説明

ポリエーテルポリオール、その製造方法および用途、ポリエーテルポリオールを含有する接着剤

【課題】機械強度および耐侯性に優れたポリウレタン樹脂硬化物の原料として有用であり、かつ透明なポリエーテルポリオールおよびその製造方法の提供。
【解決手段】分子中に下記式(1)であらわされるエステル基を有する水酸基含有(メタ)アクリレートグラフトポリエーテルポリオール。


(式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、R2は炭素数1〜18のアルキレン基を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なポリエーテルポリオールおよびその製造方法、ならびにこのポリエーテルポリオールの用途に関する。より詳しくは、水酸基含有(メタ)アクリレートをグラフトしたポリエーテルポリオールおよびその製造方法に関する。
【0002】
本発明は、接着剤に関する。より詳しくは、水酸基含有(メタ)アクリレートをグラフトしたポリエーテルポリオールを含有する接着剤に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリエーテルポリオールはポリウレタン樹脂の原料として広く用いられている。このポリエーテルポリオールは、そのまま使用すると十分な機械強度を有するポリウレタン樹脂硬化物が得られなかったり、長時間の紫外線により分解されやすいという問題があった。このため、たとえば高硬度を必要とする用途では、ビニルポリマーを分散させたポリマーポリオールの形態で使用されることが多かった。このポリマーポリオールは、たとえば、特許文献1(特公昭41−3473号公報)に記載されているように、重合触媒としてアゾビスイソブチロニトリルや過酸化ベンゾイルの存在下、ポリオール中でアクリレートなどのビニルモノマーを重合させることにより製造される。ところが、アゾビスイソブチロニトリルや過酸化ベンゾイルを触媒として製造されたポリマーポリオールは、通常白濁しており、用途が制限されるという問題があった。
【0004】
一方、特許文献2(特公昭47−47999号公報)には、オレフィン類とポリオキシアルキレン化合物とのグラフト共重合体が開示されている。ここで用いられている触媒は、3級炭素原子に結合したパーオキサイド基を含有するパーオキサイドであり、この触媒を用いて合成したグラフト共重合体が透明性を示すことも開示されている。また、オレフィン類として、炭化水素オレフィン、オレフィン系ニトリル、飽和脂肪族カルボン酸のアルケニルエステル、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、不飽和脂肪酸が例示されている。ところが、このグラフト共重合体を用いたポリウレタン樹脂硬化物は、機械強度や長期耐侯性に改良の余地があり、これらの特性のさらなる向上が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭41−3473号公報
【特許文献2】特公昭47−47999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、機械強度および耐侯性に優れたポリウレタン樹脂硬化物の原料として有用であり、かつ透明なポリエーテルポリオールおよびその製造方法を提供すること、およびこのポリエーテルポリオールを用いたポリウレタン樹脂組成物を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記問題点を解決すべく鋭意研究した結果、特定のラジカル反応開始剤の存在下で水酸基を含有するビニルモノマーをグラフトしたポリエーテルポリオールが透明であり、かつこれを用いたポリウレタン樹脂硬化物が機械強度および耐侯性に優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明に係る水酸基含有(メタ)アクリレートグラフトポリエーテルポリオールは、分子中に下記式(1)であらわされるエステル基を有することを特徴とする。
【0009】
【化1】

式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、R2は炭素数1〜18のアルキレン基を示す。
【0010】
また、本発明に係る水酸基含有(メタ)アクリレートグラフトポリエーテルポリオールは、ポリオキシアルキレンポリオールと、少なくとも下記式(2)で表される水酸基含有(メタ)アクリレートを含有するビニルモノマーとを反応させることにより得ることができる。
【0011】
【化2】

式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、R2は炭素数1〜18のアルキレン基を示す。
【0012】
さらに、本発明に係る水酸基含有(メタ)アクリレートグラフトポリエーテルポリオールは、ラジカル反応開始剤であるアルキル過酸化物の存在下で、ポリオキシアルキレンポリオール40〜95重量部と、少なくとも下記式(2)で表される水酸基含有(メタ)アクリレートを含有するビニルモノマー5〜60重量部とを反応させることにより得られ(ただし、前記ポリオキシアルキレンポリオールと前記ビニルモノマーとの合計を100重量部とする)、前記ポリオキシアルキレンポリオールの水酸基1モルに対してアルキル過酸化物0.1〜5モルと前記水酸基含有(メタ)アクリレート0.5〜10モルとを用いて得ることができる。
【0013】
【化3】

式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、R2は炭素数1〜18のアルキレン基を示す。
【0014】
前記水酸基含有(メタ)アクリレートグラフトポリエーテルポリオールは、透過光濁度が50度(カオリン)以下であることが好ましく、分光光度計により測定した光線透過率が、光線波長300nmで30%以下であり、かつ光線波長500nmで90%以上であることも好ましい。
【0015】
本発明に係る一液硬化型および二液硬化型ポリウレタン樹脂組成物は、上記水酸基含有(メタ)アクリレートグラフトポリエーテルポリオールを用いることを特徴とする。
本発明に係る接着剤は、上記水酸基含有(メタ)アクリレートグラフトポリエーテルポリオールを含有することを特徴とする。
【0016】
本発明に係る水酸基含有(メタ)アクリレートグラフトポリエーテルポリオールの製造方法は、ラジカル反応開始剤であるアルキル過酸化物の存在下で、ポリオキシアルキレンポリオール40〜95重量部と、少なくとも下記式(2)で表される水酸基含有(メタ)アクリレートを含有するビニルモノマー5〜60重量部とを反応させる(ただし、前記ポリオキシアルキレンポリオールと前記ビニルモノマーとの合計を100重量部とする)ことを特徴とする。
【0017】
【化4】

式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、R2は炭素数1〜18のアルキレン基を示す。
【0018】
上記製造方法において、前記ポリオキシアルキレンポリオールの水酸基1モルに対してアルキル過酸化物0.1〜5モルと前記水酸基含有(メタ)アクリレート0.5〜10モルとを用いることが好ましい。
【0019】
前記ポリオキシアルキレンポリオールは、その数平均分子量が500〜10000であることが好ましく、1分子中に1〜8個の水酸基を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、機械強度および耐侯性に優れたポリウレタン樹脂硬化物の原料として有用であり、かつ透明なポリエーテルポリオールを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
〔グラフトポリエーテルポリオール〕
本発明に係る水酸基含有(メタ)アクリレートグラフトポリエーテルポリオール(以下、「グラフトポリエーテルポリオール」という。)は、分子中に下記式(1)であらわされるエステル基を有する。
【0022】
【化5】

(式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、R2は炭素数1〜18のアルキレン基を示す。)
【0023】
このようなグラフトポリエーテルポリオールは、たとえば、ポリオキシアルキレンポリオールと、少なくとも下記式(2)で表される水酸基含有(メタ)アクリレートを含有するビニルモノマーとをグラフト反応させることにより得ることができる。また、このグラフト反応はアルキル過酸化物をラジカル反応開始剤として使用することが好ましい。
【0024】
【化6】

(式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、R2は炭素数1〜18のアルキレン基を示す。)
【0025】
上記式(1)であらわされるエステル基は、上記式(2)で表される水酸基含有(メタ)アクリレートから誘導される基であり、本発明に係るグラフトポリエーテルポリオールは、このエステル基がポリオキシアルキレンポリオールのアルキレン基にグラフト結合した構造を有していることが好ましい。
【0026】
(ポリオキシアルキレンポリオール)
本発明に用いられるポリオキシアルキレンポリオールは、従来公知の方法で製造することができ、たとえば、水酸化カリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属触媒、亜鉛とコバルトのシアノ錯体である複合金属触媒、または窒素-リン二重結合を有するフォスファゼン、フォスファゼニウムなどのフォスファゼニウム触媒等の公知の触媒の存在下で、水酸基含有化合物にアルキレンオキサイドを開環重合させることによって製造することができる。本発明では、開環重合終了後、使用した触媒を除去することが好ましい。
【0027】
上記水酸基含有化合物は、ポリオキシアルキレンポリオールの製造に通常用いられる水酸基含有化合物であれば特に制限されず、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルキレングリコール;グリセリン、トリメチロールプロパン等のトリオール;ペンタエリスリトール、ジグリセリン等のテトラオール;ソルビトール等のヘキサオール;およびショ糖等が挙げられる。
【0028】
上記アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドが挙げられる。これらは1種単独で用いても2種を併用してもよい。このうち、プロピレンオキサイド単独で、またはエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを組み合わせて用いることが好ましい。すなわち、上記ポリオキシアルキレンポリオールは少なくともオキシプロピレン単位を含有することが好ましい。
【0029】
上記ポリオキシアルキレンポリオールの数平均分子量は、好ましくは500〜10000、より好ましくは1000〜8000、最も好ましくは2000〜5000が望ましい。ポリオキシアルキレンポリオールの数平均分子量が上記範囲にあると、透明かつより取扱いやすい粘度を有するグラフトポリエーテルポリオールを得ることができる。なお、ポリオキシアルキレンポリオールの数平均分子量は、上記アルキレンオキサイドの開環重合度をコントロールすることにより調整できる。
【0030】
また、上記ポリオキシアルキレンポリオールは1分子中に、好ましくは1〜8個の水酸基を有し、より好ましくは2〜5個の水酸基を有することが望ましい。ポリオキシアルキレンポリオールの水酸基数が上記範囲にあると水酸基と反応可能な官能基を有する化合物と混合しても増粘などの経時変化が起こりにくい。
【0031】
本発明では、ポリオキシアルキレンポリオールは、ポリオキシアルキレンポリオールとビニルモノマーとの合計100重量部に対して、通常40〜95重量部、好ましくは50〜90重量部、より好ましくは60〜85重量部使用することが望ましい。ポリオキシアルキレンポリオールの使用量が上記範囲にあると、より優れた機械強度および長期間耐侯性を有するポリウレタン樹脂硬化物の原料として有用であり、かつ透明なグラフトポリエーテルポリオールを得ることができる。
【0032】
(ビニルモノマー)
本発明に用いられるビニルモノマーは、少なくとも上記式(2)で表される水酸基含有(メタ)アクリレートを含有する。水酸基含有(メタ)アクリレートを含有するビニルモノマーをグラフトすることにより、透明なグラフトポリエーテルポリオールが得られ、このグラフトポリエーテルポリオールを用いたポリウレタン樹脂硬化物は優れた機械強度および長期間耐侯性を示す。特に、この水酸基含有(メタ)アクリレートは、ポリオキシアルキレンポリオールの水酸基1モルに対して通常0.5〜10モル、好ましくは0.75〜8モル、より好ましくは1〜6モル用いることが望ましい。
【0033】
上記水酸基含有(メタ)アクリレートと併用してもよい、他のビニルモノマーとしては、アクリロニトリル、スチレン、アクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、酢酸ビニルなどのビニルエステル類、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類などが挙げられる。これらの他のビニルモノマーは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0034】
本発明では、水酸基含有(メタ)アクリレートを含有するビニルモノマーは、ポリオキシアルキレンポリオールとビニルモノマーとの合計100重量部に対して、ビニルモノマーを通常5〜60重量部、好ましくは10〜50重量部、より好ましくは15〜40重量部使用することが望ましい。ビニルモノマーの使用量が上記範囲にあると、より優れた機械強度および長期間耐侯性を有するポリウレタン樹脂硬化物の原料として有用であり、かつ透明なグラフトポリエーテルポリオールを得ることができる。
【0035】
(ラジカル反応開始剤)
本発明では、グラフト反応を行う際、ラジカル反応開始剤としてアルキル過酸化物を用いることが好ましい。本発明に用いられるアルキル過酸化物をとしては、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジ−tert−ヘキシルパーオキサイド、α,α'−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルクミルパーオキシドなどのジアルキルパーオキサイド類;tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシアセテートなどのパーオキシエステル類;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレートなどのパーオキシケタール類などが挙げられる。
【0036】
これらのアルキル過酸化物は1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。本発明では、アルキル過酸化物は、ポリオキシアルキレンポリオールの水酸基1モルに対して通常0.1〜5モル使用することが望ましい。アルキル過酸化物の使用量が上記範囲にあると、上記ポリオキシアルキレンポリオールと上記ビニルモノマーとのグラフト反応を好適に行うことができる。
【0037】
(グラフト反応)
上記グラフト反応を行う際、ビニルモノマーをポリオキシアルキレンポリオールに添加して反応させることが好ましい。反応温度は、好ましくは100〜200℃、より好ましくは120〜180℃、最も好ましくは140〜160℃である。
【0038】
ビニルモノマーの添加方法は、一括添加および逐次添加のいずれの方法でもよいが、一括添加の場合には反応熱により温度が急激に上昇することがあるため、逐次添加することが好ましい。ビニルモノマーの添加時間(滴下時間)は、好ましくは5〜600分以下、より好ましくは60〜450分、最も好ましくは好ましく120〜300分である。ビニルモノマーを上記範囲の時間をかけて滴下すると反応熱による急激な温度上昇を防止することができ、グラフト反応を安定して行うことができる。また、ビニルモノマーは、ポリオキシアルキレンポリオールの一部と予め混合した後、残りのポリオキシアルキレンポリオールに添加することが好ましい。このようにしてビニルモノマーを添加することによりグラフト反応を安定して行うことができる。
【0039】
本発明では、ポリオキシアルキレンポリオールに所定量のビニルモノマーを添加した後、上記反応温度に保持してグラフト反応を熟成させる。このときの反応時間は、好ましくは5〜600分以下、より好ましくは60〜450分、最も好ましくは好ましく120〜300分である。その後、減圧処理等で未反応モノマーを除去することにより、本発明に係るグラフトポリエーテルポリオールを得ることができる。
【0040】
本発明に係るグラフトポリエーテルポリオールは、透過光濁度が、通常50度(カオリン)以下、好ましくは40度(カオリン)以下、より好ましくは25度(カオリン)以下であり、透明性を有している。また、上記グラフトポリエーテルポリオールは、分光光度計により測定した光線波長300nmにおける光線透過率が30%以下であることが好ましく、25%以下がより好ましく、20%以下が特に好ましい。また、光線波長500nmにおける光線透過率は90%以上であることが好ましく、93%以上がより好ましい。光線波長300nmにおける光透過率が上記範囲にあるグラフトポリエーテルポリオールは十分な量のグラフト鎖を有し、アクリル樹脂との相溶性に優れている。また、光線波長500nmにおける光透過率が上記範囲にあるグラフトポリエーテルポリオールは可視光域での透明性に優れている。
【0041】
〔ポリウレタン樹脂組成物およびその硬化物〕
本発明に係るグラフトポリエーテルポリオールは、一液硬化型または二液硬化型ポリウレタン樹脂組成物の原料として好適に用いられる。また、このようなポリウレタン樹脂組成物は接着剤や防水材として好適に用いられる。
【0042】
上記ポリウレタン樹脂組成物において、上記グラフトポリエーテルポリオールは単独で使用してもよいが、本発明の効果を損なわない範囲の量で、他の活性水素化合物を併用することもできる。他の活性水素化合物としては、通常の一液硬化型または二液硬化型ポリウレタン樹脂組成物に用いられるポリオールなどが挙げられる。具体的には、グリセリン、ショ糖、ペンタエリスリトール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、ジグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチルペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、8−オクタンジオール等のグリコール類などが挙げられる。また、上述したポリオキシアルキレンポリオールも他の活性水素化合物として使用することができる。
【0043】
上記ポリウレタン樹脂組成物には、硬化剤として有機イソシアネート化合物が用いられる。ここで用いられる有機イソシアネート化合物は、通常の一液硬化型または二液硬化型ポリウレタン樹脂組成物に使用されるイソシアネート基を有する化合物であれば特に限定されず、たとえば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、およびこれらのイソシアネートの誘導体や変性体などが挙げられる。
【0044】
上記ポリウレタン樹脂組成物には、さらに硬化触媒、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、安定剤、可塑剤などの従来公知の各種添加剤を添加することができる。
このようなポリウレタン樹脂組成物から得られる硬化物は、機械強度、耐侯性に優れており、特に、長時間の紫外線照射においても形状変化等の劣化が起こりにくい。
【0045】
[実施例]
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、この実施例により何ら限定されるものではない。なお、「部」および「%」は特に断りのない限り、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。
実施例および比較例における分析、測定は以下の方法に従って実施した。
【0046】
(1)ポリエーテルポリオールまたはポリエーテルポリオール組成物の特性
(i)水酸基価:
JIS K1557「ポリウレタン用ポリエーテル試験方法」の6.4項「水酸基価」に従って測定した。
(ii)粘度:
JIS K1557の6.3項「粘度」に従って測定した。
(iii)濁度:
JIS K0101「工業用水試験方法」の9.2項「透過光濁度」に従い、試薬としてカオリン標準液を用いて測定した。
(iv)外観:
室温(20〜25℃)において、目視により観察した。
【0047】
(v)光線透過率:
紫外可視分光光度計((株)日立製作所製、U−4100)により、下記条件にて分光光線透過率を測定した。結果は光線波長300nmおよび500nmの透過率を示した。紫外線域の波長300nmの光線透過率はグラフトポリオールの構造に起因し、可視光域の波長500nmの光線透過率は目視での透明性を反映する指標である。
・測定方法:透過法
・測定モード:波長測定
・データモード:透過率(0〜100%)
・測定本位:300nm/min
・スリット:6.00nm(固定)
・サンプリング間隔:1.00nm
・検出器:積分球/光電子増倍管
・セル:光路方向厚み10mmの石英セル
・リファレンス:ヘキサン
・測定波長範囲:900〜200nm
・ベースライン補正:リファレンス側および試料側のセルにヘキサンを入れた状態でベースラインを補正した後、試料側セルに測定サンプルを入れ、光透過率を測定した。
【0048】
(vi)ポリエーテルポリオール組成物中のポリマー含有量:
ポリエーテルポリオール組成物中のポリマー含有量を、ポリオキシアルキレンポリオールとビニルモノマーとを反応させたときの、ビニルモノマー由来のポリマー量と定義し、下記条件にてガスクロマトグラフィーを用いて未反応ビニルモノマー量を分析し、仕込みビニルモノマー量から算出した。
・ガスクロマトグラフィー:島津製作所製GC−14A
・キャリアガス:ヘリウム、30ml/min
・カラム:化学品検査協会製G−300、内径1.2mm、長さ40m、膜厚1.0μm
・カラム温度条件:90℃にて6分保持し、その後20℃/minで昇温し、200℃にて8分保持。
【0049】
(2)ポリウレタン樹脂硬化物の特性
(i)硬度:
JIS K7312「熱硬化性ポリウレタンエラストマー成形物の物理試験方法」の7項「硬さ試験」およびJIS K6253「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの硬さ試験方法」の5項「デュロメーター硬さ」の試験タイプAに従って測定した。結果は、JIS K6253の5.6項「試験結果のまとめ方」に従って5回の測定値の平均値により表した。
(ii)モジュラス:
JIS K7312の5項「引張試験」に従い、5.3項「試験片」に記載の2号形ダンベル状試験片を用いて測定し、5.5.3項「引張応力」に従って、伸び100%時の引張応力であるモジュラス100(M100)を算出した。
(iii)引張強さ:
JIS K7312の5項「引張試験」に従い、5.3項「試験片」に記載の2号形ダンベル状試験片を用いて測定し、5.5.1項「引張強さ」に従って算出した。
(iv)伸び:
JISK7312の5項「引張試験」に従い、5.3項「試験片」に記載の2号形ダンベル状試験片を用いて測定し、5.5.2項「切断時伸び」に従って算出した。
【0050】
(v)引裂強さ:
JISK7312の6項「引裂試験」に従い、6.3項「試験片」に記載の(B)切込みなしアングル形試験片を用いて測定した。
(vi)耐候性
ポリウレタン樹脂組成物を、40mm×40mm×2mmのシート状に成形し、常温で7日間放置した。このシートを、Fedoメーター(スガ試験機(株)製、型式:FAL−5H−B)により、63℃、降雨なしの条件で18時間、100時間または250時間放置し、シートの形状変化を観察して下記基準で評価した。なお、試験を促進するため、上記ポリウレタン樹脂組成物を調整する際には老化防止剤は配合していない。
A:形状変化なし。
B:一部溶融。
C:溶融。
【0051】
(vii)接着性:
表面を硫酸アルマイト処理したアルミ板の一辺にマスキングテープを貼り、剥しシロを作製した。
一方、ポリオール混合物に、NCOインデックス(NCO/水酸基のモル比)=1.1となる量のプレポリマーを配合し、ヘラで2分間均一に混合して二液硬化型ポリウレタン樹脂組成物を調製した。
【0052】
この二液硬化型ポリウレタン樹脂組成物をハケで0.1g/cm2の厚みになるように上記アルミ板に塗布した。その上に不織布(ポリエステル製、東洋紡績社製品名 サンシラールクロス30H、1cm×10cm)を載せ、ポリウレタン樹脂組成物を染み込ませた。その後、上記不織布の上から、さらに二液硬化型ポリウレタン樹脂組成物を0.1g/cm2の厚みになるように塗布した後、40℃のオーブンで24時間加熱して硬化させた。
【0053】
硬化物の端のマスキングテープを剥して掴みシロを作製し、この掴みシロにプシュプル試験器(イイダ社製、max capacity:5kg)を取り付け、ゼロ点調整を行なった後、プシュプル試験器を垂直にゆっくり引き上げ、接着強度を測定した。測定を3回実施し、その平均値を求めた。
【0054】
[調製例1]
(ポリオキシアルキレンポリオール(1)の製造)
ジプロピレングリコールおよびこのジプロピレングリコールの水酸基に対して6モル%の水酸化カリウムをオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内を減圧した。これにオートクレーブ内圧が0.4MPaGを超えないようにして、プロピレンオキシドを逐次装入し、110℃に昇温してジプロピレングリコールにプロピレンオキシドを付加重合した。得られた粗ポリオールをリン酸で中和し、ろ過することにより、ポリオキシアルキレンポリオール(1)を得た。このポリオキシアルキレンポリオール(1)はポリオキシプロピレンポリオールであり、その水酸基価は37.4mgKOH/g、粘度は600mPa・s/25℃、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、カラム:TSKgel G1000H+G2000H+G3000H+GuardColumn)により測定された数平均分子量は、標準ポリプロピレングリコール換算で3000であった。
【0055】
[調製例2]
(ポリオキシアルキレンポリオール(2)の製造)
プロピレンオキシドの付加量を変更した以外は調製例1と同様にして、ジプロピレングリコールにプロピレンオキシドを付加重合した。得られた粗ポリオールをリン酸で中和し、ろ過することにより、ポリオキシアルキレンポリオール(2)を得た。このポリオキシアルキレンポリオール(2)はポリオキシプロピレンポリオールであり、その水酸基価は112.0mgKOH/g、粘度は150mPa・s/25℃、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、カラム:TSKgel G1000H+G2000H+G3000H+GuardColumn)により測定された数平均分子量は、標準ポリプロピレングリコール換算で1000であった。
【0056】
[調製例3]
(ポリオキシアルキレンポリオール(3)の製造)
ジプロピレングリコールの代わりにグリセリンを使用した以外は、調製例1と同様にしてグリセリンにプロピレンオキシドを付加重合した。得られた粗ポリオールをリン酸で中和し、ろ過することにより、ポリオキシアルキレンポリオール(3)を得た。このポリオキシアルキレンポリオール(3)はポリオキシプロピレンポリオールであり、その水酸基価は161.0mgKOH/g、粘度は270mPa・s/25℃、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、カラム:TSKgel G1000H+G2000H+G3000H+GuardColumn)により測定された数平均分子量は、標準ポリプロピレングリコール換算で1000であった。
【0057】
[調製例4]
(触媒混合ポリオールaの調製)
上記ポリオキシアルキレンポリオール(3)200重量部と2−エチルヘキサン酸鉛(和光純薬工業(株)製、試薬)0.8重量部とを均一に混合し、触媒混合ポリオールaを調製した。
【0058】
[調製例5]
(プレポリマーAの調製)
crude-MDI(製品名:コスモネートM−200、三井武田ケミカル(株)製、NCO含有率=31.4%)を上記ポリオキシアルキレンポリオール(3)で変性し、NCO含有率=10.5%のプレポリマーAを調製した。
【実施例1】
【0059】
(水酸基含有メタクリレートグラフトポリエーテルポリオールの製造)
攪拌機、窒素導入口、モノマー装入管および水冷コンデンサーを装着した1Lのフラスコに、ポリオキシアルキレンポリオール(1)600重量部を仕込み、マントルヒーターにて150℃に加熱した。次に、ポリオキシアルキレンポリオール(1)200重量部と、ビニルモノマーとしてメタクリル酸メチル130.6重量部およびメタクリル酸−2−ヒドロキシエチル69.4重量部と、ジ−tert−ブチルパーオキサイド(日本油脂(株)製、商品名:パーブチルD)20重量部とを均一に混合した溶液を4時間かけて上記フラスコに滴下し、さらに4時間反応させた。その後、150℃、1.3kPa以下の条件で2時間減圧処理を行って未反応のモノマーを除去し、水酸基含有メタクリレートグラフトポリエーテルポリオールを含むポリエーテルポリオール組成物(E1)を得た。このポリエーテルポリオール組成物(E1)の水酸基価は59.2mgKOH/g、粘度は4000mPa・s/25℃、濁度は30度(カオリン)であった。その他の物性は表1に示す。なお、上記ポリオキシアルキレンポリオール(1)の物性を参考例1として表1に示した。
【0060】
(一液硬化型ポリウレタン樹脂組成物の調製)
上記ポリエーテルポリオール組成物(E1)と1,4−ブタンジオールの水酸基のモル比が7:3、かつNCOインデックスが2.0となるように、窒素導入口、モノマー装入管、水冷コンデンサーを装着した500mLのフラスコに、ポリエーテルポリオール組成物(E1)250重量部、1,4−ブタンジオール5.1重量部、イソホロンジイソシアネート83.7重量部を仕込み、攪拌して均一に混合した。この混合物をマントルヒーターにて80℃に昇温し、0.5時間反応させた。その後、錫系触媒スタノクトY730((株)エーピーアイコーポレーション製)0.014重量部を添加して、さらに80℃で6時間反応させた。この反応生成物のイソシアネート基含有率は4.86重量%であった。なお、イソシアネート基含有率は、JIS K7301「熱硬化性ウレタンエラストマー用トリレンジイソシアネート型プレポリマー試験方法」の6.3項「イソシアネート基含有率」に従って測定した。
【0061】
この反応生成物を50℃に冷却した後、2−(2−イソプロピル−1,3−オキサゾリジン−3−イル)−エタノールのトルエン溶液(2−(2−イソプロピル−1,3−オキサゾリジン−3−イル)−エタノール:トルエン=7:3(重量比))を27.5重量部添加し、50℃で3時間反応させて一液硬化型ポリウレタン樹脂組成物(E1)を得た。
【0062】
このポリウレタン樹脂組成物(E1)に、炭酸カルシウム微粒子(丸尾カルシウム(株)製、商品名:NS−1000)183.1重量部とジブチル錫ラウレート(三共有機合成(株)製、商品名:スタンBL)0.73重量部と2−エチルヘキサン酸0.73重量部とを添加し、次いで、温度23℃、相対湿度55%で10日間養生して各試験片(硬化物)を作製し、硬化物の機械強度を測定した。また、ポリウレタン樹脂組成物(E1)の耐侯性も評価した。結果を表2に示す。
【実施例2】
【0063】
(水酸基含有メタクリレートグラフトポリエーテルポリオールの製造)
ビニルモノマーとしてメタクリル酸メチルとメタクリル酸−2−ヒドロキシエチルとの替わりにメタクリル酸−2−ヒドロキシエチル69.4重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、水酸基含有メタクリレートグラフトポリエーテルポリオールを含むポリエーテルポリオール組成物(E2)を得た。このポリエーテルポリオール組成物(E2)の物性を表1に示す。
【0064】
(一液硬化型ポリウレタン樹脂組成物の調製)
ポリエーテルポリオール組成物(E1)の替わりにポリエーテルポリオール組成物(E2)を用い、各成分を表2に示す割合で配合した以外は、実施例1と同様にして一液硬化型ポリウレタン樹脂組成物(E2)を調製した。このポリウレタン樹脂組成物(E2)に、炭酸カルシウム微粒子(丸尾カルシウム(株)製、商品名:NS−1000)198.2重量部とジブチル錫ラウレート(三共有機合成(株)製、商品名:スタンBL)0.79重量部と2−エチルヘキサン酸0.79重量部とを添加して、実施例1と同様に機械強度および耐侯性を評価した。結果を表2に示す。
【実施例3】
【0065】
(水酸基含有メタクリレートグラフトポリエーテルポリオールの製造)
攪拌機、窒素導入口、モノマー装入管および水冷コンデンサーを装着した1Lのフラスコに、ポリオキシアルキレンポリオール(2)511.3重量部を仕込み、マントルヒーターにて120℃に加熱した。次に、ビニルモノマーとしてメタクリル酸n−ブチル355.8重量部およびメタクリル酸−2−ヒドロキシエチル132.9重量部と、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンを純度70%に炭化水素で希釈したラジカル反応開始剤(日本油脂(株)製、商品名:パーヘキサC)47.6重量部とを均一に混合した溶液を4時間かけて上記フラスコに滴下し、さらに4時間反応させた。その後、120℃、1.3kPa以下の条件で2時間減圧処理を行って未反応のモノマーを除去し、水酸基含有メタクリレートグラフトポリエーテルポリオールを含むポリエーテルポリオール組成物(E3)を得た。このポリエーテルポリオール組成物(E3)の水酸基価は113.0mgKOH/g、粘度は74000mPa・s/25℃、濁度は10度(カオリン)であった。その他の物性は表1に示す。
【0066】
(二液硬化型ポリウレタン樹脂組成物の調製)
上記ポリエーテルポリオール組成物(E3)と調製例4で得た触媒混合ポリオールaとを表3に記載の割合で均一に混合し、ポリオール混合物Aを調製した。
【0067】
次いで、上記(2)−(vii)「接着性」に記載の方法に従い、上記ポリオール混合物Aに調製例5で得たプレポリマーAを配合して二液硬化型ポリウレタン樹脂組成物(E3)を調製し、接着性を評価した。結果を表3に示す。
【0068】
また、上記接着性の評価で使用した硬化物について、実施例1と同様にして機械強度を評価した。なお、この硬化物には炭酸カルシウム微粒子等の添加剤は添加されていない。評価結果を表3に示す。
【0069】
[比較例1]
(一液硬化型ポリウレタン樹脂組成物の調製)
ポリエーテルポリオール組成物(E1)の替わりにポリオキシアルキレンポリオール(1)を用い、各成分を表2に示す割合で配合した以外は、実施例1と同様にして一液硬化型ポリウレタン樹脂組成物(C1)を調製した。このポリウレタン樹脂組成物(C1)に、炭酸カルシウム微粒子(丸尾カルシウム(株)製、商品名:NS−1000)161.7重量部とジブチル錫ラウレート(三共有機合成(株)製、商品名:スタンBL)0.65重量部と2−エチルヘキサン酸0.65重量部とを添加して、実施例1と同様に機械強度および耐侯性を評価した。結果を表2に示す。
【0070】
[比較例2]
(一液硬化型ポリウレタン樹脂組成物の調製)
ポリエーテルポリオール組成物(E1)の替わりにポリオキシアルキレンポリオール(1)を用い、各成分を表2に示す割合で配合した以外は、実施例1と同様にして一液硬化型ポリウレタン樹脂組成物(C2)を調製した。このポリウレタン樹脂組成物(C2)に、炭酸カルシウム微粒子(丸尾カルシウム(株)製、商品名:NS−1000)161.7重量部とアクリル可塑剤(東亜合成(株)製、商品名:UP−1000)62.5重量部とジブチル錫ラウレート(三共有機合成(株)製、商品名:スタンBL)0.65重量部と2−エチルヘキサン酸0.65重量部とを添加して、実施例1と同様に機械強度および耐侯性を評価した。結果を表2に示す。
【0071】
[比較例3]
(水酸基非含有メタクリレートグラフトポリエーテルポリオールの製造)
ビニルモノマーとしてメタクリル酸メチルとメタクリル酸−2−ヒドロキシエチルとの替わりにメタクリル酸メチル200.0重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、メタクリレートグラフトポリエーテルポリオールを含むポリエーテルポリオール組成物(C3)を得た。このポリエーテルポリオール組成物(C3)の物性を表1に示す。
【0072】
(一液硬化型ポリウレタン樹脂組成物の調製)
ポリエーテルポリオール組成物(E1)の替わりにポリエーテルポリオール組成物(C3)を用い、各成分を表2に示す割合で配合した以外は、実施例1と同様にして一液硬化型ポリウレタン樹脂組成物(C3)を調製した。このポリウレタン樹脂組成物(C3)に、炭酸カルシウム微粒子(丸尾カルシウム(株)製、商品名:NS−1000)157.1重量部とジブチル錫ラウレート(三共有機合成(株)製、商品名:スタンBL)0.63重量部と2−エチルヘキサン酸0.63重量部とを添加して、実施例1と同様に機械強度および耐侯性を評価した。結果を表2に示す。
【0073】
[比較例4]
(水酸基含有メタクリレートポリマー分散ポリエーテルポリオールの製造)
ビニルモノマーとしてメタクリル酸メチルとメタクリル酸−2−ヒドロキシエチルとの替わりにメタクリル酸−2−ヒドロキシエチル69.4重量部を使用し、ジ−tert−ブチルパーオキサイドの替わりに2,2'−アゾビスイソブチロニトリルを10重量部使用し、反応温度を150℃から120℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリエーテルポリオール組成物(C4)の調製を試みた。ところが、反応初期で凝集が起こって白濁したため、所望の組成物は得られなかった。
【0074】
[比較例5、6]
(二液硬化型ポリウレタン樹脂組成物の調製)
ポリエーテルポリオール組成物(E3)の代わりに、ポリオキシアルキレンポリオール(3)または(2)を用い、各成分を表3に示す割合で配合した以外は、実施例3と同様にして二液硬化型ポリウレタン樹脂組成物(C5)または(C6)を調製し、接着性を評価した。結果を表3に示す。
【0075】
また、上記接着性の評価で使用した硬化物について、実施例1と同様にして機械強度を評価した。なお、この硬化物には炭酸カルシウム微粒子等の添加剤は添加されていない。評価結果を表3に示す。
【0076】
実施例3と比較例5および6とを比較すると、本発明のグラフトポリエーテルポリオールを用いたポリウレタン樹脂硬化物は、従来のポリウレタン樹脂硬化物に比べて、接着性および機械強度に優れていることがわかる。
【0077】
【表1】

【0078】
【表2】

【0079】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明に係るグラフトポリエーテルポリオールは、一液硬化型または二液硬化型ポリウレタン樹脂組成物の原料として好適に用いることができ、その硬化物は機械強度、耐侯性に優れている。このようなポリウレタン樹脂組成物は接着剤や防水材として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子中に下記式(1)であらわされるエステル基を有することを特徴とする水酸基含有(メタ)アクリレートグラフトポリエーテルポリオール。
【化1】

(式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、R2は炭素数1〜18のアルキレン基を示す。)
【請求項2】
ポリオキシアルキレンポリオールと、少なくとも下記式(2)で表される水酸基含有(メタ)アクリレートを含有するビニルモノマーとを反応させることにより得られる水酸基含有(メタ)アクリレートグラフトポリエーテルポリオール。
【化2】

(式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、R2は炭素数1〜18のアルキレン基を示す。)
【請求項3】
ラジカル反応開始剤であるアルキル過酸化物の存在下で、ポリオキシアルキレンポリオール40〜95重量部と、少なくとも下記式(2)で表される水酸基含有(メタ)アクリレートを含有するビニルモノマー5〜60重量部とを反応させることにより得られ(ただし、前記ポリオキシアルキレンポリオールと前記ビニルモノマーとの合計を100重量部とする)、前記ポリオキシアルキレンポリオールの水酸基1モルに対してアルキル過酸化物0.1〜5モルと前記水酸基含有(メタ)アクリレート0.5〜10モルとを用いて得られる水酸基含有(メタ)アクリレートグラフトポリエーテルポリオール。
【化3】

(式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、R2は炭素数1〜18のアルキレン基を示す。)
【請求項4】
透過光濁度が50度(カオリン)以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水酸基含有(メタ)アクリレートグラフトポリエーテルポリオール。
【請求項5】
前記ポリオキシアルキレンポリオールの数平均分子量が500〜10000であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の水酸基含有(メタ)アクリレートグラフトポリエーテルポリオール。
【請求項6】
分光光度計により測定した光線透過率が、光線波長300nmで30%以下であり、かつ光線波長500nmで90%以上であることを特徴とする請求項1に記載の水酸基含有(メタ)アクリレートグラフトポリエーテルポリオール。
【請求項7】
前記ポリオキシアルキレンポリオールが1分子中に1〜8個の水酸基を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の水酸基含有(メタ)アクリレートグラフトポリエーテルポリオール。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の水酸基含有(メタ)アクリレートグラフトポリエーテルポリオールを用いた二液硬化型ポリウレタン樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかに記載の水酸基含有(メタ)アクリレートグラフトポリエーテルポリオールを用いた一液硬化型ポリウレタン樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれかに記載の水酸基含有(メタ)アクリレートグラフトポリエーテルポリオールを含有する接着剤。
【請求項11】
ラジカル反応開始剤であるアルキル過酸化物の存在下で、ポリオキシアルキレンポリオール40〜95重量部と、少なくとも下記式(2)で表される水酸基含有(メタ)アクリレートを含有するビニルモノマー5〜60重量部とを反応させる(ただし、前記ポリオキシアルキレンポリオールと前記ビニルモノマーとの合計を100重量部とする)ことを特徴とする水酸基含有(メタ)アクリレートグラフトポリエーテルポリオールの製造方法。
【化4】

(式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、R2は炭素数1〜18のアルキレン基を示す。)
【請求項12】
前記ポリオキシアルキレンポリオールの水酸基1モルに対してアルキル過酸化物0.1〜5モルと前記水酸基含有(メタ)アクリレート0.5〜10モルとを用いることを特徴とする請求項11に記載の水酸基含有(メタ)アクリレートグラフトポリエーテルポリオールの製造方法。
【請求項13】
前記ポリオキシアルキレンポリオールの数平均分子量が500〜10000であることを特徴とする請求項11または12に記載の水酸基含有(メタ)アクリレートグラフトポリエーテルポリオールの製造方法。
【請求項14】
前記ポリオキシアルキレンポリオールが1分子中に1〜8個の水酸基を有することを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載の水酸基含有(メタ)アクリレートグラフトポリエーテルポリオールの製造方法。

【公開番号】特開2010−209346(P2010−209346A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−111992(P2010−111992)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【分割の表示】特願2005−306110(P2005−306110)の分割
【原出願日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】