説明

ポリエーテルアミドエラストマー組成物

【課題】溶融成形性、成形加工性に優れ、強靭性、耐屈曲疲労性、反撥弾性、透明性、低温柔軟性、消音特性及びゴム的な性質等に優れているとともに、低比重でかつポリウレタン系樹脂との接着性が良好であり、さらに薬液接触時や熱処理後の変色度が小さく、耐変色性に優れたポリエーテルアミドエラストマー組成物を提供すること。
【解決手段】ポリアミド単位をハードセグメントとし、ポリエーテル単位をソフトセグメントとするポリエーテルアミドエラストマーとモノノグリシジルエーテル化合物及び/又はモノグリシジルエステル化合物よりなるポリエーテルアミドエラストマー組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアミド単位をハードセグメントとし、ポリエーテル単位をソフトセグメントとするポリエーテルアミドエラストマーとモノノグリシジルエーテル化合物及び/又はモノグリシジルエステル化合物よりなるポリエーテルアミドエラストマー組成物に関する。さらに詳しくは、ポリエーテルアミドエラストマーが本来有するエラストマーとして性質を維持しつつ、薬液接触時や熱処理後の変色度が小さく、耐変色性に優れたポリエーテルアミドエラストマーに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミドエラストマーは、高い柔軟性、低比重、耐摩擦・磨耗特性、弾性、耐屈曲疲労性、低温特性、成形加工性、耐薬品性に優れていることから、チューブ、ホース、スポーツ用品、シール・パッキン、消音ギア等の成形品として幅広く使用されている。ポリアミドエラストマーとしては、ポリアミドをハードセグメントとし、ポリエーテルをソフトセグメントとするポリエーテルエステルアミドエラストマーやポリエーテルアミドエラストマー等が知られている。
【0003】
ポリエーテルエステルアミドエラストマーにおいて、ソフトセグメントとしては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシブチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコールや、α,ω−ジヒドロキシ炭化水素が用いられるが、これらの中で耐熱性、耐水性、低温特性、弾性回復性、機械的強度等の点から、主として、ポリオキシブチレングリコールが用いられている。しかし、ポリオキシブチレングリコールをソフトセグメントとするポリアミド12系のポリエーテルエステルアミドエラストマーは、弾性回復性、耐屈曲疲労性が必ずしも満足ではない。また、ポリエーテルエステルアミドエラストマーでは、耐水性、耐加水分解性等に問題を抱えており、例えば、高温、高湿潤環境下で使用するときの耐久性等に劣り、用途が限定される場合が多い。
【0004】
これらポリエーテルエステルアミドエラストマーが有する問題を解決するべく、特許文献1及び特許文献2には、ポリアミド単位、ポリプロピレンオキシド(X)とポリブチレンオキシド(Y)が化学的に結合してXYX型を形成するポリエーテル単位、及びジカルボン酸単位からなるポリエーテルアミドエラストマーが開示されている。また、特許文献3には、ポリアミド単位、ポリプロピレンオキシド(X)とポリブチレンオキシド(Y)がXYX型を形成するポリエーテルとポリプロピレンオキシドからなるポリエーテル単位、及びジカルボン酸単位からなるポリエーテルアミドエラストマーが開示されている。
【0005】
ポリアミド単位、ポリプロピレンオキシド(X)とポリブチレンオキシド(Y)が化学的に結合してXYX型を形成するポリエーテル単位、及びジカルボン酸単位からなるポリエーテルアミドエラストマー及びポリアミド単位、ポリプロピレンオキシド(X)とポリブチレンオキシド(Y)がXYX型を形成するポリエーテルとポリプロピレンオキシドからなるポリエーテル単位、及びジカルボン酸単位からなるポリエーテルアミドエラストマーは、弾性回復性、耐屈曲疲労性等の物性が良好であり、耐加水分解性にも優れている。
【0006】
さらに、上記ポリエーテルアミドエラストマーはポリウレタン系樹脂との接着性にも優れており、接合部分に凹凸部分を設ける工程や接着剤の塗布工程等の複雑な製造工程を経ることなく、熱融着により、ポリウレタン系樹脂とを直接的かつ強固に接合できる。そのため、意匠性、装飾性、良好な感触(ソフトな感触等)等に優れた積層体を簡便に得ることができる。同積層体は、靴用途においては、特にスポーツシューズの靴底としての展開が期待されている。
【0007】
しかしながら、スポーツシューズは多くの部位、部材からなっており、たとえポリエーテルアミドエラストマーとポリウレタン系樹脂からなる部位において接着剤塗布が不要であったとしても、その他の部位で使用された有機溶剤をはじめとする接着剤が移行し、このような薬液とポリエーテルアミドエラストマーが接触した場合、ポリエーテルアミドエラストマーは変色しやすいことが判明した。さらに、完成した製品の保管雰囲気は、製造国から消費国までの輸送時間を勘案すると非常に厳しく、製品の意匠性を維持する為、厳しい環境下でも変色度が小さいことが望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記問題を解決し、溶融成形性、成形加工性に優れ、強靭性、耐屈曲疲労性、反撥弾性、透明性、低温柔軟性、消音特性及びゴム的な性質等に優れているとともに、低比重でかつポリウレタン系樹脂との接着性が良好であり、さらに薬液接触時や熱処理後の変色度が小さく、耐変色性に優れたポリエーテルアミドエラストマー組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、ポリアミド単位をハードセグメントとし、ポリエーテル単位をソフトセグメントとするポリエーテルアミドエラストマーとモノノグリシジルエーテル化合物及び/又はモノグリシジルエステル化合物よりなるポリエーテルアミドエラストマー組成物により、上記課題を達成することを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は、下記式(1)で表されるトリブロックポリエーテルジアミン化合物(A1)を含むジアミン化合物(A)と、下記式(2)で表されるアミノカルボン酸化合物(B1)及び下記式(3)で表されるラクタム化合物(B2)から選ばれるポリアミド形成性モノマー(B)と、下記式(4)で表されるジカルボン酸化合物(C)とを含む成分を重合して得られるポリエーテルアミドエラストマー90〜99.9質量%と下記式(5)で表されるモノグリシジルエーテル化合物及び/又は式(6)で表されるモノグリシジルエステル化合物0.1〜10質量%からなるポリエーテルアミドエラストマー組成物に関するものである。
【0011】
【化7】

(ただし、xは1〜20の整数、yは4〜50の整数、及びzは1〜20の整数をそれぞれ表わす。)
【0012】
【化8】

(但し、Rは炭化水素鎖を含む連結基を表す。)
【0013】
【化9】

(但し、Rは炭化水素鎖を含む連結基を表す。)
【0014】
【化10】

(但し、Rは炭化水素鎖を含む連結基を表し、mは0又は1を表す。)
【0015】
【化11】

(式中、Rはアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表す。)
【0016】
【化12】

(式中、Rはアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表す。)
【0017】
本発明のポリエーテルアミドエラストマー組成物の好ましい態様を以下に示す。好ましい態様は複数組み合わせることができる。
[1]前記ジアミン化合物(A)が、炭素数6〜22の分岐型飽和ジアミン、炭素数6〜16の分岐脂環式ジアミン及びノルボルナンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種類のジアミン化合物(A2)をさらに含むポリエーテルアミドエラストマー組成物
[2]ジアミン化合物(A)、ポリアミド形成性モノマー(B)、及びジカルボン酸化合物(C)の総量に対して、ポリアミド形成性モノマー(B)の割合が10〜95質量%の範囲であるポリエーテルアミドエラストマー組成物。
[3]ジアミン化合物(A)、ポリアミド形成性モノマー(B)、及びジカルボン酸化合物(C)の総量に対してポリアミド形成性モノマー(B)の割合が15〜80質量%の範囲であり、ジアミン化合物(A)及びジカルボン酸化合物(C)の合計の割合が20〜85質量%の範囲であるポリエーテルアミドエラストマー組成物。
[4]式(2)のRが、炭素原子数が2〜20のアルキレン基を含むポリエーテルアミドエラストマー組成物。
[5]式(3)のRの炭素原子数が2〜20のアルキレン基を含むポリエーテルアミドエラストマー組成物。
【0018】
[6]式(1)のxが2〜6を、yは6〜12を、そしてzは1〜5をそれぞれ表わすポリエーテルアミドエラストマー組成物。
[7]式(1)のxが2〜10を、yは13〜28を、そしてzは1〜9をそれぞれ表わすポリエーテルアミドエラストマー組成物。
【0019】
[8]ジアミン化合物(A)、ポリアミド形成性モノマー(B)、及びジカルボン酸化合物(C)の総量に対して、ジアミン化合物(A2)の割合が0.5〜10質量%の範囲であるポリエーテルアミドエラストマー組成物。
[9]炭素数6〜22の分岐型飽和ジアミンが2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−ペンタンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン又はこれらの混合物から選ばれるジアミンであるポリエーテルアミドエラストマー組成物。
[10]炭素数6〜16の分岐脂環式ジアミンが5−アミノ−2,2,4−トリメチル−1−シクロペンタンメチルアミン、5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン又はこれらの混合物から選ばれるジアミンであるポリエーテルアミドエラストマー組成物。
[11]ノルボルナンジアミンが2,5−ノルボルナンジメチルアミン、2,6−ノルボルナンジメチルアミン又はこれらの混合物から選ばれるジアミンであるポリエーテルアミドエラストマー組成物。
【0020】
[12]ジカルボン酸化合物(C)が、脂肪族ジカルボン酸又は脂環式ジカルボン酸であるポリエーテルアミドエラストマー組成物。
[13]式(4)のmが1で、Rが炭素原子数1〜20のアルキレン基を表わすポリエーテルアミドエラストマー組成物。
【0021】
[14]上記ポリエーテルアミドエラストマー組成物の層と他の熱可塑性樹脂の層とを積層してなる積層体。
[15]他の熱可塑性樹脂がポリウレタン系樹脂である積層体。
[16]ポリウレタン系樹脂が熱可塑性ポリウレタンである積層体。
[17]熱可塑性ポリウレタンが、ポリエステルポリオール及び/又はラクトン系ポリエステルポリオール及び/又はポリエーテルポリオール及び/又はポリカーボネートポリオール単位を有する積層体。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、溶融成形性、成形加工性に優れ、強靭性、耐屈曲疲労性、反撥弾性、透明性、低温柔軟性、消音特性及びゴム的な性質等に優れているとともに、低比重でかつポリウレタン系樹脂との接着性が良好であり、さらに薬液接触時や熱処理後の変色度が小さく、耐変色性に優れたポリエーテルアミドエラストマー組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明のポリエーテルアミドエラストマー組成物は、トリブロックポリエーテルジアミン化合物(A1)を含むジアミン化合物(A)と、アミノカルボン酸化合物(B1)及びラクタム化合物(B2)から選ばれるポリアミド形成性モノマー(B)と、ジカルボン酸化合物(C)とを含む成分を重合して得られるポリエーテルアミドエラストマーとモノグリシジルエーテル化合物及び/又はモノグリシジルエステル化合物からなる。
【0024】
[ポリエーテルアミドエラストマー]
ポリエーテルアミドエラストマーは、下記式(1)で表されるトリブロックポリエーテルジアミン化合物(A1)を含むジアミン化合物(A)と、ポリアミド形成性モノマー(B)と、ジカルボン酸化合物(C)とを重合して得られる重合体である。
【0025】
【化13】

【0026】
ただし、xは1〜20の整数、yは4〜50の整数、及びzは1〜20の整数をそれぞれ表わす。
ジアミン化合物(A)は、さらに炭素数の6〜22の分岐型飽和ジアミン、炭素数6〜16の分岐脂環式ジアミン及びノルボルナンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種類のジアミン化合物(A2)を含有することが好ましい。
【0027】
ポリエーテルアミドエラストマーの好ましい態様の1つは、式(1)で表されるXYX型トリブロックポリエーテルジアミン(A1)と、好ましくはジアミン(A1)に加えて炭素数6〜22の分岐型飽和ジアミン、炭素数6〜16の分岐脂環式ジアミン、ノルボルナンジアミンから選ばれる少なくとも1種類のジアミン化合物(A2)を含むジアミン化合物(A)、式(2)で表されるアミノカルボン酸化合物(B1)及び式(3)で表されるラクタム化合物(B2)から選ばれるポリアミド形成性モノマー(B)、及び式(42)で表されるジカルボン酸化合物(C)を重合して得られるポリエーテルアミドエラストマーである。
【0028】
ポリエーテルアミドエラストマーにおいて、ジアミン化合物(A)、ポリアミド形成性モノマー(B)、及びジカルボン酸化合物(C)に含まれる末端のカルボン酸又はカルボキシル基と、末端のアミノ基とがほぼ等モルになるような割合とすることが好ましい。
【0029】
特に、ポリアミド形成性モノマー(B)の一方の末端がアミノ基で、他方の末端がカルボン酸又はカルボキシル基の場合、ジアミン化合物(A)のアミノ基とジカルボン酸化合物(C)のカルボキシル基がほぼ等モルになるような割合とすることが好ましい。
【0030】
式(1)で表されるXYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物(A1)としては、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール等の両末端にプロピレンオキシドを付加することによりポリプロピレングリコールとした後、このポリプロピレングリコールの末端にアンモニア等を反応させることによって製造されるポリエーテルジアミン等を用いることができる。
【0031】
XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物(A1)において、x及びzは1〜20、1〜18であることが好ましく、1〜16であることがより好ましく、1〜14であることがさらに好ましく、1〜12であることが特に好ましく、yは4〜50、5〜45であることが好ましく、6〜40であることがより好ましく、7〜35であることがさらに好ましく、8〜30であることが特に好ましい。
【0032】
x及びzが前記の値未満であると、得られるエラストマーの特性が低下する場合があり、yが前記の値未満であると、ゴム弾性が低下する。また、x及びzが前記の値を超える又は、yが前記の値を超えると、ポリアミド成分との相容性が低くなり強靭なエラストマーが得られにくくなる場合がある。
【0033】
XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物(A1)の具体例としては、米国HUNTSMBN社製XTJ−533(式(1)において、xがおよそ12、yがおよそ11、zがおよそ11)、XTJ−536(式(1)において、xがおよそ8.5、yがおよそ17、zがおよそ7.5)、XTJ−542(式(1)において、xがおよそ3、yがおよそ9、zがおよそ2)、そしてXTJ−559(式(1)において、xがおよそ3、yがおよそ14、zがおよそ2)等を用いることができる。
【0034】
また、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物(A1)として、XYX−1(式(1)において、xがおよそ3、yがおよそ14、zがおよそ2)、XYX−2(式(1)において、xがおよそ5、yがおよそ14、zがおよそ2)、そしてXYX−3(式(1)において、xがおよそ3、yがおよそ19、zがおよそ2)等も用いることができる。
【0035】
XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物(A1)の割合は、ジアミン化合物(A)、ポリアミド形成性モノマー(B)及びジカルボン酸化合物(C)の総量に対して、2〜87質量%であることが好ましく、7〜78質量%であることがより好ましい。XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物(A1)の割合が、前記の値未満であると、屈曲疲労性等のエラストマーとしての特性が十分に発現されない場合がある。一方、前記の値を超えると、ポリアミド成分が少ないためにポリアミドに特徴的な優れた力学的な強度が発現されない場合がある。
【0036】
また、好ましい態様で使用されるジアミン化合物(A2)の炭素数6〜22の分岐型飽和ジアミンとしては、例えば、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−ペンタンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0037】
好ましい態様で使用されるジアミン化合物(A2)の炭素数6〜16の分岐脂環式ジアミンとしては、例えば、5−アミノ−2,2,4−トリメチル−1−シクロペンタンメチルアミン、5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン(「イソホロンジアミン」ともいう)等が挙げられる。また、これらのジアミンはシス体及びトランス体のいずれであっても良く、あるいはこれら異性体の混合物であっても良い。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0038】
好ましい態様で使用されるジアミン化合物(A2)のノルボルナンジアミンとしては、例えば、2,5−ノルボナンジメチルアミン、2,6−ノルボナンジメチルアミン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
好ましい態様において、ジアミン化合物(A2)の割合は、ジアミン化合物(A)、ポリアミド形成性モノマー(B)及びジカルボン酸化合物(C)の総量に対して、0.5〜10質量%であることが好ましく、1〜5質量%であることがより好ましい。ジアミン化合物(A2)の割合が、前記の値未満であると、透明性が十分に発現されない場合がある。一方、前記の値を超えると、ポリアミド形成性モノマー由来の結晶性が低下して、十分な力学的強度が発現されない場合がある。
【0039】
また、ジアミン化合物(A)としては、トリブロックポリエーテルジアミン化合物(A1)及びジアミン化合物(A2)以外の他のジアミン化合物(A3)を含んでもよい。
【0040】
他のジアミン化合物(A3)としては、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン等の脂肪族ジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、1,3−/1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ビス(アミノエチル)ピペラジン、トリシクロデカンジメチルアミン等の脂環式ジアミン、m−/p−キシリレンジアミン等の芳香族ジアミン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0041】
次に、ポリアミド形成性モノマー(B)におけるアミノカルボン酸化合物(B1)及びラクタム化合物(B2)について説明する。
アミノカルボン酸化合物(B1)は、下記式(2)で表される化合物である。
【0042】
【化14】

(但し、Rは炭化水素鎖を含む連結基を表す。)
【0043】
ここで、Rは炭化水素鎖を含む連結基を表わし、炭素数2〜20の脂肪族、脂環族若しくは芳香族の炭化水素基又は炭素数2〜20のアルキレン基であることが好ましく、炭素数3〜18の上記炭化水素基又は炭素数3〜18のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数4〜15の上記炭化水素基又は炭素数4〜15のアルキレン基であることがさらに好ましく、炭素数10〜15の上記炭化水素基又は炭素数10〜15アルキレン基であることが特に好ましい。
【0044】
ラクタム化合物(B2)は、下記式(3)で表される化合物である。
【0045】
【化15】

(但し、Rは炭化水素鎖を含む連結基を表す。)
【0046】
ここで、Rは炭化水素鎖を含む連結基を表わし、炭素数3〜20の脂肪族、脂環族若しくは芳香族の炭化水素基又は炭素数3〜20のアルキレン基であることが好ましく、炭素数3〜18の上記炭化水素基又は炭素数3〜18のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数4〜15の上記炭化水素基又は炭素数4〜15のアルキレン基であることがさらに好ましく、炭素数10〜15の上記炭化水素基又は炭素数10〜15のアルキレン基であることが特に好ましい。
【0047】
アミノカルボン酸化合物(B1)としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、10−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等の炭素数5〜20の脂肪族アミノカルボン酸等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0048】
ラクタム化合物(B2)としては、カプロラクタム、エナントラクタム、ウンデカラクタム、ドデカラクタム、2−ピロリドン等の炭素数5〜20の脂肪族ラクタム等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0049】
ポリエーテルアミドエラストマー全成分に対するポリアミド形成性モノマー(B)の割合は、10〜95質量%の範囲であることが好ましく、15〜95質量%の範囲であることがより好ましく、15〜85質量%の範囲であることがさらに好ましく、15〜80質量%の範囲であることが特に好ましい。ポリエーテルアミドエラストマーの全成分に対するポリアミド形成性モノマー(B)の割合が、前記の値未満であると、ポリアミド成分の結晶性が低くなり、強度、弾性率等の機械的物性が低下する場合がある。一方、前記の値を超えると、ゴム弾性や柔軟性等のエラストマーとしての機能、性能が発現しにくくなる場合がある。
【0050】
ジカルボン酸化合物(C)は、下記式(4)で表される化合物である。
【0051】
【化16】


(但し、Rは炭化水素鎖を含む連結基を表し、mは0又は1を表す。)
【0052】
ここで、Rは、炭化水素鎖を含む連結基を表わし、炭素数1〜20の脂肪族、脂環族若しくは芳香族の炭化水素基又は炭素数1〜20のアルキレン基であることが好ましく、炭素数1〜15の上記炭化水素基又は炭素数1〜15のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数2〜12の上記炭化水素基又は炭素数2〜12のアルキレン基であることがさらに好ましく、炭素数4〜10の上記炭化水素基又は炭素数4〜10のアルキレン基であることが特に好ましい。また、mは0又は1を示す。
【0053】
ジカルボン酸化合物(C)としては、脂肪族、脂環式及び芳香族ジカルボン酸から選ばれる少なくとも一種のジカルボン酸又はこれらの誘導体が挙げられる。
【0054】
ジカルボン酸化合物(C)の具体例としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、トリデカンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸、ペンタデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、エイコサンジカルボン酸等の炭素数2〜25の直鎖脂肪族ジカルボン酸、又は、トリグリセリドの分留により得られる不飽和脂肪酸を二量化した炭素数14〜48の二量化脂肪族ジカルボン酸(ダイマー酸)及びこれらの水素添加物(水添ダイマー酸)等の脂肪族ジカルボン酸、1,3−/1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ジシクロヘキサンメタン−4,4’−ジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、及び、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−/2,6−/2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
ダイマー酸及び水添ダイマー酸としては、ユニケマ社製商品名「プリポール1004」、「プリポール1006」、「プリポール1009」、「プリポール1013」等を用いることができる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。(C)ジカルボン酸化合物は、脂肪族ジカルボン酸又は脂環式ジカルボン酸であることが好ましい。
【0055】
[ポリエーテルアミドエラストマーの製造]
ポリエーテルアミドエラストマーの製造方法として、一例を挙げると、XYX型トリブロックポリエーテルジアミンを含むジアミン化合物(A)、ポリアミド形成性モノマー(B)、及びジカルボン酸(C)の3成分を同時に、加圧及び/又は常圧下で溶融重合し、必要に応じてさらに減圧下で溶融重合する工程からなる方法を用いることができる。なお、ポリアミド形成性モノマー(B)とジカルボン酸化合物(C)の2成分を先に重合させ、ついで、XYX型トリブロックポリエーテルジアミンを含むジアミン化合物(A)を重合させる方法も利用できる。
【0056】
ポリエーテルアミドエラストマーの製造に当たり、原料の仕込む方法に特に制限はないが、ジアミン化合物(A)、ポリアミド形成性モノマー(B)及びジカルボン酸化合物(C)の仕込み割合は、全成分に対してポリアミド形成性モノマー(B)が10〜95質量%の範囲であることが好ましく、15〜95質量%の範囲であることがより好ましく、15〜85質量%の範囲であることがさらに好ましく、15〜80質量%の範囲であることが特に好ましく、ジアミン化合物(A)及びジカルボン酸化合物(C)の合計の割合が5〜90質量の範囲であることが好ましく、5〜85質量%の範囲であることがより好ましく、15〜85質量%の範囲であることがさらに好ましく、20〜85質量%の範囲であることが特に好ましい。ジアミン化合物(A)とジカルボン酸化合物(C)については、ジアミン化合物(A)のアミノ基(その他のジアミン化合物を含有するときはそのアミノ基も含む)とジカルボン酸化合物(C)のカルボキシル基がほぼ等モルになるように仕込むことが好ましい。
【0057】
ポリエーテルアミドエラストマーの製造において、重合温度は、150〜300℃であることが好ましく、160〜280℃であることがより好ましく、180〜250℃であることがさらに好ましい。重合温度が前記の値以上であれば、重合反応が良好に進行し、一方、前記の値以下であれば、熱分解が抑えられ、良好な物性を有するポリマーを得ることができる。
【0058】
ポリエーテルアミドエラストマーは、ポリアミド形成性モノマー(B)としてアミノカルボン酸を使用する場合、常圧溶融重合又は常圧溶融重合とそれに続く減圧溶融重合での工程からなる方法で製造することができる。
【0059】
一方、ポリアミド形成性モノマー(B)としてラクタムを用いる場合には、適量の水を共存させ、通常0.1〜5MPaの加圧下での溶融重合とそれに続く常圧溶融重合及び/又は減圧溶融重合からなる方法で製造することができる。
【0060】
ポリエーテルアミドエラストマーは、重合時間が通常0.5〜30時間で製造することができる。重合時間が前記の値未満であると、分子量の上昇が十分でなく、一方、前記の値を超えると熱分解による着色等が起こり、いずれの場合も所望の物性を有するポリエーテルアミドエラストマーが得られない場合がある。
【0061】
ポリエーテルアミドエラストマーの製造は、回分式でも、連続式でも実施することができ、またバッチ式反応釜、一槽式ないし多槽式の連続反応装置、管状連続反応装置等を単独であるいは適宜組み合わせて用いることができる。
【0062】
ポリエーテルアミドエラストマーの相対粘度(ηr)(0.5質量/容量%メタクレゾール溶液、25℃)は1.2〜3.5の範囲内であることが好ましい。相対粘度が前記の値未満であると、機械的特性が劣る場合があり、一方、前記の値を超えると、重合に長時間を要する場合がある。
【0063】
ポリエーテルアミドエラストマーの製造において、必要に応じて触媒として、リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸等を、また触媒と耐熱剤の両方の効果をねらって亜リン酸、次亜リン酸、及びこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機系リン化合物を添加することができる。添加量は、通常、原料成分仕込み量に対して0.05〜0.3質量部である。
【0064】
[モノグリシジル化合物]
本発明では、下記式(5)で表されるモノグリシジルエーテル化合物及び/又は式(6)で表されるモノグリシジルエステル化合物が配合される(以下、モノグリシジル化合物と称する場合がある。)。ポリエーテルアミドエラストマーとの混合により、その全部又は一部が効率的にポリエーテルアミドエラストマーの末端基に反応でき、薬液接触後の黄色度の変化が少ないポリエーテルアミドエラストマー組成物が得られる。なお本発明においては、モノグリシジル化合物が反応して消失し、ポリアミドエラストマーのみであっても、ポリエーテルアミドエラストマー組成物ということにする。
【0065】
【化17】

(式中、Rはアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表す。)
【0066】
【化18】

(式中、Rはアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表す。)
【0067】
上記式(5)中、Rは炭素数1〜30の炭化水素基を表すが、このような炭化水素基としては、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数6〜30のアルキルシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜30のアルキルアリール基、炭素数7〜30のアリールアルキル基等が挙げられる。
【0068】
モノグリシジルエーテル化合物としては、直鎖状、分岐状の飽和若しくは不飽和の脂肪族モノアルコール、脂環式モノアルコール又はフェノール、アルキルフェノールのグリシジルエーテルが好ましい。直鎖状、分岐状の飽和若しくは不飽和の脂肪族モノアルコール、脂環式モノアルコール又はフェノール、アルキルフェノール等のモノアルコールの炭素数は、通常3〜30であり、4〜24であることが好ましく、6〜20であることがより好ましい。
【0069】
モノグリシジルエーテル化合物の具体例としては、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、n−プロピルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、n−ブチルグリシジルエーテル、イソブチルグリシジルエーテル、tert−ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ペンチルグリシジルエーテル、ネオペンチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、ヘプチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテルオクチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、ノニルグリシジルエーテル、2−メチル−オクチルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ウンデシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、トリデシルグリシジルエーテル、ミリスチルグリシジルエーテル、ペンタデシルグリシジルエーテル、パルミチルグリシジルエーテル、ヘプタデカシルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル、ノナデシルグリシジルエーテル、エイコシルグリシジルエーテル、オレイルグリシジルエーテル、ベヘニルグリシジルエーテル、o−/m−/p−フェニルグリシジルエーテル、o−フェニルフェニルグリシジルエーテル、n−ブチルフェニルグリシジルエーテル、i−ブチルフェニルグリシジルエーテル、o/m/p−sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、o−/m−/p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ペンチルフェニルグリシジルエーテル、ヘキシルフェニルグリシジルエーテル、ヘプチルフェニルグリシジルエーテル、オクチルフェニルグリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテル、デシルフェニルグリシジルエーテル、o−/m−/p−トリルグリシジルエーテル、o−/m−/p−ビフェニルグリシジルエーテル、o−/m−/p−tert−クメニルグリシジルエーテル、1−/2−ナフチルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0070】
上記式(6)中、Rは炭素数1〜30の炭化水素基を表すが、このような炭化水素基としては、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数6〜30のアルキルシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜30のアルキルアリール基、炭素数7〜30のアリールアルキル基等が挙げられる。
【0071】
モノグリシジルエステル化合物としては、直鎖状、分岐状の飽和若しくは不飽和の脂肪族カルボン酸、脂環式モノカルボン酸又は芳香族モノカルボン酸のグリシジルエステルが好ましい。直鎖状、分岐状の飽和若しくは不飽和の脂肪族カルボン酸、脂環式モノカルボン酸又は芳香族モノカルボン酸等のモノカルボン酸の炭素数は、通常3〜30であり、4〜24であることが好ましく、6〜20であることがより好ましい。
【0072】
モノグリシジルエステル化合物の具体例としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、酪酸グリシジルエステル、イソ酪酸グリシジルエステル、吉草酸グリシジルエステル、イソ吉草酸グリシジルエステル、t−ブチル酢酸グリシジルエステル、カプロン酸グリシジルエステル、2−エチルヘキサン酸グリシジルエステル、3,5,5−トリメチルヘキサン酸グリシジルエステル、エナント酸グリシジルエステル、カプリル酸グリシジルエステル、ペラルゴン酸グリシジルエステル、カプリン酸グリシジルエステル、ネオデカン酸グリシジルエステル、ウンデシル酸グリシジルエステル、ラウリン酸グリシジルエステル、トリデシル酸グリシジルエステル、ミリスチン酸グリシジルエステル、ペンタデシル酸グリシジルエステル、パルミチン酸グリシジルエステル、ヘプタデシル酸グリシジルエステル、ステアリン酸グリシジルエステル、オレイン酸グリシジルエステル、リノール酸グリシジルエステル、リノレン酸グリシジルエステル、ノナデカン酸グリシジルエステル、エイコサン酸グリシジルエステル、エイコセン酸グリシジルエステル、ベヘン酸グリシジルエステル、ベヘニン酸グリシジルエステル、エルカ酸グリシジルエステル、トリコサン酸グリシジルエステル、ヘキサコサン酸グリシジルエステル、ヘプタコサン酸グリシジルエステル、モンタン酸グリシジルエステル、メリシン酸グリシジルエステル、ドコシン酸グリシジルエステル、12,13−ジケトベヘン酸グリシジルエステル、ベヘノキシル酸グリシジルエステル、テトラデカン−4,7−ジエン酸グリシジルエステル、シクロヘキサンカルボン酸グリシジルエステル、安息香酸グリシジルエステル、o−/m−/p−メチル安息香酸グリシジルエステル、o−/m−/p−エチル安息香酸グリシジルエステル、o−/m−/p−tert−ブチル安息香酸グリシジルエステル、1−/2−ナフタレンカルボン酸グリシジルエステル、9−アントラセンカルボン酸グリシジルエステル等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0073】
モノグリシジル化合物の配合量は、所望するポリエーテルアミドエラストマーの末端基であるカルボキシル基及びアミノ基の封鎖率に応じて変えることができる。ポリエーテルアミドエラストマーの末端基量は当然のことながら、重合度が高いほど少なくなるので、重合度が高いほど少ない添加量で高い末端封鎖率を達成することができる。通常、モノグリシジル化合物の配合量は、配合前のポリエーテルアミドエラストマーの総末端基量の0.1〜10倍モルであり、0.1〜5倍モルであることが好ましく、0.3〜3倍モルであることがより好ましい。質量換算であると、モノグリシジル化合物の配合量は、ポリエーテルアミドエラストマー質量組成物に対して0.1〜10質量%であることが好ましく、0.25〜8質量%であることがより好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。
【0074】
モノグリシジル化合物により、ポリエーテルアミドエラストマーの末端基のカルボキシル基及び/又はアミノ基は封鎖されることになる。ポリエーテルアミドエラストマー組成物中のカルボキシル基及びアミノ基の濃度が50μeq/g以下とすることが好ましく、40μeq/g以下であることがより好ましく、30μeq/g以下があることがさらに好ましい。
モノグリシジル化合物の配合量が前記の値未満であると薬液接触時や熱処理時の黄変度の変化が大きく、一方、前記の値を超えると、未反応モノグリシジル化合物の成形品表面へのブリードにより成形品の外観が劣り、溶融安定性が悪くなる。
【0075】
[ポリエーテルアミドエラストマー組成物の製造]
モノグリシジル化合物のポリエーテルアミドエラストマーに添加する方法としては、ポリエーテルアミドエラストマーの重合工程の任意の段階で添加する重合内添法や予め高濃度のモノグリシジル化合物を、ポリエーテルアミドエラストマーに1軸又は二軸の押出機を使用して練り込み、これを成形時に希釈して使用するいわゆるマスターバッチ法、成形に使用する添加剤濃度でモノグリシジル化合物を予めポリエーテルアミドエラストマーを練り込み使用する練り込み法、成形時に、ポリエーテルアミドエラストマーに対して、所定量のモノグリシジル化合物を添加するドライブレンド法等が挙げられる。
【0076】
重合内添法において、ポリエーテルアミドエラストマーの製造時にモノグリシジル化合物を添加する場合、必要に応じて分子量調節や成形加工時の溶融粘度安定のために、ラウリルアミン、ステアリルアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナンメチレンジアミン、m−キシリレンジアミン等のモノアミン又はジアミン、酢酸、安息香酸、ステアリン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、テレフタル酸等のモノカルボン酸又はジカルボン酸等を添加することができる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの使用量は、最終的に得られるエラストマーの相対粘度、末端基濃度が上記の範囲になるように適宜添加することが好ましい。
【0077】
ポリエーテルアミドエラストマー組成物の製造方法において、ポリエーテルアミドエラストマーの融点以上でモノグリシジル化合物と溶融混練する方法が好ましく、ポリエーテルアミドエラストマー、モノグリシジル化合物及び必要に応じて添加剤をヘンシェルミキサー、リボンブレンダー等でドライブレンドした混合物を単軸又は二軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロール等通常公知の溶融混合機を用い、ポリエーテルアミドエラストマーの融点に応じて170〜300℃で混練する方法、あるいは上記混合物をそのまま押出成形機ホッパーに投入して溶融混練する方法等が簡便で適している。あるいは、モノグリシジル化合物を多量に配合したマスターペレットを調製しておき、添加物を含まないペレットとブレンドして、ポリエーテルアミドエラストマー組成物とし、それを成形機ホッパーに供給する方法も簡便で好ましい。
【0078】
このようにして得られたポリエーテルアミドエラストマー組成物は、その特性が阻害されない範囲で、耐熱剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、スリップ剤、結晶核剤、粘着性付与剤、シール性改良剤、防曇剤、離型剤、可塑剤、顔料、染料、香料、難燃剤、補強材等を添加することができる。
【0079】
本発明のポリエーテルアミドエラストマー組成物は、ポリエーテルアミドエラストマーを除くポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS)等の熱可塑性樹脂との相溶性が良く、これらの熱可塑性樹脂とブレンドすることにより、これらの樹脂の成形性、耐衝撃性、弾性及び柔軟性等を改良することができる。
【0080】
本発明において薬液とは、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルコール、フェノール系溶媒、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、二塩化エチレン、パークロルエチレン、モノクロルエタン、ジクロルエタン、テトラクロルエタン、パークロルエタン、クロルベンゼン等のハロゲン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノン等のケトン系溶媒、尿素溶液、ガソリン、灯油、ディーゼルガソリン、含アルコールガソリン、含酸素ガソリン、含アミンガソリン、サワーガソリン、ひまし油ベースブレーキ液、グリコールエーテル系ブレーキ液、ホウ酸エステル系ブレーキ液、極寒地用ブレーキ液、シリコーン油系ブレーキ液、鉱油系ブレーキ液、パワーステアリングオイル、含硫化水素オイル、エンジン冷却液、ウィンドウオッシャー液、医薬剤、インク、塗料等が挙げられる。本発明のポリエーテルアミドエラストマー組成物は、通常のポリエーテルアミドエラストマーと比較した場合において、これら例示の薬液接触時や熱処理後の変色度が小さいことが特徴である。
【0081】
ポリエーテルアミドエラストマー組成物は、溶融成形性、成形加工性に優れ、強靭性、耐屈曲疲労性、反撥弾性、透明性、低温柔軟性、消音特性及びゴム的な性質等に優れているとともに、低比重でかつポリウレタン系樹脂との接着性が良好であり、さらに薬液接触時や熱処理後の変色度が小さく、耐変色性に優れている。
【0082】
本発明のポリエーテルアミドエラストマー組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形、真空成形、圧空成形等の公知の成形方法により成形物を得ることができる。得られた成形品は、例えば、自動車部品、電気及び電子部品、工業部品、スポーツ用品、メディカル用品等に好ましく使用される。
自動車部品としては、等速ジョイントブーツ、ラックアンドピニオン(R&P)ブーツ等のブーツ類、ボールジョイントシール、安全ベルト部品、バンパーフェイシア、エンブレム、モール等、電気及び電子部品としては、電線被覆材、光ファイバー被覆材、ギア、ラバースイッチ、メンブレンスイッチ、タクトスイッチ、スイッチケース、時計バンド等、工業部品としては、油圧ホース、コイルチューブ、シール材、ギア、カム、軸受、ベアリングパッキング、ガスケット、パッキン、O−リング、コンベアベルト、Vベルト、ロール、防振制振材料、ショックアブソーバー、カップリング、ダイヤフラム、ファスナー、バルブ、ジョイント、グリップ、キャスターローラー、クリップ等、スポーツ用品としては、ゴルフ、野球、サッカー、陸上競技等のスポーツシューズ底、スキー靴球技用ボール等、メディカル用品としては、メディカルチューブ、輸血パック、カテーテル等が挙げられる。また、その他、弾性繊維、弾性シート、チューブ、ホース、パイプ、ロッド、フィルム、シート、ブラシ類、魚網、ネット、複合シート、ホットメルト接着剤、他の樹脂とのアロイ用素材等が挙げられる。
【0083】
[積層体]
また、本発明のポリエーテルアミドエラストマー組成物の層と他の熱可塑性樹脂の層とを積層した積層体とすることができる。
積層体は、本発明のポリエーテルアミドエラストマー組成物からなる層と、他の熱可塑性樹脂からなる層を1層又は2層以上有する。各層の厚さは特に制限されず、各層を構成する重合体の種類、積層体における全体の層数、用途等に応じて調節し得る。
【0084】
また、積層体の層数は2層以上であるが、積層体における全体の層数は特に制限されず、いずれでもよい。積層体製造装置の機構から判断して7層以下であり、2層〜5層であることが好ましい。
さらに、層間の接着性を向上させる目的で、接着層を設けてもよい。また、熱可塑性樹脂以外の任意の基材、例えば、紙、金属系材料、無延伸、一軸又は二軸延伸プラスチックフィルム又はシート、織布、不織布、金属綿状、木質等を積層することも可能である。金属系材料としては、アルミニウム、鉄、銅、ニッケル、金、銀、チタン、モリブデン、マグネシウム、マンガン、鉛、錫、クロム、ベリリウム、タングステン、コバルト等の金属や金属化合物及びこれら2種類以上からなるステンレス鋼等の合金鋼、アルミニウム合金、黄銅、青銅等の剛合金、ニッケル合金等の合金類等が挙げられる。
【0085】
接着層としては、カルボキシル基及びその塩、酸無水物基、エポキシ基を含有するオレフィン系重合体が好ましく用いられる。オレフィン系重合体としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン/プロピレン共重合体(EPR)、エチレン/ブテン共重合体(EBR)、ポリブテン(PB)、エチレン/プロピレン/ジエン共重合体(EPDM)、ポリブタジエン(BR)、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体(NBR)、ポリイソプレン(IR)、ブテン/イソプレン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン/メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン/メタクリル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸プロピル共重合体、エチレン/メタクリル酸ブチル共重合体、エチレン/メタクリル酸イソブチル共重合体、エチレン/アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン/アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン/アクリル酸プロピル共重合体、エチレン/アクリル酸ブチル共重合体、アクリル酸メチル/アクリロニトリル共重合体、メタクリル酸メチル/アクリロニトリル共重合体、アクリル酸プロピル/アクリロニトリル共重合体、メタクリル酸プロピル/アクリロニトリル共重合体、アクリル酸ブチル/アクリロニトリル共重合体、メタアクリル酸ブチル/アクリロニトリル共重合体等が挙げられる。カルボキシル基及びその塩、酸無水物基、エポキシ基としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エンドシス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸及びこれらカルボン酸の金属塩(Na、Zn、K、Ca、Mg)、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水フマル酸、エンドビシクロ−[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、シトラコン酸グリシジル等が挙げられる。
【0086】
他の熱可塑性樹脂としては、その他の熱可塑性樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン/プロピレン共重合体(EPR)、エチレン/ブテン共重合体(EBR)、エチレン/プロピレン/ジエン共重合体(EPDM)、ポリブタジエン(BR)、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体(NBR)、ポリイソプレン(IR)、ブテン/イソプレン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/酢酸ビニル共重合体鹸化物(EVOH)、エチレン/アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン/メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン/アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン/アクリル酸エチル共重合体(EEA)等のポリオレフィン系樹脂及び、カルボキシル基及びその塩、酸無水物基、エポキシ基等の官能基が含有された上記ポリオレフィン系樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、PET/PEI共重合体、ポリアリレート(PAR)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、液晶ポリエステル等のポリエステル系樹脂、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド(PPO)等のポリエーテル系樹脂、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)等のポリサルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリチオエーテルサルホン(PTES)等のポリチオエーテル系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリルエーテルケトン(PAEK)等のポリケトン系樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、メタクリロニトリル/スチレン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS)、メタクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体(MBS)等のポリニトリル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル(PEMA)等のポリメタクリレート系樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/メチルアクリレート共重合体等のポリビニル系樹脂、酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/ビニリデンフルオライド共重合体(THV)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)等のフッ素系樹脂、ポリカーボネート(PC)等のポリカーボネート系樹脂、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド等のポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカプロアミド(ポリアミド6)、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)、ポリドデカンアミド(ポリアミド12)、ポリエチレンアジパミド(ポリアミド26)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ポリアミド69)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンウンデカミド(ポリアミド611)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ポリアミド6T)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ポリアミド6I)、ポリノナメチレンアジパミド(ポリアミド96)、ポリノナメチレンアゼラミド(ポリアミド99)、ポリノナメチレンセバカミド(ポリアミド910)、ポリノナメチレンドデカミド(ポリアミド912)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタラミド(ポリアミドTMHT)、ポリノナメチレンテレフタラミド(ポリアミド9T)、ポリノナメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド9T(H))、ポリノナメチレンナフタラミド(ポリアミド9N)、ポリデカメチレンアジパミド(ポリアミド106)、ポリデカメチレンアゼラミド(ポリアミド109)、ポリデカメチレンセバカミド(ポリアミド1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)、ポリデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド10T)、ポリデカメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド10T(H))、ポリデカメチレンナフタラミド(ポリアミド10N)、ポリウンデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド11T)、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド11T(H))、ポリウンデカメチレンナフタラミド(ポリアミド11N)、ポリドデカメチレンアジパミド(ポリアミド126)、ポリドデカメチレンアゼラミド(ポリアミド129)、ポリドデカメチレンセバカミド(ポリアミド1210)、ポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)、ポリドデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド12T)、ポリドデカメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド12T(H))、ポリドデカメチレンナフタラミド(ポリアミド12N)、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリメタキシリレンスベラミド(ポリアミドMXD8)、ポリメタキシリレンアゼラミド(ポリアミドMXD9)、ポリメタキシリレンセバカミド(ポリアミドMXD10)、ポリメタキシリレンドデカミド(ポリアミドMXD12)、ポリメタキシリレンテレフタラミド(ポリアミドMXDT)、ポリメタキシリレンイソフタラミド(ポリアミドMXDI)、ポリメタキシリレンナフタラミド(ポリアミドMXDN)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ポリアミドPACM12)、ポリビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ポリアミドジメチルPACM12)ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンテレフタラミド(ポリアミドPACMT)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンイソフタラミド(ポリアミドPACMI)、ポリイソホロンアジパミド(ポリアミドIPD6)、ポリイソホロンテレフタラミド(ポリアミドIPDT)やこれらポリアミド原料モノマーを数種用いた共重合体等が挙げられる。
【0087】
本発明のポリエーテルアミドエラストマー組成物は、ポリウレタン系樹脂との接着性に優れており、スポーツシューズソール、スキーブーツ等に使用可能な、ポリウレタン系樹脂とが直接積層された積層体の提供が可能である。
【0088】
[ポリウレタン系樹脂]
ポリウレタン系樹脂とは、ポリオール及びポリイソシアネートを反応させて得られたポリウレタン、ポリオール、ポリイソシアネート及び鎖伸長剤を反応させて得られたポリウレタン等を用いることができ、熱可塑性ポリウレタンであることが好ましい。
【0089】
ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられ、熱可塑性ポリウレタンは、ポリエステルポリオール及び/又はラクトン系ポリエステルポリオール及び/又はポリエーテルポリオール及び/又はポリカーボネートポリオール単位を有することがより好ましい。
【0090】
ポリエステルポリオールとしては、ジカルボン酸とジオールの1種又は2種以上用いることにより得られるポリエステルジオール等が挙げられる。
ジカルボン酸としては、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,3−/1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ジシクロヘキサンメタン−4,4’−ジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−/1,5−/2,6−/2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルプロパン−4,4’−ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、又はこれらの低級アルキルエステルが挙げられ、これらは1種又は2種以上用いることができる。これらの中でもアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸又はこれらの低級アルキルエステルが好ましい。
【0091】
ジオールとしてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサングリコール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、等の脂肪族ジオール、1,2−/1,3−/1,4−シクロペンタンジオール、1,3−/1,4−シクロヘキサンジオール、1,3/1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)メタン、4,4’−ジヒドロキシジシクロヘキシルエタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン等の脂環式ジオール、1,3−/1,4−ジヒドロキシベンゼン、m−/p−キシリレンジオール、1,4−/1,5−/2,6−/2,7−ジヒドロキシナフタレン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の芳香族ジオールを挙げられ、これらは1種又は2種以上用いることができる。これらの中でも、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール等の脂肪族ジオールが好ましい。
【0092】
ラクトン系ポリエステルポリオールとしては、β−プロピオラクトン、ジメチルプロピオラクトン(ピバロラクトン)、β−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−メチル−δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、メチル−ε−カプロラクトン、ジメチル−ε−カプロラクトン、トリメチル−ε−カプロラクトン等のラクトン化合物を、上記のジオール等のヒドロキシ化合物と共に反応させたもの等が挙げられる。
【0093】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、上記のジオールとジアルキルカーボネート、アルキレンカーボネート、ジアリールカーボネート等のカーボネート化合物との反応により得られるポリカーボネートジオールが挙げられる。ポリカーボネートジオールの製造原料である低分子ジオールとしては、ポリエステルジオールの製造原料として先に例示したジオールが挙げられる。また、ジアルキルカーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネート、ジイソブチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート、ジ−n−アミルカーボネート、ジイソアミルカーボネート等が挙げられ、アルキレンカーボネートとしてはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ヘキサメチレンカーボネート、(3−メチル−1,5−ペンチレン)カーボネート等が挙げられ、ジアリールカーボネートとしてはジフェニルカーボネート、フェニル−ナフチルカーボネート、ジナフチルカーボネート、4−メチルジフェニルカーボネート、4−エチルジフェニルカーボネート、4−プロピルジフェニルカーボネート、4,4’−ジメチル−ジフェニルカーボネート、4,4’−ジエチル−ジフェニルカーボネート、4,4’−ジプロピル−ジフェニルカーボネート等が挙げられる。これらは1種又は2種以上用いることができる。
【0094】
ポリエーテルポリオールとしては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシペンタメチレングリコール、ポリオキシヘキサメチレングリコール、ポリオキシオクタメチレングリコール等のポリエーテルジオール、ポリオキシプロピレントリオール等のポリエーテルトリオール等が挙げられる。これらは1種又は2種以上用いることができる。上記のほか、公知の各種のポリウレタン用ポリオールを使用することもできる。
【0095】
ポリウレタンに使用するポリイソシアネートの種類は特に制限されないが、ジイソシアネートが好ましく、従来よりポリウレタン系樹脂の製造に用いられているジイソシアネートのいずれもが使用できる。
ジイソシアネートとしては、1,3−プロパンジイソシアネート、1,4−ブタンジイソシアネート、1,5−ペンタンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、1,8−オクタンジイソシアネート、1,9−ノナンジイソシアネート、2,2,4−/2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、1,3−/1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、1,1−ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン、4,4’−ジイソシアネートジシクロヘキシルエタン、2,2−ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(3−メチル−4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(3−メチル−4−イソシアネートシクロヘキシル)プロパン、イソプロピリデンシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、トリシクロデカンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環式ジイソシアネート、2,4−/2,6−トリレンジイソシアネート、m−/p−キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2−ビス(4−イソシアネートフェニル)プロパン、m−/p−フェニレンジイソシアネート、クロロフェニレン−2,4−ジイソシアネート、1,4−/1,5−/2,6−/2,7−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートが挙げられ、これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でもヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましい。
【0096】
ポリウレタン系樹脂の製造に用いられる鎖伸長剤の種類は特に制限されず、通常のポリウレタン系樹脂の製造に従来から用いられている鎖伸長剤のいずれもが使用できるが、イソシアネート基と反応し得る活性水素原子を分子中に2個以上有する分子量300以下の低分子化合物を用いることが好ましい。
鎖伸長剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,3−/1,4−シクロヘキサンジオール、m−/p−キシリレンジオール、1,3−/1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−/1,5−/2,6−/2,7−ビス(ヒドロキシメチル)ナフタレン、ビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート等のジオール類、ヒドラジン、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2−ブチル−2−エチル−1,5−ペンタンジアミン、イソホロンジアミン、1,3−/1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3−/1,4−シクロヘキサンジメチルアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、イソプロピリデンシクロヘキシル−4,4’−ジアミン、ノルボルネンジアミン、トリシクロデカンジアミン、ピペラジン及びその誘導体、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、m−/p−キシレンジアミン、4,4’−ジフェニルメタンジアミン、アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等のジアミン類、アミノエチルアルコール、アミノプロピルアルコール等のアミノアルコール類等が挙げられ、これらは1種又は2種以上用いることができる。これらの中でも、炭素数2〜10の脂肪族ジオールが好ましく、1,4−ブタンジオールがより好ましい。
【0097】
ポリウレタン系樹脂は、特性を損なわない範囲で、ポリウレタン系樹脂を除く他の熱可塑性ポリマー、柔軟性を有する熱可塑性ポリマー、エラストマー、ゴム、耐熱剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、スリップ剤、結晶核剤、粘着性付与剤、シール性改良剤、防曇剤、離型剤、可塑剤、顔料、染料、香料、難燃剤、補強材、導電性フィラー等を添加することができる。
【0098】
ポリエーテルアミドエラストマー組成物の層には、特性を損なわない範囲でポリエーテルエラストマーを除く他のポリアミド、ポリ塩化ビニル、熱可塑性ポリウレタン、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS)等の熱可塑性樹脂との相容性が良く、これらの熱可塑性樹脂とブレンドして用いることができる。ポリエーテルアミドエラストマー組成物の層のおけるポリエーテルアミドエラストマーの含有率は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることが特に好ましい。
【0099】
積層体の層構成の例としては、ポリエーテルアミドエラストマー組成物よりなる層をX層、ポリウレタン系樹脂よりなる層をY層としたとき、以下の通り例示できるが、これらに限定されるものではない。X層/Y層、X層/Y層/X層、Y層/X層/Y層、X層/Y層/基材層、基材層/X層/Y層、X層/Y層/X層/基材層、Y層/X層/Y層/基材層、Y層/X層/接着層/基材層、X層/Y層/接着層/基材層、基材層/接着層/X層/Y層/X層/接着層/基材層、基材層/接着層/Y層/X層/Y層/接着層/基材層等が挙げられる。基材層は、X層及びY層の熱可塑性樹脂を除く、他の熱可塑性樹脂材料から得られるフィルム、シート、膜及び成形物等、天然・合成繊維、ガラス・セラミックス等を原料とする無機繊維から得られる織物、編物、組み物及び不織布等、ガラス、金属、セラミックス、塗膜、紙等、皮革等を用いることができる。
接着層は、公知の各接着成分、接着性を有するシートやフィルム等を用いることができ、本発明の特性を損なわないものを用いることが好ましい。
【0100】
積層体におけるX層とY層との剥離強さは、9.5kg・cm以上であることが好ましく、10.5kg・cm以上であることがより好ましい。Y層としてポリエーテルポリオール単位を有するポリウレタンの場合、X層とY層との剥離強さは、10.0kg・cm以上であることが好ましく、10.5kg・cm以上であることがより好ましく、10.8kg・cm以上であることがさらに好ましい。Y層としてポリエステルポリオール単位を有するポリウレタンの場合、X層とY層との剥離強さは、9.8kg・cm以上であることが好ましく、10.2kg・cm以上であることがより好ましく、10.5kg・cm以上であることがさらに好ましい。
【0101】
[積層体の製造]
ポリエーテルアミドエラストマー組成物の層とポリウレタン系樹脂の層とを積層してなる積層体は、ポリエーテルアミドエラストマー組成物とポリウレタン系樹脂のうち少なくとも一方を加熱、溶融し、他方と接触させることにより製造することができる。製造は、慣用の成形法、例えば、熱プレス成形、インジェクションプレス成形の熱成形、インサート射出成形、二色射出成形、コアバック射出成形、サンドイッチ射出成形等の射出成形、共押出成形、ラミネート成形等の押出成形、ブロー成形等により、成形過程でポリエーテルアミドエラストマー組成物とポリウレタン系樹脂とを接合させることにより行ってもよい。
【0102】
例えば、インサート射出成形、インジェクションプレス成形等の成形法では、ポリウレタン系樹脂を加熱溶融し、この溶融状態のポリウレタン系樹脂を、ポリエーテルアミドエラストマー組成物で構成された樹脂部材(以下、単にポリエーテルアミドエラストマー組成物部材と称する場合がある)の少なくとも一部と接触させながら成形し、両者を接合させてもよく、ポリエーテルアミドエラストマー組成物を加熱溶融し、この溶融状態のポリエーテルアミドエラストマー組成物を、ポリウレタン系樹脂で構成された樹脂部材(以下、単にポリウレタン系樹脂部材と称する場合がある)の少なくとも一部と接触させながら成形し、両者を接合させてもよい。また、二色射出成形、共押出成形等の成形法では、ポリエーテルアミドエラストマー組成物及びポリウレタン系樹脂をそれぞれ加熱溶融し、溶融状態のポリエーテルアミドエラストマー組成物と溶融状態のポリウレタン系樹脂とを接触させながら成形し、両者を接合させてもよい。少なくともいずれか一方の樹脂を溶融させて、ポリエーテルアミドエラストマー組成物とポリウレタン系樹脂とを接触させ、接合させた後、通常、冷却することにより、ポリエーテルアミドエラストマー組成物部材とポリウレタン系樹脂部材とが強固に接合した複合成形体を得ることができる。また、目的、用途等に応じて、ポリエーテルアミドエラストマー組成物部材とポリウレタン系樹脂部材とが、少なくとも一部で接合してあればよい。
【0103】
なお、樹脂部材を構成する樹脂又は樹脂組成物(特に、ベース樹脂)は、樹脂の融点以上の温度に加熱することにより溶融させることができるが、実質的に結晶化しない樹脂の場合には、樹脂のガラス転移点(Tg)以上の温度に加熱することにより、溶融させることができる。
【0104】
上記のように、ポリエーテルアミドエラストマー組成物とポリウレタン系樹脂系樹脂の何れの樹脂を溶融させるかは特に制限されず、一般に融点又はガラス転移点(Tg)のより低い軟質樹脂(ポリウレタン系樹脂)を加熱し、この軟質樹脂と融点又はTgのより高い硬質樹脂(ポリエーテルアミドエラストマー組成物)で構成された硬質樹脂部材とを接合させてもよく、また、一般に融点又はTgのより高い硬質樹脂(ポリエーテルアミドエラストマー組成物)を加熱し、この硬質樹脂と融点又はTgのより低い軟質樹脂(ポリウレタン系樹脂)で構成された軟質樹脂部材とを接合させてもよい。
【0105】
これらの方法のうち、特に、前者の方法が、ポリエーテルアミドエラストマー組成物とポリウレタン系樹脂の接着性に優れ有利である。単なる物理的な熱融着による既存技術では、先に成形されたポリエーテルアミドエラストマー組成物と、後に成形されるポリウレタン系樹脂を接合させる場合、ポリウレタン系樹脂の成形温度は、先に成形されたポリエーテルアミドエラストマー組成物の融点より低くなる場合が多く熱融着は進行しにくい。また、ポリウレタン系樹脂の成形温度が、ポリエーテルアミドエラストマー組成物の融点より高い場合であっても、ポリエーテルアミドエラストマー組成物の表面を融解させるには熱量が不足する場合が多い。そのため、既存技術では、通常、ポリウレタン系樹脂の成形に先行して、ポリエーテルアミドエラストマー組成物を成形する方法は取り得ない。しかし、このような場合であっても、本発明のポリエーテルアミドエラストマー組成物とポリウレタン系樹脂とをより容易に接合させることができるため、積層体の製造工程の自由度を高めることができ、製造工程を大幅に合理化することもできる。
【0106】
積層体では、通常、硬質樹脂組成物がポリエーテルアミドエラストマー組成物であり、軟質樹脂がポリウレタン系樹脂である場合が多いが、硬質樹脂がポリウレタン系樹脂であり、軟質樹脂組成物がポリエーテルアミドエラストマー組成物であってもよい。また、ポリエーテルアミドエラストマー組成物とポリウレタン系樹脂の硬さが同程度であってもよい。
【0107】
より具体的には、前記熱プレス成形では、硬質樹脂(又は樹脂組成物)及び軟質樹脂(又は樹脂組成物)のうち、少なくとも一方をプレス成形の金型内で溶融させ、双方を接触させて加圧し、接合させて積層体を製造できる。熱プレス成形において、硬質樹脂(又は樹脂組成物)及び/又は軟質樹脂(又は樹脂組成物)は、ペレット状や粉状等の形状で金型に充填してもよく、予め他の成形方法で賦形した成形品として金型に装着してもよい。
【0108】
インサート射出成形法では、硬質樹脂(又は樹脂組成物)及び軟質樹脂(又は樹脂組成物)のうち、いずれか一方を射出成形、押出成形、シート成形、フィルム成形等の成形法により成形し、賦形された成形品を金型内に収納した後、この成形品と金型との間の空隙に他方を射出成形することにより積層体を製造できる。インサート射出成形においては、金型内に収納する成形品を予熱しておくことが好ましい。
【0109】
二色射出成形法では、二台以上の射出成形機を用いて、硬質樹脂(又は樹脂組成物)及び軟質樹脂(又は樹脂組成物)のいずれか一方の成分を金型に射出成形し、金型の回転又は移動により、金型のキャビティを交換し、得られた成形品と金型との間に形成された空隙に他方の成分を射出成形することにより積層体を製造できる。
【0110】
コアバック射出成形法では、硬質樹脂(又は樹脂組成物)及び軟質樹脂(又は樹脂組成物)のうち、いずれか一方の成分を金型に射出成形し、金型のキャビティ容積を拡大させ、得られた成形品と金型との間に形成された空隙に他方の成分を射出成形することにより積層体を製造できる。
【0111】
これらの成形方法のうち、特に、量産性等の点から、インジェクションプレス成形法等の熱プレス成形法や、インサート射出成形法、二色射出成形法、コアバック射出成形法、サンドイッチ射出成形法等の射出成形法が適している。
【0112】
積層体の構造及び形状は、特に限定されないが、意匠性、装飾性、感触性等に適した構造、例えば、軟質樹脂部材の一部又は全部を硬質樹脂部材で被覆又はラミネートした構造であってもよいが、通常、硬質樹脂部材の一部又は全部を軟質樹脂部材で被覆又はラミネートした構造(例えば、硬質樹脂部材と人体(手等)との接触部分を軟質樹脂部材で被覆した構造等)等が好ましい。また、具体的な構造には、例えば、二次元的構造(シート状、板状等)、三次元的構造(例えば、棒状、チューブ状、ケーシング、ハウジング等)等が挙げられる。
【0113】
本発明のポリエーテルアミドエラストマー用いると、複雑な製造工程(複合部分に凹凸部分を設ける工程、接着剤の塗布工程等)を経ることなく、熱融着により、硬質樹脂(又は樹脂組成物)と軟質樹脂(又は樹脂組成物)とを直接的かつ強固に接合できるため、意匠性、装飾性、良好な感触(ソフトな感触、柔軟性等)等の性質に優れるとともに、軽量で、強靭な積層体を簡便に得ることができる。
【0114】
ポリエーテルアミドエラストマー組成物からなる層を含む積層体は、各種工業部品、例えば、インストルメントパネル、センターパネル、センターコンソールボックス、ドアトリム、ピラー、アシストグリップ、ハンドル、エアバッグカバー等の自動車内装部品、モール、バンパー等の自動車外装部品、ラックアンドピニオン(R&P)ブーツ、サスペンションブーツ、等速ジョイントブーツ等の自動車機能部品等の自動車用部品、掃除機バンパー、リモコンスイッチ、オフィスオートメーション(OA)機器のキートップ等の家電用部品、水中眼鏡、水中カメラカバー等の水中使用製品、カバー部品、密閉性、防水性、防音性、防振性等を目的とした各種パッキン付き工業用部品、工業用ゴムローラー類等の工業用部品、カールコード電線被覆、ベルト、ホース、チューブ、消音ギア等の電気・電子用部品、スポーツ用品、運動靴、靴底等の靴用部品、サングラス、メガネ等の意匠性や装飾性を要する部品等に使用できる。
【実施例】
【0115】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[物性測定、成形、評価方法]
物性測定、成形、評価は次のようにして行った。
【0116】
1)相対粘度(ηr)
試薬特級品のm−クレゾールを溶媒として、5g/dmの濃度で、オストワルド粘度計を用いて25℃で測定した。
【0117】
2)末端カルボキシル基濃度
重合物約1gに40mLのベンジルアルコールを加え、窒素ガス雰囲気で加熱溶解し、得られた試料溶液に指示薬としてフェノールフタレインを加えて、N/20水酸化カリウム−エタノール溶液で滴定した。
【0118】
3)末端アミノ基濃度
重合物約1gを40mLのフェノール/メタノール混合溶媒(容量比:9/1)に溶解し、得られた試料溶液に指示薬としてチモールブルーを加えて、N/20塩酸で滴定した。
【0119】
4)機械的物性
以下に示す(1)〜(4)の測定は、下記の試験片を射出成形により成形し、これを用いて行った。
(1) 引張試験(引張降伏点強さ及び引張伸び):ASTM D638に記載のTypeIの試験片をASTM D638に準拠して測定した。
(2) 曲げ試験(曲げ強さ及び曲げ弾性率):試験片寸法127mm×12.7mm×6.5mmの試験片を用いてASTM D790に準拠し、23℃で測定した。
(3) 衝撃強度(アイゾットノッチ付):試験片寸法62mm×12.7mm×12.7mmの試験片を用いてASTM D256に準拠し、23℃及び−40℃で測定した。
【0120】
5)耐屈曲疲労性
射出成形により成形した厚さ3mmのシートを25mm×150mmの短冊状に切り出し、これを試験片とし、ASTM D813を参考に、つかみ間最大距離75mm、最小距離19mm、屈曲回数300回/分の条件でデマチャ法による屈曲試験を行った。試験片中央にき裂が発生する最低の屈曲回数を測定し、耐屈曲疲労性を評価した。試験は3回行い、その平均値を算出した。
【0121】
6)ヘイズ(曇り度)
射出成形により成形した25mm×60mm×厚さ2mmのシートを用いて、JIS K7105に準拠し、スガ試験機(株)製直読式ヘイズコンピュータHGM−2DPを用いて測定した。
【0122】
7)剥離強さ
ポリウレタン系樹脂として、ポリエステルポリオール系ポリウレタン(BASFジャパン社製、エラストランET695、硬度ショアA95)を成形温度210℃、金型温度40℃の条件で射出成形法により寸法:80mm×80mm×厚さ1mmに成形した。金型内の成形物の下方を寸法:80mm×25mm×厚さ15μmのアルミ箔で覆い、これに対してポリエーテルアミドエラストマー組成物を成形温度240℃、金型温度40℃の条件で射出成形し、ポリエーテルアミドエラストマー組成物とポリウレタン系樹脂とが直接積層する積層体を作成した。この積層体から剥離強さ測定用試料を作成するために、アルミ箔の長手方向に垂直にシートを10mm幅でカットし、80mm×10mm×厚さ2mmの短冊を得た。この短冊からアルミ箔をはがし、剥離強さ測定用試験片とした。同試験片にて、オリエンテック社製テンシロン2500を用い、引張速度20mm/分にて剥離試験を実施した。測定は5回行い、その平均値を算出した。
【0123】
8)薬液接触時の耐変色性
射出成形により成形した25mm×60mm×厚さ2mmのシートにて、スガ試験機(株)製カラーコンピューターSM−5−IS−2Bを使用して、黄色度YIを測定した。同シートをアセトン5mlとともに180mlのガラス瓶に入れ密封した後、70℃の恒温槽内にセットし、168時間保持した。その後、サンプルを取り出し、前記と同様の方法にて、アセトン接触後サンプルの黄色度YIを測定し、初期黄色度YIとの差から黄色度の変化値(ΔYI)を求め、薬液接触時の耐変色性を評価した。ΔYIが3.0以下の場合、薬液接触時の耐変色性に優れていると判断した。
【0124】
9)熱処理後の耐変色性
射出成形により成形した25mm×60mm×厚さ2mmのシートにて、スガ試験機(株)製カラーコンピューターSM−5−IS−2Bを使用して、黄色度YIを測定した。100℃のオーブンにセットし、168時間保持した。その後、サンプルを取り出し、前記と同様の方法にて、熱処理後サンプルの黄色度YIを測定し、初期黄色度YIとの差から黄色度の変化値(ΔYI)を求め、熱処理後の耐変色性を評価した。ΔYIが10.0以下の場合、熱処理後の耐変色性に優れていると判断した。
【0125】
[使用した原材料]
(A)ポリアミド
(A−1)ポリエーテルアミドエラストマーの製造
攪拌機、温度計、トルクメーター、圧力計、窒素ガス導入口、圧力調整装置及びポリマー取り出し口を備えた70リットルの圧力容器に12−アミノドデカン酸10.856kg、アジピン酸1.386kg、XYX型のトリブロックポリエーテルジアミン(ハンツマン社製 XTJ−542、アミン価:1.94meq/g)7.708kg、イソホロンジアミン(5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン)(デグサ社製 VESTAMIN IPD)0.400kg、次亜リン酸ナトリウム1水和物6g及び耐熱剤(吉富製薬(株)製 トミノックス917)60gを仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを186リットル/時間で供給しながら、容器内の圧力を0.05MPaに調整しながら3.5時間かけて室温から230℃まで昇温し、さらに容器内の圧力を0.05MPaに調整しながら230℃で5.5時間重合を行い重合体を得た。重合終了後、攪拌を停止し、ポリマー取り出し口から溶融状態の無色透明の重合体を紐状に抜き出し、水冷した後、ペレタイズしてペレットを得た。当該ポリマーの相対粘度は1.94、末端カルボキシル基濃度36μeq/g、末端アミノ基濃度33μeq/gであった(以下、このポリエーテルアミドエラストマーを(A−1)という)。
【0126】
(A−2)ポリエーテルアミドエラストマーの製造
(A−1)ポリエーテルアミドエラストマーの製造の製造において、12−アミノドデカン酸11.200kg、アジピン酸1.093kg、XYX型のトリブロックポリエーテルジアミン(ハンツマン製XTJ−542、アミン価:1.94meq/g)7.707kgに変え、イソホロンジアミンを使用しない以外は、(A−1)ポリエーテルアミドエラストマーの製造と同様の方法にて、相対粘度が1.91、末端カルボキシル基濃度35μeq/g、末端アミノ基濃度38μeq/gのポリエーテルアミドエラストマーを得た(以下、このポリエーテルアミドエラストマーを(A−2)という)。
【0127】
(B)モノグリシジル化合物
(B−1)2−エチルヘキシルグリシジルエーテル(日本油脂(株)製、エピオールEH)
(B−2)ステアリルグリシジルエーテル(日本油脂(株)製、エピオールSK)
(B−3)グリシジルメタクリレート(日本油脂(株)製、ブレンマーG)
【0128】
(C)酸無水物
(C−1)無水フタル酸(川崎化成(株)製)
【0129】
実施例1
(A)ポリエーテルアミドエラストマー(A−1)99.4質量%、(B)モノグリシジル化合物(B−1)0.6質量%、を配合したものを二軸押出機((株)日本製鋼所製 TEX30型)に供給し、押出機設定温度220℃、スクリュー回転数100rpmの条件で、溶融混練して、造粒、乾燥し、ポリエーテルアミドエラストマー組成物を得た。該組成物を使用して上記評価を行った。その結果を表1に示す。
【0130】
実施例2
実施例1において、(B)モノグリシジル化合物(B−1)の添加量を表1に示す割合に変更した以外は、実施例1と同様の方法にてポリエーテルアミドエラストマー組成物を得た。該組成物を使用して上記評価を行った結果を表1に示す。
【0131】
実施例3
実施例1において、(B)モノグリシジル化合物(B−1)を(B−2)とし、表1に示す割合に変更した以外は、実施例1と同様の方法にてポリエーテルアミドエラストマー組成物を得た。該組成物を使用して上記評価を行った結果を表1に示す。
【0132】
実施例4
実施例1において、(B)モノグリシジル化合物(B−1)を(B−3)とし、表1に示す割合に変更した以外は、実施例1と同様の方法にてポリエーテルアミドエラストマー組成物を得た。該組成物を使用して上記評価を行った結果を表1に示す。
【0133】
実施例5
実施例1において、(A)ポリエーテルアミドエラストマー(A−1)を(A−2)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にてポリエーテルアミドエラストマー組成物を得た。該組成物を使用して上記評価を行った結果を表1に示す。
【0134】
比較例1
実施例1において、(B)モノグリシジル化合物(B−1)を使用しない以外は、実施例1と同様の方法にてポリエーテルアミドエラストマーを得た。該樹脂を使用して上記評価を行った結果を表1に示す。
【0135】
比較例2
実施例5において、(B)モノグリシジル化合物(B−1)を使用しない以外は、実施例5と同様の方法にてポリエーテルアミドエラストマーを得た。該樹脂を使用して上記評価を行った結果を表1に示す。
【0136】
比較例3〜4
実施例1において、(B)モノグリシジル化合物(B−1)の添加量を表1に示す割合に変更した以外は、実施例1と同様の方法にてポリエーテルアミドエラストマー組成物を得た。該組成物を使用して上記評価を行った結果を表1に示す。比較例4のポリアミドエラストマー組成物は溶融安定性が悪く、また、未反応物のブリードのため評価用試験片が得られなかった。
【0137】
比較例5
実施例1において、(B)モノグリシジル化合物(B−1)を(C)酸無水物(C−1)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にてポリエーテルアミドエラストマー組成物を得た。該組成物を使用して上記評価を行った結果を表1に示す。
【0138】
【表1】

【0139】
表1から明らかなように、(B)モノグリシジル化合物を使用しない比較例1、2は、薬液接触時や熱処理後の変色度が大きく、耐変色性に劣り、(B)モノグリシジル化合物の配合量が本発明の規定範囲未満である比較例3は、薬液接触時や熱処理後の変色度が大きく、耐変色性に劣っていた。また、(B)モノグリシジル化合物の配合量が本発明の規定範囲を超える比較例4は、溶融安定性に劣り、添加剤のブリードのため評価が不可能であった。本発明の規定以外の(C)酸無水物を使用した比較例5は、初期の色調に劣っていた。
一方、実施例1から5の本発明に規定されているポリエーテルアミドエラストマー組成物は、強靭性、耐屈曲疲労性、反撥弾性、透明性、低温柔軟性等のゴム的な性質に優れているとともに、ポリウレタン系樹脂との接着性が良好であり、さらに薬液接触時や熱処理後の変色度が小さく、耐変色性に優れていることは明らかである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0140】
【特許文献1】特開2004−161964号公報
【特許文献2】特開2004−286341号公報
【特許文献3】特開2004−346274号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表されるトリブロックポリエーテルジアミン化合物(A1)を含むジアミン化合物(A)と、下記式(2)で表されるアミノカルボン酸化合物(B1)及び下記式(3)で表されるラクタム化合物(B2)から選ばれるポリアミド形成性モノマー(B)と、下記式(4)で表されるジカルボン酸化合物(C)とを含む成分を重合して得られるポリエーテルアミドエラストマー90〜99.9質量%と下記式(5)で表されるモノグリシジルエーテル化合物及び/又は式(6)で表されるモノグリシジルエステル化合物0.1〜10質量%からなることを特徴とするポリエーテルアミドエラストマー組成物。
【化1】

(ただし、xは1〜20の整数、yは4〜50の整数、及びzは1〜20の整数をそれぞれ表わす。)
【化2】

(但し、Rは炭化水素鎖を含む連結基を表す。)
【化3】

(但し、Rは炭化水素鎖を含む連結基を表す。)
【化4】

(但し、Rは炭化水素鎖を含む連結基を表し、mは0又は1を表す。)
【化5】

(式中、Rはアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表す。)
【化6】

(式中、Rはアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表す。)
【請求項2】
前記ジアミン化合物(A)が、炭素数6〜22の分岐型飽和ジアミン、炭素数6〜16の分岐脂環式ジアミン及びノルボルナンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種類のジアミン化合物(A2)をさらに含むことを特徴とする請求項1記載のポリエーテルアミドエラストマー組成物。
【請求項3】
前記ポリエーテルアミドエラストマーにおいて、(A)ジアミン化合物、(B)ポリアミド形成性モノマー、及び(C)ジカルボン酸化合物の総量に対して、(B)ポリアミド形成性モノマーの割合が10〜95質量%の範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリエーテルアミドエラストマー組成物。
【請求項4】
前記ポリエーテルアミドエラストマーにおいて、(A)ジアミン化合物、(B)ポリアミド形成性モノマー、及び(C)ジカルボン酸化合物の総量に対して、(B)ポリアミド形成性モノマーの割合が15〜80質量%の範囲であり、(A)ジアミン化合物及び(C)ジカルボン酸化合物の合計の割合が20〜85質量%の範囲であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のポリエーテルアミドエラストマー組成物。
【請求項5】
式(2)において、Rが、炭素原子数が2〜20のアルキレン基を含む請求項1から4のいずれかに記載のポリエーテルアミドエラストマー組成物。
【請求項6】
式(3)のRが、炭素原子数が2〜20のアルキレン基を含む請求項1から4のいずれかに記載のポリエーテルアミドエラストマー組成物。
【請求項7】
式(1)のxが2〜6を、yは6〜12を、そしてzは1〜5をそれぞれ表わす請求項1から6のいずれかに記載のポリエーテルアミドエラストマー組成物。
【請求項8】
式(1)のxが2〜10を、yは13〜28を、そしてzは1〜9をそれぞれ表わす請求項1から6のいずれかに記載のポリエーテルアミドエラストマー組成物。
【請求項9】
(A)ジアミン化合物、(B)ポリアミド形成性モノマー、及び(C)ジカルボン酸化合物の総量に対して、ジアミン化合物(A2)の割合が0.5〜10質量%の範囲である請求項2から8のいずれかに記載のポリエーテルアミドエラストマー組成物。
【請求項10】
ジアミン化合物(A2)の炭素数6〜22の分岐型飽和ジアミンが、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−ペンタンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン又はこれらの混合物から選ばれるジアミンであることを特徴とする請求項2から9のいずれかに記載のポリエーテルアミドエラストマー組成物。
【請求項11】
ジアミン化合物(A2)の炭素数6〜16の分岐脂環式ジアミンが、5−アミノ−2,2,4−トリメチル−1−シクロペンタンメチルアミン、5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン又はこれらの混合物から選ばれるジアミンであることを特徴とする請求項2から9のいずれかに記載のポリエーテルアミドエラストマー組成物。
【請求項12】
ジアミン化合物(A2)のノルボルナンジアミンが、2,5−ノルボルナンジメチルアミン、2,6−ノルボルナンジメチルアミン又はこれらの混合物から選ばれるジアミンであることを特徴とする請求項2から9のいずれかに記載のポリエーテルアミドエラストマー組成物。
【請求項13】
(C)ジカルボン酸化合物が、脂肪族ジカルボン酸又は脂環式ジカルボン酸である請求項1から12のいずれかに記載のポリエーテルアミドエラストマー組成物。
【請求項14】
式(4)のmが1で、Rが炭素原子数1〜20のアルキレン基を表わす請求項1〜12のいずれかに記載のポリエーテルアミドエラストマー。
【請求項15】
請求項1から14に記載のポリエーテルアミドエラストマー組成物の層と他の熱可塑性樹脂の層とを積層してなる積層体。
【請求項16】
前記、他の熱可塑性樹脂がポリウレタン系樹脂である請求項15に記載の積層体。
【請求項17】
ポリウレタン系樹脂が熱可塑性ポリウレタンである請求項15に記載の積層体。
【請求項18】
熱可塑性ポリウレタンが、ポリエステルポリオール及び/又はラクトン系ポリエステルポリオール及び/又はポリエーテルポリオール及び/又はポリカーボネートポリオール単位を有する請求項17に記載の積層体。

【公開番号】特開2010−222396(P2010−222396A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−68199(P2009−68199)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】