説明

ポリエーテルシロキサンコポリマー網目構造組成物

【課題】感触が良く、しかも高粘度で、且つ、低剪断なシリコーン組成物を得る。
【解決手段】各種パーソナルケア組成物に有用なMの反応生成物からなる組成物。式中、M=RSiO1/2、M=RHSiO1/2、M=RSiO1/2、D=RSiO2/2、D=R10HSiO2/2、D=R11SiO2/2、T=R12SiO3/2、T=HSiO3/2、T=RSiO3/2、Q=SiO4/2であり、R、R、R、R、R及びR12は独立に炭素原子数1〜60の一価炭化水素基、R、R及びR10は独立に炭素原子数1〜60の一価炭化水素基又は水素、R、R、R11は独立に炭素原子数1〜60の一価炭化水素基又はR、各Rは独立に炭素原子数1〜60の1以上のオキシラン部分を有する一価炭化水素基、a、b、c、d、e、f、g、h、i及びjは零又は正数である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコーン組成物に関し、具体的には、エポキシド又はオキシラン部分から誘導された架橋を含むシリコーンポリマー網目構造を含んでなる組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルケア産業は、各々が最終配合に対して重要又は望ましい性能特性を有する幾つかの成分の混合物に基づく多種多様な性能の製品を送達することができるということで発展している。一つの望ましい特性は、高粘度であるが剪断で低減し得る粘度を維持しながら、例えばオクタメチルシクロテトラシロキサンやデカメチルシクロペンタシロキサンのような低分子量シリコーンに由来するシルキーな初期感触を配合物に与えることができる能力である。こうした低分子量のシリコーンは所望の感触特性を与えるが、低粘度で極めて流動性の液体でもある。したがって、これらを配合物中に保持しておくのは容易でなく、むしろ分離したり、所定の容器から流れ出したり、塗布時に皮膚の上で制御できずに流れてしまう傾向がある。さらに、拭いて乾かしたときに滑らかな低残渣感が得られるようにしながら初期のシルキーな感触を達成するのが望ましい。揮発性シリコーン中で調製した高分子シリコーンゲルは、揮発性低粘度シリコーンの望ましい初期感触を配合物に付与すると同時に高い粘度と乾燥時に滑らかでシルキーな感触を与えることが見出されている。例えば、米国特許第5760116号、同第5493041号及び同第4987169号を参照されたい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
かかる高分子シリコーンゲルは通例ヒドロシリル化反応によって製造されているが、それにはSiH官能基と末端オレフィン性基とを併用して架橋シロキサンポリマーを形成する必要がある。したがって、これらの物質を製造するのに利用できるのは、シリルヒドリド基及び任意にはビニル官能性シロキサン基を含有し得るシロキサンのみである。さらに、この架橋シロキサンポリマー製造方法では、複雑な配合品に追加の有利な性能を付与するべくポリマー構造中に組み込むことができる望ましい有機官能基の範囲が限られる。したがって、架橋シロキサンポリマー中に有機官能基を組み込む試みでは、ヒドロシリル化反応と適合し得る不飽和有機基を用いる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
の反応生成物からなる組成物を提供する。式中、M=RSiO1/2、M=RHSiO1/2、M=RSiO1/2、D=RSiO2/2、D=R10HSiO2/2、D=R11SiO2/2、T=R12SiO3/2、T=HSiO3/2、T=RSiO3/2、Q=SiO4/2であり、R、R、R、R、R及びR12は独立に炭素原子数1〜約60の一価炭化水素基であり、R、R及びR10は独立に炭素原子数1〜約60の一価炭化水素基又は水素であり、R、R、R11は独立に炭素原子数1〜約60の一価炭化水素基又はRであり、各Rは独立に炭素原子数1〜約60の1以上のオキシラン部分を有する一価炭化水素基であり、化学量論的添字a、b、c、d、e、f、g、h、i及びjはゼロ又は正の数であるが、a+b+c>1、b+e+h>1、c+f+i>1、b+e+h>c+f+iであり、かつd+e+f+g+h+i+j=0のときはa+b+c=2であることを条件とする。好ましい実施形態では、本発明の反応生成物はポリエーテルシロキサンコポリマー網目構造である。別の好ましい実施形態では、本発明の反応生成物は揮発性低分子量含ケイ素化合物で膨潤したポリエーテルシロキサンコポリマー網目構造である。これらの組成物は各種パーソナルケア組成物に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明の組成物は、次式のエポキシ官能性ヒドリドシロキサン分子の反応生成物からなる。
【0006】
式中、M=RSiO1/2、M=RHSiO1/2、M=RSiO1/2、D=RSiO2/2、D=R10HSiO2/2、D=R11SiO2/2、T=R12SiO3/2、T=HSiO3/2、T=RSiO3/2、Q=SiO4/2であり、式中、R、R、R、R、R及びR12は独立に炭素原子数1〜約60の一価炭化水素基であり、R、R及びR10は独立に炭素原子数1〜約60の一価炭化水素基又は水素であり、R、R及びR11は独立に炭素原子数1〜約60の一価炭化水素基又はRであり、各Rは独立に炭素原子数1〜約60の1以上のオキシラン部分を有する一価炭化水素基であり、化学量論的添字a、b、c、d、e、f、g、h、i及びjはゼロ又は正の数であるが、a+b+c>1、b+e+h>1、c+f+i>1、b+e+h>c+f+iであり、d+e+f+g+h+i+j=0のときはa+b+c=2であることを条件とする。
【0007】
本発明の組成物の製造方法の一つは、ヒドロシリル化条件下で、次式の分子を、1以上のオキシラン部分を有するオレフィン性不飽和分子と、オキシランのモル量がシリルヒドリドのモル量よりも少ない化学量論条件で反応させることである。
′D′T′Qただし、定義及び関係は後で定義する通りである(上記定義とも一致する)。本明細書中で、「1以上のオキシラン部分を有するオレフィン性不飽和分子」とは、1以上の内部、側鎖又は末端炭素炭素二重結合を有する分子で、同時に1以上の内部、側鎖又は末端三員含酸素複素環を有する分子を意味する(本明細書では、化学的には「三員含酸素複素環」はオキシラン又はエポキシド構造と同義に用いる)。かかる定義で例示される最も簡単な化学構造は次のものである。
【0008】
【化1】

【0009】
ただし、次式で例示される脂環式構造も包含される。
【0010】
【化2】

【0011】
式中、kは0又は正の整数であり、さらに好ましくは略0〜約10の範囲の正の整数である。なお、ここで例示した構造はいずれもオレフィン性部分及びオキシラン(エポキシド)部分が共に末端である。さらに一般的な化学構造は次のものである。
【0012】
【化3】

【0013】
式中、R13、R14、R15、R16、R17及びR18は各々独立に水素及び炭素原子数1〜約60の一価炭化水素基の群から選択され、Qは炭素原子数1〜約60の二価又は三価炭化水素基であり、Qは炭素原子数1〜約60の二価炭化水素基であり、m及びnは独立に0又は1であるが、Qが三価のときはR13又はR14の一方が存在せず、またR16とR18は互いにシスでもトランスでもよい。
【0014】
したがって、本発明の反応生成物を製造するための可能な合成経路の一つは、ヒドロシリル化条件下で、次式の化合物とM′D′T′Q+αを反応させてMとするものであり、
【0015】
【化4】

【0016】
式中化学量論係数のαはb′+e′+h′の和より小さい。なお、化学量論係数b、e及びhは、反応体及び生成物双方におけるヒドリド含有化学種M、D及びTの量を定めており、互いにそうした関係を有するが、ヒドリド含有官能基の若干は1以上のオキシラン部分を有するオレフィン性不飽和分子と反応するので必然的にb′+e′+h′>b+e+h及びb+c+e+f+h+i=b′+e′+h′という関係が得られる。なお、オレフィン性不飽和オキシラン含有分子のアセチレン類似体は、反応で同様の生成物を形成する類似化学種を生成する。そこで、本明細書で1以上のオキシラン部分を有するオレフィン性不飽和分子というときは1以上のオキシラン部分を有するアセチレン性不飽和分子も包含する。「1以上のオキシラン部分を有するアセチレン性不飽和分子」とは、1以上の内部、側鎖又は末端炭素炭素三重結合を有する分子で、同時に1以上の内部、側鎖又は末端三員含酸素複素環を有する分子を意味する(本明細書では、化学的には「三員含酸素複素環」はオキシラン構造又はエポキシド構造と同義に用いる)。エポキシド化合物がオレフィン性エポキシドの場合、具体例は次のものである。
【0017】
【化5】

【0018】
ここで、置換基としてのRは次式のものとなる。
【0019】
【化6】

【0020】
式中、定義はすべて前記定義と同じである。エポキシドがアセチレン性エポキシドの場合、具体例は次のものである。
【0021】
【化7】

【0022】
ここで、置換基としてのRは次式のいずれかとなる。
【0023】
【化8】

【0024】
又は
【0025】
【化9】

【0026】
式中、定義はすべて前記定義と同じである。
【0027】
シリルヒドリド含有前駆体分子M′D′T′Qは当技術分野で公知の様々な技術で製造できる。エポキシ置換シロキサンは、ヒドロシリル化反応を用いる通常の方法でビニル又はアリル置換エポキシドをSiH含有シロキサンに付加させて製造する。SiH含有シロキサンは当技術分野で周知であり、線状、枝分れ又は環状構造とすることができる。有用なビニル又はアリル置換エポキシドの例としては、4−ビニルシクロヘキセンオキシド、アリルグリシジルエーテル、リモネンオキシド、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−7−オクテン、ノルボルナジエンモノエポキシド及び1,2−エポキシ−9−デセンがある。エポキシシロキサンの製造に適した貴金属触媒も当技術分野で周知であり、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム及び/又は白金の錯体からなる。
【0028】
こうしたSiHオレフィン付加反応(ヒドロシリル化)には多種多様な白金触媒が知られており、かかる白金触媒を本発明の反応に使用し得る。光学的透明性が必要とされる場合に好ましい白金触媒は反応混合物に可溶性の白金化合物触媒である。白金化合物は、米国特許第3159601号(援用によって本明細書に取り込まれる)に記載されている式(PtClオレフィン)及びH(PtClオレフィン)を有するものから選択できる。本発明の組成物に使用し得る別の白金含有物質は米国特許第3159662号(援用によって本明細書に取り込まれる)に記載されている塩化白金のシクロプロパン錯体である。さらに白金含有物質は、米国特許第3220972号(援用によって本明細書に取り込まれる)に記載されているように、クロロ白金酸と、白金1グラム当たり2モル以下のアルコール、エーテル、アルデヒド及びこれらの混合物からなる群から選択されるものから形成される錯体であってもよい。使用に好ましい触媒はKarstedtの米国特許第3715334号、同第3775452号及び同第3814730号に記載されている。この分野のさらに詳しい技術的背景については、F.G.A.Stone及びR.West編,Advances in Organometallic Chemistry,第17巻、407〜447頁(1979年,Academic Press(米国ニューヨーク)発行)のJ.L.Spier著“Homogeneous Catalysis of Hydrosilation by Transition Metals”を参照されたい。白金触媒の有効量は当業者が容易に決定し得る。一般に、有効量は全オルガノポリシロキサン組成物百万部当たり約0.1〜50部の範囲である。
【0029】
の反応生成物は、ポリエーテルシロキサンコポリマー網目構造(又はシロキサンポリエーテルコポリマー網目構造)と考えられるポリマー網目構造を生成する。本明細書で用いる「網目構造」という用語は、相互に結合したポリエーテルシロキサンコポリマー鎖からなる三次元に延びる構造を意味する。この網目構造の隙間内に流体が含まれるのが好ましい。本明細書で網目構造について用いる「隙間」という用語は、網目構造内の空間、すなわち網目構造のポリエーテルシロキサンコポリマー鎖間の空間を意味する。本明細書でポリエーテルシロキサンコポリマー網目構造について用いるポリエーテルという用語は、2以上のエポキシド部分が反応してシロキサン鎖又は部分間の架橋を形成する1以上のエーテル結合を形成した反応生成物を包含する。
【0030】
好ましい一実施形態では、ポリエーテルシロキサンコポリマー網目構造は、本発明のシリコーン組成物の流体成分に不溶であるがその流体により膨潤することができる架橋網目構造である。この架橋網目構造内に存在する架橋の量は、その流体中で網目構造が示す膨潤の程度に関して特徴付けることができる。別の好ましい実施形態では、網目構造の架橋構造は、例えばデカメチルシクロペンタシロキサンのような低分子量シリコーン流体により、その網目構造を、その当初の体積から、その1.01〜5000倍、好ましくは2〜1000倍、さらに好ましくは5〜500倍の膨潤体積に膨潤させることができるものである。網目構造の当初の体積は、例えば、本発明のシリコーン組成物から流体成分をすべて抽出するか又は蒸発させてその元々の体積、すなわち流体の存在しないポリエーテルシロキサンブロックコポリマー網目構造の体積にすることによって決定することができる。
【0031】
本明細書中で用いる「炭化水素基」という用語には、非環式炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基が包含される。
【0032】
本明細書中で炭化水素基について用いる「一価」という用語はその基が1基当たり1つの共有結合を形成できることを意味し、「二価」という用語はその基が1基当たり2つの共有結合を形成できることを意味し、「三価」という用語はその基が1基当たり3つの共有結合を形成できることを意味する。一般に、一価基は飽和炭化水素化合物から概念上水素原子1個を除去して得られる当該化合物の誘導体として表すことができ、二価基は飽和炭化水素化合物から概念上水素原子2個を除去して得られる当該化合物の誘導体として表すことができ、三価基は飽和炭化水素化合物から概念上水素原子3個を除去して得られる当該化合物の誘導体として表すことができる。例えば、エチル基−CHCH基は一価基であり、ジメチレン基−(CH−基は二価基であり、次式のエタントリイル基は三価基であり、これらはいずれも飽和炭化水素であるエタンから1以上の水素原子を概念的に除去することで誘導されたものとして表すことができる。
【0033】
【化10】

【0034】
本明細書中で用いる「非環式炭化水素基」という用語は、直鎖又は枝分れ炭化水素基で、好ましくは1基当たりの炭素原子数が2〜60のものを意味するが、これは飽和でも不飽和でもよく、任意には、1以上の原子又はカルボキシル、シアノ、ヒドロキシ、ハロ及びオキシなどの官能基で置換もしくは中断されていてもよい。これらの官能基がエポキシド部分又はオキシラン部分のカチオン性硬化メカニズムを妨害しない限り、好適な一価非環式炭化水素基として、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシアルキル、シアノアルキル、カルボキシアルキル、アルキルオキシ、オキサアルキル、アルキルカルボニルオキサアルキレン、カルボキサミド及びハロアルキルを挙げることができ、具体的にはメチル、エチル、sec−ブチル、tert−ブチル、オクチル、デシル、ドデシル、セチル、ステアリル、エテニル、プロペニル、ブチニル、ヒドロキシプロピル、シアノエチル、ブトキシ、2,5,8−トリオキサデカニル、カルボキシメチル、クロロメチル及び3,3,3−トリフルオロプロピルなどがある。好適な二価非環式炭化水素基には、例えば、線状又は枝分れアルキレン基、例えばメチレン、ジメチレン、トリメチレン、デカメチレン、エチルエチレン、2−メチルトリメチレン、2,2−ジメチルトリメチレンなど、並びに線状又は枝分れオキサアルキレン基、例えばメチレンオキシプロピレンなどがある。好適な三価非環式炭化水素基には、例えば、アルカントリイル基、例えば1,1,2−エタントリイル、1,2,4−ブタントリイル、1,2,8−オクタントリイル、1,2,4−シクロヘキサントリイルなど、並びにオキサアルカントリイル基、例えば1,2,6−トリイル−4−オキサヘキサンなどがある。
【0035】
本明細書中で用いる「アルキル」という用語は、飽和線状又は枝分れ一価炭化水素基を意味する。好ましい実施形態では、一価アルキル基は、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、デシル、ドデシルなどの1基当たりの炭素原子数が1〜60の線状又は枝分れアルキル基から選択される。
【0036】
本明細書中で用いる「アルケニル」という用語は、線状又は枝分れ一価末端不飽和炭化水素基を意味し、好ましくは1基当たりの炭素原子数が2〜10のもので、例えばエテニル、2−プロペニル、3−ブテニル、5−ヘキセニル、7−オクテニル及びエテニルフェニルなどがある。
【0037】
本明細書中で用いる「脂環式炭化水素基」という用語は、1基当たり1以上の飽和炭化水素環を含む基で、好ましくは環1個当たりの炭素原子数が4〜12のものを意味するが、任意には1以上の環が1以上のアルキル基(各々好ましくは1基当たりの炭素原子数が2〜6のもの)、ハロゲン基その他の官能基で置換されていてもよく、2以上の環を有する一価脂環式炭化水素基の場合には縮合環であってもよい。好適な一価脂環式炭化水素基には、例えばシクロヘキシル、シクロオクチルがある。好適な二価炭化水素基には、飽和又は不飽和二価単環式炭化水素基、例えば1,4−シクロへキシレンがある。好適な三価脂環式炭化水素基には、例えば、1−ジメチレン−2,4−シクロへキシレン、1−メチルエチレン−3−メチル−3,4−シクロへキシレンのようなシクロアルカントリイル基がある。
【0038】
本明細書中で用いる「芳香族炭化水素基」という用語は、1基当たり1以上の芳香族環を含む炭化水素基を意味するが、任意には1以上の芳香族環が1以上のアルキル(各々好ましくは1基当たりの炭素原子数が2〜6のもの)、ハロゲン基その他の官能基で置換されていてもよく、2以上の環を有する一価芳香族炭化水素の場合には縮合環であってもよい。好適な一価芳香族炭化水素基には、例えばフェニル、トリル、2,4,6−トリメチルフェニル、1,2−イソプロピルメチルフェニル、1−ペンタレニル、ナフチル、アントリル、オイゲノール及びアリルフェノール並びに例えば2−フェニルエチルのようなアラルキル基がある。好適な二価芳香族炭化水素基には、例えば1,2−フェニレン、1,4−フェニレン、4−メチル−1,2−フェニレン、フェニルメチレンなどの二価単環式アレーンがある。好適な三価芳香族炭化水素基には、例えば1−トリメチレン−3,5−フェニレンなどの三価単環式アレーンがある。
【0039】
好ましい実施形態では、エポキシ官能性オルガノシロキサン化合物を、カチオン性重合条件下で、好ましくは流体(さらに好ましくは揮発性シロキサン流体)の存在下で、重合させることによってエポキシ官能性オルガノシロキサン化合物を反応させる。一実施形態では、エポキシ官能性オルガノシロキサン化合物を流体の存在下で重合させて本発明のシリコーン組成物を直接形成する。別の実施形態では、エポキシ官能性オルガノシロキサン化合物を第一の流体又は流体混合物の存在下で重合させてポリエーテルシロキサンコポリマー網目構造を形成した後、生成した網目構造を次に第二の流体又は流体混合物で膨潤させて本発明のシリコーン組成物を形成する。第二の流体又は流体混合物は第一の流体混合物と同一でも異なるものでもよい。第一の溶媒は、任意には、第二の流体を添加する前に、例えば蒸発によって、重合網目構造から除去してもよい。別法では、流体を存在させずにエポキシ官能性オルガノシロキサン化合物を重合させてポリエーテルシロキサンコポリマー網目構造を形成し、次に網目構造を流体又は流体混合物で膨潤させて本発明のシリコーン組成物を形成する。別の実施形態では、エポキシ官能性オルガノシロキサンの重合は、重合後に残留ヒドリドが残るよう十分な量の過剰のヒドリドシロキサン官能基と共に実施し、残留ヒドリドは後でヒドロシリル化に適した条件下で1以上のアルケニル官能性化合物と反応させる。これは、アルケニル官能性化合物がカチオン性硬化の抑制剤として機能し得る場合に特に有利である。かかるアルケニル化合物は、塩基のようなカチオン性硬化メカニズムの抑制剤として機能し得る官能基を有するものである。別の実施形態では、重合速度を速くするために、濃縮ヒドリドシロキサン化合物又はヒドリドシラン化合物を少量加える。
【0040】
カチオン性重合条件は、エポキシ基を重合させることができる酸触媒を添加することにより生成することができ、例えば、酸と、例えば三塩化アルミニウムや塩化第二鉄のようなルイス酸として機能するある種の金属塩とから生成したオニウム塩を添加したり、又はランタニドトリフレートを添加したりすることができる。国際公開第00/08087号参照。エポキシドの酸触媒重合は有機ポリマーを形成法として周知であり、例えば紙用剥離コーティング(例えば米国特許第4279717号参照)や有機材料と併用して塗料や改質プラスチック組成物の製造(例えば米国特許第5354796号及び同第5663752号参照)など様々な用途に用いられるシロキサンポリアルキレンオキシドブロックコポリマーを合成するためエポキシ官能性シロキサン化合物に応用されている。一言忠告しておくべき事項として、D、D又はDなど環状シロキサンの存在下でカチオン性重合を行う場合、使用する酸触媒の強度は、エポキシド部分のカチオン性重合は起こるが認めうるほどの環状シロキサンの重合が起こらないようにしなければならないことである。
【0041】
好ましい実施形態では、白金とSiH含有化合物との相互作用によって生じたカチオン性硬化条件下でエポキシ官能性オルガノシロキサン化合物を重合させる。このエポキシド重合反応経路は米国特許第5128431号並びにJ.V.Crivello及びN.Fan,J.Polymer Sci.,Part A:Polymer Chemistry,pp.1853−1863(1997)に記載されている。この実施形態では、反応キネティクスは微量の分子状酸素の存在に依存するようである。
【0042】
本発明のポリエーテルシロキサンコポリマー網目構造組成物は、架橋のためある程度の立体障害をもった架橋構造を生じる。こうした立体障害は、長時間の反応によっても反応が最後まで進行するのを妨げる傾向があり、そのためある程度の量の残留官能基が残留しかねない。こうした残留官能基は、ポリエーテルシロキサンコポリマー網目構造ほどは立体的制約のない官能化分子との反応でポリエーテルシロキサンコポリマー網目構造中に他の官能基を導入することが可能になるが、さもなければ残留官能基は化学的に不活性化されていなければならない。残留官能基が化学的に不活性化するのが望ましい一つの理由は次の通りである。これらの材料を加工処理する際、ポリエーテルシロキサンコポリマー網目構造は低分子量シロキサン化合物(又は低分子量シリコーン流体)、通常は後に定義するD、D、D、D又はM′D′T′M′により膨潤されているので、高剪断条件下での加工処理は、網目構造を破壊して立体障害のレベルが下がり、化学的に露出した残留官能基のために架橋反応がさらに起こるようになりかねないからである。ヒドロシリル化によって付加重合が起こる場合、付加重合シリコーン中で後硬化架橋が起こることが知られている。これらの材料は最初シリルヒドリドとオレフィン性又はアセチレン性オキシラン化合物又はエポキシド化合物とのヒドロシリル化によって製造される。したがって、貴金属ヒドロシリル化触媒が反応混合物中又はポリエーテルシロキサンコポリマー網目構造の隙間内に存在している。この触媒を用いて、反応生成物中に組み込まれたオキシラン部分又はエポキシド部分をさらに重合させて本発明のポリエーテルシロキサンコポリマー網目構造を生成することができる。設計により、すなわち、化学量論以下の量の使用により、又は反応の完了を妨害する立体障害により、残った残留官能基は本発明の教示に従ってさらに反応させたり、又は中和したりもしくは抑制したりすることができる。米国特許第5977280号及び同第5929164号(いずれも援用によって本明細書に取り込まれる)には、強力な貴金属錯体形成性リガンド、例えばホスフィン、アミン、及び有機スルフィドやチオールのような有機イオウ化合物での処理によるヒドロシリル化触媒の前記のような中和が教示されている。しかし、これらの強力な錯体形成性リガンドのあるものは貴金属ヒドロシリル化触媒を失活させるが毒性であり、したがってその使用はある種の用途、例えばパーソナルケア用途では避けなければならない。イオウを含有するアミノ酸エステルは強力な貴金属錯体形成性リガンドであり、メチオニンメチルエステル、メチオニンエチルエステル、システインメチルエステル、システインエチルエステル及びシステインジメチルエステルが前記のような貴金属失活に好ましく用いられて来ている。なお、容易に破壊し得るジスルフィド結合を含有する天然のタンパク質、例えば卵黄なども使用する貴金属触媒を失活するのに使用できる。イオウを含有するアミノ酸アミド、ポリペプチドなどもまた同様に、貴金属ヒドロシリル化触媒を失活させるように機能し得る。
【0043】
このポリマー合成法により広範囲の有機官能基をコポリマー構造中に組み込むことが可能である。すなわち、例えば有機エポキシド、エポキシシロキサン、末端不飽和の有機及びアルケニルシロキサン化合物のような他の有機官能基を含ませることによって、得られるコポリマーを改質することができる。
【0044】
別の実施形態では、エポキシ官能性オルガノシロキサンの重合中に、選択された重合反応条件下でエポキシ官能性オルガノシロキサンと共重合可能な有機官能性化合物を反応混合物に含ませることによって有機官能基を網目構造に導入する。
【0045】
一実施形態では、エポキシ官能性オルガノシロキサンの重合を、重合条件下でエポキシ官能性ヒドリドシロキサンと共重合して混合ポリアルキレンオキシド単位を形成することができる1種以上の有機エポキシド化合物の存在下で実施する。この追加の有機エポキシド化合物は得られるコポリマーをさらに改質する別の置換基を含有していてもよい。好適な有機エポキシド化合物としては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、グリシドール及び、例えばエポキシド化大豆油のようなエポキシド油がある。
【0046】
別の実施形態では、エポキシ官能性オルガノシロキサンの重合を、重合条件下でエポキシ官能性ヒドリドシロキサンと共重合して生成物のコポリマーを改質することができる1種以上のヒドロキシ官能性化合物の存在下で実施する。好適なヒドロキシ官能性化合物としては、例えば、水、ヒドロキシ停止ポリエーテル、有機アルコール、例えば有機ジオール、カルビノール官能性シロキサン、及びヒドロキシ官能性オルガノポリシロキサンポリマー、例えばポリエーテルシロキサンコポリマーがある。
【0047】
別の実施形態では、エポキシ官能性オルガノシロキサンの重合を、重合条件下でエポキシ官能性ヒドリドシロキサンと共重合して生成物のコポリマーを改質することができる1種以上のアルケニル官能性化合物の存在下で実施する。好適なアルケニル官能性化合物としては、例えばヘキサジエンのようなアルケニル官能性有機化合物及び、例えばビニルポリジメチルシロキサンのようなアルケニル官能性シリコーン化合物がある。例えば、アルケニル官能性化合物は、前記のように白金とヒドリド置換シロキサンを用いて、エポキシド基を反応させるカチオン性反応条件を生じさせる実施形態でヒドロシリル化によって便利に添加することができる。
【0048】
シリコーン組成物は、低乃至高剪断下でさらに加工処理して組成物の粘度と知覚上の感触を調節することができる。これは、例えば、組成物に中程度〜高度の剪断力をかけることによって行うことができる。高剪断は、例えばSonolator装置、Gaulin Homogenizer又はMicro Fluidizer装置を用いてかけることができる。任意には、剪断の前にシリコーン組成物に1種以上の流体を加えてもよい。
【0049】
好ましい実施形態では本発明のシリコーン組成物は固体、典型的にはクリームのコンシステンシーを有する固体であり、この場合コポリマー網目構造は流体をゲル化してその流体に固体の特性を可逆的に付与する手段として働く。静止状態では、シリコーン組成物は固体のゲル材料の特性を示す。本発明のシリコーン組成物は高い安定性とシネレシスに対する抵抗性を示す。すなわち、本発明の組成物は流体が組成物から流れ出る傾向をほとんど又はまったく示さず、このシリコーン組成物を成分として含むパーソナルケア組成物に高い安定性とシネレシス抵抗性を付与する。この高い安定性とシネレシス抵抗性は、かかるシリコーン組成物及びパーソナルケア組成物の長期のエージングで存続する。しかし、例えば指の間で組成物を擦ることなどによりシリコーン組成物に剪断力を加えることによって流体を網目構造から放出させてシリコーン材料の流体成分の向上した知覚感触特性をもたらすことができる。
【0050】
本発明の組成物の流体成分として使用するのに適した流体は、室温又はその付近、例えば約20〜約50℃で、そして約1気圧の圧力で液体状態にある化合物又はかかる化合物2種以上の混合物であり、例えば、シリコーン流体、炭化水素流体、エステル、アルコール、脂肪アルコール、グリコール及び有機油がある。好ましい実施形態では、本発明の組成物の流体成分は、25℃で約1000cSt未満、好ましくは約500cSt未満、さらに好ましくは約250cSt未満、最も好ましくは100cSt未満の粘度を示す。
【0051】
好ましい実施形態では本発明の流体成分がエモリエント(皮膚軟化剤)化合物からなる。好適なエモリエント化合物としては、エモリエント特性を示すあらゆる流体、すなわち、皮膚に塗布したときに皮膚の表面上又は皮膚の角質層内に止まって滑剤として機能し、フレーキングを低下させ、かつ皮膚の外観を改善する傾向があるあらゆる流体が包含される。エモリエント化合物は一般に知られており、例えば、炭化水素(例えばイソドデカン、イソヘキサデカン及び水素化ポリイソブテンなど)、有機ワックス(例えばホホバなど)、シリコーン流体(例えばシクロペンタシロキサン、ジメチコーン及びビス−フェニルプロピルジメチコーンなど)、エステル(例えばネオペンタン酸オクチルドデシル及びオレイン酸オレイルなど)、並びに脂肪酸及びアルコール(例えばオレイルアルコール及びイソミリスチルアルコールなど)がある。
【0052】
極めて好ましい実施形態では、本発明の流体成分はシリコーン流体からなり、さらに好ましくはエモリエント特性を示すシリコーン流体、好ましくは低分子量シリコーン流体又は低分子量シロキサン化合物からなる。好適なシリコーン流体としては、例えば、式Dの環状シリコーン[式中、D、R及びRは既に定義した通りであり、好ましくはR及びRは炭素原子1〜6個の一価炭化水素基からなる群から選択され、さらに好ましくはメチルであり、rは3≦r≦12の整数である]、例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(「D」)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(「D」)、デカメチルシクロペンタシロキサン(「D」)及びドデカメチルシクロへキサシロキサン(「D」)、並びに、次式を有する線状又は枝分れオルガノポリシロキサンがある。M′D′T′M′式中、M′はR19SiO1/2であり、D′はR20SiO2/2であり、T′はR21SiO3/2であり、R19、R20及びR21は各々独立に1〜60個の炭素原子を含有するアルキル、アリール又はアラルキルであり、qとsは各々独立に0〜300、好ましくは0〜100、さらに好ましくは0〜50、最も好ましくは0〜20の整数である。
【0053】
好ましい実施形態では、本発明のシリコーン組成物は、このシリコーン組成物100重量部(「pbw」)につき、ポリエーテルシロキサンコポリマー網目構造を0.1〜99pbw、さらに好ましくは0.5〜30pbw、さらに一層好ましくは1〜15pbw、そして流体を1〜99.9pbw、さらに好ましくは70〜99.5pbw、さらに一層好ましくは85〜99pbw含んでいる。
【0054】
本発明のポリエーテルシロキサンコポリマー網目構造組成物は製造したままで、又はエマルジョン中のシリコーン成分として使用することができる。一般に知られているように、エマルジョンは少なくとも2つの不混和性相からなり、一方は連続で他方は不連続である。またエマルジョンは様々な粘度の液体又は固体であってもよい。さらに、エマルジョンの粒度によってはマイクロエマルジョンとなることもあり、十分に小さいマイクロエマルジョンは透明であり得る。また、エマルジョンのエマルジョンを製造することも可能であり、これらは一般に多相エマルジョンとして知られている。これらのエマルジョンは次のものであり得る。
1)不連続相が水からなり、連続相が本発明のポリエーテルシロキサンコポリマー網目構造からなる水性エマルジョン、2)連続相が本発明のポリエーテルシロキサンコポリマー網目構造からなり、不連続相が水からなる水性エマルジョン、3)不連続相が非水性ヒドロキシル溶媒からなり、連続相が本発明のポリエーテルシロキサンコポリマー網目構造からなる非水性エマルジョン、4)連続相が非水性ヒドロキシル溶媒からなり、不連続相が本発明のポリエーテルシロキサンコポリマー網目構造からなる非水性エマルジョン。
【0055】
シリコーン相を含む非水性エマルジョンは米国特許第6060546号及び1998年3月3日に出願された同時係属中の米国特許出願第09/033788号(その開示内容は特に引用したことにより本明細書に含まれているものとする)に記載されている。
【0056】
本明細書中で用いる「非水性ヒドロキシル有機化合物」という用語は、室温、例えば約25℃、そして約1気圧の圧力で液体であるアルコール、グリコール、多価アルコール及びポリマー性グリコール並びにこれらの混合物で例示されるヒドロキシルを含有する有機化合物を意味する。非水性有機ヒドロキシル溶媒は、室温、例えば約25℃、そして約1気圧の圧力で液体であるアルコール、グリコール、多価アルコール及びポリマー性グリコール並びにこれらの混合物を含むヒドロキシルを含有する有機化合物からなる群から選択される。好ましくは、非水性ヒドロキシル有機溶媒は、エチレングリコール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブチレングリコール、イソブチレングリコール、メチルプロパンジオール、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンコポリマー及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0057】
シリコーンのみの相、シリコーン相を含む無水混合物、シリコーン相を含む水和混合物、油中水型エマルジョン、水中油型エマルジョン、又は2種の非水性エマルジョンのいずれかもしくはその変形としてのいずれであっても一旦所望の形態が達成されたら、得られた材料は通常良好な感触特性をもち、揮発性シロキサンを高度に吸収した高粘度のクリームであり、ヘアケア、スキンケア、制汗剤、日焼け止め、化粧品、カラーコスメチック、インセクトリペラー(昆虫忌避剤)、ビタミン及びホルモン担体、芳香性担体などの調合製品中に配合することができる。
【0058】
本発明のポリエーテルシロキサンコポリマー網目構造及びそれから得られる本発明のシリコーン組成物を使用できるパーソナルケア用途としては、デオドラント、制汗剤、制汗/防臭剤、シェービング製品、スキンローション、モイスチャライザー、トナー、浴用製品、クレンジング製品、ヘアケア製品、例えばシャンプー、コンディショナー、ムース、スタイリングジェル、ヘアスプレー、染毛剤、ヘアカラー製品、ヘアブリーチ、ウェービング製品、ヘアストレートナー、マニキュア製品、例えばネールポリッシュ(マニキュア液)、ネールポリッシュリムーバー(除光液)、ネイルクリーム及びローション、キューティクルソフトナー、保護クリーム、例えば日焼け止め、インセクトリペラー及び老化防止製品、カラーコスメチック、例えば口紅、ファンデーション、白粉、アイライナー、アイシャドー、頬紅、メーキャップ、マスカラ、その他従来からシリコーン成分を添加しているパーソナルケア製品、並びに皮膚に塗布する薬用組成物の局所投与のためのドラッグデリバリーシステムがあるが、限定されることはない。
【0059】
好ましい実施形態では、本発明のパーソナルケア組成物はさらに1種以上のパーソナルケア成分を含んでいる。好適なパーソナルケア成分としては、例えば、エモリエント、モイスチャライザー、保湿剤、例えばオキシ塩化ビスマスや二酸化チタン被覆雲母のような真珠光沢顔料を始めとする顔料、着色剤、芳香剤、殺生物剤、防腐剤、酸化防止剤、抗菌剤、殺菌剤、制汗剤、剥離剤(exfoliant)、ホルモン、酵素、医用化合物、ビタミン、塩、電解質、アルコール、ポリオール、紫外線吸収剤、植物エキス、界面活性剤、シリコーン油、有機油、ワックス、塗膜形成剤、例えばヒュームドシリカや水和シリカのような増粘剤、粒状充填材、例えばタルク、カオリン、澱粉、化工澱粉、雲母、ナイロン、粘土、例えばベントナイト及び有機変性粘土がある。
【0060】
好適なパーソナルケア組成物は、例えば混合するといったような当技術分野で公知の方法で、上記成分の1種以上を本発明のポリエーテルシロキサンコポリマー網目構造、好ましくはシリコーン組成物の形態のものと一緒にすることによって作成される。好適なパーソナルケア組成物は単一の相の形態であっても、或いはシリコーン相が不連続相か連続相のいずれかである水中油型、油中水型及び無水のエマルジョン並びに例えば油中水中油型及び水中油中水型のエマルジョンのような多相エマルジョンを含めてエマルジョンの形態であってもよい。
【0061】
有用な一実施形態では、制汗組成物が、本発明のポリエーテルシロキサンコポリマー網目構造と1種以上の活性な制汗剤とを含んでいる。好適な制汗剤としては、例えば、ヒト用に店頭販売される制汗性医薬品に関する米国食品医薬品局の1993年10月10日付モノグラフに掲げられているカテゴリーIの活性制汗性成分があり、例えば、ハロゲン化アルミニウム、ヒドロキシハロゲン化アルミニウム、例えばアルミニウムクロロハイドレート、及びこれらとオキシハロゲン化ジルコニル及びヒドロキシハロゲン化ジルコニルとの錯体又は混合物、例えばアルミニウム−ジルコニウムクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムグリシン錯体、例えばアルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレックスgly(aluminum zirconium tetrachlorohydrex gly)がある。
【0062】
別の有用な実施形態では、スキンケア組成物が、本発明のポリエーテルシロキサンコポリマー網目構造、好ましくはシリコーン組成物の形態のものと、例えばシリコーン油や有機油のようなビヒクルとを含んでいる。任意には、このスキンケア組成物はさらに、例えばトリグリセリドエステル、ワックスエステル、脂肪酸のアルキルエステルもしくはアルケニルエステル又は多価アルコールエステルのようなエモリエント、及び従来からスキンケア組成物に用いられている1種以上の公知の成分、例えば、顔料、ビタミン、例えばビタミンA、ビタミンC及びビタミンE、日焼け止めもしくはサンスクリーン化合物、例えば二酸化チタン、酸化亜鉛、オキシベンゾン、オクチルメトキシシンナメート、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、p−アミノ安息香酸及びオクチルジメチルp−アミノ安息香酸を含んでいてもよい。
【0063】
別の有用な実施形態では、例えば口紅、メーキャップ又はマスカラ組成物のようなカラーコスメチック組成物が、本発明のポリエーテルシロキサンコポリマー網目構造、好ましくはシリコーン組成物の形態のものと、顔料、水溶性染料又は油溶性染料のような着色剤とを含んでいる。
【0064】
別の有用な実施形態では、本発明の組成物を芳香性物質と組み合わせて使用する。これらの芳香性物質は、芳香性化合物、カプセル化された芳香性化合物、又は純粋な化合物であるかもしくはカプセル化された芳香放出性化合物であり得る。本発明の組成物と特に適合性のものは、米国特許第6046156号、同第6054547号、同第6075111号、同第6077923号、同第6083901号及び同第6153578号(いずれも引用により特に本明細書に含まれているものとする)に開示されているような芳香放出性含ケイ素化合物である。
【0065】
本発明の組成物の用途はパーソナルケア組成物に限られることはなく、本発明の組成物で処理したワックス、光沢剤及び織物などのような他の製品も考えられる。
【実施例】
【0066】
ポリエーテルシロキサンコポリマー網目構造組成物の製造実験製造例1
概略組成がM300であるヒドリド流体494.5gを、ビニルシクロヘキセンオキシド5.5g、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)1500g、及び白金ジビニルテトラメチルジシロキサン触媒溶液0.1gと混合した。得られた混合物を80℃に加熱した。2、3時間後、白金触媒溶液を追加して加えた。これを合計で4時間80℃に加熱した。このようにして、固形分が約26%のゲル状物ExpMJO−07−391を得た。次に、567gのExpMJO−07−391を1433gの追加のD5と混合した。その後、得られた混合物を4500psiでGaulinホモジナイザーに二回通した。得られたExpMJO−07−401は固形分が約7.3%、粘度が24200cpsであった。これを皮膚に擦りつけたところ極めてシルキーな感触であった。
【0067】
製造例2
概略組成がM33711.8であるヒドリド流体300gを、ビニルシクロヘキセンオキシド3.94g、Chevron製Gulftene C30+Alpha Olefin Fraction(αオレフィン画分。以後、置換基の場合はC30+と定義する)37g、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)1022.8g、及び白金ジビニルテトラメチルジシロキサン触媒溶液0.1gと混合した。得られた混合物を8時間80℃に加熱してExpMJO−07−433を得た。このものの固形分は約25.5%であった。次に、587.5gのExpMJO−07−433を1412.5gの追加のD5で膨潤させた後、4500psiでGaulinホモジナイザーに通した。得られたExpMJO−07−434は固形分が約7.4%、粘度が45000cpsであった。これを皮膚に擦りつけたところ同様にシルキーな感触であった。
【0068】
製造例3
概略組成がM1.733886.90.27であるヒドリド流体300gを、ビニルシクロヘキセンオキシド3.00g、Chevron製Gulftene C30+ Alpha Olefin Fraction9g、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)936g、及び白金ジビニルテトラメチルジシロキサン触媒溶液0.1gと混合した。得られた混合物を8時間80℃に加熱してExpMJO−07−422を得た。このものの固形分は約25.7%であった。次に、591.4gのExpMJO−07−422を1408.6gの追加のD5で膨潤させた後、4500psiでGaulinホモジナイザーに通した。得られたExpMJO−07−437は固形分が約7.26%、粘度が39000cpsであった。
【0069】
製造例4
概略組成がM1.733886.90.27であるヒドリド流体300gを、ビニルシクロヘキセンオキシド3.00g、C−16/18 Alpha Olefin Fraction3g、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)918g、及び白金ジビニルテトラメチルジシロキサン触媒溶液0.1gと混合した。得られた混合物を8時間80℃に加熱してExpMJO−07−424を得た。このものの固形分は約25.7%であった。次に、591.4gのExpMJO−07−424を1408.6gの追加のD5で膨潤させた後、4500psiでGaulinホモジナイザーに通した。得られたExpMJO−07−438は固形分が約7.57%、粘度が39500cpsであった。
【0070】
製造例5
概略組成がM33711.8であるヒドリド流体300gを、ビニルシクロヘキセンオキシド4.89g、Chevron製Gulftene C30+Alpha Olefin Fraction26.4g、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)733g、及び白金ジビニルテトラメチルジシロキサン触媒溶液0.08gと混合した。得られた混合物を6時間80℃に加熱してExpMJO−07−464を得た。このものの固形分は約30.84%であった。次に、533gのExpMJO−07−464を967gの追加のD5で膨潤させた後、4500psiでGaulinホモジナイザーに通した。得られたExpMJO−07−465は固形分が約11%、粘度が200000cpsであった。
【0071】
製造例6
概略組成がMD10010.5Mであるヒドリド流体300gを、ビニルシクロヘキセンオキシド13.53g、Chevron製Gulftene C30+Alpha Olefin Fraction34.84g、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)647g、及び白金ジビニルテトラメチルジシロキサン触媒溶液0.10gと混合した。得られた混合物を6時間80℃に加熱してExpMJO−07−477を得た。このものの固形分は約35.25%であった。次に、533gのExpMJO−07−477を947gの追加のD5で膨潤させた後、4500psiでGaulinホモジナイザーに通した。得られたExpMJO−07−482は固形分が約12.69%、粘度が16500cpsであった。
【0072】
製造例7
概略組成がM20010.5であるヒドリド流体316.4gを、ビニルシクロヘキセンオキシド7.56g、4−アリル−2−メトキシフェノール7.00g、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)840g、及び白金ジビニルテトラメチルジシロキサン触媒溶液0.09gと混合した。得られた混合物を6時間80℃に加熱してExpMJO−08−537を得た。次に、418gのExpMJO−08−537を582gの追加のD5で膨潤させた後、8000psiでGaulinホモジナイザーに通した。得られたExpMJO−08−540は固形分が約12%、粘度が198000cpsであった。
【0073】
製造例8(ゲル化後のヒドロシリル化の例)
概略組成がM33711.8であるヒドリド流体300gを、ビニルシクロヘキセンオキシド3.94g、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)905.4g、及び白金ジビニルテトラメチルジシロキサン触媒溶液0.1gと混合した。得られた混合物を良く掻き混ぜながら4時間80℃に加熱した。ゲル化した反応混合物の少量のサンプルを採ってFTIRで分析したところ、明らかに残留SiHが残っていることが示された。次に、30gのトリメチロールプロパンモノアリルエーテルのジイソステアリン酸エステル、100gのD5及び1滴のPt触媒の混合物を加えた。得られた混合物をさらに2時間80℃に加熱した。この終了時に固形分が約25.1%のゲル(ゲルE)が得られた。FTIR分析により、SiH伸縮(約2140cm−1)の大きさが実質的に低下したことが示された。
【0074】
製造例9(濃縮ヒドリドシロキサンの添加の例)
概略組成がM1.733886.90.27であるヒドリド流体300gを、ビニルシクロヘキセンオキシド3.00g、4−アリル−2−メトキシフェノール4.00g、Chevron製Gulftene C30+ Alpha Olefin Fraction20.8g、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)984g、及び白金ジビニルテトラメチルジシロキサン触媒溶液0.1gと混合した。得られた混合物を良く掻き混ぜながら1時間80℃に加熱した。この時点で、トリメチルシリル停止メチル水素ポリシロキサン4gとデカメチルシクロペンタシロキサン5gの混合物を加えた。反応混合物は3分でゲル化した。反応を完了させるために加熱は5時間続けた。
【0075】
製造例10
概略組成がM20010.5であるヒドリド流体300gを、ビニルシクロヘキセンオキシド7.22g、Chevron製Gulftene C30+Alpha Olefin Fraction34.1g、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)796g、及び白金ジビニルテトラメチルジシロキサン触媒溶液0.085gと混合した。得られた混合物を6時間80℃に加熱してExpMJO−07−481を得た。次に、562gのExpMJO−07−481を938gの追加のD5とIsopar C中のメチルジ(水添タロー)アミンの10%溶液1.0gとの混合物で膨潤させた後、4500psiでGaulinホモジナイザーに通した。得られたExpMJO−07−484は固形分が約11.58%、粘度が85000cpsであった。
【0076】
【表1】

【0077】
これらの制汗スティックを作成するには、ステアリルアルコール、水添ひまし油、イソドデカン、SF1202及びExpMJO−07−465を、これらのゲル化剤が融解するまで加熱した。Al Zr Trichlorohydrex Glyを70℃でバッチに加え、均一になるまで混合した。制汗剤を約60℃で容器に注入した。この制汗剤の白さ、保液能、感触、及びスティックの硬さを評価した。この白さを決定するには、消費者の塗り方を模倣するために暗色のビニールスライド上に制汗剤を塗布し、ビニールテストスライドを15分間風乾し、外観によって白さを決定した。対照の制汗剤は塗布後5〜10分以内に強い白さを示した。制汗剤Bは対照と比べて低下した白さを示した。制汗剤Bはまた、スティックに親指の圧力をかけたときに化粧品流体を保持する優れた能力も示した。また、この配合のスティックの剛性と弾性も改良されていた。さらに、最終の仕上がり粉末で滑らかな皮膚の感触を示した。配合Bはまた、より良好でより均一なマトリックスを提供しステアリルアルコール結晶化マトリックスの生長を低下させることによって有機ゲル化剤の結晶化も改善した。
【0078】
【表2】

【0079】
これらの透明な制汗スティックを作成するには、プロピレングリコールを80℃に加熱し、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)にゆっくりと振りかけた。HPCが均一に分散した後混合物を130℃に加熱し、DBSをバッチに加えた。このグリコール混合物が100℃に冷えたとき制汗活性剤溶液を加えた。別に、シリコーン相すなわちC部を混合し80℃に加熱した後、このシリコーン相にグリコール相をゆっくり導入した。
【0080】
本発明の透明な制汗剤Bはシネレシスを示さず、そのスティックの剛性は対照と比較して増大していた。また、対照と比べて、皮膚に対する塗り具合(pay−out)が良好であり、しかも制汗活性剤は滑らかで均一に付着した。
【0081】
【表3】

注1:被覆度は対照に対して判定した。ファンデーションAはファンデーションBの対照であり、ファンデーションCはファンデーションDの対照である。
2:ファンデーションCとDは、ファンデーションをビニルスライドに塗布し5サイクルの洗い流した後に外観を評価した。洗い流し耐性はASTMのD1913に記載されている。
【0082】
これらのファンデーションを製造するには、A部とB部を室温で均一になるまで一緒に混合した。水相(C部)を油相に添加するとエマルジョンが生成した。ファンデーションサンプルのビニルスライド被覆度は24ミクロンの厚さで評価した。すべてのファンデーションのドローダウン中の塗り易さ、外観、被覆度及び艶を評価した。艶は、12時間後に光沢計を用いて決定した。この研究でファンデーションBはファンデーションA(対照)に対して、そしてファンデーションDはファンデーションC(対照)に対して評価した。
【0083】
ファンデーションBはビニルスライド上で線の外観と欠陥を減らすことによって、そして最初の練り合わせ中の艶を低下させることによって優れた均一な被覆度を与えた。しかし、ファンデーションAとBはいずれも12時間後光沢に変化がなかった。ファンデーションBは粉末状仕上げ外観をもち贅沢なシルキー感触を付与した。本発明のファンデーションBは、室温で1週間後、同時にシネレシスを示したファンデーションA(対照)と比べて改良された安定性をもっていた。
【0084】
ファンデーションDはファンデーションBについて記載したのと類似の効果を示した。またこのファンデーションは洗い流し耐性も示し、このためパーソナルケア製品は発汗に対し、又は水泳中の持続性が向上した。ファンデーションDは上記結果に見られるように艶を調節する能力をもっていた。
【0085】
化粧品実施例5及び6
これらの2つの例は、本発明のシリコーンゲルの有機相溶性を示すために調製し、シクロペンタシロキサン(及び)ジメチコーン/ビニルジメチコーンクロスポリマー(SFE839)というINCI名を有する現存のエラストマーゲルと比較した。
【0086】
【表4】

【0087】
ペトロラタムをSFE839と混合するとその配合品は構造を失い、不透明な流体混合物となった。すなわち、ペトロラタムとSFE839の不相溶性を示した。一方、ペトロラタムを本発明のゲル中に混入するとゲルは製品の一体性を維持する能力があり、このゲルとペトロラタムの相溶性を示していた。
【0088】
【表5】

【0089】
セテアリル(Cetearyl)メチコーンは線状アルキル置換シリコーンであり、皮膚上に吸蔵性バリヤーを創成することにより配合物に対して保湿性を与える。このシリコーンモイスチャライザーを新規なゲルと一緒にすると良好な相溶性を示したが、SFE839は相溶性を示さなかった。また、本発明のゲルは、SFE839で必要とされる高剪断ミキサー又は長い混合時間を必要としないという点で化粧品成分とブレンドするのがより容易である。
【0090】
化粧品実施例7
このスキントリートメントゲルは、下記の成分全部を室温で均一になるまで一緒にすることによって製造した。このゲルを皮膚処理用の送達系として使用した。このゲルは製造中加熱を必要としないので熱感受性と非熱感受性の活性成分の両方として適している。この配合品中には水がないため、ビタミンCの効力が使用するまで確保される。
【0091】
【表6】

【0092】
化粧品実施例8
下記成分を含むリップトリートメントは輪郭形成、持続性及び保湿感触に有用である。
【0093】
【表7】

【0094】
化粧品実施例9
シルキーなボディーローションを作成するには、A部を一緒にし、80℃に加熱する。別の容器で、B部を混合し、75℃に加熱する。高剪断混合下でA部とB部を一緒に加えるとエマルジョンが生成する。このローションでは明るくすべすべした皮膚感触が得られる。
【0095】
【表8】

【0096】
化粧品実施例10〜13
室温でA部とB部とを一緒にすることにより各種パーソナルケア製品用の耐水性ローションを製造した。次にこれらローションをガラススライドに塗り、ASTMのD1913に記載の方法を用いて耐水性の程度を試験した。洗い流し耐性の程度は、ローションが完全に洗い流されるまでに受ける洗い流しサイクルの数である。以下に示すように、本発明の新規なゲルを含むボディーローションB〜Eは耐水性を示した。
【0097】
【表9】

【0098】
化粧品実施例14
下記成分を含むヘアシャンプーは毛髪繊維にシルキーな感触を与える。このシャンプーは2通りに製造することができる。1つは、シャンプーに直接シリコーンゲルを加える。他方は、シリコーンゲルをエマルジョンが生成するまで少なくとも1種の界面活性剤及び水とプレブレンドし、そのシリコーンゲルエマルジョンをシャンプーに加える。
【0099】
このシャンプーは、次の成分を以下の順に混合することにより作成する。
【0100】
【表10】

【0101】
化粧品実施例15
このデイリーユーズヘアコンディショナーは軟らかさ、滑らかさ及び腰の強さ(body)を与える。
【0102】
【表11】

【0103】
化粧品実施例16
このリーブオン(leave on)ヘアコンディショナーはばさつき(fly−away)を低下させ、腰の強さ及びボリューム感を増大する。
【0104】
【表12】

【0105】
化粧品実施例17
この軟らかい固体制汗剤は抗シネレシス性の増粘・知覚向上剤としてシリコーンゲルを含有している。このゲルは優れた有機相溶性を示す。これは所望の肌触りと剛さを達成するために有機増粘剤と組み合わせて用いられる。
【0106】
【表13】

【0107】
化粧品実施例18
このシリコーンリップスティックは唇を軟らかくするためにシリコーンゲルを含有している。独特な軟らかいシルキー感触を与える2種のシリコーン、すなわちSF1528とExp−MJO−07−484とがある。太陽光から保護するための配合には日焼け止めを加えることができよう。
【0108】
【表14】

【0109】
SFxxxxという材料はGE Silicones社(米国ニューヨーク州ウォーターフォード、ハドソン・リバー・ロード260番)から市販されているシリコーン材料である。
【0110】
以上の実施例は単に例示のために挙げたものであり、いかなる意味でも特許請求の範囲を限定するものではない。当業者は、本明細書に記載の主題と開示範囲に対して、当技術分野の通常の知識に基づき特許請求の範囲の正確又は公正な範囲内に入る自明な変形をなすことができるものと考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋を形成する少なくとも1以上のエーテル結合を含み、カチオン性反応条件下で得られる次式の反応生成物を含んでなる組成物。

式中、
M=RSiOl/2
=RHSiO1/2
=RSiO1/2
D=RSiO2/2
=R10HSiO2/2
=R11SiO2/2
T=Rl2SiO3/2
=HSiO3/2
=RSiO3/2
Q=SiO4/2であり、
、R、R、R、R及びR12は独立に炭素原子数1〜60の一価炭化水素基であり、R、R及びR10は独立に炭素原子数1〜60の一価炭化水素基又は水素であり、R、R及びR11は独立に炭素原子数1〜60の一価炭化水素基又はRであり、各Rは独立に炭素原子数1〜60の1以上のオキシラン部分を有する一価炭化水素基であり、化学量論的添字a、b、c、d、e、f、g、h、i及びjはゼロ又は正の数であるが、a+b+c>1、b+e+h>1、c+f+i>1、b+e+h>c+f+iであり、d+e+f+g+h+i+j=0のときはa+b+c=2であることを条件とする。
【請求項2】
が次式を有する、請求項1記載の組成物。
【化1】

式中、R13、R14、R15、Rl6、R17及びRl8は各々独立に水素及び炭素原子数1〜60の一価炭化水素基からなる群から選択され、Qは炭素原子数1〜60の二価又は三価炭化水素基であり、Qは炭素原子数1〜60の二価炭化水素基であり、添字m及びnは独立に0又は1であるが、Qが三価のときはRl3又はR14の一方が存在しないことを条件とする。
【請求項3】
が4−ビニルシクロヘキセンオキシド、アリルグリシジルエーテル、リモネンオキシド、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−7−オクテン、ノルボルナジエンモノエポキシド及び1,2−エポキシ−9−デセンからなる群から選択される請求項1記載の組成物。
【請求項4】
l3、R14、Rl5、R16、Rl7及びRl8が水素であり、m及びnが0である、請求項2記載の組成物。
【請求項5】
が4−ビニルシクロヘキセンオキシドである、請求項3記載の組成物。
【請求項6】
、R、R、R、R及びRl2が独立にメチル、エチル、sec−ブチル、tert−ブチル、オクチル、デシル、ドデシル、セチル、ステアリル、エテニル、プロペニル、ブチニル、ヒドロキシプロピル、ブトキシ、2,5,8−トリオキサデカニル、カルボキシメチル、クロロメチル、C30+及び3,3,3−トリフルオロプロピルからなる群から選択される、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の組成物。
【請求項7】
不連続相が水を含み、連続相が請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の組成物を含む、水性エマルジョン。
【請求項8】
連続相が水を含み、不連続相が請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の組成物を含む、水性エマルジョン。
【請求項9】
不連続相が非水性ヒドロキシル溶媒を含み、連続相が請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の組成物を含む、非水性エマルジョン。
【請求項10】
連続相が非水性ヒドロキシル溶媒を含み、不連続相が請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の組成物を含む、非水性エマルジョン。

【公開番号】特開2008−248256(P2008−248256A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−172372(P2008−172372)
【出願日】平成20年7月1日(2008.7.1)
【分割の表示】特願2002−139363(P2002−139363)の分割
【原出願日】平成14年5月15日(2002.5.15)
【出願人】(506390498)モーメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・インク (85)
【Fターム(参考)】