説明

ポリエーテルポリシロキサンコポリマーを含有する組成物

【課題】広範な加工許容度及び高い耐老化性とともに高活性を好ましく有するポリウレタン組成物を得、これを整泡剤として用い、所望のポリウレタンフォームを製造する。
【解決手段】分枝SiH官能性シロキサンに基づく複数のポリエーテルシロキサンコポリマーを含有し、そのポリエーテルシロキサンコポリマーの少なくとも1つがケイ素原子に結合している基−OR8(式中、R8は水素又は1〜10個の炭素原子を有するアルキル基である)を有する組成物と、これらの組成物が整泡剤として使用されるポリウレタンフォームを製造する方法と、これらの組成物を含有するポリウレタンフォームと、これらのポリウレタンフォームの用途とを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分枝SiH官能性シロキサンに基づく複数のポリエーテルシロキサンコポリマーを含有し、そのポリエーテルシロキサンコポリマーの少なくとも1つがケイ素原子に結合している基−OR8(式中、R8は1〜10個の炭素原子を有するアルキル基である)を有する組成物と、これらの組成物が整泡剤として使用されるポリウレタンフォームを製造するための方法と、これらの組成物を含有するポリウレタンフォームと、これらのポリウレタンフォームの用途とに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンフォームの製造においては、2つの種類の安定剤に分けることができるポリエーテルポリシロキサンコポリマーがしばしば使用される。ポリエーテルがSiOC結合によりポリシロキサン鎖に結合しているポリエーテルポリシロキサンコポリマーは、長い間知られてきた。それらは、ヒドロキシル官能性ポリエーテルを、クロロシロキサンとの置換反応又はアルコキシシロキサンとのエステル交換反応のいずれかにより反応させることによって調製される。この製品群は、広い加工許容度及び高活性を特に有利に示し、即ち、細かいセル構造、オープンセル/独立セルの望ましい割合を有する、フォームの欠陥がないポリウレタンフォームが、その安定剤の広い濃度範囲で得られる。これらの特性のおかげでSiOC製品群のPU安定剤は、多くの配合物で広範に使用することができる。不利な点は、その安定剤及び特にそれらのブレンド又は配合物を長期間貯蔵することができない原因となるSiOC結合の限定された加水分解安定性である。SiOC安定剤のさらなる不利点は、完全に配合したポリオール配合物の濁り又は分離現象さえ引き起こし得るポリオール配合物中のそれらのあまり大きくない溶解性である。この問題は、すぐ使用できるポリウレタンフォーム系として販売されている、ポリオール、触媒、水/発泡剤、整泡剤及び任意選択によるさらなる添加物を予め配合した混合物の溶解性及び分離安定性がしばしば必要となる硬質フォーム用途の場合に特に起こる。
【0003】
不十分な貯蔵安定性に対応するため、ポリエーテルが加水分解安定性のSiC結合によりポリシロキサンに結合しているもう一つの種類のポリエーテルポリシロキサンコポリマーが開発されている。それらは水素シロキサンによるアリルポリエーテルの貴金属触媒によるヒドロシリル化によって調製される。SiC製品群のPU安定剤は、それらの非常に良好な貯蔵安定性に加えて、ポリオール配合物における高い溶解性を示す。しかしながら、高い弾力性の軟質フォーム用途において使用されるときは、一貫して良好なフォーム特性を得るために、使用される安定剤の量を狭い範囲内で一定に保たなければならないので、SiOC安定剤について知られているような広範な加工許容度は得られない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それ故、本発明の目的は、SiOC整泡剤とSiC整泡剤の利点が、その2種類の製品の不利な点に見舞われることなく、1つの製品の中で組み合わされる整泡剤を提供することであった。広範な加工許容度及び高い耐老化性とともに高活性を好ましくは有するポリウレタン整泡剤が求められる。
【0005】
意外なことに請求項1に記載の組成物が、この目的を達成することが見いだされた。請求項1に記載の組成物は、式1のポリ(アルコキシ有機シリケート)を含有する。有機変性ポリシロキサン上のアルコキシエステル官能基は、通常、貯蔵安定性を制限する加水分解によって、該添加物の変化しやすい性能を示すために、これは当業者には意外であり予測できない。
【0006】
本発明は、それ故、請求項1に記載の組成物を提供する。本発明は、さらに、本発明の組成物を含むか又は本発明の組成物が使用されるポリウレタンフォーム及びポリウレタンフォームを製造するための方法を提供する。加えて、本発明は、本発明の、又は、本発明に従って製造したポリウレタンフォームの用途を提供する。本発明のさらなる対象は、以下の記述及び請求項/従属請求項の内容によって特徴を明らかにする。
【0007】
本発明の組成物は、それが所蔵安定性であり、その整泡特性は、水及び触媒を含む予め配合したポリオール系との混合物中でさえも長期間にわたって維持される利点を有する。その上、本発明の組成物は、広範な加工許容度及びポリウレタン系中の良好な溶解性と相まった整泡剤としての高活性を示す。
【0008】
本発明の方法は、すぐ使用できるポリウレタンフォーム系として販売されている、ポリオール、触媒、水/発泡剤、整泡剤及び任意選択によるさらなる添加物を予め配合した混合物が、フォーム特性の損傷なしで、市場で通例の貯蔵時間を乗り切る利点を有する。一方において、SiOC安定剤が使用されるときは、貯蔵安定性は、その整泡剤の加水分解のために確保されない。さらなる利点は、その安定剤の計量における不正確さが、広範な加工許容度のおかげで、公知のSiC安定剤の場合には懸念しなければならないフォーム特性の障害を一般に生じないことである。
【0009】
本発明のポリウレタンフォームは、それが一貫した高い品質、即ち、特にフォーム欠陥(空隙、割れ目、高密度化領域)がほとんど無い、特に細かいセル構造を有する利点を有する。
【0010】
本発明の組成物、ポリウレタンフォームを製造するための方法、ポリウレタンフォームそれ自体、及びそれらの用途について、以下に例を挙げて説明するが、本発明はこれらの説明のための実施形態に限定されるものではない。範囲、一般式又は化合物の種類が以下で示される場合、これらははっきりと述べられているその対応する範囲又は化合物の群のみを含むのではなく、個々の値(範囲)又は化合物を除外することによって得ることができる、全ての部分範囲及び亜群の化合物もまた包含する。文献が本説明の中に引用されている場合、それらの内容は本発明の開示の内容の中に参照により、完全に組み込まれる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の組成物は、それらが、式(I)
【0012】
【化1】

の化合物を含むことを特徴とし、
式中、
インデックスaは、それぞれ互いに独立して0から500までであり、
インデックスbは、それぞれ互いに独立して0から60までであり、
インデックスcは、それぞれ互いに独立して0から10まで、好ましくは、0以上5までであり、
インデックスdは、それぞれ互いに独立して0から10まで、好ましくは、0以上5までであり、
なお、式(I)の1分子当たりΣc+Σd≧1であること、ならびに1分子当たりのT単位の平均数Σd及びQ単位の平均数Σcがいずれの場合にも50以下であり、1分子当たりのD単位の平均数Σaが2000以下であり、1分子当たりのR4を持つシロキシ単位の平均数Σbが100以下であることを条件とし、
基Rは、それぞれ互いに独立して、1から20個までの炭素原子を有する直鎖状、環状又は分枝状の、脂肪族又は芳香族の、飽和又は不飽和炭化水素基からなる基の少なくとも1つの基であるが、Rは、好ましくはメチル基であり、
基R5は、それぞれ互いに独立して、R4、−OR8又はRであり、
基R4は、それぞれ互いに独立して、−OR8又はR以外の有機基、好ましくは、
−OR8
−CH−CH−CH−O−(CH−CHO−)−(CH−CH(R’)O−)−R”
−CH−CH−O−(CH−CHO−)−(CH−CH(R’)O−)−R”
−CH−RIV
−CH−CH−(O)x’−RIV
−CH−CH−CH−O−CH−CH(OH)−CHOH
【0013】
【化2】

【0014】
又は
−CH−CH−CH−O−CH−C(CHOH)−CH−CHであって、
xが、0から100まで、好ましくは>0で、特に1から50までであり、
x’が、0又は1であり、
yが、0から100であり、好ましくは>0で、特に1から50までであり、
基R’が、それぞれ互いに独立して、任意選択により置換されている1から12個までの炭素原子を有する、例えばアルキル−、アリール−、又はハロアルキル−、若しくはハロアリール置換のアルキル又はアリール基であって、ここで、異なる置換基R’が、基R4及び/又は式Iの分子中に存在してもよく、
基R”が、それぞれ互いに独立して、水素基又は1から4個までの炭素原子を有するアルキル基、基−C(O)−R’’’、ここで、R’’’=アルキル基であり、基−CH−O−R’、ベンジル基等のアルキルアリール基、基−C(O)NH−R’であり、
IVが、直鎖状、環状又は分枝状の、任意選択により例えばハロゲン置換のように置換されている1から50個まで、好ましくは9から45個まで、より好ましくは13から37個までの炭素原子を有する炭化水素基であり、
基R7は、それぞれ互いに独立して、アルキル、アリール、クロロアルキル、クロロアリール、フルオロアルキル、シアノアルキル、アクリルオキシアリール、アクリルオキシアルキル、メタクリルオキシアルキル、メタクリルオキシプロピル、及びビニル基からなる群から選択されるR、R4、−OR8及び/又はヘテロ原子置換、官能基、有機、飽和又は不飽和基であることができ、
基R8は、それぞれ互いに独立して、水素基又は1から10個までの炭素原子を有するアルキル基、好ましくはメチル、エチル又はイソプロピル基であり、
ここで、R4、R5、及びR7の中からの少なくとも1つの置換基がRではなく、基R4、R5、及びR7の少なくとも1つが基−OR8である、少なくとも1つの式(I)の化合物が存在し、該組成物中に、式(I)の全化合物にわたって平均して、基R4、R5及びR7の20モル%以下が−OR8である化合物が存在することを条件とする。
該組成物中に存在する式(I)の全化合物にわたって平均して、基R4、R5及びR7の0.1から10モル%が−OR8の型であることが好ましい。アルコキシル基−OR8のモル分率は、式(I)に従って基R4、R5及びR7の合計中の基−OR8のモル分率として定義される。
【0015】
基R8の少なくとも10モル%、好ましくは少なくとも50モル%、特に好ましくは少なくとも90モル%、まさに特に好ましくは全部が、1から10個の炭素原子を有するアルキル基であることが好ましい。R8は、従って、特に好ましくは水素ではない。
【0016】
式中に示されている構成ブロック(シロキサン鎖又はポリオキシアルキレン鎖)中のさまざまなモノマー単位は、任意の数のブロック及び任意の順序でブロック単位に配列させることができ、又はランダム分布を有することができる。式中で用いられているインデックスは、統計的手段であると考えるべきである。
【0017】
本発明の組成物は、さらなる材料を含有することができる。特に、本発明の組成物は、ポリウレタンフォームの製造で使用されるようなさらなる添加剤/助剤を包含することができる。本発明の組成物中に存在することができる好ましい添加剤/助剤は、好ましくは、従来のSiOC及びSiC安定剤、有機整泡剤、界面活性剤、成核剤、セル微細化(cell-refining)添加剤、セルオープナー(cell opener)、架橋剤、乳化剤、難燃剤、酸化防止剤、帯電防止剤、殺生物剤、カラーペースト、固体充填剤、アミン触媒、金属触媒、ポリオール及び/又は緩衝物質の中から選択される。
【0018】
本発明の組成物は、溶媒、好ましくは、グリコール、アルコキシレート、及び合成及び/又は天然起源の油から選択される溶媒、特に有機溶媒を含有することも有利であり得る。
【0019】
該組成物中に存在する式(I)の化合物は、最初に、
a)1つ又は複数のSiH官能性シロキサン、
b)1つ又は複数のSiH官能基のないシロキサンと、
c)1つ又は複数のテトラアルコキシシラン、
及び/又は
d)1つ又は複数のトリアルコキシシラン
を含有する混合物に、水を添加し、酸性イオン交換体の中から選択される少なくとも1つの固体のブレンステッド酸触媒の存在下で、1工程で初めに反応させることにより液体(25℃の温度及び101,325Paの圧力で)の分枝SiH官能性シロキサンを初めに調製することによって、好ましくは得ることができる。その反応は、DE102008041601に記載されているプロセスに基づく方法によって行うことができる。言及した文献は、参照により特に援用される。
【0020】
該プロセスは、反応が不完全であり、依然としてアルコキシ基を有する分枝シロキサン生成物が得られるように行わなければならない。これは、例えば、反応を完全な転化に達する前に停止させるか、又は、出発物質をアルコキシシランの全てのアルコキシ基が反応することができない下位の化学量論比率で使用することによって達成することができる。特に、水対アルコキシ基のモル比を1:1未満で使用し、特に好ましくは、0.5:1未満の水対アルコキシ基のモル比とする。
【0021】
好ましいプロセスは、同じ重量部の水と相分離せずに混和できない溶媒の存在を好ましくは完全になしにする。特に該プロセスにおいて溶媒としてアルカン又は芳香族化合物は使用しない。
【0022】
該プロセスにおいて水を加える代わりに、水と、同じ重量部の水と相分離せずに混和できる1つ又は複数の有機溶媒の混合物を加えることは有利であり得る。このようにして、水のシロキサン及びシランとのより良い相溶化、従ってより良い混合を達成することができる。
しかしながら、良好な混合は、水を、特に優れた機械的混合により加えるか、又は、シラン及びシロキサンの混合物中へ、例えばその混合物中に蒸気を吹き込むことによって水蒸気の形で水を導入することによって達成することもできる。
【0023】
同じ重量部の水と相分離せずに混和できる有機溶媒としては、アルコール、特に、1〜6個の炭素原子を有するアルコール、好ましくは一価アルコール、特に好ましくはメタノール又はエタノール、とりわけエタノールを使用することが選択される。
この溶媒は、水が該反応混合物中で完全に又は部分的に均一化されるように、十分に大量に好ましくは加えられる。水と特にエタノール等の適切な溶媒との混合物が使用される場合、この混合物中の水対溶媒の重量比は、好ましくは1:1から10:1まで、好ましくは2:1から5:1までである。
【0024】
その好ましいプロセスは、シロキサン鎖中で分枝しており、一般式(II)、
【0025】
【化3】

【0026】
を有する水素シロキサンを調製するために好ましくは使用され、
上式中、
インデックスaは、それぞれ互いに独立して、0から500まで、好ましくは1から300まで、より好ましくは10から200までであり、
インデックスbは、それぞれ互いに独立して、0から60まで、好ましくは0から30まで、より好ましくは0より大きく、特に1から15までであり、
インデックスcは、それぞれ互いに独立して、0から10まで、好ましくは、0以上5までであり、
インデックスdは、それぞれ互いに独立して、0から10まで、好ましくは、0以上5まで、より好ましくは1から5までであり、
Rは、1から20個までの炭素原子を有する、直鎖状、環状又は分枝状の、脂肪族又は芳香族の、飽和又は不飽和炭化水素基からなる基の少なくとも1つの基であるが、好ましくはメチル基であり、
基R1は、それぞれ、互いに独立して、水素、−OR8、又はRであり、
基R3は、それぞれ、互いに独立して、水素、R、−OR8、又はヘテロ原子置換、官能性、有機、飽和又は不飽和の基、好ましくは、アルキル、アリール、クロロアルキル、クロロアリール、フルオロアルキル、シアノアルキル、アクリルオキシアリール、アクリルオキシアルキル、メタクリルオキシアルキル、メタクリルオキシプロピル及びビニル基からなる群から選択される基、特に好ましくは、メチル、クロロプロピル、ビニル又はメタクリルオキシプロピル基であり、
基R9は、それぞれ、互いに独立して、H又は−OR8であり、
基R8は、それぞれ、互いに独立して、水素又は1から10個までの炭素原子を有するアルキル基、好ましくは、メチル、エチル、又はイソプロピル基であり、
ここで、b=0であるときR1=Hであること、式(II)の1分子当たりΣc+Σd≧1であること、ならびに1分子当たりのT単位の平均数Σd及びQ単位の平均数Σcがいずれの場合にも50以下、好ましくは20以下、より好ましくは10以下であり、1分子当たりのD単位の平均数Σaが2000以下、好ましくは1000以下、より好ましくは500以下であり、1分子当たりR9を持つシロキシ単位の平均数Σbが100以下、好ましくは60以下であり、得られる式(II)の化合物の少なくとも1つにおいて、R1、R3及びR9の少なくとも1つが、基−OR8であり、得られる式(II)の全化合物にわたって平均して基R1、R3及びR9の20モル%以下が−OR8であることを条件とする。aが0より大きいことが特に好ましい。
【0027】
好ましくは基R8の少なくとも10モル%、より好ましくは少なくとも50モル%、特に好ましくは少なくとも90モル%、まさに特に好ましくは全部が、1から10個の炭素原子を有するアルキル基である。R8は、従って、特に好ましくは水素ではない。
【0028】
本発明の目的のために、平均分枝度kは、M及びM単位数対T及びQ単位数の比(M+M)/(T+Q)である。その単位の呼称は、例えば、Thieme Rompp Online、Georg Thieme Verlag、2008年、においても見いだすことができる国際的に認められている命名法に対応している。この命名法によれば、M=RSiO1/2、D=RSiO2/2、T=RSiO3/2及びQ=SiO4/2であり、式中、Rは、有機基である。Mは、基Rの1つが水素原子である単位である。Dは、基Rの1つが水素原子である単位である。分枝度は、29Si−NMRスペクトルにおいてそれぞれの単位に割り当てられるピークの面積積分の比を形成することによって決定される。
【0029】
好ましい方法によって得られる分枝SiH官能性シロキサンで、好ましくは式(II)の分枝SiH官能性シロキサンは、SiH官能基が、シロキサン中で純粋に末端に、純粋に側部に、又は末端と側部と混ざり合って配列されているものであり得る。
【0030】
SiH官能性シロキサンとして、SiH官能基が、シロキサン中で純粋に末端に、純粋に側部に、又は末端と側部と混ざり合って配列されているものを使用することが可能である。SiH官能性シロキサンとして、例えば、Gelest Inc.製のHMS−993等の直鎖状ポリメチル水素シロキサン、Gelest Inc.製のHMS−031及び/又はHMS−071等の直鎖状ポリジメチルメチル水素シロキサン、Gelest Inc.製のDMS−H03及び/又はDMS−H11等の比較的高分子量のオリゴマーである直鎖状α,ω−二水素ポリジメチルシロキサン、例えば、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン又は1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサンなど、環状ポリメチル水素シロキサン、例えば、テトラメチルシクロテトラシロキサン又はペンタメチルシクロペンタシロキサンなど、及び環状ポリジメチルメチル水素シロキサン、例えば、ヘプタメチルシクロテトラシロキサン及び/又はノナメチルシクロペンタシロキサンなど、あるいはそれらの混合物を使用することが可能である。SiH官能性シロキサンとして、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、DMS−H03、HMS−993(それぞれ、Gelest Inc.製)及びペンタメチルシクロペンタシロキサンを使用することが特に好ましい。
【0031】
SiH官能基のないシロキサンとしては、例えば、直鎖状ポリジメチルシロキサン、例えば、ヘキサメチレルジシロキサンなど、又は環状ポリジメチルシロキサン、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン及び/又はデカメチルシクロペンタシロキサンなどを使用することが可能である。ヘキサメチルジシロキサン及びデカメチルシクロペンタシロキサンを使用することが好ましい。
【0032】
好ましい方法の好ましい実施形態においては、1つ又は複数のテトラアルコキシシラン及び1つ又は複数のトリアルコキシシランが使用される。好ましい方法の特に好ましい実施形態においては、1つ又は複数のトリアルコキシシランが使用され、テトラアルコキシシランは使用されない。
【0033】
テトラアルコキシシランとしては、原則としてすべてのテトラアルコキシシランを使用することが可能で、とりわけ、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン又はテトライソプロポキシシランあるいはそれらの縮合物を使用することが可能である。テトラアルコキシシランとしては、アルコキシ基がすべて同じであるもの、すべて異なるもの又は一部が同じであるものを使用することが可能である。テトラエトキシシランを使用することが特に好ましい。
【0034】
トリアルコキシシランとしては、原則として、すべてのトリアルコキシシラン、とりわけ、アルコキシ基がすべて同じであるもの、すべて異なるもの、又は一部が同じであるものを使用することが可能である。トリエトキシシラン、好ましくは、アルキルトリエトキシシラン、例えば、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、ハロゲン含有又は擬ハロゲン含有アルキルトリアルコキシシラン、とりわけ、アルキルトリエトキシシラン、例えば、クロロプロピルトリエトキシシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン、ノナフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロヘキシルトリエトキシシラン、3−シアノプロピルトリエトキシシラン、トリアルコキシシラン、とりわけ、官能基を有するトリエトキシシラン、例えば、3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、5−(ビシクロヘプテニル)トリエトキシシラン、アリールトリアルコキシシラン、とりわけ、アリールトリエトキシシラン、例えば、フェニルトリエトキシシラン、(p−クロロメチル)フェニルトリエトキシシラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、又はジヒドロ−3−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]フラン−2,5−ジオンを使用することが特に好ましい。
【0035】
標準状態下で液体として存在する出発物質a)〜d)をもっぱら使用することが好ましい。
【0036】
連鎖停止性トリアルキルシロキシ単位、とりわけ、トリメチルシロキシ単位(M単位)及び/又はジアルキル水素シロキシ単位、とりわけ、ジメチル水素シロキシ単位(M単位)、ジアルキルアルコキシシロキシ単位(MOR単位)、とりわけ、ジメチルエトキシシロキシ単位(MOET単位)の割合、連鎖延長性ジアルキルシロキシ単位、とりわけ、ジメチルシロキシ単位(D単位)及び/又はアルキル水素シロキシ単位、とりわけ、メチル水素シロキシ単位(D単位)、アルキルアルコキシシロキシ単位(DOR単位)、とりわけ、メチルエトキシシロキシ単位(DOET単位)の割合、及び連鎖分枝性シロキシ単位(Q単位)の割合、ならびに適切な場合は、分枝性アルキルシロキシ単位(T単位)及び/又は官能基により置換されているT単位の割合を広い範囲にわたって変化させることができる。M単位とM単位の合計対Q単位のモル比は、好ましくは4:1から1.8:1までである。Q単位対M単位とM単位の合計、のモル比が増大してこの限界比を超える場合、樹脂に対して望ましくない高分子の強力に架橋したゲルが得られる可能性がある。M単位とM単位の合計対T単位のモル比は、好ましくは3:1から1:1までである。T単位対M単位
とM単位の合計、のモル比が増大してこの限界比を超える場合、樹脂に対して望ましくない高分子の強力に架橋したゲルが得られる可能性がある。
【0037】
該反応混合物は、任意の方法で成分を混合することによって得ることができる。SiH官能性シロキサン、SiH官能基のないシロキサン、テトラアルコキシシラン及び、適切な場合は、トリアルコキシシラン又は置換トリアルコキシシランを最初に混合することが好ましい。
【0038】
出発物質、即ち、SiH官能性シロキサン、SiH官能基のないシロキサン及びテトラアルコキシシランならびに、適切な場合は、トリアルコキシシランを混合した後、加水分解及び縮合に触媒作用を及ぼすために少なくとも1つのブレンステッド酸触媒を好ましくは添加する。その触媒は、その反応混合物に直接全部を又は部分的に加えることができ、あるいは反応中に任意の順序で導入することができる。
【0039】
最初に出発物質を混合し、次に触媒を添加し、その後水又は水性混合物を加えることが選択される。
【0040】
酸性イオン交換体としては、従来技術から公知のイオン交換体を使用することが可能である。好ましい方法において、天然のイオン交換体、例えば、ゼオライト、モンモリロナイト、アタパルガイト、ベントナイト及びその他のケイ酸アルミニウム等又は合成イオン交換体のいずれも使用することが可能である。後者は、好ましくは、さまざまな酸性度の多数の「アンカー基」がその中に構築されているフェノールホルムアルデヒド樹脂又はスチレンジビニルベンゼンのコポリマーに基づく三次元で水不溶性の高分子量マトリックスを有する固体(通常は粒子の形態)である。特に、酸性アルミナ又は酸性イオン交換樹脂、例えば、商標名Amberlite(登録商標)、Amberlyst(登録商標)、又はDowex(登録商標)及びLewatit(登録商標)のもとで知られる製品等を使用することができる。酸性イオン交換体としては、スルホン酸イオン交換樹脂を使用することが特に選択される。
【0041】
酸性イオン交換体としては、EP1439200に記載されているものを好ましい方法において使用することが好ましい。この文献及びその中で先行技術として引用されている文献は、本発明の開示内容の一部として参照により本明細書に組み込む。
【0042】
少なくとも1つの固体の酸性イオン交換体(触媒1)及び少なくとも1つのさらなる固体ではないブレンステッド酸触媒(触媒2)、特に液体の酸を、好ましい方法における触媒として使用するのが有利であり得る。触媒2として、鉱酸、好ましくは硫酸、及び/又は、好ましくは有機スルホン酸、好ましくはトリフルオロメタンスルホン酸を使用することが可能である。この触媒混合物は、好ましくは、反応混合物に直接加える。トリフルオロメタンスルホン酸及びスルホン酸イオン交換樹脂、好ましくはLewatit(登録商標)K2621(Bayer Material Science)の混合物を触媒として使用することが好ましい。その触媒混合物は、10:1から100:1までの触媒1対触媒2の質量比を好ましくは有する。この質量比は、触媒1としてLewatit(登録商標)触媒を、触媒2としてトリフルオロメタンスルホン酸を使用するときに特に好ましい。
【0043】
触媒として2つの触媒1及び2を使用する場合、最初に触媒2を、好ましくはその全部を出発物質の混合物に加え、その後水を加え、好ましくはすべての水を加えてはじめて触媒1を加えるのが有利であり得る。しかしながら、触媒1と2は、水を加える前に両方とも出発物質に加えることもできる。
【0044】
好ましい方法において、酸性触媒は、使用される酸性触媒の合計が、使用される出発物質の質量の合計(即ち、SiH官能性シロキサン、SiH官能基のないシロキサン、テトラアルコキシシラン及び適切な場合はトリアルコキシシランの合計)の0.01から10重量%を構成するような量で該反応混合物に好ましくは加える。使用される触媒のタイプ及び濃度によって、この範囲の特定の部分的範囲が好ましいことがある。例えば、トリフルオロメタンスルホン酸の0.05重量%から0.5重量%までの使用が特に好ましい。触媒としてイオン交換樹脂単独を使用する場合、使用する触媒の質量は、好ましくは、0.5から15重量%までである。鉱酸及び/又は有機スルホン酸のイオン交換樹脂との組合せを触媒として使用する場合は、使用するイオン交換樹脂の質量は、好ましくは0.5から15重量%まで、より好ましくは0.5から5重量%までである。
【0045】
好ましい方法において、使用されるアルコキシシランの1モル当たり0.5から30モルまでの水を使用することが好ましい。加水分解及び縮合に対してはアルコキシシランの1モル当たり0.5から6モルまでの水を使用することが好ましい。その水は、1段階で加えるか、又は好ましくは、比較的長い時間にわたって導入することができる。選択する水の量より、相分離は通常起こらない。
【0046】
好ましい方法における反応は、0℃から100℃までの温度で好ましくは行う。その反応(同時に起こる加水分解、縮合及び平衡反応)は、20℃から60℃までの温度で好ましくは行う。
【0047】
反応が完了した後、縮合反応の揮発性副生成物は、例えば穏やかな条件下の真空蒸留によって除去することができる。必要又は所望に応じて、例えば、塩基性塩、好ましくは炭酸水素ナトリウムを用いて中和反応を行うことができる。
【0048】
このようにして得られた分枝鎖を有する好ましい水素シロキサンは、揮発性の低分子量成分を好ましくは含まないか、又は、少なくとも少ない割合でのみ含む好ましくは安定な透明で無色の液体である。出発混合物により計量したSiH当量、即ち、反応前に測定したSiH当量、及び好ましいプロセスによって調製された水素シロキサンで測定した(即ち、反応後)SiH当量は、分析精度の範囲内で一致し、使用したSiH官能基が大部分保持されていることを実証している。分枝鎖を有する好ましい水素シロキサンは、理論的に可能な水素含量(SiHの水素)の95%を超え、好ましくは97%を超えて好ましくは有する。その水素含量は、その水素がSiH含有物質のアルコール性アルカリ溶液中での分解によって定量的に遊離された後、ガス容量分析によって測定することができる(Eaborn, p. 200中の反応方程式も参照)。
【0049】
好ましい方法は、分枝シロキサン鎖を有する水素シロキサン、特に式(I)のものを調製することが可能である。分枝シロキサン鎖を有する水素シロキサンは、Haake RV12回転式粘度計により25℃で測定して、10から1000mPa*sまで、好ましくは20から500mPa*sまで、特に好ましくは20から250mPa*sまでの粘度を好ましくは有する。その分枝水素シロキサンは、平均して1から10まで、より好ましくは1から5までの分枝単位(Q及びT単位)を好ましくは含有する。分枝シロキサン鎖を有する好ましい水素シロキサンは、分枝シロキサン鎖を有する有機変性ポリシロキサンを調製するために使用することができる。
【0050】
式(II)の分枝シロキサン鎖を有する水素シロキサンは、1分子当たり少なくとも1個、好ましくは正確に1個の二重結合を有する化合物と、貴金属触媒、とりわけ、白金触媒を用いて反応させて、ヒドロシリル化することができる。これは、シロキサンのアルコキシ官能基が、ヒドロシリル化の間に大部分保持され、高温における貴金属触媒作用の条件下で予想されるように解離及び架橋反応を引き起こさないので当業者には意外であり予測不可能である。本発明の組成物中に存在する一般式(I)(上記参照)のコポリマーは、この反応法によって得ることができる。
【0051】
本発明による分枝水素シロキサンの貴金属触媒を用いるヒドロシリル化は、例えば、先行技術、例えば、EP1520870に記載されているようにして実施することができる。文献EP1520870は、これによって、参照により本発明の開示内容中に組み込まれる。
【0052】
1分子当たり少なくとも1つの二重結合を有する化合物としては、例えば、α−オレフィン、ビニルポリオキシアルキレン及び/又はアリルポリオキシアルキレンを使用することが可能である。ビニルポリオキシアルキレン及び/又はアリルポリオキシアルキレンを使用することが好ましい。特に好ましいビニルポリオキシアルキレンは、例えば、ブロック状態の又はランダムに分布した、モノマーのプロピレンオキシド、エチレンオキシド、ブチレンオキシド及び/又はスチレンオキシドで構成されており、ヒドロキシル官能基又はメチルエーテル官能基又はアセトキシ官能基のいずれかによって末端停止されることができる100g/モルから5000g/モルまでの範囲の分子量を有するビニルポリオキシアルキレンである。特に好ましいアリルポリオキシアルキレンは、例えば、ブロック状態の又はランダムに分布した、モノマーのプロピレンオキシド、エチレンオキシド、ブチレンオキシド及び/又はスチレンオキシドで構成されており、ヒドロキシル官能基又はメチルエーテル官能基又はアセトキシ官能基のいずれかによって末端停止させることができる100g/モルから5000g/モルまでの範囲の分子量を有するアリルポリオキシアルキレンである。α−オレフィン、アリルアルコール、1−ヘキセノール、ビニルポリオキシアルキレン及び/又はアリルポリオキシアルキレン、ならびにまた、1分子当たり少なくとも1個の二重結合を有する化合物として実施例の中で挙げられているアリルグリシジルエーテル及びビニルシクロヘキセンオキシドを使用することが特に好ましい。
【0053】
有機変性、とりわけ、ポリエーテル変性されている分枝シロキサンを含有する本発明により特許請求される組成物(Σc+Σd≧1)は、単独でか、又はその他の枝分かれしていない有機変性シロキサン(Σc+Σd=0)との混合物におけるかのいずれかで、工業用途における重要な表面活性成分として使用することができる。とりわけ、本明細書に記載されている混合により、ポリウレタンフォームの製造における例えば整泡剤として使用できる界面活性剤のような広範囲の活性の定義づけが可能となる。
【0054】
有機変性、特にポリエーテル変性されていると特許請求される分枝シロキサン(Σc+Σd≧1)の枝分かれしていないシロキサンとの混合によって、重要な表面活性成分である混合物を得ることを可能にはするが、混合比によっては、1分子当たり1未満の分枝単位の合計(Σc+Σd<1)を有し得ることは言うまでもない。有機変性、特にポリエーテル変性されている分枝シロキサンを含有する本発明により特許請求される組成物(Σc+Σd≧1)を、SiOC結合したポリエーテルシロキサン及び/又はケイ素を含まない化合物、例えば、溶媒、とりわけ、グリコール又はポリエーテルなど、有機整泡剤及び界面活性剤、成核剤、セル微細化添加剤、セルオープナー、発泡剤、架橋剤、乳化剤、難燃剤、酸化防止剤、帯電防止剤、殺生物剤、カラーペースト、固体充填剤、アミン触媒、金属触媒、ポリオール及び/又は広い範囲の中の緩衝物質と混合することも勿論可能である。かかる混合物もまた、重要な表面活性組成物であり得る。29Si−NMRにより測定される平均の分子の分枝度は、ここでは当然変化しない。
【0055】
本発明の組成物は、あらゆる分野における表面活性物質として使用することができる。本発明の組成物は、好ましくはポリウレタン中で使用される。本発明の組成物は、より好ましくは、ポリウレタンフォーム中、とりわけ、硬質ポリウレタンフォーム、軟質ポリウレタンフォーム、粘弾性フォーム、HRフォーム、半硬質ポリウレタンフォーム、熱成形性ポリウレタンフォーム又は複合フォーム中で、特に好ましくは整泡剤として使用される。
【0056】
本発明の組成物は、ポリウレタンフォームを製造するための本発明の方法における整泡剤として好ましくは添加する。該組成物は、完成ポリウレタンフォーム中の式(I)の化合物の質量による割合が0.01から10重量%、好ましくは0.1から3重量%であるような量で好ましくは添加する。
【0057】
本発明の組成物は、2個以上のイソシアネート官能基を有する1つ又は複数の有機イソシアネート、イソシアネートに反応性の2つ以上の基を有する1つ又は複数のポリオール、イソシアネート−ポリオール及び/又はイソシアネート−水の反応及び/又はイソシアネート三量化のための触媒、水、任意選択による物理的発泡剤、任意選択による難燃剤及び、適切な場合はその他の添加剤を含むポリウレタンフォームを製造するための通常の配合物中の整泡剤として使用することができる。
【0058】
本発明の目的に適するイソシアネートは、すべて多官能有機イソシアネート、例えば、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)及びイソホロンジイソシアネート(IPDI)等である。MDIと「ポリマー状MDI」(「クルードMDI」)として知られる2から4個までの平均官能基を有するより高度に縮合した類似物及び純粋な形のTDIのさまざまな異性体又は異性体の混合物も特に適する。
【0059】
本発明の目的に適するポリオールは、すべてイソシアネートに対して反応性である複数の基を有する有機物質、及びそれらが存在する調合物である。好ましいポリオールは、すべて、ポリウレタンフォームを製造するために通常使用されるポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールである。ポリエーテルポリオールは、多価アルコール又はアミンのアルキレンオキシドとの反応によって得られる。ポリエステルポリオールは、多塩基カルボン酸(脂肪族、例えばアジピン酸、又は芳香族、例えばフタル酸もしくはテレフタル酸のどちらかであり得る)の多価アルコール(通常はグリコール)とのエステルに基づく。
【0060】
配合のインデックスとして、即ち、イソシアネート基対イソシアネートに対して反応性の基(例えば、OH基、NH基)の化学量論比に100を掛けたものとして表されるイソシアネート対ポリオールの適当な比は、10から1000まで、好ましくは80から350までの範囲である。100のインデックスではすべてのイソシアネート基が従って反応する。
【0061】
本発明の目的に対して適する触媒は、ゲル化反応(イソシアネート−ポリオール)、発泡反応(イソシアネート−水)又はイソシアネートの二量化もしくは三量化に触媒作用をする物質である。代表例は、アミンの、トリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルヘキサンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン、トリエチレンジアミン、ジメチルピペラジン、1,2−ジメチルイミダゾール、N−エチルモルホリン、トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール及びビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、ジブチルスズジラウレート又はスズ(II)2−エチルヘキサノエート等のスズ化合物ならびに酢酸カリウム及び2−エチルヘキサン酸カリウム等のカリウム塩である。
【0062】
加えるべき適量は、触媒のタイプに依存し、通常は、0.05から5pphp(ポリオール100重量部当たりの重量部(parts by weight per 100 parts by weight of polyol))まで、又はカリウム塩については、0.1から10重量部までの範囲である。
【0063】
本発明の目的に対して適する水分含量は、その水に加えて物理的発泡剤を使用するか否かに依存する。純粋に水発泡のフォームの場合、その値は一般に、1から20重量部までであるが、その他の発泡剤をさらに使用するときは、使用量は通常0.1から5重量部までに減少させる。
【0064】
本発明の目的に対して適する物理的発泡剤は、ガス、例えば、液化CO、及び揮発性液体、例えば、4又は5個の炭素原子を有する炭化水素、好ましくは、シクロペンタン、イソペンタン及びn−ペンタン、フッ素化炭化水素、好ましくは、HFC245fa、HFC134a及びHFC365mfc、クロロフルオロカーボン、好ましくは、HCFC141b、酸素含有化合物、例えば、ギ酸メチル及びジメトキシメタン等又はクロロカーボン、好ましくはジクロロメタン及び1,2−ジクロロエタンである。
【0065】
水の他、さらに適切であれば物理的発泡剤とは別にイソシアネートと反応してガスを発生するその他の化学的発泡剤、例えば、ギ酸も使用することが可能である。
【0066】
本発明の目的に対して適する難燃剤は、好ましくは液体の有機リン化合物、例えば、ハロゲンを含まない有機ホスフェート、例えばトリエチルホスフェート(TEP)など、ハロゲン化ホスフェート、例えば、トリス(1−クロロ−2−プロピル)ホスフェート(TCPP)及びトリス(2−クロロエチル)ホスフェートなど、及び有機ホスホネート、例えば、ジメチルメタンホスホネート(DMMP)、ジメチルプロパンホスホネート(DMPP)など、又はアンモニウムポリホスフェート(APP)及び赤リン等の固体である。さらなる適当な難燃剤は、ハロゲン化化合物、例えば、ハロゲン化ポリオール、ならびにまた膨張性黒鉛及びメラミン等の固体である。
【0067】
フォームを製造するための本発明による配合物の加工処理は、当業者が精通しているすべての方法、例えば、手動混合又は好ましくは高圧発泡機を用いて行うことができる。例えば成形フォーム、冷蔵庫及びパネルの製造に対してはバッチプロセスを、又は、例えば断熱板、金属複合材要素、ブロックに対しては連続プロセス、あるいはスプレープロセスを使用することが可能である。
【0068】
特別な場合は、ポリウレタンプレポリマーが使用される1−成分及び1.5−成分エアゾールパック(pressure-pack)フォームに代表される。この用途においてもまた本発明の組成物を整泡剤として使用することができる。
【0069】
本発明のポリウレタンフォームは、それらが本発明による組成物を有するか又は含有することを特徴とする。完成ポリウレタンフォーム中の式(I)の化合物の質量による割合は、好ましくは0.01から10重量%まで、より好ましくは0.1から3重量%までである。
【0070】
本発明のポリウレタンフォームは、例えば、硬質ポリウレタンフォーム、軟質ポリウレタンフォーム、粘弾性フォーム、HRフォーム、半硬質ポリウレタンフォーム、熱成形性ポリウレタンフォーム又は複合フォームであり得る。用語のポリウレタンは、ここでは、ジイソシアネート又はポリイソシアネートとポリオール又はイソシアネートに対して反応性を有するその他の種類、例えばアミンなどとから製造される、ウレタン結合が独占的又は支配的な結合のタイプでは必ずしもないポリマーに対する総称として用いられる。ポリイソシアヌレート及びポリ尿素も特に含まれる。
【0071】
本発明のポリウレタンフォームは、例えば、冷蔵庫断熱材、断熱板、サンドイッチエレメント、パイプ断熱材、スプレーフォーム、1−及び1.5−成分のエアゾールパックフォーム、模造材、モデリング用フォーム、包装用フォーム、マットレス、家具装飾材、自動車座席クッション、ヘッドレスト、ダッシュボード、自動車内装品、自動車天井内張り、吸音材料、ステアリングホイール、靴底、カーペット裏地用フォーム、フィルター用フォーム、シーリングフォーム及び接着剤として使用することができる。
【0072】
本発明を以下の実施例において例を通して説明するが、本発明は、実施例中で挙げられている実施形態に限定はされず、その範囲は、全体の記述及び特許請求の範囲によって決められる。
【実施例】
【0073】
アルコキシ基−OR8の割合は、式(I)に従い、基R4、R5及びR7の合計における−OR8の割合として決定される。アルコキシ基−OR8のモル分率は、29Si−NMRスペクトルにおけるそれぞれの面積積分の比を計算することによって決定した。アルコキシル基は、ヒドロシリル化の間に大部分が保持されるので、最終生成物(式(I))のスペクトルも前駆体としての機能を果たす水素シロキサン(式(II))のスペクトルも、いずれも採用することが可能である。当業者であれば精通しているであろう29Si−NMR測定は、水素シロキサンの段階で、シリコーン部分の希釈度がより低いために、正確さがより大きい。ここで開示されている構造は、水素シロキサンの測定及び適切な積分の比を計算することによって決定した。
【0074】
(実施例1〜7):本発明の組成物の調製
複数の水素シロキサンを、本文に記載の方法及び未公開の特許出願DE102008041601及びDE102007055485.2.に記載の方法よって調製した。使用したシロキサン及びシラン出発物質の量は、それぞれの例示的配合で必要な単量体のシロキシ単位の割合に従って計算した。その調製は、DE102008041601の実施例1と類似の方法により行った。水の量は、反応が100%まで進行しないように計算した。それぞれの場合に、シランが結合したアルコキシの1当量当たり1当量の水の代わりに、シランが結合したアルコキシの1当量当たり最大0.5当量の水を使用した。滴下ロートによる非常に少量の導入において、濡れたガラス壁又はグリースのついたガラス栓への物質の保持が、望ましくない追加の溶媒の使用を回避することができず、そして、フラスコ中の実際の水の量は、それ故、そのバッチの計算した化学量論量をわずかに下回る。
【0075】
第2工程において、これらの水素シロキサンは、表1に示したアリルポリエーテルを用いるヒドロシリル化によって式Iの化合物に転化させた。その調製は、DE1020070554852の実施例7に類似の、従って、例えば、EP1520870に記載されているSiC結合のポリエーテルシロキサンを調製するための先行技術に従う方法によって行った。
【0076】
【表1】

【0077】
得られた化合物の構造は、表2で見ることができる。表2に記録されているパラメーターは上記の式(I)と関係する。
【0078】
【表2】

【0079】
発泡例
下記の発泡例は、本発明(整泡剤)にはよらない組成物としてEvonik Goldschmidt GmbH(Evonik)から入手することができる表3に示されている製品を用いて行った。
【0080】
【表3】

【0081】
(実施例8):硬質フォームパネル及び断熱板の応用領域
これらの分野の用途に適合し、その組成が表4に示されている2つの異なる配合物を使用した。
【0082】
【表4】

【0083】
2つの系のそれぞれのマスターバッチを、ポリオール、難燃剤、触媒及び水から最初に作製し、いずれの場合も6つの等しい部分に分けた。それぞれの2つを適切な量の本発明による整泡剤と混合し、2つのさらなる部分を従来型のSiOC整泡剤と混合し(本発明にはよらない比較例)、最後の2つを従来型の直鎖状SiC整泡剤と混合した(本発明にはよらない比較例)。各系について、異なる安定剤を含有する3試料の一組を作製後直接発泡させた。2番目の一組は、比較的長い貯蔵時間をシミュレートするために、70℃での促進エージングに1週間かけ、次いで発泡させた。これにより、各系及び安定剤に対して、新鮮な試料に対する1つのデータの組及びエージングした試料に対するさらなるデータの組が与えられた。
【0084】
比較用の発泡実験は、手作業の混合により実施した。この目的のために、説明したように安定剤とともに調製したポリオール配合物をカップに計量し、必要量の発泡剤を加え、その混合物を、プレートスターラー(直径6cm)を用いて1000rpmで30秒間混合した。混合中に蒸発した発泡剤の量を新たな計量によって測定し、再び補給した。MDIをこのときに加え、その反応混合物を3000rpmと示されている撹拌機により5秒間撹拌し、50cm×25cm×5cmの寸法を有するアルミニウムの型に直ちに移し、ポリエチレンの膜で裏打ちし、サーモスタットを50℃にセットした。使用したフォーム配合物の量は、その型の最低の充填に必要な量を10%超えるように計算した。
【0085】
発泡の1日後にそのフォームを分析した。表面及び内部の欠陥を、10が欠陥のないフォームを表し、1が非常に多数の欠陥を有するフォームを表す1から10までの尺度に基づいて主観的に評価した。切断面の細孔構造(1cm当たりの平均セル数)を、比較用フォームと比較することにより目視で評価した。ヘストラムダコントロール(Hesto λ Control)装置を用いて、2.5cm厚の円板について、試料下面及び上面の温度を10℃及び36℃として熱伝導率を測定した。Micromeritics製のAccuPyc1330装置を用いて独立セルの体積百分率を測定した。1辺の長さが5cmの立方体形状の試験片について10%圧縮時のフォーム圧縮強さを、DIN 53421に準じて測定した(記録した数値は、この測定範囲で起こる圧縮強さの最大値である)。複数個の試験片は、いずれの場合もフォームの発生方向に装填した。この試験の結果を表5に示す。
【0086】
【表5】

【0087】
表5のデータは、良品質の硬質フォームが本発明による整泡剤を使用することによって得られることを示している。本発明に従って製造した硬質フォームの比較的細かいセルは、安定剤とともに完全に配合したポリオール成分をエージングした後でさえも保持される本発明の整泡剤の高い活性を裏づけている。他方で、本発明によらない先行技術によるSiOC整泡剤を使用した比較例の場合は、ポリオール成分のエージング後のフォーム品質に重大な劣化が見られる。
【0088】
(実施例9):冷凍装置の断熱の応用分野
表6に示したフォーム配合物を、本発明による整泡剤と従来型の整泡剤との用途に関連する比較のために使用した。
【0089】
【表6】

【0090】
比較用の発泡実験は、手動混合によって行った。この目的のために、ポリオール、触媒、水、従来型の整泡剤又は本発明による整泡剤及び発泡剤をカップに計量し、プレートスターラー(直径6cm)を用いて1000rpmで30秒間混合した。混合中に蒸発した発泡剤の量を新たな計量によって測定し、再び補給した。MDIをこのときに加え、その反応混合物を3000rpmと示されている撹拌機を用いて5秒間撹拌し、145cm×14cm×3.5cmの寸法を有するアルミニウムの型に直ちに移し、10°の角度で傾け(145cmの側に沿って)、ポリエチレンの膜で裏打ちし、サーモスタットを45℃にセットした。そのフォーム配合物は低い側に導入して、膨張するフォームが導入領域の型を満たし、より高い側に向かって上昇するようにした。使用したフォーム配合物の量は、その型の最低の充填に必要な量を下回るように計算した。硬化後に得られたフォーム成形品の長さは、従って、重量により標準化された得られた体積の大きさとして採用することができる。10分後、そのフォームを型から取り出し分析した。表面及び内部の欠陥を、10が欠陥のないフォームを表し、1が非常に多数の欠陥を有するフォームを表す、1から10までの尺度に基づいて主観的に評価した。切断面の細孔構造(1cm当たりの平均セル数)を、比較用フォームと比較することにより目視で評価した。流れの長さ(得られた体積の大きさとして)をそのフォーム成形品を測定することによって決定し、より良い比較を可能にするために、260gの標準重量と大気圧に対して次式に従って標準化した:
減少した流れの長さ=フォーム長さ×260g×大気圧/(フォーム重量×1013mbar)
【0091】
実施例9で使用したすべての整泡剤及び関連する発泡の結果を表7に示す。
【0092】
【表7】

【0093】
該結果は、冷蔵庫用途に対する硬質フォームが、本発明による調合物を使用して製造することができることを示している。ここでは、同様に、表面品質及びセルファイン度の点での良好な結果、ならびに流動性及び体積発生量の点でのさらに改善された結果が、先行技術による整泡剤と比較して得られた。
【0094】
(実施例10):オープンセル(半)硬質フォームの応用分野
表8に示したフォーム配合物を、本発明による整泡剤と従来型の整泡剤とのオープンセル(半)硬質フォームにおける用途に関連する比較のために使用した。
【0095】
【表8】

【0096】
比較用の発泡実験は、手動混合によって行った。この目的のために、ポリオール、触媒、水、セルオープナー及び従来型の整泡剤又は本発明による整泡剤をカップに計量し、プレートスターラー(直径6cm)を用いて1000rpmで30秒間混合した。MDIをこのときに加え、その反応混合物を3000rpmと示されている撹拌機を用いて5秒間撹拌し、上端が開放されており、27cm×14cmの底面及び14cmの高さを有する木箱に直ちに移し、紙で覆った。
10分後、そのフォームを型から取り出し分析した。表面及び内部の欠陥を、10が欠陥のないフォームを表し、1が非常に多数の欠陥を有するフォームを表す、1から10までの尺度に基づいて主観的に評価した。切断面の細孔構造(1cm当たりの平均セル数)を、比較用フォームと比較することにより目視で評価した。オープンセルの体積百分率をMicromeritics製のAccuPyc1330装置を用いて測定した。
【0097】
使用した整泡剤及び関連する発泡の結果を表9に示す。
【0098】
【表9】

【0099】
該結果は、高い割合のオープンセル及び比較的少ないフォーム欠陥を有するオープンセルの硬質フォームが、本発明による整泡剤を使用することにより製造され得ることを示している。
【0100】
(実施例11):スプレーフォームの応用分野
表10に示す純粋に水発泡の軽量スプレーフォームのフォーム配合物を本発明による整泡剤と従来型の整泡剤との用途に関連する比較のために使用した。
【0101】
【表10】

【0102】
比較用の発泡は、手動混合によって行った。この目的のために、ポリオール、触媒、水、難燃剤及び従来型の整泡剤又は本発明による整泡剤をカップに計量し、プレートスターラー(直径6cm)を用いて1000rpmで30秒間混合した。MDIをこのときに加え、その反応混合物を3000rpmと示されている撹拌機を用いて3秒間撹拌し、上端が開放されており、27cm×14cmの底面及び14cmの高さを有する木箱に直ちに移し、紙で覆った。
10分後、そのフォームを型から取り出し分析した。そのセル構造を、10が非常に細かいセルとなっており、欠陥のないフォームを表し、1が非常に多数の欠陥を有する粗いフォームを表す、1から10までの尺度に基づいて主観的に評価した。オープンセルの体積百分率をMicromeritics製のAccuPyc1330装置を用いて測定した。その密度は、10cm×10cm×10cmのフォーム立方体の重量を量ることによって測定した。
【0103】
使用したすべての整泡剤及び関連する発泡の結果を表11に示す。
【0104】
【表11】

【0105】
最も低いフォーム密度及び同様に良好なオープンセルの割合が組み合わされた最良のセル構造が本発明による整泡剤を使用することにより達成され、それは、本発明の整泡剤の高い活性を示している。
【0106】
(実施例12):1成分エアゾールパックフォームの応用分野
下の表12に示したフォーム配合物を、本発明による整泡剤と従来型の整泡剤との用途に関連する比較のために使用した。
【0107】
【表12】

【0108】
実施例12を実施するため、表12中の最初の4成分を前もって混合し、6個のエアゾール缶に入れた。本発明による整泡剤を2つの缶に加え、従来型のSiOC整泡剤(本発明によらない整泡剤)を2つのさらなる缶に加え、従来型の直鎖状SiC整泡剤(本発明によらない整泡剤)を最後の2つの缶に加えた。該配合に対応する量のイソシアネートを6つの缶すべてに加え、その缶を直ちにPUエアゾールパックフォームに適したバルブを押して封鎖した。その缶に発泡剤をそのバルブを通して装填し、その後手で激しく振動させた。ポリウレタンプレポリマーを発泡させるため、その缶を室温で24時間保存した。3つの異なる整泡剤を有する3つの缶からなる一組に次にアダプターチューブを取り付け、泡を、わずかに湿気を有する紙片にフォームビーズを塗布することにより放出した。硬化後、そのフォームビーズを切り開いてセル構造を評価した。その他の3つの缶は、50℃で4週間保存し、次いで同様に試験した。
【0109】
使用したすべての整泡剤及び関連する発泡の結果を表13に示す。
【0110】
【表13】

【0111】
高品質の1成分系フォームを、本発明の整泡剤を用いることにより得られることが分かる。
本発明によって製造した硬質フォームの比較的微細なセルは、缶のエージング後も保持される本発明の整泡剤の高い活性を裏付けている。他方で、本発明によらない先行技術によるSiOC整泡剤を使用する比較例においては、エージング後のフォーム品質におそらく安定剤の劣化に帰することができる重大な低下が見られる。
【0112】
(実施例13):MDIを用いるHRモールドフォームの応用分野
以下のフォーム配合物(各場合の数字は質量部)を、本発明による整泡剤と従来型の整泡剤との用途に関連する比較のために使用した。
【0113】
100部のDesmephen VP.PU 211K01(Bayer Material Science製のポリオール、さまざまな量のシロキサン組成物で、その組成物は700のモル質量を有するブタノール開始のポリプロピレングリコール中のそれぞれのシロキサンの10重量%濃度の溶液からなる)、3部の水、2部のトリエタノールアミン、0.6部のTEGOAMIN(登録商標)33及び0.2部のジエタノールアミンならびに18.5部のポリマーMDI(Bayer製のDesmodur 44V20)及び27.7部のTDI(T80 =トリレン2,4−及び2,6−ジイソシアネート異性体の80:20の質量比の混合物)の混合物。
【0114】
フォームは、イソシアネートを別にして、カップ中ですべての成分を混合し、その後イソシアネートを加え、高い撹拌機速度でそれを速く撹拌する既知の方法で製造した。その反応混合物を次に40×40×10cmの寸法を有する40℃に加熱しておいた立方体の型に入れ、その組成物をそのまま10分間硬化させた。圧縮力をその後測定した。ここでは、そのフォームをそれらの高さの50%まで10回圧縮した。最初に測定した値(AD 1ニュートン単位)は、そのフォーム中のオープンセルの割合の大きさである。そのフォームを、その後11番目の測定値(AD 11ニュートン単位)で、圧力をかけて開いたフォームの硬度を測定することができるように完全に圧縮(手作業で)した。そのフォームを、次に、表皮及び外域を評価し、セル総数(CC)を測定するために切り開いた。実施例13a〜13cを表14にまとめる。評価、ポリオール100部当たりの部(pphp)で示すシロキサン組成物の添加量及びそれぞれの場合に使用したシロキサンを示している。
【0115】
【表14】

【0116】
その結果は、実施例6及び7のように本発明によるシロキサンは、MDIをイソシアネートとして使用する場合、自動車の座席用のHRモールドフォームを安定化させるのに適することを示している。オープンセルの割合、外域安定化及びセルファイン度について得られた結果は、比較例13cにおける従来型のシロキサンを使用したときと同じように良好である。
【0117】
(実施例14):TDIを用いるHRモールドフォームの応用分野
以下のフォーム配合物(各場合の数字は質量部)を、本発明による整泡剤と従来型の整泡剤との用途に関連する比較のために使用した。
【0118】
73部のBayer Material Science製ポリオールのHyperlite 1629、27部のBayer Material Science製ポリマーポリオールのHyperlite 1650(さまざまな量のシロキサン組成物で、その組成物は700のモル質量を有するブタノール開始のポリプロピレングリコール中のそれぞれのシロキサンの10重量%濃度の溶液からなる)、4部の水、0.9部のジエタノールアミン、0.4部のTEGOAMIN(登録商標)33、0.06部のTEGOAMIN(登録商標)BDE、0.2部のグリセロール及び46部のイソシアネート(T80 =トリレン2,4−及び2,6−ジイソシアネート異性体の80:20の質量比の混合物)の混合物。
【0119】
フォームは、イソシアネートを別にして、カップ中ですべての成分を混合し、その後イソシアネートを加え、高い撹拌機速度でそれを速く撹拌する既知の方法で製造した。その反応混合物を次に40×40×10cmの寸法を有する65℃に加熱しておいた立方体の型に入れ、その組成物をそのまま6分間硬化させた。その後、そのフォームの圧力がかけられてオープンになる性能(ability of the foam to be pressed open:AD)を、1が、非常に高い割合のオープンセルを有するフォームを表し、10が非常に高い割合の独立セルを有するフォームを表す1〜10の尺度に基づいて評価した。そのフォームを、次に、品質(表皮及び外域)を評価し、セル総数(CC)を測定するために切り開いた。実施例14a〜14cを表15にまとめる。評価、それぞれの場合に使用したシロキサン及びpphpでのシロキサン組成物の添加量を示している。
【0120】
【表15】

【0121】
その結果は、実施例6及び7のように高濃度での本発明によるシロキサンは、イソシアネートとしてTDIを使用しても、同様に、自動車の座席用のHRモールドフォームの整泡剤として使用するのに適することを示している。オープンセルの割合、外域安定化及びセル数について得られた結果は、比較例14cにおいて使用された従来型のシロキサンを使用したときと同じように良好である。
【0122】
(実施例15):軟質スラブ材フォームの応用分野
軟質ポリウレタンフォームを、本発明による整泡剤及び従来型の整泡剤の用途に関連する比較をするために、27cmの壁の高さを有する27cm×27cmの蓋のない木箱中で、次の成分を有するポリウレタン配合物を発泡させることによって製造した(それぞれの場合の数字は質量部)。
【0123】
100部のOH価48を有する三官能性ポリプロピレングリコール
5.0部の水
0.15部のアミン触媒
0.23部のスズ触媒**
5.0部の物理的発泡剤(ジクロロメタン)
64.2部のイソシアネート(トリレンジイソシアネートT80)(80%の2,4異性体、20%の2,6異性体)
さまざまな整泡剤
TEGOAMIN(登録商標)33(Evonik Goldschmidt GmbHから得られ、ジプロピレングリコール中のトリエチレンジアミンの33%濃度の溶液である)
**KOSMOS(登録商標)29(Evonik Goldschmidt GmbHから得られ、エチルヘキサン酸のスズII塩である)
【0124】
実施例8の通りの本発明による整泡剤をここでは使用した。従来型のSiOC整泡剤を参照に役立てた(本発明にはよらない比較例)。
【0125】
製造したフォームは、次の物理的性質に関して評価した。
−ライズ段階(rise phase)の終了後のフォームのへたり(settling)
−フォーム密度(FD)
−フォームの通気性をフォームに関する圧力上昇計測によって測定した。計測した圧力上昇は、水のmmで記録し、低い圧力上昇の値は、そのとき、より開いたフォームであることを特徴とする。値は、0から300mmまでの範囲で測定した。
【0126】
表16に示す結果が得られた。
【0127】
【表16】

【0128】
該結果は、軟質ポリウレタンフォームが、本発明による調合物を使用して製造できることを証明している。本発明による安定剤が、幅広い加工許容度を示すことが分かる。参照用の安定剤の場合、安定剤の量の増加は圧力上昇の増加をもたらすが、本発明による安定剤の空隙率は、正常変動の範囲内で一定のままである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化4】

(式中、
インデックスaは、それぞれ互いに独立して0から500までであり、
インデックスbは、それぞれ互いに独立して0から60までであり、
インデックスcは、それぞれ互いに独立して0から10までであり、
インデックスdは、それぞれ互いに独立して0から10までであり、
なお、式(I)の1分子当たりΣc+Σd≧1であること、ならびに1分子当たりのT単位の平均数Σd及びQ単位の平均数Σcがいずれの場合にも50以下であり、1分子当たりのD単位の平均数Σaが2000以下であり、1分子当たりのR4を持つシロキシ単位の平均数Σbが100以下であることを条件とし、
基Rは、それぞれ、1から20個までの炭素原子を有する直鎖状、環状又は分枝状の、脂肪族又は芳香族の、飽和又は不飽和炭化水素基からなる群の少なくとも1つの基であり、
基R5は、それぞれ互いに独立して、R4、−OR8又はRであり、
基R4は、それぞれ互いに独立して、−OR8、又はRではない有機基であり、
基R7は、それぞれ、アルキル、クロロアルキル、クロロアリール、フルオロアルキル、シアノアルキル、アクリルオキシアリール、アクリルオキシアルキル、メタクリルオキシアルキル、メタクリルオキシプロピル及びビニル基からなる群から選択されるR、R4、−OR8及び/又はヘテロ原子置換、官能性、有機、飽和又は不飽和基であることができ、
基R8は、それぞれ互いに独立して、水素又は1から10個までの炭素原子を有するアルキル基であり、
なお、R4、R5及びR7のうちの少なくとも1つの置換基がRではなく、基R4、R5及びR7の少なくとも1つが基−OR8である少なくとも1つの式(I)の化合物が存在し、該組成物中に存在する式(I)の全化合物にわたって平均して基R4、R5及びR7の20モル%以下が−OR8であることを条件とする)
の化合物を含む組成物。
【請求項2】
該組成物中に存在する式(I)の全化合物にわたって平均して基R4、R5及びR7の0.1から10モル%が、−OR8の型であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
従来のSiOC及びSiC安定剤、有機整泡剤、界面活性剤、成核剤、セル微細化添加剤、セルオープナー、架橋剤、乳化剤、難燃剤、酸化防止剤、帯電防止剤、殺生物剤、カラーペースト、固体充填剤、アミン触媒、金属触媒、ポリオール及び/又は緩衝物質の中から選択されるさらなる添加剤を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
グリコール、アルコキシレート及び合成及び/又は天然起源の油から選択される溶媒を含有することを特徴とする、請求項1から3の少なくとも一項に記載の組成物。
【請求項5】
基R4が、
−OR8
−CH−CH−CH−O−(CH−CHO−)−(CH−CH(R’)O−)−R”
−CH−CH−O−(CH−CHO−)−(CH−CH(R’)O−)−R”
−CH−RIV
−CH−CH−(O)x’−RIV
−CH−CH−CH−O−CH−CH(OH)−CHOH
【化5】

及び
−CH−CH−CH−O−CH−C(CHOH)−CH−CH
(式中、
xが、0から100までであり、
x’が、0又は1であり、
yが、0から100であり、
基R’が、それぞれ互いに独立して、任意選択により置換されている1から12個までの炭素原子を有するアルキル又はアリール基であって、ここで、異なる置換基R’が基R4及び/又は式Iの分子中に存在してもよく、
基R”が、それぞれ互いに独立して、水素基又は1から4個までの炭素原子を有するアルキル基、基−C(O)−R’’’(式中、R’’’は、アルキル基である)、基−CH−O−R’、アルキルアリール基、基−C(O)NH−R’であり、
IVが、直鎖状、環状又は分枝状の、任意選択により置換されている1から50個までの炭素原子を有する炭化水素基である)
中から独立して選択されることを特徴とする請求項1から4の少なくとも一項に記載の組成物。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の組成物の、ポリウレタンにおける用途。
【請求項7】
該組成物がポリウレタンフォームにおける整泡剤として使用されることを特徴とする、請求項6に記載の用途。
【請求項8】
該ポリウレタンが、硬質ポリウレタンフォーム、軟質ポリウレタンフォーム、粘弾性フォーム、HRフォーム、半硬質ポリウレタンフォーム、熱成形性ポリウレタンフォーム
及び複合フォームの中から選択されるポリウレタンフォームであることを特徴とする、請求項6又は7に記載の用途。
【請求項9】
請求項1から5の少なくとも一項に記載の組成物を使用することを特徴とする、ポリウレタンフォームを製造するための方法。
【請求項10】
完成ポリウレタンフォーム中の式(I)の化合物の質量による割合が0.01から10重量%であるような量で、該組成物が加えられることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
水、塩化メチレン、ペンタン、アルカン、ハロゲン化アルカン、アセトン及び二酸化炭素の中から選択される少なくとも1つの発泡剤が使用されることを特徴とする、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
請求項1から5の少なくとも一項に記載の組成物を含有することを特徴とするポリウレタンフォーム。
【請求項13】
完成ポリウレタンフォーム中の式(I)の化合物の質量による割合が、0.01から10重量%であることを特徴とする、請求項12に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項14】
硬質ポリウレタンフォーム、軟質ポリウレタンフォーム、粘弾性フォーム、HRフォーム、半硬質ポリウレタンフォーム、熱成形性ポリウレタンフォーム、又は複合フォームであることを特徴とする、請求項12又は13に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項15】
冷蔵庫断熱材、断熱板、サンドイッチエレメント、パイプ断熱材、スプレーフォーム、1−及び1.5−成分のエアゾールパックフォーム、模造材、モデリング用フォーム、包装用フォーム、マットレス、家具装飾材、自動車座席クッション、ヘッドレスト、ダッシュボード、自動車内装品、自動車天井内張り、吸音材料、ステアリングホイール、靴底、カーペット裏地用フォーム、フィルター用フォーム、シーリングフォーム、及び接着剤としての、又は対応する製品を製造するための請求項12から14の少なくとも一項に記載のポリウレタンフォームの用途。

【公開番号】特開2010−270331(P2010−270331A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−113774(P2010−113774)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(507375465)エヴォニク ゴールドシュミット ゲーエムベーハー (100)
【Fターム(参考)】