマイシンおよびホスファイトおよび増粘剤HPMCまたはCMCを含む抗菌性組成物よりもカビの生育からバナナを良好に保護することを明らかに実証する。
【0071】
【表6】



【0072】
さらに、バナナはまた、病気に冒された傷周りの茶色浸食の広がり(腐敗)として最良に説明することができる疾患炭疽病に関して目視で判断した。結果は表7に提示され、増粘剤MHECとの組み合わせが最良の結果を与えることを示す。
【0073】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナタマイシンおよびメチルヒドロキシエチルセルロースを含む抗菌性組成物。
【請求項2】
約0.005g/l〜約100g/lのナタマイシンを含むことを特徴とする、請求項1に記載の抗菌性組成物。
【請求項3】
約0.5g/l〜約40g/lのメチルヒドロキシエチルセルロースを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の抗菌性組成物。
【請求項4】
UV吸収剤、固着剤、界面活性剤、乳化剤、洗剤、防腐剤、安定剤、展着剤、酸化防止剤、発泡防止剤、湿潤剤、さらなる抗菌剤、充填剤、スプレー油、分散剤、および流れ添加剤からなる群から選択される少なくとも1つの追加の化合物をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗菌性組成物。
【請求項5】
ホスファイトをさらに含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の抗菌性組成物。
【請求項6】
固体または液体であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の抗菌性組成物。
【請求項7】
有効量の請求項1〜6のいずれか一項に記載の抗菌性組成物で処理される生産物。
【請求項8】
農産物である、請求項7に記載の生産物。
【請求項9】
真菌腐敗を通常起こしやすい、請求項7または8に記載の生産物。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の抗菌性組成物を、前記生産物中へ組み入れる工程および/または前記生産物上へ適用する工程を含む、生産物の処理方法。
【請求項11】
前記生産物中のおよび/または上のカビの成育が防がれる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記生産物の貯蔵寿命が改善される、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
生産物中のおよび/または上のカビの成育を防ぐための、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項14】
前記生産物が農産物であることを特徴とする、請求項10〜12のいずれか一項に記載の方法、または請求項13に記載の使用。

【公表番号】特表2012−517982(P2012−517982A)
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549596(P2011−549596)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【国際出願番号】PCT/EP2010/051892
【国際公開番号】WO2010/094670
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】