説明

ポリエーテルエステルブロック共重合体、およびそれよりなる接着剤、及び積層体

【課題】フレキシブルフラットケーブルに適した接着剤用の、金属への優れた密着性と優れた耐熱性と耐湿熱性を兼ね備えたポリエーテルエステルブロック共重合体を提供する。
【解決手段】ポリエーテルセグメント(a)と非晶性ポリエステルセグメント(b)からなるポリエーテルエステルブロック共重合体であって、(I)ポリエーテルセグメント(a)は、数平均分子量200以上であって、ポリアルキレングリコールからなり、(II)非晶性ポリエステルセグメント(b)がテレフタル酸を含有するジカルボン酸単位、および側鎖に炭素数1以上のアルキル基を有する多価アルコールを含有するアルコール単位からなり、非晶性ポリエステルセグメント(b)をなすモノマー成分を単独で重合して得られる非晶性ポリエステル樹脂(B)が、数平均分子量15000〜30000とした場合に、ガラス転移温度が40℃以上であるポリエーテルエステルブロック共重合体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銅、または錫で表面がメッキされた銅(錫鍍金銅)等の金属への優れた密着性と優れた耐熱性と耐湿熱性を有するポリエーテルエステルブロック共重合体に関するものである。更に詳しくは、電化製品、自動車関連の配線材用接着剤として有用であり、優れた耐熱性と耐湿熱性を有するポリエーテルエステルブロック共重合体、それよりなる配線材用接着剤、及び積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートに代表されるポリエステル樹脂は、その優れた機械的強度、熱安定性、疎水性、耐薬品性を活かし、繊維、フィル
ム、成形材料等として各種分野で広く利用されている。
【0003】
また、その構成成分であるジカルボン酸及びグリコールの種類を変更することにより
種々の特徴を有する共重合ポリエステル樹脂を得ることが可能であり、接着剤、コーティング剤、インキバインダー、塗料等に広く使用されている。このような共重合ポリエステル樹脂は一般的にポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル樹脂等のプラスチック類、あるいはアルミニウム、銅等の金属箔に優れた密着性を有している。
【0004】
これらの特性を利用して、例えば、デジタル家電あるいは自動車用の配線材として広く利用されるフレキシブルフラットケーブル等にポリエステル系接着剤が広く用いられている。電気絶縁性、難燃性、柔軟性(屈曲部での耐剥離性)などの特性を有する。
【0005】
フレキシブルフラットケーブルとしては、インシュレーションフィルムと接着剤層の2層なるフィルムの2枚を互いに接着剤側同士を向け、間に導線を挟みこんで貼り合わせた構造であり、インシュレーションフィルムとしてはポリエチレンテレフタレートを用いたものが多く用いられ、その接着剤層には接着性と柔軟性を兼ね備えたポリエステル樹脂、それよりなる接着剤が好適に用いられる。
【0006】
接着性と柔軟性を付与させるには、一般にポリエステル樹脂は主としてガラス転移温度が室温より低い素材を使用することで柔軟性と接着性を付与できるが、室温より高い温度状況下での使用条件下では、接着剤の塗布面同士がタック性を帯びてブロッキングしたり、塗布面の流動が発生し絶縁性が低下した場合には、絶縁破壊や導体ショートを起こす危険があった。特に近年、家電製品などの薄型化、小型化が進行すると、液晶ではバックライトの放熱、CPUからの放熱などの様々な熱源からの影響が無視できなくなり、熱に対する耐性が必須用件となりつつある。また、高温高湿下でも接着界面が剥離せず接着性を維持できる素材が求められている。
【0007】
このような問題に対しては、特許文献1では、二価アルコール成分として特定のアルキレングリコールを共重合ポリエステル樹脂が、接着性と耐湿熱性に優れるとしているが、ブロッキングの懸念があった。これに対しては、ポリエステル樹脂に対し硬化剤を配合し、架橋構造とすることで、高温高湿下でも接着界面の剥離が起きないようにする方法が行われている。しかし、硬化剤を使用する場合は、塗布するより前から徐々に硬化が進んでいくため、長期保存ができないこと、あるいは、常温でも反応が進むため低温保管が必要になる場合もあり、ハンドリングに難があった。
【0008】
一方で、オレフィン系樹脂などの樹脂を用いて改質を行うと、耐湿熱性は向上する
が、接着性や耐熱性は低くなる傾向があり、満足できるものではなかった。さらに、ホットメルトポリエステル樹脂を押し出し成型で直接基材フィルムに塗布し、インシュレーションフィルムを形成する方法が提案されているが、ホットメルトアプリケーターが必要であり、加工費が一般的には高価になりがちであるし、湿熱下で結晶化が進行し、界面からの剥離を起こす場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−200041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、UL60℃定格以上の耐熱型のポリエーテルエステル系のフレキシブルフラットケーブルに適した接着剤に関して、銅、または錫で表面がメッキされた銅(錫鍍金銅)等の金属への優れた密着性と優れた耐熱性と耐湿熱性を兼ね備えたポリエーテルエステルブロック共重合体、それよりなる配線材用接着剤、及び積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ポリエーテルセグメントと非晶性ポリエステルセグメントからなる、ガラス転移温度40℃未満のポリエーテルエステルブロック共重合体において、非晶性ポリエステルセグメントをなすモノマー成分を単独で重合して得られる非晶性ポリエステル樹脂が、特定の数平均分子量、ガラス転移温度を有するポリエーテルエステルブロック共重合体とすることで、上記目的を達成できることを見出し、本発明に到達した。
【0012】
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
【0013】
(1) ポリエーテルセグメント(a)と非晶性ポリエステルセグメント(b)からなり、ガラス転移温度40℃未満で汎用有機溶剤に可溶なポリエーテルエステルブロック共重合体であって、
(I) ポリエーテルセグメント(a)は、数平均分子量200以上であって、ポリアルキレングリコールからなり、
(II) 非晶性ポリエステルセグメント(b)がテレフタル酸を含有するジカルボン酸単位、および側鎖に炭素数1以上のアルキル基を有する多価アルコールを含有するアルコール単位からなり、
非晶性ポリエステルセグメント(b)をなすモノマー成分を単独で重合して得られる非晶性ポリエステル樹脂(B)が、数平均分子量15000〜30000とした場合に、ガラス転移温度が40℃以上であることを特徴とするポリエーテルエステルブロック共重合体。
(2) (1)のポリエーテルエステルブロック共重合体のガラス転移温度と非晶性ポリエステル樹脂(B)のガラス転移温度の差が30℃以上であることを特徴とするポリエーテルエステルブロック共重合体。
(3) (1)、(2)のポリエーテルエステルブロック共重合体の主分子鎖に結合する炭素数1以上の炭化水素が、濃度1000当量/106g以上で結合していることを特徴とするポリエーテルエステルブロック共重合体。
(4) (1)〜(3)のポリエーテルエステルブロック共重合体の製造方法。
(5) (1)〜(3)のポリエーテルエステルブロック共重合体を汎用有機溶剤に溶解してなる接着剤の製造方法。
(6) (5)の接着剤の製造方法を用いて得られる接着剤。
(7) (6)の接着剤を塗布してなる積層体。
(8) (7)の積層体よりなるフレキシブルフラットケーブル。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ポリエーテルセグメントと非晶性ポリエステルセグメントからなる、
ガラス転移温度40℃未満のポリエーテルエステルブロック共重合体において、非晶性ポリエステルセグメントをなすモノマー成分を単独で重合して得られる非晶性ポリエステル樹脂が、特定の数平均分子量、ガラス転移温度を有するポリエーテルエステルブロック共重合体としているため、接着剤とした時に優れた接着性を有し、優れた耐熱性と耐湿熱性を有した接着剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体は、ポリエーテルセグメント(a)と非晶性ポリエステルセグメント(b)からなり、ガラス転移温度40℃未満で汎用有機溶剤に可溶なポリエーテルエステルブロック共重合体であって、
(I) ポリエーテルセグメント(a)は、数平均分子量200以上であって、ポリアルキレングリコールからなり、
(II) 非晶性ポリエステルセグメント(b)がテレフタル酸を含有するジカルボン酸単位、および側鎖に炭素数1以上のアルキル基を有する多価アルコールを含有するアルコール単位からなり、
非晶性ポリエステルセグメント(b)をなすモノマー成分を単独で重合して得られる非晶性ポリエステル樹脂(B)が、数平均分子量15000〜30000であり、ガラス転移温度が40℃以上であることを特徴とするポリエーテルエステルブロック共重合体である。
【0016】
本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体のポリエーテルセグメント(a)として
用いることのできるポリエーテル成分としては、数平均分子量200以上であって、ポリアルキレングリコールからなることを必要とする。そのようなポリアルキレングリコール
としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。ポリアルキレングリコールの数平均分子量は200以上である必要があり、500〜10000が好ましく、800〜5000がさらに好ましく、1000〜2500が最も好ましい。数平均分子量が200未満の場合、耐熱性が低下し
好ましくない。
【0017】
本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体の非晶性ポリエステルセグメント
(b)として用いることのできる非晶性ポリエステル成分としては、ジカルボン酸単位として、耐熱性向上の観点からテレフタル酸を含有することが必要である。その含有量としては、ジカルボン酸100モル%に対し、20モル%以上が好ましく、40モル%以上がより好ましく、60モル%以上がさらに好ましく、70モル%以上が最も好ましい。
【0018】
テレフタル酸以外のジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸を用
いることができる。これらを組み合わせて使用してもよい。また中でも、耐熱性維持の観点から、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸を用いるこ
とが好ましく、その場合の配合は、0.1〜80モル%が好ましく、1〜60モル%がより好ましく、10〜40モル%がさらに好ましい。
【0019】
また、非晶性ポリエステルセグメント(b)はアルコール単位として、側鎖に炭素数1以上のアルキル基を有する脂肪族多価アルコールを含有することが必要である。その含有量としては、2モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましく、20モル%以上
がさらに好ましく、30モル%以上が最も好ましい。側鎖に炭素数1以上のアルキル基
を有する脂肪族多価アルコールが含有しないと接着力が低下するため好ましくない。
【0020】
側鎖に炭素数1以上のアルキル基を有する多価アルコールとしては、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2’-ジエチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-エチル-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2-プロピレングリコール、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加体、ビスフェノールのプロピレンオキシド付加体があげられる。これらを組み合わせ使用しても差し支えない。また、中でもネオペンチルグリコール、1,2-プロピレングリコール、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加体、ビスフェノールのプロピレンオキシド付加体がガラス転移温度を上昇させる効果が高く、耐熱性を向上させる観点から好ましい。
【0021】
その外のアルコールとしては、エチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロパンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,5-ペンタンジオール、トリシクロデカンジメタノールなどがあげられる。
【0022】
また、本発明において、非晶性ポリエステルセグメント(b)をなすモノマー成分を単
独で重合して得られる非晶性ポリエステル樹脂(B)が、数平均分子量15000〜30000とした場合に、ガラス転移温度が40℃以上である必要がある。ガラス転移温度が40℃未満であると、ポリエステルの軟化点が低下し高温領域での接着強度の低下、ひいてはフレキシブルフラットケーブルとした場合の耐熱性が低下して好ましくない。ここで、モデル的に数平均分子量を15000〜30000に高重合度化する理由は、数平均分子量が低い場合、ガラス転移温度が水酸基末端基の影響を受けて低下してしまい、正しく評価できなくなってしまうためである。
【0023】
本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体は、上記、ポリエーテルセグメント(a)と非晶性ポリエステルセグメント(b)からなり、ガラス転移温度40℃未満で汎用有機溶剤に可溶なポリエーテルエステルブロック共重合体である必要がある。
【0024】
詳細には、本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体は、ガラス転移温度が40℃未満であることが必要であり、30℃未満が好ましく、20℃未満がさらに好ましい。ガラス転移温度が40℃を超えると、接着性が低下し、また、フレキシブルフラットケーブルにした場合の柔軟性が低下し、曲げた時にデラミネーションを起こすことがあり好ましくない。ガラス転移温度の下限は特に規定はないが、-40℃以上が好ましく、-30℃以上がよ
り好ましく、-20℃以上がさらに好ましい。-40℃未満では粘着性が強く取り扱いにくい。
【0025】
さらに、本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体は汎用有機溶剤に溶解することが必要である。汎用有機溶剤に対する固形分の濃度としては、10質量%以上の濃度で溶解することが好ましく、20質量%以上の濃度で溶解することがさらに好ましく、30質量%以上の濃度で溶解することが最も好ましい。
【0026】
ここでいう汎用有機溶剤とは非ハロゲン系溶剤であり、以下に例示したものに限定するものではないが、たとえば、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、ソルベッソなど
の芳香族系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど
のケトン系溶剤、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソ
ブチルアルコールなどのアルコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸ノルマルブチルなどの
エステル系溶剤、セロソルブアセテート、メトキシアセテートなどのアセテート系溶剤、
またはそれら溶剤を2種類以上の混合物などである。VOCの観点から沸点の低いメチ
ルエチルケトン、酢酸エチルが好ましい。
【0027】
また、本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体の軟化点は30℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましく、50℃以上がさらに好ましく、60℃以上がもっとも好ましい。軟化点が30℃未満では、耐熱性が低下するため好ましくない。耐熱性が低下すると、フレキシブルフラットケーブルが高温化に曝されるような環境下で、樹脂が動き出し、導体が剥離し絶縁破壊を起す場合があり好ましくない。
【0028】
本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体は、非晶性ポリエステルセグメント
(b)の部位のモノマー構成を選ぶことで、潜在的にガラス転移温度を高くし、ポリエー
テルエステルブロック共重合体の軟化点の維持ないし向上に寄与する。また、ポリエーテルエステルブロック共重合体のガラス転移温度や軟化点をある程度超えた高温領域においても、ポリエステルセグメントの部分は、弾性を保っており流れだすのを防ぐ役割を担っているため、高温領域で粘り強く接着性を保持する性質がある。よって、フレキシブルフラットケーブルとした場合の耐熱性の向上に寄与する。非晶性ポリエステルセグメント(b)の部位の潜在的なガラス転移温度は、そのセグメントのみを取り出した組成からなる非晶性ポリエステル樹脂(B)をモデル的に合成し、ガラス転移温度を測定することで、顕在化させることが可能である。
【0029】
非晶性ポリエステルセグメント(b)の潜在的なガラス転移温度を高くすることで耐熱
性に寄与するものの、その一方で、室温においては粘性が低下し室温付近における接着性が低下してしまう。また、フレキシブルフラットケーブルとした場合に、接着剤層が脆くなり折り曲げた時にデラミネーションを引き起こす。そこで、ある程度のセグメント長、すなわち分子量をもったポリエーテルセグメント(a)を導入し、ブロック共重合体とすることで、非晶性ポリエステルセグメント(b)の耐熱性を損なわないように樹脂の柔軟性と粘性を付与し、接着力を発現させることができる。また、非晶性ポリエステルセグメント(b)はガラス転移温度を高くするモノマーを選ぶと、メチルエチルケトンのような低沸点の有機溶剤に対する溶解性が低下させることがあるが、その溶解性を補い向上させることができる。
【0030】
また、ポリエーテルエステルブロック共重合体のガラス転移温度と非晶性ポリエステ
ル樹脂(B)のガラス転移温度の差は30℃以上になるように、ポリエーテルセグメント
(a)のセグメント長と配合量を調節することが好ましく、40℃以上であることがより好ましく、50℃以上であることがさらに好ましい。この差は、ポリエーテルセグメント(a)成分と非晶性ポリエステルセグメント(b)成分の種類と配合比で、その他の特性とのバランスをとりつつ調節することが可能である。この差が30℃未満であると、粘性低下に起因して接着性が低下し、また溶解性も低下する場合がある。
【0031】
ポリエーテルセグメント(a)成分の配合比とは、ポリエーテルエステルブロック共重合体のアルコール成分に組み込まれるため、そのアルコール成分100モル%に対する導入率をいい、3モル%以上が好ましく、4モル%以上がより好ましい。
【0032】
本発明の樹脂としては、特性に大きく影響を与えない範疇で上記に挙げた成分以外に下記の成分を含有していてもよい。
【0033】
本発明で用いる非晶性ポリエステルセグメント(b)の酸成分を構成する他のカルボン酸成分としては、下記に挙げる種々の芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸を用いることができる。芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸の例としては、フタル酸、4、4’−ジカルボキシビフェニル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−ヒドロキシ-イソフタル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、1,3,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、シュウ酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸等のジカルボン酸等が挙げられる。これらは、無水物をモノマー原料として用いても差し支えない。
【0034】
また、ヒドロキシカルボン酸の例としては、テトラヒドロフタル酸、乳酸、オキシラン、グリコール酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、
2−ヒドロキシイソ酪酸、2−ヒドロキシ−2−メチル酪酸、2−ヒドロキシ吉草酸、
3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、10−ヒドロキシステアリン酸、4-(β-ヒドロキシ)エトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸、リンゴ酸、及び、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等の脂肪族ラクトン等が挙げられる。
【0035】
また、本発明で用いる非晶性ポリエステルセグメント(b)のアルコール成分を構成する他のアルコール成分としては、1,2-ジヒドロキシブタン、1,3-ジヒドロキシブタン、3-オキサペンタン-1,5-ジオール、2,2'-(1,2-エタンジイルビス(オキシ))-ビスエタノール、ビス(2-ヒドロキシプロピル)エーテル、2-(2-(2-ヒドロキシプロポキシ)プロポキシ)-1-プロパノール、ビスフェノールS、ビスフェノールC、ビスフェノールZ、ビスフェノールAP、4,4’-ビフェノールのエチレンオキサイド付加体またはプロピレンオキサイド付加体、1,3-ビス(β-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、ポリ(オキシエチン-1,2-ジイル)、ポリ(オキシブタン-1,4-ジイル)、ポリ(オキシプロパン-1,3-ジイル)、グリセロール、2-エチル-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、α−メチルグルコース、マニトール、ソルビトール等が挙げられる。
【0036】
以上のモノマーは必ずしも1種類で用いる必要はなく、樹脂に対し付与したい特性に応じて複数種以上混合して用いて差し支えない。
【0037】
また、本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体には、必要に応じて、モノカルボン酸、モノアルコールが共重合されていてもよい。モノカルボン酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸、4-ヒドロキシフェニルステアリン酸等、モノアルコールとしては、オクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、2-フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0038】
さらに、本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体には、必要に応じて、リン酸、リン酸エステル等の熱安定剤、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、チオエーテル化合物のような酸化防止剤、タルクやシリカ等の滑剤、酸化チタン等の顔料、充填剤、帯電防止剤、発泡剤等の従来公知の添加剤を含有させても差し支えない。
【0039】
また、本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体は、分子鎖に炭素数1以上の炭化水素が側鎖として、側鎖基濃度1000当量/106g以上で結合していることが好ましく、1500当量/106g以上の濃度で結合していることが好ましく、2000当量/106g以上の濃度で結合していることがより好ましく。2500当量/106g以上の濃度で結合していることがさらに好ましい。側鎖基濃度が1000当量/106g未満の濃度の場合、ポリエーテルエステルブロック共重合体の接着性が低下して好ましくない。
【0040】
本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体の数平均分子量は、10000〜100000が好ましく、15000〜60000がより好ましく、20000〜40000さらに好ましい。数平均分子量が低いと凝集力が低下し接着力が低下し、分子量が100000より高くなると溶剤溶解性が低下するため好ましくない。
【0041】
ポリエーテルエステルブロック共重合体の製造方法について説明する。
【0042】
非晶性ポリエステルセグメント(b)に必要な原料を反応缶に投入した後、180℃以上の温度でエステル化反応を3h以上行った後、ポリエーテルセグメント(a)をなすポリエーテルを加えた後、公知の方法により重縮合させることにより製造することができ、例えば、130Pa以下の減圧下に220〜280℃の温度で所望の分子量に達するまで重縮合反応を進めてポリエーテルエステルブロック共重合体を得ることができる。
【0043】
ポリエーテルエステルブロック共重合体は、ブロック共重合化されている必要があり、ブロック共重合化されていない場合は、例えば、ポリエチレングリコールはエチレングリコール、又、例えばポリテトラメチレングリコールは1,4-ブタンジオールと化学構造上も性質上も近いものとなるため、軟化点が上昇して接着性が低下したり、また、軟化点が低下して耐熱性が低下することもあり、いずれにしても本発明の用途に対しては性能低下を引き起こすため問題である。ブロック共重合化されているか否かは、NMR(核磁気共鳴スペクトル)測定を行い、ポリエーテル基の存在の確認を行うことで確認ができる。また、ブロック共重合体の樹脂組成と同一のモノマー成分を、一括仕込み重合を行い、ポリエーテルエステル共重合体を得たとしたら、ポリエーテルエステルブロック共重合体に比べ、耐熱性が劣り、本発明の接着剤として用いることができない。
【0044】
エステル化反応および重縮合反応の際には、テトラブチルチタネ−トなどのチタン化合物、酢酸亜鉛、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛などの金属の酢酸塩、三酸化アンチモン、ヒドロキシブチルスズオキサイド、オクチル酸スズなどの有機スズ化合物を用いて重合をおこなうことができる。その際の触媒使用量は、酸成分1モルに対し、0.1〜20×10-4モル用いるのが好ましい。
【0045】
また、前述の重縮合反応を終了後、多塩基酸成分やその無水物等を所定量添加し反応させることで、末端水酸基をカルボキシル基に変性したり、エステル交換反応により分子中鎖にカルボキシル基を導入することで適度の酸価を付与することができる。
【0046】
非晶性ポリエステル樹脂(B)も同様な方法で得ることができる。
【0047】
本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体を適当な汎用有機溶剤で溶解し、接着剤溶液となすことができる。その樹脂の濃度は20〜50wt%程度である。
【0048】
上記のポリエーテルエステルブロック共重合体と汎用有機からなる接着剤溶液には、必要に応じ難燃剤、難燃助剤、硬化剤等を添加することができる。
【0049】
難燃剤としては、例えば、下記に限定するものではないが、デカブロモジフェニルエーテル、ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、テトラブロモビスフェノール、ヘキサブロモシクロドデカン、ヘキサブロモベンゼン等のハロゲン化物、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、1,3-フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)、ポリ燐酸アンモニウム、ポリ燐酸アミド、燐酸グアニジン等の燐化合物、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート等の含ハロゲン燐酸エステル、赤燐、また、トリアジン、メラミンシアヌレート、エチレンジメラミン等の窒素系難燃剤、二酸化スズ、五酸化アンチモン、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機難燃助剤、シリコーンパウダーなどがある。環境負荷を低減するために、非ハロゲン、非燐、脱重金属の観点から難燃剤を選択するのが好ましい。
【0050】
また、上記の接着剤溶液には、必要に応じ、エポキシ樹脂、酸無水物、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシナネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、
イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシナネート等のイソシアネート類およびそのブロックイソシアネート、ウレトジオン類、β-ヒドロキシアルキルアミド等の硬化剤、オクチル酸スズ、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン等の硬化触媒、二酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化亜鉛等の顔料、タルク、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、タッキファイヤー等の添加剤を使用することができる。
【0051】
本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体からなる溶剤型接着剤を公知のコーティング法で基材フィルムにコート、乾燥することで積層体を得ることができる。コーターとしては、例えば、バーコーター、コンマコーター、ダイコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、グラビアリバースコーター、フローコーターなどを用いることができる。これらのコーティング法では、接着層の厚さを任意に制御することができる。また、複数回のコーティング法で、接着性樹脂を積層してもよい。
【0052】
たとえば、フレキシブルフラットケーブルは次のように作成することができる。
【0053】
すなわち、基材としてポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルの肉厚10〜200μm程度の基材フィルムに、本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体を含む接着剤を2〜100μm程度の乾燥肉厚になるように塗布し、80〜150℃の範囲でフィルムを乾燥しインシュレーションフィルムを作成し、肉厚20〜100μm程度のスズ鍍金銅等の導体を2枚のインシュレーションフィルムの接着剤層の面で挟み込んで、ヒートシーラーで150〜180℃程度の温度で0.2〜0.8MPaの圧力で1〜20秒程度処理することでフレキシブルフラットケーブルを作成することができる。
【0054】
また、必要に応じ、インシュレーションフィルムにプライマー層を設けてもよい。
【実施例】
【0055】
以下に実施例によって本発明を具体的に説明する。
【0056】
1.使用原料
以下、ポリエーテルを、ポリエーテル成分として用いた。
・ PTMG−1:分子量1000
・ PTMG−2:分子量600
・ PEG :分子量200
・ TEG:分子量150
【0057】
2.測定方法
【0058】
(1)ポリエーテルエステルブロック共重合体の樹脂組成
日本電子社製NMR測定装置JNM-LA400型を用いて、1H-NMR測定を行い、それぞれの共重合成分のピーク強度から組成を求めた。ポリエーテルエステルブロック共重合体の組成を測定するための測定溶媒としては、重水素化トリフルオロ酢酸を用いた。
【0059】
(2)ポリエーテルエステルブロック共重合体、非晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量
数平均分子量は、GPC分析(島津製作所製の送液ユニットLC−10ADvp型および紫外−可視分光光度計SPD−6AV型を使用、検出波長:254nm、溶媒:テトラヒドロフラン、ポリスチレン換算)により求めた。
【0060】
(3)ポリエーテルエステルブロック共重合体、非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)
入力補償型示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製 ダイヤモンドDSC)を用いて、JIS-K7121に準拠して、ガラス転移温度(補外ガラス転移開始温度)を求めた。
【0061】
(4)ポリエーテルエステルブロック共重合体の軟化点(Ts)
TAインスツルメンツ社製熱機械分析装置(TMA)を用い、JIS-K7196に準拠して測定した。
【0062】
(5)溶解性
ポリエーテルエステルブロック共重合体を固形分濃度30質量%になるようにメチルエチルケトンに溶解させ、透明なガラス瓶の中で2時間静かに置き、目視で、溶解性と均一性を評価した。完全溶解しており、均一であるものを○、未溶解物が残るものを×とした。
【0063】
(6)耐熱性
ポリエーテルエステルブロック共重合体を固形分濃度30質量%になるようにトルエン/メチルエチルケトンの8/2(質量比)の混合溶剤に溶解させ、その溶解液を肉厚0.3mmの銅板にバーコーターを用いて塗布し120℃で2分間熱処理し乾燥肉厚20μmの接着層のラミネート用シートを作製した。このラミネート用シートに肉厚100μmのPETフィルムの非コロナ面を重ね、120℃で1分間、圧力100kPaで1分間プレスしラミネートした。得られたラミネートシートを25mm巾にし、80℃で180度剥離試験を行い、剥離強度を測定した。15N/25mm以上を合格とした。
【0064】
(7)接着性
ポリエーテルエステルブロック共重合体を固形分濃度30質量%になるようにトルエン/メチルエチルケトンの8/2(質量比)の混合溶剤に溶解させ、その溶解液を肉厚0.3mmの銅板にバーコーターを用いて塗布し、120℃で2分間熱処理し乾燥肉厚20μmの接着層のラミネート用シートを作製した。このラミネート用シートに肉厚100μmのPETフィルムの非コロナ面を重ね、120℃で1分間、圧力100kPaで1分間プレスしラミネートした。得られたラミネートシートを25mm巾にし、23℃で180度剥離試験を行い、剥離強度を測定した。15N/25mm以上を合格とした。
【0065】
(8)耐湿熱性
恒温恒湿槽(ナカツ科学機械製作所製、型式LH−30−13M)を用い、温度85℃、相対湿度85%の条件下に共重合ポリエステル樹脂を1000時間保持することにより湿熱処理を行った。湿熱処理後の共重合ポリエステル樹脂の数平均分子量を上記(e)の方法で測定し、湿熱処理前(未処理)の数平均分子量に対する低下率を算出して求めた。低下率50%以下を耐湿熱性は合格とする。
【0066】
実施例1
テレフタル酸90モル%、イソフタル酸10モル%、エチレングリコール19モル%、ネオペンチルグリコール19モル%、トリシクロデカンジメタノール57モル%になるように原料をエステル化反応缶に投入し、アンカー翼の攪拌機で100rpmの回転数で攪拌しながら、0.25MPaの制圧下で250℃で5時間エステル化を行いエステル化物を作製した後、
重縮合缶へ移送して、分子量1000のポリテトラメチレングリコールを所定量重合缶に投入し、重合触媒を投入し、60分かけて徐々に1.3hPaになるまで減圧していき、所定の分子量に到達するまで260℃で重縮合反応を行い、ポリエーテルエステルブロック共重合体
(A1)を得た。得られたポリエーテルエステルブロック共重合体(A1)の数平均分子量は18000、Tgは35℃、Tsは79℃であった。側鎖基濃度、溶解性、接着性、耐熱性の評価結果を表1に示す。
【0067】
また、非晶性ポリエステルセグメントをなすモノマー成分を単独で重合して得られる非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度については、以下に示す合成例にて、非晶性ポリエステル樹脂の重合を行い評価した。その結果を表2に示すとともに、表1にも結果を示し、ポリエーテルエステルブロック共重合体のガラス転移温度(Tg1)と、非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg2)につき、Tg2−Tg1の算出を行った。
【0068】
【表1】

【0069】
実施例2〜6
表1に示すように原料の配合比率や分子量を変えた以外は、実施例1と同様に実施した。その結果を表1に示す。
【0070】
(合成例B1) 非晶性ポリエステル単体
実施例1と同様にエステル化物を作製した後、重縮合缶へ移送して、重合触媒を投入し、60分かけて徐々に1.3hPaになるまで減圧していき、所定の分子量に到達するまで、 260℃で重縮合反応を行い、非晶性ポリエステル樹脂(B1)を得た。得られた非晶性ポリエステル樹脂(B1)は、ポリテトラメチレングリコールを除くと酸成分、アルコール成分ともに実施例1の樹脂(A1)と同じ組成比率であり、数平均分子量は18000、
Tgは93℃、ポリエーテルエステルブロック共重合体(A1)と非晶性ポリエステル樹脂(B1)のTgの差は58℃であった。その結果を表2に示す。
【0071】
【表2】

【0072】
合成例B2〜B8
合成例1と同様の操作を行って、非晶性ポリエステル樹脂(B2)〜(B8)の合成を行い、数平均分子量、ガラス転移温度の評価を行なった。その結果を表2に示す。
【0073】
比較例1〜4
表3に示すように原料の配合比率や分子量を変えた以外は、実施例1と同様に実施した。その結果を表3に示す。
【0074】
【表3】

【0075】
実施例1〜6は、本発明の規定の範囲でポリエーテルエステルブロック共重合体の重合を行ったために、溶解性、耐熱性、接着性に優れ、接着剤として好適に用いることができた。
【0076】
比較例1は、非晶性ポリエステル樹脂Bのガラス転移温度が低く80℃での接着強力が低下し、耐熱性が低下した。また、ポリエーテルAも含有しておらず、非晶性ポリエステル樹脂Bとポリエーテルエステルブロック共重合体のガラス転移温度の差(Tg2-Tg1)も30℃未満となり接着性も低下した。
【0077】
比較例2は、炭素数1以上側鎖アルキル基含有アルコールの共重合割合が少なく、側鎖濃度が低下し、接着性が低下した。
【0078】
比較例3は、ポリエーテルの数平均分子量が小さく、ポリエーテルセグメント長が短くブロック共重合性が低下して非晶性ポリエステルセグメントの耐熱性が損なわれたためか、耐熱性も低下した。
【0079】
比較例4は、ポリエーテルの配合量が少ないため非晶性ポリエステル樹脂Bとポリエーテルエステル樹脂のガラス転移温度の差(Tg2-Tg1)も30℃未満となり接着性が低下した。また、メチルエチルケトンに対して完全溶解せず、溶液部分も白濁した。




























【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエーテルセグメント(a)と非晶性ポリエステルセグメント(b)からなり、ガラス転移温度40℃未満で汎用有機溶剤に可溶なポリエーテルエステルブロック共重合体であって、
(I) ポリエーテルセグメント(a)は、数平均分子量200以上であって、ポリアルキレングリコールからなり、
(II) 非晶性ポリエステルセグメント(b)がテレフタル酸を含有するジカルボン酸単位、および側鎖に炭素数1以上のアルキル基を有する多価アルコールを含有するアルコール単位からなり、
非晶性ポリエステルセグメント(b)をなすモノマー成分を単独で重合して得られる非晶性ポリエステル樹脂(B)が、数平均分子量15000〜30000とした場合に、ガラス転移温度が40℃以上であることを特徴とするポリエーテルエステルブロック共重合体。
【請求項2】
請求項1に記載のポリエーテルエステルブロック共重合体のガラス転移温度と非晶性ポリエステル樹脂(B)のガラス転移温度の差が30℃以上であることを特徴とするポリエーテルエステルブロック共重合体。
【請求項3】
請求項1、または2に記載のポリエーテルエステルブロック共重合体の主分子鎖に結合する炭素数1以上の炭化水素が、濃度1000当量/106g以上で結合していることを特徴とするポリエーテルエステルブロック共重合体。
【請求項4】
請求項1〜3に記載のポリエーテルエステルブロック共重合体の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜3に記載のポリエーテルエステルブロック共重合体を汎用有機溶剤に溶解してなる接着剤の製造方法。
【請求項6】
請求項5の接着剤の製造方法を用いて得られる接着剤。
【請求項7】
請求項6に記載の接着剤を塗布してなる積層体。
【請求項8】
請求項7に記載の積層体よりなるフレキシブルフラットケーブル。

【公開番号】特開2010−235647(P2010−235647A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−81897(P2009−81897)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000004503)ユニチカ株式会社 (1,214)
【Fターム(参考)】